JP5649833B2 - コーヒー生豆の焙煎方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コーヒー豆本来の香りや風味を最大限に有するコーヒーを得ることができるコーヒー豆の焙煎方法、及び得られた焙煎コーヒー豆を用いたコーヒー抽出液の製法に関する。
コーヒーノキから収穫されるコーヒーの果実は、外側から、果皮、果肉、粘質物(ペクチン層)、内果皮(種皮、パーチメント)、銀皮(シルバースキン)、胚乳、胚芽で構成されている。このコーヒーの果実から、乾式(乾燥式、非水洗式とも呼ばれる)又は湿式(水洗式とも呼ばれる)の精製工程により、果皮、果肉、内果皮などが取り除かれ、コーヒーの生豆(胚乳と胚芽を合わせた部分)が取り出される。レギュラーコーヒーは、コーヒーの生豆を焙煎機で炒ることによって焙煎コーヒー豆を製造し、その焙煎コーヒー豆を粉砕して粉末コーヒーとし、この粉末コーヒーに熱水を注いで抽出することによりコーヒー抽出液として飲用に供される。かかるコーヒーの品質における重要な特性は味と香りであり、焙煎がこの特性に大きな影響を与えることから、従来より焙煎方法やその制御について種々の工夫が行われている。
一方、近年では、コーヒー豆の種類の増加や消費者の好みの多様化に伴い、産地や焙煎度合いの異なるコーヒー豆(焙煎豆)を混合し、風味(酸味や苦味等)の好みに応じて異なる種類のコーヒー豆をブレンドしたブレンド豆が好まれており、各コーヒー豆の持つ特徴を組み合わせた味わいの深いブレンドコーヒーに関する特許出願もなされている(例えば、特許文献1、2)。
特表2003−526349号公報 特開2007−1995534号公報
焙煎コーヒー豆は、香りの飛散や酸化が著しく、折角所望の焙煎コーヒー豆が得られたとしても、すぐに消費しないで保存しておくと、香りが乏しくなり、酸化臭とよばれる異臭(古豆の臭い)が生じて、コーヒーの品質低下を招くことになる。また、焙煎コーヒー豆の良好な香りは、大部分が揮発性であるため、焙煎後のコーヒー豆の粉砕工程において、摩擦熱等によって香りが大幅に飛散してしまい、その後得られるコーヒー抽出液は香りが減少している。これらの問題は、コーヒー豆をブレンドするだけでは解決できない問題であった。
本発明は、コーヒー豆本来の香りや風味を最大限に有するコーヒーを得ることができるコーヒー豆の焙煎方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、驚くべきことに、微量のイソ吉草酸エチルが経時的変化を受けやすい焙煎コーヒー豆の香りの低下の防止や酸化臭をマスキングする作用があること、焙煎コーヒー豆の粉砕に伴う香気成分の飛散を抑制する作用があることを見出した。
そして、さらに検討を進めた結果、コーヒー生豆に、イソ吉草酸エチルを含むコーヒー生豆、すなわち醗酵コーヒー豆の生豆を混合して一定時間密閉容器内で保持した後、焙煎工程に供すというプレブレンド焙煎を行うことで、イソ吉草酸エチル特有のフルーツ様の香気が突出せず、コーヒー豆本来の香りや風味の香気バランスを最大限に有する、優れた焙煎コーヒー豆が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に関する。
[1]コーヒー生豆に醗酵コーヒー豆を混合して接触させる工程、得られた混合生豆を混合焙煎する工程、を含むコーヒー生豆の焙煎方法。
[2]醗酵コーヒー豆の割合が、混合生豆の全量中1〜50重量%である、[1]に記載の焙煎方法。
[3]混合焙煎が、L値17〜24の焙煎である、[1]又は[2]に記載の焙煎方法。
[4]コーヒー生豆と醗酵コーヒー豆を混合接触させた後、密閉容器内で6時間以上保持する工程を含み、保持後の生豆を混合焙煎する、[1]〜[3]のいずれかに記載の焙煎方法。
本発明の焙煎方法によると、焙煎後の保存安定性が向上され、粉砕工程における香気成分の飛散が抑制された、コーヒー豆本来の香りや風味の香気バランスを最大限に有する優れた焙煎コーヒー豆を、簡便に製造することができる。
(醗酵コーヒー豆)
本発明では、コーヒーの生豆に特定量の醗酵コーヒー豆(生豆)を混合して混合焙煎することを特徴とする。醗酵コーヒー豆とは、下記式(I)
で示されるイソ吉草酸エチル(Ethyl Isovalerate)(別名:Butanoic acid 3-methyl- ethyl ester、Butyric acid 3-methyl- ethyl ester、Isovaleric acid ethyl esterとも表記される)を含むコーヒー豆をいう。本発明者らは、イソ吉草酸エチルが通常コーヒー生豆やコーヒー焙煎豆には含まれない成分であるが、醗酵処理を施すことによって特異的に生成し、イソ吉草酸エチルを含有するコーヒー生豆やその焙煎豆を得ることができることを確認している。ここで、本明細書でいう醗酵コーヒー豆とは、収穫されたコーヒー果実に対して微生物の働きを利用した何らかの醗酵に基づく加工を施して得られるものであり、以下の方法で検出できる濃度のイソ吉草酸エチルを含有するコーヒー豆(焙煎コーヒー豆を含む)をいう。
(コーヒー豆中のイソ吉草酸エチルの検出方法)
まず、コーヒー生豆5gを中挽きで粉砕した後、蒸留水50mLを加えて水蒸気蒸留し、留液100mLを得、その留液を分液ロートに入れ、塩化ナトリウム25g及びジエチルエーテル50mLを加え、20分間振とうする。ジエチルエーテル層を回収し、水層のみ分液ロートに入れ、再度、ジエチルエーテル50mLを加え、20分間振とう後、ジエチルエーテル層のみ回収する。得られたジエチルエーテル層計100mLを分液ロートに戻し、蒸留水50mLで分液ロートを共洗いした後、ジエチルエーテル層のみ回収し、硫酸ナトリウム30gを加え、脱水を行い、KD(クデルナーダーニッシュ)濃縮法により1mLまで濃縮した後、GC−MSに導入してイソ吉草酸エチルを検出する。GC−MS条件は以下の通り。
<GC-MS条件>
・装置:Agilent社製 6890N(GC)+5973inert(MS)
・カラム:GERSTEL社製 MACH HP-INNOWAX(10m*0.20mm*0.20μm)
・カラム温度 :40℃(3min)-50℃/min-250℃(10min)
・キャリアガス:He
・注入口温度:250℃
・トランスファーライン:250℃
・イオン源温度:230℃
・Scan Parameter:m/z=35〜350
・SIM Parameter :m/z=70,88,102

醗酵コーヒー豆は、例えば以下のいずれかの方法で得ることができる。
1)収穫後のコーヒー果実に微生物を接触させて醗酵させた後、水洗式又は非水洗式に脱穀(精製)する方法。
2)収穫後のコーヒー果実を天日又は機械で乾燥させた後、微生物を接触させて醗酵させ、水洗式又は非水洗式に脱穀(精製)する方法。
3)収穫後のコーヒー果実を天日で乾燥させるとともに微生物醗酵させ、脱穀(精製)する方法。
4)収穫したコーヒー果実を果肉除去機に入れて果肉を除去した後、水槽に入れてパーティメントに付いた粘液を取り除くとともに、資化成分を添加して微生物醗酵させ、その後天日又は機械で乾燥させ脱穀する方法。
微生物との接触は人為的な添加によって行ってもよいし、果実表面等に付着している微生物を利用して行ってもよい。人為的に微生物を接触させる場合、その微生物としては、ワイン醗酵用酵母(例えば、サッカロマイセス(Saccharomyces)属セレビシアエ(Cerevisiae)種のLalvin L2323株(セティカンパニー社)やCK S102株(Bio Springer社)、サッカロマイセス(Saccharomyces)属のバイヤヌス(bayanus)種の酵母等)、ビール醗酵用酵母、パン用醗酵酵母などの酵母、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、オエノコッカス属(Oenococcus)などの乳酸菌、清酒用麹菌、焼酎用麹菌、みそ用麹などのコウジカビ(麹菌)、ゲオトリクム(Geotrichum)属に属する微生物(不完全菌類)などが挙げられる。ゲオトリクム属に属する微生物としては、ゲオトリクム キャンディダム(Geotrichum candidum)、ゲオトリクム レクタングラタム(Geotrichum rectangulatum)、ゲオトリクム クレバニ(Geotrichum klebahnii)、ゲオトリクム スピーシーズ(Geotrichum sp.)が例示でき、特にゲオトリクム スピーシーズ(Geotrichum sp.)SAM2421(国際寄託番号:FERM BP-10300)又はその変異株が好適である。これらゲオトリクム属に属する微生物は、コーヒー果実から単離して得ることができる。
微生物との接触は、コーヒー果実に微生物を噴霧又は散布したり、微生物を含む懸濁液にコーヒー果実を浸漬させたりして行うことができる。醗酵条件は選択した微生物に応じて適宜選択すればよい。
上記のとおり、コーヒー果実には、ゲオトリクム属に属する微生物やサッカロマイセス属に属する微生物が存在しうるので、微生物を接触させる等の人為的な微生物醗酵を行わなくても、ゲオトリクム属やサッカロマイセス属に属する微生物の働きを制御して醗酵させることによって醗酵コーヒー豆を得ることもできる。
コーヒー果実の産地は、イエメン、ブラジルなど収穫時期が乾季で雨の心配のない場所と、中南米、アフリカ、アジアなど湿度が高く天日での乾燥に時間を要する場所とがある。イエメン、ブラジルなどでは、上記1)2)4)等(好ましくは、上記1)又は2))の方法にて人為的に醗酵コーヒー豆を製造することができるし、中南米、アフリカ、アジアなどでは、人為的な醗酵コーヒーの製造に加えて、上記3)のように、収穫後の果実を天日で乾燥させながら、果実表面に付着した微生物を利用して醗酵させ、醗酵コーヒー豆を製造することもできる。ただし、本発明でいう「醗酵」では、「腐敗」の状態、すなわち硫化物やアンモニアなどの悪臭を発生させないよう、上記微生物の繁殖条件を制御することが重要である。上記3)の場合には、腐敗が起こらないように、天日で乾燥させる(すなわち微生物醗酵を行う)際には、果実の畝の厚さを一定値以下(例えば10cm以下)にする、乾燥開始直後は薄め(例えば5cm以下)に敷き果実中の水分が少なくなるに従い厚く(例えば5〜10cm)する、果実の畝を定期的に攪拌する(例えば1時間に1回程度)等の工夫を行って、腐敗させないことが重要である。
(焙煎方法)
本発明のコーヒー生豆の焙煎方法は、以下の工程(1)〜(2)を含む。
(1)コーヒー生豆に醗酵コーヒー豆を混合して接触させる工程、及び
(2)得られた混合生豆を混合焙煎する工程
工程(1)では、醗酵コーヒー生豆を混合生豆の全量中1〜50重量%、好ましくは3〜15重量%の割合で混合する。混合生豆の全量とは、対象となるコーヒー生豆と醗酵コーヒー生豆の合計量をいう。醗酵コーヒー生豆の配合割合が1重量%未満であると、イソ吉草酸エチルによる焙煎コーヒー豆の香りや風味の維持作用が得られない場合がある。また、醗酵コーヒー生豆の配合割合が50重量%を超えると、イソ吉草酸エチル等の醗酵コーヒー豆特有の香りが強くなり、コーヒー本来の風味を阻害する場合がある。上記の割合で醗酵コーヒー生豆を配合した場合、混合生豆全量中のイソ吉草酸エチルの割合は、醗酵の方法やその程度にもよるが、通常、重量基準で1ppb以上、好ましくは2ppb以上、より好ましくは5ppb以上であり、上限は200ppb以下、好ましくは150ppb以下、より好ましくは100ppb程度である。
本発明において、コーヒー生豆及び醗酵コーヒー生豆の種類は、特に限定されない。例えばブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジェロ、マンデリン、ブルーマウンテン等が挙げられ、コーヒー豆種としては、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種などが挙げられる。コーヒー豆は1種でもよいし、複数種をブレンドして用いてもよい。
工程(2)の混合焙煎を行うと、焙煎後にコーヒー豆と醗酵コーヒー豆を混合接触する場合と比較して、焙煎工程で順次発生するコーヒーの香気成分を保護することができ、コーヒー豆の香気の力価を高めることができる。また、イソ吉草酸エチルが、多孔質のコーヒー豆によく吸着するため、生豆で混合してから混合焙煎を行うと、醗酵コーヒー特有の香気がコーヒー豆(醗酵コーヒー豆でないコーヒー豆)の香気とよく馴染み、違和感のないコーヒー焙煎豆及びその抽出液を得られるという利点もある。
混合焙煎の焙煎方法や条件は特に限定されるものではなく、直火式、熱風式、半熱風式、炭火式、遠赤外線式、マイクロ波式、過熱水蒸気式などの方法で、水平(横)ドラム型、垂直(縦)ドラム型、垂直回転ボウル型、流動床型、加圧型などの装置を用い、コーヒー豆の種別に対応して、所定の目的に応じた焙煎度(ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアン)に仕上げればよい。抽出時の可溶性固形分を高回収する観点からは、水平(横)ドラム開封型、水平(横)ドラム密封型又は垂直回転ボウル型が好ましく、更に垂直回転ボウル型が好ましい。
イソ吉草酸エチルの香気の増強作用を最大限に活かすためには、焙煎度を色差計で測定したL値を指標として、L値が17〜24、好ましくは17〜22程度となるように焙煎するのがよい。焙煎度の測定としては、焙煎コーヒー豆の50%を粒径0.8〜1.2mmに粉砕し、0.5mm以下の粒径の量を5%以下、2mm以上の粒径の量を5%以下に調整し、適宜チャフを除去する。粉砕豆をセルに投入し、十分にタッピングした後、分光式色彩計にて測定する。分光式色彩計としては、日本電色工業株式会社製SE−2000などが使用できる。
なお、上記のとおり、工程(2)の混合焙煎では、イソ吉草酸エチルがコーヒー生豆の多孔質に吸着して効果を発揮する。イソ吉草酸エチルが十分に吸着するまで、混合生豆を密閉容器で一定時間接触(保持)させておくのが好ましい。ここでいう密閉容器には、プラスチック、アルミパウチ等の容器のほか、焙煎ドラム等の工業タンク(蓋部を有するもの)を含む。密閉容器内での保持時間は、少なくとも6時間以上、好ましくは12時間以上、より好ましくは18時間以上、さらに好ましくは24時間以上である。コーヒー生豆を保存することを熟成(エイジングともいわれる)と呼び、熟成していない豆と比較して青みがやや薄らぎ、焙煎しても尖った感じが少なくまろやかな甘味が際立つコーヒーになるとして、熟成豆として流通されているものもある。しかし、熟成により、コーヒー豆の持つ個性がゆるやかになることも知られており、ブレンド豆の場合には、コーヒー豆の香りが消失又は減少することから、一般にブレンド豆の熟成は行われていない。しかし、本発明では、醗酵コーヒー生豆を対象となるコーヒー生豆に接触させることにより、醗酵コーヒー生豆香気成分(イソ吉草酸エチル)がコーヒー生豆の香気成分を包み込むようにして作用するので、上記の保持によってコーヒー生豆の香りが減少することはなく、焙煎後の香りを一層際立たせる効果がある。この理由から、コーヒー生豆と醗酵コーヒー生豆を接触(維持)時間は、酸化が促進されない温度(冷蔵庫;5℃以下)であれば実質的な上限はなく、接触時間が長いほど醗酵コーヒー特有の香りがコーヒー生豆に吸着して馴染みがよくなる。本発明者らは、1ヶ月及び2ヶ月間冷蔵庫(5℃)内で保存した混合生豆を焙煎してその風味を確認したところ、コーヒー豆本来の香りや風味が際立った焙煎コーヒー豆であり、その抽出液は、香気の力価が高く風味豊かであり、かつ甘味も有する、嗜好性の高いコーヒーであることを確認している。
本発明の工程(1)及び(2)を経て製造される焙煎コーヒー豆(特に、好ましくは工程(2)の前に密閉容器内で保持する工程を含む)は、香気の力価が高く風味豊かであり、保存中の風味変化(風味の減少や風味の変化)が少なく、また、空気中で粉砕を行っても香りが飛散しにくいので香りが豊富な粉末コーヒーとなる。
以下、実施例をもって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 醗酵コーヒー豆の製造
醗酵コーヒー豆は、以下の工程;
1)コーヒー果実に対し90〜110℃、15〜30秒で蒸気処理を行う蒸気処理工程、
2)30〜40℃に冷却する工程、
3)アジピン酸又は乳酸をコーヒー果実重量当たり0.05〜0.5重量%添加し、コーヒー果実の表皮のpHをpH3〜4に調整するpH調整工程、
4)pH調整工程と同時もしくは後に、発酵用微生物を付着させる微生物付着工程、
5)30〜40℃、48〜72時間の培養工程、
6)培養後のコーヒー果実を乾燥する乾燥工程、
7)コーヒー種子からコーヒー果肉を分離して醗酵コーヒー豆を得る、分離精製工程
で製造した。
すなわち、コーヒー生果実を100kg用意し、トンネル型の蒸気導入部分を設けた速度調節可能なコンベアを用いて、温度100℃、処理時間20秒の上記工程1)を行った。その後、送風によって40℃に急冷した(工程2))。コーヒー果実100kgに対してワイン醗酵用酵母であるLalvin EC1118株(Saccharomyces bayanus))の乾燥菌体50gに水200gを加えて溶解した酵母溶液を調製し、これとアジピン酸100gをコーヒー果実1粒あたりの酵母付着量が1.0×106〜7cellsとなるように満遍なく同時に添加した(工程3)、4))。これを35℃にて72時間静置して発酵処理した(工程5))後、乾燥機で乾燥させ(工程6))、脱穀機で果肉を除去して醗酵コーヒー豆(生豆)を得(工程7))た。この醗酵コーヒー豆について、粉砕せずにそのままの形状でガスクロマトグラフィ(GC)用サンプルチューブに10gずつ入れ、ヘッドスペースの気体を成分分析したところ、酢酸エチル、エタノール、イソ吉草酸エチルが含まれることが確認された。
実施例2 焙煎コーヒー豆の製造(1)
風味増強の対象となるコーヒー豆としては、ブラジル産アラビカ種のコーヒー豆を用いた。このコーヒー生豆と、実施例1で製造した醗酵コーヒー豆(生豆)を、コーヒー生豆の全量に対して6重量%の割合となるように配合してコーヒー生豆に接触させた後、水平(横)ドラム型の焙煎機(熱風式)に入れて中深煎り(L値:19.5)に焙煎処理した(本発明品1)。また、比較として、コーヒー生豆及び醗酵コーヒー生豆をそれぞれ上記の焙煎装置でL値19.5に焙煎して焙煎コーヒー豆を製造し、対象となる焙煎コーヒー豆:焙煎醗酵コーヒー豆=94:6(重量%)(焙煎コーヒー豆全量に対する焙煎醗酵コーヒー豆の割合は6重量%)となるように混合、すなわちアフターブレンドした焙煎コーヒー豆を製造した(比較例1)。さらに、醗酵コーヒー豆を配合していない焙煎コーヒー豆を対照とした。
得られた焙煎コーヒー豆(本発明品1、比較例1、対照)の香りについて官能評価を行った。評価は、香りの強さについては、対照を1点として、0点:対照よりも悪い、1点:対照と同程度、2点:対照よりもやや良い(強い)、3点:対照より良い(強い)とした相対的な評価点とした。また、ファミリア度については、1点:違和感がある、2点:違和感がない、3点:全く違和感がないとした相対的な評価点とした。ここで、ファミリア度とは、対象のコーヒー風味(ここでは、対照の焙煎コーヒー豆の風味)に対する醗酵コーヒー豆の風味の「違和感のなさ」、「安心感」、「自然」、「慣れ親しんでいる」、「馴染み」などの度合いのことをいう。さらに、それぞれの焙煎コーヒー豆からコーヒー抽出液を得、カップテストした。コーヒー抽出液は、市販のコーヒーミル(商品名「BONMAC」、型番「BM570N」)で中挽き(コーヒーミルのダイヤルを「中」に合わせて粉砕)した後、5gの粉砕したコーヒー粉(粉末コーヒー)に65gの沸騰水を用いて常法により抽出した。
結果を表1に示す。表1より明らかなように、醗酵コーヒー豆を配合することで、焙煎コーヒー豆及びその抽出液のいずれにおいても、対照と比較して、香りが強い、すなわち香りの力価が高くなった。特に、プレブレンドを行った本発明品1で香りの力価が高くなった。また、プレプレン度を行った本発明品1は、比較例1と比べてファミリア度が良く、対象となるコーヒー豆と馴染みが良いことが示唆された。本発明品1は、醗酵コーヒー豆由来の違和感を感じないコーヒー豆であった。
実施例3 焙煎コーヒー豆の製造(2)
実施例2の本発明品1と同様に、醗酵コーヒー生豆を全量に対して6重量%配合した混合コーヒー生豆を、実施例2と同様に焙煎処理した。ただし、焙煎処理を行う前に、混合コーヒー生豆を保持する工程、すなわち醗酵コーヒー生豆をコーヒー生豆に接触保持する工程を加えて焙煎処理を行った。混合コーヒー生豆の保持温度は、6時間、12時間、18時間、24時間各々の保持については室温で行い、1ヶ月、2ヶ月の保持については冷蔵で行った。
実施例2と同様に、実施例2で製造した対照を基準として、焙煎コーヒー豆の香り及び焙煎コーヒー豆から得られたコーヒー抽出液について官能評価を行った。結果を表2に示す。表2より明らかなように、醗酵コーヒー豆とコーヒー生豆を接触させた混合生豆を一定時間保持しておくことで、香りの強さとファミリア度が向上した。
実施例4 焙煎コーヒー豆の製造(3)
実施例2の本発明品1と同様に、醗酵コーヒー生豆を全量に対して6重量%配合した混合コーヒー生豆を、実施例2と同様に焙煎処理した。ただし、焙煎時間・温度を調製し、L値が16〜24となるようにして、焙煎処理を行った。
実施例2と同様に、実施例2で製造した対照を基準として、焙煎コーヒー豆の香り及び焙煎コーヒー豆から得られたコーヒー抽出液について官能評価を行った。結果を表3に示す。表3より明らかなように、L値が低くなる、すなわち焙煎度が高くなると焦げ臭のような香りが強くなり、コーヒー豆本来の香りが低下する傾向にあった。L値が16以下の場合はファミリア度が2点を下回り、イソ吉草酸エチルの風味増強作用が阻害される傾向にあった。

Claims (5)

  1. コーヒー生豆に、ワイン醗酵用酵母で醗酵処理した醗酵コーヒー豆を混合して接触させる工程、得られた混合生豆を密閉容器内で6時間以上保持する工程、及び保持後の生豆を混合焙煎する工程、を含むコーヒー生豆の焙煎方法。
  2. 醗酵コーヒー豆の割合が、混合生豆の全量中1〜50重量%である、請求項1に記載の焙煎方法。
  3. 混合焙煎が、L値17〜24の焙煎である、請求項1又は2に記載の焙煎方法。
  4. 混合生豆全量中のイソ吉草酸エチルの割合が、重量基準で1ppb以上である、請求項1〜のいずれかに記載の焙煎方法。
  5. 混合生豆全量中のイソ吉草酸エチルの割合が、重量基準で200ppb以下である、請求項に記載の焙煎方法。
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