<従来技術の説明>
ワイヤレスで読み込むことができる温度センサの様々なアプリケーションが、市場に存在している。これらのアプリケーションは、家畜の内部温度の検出と報知から、磁気誘導ヒータが保温された食物配送箱の温度を正確に制御できるようにする、閉ループ温度フィードバックシステムの一部まで、様々ある。これらのアプリケーションの多くは、米国特許番号5,954,984、6,232,585、6,320,169、6,953,919、および、6,208,253で開示されている。
それらのアプリケーションの多くには、現在、無線ICタグ(RFID)温度検出システムが役立っている。これらのRFID温度検出システムは、RFIDリーダ/ディテクタとその関連したRFID「タグ」を含み、タグは、その回路の一部として、あるタイプの温度センサを有する。
これらの従来のRFIDシステムは、タグのコストのために、比較的高価である傾向があり、125℃を超えて連続的に動作できない。さらに、これらは、特にRFIDタグが、導電性材料内に埋め込まれているときには、金属、または、他の導電性材料の付近では、情報を送信する能力を欠いている。
磁気素子マーカ(、または、「タグ」)は、電子商品監視(EAS)システム、または、他の認証システムの一部として、一般的に使用されている。これらのマーカ、または、タグは、受動的な、通常小さい、RFIDタグほど高価でない、高温で動作できるものであり、導体内に埋め込んでも、いくつかの形態では、それらの情報をディテクタにワイヤレスで送信することができる。
例えば、柔らかい磁気非結晶質の合金リボンで作られた、EASマーカ、または、タグは、米国特許番号4,484,184で開示されている。これらのリボンは、式Ma Nb Oc Xd YeZfを必須成分とする組成物を有するが、Mは少なくとも1つの鉄とコバルトであり、Nはニッケルであり、Oは少なくとも1つのクロムとモリブデンであり、Xは少なくとも1つのホウ素とリンであり、Yはシリコンであり、Zは炭素であり、「a」-「f」は原子パーセント単位であり、aは約35-85を変動し、bは約0-45を変動し、cは約0-7を変動し、dは約5-22を変動し、eは約0-15を変動し、そして、fは約0-2を変動し、そして、d+e+fの合計は約15-25を変動する。マーカリボンは、磁場送信機が発生した付帯的な交流磁場の周波数高調波である周波数で、磁場摂動を発生させることができる。検出手段は、その中のマーカの存在によって、査問ゾーンの付近で発生した高調波の選択されたトーンでの磁場摂動を検出するように配置される。マーカによる高調波の発生は、付帯的な磁場に対するマーカの非線形磁化応答によって引き起こされる。
小さくてそれほど高価でない温度検出要素を使用した、ワイヤレス温度検出システムのための技術的なニーズがあるが、その温度検出要素は、125℃を超えた温度で連続的に動作でき、金属、または、他の導電性材料の付近でさえも、情報を送信する能力を有する。さらに、そのような改良された温度検出要素が、センサ自体、または、温度が検出されるオブジェクトに関係する、所定のデータ、例えば、オブジェクトの識別、オブジェクトの特性、または、加熱指示を伝えることができたなら、有益な効果を有したであろう。最終的に、加熱装置の出力を制御でき、その結果、オブジェクトの温度を制御する、閉ループフィードバック加熱システムの一部として、検出要素を使用できたなら、利点は生かされたであろう。
本発明のもう一つの態様に関して、レストラン、および、他の食物を給仕する施設は、食物がサービングウェア上に置かれた後に、サービングウェア(ディナー用小皿、大皿、ボール、鍋、卓上鍋など)、および、その上かその中の食物を保温するのに、一般的に様々な装置を使用する。例えば、レストランの中で調理される食物の小皿を保温している間に、同じ顧客に出すことになっている食物の他の小皿を調理しなければならない。同様に、加温トレーは、大皿とボールとその上の食物を保温するのに、頻繁に使用される。
サービングウェアと食物とを保温するための最も一般的な装置は、様々な光源からの放射を使用する加熱ランプ、サービングウェアの下にある石油系燃料の炎、または、サービングウェアの下の水容器の中に設けられた電気要素、のいずれかからのエネルギーで発生する凝縮蒸気からの熱伝導を使用する食物容器かスチームテーブル、および、電子レンジである。残念ながら、これらの加熱装置は、効率が悪く、サービングウェアと食物の温度を正確に制御する便利な手段を全く有さず、その結果、サービングウェアと食物の加熱を頻繁に超過、または、不足させる。
例えば、加熱ランプシステムでは、ランプの下に、サービングウェアが全くないときでさえ、ランプは、連続的にオンで、その結果、エネルギーを浪費し続け、周囲のエリアを不必要に加熱し続ける。さらに、これらのシステムは、食物から加熱ランプまでの温度フィードバックを全く有さず、したがって、それが適切な温度よりも高温に加温された後に、食物を加熱し続け、食物の加熱超過と乾燥とをもたらす。加熱超過の可能性を低下させるために、定格電力を低下させた加熱ランプが、時々使用されるが、小型の加熱ランプは、サービングウェアをその上の食物を十分保温できるくらい高温まで、完全に加熱できるくらいのエネルギーを、しばしば発生させるわけではない。最終的に、加熱ランプが、リムとサービングウェア上の食物とを直接照らすので、加熱ランプの下に置かれたサービングウェアのリムは、しばしば必要以上に高温になる。これは、サービングウェアを取り扱うときに、手袋かポットホルダーの使用を必要とし、リムを不必要に加熱するのに使うエネルギーを浪費する。
同様に、スチームテーブルシステムは、閉ループ温度フィードバックを全く有さないので、エネルギー効率が悪い。したがって、食物温度を確実に安全にするために、これらのシステムは、それらの最も高い温度で通常運転され、エネルギーを浪費し、システムが加熱超過して乾燥させるまで、食物を加熱する。
また、電子レンジも、その中に配置されたサービングウェアの閉ループ温度制御を行うのに、温度フィードバック情報を通常使用しない。いくつかの電子レンジは、閉ループ温度制御システムを作成するための温度情報を提供するために食物の中に挿入できる温度プローブを有する。しかしながら、そのような有線プローブは、特に、レストランなどの多量の処理には不便である。
したがって、食物がサービングウェアの上、または、中に置かれた後に、食物の温度を維持するための装置、システム、および、方法の改良のための技術的なニーズがある。
<本発明の概要>
本発明は、完全に新しい分類の温度センサ、温度検出の方法、および、閉ループ加熱システムを提供する。本発明は、磁気温度検出要素の使用を通して、信頼できる温度検出が得られるという発見に基礎を置き、その磁気温度検出要素のそれぞれは、適用された交流磁場の影響に基づく特有の再磁化応答を有し、応答は、温度に敏感であり、容易にモニターできるのが好ましい。
さらに詳細には、好ましい温度センサは、オブジェクトの温度に関連するパラメータ、例えば、オブジェクトの温度、オブジェクトの所望の温度、オブジェクトの温度範囲、オブジェクトの所望の温度範囲、オブジェクトの最低温度、オブジェクトの最高温度、オブジェクトの加熱特性、および、オブジェクトによって支えられる材料を検出するために、オブジェクトに熱接触するような配置に構成される。センサは、磁力によって影響されやすい少なくとも1つのセンサ要素を含み、そのセンサ要素は、適用された交流磁場の影響に基づく再磁化応答を有し、再磁化応答は、所定の短期間の磁場摂動の少なくとも1つの短い検出可能なパルスによって定義され、少なくとも1つの設定温度の下と上とで異なる。設定温度は、センサ要素のキュリー温度、または、このキュリー温度付近の温度(通常、25℃)であるのが好ましい。ほとんどのアプリケーションでは、設定温度は、約400℃よりも低温である。
そのような温度センサ要素が、温度が検出されるオブジェクトに熱接触するように置かれるとき、および、所望の再磁化応答を引き起こすことができるくらいの大きさのセンサ要素に交流磁場を適用するとき、センサ要素は、「温度スイッチ」のように動作する。すなわち、オブジェクトが、センサ要素の設定温度よりも低温であるときには、センサ要素からの再磁化応答を観測するが、オブジェクトの温度が、設定温度に達するか、または、超えているときには、再磁化応答を全く観測しないか、または、応答を変化させる。しばしば、再磁化応答は、設定温度よりも高温では応答が消滅し、設定温度よりも低温の、小さい温度範囲内で、予測可能なように変化する。そのような場合には、(基準値に対する応答の大きさなどの)変化した応答の様子に関する情報は、センサ要素を設定温度に到達する前の小さい温度範囲にわたって無限の温度センサとして機能させ、かつ、設定温度を超えると再磁化応答を全く観測しない温度スイッチとして機能させるように使用しても良い。
通常、本発明に係る温度センサは、各センサ要素が互いに異なる設定温度を有する、複数のセンサ要素を利用する。オブジェクトの温度を、温度センサの設計に対応する温度範囲にわたって、モニターできるように、これらの複数のセンサ要素は、最低から最高まで少なくともほぼ同じ方法で変化する連続的な異なる設定温度を有するように設計するのが好ましい。そのような状況では、隣接する設定点間の差の大きさは、温度センサの分解能を定義するともいえる。
本発明の温度センサを、最も効果的に利用するために、センサ要素と関連付けられたディテクタを利用する。一般的に、そのようなディテクタは、センサ要素を査問できる(、すなわち、オブジェクトの温度に基づくセンサ要素の再磁化応答を引き起こす)くらいの大きさの交流磁場を発生するための装置、および、そのような応答を検出するための装置を有する。実際には、ディテクタは、共に信号処理ユニットに接続した磁場発生コイル、および、磁場受信コイルを有する。使用中に、ディテクタは、必要な交流磁場を発生し、磁場受信コイルは、センサ要素の再磁化応答を検出し、信号処理ユニットに出力信号を送信する。信号処理ユニットは、デジタルマイクロプロセッサの形態で、オブジェクトの温度を測定する解読アルゴリズムを使うのが好ましい。好ましい形態では、解読アルゴリズムは、オブジェクトの温度をセンサ要素の再磁化応答に関連付ける1つ以上のルックアップテーブル(検索表)を含む。
磁力によって影響されやすいセンサ要素は、非結晶質状態かナノ結晶状態の金属ボディーとして有益な効果を有するように形成される。そのような金属ボディーは、非常に薄く長尺なワイヤ形状か断片形状であり、約100μm以下の最大横断面寸法(例えば、直径)を有し、様々な方法で生産できるのが好ましい。金属ボディーの特に適した形状の1つは、内側の金属コア、および、任意の外側のガラスコーティングを含む、マイクロワイヤの形状である。そのようなマイクロワイヤは、公知のテイラー法によって、または、水中鋳造の非結晶質のボディーとして、生産できる。しかしながら、センサが、必要な磁力によって影響されやすいセンサ要素を含むことができさえすれば、本発明としてはマイクロワイヤを利用する必要はない。
本発明のもう一つの態様では、マイクロワイヤベースの新しい複合マイクロワイヤ、または、組み合わせマイクロワイヤを提供する。そのような構造体では、長尺な金属ボディーで構成された内側のマイクロワイヤは、既知のキュリー温度の隣接する強磁性シースによってシールドされる。シースは、シースのキュリー温度よりも低温で、(または、シースのキュリー温度付近の既知の温度で、)関連したマイクロワイヤの金属ボディーの再磁化応答を防ぐか、または、少なくとも変化させる。シースは、内側のマイクロワイヤを囲む関係に位置するか、または、内側のマイクロワイヤの周りに、そこから間隔を開けた関係に、少なくとも部分的に並べても良い。特に好ましい複合マイクロワイヤの1つは、周囲のガラスケーシングを有する、内側の最も磁力によって影響されやすいマイクロワイヤボディーを含む。シースは、管状であり、ガラスケーシングを囲み、シースの周りの最も外側のガラスケーシングを有する。変更されたテイラー法を使用して、そのような複合設計品を容易に生産できる。厳密に言えば、1組の内側のガラスチューブと外側のガラスチューブは、内側のチューブ内の磁力によって影響されやすい金属と、内側と外側のチューブの間の強磁性シース材料と、共に順にはめ込まれる。これらの部品は、所望の複合構造体を作成するために、溶融状態にされ、すぐに引き抜き成形される。
本発明のもう一つの態様では、オブジェクトの温度を検出する方法を提供する。この方法は、前記オブジェクトに熱接触するように温度センサを置く工程を広く含み、センサは、磁力によって影響されやすい、少なくとも1つのセンサ要素を含み、そのセンサ要素は、適用された交流磁場の影響に基づく再磁化応答を有し、再磁化応答は、少なくとも1つの設定温度の下と上とで異なる。次に、センサの領域内で、センサ要素の再磁化応答を引き起こすことができるくらいの大きさの交流磁場を発生する。ボディー(、および、したがって、オブジェクト)の温度が、設定温度の上か下かについて、少なくとも部分的に決定するために、センサ要素の再磁化応答を検出して使用する。(例えば、他の情報は、温度決定において、検出された再磁化応答と共に使用しても良い。)
前述したように、センサは、通常、複数の磁力によって影響されやすいセンサ要素を有し、そのそれぞれのセンサ要素は、適用された交流磁場の影響に基づく異なる再磁化応答を有し、それぞれの再磁化応答は、設定温度の下と上とで異なり、センサ要素の設定温度は、相互に異なる。このような場合には、センサ要素とオブジェクトの温度を測定するために、少なくともある複数のセンサ要素の再磁化応答を検出して使用する。
シースで覆われた複合マイクロワイヤ、または、組み合わせマイクロワイヤの検出要素が使用されるところでは、センサ要素、および、オブジェクトが、強磁性シースのキュリー温度よりも高温か、または、キュリー温度付近のある固定温度に到達するまで、関連した強磁性シースは、磁力によってボディーを飽和させるか、または、バイアスさせることによって、関連したマイクロワイヤボディーの再磁化応答を防ぐ。シースによるセンサ要素の磁気飽和の範囲、または、バイアスの範囲は、シースのキュリー温度にほぼ等しい温度範囲にわたって、一連の異なる再磁化応答、または、変化した再磁化応答をもたらすように設計することができる。この挙動は、非複合センサ要素、および、非組み合わせセンサ要素のために、上述したケースと全く同じである。関連付けられたディテクタが十分な分解能と識別を有すると仮定すれば、温度検出のために、これらの異なる応答、または、変化した応答を検出して使用できる。このようにして、このような場合には、単一のマイクロワイヤ検出要素は、複数の異なる設定温度を示すことができる。
また、本発明は、相互に近接して配置するように設計された少なくとも1組の部品で構成され、その部品の少なくとも1つは加熱可能であり、オブジェクトの温度を、選択的に測定するための独自の構造体と方法とを提供する。例えば、ヒータと関連付けられた加熱可能な消耗品(、例えば、誘導ヒータと加熱可能なシェービングクリームで満たされた容器)は、本発明に従って、温度をモニターし、制御することができる。誘導加熱可能なノズルが、容器に接続されて既存の流体を加熱するような設計では、容器は、本発明に従って、温度センサを備えているだけでなく、容器は、ノズルに取り付けられた温度センサと相互に関連する、磁場に敏感なデータ要素(、例えば、従来のマイクロワイヤ)を備えているだろう。温度センサとデータ要素は、温度センサとデータ要素の両方が、査問の交流磁場に同時にさらされる場合は、温度センサの再磁化応答のみを解読できるように関連付ける。これは、温度センサとデータ要素の両方が存在している場合を除いて、オブジェクトの温度を検出して報知しないように、通常、検出装置の解読アルゴリズムを変更することによって達成する。容器が、加熱目的のために誘導ヒータ上に位置しているときには、温度センサとデータ要素は近接し、温度検出のために、センサの再磁化応答を検出して使用できる。
本発明のこの態様は、特に有益な効果を有する。ヒータのメーカは、独自の消耗品だけがヒータと併用できることを保証できる、すなわち、他のメーカの消耗品は、必要な、関連付けられた、磁場に敏感なデータ要素を含んでいないので、別のメーカの消耗品が、ヒータと併用される場合は、温度モニターはできない。さらに、ヒータは、適切な消耗品を使用する場合を除いて、全く動作しないように設計することができる。
また、本発明は、本発明に係る温度センサを利用する、オブジェクトの加熱システムをも提供する。そのようなシステムは、さらに、説明したタイプの再磁化応答ディテクタを有する、誘導加熱ユニットや他のタイプの加熱ユニットなどのオブジェクトを加熱するための装置を含む。また、ディテクタから出力信号を受信し、そのような出力信号に対応して、加熱装置の動作を制御するために、ディテクタ、および、加熱装置に接続したコントローラをも提供する。これらのタイプのシステムでは、オブジェクトの温度は、引き続いて連続的にモニターされ、コントローラは、オブジェクトを加熱するために、または、所望の温度範囲の中にオブジェクトの温度を維持するために、加熱装置の動作を変更する。
本発明のもう一つの態様では、上述したような温度センサは、小皿、大皿、鍋、グラスなどの1つのサービングウェアにすぐに容易に接着できる接着剤の「ステッカ」に組み込まれる。ここに使用されるように、「接着剤」は、所望のサービングウェアに温度センサを取り付けるのに必要な程度の接着力を提供できるあらゆる組成物、または、構造体を参照し、制限なしで、従来の「接着剤」、および、VelcroRのマジックテープか他の締結具などの機械的な接続構造体を含む。そのような温度センサが1つのサービングウェアに接着された時点で、サービングウェアは、誘導ヒータ、加熱ランプアセンブリ、スチーム加熱ユニット、電子レンジ、または、上述したような再磁化応答ディテクタ、または、他のタイプのディテクタを備えた他のタイプの加熱ユニットの上か付近に置いても良い。ディテクタは、サービングウェアの存在、サービングウェアのタイプ、および、サービングウェアの所望の温度か温度範囲を検出するために、温度センサを査問する。ディテクタと加熱ユニットに接続したコントローラは、サービングウェアの温度、または、温度範囲を示し、加熱ユニットの循環パラメータ、または、他の動作パラメータを制御するのに使用される信号を、ディテクタから受信する。したがって、サービングウェアの温度は、連続的か定期的にモニターしても良いし、加熱ユニットは、所望の温度範囲にサービングウェアを加熱するために、および、温度範囲内にサービングウェアの温度を維持するために、制御しても良い。
上述した温度センサステッカは、マイクロワイヤセンサ、または、そのような複数のマイクロワイヤセンサを、接着剤で基板に接着し、次に、接着剤の露出面の上に、剥離層を置くことによって形成しても良い。接着剤は、マイクロワイヤセンサを基板に固定し、剥離層を除去して、上述したように、サービングウェア(、および、その上に置かれた食物)をモニターしたり、加熱したりできるように、温度センサステッカ全体を1つのサービングウェアに接着する。
有益な効果を有するのは、サービングウェアに対する美観や構造を変更せずに、既存のサービングウェアに、本発明の温度センサを、有利に、すぐに容易に接着して取り付けることができることである。したがって、本発明によって、温度センサは、サービングウェアに関連する温度パラメータ、例えば、サービングウェアの温度、サービングウェアの所望の温度、サービングウェアの温度範囲、サービングウェアの所望の温度範囲、サービングウェアの最低温度、サービングウェアの最高温度、サービングウェアの加熱特性、および、サービングウェア上で支えられる食物の温度をモニターさせるために、サービングウェアにすぐに容易に取り付けられるようになる。さらに、センサは、給仕の間、待ちカウンタ、給仕テーブル、ビュッフェカウンタ、電子レンジ、または、他の食事エリアの位置などのようないかなる位置でも、そのような温度パラメータをワイヤレスで制御するのに使用しても良い。
また、温度フィードバック閉ループ制御方法を使用してサービングウェアを加熱するのに、温度センサを様々なタイプのエネルギー源(ハロゲン、誘導加熱、スチーム、マイクロ波など)と併用できる。温度センサによって、サービングウェアを加熱ユニットの上か付近に置きさえすれば、サービングウェアを自動的に現在温度まで加熱して保温するように、サービングウェアの温度制御がワイヤレスで永久に可能になる。
本発明は、標準的なレストランの運営手順をほとんど、または、全く変更せずに安価に実施しながら上記を達成する。
<好ましい実施形態の詳細な説明>
<従来の磁気素子と検出システム>
本発明を最も良く理解するために役立つのは、(しばしば「磁気マーカー」と呼ばれる)磁気素子とその対応する検出システムを利用した、近年のEASと認証システムの性質と働きを理解することである。
しばしば使用される磁気素子のタイプの1つは、ガラスでコーティングされた非結晶質のマイクロワイヤである。そのようなマイクロワイヤ、その生産、磁気特性、および、そのキュリー温度よりも低温の挙動は、技術文献や特許文献で開示されてきた。例えば、米国特許6,441,737と6,747,559、マテリアルズサイエンス アンド エンジニアリングの166-71(2001)のA304-306頁に記載の、ホリア シラク氏によるガラスカバー付き磁気ワイヤの製造と特性解析、ジャーナル オブ マテリアルズサイエンスの1139-48(1996)の第31頁に記載の、ドナルド氏他によるテイラーワイヤ工程で製造したガラスコーティング付き金属フィラメントの製造と特性と応用、Phys. Stat. Sol. (a) 26, 71 (1974)に記載の、ウィースナー氏とシュナイダー氏によるガリウムとゲルマニウムと砒素を含有する非結晶質の鉄−リン合金の磁気特性、および、応用物理学会誌の6587-89の第83巻に記載の、アントネンコ氏他によるガラスコーティング付きマイクロワイヤの高周波特性を参照して欲しい。連続した長さのマイクロワイヤは、従来技術でテイラー工程と一般的に呼ばれる工程で安価に生産してきたが、その工程では、予め合金化されたインゴットか、または、必要な基本的成分のいずれかを、下部をシールされた、ほぼ垂直に並べたガラスチューブ内で溶解する。無線周波数(「rf」)加熱などを使用して、合金が溶融状態に変換された時点で、ガラスチューブの軟化した下部は、連続したマイクロワイヤ内に把持され、引き込まれる。二次冷却手段の使用に伴う合金断面の急速な収縮は、引き込まれる間に、合金の非結晶質化、または、ナノ結晶化を引き起こす。
典型的なマイクロワイヤ20は、図1に示すように、どこでも総直径が10ミクロン以下から数十ミクロンまでである。マイクロワイヤ20は、合金コア22、および、ガラスコーティング24を有し、合金コア22とガラスコーティング24は、連続的にか、または、空間的に離れた数ポイントのみで物理的に相互に結合することができる。ガラスと金属との比率は、可変だが、しっかり制御できる。例えば、ガラスコーティング24の典型的な厚さは、コア直径45-60ミクロンのマイクロワイヤ用は約1-5ミクロンであり、コア直径30ミクロンのマイクロワイヤ用は1-3ミクロンである。従来技術のEAS用と認証タグ用のマイクロワイヤ要素は、通常、15mmから75mmまでの範囲の長さに切断する。
マイクロワイヤの磁気特性と合成ヒステリシスループは、合金組成物とガラスと金属との直径比率を変更することによって制御できる。図2は、大きいバルクハウゼン不連続を有する典型的なマイクロワイヤ20の理想的な磁気ヒステリシスループ応答を示すが、そのマイクロワイヤは、以下に説明するように本発明における使用に適している。そのようなマイクロワイヤ20が外部の交流磁場にさらされ、要素の瞬間的な磁気分極の反対方向への磁場強度が、保磁力Hcよりも強く、ここに理想的に示すように10A/m未満であるときに、再磁化過程は、結果として、容易に検出される調和的に豊かなパルスを発生する。パルス間の磁束変化は、時間がたつにつれて、フラックス誘導体のピークをもたらす。従って、ピーク電圧は、要素付近に置かれた受信コイルの中で観測され、リーダ/ディテクタが、そのピーク電圧を磁場の中のマイクロワイヤ要素の存在と関連付けても良い。
テイラー法で生産した、従来技術のガラスでコーティングされた非結晶質のマイクロワイヤ20は、非常に低い飽和保磁力(実質的に10A/m未満の)、高い相対透磁率(実質的に20,000よりも高い)、実質的にゼロ、または、わずかに正の磁気歪、および、大きいバルクハウゼン不連続性(マイクロワイヤが、必然的に二つのモードの磁気状態だけに存在することを意味する)を示すように作ることができる。
また、マイクロワイヤ20の再磁化特性も重要で、そのようなマクロワイヤを、他のタイプの従来技術の磁気素子と区別している。図3C(米国特許番号6,556,139参照)を参照すると、ガラスでコーティングされた非結晶質のマイクロワイヤの(半分の振幅レベルで測定される)再磁化ピーク幅は、25-80マイクロ秒の範囲内にあったことがわかる。対照的に(図3B参照)、センサマティック社から購入し入手可能なマーカーまたはタグは、ピーク幅が約200-500マイクロ秒以上の範囲内にある、大きいバルクハウゼン不連続性を有する水中鋳造の非結晶質のワイヤを含んでいる。最後に(図3A参照)、例えば、Meto GmbH製の32mmのマーカーまたはタグのような、主として万引き防止用に使用されるマーカーまたはタグで使用される非結晶質の断片形状用のピーク幅は、約1-2ミリ秒である。したがって、図1に示すタイプのマイクロワイヤは、他の外部のオブジェクトとの磁場相互作用が引き起こしたものなどのバックグラウンドノイズからマイクロワイヤ応答を識別する極めて短い再磁化ピークを示している。
J. Mater. Res. 15 No. 10 Oct. (2000)のジューコフ氏他は、非結晶質のガラスでコーティングされた複数のワイヤセグメントを利用するときの、マルチビットマーカーの生産について説明しているが、そのワイヤセグメントは、(長さ、全体の直径などの)異なった寸法、または、(例えば、保磁力のような)磁気特性をそれぞれ有している。例えば、複数の磁気マイクロワイヤ要素が、それぞれ異なった飽和保磁力を示し、それぞれの磁場発生中にそれぞれの磁気マイクロワイヤ要素の独自の再磁化ピークを検出でき、例えば、米国特許番号4,203,544に記載されている方法で磁気マイクロワイヤ要素のパターンを認識しても良い。米国特許番号5,729,201は、ワイヤが同じ磁気特性と寸法を有しても、そのような複数のワイヤを差別化する方法を説明している。ワイヤ付近の永久磁石のバイアス磁場要素は、リーダ/ディテクタが発生する外部の磁場の振幅を差別化するのに役立つが、その外部の磁場は、それぞれの個別のワイヤセグメントに対する異なった近接性によってそれぞれの磁気素子が再磁化するための保磁力を超えるのに必要である。このことは、検出した再磁化のピークにおける位相差に通じ、その結果、個別要素の差別化を可能にしている。
米国特許番号4,134,538は、磁気素子から構成されるマルチ要素タグ(マーカー)について説明しているが、そのそれぞれの磁気素子は、異なった保磁力によって特徴付けられ、その結果、取り付けた全てのオブジェクトに対して利用した磁気素子と同じくらい多くの特徴を有する参照コードを割り当てている。その結果、そのそれぞれの保磁力の値の順で、磁気素子に対してそれぞれの特徴を有する参照コードが割り当てられ、信号は、それぞれの磁気素子に対応し、次に、保磁力の順と同じ位相ずれの順に、検出装置に現れ、そして、そのそれぞれがコード化時点で割り当てた値に対応する振幅を有し、その結果、順序と振幅において完全なコードを再生している。
米国特許番号6,622,913は、そのマイクロワイヤ要素が送信機が発生する交流磁場に対してかなり異なった応答を発生するように、異なった直径または透磁率のマイクロワイヤ要素を使用することによってデータ情報をバイナリ形式でコード化しても良いことを開示している。したがって、マイクロワイヤのタイプの1つがバイナリ「0」を表し、その他がバイナリ「1」を表しても良い。例えば、連続的なより大きい飽和保磁力をそれぞれ有する4本のマイクロワイヤのアレイは、それらが交流磁場の発生中にわたって、その検出された位相差によってそれぞれ容易に識別されるように、磁場摂動の交流高振幅と低振幅と(その結果、ディテクタで交流高電圧と低電圧の振幅)を、その磁場摂動が1010のバイナリパターンを表すように発生させることができる。
米国特許出願番号2005/0109435は、単一のマイクロワイヤのマルチビット情報をコード化するいくつかの磁気的方法と光学的方法を説明している。強磁性非結晶質のガラスでコーティングされたマイクロワイヤのストレス感度は、磁気ドメイン構造に影響する物理的な基礎として、有益な効果を有するように使用できる。強磁性非結晶質のガラスでコーティングされたマイクロワイヤのコード化は、このドメイン構造の局所変化から生じさせることができる。変化は、局所応力の付与か、または、非結晶質の合金の選択的な結晶化によって、容易に実行されている。そのような変化は、パルス状のレーザを通した局所加熱、ガラスコーティングの化学的な薄膜化、ガラス上のコーティング、および、同様のものを含む、多くの手段の影響を受ける。強磁性非結晶質のガラスでコーティングされたマイクロワイヤのガラスコーティングの局所変更を使用して、非結晶質の合金コアの磁気ドメイン構造内の制御された変化を効果的に発生させ、その結果、コード化を可能にすることができる。好ましい方法は、レーザパルスを使用してガラスか、または、合金を局所加熱し、片方か両方の構造変化を引き起こし、その結果、実在の応力場か、または、基本的な磁気特性を変化させる方法である(波長の選択によって、独立した加熱を実行できる)。
磁気マーカーとして使用されるすべてのタイプの磁気素子に関連して使用される従来技術のEASか、または、認証システムディテクタ装置は、磁場送信機ユニットと磁場ディテクタユニットを通常使用している。磁場送信機ユニットは、一般的に、マーカーの査問ゾーン内で交流磁場を発生するために、(交流磁場ソースを一緒に構成する)周波数ジェネレータと磁場発生コイルを有している。ディテクタユニットは、通常、警報装置の引き金となる磁場受信コイルと信号処理ユニットを有している。
従来技術のEASシステムでは、磁気マーカーがコイル付近に位置している場合、査問交流磁場は、磁気素子の磁化のスイッチングを引き起こす。したがって、磁場受信コイルは、磁場摂動の非常に短いパルスを受信する。信号処理回路は、これらのパルスを検出し、アラームを発報するために出力を発生する。
第1の実施形態:化学的性質を変更したキュリー温度検出用のマイクロワイヤ
本発明の第1の実施形態は、磁気マイクロワイヤ温度センサを含み、その温度センサは、少なくとも1つだが、通常複数の磁力によって影響されやすいマイクロワイヤを有し、少なくともあるマイクロワイヤの個別の合金を有し、その合金は、通常約400℃よりも低温では、変更された化学的性質と結果的に異なったキュリー温度を有する。さらに、この実施形態は、センサマイクロワイヤから得られた温度情報を解読できるマイクロワイヤリーダ/ディテクタを含む。
化学的に変更された個別のマイクロワイヤは、変更されたマイクロワイヤが、それらのそれぞれのキュリー温度よりも低温で、大きいバルクハウゼン不連続性、極めて低い飽和保磁力、および、極めて高い透磁率を保有するように製造するのが好ましい。(結果として図2に示されているタイプのヒステリシスの挙動を有する。)この変更されたマイクロワイヤは、そのキュリー温度よりも高温では、その強磁性を本質的に完全に失う。センサのアレイ内の他のマイクロワイヤは、化学的性質を変更する必要はなく、以前に検討したシングルかマルチビットコード化のすべての従来技術の方法のいずれかに従って、データ要素として動作できる。
従来技術の非結晶質のマイクロワイヤで使用されるFeベースの、および/または、Coベースの合金の最も好ましい化学的改良は、その中のクロムの原子割合を調整することである。非結晶質の鉄ベースの(Fe80-xCrx)(PC)20合金のクロムは、その磁気特性にかなり大きい影響を与える。クロム割合の増加は、キュリー温度、平均的超微細場、および、その飽和磁化を下げるが、他方では、その初期の透磁率を著しく増加させる。例えば、0%から6.5%までのクロム割合の増加は、あるテストされたサンプルでは、330℃から155℃にキュリー温度を低下させた。ジャーナル オブ マテリアルズサイエンス19: 1000-06 (1984)に記載の、ヘンリー氏他によるクロムを含有する鉄の豊富な非結晶質の合金の磁気測定:メスバウアー研究とB-Hループ、および、Springer-Verlag, Berlin (1991)に記載の、Wijn氏による金属要素、合金、および、化合物の磁気特性を参照して欲しい。
また、非結晶質のマイクロワイヤ要素の磁気特性を変化させるのに、Feベースの、および、Coベースの合金に対する他の化学変化を利用できる。例えば、あるFCZBN合金のFeにCoを置き換えでき、結果的なキュリー温度は、Co含有量の増加に伴って正弦波のような挙動を示し、3原子%のCoと12.5原子%のCoの2つの最大値と7.5原子%のCoの最小値を示す(ジャーナル オブ フィジカルサイエンス:凝縮物質Vol. 16 6325-34 (2004)に記載の、ヤオ氏他による高ガラス形成能力を有する非結晶質のFe Co Zr B Nb合金のキュリー温度のCo依存性)。磁気学におけるIEEE会議記録Vol. 22, 1349-51 (1986)は、高いリン含有率を有するCo-Pの非結晶質の合金を電解入手できる工程を示している。これらの合金のキュリー温度は、28-29%Pまでの組成物に対するキュリー温度における線形的な挙動を示している。一定のキュリー温度は、より高い濃度において観測されている。
上述したように、第1の実施形態は、マイクロワイヤが、温度センサ全体の詳細設計温度範囲内の(通常、約400℃未満の)個別の温度で常磁性になるように、化学的性質を変更した複数の磁気マイクロワイヤ温度検出要素を利用しているのが好ましい。例えば、図4は、アレイ36を形成する合計4つの温度検出用のマイクロワイヤ28-34を有する温度センサ26を示している。それぞれの4つの温度検出用のマイクロワイヤ28-34は、クロムの原子割合の増加などの、従来のテクニックのどれかを使用することでその化学的性質を変更させ、その結果、マイクロワイヤのキュリー温度が異なり、温度センサ26の正常な動作温度範囲をすべて超過している。残りの2つのマイクロワイヤ38とマイクロワイヤ40は、データ要素である。また、任意の永久磁石のバイアス磁界素子41を使うことができる。
図4の実施形態では、4つの温度検出用のマイクロワイヤ28-34は、平行に配置され、間隔42は、それぞれの隣接するマイクロワイヤの半径の合計と等しく(間隔42は、半径の合計よりも大きくても良い)、また、温度がモニターされるオブジェクト44に、マイクロワイヤを接着する(図示しない)熱伝導性の接着剤で結合される。
この例示的な実施形態では、それぞれのマイクロワイヤ28-34と38-40の磁気保磁力は、6本のマイクロワイヤのそれぞれを、アレイ全体の中のその位置順におけるそれぞれの磁場発生中に確実に独自に検出可能にするために、その合金における適切な化学変化、厳密に言えば、それぞれの合金のクロム含有率によって変化させる。もちろん、合金の化学的性質の変更用、および、飽和保磁力の調整用の他の従来技術のテクニックは、この目的のために使用できる。さらに、6本のマイクロワイヤ28-34と38-40のそれぞれは、かなり長い(例えば、40mm)マイクロワイヤ38以外は同じ長さ(例えば、20mm)のものである。マイクロワイヤ38のこの余分な長さによって、このデータ要素のマイクロワイヤからの検出された再磁化ピークは、他のすべての再磁化ピークよりも振幅が確実に大きくなる。
図10は、温度センサ26によって検出されたオブジェクト44の温度に対応する温度を検出するのに使用される例示的なディテクタ装置46を示す。ディテクタ装置46は、送信機ユニットが、温度センサ26を査問するための交流磁場を作成可能なように、磁場発生コイル50に接続した周波数ジェネレータ48の形態で、交流磁場送信機ユニットを広く含む。ディテクタ装置46全体は、さらに、ディジタルの信号処理ユニット54に動作可能に接続した磁場受信コイル52と温度表示56を含む。図示したように、信号処理ユニット54は、通信ポート58と60を備えていて、接続部62で周波数ジェネレータ48に動作可能に接続しても良い。さらに、周波数ジェネレータ48は、ジェネレータの遠隔操作を可能にする任意の入力61を備えても良い。
信号処理ユニット54は、温度センサ26の査問のときに受信した磁場摂動情報を解読する能力を有する解読アルゴリズムを使用して動作している。解読アルゴリズムは、本発明に係る異なったセンサのための、信号処理ユニット54に関連したメモリ内に格納された1つ以上のルックアップテーブルの形態の中にあるのが好ましい。温度センサ26に固有のディテクタ装置46の場合では、温度ルックアップテーブルは、4つの温度検出用のマイクロワイヤ28-34のそれぞれのための予測された位相位置(ストップビットから、および/または、相互の位相関係)、および、マイクロワイヤ20のアレイ36からの受理できる検出されたビットコードのそれぞれを報知する温度の両方を有する。(いくつかのビットコードは、キュリー温度の段階的なマイクロワイヤの順に応じた論理的な意味にならず、ディテクタ装置46によって誤読されたものであるので、受理できないかもしれない。)
説明したように、温度センサ26とディテクタ装置46は、ディテクタ装置46が温度センサ26の適切な査問によってオブジェクト44の温度を確認することができるように関連付けられる。そのような相関関係は、温度センサ26のビット論理を、解読アルゴリズムと一致させること、この場合は、信号処理ユニット54のメモリに収納された温度ルックアップテーブルと一致させることを伴う。当業者は、様々なビット論理と対応するアルゴリズムテーブルを提供できることを理解するだろう。しかしながら、以下の検討は、図10の温度センサ26とディテクタ装置46との関連における1つの例示的なシステムを提供する。
再度、図4を参照して、4つの温度検出用素子のマイクロワイヤ28-34の最下位ビットが、「第1の」マイクロワイヤと命名できる、マイクロワイヤ28であると仮定して欲しい。その結果、オブジェクト44が、第1のマイクロワイヤ28のキュリー温度よりも低温であるときに、第1のマイクロワイヤ28は、ディテクタ装置46が発生する交流磁場の影響に基づく特有の短い再磁化パルスを発生させつづけるだろう。オブジェクト44が、第1のマイクロワイヤ28のキュリー温度よりも高温を有するとき、第1のマイクロワイヤ28は、適用された交流磁場の影響に基づく短い再磁化パルスをもはや発生させないので、ビットの検出された温度検出要素アレイから、ビットが消されていく(「0」値)だろう。
残りの温度検出用のマイクロワイヤ30-34のそれぞれは、マイクロワイヤのキュリー温度が、連続的に、かつ、段階的に、第1のマイクロワイヤ28よりもわずかに高温であるように、そこにそれぞれの化学的に変更された合金を有する。したがって、「第2の」マイクロワイヤ30は、第1のマイクロワイヤ28よりもわずかに高温のキュリー温度を有し、「第3の」マイクロワイヤ32と「第4の」マイクロワイヤ34のそれぞれは、連続的に、低い順位のマイクロワイヤよりもわずかに高温のキュリー温度を有する。このように、マイクロワイヤ30-34の再磁化パルス(ビット)は、第1のマイクロワイヤ28とすべての先行する低い順位のマイクロワイヤよりも高温のそれぞれの温度での適用された磁場の影響を受けて、ディテクタ装置46から消滅する(すなわち、「0」という値になる)だろう。
例えば、オブジェクト44が、第1のマイクロワイヤ28と第2のマイクロワイヤ30の両方のキュリー温度よりも低温を有する場合は、アレイ36のすべてのビットは、ディテクタ装置46によって読まれる(すなわち、「1」という値になる)だろう。オブジェクト44が、第1のマイクロワイヤ28のキュリー温度よりも高温を有し、第2のマイクロワイヤ30のキュリー温度よりも低温を有する場合は、第1のビットは、「0」という値としてディテクタ装置46から消滅し、マイクロワイヤ30-34に対応する残りのビットは、ディテクタ装置46によって「1」という値として読まれるだろう。
上述したように、ディテクタ装置46は、第1の温度ビットの消滅と、第2の温度ビットの出現と、より高温のすべてのビットの出現が、オブジェクト44の温度が第1のマイクロワイヤ28と第2のマイクロワイヤ30(温度ビット)の第1と第2のキュリー温度の間のどこかに存在することを意味していると認めるアルゴリズムをルックアップテーブルの形態で含む。(ここに使用されるように、センサの温度か、または、オブジェクトの温度の検出か測定は、温度範囲内の単一の温度、または、近似された温度を参照できる。)したがって、アレイ36が発生する温度検出ビットデータを読むことによって、および、このデータのバイナリの値を興味があるルックアップテーブルに関連付けることによって、第1と第2のマイクロワイヤのキュリー温度の間隔で定義された温度範囲内で、オブジェクト44の温度を測定できる。もちろん、この論理は、簡単な図4の例の、4つの温度検出用のマイクロワイヤ28-34のすべてに適用される。
与えられた磁気素子温度センサの温度検出マイクロワイヤのナンバーNが、既知の増加する逐次順の特定されたキュリー温度を有する場合は、そして、このキュリー温度を、1つからもう1つへのその増分内で少なくともほぼ一致するように選択する場合は、センサは、第1から第Nのキュリー温度まで温度を検出できる。そのようなセンサの分解能は、連続したキュリー温度の間の増分である。連続したキュリー温度が、厳密に一致していなくても、関連ルックアップテーブルを組み立てることができ、センサが適切に機能できることが理解されるだろう。
この実施形態のマイクロワイヤ合金は、合金がマイクロワイヤに処理される前、または処理された後に、定量化されたキュリー温度を有することができる。こんなやり方で、完全なマイクロワイヤセンサ一式を、温度検出用に較正できる。与えられた温度範囲を測定するために、定量化されて温度範囲内でほぼ等しく間隔を開けたキュリー温度を有するマイクロワイヤの本数が増えれば増えるほど、マイクロワイヤの温度センサの分解能はより高くなる。この実施形態に係る温度センサは、少なくとも20本の温度検出マイクロワイヤを有し、そのマイクロワイヤのそれぞれは、連続的により高温に至るキュリー温度を有し、連続するマイクロワイヤの間の5℃以下の増分を有する、第1から第Nまでのマイクロワイヤを有するのが好ましい。
ある温度検出マイクロワイヤがその他のマイクロワイヤとの適切な順序で消滅しない場合は、(リーダ/ディテクタによる誤読、その他のものとの熱接触の不足、または、他の理由のために、)受理できるルックアップテーブルの値の不足によって、ディテクタ装置46のリーダ/ディテクタアルゴリズムが、温度センサ26の再読を試みるのが好ましい。連続的な再読が同じ異常な温度データを示す場合は、リーダ/ディテクタのアルゴリズムは、温度データを捨てて、最後に測定された温度、(または、最後に測定された温度変化率と読み込み時間間隔を含む計算に基づいて、最後に測定された温度プラス差分温度)を使用し、そして、その次に予定されていた読み込み間隔のときに再度試みることができる。すべてのマイクロワイヤを相互に、および、その温度が測定されるオブジェクト44と確実に良好に熱接触させるために、工程を踏むのが好ましい。そのような工程の1つは、薄い熱伝導性の基板にすべてのマイクロワイヤを取り付けることである。もう1つの工程は、以下に説明するように、熱伝導性のケース入り材料か、熱伝導性のポット入り材料を使うことである。
最大40本のマイクロワイヤが、周期内に検出可能であることが知られているが、それに従って、この実施形態の磁気素子温度センサは、温度検出用のマイクロワイヤ20を4本よりもずっと多く、(ストップビットを数えない)データ要素を1つよりもずっと多く含んでも良い。特に、それぞれがマルチビットデータでコード化される場合は、(線形か非線形の関係定数などの)相関関係情報を保存するのにデータ要素を使用でき、その相関関係情報によって、ディテクタアルゴリズムは、「特定の数値」(温度ビット)を関連した温度値に解読できる。これは、ルックアップテーブル法が使用されていないところで、特に貴重である。したがって、磁気素子の温度センサ26は、永久的なIDコード、または、「オブジェクトのクラス」コードのようなデータを、データ要素内に保存できる。「オブジェクトのクラス」コードを保存するこの能力によって、単一のリーダ/ディテクタアルゴリズムは、マイクロワイヤ温度センサのいくつかの異なったタイプを読み込むことができ、その温度センサのそれぞれは、それ自身の独自のルックアップテーブルを有し、正しい温度を解読することができる。
多くの異なったコード化/解読方法を、本発明の範囲から逸脱せずに、温度センサ26とディテクタ装置46で使うことができるのが理解されるだろうが、ただし本発明は、それぞれの温度検出マイクロワイヤが、ディテクタ装置46が発生する交流磁場の影響を受けて、キュリー温度より高温で再磁化パルス特性を失うように設計されることを条件とする。1つのオプションはバイアス磁界素子41の使用であり、これは、ディテクタ装置46が発生し、それぞれのマイクロワイヤの再磁化のために保磁力を超える必要がある外部磁場の振幅を、それぞれの個別のマイクロワイヤ28-34と38-40に対する異なった近接性により差別化するのに役立つ。これは、ディテクタ装置46によって検出された再磁化ピークにおける位相差を発生させ、その結果、6本の個別のマイクロワイヤの差別化を促進する。他の変形は、温度検出要素とデータ要素との間のストップビット、または、「描写」ビット、非温度データのコード化と解読、および、その磁気応答を変化させるためのマイクロワイヤのいくつか、または、すべての異なった長さを決定するための手段を無制限に含むだろう。さらに、個別の温度検出マイクロワイヤのキュリー温度付近の温度での磁気特性における変化は、その検出可能な再磁化パルスを変化させるが、完全には除去できない。そのような変化した再磁化パルスは、キュリー温度よりも低温の特定の温度範囲にわたる予測可能な挙動を有し、また、温度情報を解読するのに使用しても良い。これによって、それぞれの温度検出マイクロワイヤは、正確に1つ以上の温度、例えば、キュリー温度よりも低温の小さい間隔からキュリー温度までを検出することができる。
第2の実施形態:強磁性シース付きの温度検出用のマイクロワイヤ
この第2の実施形態は、温度検出用の複数の複合マイクロワイヤ66を有する磁気素子の温度センサ64を含み、その複合マイクロワイヤ66は、上述した従来技術のタイプの磁力によって影響されやすく、そのキュリー温度の意図的な低下がなく、温度センサ64の全ての動作範囲にわたって、図2に示したように、その大きいバルクハウゼン不連続性と他の磁気特性を保有するようなマイクロワイヤを、それぞれ含む。このマイクロワイヤの構造体は、さらに、周囲の管状構造体68を含む。第2の実施形態全体は、さらに、温度センサ64の査問から得られた温度情報を解読できるアルゴリズムを格納したディテクタ装置46と同様のマイクロワイヤ温度ディテクタを含む。
特に、それぞれの複合マイクロワイヤ66は、複合マイクロワイヤ66のこの内部が、前述した従来技術のマイクロワイヤ20と概念的に全く同じであるように、中間のガラスコーティング72に囲まれた最も内側の合金70を有する。さらに、複合マイクロワイヤ66の管状構造体68は、ガラスコーティング72を囲む強磁性金属、または、(NiZn、または、MnZnなどの)フェライト材料の管状シース74、および、管状シース74を囲む任意の最も外側のガラスコーティング76を含む。管状シース74は、マイクロワイヤがディテクタが発生する交流磁場内に配置され、しかも、強磁性の管状シース74のキュリー温度よりも高温(、または、キュリー温度付近のある温度よりも高温)のときだけ、それぞれの内側のマイクロワイヤ用の合金70が、特徴的な摂動(と、その結果、ディテクタで再磁化電圧パルス)を発生するように、慎重に選ばれたキュリー温度を有する。したがって、複合マイクロワイヤ66が、強磁性の管状シース74のキュリー温度よりも低温(、または、このキュリー温度付近のある温度よりも低温)になったときに、管状シース74は、強磁性であり、その結果、複合マイクロワイヤ66の特徴的なパルスを変化させる。これは、管状シース74が引き起こした磁気飽和のために、複合マイクロワイヤ66の再磁化を防ぐことができるか、または、複合マイクロワイヤ66からのバイアス信号、または、「変化した」信号として、結果的に再磁化させることができる。例えば、再磁化パルスは、シースのキュリー温度よりも高温でその位置から位相をオフセットさせることができるか、または、シースのバイアス効果は、複数の異なった設定温度よりも低温と高温で再磁化応答を変化させることができる。
複合マイクロワイヤ66が、管状シース74のキュリー温度よりも高温になったときには、シースは、常磁性になって、その結果、合金70の特徴的なパルスに対して無効になる。したがって、管状シース74の個別のキュリー温度よりも高温(、または、このキュリー温度付近のいくつかの温度よりも高温)では、通常、複合マイクロワイヤ66は、正常に動作する。(すなわち、その複合マイクロワイヤ66は、ディテクタ装置46に、ルックアップテーブル内に記録された、または、他のある解読アルゴリズムを通して記録されたのと同じ位相か振幅か同様のもので電圧パルスを検出させる。)しかしながら、複合マイクロワイヤ66が、その管状シース74の個別のキュリー温度よりも低温になったときには、複合マイクロワイヤ66は、ディテクタで検出できないか、または、検出できるが、特に複合マイクロワイヤ66の管状シース74のキュリー温度よりも高温で検出された特徴的なパルスに関する複合マイクロワイヤ66の磁気特性を変化させる。そのような変化した磁気特性は、周波数ジェネレータ48からの交流電流に対する位相関係やパルス持続時間などのように、ルックアップテーブル、または、他の解読アルゴリズムのパラメータに合わないだろう。
管状シース74を構成する材料が強磁性金属の場合は、管状シース74は、たった数ミクロンの厚さ、または、内側のマイクロワイヤ用の合金70の飽和と製造性のために必要な厚さであっても良い。強磁性の管状シース74を形成する1つの方法は、「非結晶質のマイクロワイヤとその製造方法」と題した米国特許番号7,011,911で説明されている。他の方法は、フレーム溶射かスパッタリングを含んでいる。管状シース74を作成するのにこれらの方法を使用する場合には、最も外側のガラスコーティング76は必要ない。また、変更されたテイラー法を使用して、内側のガラスチューブが、外側のガラスチューブの壁面内に存在するように、内側のガラスチューブと外側のガラスチューブとを、同軸上に伸縮自在に並べても良い。合金70は、(ロッド形状の)インゴット内の、または、構成している金属製型枠内のセンターガラスチューブの内側にあるが、管状シース74を構成する材料は、嵌め合わせたガラスチューブの間に配置される。このシースの材料は、インゴット内(おそらく、数個のロッド)、または、構成している金属製型枠内にあっても良い。合金は、磁気誘導、または、他の適した手段によって溶かすために加熱され、結果の溶けた金属とガラスは、速やかに引っ張り成形されて、複合マイクロワイヤ66を形成する。
特定の金属の微量元素の添加によって、強磁性合金のキュリー温度を調整する手法は、従来技術の中で公知である。したがって、管状シース74を構成するのにいろいろな合金を使用しても良い。図9は、真の合金を形成するために、強磁性金属元素(この場合はニッケル)に対してある金属(この場合は銅)を少し追加することが、予測可能な方法で結果の強磁性合金のキュリー温度を変化させることができることを示す。また、鉄に対する少量のクロムの追加は、キュリー温度が予測可能な合金をもたらす。銅とアルミニウムを含有するニッケルのキュリー温度の変更に関する検討については、米国特許番号5,954,984を参照して欲しい。
管状シース74の製作に使用される合金、または、フェライト材料は、合金、または、フェライト材料が管状シース74内で処理される前、または、後に定量化されたキュリー温度(、または、そのキュリー温度付近の規定温度)を有する。したがって、温度検出のために、磁気素子の温度用のディテクタ装置46を容易に較正できる。従来と同様に、所定の温度範囲を測定するために、シースのキュリー温度が定量化されて、温度範囲内でほぼ等しく分割された温度検出用の複合マイクロワイヤ66を増やせば増やすほど、温度センサの分解能は高くなる。温度検出用の少なくとも20本の複合マイクロワイヤ66を有し、そのそれぞれが次に最も低い順位のシースに対してせいぜい5℃ずつ連続的に上昇するシースのキュリー温度を有するのが好ましい。もちろん、管状シース74が、(例えば、再磁化パルスの位相をシフトして検出可能にすることによって)、管状シース74のキュリー温度付近の温度範囲にわたって複合マイクロワイヤ66の再磁化パルスを変化させる場合は、ディテクタがある範囲内のそれぞれの複合マイクロワイヤ66の複数の温度を検出して解読し、その結果、センサが広範囲にわたる温度を正確に測定できるように、より少ない複合マイクロワイヤ66を必要としても良い。
管状シース74を構成する材料が、フェライトかフェライトとの何らかの混合材料の場合は、シースは、合金70と周囲のガラスコーティング72をその中に配置することができるように中央の穴を有する、ガラスコーティング72、離れた円筒形状のビード、または、他の焼結したフェライトの円筒形状のオブジェクトのいずれかに接着されていても良い。あるいは、純粋なガラスの代わりにガラスコーティング72にガラスフェライトの材料を使用することによって、管状シース74を、ガラスコーティング72の一部として形成できるだろう。「レーダー吸収コーティング」と題した米国特許番号6,909,395は、金属ワイヤ、または、他の形状の金属オブジェクトのいずれかに直接接着して使用できるか、または、金属に既に接着している純粋なガラスの層に接着できるフェライト/ガラス複合材料を説明している。
図6を参照すると、温度センサ64は、データ素子のアレイ78を表す複数のマイクロワイヤ20、および、温度検出のアレイ80を形成する温度検出用の複数の複合マイクロワイヤ66を含む。マイクロワイヤ20と複合マイクロワイヤ66は、温度測定目的のために(図示しない)オブジェクトに良好に熱接触するように温度センサ64を配置できるように、できるだけ薄くて熱伝導性の良いセンサ、または、タグ基板82に取り付けられる。
データ素子のアレイ78を構成するマイクロワイヤ20は、温度センサ64のために、通常、約400℃よりも低温で計画された動作温度範囲よりも高温の個別のキュリー温度を与える化学的性質を有する。個別のマイクロワイヤの管状シース74がキュリー温度よりも高温になった時点で、個別の複合マイクロワイヤ66のそれぞれの強磁性、または、フェライトの管状シース74が隣接する複合マイクロワイヤに影響しないように、温度検出のアレイ80内の複合マイクロワイヤ66は、距離84だけ離して間隔を開けるのが好ましい。
この簡単な実施形態では、データ素子のアレイ78のそれぞれのデータ要素が、「1」か「0」の論理状態にレーザでコード化されていると仮定する。さらに、それぞれのデータ要素が、かなり長い(例えば、40mm)端のデータ素子のマイクロワイヤ83と端のデータ素子のマイクロワイヤ86以外は同じ長さ(例えば、20mm)であると仮定する。この余分な長さによって、データ素子のマイクロワイヤ83とデータ素子のマイクロワイヤ86からの検出された再磁化ピークの振幅は、他のものよりも確実に大きくなる。最終的に、データ素子のマイクロワイヤ83が、論理値「1」にレーザでコード化され、データ素子のマイクロワイヤ86が、論理値「0」にレーザでコード化されると仮定する。第1の実施形態で説明したように、データ素子のアレイ78と温度検出のアレイ80の両方の要素のそれぞれは、検出された位相順が、最初(データ素子のマイクロワイヤ83)から最後(複合マイクロワイヤ88)まで、図示された整列順と一致するように構成され、後者は、温度検出のアレイ80の複合マイクロワイヤの最も高温のシースのキュリー温度を有する。そのような場合には、ディテクタ装置46は、(位相関係における)最初に検出された最も高い振幅を有するパルスに対して、(データ素子のマイクロワイヤ83としてここに図示された)スタートビットとして論理レベル「1」を割り当て、そして、最後に検出された最も高い振幅を有するデータ素子のマイクロワイヤ86に対して、ストップビットとして論理レベル「0」を割り当てる。スタートビットのデータ素子のマイクロワイヤ83とストップビットのデータ素子のマイクロワイヤ86の間のすべてのデータマイクロワイヤは、データビットとして、マイクロワイヤ温度のリーダ/ディテクタによって検出される。第1の実施形態で説明したように、タグ識別番号や「オブジェクトのクラス」コードなどの様々な機能に、間のデータマイクロワイヤを使用できる。
温度センサ64から温度情報を解読するために、強磁性の管状シース74を有する「N」個の複合マイクロワイヤが温度検出のアレイ80にあり、温度センサ64の正常な動作範囲の間で、それぞれの管状シース74のすべてが超過されたキュリー温度を有する(、または、キュリー温度「付近」の規定温度を有する)と仮定する。これらのN個の複合マイクロワイヤ66の最下位ビットは、ストップビットのデータ素子のマイクロワイヤ86の直後の位相関係で、および、ストップビットのデータ素子のマイクロワイヤ86からの所定の位相関係で検出され、「第1の」複合マイクロワイヤ89であるとする。したがって、第1の複合マイクロワイヤ89は、管状シース74のキュリー温度よりも高温でのみ、正常な短いパルス摂動を発生し始めるので、ディテクタ装置46は、電圧パルス(ビット)だけを検出するだろう。第1の複合マイクロワイヤ89は、管状シース74のキュリー温度よりも低温では正常な短いパルス摂動を発生しないので、ディテクタ装置46が検出したビットからそのビットが失われるか、または、「変化した」マイクロワイヤとしてディテクタ装置46が明確に検出可能なほどそのパルスが変化させられるか、のいずれかだろう。
ストップビットのデータ素子のマイクロワイヤ86からの位相関係における「第2の」複合マイクロワイヤ90(最下位の次のビット)は、第1の複合マイクロワイヤ89よりもわずかに高温のキュリー温度の強磁性の管状シース74を有する。ディテクタ装置46によって、第2の複合マイクロワイヤ90のビットは、読み込まれないか、または、その電圧信号は、このより高温のシースのキュリー温度(、または、シースのキュリー温度付近のより高い温度)よりも低温で「変化した」ように検出されるが、電圧信号は、第1の複合マイクロワイヤ89よりも高温で、予想通りの位相と持続時間で見えるだろう。
したがって、温度センサ64が、第1の複合マイクロワイヤ89と第2の複合マイクロワイヤ90の両方のキュリー温度よりも低温(、または、キュリー温度未満の指定温度)にさらされる場合は、(温度検出のアレイ80内のその後のより高い順の複合マイクロワイヤのすべてが、より高温のキュリー温度を持つ管状シース74を有すると仮定すれば、)いかなる複合マイクロワイヤもディテクタ装置46によって検出されないだろう。温度センサ64が、第1の複合マイクロワイヤ89のシースのキュリー温度(、または、関連した温度)よりも高温で、第2の複合マイクロワイヤ90のシースのキュリー温度(、または、関連した温度)よりも低温にさらされる場合は、ディテクタ装置46によって、第1のビットは読み込まれるが、第2のビットは、ディテクタ装置46によって読み込まれないか、または、ディテクタが読み込むような「変化した」信号を有するだろう。最後に、温度センサ64が、第1の複合マイクロワイヤ89と第2の複合マイクロワイヤ90の両方のシースのキュリー温度(、または、関連した温度)よりも高温にさらされる場合は、ディテクタ装置46によって、第1と第2の複合マイクロワイヤの両方が読み込まれるだろう。
ディテクタ装置46は、第1の複合マイクロワイヤ89の第1の温度ビットの出現と、第2の複合マイクロワイヤ90の第2の温度ビットの欠如(、または、変化)とを認識する解読アルゴリズムを含み、その結果、センサ温度が第1のシースのキュリー温度と第2のシースのキュリー温度の間のどこかに存在していることを示す信号を温度表示56を介して送る。したがって、温度センサ64が、温度に関心があるオブジェクトに良好に熱接触するように配置される場合は、温度センサ64の複合マイクロワイヤのアレイビット出力を読み込むことによって、ディテクタ装置46は、第1と第2のシースのキュリー温度(、または、それらのキュリー温度付近のそれらのそれぞれの温度)の間隔によって定義された温度範囲内で、オブジェクトの温度を測定する。
シースのキュリー温度が連続的に増加する順にあるとわかっている温度センサ64の複合マイクロワイヤ66の数が、「N」個まで増加し、そして、このシースのキュリー温度が、互いにその増分が少なくともほぼ一致するように選択される場合は、温度センサ64は、第1から第Nのシースのキュリー温度までの検出可能な温度範囲を有し、そして、連続したシースのキュリー温度の間の増分によって定義された温度分解能を有する。
さらに一般的には、ディテクタ装置46の解読アルゴリズムは、正常なパルス状態で対応する複合マイクロワイヤ66から発生される、第1から第N-1までの温度ビットの出現と、正常なパルス状態で第Nの複合マイクロワイヤ66に対応する第Nの温度ビットの欠如とが、センサ温度が第N-1のシースのキュリー温度と第Nのシースのキュリー温度の間(、または、シースのキュリー温度付近のそれらのそれぞれの温度の間)のどこかに存在することを証明することを理解して構築される。ディテクタのアルゴリズムは、このセンサ温度が第N-1と第Nのキュリー温度の中間の温度であると報知するのが好ましい。
許容できる複合マイクロワイヤのビットパターンとそれらの対応するセンサ温度は、ディテクタ装置46のメモリ内のルックアップテーブルの中に格納されるのが好ましい。したがって、許容できるビットパターンがディテクタ装置46によって関連する温度センサ64から検出された場合、このパターンは、関連センサ温度を見つけるためにルックアップテーブルと比較される。
温度検出のアレイ80の1本以上の複合マイクロワイヤ66が、(ディテクタ装置46による誤読、その他の複合マイクロワイヤとの熱接触の欠如、または、他のある理由のために、)その他のものと共に適切な順にそれらの正常な状態で出現しない場合には、ディテクタアルゴリズムは、温度センサ64の再読み込みを試みるのが好ましい。連続的な再読み込みが、同じ異常なビットパターンを示す場合は、ディテクタアルゴリズムは、温度データを捨てて最後に測定された温度(、または、温度の変化の最後の測定された比率と、読み込み時間間隔とを含む計算に基づいた、最後に測定された温度とデルタ温度)を使用し、その後に予定されていた読み込み間隔のときに、再度試みることができる。
第3の実施形態:別個であるが隣接している強磁性飽和要素付きの温度検出用のマイクロワイヤ
第3の実施形態は、概念的に第2の実施形態と非常に類似しているが、第2の実施形態の管状シース74が中央のマイクロワイヤ構造体に接着されるか、または、別の方法で付着されているのと比べると、隣接する温度検出マイクロワイヤの表面に接触する必要がない強磁性シースの飽和要素、または、バイアス要素を別個の構成要件として用いる点で異なる。図7を参照すると、組み合わせマイクロワイヤ92が示され、センサの全ての動作範囲にわたって図2に示されるような大きいバルクハウゼン不連続性と他の磁気特性を保有するように、キュリー温度を意図的に低下させない前述したタイプのマイクロワイヤ20を含む。また、組み合わせマイクロワイヤ92は、隣接する強磁性のシース94を含む。シース94は、マイクロワイヤ20の磁気飽和、または、バイアス再磁化とその結果起こる特徴的な摂動の発生を、組み合わせマイクロワイヤ92が、シース94のキュリー温度よりも高温(、または、キュリー温度付近のある温度よりも高温)になるまで防止するために、関連するマイクロワイヤ20に対して十分近くに配置される。さらに、第2の実施形態の場合のように、シース94は、関連したマイクロワイヤ20がシースのキュリー温度よりも低温の異なる設定温度の下と上とで異なる一連の再磁化応答を示すように設計され、そして、必要に応じて、そのような複数の異なった応答を温度検出と測定のために使用できる。
さらに詳細には、シース94は、強磁性金属の薄い長方形のシートの形状が好ましく、そのサイズは、関連したマイクロワイヤ20よりも極端に幅広くなく、そして、その平面は、半円形に曲げても良い。(または、フェライトの場合は、半円か他のある適した形状に焼結しても良い。)組み合わせマイクロワイヤ92がディテクタ装置46の交流磁場内に曝され、かつ組み合わせマイクロワイヤ92がシース94のキュリー温度よりも高温(、または、キュリー温度付近のある固定温度よりも高温)になったときにだけ、関連したマイクロワイヤ20が信号摂動(、および、その結果、電圧の再磁化パルス)を発生するように、シース94のキュリー温度を慎重に選択する。シース94は、数ミクロンの厚さ、または、関連したマイクロワイヤ20の飽和のために、および、製造容易さのために、必要な厚みさえあればよい。第2の実施形態に関して説明した同じタイプの合金、または、フェライトは、シース94の製作に使用しても良い。さらに、(強磁性粉末、または、フェライト粉末のいずれかを使用する)磁気インクもまた適当であり、組み合わせマイクロワイヤ92のためのサポート基板上に印刷可能であるという有益な効果を有する。
図8を参照すると、示された温度センサ96は、複合マイクロワイヤ66の代わりに組み合わせマイクロワイヤ92を使用することを除いて、あらゆる点で温度センサ64と全く同じである。したがって、図6からの参照数字などは、図8で全く同じ部品を示すのに使用され、記号「a」は、複合マイクロワイヤ66と組み合わせマイクロワイヤ92を区別するのに使用されている。
温度センサ96の働きは、温度センサ64の働きと全く同じであり、温度センサ96と関連付けられた適切な解読アルゴリズム(好ましくは、ルックアップテーブル)を有する同様のディテクタ装置46を利用する。したがって、その働きの詳細な説明は不要である。
上述した3つの実施形態、および、本発明の範囲内の全く別の実施形態は、いくつかの異なった点で変化させることができる。例えば、図4Aは、いくつかの製品へのアプリケーションに有益な効果を有する代替の配置を示している。とりわけ、図4Aでは、第1のオブジェクト44aにはデータ素子のマイクロワイヤ40が取り付けられ、一方、第2のオブジェクト44bには残りのデータ素子のマイクロワイヤ38、4つの温度検出用のマイクロワイヤ28-34、および、任意のバイアス磁界素子41が取り付けられるセンサ26aが示されている。センサ26aのビットロジックは、温度センサ26のビットロジックと全く同じであり、これは、センサ26aの構成部品が第1のオブジェクト44a上と第2のオブジェクト44b上に分離されているが、ディテクタ装置46が発生した交流磁場内にすべてのセンサ部品があるときだけに、センサ26a全体が作動することを意味している。この状態が存在しない場合は、ディテクタ装置46を使用した有効な読み込みは起こらない。例えば、ヒータのディテクタがセンサの両方の部分(、および、その結果、第1のオブジェクト44aと第2のオブジェクト44bの両方)を検出する場合にだけ、ヒータによって2部品のオブジェクトの加熱を制御し、そしてセンサの両方の部分がディテクタ装置46の磁場内に存在する場合を除いてすべての加熱を防止するために、この構成を使用できる。このような場合には、ヒータ制御装置は、通常、ディテクタ装置46の信号処理ユニット54と連動するだろう。
もちろん、2個を超えるオブジェクトが存在するときには、この同じ設計思想を使用しても良い。さらに、上述した方法などのより高度なデータの符号化方法は、センサ26a全体の1つ以上の断片部分を、それらに対応する断片部分と関連付けるのに使用しても良い。そのような方法は、第1のデータ要素40をストップデータビット38のための対応するマルチビットコードでレーザコード化することを含んでも良い。
代替手段図4Aは、第1の実施形態の温度センサ26に関して説明しているが、必要に応じて、第2の実施形態の温度センサ64と第3の実施形態の温度センサ96に同じ変更を用いても良いことが理解されるだろう。
ちょうど、温度センサ26のマイクロワイヤ20の場合のように、温度センサ64と温度センサ96の一部を形成するマイクロワイヤは、オブジェクト44、または、タグ基板82などの熱伝導性の基板に適切な接着剤を使用して接着しても良い。もう1つの代替手段では、マイクロワイヤ20、複合マイクロワイヤ66、および/または、組み合わせマイクロワイヤ92は、圧縮成形、または、射出成形可能なグラファイト入り高分子材料やRIDURIDRの名でSGL Carbonが販売している材料製品群中の1つなどのような非常に薄くて非強磁性の熱伝導性の材料内に包み込まれても良い。他の使用可能な高温の材料は、Ceramamcast510の名でAremcoが販売しているセラミック製陶材料、または、他のフレキシブルな高温のポリマーを含む。そのような材料を使用することで、温度がモニターされるオブジェクトとマイクロワイヤのコア合金材料との間の温度ラグを最小化するために、包み込む材料の厚さと全熱容量は、最小限に保たれなければならない。
さらに、説明した実施形態のマイクロワイヤは、適切になされるなら、糸に撚られるか、または、温度がモニターされるオブジェクトの構造体の中に織り込まれても良い。例えば、良好な熱接触を維持でき、そして、適した技術手段を用いて、互いに、および、それぞれの明瞭に特定された(ストップビットを含む)データ要素からそれぞれの温度を変える要素を区別できさえすれば、マイクロワイヤは、炭素繊維の布の中に織り込まれても良い。
加熱装置用の閉ループフィードバックシステム
この発明の磁気素子温度センサと関連したディテクタは、米国特許番号6,320,169と6,953,919に記載されている閉ループ温度調節誘導加熱システムの中で、RFIDタグ、および、関連したRFIDリーダ/ディテクタの代わりにそれぞれ容易に使用できる。したがって、無数の加熱アプリケーションは、従来のRFIDシステムと類似しているが本発明のセンサ部品とディテクタ部品に交換されたRFID部品を有する温度調節磁気素子技術の誘導加熱システムで達成することができる。例えば、米国特許番号6,953,919に記載のようなスマートレンジ、米国特許番号6,822,204に記載のような熱分配システム、米国特許番号6,504,135、6,444,961、6,274,856、および、6,232,585に記載のような食物配送システム、および、米国特許番号5,954,984に記載の、カップ、ボール、大皿、皿、スキー靴、および、他の品目などの様々な加温装置は、本発明に従って変更できる。さらに、同じ部品(センサとディテクタ)は、閉ループ温度制御の赤外線、ハロゲン、および、抵抗加熱システムなどの誘導加熱をベースとしない他のタイプの閉ループ加熱システムに組み込むことができる。
図11を参照すると、閉ループ誘導加熱システム98は、RFIDリーダ/ディテクタの代わりに、誘導加熱装置100に組み込まれたマイクロワイヤのディテクタ装置46(図10参照)を含む。誘導加熱装置100は、ディテクタ装置46に動作可能に接続された制御用マイクロプロセッサ102、ソリッドステートインバータ104、および、整流器106のみならず、ソリッドステートインバータ104に接続された誘導ワークコイル108を含む。交流電源109と電流センサ109aは、整流器106に動作可能に接続される。磁場発生コイル50と磁場受信コイル52は、サポート要素112の下に配置されたセンサ部品110の中に組み込まれている。
閉ループ誘導加熱システム98は、米国特許番号6,657,170に記載のように、本発明の1つ以上の埋め込まれたマイクロワイヤセンサ116を有するグラファイト加熱ディスク114の温度を制御するように設計される。グラファイト加熱ディスク114は、図示するように、マイクロワイヤセンサ116の上と下にグラファイト層118を有する。もちろんグラファイト加熱ディスク114の代わりに、1つ以上の埋め込まれたマイクロワイヤセンサ116を内部に有する複数層構造の調理器具(例えば、ポットか鍋)などのいかなる他の誘導加熱可能なオブジェクトも制御できる。マイクロワイヤセンサ116からの温度情報のフィードバックは、ディテクタ装置46によって検出され、そして、この情報は制御用マイクロプロセッサ102を介してグラファイト加熱ディスク114の誘導加熱を制御するのに使用できる。必要に応じて、本発明のマイクロワイヤセンサとディテクタは、以下に説明するように、本発明の他の実施形態で、ハロゲンヒータ、抵抗ヒータ、電子レンジ、ガスレンジ、または、電気オーブンなどの他のタイプの加熱装置を制御するのに使用しても良い。
温度センサステッカ
図12-22に示した本発明のもう一つの態様では、上述したものと同様の温度センサは、小皿、大皿、鍋、ポット、ボール、トレー、グラスなどの既存の1つのサービングウェア121にすぐに容易に接着できる裏面接着剤付きの温度センサ「ステッカ」120に組み込まれる。そのような温度センサステッカが1つのサービングウェアに接着された時点で、サービングウェアは、誘導ヒータ、加熱ランプアセンブリ、スチーム加熱ユニット、電子レンジ、または、再磁化応答ディテクタか他のタイプのディテクタかを備えた他のタイプの加熱ユニットの上か近くかに配置しても良い。ディテクタは、サービングウェアの存在、サービングウェアのタイプ、および、サービングウェアのための温度データを検出するために、温度センサを査問する。ディテクタと加熱ユニットに接続されたコントローラは、サービングウェアの温度、または、温度範囲を示す信号や加熱ユニットの循環パラメータ、または、他の動作パラメータを制御するのに使用される信号をディテクタから受信する。したがって、サービングウェアの温度は、連続的に、または、定期的にモニターされ、加熱ユニットは、所望の温度範囲にサービングウェアを加熱するように、および、温度範囲内にそれを維持するように制御できる。
図12-15を参照すると、温度センサステッカ120の実施形態は、1つのマイクロワイヤセンサ122、または、そのような複数のマイクロワイヤセンサを接着剤層126で基板124に接着し、次に、剥離層128で接着剤の露出面をカバーすることによって形成しても良い。リリース層を除去すると、温度センサステッカは、以下に説明するように、サービングウェア(、および、その上に置かれた食物)がモニターされて加熱されるように、1つのサービングウェア121に接着されても良い。
さらに詳細には、マイクロワイヤセンサ122は、上述したように、ガラスでコーティングされた非結晶質の磁気マイクロワイヤセンサであるのが好ましい。温度センサステッカ120は、図示するように、1つ、または、数個のマイクロワイヤセンサ122を含む。それぞれのマイクロワイヤセンサ122は、図14で最良のものとして示すように、複数の平行なマイクロワイヤ130を含むのが好ましい。それぞれのマイクロワイヤセンサ122の中のマイクロワイヤの本数は、温度センサステッカ120の所望の動作範囲、および、必要なデータストレージのビット数に依存する。個別のマイクロワイヤ130の直径は小さくて、約25-35ミクロンであり、長さは10-40mmの間であるのが好ましい。これによって、以下で検討するように、温度センサステッカ120全体を比較的薄くでき、その直径を小さくできる。マイクロワイヤセンサ122を構成するマイクロワイヤ130は、温度センサステッカ120が取り付けられたサービングウェアに関連するデータ、または、情報を格納できる。例えば、マイクロワイヤは、サービングウェアのタイプとサイズ、サービングウェアの加熱特性(、例えば、その熱伝導率と熱容量)、サービングウェア上に標準的に置かれる食物のタイプ、および、サービングウェアの所望の温度か温度範囲を示すデータを格納しても良い。それぞれの温度センサステッカ120は、それぞれのサービングウェア(、および、その上の食物)を適切に加熱できるように取り付けられた特定のサービングウェアに特有のデータを格納しても良い。
基板124は、温度センサステッカ120全体を一緒に保持し、個別のマイクロワイヤ130に、温度センサステッカ120が組み立てられるときに並べるためのやや硬い構造体を提供する。また、基板124によって、温度センサステッカ120を容易に取り扱い、正しい位置に設置し、サービングウェア121上に置くことができる。基板124は、約20mmの直径と0.005インチの厚さの円形であるのが好ましいが、それは、本発明の範囲から逸脱することなく、他の形状とサイズで形成されても良い。基板124は、いかなる適した材料からも形成できるが、PET、ポリエチレン、ポリプロピレンなど、または、セルロース、紙、または、他のパルプタイプの材料などの高分子フィルム材料から形成されるのが好ましい。
基板124は、永久にサービングウェア121上にとどまることができるようにするか、または、水に溶ける材料から選ぶことができる。サービングウェア121と共にとどまるように、基板124が設計される場合は、基板124は、それが取り付けられたサービングウェアよりも高い連続使用温度を有する半透明のフィルムから形成されるのが好ましい。溶解可能な基板では、基板は、Paxar製のDissolvXTMラベルと同様の材料から形成されても良い。そのようなラベル材は、どんな温度でも数秒以内に皿洗い機の中で簡単に分解する。スペクトリムラベルアンドエクイップメント社などの他の数社もまた、基板に適した溶解可能なラベル材を販売している。
接着剤層126は、いくつかの目的に役立つ。まず第1に、それは、マイクロワイヤセンサ122を基板124に対して適切な方向に形成したマイクロワイヤ130を固定する。第2に、それによって、剥離層128が除去されるときに、温度センサステッカ120全体を1つのサービングウェア121に永久に取り付けることができる。使用される接着剤のタイプは、以下の特性を有するのが好ましい:1)それは、マイクロワイヤ130をサービングウェアにしっかりと接着できる。2)それは、サービングウェアの使用環境で長期的に存続することができる。(すなわち、使用したクリーニング溶剤に抵抗力があること、サービングウェアの使用温度で機能できること、など)3)それは、最短時間で容易に硬化できる。
温度センサステッカ120の1つの実施形態では、接着剤層126は、紫外線の光源によって数秒以内に硬化し、サービングウェア121が初めて水で洗われるときに、基板124は溶解する。DYMAXと呼ばれる会社製の、紫外線(UV)硬化型光組立接着剤のDYMAX OPシリーズ製品群から選択された例など、ほとんどどんな接着剤を使用しても良い。UV光にさらして数秒で硬化するこれらの接着剤は、光学的に透明で、高強度で、低応力で高性能なUV硬化型光組立接着剤である。DYMAX OPシリーズのUV硬化型樹脂は、1/4インチ以上のギャップ充填能力、および、長い室温保管寿命を有し、単一の部品で低いガス放出の低収縮樹脂である。それらは、セラミック、ガラス、水晶、金属、および、プラスチック部品のガラスに対する取り付けなどのアプリケーションに理想的である。剥離層128は、デュポンRTedlarR製品群のフッ化ビニル樹脂フィルム、または、3M Fluoropolymer, 2.9 Mil Medical Release Liner 9956のいずれかから選択されたフィルムなどのどんな適した材料から形成されても良い。
図15を参照すると、基板124と剥離層128との間の接着剤層126の厚さは、個別のマイクロワイヤ130の直径よりもずっと大きい必要はない。例えば、直径約30ミクロンのマイクロワイヤ130と併用する場合は、接着剤層126の厚さは、約30-50ミクロンでも良い。リリースフィルムの厚さは、約0.003インチである。(リリース層が取り付けられた)温度センサステッカ120の全厚は、約0.01インチであるのが好ましいが、0.005インチと0.03インチとの間でも良い。
温度センサステッカ120は、接着剤の層の基板上にワイヤをピックアンドプレースする従来技術で広く知られている機械利用手段によって組み立てられても良い。多くの温度センサは、大きい1つのリリースライナを有する大きい1枚の基板シート上で有益な効果を有するように作られ、次に個別の温度センサが大きいシートからダイスで切り出される。
組み立てられた時点で、温度センサステッカ120は、いかなるタイプのサービングウェアにもすぐに容易に取り付けることができる。図12は、小皿の足、または、下側のリム123の中の小皿の底面に温度センサステッカ120が取り付けられたサービングウェア121を示す。温度センサステッカ120は、いかなるタイプのサービングウェアに取り付けられても良いので、小皿は、単に例として示す。
温度センサステッカ120を取り付ける前に、サービングウェア121の取り付けエリアは、最初に、接着剤の接着を妨げるかもしれない油、または、他の汚染物質を取り除くために掃除されなければならない。サービングウェアが小皿、または、同様のオブジェクトである場合は、それは皿洗い機の中で簡単に洗浄されても良い。次に、図13と14を参照すると、接着剤層126の1方の面を露出するために、剥離層128が除去される。次に、サービングウェアに露出した接着面を向けて、温度センサステッカ120全体がサービングウェア上に置かれる。
次に、DYMAXR社製のBlueWaveR200UV光硬化スポットライトなどのUV光硬化スポットライトは、接着剤を硬化させるのに使用しても良い。硬化ライトの光ガイドは、基板上で焦点を合わせられ、露光の約5秒後に接着剤層126が硬化され、そして、マイクロワイヤセンサ122を構成するマイクロワイヤ130がサービングウェア121の下側に永久に接着される。
これらの工程は、他の小皿、または、サービングウェアのために繰り返され、次に、皿洗い機内にすべてのサービングウェアが置かれても良い。基板124が溶解可能な材料から形成されている場合は、それは、図12に示すように、薄いマイクロワイヤ130、および、薄い接着剤層126だけを後に残して、皿洗い機内で溶解するだろう。小皿、または、他のサービングウェアは、こうして今、以下に説明するサービングウェア加温システム内で使用する準備ができている。
温度センサステッカ120をサービングウェアに取り付けるための特定の工程は、変更しても良い。例えば、異なった洗浄用溶剤が、サービングウェア上のアプリケーションエリアを準備するのに使用されても良い。UV硬化可能な接着剤以外の接着剤が使用されるときは、UV光硬化よりむしろ熱硬化か気温硬化が使用されても良いが、接着剤は、いかなる硬化も必要としなくても良い。最後に、基板124は、溶解可能であるというよりむしろ永続的で、その結果、工程内に溶解工程を全く必要としなくても良い。
サービングウェア加温システムの様々な実施形態
温度センサステッカ120が組み立てられて、サービングウェアに接着された時点で、その上に食物を有する1つ以上のサービングウェアは、以下に説明するサービングウェア加温システムによって保温されても良い。サービングウェア加温システムのそれぞれの実施形態は、1つのサービングウェア上の温度センサステッカ120から読み込まれた情報によって、少なくとも一部の電力出力が制御されるある種の加熱ユニットを含む。サービングウェア加温システムは、さらに詳細に以下に説明するような温度フィードバック閉ループ制御法を使う。特定の1つのサービングウェアは、以下のそれぞれの実施形態にとって好ましいサービングウェアとして示されるが、実施形態は、サービングウェアに温度センサステッカ120が取り付けられてさえいれば、様々なサイズ、形状、または、タイプのサービングウェアを使用しても良い。
閉ループ温度フィードバック用マイクロワイヤリーダ/ディテクタ付きの平面ハロゲンヒータ
図16は、デニが売り出したものか、または、Aroma PHP-323電気ハロゲンオーブンのような1つのサービングウェア121上の温度センサステッカ120と通信するアンテナ138を有するマイクロワイヤリーダ/ディテクタ136と電子通信する平面ハロゲンヒータ134を含むサービングウェア加温システム132を示す。平面ハロゲンヒータ134は、電源と制御回路140、ハロゲンヒータの制御用マイクロプロセッサ142、内側リング型ハロゲンランプ144、外側リング型ハロゲンランプ146、反射光ガイド148、および、サービングウェア121が置かれている平面トップ150を含む。電源と制御回路140は、従来の交流電源152から電力を得て、その後、電力を使用して、内側リング型ハロゲンランプ144と外側リング型ハロゲンランプ146に電力を供給するが、電力量は、制御用マイクロプロセッサ142によって測定されて、電源と制御回路140内の切り換え/加減抵抗器制御の影響を受ける。
内側リング型ハロゲンランプ144と外側リング型ハロゲンランプ146は、制御用マイクロプロセッサ142からのコマンドが電源と制御回路140内の切り換え/加減抵抗器制御によって実行された後に、非常に速い反応時間で薄暗くするか、または、完全に消しても良い。平面トップ150の熱容量は小さくて、ほとんどの小皿と他の多くのタイプのサービングウェアは、大部分のサービングウェアが平面トップ150に接触するのを防ぐ高くしたリム123、または、足を有するので、平面ハロゲンヒータ134とサービングウェア121との間の熱エネルギー伝達は、本質的にすべて放射である。したがって、ハロゲンランプの電力出力は、制御用マイクロプロセッサ142によってほとんど即座に調整されるので、平面トップ150上のサービングウェア121の温度調節が高精度でできる。
平面ハロゲンヒータ134がプラグを差し込まれてオンされた時点で、マイクロワイヤリーダ/ディテクタ136は、その関連したアンテナ138に毎秒1回、または、ある他の間隔で1パルスの低周波査問磁場を発生する1パルスの低周波電流を送出する。サービングウェア121が、平面トップ150上にない場合は、制御用マイクロプロセッサ142によって、電源と制御回路140は、内側リング型ハロゲンランプ144と外側リング型ハロゲンランプ146への電力を出力できなくなる。温度センサステッカ120を有する1つのサービングウェア121が平面トップ150上に置かれた時点で、マイクロワイヤリーダ/ディテクタ136は、サービングウェアの存在を検出して、温度センサステッカ120に格納されたデータを読み込む。上述したように、このデータは、サービングウェアのサイズ、その熱伝導率と熱容量などのサービングウェアの加熱特性、通常サービングウェア上に置かれる食物のタイプ、サービングウェアのための所望の温度、または、温度範囲、および、他のあらゆる有益な情報を示しても良い。次に、マイクロプロセッサは、平面ハロゲンヒータ134を制御するのにこのデータを使用しても良い。例えば、制御用マイクロプロセッサ142は、(大きい加熱表面領域を必要とするより大きいサービングウェアのために、)外側リング型ハロゲンランプ146がオンされる必要があるかどうか、または、内側リング型ハロゲンランプ144だけがオンされる必要があるかどうかを決定するのにサイズ情報を使用しても良い。内側リング型ハロゲンランプ144だけがオンされる場合に、光は、反射光ガイド148によって内側のリングランプ上方だけに直接確実に向けられる。これは、ウェイタ、ウェイトレス、または、他の人が自分の手を火傷させずにサービングウェアを持ち上げられるように、(小皿の中央からの最小量の熱伝導を除いて、)サービングウェアの外側のエッジを比較的低温に保つ。
制御用マイクロプロセッサ142がサービングウェアのサイズと所望の温度範囲とを決定した時点で、マイクロワイヤリーダ/ディテクタ136、および、アンテナ138は、サービングウェアの温度を測定するために、毎秒1度、または、他のあらゆる間隔で、温度センサステッカ120を査問し続ける。この温度情報は、内側リング型ハロゲンランプ144、および/または、外側リング型ハロゲンランプ146にどのくらいの電力を適用するかを決定するのに使用される。温度フィードバックに基づいて内側リング型ハロゲンランプ144と外側リング型ハロゲンランプ146の強度を変えること、または、ある可変デューティサイクルでランプのオンオフを単に繰り返すことによって、平面ハロゲンヒータ134は、温度センサステッカ120の予めコード化された温度でサービングウェア121の温度を調節できる。サービングウェアが平面トップ150から除去されるときは、マイクロワイヤリーダ/ディテクタ136は、温度センサがもはや存在しないこと、その結果、内側リング型ハロゲンランプ144と外側リング型ハロゲンランプ146への電流を遮断するハロゲンヒータの制御用マイクロプロセッサ142と通信することを決定する。
閉ループ温度フィードバック用マイクロワイヤリーダ/ディテクタを使用した加熱ランプシステム
1人分の量の食物を保温するのにレストランが使用する一般的な放射加熱法は、ウェイタ、または、ウェイトレスが顧客に小皿を配送するのを待っている間、食物でいっぱいの小皿がセットされるテーブル上、または、カウンタ上に大抵置かれる1つ以上の「加熱ランプ」を使用することである。ここで使用されるような「加熱ランプ」は、赤外線エミッタ、ハロゲンランプ、ハロゲンライト、赤外線電球、赤外線チューブ、または、赤外線ランプを含んでも良い。加熱ランプは、比較的低い量のエネルギーを使用して、急速に加熱し、低価格である。赤外線エミッタは、その低いフィラメント温度において標準的な照明ランプと異なり、非常に少ない光と多い赤外線放射とをもたらす。
加熱ランプは、大抵金属フォーカサーの筐体内の単なるハロゲン電球だが、食物の小皿上に向けて下方にスポットライトを当てるように、赤外線放射の焦点を合わせられる。ハロゲンランプ、電球、チューブ、および、他の形態のエミッタは、電磁スペクトルの短波長端で80%以上の放射熱を発生する。その結果、このエネルギーは、小さい損失で空気中に伝えられ、そのエネルギーが照らす食物と小皿によってのみ吸収される。
図17は、Hatco社が販売したモデルDL-750-CL加熱ランプなどの加熱ランプ156を利用した模範的なサービングウェア加温システム154を示す。加熱ランプへの電流は、制御用マイクロプロセッサ160からの指示を順に受ける電源と制御回路158によって制御される。制御用マイクロプロセッサ160は、送受信アンテナ164に接続されたマイクロワイヤリーダ/ディテクタ162と通信する。ガラス、または、薄い非強磁性カウンタ166は、温度センサステッカ120を備えたサービングウェア121を支持する。サービングウェア加温システムの加熱ランプの実施形態は、加熱技術の違いを除いて、上述した平面ハロゲンヒータの実施形態と実質的に同様に動作する。すなわち、マイクロワイヤリーダ/ディテクタ162が温度センサステッカ120から読み込んだ情報に少なくとも部分的に起因して、制御用マイクロプロセッサ160、および、電源と制御回路158は、加熱ランプ156のオンオフを繰り返す。
食物容器を使用した磁気誘導付きのマイクロワイヤリーダ/ディテクタ、および、閉ループ温度フィードバック用の誘導加熱可能な食物鍋の利用
図18は、誘導コイルまたは誘導素子170、従来の電源174に接続された誘導電源と制御回路172、マイクロプロセッサか他の制御ユニット176、マイクロワイヤリーダ/ディテクタ178、および、関連したアンテナ180を含む誘導加熱システム168を利用したサービングウェア加温システムの実施形態を示す。この実施形態では、サービングウェアは、食物容器184の中に置くことができる食物鍋182である。
コストを最小化するには、1つの食物容器184に対してただ1つのマイクロワイヤリーダ/ディテクタ178、および、関連したアンテナ180が必要である。それぞれの食物鍋182は、食物鍋の小寸法の端部に取り付けられた2つの温度センサステッカ120を有する。もちろん、マイクロワイヤリーダ/ディテクタ178とアンテナ180が温度センサステッカ120を査問できさえすれば、温度センサステッカ120は、食物鍋182の他の部分に取り付けることができる。
食物鍋182は、ポリエーテルスルフォン、または、ポリイミドなどのポリマー鍋ボディー材料を使用して構成されても良い。図19に示すように、銅配線抵抗格子186は、その経路が鍋の側面全体にわたってたどる連続的な回路を形成するように、鍋の外側の表面に接着される。食物鍋の2つの小寸法の端部上には、銅の抵抗回路格子のサセプタ部が存在する。このサセプタ部は、誘導加熱システム168の誘導コイルまたは誘導素子170に磁気的にうまく接続するように、十分なインダクタンスを有して設計される。温度センサステッカ120は、温度センサステッカ120が少なくとも1つの銅配線との熱接触を保証されるように、それぞれのサセプタ部の側面の鍋の底面エッジ付近に、いくつかの銅の抵抗格子配線を横切るように取り付けられる。銅配線は、横断面エリアが全く同じなので、全く同じ程度で加熱されなければならない。したがって、抵抗格子が一定の密度で鍋の表面上に取り付けられる場合は、鍋の加熱は同等とならなければならない。
磁気誘導を備えた食物容器システムの動作は、加熱技術の違いを除いて、加熱ランプの実施形態とほとんど全く同じである。すなわち、図19に示す取り付けた完全な回路加熱用の銅配線抵抗格子186で作られた食物鍋182は、誘導電源と制御回路172と通信するマイクロワイヤリーダ/ディテクタ178が鍋の加熱格子に取り付けられた温度センサステッカ120から読み込んだ情報によって制御される誘導加熱システム168によって一定の温度まで、その表面全体にわたって誘導的に加熱される。加熱は、マイクロワイヤセンサを備えた食物鍋のサセプタ端部に誘導コイルまたは誘導素子170を磁気的に結合することによって銅配線抵抗格子186に沿って流れる誘導電流によって実行される。この誘導電流は、鍋を通ってその中の食物に順番に伝導する、鍋の表面エリアに沿ったジュール加熱を促進する。
閉ループ温度フィードバック用のマイクロワイヤリーダ/ディテクタ付きの水槽の食物容器
複数人分の量の食物を保温するのにレストランが使用する一般的な装置は、「スチームテーブル」である。スチームテーブルは、食物の1つ以上の容器(通常、長方形の鍋)が「食物容器」内の鍋の下を循環する湯、または、蒸気によって保温されるテーブルである。スチームテーブルは、1つの食物容器だけを収容しても良いし、または、ビュッフェスタイルサービスのための多くの食物鍋を収容しても良い。大抵、食物容器は、食物容器内の食物鍋を保温し、その結果、その中の食物を保温するために、水をスチームに変換できるくらい高温まで水を加熱する水槽内のキャルロッド抵抗加熱要素を有する。ビュッフェ卓上鍋システムなどの単一の食物容器のシステムでは、食物容器内の水を加熱するのにしばしば1缶の石油材料が使用される。食物鍋自体は、特徴的には、ステンレススチール、または、ポリエーテルスルフォンやポリイミドなどの高温高分子材料のいずれかから製作される。
図20と21は、サービングウェア加温システムのスチームテーブル188の実施形態を示す。この実施形態では、サービングウェアは、鍋が水中に沈んだキャルロッド発熱体194が発生したスチームによってその表面全体にわたって加熱されるような、標準的な水槽の食物容器192の中に置かれた食物鍋190である。キャルロッド発熱体194の電力は、マイクロワイヤリーダ/ディテクタ200、および、その関連したアンテナ202が鍋上の温度センサステッカ120から読み込んだデータに少なくとも部分的に対応して、マイクロプロセッサ、または、他の制御ユニット198が順に制御する電源と制御回路196によって制御される。
コストを最小化するには、1つの食物容器192に対してただ1つのマイクロワイヤリーダ/ディテクタ200、および、関連したアンテナ202が必要である。それぞれの食物鍋190は、食物鍋(鍋は、通常長方形の形状である)の小寸法の端部に取り付けられた2つの温度センサステッカ120を有するが、温度センサは、マイクロワイヤリーダ/ディテクタ200、および、アンテナ202が温度センサを査問できさえすれば、ほかの場所に配置されても良い。
スチームテーブル188の実施形態の動作は、加熱技術の違いを除いて、加熱ランプの実施形態とほとんど全く同じである。
マイクロワイヤリーダ/ディテクタ付きの電子レンジ
図22は、サービングウェア加温システムの電子レンジ204の実施形態を示す。この実施形態では、サービングウェアは、サービングウェア206、ボール、小皿、マイクロ波に影響されやすい材料を使ったきつね色に焦がす装置、または、他のあらゆるマイクロ波に対して安全な食物容器である。センサを適用したサービングウェア206は、電子レンジ204内に置かれるが、電子レンジ204のマグネトロン208の電力出力は、マイクロワイヤリーダ/ディテクタ214、および、その関連したアンテナ216が温度センサステッカ120から読み込んだ情報に従って、マイクロプロセッサ、または、他の制御装置212が順に制御する電源と制御回路210によって制御される。
マイクロワイヤのアンテナ216が電子レンジの内側のハウジングの外側に置くことができるように、内側の電子レンジのハウジングは、薄い非磁性の板金で製作されなければならないことに注意するのは重要である。低い送受信周波数(100-300Hz付近)によって、マイクロワイヤのアンテナ216は、温度センサステッカ120をうまく読み込むことができる。最大読み込み範囲を実現させ、ユーザが電子レンジ204内のあらゆる位置にサービングウェア206を置き、その場合でも温度センサステッカ120とアンテナ216との間の通信を確実に実現させるために、アンテナ216の表面直径が電子レンジの底面と同じ大きさであることに注意するのもまた重要である。
この電子レンジの実施形態の動作は、加熱技術の違いを除いて、加熱ランプの実施形態とほとんど全く同じである。ほとんどの電子レンジは、マグネトロンの電力の可変のデューティサイクルによってその電力を制御するので、マグネトロンのデューティサイクルのオフ時間にマイクロワイヤリーダ/ディテクタ214、アンテナ216、および、温度センサステッカ120の通信周期を同期させることができる。これによって、マイクロワイヤリーダ/ディテクタ214は、マイクロワイヤヒータ内のマイクロ波の放射にもかかわらず、温度センサステッカ120とうまく通信することができる。
本発明は、添付した図面の中に示される好ましい実施形態を参照して説明されたが、本クレームの中に規定される本発明の範囲から逸脱せずに、同等物が使用されても代替物がここで作られても良いことに注意を要する。例えば、温度センサステッカ120は、クレームの範囲から逸脱せずに、ここで開示されていない材料と形状とサイズで形成されても良い。
本発明の好ましい実施形態を上述のように説明した。新しいものとして特許請求されて特許証によって保護されるべきものは、以下の特許請求の範囲を含む。