JP5638294B2 - 電路 - Google Patents

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本発明は、たとえば建家や船舶等の建造物に適用され、電線を引き回して配線する際に用いられる電路の構造に関する。
従来、建造物内に電線を引き回すための電路形成部材として、フラットバーとケーブルハンガーとを溶接して梯子型にした電路が知られている。このような梯子型の電路は、吊り足等を用いて構造物の天井等に固定支持され、ケーブルハンガー上に形成される電路上に電線を載置して配線することができる。しかし、溶接構造の電路を製造するには、ケーブルハンガー両端部をフラットバーに溶接するので、熟練した溶接技術者により、ケーブルハンガーの数に応じて多数の溶接箇所を施工することが必要になる。
また、溶接の施工を不要とした電路の構造としては、たとえば下記の特許文献1に開示されているように、ランナバー(フラットバーと同義)にハンガーの両端部を固着する手段として、弾性により包持する形状の爪を備えたものがある。
実開昭62−140823号公報
ところで、上述した溶接構造の電路は、多くの溶接工程を必要とするため、熟練した溶接技術者の確保が不可欠である。このため、電路の製造者にとっては、製造作業の効率化及び素人化を図るうえで溶接工程の改善が問題となっている。
一方、特許文献1に開示された電路は、溶接作業を不要とすることができるものの、ランナバーの設置方向が鉛直方向に一致すると、爪が耐えられなくなることも予想される。すなわち、電路を鉛直方向に設置して使用する場合、ハンガーにバンド等で固縛された電線の重量を固着手段の爪で受けるため、爪による固着が電線重量に耐えられなくなることも考えられる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、鉛直方向の使用が可能なだけでなく、製造時の作業性に優れ、熟練した溶接技術者が不要で効率のよい電路を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係る電路は、一対のフラットバーを複数のケーブルハンガーにより連結して梯子状に形成した電路において、前記フラットバーの長手方向に所定の間隔で穿設したクリップ係止穴と、前記ケーブルハンガーの両端部を折曲してなる接合面に穿設したクリップ貫通孔とを備え、前記フラットバーと前記ケーブルハンガーとの連結は、前記クリップ係止穴と前記クリップ貫通孔とを位置合わせした後、前記クリップ貫通孔側から前記クリップ係止穴側へ係止爪を備えたクリップを挿入し、前記クリップ係止穴を弾性変形して通り抜けた前記係止爪により抜け止めされ、前記クリップ係止穴は、矩形の両側にボルト穴を形成するよう突出した舌部を備えていることを特徴とするものである。
このような電路によれば、フラットバーの長手方向に所定の間隔で穿設したクリップ係止穴と、ケーブルハンガーの両端部を折曲してなる接合面に穿設したクリップ貫通孔とを備え、フラットバーとケーブルハンガーとの連結は、クリップ係止穴とクリップ貫通孔とを位置合わせした後、クリップ貫通孔側からクリップ係止穴側へ係止爪を備えたクリップを挿入し、クリップ係止穴を弾性変形して通り抜けた係止爪により抜け止めされるので、クリップ係止穴及びクリップ貫通孔にクリップを押圧して挿入するというワンタッチ操作により、容易かつ確実に組立することができる。
この場合、クリップがクリップ係止穴及びクリップ貫通孔を貫通し、係止爪による抜け止めが施されているので、フラットバーとケーブルハンガーとの連結はX,Y,Zの3方向において確実に固定されるため、水平方向はもとより、鉛直方向の使用も可能になる。
また、クリップ係止穴が、矩形の両側にボルト穴を形成するよう突出した舌部を備えているので、ケーブルハンガーを連結しないクリップ係止穴を吊り足接続用のボルト穴として利用することができる。
上記の発明において、前記クリップは、挿入距離を一定値に定めるために、外周部につば部を備えていることが好ましい。
上述した本発明によれば、フラットバーとケーブルハンガーとの連結は、クリップ挿入というワンタッチ操作による連結が可能になるので、電路の製造に溶接作業のような熟練技術者が不要となり、属人性を排除して容易かつ確実に組立して製造することが可能になる。すなわち、本発明の電路は、鉛直方向の使用が可能なだけでなく、製造時の作業性に優れ、熟練した溶接技術者が不要で作業効率もよく、結果として、製品の歩留まり向上につながる。また、組立及び解体時には溶接作業が不要になり、環境にも優しい。
本発明に係る電路の一実施形態を示す組立状態の斜視図である。 フラットバーを示す図で、(a)は側面図、(b)はクリップ係止穴の形状を示す図、(c)は(b)のA−A断面図である。 ケーブルハンガーを示す図で、(a)は全体形状の斜視図、(b)は接合面に穿設したクリップ貫通孔を示す図である。 クリップの形状例を示す図で、(a)はクリップを挿入側先端から見た正面図、(b)は(a)の底面図である。
以下、本発明に係る電路の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示す実施形態の電路1は、左右一対のフラットバー10を複数のケーブルハンガー20により連結して梯子状に形成したものであり、建造物内に電線を引き回すための電路形成部材として使用される。このような梯子型の電路1は、図示しない吊り足等を用いて構造物の天井等に固定支持され、ケーブルハンガー20上に形成される電路上に電線を載置して配線する。
フラットバー10は、たとえば図2に示すように、細長い矩形状の板材である。フラットバー10の長手方向(X方向)には、所定の間隔で穿設したクリップ係止穴11が複数(図1の構成例では7箇所)設けられている。
クリップ係止穴11は、矩形の両側にボルト穴を形成するよう突出した舌部12を備えている。クリップ係止穴11において、舌部12は上辺の中央部から下方(−Y方向)へ向けて穴中央付近まで延在しており、舌部12の左右両側にはボルト穴13として利用可能な貫通孔が一対形成されている。この結果、フラットバー10とケーブルハンガー20の連結に使用されないクリップ係止穴11は、たとえば電路1を固定支持する際、ボルト穴13を吊り足接続用のボルト穴として利用することができる。なお、舌部12の両側にボルト穴13が存在しているので、位置合わせの調整も容易である。
ケーブルハンガー20は、たとえば図3に示すように、細長い矩形状の板材をプレス成形した部材であり、電線を載置して配線する電路形成面となる。このケーブルハンガー20は、両端部を(−)Y側に略直角に折曲してなる接合面21に穿設した矩形状のクリップ貫通孔22を備えている。このクリップ貫通孔22はクリップ係止穴11の矩形と略同形状とされ、ケーブルハンガー20をフラットバー10に上方から載置して組み付けた際には、接合面21がフラットバー10の外側に位置するとともに、クリップ貫通孔22とクリップ係止穴11とが略一致するような位置関係にある。
なお、ケーブルハンガー20に形成された溝23は、バンド等により電線を固縛して固定する際に使用される。
フラットバー10とケーブルハンガー20とは、クリップ係止穴11とクリップ貫通孔22とを位置合わせした後、クリップ30を用いて一体に連結される。
このクリップ30は、たとえば図4に示すように、挿入部31にあって、なおかつ、弾性変形する係止爪32を備えている。従って、クリップ貫通孔22側からクリップ係止穴11側へクリップ30を押圧して挿入する際、クリップ係止穴11をいったん弾性変形して通り抜けた係止爪32が形状復帰することにより、係止爪32はクリップ係止穴11に係止されて抜け止めとなる。なお、クリップ30は、たとえばバネ鋼等のように弾性を有する素材により製作される。
また、クリップ30は、クリップ係止穴11を通り抜けるように、挿入部31の断面形状が略同形状とされる。従って、クリップ係止穴11に備えられた舌部12と干渉しないように、凹部33が設けられている。この場合、クリップ30の先端部(+Z側端部)をやや狭くすることにより、クリップ貫通孔22への挿入及びクリップ係止穴11の通り抜けが容易になる。
また、クリップ30には、後端部(−Z側端部)につば部であるストッパフランジ34が設けられている。このストッパフランジ34は、クリップ貫通孔22より大きな形状とすることにより、ケーブルハンガー20との接合面21に当接してクリップ30の挿入位置を規定する。
上述した係止爪32は、図4(b)に示すように、Z方向において、(+)Z側から(−)Z側へクリップ係止穴11を形成する壁面端部と干渉するように、漸次広がっている。また、係止爪32の後端部側(−Z側)は、クリップ30をクリップ係止穴11へ挿入した際、内向きに潰れるように構成されている。すなわち、係止爪32は、クリップ30の先端部側からストッパフランジ34側へ漸次広がっていて、また、係止爪32のストッパフランジ34側の端部が内向きに潰れるように構成されているため、クリップ30の挿入時には、クリップ30の軸中心方向へ内向きに弾性変形することができる。
このように、クリップ係止穴11を形成する壁面端部との干渉によりを内向きに弾性変形して通り抜けた係止爪32は、壁面端部との干渉から開放されることにより、弾性変形前の形状に復帰する。この結果、係止爪32の後端部側は、クリップ係止穴11よりX方向に広がることにより、フラットバー10の内面(一対のフラットバー10が対向する面)に係止される。このような係止状態になると、係止爪32が抜け止めとなってクリップ30を引き抜くことはできない。従って、フラットバー10に対してケーブルハンガー20を確実に連結して固定することができる。
なお、図示の構成例では、より確実で安定した係止をするため、挿入部31の断面形状において凹部33を除く3面に係止爪32を形成しているが、これに限定されることはない。
このように構成された電路1は、フラットバー10の長手方向(X方向)に所定の間隔で穿設したクリップ係止穴11と、ケーブルハンガー20の両端部を折曲してなる接合面21に穿設したクリップ貫通孔22とを備え、フラットバー10とケーブルハンガー20との連結は、クリップ係止穴11とクリップ貫通孔22とを位置合わせした後、クリップ貫通孔22側からクリップ係止穴11側へ係止爪32を備えたクリップ30を挿入し、クリップ係止穴11を弾性変形して通り抜けた係止爪32により抜け止めされるため確実に連結される。このため、クリップ係止穴11及びクリップ貫通孔22にクリップ30を押圧して挿入するというワンタッチ操作により、熟練を要する溶接作業を行うことなく、電路1を容易かつ確実に組立することができる。
また、クリップ30の挿入部31がクリップ貫通孔22及びクリップ係止穴11を貫通し、係止爪32による抜け止めが施されているので、フラットバー10とケーブルハンガー20との連結はX,Y,Zの3方向において確実に固定される。従って、この電路1は、ケーブルハンガー20の上面に電線を載置して配線する水平方向はもとより、ケーブルハンガー20にバンド等で電線を固縛して配線する鉛直方向の使用も可能になる。
さらに、クリップ係止穴11は、矩形の両側にボルト穴13を形成するよう突出した舌部12を備えているので、ケーブルハンガー20を連結しないクリップ係止穴11については、吊り足接続用のボルト穴13として利用することができる。
このように、上述した本実施形態の電路1は、フラットバー10とケーブルハンガー20との連結をクリップ30の挿入というワンタッチ操作により可能になるので、電路1の製造に溶接作業のような熟練技術者が不要となり、作業員の属人性を排除して容易かつ確実に組立して製造することが可能になる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、たとえばクリップ係止穴11を矩形にしてボルト穴13を形成しない構造、クリップ係止穴11、クリップ貫通孔22及びクリップ30の挿入部31に矩形以外の断面形状を採用するなど、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
1 電路
10 フラットバー
11 クリップ係止穴
12 舌部
13 ボルト穴
20 ケーブルハンガー
21 接合面
22 クリップ貫通孔
23 溝
30 クリップ
31 挿入部
32 係止爪
33 凹部
34 ストッパフランジ(つば部)

Claims (2)

  1. 一対のフラットバーを複数のケーブルハンガーにより連結して梯子状に形成した電路において、
    前記フラットバーの長手方向に所定の間隔で穿設したクリップ係止穴と、前記ケーブルハンガーの両端部を折曲してなる接合面に穿設したクリップ貫通孔とを備え、
    前記フラットバーと前記ケーブルハンガーとの連結は、前記クリップ係止穴と前記クリップ貫通孔とを位置合わせした後、前記クリップ貫通孔側から前記クリップ係止穴側へ係止爪を備えたクリップを挿入し、前記クリップ係止穴を弾性変形して通り抜けた前記係止爪により抜け止めされ、
    前記クリップ係止穴は、矩形の両側にボルト穴を形成するよう突出した舌部を備えていることを特徴とする電路。
  2. 前記クリップは、挿入距離を一定値に定めるために、外周部につば部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電路。
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