JP5651322B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
通常、同期電動機の運転時には、電流・電圧情報から磁極位置を推定するが、運転を停止すると電流・電圧情報が得られなくなり、それまで推定していた磁極位置の情報を失ってしまうため、同期電動機を始動させる時には毎回磁極位置を推定する手段が必要となる。 常に磁極の絶対位置を知ることができるセンサを持つ同期電動機ならば、電流変換装置が停止していたとしても磁極位置を検出できるが、絶対位置を知ることができないセンサもしくはセンサを持たない同期電動機においては、停止から始動する場合、磁極位置と出力位相とを合わせるために、例えば電動機に直流をかけて磁極を所定の位相に合わせ込んだ後その位相から始動する方法や、電圧を印加して磁極位置を取得しその位相から始動する方法とがある。特に、機械ブレーキ等を用いた電動機の回転を許さない用途では、磁極位置を取得してその位相から始動する必要がある。磁極位置検出方法について様々な方法が開示されている。
不知の電動機を対象とするオートチューニングでは、磁極位置を推定するのに用いる電圧、電流の指令は、回路定数情報からは決めることができない。このため磁極位置検出をオートチューニングの際にも用いる場合には、回路定数に依存しない方法での電圧、電流指令決定方法が必要となる。同様に、オートチューニングの工程における励磁の際にも、電圧決定方法が必要である。検出される電流が成長せず低い場合には、回路定数演算の精度が悪くなるからである。
インバータ回路2は、平滑コンデンサ3に充電された直流電圧をパルス電圧とし、同期電動機1に印加する。MCU4は、印加された電圧パルスに対して流れる電流を検出するホールCTやシャント抵抗などの検出素子から得られた情報を検出する電流検出部5と、操作者が基準電流値を設定する基準電流設定部6と、電流検出部5で検出した検出電流値と基準電流設定部6で設定された基準電流値とを比較する電流比較制御部7と、その結果から出力を決定するPWM制御部8で構成される。電流比較制御部7は、電流検出部5で得られた検出電流値が、基準電流値を超えるまで、PWM制御部8に指令を与え、基準電流値を超えた時点でPWM制御部8に遮断指令を送る。この時、PWM制御部は最後に出力された出力状態を、出力状態記憶部9に記憶させる。
図3では、PWM制御部8がU軸方向に出力を行うことにより、同期電動機1に現れる電流がU軸を主軸として流れる様子を示している。PWM制御部8は、流すべき電流によって出力状態(例えば、U軸に限定せず任意に決めた位相に出力する等)を変化させ出力を行うこともできる。PWM制御部8は、電流比較制御部7の指令を受け、設定された位相、出力電圧、キャリア周波数等の出力情報によりインバータ回路2に出力する(10)。
電流検出部5は任意の位置の電流値(図4では例えば矢印の位置のピーク電流値)を検出し電流比較制御部7に送り、電流比較制御部7は、基準電流設定部6で設定された基準電流値と電流検出部5で得られた検出電流値を常に監視しておく。
検出電流値が基準電流値に届かない場合、PWM制御部8は、出力電圧がキャリア周波数を切り替える電圧レベル以上かを判定し(15)、判定レベルに達しない場合には、図4に示すように低い電圧から徐々に出力電圧を上げていく(17)。
PWM制御部8は、出力電圧が決められたキャリア切り替えレベル、例えば最大定格出力の80%になっても、電流が成長しない場合には、図5に示すように、出力電圧とキャリア周波数とを同時に変化させ、出力される線間電圧パルスを一定に保ちながら出力を行う(19)。この方法だと、PWM制御部8は、キャリア周波数切り替え毎に0から出力電圧を上げていく必要がなくなり、迅速に出力状態を決定できる。
上記動作において、複数の基準電流値(例えば定格電流の50%、75%及び100%)に対する出力状態を記憶したい場合には、基準電流設定部6に複数の基準電流値を設定しておき、検出電流が基準電流値の小さい基準電流値(例えば、定格電流の50%、75%、100%であれば50%、75%、100%の順番)に到達するたびに出力状態を記憶させ、最大の基準電流値に到達した時点で最後の出力状態を記憶させ、検出を終了させることもできる。また、上記とは別の位相(例えばV軸方向の位相)が必要な場合には、再度出力情報の設定を行い、上記動作を行うことにより、複数の情報を記憶させることができる。
初期磁極位置推定やオートチューニングに用いる出力方法には、例えば図7に示すような、任意のモータ軸(ここではU軸)方向に高周波の交流電圧を印加する方法がある。図7では、図1のPWM制御部8がU軸方向に出力を行うことにより、同期電動機1に現れる電流がU軸を主軸として流れる様子を示している。PWM制御部8は、流すべき電流によって出力状態(例えば、U軸に限定せず任意に決めた位相に出力する等)を変化させ出力を行うこともできる。PWM制御部8は、電流比較制御部7の指令を受け、設定された位相角方向、出力電圧、キャリア周波数等の基本情報によりインバータ回路2に出力する(21)。
Claims (6)
- 永久磁石同期電動機を可変速駆動可能な電力変換装置において、
直流を三相交流に変換するインバータ部と、
前記永久磁石同期電動機に交流電圧またはパルス電圧を印加する電圧印加部と、
前記永久磁石同期電動機に流れる電流を検出する電流検出部と、
磁極位置検出基準電流を設定する基準電流設定部と、
前記永久磁石同期電動機の始動時の磁極位置推定を行う際に、前記電流検出部にて検出した電流と前記基準電流設定部にて設定された磁極位置検出基準電流とを比較し、前記電流検出部により検出された電流が、前記基準電流設定部により設定された電流値になるように、比較結果に基づき、前記電圧印加部による出力電圧値またはキャリア周波数を可変制御し、前記電圧印加部から印加する交流電圧またはパルス電圧を徐々に大きくするよう制御するPWM制御部と、
を備える電力変換装置。 - 請求項1記載の電力変換装置であって、
前記PWM制御部では、前記電流検出部にて検出した電流と前記基準電流設定部にて設定された磁極位置検出基準電流とを比較し、キャリア周波数を切り替える電圧レベルに達しているか否かを判定し、判定結果に基づき前記電圧印加部から印加する交流電圧またはパルス電圧を徐々に大きくするよう制御することを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1記載の電力変換装置であって、
前記PWM制御部では、前記電流検出部にて検出した電流が前記基準電流設定部にて設定された磁極位置検出基準電流よりも小さく、キャリア周波数を切り替える電圧レベルに達していない場合に、前記電圧印加部から印加する交流電圧またはパルス電圧を徐々に大きくするよう制御することを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1記載の電力変換装置であって、
前記PWM制御部は、前記電圧印加部から印加する交流電圧またはパルス電圧を徐々に大きくするよう制御したことにより、電圧パルスが所定値を超えても前記電流検出部により検出される電流値が前記基準電流設定部により設定された磁極位置検出基準電流に到達しない場合に、キャリア周波数および出力電圧を変更し、電圧パルスを一定に保つように制御することを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1記載の電力変換装置であって、
前記PWM制御部は、前記電圧印加部から印加する交流電圧またはパルス電圧を徐々に大きくするよう制御したことにより、出力電圧が所定値を超えても前記電流検出部により検出される電流値が前記基準電流設定部により設定された磁極位置検出基準電流に到達しない場合に、キャリアまたは出力電圧を変更して電圧パルスを広げ、キャリア周波数および出力電圧が予め定めた閾値に達しても前記電流検出部により検出される電流値が前記基準電流設定部により設定された磁極位置検出基準電流に到達しない場合には、測定不能と判定することを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1記載の電力変換装置であって、
前記PWM制御部は、前記電圧印加部から印加する交流電圧またはパルス電圧を徐々に大きくするよう制御する場合に、前記基準電流設定部にて設定された磁極位置検出基準電流毎に出力状態を記録することを特徴とする電力変換装置。
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