JP5634369B2 - 太陽追尾型太陽光発電システム - Google Patents
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Description
太陽光発電は、太陽光発電パネルに入射する太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換するもので、その効率は、図14(A)に示す様に、太陽光発電パネル10に垂直に入射する太陽光20のエネルギーと、同パネル10から取り出せる電気エネルギーの割合で示される。
この効率低下を避けるために、太陽光発電パネルを太陽に正対するように動かす太陽追尾型発電システムも各種考案されているが、追尾機構のコストが高く、また、複数の太陽光発電パネルを使用する場合、太陽に近い側のパネルが次のパネルに届く太陽光を遮蔽する事から、その影響を受けない距離に離す必要があるため、単位面積に設置できるパネルの数が減る事になり、結果として単位設置面積当たりの発電量は大して増えないことになる。
更に、時刻により高度の変化する太陽により仰俯角の変化が加わる事と、ガラス等に斜めに光が入ると、反射される光の割合が増えるなどの阻害要因が重なるため、その出力は大幅に低下することになる。
例えば、図14(B)のように、太陽光20の入射角が45度になった際に、図15(A)のように太陽光発電パネル10を45度回転して太陽と正対させると、太陽光20は100%パネルに入射して発電量が増える。同様に図15(B)のように入射角が60度になっても太陽光発電パネル10を60度回転すると太陽光20の持つエネルギーの100%を太陽光発電パネル10に入射して発電量を増やすことができる。このようにして、太陽光発電パネル10を回転させることによって出力低下の問題を解決するように構成された太陽追尾型の発電装置が提案されている。(例えば、特許文献1等を参照。)
また、多数の太陽光発電パネルを実装した基盤を回転運動させる事から、旧来の1枚ないし数枚の太陽光発電パネル毎に必要とした追尾装置の駆動機構が一つで済むため、コストダウン効果も大きい。
請求項2では、前記仰俯角連動機構は、季節毎もしくは月毎に南中高度が変化する太陽位置に合わせて、装荷する太陽光発電パネルの仰俯角を、季節毎もしくは月毎に補正する仰俯角補正機構を備えている。
基台上に同心円状に敷設された複数のレールと、
前記基盤を、前記レール上において転動可能に支持する複数の車輪と、
を備えた回転手段を備えることにより、基盤全体を1つの回転手段で回転させて太陽を追尾することができるので、太陽の方向の変化による太陽光発電の効率の低下を防止することができる。
また、前記同心円状に敷設された複数のレールは、
前記基盤の重量を支えるように構成された荷重支持レールと、前記基盤が台風や地震等により脱輪あるいは離脱する事を防ぐための脱輪防止レールの2種類のレールを備えることにより、基盤を安定して確実に支持することができる。
さらにまた、仰俯角連動機構を備えることによって、太陽光発電パネルを日の出から日没までの太陽高度の変化に合わせることができる。
また、仰俯角補正機構を備えることによって、季節毎もしくは月毎に南中高度が変化する太陽位置に合わせて、装荷する太陽光発電パネルの仰俯角を補正することができる。
図3に示したように、複数枚(例えば20組)の太陽光発電パネル10は、それぞれ基盤30の上に所定の仰角で傾斜させ、互いに密接させた状態で配設されている。基盤30は、後述する回転手段によって、矢印で示したように、水平面内で回転駆動されるように構成されている。前記所定の仰角は、設置場所の緯度に応じて発電効率のよい角度に設定されている。
図5は、基盤30とそれを支え保持するレール40〜レール44の具体的な構成例の平面図を示したものである。
基盤30は、金属製のLアングル等を連結して碁盤の目状に構築したものであり、この基盤30の上に太陽光発電パネルを装荷する。
レール40〜レール44は、基盤30の下の基台上に同心円に配設され固定されている。 レール40〜レール44の第一の目的は、相当数の太陽光発電パネルを装荷し、且つ金属製のLアングルのように丈夫で重量のある素材で構成された基盤30を、歪を生じる事無く支えることであり、第二の目的は、基盤30をスムーズに回転できるように支持することであり、第三の目的は、台風などの強風や地震により基盤が持ちあげられてレール40〜レール44から脱輪するのを防ぐ事である。
図5において、破線で示すレール41、43は、図6(A)に示すLアングル状の金属を使ったレール51であり、後述する第一の導輪53と合わせて特許請求の範囲に記載された荷重支持レールに対応している。
同心円の実線で示すレール40、42、44は、図6(B)に示すCチャンネル状の金属を使ったレール52であり、後述する第二の導輪54と合わせて特許請求の範囲に記載された脱輪防止レールに対応している。
このようにして、レール40〜レール44を施工後、その上に基盤30を組み立て、その基盤30と、レール40〜レール44とが対向する位置に、それぞれ導輪を取り付ける。
本実施例は2種類のレールを使用する例であるので、2種類の導輪を使用した例を図6に示して説明する。
第一の導輪53は、基盤30の下面においてLアングル状のレール51に対向する位置に固定されており、基盤30の荷重を支えるとともに、基盤30のセンターを中心に回転する方向の動きに対しては、車輪として抵抗が少なく軽く回転するが、そのような回転方向以外の力に対してはLアングル状のレール51を挟むように設けたフランジ531、532が応力を支えるため、レール51から容易に脱輪する事は無い。この第一の導輪53は図5の基盤30上にマークした○印の位置に取り付けられている。レール51は基台に対してアンカーボルト50等で固定されている。
第二の導輪54は、基盤30の下面においてCチャンネル状のレール52に対向する位置に固定されており、フランジが無いためレールから脱輪する事を防ぐ機能は無いが、Cチャンネルを抱くように、レール52の下側まで回り込むように延設された浮き防止体55により、強風や地震等で基盤30がレール52から浮き上がって引き剥がされる不具合を防ぐ事が出来る。この第二の導輪54は図5の基盤30上にマークした●印の位置に取り付けられている。レール52は基台に対してアンカーボルト50等で固定されている。
本実施例は、図5に示す基盤30に内接する一点鎖線で示す位置に、図8(A)に示すように、Lアングルを円弧上に成形した輪を受動輪60として固定する。次に、図8(B)に示すように、追尾駆動モータ63と同モータの軸に取り付けたゴムなどの滑り難い材質でできた動輪61を、受動輪60の径方向には自在に、円周方向と上下方向には剛性のあるように軸64で支えたフレーム62で保持し、動輪61を受動輪60に、バネ等の付勢手段による適当な力で押し付け、モータ63を回転させる事により、基盤30を回転させるように構成して、特許請求の範囲に記載された回転手段に対応する構成を実現している。
基盤30を回転させる回転手段としては、当実施例のように動輪61と受動輪60の摩擦を利用した構成以外に、ベルト駆動やギア駆動を用いた構成など多種あり、何れの構成も本発明の特許請求の範囲に記載された回転手段の技術的範囲に含まれることは当然である。
地球の地軸は概ね23.4度傾いているため、北緯35度地点の夏至の南中高度は78.4度になり、それに正対する太陽光発電パネル10の仰俯角は11.6度になる。
このため、太陽光発電パネル10の仰俯角は、日の出時に90度、南中時に11.6度、日没時に90度と大きく変化させる必要がある。
以上の構成によって、太陽光発電パネル10の仰俯角を変えることができるので、日の出から日没まで時間毎に変化する太陽の高度に合わせて、スライド体33を矢印方向に所定のスライド量だけスライドさせることによって、太陽光発電パネル10の向きを太陽の高度に追尾させることができるのである。
同リンク機構5は、スライド体331から下方に伸びるリンク体34と、基盤30の回転中心から、北側に距離aだけ離れた固定体36と、同リンク体34と固定体36を回転自在に接続するリンク棒35と、固定体36の固定位置を季節毎または月毎に変える事ができるように複数の取付機構371が設けられた固定ベース37により構成されている。
前記固定ベース37の取付機構371と前記固定体36の取付機構351とを備えたリンク機構5は、特許請求の範囲に記載された仰俯角補正機構に対応する構成である。
回転する基盤30の中心点をOとし、太陽光発電パネル10の長さを2f、そのリンク材11の接続点を太陽光発電パネル10の裏面の中央部とし、同リンク材11の長さをfとし、太陽光発電パネル10の下端部の回転自在連結部の位置をRとし、中心点OからRまでの距離をd、リンク材11とスライド梁32の連結をP、固定体36の固定位置をAとし、中心点Oから同固定位置Aまでの距離をa、リンク棒35の固定体36からリンク体34までの距離(有効長)をcとし、以下の計算によりaとcを求める。
とすると
余弦定理より各辺の長さに関する式は
日の出時の太陽高度を0度とすると、太陽光発電パネル10は垂直になるので、b=0になり、
となる。
次に、南中時の各線分の関係を求めると
次に、式(5)に e=d−b を代入してcについて解くと
このcを式(3)に代入すると
なお、以上の計算及び以上の機構は簡略化したものであって、厳密に太陽に対し正対することを目的としたものではなく、簡易な構造即ち安価に太陽光追尾型発電システムを構築する為には十分に有効である。
回転手段により、日の出から日没までの太陽の方向の変化に追従するとともに、
リンク機構5を備えた仰俯角補正機構と、リンク材11とスライド梁32とスライド体33を備えた仰俯角連動機構とによって、日の出から日没までの太陽高度の変化に追従するだけでなく、四季毎あるいは月毎の太陽の南中高度の変化にも追従することができるので、一年間を通して発電効率の低下を防止することができる。
また、前記仰俯角補正機構も前記仰俯角連動機構も、モータ等のアクチェータや制御装置等を使用していないので、安価に太陽光追尾型発電システムを実現することができる。
30 基盤
40〜44 レール
40、42、44 Cチャンネル状の脱輪防止レール
41、43 Lアングル状荷重支持レール
11 リンク材、仰俯角連動機構
32 スライド梁、仰俯角連動機構
33 スライド体、仰俯角連動機構
351 取付機構、リンク機構
36 固定体、リンク機構
37 固定ベース、リンク機構
371 取付機構、リンク機構
5 リンク機構、仰俯角補正機構
Claims (2)
- 複数枚の太陽光発電パネルを互いに近接させて装荷した基盤を、回転手段によって、前記太陽光発電パネルが水平面において太陽と正対するように自動的に回転させるように構成された太陽追尾型太陽光発電システムにおいて、
前記回転手段は、基台上に同心円状に敷設された複数のCチャンネル状のレールと、前記基盤を、前記レール上において転動可能に支持する複数の車輪と、浮き防止体とを備え、
前記車輪が、前記基盤の荷重を支えるとともに、前記基盤のセンターを中心に回転する方向の動きに対しては、車輪として抵抗が少なく軽く回転するが、そのような回転方向以外の力に対しては前記レールを挟むように設けたフランジによって応力を支えるように構成された導輪を備えるとともに、前記浮き防止体が前記Cチャンネル状のレールの下側まで回り込むように延設されることによって、前記同心円状に敷設された複数のレールは、一種類のレールで、前記基盤の重量を支えるように構成された荷重支持レールと、前記基盤が台風や地震等により浮き上がって前記導輪が脱輪あるいは離脱する事を防ぐための脱輪防止レールとの二つの目的を達成可能に構成され、
さらに、前記回転手段は、前記基盤の回転に連動して、装荷する太陽光発電パネルの仰俯角を、日の出から日没まで時間毎に変化する太陽の高度に合わせて変化させるように構成された仰俯角連動機構を備えていることを特徴とする太陽追尾型太陽光発電システム。 - 前記仰俯角連動機構は、季節毎もしくは月毎に南中高度が変化する太陽位置に合わせて、装荷する太陽光発電パネルの仰俯角を、季節毎もしくは月毎に補正する仰俯角補正機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載された太陽追尾型太陽光発電システム。
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