JP5629584B2 - バチルス内での促進されたタンパク質生成 - Google Patents

バチルス内での促進されたタンパク質生成 Download PDF

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Description

本発明は、目的タンパク質を発現及び/または生成する改変された能力を有することを目的に遺伝子操作された細胞に関する。特に、本発明は、ymaHを過剰発現可能な、バチルス種等のグラム陽性細菌の修飾された宿主細胞に関する。本発明は、YmaHをコードするポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド構築体及び発現ベクター、及びそれらを含む修飾された宿主細胞を包含する。特に、本発明は、バチルス種内での目的タンパク質(例えば、プロテアーゼ等)の発現及び生成を促進するためのymaHを過剰発現する組成物及び方法に関する。
遺伝子工学は工業用生物反応器、細胞工場として、及び食物発酵において用いる微生物の向上を可能としてきた。特に、バチルス種は多数の有用なタンパク質及び代謝産物を生成及び分泌する(Zukowski著、「商業的に有用な産物の生成(Production of commercially valuable products)」、Doi and McGlouglin編集、Biology of Bacilli:Applications to Industry,Butterworth−Heinemann、Stoneham.Mass、311−337頁、1992年)。工業的に用いられる最も一般的なバチルス種は、B.リケニフォルミス、B.アミロリケファシエンス及びB.ズブチリスである。これらは(通常、安全であると認識される)GRAS状態にあるので、これらのバチルス種株は食品及び医薬業界において利用されるタンパク質生成のもっともな候補である。重要な生成酵素は、α−アミラーゼ、中性プロテアーゼ、及びアルカリ(またはセリン)プロテアーゼを含む。しかしながら、バチルス宿主細胞におけるタンパク質生成の理解の進展にも関わらず、微生物によるこれらのタンパク質の発現及び生成を改善させる方法の必要性が以前としてある。
本発明は、目的タンパク質を発現及び/または生成する改変された能力を有することを目的に遺伝子操作された細胞に関する。特に、本発明は、ymaHを過剰発現可能な、バチルス種等のグラム陽性細菌の修飾された宿主細胞に関する。本発明は、YmaHをコードするポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド構築体及び発現ベクター、及びそれらを含む修飾された宿主細胞を包含する。特に、本発明は、バチルス種内での目的タンパク質(例えば、プロテアーゼ等)の発現及び生成を促進するためのymaHを過剰発現する組成物及び方法に関する。
一の実施態様において、本発明は、YmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドと操作可能に連結されたSigAプロモーターを定義するポリヌクレオチド配列を含む単離されたキメラ・ポリヌクレオチドを提供する。
別の実施態様において、本発明は、YmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドと操作可能に連結されたSigAプロモーターを定義するポリヌクレオチド配列を含む単離されたキメラ・ポリヌクレオチドであって、配列番号2または配列番号3を含む前記キメラ・ポリヌクレオチドを提供する。
別の実施態様において、本発明は、sigA及び/またはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体を含むベクターを提供する。
別の実施態様において、本発明は、sigA及び/またはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体であって、配列番号1、2、3または13を含む前記ポリヌクレオチド構築体を含むベクターを提供する。
別の実施態様において、本発明は、sigA及び/またはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体を含むベクターを含む修飾されたバチルス細胞であって、目的タンパク質を生成可能な前記修飾されたバチルス細胞を提供する。
別の実施態様において、本発明は、B.リケニフォルミス、B.ズブチリス、B.レンタス、B.ブレビス、B.ステロサーモフィラス、B.アルカロフィラス、B.アミロリケファシエンス、B.コアグランス、B.サーキュランス、B.ラウタス、B.プミルス、B.チューリンゲンシス、B.クラウジイ、及びB.メガテリウムから成る群から選択され、sigA及び/またはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体を含むベクターを含む修飾されたバチルス宿主細胞であって、目的タンパク質を生成可能な前記修飾されたバチルス宿主細胞を提供する。
別の実施態様において、本発明は、sigA及び/またはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体を含むベクターを含む修飾されたバチルス宿主細胞であって、前記修飾されたバチルス宿主細胞と同種または異種である目的タンパク質を生成可能な前記修飾されたバチルス宿主細胞を提供する。
別の実施態様において、本発明は、sigA及び/またはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体を含むベクターを含む修飾されたバチルス宿主細胞であって、目的タンパク質を生成可能であり、aprEプロモーターが前記目的タンパク質の発現を誘導する前記修飾されたバチルス宿主細胞を提供する。
別の実施態様において、本発明は、sigA及び/またはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体を含むベクターを含む修飾されたバチルス宿主細胞であって、アミラーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ラッカーゼ、フェノールオキシダーゼ、オキシダーゼ、クチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、ペルオキシダーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、フィターゼ、ペクチナーゼ、グルコシダーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、ガラクトシダーゼ、及びキチナーゼ、ホルモン類、サイトカイン、成長因子、受容体、ワクチン、及び抗体から選ばれる目的タンパク質を生成可能な前記修飾されたバチルス宿主細胞を提供する。
別の実施態様において、本発明は、sigA及び/またはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体を含むベクターを含む修飾されたバチルス宿主細胞であって、酵素を生成可能な前記修飾されたバチルス宿主細胞を提供する。
別の実施態様において、本発明は、sigA及び/またはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体を含むベクターを含む修飾されたバチルス宿主細胞であって、プロテアーゼを生成可能な前記修飾されたバチルス宿主細胞を提供する。
別の実施態様において、本発明は、sigA及び/またはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体を含むベクターを含む修飾されたバチルス宿主細胞であって、ズブチリシン168、ズブチリシンBPN’、ズブチリシン・カールスバーグ、B.レンタス・ズブチリシン、B.クラウジイ・ズブチリシン、ズブチリシンDY、ズブチリシン147、及びズブチリシン309、及びそれらの変異体から選ばれる少なくとも1のズブチリシンを生成可能な前記修飾されたバチルス宿主細胞を提供する。
別の実施態様において、本発明は、ymaHを過剰発現可能なバチルス細胞であって、degU、degQ、degS、sco4、spoIIE、degQ及びdegRから選ばれる少なくとも1の遺伝子での変異を含む前記バチルス細胞を生成する修飾されたプロテアーゼを提供する。
別の実施態様において、本発明は、ymaHを過剰発現可能なバチルス細胞であって、deg(Hy)32変異を含む前記バチルス細胞を生成する修飾されたプロテアーゼを提供する。
別の実施態様において、本発明は、ymaHを過剰発現可能なバチルス・ズブチリス細胞であって、degU、degQ、degS、sco4、spoIIE、degQ及びdegRから選ばれる少なくとも1の遺伝子での変異を含む前記バチルス・ズブチリス細胞を生成する修飾されたプロテアーゼを提供する。
別の実施態様において、本発明は、修飾されたバチルス細胞を得る方法であって、sigA及び/またはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体を含むベクターでバチルス宿主細胞を形質転換し、前記バチルス宿主細胞が目的タンパク質を発現可能である工程、及び前記目的タンパク質の発現に適した増殖条件下で前記修飾されたバチルス宿主細胞を増殖する工程を含む、前記方法を提供する。
別の実施態様において、本発明は、修飾されたバチルス細胞を得る方法であって、sigA及び/またはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み、複製プラスミド上に存在するポリヌクレオチド構築体を含むベクターでバチルス宿主細胞を形質転換し、前記バチルス宿主細胞が目的タンパク質を発現可能である工程、及び前記目的タンパク質の発現に適した増殖条件下で前記修飾されたバチルス宿主細胞を増殖する工程を含む、前記方法を提供する。
別の実施態様において、本発明は、修飾されたバチルス細胞を得る方法であって、sigA及び/またはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み、前記修飾されたバチルス細胞のゲノムに統合されたポリヌクレオチド構築体を含むベクターでバチルス宿主細胞を形質転換し、前記バチルス宿主細胞が目的タンパク質を発現可能である工程、及び前記目的タンパク質の発現に適した増殖条件下で前記修飾されたバチルス宿主細胞を増殖する工程を含む、前記方法を提供する。
別の実施態様において、本発明は、修飾されたバチルス細胞を得る方法であって、sigA及び/またはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体を含むベクターでバチルス宿主細胞を形質転換し、前記バチルス宿主細胞が少なくとも1のズブチリシンを発現可能である工程、及び前記ズブチリシンの発現に適した増殖条件下で前記修飾されたバチルス宿主細胞を増殖する工程を含む、前記方法を提供する。
別の実施態様において、本発明は、修飾されたバチルス細胞内で目的タンパク質を生成する方法であって、ymaHを過剰発現可能な前記修飾されたバチルス細胞を培養する工程、及び前記目的タンパク質の発現に適した増殖条件下で前記修飾されたバチルス宿主細胞を増殖する工程を含む、前記方法を提供する。いくつかの実施態様において、前記目的タンパク質は、酵素、例えば、ズブチリシン等である。いくつかの実施態様において、前記バチルス細胞が、バチルス・ズブチリス細胞である。
別の実施態様において、本発明は、修飾されたバチルス細胞内で目的タンパク質を生成する方法であって、ymaHを過剰発現可能な前記修飾されたバチルス細胞を培養する工程、前記目的タンパク質の発現に適した増殖条件下で前記修飾されたバチルス宿主細胞を増殖する工程、及び前記目的タンパク質を回収する工程を含む、前記方法を提供する。いくつかの実施態様において、前記目的タンパク質は、酵素、例えば、ズブチリシン等である。いくつかの実施態様において、前記バチルス細胞が、バチルス・ズブチリス細胞である。
別の実施態様において、本発明は、修飾されたバチルス細胞内で目的タンパク質を、対応する前駆体宿主細胞内で前記目的タンパク質が生成されるよりも早い時間で生成する方法であって、ymaHを過剰発現可能な前記修飾されたバチルス細胞を培養する工程、及び前記目的タンパク質の発現に適した増殖条件下で前記修飾されたバチルス宿主細胞を増殖する工程を含む、前記方法を提供する。いくつかの実施態様において、前記目的タンパク質は、酵素、例えば、ズブチリシン等である。いくつかの実施態様において、前記バチルス細胞が、バチルス・ズブチリス細胞である。
別の実施態様において、本発明は、修飾されたバチルス細胞内で目的タンパク質を生成する方法であって、aprEプロモーターが前記目的タンパク質の発現を誘導し、ymaHを過剰発現可能な前記修飾されたバチルス細胞を培養する工程、及び前記目的タンパク質の発現に適した増殖条件下で前記修飾されたバチルス宿主細胞を増殖する工程を含む、前記方法を提供する。いくつかの実施態様において、前記目的タンパク質は、酵素、例えば、ズブチリシン等である。いくつかの実施態様において、前記バチルス細胞が、バチルス・ズブチリス細胞である。
別の実施態様において、本発明は、バチルスからの目的タンパク質の発現を促進する方法であって、バチルス親宿主細胞内でymaHを過剰発現する工程を含む方法により、修飾されたバチルス細胞を得る工程、適した増殖条件下で得られた前記修飾されたバチルス細胞を増殖する工程、及び前記修飾されたバチルス細胞内で前記目的タンパク質を発現させる工程を含み、前記修飾されたバチルス細胞内での前記目的タンパク質の発現が、親宿主細胞内での同様の前記目的タンパク質の発現と比べ促進されている、前記方法を提供する。いくつかの実施態様において、前記目的タンパク質は、酵素、例えば、ズブチリシン等である。いくつかの実施態様において、前記バチルス細胞が、バチルス・ズブチリス細胞である。
別の実施態様において、本発明は、バチルスからの目的タンパク質の発現を促進する方法であって、バチルス親宿主細胞内でymaHを過剰発現する工程を含む方法により、修飾されたバチルス細胞を得る工程、適した増殖条件下で得られた前記修飾されたバチルス細胞を増殖する工程、及び前記修飾されたバチルス細胞内で前記目的タンパク質を発現させる工程を含み、前記修飾されたバチルス細胞内での前記目的タンパク質の発現が、親宿主細胞内での同様の前記目的タンパク質の発現と比べ促進され、前記過剰発現する工程が、YmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体でバチルス宿主細胞を形質転換する工程を含み、前記ポリヌクレオチドがsigAまたはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結される、前記方法を提供する。いくつかの実施態様において、前記目的タンパク質は、酵素、例えば、ズブチリシン等である。いくつかの実施態様において、前記バチルス細胞が、バチルス・ズブチリス細胞である。
別の実施態様において、本発明は、バチルスからの目的タンパク質の発現を促進する方法であって、バチルス親宿主細胞内でymaHを過剰発現する工程を含む方法により、修飾されたバチルス細胞を得る工程、適した増殖条件下で前記修飾されたバチルス細胞を増殖する工程、及び前記修飾されたバチルス細胞内で前記目的タンパク質を発現させる工程を含み、前記修飾されたバチルス細胞内での前記目的タンパク質の発現が、親宿主細胞内での同様の前記目的タンパク質の発現と比べ促進され、前記過剰発現する工程が、配列番号1、2、3、及び13から選ばれる配列を含むポリヌクレオチド構築体でバチルス宿主細胞を形質転換する工程を含む、前記方法を提供する。いくつかの実施態様において、前記目的タンパク質は、酵素、例えば、ズブチリシン等である。いくつかの実施態様において、前記バチルス細胞が、バチルス・ズブチリス細胞である。
別の実施態様において、本発明は、バチルスからの目的タンパク質の発現を促進する方法であって、バチルス宿主細胞内でymaHを過剰発現する工程を含む方法により、修飾されたバチルス細胞を得る工程、適した増殖条件下で前記修飾されたバチルス細胞を増殖する工程、及び前記修飾されたバチルス細胞内で前記目的タンパク質を発現させる工程を含み、前記修飾されたバチルス細胞内での前記目的タンパク質の発現が、前記バチルス宿主細胞内での同様の前記目的タンパク質の発現と比べ促進され、前記過剰発現する工程が、プラスミド上に存在するか、または前記修飾されたバチルス細胞のゲノムに統合され、YmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体でバチルス宿主細胞を形質転換する工程を含み、前記ポリヌクレオチドがsigAまたはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結される、前記方法を提供する。いくつかの実施態様において、前記目的タンパク質は、酵素、例えば、ズブチリシン等である。いくつかの実施態様において、前記バチルス細胞が、バチルス・ズブチリス細胞である。
別の実施態様において、本発明は、バチルスからの目的タンパク質の発現を促進する方法であって、野生型バチルス宿主細胞内でymaHを過剰発現する工程を含む方法により、修飾されたバチルス細胞を得る工程、適した増殖条件下で前記修飾されたバチルス細胞を増殖する工程、及び前記修飾されたバチルス細胞内で前記目的タンパク質を発現させる工程を含み、前記修飾されたバチルス細胞内での前記目的タンパク質の発現が、前記野生型バチルス宿主細胞内での同様の前記目的タンパク質の発現と比べ促進され、前記過剰発現する工程が、YmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体で野生型バチルス宿主細胞を形質転換する工程を含み、前記ポリヌクレオチドがsigAまたはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結される、前記方法を提供する。いくつかの実施態様において、前記目的タンパク質は、酵素、例えば、ズブチリシン等である。いくつかの実施態様において、前記バチルス細胞が、バチルス・ズブチリス細胞である。
別の実施態様において、本発明は、バチルスからの目的タンパク質の発現を促進する方法であって、改変されたバチルス宿主細胞内でymaHを過剰発現する工程を含む方法により、修飾されたバチルス細胞を得る工程、適した増殖条件下で前記修飾されたバチルス細胞を増殖する工程、及び前記修飾されたバチルス細胞内で前記目的タンパク質を発現させる工程を含み、前記修飾されたバチルス細胞内での前記目的タンパク質の発現が、前記改変された宿主細胞内での同様の前記目的タンパク質の発現と比べ促進され、前記過剰発現する工程が、YmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体で改変されたバチルス宿主細胞を形質転換する工程を含み、前記ポリヌクレオチドがsigAまたはsigHプロモーターポリヌクレオチド配列と操作可能に連結される、前記方法を提供する。いくつかの実施態様において、前記目的タンパク質は、酵素、例えば、ズブチリシン等である。いくつかの実施態様において、前記バチルス細胞が、バチルス・ズブチリス細胞である。
図1(A−E)は、本発明のいくつかの実施態様によるポリヌクレオチド構築体の生成に使用されるプライマー位置を示す。パネルB−Eは、パネルAで示される、バチルス・ズブチリスのmiaAオペロンのバチルス染色体配列(バチルス・ズブチリス株168の1865428−1867019塩基対、NCBIアクセス番号NC000964)に関連して、それぞれ構築体SigH、SigA1、SigA2及びSigA3の生成に使用されるプライマー位置を示す。プライマー対P4−P5及びP6−P7は、直接増幅される配列と相同である5’末端での塩基対の「テール(tail)」を含み、相互に相補する融合プライマーである。融合プライマーの相補的なテールは、増幅されたシグマAプロモーターDNAの増幅されたYmaH−コーディングDNAへの融合を可能にし、YmaH−コーディング配列に隣接するシグマAプロモーター配列を含むキメラ・ポリヌクレオチドが得られる一方、miaAコード配列のほとんどもしくは全てが削除される。 図2は、sigAプロモーターを定義する配列からYmaHタンパク質をコードする配列の末端を含む一部のB.ズブチリス・ゲノムのポリヌクレオチド配列を示す。この配列は、図1、パネルAで図示される。miaAタンパク質をコードする配列の先頭が示され、完全なmiaAコーディング配列は太字の文字で示される。YmaHタンパク質をコードする配列の先頭が示され、完全なYmaHコーディング配列は下線のある太字の文字で示される。 図3(A−B)パネルAは、バチルス・コントロール宿主細胞(42pBS)及びymaHを過剰発現する修飾されたバチルス宿主細胞(42SigA1及び42SigH)で生成されたズブチリシンのタンパク質分解活性のグラフを示す。パネルBは、バチルス・コントロール宿主細胞(41pBS)及びymaHを過剰発現する修飾されたバチルス宿主細胞(41SigH)で生成されたズブチリシン活性を示す。タンパク質分解活性は、p−ニトロアナリン(p−nitroanaline)の加水分解及び放出による、405nmでの吸光度の増加として測定された。酵素活性のレベルは、バチルス宿主細胞によるズブチリシンの生成におけるymaHを過剰発現する効果の指標となる。 図4は、バチルス・コントロール宿主細胞42pBS19及びymaHを過剰発現する修飾されたバチルス宿主細胞42SigH及び42SigA1によるズブチリシンの生成のレベルを示す。
本発明は、目的タンパク質を発現及び/または生成する改変された能力を有することを目的に遺伝子操作された細胞に関する。特に、本発明は、ymaHを過剰発現可能な、バチルス種等のグラム陽性細菌の修飾された宿主細胞に関する。本発明は、YmaHをコードするポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド構築体及び発現ベクター、及びそれらを含む修飾された宿主細胞を包含する。特に、本発明は、バチルス種内での目的タンパク質(例えば、プロテアーゼ等)の発現及び生成を促進するためのymaHを過剰発現する組成物及び方法に関する。
別途記載のない限り、本発明に係る実施は、分子生物学、微生物学、タンパク質精製、タンパク質工学、タンパク質及びDNA配列決定、及び組み換えDNA分野で通常用いられる従来の技術を伴い、これらは当業者の常識の範囲である。その様な技術は当業者に知られており、数多くの教科書及び参考文献に記載されている。本明細書に記載の全ての特許、特許出願、論文及び刊行物は、すでに記載のもの、以下に記載するものを問わず、参照により明確に本明細書に組み入れられる。
別途記載のない限り、本明細書で用いられる全ての技術及び科学上の用語は、本発明が属する分野の当業者により通常理解されるものと同様の意味を持つ。本明細書に含まれる用語を含む様々な科学用語辞典が当業者に周知であり、利用可能である。本明細書に記載の方法及び材料と同様のまたは同等の方法及び材料が本発明の実施または試験のために使用されるが、好ましい方法及び材料が本明細書に記載される。従って、以下に定義される用語は明細書を全体として参照することによってより完全に規定される。本発明は、当業者が使用する状況に依存し、変化することができ、記載された特定の手順、操作方法、及び試薬に限定されないことが理解される。
本明細書で用いる単数形冠詞(a、an)及び定冠詞(the)は、文意より明らかに他の意味に解される場合を除き、その複数の場合を含む。別途記載のない限り、核酸は左から右ヘ、5’末端から3’末端方向に、アミノ酸配列は左から右ヘ、アミノ基からカルボキシ基方向へ各々記載される。
本明細書で参照される全て特許、特許出願、及びその他の公開刊行物は、そこに開示される全ての配列を含み、個々の公開刊行物、特許、または特許出願が具体的かつ個別に参照によりに組み入れられると示されるのと同程度に、参照により明確に本明細書に組み入れられる。引用される全ての文章は、関連する部分において、参照により本明細書に組み入れられる。しかしながら、文献の引用により、その様な文献が本発明との関係において先行技術であることを承認するものと理解してはならない。
数値範囲は、範囲を規定する数値も含むものとする。本明細書で示される全ての最大数値限定は、本明細書でより少ない数値限定が明確に記載されているかのように、全てのより少ない数値限定を含むことが意図される。本明細書で示される全ての最小数値限定は、本明細書でより多い数値限定が明確に記載されているかのように、全てのより多い数値限定を含む。本明細書で示される全ての数値範囲は、本明細書でより狭義の数値範囲が明確に記載されているかのように、より広義の数値範囲の中にある、全てのより狭義の数値範囲を含む。
本明細書に提供される見出しは、多様な発明の側面または実施態様を制限するものではなく、本明細書の全体を参照することにより含まれることが出来る。従って、上述したように、以下に定義される語は、本明細書の全体を参照することにより、より完全に規定される。
本明細書で用いられる「単離された」及び「精製された」の語は、天然に組み合わされている少なくとも一成分から取り出された核酸またはアミノ酸(または他の成分)をいう。
「キメラ・ポリヌクレオチド」、「キメラ・ポリヌクレオチド構築体」及び「異種核酸構築体」は、制御因子を含む、異なる遺伝子部分を含むポリヌクレオチドをいう。従って、いくつかの実施態様において、キメラ・ポリヌクレオチド構築体は、天然のプロモーターではないプロモーターと操作可能に連結されたタンパク質コーディング領域を含む。いくつかの実施態様において、キメラ・ポリヌクレオチドは、プロモーターを定義するポリヌクレオチド配列を包含し、タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたポリヌクレオチド配列をいう。いくつかの実施態様において、前記プロモーターと前記コーディングポリヌクレオチドは隣接する。
プロモーターとの関連で用いられる「定義する」の語は、転写を可能にするプロモーター因子を含むポリヌクレオチド配列をいう。
本明細書で用いられる「プロモーター」の語は、下流遺伝子の転写を誘導する/もたらすように機能する核酸配列をいう。一般的に、このプロモーターは、遺伝子が発現される宿主細胞に適したものである。このプロモーターは、他の転写及び翻訳調節核酸配列(「制御配列」とも言われる)とともに所与の遺伝子の発現に必要である。一般に、転写及び翻訳調節配列は、プロモーター配列、リボゾーム結合部位、転写開始及び終止配列、翻訳開始及び終止配列、上流プロモーター・エレメントの上流配列(UPエレメント)及びエンハンサーまたは活性化配列を含むが、それらに限られない。いくつかの実施態様において、このプロモーターは、転写リーダー配列も含む。
本明細書で用いられる「シグマAプロモーター」及び「SigAプロモーター」の語は、対応するσ因子により直接認識される配列を含むコア・プロモーター配列を含むポリヌクレオチド配列をいう。このSigAプロモーターは、miaAコーディング領域の上流で自然に生じる配列により包含される。
本明細書で用いられる「シグマHプロモーター」及び「SigHプロモーター」の語は、対応するσ因子により直接認識される配列を含むコア・プロモーター配列を含むポリヌクレオチド配列をいう。このSigHプロモーターは、ymaHコーディング領域の上流で自然に生じる配列により包含される(Britton他著、J.Bacteriol.、第184巻、4881−4890頁、2002年)。前記コア・プロモーターは、対応するσ因子により直接認識される配列及び対応するσ因子により直接認識される配列との間に位置するスペーサー配列を含むプロモーター配列を含む。
本明細書で用いられる「aprEプロモーター」の語は、B.ズブチリス内でのズブチリシンの発現を自然に誘導するポリヌクレオチドプロモーター配列をいう(Ferrari他著、JBacteriol.、第170巻、289−295頁、1988年)。aprEプロモーターとの関連において本明細書で用いられる「(an)aprEプロモーター」は、野生型aprEプロモーター及びそれの変異体をいう。いくつかの実施態様において、aprEプロモーターは、DegU、ScoC、AbrB及び前記プロモーターの任意の他の調節因子により行われる転写制御に必要なヌクレオチド配列、及び/またはaprE転写リーダーを含む(Hambraeus他著、Microbiology、第148巻、1795−1803頁、2002年)。いくつかの他の実施態様において、aprEプロモーターは、DegU、ScoC、AbrB及び他の調節因子により行われる転写制御に必要なヌクレオチド配列、及び/またはaprE転写リーダー配列の全てを含まない。
「制限領域」、「制限配列」、及び「発現制御配列」の語は、コードされたアミノ酸配列の発現をもたらすポリペプチド鎖のアミノ酸配列をコードする、DNAのポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたDNAのポリヌクレオチド配列をいう。この制限配列は前記アミノ酸をコードする前記操作可能に連結されたポリヌクレオチド配列の発現を阻害、抑制、または向上することが出来る。いくつかの実施態様において、この制御配列は、転写調節因子YmaHをコードするDNA配列と操作可能に連結されたプロモーターを含む。いくつかの実施態様に置いて、このプロモーターは、ymaH遺伝子と異種である(例えば、このプロモーターは、YmaHタンパク質の発現を直接に誘導しないプロモーターである)。例えば、いくつかの実施態様において、このプロモーターは、YmaHタンパク質をコードするDNAと操作可能に連結されたシグマAプロモーターである。いくつかの他の実施態様において、このプロモーターは、YmaHタンパク質の発現を直接に誘導し、また自然発生の宿主内で起こるようにYmaHをコードするDNAと操作可能に連結されたプロモーターである。
本明細書で相互置換可能に用いられる「ポリヌクレオチド」及び「核酸」の語は、任意の長さのヌクレオチドのポリマー状形態をいう。これらの語には、一本鎖DNA、二本鎖DNA、ゲノムDNA、cDNA、またはプリン及びピリミジン塩基、または他の天然の、化学的、生化学的に修飾された非天然のまたは誘導化のヌクレオチド塩基を含むポリマーが含まれるが、これらに限定されない。ポリヌクレオチドの非限定的な具体例は、遺伝子、遺伝子断片、染色体断片、EST、エクソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組み換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意配列の単離DNA、任意配列の単離RNA、核酸プローブ、及びプライマーを含む。遺伝コードの縮退の結果、所与のタンパク質をコードする多数のヌクレオチド配列が生成される可能性があることが、理解されるだろう。
本明細書で用いられる「遺伝子」の語は、ポリペプチド鎖の生成に関連するDNAの染色体断片をいい、これはコード領域の前または後にある領域(例えば、5’非翻訳領域(5’UTR)または、リーダー配列、及び3’非翻訳領域(3’UTR)領域またはトレーラー配列を、また、個々のコーディング領域(エクソン)の間に介在領域(イントロン))を含んでも良く、含まなくても良い。いくつかの実施態様において、この遺伝子は、例えば、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ及びグルコアミラーゼのようなカルボヒドラーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、及びリパーゼを含むがそれらに限られない酵素等の商業的に重要な産業タンパク質またはペプチドをコードする。いくつかの他の実施態様において、前記遺伝子は、miaAが起こるオペロンによりコードされるタンパク質をコードする(例えば、miaAまたはymaH)。しかしながら、本発明がいずれか所定の酵素またはタンパク質に限定されることは意図されない。いくつかの他の実施態様において、この遺伝子は、成長因子、サイトカイン、配位子、受容体及び阻害剤並びにワクチン及び抗体のような他のタンパク質またはペプチドをコードする。いくつかの実施態様において、目的遺伝子は、天然遺伝子である一方、他の実施態様において、変異遺伝子または合成遺伝子である。
本明細書で用いられる「合成物」の語は、インビトロでの化学的または酵素的合成で生成されるポリヌクレオチド分子をいう。この語は、限られないがバチルス種のような宿主有機体で用いられる最適コドン使用頻度で作成された変異体核酸を含むが、それに限られない。
本明細書で用いられる「ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)」の語は、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、及び第4,965,188号の方法(ここで参照により取り込まれる)をいい、クローニングまたは精製を用いないで、ゲノムDNA混合物において標的配列の領域の濃度を上昇させる方法を含むものをいう。標的配列を増幅させるこの方法は、所望の標的配列を含むDNA混合物に大過剰の2つのオリゴヌクレオチド・プライマーを導入する工程、つぎにDNAポリメラーゼ存在下における正確な順序の温度サイクルの工程から成る。前記2つのプライマーは、二本鎖標的配列のそれぞれの鎖に相補的である。増幅をもたらすために、前記混合物は変性され、前記プライマーは次に標的分子内の相補的配列にアニーリング(anneal)される。アニーリングに続いて、前記プライマーは相補鎖の新しい対を形成するようにポリメラーゼで伸長される。変性工程、プライマーのアニーリング及びポリメラーゼによる伸長は、所望の標的配列の高濃度の増幅領域を得るために多数回(すなわち、変性、アニーリング、及び伸長は1つの「サイクル」を構成し、多数の「サイクル」があり得る)繰り返すことが出来る。所望の標的配列の増幅領域の長さは、プライマー相互の相対的位置により決定することができ、このためこの長さは制御可能なパラメータである。前記工程の繰り返される点から、前記方法は「ポリメラーゼ連鎖反応(以下、「PCR」という。)」と呼ばれる。標的配列の所望の増幅領域が混合物中の主要な配列(濃度という点から)となるため、それらは「PCR増幅された」と言われる。
本明細書で用いられる「増幅試薬」の語は、プライマー、核酸鋳型、及び増幅酵素を除いて増幅に必要とされるそれらの試薬(デオキシリボヌクレオチド三燐酸、緩衝液等)をいう。一般的に、他の反応成分とともに増幅試薬は反応容器(試験管、マイクロウェル等)に設置及び含有される。
PCRを用いることで、ゲノムDNAにおける特定標的配列の1コピーを幾つかの異なる方法により検出可能なレベルまで増幅することが出来る(例えば、標識プローブによるハイブリダイゼーション、アビジン−酵素結合物検出が続くビオチン化プライマーの取り込み、dCTPまたはdATPのような32P標識デオキシヌクレオチド三燐酸の増幅領域への取り込み)。ゲノムDNAに加えて、任意のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列が適当なプライマー分子セットで増幅することが出来る。特に、PCR法自体により生成された増幅領域は、それ自体、引き続くPCR増幅のための効果的な鋳型である。
本明細書で用いられる「PCR生成物」、「PCR断片」、及び「増幅生成物」の語は、変性、アニーリング、及び伸長の2以上のサイクルのPCR工程が完了した後に得られる化合物の混合物をいう。これらの語は、1以上の標的配列の1以上の領域の増幅がある場合を包含する。
本明細書で用いられる「制限エンドヌクレアーゼ」及び「制限酵素」の語は、各々が特定核酸配列において、またはその近傍で二本鎖DNAを切断する微生物酵素をいう。
本明細書で用いられる「組み換え体」の語は、宿主細胞では自然に発生しないポリヌクレオチドまたはポリペプチドをいう。いくつかの実施態様において、組み換え分子は、自然に生じない方法で互いに連結された2以上の自然発生の配列を含む。
他の核酸配列と機能的に関連するよう置かれるとき、核酸は、「操作可能に連結され」る。例えば、配列の転写に影響する場合、ポリヌクレオチド・プロモーター配列は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと操作可能に連結される。いくつかの他の実施態様において、翻訳を促進するために置かれる場合、リボゾーム結合部位はコーディング配列と操作可能に連結される。いくつかの実施態様において、「操作可能に連結され」ることは、連結されるポリヌクレオチド配列が隣接することを意味する。連結は、都合の良い制限部位においてライゲーションされることで達成される。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチド・アダプターまたはリンカーが慣習に従って使用される。
本明細書で用いられる「相同遺伝子」の語は、相互に対応し、相互に同等か非常に類似する遺伝子であって、異種であるが通常関連する種から得られる遺伝子をいう。この語は、遺伝的複製により分離されてきた遺伝子(例えば、パラログ遺伝子)と同様に種形成(すなわち、新種の発生)により分離した遺伝子(例えば、オーソログ遺伝子)を包含する。
本明細書で用いられる「オーソログ」及び「オーソログ遺伝子」の語は、共通の先祖遺伝子(すなわち、相同遺伝子)から種形成により進化してきた異種の遺伝子をいう。一般的に、オーソログは進化過程で同様の機能を保持している。オーソログ遺伝子の同定は、新しく配列決定されたゲノムにおける遺伝子機能の信頼性のある予測に用いられる。
本明細書で用いられる「パラログ」及び「パラログ遺伝子」の語は、ゲノム内の複製により関連される遺伝子をいう。オーソログが進化過程を通して同様の機能を保持しているのに対し、幾つかの機能が時に従来の機能と関連していたとしても、パラログは新しい機能を発達させている。パラログ遺伝子の例には、いずれもセリンプロテイナーゼであり同種内で共に生じる、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、及びスロンビンをコードする遺伝子が含まれるが、これらに限られない。
本明細書で用いられる「相同性」の語は、配列類似性または同一性をいい、ここで同一性がより好まれる。この相同性は、当該技術分野で既知の標準技術を用いて決定される(例えば、Smith及びWaterman著、Adv.Appl.Math.、第2巻、482頁、1981年、Needleman及びWunsch著、J.Mol.Biol.、第48巻、443頁、1970年、Pearson及びLipman著、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第85巻、2444頁、1988年、ウィスコンシン・ジェネティクス・ソフトウエア・パッケージ(ジェネティクス・コンピュータ・グループ社、マディソン、ウィスコンシン州)におけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA等のプログラム、及びDevereux他著、Nucl.Acid Res.、第12巻、387−395頁、1984年を参照されたい)。
本明細書で用いられる「類似配列(analogous sequence)」の語は、その遺伝子機能が好ましいバチルス・ズブチリス株(すなわち、バチルス・ズブチリス168)から指定された遺伝子と実質的に同様の遺伝子機能であるものをいう。追加的に、類似遺伝子は、バチルス・ズブチリス株168遺伝子の配列と少なくとも約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約98%、約99%、または約100%の配列同一性を含む。あるいは、類似配列はB.ズブチリス168領域に認められる遺伝子の70〜100%の位置同一性(alignment)を有し、及び/またはB.ズブチリス168ゲノムにおける遺伝子と位置同一する領域に認められる少なくとも5〜10の遺伝子を有する。追加的な実施態様において、上記特性のうちの1以上が前記配列に適用される。類似配列は、配列アラインメント(sequence alignment)の既知の方法により決定される。通常用いられるアラインメント方法は、BLASTである。もっとも、前述または後述するように配列アラインメントに用いられる他の方法もある。
有用なアルゴリズムの一の例は、PILEUPである。PILEUPは、進歩したペア−ワイズ(pairwise)・アランイメントを用いて関連配列群から多数の配列アラインメントを生成する。また、アラインメントを生成するために用いられる集合(clustering)関係を示す系統樹をプロットすることも出来る。PILEUPは、Feng及びDoolittleの進歩したアラインメント方法の簡略化方法を用いる(Feng及びDoolittle著、J.Mol.Evol.、第35巻、351−360頁、1987年)。この方法は、Higgins及びSharpにより記述された方法に類似している(Higgins及びSharp著、CABIOS、第5巻、151−153頁、1989年)。有用なPILEUPパラメータは、3.00のデフォルト・ギャップ重み(Defaultgapweight)、0.10のデフォルト・ギャップ長の重み(Defaultgaplengthweight)、及び重み付けられた末端ギャップ(weightedgapends)を含む。
他の有用なアルゴリズムの例は、BLASTアルゴリズムであり、Altschul他により記述される(Altschul他著、J.Mol.Biol.、第215巻、403−410頁、1990年、及びKarlin他著、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第90巻、5873−5887頁、1993年)。特に有用なBLASTプログラムは、WU−BLAST−2プログラムである(Altschul他著、Meth.Enzymol.、第266巻、460−480頁、1996年)。WU−BLAST−2は、幾つかの検索パラメータを用い、これらのほとんどはデフォルト値に設定されている。調整可能なパラメータは、以下の値に設定される。すなわち、オーバラップ・スパン=1、オーバラップ・フラクション=0.125、ワード閾値(word threshold)(T)=11である。HSP S及びHSP S2パラメータは動的な値であり、配列の特定の構成、及び目的配列が検索される特定のデータベースの構成に依存してプログラム自体により設定される。しかしながら、これらの値は感度を上げるために調整される。%アミノ酸配列同一性値は、位置を合わせた(aligned)領域で一致する同等な残基数を「より長い」配列の残基総数で割ることで決定される。この「より長い」配列は、位置を合わせた領域において最も多い実質残基(the most actual residues)を有する配列である(アラインメント・スコアを最大化するためにWU−Blast−2により導入されるギャップは無視される)。
従って、「パーセント(%)核酸配列同一性」は、本明細書で開示される配列のヌクレオチド残基と同等な候補配列における核酸残基の百分率として定義される。好ましい方法は、オーバラップ・スパン及びオーバラップ・フラクションがそれぞれ1及び0.125に設定され、デフォルト・パラメータに設定されたWU−BLAST−2のBLASTNモジュールを利用する。
いくつかの実施態様において、前記アライメントは、位置を合わせた配列内でのギャップの導入を含む。加えて、対象核酸配列よりも多いかまたは少ないヌクレオチドを含む配列において、相同性のパーセンテージは、ヌクレオチドの全数に対しての相同ヌクレオチドの数に基づいて決定されることが理解される。従って、例えば、下記で記述するように、本明細書で同定された配列よりも短い配列の相同性は、より短い配列内のヌクレオチドの数を用いて決定される。
本明細書で用いられる「ポリヌクレオチド構築体」、「発現カセット」、及び「発現ベクター」の語は、適した宿主細胞でタンパク質を発現させることの出来る適した制御配列と操作可能に連結されるDNA配列を含むDNA構築体をいう。そのような制御配列は、転写をもたらすプロモータ、そのような転写を制御する任意のオペレータ配列、適したmRNAリボソーム結合部位をコードする配列及び転写及び翻訳の終了を制御する配列を含む。通常、前記ポリヌクレオチド構築体は、タンパク質コーディング領域と操作可能に連結された転写制御領域(例えば、プロモーター)を含む。いくつかの実施態様において、前記ポリヌクレオチド構築体は、天然のプロモーターであるプロモーターと操作可能に連結されたタンパク質コーディング領域を含む(すなわち、前記プロモーターは、自然で見られるコーディング配列に隣接する)。従って、例えば、本発明のポリヌクレオチド構築体は、sigHプロモーター及びymaHコーディング配列を含む。他の実施態様において、前記ポリヌクレオチド構築体は、自然に隣接するプロモーターではないプロモーターと操作可能に連結されたタンパク質コーディング領域を含む(すなわち、ポリヌクレオチド構築体はキメラ・ポリヌクレオチドを含み、ここで、前記構築体内のコーディング配列に関連したプロモーターの位置は、自然には見られない)。例えば、sigAプロモーターは、ymaHコーディング配列と操作可能に連結される。他の実施態様において、前記ポリヌクレオチド構築体は、1より多いプロモーター及び1より多いタンパク質コーディング領域を含む(例えば、前記ポリヌクレオチド構築体は、オペロン内で見られるようなプロモーター及びコーディング領域を含む多シストロン性の配列を含む)。いくつかの他の実施態様において、前記ポリヌクレオチド構築体または発現カセットは、選択マーカー(例えば、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子のような抗生物質耐性マーカー)を含む。この選択マーカーは、適切な抗生物質の存在において、宿主細胞のゲノム内のポリヌクレオチド構築体の増幅を可能にする。前記ポリヌクレオチド構築体は、プラスミド、ゲノム、ミトコンドリアDNA、色素体DNA、ウイルスまたは核酸断片内に組み込まれることが出来る。いくつかの実施態様において、前記ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、または単なる潜在的なゲノムの挿入物である。いくつかの追加的な実施態様において、一度適した宿主内に形質転換された場合、前記ベクターは宿主ゲノムに独立して複製及び機能するか、またはいくつかの他の場合において、ゲノム自体内に統合する。本明細書で用いられるように、「プラスミド」、「発現プラスミド」、及び「ベクター」は、しばしば置換可能に用いられ、前記プラスミドは今日最も一般的に、ベクターの形態として用いられる。しかしながら、本発明は、同等の機能として働き、当該技術分野で知られるかまたは知られるようになる、その他の形態の発現ベクターを含むことが意図される。「ベクター」の語は、クローニングベクター、発現ベクター、シャトルベクター、プラスミド、ファージまたはウイルス粒子、DNA構築体、カセット等を含む。
本明細書で用いられる「プラスミド」の語は、クローニングベクターとして使用される円環の二重鎖(ds)DNA構造体で、多くの細菌といくつかの真核細胞の染色体外の自律的に複製する遺伝子要素を形成するものをいう。いくつかの実施態様において、プラスミドは宿主細胞のゲノム内に組み込まれるようになる。「プラスミド」の語は、相同的組み換えにより宿主細胞のゲノム内に統合出来るマルチコピー・プラスミドを含む。
本明細書で用いられる「形質転換された」及び「安定に形質転換された」の語は、ゲノム中に統合された非天然の(異種の)ポリヌクレオチド配列を有するかまたは少なくとも二世代の間維持される、エピソームプラスミドを含む細胞をいう。本明細書で用いられる「発現」の語は、ポリヌクレオチドが転写され、得られた転写物がポリペプチドを得るために翻訳される過程をいう。この過程は転写と翻訳の両方を含む。
本明細書で用いられる「過剰発現」の語は、ポリペプチドをコードする配列を含む遺伝子が修飾された細胞内で人工的に発現され、前駆体宿主細胞内での同様のポリペプチドの発現レベルを超える発現レベルでコードされるポリペプチドを生成する過程をいう。従って、遺伝子と併用してこの語が典型的に使用される一方、「過剰発現」の語はまた、タンパク質と併用して使用され、コードする遺伝子の過剰発現に起因した増加したレベルのタンパク質をいうことも出来る。いくつかの実施態様において、タンパク質をコードする遺伝子の過剰発現は、タンパク質をコードする遺伝子のコピー数の増加により達成される。他の実施態様において、タンパク質をコードする遺伝子の過剰発現は、タンパク質をコードする遺伝子の転写及び/または翻訳を増加するような方法でプロモーター領域及び/またはリボソーム結合部位の結合強度を増加させることにより達成される。他の実施態様において、過剰発現は、遺伝子のコピー数の増加及びプロモーター領域及び/またはリボソーム結合部位の結合強度の増加により達成されることが出来る。いくつかの実施態様において、タンパク質をコードする遺伝子の過剰発現は、宿主細胞内に導入されたマルチコピー・プラスミド上に存在する少なくとも1コピーの対応するコーディングポリヌクレオチドの発現に起因する。他の実施態様において、タンパク質をコードする遺伝子の過剰発現は、宿主細胞のゲノム内に統合された2以上のコピーの対応するコーディングポリヌクレオチドの発現に起因する。
「宿主細胞」の語は、本発明に従ってDNAを含む発現ベクターの宿主として機能する細胞由来の適した細胞をいう。適した宿主細胞は、自然発生のまたは野生型宿主細胞とすることが出来るか、または改変された宿主細胞とすることが出来る。一の実施態様において、前記宿主細胞は、グラム陽性細菌である。いくつかの好ましい実施態様において、当該語は、バチルス属内の細胞をいう。
本明細書で用いられる「バチルス細胞」の語は、当業者に知られる「バチルス」属の全ての種を含む。これらには、B.ズブチリス、B.リケニフォルミス、B.レンタス、B.ブレビス、B.ステロサーモフィラス、B.アルカロフィラス、B.アミロリケファシエンス、B.クラウジイ、B.ハロデュランス、B.メガテリウム、B.コアグランス、B.シルクランス、B.ラウタス、及びB.チューリンゲンシスが含まれるが、これらに限られない。バチルス属については分類学的再編成が継続しておこなわれているものと考えられる。従って、この属は再分類されてきた種を含むことを意図している。これらには、現在では「ゲオバチルス(geobacillus)・ステロサーモフィラス」と命名されたバチルス・ステロサーモフィラスのような生物体が含まれるが、これに限られない。酸素存在下における抵抗性内生胞子の生産はバチルス属の特徴を決定すると考えられる。もっとも、この特徴も最近命名されたアリシクロバチルス(Alicyclobacillus)、アムフィバチルス(Amphibacillus)、アノイリニバチルス(Aneurinibacillus)、アノキシバチルス(Anoxybacillus)、ブレビバチルス(Brevibacillus)、フィロバチルス(Filobacillus)、グラシリバチルス(Gracilibacillus)、ハロバチルス(Halobacillus)、ペニバチルス(Paenibacillus)、サリバチルス(Salibacillus)、サーモバチルス(Thermobacillus)、ウレイバチルス(Ureibacillus)、及びビルギバチルス(Virgibacillus)に適用する。
「野生型宿主細胞」の語は、組み換え法を用いて遺伝子学的に改変されていない宿主細胞である。
本明細書で用いられる「野生型」の語は、自然発生源から単離された時のその遺伝子または遺伝子生成物の特性を有する遺伝子または遺伝子生成物をいう。通常、野生型遺伝子は個体数中で最も頻繁に観察され、従って、前記遺伝子の「正常」または「野生型」状態として任意に設計される。本明細書で用いられる「野生型配列」、及び「野生型遺伝子」の語は、相互置換可能に用いられ、天然起源のまたは宿主細胞で自然に生ずる配列をいう。この野生型配列は、同種または異種タンパク質のいずれかをコードしている可能性がある。
本明細書で用いられる「改変された宿主細胞」、「改変された細胞」及び「改変された株」は、遺伝子操作された宿主細胞(微生物)をいい、ここで、目的タンパク質は、改変されていないまたは野生型宿主細胞が実質的に同様の増殖条件下で増殖された同様の目的タンパク質の発現及び/または生成されたレベルより高いレベルの発現または生成で目的タンパク質が発現及び/または生成される。いくつかの実施態様において、改変された宿主細胞は、組み換えプロテアーゼ生成細胞である。
本明細書で用いられる「修飾された細胞」及び「修飾された宿主細胞」は、YmaHタンパク質をコードする遺伝子を過剰発現するように遺伝子操作された野生型または改変された宿主細胞をいう。いくつかの実施態様において、修飾された宿主細胞は、組み換えプロテアーゼ生成宿主細胞である。いくつかの実施態様において、修飾された宿主細胞は、その野生型または改変された親宿主細胞よりも高いレベルで目的タンパク質を発現可能及び/または生成可能である。
本明細書で用いられる「親」または「前駆体」細胞は、修飾された宿主細胞が誘導された細胞をいう。この親または前駆体細胞は、野生型細胞または改変された細胞とすることが出来る。いくつかの実施態様において、改変された親細胞は、改変されていないまたは野生型親/前駆体細胞よりも高いレベルで目的タンパク質を発現可能及び/または生成可能である。
核酸配列を細胞に導入することに関連して本明細書で用いられる「導入される」の語は、細胞に核酸配列を転移させることに適した任意の方法をいう。そのような導入のための方法には、プロトプラスト融合、形質移入(transfection)、形質転換(transformation)、接合(conjugation)、及び誘導(transduction)が含まれるが、これらに限られない(例えば、ハードウッド他編集、「バチルス(Bacillus)」(プレナム出版社)中のFerrari他著、「遺伝学(Genetics)」、57−72頁、1989年を参照されたい)。
本明細書で用いられる「形質転換DNA/ポリヌクレオチド」、「形質転換配列」、及び「DNA/ポリヌクレオチド構築体」の語は、宿主細胞または有機体へ配列を導入するために用いられるDNAをいう。「形質転換DNA」の語は、宿主細胞または有機体へ配列を導入することに使用されるDNAをいう。前記DNAは、PCRまたは任意の他の適した技術によりインビトロで作成されることが出来る。いくつかの好ましい実施態様において、形質転換DNAは入来配列(incoming sequence)を含む一方、他の好ましい実施態様において、ホモロジーボックスの側面に位置する入来配列をさらに含む。さらに別の実施態様において、形質転換DNAは末端に加えられるその他の非相同配列を含む(すなわち、スタッファー配列(stuffer sequences)またはフランキング配列(flanks))。いくつかの実施態様において、例えばベクター内への挿入等、形質転換DNAが閉じた環を形成するよう、前記末端は閉じられる。
本明細書で用いられる「選択マーカー−コーディングヌクレオチド配列」の語は、宿主細胞内で発現可能なヌクレオチド配列をいい、選択マーカーの発現は、対応する選択剤の存在中または必須栄養素の不足中に増殖する能力を、発現される遺伝子を含む細胞に与える。
本明細書で用いられる「選択マーカー」の語は、ベクターを含む宿主の選択を容易にするために、それらの宿主細胞で発現出来る遺伝子をいう。そのような選択マーカーの例には、抗微生物抗体(例えば、カナマイシン、エリスロマイシン、アクチノマイシン、クロラムフェニコール及びテトラサイクリン等)が含まれるが、これに限られない。従って、「選択マーカー」の語は、宿主細胞が目的の導入DNAを取り込んだか、またはある他の反応が起ったことを示す遺伝子をいう。一般的に、選択マーカーは、形質転換の間にいずれの外部配列をも受容しない細胞から区別される外部DNAを含むことを細胞が許容するために宿主細胞に微生物に対する抵抗性または代謝上の利点を与える遺伝子をいう。「内在(residing)選択マーカー」は、形質転換される微生物のゲノム上に位置するマーカーである。内在選択マーカーは、形質転換用のDNA構築体上の選択マーカーとは異なる遺伝子をコードする。
本明細書で用いられる「増幅」及び「遺伝子増幅」の語は、ゲノム中に初めから存在するよりも増幅された遺伝子がより多くのコピー数で存在するように、特定のDNA配列が不均一に複製される過程をいう。いくつかの実施態様において、ある薬剤(例えば、阻害可能な酵素の阻害剤)の存在下で増殖による細胞選択は、薬剤存在下で増殖が求められる遺伝子生産物をコードする内因性遺伝子の増幅、またはこの遺伝子生産物をコードする外因性(すなわち、挿入)配列の増幅によるかのいずれか、またはその両方による増幅をもたらす。
本明細書で用いられる「ポリペプチド」の語は、ペプチド結合により連結されたアミノ酸残基から作られた化合物をいう。いくつかの実施態様において、本明細書で用いられる「タンパク質」の語は、「ポリペプチド」の語と同義である。いくつかの別の実施態様において、この語は、2以上のポリペプチドの複合体をいう。従って、「タンパク質」と「ポリペプチド」の語は、相互置換可能に用いられる。
「YmaHタンパク質」の語は、「Hfqタンパク質」と相互置換可能に用いられ、目的タンパク質の発現を促進するタンパク質をいう。YmaHとの関連において本明細書で用いられる「(a)YmaHタンパク質」は、オーソログを含む、野生型YmaHタンパク質及びそれらの変異体をいう。
本明細書で用いられる「変異体」の語は、C−及びN−末端のいずれかまたは両方への1以上のアミノ酸の付加、アミノ酸配列内での1以上の異なる部位における1以上のアミノ酸の置換、タンパク質の末端またはアミノ酸配列内での1以上の部位のいずれかまたは両方における1以上のアミノ酸の欠失、及び/またはアミノ酸配列内の1以上の部位における1以上のアミノ酸の挿入により前駆体タンパク質(例えば、B.ズブチリスYmaHタンパク質)に由来するタンパク質をいう。「B.ズブチリスYmaHタンパク質」は、以下のように修飾されたB.ズブチリスYmaHタンパク質をいう。B.ズブチリスYmaHタンパク質の調製は、天然のタンパク質をコードするDNA配列の修飾、適した宿主内へのDNA配列の形質転換、及び派生酵素を形成するための修飾されたDNA配列の発現により好ましくは達成される。本発明の変異体B.ズブチリスYmaHタンパク質は、前駆体酵素アミノ酸配列と比べ改変されたアミノ酸配列を含むペプチドを含む。ここで、前記変異体ズブチリスYmaHタンパク質は、YmaHタンパク質が過剰発現されるB.ズブチリス細胞内で目的タンパク質の生成を促進する能力を保有する。変異体の活性は、前駆体分泌因子に対して増加または減少する可能性がある。本発明に係る変異体は、B.ズブチリスYmaHタンパク質変異体をコードするDNA断片に由来出来ることが意図される。ここで、前記発現されたB.ズブチリスYmaHタンパク質変異体の機能活性は、保持される。
「目的タンパク質」及び「目的ポリペプチド」の語は、宿主細胞により生成されたタンパク質/ポリペプチドをいう。一般的に、目的タンパク質は、商業的重要性を有する所望のタンパク質である。目的タンパク質は、宿主と同種または異種であることが出来る。いくつかの実施態様において、目的タンパク質は、分泌されたポリペプチド、特に、でんぷん分解酵素、タンパク質分解酵素、細胞分解酵素、酸化還元酵素、及び植物壁分解酵素を含むが、それらに限られない酵素である。別の実施態様において、これらの酵素は、アミラーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ラッカーゼ、フェノールオキシダーゼ、オキシダーゼ、クチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、ペルオキシダーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、フィターゼ、ペクチナーゼ、グルコシダーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、ガラクトシダーゼ及びキチナーゼを含むが、それらに限られない。さらに別の実施態様において、発現されるポリペプチドはホルモン、サイトカイン、成長因子、受容体、ワクチン、抗体等である。本発明がいずれか特定のタンパク質/ポリペプチドに限られることは意図されないが、いくつかの最も好ましい実施態様において、前記発現される目的タンパク質はプロテアーゼである。
本明細書で用いられる「異種タンパク質」の語は、宿主細胞で天然に生じないタンパク質またはポリぺプチドをいう。異種タンパク質の例としては、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、その他のカルボヒドラーゼ及びリパーゼを含む加水分解酵素、例えば、ラセマーゼ、エピメラーゼ、トートメラーゼまたはムターゼ等のイソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼ及びホスファターゼ等の酵素を含む。いくつかの実施態様において、このタンパク質は、成長因子、サイトカイン、配位子、受容体及び阻害剤並びにワクチン及び抗体を含むがそれらに限られない、治療に重要なタンパク質またはぺプチドである。いくつかの別の実施態様において、このタンパク質は、商業的に重要な工業タンパク質またはぺプチドである(例えば、プロテアーゼ、例えば、アミラーゼ及びグルコアミラーゼ等のカルボヒドラーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼ及びリパーゼ等)。いくつかの実施態様において、このタンパク質をコードする遺伝子は自然発生の遺伝子である一方、他の実施態様において、変異及び/または合成された遺伝子が使用される。
本明細書で用いられる「同種タンパク質」の語は、宿主細胞内で天然または自然発生のタンパク質またはポリぺプチドをいう。本発明は、組み換えDNA技術を介して同種タンパク質を生成する宿主細胞を包含する。別の実施態様において、同種タンパク質は、大腸菌を含むが、それに限られないその他の有機体により生成された天然タンパク質である。本発明はさらに、組み換えDNA技術により同種タンパク質を生成する宿主細胞を包含する。本発明はさらに、自然発生の同種タンパク質(例えば、プロテアーゼ)をコードする核酸の1以上の欠失または1以上の割り込み(interruptions)を伴い、組み換え体の形態(すなわち、発現カセット)内で再度導入された同種タンパク質をコードする核酸を有する宿主細胞を包含する。他の実施態様において、前記宿主細胞は、同種タンパク質を生成する。
本明細書で用いられる「プロテアーゼ」、及び「タンパク質分解活性」の語は、ペプチド結合を有するペプチドまたは基質を加水分解する能力を示すタンパク質またはペプチドをいう。タンパク質分解活性を測定するための多くの周知の操作法が存在している(Fiechter編、「生化学工学/バイオテクノロジーの進歩(Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology)」(1988年)中のKalisz著、「微生物プロテアーゼ(Microbial Proteinases)」)。例えば、タンパク質分解活性は、市販の基質を加水分解する生成されたプロテアーゼの性能を分析する比較アッセイにより確認することが出来る。プロテアーゼまたはタンパク質分解活性のそのような分析に有用な模範的な基質には、ジメチルカゼイン(シグマ社C−9801)、ウシ・コラーゲン(シグマ社C−9879)、ウシ・エラスチン(シグマ社E−1625)、及びウシ・ケラチン(ICNバイオメディカル社902111)が含まれるが、これらに限られない。これらの基質を利用した比色試験は、当該技術分野において周知である(例えば、WO99/34011及び米国特許第6,376,450号を参照されたい。両文献は参照により本明細書に取り込まれる)。AAPF試験(例えば、Del Mar他著、Anal.Biochem.、第99巻、316−320頁、1979年を参照されたい)も、成熟プロテアーゼの生成を測定するために利用される。この試験は、酵素が溶解性合成基質である、スクシニル−アラニン−アラニン−プロリン−フェニルアラニン−p−ニトロアニリド(sAAPF−pNA)を加水分解する際にp−ニトロアナリンが放出される速度を測定する。加水分解反応による黄色の生成速度は、分光光度計により410nmで測定され、活性酵素濃度に比例する。
本明細書で用いられる「活性」の語は、プロテアーゼに関連するタンパク質分解活性のような、特定のタンパク質に関連する生物学的活性をいう。生物学的活性は、前記タンパク質に起因すると通常当業者に考えられる任意の活性を示す。
目的タンパク質に関連して用いられる「生成」の語は、成熟過程の間に起こることが知られているポリペプチドの活性成熟形態を通常形成するプロ領域の除去を含む、ポリペプチドの生成における処理過程を包含する。いくつかの実施態様において、このポリペプチドの生成は、タンパク質分泌の間に起こることが知られる、シグナル・ペプチドを取り除く過程を含む(例えば、Wang他著、Biochemistry、第37巻、3165−3171頁、1998年、及びPower他著、Proc Natl Acad Sci USA、第83巻、3096−3100ページ、1986年を参照されたい)。いくつかの実施態様において、発現されたタンパク質は発現した細胞の細胞内環境に局在する一方、他の実施態様において、発現されたタンパク質は細胞外環境に分泌される。従って、いくつかの実施態様において、目的タンパク質の生成は、タンパク質発現の細胞の過程及び細胞外培地への分泌を含む。例えば、プロテアーゼの生成は、1.タンパク質分泌の間に起こることが知られるシグナル・ペプチドの除去、及び2.酵素の活性成熟形態を形成し、成熟過程の間に起こることが知られるプロ領域の除去を含む、全長プロテアーゼの2段階の処理過程を含む(Wang他著、Biochemistry、第37巻、3165−3171頁、1998年、Power他著、Proc Natl Acad Sci USA、第83巻、3096−3100頁、1986年)。
本明細書で用いられる「早期発現及び/または早期生成」の語は、前駆体/親宿主により正常に発現される目的タンパク質よりも早い時間で宿主細胞内で起こる目的タンパク質の発現及び/または生成を示す。いくつかの実施態様において、目的タンパク質の「早期発現及び/または生成」は、ymaHを過剰発現しない宿主細胞よりもYmaHを過剰発現する宿主内でより早く起こる。
本明細書で用いられる「促進(増進)された(enhanced)」の語は、目的タンパク質の改善された生成を示す。好ましい実施態様において、本発明は、修飾された宿主内での目的タンパク質の促進された(すなわち、改善された)生成を提供する。これらの実施態様において、修飾されていない野生型または改変された親宿主(例えば、YmaHのような転写活性化因子を過剰発現しない野生型細胞または改変された細胞)による正常レベルでの生成と比べ、この「促進された」生成は改善されている。
YmaHポリペプチド及びポリヌクレオチド構築体
いくつかの実施態様において、本発明は、プロモーター及びYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド構築体を提供する。HFQ_BACSUとしても知られるB.ズブチリスYmaHは、RNA結合タンパク質であり、RNA結合タンパク質のHfqファミリーのメンバーである(Sauter他著、Nucleic Acid Res、第31巻、4091−4098頁、2003年)。YmaHタンパク質は、バチルス・ズブチリス内でymaH遺伝子によりコードされる。この遺伝子は、大腸菌のhfq遺伝子のオーソログである(Silvaggi他著、J Bacteriol.第187(19)巻、6641−6650頁、2005年)。YmaHは、多く偏在するRNA結合タンパク質であり、原核生物において、RNA代謝の多面的な調節因子として機能する。YmaHは、いくつかの転写物の安定化及び他の物質の分解に必要とされる。YmaHは、非構造のA/U高濃度RNA配列に優先的に結合し、真核性Smタンパク質と配列及び構造の両方で類似する。YmaHはまた、リボ調節因子と呼ばれる小型のRNA分子と結合することも知られている。このリボ調節因子は、RNA転写物の安定性または転写効率を調節する。
本発明は、ymaHを過剰発現するように修飾された宿主細胞内で目的タンパク質の生成を増加させる、ymaHの過剰発現にための方法及び組成物を提供する。追加的に、本明細書で示されるように、ymaHの過剰発現は、バチルス宿主細胞内でのプロテアーゼの生成を促進する。ymaHの過剰発現は、YmaHをコードするポリヌクレオチドの転写及び/または翻訳を促進することを含め、様々な手段により達成されることが出来る。例えば、転写レベルにおいて、ymaHの過剰発現は、宿主細胞内でymaHをコードするポリヌクレオチド配列の数を増加させることにより、及び/または同種RNAポリメラーゼの活性を促進させるため、ymaHプロモーターの結合強度を増加させることにより達成されることが出来る。翻訳レベルにおいて、ymaHの過剰発現は、リボソーム結合部位(RBS)へのリボソームの親和性を増加させるためにRBSを変異させることにより、翻訳活性を促進することで達成されることが出来る。ymaHの過剰発現は、ymaH遺伝子単独またはymaHの過剰発現を達成するためにymaH遺伝子になされた他の可能な修飾との組み合わせで、ymaH遺伝子のコピー数を増加させることによりもたらされることが出来ると当業者は認識することになる。
本発明は、ポリヌクレオチド構築体、ベクター及びymaHの過剰発現を可能にする宿主細胞を含む組成物を提供する。本発明はまた、目的タンパク質を過剰発現するための本発明に係る組成物を用いた方法も提供する。本発明のポリヌクレオチド構築体は、YmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列とSigA及び/またはSigHプロモーターを含む。
一の実施態様において、本発明は、ymaHをコードするポリヌクレオチド配列の数を増加させることによるymaHの過剰発現を提供する。従って、本発明は、ymaHプロモーターと操作可能に連結された、ymaHをコードするポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド構築体を提供する。ymaHプロモーターは、YmaHの発現を誘導する任意のプロモーター(例えば、SigA及び/またはSigHプロモーター)とすることが出来る。また、ymaHプロモーターは、選択宿主細胞内で転写活性を示し、変異、切断及びハイブリッド・プロモーターを含む任意の核酸配列とすることが出来る。さらに、ymaHプロモーターは、宿主細胞と同種または異種のいずれかである細胞外または細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られることが出来る。このプロモーター配列は、宿主細胞に対して天然または外来であることが出来る。
いくつかの実施態様において、前記プロモーター配列は、微生物源から得られることが出来る。いくつかの実施態様において、前記プロモーター配列は、バチルス株(例えば、バチルス・アルカロフィラス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ブレビス、バチルス・シルクランス、バチルス・クラウジイ、バチルス・コアグランス、バチルス・フィルマス(firmus)、バチルス・ラウタス、バチルス・レンタス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・メガテリウム、バチルス・プミラス(pumilus)、バチルス・ステロサーモフィラス、バチルス・ズブチリス、またはバチルス・チューリンゲンシス)、またはストレプトミセス株(例えば、ストレプトミセス・リビダンス(lividan)またはストレプトミセス・ムリナス(murinus))のようなグラム陽性細菌またはグラム陰性細菌(例えば、大腸菌またはシュードモナス種)から得られることが出来る。
ymaHの転写は、2個のプロモーターにより自然に誘導されることが出来る。すなわち、miaAコーディング領域の上流に存在するSigAプロモーター及びB.ズブチリスのmiaAオペロン内のymaHコーディング領域の直ぐ上流にあるSigHプロモーターである。いくつかの実施態様において、本発明は、YmaH及びSigAプロモーターをコードするポリヌクレオチド配列(例えば、配列番号2及び3)を含むポリヌクレオチド構築体を提供する。配列番号2及び3は、キメラ・ポリヌクレオチド構築体を提供するように、ymaHコーディング配列がSigAプロモーター配列と隣接する実施態様を例示する。従って、いくつかの好ましい実施態様において、キメラ・ポリヌクレオチド構築体は、自然においてymaHコーディング配列と隣接しないプロモーター配列を含む。例えば、配列番号2及び3は、ymaHをコードするポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されたSigAプロモーターを各々含む、キメラ構築体SigA1及びSigA2をそれぞれ例示する。
GCGCCGAATTCTCATACCCTGAAAGGAAAGACAAGGGAAATTGTCGGCAATGAGCCGCTCGGCAGGTAGAAGGATGTTTACCGATGCAAAAAAAGGGCAAAATGGATAGGTGGTTGTCCATGTTGAATGCTATAATGGGGGAGATTTATAAAAGAGAGTGATACATATTGAATAATACGAAGCAGCCCCACACATATAGCAGGAAAACTCGAACTTTAATCGAAACTGTATGATATAGAGAATCAAGGAGGACGAAACATGAAACCGATTAATATTCAGGATCAGTTTTTGAATCAAATCCGGAAAGAAAATACGTATGTCACTGTTTTTTTGCTGAACGGCTTTCAGTTGCGGGGCCAGGTGAAAGGCTTTGATAACTTTACCGTATTGTTGGAATCGGAAGGTAAGCAGCAGCTTATATATAAACATGCGATCTCAACGTTTGCGCCGCAAAAAAACGTCCAGCTTGAACTCGAATAGATCAAAAAATGCCATGTCAAGACATGAGGAAAGGCTGTCGGGGGTTCCCGGCGGCCATTTTTAACATGAATCCACTTTTGCTCCAAGCTTTTTGTGTAAGCTGACCATGCCAAGGCACGGTCTTTTTTTATGAGGGATCCGGTGCC(配列番号2)

GCGCCGAATTCTCATACCCTGAAAGGAAAGACAAGGGAAATTGTCGGCAATGAGCCGCTCGGCAGGTAGAAGGATGTTTACCGATGCAAAAAAAGGGCAAAATGGATAGGTGGTTGTCCATGTTGAATGCTATAATGGGGGAGATTTATAAAAGAGAGTGCTCGAACTTTAATCGAAACTGTATGATATAGAGAATCAAGGAGGACGAAACATGAAACCGATTAATATTCAGGATCAGTTTTTGAATCAAATCCGGAAAGAAAATACGTATGTCACTGTTTTTTTGCTGAACGGCTTTCAGTTGCGGGGCCAGGTGAAAGGCTTTGATAACTTTACCGTATTGTTGGAATCGGAAGGTAAGCAGCAGCTTATATATAAACATGCGATCTCAACGTTTGCGCCGCAAAAAAACGTCCAGCTTGAACTCGAATAGATCAAAAAATGCCATGTCAAGACATGAGGAAAGGCTGTCGGGGGTTCCCGGCGGCCATTTTTAACATGAATCCACTTTTGCTCCAAGCTTTTTGTGTAAGCTGACCATGCCAAGGCACGGTCTTTTTTTATGAGGGATCCGGTGCC(配列番号3)

別の実施態様において、本発明は、YmaH及びSigHプロモーターをコードするポリヌクレオチド配列(例えば、下記に示される配列番号1のSigH構築体)を含むポリヌクレオチド構築体を提供する。配列番号1はまた、SigHプロモーターと自然に隣接するymaHコーディング配列を含むポリヌクレオチド構築体を例示する。
GGCACCGAATTCGACGTGGTTTCGCAACAAAATGCAGGTCACATGGTTCGATATGACACCGCCTGTTGATATGGAGCTGAAAAAAAAGGAAATTTTCACACATATAGCAGGAAAACTCGAACTTTAATCGAAACTGTATGATATAGAGAATCAAGGAGGACGAAACATGAAACCGATTAATATTCAGGATCAGTTTTTGAATCAAATCCGGAAAGAAAATACGTATGTCACTGTTTTTTTGCTGAACGGCTTTCAGTTGCGGGGCCAGGTGAAAGGCTTTGATAACTTTACCGTATTGTTGGAATCGGAAGGTAAGCAGCAGCTTATATATAAACATGCGATCTCAACGTTTGCGCCGCAAAAAAACGTCCAGCTTGAACTCGAATAGATCAAAAAATGCCATGTCAAGACATGAGGAAAGGCTGTCGGGGGTTCCCGGCGGCCATTTTTAACATGAATCCACTTTTGCTCCAAGCTTTTTGTGTAAGCTGACCATGCCAAGGCACGGTCTTTTTTTATGAGGGATCCGGAGCC(配列番号1)

さらに別の実施態様において、本発明は、YmaHをコードするポリヌクレオチド配列とSigA及びSigHプロモーターを含むポリヌクレオチド構築体を提供する(例えば、下記に示される配列番号13のSigA3構築体)。
TCATACCCTGAAAGGAAAGACAAGGGAAATTGTCGGCAATGAGCCGCTCGGCAGGTAGAAGGATGTTTACCGATGCAAAAAAAGGGCAAAATGGATAGGTGGTTGTCCATGTTGAATGCTATAATGGGGGAGATTTATAAAAGAGAGTGATACATATTGAATAATACGAAGCAGCCCGTTGTCATTTTAGTCGGACCGACGGCAGTGGGGAAAACCAATTTAAGTATTCAGCTAGCCAAATCCTTAAACGCGGAAATTATCAGCGGAGATTCGATGCAGATTTATAAAGGGATGGATATTGGAACAGCTAAAATTACCGAACAGGAGATGGAGGGAGTGCCCCATCATCTGATTGACATTTTAGATCCCCAAGACTCTTTCTCTACTGCCGATTATCAAAGCTTAGTAAGAAATAAAATCAGCGAGATTGCAAATAGAGGAAAGCTTCCGATGATTGACGGCGGTACAGGGCTTTATATACAATCTGAGCTTTACGATTATACATTTACGGAAGAGGCAAATGATCCCGTGTTTCGAGAGAGCATGCAAATGGCTGCTGAGCGGGAAGGCGCTGACTTTCTTCATGCCAAACTTGCTGCAGCAGATCCCGAGGCAGCAGCTGCGATTCATCCGAATAATACAAGAAGAGTCATTCGCGCACTGGAAATTTTACATACGTCCGGAAAAACGATGTCCCAGCATTTGAAGGAACAAAAACGAGAACTTCTGTACAATGCAGTGTTAATTGGCCTGACAATGGATAGAGACACGCTTTACGAAAGAATTAATCAGCGGGTCGATTTGATGATGCAGTCAGGCCTTCTTCCGGAAGTGAAACGCTTATACGACAAGAACGTGAGAGACTGTCAATCAATACAGGCGATAGGCTATAAAGAGCTGTATGCATATTTTGACGGTTTTGTGACACTTTCCGATGCTGTCGAACAGCTAAAGCAGAACTCGAGGCGGTATGCGAAACGCCAGCTGACGTGGTTTCGCAACAAAATGCAGGTCACATGGTTCGATATGACACCGCCTGTTGATATGGAGCTGAAAAAAAAGGAAATTTTCACACATATAGCAGGAAAACTCGAACTTTAATCGAAACTGTATGATATAGAGAATCAAGGAGGACGAAACATGAAACCGATTAATATTCAGGATCAGTTTTTGAATCAAATCCGGAAAGAAAATACGTATGTCACTGTTTTTTTGCTGAACGGCTTTCAGTTGCGGGGCCAGGTGAAAGGCTTTGATAACTTTACCGTATTGTTGGAATCGGAAGGTAAGCAGCAGCTTATATATAAACATGCGATCTCAACGTTTGCGCCGCAAAAAAACGTCCAGCTTGAACTCGAATAGATCAAAAAATGCCATGTCAAGACATGAGGAAAGGCTGTCGGGGGTTCCCGGCGGCCATTTTTAACATGAATCCACTTTTGCTCCAAGCTTTTTGTGTAAGCTGACCATGCCAAGGCACGGTCTTTTTTTATGAG(配列番号13)

ymaH遺伝子の発現に導く適したプロモーターの例は、miaAをコードする遺伝子を包含するB.ズブチリス・オペロン由来の前記SigA及びSigHプロモーターである。例えば、一の実施態様において、本発明は、SigAプロモーターを定義するポリヌクレオチド配列を提供する(下記で示される配列番号14)。
TCATACCCTGAAAGGAAAGACAAGGGAAATTGTCGGCAATGAGCCGCTCGGCAGGTAGAAGGATGTTTACCGATGCAAAAAAAGGGCAAAATGGATAGGTGGTTGTCCATGTTGAATGCTATAATGGGGGAGATTTATAAAAGAGAGTGATACATA(配列番号14)

別の実施態様において、本発明は、SigHプロモーターを定義するポリヌクレオチド配列を提供する(下記で示される配列番号16)。
AAAGGAAATTTTCACACATATAGCAGGAAAACTCGAACTTTAATCGAAACTGTATGATATAGAGAATCAAGGAGGACGAAAC(配列番号16)

ymaH遺伝子の発現に用いられるプロモーターのその他の例は、シグマAプロモーターを含む。このシグマAプロモーターは、ストレプトミセス・コエリコラー(coelicolor)のアガラース(agarase)遺伝子(dagA)のプロモーター、バチルス・レンタスのアルカリプロテアーゼ遺伝子(aprH)のプロモーター、バチルス・リケニフォルミスのアルカリプロテアーゼ遺伝子(ズブチリシン・カールスバーグ遺伝子)のプロモーター、バチルス・ズブチリスのレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)のプロモーター、バチルス・ズブチリスのアルファ−アミラーゼ遺伝子(amyE)のプロモーター、バチルス・リケニフォルミスのアルファ−アミラーゼ遺伝子(amyL)のプロモーター、バチルス・ステロサーモフィラスのマルトジェニック・アミラーゼ(maltogenic amylase)遺伝子(amyM)のプロモーター、及びバチルス・アミロリケファシエンスのアルファ−アミラーゼ遺伝子(amyQ)のプロモーターを含むσ因子により認識される。ymaH遺伝子の発現に用いられるプロモーターの例は、spo0A、spo0F、spoVG及びcitGを含むσ因子により認識されるシグマHプロモーターを含む(A.L.Sonenshein、J.A.Hoch及びR.Losick編集、バチルス・ズブチリス及びその最近親種、遺伝子から細胞(Bacillus subtilis and its closest relatives: from genes to cells.)、アメリカン・ソシエティ・フォー・マイクロバイオロジー社、ワシントンD.C.中のHelmann,J.D.及びC.P.Moran.著、2002年、RNAポリメラーゼ及びシグマ因子(RNA polymerase and sigma factors)、289−312頁を参照されたい)。
いくつかの実施態様において、コンセンサスSigA及び/またはSigHプロモーターが本発明で使用される。コンセンサス・プロモーターの構築は、バチルス・ズブチリスに用いられる植物性「シグマA型」プロモーターの「−10」及び「−35」領域に用いられる確立したコンセンサス配列とより完全に一致するプロモーターを作成するための部位特異的突然変異生成により達成されることが出来る(Voskuil他著、Mol Microbiol、第17巻、271−279頁、1995年)。他の実施態様において、コンセンサス・プロモーターは、バチルス・ズブチリスに用いられる植物性「シグマH型」プロモーターの「−10」及び「−35」領域に用いられる確立したコンセンサス配列とより完全に一致するプロモーターを作成するための部位特異的突然変異生成により作成される(バチルス・ズブチリス及びその最近親種(Bacillus subtilis and its closest relatives)内のHelman及びMoran著、Ch.21、289−312頁、Sonenshein他編集、2002年、ASM出版社、ワシントンD.C.を参照されたい)。シグマA型プロモーターの「−35」領域に用いられるコンセンサス配列はTTGacaであり、「−10」領域に用いられる配列はtgnTATaatである。また、シグマH型プロモーターの「−35」領域に用いられるコンセンサス配列はRnAGGAwWWであり、「−10」領域に用いられる配列はRnnGAATである。大文字は高度に保存された部位を示し、小文字は低度に保存された部位を示す。略称RはAまたはGであることができ、WはAまたはTであることが出来る。コンセンサス・プロモーターは、バチルス宿主細胞で機能出来る任意のプロモーターから得られることが出来る。
いくつかの実施態様において、配列番号14を包含するSigAプロモーターは、miaAコーディング配列の上流に自然に存在するポリヌクレオチド配列により定義される(下記で示される配列番号15)。一方、配列番号16を包含するSigHプロモーターは、ymaHコーディング配列の上流に自然に存在するポリヌクレオチド配列(下記で示される配列番号17)により定義される。
TTGAATAATACGAAGCAGCCCGTTGTCATTTTAGTCGGACCGACGGCAGTGGGGAAAACCAATTTAAGTATTCAGCTAGCCAAATCCTTAAACGCGGAAATTATCAGCGGAGATTCGATGCAGATTTATAAAGGGATGGATATTGGAACAGCTAAAATTACCGAACAGGAGATGGAGGGAGTGCCCCATCATCTGATTGACATTTTAGATCCCCAAGACTCTTTCTCTACTGCCGATTATCAAAGCTTAGTAAGAAATAAAATCAGCGAGATTGCAAATAGAGGAAAGCTTCCGATGATTGACGGCGGTACAGGGCTTTATATACAATCTGAGCTTTACGATTATACATTTACGGAAGAGGCAAATGATCCCGTGTTTCGAGAGAGCATGCAAATGGCTGCTGAGCGGGAAGGCGCTGACTTTCTTCATGCCAAACTTGCTGCAGCAGATCCCGAGGCAGCAGCTGCGATTCATCCGAATAATACAAGAAGAGTCATTCGCGCACTGGAAATTTTACATACGTCCGGAAAAACGATGTCCCAGCATTTGAAGGAACAAAAACGAGAACTTCTGTACAATGCAGTGTTAATTGGCCTGACAATGGATAGAGACACGCTTTACGAAAGAATTAATCAGCGGGTCGATTTGATGATGCAGTCAGGCCTTCTTCCGGAAGTGAAACGCTTATACGACAAGAACGTGAGAGACTGTCAATCAATACAGGCGATAGGCTATAAAGAGCTGTATGCATATTTTGACGGTTTTGTGACACTTTCCGATGCTGTCGAACAGCTAAAGCAGAACTCGAGGCGGTATGCGAAACGCCAGCTGACGTGGTTTCGCAACAAAATGCAGGTCACATGGTTCGATATGACACCGCCTGTTGATATGGAGCTGAAAAAAAAGGAAATTTTCACACATATAGCAGGAAAACTCGAACTTTAA(配列番号15)

ATGAAACCGATTAATATTCAGGATCAGTTTTTGAATCAAATCCGGAAAGAAAATACGTATGTCACTGTTTTTTTGCTGAACGGCTTTCAGTTGCGGGGCCAGGTGAAAGGCTTTGATAACTTTACCGTATTGTTGGAATCGGAAGGTAAGCAGCAGCTTATATATAAACATGCGATCTCAACGTTTGCGCCGCAAAAAAACGTCCAGCTTGAACTCGAATAG(配列番号17)

本発明はまた、対応する野生型プロモーターの活性と比べ、プロモーターの活性が増加し、YmaHタンパク質の過剰発現が結果として生じるように変異されたプロモーター配列も包含する。従って、SigA及びSigHプロモーターを定義する配列の変異体は、本発明の構築体に使用されることが理解される。バチルス種におけるプロモーター変異体の作成方法は、当該技術分野で周知である(A.L.Sonenshein、J.A.Hoch及びR.Losick編集、バチルス・ズブチリス及びその最近親種、遺伝子から細胞(Bacillus subtilis and its closest relatives: from genes to cells.)、アメリカン・ソシエティ・フォー・マイクロバイオロジー社、ワシントンD.C.中のHelmann他著、2002年、RNAポリメラーゼ及びシグマ因子(RNA polymerase and sigma factors)、289−312頁を参照されたい)。本発明がいずれか特定のプロモーターに限定されることは意図されず、当業者に知られる任意の適したプロモーターが本発明で使用される。それでも、いくつかの実施態様において、前記プロモーターはB.ズブチリスsigHプロモーターである一方で、他の実施態様において、前記プロモーターはB.ズブチリスsigAプロモーターである。別の実施態様において、前記sigH及びsigAプロモーターは、YmaHタンパク質の過剰発現をもたらす役割を果たす。
いくつかの実施態様において、本発明に係る前記ポリヌクレオチド構築体はまた、ymaH RNA転写物の最適な翻訳を確保するため、必須の前記リボソーム結合部位も含む。いくつかの実施態様において、前記ポリヌクレオチド構築体は、miaA遺伝子(AAGAGAG、配列番号21)のリボソーム結合部位(RBS)配列を含む一方で、他の実施態様において、ポリヌクレオチド構築体は、ymaH遺伝子(GGAGG、配列番号22)のRBS配列を含む。さらに別の実施態様において、前記ポリヌクレオチド構築体は、miaA遺伝子及びymaH遺伝子のリボソーム結合部位配列を含む。いくつかの実施態様において、本発明は、プロモーター及びymaHコーディング配列の上流にあるリボソーム結合部位配列を有する構築体を提供する。本発明は、本明細書で開示されるリボソーム結合部位配列に限られず、ymaH遺伝子の発現レベルを増加させるように変異された任意の適したリボソーム結合部位配列も包含する。バチルス内で遺伝子の発現を増加させる変異されたリボソーム結合配列を得る方法は、当該技術分野で知られている。例えば、Band及びHennerは、16S rRNAとのより堅い塩基対合が得られるように前記RBSを修飾することで、B.ズブチリス内でのインターフェロンの発現レベルの増加に成功した(Band,L.及びD.J.Henner、DNA、第3巻、17−21頁、1984年)。
バチルス・ズブチリス由来の自然発生のYmaHタンパク質は、219(終止コドンを含めて222)塩基対のポリヌクレオチド(EMBL主要アクセス番号(EMBL Primary Accession Number)Z99113、配列番号17)でコードされる73アミノ酸のタンパク質(配列番号4)である。
MKPINIQDQFLNQIRKENTYVTVFLLNGFQLRGQVKGFDNFTVLLESEGKQQLIYKHAISTFAPQKNVQLELE(配列番号4)

従って、いくつかの実施態様において、YmaHをコードするポリヌクレオチド構築体配列は、野生型バチルス・ズブチリス株168(配列番号4)のゲノムで見られる自然発生のポリヌクレオチド配列である。本発明はまた、天然タンパク質において、1以上の部位で1以上のアミノ酸の欠失(すなわち、切断)、付加、または置換により野生型タンパク質から派生した変異体YmaHタンパク質を含む、変異体YmaHタンパク質も包含する。このような欠失、付加、または置換の方法は、当該技術分野で一般に知られる。例えば、ポリペプチドのアミノ酸配列変異体は、天然の目的タンパク質をコードするクローン化DNA配列内での変異により調製されることが出来る。突然変異生成及びヌクレオチド配列の改変の方法は、当該技術分野で周知である(例えば、Kunkel著、1985年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第82巻、488−492頁、Kunkel他著、1987年、Methods Enzymol.第154巻、367−382頁、米国特許第4,873,192号、及びそれらに引用される参考文献を参照されたい。それらは参照により本明細書に組み込まれる)。目的タンパク質の変異体の構築において、変異体をコードするヌクレオチド配列への修飾は、その変異体が所望の活性の所持を維持するように作成される。当業者に理解されるように、遺伝コードの縮退のため、多様な修飾ポリヌクレオチドがYmaHタンパク質をコードする。本発明のいくつかの他の実施態様において、配列番号17のポリヌクレオチド配列と、少なくとも約70%の配列同一性、少なくとも約75%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約85%の配列同一性、少なくとも約90%の配列同一性、少なくとも約92%の配列同一性、少なくとも約95%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが提供される。
他の実施態様において、本発明のポリヌクレオチド構築体は、バチルス・ズブチリス株168のYmaHコーディング配列と類似するYmaHコーディング配列を含む。この株のゲノムは一の4215kbのゲノム内に含まれ、よく特性解析されている(Kunst他著、Nature、第390巻、249−256頁、1997年、及びHenner他著、Microbiol.Rev.、第44巻、57−82頁、1980年を参照されたい)。いくつかの実施態様において、本発明のポリヌクレオチド構築体は、野生型YmaHタンパク質のアミノ酸配列と、少なくとも約65%のアミノ酸配列同一性、少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性、少なくとも約75%のアミノ酸配列同一性、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、少なくとも約92%のアミノ酸配列同一性、少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性、少なくとも約97%のアミノ酸配列同一性、少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性、及び少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を共有するYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む。また、本発明のポリヌクレオチド構築体は、野生型ポリペプチド(配列番号4)と比べ、宿主細胞内での目的タンパク質の生成を促進する、同程度または改善された能力を有し、さらに、宿主細胞内での目的タンパク質の発現を促進した能力を保有する。さらに別の実施態様において、本発明は、配列番号17の野生型バチルス配列の遺伝子と相同、オーソログまたはパラログであるポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド構築体を提供する。また、本発明は、目的タンパク質の生成を促進する能力を保有する。
本発明はまた、構造的及び/または機能的に類似することにより関連するYmaHタンパク質をコードするコーディング配列を含むポリヌクレオチド構築体も包含する。いくつかの実施態様において、これらのタンパク質は、有機体の分類間での相違(例えば、細菌性タンパク質及び菌性タンパク質)を含め、異なる属及び/または種に由来する。いくつかの実施態様において、これらのタンパク質は、異なる属及び/または種に由来する。追加的な実施態様において、関連タンパク質が同種から提供される。いかにも、本発明がいずれか特定の源に由来する関連タンパク質に限定されることは意図されない。追加的に、「関連タンパク質」の語は、第三構造のホモログ及び主要配列のホモログ(例えば、本発明の前記YmaH)を包含する。例えば、本発明は、大腸菌(HFQ_ECOLI)、シグヘラ(Shighella)・フレキシネリ(flexneri)(HFQ_SHIFL)、サルモネラ・チフィムリウヌ(typhimurium)(HFQ_SALTY)、エルシニア・エンテロコリチカ(HFQ_YEREN)、エルシニア・ペスト(HFQ_YERPE)、エルビニア・カロトボラ(carotovora)(HFQ_ERWCA)、ヘモフィルス・インフルエンザ(HFQ_HAEIN)、パスツレラ・ムルトシダ(multocida)(HFQ_PASMU)、ビブリオ・コレラ(HFQ_VIBCH)、緑膿菌(HFQ_PSEAE)、キサントモナス・アクシノポジス(axonopodis)(HFQ_XANAC)、キサントモナス・カムペストリス(campestris)(HFQ_XANCP)、キシレラ(Xylella)・ファスチジオサ(fastidiosa)(GSQ_XYLFA)、髄膜炎菌(HFQ_NEIMA)、ラルストニア(Ralstonia)・ソラナシーラム(solanacearum)(HFQ_RALSO)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)・ツメファシエンス(tumefaciens)(HFQ_AGRTS)、マルタ熱菌(HFQ_BRUME)、リゾビウム・ロティ(HFQ_RHILO)、アゾルヒゾビウム(Azorhizobium)・カウリノダンス(caulinodans)(HFQ_AZOCA)、カウロバクター・クレセンタス(crescentus)(HFQ_CAUCR)、アクイフェクス(Aquifex)・メリテンシス(melitensis)(HFQ_AQUAE)、サーモトガ(Thermotoga)・マリティメ(maritime)(HFQ_THEMA)、クロストリジウム・アセトブチリカム(acetobutylicum)(HFQ_CLOAB)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(HFQ_CLOPE)、バチルス・ハロジュランス(HFQ_BACHD)、バチルス・ズブチリス(HFQ_BACSU)、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacter)・テングコンジェンシス(tengcongensis)(HFQ_THETN)、S.オーリーウス(aureaus)(Q99UG9)、及びM.ジャンナジィ(jannasci)(Q58830)のYmaH(Sauter他著、Nucleic Acids Res.、第31巻、4091−4098頁、2003年)のような前記YmaHタンパク質を含むがそれらに限られない、前記相同物を包含する。
関連(及び派生)タンパク質は、変異体YmaHタンパク質を含む。いくつかの好ましい実施態様において、変異体タンパク質は親タンパク質と異なり、また、互いに少数のアミノ酸残基で異なる。この異なるアミノ酸残基の数は1以上、好ましくは、約1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50以上のアミノ酸とすることが出来る。いくつかの好ましい実施態様において、変異体間の異なるアミノ酸の数は約1及び約10の間である。いくつかの特に好ましい実施態様において、関連タンパク質及び特に変異体タンパク質は、少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約98%、または約99%のアミノ酸配列同一性を含む。本発明のYmaHタンパク質の変異体の生成に適したいくつかの方法が当該技術分野で知られている。当該方法は、部位集中(site−saturation)突然変異生成、スキャンニング突然変異生成、挿入突然変異生成、ランダム突然変異生成、部位特異的突然変異生成、及び指向性進化、並びに多様な他の組み換え技術的な取り組みを含むがそれらに限られない。
野生型及び変異体タンパク質の特性解析は任意の適した手段を介して達成され、好ましくは目的の特性の評価に基づく。例えば、目的タンパク質の生成を促進可能なYmaHタンパク質を使用することが意図される。
所定の実施態様において、本発明の組み換えポリヌクレオチドは、使用される宿主細胞内でのYmaHタンパク質の発現のためにコドン最適化されることが出来るポリヌクレオチド配列を含む。多くの細胞内での各コドンの使用頻度を列挙したコドン使用頻度表が当該技術分野(例えば、Nakamura他、Nucl.Acids Res.、第28巻、292頁、2000年を参照されたい)で知られるか、または容易に導き出せることから、タンパク質のアミノ酸配列を発現させるようにこのような核酸は容易に設計されることが出来る。いくつかの実施態様において、前記コドン最適化された配列は、配列番号4と少なくとも約70%の同一性があるYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。
ymaHベクター
本発明は、本発明のポリヌクレオチド構築体を含むベクターを提供する。このベクターは、YmaHタンパク質を過剰発現するように宿主細胞に導入される。
いくつかの実施態様において、ポリペプチドの過剰発現は、宿主細胞に導入されたマルチコピー/複製プラスミド上に存在する、YmaHをコードする対応するポリヌクレオチドの1以上のコピーの発現に起因する。従って、いくつかの実施態様において、本発明は、前記ベクターに組み込まれたポリヌクレオチド構築体を含むベクターを提供する。いくつかの実施態様において、前記ベクターは、宿主細胞内でYmaHを過剰発現させる染色体外自己複製遺伝要素を形成する、マルチコピー/複製プラスミドベクターである。一般に、前記ベクターは、プラスミドを含む宿主細胞の選択を容易にする選択マーカー遺伝子を運ぶプラスミドベクターである。宿主細胞内で自発的に複製するベクターは、ベクターがバチルス細胞内で自発的に複製することを可能にする複製起点を伴うベクターを含む。細菌性の複製起点の例は、大腸菌内での複製を許容するプラスミドpBR322、pUC19、pACYC177、及びpACYC184、及びバチルス内での複製を許容するpUB110、pC194、pE194、pTA1060、及びpAMβ1の複製起点である。前記複製起点は、バチルス細胞内で温度感受性として機能させる変異を有するものとすることが出来る(例えば、Ehrlich、Proceedings of the National Academy of Sciences USA、第75巻、1433頁、1978年を参照されたい)。
上述のように、本発明のいくつかの実施態様において、YmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、宿主細胞内で複製可能な発現ベクターを介して宿主細胞に導入される。バチルスに適した複製及び統合するプラスミドが当該技術分野で知られる(例えば、Harwood及びCutting編集、「バチルスのための分子生物学的方法(Molecular Biological Methods for Bacillus)」、ジョンウィリー・アンド・サン社、1990年、特に第3章を参照されたい、B.ズブチリスに適した複製プラスミドは92頁で列挙されるものを含む)。
いくつかの実施態様において、YmaHポリペプチドの過剰発現は、宿主細胞のゲノムに統合されたYmaHコードポリヌクレオチドの少なくとも1コピーの発現に起因する。従って、いくつかの実施態様において、宿主細胞にベクターが導入された場合、ベクターはゲノムに統合され、統合されたゲノムと共に複製される。ymaH遺伝子の複数のコピーは、宿主細胞のゲノムの数箇所で統合されることが出来る。あるいは、YmaHをコードする配列及び選択マーカー(例えば、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子のような抗生物質耐性マーカー)を運ぶ増幅可能な発現カセットが単一の交差事象(a single cross−over event)を介してゲノムに統合され、次に適切な抗生物質(例えば、クロラムフェニコール)の濃度の増加で形質転換された宿主細胞に挑むことで増幅されることが出来る。
他の実施態様において、本発明は、統合ベクターに組み込まれたポリヌクレオチド構築体を提供する。いくつかの実施態様において、統合ベクターに組み込まれた本発明に係るポリヌクレオチド構築体は、バチルス宿主細胞の染色体配列に的が絞られ、複数のベクターコピーの安定した直列の統合を含む修飾された宿主細胞を作成する。統合ベクターに組み込まれたポリヌクレオチド構築体は通常、抗生物質製剤への耐性を伴う細胞を提供する選択マーカー遺伝子を含み、統合されたymaH構築体の複製を可能にする。単一部位への直列の統合並びに単一コピー及び2箇所への統合が起こる可能性がある。前記ポリヌクレオチド構築体がベクターに組み込まれるか、プラスミドDNAの存在無しに使用されるかに関わりなく、ポリヌクレオチド構築体が当該技術分野で知られる任意の適した方法を用いて宿主細胞を形質転換するために用いられる。
プラスミド構築体を伴うバチルス細胞へのDNAの導入方法及び細菌性宿主細胞へのプラスミドの形質転換の方法は周知である。いくつかの実施態様において、前記プラスミドは継続して大腸菌から単離され、バチルスへ形質転換される。しかしながら、大腸菌のような介在する微生物を使用することは必須ではなく、いくつかの実施態様において、DNA構築体またはベクターは、直接バチルス宿主に導入される。
当業者はバチルス細胞へのポリヌクレオチド配列の適した導入方法を承知している(例えば、Harwood他編集、「バチルス(Bacillus)」(プレナム出版社)中のFerrari他著、「遺伝学(Genetics)」、57−72頁、1989年、Saunders他著、J.Bacteriol.、第157巻、718−726頁、1984年、Hoch他著、J.Bacteriol.、第93巻、1925−1937頁、1967年、Mann他著、Current Microbiol.、第13巻、131−135頁、1986年、及びHolubova著、Folia Microbiol.、第30巻、97頁、1985年、Chang他著、Mol.Gen.Genet.、第168巻、11−115頁、1979年、Vorobjeva他著、FEMS Microbiol.Lett.、第7巻、261−263頁、1980年、Smith他著、Appl.Env.Microbiol.、第51巻、634頁、1986年、Fisher他著、Arch.Microbiol.、第139巻、213−217頁、1981年、及びMcDonald著、J.Gen.Microbiol.、第130巻、203頁、1984年を参照されたい)。いかにも、プロトプラスト形質転換及び会合、形質導入、及びプロトプラスト融合を含む、形質転換としての前記方法が知られ、本発明での使用に適する。形質転換の方法は特に、本発明で提供されるDNA構築体の宿主細胞への導入に好まれる。
一般に使用される方法に加えて、いくつかの実施態様において、宿主細胞は直接形質転換される(すなわち、中間細胞が、宿主細胞への導入前のDNA構築体の増幅または他の過程に使用されない)。宿主細胞へのDNA構築体の導入は、プラスミドまたはベクターへの挿入なしに宿主細胞へDNAを導入するとして当該技術分野に知られるそれらの物理的及び化学的方法を含む。これらの方法はエレクトロポレーション、裸のDNAまたはリポソーム等の挿入を含むが、それらに限られない。追加的実施態様において、DNA構築体はプラスミドに挿入されることなく、プラスミドと共に共同して形質転換される。別の実施態様において、当該技術分野で知られる方法により、選択マーカーは改変されたバチルス株から欠失される(Stahl他著、J.Bacteriol.、第158巻、411−418頁、1984年、及びPalmeros他著、Gene、第247巻、255−264頁、2000年を参照されたい)。
当該技術分野において知られるバチルスの形質転換方法は、プラスミドマーカーレスキュー形質転換等の方法を含み、この方法は部分的に相同の居住プラスミドを運ぶコンピテント細胞によるドナープラスミドの取り込みを伴う(Contente他著、Plasmid、第2巻、555−571頁、1979年、Haima他著、Mol.Gen.Genet.、第223巻、185−191頁、1990年、Weinrauch他著、J.Bacteriol.、第154巻、1077−1087頁、1983年、及びWeinrauch他著、J.Bacteriol.、第169巻、1205−1211頁、1987年を参照されたい)。当該方法において、前記入来ドナープラスミドは、染色体形質転換を再現した過程で、居住「ヘルパー」プラスミドの相同領域と組み換わる。
プロトプラスト形質転換による形質転換を伴うその他の方法が当該技術分野で周知である(例えば、Chang及びCohen著、Mol.Gen.Genet.、第168巻、111−115頁、1979年、Vorobjeva他著、FEMS Microbiol.Lett.、第7巻、261−263頁、1980年、Smith他著、Appl.Env.Microbiol.、第51巻、634頁、1986年、Fisher他著、Arch.Microbiol.、第139巻、213−217頁、1981年、McDonald著、1984年、J.Gen.Microbiol.、第130巻、203頁、1984年、及びBakhiet他著、第49巻、577頁、1985年を参照されたい)。追加的に、Mann他(Mann他著、Curr.Microbiol.、第13巻、131−135頁、1986年)はバチルス・プロトプラストの形質転換法を説明し、Holubova(Holubova、Microbiol.、第30巻、97頁、1985年)はDNA含有リポソームを用いたプロトプラストへのDNAの導入方法を説明する。いくつかの実施態様において、マーカー遺伝子は宿主細胞内で目的遺伝子が存在するかしないかを示すために用いられる。いくつかの実施態様において、本発明に係る前記ベクター内に含まれるymaHポリヌクレオチド配列は、配列番号4を有するYmaHタンパク質またはそれの変異体をコードする。
これらの方法に加えて、他の実施態様において、宿主細胞は直接的に形質転換される。「直接形質転換」において、中間細胞は、宿主(すなわち、バチルス)細胞への導入前の修飾されたポリヌクレオチドの増幅または他の過程に使用されない。宿主細胞への前記修飾されたポリヌクレオチドの導入は、プラスミドまたはベクターへの挿入なしに宿主細胞へ修飾されたポリヌクレオチドを導入する当該技術分野で知られる物理的及び化学的方法を含む。このような方法は、コンピテント細胞の使用並びに細胞へDNAを導入するための塩化カルシウム剤、エレクトロポレーション等のような「人工的手段」の使用も含むがそれらに限られない。従って、本発明は、裸のDNA、リポソーム等と使用される。さらに別の実施態様において、修飾されたポリヌクレオチドは、プラスミドへ挿入されることなく、プラスミドと共に共同で形質転換される。いくつかの実施態様において、本発明は、sigAプロモーター(例えば、配列番号2及び3)と操作可能に連結されたYmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。別の実施態様において、前記ベクターは、sigHプロモーター(例えば、配列番号1)と操作可能に連結されたYmaHをコードするポリヌクレオチドを含む。さらに別の実施態様において、前記ベクターは、YmaHコーディング配列、sigAプロモーター及びsigHプロモーターを含むポリヌクレオチド構築体を含む(例えば、配列番号13)。
いくつかの実施態様において、ymaHは、統合していないベクターにより過剰発現される。いくつかの実施態様において、ymaHは、1以上の染色体遺伝子がバチルスゲノムから修飾された(例えば、degU)及び/または欠失された(例えば、nprE)宿主細胞内において過剰発現される。いくつかの別の実施態様において、1以上の在来染色体領域は、対応する野生型バチルス宿主ゲノムから修飾及び/または欠失される。いくつかの好ましい実施態様において、本発明は、バチルスによる少なくとも1の目的タンパク質の改善された発現及び/または分泌のための方法及び組成物を提供する。
ymaH宿主細胞
本発明は、ymaHを過剰発現するように遺伝的に操作され、増進された目的タンパク質の生成量を有する修飾された宿主細胞を提供する。特に、本発明は、ymaHを過剰発現するバチルス種のような、グラム陽性微生物の修飾された宿主細胞に関する。いくつかの実施態様において、ymaHは野生型微生物において過剰発現される一方、他の実施態様において、YmaHは改変された宿主細胞において過剰発現される。いくつかの実施態様において、前記改変された宿主細胞は、野生型前駆体よりも高いレベルで目的タンパク質を生成可能である。いくつかの特に好ましい実施態様において、過剰生成する改変された親宿主におけるYmaHの過剰発現はさらに、目的タンパク質の生成レベルを増加する。いくつかの実施態様において、改変された親宿主におけるYmaHの過剰発現は、対応する改変されていない親宿主内で起こる生成よりも早い時間で目的タンパク質の生成を誘導する。宿主細胞におけるymaHの過剰発現は、本明細書で記述されるように本発明に係るベクター及び構築体を用いて得られる。従って、いくつかの実施態様において、本発明はsigA及び/またはsigHプロモーターと操作可能に連結されるYmaHコーディング配列を含むベクターで野生型または改変された宿主細胞を形質転換することにより得られる修飾された宿主細胞を提供する。特に、本発明に係る修飾された宿主細胞は目的タンパク質を生成可能であり、いくつかの実施態様において、修飾された宿主細胞はYmaHをコードするポリヌクレオチド構築体(例えば、配列番号1、2、3、または13)を含む。
いくつかの実施態様において、本発明は目的タンパク質の生成を増加させるために宿主細胞内においてymaHを過剰発現させる方法を提供する。目的タンパク質は、宿主と同種または異種のいずれかであることが出来る。いくつかの実施態様において、目的タンパク質は分泌ポリペプチド、特にでんぷん分解酵素、タンパク質分解酵素、細胞分解酵素、酸化還元酵素及び植物壁分解酵素を含むが、それらに限られない酵素である。別の実施態様において、この酵素は、アミラーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ラッカーゼ、フェノールオキシダーゼ、オキシダーゼ、クチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、ペルオキシダーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、フィターゼ、ペクチナーゼ、グルコシダーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼホスファターゼ、ガラクトシダーゼ及びキチナーゼを含むが、それらに限られない。さらに別の実施態様において、目的タンパク質はホルモン、サイトカイン、成長因子、受容体、ワクチン、抗体等である。本発明がいずれか特定のタンパク質に限られることは意図されないが、いくつかの実施態様において、前記目的タンパク質はプロテアーゼである。
いくつかの実施態様において、前記宿主細胞はバチルス種、ストレプトミセス種、エシェリキア種、またはアスペルギルス種である。他の実施態様において、目的タンパク質は、バチルス属の宿主細胞により生成されるプロテアーゼである(例えば、米国特許第5,264,366号、第4,760,025号、及びRE34,6060を参照されたい)。いくつかの実施態様において、目的のバチルス株は、好アルカリ性バチルスである。多くの好アルカリ性バチルス株が知られている(例えば、米国特許第5,217,878号、及びAunstrup他著、Proc IV IFS、Ferment.Tech.Today、299−305頁、1972年)。特定の目的バチルス株の別の型は、商業的バチルス株の細胞である。商業的バチルス株の例は、B.リケニフォルミス、B.レンタス、B.ズブチリス、B.クラウジイ、及びB.アミロリケファシエンスを含むが、それらに限られない。追加的な実施態様において、前記バチルス宿主株は、B.リケニフォルミス、B.ズブチリス、B.レンタス、B.ブレビス、B.ステロサーモフィラス、B.アルカロフィラス、B.アミロリケファシエンス、B.コアグランス、B.サーキュランス、B.ラウタス、B.プミラス、B.チューリンゲンシス、及びB.メガテリウム並びにバチルス属に含まれる他の有機体からなる群から選ばれる。好ましい実施態様において、B.ズブチリス細胞が使用される。
いくつかの実施態様において、商業的宿主株はバチルス種の非組み換え株、自然発生のバチルス株の変異体、及び組み換えバチルス宿主株から成る群から選ばれる。好ましい宿主株は、組み換え宿主株であり、ここで目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは前もって宿主へ導入される。さらに好ましい宿主株は、バチルス・ズブチリス宿主株であり、特に組み換えバチルス・ズブチリス宿主株である。多くのB.ズブチリス株が知られ、本発明の使用に適する(例えば、1A6(ATCC39085)、168(1A01)、SB19、W23、Ts85、B637、PB1753からPB1758、PB3360、JH642、1A243(ATCC39,087)、ATCC21332、ATCC6051、MI113、DE100(ATCC39,094)、GX4931、PBT110、及びPEP211株、Hoch他著、Genetics、第73巻、215−228頁、1973年、米国特許第4,450,235号、米国特許第4,302,544号、欧州特許第0134048号を参照されたい)。発現宿主としてのB.ズブチリスの使用は、当該技術分野で周知である(Palva他著、Gene、第19巻、81−87頁、1982年、Fahnestock及びFischer著、J.Bacteriol.、第165巻、796−804頁、1986年、及びWang他著、Gene、第69巻、39−47頁、1988年を参照されたい)。
特定の目的宿主細胞は、商業的プロテアーゼ生成バチルス株の細胞である。これらの株を用いて、プロテアーゼ生成の高い効率が本発明により提供される修飾されたバチルス株の使用によりさらに増進される。商業的プロテアーゼ生成バチルス株は、特に好ましい発現宿主を提供する。いくつかの実施態様において、本発明に係るこれらの株の使用は、プロテアーゼ生成における更なる増進を提供する。上述のように、通常バチルス種から分泌されるプロテアーゼには2つの一般型、つまり中性プロテアーゼ(または「金属プロテアーゼ」)及びアルカリ性プロテアーゼ(または「セリンプロテアーゼ」)がある。また上述のように、ズブチリシンは、本発明での使用に好まれるセリンプロテアーゼである。各種のバチルス・ズブチリシン、例えば、ズブチリシン168、ズブチリシンBPN’、ズブチリシン・カールスバーグ、ズブチリシンDY、ズブチリシン147、ズブチリシン309(例えば、欧州特許第414279B号、WO89/06279、及びStahl他著、J.Bacteriol.、第159巻、811−818頁、1984年を参照されたい)、B.レンタス・ズブチリシン、及びB.クラウジー・ズブチリシン(J C van der Laan、G Gerritse、L J Mulleners、R A van der Hoek及びW J Quax.著、Appl Environ Microbiol.第57巻、901−909頁、1991年)が同定及び配列決定されてきた。
本発明に係るいくつかの実施態様において、バチルス宿主株は変種(例えば、変異体)プロテアーゼを生成する。多数の文献が変異体プロテアーゼの例及び参照文献を提供する(例えば、WO99/20770、WO99/20726、WO99/20769、WO89/06279、RE34,606、米国特許第4,914,031号、米国特許第4,980,288号、米国特許第5,208,158号、米国特許第5,310,675号、米国特許第5,336,611号、米国特許第5,399,283号、米国特許第5,441,882号、米国特許第5,482,849号、米国特許第5,631,217号、米国特許第5,665,587号、米国特許第5,700,676号、米国特許第5,741,694号、米国特許第5,858,757号、米国特許第5,880,080号、米国特許第6,197,567号、及び米国特許第6,218,165号を参照されたい)。
いくつかの実施態様において、宿主細胞内での目的タンパク質の発現は、B.ズブチリス・ズブチリシンが自然に転写されるaprE遺伝子のaprEプロモーターにより誘導される。aprE遺伝子は、シグマA(σ)因子により転写され、その発現は、DegU/DegS、AbrB、Hpr及びSinR(Smith I、Slepecky RA、Setlow P編集、原核生物の発生における制御(Regulation of Procaryotic Development)、アメリカン・ソシエティ・フォー・マイクロバイオロジー社、ワシントンD.C.中のValle及びFerrari著、1989年、131−146頁)のような数種の調節因子により高度に制御される。また、コンセンサス・シグマAプロモーターが同定されている
TGGGTCTTGACAAATATTATTCCATCTATTACAATAAATTCACAGA(配列番号23、米国特許出願第2003014846号、Helman他著、1995年、Nucleic Acid Research、第24巻、2351−2360頁)。いくつかの実施態様において、前記宿主細胞は、野生型aprEプロモーターであるaprEプロモーターTGGGTCTACTAAAATATTATTCCATCTATTACAATAAATTCACAGA(配列番号24、米国特許出願公開番号第20030148461号)を含む。
別の実施態様において、宿主細胞による目的タンパク質の発現は、B.ズブチリスaprEプロモーターの変異体により誘導される。いくつかの実施態様において、本発明は、目的タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列と操作可能に連結された変異体aprEプロモーターを含むバチルス宿主細胞を提供する。従って、本発明は変異体aprEプロモーターから目的タンパク質を発現する宿主細胞を包含する。変異体aprEプロモーターの例は、配列TGGGTCTTGACAAATATTATTCCATCTATTACAATAAATTCACAGA(配列番号25)を有する変異体aprEプロモーターであり、これは、米国特許出願公開第20030148461号で記述される。本明細書で引用される目的タンパク質のいずれか1つ(例えば、バチルス・ズブチリシン)は、aprEプロモーターから転写されることが出来る。いくつかの実施態様において、本発明は、aprEプロモーターから目的タンパク質を発現可能な、修飾されたバチルス宿主細胞を提供する。いくつかの実施態様において、前記修飾された宿主細胞は、aprEプロモーターにより誘導されたプロテアーゼを発現可能な、修飾されたB.ズブチリス宿主細胞である。いくつかの実施態様において、aprEプロモーターは、aprEプロモーター制御因子及び/またはaprE転写リーダーを含む一方、他の実施態様において、aprEプロモーターは、aprEプロモーター制御因子及び/またはaprE転写リーダーを含まない。
aprEプロモーターに加えて、本発明はまた、宿主細胞による目的タンパク質を発現する組成物及び方法を包含する。ここで、前記プロモーターがaprE遺伝子の転写リーダー配列を含む限り、目的タンパク質をコードする遺伝子の発現は、目的遺伝子の転写を誘導することに適した任意のプロモーターにより誘導される。
別の実施態様において、バチルス宿主は、degU、degS、degR及び/またはdegQ遺伝子の少なくとも1において変異または欠失を含むバチルス種である。好ましい変異は、degU遺伝子内においてであり、さらに好ましい変異はdegU(Hy)32である(Msadek他著、J.Bacteriol.、第172巻、824−834頁、1990年、及びOlmos他著、Mol.Gen.Genet.、第253巻、562−567頁、1997年を参照されたい)。最も好ましい宿主株は、degU(Hy)32変異を運ぶバチルス・ズブチリスである。別の実施態様において、前記バチルス宿主は、scoC4(Caldwell他著、J.Bacteriol.、第183巻、7329−7340頁、2001年を参照されたい)及びspoIIE(Arigoni他著、Mol.Microbiol.、第31巻、1407−1415頁、1999年を参照されたい)内で変異または欠失を含む。いくつかの実施態様において、これらの変異は単独で起こる一方、他の実施態様において、変異の組み合わせが存在する。いくつかの実施態様において、本発明に係る修飾されたバチルスは、上述の1以上の遺伝子内での変異を既に含むバチルス宿主株から得られる。いくつかの実施態様において、増進された目的タンパク質の生成量を有する改変されたバチルス宿主が本発明に係る宿主細胞として選択される。いくつかの実施態様において、改変されたバチルス宿主細胞は、増進されたプロテアーゼの生成量を有する。
培養方法
本発明は、目的タンパク質を生成可能な修飾された細胞を培養し、目的タンパク質を発現することに適した増殖条件下で細胞を増殖することにより、ymaHを過剰発現可能な修飾されたバチルス細胞内で目的タンパク質を生成する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明に係る宿主細胞及び修飾された宿主細胞は、従来の栄養培地で培養される。温度、pH等の適した特定の培養条件は当業者に知られる。追加的な好ましい培養条件は当業者に周知であり、様々な参照文献で記述される。
いくつかの実施態様において、修飾された宿主細胞により生成される目的タンパク質は、宿主細胞の細胞内環境に局在する一方、他の実施態様において、宿主細胞により生成される目的タンパク質は、細胞外空間(すなわち、培養地)へ分泌される。従って、いくつかの実施態様において、当該技術分野で知られる方法で宿主細胞を溶解し、目的タンパク質を回収することにより、目的タンパク質を発現した細胞の細胞内環境から目的タンパク質は回収されることが出来る。他の実施態様において、修飾された宿主細胞は発現及び細胞培地からの目的タンパク質の回収に適した条件下で培養される。本発明に係るymaHを過剰発現する修飾された宿主細胞により生成される目的タンパク質は、培養地に分泌される。いくつかの実施態様において、前記細胞により生成された目的タンパク質(例えば、プロテアーゼ)は、遠心分離または濾過、塩(例えば、硫酸アンモニウム)を用いた方法による上清のタンパク質成分の沈殿または濾過、クロマトグラフィー精製(例えば、イオン交換、ゲル濾過、アフィニティー等)で前記培地から宿主細胞を分離することを含むがそれらに限られない、従来の方法により培養地から回収される。従って、本発明のプロテアーゼを回収することに適した任意の方法が本発明で使用される。しかし、本発明がいずれか特定の精製方法に限られることは意図されない。
いくつかの実施態様において、他の組み換え構造は、目的タンパク質をコードする異種または同種であるポリヌクレオチド配列と、溶解性タンパク質の精製を容易にするポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列とを結合する(Kroll DJ他著、DNA Cell Biol第12巻、441−53頁、1993年)。このような精製を容易にするドメインは、固定された金属(Porath著、Protein Expr Purif、第3巻、263−281頁、1992年)上で精製を可能にするヒスチジン−トリプトファン・モジュールのような金属キレートペプチド、固定された免疫グロブリン上で精製を可能にするタンパク質Aドメイン、及びFLAGS伸長/アフィニティー精製システムで利用されるドメイン(イムネックス社、シアトル、ワシントン州)を含むが、それらに限られない。精製ドメインと異種タンパク質との間の因子XAまたはエンテロキナーゼ(インビトロジェン、サンディエゴ、カリフォルニア州)のような開裂リンカー配列の包括も、精製を容易にするために使用される。
いくつかの実施態様において、本発明の形質転換された宿主細胞は、目的タンパク質(例えば、プロテアーゼ)の発現を許容する条件下で適した栄養培地中で培養され、その後、得られたプロテアーゼは前記培地から回収される。前記細胞の培養に使用される培地は、適切な栄養補助剤を含む最小培地または複合培地のような宿主細胞の増殖に適した任意の従来の培地を含む。適した培地は、市販供給者から入手可能であるか、(例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカテゴリー内で)公開されたレシピに従って調製されることが出来る。いくつかの実施態様において、前記宿主細胞は、バッチ、流加バッチまたは連続発酵条件下で培養される。伝統的なバッチ発酵法は閉鎖系で使用され、ここで、前記培養地は発酵の実行開始前に作られ、前記培地は所望の有機体と共に保温され、さらにいずれの化合物も培地に続けて添加されることなく発酵は起こる。所定の場合において、炭素源含有量ではなく、増殖培地のpH及び酸素含有量がバッチ法の際に変更される。バッチ系の代謝産物及び細胞バイオマスは、発酵が停止される時間に依存して常時変化する。バッチ系において、細胞は通常静的誘導期から対数高成長期を通り、最終的に成長が減少または停止する静止期まで発育する。非処理の場合、静止期の細胞は最終的に死滅する。一般に、対数期の細胞が大部分のタンパク質を生成する。
標準的バッチ系の一の変形は、「流加バッチ発酵」系である。この系において、栄養(例えば、炭素源、窒素源、O、及び通常他の栄養)は、培養内のそれらの濃度が閾値以下に低下した場合にのみ添加される。異化代謝産物抑制により細胞の代謝が抑制される傾向がある場合、及び培地における栄養量の制限が望ましい場合に、流加バッチ系は有用である。流加バッチ系における実際の栄養濃度の測定は、pH、溶解酸素及びCOのような排ガスの分圧等の測定可能な因子の変化に基づいて評価される。バッチ及び流加バッチ発酵は一般的であり、当該技術分野で周知である。
連続発酵は開放系であり、指定された発酵培地が連続的にバイオリアクターへ添加され、同時に等量の調製培地が過程において回収される。連続発酵は一般に、一定高密度での培養で維持され、細胞は主に対数成長期にある。
連続発酵は、細胞成長及び/または最終生成物濃度に影響する一因子または任意数の因子の調節を可能にする。例えば、いくつかの実施態様において、炭素源または窒素源等の制限栄養素は、定率で維持され、他の全てのパラメーターは、調製可能である。他の系において、増殖に影響する多くの因子は、連続的に変化される一方、培地濁度により測定される前記細胞の濃度は一定に保たれる。連続系は、定常状態の成長条件の維持を目指す。従って、培地の排出による細胞の損失は、発酵における細胞成長率とのバランスが保たれることが出来る。連続発酵過程に用いる栄養素及び成長因子の調節方法並びに生成物の形成率を最大にする技術は、当業者に知られ、本発明に係る方法に従った目的タンパク質(例えば、プロテアーゼ)の生成に使用される。
上述のように、宿主細胞におけるymaHの過剰発現は、対応する野生型または改変された親宿主細胞内での同様のタンパク質の生成レベルと比べ、目的タンパク質の生成レベルを増進する。本発明に係るいくつかの実施態様において、バチルス宿主細胞内でのymaHの過剰発現は、ymaHを過剰発現しない対応する細胞内で得られるレベル以上の目的タンパク質の生成を増加させる結果をもたらす。いくつかの実施態様において、本発明は、YmaHを過剰発現する野生型または組み換え(改変された)バチルス宿主細胞を提供する。いつかの実施態様において、組み換えバチルス宿主細胞は、同様の条件下で増殖した場合に、改変されていない親/前駆体バチルス細胞より高いレベルでプロテアーゼを生成するように改変された細胞である。
本発明はまた、前駆体宿主細胞で必要とされるより少ない時間でymaHを過剰発現する修飾された細胞内で目的タンパク質を生成する方法も包含する。例えば、本発明に係る修飾された宿主細胞は、対応する修飾されていない前駆体宿主細胞より高いレベル及びより早い時間で目的タンパク質を生成可能である。従って、いくつかの実施態様において、本発明は、親宿主細胞により生成されるよりも高いレベル、かつ、前駆体宿主細胞が発現の最高レベルに達するのに係る時間の約1/6で目的タンパク質(例えば、プロテアーゼ)を生成する方法を提供する。他の実施態様において、修飾された宿主は、前駆体宿主細胞が発現の最高レベルに達するために係る時間の約1/5、約1/4、約1/3、または約1/2で目的タンパク質を生成する。
生成/活性の測定
いくつかの実施態様において、本発明は、ymaHを過剰発現する修飾されたバチルス宿主を得、適した増殖条件下で修飾されたバチルス宿主を増殖し、前駆体宿主細胞と比べ増進したレベルで宿主細胞の目的タンパク質の生成を可能にさせることによりバチルス宿主細胞から目的タンパク質の発現を促進する方法を提供する。いくつかの実施態様において、修飾されたバチルス細胞は、野生型バチルス細胞から得られる。他の実施態様において、修飾されたバチルス細胞は、改変された宿主細胞から得られる。宿主細胞による目的タンパク質の生成のレベルは、生成されたタンパク質の活性の機能として決定することが出来る。いくつかの実施態様において、目的タンパク質の発現を促進させる方法は、YmaHをコードするポリヌクレオチド構築体で形質転換され、sigA及び/またはsigHプロモーターと操作可能に連結された修飾されたバチルス宿主細胞を用いる。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチド構築体は、配列番号1、2、3、及び13から選ばれる配列を含む。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチド構築体はバチルス細胞内で複製するプラスミド上に存在する一方、別の実施態様において、ポリヌクレオチド構築体は修飾されたバチルス細胞のゲノムに統合される。上述のように、修飾されたバチルス細胞は、でんぷん分解酵素、タンパク質分解酵素、細胞分解酵素、酸化還元酵素、及び植物壁分解酵素から選ばれるものを含むが、それらに限られない目的タンパク質を生成することが可能である。別の実施態様において、これらの酵素はアミラーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ラッカーゼ、フェノールオキシダーゼ、オキシダーゼ、クチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、ペルオキシダーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、フィターゼ、ペクチナーゼ、グルコシダーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼホスファターゼ、ガラクトシダーゼ及びキチナーゼを含むが、それらに限られない。別の実施態様において、目的タンパク質はホルモン、サイトカイン、成長因子、受容体、ワクチン、抗体等である。本発明がいずれか特定のタンパク質に限られることは意図されないが、いくつかの特に好ましい実施態様において、前記目的タンパク質はプロテアーゼである。
本発明に係る宿主細胞により生成された目的タンパク質の活性を検出及び測定する当業者に既知の様々な分析評価がある。特に、分析評価は、405nmでの吸光度として測定されたかまたはフォーリン法(Folin method)を用いて比色分析で測定される、カゼインまたはヘモグロビンからの酸可溶性ペプチドの放出に基づいたプロテアーゼ活性の測定に利用出来る(例えば、Bergmeyer他著、「酵素解析の方法(Methods of Enzymatic Analysis)」、第5巻、ペプチダーゼ、プロテナーゼ及びそれらの阻害剤(Peptidases,ProteinasesandtheirInhibitors)、ヴァーラグ・ケミィ(Verlag Chemie)社、ワインハイム、1984年を参照されたい)。いくつかの他の分析評価は、色原体基質の可溶化を伴う(例えば、Fogarty編集、微生物酵素及びバイオテクノロジー(MicrobialEnzymesandBiotechnology)内のWard著、「プロテナーゼ(Proteinases)」、アプライド・サイエンス社、ロンドン、1983年、251−317頁)。他の模範的な分析評価は、スクシニル−Ala−Ala−Pro−Phe−パラ・ニトロアニリド試験(SAAPFpNA)及び2,4,6−トリニトロベンゼン・スルホン酸ナトリウム塩試験(TNBS試験)を含むが、それらに限られない。当業者に知られる多数の追加的な文献が適した方法を提供する(例えば、Wells他著、Nucleic Acids Res.、第11巻、7911−7925頁、1983年、Christianson他著、Anal.Biochem.、第223巻、119−129頁、1994年、及びHsia他著、Anal Biochem.、第242巻、221−227頁、1999年)。本発明がいずれかの特定の分析評価法に限られることは意図されない。
他の宿主細胞内での目的タンパク質の生成レベルの決定方法及び発現されたタンパク質の検出方法は、前記タンパク質に特異的なポリクローナルまたはモノクローナル抗体のいずれかを用いた免疫測定の使用を含む。例は、酵素免疫測定法(ELISA)、放射性免疫分析(RIA)、蛍光免疫分析(FIA)、及び蛍光活性化細胞分類(FACS)を含む。しかしながら、他の方法が当業者に知られ、目的タンパク質の評価に使用される(例えば、Hampton他著、血清学的方法、ラボラトリー・マニュアル(Serological Methods,A Laboratory Manual)、APS出版、セントポール、ミネソタ州、1990年、及びMaddox他著、J.Exp.Med.、第158巻、1211頁、1983年)。いくつかの好ましい実施態様において、対応する野生型または改変された宿主よりも、本発明の宿主細胞における目的タンパク質の生成はより高い。当該技術分野で知られるように、本発明を用いて生成されたバチルス細胞は維持され、発現及び細胞培地からの目的ポリペプチドの回収に適した条件下で増殖される。本発明がいずれか特定の分析評価方法に限られることは意図されない。
野生型または改変された親宿主細胞による同様のプロテアーゼの生成レベルを超える本発明に係る修飾された宿主細胞によるプロテアーゼの生成レベルの増進の一の測定値は、活動比率として検出されることが出来る。活動比率は、ymaHを過剰発現する宿主細胞により生成される目的タンパク質の酵素活性と、ymaHを過剰発現しない対応する宿主細胞により生成される目的タンパク質の酵素活性との比率として表されることが出来る。1と等しいか、または1より大きい比率は、YmaHを過剰発現する宿主細胞により生成された目的タンパク質が、ymaHを過剰発現しない対応する宿主細胞により生成された同様の目的タンパク質のレベルと同等またはそれ以上のレベルで生成されることを示す。例えば、1.5の活動比率は、同様の条件下で増殖させた場合に、ymaHを過剰発現する宿主細胞により生成された目的タンパク質が、ymaHを過剰発現しない対応する宿主細胞により生成された同様の目的タンパク質のレベルの1.5倍のレベルで生成されることを示す(すなわち、ymaHを過剰発現する宿主細胞が、ymaHを過剰発現しない対応する宿主細胞よりも50%多く目的タンパク質を生成する)。いくつかの実施態様において、前記活動比率は、少なくとも1、少なくとも約1.05、少なくとも約1.1、少なくとも約1.2、少なくとも約1.3、少なくとも約1.4、少なくとも約1.5、少なくとも約1.6、少なくとも約1.7、少なくとも約1.8、少なくとも約1.9、または少なくとも約2である。他の実施態様において、前記活動比率は、少なくとも2.1、少なくとも約2.2、少なくとも約2.3、少なくとも約2.4、少なくとも約2.5、少なくとも約2.6、少なくとも約2.7、少なくとも約2.8、少なくとも約2.9、または少なくとも約3である。さらに別の実施態様において、前記活動比率は、少なくとも約3.5、少なくとも約4.0、または少なくとも約5である。いくつかの実施態様において、1以上の比率が望まれる。
あるいは、本発明に係る修飾された宿主細胞によるプロテアーゼの生成レベルは、親宿主細胞の生成レベルを超えるパーセンテージの増加として関連されることが出来る。本発明の方法において、修飾されたバチルス細胞は、野生型または改変された親宿主に対して、好ましくは少なくとも約25%多く、より好ましくは少なくとも約50%多く、より好ましくは少なくとも約75%多く、より好ましくは少なくとも約100%多く、さらにより好ましくは少なくとも約200%多く、最も好ましくは少なくとも約300%多く、またさらにもっとも好ましくは少なくとも約400%多くのポリペプチドを生成する。従って、いくつかの実施態様において、ymaHを過剰発現する宿主細胞による目的タンパク質の生成は、ymaHを過剰発現しない宿主細胞による同様の目的タンパク質の生成と比べ、少なくとも約0.5%、約1.0%、約1.5%、約2.0%、約2.5%、約3.0%、約4.0%、約5.0%、約8.0%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%またはそれ以上で促進される。他の実施態様において、ymaHを過剰発現する宿主細胞による目的タンパク質の生成は、ymaHを過剰発現しない宿主細胞による同様の目的タンパク質の生成と比べ、少なくとも約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、少なくとも約200%以下またはそれ以上で促進される。
本発明及びそれらの利点をさらに説明するために以下の具体的な実施例が、本発明を説明するためにそれらは提供されるという理解と共に与えられ、如何なる場合においても本発明の範囲を限定するものとして意図されるべきではない。
実験
以下の実施例は、本発明の所定の好ましい実施態様及び側面を実証及びさらに例証するために提供され、それらの範囲を限定するように解釈されない。
以下の実験の開示において、下記の略語が適用される。ppm(百万分の一)、M(モル)、mM(ミリモル)、μM(マイクロモル)、nM(ナノモル)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、μmol(マイクロモル)、nmol(ナノモル)、gm(グラム)、mg(ミリグラム)、μg(マイクログラム)、pg(ピコグラム)、L(リットル)、ml及びmL(ミリリットル)、μl及びμL(マイクロリットル)、cm(センチメーター)、mm(ミリメートル)、μm(マイクロメータ)、nm(ナノメートル)、U(単位)、V(ボルト)、MW(分子量)、sec(秒)、min(分)、h及びhr(時間)、℃(摂氏温度)、QS(適切量)、ND(データなし)、NA(不適用)、rpm(毎分回転数)、HO(水)、dHO(脱イオン水)、HCl(塩酸)、aa(アミノ酸)、bp(塩基対)、kb(キロ塩基対)、kD(キロダルトン)、cDNA(コピーまたは相補DNA)、DNA(デオキシリボ核酸)、ssDNA(単鎖DNA)、dsDNA(二本鎖DNA)、dNTP(デオキシリボヌクレオチド三リン酸)、RNA(リボ核酸)、MgCl(塩化マグネシウム)、NaCl(塩化ナトリウム)、Cm(クロラムフェニコール)、w/v(重量対体積)、v/v(体積対体積)、g(重力)、OD(吸光度)、ダルベッコのリン酸緩衝溶液(DPBS)、OD280(280nmでの光学密度)、OD600(600nmでの光学密度)、A405(405nmでの吸光度)、PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)、PBS(リン酸緩衝生理食塩水、150mM NaCl、10mMリン酸ナトリウムバッファ、pH7.2)、PBST(PBS+0.25%TWEEN(登録商標)−20)、PEG(ポリエチレン・グリコール)、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、Tris(トリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、HEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N−2−エタンスルホニック酸)、HBS(HEPES緩衝食塩水)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム溶液)、bME、BME及びβME(βメルカプトエタノールまたは2−メルカプトエタノール)、Tris−HCl(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸)、Tricine(N−[トリス−(ハイドロキシメチル)−メチル]−グリシン)、DMSO(ジメチル・スルホキシド)、Taq(サームス・アクアチカスDNAポリメラーゼ)、Klenow(DNAポリメラーゼIラージ(クレノウ)断片)、EGTA(エチレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)N,N,N’,N’−四酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、bla(β−ラクタマーゼまたはアンピリシン耐性遺伝子)、DNA2.0(DNA2.0、メンロパーク、カルフォルニア州)、オキソイド(オキソイド社、ベージングストーク、ハンプシャー州、イギリス)、コーニング(コーニング・ライフ・サイエンス社、コーニング、ニューヨーク州)、ATCC(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、ロックビル、メリーランド州)、シークエテック(シークエテック社、マウンテンビュウ、カルフォルニア州)、ギブコ/BRL(ギブコ/BRL社、グランド・アイランド、ニューヨーク州)、シグマ(シグマ・ケミカル社、セントルイス、ミズーリ州)、ファーマシア(ファーマシア・バイオテック社、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)、NCBI(全米バイオテクノロジー情報センター)、アプライド・バイオシステムズ(アプライド・バイオシステムズ社、フォスター・シティ、カルフォルニア州)、クロンテック(クロンテック・ラボラトリーズ社、パロ・アルト、カルフォルニア州)、オペロン・テクノロジーズ(オペロン・テクノロジーズ社、アラメダ、カルフォルニア州)、バッケム(バッケム・バイオサイエンス、キング・オブ・プロシア、ペンシルベニア州)、ジフコ(ジフコ・ラボラトリーズ社、デトロイト、ミシガン州)、ギブコBRL(ライフ・テクノロジーズ社、ゲイサーズバーグ、メリーランド州)、ミリポア(ミリポア、ビレリカ、マサチューセッツ州)、バイオ−ラッド(バイオ−ラッド、ハーキュリーズ、カルフォルニア州)、インビトロジェン(インビトロジェン社、サンディエゴ、カリフォルニア州)、NEB(ニューイングランド・バイオラボズ社、ベバリー、マサチューセッツ州)、ピアス(ピアス・バイオテクノロジー社、ロックフォード、イリノイ州)、タカラ(タカラバイオ社、大津、日本)、ロシュ(ホフマン・ラ・ロシュ、バーゼル、スイス)、EMサイエンス(EMサイエンス、ギブスタウン、ニュージャージー州)、キアゲン(キアゲン社、ヴァレンシア、カルフォルニア州)、モレキュラー・デバイシス(モレキュラー・デバイシス社、サニーベール、カリフォルニア州)、R&Dシステムズ(R&Dシステムズ、ミネアポリス、ミネソタ州)、ストラタジェン(ストラタジェン・クローニング・システムズ社、ラ・ホーヤ、カリフォルニア州)、及びマイクロソフト(マイクロソフト社、レドモント、ワシントン州)。
実施例1
SigA及びSigHポリヌクレオチド構築体の作成
ポリヌクレオチド構築体SigH、SigA1及びSigA2を、B.ズブチリスの宿主細胞内でymaHを過剰発現させるために作成した。
PCRプライマーをバチルス・ズブチリスゲノム(図1A)と相同するように、また、プライマーの5’末端から6塩基対に位置する6塩基対制限酵素部位を含むように設計した。プライマーを、構築体の上流及び下流末端に固有の制限部位を配置するように設計した。ゲノム配列の主要源(Kunst他著、Nature、第390巻、249−256頁、1997年)、遺伝子位置、及び終始コドン情報は、NCBIデータベース、完成されたバチルス・ズブチリス亜種ズブチリス株168、または当業者に知られるズブチリスト(SubtiList)・ワールド・ワイド・ウェブ・サーバー(Moser,I著、1998年、FEBS Lett.、第430(1−2)巻、28−36頁)から得た。考慮された配列は、NCBIデータベース、ACC番号NC000964内の1865428−18670191との組み合わせで配列番号13に報告される。
SigH構築体(配列番号1)を、シグマHプロモーター及びYmaHタンパク質をコードする隣接配列を包含するポリヌクレオチド配列を含むように作成した。シグマHプロモーターは天然において、miaA遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列の3’末端の近くかつymaH遺伝子の直ぐ上流に位置する。全体のシグマHプロモーター及び隣接ymaHコーディング配列を、5’末端で付加されたEcoRI制御部位を伴うフォワードプライマーP1:GGCACCGAATTCGACGTGGTTTCGCAACAAAATGCAG(配列番号5、配列番号13の位置987から1011)、及び付加されたBamHI制限部位(図1B)を伴うリバースプライマーP2:GGCACCGGATCCCTCATAAAAAAAGACCGTGCCTTGG(配列番号6、配列番号13の位置1472から1496)を用いたPCRにより増幅した。
SigA1及びSigA2構築体を、次の3つの工程で作成した。すなわち、1)B.ズブチリス染色体DNAの個々の断片を増殖する工程、2)断片を精製及び凝集する工程、及び3)凝集した生成物をPCRで増幅する工程である。
SigA1構築体(配列番号2)は、2つのプライマーのセット(図1C)を用いて作成した。第1のプライマーのセットは、配列番号13の5’末端に位置するフォワードプライマーP3:GCGCCGAATTCTCATACCCTGAAAGGAAAGACAAGG(配列番号7)、及び配列番号13上のbp153からbp177に位置するリバースプライマーP4:TTCGAGTTTTCCTGCTATATGTGTGGGGCTGCTTCGTATTATTCAATATG(配列番号8)を、SigAプロモーター、リボソーム結合部位、開始コドン及びmiaA遺伝子の初めの数個のコドンを含む第1の断片を増幅させるために用いた。第2のプライマーのセットは、配列番号13のbp1071からbp1095に位置するフォワードプライマーP5:CATATTGAATAATACGAAGCAGCCCCACACATATAGCAGGAAAACTCGAA(配列番号9)及びリバースプライマーP2(配列番号6)を、YmaHタンパク質をコードするDNA配列を含む第2の断片を増幅させるために用いた。リバースプライマーP4及びフォワードプライマーP5は、互いに相補するが、miaAコーディング配列を干渉することを防ぐために、増幅される配列と相同でない尾部(tails)を含むように設計された融合プライマーである。2つの断片はアニーリングされ、得られたSigA1構築体はSigAプロモーター、リボソーム結合部位及びmiaA遺伝子の転写開始部位を含有した。SigA1構築体を、各々EcoRI及びBamHI制限部位を含む、フォワードプライマーP3(配列番号7)及びリバースプライマーP2(配列番号6)を用いて増幅し、複製プラスミドpBS19のポリリンカー内へライゲートした。pBS19のポリヌクレオチド配列を下記(配列番号12)に示す。pBS19プラスミドは、大腸菌及びB.ズブチリス内で複製することができ、クロラムフェニコール耐性選択マーカー遺伝子を運ぶ。
GAATTCGAGCTCGGTACCCGGGGATCCTCTAGAGTCGACCTGCAGGCATGCAAGCTTGGCGATCCTGCCTCGCGCGTTTCGGTGATGACGGTGAAAACCTCTGACACATGCAGCTCCCGGAGACGGTCACAGCTTGTCTGTAAGCGGATGCCGGGAGCAGACAAGCCCGTCAGGGCGCGTCAGCGGGTGTTGGCGGGTGTCGGGGCGCAGCCATGACCCAGTCACGTAGCGATAGCGGAGTGTATACTGGCTTAACTATGCGGCATCAGAGCAGATTGTACTGAGAGTGCACCATATGCGGTGTGAAATACCGCACAGATGCGTAAGGAGAAAATACCGCATCAGGCGCTCTTCCGCTTCCTCGCTCACTGACTCGCTGCGCTCGGTCGTTCGGCTGCGGCGAGCGGTATCAGCTCACTCAAAGGCGGTAATACGGTTATCCACAGAATCAGGGGATAACGCAGGAAAGAACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCCAGGAACCGTAAAAAGGCCGCGTTGCTGGCGTTTTTCCATAGGCTCCGCCCCCCTGACGAGCATCACAAAAATCGACGCTCAAGTCAGAGGTGGCGAAACCCGACAGGACTATAAAGATACCAGGCGTTTCCCCCTGGAAGCTCCCTCGTGCGCTCTCCTGTTCCGACCCTGCCGCTTACCGGATACCTGTCCGCCTTTCTCCCTTCGGGAAGCGTGGCGCTTTCTCATAGCTCACGCTGTAGGTATCTCAGTTCGGTGTAGGTCGTTCGCTCCAAGCTGGGCTGTGTGCACGAACCCCCCGTTCAGCCCGACCGCTGCGCCTTATCCGGTAACTATCGTCTTGAGTCCAACCCGGTAAGACACGACTTATCGCCACTGGCAGCAGCCACTGGTAACAGGATTAGCAGAGCGAGGTATGTAGGCGGTGCTACAGAGTTCTTGAAGTGGTGGCCTAACTACGGCTACACTAGAAGGACAGTATTTGGTATCTGCGCTCTGCTGAAGCCAGTTACCTTCGGAAAAAGAGTTGGTAGCTCTTGATCCGGCAAACAAACCACCGCTGGTAGCGGTGGTTTTTTTGTTTGCAAGCAGCAGATTACGCGCAGAAAAAAAGGATCTCAAGAAGATCCTTTGATCTTTTCTACGGGGTCTGACGCTCAGTGGAACGAAAACTCACGTTAAGGGATTTTGGTCATGAGATTATCAAAAAGGATCTGGAGCTGTAATATAAAAACCTTCTTCAACTAACGGGGCAGGTTAGTGACATTAGAAAACCGACTGTAAAAAGTACAGTCGGCATTATCTCATATTATAAAAGCCAGTCATTAGGCCTATCTGACAATTCCTGAATAGAGTTCATAAACAATCCTGCATGATAACCATCACAAACAGAATGATGTACCTGTAAAGATAGCGGTAAATATATTGAATTACCTTTATTAATGAATTTTCCTGCTGTAATAATGGGTAGAAGGTAATTACTATTATTATTGATATTTAAGTTAAACCCAGTAAATGAAGTCCATGGAATAATAGAAAGAGAAAAAGCATTTTCAGGTATAGGTGTTTTGGGAAACAATTTCCCCGAACCATTATATTTCTCTACATCAGAAAGGTATAAATCATAAAACTCTTTGAAGTCATTCTTTACAGGAGTCCAAATACCAGAGAATGTTTTAGATACACCATCAAAAATTGTATAAAGTGGCTCTAACTTATCCCAATAACCTAACTCTCCGTCGCTATTGTAACCAGTTCTAAAAGCTGTATTTGAGTTTATCACCCTTGTCACTAAGAAAATAAATGCAGGGTAAAATTTATATCCTTCTTGTTTTATGTTTCGGTATAAAACACTAATATCAATTTCTGTGGTTATACTAAAAGTCGTTTGTTGGTTCAAATAATGATTAAATATCTCTTTTCTCTTCCAATTGTCTAAATCAATTTTATTAAAGTTCATTTGATATGCCTCCTAAATTTTTATCTAAAGTGAATTTAGGAGGCTTACTTGTCTGCTTTCTTCATTAGAATCAATCCTTTTTTAAAAGTCAATATTACTGTAACATAAATATATATTTTAAAAATATCCCACTTTATCCAATTTTCGTTTGTTGAACTAATGGGTGCTTTAGTTGAAGAATAAAAGACCACATTAAAAAATGTGGTCTTTTGTGTTTTTTTAAAGGATTTGAGCGTAGCGAAAAATCCTTTTCTTTCTTATCTTGATAATAAGGGTAACTATTGCCGGTTGTCCATTCATGGCTGAACTCTGCTTCCTCTGTTGACATGACACACATCATCTCAATATCCGAATAGGGCCCATCAGTCTGACGACCAAGAGAGCCATAAACACCAATAGCCTTAACATCATCCCCATATTTATCCAATATTCGTTCCTTAATTTCATGAACAATCTTCATTCTTTCTTCTCTAGTCATTATTATTGGTCCATTCACTATTCTCATTCCCTTTTCAGATAATTTTAGATTTGCTTTTCTAAATAAGAATATTTGGAGAGCACCGTTCTTATTCAGCTATTAATAACTCGTCTTCCTAAGCATCCTTCAATCCTTTTAATAACAATTATAGCATCTAATCTTCAACAAACTGGCCCGTTTGTTGAACTACTCTTTAATAAAATAATTTTTCCGTTCCCAATTCCACATTGCAATAATAGAAAATCCATCTTCATCGGCTTTTTCGTCATCATCTGTATGAATCAAATCGCCTTCTTCTGTGTCATCAAGGTTTAATTTTTTATGTATTTCTTTTAACAAACCACCATAGGAGATTAACCTTTTACGGTGTAAACCTTCCTCCAAATCAGACAAACGTTTCAAATTCTTTTCTTCATCATCGGTCATAAAATCCGTATCCTTTACAGGATATTTTGCAGTTTCGTCAATTGCCGATTGTATATCCGATTTATATTTATTTTTCGGTCGAATCATTTGAACTTTTACATTTGGATCATAGTCTAATTTCATTGCCTTTTTCCAAAATTGAATCCATTGTTTTTGATTCACGTAGTTTTCTGTATTCTTAAAATAAGTTGGTTCCACACATACCAATACATGCATGTGCTGATTATAAGAATTATCTTTATTATTTATTGTCACTTCCGTTGCACGCATAAAACCAACAAGATTTTTATTAATTTTTTTATATTGCATCATTCGGCGAAATCCTTGAGCCATATCTGACAAACTCTTATTTAATTCTTCGCCATCATAAACATTTTTAACTGTTAATGTGAGAAACAACCAACGAACTGTTGGCTTTTGTTTAATAACTTCAGCAACAACCTTTTGTGACTGAATGCCATGTTTCATTGCTCTCCTCCAGTTGCACATTGGACAAAGCCTGGATTTACAAAACCACACTCGATACAACTTTCTTTCGCCTGTTTCACGATTTTGTTTATACTCTAATATTTCAGCACAATCTTTTACTCTTTCAGCCTTTTTAAATTCAAGAATATGCAGAAGTTCAAAGTAATCAACATTAGCGATTTTCTTTTCTCTCCATGGTCTCACTTTTCCACTTTTTGTCTTGTCCACTAAAACCCTTGATTTTTCATCTGAATAAATGCTACTATTAGGACACATAATATTAAAAGAAACCCCCATCTATTTAGTTATTTGTTTAGTCACTTATAACTTTAACAGATGGGGTTTTTCTGTGCAACCAATTTTAAGGGTTTTCAATACTTTAAAACACATACATACCAACACTTCAACGCACCTTTCAGCAACTAAAATAAAAATGACGTTATTTCTATATGTATCAAGATAAGAAAGAACAAGTTCAAAACCATCAAAAAAAGACACCTTTTCAGGTGCTTTTTTTATTTTATAAACTCATTCCCTGATCTCGACTTCGTTCTTTTTTTACCTCTCGGTTATGAGTTAGTTCAAATTCGTTCTTTTTAGGTTCTAAATCGTGTTTTTCTTGGAATTGTGCTGTTTTATCCTTTACCTTGTCTACAAACCCCTTAAAAACGTTTTTAAAGGCTTTTAAGCCGTCTGTACGTTCCTTAAG(配列番号12)
SigA2構築体(配列番号3)を、以下のプライマー(図1D)を用いてSigA1構築体の構築のために記載される方法に従って作成した。SigAプロモーターを含む第1の断片を、フォワードプライマーP3(配列番号7)及び配列番号13上のbp125からbp149に位置するリバース融合プライマーP7:CATACAGTTTCGATTAAAGTTCGAGCACTCTCTTTTATAAATCTCCCCCA(配列番号11)を用いて増幅した。前記YmaHタンパク質をコードするDNA配列を含む第2の断片を、配列番号13上のbp1090からbp1114に位置するフォワード融合プライマーP6:TGGGGGAGATTTATAAAAGAGAGTGCTCGAACTTTAATCGAAACTGTATG(配列番号10)及びリバースプライマーP2(配列番号6)を用いて増幅した。2つの断片をアニーリングし、得られたSigA2構築体は、SigAプロモーター、リボソーム結合部位及びymaH遺伝子の転写開始部位を含有した。
本発明は、SigAプロモーター、MiaAタンパク質をコードする領域、SigH YmaHプロモーター及びYmaHタンパク質をコードする領域を含むバチルス染色体DNAのmiaA ymaH領域を増幅することで作成される、第4のSigA構築体(SigA3、配列番号13、図1E)も包含する。
SigA3構築体を、フォワードプライマー:GCGCGCGAATTCAGGGAAATTGTCGGCAATGAGCCGCTCGGC(配列番号18)及びリバースプライマーGCGCGCCATGGCTGATTCGTCTCAGTTCTGCTTCACTTTCA(配列番号19)を用いて作成した。配列番号13は、前記断片の5’末端にEcoRI制限部位を置く一方、配列番号19は、他方の末端にNcoI部位を置く。これにより、下記で示される配列番号20として報告されるpBN3ベクター内での前記断片のクローン化が可能となる。
GACGTCTAAGAAACCATTATTATCATGACATTAACCTATAAAAATAGGCGTATCACGAGGCCCTTTCGTCTTCAAGAATTAATTCTCATGTTTGACAGCTTATCATCGATAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAGGATCCCCGGGTACCGAGCTCGAATTCCTTAAGGAACGTACAGACGGCTTAAAAGCCTTTAAAAACGTTTTTAAGGGGTTTGTAGACAAGGTAAAGGATAAAACAGCACAATTCCAAGAAAAACACGATTTAGAACCTAAAAAGAACGAATTTGAACTAACTCATAACCGAGAGGTAAAAAAAGAACGAAGTCGAGATCAGGGAATGAGTTTATAAAATAAAAAAAGCACCTGAAAAGGTGTCTTTTTTTGATGGTTTTGAACTTGTTCTTTCTTATCTTGATACATATAGAAATAACGTCATTTTTATTTTAGTTGCTGAAAGGTGCGTTGAAGTGTTGGTATGTATGTGTTTTAAAGTATTGAAAACCCTTAAAATTGGTTGCACAGAAAAACCCCATCTGTTAAAGTTATAAGTGACTAAACAAATAACTAAATAGATGGGGGTTTCTTTTAATATTATGTGTCCTAATAGTAGCATTTATTCAGATGAAAAATCAAGGGTTTTAGTGGACAAGACAAAAAGTGGAAAAGTGAGACCATGGAGAGAAAAGAAAATCGCTAATGTTGATTACTTTGAACTTCTGCATATTCTTGAATTTAAAAAGGCTGAAAGAGTAAAAGATTGTGCTGAAATATTAGAGTATAAACAAAATCGTGAAACAGGCGAAAGAAAGTTGTATCGAGTGTGGTTTTGTAAATCCAGGCTTTGTCCAATGTGCAACTGGAGGAGAGCAATGAAACATGGCATTCAGTCACAAAAGGTTGTTGCTGAAGTTATTAAACAAAAGCCAACAGTTCGTTGGTTGTTTCTCACATTAACAGTTAAAAATGTTTATGATGGCGAAGAATTAAATAAGAGTTTGTCAGATATGGCTCAAGGATTTCGCCGAATGATGCAATATAAAAAAATTAATAAAAATCTTGTTGGTTTTATGCGTGCAACGGAAGTGACAATAAATAATAAAGATAATTCTTATAATCAGCACATGCATGTATTGGTATGTGTGGAACCAACTTATTTTAAGAATACAGAAAACTACGTGAATCAAAAACAATGGATTCAATTTTGGAAAAAGGCAATGAAATTAGACTATGATCCAAATGTAAAAGTTCAAATGATTCGACCGAAAAATAAATATAAATCGGATATACAATCGGCAATTGACGAAACTGCAAAATATCCTGTAAAGGATACGGATTTTATGACCGATGATGAAGAAAAGAATTTGAAACGTTTGTCTGATTTGGAGGAAGGTTTACACCGTAAAAGGTTAATCTCCTATGGTGGTTTGTTAAAAGAAATACATAAAAAATTAAACCTTGATGACACAGAAGAAGGCGATTTGATTCATACAGATGATGACGAAAAAGCCGATGAAGATGGATTTTCTATTATTGCAATGTGGAATTGGGAACGGAAAAATTATTTTATTAAAGAGTAGTTCAACAAACGGGCCAGTTTGTTGAAGATTAGATGCTATAATTGTTATTAAAAGGATTGAAGGATGCTTAGGAAGACGAGTTATTAATAGCTGAATAAGAACGGTGCTCTCCAAATATTCTTATTTAGAAAAGCAAATCTAAAATTATCTGAAAAGGGAATGAGAATAGTGAATGGACCAATAATAATGACTAGAGAAGAAAGAATGAAGATTGTTCATGAAATTAAGGAACGAATATTGGATAAATATGGGGATGATGTTAAGGCTATTGGTGTTTATGGCTCTCTTGGTCGTCAGACTGATGGGCCCTATTCGGATATTGAGATGATGTGTGTCATGTCAACAGAGGAAGCAGAGTTCAGCCATGAATGGACAACCGGTGAGTGGAAGGTGGAAGTGAATTTTGATAGCGAAGAGATTCTACTAGATTATGCATCTCAGGTGGAATCAGATTGGCCGCTTACACATGGTCAATTTTTCTCTATTTTGCCGATTTATGATTCAGGTGGATACTTAGAGAAAGTGTATCAAACTGCTAAATCGGTAGAAGCCCAAACGTTCCACGATGCGATTTGTGCCCTTATCGTAGAAGAGCTGTTTGAATATGCAGGCAAATGGCGTAATATTCGTGTGCAAGGACCGACAACATTTCTACCATCCTTGACTGTACAGGTAGCAATGGCAGGTGCCATGTTGATTGGTCTGCATCATCGCATCTGTTATACGACGAGCGCTTCGGTCTTAACTGAAGCAGTTAAGCAATCAGATCTTCCTTCAGGTTATGACCATCTGTGCCAGTTCGTAATGTCTGGTCAACTTTCCGACTCTGAGAAACTTCTGGAATCGCTAGAGAATTTCTGGAATGGGATTCAGGAGTGGACAGAACGACACGGATATATAGTGGATGTGTCAAAACGCATACCATTTTGAACGATGACCTCTAATAATTGTTAATCATGTTGGTTACCTGCCTCGCGCGTTTCGGTGATGACGGTGAAAACCTCTGACACATGCAGCTCCCGGAGACGGTCACAGCTTGTCTGTAAGCGGATGCCGGGAGCAGACAAGCCCGTCAGGGCGCGTCAGCGGGTGTTGGCGGGTGTCGGGGCGCAGCCATGACCCAGTCACGTAGCGATAGCGGAGTGTATACTGGCTTAACTATGCGGCATCAGAGCAGATTGTACTGAGAGTGCACCATATGCGGTGTGAAATACCGCACAGATGCGTAAGGAGAAAATACCGCATCAGGCGCTCTTCCGCTTCCTCGCTCACTGACTCGCTGCGCTCGGTCGTTCGGCTGCGGCGAGCGGTATCAGCTCACTCAAAGGCGGTAATACGGTTATCCACAGAATCAGGGGATAACGCAGGAAAGAACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCCAGGAACCGTAAAAAGGCCGCGTTGCTGGCGTTTTTCCATAGGCTCCGCCCCCCTGACGAGCATCACAAAAATCGACGCTCAAGTCAGAGGTGGCGAAACCCGACAGGACTATAAAGATACCAGGCGTTTCCCCCTGGAAGCTCCCTCGTGCGCTCTCCTGTTCCGACCCTGCCGCTTACCGGATACCTGTCCGCCTTTCTCCCTTCGGGAAGCGTGGCGCTTTCTCATAGCTCACGCTGTAGGTATCTCAGTTCGGTGTAGGTCGTTCGCTCCAAGCTGGGCTGTGTGCACGAACCCCCCGTTCAGCCCGACCGCTGCGCCTTATCCGGTAACTATCGTCTTGAGTCCAACCCGGTAAGACACGACTTATCGCCACTGGCAGCAGCCACTGGTAACAGGATTAGCAGAGCGAGGTATGTAGGCGGTGCTACAGAGTTCTTGAAGTGGTGGCCTAACTACGGCTACACTAGAAGGACAGTATTTGGTATCTGCGCTCTGCTGAAGCCAGTTACCTTCGGAAAAAGAGTTGGTAGCTCTTGATCCGGCAAACAAACCACCGCTGGTAGCGGTGGTTTTTTTGTTTGCAAGCAGCAGATTACGCGCAGAAAAAAAGGATCTCAAGAAGATCCTTTGATCTTTTCTACGGGGTCTGACGCTCAGTGGAACGAAAACTCACGTTAAGGGATTTTGGTCATGAGATTATCAAAAAGGATCTTCACCTAGATCCTTTTAAATTAAAAATGAAGTTTTAAATCAATCTAAAGTATATATGAGTAAACTTGGTCTGACAGTTACCAATGCTTAATCAGTGAGGCACCTATCTCAGCGATCTGTCTATTTCGTTCATCCATAGTTGCCTGACTCCCCGTCGTGTAGATAACTACGATACGGGAGGGCTTACCATCTGGCCCCAGTGCTGCAATGATACCGCGAGACCCACGCTCACCGGCTCCAGATTTATCAGCAATAAACCAGCCAGCCGGAAGGGCCGAGCGCAGAAGTGGTCCTGCAACTTTATCCGCCTCCATCCAGTCTATTAATTGTTGCCGGGAAGCTAGAGTAAGTAGTTCGCCAGTTAATAGTTTGCGCAACGTTGTTGCCATTGCTACAGGCATCGTGGTGTCACGCTCGTCGTTTGGTATGGCTTCATTCAGCTCCGGTTCCCAACGATCAAGGCGAGTTACATGATCCCCCATGTTGTGCAAAAAAGCGGTTAGCTCCTTCGGTCCTCCGATCGTTGTCAGAAGTAAGTTGGCCGCAGTGTTATCACTCATGGTTATGGCAGCACTGCATAATTCTCTTACTGTCATGCCATCCGTAAGATGCTTTTCTGTGACTGGTGAGTACTCAACCAAGTCATTCTGAGAATAGTGTATGCGGCGACCGAGTTGCTCTTGCCCGGCGTCAATACGGGATAATACCGCGCCACATAGCAGAACTTTAAAAGTGCTCATCATTGGAAAACGTTCTTCGGGGCGAAAACTCTCAAGGATCTTACCGCTGTTGAGATCCAGTTCGATGTAACCCACTCGTGCACCCAACTGATCTTCAGCATCTTTTACTTTCACCAGCGTTTCTGGGTGAGCAAAAACAGGAAGGCAAAATGCCGCAAAAAAGGGAATAAGGGCGACACGGAAATGTTGAATACTCATACTCTTCCTTTTTCAATATTATTGAAGCATTTATCAGGGTTATTGTCTCATGAGCGGATACATATTTGAATGTATTTAGAAAAATAAACAAATAGGGGTTCCGCGCACATTTCCCCGAAAAGTGCCACCT(配列番号20)

全てのPCR反応を、1−2ulのDNAまたはコロニー再懸濁液、5μlの10XPfuウルトラ・バッファー(ストラタジェン)、1uLの10mM dNTPブレンド(ロシュ)、0.5uLの0.2uMプライマー、1μlのPfuウルトラ・ハイ・フィデリティ・ポリメラーゼを含み、水で全容積を50μに調節した50μl容積量で実施した。PCR条件は、95℃2分間、95℃30秒間を30サイクル、62℃30分間、72℃1分間、次に72℃10分間を1サイクルであった。
得られたPCR断片を、キアゲン・ゲル・ピュアリフィケーション・キットを用いて使用方法に基づき、ゲル精製した。
融合構築体を、精製されたPCR断片の0.25ulのアリコートと混合し、アニーリングすることで得、プライマーP3及びP2を用いた上記作成方法に従って新しいPCR混合物に加えた。PCR混合物の全容積は50μlであった。PCR条件は上述の通りであり、プライマーのTmに従って、アニーリング温度を調整した。
所望のSigH、SigA1、及びSigA2構築体をEcoRI及びBamHIで消化したpBS19プラスミドにライゲートし、実施例2で記載するような宿主細胞の形質転換に使用したSigA及びSigH発現ベクターを作成した。
形質転換混合物をLB+1.6%スキムミルク+5ug/ml cmpプレート上にプレートした。翌日、輪状のコロニーを採取し、単一コロニー毎にプレートした。コロニー精製を2度行った。5個の個々のクローンをaprEプロモーター領域のシークエンスにより解析した。それら全てのクローンは、aprEプロモーターの−35領域でコンセンサス配列を有していた。
実施例2
宿主細胞形質転換及びaprEプロテアーゼの発現
SigAまたはSigH構築体を含む5マイクロリットルのライゲーション混合物を、エレクトロポレーションによる大腸菌トップ10細胞(インビトロジェン)の形質転換に用いた。形質転換された細胞を、5ppm/mlクロラムフェニコール(Cm)を含むLB寒天プレート上にプレートした。また、コロニーを37℃で一晩増殖させた。個々のコロニーを採取し、5mlのLB+5ppm/ml Cmを含むチューブに移した。培養地を37℃で一晩、250rpmで振盪させながら増殖させた。プラスミドDNAを、大腸菌培地から調製し、プラスミドDNAの調製物の一部をシークエンスした(シークエテック)。自動化シークエンス解析を、フレップ(Phrep)、フラップ(Phrap)、コンセド(Consed)、クスタルW(Custal W)ソフトウェアを用いて行った。
3個の発現ベクターの各々から正しい構築体を有する前記プラスミドを、B.ズブチリス宿主細胞の形質転換に用いた。SigH(配列番号1)及びSigA1(配列番号2)及びSigA2(配列番号3)構築体を含む発現ベクターを、pBS19 ymaH−H及びpBS19 ymaH−A1及びpBS19 ymaH−A2と名づけ、以下のようにB.ズブチリス株BG2941及びBG2942内に形質転換した。前記適切な構築体を運ぶ、2マイクロリットルのプラスミドDNAを100μlのB.ズブチリス細胞BG2941(ΔnprE、amyE::PxylRA−comK−phleoR)及びBG2942(ΔnprE、degU(Hy)32、amyE::PxylRA−comK−phleoR)の形質転換に用いた。SigH構築体を運ぶBG2941及びBG2942形質転換体をそれぞれ、41SigH及び42SigHと名づけ、SigA1構築体を運ぶBG2941及びBG2942形質転換体をそれぞれ、41SigA1及び42SigA1と名づけた。いくつかのBG2941及びBG2942宿主細胞もコントロールpBS19プラスミドで形質転換し、41pBS19及び42pBS19と名づけた。大部分の非aprEバックグランドのタンパク質分解活性を取り除き、従って生成されたアルカリ・プロテアーゼ(aprE)の測定を促進する、nprE遺伝子の欠失が、BG2941宿主細胞及びBG2942宿主細胞の両方ともにある。BG2941及び2942宿主細胞はまた、キシロースを伴う増殖培地を誘導することでコンピテント細胞の作成を可能にする、カセットamyE::PxylRA−comK−phleoRも運ぶ(Hahn他著、Mol Microbiol.、第18巻、755−67頁、1995年)。前記2942宿主細胞はまた、degU遺伝子(degU(Hy)32変異)内で変異を有する。この変異は、degU(Hy)変異を運ばない宿主細胞により分泌されたズブチリシンのレベルと比べ、宿主細胞により分泌されるズブチリシンのレベルを単独で数倍に増加させる(Msadek他著、J Bacteriol、第172巻、824−834頁、1990年)。
バチルス宿主細胞内でのYmaHの過剰発現の効果は、実施例3で記載される分析で質的及び量的に測定した。
実施例3
プロテアーゼ生成におけるymaHの過剰発現の効果
カゼイン分析−バチルス宿主細胞によるプロテアーゼ生成におけるymaHの過剰発現の効果を、スキムミルクの状態でカゼインを含む寒天プレート上で育成したコロニーにより生成された輪(halo)のサイズを比較する質的分析により、先ず測定した。プロテアーゼ酵素がバチルス細胞から分泌されると、スキムミルク内のカゼインを消化し、育成コロニーの周りに透明な領域または輪を形成する。不活性プロテアーゼを有する宿主細胞は、コロニー周辺に前記輪がほとんどないまたは全くない。従って、前記輪のサイズは、分泌するコロニーにより生成されるプロテアーゼ量の質的評価を提供する(Wells、T.A.他著、Nucleic Acids Res.、第11巻、7911−7925頁、1983年)。
SigHまたはSigA1発現ベクターを用いて形質転換されたBG2941及びBG2942 B.ズブチリス宿主細胞を、1.6%のスキムミルク及び5ppm Cm/mlを含むLB寒天プレート上にプレートし、37℃で一晩保温した。翌日、形質転換体のいくつかに由来するコロニーを、5ppm/ml Cmを伴うLB寒天プレート上に単離した単一コロニーとし、このプレートを37℃で一晩保温した。単離された単一コロニーを採取し、同様の型のプレート上に撒き、37℃で一晩再び保温した。
ymaHの過剰発現を可能にするdegU(Hy)32変異及びSigH構築体を運ぶ42SigH宿主細胞が最も大きい前記輪を生成した。特に、42SigH細胞の前記輪のサイズは、ymaHの過剰発現が、野生型細胞により生成されるレベルより高いレベルで前記酵素を既に生成する宿主細胞内でのズブチリシンの生成をさらに促進することを証明する。すなわち、42SigH細胞は、degU(Hy)変異を運ぶが、ymaHを過剰発現可能な構築体を運ばない42pBS19細胞により生成されたものよりも大きい前記輪を生成し、また同様に、degU(Hy)32変異を運ばず、ymaHを過剰発現可能な構築体も運ばない41pBS19細胞により生成されたものよりも大きい前記輪を生成する。42SigH細胞により生成された前記輪はまた、degU(Hy)変異を運ばないが、ymaHを過剰発現可能なSigH構築体を運ぶ41SigH細胞により生成された前記輪よりも大きい。
AAPF分析−ymaHを過剰発現し、それぞれが42pBS19及び41pBS19を制御する形質転換されたバチルス宿主細胞42SigH、42SigA1、41SigA2によるズブチリシンの生成を、分泌されたaprEプロテアーゼの活性の関数として定量化した。前記分泌されたプロテアーゼのタンパク質分解活性を、基質スクシニル−L−Ala−L−Ala−L−Pro−L−Phe−p−ニトロアナリド(シグマ・ケミカル社のAAPF)の加水分解速度として測定した。p−ニトロアナリンの前記加水分解及び放出によりもたらされる405nm/分での吸光度として、プロテアーゼ生成レベルを前記分析により測定した(Estell他著、J Biol Chem.、第260巻、6518−6521頁、1985年)。前記測定値を、ソフマックス(Sofmax)・プロ・ソフトウェアを用いて測定し、また、特定の条件は、型−動力学(Kinetic)、還元(Reduction)−Vmaxポイント(最適読み込み15/28ポイント)、Lm1−405nm、時間−5分、及び間隔−11秒として設定した。
5pmm/mlクロラムフェニコール(Cm)を含む5mlのLBに、形質転換された細胞41SigH及び42SigA1及び42SigHの単一コロニーを植菌し、増殖が対数成長期中期に到達するまで37℃で振盪しつつ、前記細胞を増殖させることで、B.ズブチリス・コントロール宿主細胞41pBS19及び42pBS19、及びymaHを過剰発現する宿主細胞の液体培養地を得た。前記培養の各々を、5ppm/ml Cmを含む新しい複合培地で1:100に希釈し、250rpmで振盪しつつ、37℃で増殖させた。前記培養のサンプルを、図で示す時間に採取した。このサンプルを遠心分離し、上清をズブチリシンの生成の有無について試験した。
B.ズブチリス培養上清の各々10マイクロリットルを、10mM Tris+0.005%TWEEN(登録商標)−80、pH8.6、及び25ulの100mg/ml AAPFを含む、100ulのトリス緩衝液で希釈した。各々のプロテアーゼの活性を計算し、プロテアーゼの生成におけるYmaHの過剰発現の効果を図3A−B及び図4に示した。
バチルス宿主細胞内でのymaHの過剰発現は、degU(Hy)変異の存在(42SigA及び42SigH、図3A)または不在(41SigH、図3B)に関わりなく、それぞれのコントロール細胞41pBS19及び42pBS19により生成されるレベルと比べ、数倍aprEズブチリシンの生成を増進させることを、図3A及び3Bは示す。追加的に、yamHを過剰発現する細胞は、yamHを過剰発現しない細胞より早期に上昇したレベルのズブチリシンを生成する。例えば、42sigH細胞は20時間の増殖で、親コントロール細胞が48時間で生成するズブチリシンとほぼ同量を生成することを、図3Aは示す。同様に、41SigH細胞が25時間で、41pBSコントロール細胞が48時間で生成するよりも多いズブチリシンを生成することを、図3Bは示す。SigHプロモーター(42SigH)によりymaHの発現が誘導される細胞は、シグマ・プロモーター(42SigA)によりymaHの発現が誘導される細胞により生成されるよりも多い、ズブチリシンの生成をもたらすことを図4中のグラフは示す。また、SigHまたはSigAプロモーターのいずれかにより誘導されるymaHの過剰発現が、早くもたったの1時間の細胞増殖後に促進されたズブチリシンの生成をもたらすことも、図4は示す。

Claims (23)

  1. ベクターを導入することによって、目的タンパク質を、その野生型バチルス宿主細胞における発現と比較してより多く発現できるように修飾されたバチルス宿主細胞であって、
    前記ベクターは、YmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体を含み、
    前記ポリヌクレオチドがsigA及び/またはsigHプロモーター・ポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されており、
    前記ポリヌクレオチドが配列番号17に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むバチルス宿主細胞。
  2. 前記バチルス細胞が、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・ズブチリス、バチルス・レンタス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステロサーモフィラス、バチルス・アルカロフィラス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・コアグランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・ラウタス、バチルス・プミルス、バチルス・チューリンゲンシス、バチルス・クラウジイ、及び、バチルス・メガテリウムから成る群から選ばれる、請求項1に記載の修飾された細胞。
  3. 前記目的タンパク質が、前記修飾された宿主細胞と同種または異種である、請求項1に記載の修飾された宿主細胞。
  4. aprEプロモーターが前記目的タンパク質の発現を誘導する、請求項1に記載の修飾された宿主細胞。
  5. 前記目的タンパク質が、アミラーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ラッカーゼ、フェノールオキシダーゼ、オキシダーゼ、クチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、ペルオキシダーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、フィターゼ、ペクチナーゼ、グルコシダーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、ガラクトシダーゼ、キチナーゼ、ホルモン、サイトカイン、成長因子、受容体、ワクチン、及び抗体から選ばれる、請求項1に記載の宿主細胞。
  6. 前記目的タンパク質が酵素である、請求項1に記載の宿主細胞。
  7. 前記酵素がプロテアーゼである、請求項6に記載の宿主細胞。
  8. 前記プロテアーゼが、ズブチリシン168、ズブチリシンBPN’、ズブチリシン・カールスバーグ、バチルス・レンタス・ズブチリシン、バチルス・クラウジイ・ズブチリシン、ズブチリシンDY、ズブチリシン147、ズブチリシン309、及びそれらの変異体から成る群から選ばれるズブチリシンである、請求項7に記載の宿主細胞。
  9. 請求項1に記載のバチルス宿主細胞であって、
    前記バチルス宿主細胞は、プロテアーゼを生成するものであり、
    degU、degQ、degS、scoC4、spoIIE、及び、degRから選ばれる少なくとも1の遺伝子内で変異を含む、前記修飾されたバチルス細胞。
  10. 前記変異がdeg(Hy)32である、請求項9に記載の修飾された細胞。
  11. 前記バチルス細胞がバチルス・ズブチリス細胞である、請求項9に記載の修飾された細胞。
  12. 修飾されたバチルス細胞を得る方法であって、
    a)ベクターでバチルス宿主細胞を形質転換する工程であって、前記ベクターは、YmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド構築体を含み、前記ポリヌクレオチドがsigA及び/またはsigHプロモーター・ポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されており、配列番号17に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列であることを特徴とする工程であって、形質転換されたバチルス細胞が、目的タンパク質を、その野生型バチルス宿主細胞における発現と比較してよりも多く発現できる工程、及び、
    b)前記目的タンパク質の発現に適した増殖条件下で前記修飾された細胞を増殖する工程を含む、前記方法。
  13. 前記ポリヌクレオチド構築体を含む前記ベクターが複製プラスミド上に存在する、請求項12に記載の方法。
  14. 前記構築体が前記修飾された細胞のゲノム中に統合された、請求項12に記載の方法。
  15. 前記目的タンパク質がズブチリシンである、請求項12に記載の方法。
  16. 目的タンパク質の生成が可能な修飾されたバチルス細胞内で前記目的タンパク質を生成する方法であって、
    a)請求項1に記載の修飾されたバチルス宿主細胞を得る工程、及び
    b)前記目的タンパク質の発現に適した増殖条件下で前記修飾されたバチルス細胞を増殖させる工程を含む、前記方法。
  17. 前記目的タンパク質を回収する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
  18. aprEプロモーターが前記目的タンパク質の発現を誘導する、請求項16に記載の方法。
  19. 前記目的タンパク質が酵素である、請求項16に記載の方法。
  20. バチルスからの目的タンパク質の発現を促進させる方法であって、
    a)そのバチルス親宿主細胞における発現と比較してymaHを過剰発現するように修飾されたバチルス細胞を得る工程であって、配列番号17に対して少なくとも90%の配列同一性を有し、sigA及び/またはsigHプロモーター・ポリヌクレオチド配列と操作可能に連結されている、YmaHタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド構築体で前記バチルス親宿主細胞を形質転換するステップを含む工程、
    b)適した増殖条件下で前記修飾されたバチルス細胞を増殖する工程、及び
    c)前記修飾されたバチルス細胞内で前記目的タンパク質の発現を可能にさせる工程であって、バチルス親宿主細胞内での前記目的タンパク質の発現と比べて、前記修飾されたバチルス細胞内での前記目的タンパク質の発現が促進された前記工程を含む、前記方法。
  21. 前記ポリヌクレオチド構築体が配列番号1、2、3及び13から選ばれるポリヌクレオチド配列を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記構築体がプラスミド上に存在するか、または前記修飾された細胞のゲノム中に統合された、請求項20に記載の方法。
  23. 前記目的タンパク質が酵素である、請求項20に記載の方法。
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