JP5624870B2 - 発泡成形体および発泡成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
なおこの問題を解決するために、不織布層の目付けを高めて緻密性を向上させることが考えられるが、この場合にはコストがかかるという問題があった。
本発明に係る発泡成形体は、発泡原料が発泡することにより形成された発泡体と、積層された複数の不織布層が一体化されてなり、前記発泡体が形成されるときに発泡原料が含浸することにより該発泡体の表面に一体に固着された補強部材と、を備える発泡成形体であって、前記補強部材は、当該発泡成形体の最も外側に位置する外不織布層と、最も内側に位置する内不織布層と、これらの両不織布層の間に位置する中間積層部と、により構成され、該中間積層部は、前記外不織布層および前記内不織布層それぞれを構成する繊維よりも小径の細繊維で構成された中間不織布層と、該細繊維よりも大径の補強繊維で構成された補助不織布層と、を有するとともに、これらの不織布層が接着により一体化されてなり、前記補強繊維の繊維径は、前記外不織布層および前記内不織布層それぞれを構成する繊維の繊維径よりも小さく、前記中間不織布層の目付けは、前記補助不織布層の目付けよりも小さく、前記補助不織布層の目付けは、前記外不織布層および前記内不織布層それぞれの目付けよりも小さいことを特徴とする。
なお、前記外不織布層および前記内不織布層それぞれの目付けは、20g/m 2 〜60g/m 2 とされ、前記補助不織布層の目付けは、5g/m 2 〜10g/m 2 とされ、前記中間不織布層の目付けは、0.5g/m 2 〜3g/m 2 となっていてもよい。
また前述のように、中間不織布層の目付けを抑えつつ緻密性を確保することができるので、中間不織布層が発泡原料の含浸により硬くなることで中間不織布層の強度を確保することが可能になり、補強部材による発泡体の補強を確実に行い、例えば型崩れを効果的に抑制することができる等の更なる高品質化を図ることができる。
また、補助不織布層を構成する補強繊維が、中間不織布層を構成する細繊維よりも大径であるので、細繊維で構成された中間不織布層を、補強繊維で構成された補助不織布層により補強することができる。したがって、例えば外不織布層、内不織布層および中間積層部を一体化するとき等に、中間積層部の中間不織布層が損傷するのを抑えることができる。
以上のように、中間積層部の中間不織布層が損傷するのを抑えることができるので、中間不織布層の緻密性や機械物性が低下するのを抑制することが可能になり、前述の作用効果を確実に奏功させることができる。
すなわち、外不織布層、内不織布層および中間積層部を、機械的交絡法により一体化するときには中間不織布層に損傷が生じ易く、中間不織布層の緻密性や機械物性を確保し難くなる。しかしながら、前述のように補助不織布層を構成する補強繊維が、中間不織布層を構成する細繊維よりも大径であるので、補助不織布層により中間不織布層を補強することが可能になり、中間不織布層に損傷が生じるのを確実に抑制することができる。また、中間不織布層および補助不織布層が熱融着により接着されるので、これらの不織布層を一体化するときには繊維が損傷し難く、緻密性や機械物性の低下を抑えることができる。
また、中間不織布層をメルトブローン法により形成するとともに、補助不織布層をスパンボンド法により形成するので、前記補強繊維を前記細繊維より確実に大径に形成することができる。
図1に示すように、シート用パッド1A、1Bは、車両のシート1に用いられ、該車両の図示しないシートフレームに固定される。この種のシート用パッド1A、1Bとしては、車両におけるシート1の着座部であるクッションパッドとなるシート用パッド1A、および車両におけるシート1の背もたれ部であるバックパッドとなるシート用パッド1Bが挙げられる。
本実施形態では、クッションパッドとなるシート用パッド1Aを一例として説明する。
図3に示すように、補強部材3は、当該シート用パッド1Aの最も外側に位置する外不織布層11と、最も内側に位置する内不織布層12と、外不織布層11と内不織布層12との間に位置する中間積層部16と、により構成されている。本実施形態では、中間積層部16は、3層の不織布層13、14、15が積層されてなり、補強部材3は全体で5層構造となっている。
そして本実施形態では、中間不織布層13を構成する細繊維は、外不織布層11および内不織布層12それぞれを構成する繊維よりも小径になっている。また、補助不織布層14、15を構成する補強繊維は、前記細繊維よりも大径になっている。
はじめに、外不織布層11および内不織布層12それぞれをスパンボンド法により形成する不織布層形成工程を行う。スパンボンド法は、不織布層を構成する繊維の原料となる例えば熱可塑性樹脂などを、口金から繊維状に押し出し重力等により延伸させて前記繊維を形成し、不織布層を形成する方法である。このスパンボンド法により、繊維径が例えば約15μm以上の不織布層を形成することができる。
この工程では、まず、中間不織布層13をメルトブローン法により形成するとともに補助不織布層14、15をスパンボンド法により形成する。ここでメルトブローン法は、スパンボンド法と同様にして口金から押し出された繊維状の原料の繊維径を、温度が例えば約120〜300℃程度の熱風により小さくさせて前記繊維を形成し、不織布層を形成する方法である。このように熱風を利用することにより、中間不織布層13の繊維径を、例えば約5μm以下にすることができる。なおメルトブローン法では、スパンボンド法よりも繊維の延伸量が小さくなるため、樹脂の物理的配向状態の違いにより繊維の機械強度が劣り易い。
以上で積層部形成工程が終了する。
その後、補強部材3を図示しない金型のキャビティ内に配置するとともに該キャビティ内で発泡原料を発泡させ、発泡原料を補強部材3に含浸させるとともに発泡体2を形成する発泡工程を行う。これにより、補強部材3が発泡体2の表面に一体に固着され、シート用パッド1Aが形成される。
また、補助不織布層14、15を構成する補強繊維が、中間不織布層13を構成する細繊維よりも大径であるので、細繊維で構成された中間不織布層13を、補強繊維で構成された一対の補助不織布層14、15により補強することができる。したがって、中間積層部16の中間不織布層13が損傷するのを抑えることができる。
以上のように、中間積層部16の中間不織布層13が損傷するのを抑えることができるので、中間不織布層13の緻密性や機械物性が低下するのを抑制することが可能になり、前述の作用効果を確実に奏功させることができる。
さらに、補強部材形成工程の際、外不織布層11、内不織布層12および中間積層部16を、機械的交絡法であるニードルパンチ加工により一体化しているため、中間不織布層13に損傷が生じ易くなっている。
以上より、前述の作用効果が顕著に奏功されることとなる。
また、中間不織布層13をメルトブローン法により形成するとともに、補助不織布層14、15をスパンボンド法により形成するので、前記補強繊維を前記細繊維より確実に大径に形成することができる。
例えば、複数の不織布層11、12、13、14、15のうち、中間不織布層13よりも当該シート用パッド1Aの内側に位置する各不織布層12、13、15を構成する繊維は、内不織布層12から中間不織布層13に向かう層毎に漸次、小径になっていなくてもよい。
この検証試験では、比較例1および実施例1〜5の計6種類の補強部材3を準備した。
比較例1の補強部材3は、外不織布層11と内不織布層12との間に、中間積層部16に代えて、スパンボンド法により形成された単層のスパンボンド不織布層を設けた。
さらに、実施例2、4では、各補強部材3における中間積層部16を、中間不織布層13と、一対の補助不織布層14、15と、からなる3層の積層構造体が、3層積層されることにより構成される9層構造とした。
さらに実施例2は、本願発明を適用した上で、比較例1に対して中間積層部16の目付けを同等なものに維持している。
さらに実施例4は、実施例2に対して外不織布層11および内不織布層12の各繊維径を小径にしている。
さらにまた、実施例5は、実施例3に対して外不織布層11および内不織布層12の各目付けを抑えることで、総目付けを一層下げている。
結果を表2に示す。
この結果から、本願発明を適用した上で、中間積層部16の目付けを抑えることにより総目付けを下げても、通気度を同等のものとすることができ、また本願発明を適用した上で、中間積層部16の目付けを同等なものに維持すると、通気度を低下させることができることが確認された。
この結果から、本願発明を適用した上で、外不織布層11および内不織布層12の各繊維径を小径にすることで、通気度をさらに低下させることができることが確認された。
この結果から、本願発明を適用し、かつ外不織布層11および内不織布層12の各繊維径を小径にした上で、中間積層部16、外不織布層11および内不織布層12の各目付けを抑えることにより総目付けを下げても、通気度を同等のものとすることができることが確認された。
また、表2に示した複合物性における引張強度と単品物性における引張強度について検討すると、実施例1、2、4、5のように、単品物性における引張強度が比較例1に比べて低い場合であっても、複合物性における引張強度が比較例1とほぼ同等にまで高められることが確認された。
2 発泡体
3 補強部材
11 外不織布層
12 内不織布層
13 中間不織布層
14、15 補助不織布層
16 中間積層部
Claims (5)
- 発泡原料が発泡することにより形成された発泡体と、
積層された複数の不織布層が一体化されてなり、前記発泡体が形成されるときに発泡原料が含浸することにより該発泡体の表面に一体に固着された補強部材と、を備える発泡成形体であって、
前記補強部材は、当該発泡成形体の最も外側に位置する外不織布層と、最も内側に位置する内不織布層と、これらの両不織布層の間に位置する中間積層部と、により構成され、
該中間積層部は、前記外不織布層および前記内不織布層それぞれを構成する繊維よりも小径の細繊維で構成された中間不織布層と、該細繊維よりも大径の補強繊維で構成された補助不織布層と、を有するとともに、これらの不織布層が接着により一体化されてなり、
前記補強繊維の繊維径は、前記外不織布層および前記内不織布層それぞれを構成する繊維の繊維径よりも小さく、
前記中間不織布層の目付けは、前記補助不織布層の目付けよりも小さく、
前記補助不織布層の目付けは、前記外不織布層および前記内不織布層それぞれの目付けよりも小さいことを特徴とする発泡成形体。 - 請求項1記載の発泡成形体であって、
前記細繊維の繊維径は5μm以下であり、前記補強繊維の繊維径は15μm以上であることを特徴とする発泡成形体。 - 請求項1または2に記載の発泡成形体であって、
前記外不織布層および前記内不織布層それぞれの目付けは、20g/m 2 〜60g/m 2 とされ、前記補助不織布層の目付けは、5g/m 2 〜10g/m 2 とされ、前記中間不織布層の目付けは、0.5g/m 2 〜3g/m 2 となっていることを特徴とする発泡成形体。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の発泡成形体であって、
前記中間不織布層および前記補助不織布層は熱融着により接着され、
前記外不織布層、前記内不織布層および前記中間積層部は、機械的交絡法により一体化されていることを特徴とする発泡成形体。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の発泡成形体を形成する発泡成形体の製造方法であって、
前記外不織布層および前記内不織布層それぞれをスパンボンド法により形成する不織布層形成工程と、
前記中間不織布層をメルトブローン法により形成するとともに前記補助不織布層をスパンボンド法により形成し、これらの不織布層を接着により一体化して前記中間積層部を形成する積層部形成工程と、
前記外不織布層、前記内不織布層および前記中間積層部を一体化して前記補強部材を形成する補強部材形成工程と、
該補強部材を金型のキャビティ内に配置するとともに該キャビティ内で発泡原料を発泡させ、発泡原料を前記補強部材に含浸させるとともに前記発泡体を形成する発泡工程と、を有することを特徴とする発泡成形体の製造方法。
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