JP5654539B2 - エポキシ化天然ゴムの製造方法、タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
ここで、前記エポキシ化天然ゴムは、エポキシ化度が0.1〜50%であることが好ましい。
本発明はまた、前記タイヤ用ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明のエポキシ化天然ゴムの製造方法は、天然ゴムラテックスを粒状に凝固させ、粒状固形ゴムを調製する工程1と、得られた粒状固形ゴムをエポキシ化液で処理し、該粒状固形ゴムをエポキシ化する工程2とを含む。
工程1では、天然ゴムラテックスを粒状に凝固させ、粒状固形ゴムが調製される。
天然ゴムラテックスは酸や塩の添加で凝固することが一般に知られている。これは、ラテックスの粒子はピーク粒径で1μmの粒径を持ち、表面が負電荷を帯びて互いに反発しあい、漿液中で安定的に存在しているが、この負電荷が酸や塩中の陽イオンにより弱められ、ラテックスの量が充分に多ければ、ゴムが一気に凝集して10cm以上の大きな塊になるものである。このような状態になると、ゴムの表面積が重量に対して極めて小さくなり、エポキシ化しようとしてもごくわずかしか反応しないため、実質上、改質は不可能になる。これを避けるために少量ずつ凝固させても、工業的規模で実施する場合に、タンクに移すと、ゴム同士がくっつきあって結局大きな塊になってしまう。これに対し、本発明は、天然ゴムラテックス中のゴムを粒子状に凝固させて作製した粒状天然ゴムをエポキシ化する製法であるため、表面積が大きく、均一にエポキシ化されたエポキシ化天然ゴムが得られる。
工程1で得られた粒状固形ゴムをエポキシ化液で処理して粒状固形ゴムがエポキシ化される。
本発明で使用されるエポキシ化液としては、天然ゴムラテックスを粒状に凝固させて作製した粒状固形ゴムをエポキシ化させることが可能な液であれば特に限定されず、過酢酸含有液、過ギ酸含有液などを好適に使用できる。
なお、反応を早く進めるために、酸、例えば硫酸を微量添加することが好ましい。
過酸化水素としては特に限定されず、前記と同様のものを使用できる。
なお、反応を早く進めるために、酸、例えば硫酸を微量添加することが好ましい。
処理方法としては、粒状固形ゴムとエポキシ化液とを接触させることが可能な方法であれば特に限定されず、浸漬;スプレー、シャワーなどによる噴霧などが挙げられる。具体的には、浸漬法としては、穴の空いたカゴ状のケースに粒状固形ゴムを入れ、それをそのままエポキシ化液に浸漬して反応させ、その後引き揚げる方法が簡便である。また、噴霧法としては、エポキシ化液のシャワー中にそのようなカゴを通過させる方法、そのようなカゴにエポキシ化液のスプレーを噴霧する方法などがある。これらの方法を用いると、余剰や処理後のエポキシ化液を容易に回収し、再利用できる。また、このようにすれば後述する、表面に残存する酸を洗い流すことが非常に容易になる。
なお、エポキシ化度は、液中に存在する過酢酸や過ギ酸の量とゴム中の二重結合の量の関係で決まるので、これらにより調整可能である。
本発明の製造方法により得られたエポキシ化天然ゴムは、特にタイヤの材料として有用である。
天然ゴムのエポキシ化により、天然ゴムのガラス転移点が上昇し、具体的には、エポキシ化度が1%上昇すると、ガラス転移点も約1度上昇する。エポキシ化度が高い場合、ガラス転移点が大きく上昇するため、湿潤時の摩擦係数が上昇し、雨天時の制動距離が短くなる。その一方で、転がり抵抗が高くなり、燃費が悪くなる傾向があり、また、低温時には固くなって、例えば冬用タイヤには適さなくなる傾向がある。一方、エポキシ化度が低い場合には、低温での弾性率が小さくなり、冬用タイヤなどに好適に使用可能となる。また、エポキシ化することによりゴムの極性が上昇し、充填剤として用いられるシリカとの親和性が高くなり、燃費が向上する。本発明では、エポキシ化度が上述したような小さい場合であっても、シリカとの親和性は充分であり、ガラス転移点を低くできるので、冬用タイヤなどに好適に使用可能となる。
本発明のエポキシ化天然ゴムを含むタイヤ用ゴム組成物としては、該エポキシ化天然ゴムを含むゴム成分と、カーボンブラック及び/又は白色充填剤とを含むものが挙げられる。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、80m2/g以上、好ましくは100m2/g以上、より好ましくは120m2/g以上である。また、シリカのN2SAは、好ましくは250m2/g以下、より好ましくは200m2/g以下である。上記範囲のシリカを使用することで、低燃費性、ゴム強度などの物性を確保できる。
なお、シリカのN2SAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種材料を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形することにより未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧して製造できる。
以下に、実施例で用いた各種薬品について説明する。
フィールドラテックス(FL):タイ南部で採取された、採取後3日以内のフィールドラテックス(腐敗および凝固防止のため、アンモニア水が添加され、アンモニア量が0.2質量%に調整されている。乾燥ゴム分は30%に調整されている。)
天然ゴムラテックス:アンモニア及び微量の酸化亜鉛とテトラチウラムジスルフィドを添加して耐腐敗性・安定性を付与したローアンモニアラテックス(乾燥ゴム分60質量%、アンモニア分0.2質量%)
カップランプ:タイ国東北地方で採取され、TSR加工所で販売される一般的なものについて通常のTSR製造工程で処理を行ったもの(スラブカッター、プリブレーカー、ロータリーカッター等で破砕し、水洗した後、クレーパーとシュレッダーにより1〜3mm程度に細断した固形ゴム)
界面活性剤A:ポリオキシエチレン脂肪酸アルコール(アルコールの炭素数C12〜C18、曇点70〜80℃)
界面活性剤B:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム
酢酸:有効成分98%、94%試薬1級
ギ酸:有効成分88%試薬1級
過酸化水素水:有効成分50%、これを適宜希釈して使用した。
硫酸:有効成分98%
炭酸ナトリウム:無水炭酸ナトリウム(純度99%以上)
水酸化ナトリウム:純度98%
凝集剤:カチオン系高分子凝集剤(純度100%、MTアクアポリマー(株)製の強カチオン性高分子凝集剤「アロンフロックC312」(ポリメタアクリル酸エステル系))
シランカップリング剤:Si266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)の第2種酸化亜鉛
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸 つばき
ステアリン酸カルシウム:日油(株)製のカルシウムステアレートGF−200
オイル:パームオイルオレイン
硫黄:5%オイル入り硫黄
加硫促進剤TBBS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
実施例において、作製した生ゴム、加硫ゴムシートの物性は、以下の方法で評価し、結果を表1に示した。なお、加硫ゴムシートについては、以下の方法で作製した。
(加硫ゴムシートの作製)
表1に示す配合処方に従って、1.7Lバンバリーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りした。次に、ロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で6分間プレス加硫して加硫ゴムシートを得た。
得られたエポキシ化天然ゴムをロールで1分間混練した後、数カ所サンプリングし、トルエンに溶解させ、これをメタノール中で再沈殿させ、乾燥させたもの(精製品)をサンプルとして使用した。測定は日本電子(株)製JNM−ECAシリーズの1H−NMR装置を用いて行った。
エポキシ化度(%)は、下式により計算した。
エポキシ化度(%)=B/(A+B)×100
(式中Aは、シスのプロトンに由来するピーク(5.0−5.2ppm)の積分値、式中Bは、エポキシ基のプロトンに由来するピーク(2.6−2.8ppm)の積分値を表す。)
また簡易的には、パーキンエルマー社製の示差走査熱量計Pyris Jade DSCを用いて、ポリマーのガラス転移点を求め、検量線からエポキシ化度を推測した。検量線は、市販エポキシ化天然ゴムNMRによるエポキシ化度とガラス転移点から作成した。
得られた加硫ゴムシートを用いて、3号ダンベル型ゴム試験片を作製し、JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて引張試験を行い、破断強度(TB)及び破断時伸び(EB)を測定し、その積(TB×EB)を算出した。下記計算式により、比較例1のゴム強度(TB×EB)を100として、下記計算式により指数表示した。なお、指数が大きいほど、ゴム強度に優れることを示す。
(ゴム強度指数)=(各配合のTB×EB)/(比較例1のTB×EB)×100
得られた加硫ゴムシートを用いて、カーボンブラックの分散度測定法ASTM D2663−B法に準じて、シリカの分散度を測定した。数値が大きいほど分散がよく、100%が最高である。結果を下記に従い、記号で表した。
◎:分散度≧97.5%
○:97.5%>分散度 ≧95%
△:95%>分散度≧92%
×:92%>分散度
(過酢酸含有液aの調製)
98%酢酸612g、20%過酸化水素水850g、及び、98%硫酸5gを混合し、40℃で2日放置することで、過酢酸含有液aを調製した。過酢酸濃度を測定したところ、8.3質量%生成していることがわかった。なお、過酢酸濃度の測定は、平沼産業(株)製の過酢酸カウンタPA−300により行い、以下でも同様に行った。
後述する実施例1で使用した過酢酸含有液aの残液に20%過酸化水素水155gを添加し、40℃で2日放置することで、過酢酸含有液bを調製した。過酢酸濃度を測定したところ、7.8質量%生成していることがわかった。
ポリオキシエチレン脂肪酸アルコール(アルコールの炭素数C12〜C18、曇点75℃)150gをイオン交換水850gに溶かして15質量%の界面活性剤水溶液Aを調製した。
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム100g(有効成分70%)をイオン交換水600gに溶かして10質量%の界面活性剤水溶液Bを調製した。
FL(乾燥ゴム分30質量%) 3kgに対して、界面活性剤水溶液Bを60g添加し、ついで2質量%硫酸を添加してpHを4.0に調整した。これに0.1質量%凝集剤を3kg添加し、ゴムを粒状で凝固させた。粒子サイズ(粒子径)は細かいものは1mm以下、粗いもので5mm程度で、およそほとんどが1〜3mmの範囲であった。攪拌を止め、下の水相をほとんど除去し、その後水を添加、攪拌し、浮いたゴムをすくい取り、また水洗する作業を3回繰り返して洗浄した。ゴムのサイズは洗浄後もほぼ同じで、1〜3mmがほとんどであった。
上記の水を含んだゴムをざるで、水を切り、うち約1kgを過酢酸含有液aに、初期温度30℃で10分間浸漬した(浸漬する際にはゴムが均等に浸かるように、ゴムを回転させ、押さえ込みながら浸かるようにした)。これを引き揚げた後、水道水のシャワーを20秒間かけた後、2質量%炭酸ナトリウム水溶液に10分間浸漬し、再度水道水のシャワーを20秒間かけた。その後、90℃のオーブンで4時間乾燥し、エポキシ化天然ゴムを得た。
FL 3kgに対して、室温にて界面活性剤水溶液Bを60g添加し、ついで水酸化ナトリウムを90g溶かした水酸化ナトリウム水溶液360gを添加し、攪拌しながら24時間放置した。これにフェノール系老化防止剤(大内新興化学社製 ノクラックNS−6) 9gを含む分散体を添加し、さらに2時間攪拌した。このFLに2質量%ギ酸をゆっくり添加し、pH4にした上、0.1質量%凝集剤を3kg添加し、ゴムを粒子状に凝集させた。粒子径はほとんどが1−3mm程度のサイズとなった。この凝集物をざるですくい取り、水洗をする作業を計4回繰り返した。この水を含んだゴムをざるで、水を切り、うち約1kgを実施例1とは別に準備した過酢酸含有液aに、初期温度30℃で10分間浸漬した(浸漬する際にはゴムが均等に浸かるように、ゴムを回転させ、押さえ込みながら浸かるようにした)。これを引き揚げた後、水道水のシャワーを20秒間かけた後、2質量%炭酸ナトリウム水溶液に10分間浸漬し、再度水道水のシャワーを20秒間かけた。その後、90℃のオーブンで4時間乾燥し、エポキシ化天然ゴムを得た。
FL 3kgに対して、室温にて界面活性剤水溶液Bを60g添加し、ついで水酸化ナトリウムを90g溶かした水酸化ナトリウム水溶液360gを添加し、攪拌しながら24時間放置した。これにフェノール系老化防止剤(大内新興化学社製 ノクラックNS−6) 9gを含む分散体を添加し、さらに2時間攪拌した。このFLに2質量%ギ酸をゆっくり添加し、pH4にした上、0.1質量%凝集剤を3kg添加し、ゴムを粒子状に凝集させた。粒子径はほとんどが1−3mm程度のサイズとなった。この凝集物をざるですくい取り、水洗をする作業を計4回繰り返した。この水を含んだゴムを2質量%炭酸ナトリウム水溶液に1時間漬けたのち、水道水のシャワーを20秒間かけて水洗した。このゴムをざるで、水を切り、うち約1kgを実施例1、2とは別に準備した過酢酸含有液aに、初期温度30℃で10分間浸漬した(浸漬する際にはゴムが均等に浸かるように、ゴムを回転させ、押さえ込みながら浸かるようにした)。これを引き揚げた後、水道水のシャワーを20秒間かけた後、2質量%炭酸ナトリウム水溶液に10分間浸漬し、再度水道水のシャワーを20秒間かけた。その後、90℃のオーブンで4時間乾燥し、エポキシ化天然ゴムを得た。
FL 3kgに対して、界面活性剤水溶液Bを60g添加し、ついで2質量%硫酸を添加してpHを4.0に調整した。これに0.1質量%凝集剤を3kg添加し、ゴムを粒状で凝固させた。粒子サイズは細かいものは1mm以下、粗いもので5mm程度で、およそほとんどが1〜3mmの範囲であった。攪拌を止め、下の水相をほとんど除去し、その後水を添加、攪拌し、浮いたゴムをすくい取り、また水洗する作業を3回繰り返して洗浄した。ゴムのサイズは洗浄後もほぼ同じで、1〜3mmがほとんどであった。
上記の水を含んだゴムをざるで、水を切り、うち約1kgを過酢酸含有液bに、初期温度30℃で10分間浸漬した(浸漬する際にはゴムが均等に浸かるように、ゴムを回転させ、押さえ込みながら浸かるようにした)。これを引き揚げた後、水道水のシャワーを20秒間かけた後、2質量%炭酸ナトリウム水溶液に10分間浸漬し、再度水道水のシャワーを20秒間かけた。その後、90℃のオーブンで4時間乾燥し、エポキシ化天然ゴムを得た。
FL 3kgに対して、界面活性剤水溶液Bを60g添加し、ついで2質量%硫酸を添加してpHを4.0に調整した。これに0.1質量%凝集剤を3kg添加し、ゴムを粒状で凝固させた。粒子サイズは細かいものは1mm以下、粗いもので5mm程度で、およそほとんどが1〜3mmの範囲であった。攪拌を止め、下の水相をほとんど除去し、その後水を添加、攪拌し、浮いたゴムをすくい取り、また水洗する作業を3回繰り返して洗浄した。ゴムのサイズは洗浄後もほぼ同じで、1〜3mmがほとんどであった。
上記の水を含んだゴムをざるですくいイオン交換水2kg、ギ酸920gを混ぜたギ酸水溶液中に移した。これに50質量%過酸化水素500gをゆっくり添加した。5時間後、ゴムを取り出し、水道水のシャワーを20秒間かけた後、2質量%炭酸ナトリウム水溶液に10分間浸漬し、再度水道水のシャワーを20秒間かけた。その後、90℃のオーブンで4時間乾燥し、エポキシ化天然ゴムを得た。
乾燥ゴム分60質量%のローアンモニア天然ゴムラテックス500g(うち乾燥ゴム分300g)に蒸留水440gを添加し、界面活性剤水溶液A 60g(有効成分9g)を添加してへらでゆっくりと2分間攪拌した。これを攪拌機で攪拌しながら、ギ酸(88質量%)52.3gをゆっくり添加し、更に過酸化水素水93.5gを3時間かけてチューブポンプを用いて添加した。ラテックスの温度は40℃からスタートし、反応が進むと60℃を超えるため、60〜65℃となるように周囲を冷却しながら反応させた。過酸化水素水の添加開始から4時間、8時間、24時間とサンプリングして、ゴムを水蒸気凝固させ、2質量%炭酸ナトリウム水溶液で16時間中和後、乾燥し、作製されたゴムのエポキシ化度をNMRによりエポキシ化度を調べた。その結果、エポキシ化度は4時間で12.5%、8時間で18.5%、24時間で25.4%であり、エポキシ化されているものの、非常に長時間要した。また、ギ酸は凝固時にゴムに含まれているため、再利用はできず、界面活性剤が使用されているため、そのコストも上昇した。更に、界面活性剤が残存すると、吸水しゴム物性が悪化するため、非常に入念に洗浄する必要があった。
乾燥ゴム分60質量%のローアンモニア天然ゴムラテックス500g(うち乾燥ゴム分300g)に蒸留水460gを添加し、界面活性剤水溶液A 40g(有効成分6g)を添加してへらでゆっくりと2分間攪拌した。送液量を調整したチューブポンプ(チューブの内径4mm)を用いて、このラテックスを10.0g/分の割合で、混合装置(サイズ:25cc)に送り込み、同時に過酢酸含有液aを7.6g/分となるように混合装置に送り込んだ。混合装置内で攪拌翼を用いてこれらを十分混合した後、送液量が17.6g/分(850mm/分)となるように調整したチューブポンプ(チューブの内径5mm)により凝固装置に送液した。混合時の混合液の温度は25℃、送液時の混合液の温度は55℃であった。なお、混合装置内には、液はほとんど貯まらないようにしたので、混合装置内で液が滞留する時間はほとんど無かった。一方チューブ内の滞留時間は15分であった。凝固装置は下から水蒸気が一定量吹き出るようになっており、上からは混合液が壁に沿って降りるようになっている。ラテックスは下に落ちる間に水蒸気により凝固し、ゴムと漿液に一部分離した。凝固装置から出てきたゴムを10分毎にサンプリングし、これを水で冷却後、1〜3質量%の炭酸水素ナトリウム水溶液中で一昼夜浸漬し、その後再度水洗後、恒量になるまで乾燥し、作製されたゴムのエポキシ化度をNMRで調べた。
その結果、エポキシ化度は25.1%、25.3%、25.1%、25.4%、25.4%、25.7%、25.3%、25.5%であり、非常に安定していることが確認された。非常に早く反応が進んでいるが、材料のロスが非常に大きく、エネルギーを大量に消費する水蒸気を使用し、また中和や洗浄に大きな手間がかかるため、全体のコストが非常にかかっていた。
TSR工場において、乾燥直前のカップランプ(水分率 25質量%、2〜3mmに細断済み)を約3kg取り出し、過酢酸含有液aに、初期温度30℃で20分間浸漬した(浸漬する際にはゴムが均等に浸かるように、ゴムを回転させ、押さえ込みながら浸かるようにした)。これを引き揚げた後、水道水のシャワーを20秒間かけた後、2質量%炭酸ナトリウム水溶液に10分間浸漬し、再度水道水のシャワーを20秒間かけた。その後、90℃のオーブンで4時間乾燥し、エポキシ化天然ゴムを得た。
TSR20を用いた他は、実施例1と同様の方法で加硫ゴムシートを作製し、物性を調べた。
FL 3kgに対して、2質量%硫酸を添加してゴムを凝固させた。ゴムは直径20cm程度の大きな塊となった。このため全体をエポキシ化は不可能であり、以後のエポキシ化工程は断念した。
Claims (12)
- 天然ゴムラテックスを粒状に凝固させ、粒状固形ゴムを調製する工程1と、得られた粒状固形ゴムをエポキシ化液で処理し、該粒状固形ゴムをエポキシ化する工程2とを含むエポキシ化天然ゴムの製造方法。
- 前記エポキシ化液は、過酢酸含有液及び/又は過ギ酸含有液である請求項1記載のエポキシ化天然ゴムの製造方法。
- 前記過酢酸含有液は、酢酸及び/又は無水酢酸と過酸化水素とを混合し、反応させて得られるものである請求項2記載のエポキシ化天然ゴムの製造方法。
- 前記過ギ酸含有液は、ギ酸と過酸化水素とを混合し、反応させて得られるものである請求項2記載のエポキシ化天然ゴムの製造方法。
- 前記天然ゴムラテックスは、フィールドラテックス、フィールドラテックスを濃縮した濃縮ラテックス、及びこれらから非ゴム成分を除去した改質天然ゴムラテックスからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ化天然ゴムの製造方法。
- 前記工程1は、酸を用いて前記天然ゴムラテックスを粒状に凝固させ、粒状固形ゴムを調製するものである請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ化天然ゴムの製造方法。
- 前記工程1は、酸及び凝集剤を用いて前記天然ゴムラテックスを粒状に凝固させ、粒状固形ゴムを調製するものである請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ化天然ゴムの製造方法。
- 前記粒状固形ゴムの粒子径が20mm以下である請求項1〜7のいずれかに記載のエポキシ化天然ゴムの製造方法。
- 前記粒状固形ゴムの粒子径が12mm以下である請求項1〜7のいずれかに記載のエポキシ化天然ゴムの製造方法。
- 前記エポキシ化天然ゴムのエポキシ化度が0.1〜50%である請求項1〜9のいずれかに記載のエポキシ化天然ゴムの製造方法。
- 天然ゴムラテックスを粒状に凝固させ、粒状固形ゴムを調製し、更に得られた粒状固形ゴムをエポキシ化液で処理し、該粒状固形ゴムをエポキシ化してエポキシ化天然ゴムを調製する工程と、得られたエポキシ化天然ゴムを混練する工程とを含むタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
- 天然ゴムラテックスを粒状に凝固させ、粒状固形ゴムを調製し、更に得られた粒状固形ゴムをエポキシ化液で処理し、該粒状固形ゴムをエポキシ化してエポキシ化天然ゴムを調製する工程と、得られたエポキシ化天然ゴムを混練する工程とを含む空気入りタイヤの製造方法。
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