JP4542588B2 - Rtm成形方法 - Google Patents

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本発明は、繊維強化プラスチック(以下、FRPと言う。)製の構造体を成形する Resin Transfer Molding(以下、RTMと言う。)成形方法の改良に関し、とくに、厚物の成形が可能であり、かつ、表面性状について品質の向上が可能なRTM成形方法に関する。
従来より、FRPは種々の分野に使用されているが、FRP構造体の製造方法としては、プリプレグによって予め成形すべき構造体の形状を有するプリフォームを形成した後に、これを所定の温度、圧力条件に設定されたオートクレーブ内で硬化させる、いわゆるプリプレグ/オートクレーブ成形方法が一般的であった。しかし、近年製造コスト低減のためにRTM成形方法が注目され、徐々にこの成形法が広まりつつある。
代表的なRTM成形方法として、特許文献1に記載の成形方法が知られている。特許文献1に記載のRTM成形方法では、強化繊維材の積層体からなる強化繊維基材の両面に、ピールプライ/樹脂分散メディアを配置し、これらを成形型(ツール)面上に配置して、全体をバッグ材で覆うとともに、バッグ材によりシールされた内部に対し樹脂注入ゲートと減圧のための吸引ゲートを設ける。この状態において、常温または加熱雰囲気下で、吸引ゲートを通してバッグ内を吸引することにより減圧しながら樹脂注入ゲートより樹脂を注入して、基本的に、樹脂を強化繊維基材の上面側から下面側へまたは下面側から上面側へ流動させ、樹脂を強化繊維基材に含浸させる。そして、含浸が終了した後は、常温または加熱雰囲気下で樹脂を硬化させ、硬化後に、バッグ材を剥がして成形体を脱型する。
しかしながら、この成形方法においては、以下のような問題がある。
まず、強化繊維基材の両面に樹脂分散メディアが配置されるものの、強化繊維基材に対しては基本的に片面側からの樹脂含浸が行われるため、基材の厚み方向に含浸可能な距離に限界があり、強化繊維基材が厚くなりすぎると、所定の含浸が不可能になる。
厚い強化繊維基材に樹脂を含浸させるために、強化繊維基材の両面に配置された樹脂分散メディアの両方から強化繊維基材内に樹脂を含浸させることも考えられるが、上記成形方法では、両面側に実質的に同じ形状、特性の樹脂分散メディアが配置されるため、単に両面側から樹脂を含浸させると、樹脂が同時に同じように基材の厚み方向に含浸されていき、ボイドが側方等に押し出されにくくなって、基材内にボイドが閉じ込められやすくなる。ボイドが閉じ込められてしまうと、目標とする成形品の性能が得られなくなる。このようなボイドの閉じ込めを回避するために、基本的に片面側からの樹脂含浸が行われている。
また、上記成形方法における別の問題として、成形品の意匠面について良好な平滑性を得にくいという問題がある。すなわち、上記樹脂分散メディアは、樹脂の分散性能を高めるために、通気抵抗の低い比較的凹凸の度合いの大きな部材に構成されるが、このような比較的大きな凹凸を有する樹脂分散メディアが強化繊維基材の両面に配置されて成形されるので、成形品の一方の面である意匠面にも樹脂分散メディアの比較的大きな凹凸が反映されてしまう。その結果、意匠性が損なわれるとともに、成形品の表面に凹凸が形成されてしまうため、空気力学特性等が低下するという問題が生じることもある。
このような問題に対処するために、樹脂分散メディアとして凹凸の度合いの小さいものを使用することが考えられるが、そうすると通気抵抗が大きくなりすぎて、目標とする樹脂の分散性能が得られない。また、吸引の際の強化繊維基材内からの通気も悪くなるため、真空度が上がらず、とくに厚い基材に対してその厚み方向に完全に含浸させることが困難になる。
このように、樹脂分散メディアの凹凸の大きさが樹脂拡散、通気性能を左右することになるが、樹脂拡散、通気性能を改善するための樹脂分散メディアの凹凸(比較的大きな凹凸)と、成形品の表面性状を改善するための樹脂分散メディアの凹凸(比較的小さな凹凸)とは、相反する関係にある。したがって、強化繊維基材の両面に、実質的に同じ樹脂分散メディアを配置する上記従来方法では、樹脂の含浸性向上と成形品の表面性状向上との両方をともに達成することは困難であり、厚い強化繊維基材を使用する成形では、とくに困難となる。
ここで、樹脂の強化繊維基材への含浸性(パーミアビリティ)については、一般に以下の式で表されることが知られている。
I=(ε/(1−ε))√(αP/2)×∫〔dt/√(μ(t)t)〕
I:パーミアビリティ、ε:基材の抵抗、α:定数、P:基材内の真空圧
μ(t):粘度、t:経過時間
ここで、パーミアビリティは樹脂が基材に含浸する距離(厚み)に相当する。
成形品の表面性状に関する品質を向上させるために、ツール面側に通気材料を配設しないことも考えられるが、その場合、基材内の通気が悪くなり、真空度が上がらないため、特に厚物(厚板)を成形する場合に、完全に含浸させることが困難となる。したがって、厚物を成形するためには、ツール面側に通気のためのメディアを配置することが必要となるが、そうすると前述の如く、反対面側の樹脂拡散性能を維持しつつ、ツール面側の表面性状を向上することが困難となる。
また、強化繊維基材への樹脂含浸に関し、基材と樹脂の種類により上記式における各値や定数、粘度は異なるものの、時間が経過するに伴い含浸距離は収束し、さらに、樹脂の粘度上昇が生じる上、やがて樹脂がゲル化するため、樹脂が含浸できる距離には限界が生じ、強化繊維基材がある厚み以上になると、もはや上記の従来方法では、完全に含浸させることが不可能となっていた。
米国特許5,052,906号明細書(請求項1、第1図)
本発明の課題は、上記従来技術における上記のような問題点を解決し、成形品の意匠面の品質を向上させるとともに、厚物構造体を良好な樹脂含浸性をもって成形できるRTM成形方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、とくに優れた意匠面を成形する観点から、次のようなRTM成形方法を提供する。すなわち、本発明に係るRTM成形方法は、成形型に強化繊維基材を配置するとともに、該強化繊維基材の、成形型と反対側の面に、樹脂流動抵抗が前記基材よりも低い樹脂拡散媒体を配置し、該強化繊維基材と成形型面との間に、気体は通すが樹脂および液体は通さない気体透過膜と通気性基材からなる脱気媒体を設けるとともに、前記気体透過膜と成形型間に形成された脱気空間からの吸引経路に加えて、成形型内に少なくとも1つの別の吸引経路を設け、前記成形型内を吸引により減圧した後、該成形型内に前記樹脂拡散媒体を介して樹脂を注入し、注入した樹脂を、前記脱気空間から吸引することにより、前記強化繊維基材内に樹脂を含浸させることを特徴とする方法からなる。
この本発明に係るRTM成形方法においては、上記強化繊維基材は、たとえば強化繊維の積層体からなる。
また、本発明に係るRTM成形方法においては、上記気体透過膜としては、成形後に、成形品から剥離可能な離型性を有するものを使用することが好ましい。
また、本発明に係るRTM成形方法において、とくの面積の広い成形品を成形する場合には、上記樹脂拡散媒体の上部に、少なくとも2カ所以上の樹脂注入ゲートを配置するとともに、樹脂注入に際して、少なくとも隣り合う樹脂注入ゲート2カ所から、または、すべての樹脂注入ゲートから、同時に樹脂注入することが好ましい。
発明に係るRTM成形方法においては、上記気体透過膜と成形型間に形成された脱気空間からの吸引経路に加えて、成形型内に少なくとも1つの別の吸引経路を設けられているが、これは、とくに面積の広い成形品を成形する場合に好ましいものである。
上記のような本発明に係るRTM成形方法は、とくに次のような場合に有効である。すなわち、成形型側の成形面(意匠面)の平滑性がより強く要求される場合や、より厚くかつ大面積の強化繊維基材への樹脂含浸が要求される成形においては、とくに、成形型面のあらゆる場所からの脱気経路を常に有効に働かせる手段として、該強化繊維基材と成形型面との間に、気体透過膜と通気性基材からなる脱気媒体を設けることができる。それにより、樹脂注入時に、強化繊維基材の下面側(意匠面成形側)に樹脂が到達する時間に差があって含浸部分の遅い箇所が生じようとしても、気体透過膜と成形型間に形成された脱気空間から吸引することにより、最終的にその面のすべての部分にわたって樹脂を完全に含浸させることが可能となる。その結果、成形型面に沿った平滑性の良好な意匠面が得られる。
また、少なくとも隣り合った樹脂注入ゲートから、さらには、すべての樹脂注入ゲートから同時に樹脂注入した場合、通常は、樹脂の流れが重なる部分ができて、吸引しきれない領域が発生し、未含浸部ができることが多いが、上記方法によれば、常に脱気経路が確保されているため、最終的にすべての面を完全に含浸させることが可能となる。
また、気体透過膜は、例えば表面に非常に微細な穴があいており、平滑な面を形成しているものが好ましいが、このような態様のものを用いると、前記通気性基材に薄い凹凸の少ない基材を用いることと併せて、成形品の表面品位を向上させることができる。
以上説明したように、本発明のRTM成形方法によれば、樹脂含浸の際に要求される通気性を十分に確保しつつ、強化繊維基材内に十分に良好に樹脂を含浸させることができ、成形品の意匠面に形成される凹凸を小さく抑えて、優れた表面性状の成形品を得ることができる。また、とくに厚物成形において、従来方法では不具合を生じることなく基材の厚み方向全体にわたって樹脂を含浸させることが不可能であった場合に対しても、ボイド等を発生させることなく、目標とする成形を行うことが可能となる。
したがって、本発明は、とくに厚物成形品のRTM成形に適しており、本発明を適用すれば、10mm厚以上が要求されるような構造体(たとえば、航空機部材の翼部材等)の成形を、問題を生じさせることなく容易に行うことが可能となる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施態様に係るRTM成形方法に用いられる成形装置の概略縦断面図である。ベースとなる成形型1は、たとえば、ステンレスから作製され、平板状のものに構成される。
4は強化繊維基材を示しており、強化繊維基材4は、複数の強化繊維材、とくに複数の強化繊維織物を積層したものに形成されている。本発明は、とくにこのような複数の強化繊維材が積層された厚い強化繊維基材4を用いた成形に好適なものである。ただし、1枚の強化繊維材からなる強化繊維基材を使用する場合にも、もちろん、本発明の適用は可能であり、その場合にも、本発明はとくに厚い強化繊維基材を使用する成形に好適なものである。
強化繊維基材4の上には、ピールプライ3bを介して樹脂拡散媒体5が配置される。樹脂拡散媒体5は、表面に凹凸を有し、樹脂の流動抵抗が強化繊維基材4(強化繊維材の積層体)の樹脂流動抵抗の1/10以下の媒体である。樹脂拡散媒体5としては、具体的には、ポリエチレンやポリプロピレン樹脂製のメッシュ織物で、目開きが#400以下のものが好ましい。ピールプライ3bは、成形体からメディア等を容易に除去するために敷布され、ピールプライ3bとしては、たとえば、ナイロン製タフタのように離型の機能をなす織物が使用される。
このように成形型1上に配置されたものの全体がバッグ材8で覆われる。バッグ材8は、減圧キャビティを形成するための気密材料であるが、バッグ材8には、耐熱性等を考慮して、たとえばナイロン製のフィルムを用いることが好ましい。バッグ材8で覆われた内部に、樹脂拡散媒体5に対して樹脂注入ゲート6fが設けられる。バッグ材8の縁部と成形型1との間には、粘着性の高い合成ゴム製のシーラント7が介装され、この間がシールされて、バッグ材8内を減圧状態に保つために外部からの空気の流入が防止される。プラスチック製のポット12内には含浸すべきFRPマトリックス樹脂としての熱硬化性樹脂10が貯留されており、適切なタイミングでバルブ9を開けることにより、樹脂注入ゲート6fを介して樹脂が注入される。真空ポンプ11により、バッグ材8で覆われたキャビティ内が減圧状態に保持される。なお、バッグ材8として、第1のバッグ材をさらに第2のバッグ材で覆い二重バッグとすることで、空気漏れを防ぐことができ、その結果、強化繊維の体積含有率(Vf)を向上させることができる。
また、バッグ材8が一重バッグであっても、その外周縁にシーラント7を二重に並列配置することでも空気漏れを防ぐことができ、二重バッグと同様な効果を上げることができる。この場合は、二重バッグとすることよりも副資材の使用量と取付時間を低減でき、より低コストに成形できるメリットがある。
成形型1上には、気体透過膜50、通気性基材51およびシールテープ52からなる脱気媒体54が設けられ、気体透過膜50と成形型1との間に形成された脱気空間から脱気孔53を通して吸引できるようになっている。以下、本実施態様による成形方法について説明する。
まず、常温または加熱雰囲気下で、強化繊維基材の積層体4を成形型1(ツール)面上に配置し、上側に配置した樹脂注入ゲート6fと、成形型1と積層体4の間に配置した気体透過膜50および通気性基材51を含めて、バッグ材8で覆う。この場合、気体透過膜50の外周は、すべて、シールテープ52で、成形型面に貼り付けてシールする。この状態において、真空ポンプ11で吸引し、気体通過膜50、脱気空間を通してバッグ8内を減圧しながら、樹脂注入ゲート6fより、樹脂を注入すると、マトリックス樹脂10は第1の樹脂拡散媒体5内を強化繊維基材4の上面に沿う方向(平面方向)に迅速に拡散しつつ、強化繊維基材4の上面から下面に向けて流動し、強化繊維基材4内に含浸していく。含浸が終了した後、常温または加熱雰囲気下で樹脂を硬化させた後、バッグ材8をはがして成形体を脱型する。その後ピールプライ3b、樹脂分散媒体5は剥脱して製品から取り除く。
ここで、気体透過膜50は、微多孔質のシートや樹脂フィルム、紙や布などに微多孔膜をコーティングした基材など、気体は通すが、樹脂や液体を通さないものであれば、どのようなものを使用してもよい。また、表面の平滑性があるものの方が、成形品の表面品位を良いものにすることができる。また、気体透過膜50には、離型性があることが望ましいが、場合によっては成形品と一体化させることも可能である。
通気性基材51は、含浸性向上のためには、通気性がよいことが好ましく、成形品の平滑性向上のためには、できるだけ凹凸がないことが好ましい。
このRTM成形方法においては、成形型1内を吸引により減圧した後、該成形型1内に樹脂拡散媒体8を介して樹脂を注入しつつ、注入した樹脂を、気体透過膜50と成形型1との間に形成された脱気空間から吸引しながら、注入されてきた樹脂を強化繊維基材4内に含浸させることができるので、意匠面となる成形型側の成形面において、樹脂を迅速かつ十分に拡がらせることができ、優れた品位の意匠面を成形できる。しかも、気体透過膜50に微小気孔の平滑性の高いものを使用することにより、凹凸の極めて小さい、平滑性の高い意匠面を成形できる。したがって、強化繊維基材4の積層体で厚みの厚いものに対しても、積層体全体に良好に樹脂含浸できるようになり、かつ、上記の如く凹凸の極めて小さい、平滑性の高い意匠面が得られる。
図2は第2実施態様を示しており、図1に示した第1実施態様の応用例である。複数の樹脂注入ゲート6g、6hのうち、少なくとも2つの隣り合った樹脂注入ゲートから、同時に樹脂を注入する方法であり、面積の広い大型の成形品に対して有効である。図では、積層体4が平板状であるが、突起や板厚変化のある成形品、曲面板など樹脂の流れの制御が難しい積層体であっても、樹脂を全体に行き渡らせることが可能となる。
そして、気体透過膜50と成形型1との間に形成された脱気空間からの吸引経路(吸引孔53)も、複数設けられており、大型の成形品に対しても、十分に吸引できるようになっている。また上記脱気空間からの吸引経路に加え、これとは別に吸引ゲート6a(樹脂拡散媒体5a、ピールプライ3aを介した吸引経路)を設けることよって、樹脂注入時の含浸方向の制御や、樹脂含浸後の余剰樹脂の吸引などに活用することができる。
実施例1
図1のRTM成形装置において、成形型1の成形面に通気性基材51として、米国RICHMOND社製の「ピールプライ#60001」を配置し、さらにその上に、離型性がある気体透過性膜50として、米国RICHMOND社製の「T.S.B. system 」に使用されている Vapor Permeable Release Film 「E3760」を配置して、周囲すべてを耐熱性のニトフロンテープ52でシールした。気体透過膜50と成形型1で囲まれた脱気空間から成形型1に設けた脱気孔53を通して、真空ポンプ11に接続した。
続いて、気体透過膜50の上に、炭素繊維織物(東レ(株)製、T300の炭素繊維織物を使用した平織物CO6343、目付;200g/m2 )を120ply積層した強化繊維基材4(厚み約25mm)を配置した。
次に、強化繊維基材4の上にピールプライ3bを配置し、その上にポリプロピレン製メッシュ材である樹脂拡散媒体5(東京ポリマー製、”ネトロン”TSXー400P)を配置し、さらにその上に樹脂注入ゲート6fを配置して、バルブ9を介して、樹脂ポット12と接続した。これら全体にバッグ材8をかぶせて、周囲をシーラント7でシールした。バルブ9を閉じ、バッグ材8で覆ったキャビティ内を真空ポンプ11で吸引・減圧するとともに、全体をオーブン内で70℃に加熱して1時間保持した。熱硬化性エポキシマトリックス樹脂10(70℃(注入温度)における樹脂粘度が130mPa・s、70℃で1時間経過後の樹脂粘土が320mPa・sのエポキシ樹脂)を樹脂ポット内に収容し、バルブ9を開放すると、マトリックス樹脂10が樹脂注入ラインより、媒体5内に拡散しつつ、強化繊維基材4の厚み方向に上から下へ含浸された。この場合、気体透過膜50が存在しないと、強化繊維基材4の下面が成形型1の表面に圧着してしまい、基材下面近傍に存在する気体が抜けきらず、得られた成形体は表面が「あばた状」になるが、気体透過膜50を設けたことで成形型1と該膜50との間に脱気空間が形成され、上記気体が強化繊維基材4の下面全体から通気性基材51を介して完全に脱気されるので、基材は厚みが25mmでありながら未含浸部なく完全に樹脂含浸され、特に表面品位が著しく向上した。樹脂含浸後、所定の樹脂量が注入された段階で、バルブ9を閉じて樹脂の供給を止め、約2℃/分で全体を130℃に昇温して2時間保持し、マトリックス樹脂を硬化させた。その後、室温まで約2℃/分で降温し、全体を成形型から取り外してバッグ材8を取り除いた。硬化した成形品の下面は、気体透過膜50を引き剥がすことにより、表面平滑性の良い面が得られた。
実施例2
図2のRTM成形装置において、実施例1と同様に、成形型1の成形面に通気性基材51として、米国RICHMOND社製の「ピールプライ#60001」を配置し、さらにその上に、離型性がある気体透過膜50として、米国RICHMOND社製の「T.S.B. system 」に使用されている Vapor Permeable Release Film 「E3760」を配置して、周囲すべてを耐熱性のニトフロンテープ52でシールした。気体透過膜50と成形型1で囲まれた脱気空間から成形型1に設けた脱気孔53を通して、真空ポンプ11に接続した。
続いて、気体透過膜50の上に、炭素繊維織物(東レ(株)製、T300の炭素繊維織物を使用した平織物CO6343、目付;200g/m2 )を120ply積層した強化繊維基材4を配置した。その際、強化繊維基材下面の1辺にも吸引ゲート6aを配置した。
強化繊維基材4の上にピールプライ3bを配置し、その上にポリプロピレン製メッシュ材である樹脂拡散媒体5(東京ポリマー(株)製、”ネトロン”TSXー400P)を配置して、その上には、樹脂注入ゲート6g、6hの2本のゲートを配置して、バルブ9を介して、樹脂ポット12と接続した。これら全体にバッグ材8をかぶせて、周囲をシーラント7でシールした。バルブ9を閉じ、バッグ材8で覆ったキャビティ内を真空ポンプ11で吸引・減圧するとともに、全体をオーブン内で70℃に加熱して1時間保持した。熱硬化性エポキシマトリックス樹脂10(70℃(注入温度)における樹脂粘度が130mPa・s、70℃で1時間経過後の樹脂粘土が320mPa・sのエポキシ樹脂)を樹脂ポット内に収容し、バルブ9を開放すると、マトリックス樹脂10が2本樹脂注入ライン6g、6hより同時に、媒体5内に流れ、面上に拡散しつつ、強化繊維基材4の厚み方向に上から下へ含浸され、約25mmの基材が未含浸部なく完全に樹脂含浸された。
その際、注入ゲート6g、6hの真下の領域は樹脂が強化繊維基材4の下面まで到達するのが速く、すなわち2本の注入ゲートの中間領域は、樹脂が強化繊維基材の下面まで到達するのが遅かったが、最終的には、気体透過膜50の脱気経路による吸引により完全に樹脂含浸された。
樹脂含浸後、所定の樹脂量が注入された段階で、バルブ9を閉じて樹脂の供給を止め、約2℃/分で全体を130℃に昇温して2時間保持し、マトリックス樹脂を硬化させた。吸引ゲート8からも吸引したことにより、実施例1と比較して、樹脂含浸時間が速かった。
その後、室温まで約2℃/分で降温し、全体を成形型から取り外してバッグ材8を取り除いた。硬化した成形品の下面は、気体透過膜50を引き剥がすことにより、表面平滑性の良い面が得られた。
本発明のRTM成形方法は、とくに厚物成形品のRTM成形に適しており、10mm厚以上が要求されるような構造体(たとえば、航空機部材の翼部材等)の成形に適している。
本発明の第1実施態様に係るRTM成型方法に用いられる成形装置の概略縦断面図である。 本発明の第2実施態様に係るRTM成型方法に用いられる成形装置の概略縦断面図である。
符号の説明
1 成形型
3a、3b ピールプライ
4 強化繊維基材
5、5a 樹脂拡散媒体
6a 吸引ゲート
6f、6g、6h 樹脂注入ゲート
7 シーラント
8 バッグ材
9 バルブ
10 マトリックス樹脂
11 真空ポンプ
12 樹脂ポット
50 気体透過膜
51 通気性基材
52 シールテープ
53 脱気孔
54 脱気媒体

Claims (4)

  1. 成形型に強化繊維基材を配置するとともに、該強化繊維基材の、成形型と反対側の面に、樹脂流動抵抗が前記基材よりも低い樹脂拡散媒体を配置し、該強化繊維基材と成形型面との間に、気体は通すが樹脂および液体は通さない気体透過膜と通気性基材からなる脱気媒体を設けるとともに、前記気体透過膜と成形型間に形成された脱気空間からの吸引経路に加えて、成形型内に少なくとも1つの別の吸引経路を設け、前記成形型内を吸引により減圧した後、該成形型内に前記樹脂拡散媒体を介して樹脂を注入し、注入した樹脂を、前記脱気空間から吸引することにより、前記強化繊維基材内に樹脂を含浸させることを特徴とするRTM成形方法。
  2. 前記強化繊維基材が強化繊維の積層体からなる、請求項1に記載のRTM成形方法。
  3. 前記気体透過膜が、成形後に、成形品から剥離可能な離型性を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のRTM成形方法。
  4. 前記樹脂拡散媒体の上部に、少なくとも2カ所以上の樹脂注入ゲートを配置するとともに、樹脂注入に際して、少なくとも隣り合う樹脂注入ゲート2カ所から、または、すべての樹脂注入ゲートから、同時に樹脂注入することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のRTM成形方法。
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