JP5637780B2 - Frp製品の真空含浸成形方法及びその製造装置 - Google Patents
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Description
VARTM成形法は、ドライな状態でガラス繊維織物や炭素繊維織物などを積層して真空フィルムで覆って周囲を気密にシールし、真空フィルム内を脱気する真空ポートと樹脂を注入する樹脂ゲートを設けてフィルム内を真空に近づけた状態にして樹脂を流し込んで成形する方法である。
この方法では、樹脂に含まれるスチレンなどの有機揮発性化合物の空気中への発散が非常に抑制できるので、成形工場内の空気汚染を抑制できる。
また、FRP成形法の要である硬化剤を入れて重合反応させる樹脂硬化工程を強化材に含浸させながら短時間に行えることで品質が安定し品質管理もしやすい。
強度面でもパッキングした強化繊維内の隙間だけにしか樹脂が滲みこまず、ボイドの浸入も抑制できるので成形物内の繊維含有率が高い高強度、高剛性な成形物が得られる。
そして最近では、高い信頼性が要求される航空宇宙部品などにも適用されるようになり、コスト低減に貢献している。
また、FRPではプラスチックフォーム心材、バルサ心材などを用いたサンドイッチ構造にも適用されれるが、ここでもVARTM成形法が適用されている。
特許文献1は、VARTM成形法の基本技術を開示しており、樹脂の流れ速度を向上させるために樹脂分散メディア(ブリーザーともいう)を複数重ねて用いるとともに、樹脂含浸させたい範囲の真空側にメディアの無いギャップ部分を設けて、含浸後の樹脂の流れ出しを防いでいる。
特許文献2は、成形型上にゴム状弾性シートを敷いた上にガラスマットなどを樹脂含浸メディアとして設置するVARTM成形法を開示している。
(1)FRP製品をVARTM成形する際、樹脂を含浸し終わった後、真空ポートを閉鎖すると、含浸した成形物を覆う真空バッグ内の真空圧が低下して真空バッグが緩む結果、ボイドが発生するといった欠陥が生じやすい。
(2)樹脂を含浸し終わった後に、真空バッグ内に真空圧をかけようとして真空ポートを開放すると、真空バッグ内に充満した樹脂が抜け出ることとなり、樹脂ゲートから樹脂を補給し続けて真空バッグ内に樹脂を流しながら樹脂ゲル化を待つこととなり、ボイドの浸入や樹脂が過度に抜け出てしまうといったトラブルが発生しやすい。
(3)こうした、樹脂含浸終了後に樹脂がゲル化して動かなくなるまで真空バッグ内の真空度を保持しなければならず、真空度の調整や真空ポートの開閉、及び樹脂ゲートの絞り込みによる樹脂注入の制限など成形コントロールが難しくなる。
前記積層体を樹脂拡散媒体となるブリーザーで覆うとともに、前記積層体を覆う前記ブリーザーを真空フィルムで気密に覆い、
前記ブリーザーの一方側に樹脂ゲートとなる樹脂拡散供給管を配し、前記ブリーザーの他方側に真空ポートとなる第1の脱気用チューブと、該第1の脱気用チューブの一部を収容する脱気バッグとを配し、
樹脂含浸時、前記第1の脱気用チューブと前記脱気バッグとを通じて気体のみを排出することを特徴とする。
前記ブリーザーの一方側に樹脂ゲートとなる樹脂拡散供給管を配し、前記ブリーザーの他方側に真空ポートとなる第1の脱気用チューブと、前記第1の脱気用チューブの一部を収容する脱気バッグとを配し、
樹脂含浸時、前記第1の脱気用チューブと前記脱気バッグとを通じて気体のみを排出することを特徴とする。
図1は、本発明の実施の形態に係るFRP製品の真空含浸成形方法を実施するための製造装置の概要を示す平面図である。図2は、図1のA−A断面図である。
第1の脱気用チューブ8は、上述したスパイラルチューブを積層体2の他方の辺側に辺の長さに相当する長さで、辺に対し略平行に配置される。
このように構成された脱気バッグ9を、その先端部が前記ブリーザー4の他方の端部中央部にかかるように設置する。また、脱気バッグ9は第1の脱気用チューブ8の直下に設置される。
(2)樹脂流出を起こさせないまま、樹脂拡散後も真空フィルム14を緩ませないで真空度を保ち続けることができるので、樹脂含浸が完了した部分に対して圧力変化や樹脂流れの発生を起こさせず、樹脂がゲル化するまで安心して待つことができる。
(3)樹脂含浸後に真空度を落として真空ホース11からの樹脂流出を阻止するなどの熟練を要するコントロールを行う必要がない。
(4)従来起こりがちであった樹脂含浸後の真空ポート付近の樹脂流出による欠陥が発生せず、真空度も保てるので、安定した品質の良い成形品が得られる。
(5)成形作業時の樹脂供給や真空度調整などのコントロールが不要となって作業がシンプルとなり、標準化が行いやすい。
2 積層体
2a 強化繊維布
3 ピールプライ
4 ブリーザー
5 樹脂拡散供給管
6 樹脂移送用チューブ
7 樹脂タンク
8 第1の脱気用チューブ
9 脱気バッグ
10 袋体
11 真空ホース
12 第2の脱気用チューブ
13 ブリーザー
14 真空フィルム
15 シール部材
Claims (5)
- 成形型上に強化繊維布を含む積層体を設置し、真空下で前記積層体に樹脂を含浸させるFRP製品の真空含浸成形方法において、
前記積層体を樹脂拡散媒体となるブリーザーで覆うとともに、前記積層体を覆う前記ブリーザーを真空フィルムで気密に覆い、
前記ブリーザーの一方側に樹脂ゲートとなる樹脂拡散供給管を配し、前記ブリーザーの他方側に真空ポートとなる第1の脱気用チューブと、該第1の脱気用チューブの一部を収容する脱気バッグとを配し、
樹脂含浸時、前記第1の脱気用チューブと前記脱気バッグとを通じて気体のみを排出することを特徴とするFRP製品の真空含浸成形方法。 - 前記樹脂拡散供給管および前記第1の脱気用チューブは、スパイラルチューブ又は多孔性チューブを用いることを特徴とする請求項1記載のFRP製品の真空含浸成形方法。
- 前記脱気バッグは、防水透湿性布からなる袋体を用いることを特徴とする請求項1記載のFRP製品の真空含浸成形方法。
- 前記脱気バッグ内に、真空ホースに接続された第2の脱気用チューブと、ブリーザーとが収容されていることを特徴とする請求項3記載のFRP製品の真空含浸成形方法。
- 積層体を設置する成形型と、前記積層体を覆うピールプライおよびブリーザーと、前記ブリーザーを覆う真空フィルムとを備え、真空下で前記積層体に樹脂を含浸させるFRP製品の製造装置において、
前記ブリーザーの一方側に樹脂ゲートとなる樹脂拡散供給管を配し、前記ブリーザーの他方側に真空ポートとなる第1の脱気用チューブと、前記第1の脱気用チューブの一部を収容する脱気バッグとを配し、
樹脂含浸時、前記第1の脱気用チューブと前記脱気バッグとを通じて気体のみを排出することを特徴とするFRP製品の製造装置。
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JP2010191403A JP5637780B2 (ja) | 2010-08-27 | 2010-08-27 | Frp製品の真空含浸成形方法及びその製造装置 |
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