JP5625771B2 - 水中目標物検出装置、該検出装置に用いられる目標物検出方法及び目標物検出プログラム - Google Patents
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この水中目標物検出装置10は、発振器11と、送波器12と、受波器13と、受波指向性合成部14と、相関処理部15とから構成されている。送波器12と受波器13とは、兼用で一体化されたものでも良い。発振器11は、送波器12に第1の駆動信号adを与える。送波器12は、発振器11から第1の駆動信号adが与えられることにより、所定の方向に送波ビームを形成して一定の時間間隔で音波パルスapを送波する。受波器13は、図示しない制御部から第2の駆動信号が与えられることにより、所定の方向に受波ビームを形成し、送波器12から送波される音波パルスapが目標物20に到達して反射したときの反射波の直接波df,de及びマルチパス波mf,meを合わせて受波して受信信号wrを出力する。受波指向性合成部14は、受波器13から出力される受信信号wrを入力して、目標物20を指向するように上記受波ビームを指向性合成して合成受信信号trを出力する。
この探知装置では、反射エコーを受信する時間の経過に伴って受信ビームの俯角及び指向角の両方が連動して変化し、探知距離の増加にしたがって指向角が小さくなり、水底からの反射エコーの影響を受けない。
すなわち、図6の水中目標物検出装置10では、目標物20の諸元(たとえば、深度、絶対位置情報など)が不明確なことが多く、正確なマルチパスの計算が行われないので、マルチパスが正確に排除されず、同目標物20のアスペクト及び方位、全長の推定精度が不十分であるという課題がある。
この形態の水中目標物検出装置30は、図5中の水中目標物検出装置10に代えて設けられるものであり、同図に示すように、発振器31と、送波器32と、受波器33と、受波指向性合成部34と、マルチパス補正部35と、相関処理部36とから構成され、たとえば船舶などに係留されて水中に配置され、水中に存在する目標物20を検出する。発振器31は、送波器32に、音波パルスapを発生するための駆動信号adを与える。送波器32は、図示しない所定数の送波用振動子から構成され、発振器31から駆動信号adが与えられることにより、所定の方向に送波ビームを形成して一定の時間間隔で音波パルスapを送波する。
特に、この実施形態では、マルチパス補正部35は、水中目標物検出装置30が配置される水中の深度、もしくは水中目標物検出装置30と目標物20との距離、もしくはその両方に対応して、合成受信信号trの時間幅に対する上記マルチパス波受信信号の時間幅の割合が予め設定されてテーブルなどに保持され、受波指向性合成部34から出力される合成受信信号trのパルスの後端から、当該水中目標物検出装置30の現在の深度、もしくは水中目標物検出装置30と目標物20との距離、もしくはその両方に応じて、対応する上記割合の時間幅の上記マルチパス波受信信号を除去することにより直接波受信信号drを出力する。水中目標物検出装置30の現在の深度は、操作者が海図などに基づいて深度情報を入力することにより、設定される。
これらの図を参照して、この形態の水中目標物検出装置に用いられる目標物検出方法の処理内容について説明する。
この水中目標物検出装置30では、発振器31から送波器32に駆動信号adが与えられ、同送波器32により、所定の方向に送波ビームが形成されて一定の時間間隔で音波パルスapが送波される。そして、受波器33により、所定の方向に受波ビームが形成され、送波器32から送波される音波パルスapが目標物20に到達して反射したときの反射波の直接波df,de及びマルチパス波mf,meが合わせて受波されて受信信号wrが出力される。受波指向性合成部34により、受波器33から出力される受信信号wrが入力され、目標物20を指向するように受波ビームが指向性合成されて合成受信信号trが出力される(受波指向性合成処理)。マルチパス補正部35により、受波指向性合成部34の合成受信信号trから、予め保持されているマルチパス波受信信号の時間幅を特定する情報を基にマルチパス波受信信号が除去されるため、直接波df,deに対応する直接波受信信号drが出力される(マルチパス補正処理)。相関処理部36により、マルチパス補正部35から出力される直接波受信信号drに基づいて、位相の相異なる直接波受信信号dr同士の相関値を算出することにより目標物20が検出される(相関処理)。
たとえば、水中目標物検出装置30は、船舶などに係留されているとは限らず、水中航走体に設けられていても良い。また、送波器32及び受波器33以外の、発振器31、受波指向性合成部34、マルチパス補正部35及び相関処理部36は、船舶などに搭載されていても良い。また、送波器32と受波器33は別々ではなく、両者が兼用された一体化されたものでも良い。また、水中目標物検出装置30が配置される水中の深度は、操作者が海図などに基づいて深度情報を入力する他、送波器32又は受波器33に深度計を付加して計測するようにしても良い。マルチパス波mf,meは、海面SSで反射した波であるが、海底で反射した波を含めても良い。ただし、海底での反射率は、海面反射率に比較して小さいので、含まれていなくても、上記実施形態とほぼ同様の作用、効果が得られる。
32 送波器
33 受波器
34 受波指向性合成部(受波指向性合成手段)
35 マルチパス補正部(マルチパス補正手段)
36 相関処理部(相関処理手段)
Claims (11)
- 水中に配置され、該水中に存在する目標物を検出する水中目標物検出装置であって、
所定の方向に送波ビームを形成して一定の時間間隔で音波パルスを送波する送波器と、
所定の方向に受波ビームを形成し、前記送波器から送波される前記音波パルスが前記目標物に到達したときの反射波の直接波及びマルチパス波を合わせて受波して受信信号を出力する受波器と、
該受波器から出力される前記受信信号を入力して、前記目標物を指向するように前記受波ビームを指向性合成して合成受信信号を出力する受波指向性合成手段と、
前記マルチパス波に対応するマルチパス波受信信号の時間幅を特定する情報を予め保持し、前記受波指向性合成手段から出力される前記合成受信信号のパルスの後端から前記情報に基づいて特定された時間幅を有する前記マルチパス波受信信号を除去すると共に、前記直接波に対応する直接波受信信号を出力するマルチパス補正手段と、
該マルチパス補正手段から出力される前記直接波受信信号に基づいて、位相の相異なる前記直接波受信信号同士の相関値を算出することにより前記目標物を検出する相関処理手段とを備えてなることを特徴とする水中目標物検出装置。 - 前記マルチパス補正手段は、
当該水中目標物検出装置が配置される水中の深度、もしくは当該水中目標物検出装置と目標物との距離、もしくはその両方に対応して、前記合成受信信号の時間幅に対する前記マルチパス波受信信号の時間幅の割合が予め設定され、前記受波指向性合成手段から出力される前記合成受信信号のパルスの後端から、当該水中目標物検出装置の現在の深度、もしくは当該水中目標物検出装置と目標物との距離、もしくはその両方に応じて、対応する前記割合の時間幅の前記マルチパス波受信信号を除去する構成とされていることを特徴とする請求項1記載の水中目標物検出装置。 - 前記相関処理部は、
前記直接波受信信号同士の位相差に基づいて、前記目標物のアスペクト及び方位、全長の推定を行う構成とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の水中目標物検出装置。 - 前記送波器に、前記音波パルスを発生するための駆動信号を与える発振器を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の水中目標物検出装置。
- 当該水中目標物検出装置は、深度がほぼ100m乃至300mの浅海域に配置され、
前記マルチパス波は、
前記送波器から送波される前記音波パルスが前記目標物に到達したときの反射波が前記浅海域の海面で反射して前記受波器に到達した音波であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の水中目標物検出装置。 - 水中に配置され、該水中に存在する目標物を検出する水中目標物検出装置に用いられる目標物検出方法であって、
送波器が、所定の方向に送波ビームを形成して一定の時間間隔で音波パルスを送波し、
受波器が、所定の方向に受波ビームを形成し、前記送波器から送波される前記音波パルスが前記目標物に到達したときの反射波の直接波及びマルチパス波を合わせて受波して受信信号を出力し、
受波指向性合成手段が、前記受波器から出力される前記受信信号を入力して、前記目標物を指向するように前記受波ビームを指向性合成して合成受信信号を出力する受波指向性合成処理と、
マルチパス補正手段が、前記マルチパス波に対応するマルチパス波受信信号の時間幅を特定する情報を予め保持し、前記受波指向性合成手段から出力される前記合成受信信号のパルスの後端から前記情報に基づいて特定された時間幅を有する前記マルチパス波受信信号を除去することにより、前記直接波に対応する直接波受信信号を出力するマルチパス補正処理と、
相関処理手段が、前記マルチパス補正手段から出力される前記直接波受信信号に基づいて、位相の相異なる前記直接波受信信号同士の相関値を算出することにより前記目標物を検出する相関処理とを行うことを特徴とする目標物検出方法。 - 前記マルチパス補正処理では、
前記マルチパス補正手段が、当該水中目標物検出装置が配置される水中の深度、もしくは当該水中目標物検出装置と目標物との距離、もしくはその両方に対応して、前記合成受信信号の時間幅に対する前記マルチパス波受信信号の時間幅の割合を予め設定し、前記受波指向性合成手段から出力される前記合成受信信号のパルスの後端から、当該水中目標物検出装置の現在の深度、もしくは当該水中目標物検出装置と目標物との距離、もしくはその両方に応じて、対応する前記割合の時間幅の前記マルチパス波受信信号を除去することを特徴とする請求項6記載の目標物検出方法。 - 前記相関処理では、
前記相関処理部が、前記直接波受信信号同士の位相差に基づいて、前記目標物のアスペクト及び方位、全長の推定を行うことを特徴とする請求項6又は7記載の目標物検出方法。 - 発振器が、前記送波器に前記音波パルスを発生するための駆動信号を与えることを特徴とする請求項6、7又は8記載の目標物検出方法。
- 当該水中目標物検出装置を、深度がほぼ100m乃至300mの浅海域に配置し、
前記マルチパス波が、前記送波器から送波される前記音波パルスが前記目標物に到達したときの反射波が前記浅海域の海面で反射して前記受波器に到達した音波であることを特徴とする請求項6、7、8又は9記載の目標物検出方法。 - コンピュータを、請求項1乃至5のいずれか一に記載の水中目標物検出装置として機能させることを特徴とする目標物検出プログラム。
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