JP5646025B2 - タービン翼用鋳型およびタービン翼の製造方法 - Google Patents

タービン翼用鋳型およびタービン翼の製造方法 Download PDF

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本発明は、タービン、特にガスタービンの動翼や静翼の鋳造に用いられるタービン翼用鋳型およびタービン翼の製造方法に関する。
一般に、産業用ガスタービンなどのタービンに用いられる動翼や静翼などのタービン翼は、3次元形状などの複雑な形状を有している。そのため、タービン翼は、ロストワックス法と呼ばれる精密鋳造技術を用いて作製されている(例えば、特許文献1参照。)。
ロストワックス法はワックス(ろう)で形成された模型が溶けることを利用した鋳造法であって、ワックス模型を忠実に転写した空間を有する鋳型に、溶融金属(以下、「湯」と表記する。)を流し込む鋳造法である。
鋳型は、ワックス模型を耐火性の液状粘結剤と耐火粉末を混ぜたスラリーと呼ばれる泥状物の中に浸漬し、その後に耐火砂を振りかけて、しばらく乾燥させる工程を複数回繰り返すことのより形成される。そのため、鋳型の厚さは、上述の工程の回数により調節されている。
特公平6−55339号公報
ワックス模型に用いられるワックスは線膨張係数が大きく、鋳型は湿度や外気温度により空隙率が変化する。言い換えると、ワックス模型や鋳型は、周辺環境により物性値が変わりやすく、周辺環境の影響を受けやすい。さらに、鋳型の厚みは鋳型を作成するたびに変わり、同一の鋳型においても場所によって厚みが異なることがあった。
このようなワックスおよび鋳型の物性値の変化や、鋳型の厚みのばらつきは、以下の問題の原因になっていた。
すなわち、鋳造品の凝固過程における温度分布に影響を与えたり、鋳型による鋳造品の拘束(鋳型拘束)に影響を与えたりする。ガスタービンにおけるタービン翼などのように、高い寸法精度が求められる精密鋳造品を鋳造する場合、これらの影響により、寸法精度に狂いが生じるため、大きな問題になるおそれがあった。
有限要素法(FEM)解析を用いて鋳造過程における鋳造品(タービン翼)の変形解析では、鋳造品の断面(翼断面)内の温度差に基づく熱応力と、鋳型と鋳造品との間の線膨張係数の差に基づく熱応力とが重畳することにより、鋳造品に不均一な残留応力が発生し、この残留応力による変形が生じうるとの結果が得られた。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、熱応力による変形が生じうる精密鋳造品における変形を抑制することができるタービン翼用鋳型およびタービン翼の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明のタービン翼用鋳型は、前縁、後縁、凹状に湾曲した正圧面および凸状に湾曲した負圧面を有するタービン翼を鋳造するタービン翼用鋳型であって、内部に前記タービン翼の形状を有する翼形空間と、外部から供給された溶融された金属である湯を前記翼形空間に流入させる湯道と、を内部に有する鋳型本体が設けられ、該鋳型本体の横断面視において、2つの前記翼形空間が、前記湯道を中心として回転対称となり、且つ、それぞれの前記翼形空間の後縁に相当する部分同士が重なり合うように配置され、前記湯道は、前記翼形空間における前記後縁に相当する部分の近傍に配置されるとともに、重なり合う前記後縁に相当する部分の間に挟まれていることを特徴とする。
本発明によれば、湯道に充填された湯からの放射伝熱が、鋳込まれたタービン翼の後縁に伝わる。そのため、湯道と翼形空間の後縁に相当する部分とを接近して配置しなかった場合と比較して、鋳込まれたタービン翼の後縁における温度低下が遅く緩やかになる。
具体的には、タービン翼の後縁部分は他の部分と比較して熱容量が小さいため、タービン翼を鋳込んだ後の後縁部分の温度低下は、他の部分と比較して速くなっていた。そこで、当該後縁部分に、湯道に充填された湯から放射された熱を加えることにより、当該後縁における温度低下が緩やかになり、タービン翼の全体における温度低下のばらつきが抑制されることとなる。
本発明によれば、中央に湯道を配置し、両側に翼形空間の後縁に相当する部分を接近して配置することにより、湯道に充填された湯からの放射伝熱が、それぞれに鋳込まれたタービン翼の後縁に伝わる。そのため、鋳込まれたタービン翼の後縁における温度低下が遅く緩やかになり、それぞれのタービン翼全体における温度低下のばらつきが抑制される。
本発明のタービン翼の製造方法は、上記本発明のタービン翼用鋳型を形成する鋳型形成工程と、前記タービン用鋳型の前記翼形空間に溶融された金属である湯を充填する鋳込み工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、上記本発明のタービン翼用鋳型を用いてタービン翼を鋳造することにより、タービン翼の変形を抑制することができる。
本発明のタービン翼用鋳型およびタービン翼の製造方法によれば、翼形空間における後縁に相当する部分の近傍に湯道を配置することにより、熱応力による変形が生じうる精密鋳造品であるタービン翼における変形を抑制することができるという効果を奏する。
本発明の第1参考実施形態に係る鋳型の構成を説明する模式図である。 図1の鋳型の構成を説明する図1のA−A断面視図である。 図1の鋳型の形成工程を説明する模式図である。 図1の鋳型の形成工程を説明する断面視図である。 本発明の第2参考実施形態の鋳型の構成を説明する模式図である。 図5の鋳型の構成を説明する図5のB−B断面視図である。 本発明の第2参考実施形態の別の実施例を説明する模式図である。 本発明の第2参考実施形態のさらに別の実施例を説明する模式図である。 本発明の第2参考実施形態のさらに別の実施例を説明する模式図である。 本発明の実施形態の鋳型における翼形空間と湯道との相対配置を説明する模式図である。 一対の翼形空間を有する一般的な鋳型の構成を説明する模式図である。
〔第1参考実施形態〕
以下、本発明の第1参考実施形態に係るタービン翼用鋳型およびタービン翼の製造方法(鋳造法方)について図1から図4を参照して説明する。
図1は、本参考実施形態に係る鋳型の構成を説明する模式図である。図2は、図1の鋳型の構成を説明する図1のA−A断面視図である。
本参考実施形態の鋳型(タービン翼用鋳型)1は、ガスタービンのタービン動翼や、タービン静翼などの、タービン翼の鋳造に用いられるものであって、特に、ロストワックス法により鋳造する際に用いられるものである。
鋳型1には、図1および図2に示すように、翼形空間2と、断熱空間3と、湯口4と、湯道5と、上側セキ6と、下側セキ7と、を内部に有する鋳型本体8が、主に設けられている。
翼形空間2は、鋳型本体8の内部形成された空間であって、内面形状がタービン動翼の外形と同一な空間であり、タービン翼の鋳造時には、溶融金属である湯が充填される空間である。さらに、翼形空間2は、上側セキ6と下側セキ7と連通された空間でもある。
翼形空間2には、空間前縁21と、空間後縁(後縁に相当する部分)22と、空間正圧面(正圧面に相当する領域)23と、空間負圧面(負圧面に相当する領域)24と、空間取付部25と、が主に設けられている。
空間前縁21および空間後縁22は、翼形空間2における内面形状のうち、それぞれタービン翼の前縁および後縁に相当する部分であって、鋳込まれたタービン翼の前縁部分および後縁部分を形成するものである。
空間正圧面23および空間負圧面24は、翼形空間2における内面形状のうち、それぞれタービン翼の凹状に湾曲した腹側の曲面である正圧面、および、凸状に湾曲した背側の曲面である負圧面に相当する部分であって、鋳込まれたタービン翼の正圧面部分、および、負圧面部分を形成するものである。
空間取付部25は、翼形空間2における内面のうち、タービン翼の取付部に相当する部分であって、鋳込まれたタービン翼の取付部の部分を形成するものである。空間取付部25は、翼形空間2における湯口4側(図1の上側)の端部に配置されている。そのため、翼形空間2におけるタービン翼の先端に相当する部分は、図1の下側の端部に配置されている。
空間取付部25には上側セキ6が連通され、翼形空間2における下側の端部には下側セキ7が連通されている。
断熱空間3は、鋳型本体8の内部形成された空間であって、翼形空間2における空間後縁22の近傍を覆うように形成された空間である。さらに、断熱空間3は、鋳型本体8の外部と連通した空間である。
断熱空間3は、図2の翼形空間2の断面視に示すように、翼形空間2と所定間隔をあけて配置されている。言い換えると、断熱空間3と翼形空間2との間には、所定の厚さの鋳型本体8の一部が配置されている。
さらに断熱空間3は、翼形空間2の空間正圧面23から空間後縁22を介して空間負圧面24まで延びる空間であり、かつ、図1に示すように、翼形空間2のスパン方向(図1の上下方向)に延びる空間である。
湯口4は、鋳型本体8に形成された空間であって、上方に向って開口する空間であり、鋳造の際に湯が注ぎ込まれる部分である。湯口4には、湯道5および上側セキ6が連通されている。
湯口4は、鋳型本体8に設けられた空間のうち、最も上方に配置された空間である。そのため、湯口4に注がれた湯は、重力により翼形空間2などの他の空間に充填される。
湯道5は、鋳型本体8の内部に形成された空間であって、翼形空間2に沿って上下方向に延びる空間である。湯道5の上側の端部は、湯口4および上側セキ6に連通され、下側の端部は下側セキ7に連通されている。
上側セキ6および下側セキ7は、鋳型本体8の内部に形成された空間であって、翼形空間2に湯を導く空間である。
上側セキ6の一方の端部は湯道5および湯口4に連通され、他方の端部は翼形空間2の空間取付部25に連通されている。
下側セキ7の一方の端部は湯道5に連通され、他方の端部は翼形空間2の先端に連通されている。
鋳型本体8は、翼形空間2、断熱空間3、湯口4、湯道5、上側セキ6および下側セキ7の壁面を形成するものであり、鋳型1の外形を構成するものである。
鋳型本体8は、後述する浸漬工程および乾燥工程により形成された層を積み重ねた、いわゆるシェル構造を有するものである。
次に、上記の構成からなる鋳型1によるタービン翼の鋳造法方について説明する。
まず、上述の鋳型1を形成する鋳型形成工程が行われ、その後に、形成された鋳型1を用いたタービン翼の鋳造を行う鋳造工程が行われる。
図3は、図1の鋳型の形成工程を説明する模式図である。図4は、図1の鋳型の形成工程を説明する断面視図である。
鋳型形成工程では、図3および図4に示すように、翼形空間2、湯口4、湯道5、上側セキ6、および、下側セキ7の形状を有する翼形模型M2と、断熱空間3の形状を有する断熱模型M3と、が造形される。
翼形模型M2および断熱模型M3は、加熱することにより溶ける又は消失するワックス(ろう)を用いて造形されている。なお、造形に用いられるワックスとしては、ロストワックス法に用いられる公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
その後、耐火性の液状粘結剤と耐火粉末とを混ぜたスラリーと呼ばれる泥状物の中に、翼形模型M2を浸漬する浸漬工程、および、耐火砂を浸漬した翼形模型M2に振りかけてしばらく乾燥させる乾燥工程が所定の回数だけ繰り返される。これにより、翼形模型M2の周囲に鋳型本体8の一部が形成される。鋳型本体8の一部とは、鋳型本体8おける翼形模型M2の近傍のみが形成された状態であり、鋳型本体8の外表面部分は未だ形成されていない状態のことである。
ここでの浸漬工程および乾燥工程の繰り返し回数は、鋳型1を用いてタービン翼を鋳造する際に、翼形空間2と断熱空間3との間の鋳型本体8が破損しない程度の厚さになる回数であることが望ましい。
そして、鋳型本体8の一部に、図4に示すように、耐火用接着剤を用いて断熱模型M3が接着される。
その後、断熱模型M3が接着された状態で、浸漬工程および乾燥工程が繰り返し行われ、鋳型本体8は所定の厚さに形成される。上述のように、鋳型本体8は浸漬工程および乾燥工程により形成された層が積層した構造を有しているため、シェル鋳型とも呼ばれる。
鋳型本体8が形成されると、内部に含まれる翼形模型M2および断熱模型M3を除去する脱ろう工程が行われる。具体的には、翼形模型M2および断熱模型M3を含む鋳型本体8を加熱し、翼形模型M2および断熱模型M3を形成するワックスを溶かして鋳型本体8の外部へ流出させる、または、ワックスを消失させることにより除去が行われる。
これにより、鋳型本体8の内部に、翼形空間2や断熱空間3などが形成される。
その後、必要に応じて鋳型本体8の焼成などを行い図1および図2に示すような鋳型1が完成する。
鋳型1が完成すると、タービン翼を鋳造する鋳造工程が行われる。
具体的には、タービン翼を構成する金属、例えばニッケル基合金が溶解炉により溶かされ、溶融金属である湯が準備される。
湯は、溶解炉から取り出されて、図1に示す鋳型1の湯口4に注ぎ込まれ、湯口4から上側セキ6や、湯道5に流入する。このとき、鋳型1は予熱されている。
上側セキ6に流入した湯は、翼形空間2に流入する。その一方で、湯道5に流入した湯は、下側セキ7を介して翼形空間2に流入する。このようにして、翼形空間2の内部に湯が充填される。
翼形空間2などに充填された湯は、鋳型1を介して外部に熱を放出することにより徐々に冷却されて凝固する。
このとき、翼形空間2における空間後縁22の近傍を覆うように断熱空間3が配置されているため、他の部分と比較して、空間後縁22の近傍から外部に熱が放出されにくくなっている。そのため、他の部分と比較して熱容量が小さいタービン翼の後縁付近の温度低下が遅く緩やかになり、タービン翼の全体における温度低下のばらつきが抑えられる。
翼形空間2に充填された湯の凝固が完了すると、鋳型1からタービン翼や上側セキや下側セキや湯道などが一体になったものが取り出される。そして、タービン翼から上側セキや下側セキや湯道などが切り離される。
上記の構成によれば、翼形空間2における空間後縁22を覆うように断熱空間3が配置されていることになるため、鋳型本体8における断熱空間3が設けられている領域は、それ以外の領域と比較して熱伝導率が低くなる。
そのため、翼形空間2に溶融金属である湯を充填した(鋳込んだ)際に、タービン翼の全体における温度低下のばらつきが抑制される。つまり、タービン翼における他の部分と比較して熱容量が小さい後縁近傍の温度低下が、空間後縁22が設けられていない場合と比較して緩やかになることから、タービン翼の全体における温度低下のばらつきが抑制される。その結果、ガスタービンのタービン翼のような断面形状を有する精密鋳造品の変形を抑制することができる。
なお、上述の参考実施形態では、鋳型1を予熱した状態で鋳造を行っているが、この予熱温度を注ぎ込まれる湯の温度(注湯温度)程度としてもよく、特に限定するものではない。
このように予熱温度を高めることにより、注湯時における急激な湯の温度低下を防ぐことができる。そのため、鋳造されたタービン翼の断面内に生じる温度差による熱応力を緩和し、残留変形を抑制することができる。
さらに、予熱温度を高めることにより、鋳型1および注湯時された湯が常温(例えば室温)に冷える際の鋳型1と、鋳込まれたタービン翼との熱伸び差による熱応力も緩和できる。
〔第2参考実施形態〕
次に、本発明の第2参考実施形態について図5から図9を参照して説明する。
本参考実施形態の鋳型の基本構成は、第1参考実施形態と同様であるが、第1参考実施形態とは、鋳型本体における空間後縁近傍の構成が異なっている。よって、本参考実施形態においては、図5から図9を用いて鋳型本体における空間後縁近傍の構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図5は、本参考実施形態の鋳型の構成を説明する模式図である。図6は、図5の鋳型の構成を説明する図5のB−B断面視図である。
なお、第1参考実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
鋳型101には、図5および図6に示すように、翼形空間2と、湯口4と、湯道5と、上側セキ6と、下側セキ7と、を内部に有する鋳型本体108が、主に設けられている。つまり、第1参考実施形態における鋳型1と比較して、断熱空間3が内部に形成されていない点が異なる。
鋳型本体108は、翼形空間2、断熱空間3、湯口4、湯道5、上側セキ6および下側セキ7の壁面を形成するものであり、鋳型101の外形を構成するものである。
鋳型本体108は、後述する浸漬工程および乾燥工程により形成された層を積み重ねた、いわゆるシェル構造を有するものである。
鋳型本体108の空間後縁22近傍における外表面には、図5に示すように、スリット部(溝部)103が設けられている。
スリット部103は、空間正圧面23から空間後縁22を介して空間負圧面24まで延びる溝であり、翼形空間2のスパン方向(図5の上下方向)に間隔をあけて設けられているものである。
本参考実施形態では、スリット部103の溝の深さが鋳型本体108の厚さの約半分である場合に適用して説明する。
なお、スリット部103における溝の深さとしては、鋳型本体108における剛性を低下させるとともに、タービン翼を鋳込んだ際に、スリット部103において鋳型本体108が破損しない程度の深さが好ましく、特に限定するものではない。
次に、上記の構成からなる鋳型101によるタービン翼の鋳造法方について説明する。
なお、上述の鋳型101を形成する鋳型形成工程は、第1参考実施形態における鋳型形成工程と比較して、断熱模型M3を鋳型本体108に埋め込む必要がない。さらに、鋳型本体108を所定の厚さに形成した後、スリット部103を形成する工程が追加されている。スリット部103を形成する方法としては、切削加工などの公知の加工方法を用いることができ、特に限定するものではない。
また、形成された鋳型101を用いたタービン翼の鋳造を行う鋳造工程は、第参考の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
なお、鋳造を行う際には、鋳型101は予熱炉を用いて予熱され、鋳込み炉で鋳込まれる。
上記の構成によれば、スリット部103を設けたことにより、鋳型本体108の空間後縁22を覆う部分におけるスパン方向の剛性が低下する。そのため、翼形空間2に鋳込まれたタービン翼が、凝固過程において凝固収縮しても、タービン翼の後縁部分に熱応力が発生しにくくなる。
具体的には、鋳型本体108の線膨張係数は、鋳込まれたタービン翼と比較して小さいため、凝固過程におけるタービン翼の凝固収縮は、鋳型本体108により拘束される。特に、他の部分と比較して断面積の小さな後縁部分は、鋳型本体108により凝固収縮されやすいため、熱応力が発生しやすい。
そこで本参考実施形態の鋳型101では、鋳型本体108における空間後縁22を覆う部分にスリット部103を設け、鋳型本体108の空間後縁22におけるスパン方向の剛性を低下させることにより、鋳型本体108によるタービン翼の後縁部分における凝固収縮の拘束力を低下させている。それにより、タービン翼の後縁部分に熱応力が発生しにくくなる。
図7は、本参考実施形態の別の実施例を説明する模式図である。
なお、上述の参考実施形態のように、予熱炉で鋳型101を予熱してから鋳込みを行ってもよいし、図7に示すように、鋳型101における熱容量の少ない部分、つまり、空間後縁22の近傍をバーナーや、発熱材などを用いて加熱してもよい。このようにすることで、鋳込まれた直後のタービン翼における不均一な温度低下を抑制することができ、熱応力を低減させることができる。
図8は、本参考実施形態のさらに別の実施例を説明する模式図である。
さらに、図8に示すように、鋳型101における空間前縁21や、空間後縁22の近傍に、耐熱性を有する断熱材104を配置してもよく、特に限定するものではない。
断熱材104を配置する場所は、例えば、熱伝導解析の結果を参考にして求められる。断熱材104を配置する厚さは、鋳型101における熱容量を参考に定めることができ、図8では、空間前縁21の近傍に1枚の断熱材104を配置し、空間後縁22の近傍に3枚の断熱材104を配置する例が示されている。
このようにすることで、鋳込まれた直後のタービン翼における不均一な温度低下を抑制することができ、熱応力を低減させることができる。その結果、タービン翼における凝固時の変形を抑制することができる。
なお、鋳型101に配置されるものとしては、断熱材104に限られるものではなく、保温材であってもよい。
図9は、本参考実施形態のさらに別の実施例を説明する模式図である。
さらに、図9に示す支持治具110を用いて鋳型101を支持し、鋳型101を中に浮かせた状態で鋳造を行ってもよい。このようにすることで、鋳型101と地面との接点を無くすことができ、地面との接触による鋳型101の温度の急激な低下を防止することができる。
支持治具110には、土台111と、支柱112と、上側支持部113と、下側支持部114と、が設けられている。
土台111は、支持治具110の最も下方に配置され、支持治具110そのもの、および、鋳型101を支えるものである。土台111には支柱112が取り付けられている。
支柱112は、土台111から上方に向って延びる柱状の部材であって、上側支持部113および下側支持部114とともに、鋳型101を支持するものである。
上側支持部113は、支柱112の上側端部または端部近傍から側方に向って突出する梁状の部材であって、鋳型101における湯口4の周辺を支持するものである。
下側支持部114は、支柱112の中央付近に配置された部材であって、鋳型101における湯道5の下側端部の周辺を支持するものである。
〔実施形態〕
次に、本発明の実施形態について図10および図11を参照して説明する。
本実施形態の鋳型の基本構成は、第1参考実施形態と同様であるが、第1参考実施形態とは、翼形空間と湯道との相対配置が異なっている。よって、本実施形態においては、図10および図11を用いて翼形空間と湯道との相対配置のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図10は、本実施形態の鋳型における翼形空間と湯道との相対配置を説明する模式図である。
なお、第1参考実施形態と同一の構成要素に付いては、同一の符号を付してその説明を省略する。
鋳型201には、図10に示すように、少なくとも一対の翼形空間2,2と、湯道5と、を内部に有する鋳型本体208が、主に設けられている。
湯道5は、一対の翼形空間2,2における空間後縁22の近傍に配置されている。さらに、一対の翼形空間2,2は、湯道5を中心とした回転対称に配置されている。
図11は、一対の翼形空間を有する一般的な鋳型の構成を説明する模式図である。
ここで、一対の翼形空間2,2を有する一般的な鋳型1Aの構成を、本実施形態の鋳型201と対比しながら説明する。
鋳型1Aには、図11に示すように、一対の翼形空間2,2と、1つの湯口4および湯道5と、一対の上側セキ6および下側セキ7と、を内部に有する鋳型本体8Aが、主に設けられている。
鋳型1Aは、鋳型201と比較して、一対の翼形空間2,2と、1つの湯道5との相対配置位置が異なっている。
具体的には、鋳型1Aでは、一対の翼形空間2,2と、1つの湯道5とは離間して配置されているのに対して、鋳型201では、一対の翼形空間2,2における空間後縁22の近傍に湯道5が配置されている点が異なっている。
次に、上記の構成からなる鋳型201によるタービン翼の鋳造法方について説明する。
なお、上述の鋳型201を形成する鋳型形成工程は、第1参考実施形態における鋳型形成工程と比較して、断熱模型M3を鋳型本体208に埋め込む必要がない点を除き、第1参考実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
また、形成された鋳型101を用いたタービン翼の鋳造を行う鋳造工程についても、第1参考実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
上記の構成によれば、湯道5に充填された湯からの放射伝熱が、鋳込まれたタービン翼の後縁に伝わる。そのため、湯道5と空間後縁22とを接近して配置しなかった場合と比較して、鋳込まれたタービン翼の後縁における温度低下が遅く緩やかになる。
具体的には、タービン翼の後縁部分は他の部分と比較して熱容量が小さいため、タービン翼を鋳込んだ後の後縁部分の温度低下は、他の部分と比較して速くなっていた。そこで、当該後縁部分に、湯道5に充填された湯から放射された熱を加えることにより、当該後縁における温度低下が緩やかになる。その結果、タービン翼の全体における温度低下のばらつきが抑制され、変形を抑制することができる。
さらに、中央に湯道5を配置し、両側に空間後縁22を接近して配置することにより、湯道5に充填された湯からの放射伝熱が、それぞれに鋳込まれたタービン翼の後縁に伝わりやすくなる。そのため、鋳込まれたタービン翼の後縁における温度低下が遅く緩やかになり、それぞれのタービン翼全体における温度低下のばらつきが、さらに抑制される。
2 翼形空間
5 湯道
22 空間後縁(後縁に相当する部分)
23 空間正圧面(正圧面に相当する領域)
24 空間負圧面(負圧面に相当する領域)
201 鋳型(タービン翼用鋳型)
208 鋳型本体

Claims (2)

  1. 前縁、後縁、凹状に湾曲した正圧面および凸状に湾曲した負圧面を有するタービン翼を鋳造するタービン翼用鋳型であって、
    内部に前記タービン翼の形状を有する翼形空間と、
    外部から供給された溶融された金属である湯を前記翼形空間に流入させる湯道と、を内部に有する鋳型本体が設けられ、
    該鋳型本体の横断面視において、2つの前記翼形空間が、前記湯道を中心として回転対称となり、且つ、それぞれの前記翼形空間の後縁に相当する部分同士が重なり合うように配置され、
    前記湯道は、前記翼形空間における前記後縁に相当する部分の近傍に配置されるとともに、重なり合う前記後縁に相当する部分の間に挟まれていることを特徴とするタービン翼用鋳型。
  2. 請求項1に記載のタービン翼用鋳型を形成する鋳型形成工程と、
    前記タービン用鋳型の前記翼形空間に溶融された金属である湯を充填する鋳込み工程と、
    を有することを特徴とするタービン翼の製造方法。
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