JP5662928B2 - 太陽電池モジュール用支持装置 - Google Patents
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Description
これらの材料の内でも、アルミニウムとガルバリウム鋼板は、標準的な鉄材料(SS400等)と比較すると、耐食性および耐候性に優れるとともに比較的安価であるため、太陽電池モジュールの支持装置として使用されている。
また、純チタンまたはチタン合金は、機械強度にも優れることから、太陽電池モジュール用支持装置の各部材を薄くおよび細く構成することが可能となる。
さらに、純チタンまたはチタン合金は、鉄系材料と比較し、60%程度の重量であるため、太陽電池モジュール用支持装置を軽量化することができる。
加えて、純チタンまたはチタン合金の熱膨張率は、モジュールの基板に用いられるガラス材料の熱膨張率に近いため、太陽光の受光の有無に起因した熱膨張や収縮が生じても、モジュール(ガラス材料)と保持部材との間において極端に大きな応力が発生することはない。
そして、前記チタン合金は、Si、Pd、Ni、Ru、Cr、Al、V、Mo、Zr、Sn、Ta、Nb、Feのうち1種以上5種以下を合計で0.01質量%以上33質量%以下含有するとともに、Si:1.4質量%以下、Pd:0.6質量%以下、Ni:1.1質量%以下、Ru:0.04質量%以下、Cr:9.0質量%以下、Al:13.0質量%以下、V:32質量%以下、Mo:13.0質量%以下、Zr:11.0質量%以下、Sn:7.0質量%以下、Ta:10.0質量%以下、Nb:6.0質量%以下、Fe:4.0質量%以下であることが好ましい。
また、太陽電池モジュール用支持装置の各部材を薄くおよび細く構成できるとともに、軽量化することができるため、例えば、設置場所が住居の屋根等の荷重限度の低い場所であったとしても、太陽電池モジュール用支持装置を問題なく設置することができる。
さらに、太陽光の受光の有無に起因した熱膨張や収縮が生じても、モジュール(ガラス材料)と保持部材との間において極端に大きな応力が発生することはないことから、当該応力に基づく、モジュールや保持部材の損傷および破壊を防止することができ、モジュールや保持部材の長期間の使用を可能とすることができる。
なお、以下の説明において、「上、下」、「前、後」、「左、右」を表現するときは、各図面に示す方向を基準としている。
太陽電池モジュール用支持装置1は、太陽電池モジュール2を設置場所に支持する装置である。
図1に示すように、太陽電池モジュール用支持装置1(以下、適宜、支持装置という)は、太陽電池モジュール2(以下、適宜、モジュールという)の周縁部分を両面から挟んで保持する保持部材10と、保持部材10を設置場所3に支持する支持部材20と、を備える。
図2に示すように、保持部材10は、モジュール2を保持する部材であって、モジュール2が枠内に沿って配置される枠体11と、枠体11の下側に配置される板体12と、枠体11の上側に配置される挟持体13と、から構成される。
そして、枠体11の枠内(開口部11a)に配置されたモジュール2を、板体12が下側から支持するとともに、挟持体13が上側から支持することで、上下方向から板体12および挟持体13によりモジュール2を挟持することとなる。
枠体11は、枠内(開口部11a)にモジュール2を配置することで、モジュール2を前後左右方向から支持する部材である。
そして、枠体11は、枠内(開口部11a)にモジュール2を配置することができるように、枠体11の開口部11aの前後方向の長さとモジュール2の前後方向の長さとが略同一となり、枠体11の開口部11aの左右方向の長さとモジュール2の左右方向の長さとが略同一となるように構成されている。
また、枠体11は、モジュール2を枠内(開口部11a)に配置した際、上下方向にモジュール2が突出しないように、枠体11の厚さとモジュール2の厚さとが略同一となるように構成されている。
板体12は、枠体11およびモジュール2の下側に設置され、モジュール2を下側から支持する部材である。
そして、板体12は、モジュール2の裏面(下側の面)から延びる配線4を逃がすことができるように、逃げ部12aが形成されている。
なお、板体12の厚さについては特に限定されない。
挟持体13は、枠形状を呈するとともに、枠体11およびモジュール2の上側に設置され、モジュール2を上側から支持する部材である。
そして、挟持体13は、モジュール2の周縁部分を上側から当接して支持できるように、挟持体13の開口部13aの前後方向の長さはモジュール2の前後方向の長さと比較して短くなり、挟持体13の開口部13aの左右方向の長さはモジュール2の左右方向の長さと比較して短くなるように構成されている。
なお、挟持体13の厚さについては特に限定されない。また、挟持体13は、モジュール2を板体12とで挟持できればよいため、モジュール2表面の周縁部分の一部を上側から当接して支持するような構成のものであればどのような形状であってもよい。例えば、挟持体13の開口部13aの複数個所に、内側に突出してモジュール2表面の周縁部分と当接するような突出部が設けられているような形状のものであってもよい。ただし、モジュール2の太陽光の受光量の減少を防止するため、できる限り、挟持体13とモジュール2とが上下方向に重なる面積は小さいほうがよい。
また、前記した挟持体13、枠体11、板体12は、各部材を図2に示すように前後左右方向に整合した場合に、右および左側のそれぞれの縁部分において、等間隔に2つの第2連通孔H2が上下方向に連通するように形成されている。
なお、ナット6bによる螺合を解除することで、保持部材10によるモジュール2の保持を容易に解除することができる。
支持部材20は、保持部材10を設置場所3に支持する部材である。
そして、支持部材20は、4つの立設された柱状の棒支持体から構成されているとともに、保持部材10を設置場所3に対して所定角度傾斜して支持できるように、そのうちの2つの棒支持体が残りの2つの棒支持体より長尺となっている。支持部材20の上部には連結部材5の裏面に当接する上支持部21が形成されており、当該上支持部21には、第3連通孔H3が形成されている。そして、当該各上支持部21の当接部により形成される平面は、設置場所3に対して所定角度傾斜している。
なお、支持部材20の下部には設置場所3に固定できるように、下支持部22が形成されている。
連結部材5は、保持部材10と支持部材20を連結する部材である。
そして、連結部材5は、板状を呈するとともに、各部材を図1に示すように整合した場合に、保持部材10の第2連通孔H2に対向する位置(図2参照)に連結部材5の第4連通孔H4が位置し、支持部材20の第3連通孔H3に対向する位置に連結部材5の第5連通孔H5が位置するように形成されている。
なお、連結部材5の厚さについては特に限定されない。
連結部材5は必須の部材ではなく、保持部材10と支持部材20とを直接連結させてもよい。この場合は、保持部材10と支持部材20とを上下方向に重ねて整合した状態で、保持部材10の第2連通孔H2と支持部材20(上支持部21)の第3連通孔H3とが対向するように形成され、当該第2連通孔H2と第3連通孔H3とを連通する第2締結具7により締結することで、保持部材10と支持部材20とを連結させることができる。
また、保持部材10の第2連通孔H2および第2締結具7(7a、7b)についても必須の構成ではなく、保持部材10と支持部材20とを上下方向に重ねて整合した状態で、保持部材の第1連通孔H1と支持部材20(上支持部21)の第3連通孔H3とが対向するように形成され、当該第1連通孔H1と第3連通孔H3とを連通する第1締結具6(6a、6b)により締結することで、保持部材10と支持部材20とを連結させてもよい。
さらに、第1連通孔H1、第2連通孔H2、第3連通孔H3、第4連通孔H4、第5連通孔H5の個数、および、それぞれの連通孔を締結する締結具の個数についても特に限定されず、要求される安定性に応じて増減させればよい。
また、枠体11の厚さをモジュール2の厚さより若干厚く構成するとともに、板体12とモジュール2との間、および挟持体13とモジュール2との間に、ゴム材等からなる弾性部材を設けてもよい。当該箇所に弾性部材を設けることにより、上下に方向に振動が生じた場合であっても、板体12および挟持体13からの衝撃を弾性部材が吸収することにより、モジュール2の損傷を防止することができる。
そして、枠体11および挟持体13は、板材の中央部に孔をあけることで作製してもよいし、4つの棒材をレーザー溶接等により枠状に接合することで作製してもよい。
また、モジュール2を支持装置1から取り外しができるように、各部材を締結具で締結する場合について説明したが、モジュール2と支持装置1との耐用年数が同程度の場合は、締結具を用いず、溶接等により各部材を連結してしまってもよい。
支持装置1の保持部材10および支持部材20は純チタンまたはチタン合金から構成される。
なお、支持装置1が連結部材5を備える場合は、連結部材5も純チタンまたはチタン合金から構成されることが好ましい。また、支持装置1が、第1締結具6(6a、6b)、第2締結具7(7a、7b)、第3締結具8(8a、8b)を備える場合は、これらの締結具も純チタンまたはチタン合金から構成されることが好ましい。
加えて、純チタンまたはチタン合金の重量は鉄系材料の60%しかないため、前記のように薄くおよび細く構成することにより重量が低減した支持装置の各部材が、さらに軽くなる。
純チタンは、チタンの純度の高い物質である。
純チタンは、チタン合金と比較して、曲げ加工やプレス加工により所望の形状に加工し易いことから、支持装置1のうち複雑な形状を呈する部材に適用することで、部材の作製時における欠陥品割合の低下や、作製時間の短縮化につながる。
Nが0.07質量%を超えて含有すると高融点のTiNを形成してしまい、Cが0.08質量%を超えて含有するとTiCを形成してしまい、その結果、加工性や強度の特性を低下させてしまうからである。特に好ましくは、不可避的不純物としてのFe、Oが、それぞれ、Fe:0.5質量%以下、O:0.5質量%以下である。
なお、純チタンは、本発明の効果を妨げない程度であれば、上記以外の不可避的不純物も含んでいてもよい。
チタン合金は、チタンを主成分とする合金である。
チタン合金は、純チタンと比較して機械強度に優れるため、支持装置1のうち、薄くまたは細く形成すべき部材に適用することで、支持装置1全体としての重量を低減することができる。また、機械強度に優れるチタン合金を用いることにより、支持装置1を設置するに際し、強度設計に余裕をもたす(想定外の衝撃が与えられるような事象にも対応できる強度を付与する)ことができる。
このように、チタン合金は、前記成分のうち1種以上5種以下を0.01質量%以上含有することにより、引張強さ、耐食性または耐候性がさらに向上する。なお、33質量%を超えて含有させると、加工性が低下してしまうため好ましくない。
以下、本発明に係る支持装置に用いるチタン合金の各組成を数値限定した理由について説明する。
Si、AlおよびFeは、耐食性を向上させるとともに、引張強さ向上にも有効な元素である。しかし、過度に添加した場合には、加工性が大きく低下してしまう。
したがって、Siは1.4質量%以下、Alは13.0質量%以下、Feは4.0質量%以下であることが好ましい。
Pb、Ruは、チタン合金表面にチタン酸化物を主体とする安定な不働態皮膜を形成する、つまり耐食性の向上に有効な添加元素である。しかし、過度に添加した場合には、前記効果が飽和するとともに、Pb、Ruは高価な元素であることからコストの点で好ましくない。
したがって、Pdは0.6質量%以下、Ruは0.04質量%以下であることが好ましい。
Ni、CrおよびVは、それぞれの元素と共存することにより、RuおよびPdの表面濃縮を促進する元素である。しかし、過度に添加した場合には、加工性が低下してしまう。
したがって、Niは1.1質量%以下、Crは9.0質量%以下、Vは32質量%以下であることが好ましい。
Mo、Zr、Sn、Ta、Nbは、合金の強度を向上させ、加工性を良好にする。しかし、過度に添加すると金属間化合物を形成し、逆に加工性を低下させてしまう。
以上の理由により、Moは13.0質量%以下であることが好ましく、Zrは11.0質量%以下であることが好ましく、Snは7.0質量%以下であることが好ましく、Taは10.0質量%以下であることが好ましく、Nbは6.0質量%以下であることが好ましい。
なお、チタン合金は、本発明の効果を妨げない程度であれば、上記以外の不可避的不純物も含んでいてもよい。
2 太陽電池モジュール(モジュール)
3 設置場所
4 配線
5 連結部材
6 第1締結具
6a ボルト(第1締結具)
6b ナット(第1締結具)
7 第2締結具
7a ボルト(第2締結具)
7b ナット(第2締結具)
8 第3締結具
8a ボルト(第3締結具)
8b ナット(第3締結具)
10 保持部材
11 枠体
11a 開口部
12 板体
12a 逃げ部
13 挟持体
13a 開口部
20 支持部材
21 上支持部
22 下支持部
H1 第1連通孔
H2 第2連通孔
H3 第3連通孔
H4 第4連通孔
H5 第5連通孔
Claims (3)
- 板状を呈する太陽電池モジュールを設置場所に支持する太陽電池モジュール用支持装置であって、
前記太陽電池モジュールの周縁部分を両面から挟んで保持する保持部材と、
前記保持部材を前記設置場所に支持する支持部材と、を備えるとともに、
前記保持部材および前記支持部材は、純チタンまたはチタン合金から構成され、
前記保持部材は、
前記太陽電池モジュールが枠内に沿って配置される枠体と、
前記太陽電池モジュールの裏面及び前記枠体の一方の面を支持する板体と、
前記枠体の他方の面に設置されるとともに、前記太陽電池モジュールの前記周縁部分を前記板体とで挟持する挟持体と、を有するとともに、
前記挟持体、前記枠体および前記板体は、それぞれを重ね合わせた状態で、積層方向に連通する第1連通孔および第2連通孔をそれぞれ有しており、
前記支持部材は、第3連通孔を有しており、
前記板体と前記支持部材との間に設けられるとともに、前記第2連通孔に対応する位置に第4連通孔を有し、前記第3連通孔に対応する位置に第5連通孔を有する連結部材を備えるとともに、
前記第1連通孔に連通することで、前記挟持体、前記枠体および前記板体を着脱自在に締結する第1締結具と、前記第2連通孔と前記第4連通孔に連通することで、前記挟持体、前記枠体、前記板体および前記連結部材を着脱自在に締結する第2締結具と、前記第3連結孔と前記第5連通孔に連通することで、前記連結部材と前記支持部材とを着脱自在に締結する第3締結具と、を備えることを特徴とする太陽電池モジュール用支持装置。 - 前記純チタンまたはチタン合金の不可避的不純物としてのN、Cが、それぞれ、N:0.07質量%以下、C:0.08質量%以下、であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール用支持装置。
- 前記チタン合金は、Si、Pd、Ni、Ru、Cr、Al、V、Mo、Zr、Sn、Ta、Nb、Feのうち1種以上5種以下を合計で0.01質量%以上33質量%以下含有するとともに、
Si:1.4質量%以下、Pd:0.6質量%以下、Ni:1.1質量%以下、Ru:0.04質量%以下、Cr:9.0質量%以下、Al:13.0質量%以下、V:32質量%以下、Mo:13.0質量%以下、Zr:11.0質量%以下、Sn:7.0質量%以下、Ta:10.0質量%以下、Nb:6.0質量%以下、Fe:4.0質量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池モジュール用支持装置。
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