1.IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト
IL−17RAは、IL−17RBと会合して、生物学的に活性である(すなわち、リガンドの結合によって活性化された際、シグナルを細胞に伝達し、細胞の生物学的活性の変化、例えばmRNAの誘導、サイトカインの分泌、細胞の形態または活性化状態の変化等を生じる)、ヘテロマー受容体複合体を形成する。IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体は、細胞の細胞外膜上のヘテロマー受容体複合体として提示される、少なくともIL−17RAおよびIL−17RBタンパク質の会合(限定されるわけではないが、タンパク質−タンパク質相互作用など)と定義される。このヘテロマー受容体複合体は、最低でも、IL−25シグナル伝達、すなわち、IL−17RAおよび/またはIL−17RB活性化に必要である。IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体は、さらに、さらなるタンパク質(すなわち「アクセサリータンパク質」)を含んでもよいことが理解される。例えば、Act−1として知られるシグナル伝達分子は、IL−17Aシグナル伝達カスケードの一部であり、そして最近の証拠によって、該分子は、IL−25シグナル伝達にもまた関与しうることが示されている(Claudioら,J.Immunol.182:1617,2009;Swaidaniら,J.Immunol.182:1631,2009)。IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体活性化は、限定されるわけではないが、IL−25(IL−17E)などのIL−17リガンドファミリーメンバーの結合によって達成される。IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体活性化には、限定されるわけではないが、細胞内シグナル伝達カスケード(単数または複数)の開始、ならびに遺伝子転写および翻訳などの下流事象が含まれる。
複数の態様は、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体を形成する際のサブユニット(すなわちIL−17RAおよびIL−17RBおよび/またはアクセサリータンパク質)の会合を阻害する抗原結合タンパク質を含むアンタゴニスト、ならびにIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体またはそのサブユニットへのリガンド(すなわちIL−25)の結合を阻害するアンタゴニスト(すなわち抗原結合タンパク質)に関する。さらなる態様は、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体の1以上のサブユニットに結合し、そして複合体のサブユニットの会合、該複合体へのリガンドの結合、または該複合体の活性化を防止する、コンホメーション変化を生じる、アンタゴニスト(抗原結合タンパク質を含む)に関する。
「抗原結合タンパク質」は、本明細書において、同定されたターゲットタンパク質(例えば、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体のサブユニット、またはヘテロマー受容体複合体自体)に特異的に結合するタンパク質である。「特異的に結合する」は、抗原結合タンパク質が、別のタンパク質に対してより、同定されるターゲットタンパク質に対して、より高いアフィニティを有することを意味する。典型的には、「特異的に結合する」は、平衡解離定数が、<10−7〜10−11M、または<10−8〜<10−10M、または<10−9〜<10−10Mであることを意味する。
抗原結合タンパク質には、本明細書に多様に定義されるように、同定されたターゲットタンパク質に特異的に結合する抗体、またはその断片、ならびに同定されたターゲットタンパク質に特異的に結合するペプチドまたはポリペプチドが含まれる。IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体の形成を阻害するか、あるいは該複合体へのリガンドの結合またはそれによるシグナル伝達を阻害する、抗原結合タンパク質は、本明細書において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストと称される。IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの態様は、したがって、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体の任意の部分に(すなわち複合体自体にまたはそのサブユニットに)結合し、そして受容体活性化を阻害しうる。IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト属の亜属は、本明細書に多様に定義するような抗体、ならびにペプチドおよびポリペプチドを含む。
受容体を活性化することまたは受容体の活性化は、本明細書において、限定されるわけではないが、受容体:リガンド相互作用などの、膜に結合した受容体への分子の結合に反応した、1以上の細胞内シグナル伝達経路(単数または複数)および細胞内シグナルの伝達(すなわちシグナル伝達)の関与と定義される。シグナル伝達は、本明細書において、1つの物理的または化学的形式から別のものへの変換による、シグナルのリレー;例えば、細胞生物学において、細胞が細胞外シグナルを反応(サイトカイン分泌、細胞の増殖または活性化状態の変化など)に変換することによるプロセスである。
「阻害」は、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体の活性の減少、例えば、ヘテロマー受容体複合体形成の減少、ヘテロマー受容体複合体(またはその少なくとも1つのサブユニット)へのリガンド(すなわちIL−17A IL−17Fおよび/またはIL−25)結合の減少、またはIL−17A、IL−17Fおよび/またはIL−25などのリガンドに反応した生物学的活性(すなわちサイトカイン分泌刺激、細胞の数または活性化状態の変化、あるいは他の生物学的影響)の減少として測定可能である。1つの態様において、本発明のアンタゴニストは、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体活性を減少させ;別の態様において、本発明のアンタゴニストは、少なくとも35%、45%、55%、65%、75%、85%、95%またはそれより多く、活性を阻害する。
限定されるわけではないが、本明細書に記載する免疫共沈降法などの当該技術分野に知られる任意の手段によって、ヘテロマー受容体複合体の形成阻害を測定してもよい。他の例には、フォルスター共鳴エネルギー転移(FRET)分析、および当該技術分野に知られ、そしてリガンド/受容体相互作用を定量的にまたは定性的に分析するのに使用可能である他の方法が含まれる。また、FACS、EIA、RIA、前述のアッセイ、ならびに本明細書記載のものおよびUSSN11/906,094に記載されるものを含む、2以上の分子の相互作用を評価するために当該技術分野に知られる方法によって、リガンド結合の阻害を測定することも可能である。
さらに、限定されるわけではないが、遺伝子転写の上方制御(例えば、IL−5、IL−13、エオタキシン、MCP−1、および/またはIL−17RB mRNAのレベル増加)および/または遺伝子翻訳の上方制御、ならびに/あるいはIL−5および/またはIL−13ならびにIL−17RAおよび/またはIL−17RBを発現する任意の細胞から放出されることが当該技術分野に知られる任意の他の炎症促進性仲介因子を含む、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体の活性化と関連する多様な因子の放出などの、生物学的に適切な読み取り値(単数または複数)によって測定されるようなIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体のIL−25活性化の喪失として、「阻害」を測定してもよい。さらなる生物学的に適切な読み取り値には、生物学的試料中の細胞の数および/または外観の変化(気管支肺胞洗浄液試料中の細胞性の増加、杯細胞過形成および/または肺組織試料中の血管/血管周囲の炎症)が含まれる。
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの他の態様は、IL−17RAに結合する、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストに関する。1つの態様において、アンタゴニストは、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体のサブユニットの会合を部分的に阻害するかまたは完全に阻害し、そしてそれによって、ヘテロマー受容体複合体の形成を防止する。いくつかの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体へのIL−25の結合を遮断する必要はない。別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体への(またはそのサブユニットへの)IL−25の結合を遮断してもよい。
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストのさらなる態様は、IL−17RBに結合する、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストに関する。1つの態様において、アンタゴニストは、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体のサブユニットの会合を部分的に阻害するかまたは完全に阻害し、そしてそれによって、ヘテロマー受容体複合体の形成を防止する。いくつかの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体へのIL−25の結合を遮断する必要はない。別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体への(またはそのサブユニットへの)IL−25の結合を遮断してもよい。
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストのさらなる態様は、ヘテロマー受容体複合体に結合するものを含む、IL−17RAおよびIL−17RB両方に結合するIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストに関する。1つの態様において、アンタゴニストは、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体のサブユニットの会合を部分的に阻害するかまたは完全に阻害し、そしてそれによって、ヘテロマー受容体複合体の形成を防止する。いくつかの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体へのIL−25の結合を遮断する必要はない。別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体への(またはそのサブユニットへの)IL−25の結合を遮断してもよい。
上記のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの多様な態様には、IL−17RA、またはIL−17RB、またはヘテロマー受容体複合体に結合し、そしてヘテロマー受容体複合体のサブユニットの会合を立体的に阻害するかまたは妨害し、それによってIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体形成を防止する、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストが含まれる。ヘテロマー受容体複合体サブユニットの会合の立体的妨害の一例では、サブユニットと受容体複合体の他のサブユニットとの会合に必要な部位で、またはアンタゴニストの空間的配置がヘテロマー受容体複合体サブユニットの会合を防止する部位の十分に近くで、サブユニットへのアンタゴニストの結合が生じる。あるいは、上述のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの多様な態様には、IL−17RA、またはIL−17RB、またはヘテロマー受容体複合体に結合し、そしてヘテロマー受容体複合体のサブユニットの1以上においてコンホメーション改変を誘導し(または防止し)、それによって、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体の形成を阻害する、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストが含まれる。ヘテロマー受容体複合体サブユニットの会合を防止するコンホメーション変化の一例では、サブユニットへのアンタゴニストの結合は、そのサブユニットと受容体複合体の他のサブユニットとの会合に必要な部位から遠位であってもよい部位で起こり、そして該サブユニットと他のサブユニットの会合を防止するかまたはサブユニットの会合に必要なコンホメーション変化を防止する、サブユニットのコンホメーション変化を引き起こす。同様に、上述のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの多様な態様には、IL−17RA、またはIL−17RB、またはヘテロマー受容体複合体に結合し、そしてコンホメーション改変を誘導して(または防止して)、シグナル伝達を阻害するかまたはヘテロマー受容体複合体によるシグナル伝達を立体的に妨害する、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストが含まれる。
別の態様において、上述の多様なIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストには、IL−17RA、またはIL−17RB、またはヘテロマー受容体複合体に結合し、そしてヘテロマー受容体複合体(またはそのサブユニット)にコンホメーション改変を誘導し、そしてそれによって、IL−25(または別のリガンド)のIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体への結合を阻害する、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストが含まれる。該態様には、IL−17RA、またはIL−17RB、またはIL−17RAおよびIL−17RB両方に結合し、そしてIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体へのリガンド(IL−25など)の結合を立体的に妨害するかまたは阻害する、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストがさらに含まれる。本態様にやはり含まれるのは、IL−17RA、またはIL−17RB、またはIL−17RAおよびIL−17RB両方に結合し、そして受容体複合体のシグナル伝達経路を(部分的にまたは完全に)阻害し、それによって、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体を通じたシグナル伝達を阻害するアンタゴニストである。
さらなる別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、リガンド(すなわちIL−17A、IL−25など)に結合し、そしてIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体を通じたシグナル伝達を阻害する。こうしたアンタゴニストは、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体の1つのサブユニットへの、または1つのこうしたサブユニットより多いサブユニットへの結合を阻害することによって、作用してもよい。したがって、例えば、アンタゴニストは、リガンドが第一の受容体サブユニットに結合するのを可能にするが、リガンドまたは第一の受容体サブユニットいずれかへの第二の受容体サブユニットの相互作用を防止してもよい。こうした阻害は、上述のように、例えば、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体を通じたシグナル伝達を(部分的にまたは完全に)阻害する方式での、結合の立体的妨害、コンホメーション改変の誘導等によって、生じてもよい。
1.1 IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト:抗体
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの態様は、本明細書に多様に定義するように、抗体、またはその断片を含む。したがって、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストには、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ディアボディ、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書において、ときに、「抗体模倣体」と称される)、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、抗体融合体(ときに、「抗体コンジュゲート」と称される)、ならびにこれらの断片が含まれる。
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体はまた、ラクダ(camels)およびラマ(llamas)で見られるものなどの、2つの重鎖の二量体を含み、そして軽鎖をまったく含まない、単一ドメイン抗体も含んでもよい(例えば、Muldermansら,2001,J.Biotechnol.74:277−302;Desmyterら,2001,J.Biol.Chem.276:26285−26290を参照されたい)。
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体は、四量体またはその断片を含んでもよい。各四量体は、典型的には、ポリペプチド鎖の2つの同一の対で構成され、各対は、1つの「軽鎖」(典型的には約25kDaの分子量を有する)および1つの「重鎖」(典型的には約50〜70kDaの分子量を有する)を有する。各鎖のアミノ末端部分には、抗原認識に主に関与する可変領域が含まれる。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に主に関与する定常領域を明示する。ヒト軽鎖は、カッパおよびラムダ軽鎖と分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはイプシロン鎖と分類され、そしてこれらは、抗体のアイソタイプを、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEと定義する。IgGは、限定されるわけではないが、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む、いくつかのサブクラスを有する。IgMサブクラスには、限定されるわけではないが、IgM1およびIgM2が含まれる。IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体には、こうしたアイソタイプすべてが含まれる。例示的な目的のため、抗体断片には、限定されるわけではないが、F(ab)、F(ab’)、F(ab’)2、Fv、および一本鎖Fv断片(scfv)、ならびに一本鎖抗体が含まれる。IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体は、前述の例のいずれを含んでもよい。
抗体の構造は当該技術分野に周知であり、そしてここで繰り返す必要はないが、例として、重鎖および軽鎖の可変領域は、典型的には、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる、3つの超可変領域によって連結された比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般構造を示す。CDRは、抗体(または本明細書に概略するような抗原結合タンパク質)の超可変領域であり、抗原認識および結合に関与する。各対の2つの鎖由来のCDRは、フレームワーク領域によって並列され、特定のエピトープに結合することが可能になる。N末端からC末端まで、軽鎖および重鎖はどちらも、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。いくつかの態様において、各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interestの定義にしたがってもよい。Chothiaら,1987,J.Mol.Biol.196:901−917;Chothiaら,1989,Nature 342:878−883を参照されたい。
「相補性決定領域」または「CDR」は、本明細書において、抗原結合のための主な表面接触点を構成する、結合タンパク質領域を指す。本発明の結合タンパク質は、6つのCDR、例えば1つの重鎖CDR1(「CDRH1」)、1つの重鎖CDR2(「CDRH2」)、1つの重鎖CDR3(「CDRH3」)、1つの軽鎖CDR1(「CDRL1」)、1つの軽鎖CDR2(「CDRL2」)、1つの軽鎖CDR3(「CDRL3」)を有してもよい。CDRH1は、典型的には、約5〜約7アミノ酸を含み、CDRH2は、典型的には、約16〜約19アミノ酸を含み、そしてCDRH3は、典型的には、約3〜約25アミノ酸を含む。CDRL1は、典型的には、約10〜約17アミノ酸を含み、CDRL2は、典型的には、約7アミノ酸を含み、そしてCDRL3は、典型的には、約7〜約10アミノ酸を含む。
最低限、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体は、IL−17RA、またはIL−17RB、またはIL−17RAおよびIL−17RB両方に特異的に結合する、軽鎖または重鎖可変領域のすべてまたは一部、あるいは軽鎖および重鎖可変領域両方のすべてまたは一部を含む。可変領域の断片(すなわち「一部」)の例は、CDRを含む。言い換えると、最低限、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体は、可変領域の少なくとも1つのCDRを含み、ここでCDRは、IL−17RA、またはIL−17RB、またはIL−17RAおよびIL−17RB両方に特異的に結合する。別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体は、少なくとも2つ、または少なくとも3つ、または少なくとも4つ、または少なくとも5つ、または少なくとも6つすべての、可変領域(単数または複数)のCDRを含み、ここでCDRの少なくとも1つは、IL−17RA、またはIL−17RB、またはIL−17RAおよびIL−17RB両方に特異的に結合する。CDRは、重鎖または軽鎖由来であってもよいし、そして各鎖内の3つのCDRの任意の1つであってもよく、すなわちCDRは、各々、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2およびCDRL3から独立に選択される。
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体の態様は、有用なCDR(単数または複数)を移植する足場構造を含んでもよい。いくつかの態様には、ヒト化抗体のためのヒト足場構成要素が含まれる。1つの態様において、足場構造は伝統的な四量体抗体構造である。したがって、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体の態様には、重鎖または軽鎖を構成する、フレームワーク、JおよびD領域、定常領域等のさらなる構成要素が含まれてもよい。IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体の態様は、Fc変異体と称される、修飾Fcドメインを有する抗体を含んでもよい。「Fc変異体」は、天然Fcから修飾されているが、なおサルベージ受容体FcRnの結合部位を含む分子または配列を指す。「Fc変異体」の他の例には、非ヒト天然Fcからヒト化されている分子または配列が含まれる。さらに、天然Fcは、本発明の融合分子に必要でない構造的特徴または生物学的活性を提供するため、除去されてもよい部位を含む。したがって、用語「Fc変異体」は、(1)ジスルフィド結合形成、(2)選択される宿主細胞との不適合、(3)選択される宿主細胞における発現に際してのN末端不均一性、(4)グリコシル化、(5)補体との相互作用、(6)サルベージ受容体以外のFc受容体への結合、または(7)抗体依存性細胞傷害性(ADCC)に影響を及ぼすか、または関与する、1以上の天然Fc部位または残基を欠く分子または配列を含む。
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体の態様は、ヒト・モノクローナル抗体を含む。限定されるわけではないが、XenoMouseTM技術(例えば、米国特許第6,114,598号;第6,162,963号;第6,833,268号;第7,049,426号;第7,064,244号;Greenら,1994,Nature Genetics 7:13−21;Mendezら,1997,Nature Genetics 15:146−156;GreenおよびJakobovitis,1998,J.Ex.Med.188:483−495を参照されたい)などの、当該技術分野に知られる任意の方法を用いて、ヒトIL−17RA、またはIL−17RB、またはIL−17RAおよびIL−17RB両方に対して向けられるヒト・モノクローナル抗体を作製してもよい。完全ヒト抗体を作製する他の例には、UltiMabヒト抗体発展系TMおよびTrans−Phage技術TM(Medarex社、ニュージャージー州プリンストン)、ファージ・ディスプレイ技術、リボソーム−ディスプレイ技術(例えば、Cambridge Antibody Technology、英国ケンブリッジ)、ならびに当該技術分野に知られる任意の他の方法が含まれる。
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体の特定の態様は、キメラおよびヒト化抗体、またはその断片を含む。一般的に、キメラ抗体およびヒト化抗体はどちらも、1より多い種由来の領域を合わせた抗体を指す。例えば、キメラ抗体は、伝統的に、非ヒト種由来の可変領域(単数または複数)およびヒト由来の定常領域(単数または複数)を含む。ヒト化抗体は、一般的に、可変ドメインフレームワーク領域を、ヒト抗体で見られる配列と交換した非ヒト抗体を指す。一般的に、ヒト化抗体において、CDRを除く抗体全体は、ヒト起源のポリヌクレオチドにコードされるか、またはCDR内以外、こうした抗体と同一である。いくつかまたはすべてが非ヒト生物に由来する核酸にコードされるCDRを、ヒト抗体可変領域のベータシート・フレームワーク内に移植して抗体を生成し、その特異性は移植されたCDRによって決定される。こうした抗体の生成は、当該技術分野に周知である(例えば、Jones,1986,Nature 321:522−525;Verhoeyenら,1988,Science 239:1534−1536を参照されたい)。ヒト化抗体はまた、遺伝子操作された免疫系を持つマウスを用いて、あるいは当該技術分野に知られる任意の他の方法または技術によっても生成可能である(例えば、Roqueら,2004,Biotechnol.Prog.20:639−654を参照されたい)。いくつかの態様において、CDRはヒトであり、そしてしたがって、これに関連して、ヒト化およびキメラ抗体の両方には、いくつかの非ヒトCDRが含まれてもよく;例えば、CDRH3およびCDRL3領域を含み、他のCDR領域の1以上が異なる種の起源を持つ、ヒト化抗体を生成してもよい。
1つの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体は、多重特異性抗体を含む。これらは、2つの(またはそれより多い)異なる抗原に結合する抗体である。当該技術分野に知られる二重特異性抗体の例は、「ディアボディ」である。ディアボディは、当該技術分野に知られる多様な方法で、製造可能であり、例えば化学的に調製してもよいし、またはハイブリッド・ハイブリドーマに由来してもよい(HolligerおよびWinter,1993,Current Opinion Biotechnol.4:446−449)。多重特異性IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体の特定の態様は、IL−17RAおよびIL−17RBの両方に結合する能力を有する抗体である。
別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体はミニボディを含む。ミニボディは、CH3ドメインに連結された一本鎖Fv(scFv;以下に記載)を含む、最小化抗体様タンパク質である(例えば、Huら,1996,Cancer Res.56:3055−3061を参照されたい)。
別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体は、ドメイン抗体を含み;ドメイン抗体は、例えば、米国特許第6,248,516号に記載されるものである。ドメイン抗体(dAb)は、ヒト抗体の重鎖(VH)または軽鎖(VL)のいずれかの可変領域に対応する、抗体の機能的結合ドメインである。dAbは、およそ13kDa、または完全抗体のサイズの10分の1未満の分子量を有する。dAbは、細菌、酵母、および哺乳動物細胞系を含む、多様な宿主においてよく発現される。さらに、dAbは非常に安定であり、そして凍結乾燥または熱変性などの厳しい条件にさらされた後であってさえ、活性を保持する。例えば、米国特許6,291,158;6,582,915;6,593,081;6,172,197;米国第2004/0110941号;欧州特許0368684;米国特許6,696,245、WO04/058821、WO04/003019およびWO03/002609を参照されたい。
先に言及したように、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体は、抗体断片、すなわちIL−17RA、またはIL−17RB、またはIL−17RAおよびIL−17RB両方への結合特異性を保持する、本明細書に言及する任意の抗体の断片を含んでもよい。特異的抗体断片には、限定されるわけではないが、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなるFab断片、(ii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iii)一本鎖抗体のVLおよびVHドメインからなるFv断片;(iv)一本鎖可変領域からなるdAb断片(例えば、Wardら,1989,Nature 341:544−546を参照されたい)、(v)単離CDR領域、(vi)2つの連結されたFab断片を含む二価断片、F(ab’)2断片、(vii)VHドメインおよびVLドメインが抗原結合部位を形成するように会合することを可能にするペプチドリンカーによって、2つのドメインが連結される、一本鎖Fv分子(scFv)(例えば、Birdら,1988 Science 242:423−426;Hustonら,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879−5883を参照されたい)、(viii)二重特異性一本鎖Fv二量体、および(ix)「ディアボディ」または「トリアボディ」、遺伝子融合によって構築される多価または多重特異性断片(例えば、Tomlinsonら,2000,Methods Enzymol.326:461−479;WO94/13804;Holligerら,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.90:6444−6448を参照されたい)が含まれる。抗体断片を修飾してもよい。例えば、VHおよびVLドメインを連結するジスルフィド架橋を取り込むことによって、分子を安定化してもよい(例えば、Reiterら,1996,Nature Biotech.14:1239−1245を参照されたい)。やはり本明細書に概略するように、これらの断片の非CDR構成要素は、好ましくは、ヒト配列である。
さらなる態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体は、抗体融合タンパク質(本明細書において、ときに、「抗体コンジュゲート」と称される)を含む。コンジュゲート・パートナーは、タンパク質性または非タンパク質性であってもよく;後者は、一般的に、抗原結合タンパク質上(抗原結合タンパク質の共有修飾に関する考察を参照されたい)およびコンジュゲートパートナー上の官能基を用いて生成される。例えば、リンカーが当該技術分野に知られ;例えば、ホモまたはヘテロ二重官能性リンカーもまた周知である(例えば、本明細書に援用される、1994 Pierce Chemical社カタログ、架橋剤に関する技術セクション、155−200ページを参照されたい)。適切なコンジュゲートには、限定されるわけではないが、以下に記載するような標識、薬剤、および限定されるわけではないが、細胞傷害性薬剤(例えば化学療法剤)または毒素またはこうした毒素の活性断片を含む、細胞傷害剤が含まれる。適切な毒素および対応する断片には、ジフテリアA鎖、内毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、クルシン、クロチン、フェノマイシン、エノマイシン等が含まれる。細胞傷害剤には、また、放射性同位体を抗原結合タンパク質にコンジュゲート化するか、または抗原結合タンパク質に共有結合されているキレート剤に放射性核種を結合させることによって作製される放射性化学薬品も含まれる。さらなる態様は、カリケアマイシン、アウリスタチン、ゲルダナマイシンおよびメイタイシンを利用する。
1つの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体は、ときに「合成抗体」と称される、抗体類似体を含む。例えば、多様な代替タンパク質足場または人工的足場に、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体由来のCDRを移植してもよい。こうした足場には、限定されるわけではないが、結合タンパク質の三次元構造を安定化させるために導入される突然変異、ならびに例えば生体適合性ポリマーからなる完全合成足場が含まれる。例えば、Korndorferら,2003,Proteins:Structure,Function,and Bioinformatics,第53巻,第1号:121−129;Roqueら,2004,Biotechnol.Prog.20:639−654を参照されたい。別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト抗体は、ペプチド抗体模倣体、または「PAM」、ならびに足場としてフィブロネクチン構成要素を利用する抗体模倣体を含んでもよい。
1.2 IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト:ペプチド/ポリペプチド
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの態様は、IL−17RA、またはIL−17RB、またはIL−17RAおよびIL−17RB両方に特異的に結合し、IL−17A、IL−17Fおよび/またはIL−25の活性を阻害する、ペプチドおよびポリペプチドの形のタンパク質を含む。いくつかの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体のサブユニットの会合を阻害し;受容体サブユニットのコンホメーション変化を誘導し(または防止し)、それによってこれらの相互作用を阻害し;ヘテロマー受容体複合体(またはそのサブユニット)へのリガンド(すなわちIL−25)の結合を阻害するか、またはヘテロマー受容体複合体(またはそのサブユニット)のコンホメーション変化を誘導して、該複合体へのリガンドの結合を阻害する。
複数の態様には、組換えIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストが含まれる。「組換えタンパク質」は、組換え技術を用いて、すなわち当該技術分野に知られる方法を用いた組換え核酸の発現を通じて作製されるタンパク質である。
「ペプチド」は、本明細書において、1〜100アミノ酸の分子を指す。IL−17RA、またはIL−17RB、またはIL−17RAおよびIL−17RB両方に結合し、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体を形成する際のIL−17RAおよびIL−17RBの会合を阻害するかまたはIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体シグナル伝達を阻害する、例示的なペプチドは、ランダム化ライブラリーから生じるものを含んでもよい。例えば、完全ランダム配列由来のペプチド配列(例えばファージ・ディスプレイ法またはRNA−ペプチドスクリーニングによって選択されるもの)、および天然存在分子の1以上の残基が、天然存在分子において、その位には現れないアミノ酸残基によって置換されている配列。ペプチド配列を同定するための例示的な方法には、ファージ・ディスプレイ、大腸菌(E.coli)ディスプレイ、リボソーム・ディスプレイ、RNA−ペプチドスクリーニング、化学的スクリーニング等が含まれる。
「タンパク質」によって、本明細書において、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチドおよびペプチドを含む、少なくとも2つの共有結合したアミノ酸を意味する。いくつかの態様において、2以上の共有結合アミノ酸は、ペプチド結合によって結合する。例えば、以下に概略するように、発現系および宿主細胞を用いて、タンパク質が組換え的に作製される場合、タンパク質は、天然存在アミノ酸およびペプチド結合で構成されてもよい。あるいは、いくつかの態様において(例えば、IL−17RAおよびIL−17RB会合を阻害する能力に関して、タンパク質性候補剤をスクリーニングする場合)、タンパク質には、プロテアーゼまたは他の生理学的および/または保存条件に耐性でありうる、合成アミノ酸(例えば、ホモフェニルアラニン、シトルリン、オルニチン、およびノルロイシン)、またはペプチド模倣体構造、すなわちペプトイドなどの「ペプチドまたはタンパク質類似体」が含まれてもよい(例えば、本明細書に援用される、Simonら,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:9367を参照されたい)。特に、当該技術分野に周知の慣用法によって、タンパク質をin vitroで合成する場合、こうした合成アミノ酸を取り込んでもよい。さらに、ペプチド模倣体、合成および天然存在残基/構造の任意の組み合わせが使用可能である。「アミノ酸」にはまた、プロリンおよびヒドロキシプロリンなどのイミノ酸残基も含まれる。アミノ酸「R基」または「側鎖」は、(L)または(S)立体配置のいずれであってもよい。特定の態様において、アミノ酸は、(L)または(S)立体配置にある。
アンタゴニスト性タンパク質の一例は、可溶性IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体である。こうした可溶性ヘテロマー受容体を調製する方法が当該技術分野に知られ、そして例えば、本明細書に援用される、米国特許第6,589,764号、2003年7月8日発行に記載される。IL−17A−IL−17B受容体複合体には、同じ細胞中で同時発現されるタンパク質としての、または(例えば任意の適切な手段による共有結合を介して、例えば架橋試薬またはポリペプチドリンカーを介して)互いに連結している受容体サブユニットとしての、IL−17RAおよびIL−17RB(および/またはさらなるサブユニット)が含まれる。1つの態様において、ヘテロマー受容体は、抗体分子の部分、例えばFc領域と各受容体構成要素の融合タンパク質から形成される。あるいは、ビオチンとアビジンのものなどの非共有相互作用を通じて、ヘテロマーIL−17A−IL−17B受容体を形成してもよい。
2.0 IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト
上述のように、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストには、IL−17RA−IL−17RB抗原結合タンパク質が含まれ、これには、限定されるわけではないが、抗体、ペプチド、およびポリペプチド、ならびに他のアンタゴニスト(他のポリペプチドまたはタンパク質が含まれる)が含まれる。IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト(例えばIL−17RA−IL−17RB抗原結合タンパク質)の別の態様は、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの共有結合修飾を含む。こうした修飾を翻訳後に行ってもよい。例えば、アンタゴニストの特定のアミノ酸残基を、選択した側鎖あるいはNまたはC末端残基と反応させることが可能な有機誘導体化剤と反応させることによって、いくつかのタイプのIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの共有結合修飾を分子内に導入する。以下は、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストへのこうした修飾の例に相当する。
システイニル残基は、最も一般的には、α−ハロアセテート(および対応するアミン)、例えばクロロ酢酸またはクロロアセトアミドと反応して、カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチル誘導体を生じる。システイニル残基はまた、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、リン酸クロロアセチル、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロ第二水銀安息香酸、2−クロロメルクリ−4−ニトロフェノール、またはクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によっても誘導体化される。ヒスチジル残基は、pH5.5〜7.0のジエチルピロカーボネートとの反応によって誘導体化され、これはこの剤がヒスチジル側鎖に比較的特異的であるためである。パラ−ブロモフェナシルブロミドもまた有用であり;反応は、好ましくは、pH6.0の0.1Mカコジル酸ナトリウム中で行われる。リジニルおよびアミノ末端残基は、コハク酸または他のカルボン酸無水物と反応する。これらの剤を用いた誘導体化は、リジニル残基の電荷を逆転させる効果を有する。アルファ−アミノ含有残基を誘導体化させるのに適した他の試薬には、ピコリンイミド酸メチルなどのイミドエステル;リン酸ピリドキサル;ピリドキサル;クロロ水素化ホウ素;トリニトロベンゼンスルホン酸;O−メチルイソ尿素;2,4−ペンタンジオン;およびグリオキシレートとのトランスアミナーゼ触媒反応が含まれる。アルギニル残基は、1つまたはいくつかの慣用的試薬との反応によって修飾され、それらの中には、フェニルグリオキサル、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、およびニンヒドリンがある。アルギニン残基の誘導体化では、反応がアルカリ条件において行われる必要があり、これは、グアニジン官能基のpKaが高いためである。さらに、これらの試薬を、リジンの基ならびにアルギニン・イプシロン−アミノ基と反応させてもよい。
チロシル残基の特異的修飾を行ってもよく、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応によって、チロシル残基内にスペクトル標識を導入することが特に興味深い。最も一般的には、N−アセチルイミジゾールおよびテトラニトロメタンを用いて、それぞれ、O−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体を形成する。125Iまた
は131Iを用いてチロシル残基をヨウ素化して、IL−17RAdioイムノアッセイで使用するための標識タンパク質を調製するが、上述のクロラミンT法が適切である。カルボジイミド(R’−N=C=N−−R’)、式中、RおよびR’は、場合によって異なるアルキル基である、例えば1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドとの反応によって、カルボキシル側鎖(アスパルチルまたはグルタミル)を選択的に修飾する。さらに、アンモニウムイオンとの反応によって、アスパルチルおよびグルタミル残基をアスパラギニルおよびグルタミニル残基に変換する。
二重官能性剤を用いた誘導体化は、多様な方法で使用するために、水不溶性支持体マトリックスまたは表面にIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを架橋するのに有用である。一般的に用いられる架橋剤には、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば、4−アジドサリチル酸とのエステル、3,3’−ジチオビス(スクシニミジルプロピオネート)などのジスクシニミジルエステルを含むホモ二重官能性イミドエステル、およびビス−N−マレイミド−1,8−オクタンなどの二重官能性マレイミドが含まれる。メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートなどの誘導体化剤は、光の存在下で架橋を形成可能な、光活性化可能中間体を生じる。あるいは、反応性水不溶性マトリックス、例えば臭化シアン活性化炭水化物、ならびに米国特許第3,969,287号;第3,691,016号;第4,195,128号;第4,247,642号;第4,229,537号;および第4,330,440号に記載される反応性基質をタンパク質固定に使用する。
グルタミニルおよびアスパラギニル残基は、しばしば、脱アミド化されて、それぞれ、対応するグルタミルおよびアスパルチル残基になる。あるいは、これらの残基を、穏やかに酸性である条件下で脱アミド化する。これらの残基のいずれの型も、本発明の範囲内に属する。他の修飾には、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリルまたはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、およびヒスチジン側鎖のアルファ−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,pp.79−86[1983])、N末端アミンのアセチル化、および任意のC末端カルボキシル基のアミド化が含まれる。
本発明の範囲内に含まれるIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの共有修飾の別のタイプは、タンパク質のグリコシル化パターンの改変を含む。当該技術分野に知られるように、グリコシル化パターンは、タンパク質の配列(例えば、以下に論じる、特定のグリコシル化アミノ酸残基の存在または非存在)、あるいはタンパク質が産生される宿主細胞または生物の両方に応じうる。ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N連結またはO連結いずれかである。N連結は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付着を指す。3ペプチド配列、アスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニン、式中、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である、は、アスパラギン側鎖に炭水化物部分が酵素によって付着するための認識配列である。したがって、これらの3ペプチド配列のいずれかがポリペプチド中に存在すると、潜在的なグリコシル部位が生成される。O連結グリコシル化は、糖、N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースの1つの、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンへの付着を指すが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリジンもまた使用可能である。IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストへのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列が、1以上の上述の3ペプチド配列を含有するように、アミノ酸配列を改変することによって、好適に達成される(N連結グリコシル化部位に関して)。改変はまた、出発配列に1以上のセリンまたはスレオニン残基を付加するか、またはこれらによって置換することによって、作製可能である(O連結グリコシル化部位に関して)。容易にするため、抗原結合タンパク質アミノ酸配列は、好ましくは、DNAレベルでの変化を通じて、特に、所望のアミノ酸に翻訳されるであろうコドンが生成されるように、あらかじめ選択された塩基で、ターゲットポリペプチドをコードするDNAを突然変異させることによって、改変される。
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト上の炭水化物部分の数を増加させる別の手段は、タンパク質へのグリコシドの化学的または酵素的カップリングによる。これらの方法は、これらが、NおよびO連結グリコシル化のためのグリコシル化能を有する宿主細胞においてタンパク質を産生する必要がない点で好適である。用いるカップリング様式に応じて、糖(単数または複数)を、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)未結合(free)カルボキシル基、(c)システインのものなどの、未結合スルフィドリル基、(d)セリン、スレオニン、またはヒドロキシプロリンのものなどの、未結合ヒドロキシル基、(e)フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンのものなどの、芳香族残基、あるいは(f)グルタミンのアミド基に付着させてもよい。これらの方法は、1987年9月11日公表のWO 87/05330、ならびにAplinおよびWriston,1981,CRC Crit.Rev.Biochem.,pp.259−306に記載される。
出発IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト上に存在する炭水化物部分の除去を化学的または酵素的に達成してもよい。化学的脱グリコシル化は、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または同等の化合物へのタンパク質の曝露を必要とする。この処理は、連結糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)を除く、大部分のまたはすべての糖の切断を生じる一方、ポリペプチドを損なわれないままにする。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddinら,1987,Arch.Biochem.Biophys.259:52およびEdgeら,1981,Anal.Biochem.118:131によって記載される。Thotakuraら,1987,Meth.Enzymol.138:350に記載されるように、多様なエンドおよびエキソグリコシダーゼの使用によって、ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断を達成してもよい。潜在的なグリコシル化部位でのグリコシル化は、Duskinら,1982,J.Biol.Chem.257:3105に記載されるように、化合物ツニカマイシンの使用によって防止されうる。ツニカマイシンは、タンパク質−N−グリコシド連結の形成を遮断する。
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの別のタイプの共有結合修飾は、限定されるわけではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンなどの多様なポリオールを含む多様な非タンパク質性ポリマーに、抗原結合タンパク質を、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号または第4,179,337号に示される方式で、連結することを含む。さらに、当該技術分野に知られるように、抗原結合タンパク質内の多様な位で、アミノ酸置換を行って、PEGなどのポリマーの付加を促進してもよい。
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの共有結合修飾は、本発明の範囲内に含まれ、そして常にではないが、一般的に、翻訳後に行われる。例えば、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの特定のアミノ酸残基を、選択される側鎖あるいはNまたはC末端残基と反応可能な有機誘導体化剤と反応させることによって、いくつかのタイプのIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの共有結合修飾を分子に導入する。
いくつかの態様において、本発明の抗原結合タンパク質の共有結合修飾は、1以上の標識の添加を含む。一般的に、標識は、検出されるべきアッセイに応じて、多様なクラスに属する:a)放射性であってもまたは重同位体であってもよい、同位体標識;b)磁気標識(例えば磁気粒子);c)レドックス活性部分;d)光学色素;酵素基(例えば西洋ワサビ(horseradish)・ペルオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ);e)ビオチン化された基;およびf)二次レポーター(例えばロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ等)によって認識される、あらかじめ決定されたポリペプチド・エピトープ。いくつかの態様において、多様な長さのスペーサー・アームを介して、抗原結合タンパク質に標識基をカップリングさせて、潜在的な立体障害を減少させる。タンパク質を標識するための多様な方法が当該技術分野に知られ、そして本発明を実行する際に使用可能である。
特定の標識には、限定されるわけではないが、発色団、リン光体および蛍光体を含む光学色素が含まれ、多くの例で、後者が特異的である。蛍光体は、「小分子」蛍光体またはタンパク質性蛍光体のいずれであってもよい。「蛍光標識」は、生得的な蛍光特性を介して検出されうる任意の分子を意味する。適切な蛍光標識には、限定されるわけではないが、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチル−クマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、カスケードブルーJ、テキサスレッド、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、LCレッド640、Cy5、Cy5.5、LCレッド705、オレゴングリーン、Alexa−Fluor色素(Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680)、カスケードブルー、カスケードイエローおよびR−フィコエリトリン(PE)(Molecular Probes、オレゴン州ユージーン)、FITC、ローダミン、およびテキサスレッド(Pierce、イリノイ州ロックフォード)、Cy5、Cy5.5、Cy7(Amersham Life Science、ペンシルバニア州ピッツバーグ)が含まれる。蛍光体を含む適切な光学色素は、本明細書に完全に援用される、Richard P.HauglandによるMolecular Probes Handbookに記載される。
適切なタンパク質性蛍光標識にはまた、限定されるわけではないが、レニラ属(Renilla)、プティロサルクス属(Ptilosarcus)、またはエクオレラ属(Aequorea)種のGFPを含む緑色蛍光タンパク質(Chalfieら,1994,Science 263:802−805)、EGFP(Clontech Laboratories.,Inc.、Genbank寄託番号U55762)、青色蛍光タンパク質(BFP、Quantum Biotechnologies,Inc.,1801 de Maisonneuve Blvd.West,8th Floor,Montreal,Quebec,Canada H3H 1J9;Stauber,1998,Biotechniques 24:462−471;Heimら,1996,Curr.Biol.6:178−182)、増進黄色蛍光タンパク質(EYFP、Clontech Laboratories.,Inc.)、ルシフェラーゼ(Ichikiら,1993,J.Immunol.150:5408−5417)、βガラクトシダーゼ(N
olanら,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2603−2607)およびレニラ属(WO92/15673、WO95/07463、WO98/14605、WO98/26277、WO99/49019、米国特許第5292658号、第5418155号、第5683888号、第5741668号、第5777079号、第5804387号、第5874304号、第5876995号、第5925558号)も含まれる。上記に引用する参考文献はすべて本明細書に援用される。
抗原結合タンパク質の上述の修飾はすべて、任意の他のタンパク質性IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト、例えばヘテロマーIL−17RA−IL−17RB複合体、あるいは本明細書に記載するようなポリペプチドまたはペプチドアンタゴニストに行ってもよい。
3.0 使用法
本発明は、例えば診断目的のための、または治療目的のための、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用を含む、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用法も提供する。治療のためのIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用は、一般的に、治療を与える疾患または状態の徴候および/または症状の減少または軽減のためであることが理解される。本発明は、本明細書に記載する多様な状態および疾患の治療のための薬剤の調製または製造に使用可能な、本明細書全体に記載されるような、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを提供する。さらに、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの有効量および本明細書に記載するような1以上のさらなる活性剤の療法的有効量を、記載する治療に有用な薬剤の調製または製造に用いてもよい。いくつかの態様には、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを含む部分のキットが含まれ;場合によって、こうしたキットには、治療が必要な被験体に、別個に、同時に、または続いて投与するため、少なくとも1つのさらなる活性成分が含まれてもよい。
さらなる態様には、本明細書に記載する1以上のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを用いて、IL−17RAおよびIL−17RBを発現している細胞において、IL−17RAおよび/またはIL−17RB活性化を阻害する方法が含まれる。例えば、IL−17RAおよびIL−17RBを発現している細胞において、IL−17RAおよび/またはIL−17RB活性化を阻害する方法は、前記細胞をIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストに曝露する工程を含み、ここでIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、ヘテロマー受容体複合体の少なくとも1つのサブユニットまたは構成要素に結合し、そしてヘテロマー受容体複合体の別のサブユニットまたは構成要素とのその会合を部分的に阻害するかまたは完全に阻害して(立体的妨害またはコンホメーション変化のいずれかを介して)、それによって、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体形成を防止する。いくつかの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、ヘテロマー受容体複合体の1つのサブユニットに結合する。別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、ヘテロマー受容体複合体の1より多いサブユニットに結合するか、またはヘテロマー受容体複合体自体に結合する。いくつかの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、IL−17RAおよび/またはIL−17RB活性化を阻害するために、ヘテロマー受容体複合体の1以上の構成要素へのリガンド(IL−25など)の結合を阻害する必要がない。別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、IL−17RAおよび/またはIL−17RBへのリガンド(すなわちIL−25)の結合を阻害し、そしてIL−17RAおよび/またはIL−17RB活性化を阻害する。さらなる態様は、前記IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストが、本明細書に定義するような抗原結合タンパク質である方法を含み;場合によって、抗原結合タンパク質は薬学的組成物の形である。
さらなる態様には、本明細書記載の1以上のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを用いて、in vivoで、少なくともIL−17RAおよびIL−17RBを発現している細胞において、IL−17RAおよび/またはIL−17RB活性化を阻害する方法が含まれる。例えば、in vivoで、IL−17RAおよびIL−17RBを発現している細胞において、IL−17RAおよび/またはIL−17RB活性化を阻害する方法は、前記細胞をIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストに曝露する工程を含み、ここでIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、ヘテロマー受容体複合体の少なくとも1つのサブユニットまたは構成要素に結合し、そしてヘテロマー受容体複合体の別のサブユニットまたは構成要素とのその会合を部分的に阻害するかまたは完全に阻害して(立体的妨害またはコンホメーション変化のいずれかを介して)、それによって、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体活性化を阻害する。いくつかの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、ヘテロマー受容体複合体の1つのサブユニットに結合する。別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、ヘテロマー受容体複合体の1より多いサブユニットに結合するか、またはヘテロマー受容体複合体自体に結合する。いくつかの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、IL−17RAおよび/またはIL−17RB活性化を阻害するために、ヘテロマー受容体複合体の1以上の構成要素へのリガンド(IL−25など)の結合を遮断する必要がない。別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、IL−17RAおよび/またはIL−17RBへのリガンド(すなわちIL−25)の結合を阻害し、そしてIL−17RAおよび/またはIL−17RB活性化を阻害する。さらなる態様は、前記IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストが、本明細書に定義するような抗原結合タンパク質である方法を含み;場合によって、抗原結合タンパク質は薬学的組成物の形である。
さらなる態様には、本明細書記載の1以上のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを用いて、in vivoで、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体を発現している細胞において、該複合体活性化後に放出される炎症促進性仲介因子を減少させる方法が含まれる。例えば、in vivoで、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体を発現している細胞において、該複合体活性化後に放出される炎症促進性仲介因子を減少させる方法は、前記細胞をIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストに曝露する工程を含み、ここでIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、ヘテロマー受容体複合体の少なくとも1つのサブユニットまたは構成要素に結合し、そしてIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体の形成または活性化を部分的に阻害するかまたは完全に阻害して(立体的妨害またはコンホメーション変化のいずれかを介して)、それによって、炎症促進性仲介因子の放出を減少させる。いくつかの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、ヘテロマー受容体複合体の1つのサブユニットに結合する。別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、ヘテロマー受容体複合体の1より多いサブユニットに結合するか、またはヘテロマー受容体複合体自体に結合する。いくつかの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、炎症促進性仲介因子の放出を減少させるために、ヘテロマー受容体複合体の1以上の構成要素へのリガンド(IL−25など)の結合を阻害する必要がない。別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、IL−17RAおよび/またはIL−17RBへのリガンド(すなわちIL−25)の結合を阻害し、そして炎症促進性仲介因子の放出を減少させる。さらなる態様は、前記IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストが、本明細書に定義するような抗原結合タンパク質である方法を含み;場合によって、抗原結合タンパク質は薬学的組成物の形である。
さらなる態様は、炎症促進性仲介因子が以下の少なくとも1つである、上述のような方法を含む:IL−5、IL−6、IL−8、IL−12、IL−13、CXCL1、CXCL2、GM−CSF、G−CSF、M−CSF、IL−1β、TNFα、RANK−L、LIF、PGE2、MMP3、MMP9、GROα、NO、エオタキシン、MCP−1、およびIL−17RB、ならびにIL−17RAおよび/またはIL−17RBの活性化を通じて、任意の細胞から放出されることが当該技術分野で知られる任意の他の炎症促進性仲介因子。
さらなる態様には、限定されるわけではないが、炎症および自己免疫障害などのIL−17ファミリーメンバーが関連する障害を、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストで治療する方法が含まれる。
さらなる態様には、本明細書記載の1以上のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを投与することによって、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体の活性化を部分的にまたは完全に遮断する、炎症を治療する方法が含まれる。例えば、必要な患者において炎症を治療する方法は、前記患者にIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを投与する工程を含み、ここでIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、ヘテロマー受容体複合体の少なくとも1つのサブユニットまたは構成要素に結合し、そしてヘテロマー受容体複合体の形成または活性化を部分的に阻害するかまたは完全に阻害して(立体的妨害またはコンホメーション変化のいずれかを介して)、それによって、炎症の治療を促進する。いくつかの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、ヘテロマー受容体複合体の1つのサブユニットに結合する。別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、ヘテロマー受容体複合体の1より多いサブユニットに結合するか、またはヘテロマー受容体複合体自体に結合する。いくつかの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、炎症を治療するのに有用であるために、ヘテロマー受容体複合体の1以上の構成要素へのリガンド(IL−25など)の結合を遮断する必要がない。別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、IL−17RAおよび/またはIL−17RBへのリガンド(すなわちIL−25)の結合を阻害し、そして炎症を治療するのに有用である。さらなる態様は、前記IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストが、本明細書に定義するような抗体である方法を含み;場合によって、抗体は薬学的組成物の形である。
さらなる態様には、本明細書記載の1以上のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを投与することによって、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体の活性化を部分的にまたは完全に遮断する、自己免疫障害を治療する方法が含まれる。例えば、必要な患者において自己免疫障害を治療する方法は、前記患者にIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを投与する工程を含み、ここでIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、ヘテロマー受容体複合体の少なくとも1つのサブユニットまたは構成要素に結合し、そしてヘテロマー受容体複合体の形成または活性化を部分的に阻害するかまたは完全に阻害して、それによって、自己免疫障害の治療を促進する。いくつかの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、ヘテロマー受容体複合体の1つのサブユニットに結合する。別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、ヘテロマー受容体複合体の1より多いサブユニットに結合するか、またはヘテロマー受容体複合体自体に結合する。いくつかの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、自己免疫障害を治療するのに有用であるために、ヘテロマー受容体複合体の1以上の構成要素へのリガンド(IL−25など)の結合を遮断する必要がない。別の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、IL−17RAおよび/またはIL−17RBへのリガンド(すなわちIL−25)の結合を阻害し、そして自己免疫障害を治療するのに有用である。さらなる態様は、前記IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストが、本明細書に定義するような抗体である方法を含み;場合によって、抗体は薬学的組成物の形である。
さらなる態様には、上述のような炎症および/または自己免疫障害を治療する方法が含まれ、障害には、限定されるわけではないが、軟骨炎症、および/または骨変性、関節炎、関節リウマチ、若年性関節炎、若年性関節リウマチ、小関節型若年性関節リウマチ、多関節型若年性関節リウマチ、全身型若年性関節リウマチ、若年性強直性脊椎炎、若年性腸炎性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター(Reter’s)症候群、SEA症候群(血清陰性、腱付着部症、関節症症候群)、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性エリテマトーデス、若年性血管炎、小関節型関節リウマチ、多関節型関節リウマチ、全身型関節リウマチ、強直性脊椎炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ライター症候群、SEA症候群(血清陰性、腱付着部症、関節症症候群)、皮膚筋炎、乾癬性関節炎、強皮症、全身性エリテマトーデス、血管炎、ミオリチス(myolitis)、多発ミオリチス、皮膚ミオリチス、骨関節炎、結節性多発性動脈炎、ヴェゲナー肉芽腫症、動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、類肉腫症、強皮症、硬化症、原発性胆嚢硬化症、硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、乾癬、斑状乾癬、滴状乾癬、反転乾癬(inverse psoriasis)、膿疱性乾癬、紅皮性乾癬、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アテローム性動脈硬化症、狼瘡、スティル病、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、多発性硬化症(MS)、喘息(外因性および内因性喘息、ならびに関連する気道の慢性炎症性状態、または過敏性を含む)、慢性閉塞性肺疾患(COPD、すなわち慢性気管支炎、肺気腫)、急性呼吸器障害症候群(ARDS)、呼吸促迫症候群、嚢胞性線維症、肺高血圧症、肺血管収縮、急性肺傷害、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、過敏性肺炎、好酸球肺炎、気管支炎、アレルギー性気管支炎気管支拡張症、結核、過敏性肺炎、職業性喘息、喘息様障害、サルコイド、反応性気道疾患(または機能障害)症候群、綿肺、間質性肺疾患、好酸球増加症候群、鼻炎、副鼻腔炎、および寄生虫性肺疾患、ウイルス誘導性状態(例えば呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、パラインフルエンザウイルス(PIV)、ライノウイルス(RV)およびアデノウイルス)に関連する気道過敏症、ギラン−バレー病、I型糖尿病、グレーブス病、アディソン病、レイノー現象、自己免疫性肝炎、GVHD等が含まれる。
さらなる態様には、療法的有効量の1以上のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを、薬学的に許容されうる希釈剤、キャリアー、可溶化剤、乳化剤、保存剤、および/またはアジュバントとともに含む、薬学的組成物が含まれる。さらに、本発明は、こうした薬学的組成物を投与することによって患者を治療する方法、ならびに前述の状態を治療する際に使用するための薬剤を調製するかまたは製造するための方法を提供する。
許容されうる配合物質は、使用する投薬型および濃度で、レシピエントに対して非毒性である。特定の態様において、薬学的組成物は、例えば組成物のpH、浸透圧、粘性、透明度、色、等張性、におい、無菌性、安定性、溶解速度または放出速度、吸着または浸透を修飾するか、維持するか、または保存するための配合物質を含有してもよい。こうした態様において、適切な配合物質には、限定されるわけではないが、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジンなど);抗菌剤;酸化防止剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムなど);緩衝剤(ホウ酸塩、重炭酸塩、Tris−HCl、クエン酸塩、リン酸塩または他の有機酸など);充填剤(bulking agent)(マンニトールまたはグリシンなど);キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンなど);増量剤(filler);単糖;二糖;および他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなど);着色剤、フレーバー剤および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウムなど);保存剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸または過酸化水素など);溶媒(グリセリン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトールまたはソルビトールなど);懸濁剤;界面活性剤または湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20などのポリソルベート、ポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパール(tyloxapal)など);安定性増進剤(スクロースまたはソルビトールなど);等張性増進剤(tonicity enhancing agent)(アルカリ金属ハロゲン化物、好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、マンニトールソルビトールなど);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または薬学的アジュバントが含まれる。REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,第18版,(A.R.Genrmo監修),1990,Mack Publishing Companyを参照されたい。
特定の態様において、最適薬学的組成物は、例えば、意図される投与経路、送達形式、および所望の投薬量に応じて、当業者によって決定されるであろう。例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、上記を参照されたい。特定の態様において、こうした組成物は、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの物理的状態、安定性、in vivo放出速度、およびin vivoクリアランス速度に影響を及ぼしうる。特定の態様において、薬学的組成物中の主なビヒクルまたはキャリアーは、水性または非水性いずれであってもよい。例えば、適切なビヒクルまたはキャリアーは、注射用水、生理食塩水溶液または人工的脳脊髄液であって、場合によって非経口投与用の組成物において一般的な他の物質が補充されているものであることも可能である。中性緩衝生理食塩水または血清アルブミンと混合された生理食塩水が、さらなる典型的なビヒクルである。特定の態様において、薬学的組成物は、約pH7.0〜8.5のTris緩衝液、または約pH4.0〜5.5の酢酸緩衝液を含み、そしてこれらはソルビトールまたは適切な代用物をさらに含んでもよい。特定の態様において、凍結乾燥ケークまたは水溶液の形で、望ましい度合いの純度を有する、選択した組成物を、場合による配合剤(REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、上記)と混合することによって、保存用のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト組成物を調製してもよい。さらに、特定の態様において、スクロースなどの適切な賦形剤を用いて、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト産物を凍結乾燥物として配合してもよい。
本発明の薬学的組成物を非経口送達用に選択してもよい。あるいは、吸入または消化管を通じた送達のため、例えば経口送達のため、組成物を選択してもよい。こうした薬学的に許容されうる組成物の調製は、当該技術分野の技術範囲内である。配合物構成要素は、好ましくは、投与部位に許容されうる濃度で存在する。特定の態様において、緩衝液を用いて、生理学的pHまたはわずかにより低いpH、典型的には約5〜約8のpH範囲内に、組成物を維持する。
非経口投与が意図される場合、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、薬学的に許容されうるビヒクル中の所望のIL−17受容体抗原結合タンパク質を含む、発熱物質不含の、非経口的に許容されうる水溶液の形で提供されてもよい。非経口注射に特に適したビヒクルは、無菌蒸留水であり、この中でIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、適切に保存された無菌等張溶液として配合される。特定の態様において、調製物は、産物の徐放または持続放出を提供し、産物がデポー注射を介して送達されうる、注射可能微小球体、生体浸食性粒子、ポリマー性化合物(ポリ乳酸またはポリグリコール酸など)、ビーズまたはリポソームなどの剤と所望の分子の配合を伴ってもよい。特定の態様において、ヒアルロン酸もまた使用可能であり、これは循環中にある期間の持続を促進する効果を有しうる。特定の態様において、移植可能薬剤送達デバイスを用いて、所望の抗原結合タンパク質を導入してもよい。
本発明の薬学的組成物は吸入用に配合されうる。これらの態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、乾燥吸入可能粉末として配合されてもよい。また、吸入溶液をエアロゾル送達用の噴霧剤(propellant)とともに配合してもよい。特定の態様において、溶液を噴霧してもよい。したがって、肺投与および配合法が、本明細書に援用される国際特許出願第PCT/US94/001875号にさらに記載され、そして該文献は、化学的に修飾されたタンパク質の肺送達を記載する。
配合物を経口投与してもよいこともまた意図される。この方式で投与されるIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを、錠剤およびカプセルなどの固形投薬型の配合において、通例用いられるキャリアーを含むかまたは含まずに配合してもよい。特定の態様において、生物学的利用能が最大になり、そして前全身分解が最小限になる胃腸管の箇所で配合物の活性部分を放出するように、カプセルを設計してもよい。IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの吸収を促進するため、さらなる剤を含めてもよい。希釈剤、フレーバー剤、低融点ワックス、植物油、潤滑剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤、および結合剤(binder)もまた、使用可能である。
本発明の薬学的組成物は、好ましくは、錠剤の製造に適した非毒性賦形剤と混合された、有効量の1以上のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを含むように提供される。錠剤を、無菌水、または別の適切なビヒクル中に溶解することによって、単位用量型で溶液を調製することも可能である。適切な賦形剤には、限定されるわけではないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウム、ラクトース、またはリン酸カルシウムなどの不活性希釈剤;あるいはデンプン、ゼラチン、またはアカシアなどの結合剤;あるいはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクなどの潤滑剤が含まれる。
さらなる薬学的組成物が当業者に明らかであり、こうした組成物には、持続送達または徐放送達配合物中のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを伴う配合物が含まれる。多様な他の持続送達または徐放送達手段、例えばリポソームキャリアー、生体浸食性微小粒子または多孔ビーズおよび蓄積注射を配合するための技術もまた、当業者に知られる。例えば、本明細書に援用され、そして薬学的組成物を送達するための多孔ポリマー性微小粒子の徐放を記載する、国際特許出願第PCT/US93/00829号を参照されたい。持続放出調製物には、成型物品、例えばフィルムまたは微小カプセルの形の半透性ポリマーマトリックスが含まれることも可能である。持続放出マトリックスには、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(各々、本明細書に援用される、米国特許第3,773,919号および欧州特許出願公報第EP 58481号に開示されるようなもの)、L−グルタミン酸およびガンマ・エチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidmanら,1983,Biopolymers 2:547−556)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langerら,1981,J.Biomed.Mater.Res.15:167−277、およびLangerら,1982,Chem.Tech.12:98−105)、エチレン酢酸ビニル(Langerら、1981、上記)またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許出願公報第133,988号)が含まれることも可能である。持続放出組成物にはまた、当該技術分野に知られる任意のいくつかの方法によって調製可能なリポソームも含まれてもよい。例えば、本明細書に援用される、Eppsteinら,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82:3688−3692;欧州特許出願公報第EP 036,676号;第EP 088,046号および第EP 143,949号を参照されたい。
in vivo投与に用いられる薬学的組成物は、典型的には無菌調製物として提供される。滅菌は、無菌ろ過膜を通じたろ過によって達成可能である。組成物を凍結乾燥する場合、この方法を用いた滅菌は、凍結乾燥および再構成前またはその後のいずれに行うことも可能である。非経口投与用の組成物を、凍結乾燥型で、または溶液中で保存することも可能である。非経口組成物は、一般的に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば静脈内溶液バッグ、または皮下注射針によって貫通可能な栓を有するバイアル内に入れられる。
薬学的組成物を配合したら、溶液、懸濁物、ゲル、エマルジョン、固体、結晶、あるいは脱水または凍結乾燥粉末として、無菌バイアル中で保存することも可能である。こうした配合物は、すぐに使える型、または投与前に再構成される型(例えば凍結乾燥型)のいずれで保存することも可能である。本発明は、単回用量投与単位を生じるキットもまた提供する。本発明のキットは、乾燥タンパク質を有する第一の容器および水性配合物を有する第二の容器を含有することも可能である。本発明の特定の態様において、単一チャンバーおよび多チャンバーのあらかじめ充填されたシリンジ(例えば液体シリンジおよびリオシリンジ(lyosyringes))を含有するキットを提供する。
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを含有する使用すべき薬学的組成物の療法的有効量は、例えば、療法背景および目的に応じるであろう。当業者は、治療に適した投薬レベルが、部分的に、送達する分子、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを用いようとする徴候、投与経路、ならびに患者の大きさ(体重、体表面積または臓器の大きさ)および/または状態(年齢および全身の健康状態)に応じて多様であろうことを認識するであろう。特定の態様において、臨床医は、投薬量を滴定し、そして投与経路を修正して、最適療法効果を得ることも可能である。典型的な投薬量は、上述の要因に応じて、0.1μg/kg〜約30mg/kgまでの範囲、またはそれより多いことも可能である。特定の態様において、投薬量は、0.1μg/kg〜約30mg/kgまで、場合によって1μg/kg〜約30mg/kgまで、または10μg/kg〜約5mg/kgまでの範囲であることも可能である。もちろん、これは免許がある医師によって決定されるべきであり、そしてこれらの用量は単に例示であることが理解される。投薬頻度は、用いる配合物中の特定のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの薬物動態学パラメータに応じるであろう。典型的には、望ましい効果を達成する投薬量に達するまで、臨床医が組成物を投与する。したがって、単回用量として、または長期に渡る2回以上の用量として(所望の分子を同量、含有してもまたはしなくてもよい)、あるいは移植デバイスまたはカテーテルを介した連続注入として、組成物を投与してもよい。適切な投薬量のさらなる微調整は、当業者によって日常的に行われ、そして当業者が日常的に行う仕事の範囲内である。適切な用量−反応データを使用して、適切な投薬量を確定することも可能である。特定の態様において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを長期間に渡って患者に投与してもよい。IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの慢性投与は、完全にヒトではない、例えば非ヒト動物においてヒト抗原に対して作製された抗体、例えば非完全ヒト抗体または非ヒト種で産生された非ヒト抗体であるIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストと一般的に関連する、不都合な免疫またはアレルギー性反応を最小限にしうる。
薬学的組成物の投与経路は、既知の方法にしたがい、例えば経口投与、注射を通じた、静脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、筋内、眼内、動脈内、門脈内、または病巣内経路によるもの;持続放出系によるもの、または移植デバイスによるものである。特定の態様において、ボーラス(bolus)注射によって、または注入によって連続して、または移植デバイスによって組成物を投与してもよい。
また、所望の分子が吸着されるかまたは被包される膜、スポンジまたは別の適切な物質の移植を介して、組成物を局所的に投与してもよい。移植デバイスを用いる特定の態様において、任意の適切な組織または臓器内にデバイスを移植してもよいし、そして所望の分子の送達は、拡散、持続放出型ボーラス、または連続投与によってもよい。
本明細書に記載するIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを、本明細書に記載する疾患および状態を治療する際に用いられる薬学的剤と組み合わせて(前治療、後治療、または同時治療)用いてもよい。1つの態様において、本明細書記載のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストは、本明細書に列挙する疾患および障害の治療または防止のための任意の1以上のTNF阻害剤と組み合わせて(前治療、後治療、または同時治療)用いてもよく、これらには、限定されるわけではないが、Etanercept(ENBREL(登録商標)など)を含む、すべての型の可溶性TNF受容体、ならびにすべての型の単量体または多量体型p75および/またはp55 TNF受容体分子およびその断片;限定されるわけではないが、Infliximab(REMICADE(登録商標)など)、およびD2E7(HUMIRA(登録商標)など)などの抗ヒトTNF抗体等がある。こうしたTNF阻害剤には、TNFのin vivo合成または細胞外放出を遮断する化合物およびタンパク質が含まれる。特定の態様において、本発明は、以下の任意の1以上のTNF阻害剤と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する:TNF結合タンパク質(本明細書に定義するような可溶性TNF受容体I型および可溶性TNF受容体II型(「sTNFR」))、抗TNF抗体、顆粒球コロニー刺激因子;サリドマイド(thalidomide);BN 50730;テニダップ;E 5531;チアパファント(tiapafant)PCA 4248;ニメスリド;パナビル(panavir);ロリプラム;RP 73401;ペプチドT;MDL 201,449A;(1R,3S)−シス−1−[9−(2,6−ジアミノプリニル)]−3−ヒドロキシ−4−シクロペンタン塩酸塩;(1R,3R)−トランス−1−(9−(2,6−ジアミノ)プリン]−3−アセトキシシクロペンタン;(1R,3R)−トランス−1−[9−アデニル)−3−アジドシクロペンタン塩酸塩および(1R,3R)−トランス−1−(6−ヒドロキシ−プリン−9−イル)−3−アジドシクロペンタン。TNF結合タンパク質は当該技術分野で開示されている(EP 308 378、EP 422 339、GB 2 218 101、EP 393 438、WO 90/13575、EP 398 327、EP 412 486、WO 91/03553、EP 418 014、JP 127,800/1991、EP 433 900、米国特許第5,136,021号、GB 2 246 569、EP 464 533、WO 92/01002、WO 92/13095、WO 92/16221、EP 512 528、EP 526 905、WO 93/07863、EP 568 928、WO 93/21946、WO 93/19777、EP 417 563、WO 94/06476、およびPCT国際特許出願第PCT/US97/12244号)。例えば、EP 393 438およびEP 422 339は、集合的に「sTNFR」と呼ばれる、可溶性TNF受容体I型(「sTNFR−I」または「30kDa TNF阻害剤」としても知られる)および可溶性TNF受容体II型(「sTNFR−II」または「40kDa TNF阻害剤」としても知られる)、ならびにその修飾型(例えば断片、機能性誘導体および変異体)のアミノ酸配列および核酸配列を解説する。EP 393 438およびEP 422 339はまた、該阻害剤のコーディングに関与する遺伝子を単離し、該遺伝子を適切なベクターおよび細胞種中にクローニングし、そして該遺伝子を発現させて阻害剤を産生する方法もまた開示する。さらに、多価型(すなわち1より多い活性部分を含む分子)のsTNFR−IおよびsTNFR−IIも開示されてきている。1つの態様において、多価型は、少なくとも1つのTNF阻害剤および別の部分を、任意の臨床的に許容されうるリンカー、例えばポリエチレングリコール(WO 92/16221およびWO 95/34326)を用いて化学的にカップリングすることによって、ペプチドリンカー(Neveら(1996),Cytokine,8(5):365−370)によって、ビオチンに化学的にカップリングし、そして次いでアビジンに結合させることによって(WO 91/03553)、そして最後に、キメラ抗体分子を結合させることによって(米国特許5,116,964、WO 89/09622、WO 91/16437およびEP 315062)、構築されうる。抗TNF抗体には、MAK 195F Fab抗体(Hollerら(1993),1st International Symposium on Cytokines in Bone Marrow Transplantation,147);CDP 571抗TNFモノクローナル抗体(Rankinら(1995),British Journal of Rheumatology,34:334−342);BAY X 1351ネズミ抗腫瘍壊死因子モノクローナル抗体(Kieftら(1995),7th European Congress of Clinical Microbiology and Infectious Diseases,9ページ);CenTNF cA2 抗TNFモノクローナル抗体(Elliottら(1994),Lancet,344:1125−1127、およびElliottら(1994),Lancet,344:1105−1110)が含まれる。
本明細書に記載するIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを、限定されるわけではないが、キネレット(kineret)(例えばANAKINRA(登録商標))などのすべての型のIL−1阻害剤と組み合わせて(前治療、後治療、または同時治療)用いてもよい。インターロイキン−1受容体アンタゴニスト(IL−1ra)は、インターロイキン−1の天然阻害剤として作用するヒトタンパク質である。インターロイキン−1受容体アンタゴニスト、ならびにその作製法および使用法は、米国特許第5,075,222号;WO 91/08285;WO 91/17184;AU 9173636;WO 92/16221;WO 93/21946;WO 94/06457;WO 94/21275;FR 2706772;WO 94/21235;DE 4219626;WO 94/20517;WO 96/22793およびWO 97/28828に記載される。これらのタンパク質には、グリコシル化、ならびに非グリコシル化IL−1受容体アンタゴニストが含まれる。具体的には、各々、同じDNAコード配列およびその変異体によってコードされるIL−1raの3つの型(IL−1raα、IL−1raβおよびIL−1rax)が、米国特許第5,075,222号に開示され、そして記載されている。IL−1阻害剤、特にIL−1raを産生するための方法もまた、この5,075,222特許に開示されている。さらなるインターロイキン−1阻害剤のクラスには、IL−1に対する細胞受容体の活性化を特異的に防止可能な化合物が含まれる。こうした化合物には、IL−1結合タンパク質、例えば可溶性受容体およびモノクローナル抗体が含まれる。こうした化合物にはまた、これらの受容体に対するモノクローナル抗体も含まれる。さらなるインターロイキン−1阻害剤のクラスには、IL−1のin vivo合成および/または細胞外放出を遮断する化合物およびタンパク質が含まれる。こうした化合物には、IL−1遺伝子の転写またはIL−1プレタンパク質のプロセシングに影響を与える剤が含まれる。
本明細書に記載するIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを、限定されるわけではないが、アバタセプト(例えばORENCIA(登録商標))などのすべての型のCD28阻害剤と組み合わせて(前治療、後治療、または同時治療)用いてもよい。IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを、1以上のサイトカイン、リンホカイン、造血因子(単数または複数)、および/または抗炎症薬と組み合わせて(前治療、後治療、または同時治療)用いてもよい。
本明細書に列挙する疾患および障害の治療には、本明細書に提供する1以上のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストでの治療と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、疼痛および/または炎症を制御するために最初に選択される薬剤の使用が含まれてもよい。これらの薬剤は非ステロイド系抗炎症薬剤(NSAID)として分類される。二次治療には、コルチコステロイド、遅効性抗リウマチ薬剤(SAARD)、または疾患修飾(DM)薬剤が含まれる。以下の化合物に関する情報は、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,第18版,Merck,Sharp & Dohme Research Laboratories,Merck & Co.,ニュージャージー州ローウェイ(2006)およびPharmaprojects,PJB Publications Ltd.中に見出されうる。
特定の態様において、本発明は、本明細書に列挙する疾患および障害の治療のための、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニスト、および任意の1以上のNSAIDの使用に関する(前治療、後治療、または同時治療)。NSAIDの抗炎症作用は、少なくとも部分的に、プロスタグランジン合成の阻害による(GoodmanおよびGilman,”The Pharmacological Basis of Therapeutics”,MacMillan 第7版(1985)中)。NSAIDは少なくとも9群に分類可能である:(1)サリチル酸誘導体;(2)プロピオン酸誘導体;(3)酢
酸誘導体;(4)フェナム酸(fenamic acid)誘導体;(5)カルボン酸誘導体;(6)酪酸誘導体;(7)オキシカム(oxicam);(8)ピラゾール;および(9)ピラゾロン。
別の特定の態様において、本発明は、任意の1以上のサリチル酸誘導体、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。こうしたサリチル酸誘導体、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩は:アセトアミノサロール(acetaminosalol)、アロキシプリン、アスピリン、ベノリレート(benorylate)、ブロモサリゲニン(bromosaligenin)、アセチルサリチル酸カルシウム、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸コリン、ジフルシナル(diflusinal)、エテルサレート(etersalate)、フェンドサール(fendosal)、ゲンチシン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル酸リジン、メサラミン、サリチル酸モルホリン、サリチル酸1−ナフチル、オルサラジン、パルサルミド(parsalmide)、アセチルサリチル酸フェニル、サリチル酸フェニル、サラセタミド(salacetamide)、サリチルアミドO−酢酸、サルサレート(salsalate)、サリチル酸ナトリウムおよびスルファサラジンを含む。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するサリチル酸誘導体もまた、このグループに含まれるものと意図される。
さらなる特定の態様において、本発明は、任意の1以上のプロピオン酸誘導体、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。プロピオン酸誘導体、そのプロドラッグ・エステル、および薬学的に許容されうる塩は:アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ酸(bucloxic acid)、カルプロフェン、デキシンドプロフェン(dexindoprofen)、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルプロフェン(fluprofen)、フルルビプロフェン、フルクロプロフェン(furcloprofen)、イブプロフェン、イブプロフェンアルミニウム、イブプロキサム、インドプロフェン、イソプロフェン(isoprofen)、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ミロプロフェン(miroprofen)、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピケトプロフェン(piketoprofen)、ピメプロフェン(pimeprofen)、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、ピリドキシプロフェン(pyridoxiprofen)、スプロフェン、チアプロフェン酸およびチオキサプロフェン(tioxaprofen)を含む。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するプロピオン酸誘導体もまた、このグループに含まれるものと意図される。
さらに別の特定の態様において、本発明は、任意の1以上の酢酸誘導体、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。酢酸誘導体、そのプロドラッグ・エステル、および薬学的に許容されうる塩は:アセメタシン、アルクロフェナク、アンフェナク、ブフェキサマク、シンメタシン(cinmetacin)、クロピラク、デルメタシン(delmetacin)、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロフェナク(fenclofenac)、フェンクロラク(fenclorac)、フェンクロジン酸(fenclozic acid)、フェンチアザク、フロフェナク(furofenac)、グルカメタシン(glucametacin)、イブフェナク、インドメタシン、イソフェゾラク(isofezolac)、イソキセパク(isoxepac)、ロナゾラク、メチアジン酸、オキサメタシン、オキシピナク(oxpinac)、ピメタシン(pimetacin)、プログルメタシン、スリンダク、タルメタシン(talmetacin)、チアラミド、チオピナク(tiopinac)、トルメチン、トルメチンナトリウム、ジドメタシン(zidometacin)およびゾメピラックを含む。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連する酢酸誘導体もまた、このグループに含まれるものと意図される。
別の特定の態様において、本発明は、任意の1以上のフェナム酸誘導体、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。フェナム酸誘導体、そのプロドラッグ・エステル、および薬学的に許容されうる塩は:エンフェナム酸(enfenamic acid)、エトフェナメート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、メドフェナム酸(medofenamic acid)、メフェナム酸、ニフルミン酸、タルニフルメート(talniflumate)、テロフェナメート(terofenamate)、トルフェナム酸およびウフェナメートを含む。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するフェナム酸誘導体もまた、このグループに含まれるものと意図される。
さらなる特定の態様において、本発明は、任意の1以上のカルボン酸誘導体、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。使用可能なカルボン酸誘導体、そのプロドラッグ・エステル、および薬学的に許容されうる塩は:クリダナク、ジフルニサール、フルフェニサール(flufenisal)、イノリジン(inoridine)、ケトロラクおよびチノリジンを含む。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するカルボン酸誘導体もまた、このグループに含まれるものと意図される。
さらなる別の特定の態様において、本発明は、任意の1以上の酪酸誘導体、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。酪酸誘導体、そのプロドラッグ・エステル、および薬学的に許容されうる塩は:ブマジゾン、ブチブフェン(butibufen)、フェンブフェンおよびキセンブシン(xenbucin)を含む。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連する酪酸誘導体もまた、このグループに含まれるものと意図される。
別の特定の態様において、本発明は、任意の1以上のオキシカム、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。オキシカム、そのプロドラッグ・エステル、および薬学的に許容されうる塩は:ドロキシカム、エノリカム(enolicam)、イソキシカム(isoxicam)、ピロキシカム、スドキシカム(sudoxicam)、テノキシカムおよび4−ヒドロキシル−1,2−ベンゾチアジン 1,1−ジオキシド4−(N−フェニル)−カルボキサミドを含む。類似の鎮痛
および抗炎症特性を有する、構造的に関連するオキシカムもまた、このグループに含まれるものと意図される。
さらなる別の特定の態様において、本発明は、任意の1以上のピラゾール、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。使用可能なピラゾール、そのプロドラッグ・エステル、および薬学的に許容されうる塩は:ジフェナミゾール(difenamizole)およびエピリゾールを含む。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するピラゾールもまた、このグループに含まれるものと意図される。
さらなる特定の態様において、本発明は、任意の1以上のピラゾロン、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。使用可能なピラゾロン、そのプロドラッグ・エステル、および薬学的に許容されうる塩は:アパゾン、アザプロパゾン、ベンズピペリロン(benzpiperylon)、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン(morazone)、オキシフェンブタゾン、フェニルブゾン、ピペブゾン(pipebuzone)、プロピルフェナゾン(propylphenazone)、ラミフェナゾン(ramifenazone)、スキシブゾンおよびチアゾリノブタゾン(thiazolinobutazone)を含む。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するピラゾロンもまた、このグループに含まれるものと意図される。
別の特定の態様において、本発明は、任意の1以上の以下のNSAIDと組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する:ε−アセトアミドカプロン酸、S−アデノシル−メチオニン、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン(amixetrine)、アニトラザフェン(anitrazafen)、アントラフェニン(antrafenine)、ベンダザック、ベンダザックリジネート(bendazac lysinate)、ベンジダミン、ベプロジン(beprozin)、ブロペラモール(broperamole)、ブコローム、ブフェゾラク(bufezolac)、シプロキアゾン(ciproquazone)、クロキシメート(cloximate)、ダジダミン(dazidamine)、デボキサメト(deboxamet)、デトミジン(detomidine)、ジフェンピラミド、ジフェンピラミド(difenpyramide)、ジフィサラミン(difisalamine)、ジタゾール、エモルファゾン、メシル酸ファネチゾール(fanetizole mesylate)、フェンフルミゾール(fenflumizole)、フロクタフェニン、フルミゾール(flumizole)、フルニキシン(flunixin)、フルプロキアゾン(fluproquazone)、フォピルトリン(fopirtoline)、ホスフォサール(fosfosal)、グアイメサール(guaimesal)、グアイアゾレン(guaiazolene)、イソニキシルン(isonixirn)、塩酸レフェタミン、レフルノミド、ロフェミゾール(lofemizole)、ロチファゾール(lotifazole)、リジンクロニキシネート(lysin clonixinate)、メセクラゾン(meseclazone)、ナブメトン、ニクチンドール(nictindole)、ニメスリド、オルゴテイン、オルパノキシン(orpanoxin)、オキサセプロール、オキサパドール(oxapadol)、パラニリン(paranyline)、ペリソキサール、クエン酸ペリソキサール、ピフォキシム(pifoxime)、ピプロキセン(piproxen)、ピラゾラク(pirazolac)、ピルフェニドン、プロカゾン、プロキサゾール、チエラビンB(thielavin B)、チフラミゾール(tiflamizole)、チメガジン(timegadine)、トレクチン(tolectin)、トルパドール(tolpadol)、トリプタミド(tryptamid)、ならびに480156S、AA861、AD1590、AFP802、AFP860、AI77B、AP504、AU8001、BPPC、BW540C、CHINOIN 127、CN100、EB382、EL508、F1044、FK−506、GV3658、ITF182、KCNTEI6090、KME4、LA2851、MR714、MR897、MY309、ONO3144、PR823、PV102、PV108、R830、RS2131、SCR152、SH440、SIR133、SPAS510、SQ27239、ST281、SY6001、TA60、TAI−901(4−ベンゾイル−1−インダンカルボン酸)、TVX2706、U60257、UR2301およびWY41770などの企業コード番号で示されるものを含む。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するNSAIDもまた、このグループに含まれるものと意図される。
さらに別の特定の態様において、本発明は、本明細書に列挙する疾患および障害の治療のための、任意の1以上のコルチコステロイド、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。コルチコステロイド、そのプロドラッグ・エステル、および薬学的に許容されうる塩には、ヒドロコルチゾン、およびヒドロコルチゾンに由来する化合物、例えば21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメラゾン(alclomerasone)、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、クロベタゾン、酪酸クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコン(deflazacon)、デソニド、デソキシメラゾン(desoximerasone)、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコルト(fluazacort)、フルクロロニド(flucloronide)、フルメタゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルシノロンアセトニド(flucinolone acetonide)、フルニソリド、フルオシノニド、フルオロシノロンアセトニド(fluorocinolone acetonide)、フルオコルチンブチル(fluocortin butyl)、フルオコルトロン、ヘキサン酸フルオコルトロン、吉草酸ジフルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン(fluperolone acetate)、酢酸フルプレドニデン(fluprednidene acetate)、フルプレドニゾロン、フルランデノリド(flurandenolide)、ホルモコータル、ハルシノニド、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾン21−ナトリウム、テブト酸ヒドロコルチゾン(hydrocortisone tebutate)、マジプレドン(mazipredone)、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン21−ジエドリアミノアセテート(prednisolone 21−diedryaminoacetate)、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロンナトリウム21−m−スルホベンゾエート、プレドニゾロンナトリウム21−ステアログリコレート、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾロン21−m−トリメチルアセテート、プレドニゾン、プレドニバル(prednival)、プレドニリデン、プレドニリデン21−ジエチルアミノアセテート、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド(triamcinolone benetonide)およびトリアムシノロンヘキサセトニドが含まれる。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するコルチコステロイドもまた、このグループに含まれるものと意図される。
別の特定の態様において、本発明は、本明細書に列挙する疾患および障害の治療のための、任意の1以上の遅効性抗リウマチ剤(SAARD)または疾患修飾性抗リウマチ剤(DMARD)、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。SAARDまたはDMARD、そのプロドラッグ・エステル、および薬学的に許容されうる塩は:アロクプレイドナトリウム(allocupreide sodium)、オーラノフィン、オーロチオグルコース、オーロチオグリカニド、アザチオプリン、ブレキナルナトリウム、ブシラミン、3−オーロチオ−2−プロパノール−1−スルホン酸カルシウム、クロラムブシル、クロロキン、クロブザリット(clobuzarit)、クプロキソリン(cuproxoline)、シクロ−ホスファミド、シクロスポリン、ダプソン、15−デオキシスパガリン、ジアセレイン、グルコサミン、金塩(例えばシクロキン(cycloquine)金塩、チオリンゴ酸金ナトリウム、チオ硫酸金ナトリウム)、ヒドロキシクロロキン、硫酸ヒドロキシクロロキン、ヒドロキシ尿素、ケブゾン、レバミソール、ロベンザリット、メリチン、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ミゾリビン、ミコフェノール酸モフェチル、ミオラール(myoral)、ナイトロジェンマスタード、D−ペニシラミン、ピリジノールイミダゾール、例えばSKNF86002およびSB203580、ラパマイシン、チオール、サイモポエチンおよびビンクリスチンを含む。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するSAARDまたはDMARDもまた、このグループに含まれるものと意図される。
別の特定の態様において、本発明は、本明細書に列挙する疾患および障害の治療のための、任意の1以上のCOX2阻害剤、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。COX2阻害剤、そのプロドラッグ・エステル、または薬学的に許容されうる塩には、例えば、セレコキシブが含まれる。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するCOX2阻害剤もまた、このグループに含まれるものと意図される。COX2選択的阻害剤には、限定されるわけではないが、エトリコキシブ、バルデコキシブ、セレコキシブ、リコフェロン(licofelone)、ルミラコキシブ、ロフェコキシブ等が含まれる。
本明細書に列挙する疾患および障害の治療には、本明細書に提供する1以上のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストでの治療と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、罹患個体の気道における過敏性などの炎症反応を制御するために最初に選択される薬剤の使用が含まれてもよい。こうした疾患または状態の治療にしばしば用いられる薬剤には、ベータ2−アゴニスト、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、抗炎症剤、抗コリン作用剤、気管支拡張剤、コルチコステロイド、およびこうした剤の組み合わせが含まれる。以下の化合物に関する情報は、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,第18版,Merck,Sharp & Dohme Research Laboratories,Merck & Co.,ニュージャージー州ローウェイ(2006)およびPharmaprojects,PJB Publications Ltd.中に見出されうる。
さらなる特定の態様において、本発明は、本明細書に列挙する疾患および障害の治療のための、任意の1以上のベータ−2アゴニスト、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。ベータ−2アゴニスト、そのプロドラッグ・エステル、および薬学的に許容されうる塩の例には、例えば、アルブテロール(Accuneb(登録商標)、Proair HFA(登録商標)、Proventil(登録商標)HFA、Ventolin HFA(登録商標))、メタプロテレノール(Alupent(登録商標)、Alupent(登録商標)吸入溶液、Alupent(登録商標)シロップ)、酢酸ピルブテロール(Maxair Autohaler(登録商標))、および硫酸テルブタリン(Brethair(登録商標)、Brethine(登録商標))が含まれる。そのうちいくつかを他の剤(例えば、Advair(登録商標)、Symbicort(登録商標)、Serevent(登録商標)、およびForadil(登録商標))と組み合わせる、長期作用ベータ−2アゴニストもまた知られており、そしてIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストと組み合わせた際に有用である。
本発明のさらなる態様は、本明細書に列挙する疾患および障害の治療のための、任意の1以上のロイコトリエン阻害剤、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。ロイコトリエン阻害剤、そのプロドラッグ・エステル、および薬学的に許容されうる塩の例には、例えば、ジロートン(Zyflo(登録商標))、ザフィルルカスト(Accolate(登録商標))、およびモンテルカスト(Singulair(登録商標))が含まれる。
さらなる特定の態様において、本発明は、本明細書に列挙する疾患および障害の治療のための、任意の1以上のメチルキサンチン、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。メチルキサンチン、そのプロドラッグ・エステル、または薬学的に許容されうる塩の例には、例えば、テオフィリン(例えば、Bronkodyl(登録商標)、Elixophyllin(登録商標)、Slo−bid(登録商標)、Slo−Phyllin(登録商標)、Theo−24(登録商標)、Theo−Dur(登録商標)、Theolair(登録商標)、Uniphyl(登録商標))およびアミノフィリン(例えば、Phyllocontin(登録商標)、Truphylline(登録商標))が含まれる。
別の特定の態様において、本発明は、本明細書に列挙する疾患および障害の治療のための、任意の1以上の抗炎症剤、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。こうした抗炎症剤の例には、限定されるわけではないが、クロモリン(Nasalcrom(登録商標)、Intal(登録商標)、Opticrom(登録商標))およびネドクロミル(Tilade(登録商標))が含まれる。
本発明のさらなる態様は、本明細書に列挙する疾患および障害の治療のための、任意の1以上の抗コリン作用剤、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。こうした抗コリン作用剤、そのプロドラッグ・エステル、または薬学的に許容されうる塩の例には、限定されるわけではないが、臭化イプラトロピウム(Atrovent(登録商標))およびチオトロピウム(Spiriva(登録商標))が含まれる。
さらなる特定の態様において、本発明は、本明細書に列挙する疾患および障害の治療のための、任意の1以上のコルチコステロイド、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。吸入コルチコステロイドの例には、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(Beclovent(登録商標)、Beconase(登録商標)、Vancenase(登録商標)、およびVanceril(登録商標))、トリアムシノロンアセトニド(Azmacort(登録商標)、Nasacort(登録商標)、Tri−Nasal(登録商標))、およびフルニソリド(Aerobid(登録商標)、Nasalide(登録商標))が含まれる。本発明において有用な他のコルチコステロイドの例には、プレドニゾン(Prednisone Intensol(登録商標)、Sterapred(登録商標))およびプレドニゾロン(Orapred(登録商標)、Pediapred(登録商標)、Prelone(登録商標))が含まれる。
本発明のさらに別の特定の態様は、本明細書に列挙する疾患および障害の治療のための、任意の1以上の吸入ベータ−2アゴニスト、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。コルチコステロイド、そのプロドラッグ・エステル、または薬学的に許容されうる塩の例には、例えば、アルブテロール(Ventolin(登録商標)、Proventil(登録商標))、メタプロテレノール(Alupent(登録商標))、酢酸ピルブテロール(Maxair(登録商標))、テルブタリン(Brethine(登録商標)、Brethaire(登録商標))、イソエタリン(Bronkosol(登録商標))およびレバルブテロール(levalbuterol)(Xopenex(登録商標))が含まれる。
さらなる特定の態様において、本発明は、本明細書に列挙する疾患および障害の治療のための、任意の1以上の気管支拡張剤(または抗コリン作用剤)、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。気管支拡張剤の例には、イプラトロピウム(Atrovent(登録商標))およびチオトロピウム(Spiriva(登録商標))が含まれる。
本明細書に列挙する疾患および障害の治療には、本明細書に提供する1以上のIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストでの治療と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、感染性疾患を治療するかまたは制御するために最初に選択される薬剤の使用が含まれてもよい。こうした疾患または状態の治療にしばしば用いられる薬剤には、抗生物質、抗微生物剤、抗ウイルス剤、およびこうした剤の組み合わせが含まれる。以下の化合物に関する情報は、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,第18版,Merck,Sharp & Dohme Research Laboratories,Merck & Co.,ニュージャージー州ローウェイ(2006)およびPharmaprojects,PJB Publications Ltd.中に見出されうる。
さらに別の特定の態様において、本発明は、本明細書に列挙する疾患および障害の治療のための、任意の1以上の抗微生物剤、そのプロドラッグ・エステルまたは薬学的に許容されうる塩と組み合わせた(前治療、後治療、または同時治療)、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの使用に関する。抗微生物剤には、例えば、広いクラスのペニシリン、セファロスポリンおよび他のベータ−ラクタム、アミノグリコシド、アゾール、キノロン、マクロライド、リファマイシン、テトラサイクリン、スルホンアミド、リンコサミドおよびポリミキシンが含まれる。ペニシリンには、限定されるわけではないが、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フロキサシリン、アンピシリン、アンピシリン/スルバクタム、アモキシシリン、アモキシシリン/クラブラネート、ヘタシリン、シクラシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、カルベニシリンインダニル(carbenicillin indanyl)、チカルシリン、チカルシリン/クラブラネート、アズロシリン、メズロシリン、ペペラシリン(peperacillin)およびメシリナムが含まれる。セファロスポリンおよび他のベータ−ラクタムには、限定されるわけではないが、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セフラジン、セファゾリン、セファドロキシル、セファクロル、セファマンドール、セフォテタン、セフォキシチン、セルロキシム(ceruroxime)、セフォニシド、セフォラジン(ceforadine)、セフィキシム、セフォタキシム、モキサラクタム、セフチゾキシム、セトリアキソン(cetriaxone)、セフォペラゾン(cephoperazone)、セフタジジム、イミペネムおよびアズトレオナムが含まれる。アミノグリコシドには、限定されるわけではないが、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、カナマイシンおよびネオマイシンが含まれる。アゾールには、限定されるわけではないが、フルコナゾールが含まれる。キノロンには、限定されるわけではないが、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、エノキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシンおよびテマフロキサシンが含まれる。マクロライドには、限定されるわけではないが、エリスロマイシン、スピラマイシンおよびアジスロマイシンが含まれる。リファマイシンには、限定されるわけではないが、リファンピンが含まれる。テトラサイクリンには、限定されるわけではないが、スピサイクリン(spicycline)、クロルテトラサイクリン、クロモサイクリン、デメクロサイクリン、デオキシサイクリン、グアメサイクリン(guamecycline)、リメサイクリン、メクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、ペニメピサイクリン、ピパサイクリン(pipacycline)、ロリテトラサイクリン、サンサイクリン(sancycline)、セノサイクリン(senociclin)およびテトラサイクリンが含まれる。スルホンアミドには、限定されるわけではないが、スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、スルファセタミド、スルファジアジン、スルフイソキサゾールおよびコトリモキサゾール(トリメトプリム/スルファメトキサゾール)が含まれる。リンコサミドには、限定されるわけではないが、クリンダマイシンおよびリンコマイシンが含まれる。ポリミキシン(ポリペプチド)には、限定されるわけではないが、ポリミキシンBおよびコリスチンが含まれる。
4.0 スクリーニングアッセイ
さらなる態様には、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体のアンタゴニストに関してスクリーニングする方法が含まれる。当該技術分野に知られ、そしてIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体のアンタゴニストを同定するのに適応可能なスクリーニングアッセイ形式が意図される。例えば:IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体中のIL−17RAおよびIL−17RBを提供し;前記受容体複合体に候補剤を曝露し;そして候補剤に曝露されていないものに比較して、受容体複合体形成量を決定する工程を含む、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体のアンタゴニストに関してスクリーニングする方法。候補剤を受容体複合体に曝露する工程は、IL−17RAおよびIL−17RBがIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体を形成する前、形成する間、または形成した後であってもよい。
さらなる態様には、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体中のIL−17RAおよびIL−17RBを提供し;前記受容体複合体に候補剤を曝露し;1以上のIL−17リガンドを添加し;そして候補剤に曝露されていないものに比較して、IL−17RA−IL−17RBヘテロ受容体複合体活性化量を決定する工程を含む、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体活性化のアンタゴニストに関してスクリーニングする方法が含まれる。生物学的に適切な読み取り値によって測定されるように(以下を参照されたい)、1以上のIL−17リガンドの存在下で、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体活性化を減少させる候補剤は、陽性と考えられる。IL−17リガンドは、IL−17A、IL−17F、IL−25、あるいはIL−17RA、IL−17RB、またはIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体に結合し、そしてこれらを活性化させる任意の他のIL−17リガンドであってもよい。活性化は本明細書の別の場所に定義される。適切な生物学的読み取り値には、IL−5、IL−6、IL−8、IL−13、CXCL1、CXCL2、GM−CSF、G−CSF、M−CSF、IL−1β、TNFα、RANK−L、LIF、PGE2、IL−12、MMP3、MMP9、GROα、NO、ならびにIL−17RAおよび/またはIL−17RBを発現している任意の細胞から放出されることが当該技術分野に知られる任意の他の分子が含まれる。候補剤を受容体複合体に曝露する工程は、IL−17RAおよびIL−17RBがIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体を形成する前、形成する間、または形成した後であってもよい。候補剤は、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体を部分的に、すなわち100%阻害未満で阻害してもよいことが理解される。特定のアッセイ条件下では、候補剤は、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体を完全に阻害してもよい。
1つの側面において、本発明は、IL−17RAおよびIL−17RBの会合、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体、ならびにIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体の活性化に対する、候補剤の影響を検出する、細胞に基づくアッセイを提供する。したがって、本発明は、17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体アンタゴニストに関してスクリーニングするため、細胞への候補剤の添加を提供する。
「候補剤」または「候補薬剤」によって、本明細書において、限定されるわけではないが、本明細書に概略するように、活性に関してスクリーニング可能な、ペプチド、ペプチドの融合タンパク質(例えば、共有的にまたは非共有的に他のタンパク質に結合している、IL−17RA、IL−17RB、またはIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体に結合するペプチド、例えば、当該技術分野に知られる抗体またはタンパク質に基づく足場の断片)、タンパク質、抗体、既知の薬剤および薬剤候補を含む小有機分子、多糖、脂肪酸、ワクチン、核酸などを記載する。
候補剤は多くの化学的クラスを含む。1つの態様において、候補剤は有機分子、好ましくは100より大きく、そして約2,500ダルトン未満の分子量を有する小有機化合物である。100より大きく、そして約2,000ダルトン未満、より好ましくは約1500ダルトン未満、より好ましくは約1000ダルトン未満、より好ましくは500ダルトン未満の分子量を有する小有機化合物が含まれる。候補剤は、タンパク質と構造的相互作用、特に水素結合に必要な官能基を含み、そして典型的には、アミン、カルボニル、ヒドロキシルまたはカルボキシル基の少なくとも1つ、好ましくは官能化学基の少なくとも2つを含む。候補剤は、しばしば、1以上の上記官能基で置換された、環状炭素または複素環構造および/または芳香族または多環芳香族構造を含む。候補剤はまた、ペプチド、サッカリド、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、その誘導体、構造的類似体を含む生体分子またはその組み合わせの中にも見出される。
候補剤は、合成または天然化合物のライブラリーを含む非常に多様な供給源から得られる。例えば、ランダム化オリゴヌクレオチドおよびペプチドの発現および/または合成を含む多くの手段が、非常に多様な有機化合物および生体分子のランダムおよび有向(directed)合成に利用可能である。あるいは、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形の天然化合物ライブラリーが入手可能であるか、または容易に産生される。さらに、天然のまたは合成で産生されたライブラリーおよび化合物は、慣用的な化学的、物理的および生化学的手段を通じて、容易に修飾される。既知の薬理学的剤を、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化などの有向またはランダム化学修飾に供して、構造的類似体を産生してもよい。
別の態様において、候補生物活性剤は、タンパク質またはタンパク質の断片であってもよい。したがって、例えば、タンパク質を含有する細胞抽出物、あるいはタンパク質性細胞抽出物のランダムまたは有向消化物を用いてもよい。この方式で、本明細書記載の系におけるスクリーニングのため、原核および真核タンパク質のライブラリーを作製してもよい。この態様に含まれるのは、細菌、真菌、ウイルス、およびヒトタンパク質を含む哺乳動物タンパク質のライブラリーである。
いくつかの態様において、候補剤はペプチドである。この態様において、提示構造を含むペプチド構築物を用いることが有用でありうる。「提示構造」または本明細書中の文法的同等物によって、候補生物活性剤に融合した際、候補剤に、コンホメーション的に制限された型を取らせる配列を意味する。タンパク質は、主に、コンホメーション的に制約されたドメインを通じて、互いに相互作用する。自由に回転するアミノおよびカルボキシル末端を持つ小さいペプチドは、当該技術分野に知られるように、強力な機能を有しうるが、ペプチド模倣体合成に関して側鎖位を予測することが不可能であるため、こうしたペプチド構造を薬理学的剤に変換するのは困難である。したがって、コンホメーション的に制約された構造にあるペプチドの提示は、より後の薬剤の生成に有益であり、そしてかつまた、ターゲットタンパク質とペプチドのより高いアフィニティ相互作用を導く可能性が高い。この事実は、細菌ファージ系において、生物学的に生成された短いペプチドを用いたコンビナトリアルライブラリー生成系において認識されてきている。多くの研究者が、ランダム化ペプチド構造を提示しうる、小ドメイン分子を構築してきている。特定の提示構造は、外部ループ上に提示されることによって、ペプチドへのアクセス可能性を最大にする。したがって、適切な提示構造には、限定されるわけではないが、ミニボディ構造、構造にさほど重要ではない残基がランダム化されたベータ−シートターン上のループおよびコイルドコイル・ステム構造、ジンクフィンガードメイン、システイン連結(ジスルフィド)構造、トランスグルタミナーゼ連結構造、環状ペプチド、B−ループ構造、らせんバレルまたはバンドル、ロイシンジッパーモチーフ等が含まれる。本明細書に援用される米国特許第6,153,380号を参照されたい。
スクリーニングアッセイにおいて特に有用なのには、ファージ・ディスプレイライブラリーがあり;ファージ・ディスプレイ法および構築物に関しては、例えば、その全体が本明細書に完全に援用される、米国特許第5,223,409号;第5,403,484号;第5,571,698号;および第5,837,500号を参照されたい。一般的に、ファージ・ディスプレイライブラリーは、合成タンパク質(例えばペプチド)挿入物を利用してもよいし、またはゲノム、cDNA等の消化物を利用してもよい。
アッセイおよび所望の結果に応じて、真核細胞および原核細胞を含む非常に多様な細胞種を用いてもよく、哺乳動物細胞およびヒト細胞が本発明において特別に使用法を見出す。1つの態様において、細胞を遺伝子操作してもよく、例えば、これらはIL−17RAおよびIL−17RBをコードするものなどの外因性核酸を含有してもよい。いくつかの例において、本発明のIL−17RAおよびIL−17RBタンパク質を操作して、限定されるわけではないが、免疫沈降アッセイで使用するためのまたは他の使用のためのものを含む、エピトープタグなどの標識を含ませる。
候補剤を細胞に添加して、そして適切な期間インキュベーションを可能にする。候補剤を受容体複合体に曝露する工程は、IL−17RAおよびIL−17RBがIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体を形成する前、形成する間、または形成した後であってもよい。1つの態様において、IL−17RAおよびIL−17RBの会合を、候補剤の存在下および非存在下で評価する。例えば、タグ化構築物および抗体を用いることによって、免疫沈降実験を行ってもよい。次いで、IL−17RAおよびIL−17RB会合に干渉する候補剤を、IL−17リガンドファミリーメンバー(IL−17AおよびIL−17Fなど)シグナル伝達活性に関して、例えば上述のような、IL−17リガンドファミリーメンバーによって活性化される遺伝子の発現に関して試験することによって、試験する。
いくつかの態様において、IL−17RAおよび/またはIL−17RBタンパク質は融合タンパク質である。例えば、別の異種ポリペプチドまたはアミノ酸配列に融合したアポタンパク質(すなわちキメラ分子または複合体のタンパク質部分)を含むキメラ分子を形成する方式で、受容体タンパク質を修飾してもよい。1つの態様において、こうしたキメラ分子は、抗タグ抗体が選択的に結合可能なエピトープを提供するタグポリペプチドと1以上の受容体との融合体を含む。エピトープタグは、一般的に、受容体タンパク質のアミノまたはカルボキシル末端に置かれる。タグポリペプチドに対する抗体を用いて、受容体のこうしたエピトープタグ化型の存在を検出してもよい。また、エピトープタグを提供すると、抗タグ抗体、またはエピトープタグに結合する別のタイプのアフィニティマトリックスを用いたアフィニティ精製によって、受容体ポリペプチドを容易に精製することが可能である。本明細書に概略するように、固体支持体への固定にこれらのエピトープタグを用いてもよい。
多様なタグポリペプチドおよびそれぞれの抗体が当該技術分野に周知である。例には、ポリ−ヒスチジン(ポリ−his)またはポリ−ヒスチジン−グリシン(ポリ−his−gly)タグ;flu HAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5[Fieldら,Mol.Cell.Biol.,8:2159−2165(1988)];c−mycタグ、ならびにそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10抗体[Evanら,Molecular and Cellular Biology,5:3610−3616(1985)];ならびに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体[Paborskyら,Protein Engineering,3(6):547−553(1990)]が含まれる。他のタグポリペプチドには、FLAGGTM−ペプチド[Hoppら,BioTechnology,6:1204−
1210(1988)];KT3エピトープペプチド[Martinら,Science,255:192−194(1992)];チューブリンエピトープペプチド[Skinnerら,J.Biol.Chem.,266:15163−15166(1991)];およびT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lutz−Freyermuthら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6393−6397(1990)]が含まれる。
多様な発現ベクターを作製してもよい。発現ベクターは、自己複製染色体外ベクター、または宿主ゲノム内に組み込まれるベクターであってもよい。一般的に、これらの発現ベクターには、金属タンパク質をコードする核酸に、機能可能であるように連結された転写および翻訳制御核酸が含まれる。用語「制御配列」は、特定の宿主生物において、機能可能であるように連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。原核生物に適した制御配列には、例えば、プロモーター、場合によってオペレーター配列、およびリボソーム結合部位が含まれる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用することが知られる。
いくつかの態様において、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体への結合阻害アッセイは、in vitroで行われる。例えば、アッセイ混合物(候補剤、IL−17RAおよびIL−17RB)の構成要素を表面上に固定し、他の構成要素を添加する(いくつかの態様において、このうち1つを標識する)。例えば、IL−17RAまたはIL−17RBを表面に付着させ、候補剤および標識IL−17RAおよび/またはIL−17RBを添加する。洗浄後、標識の存在を評価する。この態様において、当該技術分野に知られるように、IL−17RAおよびIL−17RBタンパク質を単離する。
一般的に、当該技術分野に知られるように付着を行い、そして付着は、付着させようとする2つの物質の組成に応じるであろう。一般的に、各構成要素上の官能基を使用して、付着リンカーを利用し、これを次いで付着に用いてもよい。付着のための官能基は、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基、ヒドロキシル基およびチオール基である。次いで、これらの官能基を、リンカーの使用を通じて、直接または間接的にのいずれかで付着させてもよい。リンカーは当該技術分野に周知であり;例えば、ホモまたはヘテロ二重官能性リンカーもまた周知である(本明細書に援用される、1994 Pierce Chemical社カタログ、架橋剤に関する技術セクション、155−200ページを参照されたい)。付着リンカーには、限定されるわけではないが、アルキル基(置換アルキル基、およびヘテロ原子部分を含有するアルキル基を含む)が含まれ、短鎖アルキル基、エステル、アミド、アミン、エポキシ基およびエチレングリコールおよび誘導体が含まれる。あるいは、融合パートナーを用いる;適切な融合パートナーには、他の固定構成要素が含まれ、例えばニッケルを含む表面に付着させるためのヒスチジンタグ、リンカーおよび標識を付着させるための機能的構成要素など、ならびにタンパク質性標識がある。
1つの態様において、特に候補剤が固体支持体上に固定される場合、適切な融合パートナーは自己蛍光タンパク質標識である。適切なタンパク質性蛍光標識にはまた、限定されるわけではないが、レニラ属、プティロサルクス属、またはエクオレラ属種の緑色蛍光タンパク質(GFP)を含むGFP(Chalfieら,1994,Science 263:802−805)、EGFP(Clontech Laboratories,Inc.、Genbank寄託番号U55762)、青色蛍光タンパク質(BFP、Quantum Biotechnologies,Inc.1801 de Maisonneuve Blvd.West,8th Floor,Montreal,Quebec,Canada H3H 1J9;Stauber,1998,Biotechniques 24:462−471;Heimら,1996,Curr.Biol.6:178−182)、増進黄色蛍光タンパク質(EYFP、Clontech Laboratories,Inc.)、ルシフェラーゼ(Ichikiら,1993,J.Immunol.150:5408−5417)、βガラクトシダーゼ(Nolanら,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2603−2607)およびレニラ属(WO92/15673、WO95/07463、WO98/14605、WO98/26277、WO99/49019、米国特許第5292658号、第5418155号、第5683888号、第5741668号、第5777079号、第5804387号、第5874304号、第5876995号、第5925558号)も含まれる。上に引用する参考文献はすべて、本明細書に完全に援用される。
組成物が結合可能であり、可溶性物質から容易に分離され、そしてそれ以外はスクリーニング法全体と適合可能である、不溶性支持体を任意の組成で作製してもよい。こうした支持体の表面は、固体または多孔および任意の好適な形状であってもよい。適切な支持体の例には、マイクロタイタープレート、アレイ、膜およびビーズが含まれ、そして限定されるわけではないが、ガラスおよび修飾または官能化ガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレン、ならびにスチレンおよび他の物質のコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)などを含む)、多糖、ナイロンまたはニトロセルロース、樹脂、シリカ、またはシリコンおよび修飾シリコンを含むシリカに基づく物質、炭素、金属、無機ガラス、プラスチック、セラミックス、および多様な他のポリマーが含まれる。いくつかの態様において、固体支持体は、光学検出を可能にし、そしてそれ自体、認識可能な蛍光を生じない。さらに、当該技術分野に知られるように、固体支持体を任意の数の物質でコーティングしてもよく、これには、デキストラン、アクリルアミド、ゼラチン、アガロース等のポリマーが含まれる。例示的な固体支持体には、シリコン、ガラス、ポリスチレンおよび他のプラスチックおよびアクリルが含まれる。マイクロタイタープレートおよびアレイが特に好適であり、これは少量の試薬および試料を用いて、多数のアッセイを同時に実行可能であるためである。試薬および本発明の方法全体と適合し、組成物の活性を維持し、そして非拡散性である限り、組成物の結合の特定の方式はさほど重大ではない。
剤−ターゲット相互作用を支持する反応条件下で、候補剤をアッセイの他の構成要素と接触させる。一般的に、これは生理学的条件であろう。最適活性を促進する任意の温度でインキュベーションを行ってもよく、典型的にはこれは4〜40℃の間である。最適活性のためにインキュベーション期間を選択するが、また、迅速ハイスループットスクリーニングを促進するため、最適化してもよい。典型的には、0.1〜1時間の間が十分であろう。一般的には、固相アッセイの場合、過剰な試薬を取り除くかまたは洗浄する。アッセイ形式を以下に論じる。
多様な他の試薬をアッセイに含んでもよい。これらには、最適なアポタンパク質−剤結合を促進し、そして/または非特異的またはバックグラウンド相互作用を減少させるのに使用可能な、塩、中性タンパク質、例えばアルブミン、界面活性剤等の試薬が含まれる。また、別の方式でアッセイの効率を改善する試薬、例えばプロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗微生物剤等を用いてもよい。必要な結合を提供する、構成要素の混合物を、任意の順序で添加してもよい。
1つの態様において、ハイスループットスクリーニングのため、本明細書に概略するアッセイいずれかは、ロボット系を利用してもよい。多くの系は、一般的に、96(またはそれより多い)ウェル・マイクロタイタープレートの使用に関するが、当業者に認識されるであろうように、任意の数の異なるプレートまたは立体配置を用いてもよい。さらに、本明細書に概略するあらゆる工程を自動化してもよく;したがって、例えば、系を完全にまたは部分的に自動化してもよい。
当業者に認識されるであろうように、使用可能な非常に多様な構成要素があり、これには、限定されるわけではないが、1以上のロボットアーム;マイクロプレートを位置づけるためのプレート取り扱い装置;非交差混入プレート上のウェル用に、フタを取り除きそして交換する、自動化フタ取り扱い装置;使い捨てチップを用いた、試料分配用のチップ・アセンブリー;試料分配のための洗浄可能チップ・アセンブリー;96ウェル装填ブロック;冷却試薬ラック;マイクロタイタープレートピペット配置(場合によって冷却されている);プレートおよびチップ用のスタッキング・タワー;ならびにコンピュータ系が含まれる。
完全ロボットまたは微量流体系には、自動化された、液体、粒子、細胞および生物取り扱い装置が含まれ、スクリーニング適用のすべての工程を実行する、ハイスループットピペッティングが含まれる。これには、液体、粒子、細胞、および生物操作、例えば吸引、分配、混合、希釈、洗浄、正確な体積の移動;ピペットチップの回収および廃棄;ならびに試料を一回吸引してから多数回送達するための同一体積の反復ピペッティングが含まれる。これらの操作は交差混入がない、液体、粒子、細胞、および生物トランスファーである。この装置は、マイクロプレート試料からフィルター、膜、および/または娘プレートへの自動化複製、高密度移動、全プレート連続希釈、および高性能操作を実行する。
1つの態様において、アッセイ構成要素に特異性を持つ、化学的に誘導体化された粒子、プレート、試験管、磁気粒子、または他の固相マトリックスを用いる。マイクロプレート、試験管または任意の固相マトリックスの結合表面には、非極性表面、高極性表面、共有結合を促進する修飾デキストランコーティング、抗体コーティング、融合タンパク質またはペプチドに結合するアフィニティ媒体、組換えタンパク質AまたはGなどの表面固定タンパク質、ヌクレオチド樹脂またはコーティング、および他のアフィニティマトリックスが、本発明で有用である。
1つの態様において、多様な体積のマルチウェルプレート、マルチチューブ、ミニチューブ、深底プレート、微量遠心管、凍結バイアル(cryovial)、正方形ウェルプレート、フィルター、チップ、光ファイバー、ビーズ、および他の固相マトリックスまたはプラットフォームを、容量を増やすためアップグレード可能なモジュラープラットフォーム上に、適応させる。このモジュラープラットフォームには、変速軌道振盪装置、エレクトロポレーター、および供給源試料、試料および試薬希釈のための多数位置作業デッキ、アッセイプレート、試料および試薬容器、ピペットチップ、ならびに能動洗浄ステーションが含まれる。
1つの態様において、制御ブロックまたはプラットフォームなどの熱交換体の温度を安定化させるために、熱サイクラーおよび熱制御系を用いて、4℃〜100℃の試料インキュベーションの正確な温度制御を提供する。
いくつかの態様において、装置には、標識およびアッセイに応じて、非常に多様な異なる検出装置であってもよい検出装置が含まれる。1つの態様において、有用な検出装置には、蛍光の多数のチャネルを持つ顕微鏡(単数または複数);単一および二重波長終点ならびに動力学的能力を備えた、蛍光、紫外および可視分光測定検出、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、SPR系、発光、消光、二光子励起、および強度再分配を提供するためのプレートリーダー;データおよび画像を捕捉し、そして定量化可能な形式に転換するCCDカメラ;ならびにコンピュータ・ワークステーションが含まれる。これらは、細胞、組織および生物のサイズ、増殖、およびこれらの上の特定のマーカーの表現型発現の監視;ターゲット検証;リード最適化;データ分析、マイニング、組織化、ならびに公的および私的データベースとハイスループットスクリーニングの統合を可能にする。
IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体は、受容体の生物学的活性型であり、そして本明細書において、炎症促進性仲介因子の放出によって、リガンド−特異的活性化に応答することが示されてきている。本明細書に例示するような多様な疾患状態は、IL−17リガンドファミリーメンバーの生理学的レベル増加と関連することが当該技術分野に知られる。1つの態様において、IL−17RA−IL−17RB抗原結合タンパク質は、生物学的試料中で、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体の検出および前記複合体を発現する細胞または組織の同定に有用である。これは、研究コミュニティに対してかなりの価値があるであろう。
本発明の抗原結合タンパク質を診断目的のために用いて、IL−17またはIL−17RAまたはIL−17RB受容体と関連する疾患および/または状態を検出するか、診断するか、または監視してもよい。本発明は、当業者に知られる古典的免疫組織学的方法を用いた、試料中のIL−17受容体の存在の検出を提供する(例えば、Tijssen,1993,Practice and Theory of Enzyme Immunoassays,vol 15(R.H.BurdonおよびP.H.van Knippenberg監修,Elsevier,Amsterdam);Zola,1987,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147−158(CRC Press,Inc.);Jalkanenら,1985,J.Cell.Biol.101:976−985;Jalkanenら,1987,J.Cell Biol.105:3087−3096)。IL−17受容体の検出を、in vivoまたはin vitroで行ってもよい。
本明細書に提供する診断適用には、IL−17、IL−17RAおよびIL−17RBタンパク質の発現、ならびにIL−17受容体へのリガンド(単数または複数)の結合を検出する、抗原結合タンパク質の使用が含まれる。IL−17受容体の存在を検出するのに有用な方法の例には、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)などのイムノアッセイが含まれる。上記に概略されるように、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体を検出するには、同時免疫沈降の使用が非常に有用である。診断適用のため、抗原結合タンパク質を、典型的には、本明細書に定義するような検出可能標識基で標識してもよい。
本発明の1つの側面は、IL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体を発現する単数または複数の細胞の同定を提供する。特定の態様において、抗原結合タンパク質を標識基で標識し、そしてIL−17受容体への標識抗原結合タンパク質の結合を検出する。さらなる特定の態様において、IL−17受容体への抗原結合タンパク質の結合をin vivoで検出する。さらなる特定の態様において、抗原結合タンパク質−IL−17受容体を単離し、そして当該技術分野に知られる技術を用いて測定する。例えば、HarlowおよびLane,1988,Antibodies:A Laboratory Manual,New York:Cold Spring Harbor(1991年版および定期的な補遺);John E.Coligan監修,1993,Current Protocols In Immunology New York:John Wiley & Sonsを参照されたい。
5.0 IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの作製
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの発現に適した宿主細胞には、原核生物、酵母、またはより高次の真核細胞が含まれる。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物細胞宿主で使用するのに適したクローニングおよび発現ベクターは、例えば、Pouwelsら Cloning Vectors:A Laboratory Manual,Elsevier,New York,(1985)に記載される。また、本明細書に開示するDNA構築物由来のRNAを用いて、細胞不含翻訳系を使用して、LDCAMポリペプチドを産生してもよい。
原核生物には、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば、大腸菌(E.coli)、バチルス属(Bacilli)が含まれる。形質転換に適した原核宿主細胞には、例えば、大腸菌、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ならびに、シュードモナス属(Pseudomonas)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、およびスタフィロコッカス属(Staphylococcus)内の多様な他の種が含まれる。原核宿主細胞、例えば大腸菌において、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストには、原核宿主細胞において組換えポリペプチドの発現を促進する、N末端メチオニン残基が含まれてもよい。発現された組換えIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストから、N末端Metを切断してもよい。
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを、好ましくは、サッカロミセス属(例えば、S.セレビシエ(S.cerevisiae))由来などの酵母宿主細胞において発現可能である。ピキア属(Pichia)、K.ラクティス(K.lactis)またはクロイベロミセス属(Kluyveromyces)などの酵母の他の属も使用可能である。酵母ベクターは、しばしば、2μ酵母プラスミド由来の複製起点配列、自律複製
配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル化のための配列、転写終結のための配列、および選択可能マーカー遺伝子を含有するであろう。酵母ベクターに適したプロモーター配列には、とりわけ、メタロチオネイン、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzemanら,J.Biol.Chem.255:2073,1980)、または、エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼなどの他の解糖酵素(Hessら,J.Adv.Enzyme Reg.7:149,1968;およびHollandら,Biochem.17:4900,1978)のプロモーターが含まれる。酵母発現に用いるのに適した他のベクターおよびプロモーターが、Hitzeman,EPA−73,657またはFleerら,Gene,107:285−195(1991);およびvan den Bergら,Bio/Technology,8:135−139(1990)にさらに記載される。別の代替物は、Russellら(J.Biol.Chem.258:2674,1982)およびBeierら(Nature 300:724,1982)に記載されるグルコース抑制性ADH2プロモーターである。上記酵母ベクター内に、大腸菌での選択および複製のためのpBR322由来のDNA配列(Ampr遺伝子および複製起点)を挿入することによって、酵母および大腸菌両方で複製可能なシャトルベクターを構築することも可能である。
酵母α因子リーダー配列を使用して、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの分泌を導くことも可能である。α因子リーダー配列は、しばしば、プロモーター配列および構造遺伝子配列の間に挿入される。例えば、Kurjanら,Cell 30:933,1982;Bitterら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:5330,1984;米国特許第4,546,082号;およびEP 324,274を参照されたい。酵母宿主由来の組換えポリペプチドの分泌を容易にするのに適した他のリーダー配列が、当業者に知られる。3’端近傍でリーダー配列を修飾して、1以上の制限部位を含有させることも可能である。これは構造遺伝子へのリーダー配列の融合を容易にするであろう。
酵母形質転換プロトコルが当業者に知られる。こうしたプロトコルの1つが、Hinnenら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:1929,1978に記載される。Hinnenらのプロトコルは、0.67%酵母窒素基剤、0.5%カザミノ酸、2%グルコース、10μg/mlアデニンおよび20μg/mlウラシルからなる選択培地中で、Trp+形質転換体を選択する。「リッチ」培地中の発現を誘導するため、ADH2プロモーター配列を含有するベクターによって形質転換された酵母宿主細胞を増殖させることも可能である。リッチ培地の例は、80μg/mlアデニンおよび80μg/mlウラシルを補った、1%酵母エキス、2%ペプトン、および1%グルコースからなるものである。ADH2プロモーターの抑制解除(derepression)は、培地からグルコースが枯渇したとき起こる。
哺乳動物または昆虫宿主細胞培養系もまた、組換えIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを発現するのに使用可能である。昆虫細胞における異種タンパク質産生のためのバキュロウイルス系が、LuckowおよびSummers,Bio/Technology 6:47(1988)に概説される。哺乳動物起源の樹立細胞株もまた、使用可能である。適切な哺乳動物宿主細胞株の例には、サル腎臓細胞のCOS−7株(ATCC CRL 1651)(Gluzmanら,Cell 23:175,1981)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、およびBHK(ATCC CRL 10)細胞株、およびMcMahanら(EMBO J.10:2821,1991)に記載されるようなアフリカミドリザル(African green monkey)腎臓細胞株CV1(ATCC CCL 70)由来であるCV−1/EBNA−1細胞株が含まれる。
哺乳動物宿主細胞発現ベクターのための転写および翻訳調節配列は、ウイルスゲノムより切り出されることも可能である。通常用いられるプロモーター配列およびエンハンサー配列は、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、シミアンウイルス40(SV40)、およびヒト・サイトメガロウイルス由来である。SV40ウイルスゲノム由来のDNA配列、例えばSV40起点、初期および後期プロモーター、エンハンサー、スプライシング、およびポリアデニル化部位を用いて、哺乳動物宿主細胞における構造遺伝子配列の発現のための他の遺伝要素を提供することも可能である。ウイルス初期および後期プロモーターは、どちらもウイルス複製起点をも含有することも可能な断片として容易にウイルスゲノムから得られるため、特に有用である(Fiersら,Nature 273:113,1978)。SV40ウイルス複製起点部位に位置するHind III部位からBgl I部位に渡る、およそ250bpの配列が含まれていれば、より小さいかまたはより大きいSV40断片もまた使用可能である。
哺乳動物宿主細胞において用いるための例示的な発現ベクターを、OkayamaおよびBerg(Mol.Cell.Biol.3:280,1983)に開示されるように構築することも可能である。C127ネズミ乳腺上皮細胞における哺乳動物cDNAの安定した高レベル発現に有用な系を、実質的にCosmanら(Mol.Immunol.23:935,1986)に記載されるように構築することも可能である。Cosmanら,Nature 312:768,1984に記載される有用な高発現ベクター、PMLSV N1/N4はATCC 39890として寄託されている。さらなる有用な哺乳動物発現ベクターは、本明細書に援用される、EP−A−0367566および米国特許出願第07/701,415号、1991年5月16日出願に記載されている。ベクターは、レトロウイルス由来であることも可能である。天然シグナル配列の代わりに、そしてイニシエーター・メチオニンに加えて、米国特許第4,965,195号に記載されるIL−7のシグナル配列;Cosmanら,Nature 312:768(1984)に記載されるIL−2受容体のシグナル配列;EP 367,566に記載されるIL−4シグナルペプチド;米国特許第4,968,607号に記載されるI型IL−1受容体シグナルペプチド;およびEP 460,846に記載されるII型IL−1受容体シグナルペプチドなどの異種シグナル配列を付加することも可能である。
上述のような組換え発現系によって、本発明記載の単離、精製または均質タンパク質としてのIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを産生することも、あるいは天然存在細胞から精製することも可能である。
IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを産生するための1つのプロセスは、少なくとも1つのIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストをコードするDNA配列を含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞を、前記IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの発現を促進するのに十分な条件下で培養することを含む。次いで、使用した発現系に応じて、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを培地または細胞抽出物から回収する。当業者に知られるように、組換えタンパク質を精製するための方法は、使用する宿主細胞種、および組換えタンパク質が培地に分泌されるかどうかなどの要因にしたがって多様であろう。例えば、組換えタンパク質を分泌する発現系を使用する場合、商業的に入手可能なタンパク質濃縮フィルター、例えばAmiconまたはMillipore Pellicon限外ろ過装置を用いて、培地をまず、濃縮することも可能である。濃縮工程後、濃縮物をゲルろ過媒体などの精製マトリックスに適用することも可能である。あるいは、陰イオン交換樹脂、例えばペンダント・ジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリックスまたは支持体が使用可能である。マトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース、またはタンパク質精製に一般的に使用される他の種類であることも可能である。あるいは、陽イオン交換工程も使用可能である。適切な陽イオン交換体には、スルホプロピル基またはカルボキシメチル基を含む多様な不溶性マトリックスが含まれる。最後に、疎水性逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)媒体(例えばペンダントメチル、または他の脂肪族基を有するシリカゲル)を使用する、1以上のRP−HPLC工程を使用して、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストをさらに精製することも可能である。多様な組み合わせの前述の精製工程のいくつかまたはすべてが周知であり、そしてこれを使用して、実質的に均質な組換えタンパク質を提供することも可能である。
IL−17RA、またはIL−17RB、またはIL−17RAおよびIL−17RBの両方、またはIL−17RA−IL−17RBヘテロマー受容体複合体タンパク質を含むアフィニティーカラムを利用して、発現されたIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストをアフィニティ精製することも可能である。慣用的な技術を用いて、例えば利用するアフィニティマトリックスに応じて、高塩溶出緩衝液中で、そしてその後、使用のためより低塩の緩衝液中に透析することによって、またはpHもしくは他の構成要素を変化させることによって、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストをアフィニティーカラムから取り除くことも可能である。あるいは、アフィニティーカラムは、IL−17RA−IL−17RBアンタゴニストに結合する抗体を含むことも可能である。
細菌培養中で産生された組換えタンパク質を、まず宿主細胞を破壊して、遠心分離し、不溶性ポリペプチドの場合は細胞ペレットから抽出し、また可溶性ポリペプチドの場合は上清液から抽出して、その後、1以上の濃縮、塩析、イオン交換、アフィニティー精製またはサイズ排除クロマトグラフィー工程を続けることによって、単離することも可能である。最後に、最終精製工程のため、RP−HPLCを使用することも可能である。凍結融解サイクリング、超音波、機械的破壊、または細胞溶解剤の使用を含む、好適な方法いずれかによって、微生物細胞を破壊することも可能である。
精製を単純化するため、分泌ポリペプチドとしてIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストを発現する形質転換酵母宿主細胞を使用してもよい。酵母宿主細胞発酵から分泌される組換えポリペプチドは、Urdalら,1984,J.Chromatog.296:171に開示されるものと類似の方法によって精製可能である。Urdalらは、分取用HPLCカラム上での組換えヒトIL−2精製のための、2つの連続する逆相HPLC工程を記載する。
本明細書本文内に引用されるすべての参考文献は、その全体が完全に本明細書に援用される。実際の実施例および予言的実施例の両方の以下の実施例を、本発明の特定の態様または特徴を例示する目的のために提供し、そして該実施例は、本発明の範囲を限定しない。
ヒトIL−17RD.HIS、ヤギ抗hIL−17RAポリクローナル抗体、ヤギ抗hIL−17RBポリクローナル抗体、ヤギ抗hIL−17RCポリクローナル抗体、およびすべてのELISAキットをR&D Systems(ミネソタ州ミネアポリス)から得て、そして製造者の説明書にしたがって用いた。ネズミIL−13をInvitrogen Biosource(カリフォルニア州カールスバッド)から得た。ネズミ血清アルブミン(albumen)(MSA)をSigma−Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から得た。ヒトおよびマウスIL−25、IL−17RAおよびIL−17RBに対するモノクローナル抗体を、実質的にYaoら(Yaoら,1995,Immunity 3:811−821;Yaoら,1995,J.Immunol.155:5483−5486;Yao,1997,Cytokine 9:794−800)に記載されるように生成した。ヒトおよびマウスIL−17RAをコードするcDNAが先に記載されてきている(3つのYao参考文献、上記を参照されたい)。ヒトおよびマウスIL−17RBは、先に記載されたものと同一のオープンリーディングフレームをコードする(Tianら,2000,Oncogene 19(17):2098−2109)。ネズミIL−25をコードするcDNAが先に記載されてきている(Hurstら,2002,J Immunol.169(1):443−453)。ネズミIL−25は、記載されるように、大腸菌中で発現され、そして精製されてきている(Hurstら、上記)。Yaoら,1995,Immunity(上記)に実質的に記載されるように、ヒトIL−17RAの細胞外領域を、ポリHISまたはヒトFc IgG1のいずれかに融合させ(それぞれ、IL−17RA:HISまたはIL−17RA:Fc);ヒトIL−RBの細胞外領域を、ポリHIS(IL−17RB.HIS)またはヒトFc IgG1(IL−17RB.Fc)いずれかに融合させた。いくつかの実験において、商業的に入手可能なネズミおよびヒトIL−25、IL−17RA Fc、およびIL−17RB Fcを用いた(R&D Systems)。
実施例1
本実施例は、in vivoで、IL−25に反応するためにIL−17RBが必要であることを立証する。当該技術分野に知られる方法を用いて、IL−17RB−/−マウスを生成した。簡潔には、ネズミIL−17RBのエクソン3を含有するゲノム配列を、PGKneoカセットで置換することによって、遺伝子ターゲティングベクターを構築した。チミジンキナーゼカセット(MC−TK)をベクターの5’端内に挿入した。129由来胚性幹(ES)細胞にターゲティングベクターをエレクトロポレーションし、そして記載されるように(Kolls,Jら 1994.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.91:215−219)、G418およびガンシクロビルの存在下で選択した。PCRおよびゲノムサザンブロット分析の組み合わせによって、IL−17RB中にターゲティングされた突然変異を所持するESクローンを同定し、そしてSwiss Black胚盤胞内に注入した。雄のキメラをSwiss Blackの雌と交雑させて、IL−17RB突然変異に関してヘテロ接合性であるマウスを生じ、これを続いて交雑させて、IL−17RB欠損マウスを生成した。Marker−Assisted Accelerated Backcrossing(MAX−BAXSM)技術(Charl
es River Laboratories、マサチューセッツ州ウィルミントン)を用いて、C57BL/6マウスに5回連続して戻し交配することによって、これらのマウスをC57BL/6バックグラウンドに移した。99.5% C57BL/6であると同定されたマウスを用いて、繁殖コロニーを確立し、実験使用のためのマウスを産生した。
実質的にHurstら(J.Immunol.169:443,2002)に記載されるように、対照C57BL/6マウス(WT)またはIL−17RB−/−マウス(KO)に、50マイクロL MSA(Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス;10マイクログラム/mL)またはマウスIL−25(Amgen;10マイクログラム/mL)を、1日1回4日間、鼻内(IN)投与した。第5日、気管支肺胞洗浄液(BALF)および肺組織をマウスから採取し、そして分析した。
2.5%アバチン(2−2−2−トリブロモエタノール、Sigma)の300マイクロL IP注射で麻酔したマウスに挿管し、そして肺に600マイクロL体積の氷冷したダルベッコのPBS(Gibco)を2回フラッシュすることによって、気管支肺胞洗浄(BAL)を行った。1000rpmで10分間遠心分離することによって、BAL液細胞をペレットにし、そして総白血球細胞性に関して計数しそして分析するために、ならびにADVIA(登録商標)120血液学装置(血液学標本をプロセシングしそして分析するためのベンチトップ分析装置;Siemens Diagnostics、ニューヨーク州タリータウン)を用いて、多様な細胞種の数の変化に関して計数しそして分析するために、PBS+5%ウシ胎児血清(FBS;Hyclone;ユタ州ローガン)に再懸濁した。ELISA(R&D Systems;検出限界:IL−5、31pg/mL;IL−13、62pg/mL)によって、IL−5およびIL−13タンパク質濃度に関してもまた、BALFを試験した。
実質的に先に記載されるように(Hartel,C.ら,1999 Scand.J.Immunol.49(6):649−654)、Assays−On−Demand TaqMan(登録商標)プライマー(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティー)を用いて、TaqMan(登録商標)(迅速な、蛍光体に基づくリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法)発現によって、肺組織中の多様な炎症仲介因子のmRNAレベルを決定した。ABI Prism 7900HT Fast RT−PCRシステム(Applied Biosystems)上で、TaqMan(登録商標)分析を行った。Sequence Detection System 2.2.3(Applied Biosystems)によって、各治療群におけるベータ−アクチン、HPRT、またはGAPDH遺伝子発現に対する各遺伝子の相対的発現を決定した。2つの別個の実験の結果を以下の表1〜4に示す。
表1:IL−25を鼻内投与したIL−17RB KOおよびWTマウスにおける、BALF細胞性、IL−5濃度、およびIL−13濃度の分析
N=5/群;示す値は(平均±SD)であり;IL−5 ELISAの検出範囲より低い試料には、31pg/mLの値を割り当てた。
表2:IN IL−25曝露に反応した、IL−17RB KOおよびWTマウス肺における、IL−5、IL−13、およびIL−17RA mRNAの分析
N=5/群;示す値は(平均±SD)であり;示すIL−5およびIL−13値は、β−アクチンに比較した遺伝子発現(2E−ΔCt)(平均±SD)である。示すIL−17RA値は、HPRTに比較した遺伝子発現(2E−ΔCt)(平均±SD)である。N/A=未分析。
実質的に同じ方式で、マウス・インターロイキン−13曝露アームを付加して(IL−13;Invitrogen BiosourceTM、カリフォルニア州カールスバッ
ド;10マイクログラム/mLで50マイクロLを1日1回4日間投与)、IL−17RB KOマウスをIN IL−25に曝露する実験を反復し;結果を以下の表3〜4に示す。
表3:IN IL−13またはIL−25曝露に反応した、IL−17RB KOおよびWTマウスにおける、BALF細胞性の分析
N=5/群;示す値は(平均±SD)である。
表4:IN IL−25曝露に反応した、IL−17RB KOおよびWTマウス肺における、IL−5、IL−13、エオタキシン、MCP−1、IL−9、IL−10、IL−17A、およびIL−17RA mRNAの分析
N=4、個々のマウス由来の肺;示す値は、HPRTに比較した遺伝子発現(2E−ΔCt)(平均±SD)である。
肺組織病理研究のため、マウスをCO2窒息によって安楽死させた。肺を採取し、10
%中性緩衝ホルマリン(NBF)中で固定し、プロセシングし、6ミクロンで切片を作製し、そして実質的に記載されるように(Harkema,J.R.およびJ.A.Hotchkiss,Am.J.Pathol.141:307;1992)、ヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)または過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色で染色し;組織切片を分析する際に用いる、4つの異なるカテゴリーに関する類別スケールを以下に示す。各群の平均総炎症スコアを表5に報告する。
表5:IN IL−25に曝露したIL−17RB KOおよびWTマウスにおける、肺組織炎症および杯細胞過形成の組織学的分析
報告される平均スコア±SD。
杯細胞過形成(PAS染色)
0=正常
1=最小限、 太い気管支鞘中の杯細胞過形成
2=軽度、太いおよび中程度の気管支鞘中の杯細胞過形成
3=中程度、太い、中程度、およびいくつかの細い気管支鞘中の杯細胞過形成
4=顕著な、すべての気道における杯細胞過形成
気管支周囲炎症
0=正常
1=最小限の好酸球/マクロファージ/リンパ球カフ(不連続から単層)、浮腫なし
2=軽度の好酸球/マクロファージ/リンパ球カフ(2〜5細胞);最小限の浮腫、線維増殖
3=中程度の好酸球/マクロファージ/リンパ球カフ(5〜10細胞);浮腫および線維増殖が存在する
4=顕著な好酸球/マクロファージ/リンパ球カフ(>10細胞);顕著な浮腫および線維増殖
気管支肺炎
0=正常
1=最小限、マクロファージ/好中球/好酸球/MNGCの病巣集積
2=軽度、マクロファージ/好中球/好酸球/MNGCの病巣集積
3=中程度、マクロファージ/好中球/好酸球/MNGCの多病巣集積
4=顕著な、マクロファージ/好中球/好酸球/MNGCの多病巣集積
肺血管周囲炎/血管炎
0=正常
1=最小限の好酸球/リンパ球/マクロファージカフ(不連続から単層)、内膜浸潤/過形成なし
2=軽度の好酸球/リンパ球/マクロファージカフ(2〜5細胞);病巣好酸球内膜浸潤および内皮過形成
3=中程度の好酸球/リンパ球/マクロファージカフ(5〜10細胞);病巣内の大規模な内膜好酸球浸潤、および少数のMNGCを伴う内皮過形成
4=顕著な好酸球/リンパ球/マクロファージカフ(>10細胞);血管壁がときに消失し、そしてMNGCが顕著;目立たない血管炎が存在する野生型C57BL/6マウスにおいて、IL−25の鼻内投与の効果には、(1)BALF好酸球、好中球、リンパ球、およびマクロファージ数増加を含む、BALF白血球総数増加、ならびにBALF IL−5およびIL−13濃度増加(表1および3)、(2)IL−5、IL−13、エオタキシン、およびMCP−1の肺mRNAレベル増加(表2および4)、ならびに(3)太いおよび中程度の気道中の杯細胞過形成、ならびに動脈および静脈両方に関与するが肺胞毛細血管に関与しない頑強な血管周囲/血管炎症(表5)が含まれた。IL−17RB KOマウスにIL−25を鼻内投与した際には、これらの効果のいずれも、観察されなかった(表1〜5)。IL−17RA mRNAは、IL−17RB KOマウスに存在する(表2および4)。これらのデータは、今日までに測定されてきている肺中のIL−25活性すべてに、IL−17RBが必要であることを立証する。
実施例2
本実施例は、in vivoでIL−25に反応するためにIL−17RAが必要であることを立証する。C57BL/6 IL−17RA−/−マウスの生成が先に記載されている(Ye,P.ら,2001 J.Exp.Med.194:519−529)。対照C57BL/6マウス(WT)またはIL−17RA−/−マウス(KO)を、IL−17RB−/−マウスに関して実施例1に実質的に記載するように治療した;結果を以下の表6および7に示す。
表6:IL−17RA KO対C57BL/6 WTマウスにおけるBALFの分析:細胞性およびタンパク質
N=5;示す値は(平均±SD)である。N/A=未試験。IL−5 ELISAの検出範囲より低い試料には、31pg/mLの検出下限値を割り当てた。
表7:IL−17RA KO対C57BL/6 WTマウスにおける肺組織の分析:mRNAレベル
N=4;示す値は、β−アクチンに比較した遺伝子発現(2E−ΔCt)(平均±SD)である。本実験において、IL−13治療マウス由来の肺組織は分析しなかった。
実質的に実施例1に記載するように、肺組織の切片を作製し、組織学的分析用に調製し、染色し、そして分析した。各群の平均総炎症スコアを表8に報告する。
表8:IL−17RA KO対WTマウスにおける肺組織の組織学的分析
N=4である、MSAで治療したIL−17RA KOマウスを除いて、すべての群に関してN=5。報告される平均スコア±SD。
実質的に同じ方式で、実験を反復した;結果を以下の表9および10に示す。本実験では、肺の組織学的分析は行わなかった。
表9:KO対WTマウスにおけるBALFの分析
N=5;示す値は(平均±SD)である。
表10:KO対WTマウスにおける肺組織の分析:mRNAレベル
N=4;示す値は、GAPDHに比較した遺伝子発現(2E−ΔCt)(平均±SD)である。
野生型C57BL/6マウスにおいて、IL−25のIN投与の効果には:(1)BALF好酸球、好中球、リンパ球、およびマクロファージ数増加を含む、BALF白血球総数増加、ならびにBALF IL−5およびIL−13濃度増加(表1および4)、(2)太いおよび中程度の気道中の杯細胞過形成、ならびに動脈および静脈両方に関与するが肺胞毛細血管に関与しない頑強な血管周囲/血管炎症(表3)、ならびに(3)IL−5、IL−13、エオタキシン、MCP−1、およびIL−17RBの肺mRNAレベル増加(表2および5)が含まれた。IL−17RB mRNAがIL−17RA KOマウスに存在するにもかかわらず、IL−17RA KOマウスにIL−25を鼻内投与した際には、これらの効果のいずれも、観察されなかった(表1〜5)。これらのデータは、肺中のIL−25活性に、IL−17RAが必要であることを立証する。
実施例3
本実施例は、in vitroで、IL−25に反応するためにはIL−17RAおよびIL−17RBが必要であることを立証する。脾臓細胞の生成は、先に記載されてきている(Hamiltonら,1978,J Clin Invest.62(6):1303−12)。簡潔には、C57BL/6 WT、C57BL/6 IL−17RB KO、およびC57BL/6 IL−17RA KOマウスから個々の脾臓を無菌的に取り除き、そしてRPMI 1640(Gibco−Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)中の0.4mg/mLコラゲナーゼD(Roche Applied Science,インディアナ州インディアナポリス)および0.1%DNAse−I(Roche Applied Science)で処理して、単細胞懸濁物を生成した。単独、あるいは1マイクログラム/mLのコンカナバリンA(ConA;Sigma−Aldrich)、または示す最終濃度のIL−25(Amgen)を添加した、完全DMEM培地(Gibco−Invitrovgen)中、2.0x107細胞/mlで、脾臓細胞を培養した。5%CO2加湿インキュベーター中、細胞を37℃で72時間培養した。ELISA(R&D Systems)によって、IL−5およびIL−13濃度に関して、上清を調べた。異腹のIL−17RA KO、IL−17RB KOおよびWT動物を用いて、各遺伝子型に関して、脾臓細胞アッセイを2回反復した;2つの別個の実験由来のデータを以下に示す(表11〜14)。
表11:IL−25で刺激したIL−17RA KOおよびWT脾臓細胞によるIL−5およびIL−13産生
N=2の個々の脾臓;示す値は(平均±SD)である。IL−5 ELISAの検出範囲より低い試料には、31pg/mLの値を割り当てた。IL−13 ELISAの検出範囲より低い試料には、62pg/mlの値を割り当てた。
表12:IL−25で刺激したWTおよびIL−17RA KO脾臓細胞によるIL−5およびIL−13産生
表13:IL−25で刺激したIL−17RB KOおよびWT脾臓細胞によるIL−5およびIL−13産生
N=3の個々の脾臓;示す値は(平均±SD)であり;IL−5 ELISAの検出範囲より低い試料には、31pg/mLの値を割り当てた。IL−13 ELISAの検出範囲より低い試料には、62pg/mLの値を割り当てた。
表14:IL−25で刺激したIL−17RB KOおよびWT脾臓細胞によるIL−5およびIL−13産生
N=3の個々の脾臓;示す値は(平均±SD)であり;IL−5 ELISAの検出範囲より低い試料には、31pg/mLの値を割り当てた。IL−13 ELISAの検出範囲より低い試料には、62pg/mlの値を割り当てた。
IL−25刺激は、培養野生型C57BL/6脾臓細胞によるIL−5およびIL−13の産生を誘導した。このサイトカイン産生は、IL−17RB KOまたはIL−17RA KO脾臓細胞いずれかのIL−25刺激によっては誘導されなかった(表11〜14)。脾臓細胞活性化の陽性対照であるConAは、IL−17RB KO脾臓細胞がIL−13を産生するように誘導し、そしてIL−17RA KO脾臓細胞がIL−5およびIL−13を産生するように誘導した。ConA刺激は、1つの実験では、IL−17RB KO脾臓細胞からのIL−5産生を誘導しなかったが、第二の実験では、IL−17RB KO脾臓細胞からのIL−5産生を誘導した。これらのin vitro細胞培養データは、IL−17RBおよびIL−17RAの両方がIL−25シグナル伝達に必要であることのさらなる支持を提供する。
実施例4
本実施例は、抗IL−17RB−M735および抗IL−25−M819抗体がin vitroでIL−25反応を阻害する能力を性質決定する。未感作(naive)BALB/Cマウス由来の脾臓を用いて、脾臓細胞の単細胞懸濁物を調製し、そして完全DMEM培地(Gibco−Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)中、4x107細胞/mLに希釈した。以下の条件で、細胞(100マイクロL)を96ウェルプレートに添加して4x106細胞/ウェルの最終濃度にした:
培地のみ 10ng/mL muIL−25(刺激対照)
10ng/mL muIL−25+100ng/mL muIL−17RB.muFc(遮断対照)
10ng/mL muIL−25+463、154、51、17、5.7、1.9、0.64、0.21、0.07、0.023、0.007、0.003ng/ml抗muIL−17RB M735
10ng/mL muIL−25+1000、100、10、1.0または0.1ng/mL抗muIL−25 M819。
各試料が2つの未感作BALB/cマウス脾臓由来の脾臓細胞からなる、3つの別個の生物学的試料を、上に列挙する各条件に関して試験し、そして3つの別個の実験において、これを3回反復した。培養を37℃および10%CO2で72時間インキュベーション
し、この時点で上清を採取し、そしてELISAによってIL−5濃度に関してアッセイした。M735およびM819はどちらも、IL−25が誘導するマウス脾臓細胞によるIL−5の分泌を阻害した;3つの別個の脾臓細胞実験における各抗体に関する、IL−25が誘導する培養BALB/c脾臓細胞によるIL−5産生の阻害に関して計算されるIC50値を以下の表15〜16に示す。
表15:抗IL−17RB−M735に関するIC50
表16:抗IL−25 M819に関するIC50
IL−25が誘導するIL−5産生は、抗IL−17RB M735および抗IL−25−M819の両方によって阻害された。これらのデータは、IL−17RBが脾臓細胞におけるIL−25シグナル伝達に必要であることのさらなる支持を提供する。
実施例5
本実施例は、多様な抗IL−17RA抗体がin vitroでIL−25反応を阻害する能力を性質決定する。実質的に実施例4に関して上述するように、脾臓細胞の単細胞懸濁物を調製した。細胞(100マイクロL)を96ウェルプレートに添加して、以下の条件で4x106細胞/ウェルの最終濃度にした:
培地のみ 10ng/mL muIL−25(刺激対照)
10ng/mL muIL−25+100ng/mL muIL−17RB.muFc(遮断対照) 10ng/mL muIL−25+1000、100、10、1.0または0.1ng/mLいずれかの抗muIL−17RAモノクローナル抗体。
各試料が2匹のマウス由来の脾臓細胞からなる、3つの別個の生物学的試料を、各条件に関して試験した。培養を37℃および10%CO2で72時間インキュベーションし、この時点で上清を採取し、そしてELISAによってIL−5濃度に関してアッセイした。一団の8つの異なるラット抗マウスIL−17RAモノクローナル抗体を試験した。これらのいずれも、IL−25が誘導するマウス脾臓細胞によるIL−5分泌を有意には阻害しなかった。
この脾臓細胞アッセイにおいて、これらのラット抗マウス抗体に加えて、1つのマウス抗マウスIL−17RAモノクローナル抗体、M751を2回評価した。M751は、IL−25が誘導するマウス脾臓細胞によるIL−5分泌を阻害した。2つの別個の脾臓細胞実験において計算される抗mIL−17RA M751に関するIC50を以下の表17に示す。抗IL−17RA−M751は、したがって、この脾臓細胞アッセイにおいて、IL−25が誘導するIL−5産生の最適な抗IL−17RA阻害剤であるが、抗IL−17RB−M735に比較すると、同程度に強力な阻害剤ではなかった。
表17:抗IL−17RA−M751に関するIC50
実施例6
本実施例は、in vitroバイオアッセイ(先に記載する)においてIL−25活性を阻害した、IL−17RAに対する抗体、M751を用いた、in vivoでのIL−25反応の阻害を立証する。BALB/cマウスにネズミ血清アルブミン(albumen)(MSA;Sigma、10μg/mL)またはマウスIL−25(Amgen、TO;10μg/mL)を、1日1回4日間、鼻内投与した。第1〜4日、MSAまたはIL−25の鼻内注入の4時間前に、マウスに200マイクログラムの中和抗IL−17RA抗体(M751)、中和抗IL−17A抗体(M210)、またはアイソタイプ対照抗体(ネズミFc;Amgen)のいずれかを腹腔内注射した。第5日、先に記載するように、気管支肺胞洗浄液(BALF)および肺組織を採取し、そして分析した。2つの別個の実験の結果を、以下の表18〜21に示す。
表18:マウスIL−17RAに対する遮断抗体M751の存在下または非存在下で、IN IL−25で治療したBALB/cマウスにおける、BALF細胞性、IL−5、およびIL−13濃度の分析−実験1
N=5;示す値は(平均±SD)である。
IL−5 ELISAの検出範囲より低い試料には、31pg/mLの値を割り当てた。IL−13 ELISAの検出範囲より低い試料には、62pg/mLの値を割り当てた。
表19:マウスIL−17RAに対する遮断抗体M751の存在下または非存在下で、IN IL−25で治療したBALB/cマウスにおける、BALF細胞性、IL−5、およびIL−13濃度の分析−実験2
N=5;示す値は(平均±SD)である。
表20:マウスIL−17RAに対する遮断抗体M751の存在下または非存在下で、IN IL−25に曝露したマウス由来の肺組織における、IL−13、IL−5、IL−17RB、エオタキシン、およびMCP−1 mRNAの分析−実験1
N=4;示す値は、GAPDHに比較した遺伝子発現(2E−ΔCt)(平均±SD)である。
表21:マウスIL−17RAに対する遮断抗体M751の存在下または非存在下で、IN IL−25に曝露したマウス由来の肺組織における、IL−13、IL−5、IL−17RB、エオタキシン、およびMCP−1 mRNAの分析−実験2
N=4;示す値は、GAPDHに比較した遺伝子発現(2E−ΔCt)(平均±SD)である;N/D=未測定
抗IL−17RA mab M751での治療は、IL−25が誘導するBALF細胞性、ならびにIL−25が誘導するBALF IL−5およびIL−13濃度、ならびに肺転写物誘導を阻害した。対照的に、抗IL−17A mab M210は、IL−25が誘導するBALF細胞性に有意には影響を及ぼさなかった(しかし、データによって、IL−25が誘導するBALF好中球レベルに対するこの抗体のありうる効果が示唆される)。これらのデータは、IL−17RA KOマウスにおいて先に記載されるものとともに、IL−25がBALF細胞性を誘導しそしてIL−5およびIL−13濃度を増加させるのに、IL−17RAが必要であることを示す。IL−25が誘導するBALF内への好中球流入を、抗IL−17A治療が有意に減少させることによって示されるような、IL−25が誘導する好中球補充を例外として、IL−25のin vivo効果は、IL−17Aを通じて仲介されないようである。
実施例7
本実施例は、IL−25による気道過敏性(AHR)の誘導、ならびにそれに対する抗IL−17RA−M751および抗IL−17A−M210の効果を例示する。BALB/cマウスにMSAまたはマウスIL−25を、実質的に先に記載するように、4日間の期間に渡って毎日IN投与した。第5日、全身プレチスモグラフ(Buxco Electronics、ニューヨーク州トロイ)を用いて、意識があり拘束されていないマウスにおいて、メタコリン(MCh)曝露に対する気道過敏性(AHR)をまず非侵襲的に測定した。プレチスモグラフボックス中の、MCh曝露濃度増加に反応した圧力波形に基づいて、エンハンスドポーズ(PENH)を測定し、そしてMChS曝露前に行ったベースライン読み取り値に比較した変化パーセントとして報告する。PC200は、ベースラインを超えてPENH200%を誘導するのに必要なMCh濃度であり、そして本明細書において、以下の表22および23にこれを報告する。
表22:マウスIL−17RAまたはIL−17Aに対する遮断抗体の存在下または非存在下で、IN IL−25で治療したBALB/cマウスのMCh曝露に対するAHR
N=5/群;示す値は(平均±SD)である。
表23:マウスIL−17RAに対する遮断抗体M751の存在下または非存在下で、IN IL−25で治療したBALB/cマウスのメタコリン曝露に対するAHR
N=4/群;示す値は(平均±SD)である。
また、麻酔し、そして機械的に換気したマウスに、IL−25を鼻内投与し、そして抗IL−17RA−M751で治療して、気道過敏性を測定した。実質的に先に記載するように、BALB/cマウスにMSAまたはマウスIL−25を4日間の期間に渡って毎日IN投与した。第5日、マウスを塩酸キシラジン(20mg/kg腹腔内)で鎮静し、そしてペントバルビタールナトリウム(100mg/kg腹腔内)で麻酔した。気管に金属針でカニューレを挿管し、そしてマウスを小型動物換気装置(flexiVent、SCIREQ:Scientific Respiratory Equipment、カナダ・モントリオール)につないだ。各マウスを、150呼吸/分の速度および10mL/kgマウス体重の量で、正弦波吸気および受動呼気で換気した。マウスを水柱に連結することによって、3.0cmH2Oの呼吸終末陽圧(PEEP)を確立した。
マウスを1分間換気した後、肺を総肺容量(TLC、30cmH2Oの振幅圧)まで、2回拡張した。生理食塩水または増加する濃度のアセチル−ベータ−メチルコリン(MCh、Sigma−Aldrich)のエアロゾルを肺に15秒間送達し、その後、15秒間換気した。エアロゾルおよび換気後、2.5Hz体積駆動(VD)周期的変動を気道開口部に適用した。10回の2.5Hz VD周期的変動は、各々、0.20mLの量を有し、そして1.25秒間持続した。次のMCh用量前に、肺をTLCまで2回拡張した。小型動物換気装置によって、呼吸器系における長期に渡る圧および体積測定を記録し、そして呼吸器系の単一区画モデルにデータを適合させることによって、呼吸器系抵抗値(R)を計算し、ここで、Ptr=RV+EV+PO(Ptr=気道圧力、V=体積/時間、
E=エラスタンス=圧力/体積、V=体積、PO=ベースライン圧力)である。異なる濃
度のMChで測定した肺抵抗性を図2に示す。
これらの結果は、M751が、in vitroでのIL−25活性、ならびにin vivoでのIL−25が誘導するBALF細胞性、ならびにIL−5およびIL−13濃度増加を阻害するのに加えて、IL−25が誘導するAHRを阻害することを立証し、これによって、IL−17RAに結合し、そしてIL−25の活性を阻害する抗体が、AHRを伴う、IL−25が仲介する状態を治療するかまたは軽減するのに有用であることを示した。
実施例8
本実施例は、どちらもin vitroバイオアッセイにおいてIL−25活性を阻害した(上記)、IL−17RBに対する抗体(M735)またはIL−25に対する抗体(M819)を用いた、in vivoでのIL−25反応の阻害を立証する。BALB/cマウスにPBSまたはマウスIL−25を鼻内投与し、そして250マイクログラムの中和マウス抗マウスIL−17RB抗体(M735)、中和ラット抗マウスIL−25抗体(M819)、関連しない対照ネズミIgG1抗体(muIgG1;Amgen)、ネズミFcタンパク質(muFc;Amgen)、または全ラットIgG(Pierce、イリノイ州ロックフォード)のいずれかを腹腔内注射した。第5日、気管支肺胞洗浄液(BALF)を採取し、そして先に記載するように分析した。別個の反復実験を行い;二回目には、BALF IL−5およびIL−13タンパク質濃度を測定しなかった。結果を以下の表24〜26に示す。
表24:IL−17RBに対する遮断抗体(M735)の非存在下または存在下での、IN IL−25曝露マウス由来のBALF細胞性、IL−5濃度、およびIL−13濃度の分析
N=5;示す値は(平均±SD)である。
表25:IL−17RBに対する遮断抗体(M735)またはIL−25に対する遮断抗体(M819)の非存在下または存在下での、IN IL−25曝露マウス由来のBALF細胞性、IL−5濃度、およびIL−13濃度の分析
N=5;示す値は(平均±SD)である。
表26:IL−17RBに対する遮断抗体(M735)またはIL−25に対する遮断抗体(M819)の非存在下または存在下での、IN IL−25曝露マウス由来のBALF細胞性、IL−5濃度、およびIL−13濃度の分析
N=5;示す値は(平均±SD)である。
実施例9
本実施例は、IL−25による気道過敏反応(AHR)の誘導、およびIL−17RBに対する抗体(M735)またはIL−25に対する抗体(M819)の該反応に対する効果を例示する。実質的に先に記載するように、一連の実験を行った;全身プレチスモグラフを用いて、意識があり拘束されていないマウスにおいて、AHRを非侵襲的に測定した。3つの別個の実験結果を、以下の表27〜29に示す。
表27:抗IL−17RBに対する遮断抗体(M735)の非存在下または存在下での、IN IL−25曝露マウス由来のAHR値
N=5;示す値は(平均±SD)である。
表28:抗IL−17RBに対する遮断抗体(M735)またはIL−25に対する遮断抗体(M819)の非存在下または存在下での、IN IL−25曝露マウス由来のAHR値
N=5;示す値は(平均±SD)である。
表29:抗IL−17RBに対する遮断抗体(M735)またはIL−25に対する遮断抗体(M819)の非存在下または存在下での、IN IL−25曝露マウス由来のAHR値
これらの結果は、IL−25がAHRを増加させ、この効果が抗IL−17RBまたは抗IL−25によって和らげられうることを示す。
実施例10
本実施例は、IL−25のin vivoでの反応が、IL−17RBに対する抗体(M735)、IL−25に対する抗体(M819)、またはIL−17RAに対する抗体(M751)での治療によって遮断されるという組織学的確認を提供する。BALB/cマウスにPBSまたはマウスIL−25を鼻内投与し、そして200マイクログラムの中和抗IL−17RB抗体(M735)、200マイクログラムの中和抗IL−25抗体(M819)、200マイクログラムの中和抗IL−17RA抗体(M751)、200マイクログラムの中和抗IL−17A抗体(M210)、または実質的に先に記載するアイソタイプ対照抗体いずれかを腹腔内注射する。研究第5日に、CO2窒息によってマウスを安楽死させた。記載するように、肺を採取し、固定し、プロセシングし、切片作製し、染色し、そして評価した。組織病理結果の要約を以下の表30に示す。
表30:IN IL−25に曝露し、そして抗IL−17RA、抗IL−17A、抗IL−25、抗IL−17RBまたは対照で治療したマウスにおける、肺組織炎症および杯細胞過形成の組織学的分析
N=5/群;報告される平均スコア±SD。
IL−25に曝露し、そしてアイソタイプ対照で治療したマウスは、最も顕著な病変を有し、そしてMSAに曝露し、そしてアイソタイプ対照で治療したマウスが1.8±0.8の平均スコアを有したのに対して、7.6±2.2の平均スコアを有した。マウスをIL−17Aに対する抗体で治療しても、平均スコアが6.8±1.3であることによって示されるように、肺病変に本質的にまったく影響を及ぼさなかった。対照的に、抗IL−17RA(スコア1.0±0.7)、抗IL−25(スコア1.4±1.1)または抗IL−17RB(スコア1.8±1.5)のいずれかでの治療は、すべて、IL−25が誘導する炎症をバックグラウンドのレベルまで阻害するのに有効であり、IL−25または受容体複合体に関与するタンパク質のいずれか1つの遮断が、等しく有効な治療であることを示唆する。
実施例11
本実施例は、IL−17RAおよびIL−17RBの間の会合を立証する。ヒトIgGのFc領域(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)に、またはポリヒスチジンタグ(Amgen)に融合させたヒトIL−17RAおよびヒトIL−17RBの細胞外ドメインを用いて、一連の免疫沈降を行った。50マイクロLのプロテインGスラリーをエッペンドルフ試験管に添加し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、そして回転させながら、2マイクロgのIL−17RA.FcまたはIL−17RB.Fcタンパク質と4℃で1時間インキュベーションした。このインキュベーション終了時、2マイクログラムの逆の可溶性受容体タンパク質を添加し(すなわちIL−17RB:FcにはIL−17RA−HISを添加し、そしてIL−17RA:FcにはIL−17RB−HISを添加した)、そして回転させながら、この最終的な組み合わせを4℃で一晩インキュベーションした。
翌朝、試験管を12,000rpmで1分間遠心分離し、そしてプロテインGビーズをPBSで洗浄し、次いでRIPA緩衝液(Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)で洗浄した。10%ベータ−メルカプトエタノール(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)を含む60マイクロLの2xTris−グリシンSDS試料緩衝液(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)中にビーズを再懸濁し、そして氷上または−20℃で保存した。4〜20%Tris−グリシン10ウェル・ミニアクリルアミドゲル(Novex(登録商標)−Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)上で試料を分析し、そしてニトロセルロース膜(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)にトランスファーした。赤外線アッセイ(Li−cor(登録商標)Biosciences、ネブラスカ州リンカーン)のために最適化されたウェスタンブロットブロッキング緩衝液であるOdyssey(登録商標)ブロッキング緩衝液を用いて、穏やかに振盪しながら、室温で1時間または4℃で一晩のいずれかで膜をブロッキングした。次いで、0.1%Tween−20を含有するOdyssey(登録商標)ブロッキング緩衝液中で1:1000〜1:5000に希釈した一次抗体と膜を、穏やかに振盪しながら4℃で60分間インキュベーションした。PBS+0.1%Tween−20中、膜を4回洗浄し、そして次いで、0.1%Tween−20を含有するOdyssey(登録商標)ブロッキング緩衝液中で1:10,000に希釈した二次抗体中、穏やかに振盪しながら4℃で60分間、膜をインキュベーションした。PBS+0.1%Tween−20中、膜を4回洗浄し、そしてLi−Cor(登録商標)Odyssey(登録商標)赤外画像化系を用いて、タンパク質を視覚化した。以下の抗体を用いた:
代表的なブロットを図2に示す。いくつかの実験の経過に渡って、IL−17RB.Fcは、IL−17RA.HISを免疫沈降可能であった。この実験系において、IL−17RA.Fcはまた、IL−17RC.HISを免疫沈降することも可能であり、この系が、他の系において以前立証されている、タンパク質間の生化学的相互作用を再現可能であることを立証する(Toy,D.ら,JI,2006,177:36)。IL−17RA.FcまたはIL−17RB.Fcのいずれも、IL−17RD.HIS(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)を免疫沈降させることが不可能であり、これによって、IL−17RAおよびIL−17RB相互作用がこれらのタンパク質にユニークであり、そしてすべてのIL−17Rファミリーメンバーに生得的でないことが示唆される。これは、IL−17RAおよびIL−17RB間の生化学的相互作用の最初の記述である。
実施例12
USSN 11/906,094(本明細書に援用される)に記載されるように、Abgenix(現在のAmgen Fremont Inc.)XenoMouse(登録商標)技術(本明細書にその全体が援用される、米国特許第6,114,598号;第6,162,963号;第6,833,268号;第7,049,426号;第7,064,244号;Greenら,1994,Nature Genetics 7:13−21;Mendezら,1997,Nature Genetics 15:146−156;GreenおよびJakobovitis,1998,J.Ex.Med.188:483−495))を用いて、ヒトIL−17RAに対して向けられる完全ヒト・モノクローナル抗体の開発を行った。該文献に記載されるように、ヒトIL−17RAへの(およびカニクイザル(cynomolgus)IL−17RAへの)ヒトIL−17Aの結合を阻害する能力に関して、完全ヒト抗IL−17RA抗体をスクリーニングした。一団の抗体を同定し、そしてさらなる増殖および分析のために選択した;可変重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を配列表に示し、そして多様な配列を要約する表を以下に示す。1つの抗体、3.454.1は、可変軽鎖の2つの型の証拠を示した。
表31:抗huIL−17A抗体の要約
IL−17Aおよび/またはIL−17F生物学的活性を阻害する能力に関して、そしてIL−17RAのどのドメインが抗体結合に重要かに関して、抗体をさらに性質決定した。
IL−17A/IL−17Fが誘導するサイトカイン/ケモカイン分泌アッセイ
このアッセイは、ヒト包皮線維芽細胞(HFF)細胞株を利用する。抗IL−17RA抗体をHFF細胞(96ウェルプレート中、5000細胞/ウェル)と36℃で30分間インキュベーションし;次いで、IL−17A(5ng/ml)のみまたはIL−17F(20ng/ml)およびTNF−アルファ(5ng/ml)のいずれかで一晩刺激する。IL−6またはGRO−アルファのいずれかの存在に関して、ELISAによって、線維芽細胞培養上清を分析する。本アッセイにおいて産生されるIL−6および/またはGRO−アルファの量が減少することによって示されるように、抗体は、IL−17AおよびIL−17Fの生物学的活性を阻害可能であった。
交差競合アッセイ
USSN 11/906,094に記載されるように、交差競合研究を行って、特定の抗体のIL−17RA結合特性を決定した。Jiaらによって記載される多重化ビン化(binning)法の修飾法を用い(Jiaら,J.Immun.Meth.,2004,288:91−98)、Bio−Plexワークステーションおよびソフトウェア(BioRad、カリフォルニア州ハーキュルス)、ならびにLuminex(登録商標)社(テキサス州オースティン)の試薬を使用した。概して、製造者の基本的プロトコルにしたがう。対の組み合わせで抗体を試験した;2つの抗体が互いに交差競合する場合、これらをともにグループにするかまたは「ビン化」した。一般的にいって、異なるビンに割り当てられた抗体は、IL−17RAの異なる部分に結合し、そして同じビン(単数または複数)に割り当てられた抗体は、IL−17RAの類似の部分に結合する。
中和決定因子の評価:Hu/Muキメラ
いくつかのキメラ・ヒト/マウスIL−17RAを用いて、多様なIL−17RAアンタゴニスト(ヒト抗体の型)がヒトIL−17RAのどこに結合するかを決定する研究を行った。この方法は、マウスIL−17RAと多様なIL−17RA抗体の非交差反応性を利用する。各キメラに関して、ヒトIL−17RA細胞外ドメインの1つまたは2つの領域をマウスIL−17RAの対応する領域(単数または複数)と交換する。6つの単一領域および8つの二重領域キメラを構築し;Bio−Plexワークステーションおよびソフトウェア(BioRad、カリフォルニア州ハーキュルス)を用いた多重分析を行って、野生型IL−17RAタンパク質への結合に対して、キメラIL−17RAタンパク質への例示的なヒトIL−17RA mAbの示差結合を分析することによって、ヒトIL−17RA上の中和決定因子を決定した。
中和決定因子の評価:アルギニン・スキャニング
ヒトIL−17RAの選択されるアミノ酸残基でアルギニン置換を有する、いくつかの突然変異体IL−17RAタンパク質を用いて、さらなる実験を行った。アルギニン・スキャニングは、抗体または他のタンパク質が別のタンパク質に結合する場所を評価する、当該技術分野に認識される方法であり、例えば、Nanevicz,T.ら,1995,J.Biol.Chem.,270:37,21619−21625、およびZupnick,A.ら,2006,J.Biol.Chem.,281:29,20464−20473を参照されたい。一般的に、アルギニン側鎖は正に荷電し、そして他のアミノ酸に比較して比較的大きく、突然変異が導入された抗原領域への抗体結合を破壊しうる。アルギニン・スキャニングは、残基が中和決定因子および/またはエピトープの一部であるかどうかを決定する方法である。アルギニンに突然変異させるため、ヒトIL−17RA細胞外ドメイン全体に分布する95のアミノ酸を選択した。残基が表面にある可能性を最大にし、そしてミスフォールディングタンパク質を生じる突然変異の可能性を減少させるため、選択は荷電または極性アミノ酸に偏っていた。
当該技術分野に知られる標準的技術を用いて、Stratagene Quickchange(登録商標)IIプロトコルキット(Stratagene/Agilent、カリフォルニア州サンタクララ)によって提供される基準に基づき、突然変異残基を含有するセンスおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計した。Quickchange(登録商標)IIキット(Stratagene)を用いて、野生型(WT)HuIL−17RA−Flag−pHisの突然変異誘発を行った。ポリHisタグを介した精製を促進するため、細胞外ドメインのカルボキシ末端上にFLAG−ヒスチジンタグ(6ヒスチジン)をコードするよう、すべてのキメラ構築物を構築した。野生型IL−17RAタンパク質に対して、アルギニン突然変異体への特定のヒトIL−17RA mAbの示差結合を分析することによって、Bio−Plexワークステーションおよびソフトウェア(BioRad、カリフォルニア州ハーキュルス)を用いた多重分析を行って、ヒトIL−17RA上の中和決定因子を決定した。
これらの研究結果を以下の表32に要約する。
表32:特定のIL−17RA抗体の特性の要約
実施例13
本実施例は、IL−25の生物学的活性に対するIL−17RA−IL−17RBアンタゴニストの効果を評価するのに有用なIL−25再刺激アッセイを記載する。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を正常ドナーから単離し、そして胸腺間質リンホポエチン(TSLP(Quentmeierら,Leukemia.2001 Aug;15(8):1286)、100ナノグラム/ml;R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリスから入手可能)の存在下で、5x106細胞/mlで24時間刺激する。次いで、PBMCを収集し、そしてIL−2(10ナノグラム/ml、R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)およびIL−25(10ナノグラム/ml;R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)の存在下、阻害活性に関して試験しようとする剤の存在下または非存在下で、再刺激培養中にセットアップする。再刺激培養を単細胞懸濁物として調製し、そして4x107細胞/mLに希釈し;100マイクロLの細胞を48ウェルプレートに添加して、4x106細胞/ウェルの最終濃度にする。3日後、上清液体を採取し、そしてELISAによってIL−5に関して試験する(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)。試験する剤には、IL−17RBの可溶性型(先に記載する)、ならびに以下に要約する一団のポリクローナルおよびモノクローナル抗体が含まれる:
・MAB1771:抗HuIL−17RA MuIgG2b(R&D Systems)
・MAB1207:抗HuIL−17RB MuIgG2b(R&D Systems)
・AF177:抗HuIL−17RAヤギポリクローナルIgG(R&D Systems)
・いくつかの完全ヒト抗HuIL−17RA HuIgG2(実施例12に記載した) 異なるドナー由来のPBMCを利用するいくつかの異なる再刺激アッセイにおいて、多様な剤を試験した結果を、以下の表33に示す。
表33:多様なIL−17RBおよびIL−17RA阻害剤の存在下または非存在下で、IL−2+IL−25で刺激したTSLP処理ヒトPBMCからのIL−5産生
異なる日に、そして異なる抗体調製を用いて、異なるPBMCドナーを利用する3つの別個の再刺激アッセイにおいて、IL−17RAに結合する一団のヒト抗体を試験した。結果を以下の表34に示す。
表34:多様なIL−17RA抗体の存在下または非存在下で、IL−2+IL−25で刺激したTSLP処理ヒトPBMCからのIL−5産生
*これらの抗体に関するビン化分析の結果は不確かであった。
これらの抗体のさらなる調製を用いて、実質的に類似の結果を得た。結果は、IL−17RAに結合し、そしてIL−17Aを阻害する特定の抗体が、IL−25も阻害することを示す。
実施例14
本実施例は、喘息のマウスモデルを記載する。ミョウバンまたは別のアジュバント中の抗原を腹腔内注射することによって、マウス(例えば、BALB/c)を抗原(例えば、オボアルブミン[OVA])で感作する。いくつかの感作スキームが当該技術分野に知られ;1つのスキームでは、ミョウバン中の10マイクログラムのOVAを1週間間隔で3回(すなわち第−21日、第−14日、および第−7日に)、注射する。次いで、エアロゾル曝露(5%OVA)または鼻内投与(0.1mg OVA)のいずれかによって、マウスを抗原に曝露する。より短い期間(すなわち第1日、第2日および第3日に毎日曝露)またはより長い期間(すなわち2〜3週間、毎週曝露)から、曝露スケジュールを選択してもよい。測定される終点には、AHR、BAL液細胞数および組成、in vitro排出肺リンパ節サイトカインレベル、血清IgEレベル、ならびに肺組織の組織病理学的評価が含まれてもよい。喘息の他の動物モデルが知られ、そしてこれには、他の動物(例えば、C57BL/6マウス)、感作スキーム(例えば鼻内接種、他のアジュバントの使用またはアジュバントなし等)、および/または抗原(OVAまたは他のタンパク質性抗原由来のものなどのペプチド、ゴキブリ(cockroach)抽出物、ブタクサ(ragweed)抽出物または脱感作措置で用いるものなどの他の抽出物等を含む)の使用が含まれる。以下に示すマウス群を用いて、IL−17RA、IL−17RB、IL−17およびIL−25に対する抗体の効果をこのモデルで評価した。
第−21日、第−14日、および第−7日、ミョウバン中のOVAで雌BALB/cマウスをIP免疫し、そして第1〜3日、PBS中のOVAにエアロゾル曝露した。実験1および2では、OVAエアロゾル曝露前日(第−1日)に、マウスに抗体をIV注射し、または実験3では、最初のOVAエアロゾル曝露の日(第1日)、OVA曝露30分前に、抗体をIP注射し、または実験1および3では、OVAへの各エアロゾル曝露30分前(第1〜3日)に、陽性対照のデキサメタゾン(Dex)または陰性対照のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)をIP注射した。年齢がマッチしたOVA抗原刺激のみの群を比較のため含めた。最後のOVA曝露48時間後、MCh曝露に対する気道過敏性(AHR)を測定した。最後のOVA曝露72時間後にマウスを屠殺し、そして分析のため、血清、BAL液、排出肺リンパ節、および肺を収集した。一連の3つの実験を行った。
実験1は、以下の治療群を含んだ:
・第1群、抗原刺激し、曝露しないマウス、n=10 ・第2群、PBS、IP、n=10
・第3群、1mg/kg Dex、IP、n=10
・第4群、500マイクログラムのmIgG1アイソタイプ対照ab、IV、n=10 ・第5群、500マイクログラムの抗IL−17RB M735 mAb、IV、n=10
・第6群、500マイクログラムのキメラ抗mIL−17RA mAb M751、IV、n=10
・第7群、500マイクログラムのラットIgG対照ab、IV、n=10
・第8群、500マイクログラムの抗mIL−25 M819、IV、n=10
・第9群、500マイクログラムの抗mIL−17 mAb M210、IV、n=10
実験2は、以下の治療群を含んだ:
・第1群、抗原刺激し、曝露しないマウス、n=10
・第2群、500マイクログラムのmIgG1アイソタイプ対照ab、IV、n=10 ・第3群、500マイクログラムのキメラ抗mIL−17RA mAb M751、IV、n=10
実験3は、以下の治療群を含んだ:
・第1群、抗原刺激し、曝露しないマウス、n=10
・第2群、PBS、IP、n=10
・第3群、1mg/kg Dex、IP、n=10
・第4群、500マイクログラムのmIgG1アイソタイプ対照ab、IP、n=10 ・第5群、500マイクログラムの抗IL−17RB M735 mAb、IP、n=10
・第6群、500マイクログラムのキメラ抗mIL−17RA mAb M751、IP、n=10
・第7群、500マイクログラムのgラットIgG対照ab、IP、n=10
・第8群、500マイクログラムの抗mIL−25 M819、IP、n=10
・第9群、500マイクログラムの抗mIL−17 mAb M210、IP、n=10
・第10群、500マイクログラムの抗mIL−17F mAb M850、IP、n=10 IL−17RB、IL−17RA、またはIL−25に対する中和抗体は、マウスOVA喘息モデルにおけるAHRを減少させたが、IL−17Aに対する中和抗体はこれを減少させなかった;結果を図1〜3に示す。ベースラインに比較したPENHの平均パーセント変化を、実験1から、各治療群±SEに関して報告する(図1)。実質的に実施例7に先に記載するように、気道過敏性を測定した。気管支収縮の度合いを、ベースラインに比較したPENHのパーセント変化として表した。IL−17RB、IL−17RA、またはIL−25に対する中和抗体での治療は、PBSまたは対照抗体で治療したマウスに比較して、MCh曝露に反応したAHRを減少させたが、IL−17Aに対する中和抗体はこれを減少させなかった(図3)。
メタコリン曝露に反応した肺抵抗性(RL)を、機械的に換気されているマウスにおいて、実験2および3で測定した。小型動物換気装置によって、長期に渡って、呼吸器系における圧力および体積測定値を記録し、そして呼吸器系の単一区画モデルにデータを適合させることによって、呼吸器系抵抗値(R=cmH2O/mL)を計算し、ここで、Ptr=RV+EV+PO(Ptr=気道圧力、V=体積/時間、E=エラスタンス=圧力/体積、V=体積、PO=ベースライン圧力)である。各マウスに関するメタコリンの各濃度に関して、すべてのR測定値の合計を取ることによって、曲線下の気道抵抗性(R)面積(AUC)を計算する。実験2において、IL−17RAに対する中和抗体での治療は、対照抗体治療マウスに比較して、メタコリン曝露に反応した肺抵抗性を減少させた(図4a)。実験3では、IL−17RB、IL−17RA、またはIL−25に対する中和抗体での治療は、対照抗体治療マウスと比較して、メタコリン曝露に対する肺抵抗性を減少させたが、IL−17Aに対する中和抗体はこれを減少させなかった(図4b)。
BALF細胞数および組成に対する抗体の効果もまた決定した;結果を図5〜7に示す。実験1において、IL−17RB、IL−17RA、またはIL−25に対する中和抗体は、このマウスOVA喘息モデルにおいて、適切な対照抗体治療と比較して、BALF総白血球(図5a)、好酸球(図5b)、およびリンパ球(図5d)を有意に減少させたが、IL−17Aに対する中和抗体はこれらを減少させなかった。IL−17RBまたはIL−17RAに対する中和抗体は、BALF総好中球(図5c)を有意に減少させたが、IL−17Aに対する中和抗体はこれを減少させなかった。IL−25に対する中和抗体は、BALF総好中球を減少させたが、これは有意ではなかった(図5c)。
実験2において、IL−25、IL−17RB、およびIL−17RAに対する中和抗体は、このマウスOVA喘息モデルにおいて、適切な対照抗体治療と比較して、BALF総白血球(図6a)、好酸球(図6b)、およびリンパ球(図6d)を有意に減少させた。これらの抗体は、総BALF好中球(図6c)またはマクロファージ(図6e)数に対して有意な影響を持たなかった。
実験3において、IL−17RB、IL−17RA、またはIL−25に対する中和抗体は、このマウスOVA喘息モデルにおいて、BALF総白血球(図7a)、好酸球(図7b)、およびリンパ球(図7d)を有意に減少させたが、IL−17AまたはIL−17Fに対する中和抗体はこれらを減少させなかった。IL−17RB、IL−17RA、またはIL−25に対する中和抗体は、BALF総好中球(図7c)を減少させたが、IL−17AまたはIL−17Fに対する中和抗体はこれらを減少させず、ただしIL−17RBおよびIL−25抗体のみが有意な効果を有した。IL−17RBまたはIL−17RAに対する中和抗体は、BALF総マクロファージを減少させたが、IL−25、IL−17AまたはIL−17Fに対する中和抗体はこれを減少させず、ただしIL−17RA抗体のみが有意な効果を有した(図7e)。
IL−17RB、IL−17RA、またはIL−25に対する中和抗体は、図8a(実験1)および図8c(実験3)に示すように、BALF IL−13濃度を有意に減少させたが、IL−17AまたはIL−17Fに対する中和抗体はこれを減少させなかった。実験2において、BALF IL−13濃度は、IL−17RB、IL−17RA、またはIL−25に対する中和抗体で治療したマウスでは、より低かったが、有意ではなく、これはおそらく、このマウスモデルにおいて典型的に観察されるものと比較して、IL−13誘導全体がより低いレベルであるためであった(図8b)。
IL−17RB、IL−17RA、またはIL−25に対する中和抗体はまた、このマウスOVA喘息モデルにおいて、BALF IL−5濃度も減少させたが、IL−17AまたはIL−17Fに対する中和抗体はこれを減少させず、ただし、実験1では、アイソタイプ対照抗体治療マウスと比較して、抗IL−25 mAb治療群のみが有意に低く(図9a)、一方、実験3では、抗IL−17RB、抗IL−17RA、および抗IL−25 mAb治療群は、すべて有意に減少した(図9c)。さらに、BALF IL−5濃度は、実験2において、IL−17RB、IL−17RA、およびIL−25に対する中和抗体での治療によって、有意に減少した(図9b)。
同様に、IL−17RB、IL−17RA、またはIL−25に対する中和抗体は、このマウスOVA喘息モデルにおいて、総血清IgE濃度を減少させたが、IL−17AまたはIL−17Fに対する中和抗体はこれを減少させなかった。実験1において、IL−17RB、IL−17RA、またはIL−25に対する中和抗体は、総血清IgE濃度を減少させたが、IL−25に対する中和抗体で治療した群のみが、適切なアイソタイプ対照抗体治療群と比較して、総血清IgE濃度を有意に減少させた(図10a)。実験2において、IL−25、IL−17RB、またはIL−17RAに対する中和抗体は、総血清IgE濃度を減少させたが、対照抗体治療群と比較して有意ではなかった(図10b)。実験3において、IL−17RB、IL−17RA、またはIL−25に対する中和抗体は、その適切な対照抗体治療群と比較して、総血清IgE濃度を有意に減少させたが、IL−17AまたはIL−17Fに対する中和抗体はこれを減少させなかった(図10c)。
実験3の各治療群から、8匹のマウス由来の肺を組織学的に分析した。肺組織切片をH&EまたはPASで染色し、そして次いで、実施例1に先に記載するように、病理学者によってスコア付けされた。IL−17RB、IL−17RA、またはIL−25に対する中和抗体での治療は、このマウスOVA喘息モデルにおいて、炎症スコアを有意に減少させたが、IL−17AまたはIL−17Fに対する中和抗体はこれを減少させなかった(図11)。
これらの結果は、抗IL−17RB mAb M735、抗IL−17RA mAb M751、または抗IL−25 mAb M819での治療が、ヒトにおける喘息などの肺炎症状態のモデルと見なされる、このマウスOVA誘導喘息モデルにおいて、炎症の多重パラメータを有意に減少させることを立証した。対照的に、抗IL−17A mAbまたは抗IL−17F mAbでの治療は、このモデルにおいて、炎症を有意に減少させなかった。したがって、IL−25、ならびにその受容体IL−17RBおよびIL−17RAは、このマウスOVA喘息モデルにおいて、炎症を仲介する際に役割を果たす。