JP5643506B2 - 濾過装置および濾過材洗浄方法 - Google Patents

濾過装置および濾過材洗浄方法 Download PDF

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Description

本発明は濾過装置、特に詳細には、濾過材を充填した濾過槽の外に、濾過材を洗浄する手段が設けられてなる濾過装置に関するものである。
また本発明は、そのような濾過装置に用いられている濾過材を洗浄する方法に関するものである。
従来、例えば特許文献1に示されているように、濾過材の層を内部に有する濾過槽を備え、供給された水等の原液を濾過材の層により濾過して、原液中の汚濁物質(濁質)を除去した濾過液を槽外に排出するタイプの濾過装置が知られている。この種の濾過装置を長期間使用すると、濾過槽内の濾過材が原液中の濁質により目詰まりするので、効果的な濾過が行えなくなり、濾過水の水質が悪化する。このため、必要に応じて、濾過材に付着した濁質を取り除く洗浄を実施して、濾過材の目詰まりを解消することが行われている。
濾過材を洗浄する方法は、濾過材を濾過装置から完全に取り出して洗浄する方法と、濾過材を濾過装置に充填したまま洗浄する方法とに大別されるが、後者は前者と比べて、大掛かりな作業や装置類を必要としないという点で有利となっている。そして後者の中では、いわゆる逆流洗浄が広く採用されている。この逆流洗浄(以下、「逆洗」という)は、濾過槽内において濾過時とは逆方向に清浄な洗浄液を流して、濾過材に付着している濁質を洗浄液中に浮遊させ、この状態で濾過材層よりも上に位置する洗浄液の表層部分ごと濁質を濾過槽外に排出させる、という方法である。
しかし、この逆洗を行うだけでは、濾過材を十分良好に洗浄するのは難しい。この点に鑑みて本出願人は先に、特許文献2に示される通り、逆洗を行う際に濾過材をさらに良好に洗浄可能で、濾過槽の外部に設置することができる濾過材洗浄装置を提案した。
この濾過材洗浄装置は、前述したように濾過材の層を内部に有する濾過槽を備えた濾過装置に適用されるものであって、具体的には、外筒、その内部に回転自在に配置されたスクリューおよび該スクリューの駆動部から構成されて、外筒の下端近傍の入口から上端近傍の出口まで濾過材を揉み洗いしつつ上方に移送するスクリューコンベアと、外筒の入口に連結されて濾過槽内の濾過材を外筒内に導入する導入管と、外筒の出口に連結されて、揉み洗いされた濾過材を濾過槽内に排出する排出管とを備えてなるものである。
特開2004−160432号公報 特開2008−284457号公報
ところで、濾過材の層を内部に有する濾過槽を備えてなる濾過装置においては、粒径や比重等が互いに異なる複数種類の濾過材が用いられることがある。例えば濾過材として濾過砂と、除鉄・除マンガン濾過材の2つを適用すれば、前者によって原液の主にSS(浮遊物質)を除去し、後者によって原液を主に除色することが可能になる。このような構成の濾過装置は、濾過槽に濾過砂を充填してなる濾過装置および、濾過槽に除鉄・除マンガン濾過材を充填してなる濾過装置の2つを併せて用いる場合と比べると、設置コストや運転コストを低く抑える上で有利なものとなる。
なお、このように複数種類の濾過材を濾過槽内に充填する場合、それらの濾過材は比重の大きい順に下から配置されて、各々が独自の層をなす。そして前述の逆洗がされているとき、濾過材の各層は上方向に膨張し、層の境界領域では上下の濾過材が一部入り混じる状態となるが、逆洗が終了すると各濾過材は互いの比重差により元通りの成層状態となる。
前述の特許文献2に示された濾過材洗浄装置は、上記のように複数種類の濾過材が各々層をなす状態で濾過槽内に充填されてなる濾過装置に対しても適用可能である。実際、その特許文献2においても、1つの濾過槽に対して1つの濾過材洗浄装置を取り付けた構成の説明において、複数種類の濾過材が混在していてもよい、との記載がなされている(段落〔0042〕)。
このように、複数種類の濾過材を1つの濾過槽内に充填してなる濾過装置に対して1つの濾過材洗浄装置を取り付けた場合、それら複数種類の濾過材は一緒に洗浄されることになる。その場合、複数種類の濾過材の洗浄頻度は、通常、それらの中で最も高頻度での洗浄が必要である濾過材に合わせて設定される。つまり、例えば1日に1回洗浄が必要な濾過材と、1週間に1回洗浄が必要な濾過材とが用いられているとすると、それら2種類の濾過材は共に1日に1回の頻度で洗浄されることになる。
しかし、そのようにすると、比較的低い頻度で洗浄するだけでよい濾過材については不必要な高頻度で洗浄を行うことになり、運転コストの点から不経済である。また、一部の特殊な濾過材、例えば表面にコーティングが施された濾過材等に対しては、不必要な高頻度で洗浄を行うと、コーティングの剥がれ等による濾過材の寿命低下を招くことにもなる。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、複数種類の濾過材が各々層をなす状態で濾過槽内に充填されてなる濾過装置において、各濾過材をそれぞれに合った適切な頻度で洗浄可能とすることを目的とする。
本発明による濾過装置は、前述の特許文献2に示されたような濾過材洗浄用の構成を、複数の濾過材層に対してそれぞれ専用に設けて、各濾過材を独立して洗浄可能としたものである。
すなわち本発明による濾過装置は、より具体的には、
相異なる種類の複数の濾過材層を、互いに高さ位置が変わる状態にして内部に有する濾過槽を備え、供給された原液を前記複数の濾過材層により濾過する濾過装置において、
上下に延びる状態に配置された外筒、その内部に回転自在に配置されたスクリュー、および該スクリューの駆動部から構成されて、外筒の下端近傍の入口から上端近傍の出口まで濾過材を揉み洗いしつつ上方に移送するスクリューコンベアと、
外筒の入口に連結するとともに一つの濾過材層が有る高さ位置において濾過槽に連結して、該層をなす濾過材を外筒内に導入する導入管と、
外筒の出口に連結するとともに前記導入管の連結位置よりも高い位置で濾過槽に連結して、外筒内で揉み洗いされた濾過材を濾過槽内に向けて外筒の外に排出する排出管と、
からなる濾過材洗浄手段が前記複数の濾過材層の一つ毎に各々設置されたことを特徴とするものである。
なお、上記構成を有する本発明の濾過装置においては、複数の濾過材層を逆洗するための手段がさらに設けられることが望ましい。
また、本発明の濾過装置においては、導入管が、一つの濾過材層の表面から該層の厚さの1/4だけ下に離れた位置近辺において濾過槽に連結する一方、排出管が、逆洗がなされている状態下で前記一つの濾過材層よりも上に有る位置において濾過槽に連結していることが望ましい。
また本発明は、それぞれが層をなす複数の濾過材を、それぞれに合った適切な頻度で洗浄できる方法を提供するものである。すなわち、本発明による濾過材洗浄方法は、本発明の濾過装置の中でも特に上記逆洗を行う手段がさらに設けられた濾過装置において、逆洗を行うのと並行して、前記濾過材洗浄手段を作動させることを特徴とするものである。
この本発明による濾過材洗浄方法においては、前記導入管を、一つの濾過材層の表面から該層の厚さの1/4だけ下に離れた位置近辺において濾過槽に連結させ、前記排出管を、逆洗がなされている状態下で前記一つの濾過材層よりも上に有る位置において濾過槽に連結させておくのが望ましい。
本発明の濾過装置によれば、前述のスクリューコンベア、導入管、および排出管からなる濾過材洗浄手段が複数の濾過材層の一つ毎に各々設置されているので、複数の濾過材層の各々を他の濾過材層とは関係なく独立して洗浄可能となる。そうであれば、高頻度で洗浄が必要な濾過材層は高い頻度で、そして比較的低頻度で洗浄すればよい濾過材層は低頻度で洗浄することができるので、不必要な濾過材洗浄を行うことによる運転コストの増大や濾過材の寿命低下を防止可能となる。
なお、本発明の濾過装置において特に、複数の濾過材層を逆洗する手段がさらに設けられている場合は、上記の濾過材洗浄手段による濾過材洗浄を逆洗と並行して行うことができる。
また本発明の濾過装置において特に、導入管が、一つの濾過材層の表面から該層の厚さの1/4だけ下に離れた位置近辺において濾過槽に連結する一方、排出管が、逆洗がなされている状態下で前記一つの濾過材層よりも上に有る位置において濾過槽に連結している場合は、通常濁質を特に多く捕捉している濾過材層の表層部分を効率良くスクリューコンベアに導入可能となって、良好な濾過材洗浄効果が得られるようになる。
本発明の一実施形態による濾過装置を示す一部破断側面図 上記濾過装置に適用された濾過材洗浄手段を示す一部破断側面図 上記濾過材洗浄手段のスクリューコンベアを示す一部破断側面図 上記スクリューコンベアの要部を示す正面図 上記濾過装置の一部を示す平面図
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による濾過装置100の一部破断側面形状を示すものである。図示のようにこの濾過装置100は、後述する複数の濾過材層が充填される濾過槽101を有している。この濾過槽101は、典型的な形状として、その上部と下部が湾曲凸面で閉鎖された円筒形の外殻体102を有し、複数の支持脚103(図では1つのみ表示)によって床面や地面の上に支持されている。外殻体102の側面上部には、井戸水等の濁質を含む水すなわち原水を導入する原水供給管104が形成されている。この原水供給管104は層内部まで延ばされ、層中心部において上方に曲げられ、先端には上方に開いたラッパ管105が接続されている。一方、外殻体102の底面には排出口106が接続され、そしてこの底面上には、後述するプレート110を下方から支持する支持部材107が固定されている。また外殻体102の上面には、大径のマンホール108が形成されている。
濾過槽101の下端に近い位置においてその内部には、多数のストレーナ109を有するプレート110が固定されている。そしてその上には、砂利層111、112および113、第1濾過材層114、第2濾過材層115、第3濾過材層116がこの順に配置されている。
濾過材の支持床となる上記砂利層111、112および113はこの順に各々、例えば径が7〜13mm、3.5〜7mm、2〜3.5mm程度の砂利からなるものである。また一例として第1濾過材層114は比重が2.2〜2.3程度のガーネットから、第2濾過材層115は比重が1.4程度の砂から、第3濾過材層116は比重が0.75程度のアンスラサイトからなるものである。
以上の基本構成を有する濾過装置100を使用する際、原水は図中矢印120で示すように原水供給管104から濾過槽101内に供給される。この原水はラッパ管105の上端から越流して濾過槽内の第3濾過材層116、第2濾過材層115、第1濾過材層114、砂利層113、112および111をこの順に通過して濾過される。こうして濁質が除去された後の濾過液121は、ストレーナ109を通過して濾過槽101の底面上に溜まり、排出口106から外部に供給される。
本実施形態の濾過装置100においても、この種の濾過装置において一般になされている逆洗を行うことができる。この逆洗を行う場合は、ある程度の圧力をかけられた清浄な水等の洗浄液(逆洗水)が、排出口106から濾過槽101内に供給される。こうして洗浄液が供給されると、濾過材層114〜116はそれぞれ、構成している濾過材が展開して膨張する。そこで、濾過材層114〜116の各濾過材に捕捉されていた濁質が洗浄液の中に浮遊して、それらは上方に押し流される。このとき第3濾過材層116より上まで上昇した洗浄液を図中122で示し、またその水位をWLで示してあるが、この洗浄液122はラッパ管105に流れ込む。そこで、上述のように浮遊している濁質は、洗浄液122の表層部分ごとラッパ管105から原水供給管104に流れ、濾過槽101の外に排出される。こうして、逆洗により濾過材層114〜116の各濾過材が洗浄されることになる。
上述のように洗浄液122が供給されたとき各濾過材は、層をなしている場合と比べると高さが10〜20%増す程度展開するが、逆洗が終了して洗浄液122の供給が断たれると、元通り濾過材層114〜116を構成するように成層化する。
なお、以上の逆洗を行う際には、排出口106は濾過水の流出配管との接続を切って洗浄液を供給する配管と接続する状態に、また原水供給管104は原水が送られて来る配管との接続を切って、濁質を含む洗浄液を回収する配管と接続する状態に設定される。そのような切り替えは、バルブ(弁)を用いた公知の流路切替機構によって実行可能であり、それについての詳しい説明は省略する。
また、以上の説明から明らかな通り、原水供給管104、ラッパ管105および排出口106は、逆洗をするための手段としても作用するものである。
この濾過装置100においては、以上説明した逆洗と並行して、別の手段による濾過材洗浄を行うことも可能となっている。以下、そのための構成について詳しく説明する。本装置においては、スクリューコンベアを用いる濾過材洗浄手段1A、1Bおよび1Cが、各々支持部材130を用いて濾過槽101に取り付けられている。それらの濾過材洗浄手段1A、1Bおよび1Cは、逆洗時に洗浄液を各々上方に移送しながら、そこに含まれる濾過材を揉み洗いするものであるが、基本的に同じ構成を有しているので、以下、一つの濾過材洗浄手段1Aを詳しく説明する。
図2は上記濾過材洗浄手段1Aの一部破断側面形状を示すものであり、また図3および図4は、この濾過材洗浄手段1Aの要部を示すものである。まず図2に示されるように、この濾過材洗浄手段1Aは、金属からなる概略円筒形の外筒2と、この外筒2の内部に配置されたスクリュー4と、スクリュー4の上端に連結された駆動部6とからなるスクリューコンベア5を有している。
上記外筒2は、その上端にフランジ8を有している。フランジ8の上には、それにボルト10aにて結合されたフランジ10を介して台座12が固定されている。この台座12には、スクリュー4の軸16を軸支する軸受け14が形成されている。この軸受け14は、フランジ10側の軸受け14aおよび、台座12の高さ方向中間位置に配された軸受け14bから構成されている。
一方スクリュー4の軸16は、外筒2内に配置される螺旋羽根18が形成された中空すなわちパイプ状の中空軸20と、この中空軸20の上端部に挿入、溶接された、中空軸20よりわずかに小径の支軸部22とから構成されている。この支軸部22は前述の軸受け14により軸支され、その上端には継手24が連結されている。台座12の上には、前述の駆動部6すなわち、減速機構部26およびこの減速機構部26に接続されたモータ28が配置されている。このモータ28には、その回転数を制御する、例えばインバータ回路を有する制御部30が電気的に接続されている。ここでは、制御部30は模式的に示されている。
上記外筒2の下部にはフランジ32が形成されており、このフランジ32にはボルト32aによって別のフランジ34が結合されている。このフランジ34は、先端部が90°曲がった形状とされた導入管36の先端に固定されたものであり、こうして、外筒2の入口2aである下端に導入管36が連通されている。なお導入管36はフランジ34を介さないで外筒2の入口に接続されてもよいし、またその材質も特に限定されるものではなく、金属、合成樹脂、ゴムなどを適宜用いて形成可能である。
一方、外筒2の上端に近い位置においてその周壁には出口2bが形成されており、この出口2bには排出管38が例えば溶接によって接続されている。この排出管38および前記導入管36は、濾過槽101の内部と連通するようにして外殻体102に接合されている。なお、これらの排出管38および導入管36には、必要に応じて、濾過槽101内との連通状態を断つ弁が介設されてもよい。
また、中空軸20の上端に当たる位置においてスクリュー軸16には、後述するように逆洗に際して外筒2内を通過する濾過材が、軸受け14側に流入するのを防止する濾過材流入防止羽根43が取り付けられている。そして上記出口2bが形成された部分と反対側の外筒2の周壁には、該出口2bとほぼ同じ高さ位置、並びにそれよりもやや上の高さ位置(上記濾過材流入防止羽根43よりも上の位置)において、それぞれ注入口2cが形成されている。これら2つの注入口2cには、それぞれ注入管40が接続されている。さらに下側の注入管40には、そこから互いに反対の水平方向(図の紙面に対して手前方向と奥行方向)に枝分かれした状態として2つの管が接続され、それらは各々外筒2の外側を約半周して、排出管38に連通されている。なお図2では、上記2つの管は省略し、排出管38への連通部分だけを「40」として示してある。
後述するように濾過材を洗浄する際、必要に応じて、上記注入管40から外筒2内に適宜水等が注入される。この水等は、洗浄に際して導入管36から外筒2内に導入された洗浄液(これは濾過材や濁質を含む状態になっている)の濃度が高い場合に、これを薄めて移送し易くしたり、呼び水とするために利用される。
図3に拡大して示す通り、螺旋羽根18の外周縁18aと、外筒2の内面2dとの間には僅かな間隙Gが設定されている。この間隙Gの寸法は、濾過材層114〜116を構成する濾過材の最大粒径よりもかなり大きい寸法に設定されている。その理由は次の通りである。すなわち、濾過材はスクリューコンベア5によって上方に移送されるとき、スクリュー4の回転による遠心力によって螺旋羽根18の外周側に向かう。このとき、間隙Gが上述のような寸法とされていれば、螺旋羽根18の外周縁18aと、外筒2の内面2dとの間で濾過材が押しつぶされて破砕されることが防止される。
次に図4も参照して、スクリュー4の下端部の形状について説明する。図4はスクリュー4の下端部を拡大して示す正面図である。ここに図示されているように、スクリュー4の中空軸20の下端20aには、該下端を閉じるキャップ42が取り付けられている。
上記構成を有する濾過材洗浄手段1Aは図1に示す通り、導入管36が第1濾過材層114の一部に開口する一方、逆洗時に膨張した第2濾過材層115の一部に排出管38が開口する状態にして、濾過槽101に取り付けられている。また別の濾過材洗浄手段1Bは、導入管36が第2濾過材層115の一部に開口する一方、逆洗時に膨張した第3濾過材層116の一部に排出管38が開口する状態にして、濾過槽101に取り付けられている。そしてもう一つの濾過材洗浄手段1Cは、導入管36が第3濾過材層116の一部に開口する一方、逆洗時にこの第3濾過材層116よりも上の位置において排出管38が濾過槽101内に開口する状態にして、濾過槽101に取り付けられている。
なお図1においては図示の都合上、濾過材洗浄手段1A、1B、1Cの高さ位置は正確に示してあるが、それらの濾過槽周りの取り付け位置は実際のものとは異なっている。すなわち、これらの濾過材洗浄手段1A、1B、1Cは、実際には濾過槽101の周りに、互いに等角度間隔で(120°間隔で)取り付けられている。
また濾過材洗浄手段1Aの排出管38は、平面視状態では図5に示す通りの形状とされている。すなわち、この排出管38は、濾過槽101内への進入部分からその内部をほぼ半周する湾曲形状とされ、その湾曲部分は図示外の支持部材を用いて濾過槽101の内部に取り付けられている。この点は、他の2つの濾過材洗浄手段1B、1Cの各排出管38も同様である。他方、濾過材洗浄手段1A、1B、1Cの各導入管36は、濾過槽101内への進入部分から少しだけ槽中心方向に延びた形状とされている。
以下、上記構成の濾過材洗浄手段1A、1B、1Cの作用について、濾過材洗浄手段1Aを例に挙げて説明する。先に述べた逆洗を行う際、濾過材洗浄手段1Aのモータ28(図2参照)が作動される。それにより外筒2内でスクリュー4が回転するので、濾過槽101内の洗浄液122および濾過材層114を構成する濾過材が、混合した状態で導入管36から外筒入口2aを介して外筒2内に導入され、そして上方に移送される。このとき、前記注入管40から外筒2内に適宜呼び水を注入してからモータ28を作動させると、洗浄液122や濾過材を容易に外筒2内に導入することができる。
洗浄液122やそれに混合した濾過材がスクリュー4によって上方に移送される際、濾過材はスクリュー4の螺旋羽根18によって揉み洗いされ、そこに付着していた濁質が剥離される。こうして洗浄された濾過材は、剥離した濁質を含む洗浄液122とともに、外筒2の出口2bから排出管38を介して濾過槽101に戻される。この濾過材が戻される位置は、濾過材層114の1つ上の濾過材層115が層成される位置であるが、前述したように第1濾過材層114を構成する濾過材の比重は、第2濾過材層115を構成する濾過材の比重よりも大きいので、その比重差により、前者の濾過材は洗浄液122の中で後者の濾過材よりも下方に沈降する。そこで逆洗終了後には、第1濾過材層114および第2濾過材層115は、本来各々を構成する濾過材によって層成されるようになる。この点は、後述する第2濾過材層115と第3濾過材層116との間でも同様である。
上記のようにして濾過材から剥離した濁質は洗浄液122の中で浮遊し、前述した逆洗によって濾過材から分離した濁質とともに、洗浄液122の表層部分ごとラッパ管105から原水供給管104に流れ、濾過槽101の外に排出される。以上のように濾過材洗浄手段1Aも使用すれば、通常の逆洗だけでは濾過材から分離し得なかった濁質も、スクリューコンベア5の揉み洗い作用によって濾過材から分離されるので、良好に濾過材を洗浄可能となる。
なお本実施形態では、排出管38が図5に示した通りの形状とされているので、そこから濾過槽101に戻される洗浄液122および濾過材は、濾過材洗浄手段1Aの導入管36から極めて遠い位置において濾過槽101に戻されるようになる。そうであれば、導入管36に近い位置に有る濾過材だけが何度もスクリューコンベア5による揉み洗いを受ける一方、導入管36から遠い位置に有る濾過材は揉み洗いがなされない、という不具合の発生を防止することができる。また、排出管38から排出される洗浄液122および濾過材は、図5に矢印Rで示すように濾過槽101の内壁に沿って流れる状態となる。そこで、濾過材が良好に撹拌され、濾過材が均等に揉み洗いされるようになる。
なお、図2に示した制御部30は、スクリュー4を揉み洗いに適した回転数に設定するために操作される。この回転数は、例えば半径10cmのスクリュー4の場合、螺旋羽根18の外周縁18aの周速度が約4m/秒となる程度に設定されることが好ましい。
以上説明したように濾過材洗浄手段1Aが作動されるとき、それと共に他の濾過材洗浄手段1Bおよび1Cも作動される。そこで、第2濾過材層115を構成する濾過材が主に濾過材洗浄手段1Bによって、また第3濾過材層116を構成する濾過材が主に濾過材洗浄手段1Cによって同様に揉み洗いされるようになる。
この濾過材洗浄手段1A、1Bおよび1Cによる濾過材の揉み洗いは、逆洗が行われている間ずっと並行して行うようにしてもよいし、あるいは、揉み洗いを逆洗終了の前に終了させて、逆洗をより長い時間行うようにしてもよい。一般には後者を採用して、揉み洗いによって濾過材から分離された濁質が、より確実に濾過槽101外に排出されるようにすることが望ましい。
また一般に、濾過材洗浄手段1A、1Bおよび1Cの各導入管36は、それぞれが洗浄対象としている第1濾過材層114、第2濾過材層115および第3濾過材層116の表面から当該層の厚さの1/4だけ下に離れた位置近辺において濾過槽101に連結するようにすると、良好な濾過材洗浄効果が得られることが多い。そのようにする場合、スクリューコンベア5を十分な揉み洗い作用が確保できる長さに形成すると、外筒2の出口2b(図2参照)が、洗浄対象の濾過材層よりかなり高い所に位置することもあり得るが、その際は、上記出口2bに接続する排出管38を適宜立ち下げて、好ましい高さ位置で濾過槽101に連結させればよい。
以上説明したように本実施形態の濾過装置100においては、第1濾過材層114、第2濾過材層115および第3濾過材層116を構成する各濾過材を、それぞれ主に濾過材洗浄手段1A、1Bおよび1Cによって独自に洗浄可能となっている。そこで、例えば比較的濁質によって目詰まりしやすい第2濾過材層115および第3濾過材層116に対しては1回/1日の頻度で濾過材洗浄手段1Bおよび1Cによる洗浄を行う一方、それらよりも比較的目詰まりし難い第1濾過材層114に対しては1回/1週の頻度で濾過材洗浄手段1Aによる洗浄を行う、というように各濾過材層独自の頻度で洗浄を行うことができる。
そうであれば、濾過材層114〜116に対して長いスクリューコンベアを有する一つの濾過材洗浄手段だけで洗浄を行う場合のように、第1濾過材層114を、他の濾過材層115および116と合わせて不必要に高い1回/1日の頻度で洗浄してしまうことを回避できるので、濾過材洗浄手段1Aの運転コストを低減可能となる。また、表面に特殊なコーティングが施された濾過材は、過度の揉み洗いを行うと寿命が徒に短くなってしまうが、上述のようにして不必要な揉み洗い洗浄を行うことを回避可能であれば、濾過材の寿命を延ばすこともできる。
なお、以上説明した実施形態の濾過装置100は3つの濾過材層114〜116を有するものであるが、本発明は、3つ以外の複数の濾過材層を有する濾過装置に対しても適用可能である。例えば、主に濁質を除去する砂濾過層と、主に色を除去する除鉄・除マンガン濾過層とを有する濾過装置に対しては、各濾過層に対して1つずつ合計2つの濾過材洗浄手段を設ければよい。
また、以上説明した実施形態の濾過装置100においては、3つの濾過材洗浄手段1A、1Bおよび1Cがそれぞれ濾過槽101に固定されているが、濾過材洗浄手段を濾過槽101とは離れた位置に設置して、濾過材洗浄手段の導入管および排出管を、例えばフレキシブル管等を介して濾過槽と接続するようにしても構わない。
またその他、前述の特許文献2に示された各種細部の構成も、本願発明において必要に応じて適用可能であることは勿論である。
1A、1B、1C 濾過材洗浄手段
2 外筒
2a 外筒の入口
2b 外筒の出口
4 スクリュー
5 スクリューコンベア
6 駆動部
18 螺旋羽根
20 中空軸
30 制御部
36 導入管
38 排出管
100 濾過装置
101 濾過槽
114 第1濾過材層
115 第2濾過材層
116 第3濾過材層

Claims (5)

  1. 相異なる種類の複数の濾過材層を、互いに高さ位置が変わる状態にして内部に有する濾過槽を備え、供給された原液を前記複数の濾過材層により濾過する濾過装置において、
    上下に延びる状態に配置された外筒、その内部に回転自在に配置されたスクリュー、および該スクリューの駆動部から構成されて、外筒の下端近傍の入口から上端近傍の出口まで濾過材を揉み洗いしつつ上方に移送するスクリューコンベアと、
    外筒の入口に連結するとともに一つの濾過材層が有る高さ位置において濾過槽に連結して、この層をなす濾過材を外筒内に導入する導入管と、
    外筒の出口に連結するとともに前記導入管の連結位置よりも高い位置で濾過槽に連結して、外筒内で揉み洗いされた濾過材を濾過槽内に向けて外筒外に排出する排出管と、
    からなる濾過材洗浄手段が前記複数の濾過材層の一つ毎に各々設置されていることを特徴とする濾過装置。
  2. 前記複数の濾過材層を逆流洗浄するための手段がさらに設けられていることを特徴とする請求項1記載の濾過装置。
  3. 前記導入管が、一つの濾過材層の表面から該層の厚さの1/4だけ下に離れた位置近辺において濾過槽に連結し、
    前記排出管が、逆流洗浄がなされている状態下で前記一つの濾過材層よりも上に有る位置において濾過槽に連結していることを特徴とする請求項2記載の濾過装置。
  4. 請求項2に記載の濾過装置を用いて濾過材を洗浄する方法であって、前記逆流洗浄を行うのと並行して、前記濾過材洗浄手段を作動させることを特徴とする濾過材洗浄方法。
  5. 前記導入管を、一つの濾過材層の表面から該層の厚さの1/4だけ下に離れた位置近辺において濾過槽に連結させ、
    前記排出管を、逆流洗浄がなされている状態下で前記一つの濾過材層よりも上に有る位置において濾過槽に連結させておくことを特徴とする請求項4記載の濾過材洗浄方法。
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