JP5624638B2 - シリコンの加工方法、及びエッチングマスク付きシリコン基板 - Google Patents

シリコンの加工方法、及びエッチングマスク付きシリコン基板 Download PDF

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Description

本発明は、微小機械部材などを半導体プロセスによってシリコンウエハから製造する方法、特に、シリコンの構造体をウエハから製造するシリコンの加工方法、エッチングマスク付きシリコン基板などに関する。この構造体は、例えば、弾性部材として用い、振動を行うマイクロ揺動体を構成し、この揺動体は、光偏向器、それを用いた画像形成装置などの光学機器、加速度センサや角速度センサ等のセンサなどに利用され得る。
従来、半導体プロセスによってウエハから製造される微小機械部材はマイクロメータオーダの加工が可能であり、これらを用いて様々な微小機能素子が実現されている(特許文献1参照)。この様なシリコンを微細に加工する方法の一つに、ウエハにエッチングマスクを形成した後、アルカリ水溶液により異方性エッチングを行う方法がある。異方性エッチングとは、シリコンの(111)等価面のエッチングレートが他の結晶面に比べて遅いことを利用して、主に(111)等価面で構成される構造を作成する加工方法である。アルカリ水溶液に浸漬するという簡単な加工方法であり、一括で多くのウエハを処理できるので、安価なマイクロオーダの加工が可能となる。より詳細には、異方性エッチングとは、特定の結晶方位に対してエッチングが進まない性質を持つエッチング液を用いるエッチングであり、特定の結晶面を基準とした微細構造、即ち該結晶面で画された構造体を非常に高い加工精度で作成することができる。異方性エッチング液には、KOH(水酸化カリウム)、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)、EDP(エチレンジアミンピロカテコール+水)、NaOH(水酸化ナトリウム)、ヒドラジン等がある。
シリコンの微小機能素子では、応力を受ける構造体が多く用いられる。そして、この異方性エッチングによれば、加工面が平滑な部材を得ることができる。特に、応力を受ける構造体を形成する場合、平滑な表面は、応力集中を回避できるため、良好な耐久性を有する構造体が製造可能となる。
この様な技術によって形成されるマイクロ揺動体により反射面をねじり振動して光走査を行う光偏向器(特許文献1参照)は、ポリゴンミラー等の回転多面鏡を使用した光走査光学系に比べて、次の様な特徴がある。すなわち、光偏向器を小型化することが可能であること、消費電力が少ないこと、等の特徴がある。特に、マイクロ揺動体のねじり振動の共振周波数付近で駆動することにより、更に低消費電力とできる。
特開平6−232112号公報 特開昭57−8520号公報
しかしながら、ウエハから構造体を異方性エッチングによって製造する方法の課題の一つとして、形成されたエッチングマスクとウエハの結晶軸方向との間にアライメント誤差により加工寸法に誤差が生じるということがある。例えば、この様な構造体をバネとして用い、マイクロ揺動体を構成する場合、加工寸法誤差によりバネ定数誤差が生じることとなる。これは、マイクロ揺動体の共振周波数の製造誤差となってしまうことになりかねない。
上記課題に鑑み、本発明のシリコンの加工方法は、次の様な特徴を有する。すなわち、主面が(100)等価面或いは(110)等価面である単結晶シリコン基板の該主面に、マスクパターンを形成し、結晶異方性エッチングを施して、(111)等価面で構成され幅W1と長さL1を有する構造体を形成するシリコンの加工方法である。そして、前記マスクパターンに、前記構造体の幅W1を決定する決定個所を持たせる。このマスクパターンの幅W1の決定個所の幅は、幅W2を有する。更に、前記マスクパターンの前記長さL1の決定箇所の長さは、長さL2を有し、前記長さL2の中央部付近に、前記幅W2を有する決定個所を存在させ、前記マスクパターンの前記幅W2方向の幅のうち、前記幅W1の決定個所以外の部分の幅は、W max と等しい(ただし、前記長さL1方向と前記長さL2方向とのなす角度の最大許容量をθ とした場合、W max =W2+2・(L2/2)・tanθ )。或いは、前記マスクパターンの前記長さL1の決定箇所の長さは、長さL2を有し、前記マスクパターンの、前記幅W2を有する決定箇所から前記長さL2方向へ距離xの位置の、前記幅W2方向の幅をW(x)とし、前記長さL1方向と前記長さL2方向とのなす角度の最大許容量をθ とした場合、W(x)=W2+2・|x|・tanθ
の関係を満たす
また、上記課題に鑑み、本発明のエッチングマスク付きシリコン基板は、次の様な特徴を有する。すなわち、(100)等価面或いは(110)等価面を主面とする単結晶シリコン基板上に、(111)等価面で構成され幅W1と長さL1を有する構造体の目標形状に対応するマスクパターンを有する。そして、前記マスクパターンは、前記構造体の幅W1を決定する決定個所を有し、前記マスクパターンの前記幅W1の決定個所の幅は、幅W2を有する。更に、前記マスクパターンの前記長さL1の決定箇所の長さは、長さL2を有し、前記長さL2の中央部付近に、前記幅W2を有する決定個所を存在させ、前記マスクパターンの前記幅W2方向の幅のうち、前記幅W1の決定個所以外の部分の幅は、W max と等しい(ただし、前記長さL1方向と前記長さL2方向とのなす角度の最大許容量をθ とした場合、W max =W2+2・(L2/2)・tanθ )。或いは、前記マスクパターンの前記長さL1の決定箇所の長さは、長さL2を有し、前記マスクパターンの、前記幅W2を有する決定箇所から前記長さL2方向へ距離xの位置の、前記幅W2方向の幅をW(x)とし、前記長さL1方向と前記長さL2方向とのなす角度の最大許容量をθ とした場合、W(x)=W2+2・|x|・tanθ の関係を満たす。
また、上記課題に鑑み、本発明のマイクロ揺動体の製造方法は、次の様な特徴を有する。すなわち、支持基板と、ねじりバネと、前記支持基板に対し前記ねじりバネによってねじり軸まわりにねじり振動可能に支持された可動部を有し、前記ねじり軸まわりに少なくとも1つの共振周波数を備えたマイクロ揺動体を製造する方法である。そして、前記シリコンの加工方法により、前記構造体を前記ねじりバネとなる様に形成する。また、上記課題に鑑み、本発明の画像形成装置などの光学機器は、前記マイクロ揺動体の製造方法により作成されたマイクロ揺動体と、前記可動部に設けられた光偏向素子を有する光偏向器を備える。前記光偏向器は、光源からの光ビームを反射・偏向し、該光ビームの少なくとも一部を感光体などの光照射対象物に入射させる。
本発明によれば、構造体の幅W1を決定するマスクパターンの決定個所の幅より、該決定個所以外のマスクパターンの幅を大きくしている。よって、結晶軸方位とエッチングマスクとの間にアライメント誤差があっても、加工寸法誤差の少ない構造体を形成可能なシリコンの加工を実現できる。従って、例えば、本発明のシリコンの加工方法で形成される構造体をマイクロ揺動体のバネとして用いれば、製造によるバネ定数誤差を低減することができる。より詳細には、アライメント誤差を示す角度の最大許容量θ と関連付けてマスクパターンの最大幅を決めることができる。よって、エッチング中の液の更新や発生する気泡の集積などが原因でエッチング速度誤差が生じることや、基板がエッチングされた箇所のエッチングマスクが破損しやすいということがあるが、エッチングマスクの最大幅を規定することで、それらを解決することができ、信頼性の高い加工方法とすることができる。
(a)は本発明の第1の実施形態におけるエッチングマスクパターンを示す上面図、(b)は図1(a)のA−A’線での断面図である。 (a)は本発明の第1の実施形態における構造体を示す上面図、(b)は図2(a)のA−A’線での断面図である。 (a)は本発明の第1の実施形態における構造体の形成単位のエッチングマスクパターンを示す上面図、(b)は本発明の第1の実施形態の構造体を示す上面図である。 (a)は本発明の第1の実施形態においてアライメント誤差が生じたときの構造体を示す上面図、(b)はアライメント誤差が生じたときの構造体を示す拡大上面図である。 本発明におけるシリコンウエハの概略を示す上面図である。 (a)は本発明の第1の実施形態におけるエッチングマスクパターンの詳細を示す上面図、(b)は従来技術におけるエッチングマスクパターンを示す上面図である。 本発明と従来技術におけるアライメント誤差による加工誤差を比較して示すグラフである。 (a)は本発明の第1の実施形態の変形例におけるエッチングマスクパターンを示す上面図、(b)は本発明の第1の実施形態の他の変形例におけるエッチングマスクパターンを示す上面図である。 本発明の第2の実施形態におけるエッチングマスクパターンを示す上面図である。 (a)は本発明の第2の実施形態におけるマイクロ揺動体の形成単位のエッチングマスクパターンを示す上面図、(b)は図10(a)のA−A’線での断面図、(c)は本発明の第2の実施形態における構造体の形成単位のエッチングマスクパターンを示す上面図である。 (a)は本発明の第2の実施形態においてシリコンの加工により製造されたマイクロ揺動体を示す上面図、(b)は図11(a)のA−A’線での断面図、(c)は本発明の第2の実施形態においてアライメント誤差が生じた場合のマイクロ揺動体を示す上面図である。 (a)は本発明の第2の実施形態においてシリコンの加工により製造された光偏向器を示す上面図、(b)は本発明の第2の実施形態のシリコンの加工により製造された光偏向器の可動部を示す断面図、(c)は、本発明の第3の実施形態に係る、本発明のシリコン加工により製造された光偏向器を用いた光学機器を示す概略斜視図である。 (a)は本発明の第1の実施形態の変形例における構造体を示す上面図、(b)は図13(a)のA−A’線での断面図である。 (a)は本発明の第1の実施形態の変形例における構造体の形成単位のエッチングマスクパターンを示す上面図、(b)は本発明の第1の実施形態の変形例における構造体を示す上面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明のシリコンの加工方法やエッチングマスク付きシリコン基板などにおいて重要なことは、次のことである。すなわち、結晶異方性エッチングの性質を利用するために、エッチングマスクパターンに、構造体の幅W1を決定する決定個所を持たせ、前記決定個所以外の幅がこの決定個所の幅を下まわらない様にすることである。この考え方に基づき、本発明によるシリコンの加工方法やエッチングマスク付きシリコン基板などの基本的な実施形態は以下の様な構成を有する。
シリコンの加工方法の基本的な一実施形態では、主面が(100)等価面或いは(110)等価面である単結晶シリコン基板上に、マスクパターンを形成する。そして、結晶異方性エッチングを施して、(111)等価面等で構成され幅W1と長さL1を有する構造体を形成する。マスクパターンは、前記構造体の幅W1を決定するための幅W2の決定個所を持ち、マスクパターンの長さ方向にわたって、決定個所以外のマスクパターンの幅は、幅W2より大きい幅を有している。
前記実施形態において、次の様な形態にすることが可能である。まず、前記長さL1の中央部付近に、前記幅W2を有する決定個所を存在させることができる。また、マスクパターンは凹部を有し、凹部により、前記幅W2を有する決定個所を形成することができる。これらの形態については、後述の実施形態1で詳述される。
また、前記マスクパターンの幅を、前記長さL1方向にわたって、前記幅W2を有する決定箇所からの距離に比例して大きくすることができる。この形態は、図8(b)の例や実施形態2で採用されている。また、前記幅W2は、前記幅W1方向と成す角(すなわち、アライメント誤差)を角θとすると、W1=W2・cosθの関係を有する様にできる。また、マスクパターンの決定個所からの距離をxとし、マスクパターンの長さ方向にわたるマスクパターンの幅の分布をW(x)とし、前記幅W1方向と成す角の最大許容量をθ*とすると、W(x)≧W2+2・|x|・tanθ*の関係を満たす様にできる。これらの形態についても、後述の実施形態1で詳述される。なお、幅W1方向と長さL1方向、及び幅W2方向と長さL2方向は、それぞれ、直交するので、最大許容量θ*は長さL1方向と長さL2方向とのなす角度とも言い得る。
更に、エッチングマスク付きシリコン基板の基本的な一実施形態では、(100)等価面或いは(110)等価面を主面とする単結晶シリコン基板上に、(111)等価面等で構成され幅W1と長さL1を有する構造体の目標形状に対応するマスクパターンを有する。そして、前記マスクパターンは、前記構造体の幅W1を決定する幅W2の決定個所を有し、マスクパターンの長さ方向にわたって、前記決定個所以外のマスクパターンの幅は、前記幅W2より大きい幅を有している。ここでも、前述した様なより具体的な形態を採ることができる。
前記シリコンの加工方法により、後述の実施形態1、2で詳述する様に、前記構造体をねじりバネとなる様に形成することができる。そして、このねじりバネと共に、支持基板と支持基板に対し前記ねじりバネによってねじり軸まわりにねじり振動可能に支持された可動部とを備えて、ねじり軸まわりに少なくとも1つの共振周波数を備えたマイクロ揺動体を構成することができる
また、前記マイクロ揺動体の製造方法により作成されたマイクロ揺動体と前記可動部に設けられた反射ミラーなどの光偏向素子とを有する光偏向器を備えて、後述の実施形態3で詳述する様な画像形成装置などの光学機器を構成することもできる。光偏向器は、光源からの光ビームを反射・偏向し、該光ビームの少なくとも一部を感光体などの光照射対象物に入射させる。上記実施形態においては、構造体の幅W1を決定するマスクパターンの決定個所の幅を、前記決定個所以外の幅が下まわらないので、結晶軸方位とエッチングマスクとの間にアライメント誤差があっても、加工寸法誤差の少ない構造体を形成できる。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[実施形態1]
本発明の実施形態1として、シリコンの加工方法とそれにより加工された構造体の構成例について説明する。
まず、図1から図5を用いて本実施形態のシリコンの加工方法について説明する。図5は、本実施形態のシリコンの加工方法に用いるシリコンウエハ100の上面図である。シリコンウエハ100はシリコンの単結晶で、図5の紙面法線方向が<100>結晶軸方向であり、<110>結晶軸方向を示すオリエンテーションフラット105を有している。シリコンウエハ100の表面には、エッチングマスクパターン101が形成されており、1枚のウエハで複数の構造体を形成することができる。エッチングマスクパターン101が<110>結晶軸方向に対するアライメント誤差を有していても、本実施形態のシリコンの加工方法により、作成する構造体の加工寸法誤差を低減することができる。
図1から図3は、図5のエッチングマスクパターン101または構造体の一部を拡大した図である。これらを用いて、エッチングマスクと加工された構造体の関係について説明する。
図1(a)は、エッチングマスクパターン101の一部を拡大した上面図、図1(b)は、図1(a)のA−A’線での断面図を示している。シリコンウエハ100の両面に窒化シリコン膜を形成した後、フォトリソグラフにより窒化シリコンのエッチングマスクパターン101を形成する。図1(a)に示す様に、本実施形態のエッチングマスクパターン101は、破線で示した構造体の形成単位10が複数配列された図示の様な窒化シリコン膜102のパターンを有している。そして、構造体の形成単位10で代表される窒化シリコン膜102の長手方向をx方向として、図1(a)に示す方向にエッチングマスクパターン101の座標を設定する。このとき、エッチングマスクパターン101は、x方向が図5のオリエンテーションフラット105で示される<110>結晶軸方向へアライメントされ形成される。図1(b)の通り、図1(a)のパターンが形成されている面は、シリコンウエハ100の(100)等価面103である。一方、裏面は、一様に窒化シリコン膜102が形成されている。
図2は、図1の工程の後、アルカリ水溶液で異方性エッチングを施し、シリコンウエハ100の両面の窒化シリコン膜を除去した状態を示している。アルカリ水溶液は、水酸化カリウム水溶液などを用いることができる。図2(a)は、図1(a)と同じ個所の上面図、図2(b)は、図2(a)のA−A’線での断面図である。図2(a)の様に、構造体の形成単位10の個所に、両端を固定された形態の単結晶シリコン構造体1が形成されている。アルカリ水溶液による異方性エッチングにより、構造体1は、図2(b)の様に、(111)等価面104と(100)等価面103で囲まれた台形の断面を有している。
次に、図3を用いて、図1(a)と図2(a)で説明したエッチングマスクパターン101と構造体1との寸法の対応関係を説明する。図1(a)、図2(a)の構造体の形成単位10の拡大図を、夫々、図3(a)、図3(b)として示している。図3(a)に示す通り、エッチングマスクパターン101は、構造体の長さL1に対応する長さL2を有している。また、前述のエッチングマスクパターン101の座標は、この長さL2方向に座標のx方向が設定されている。そして、座標y方向に、幅W(x)を有している。幅W(x)は、本発明では、座標x方向にわたって分布する。すなわち、一定ではなく(例えば、後述する図8(b)の様に連続的に変化し)、長さL2の範囲で、最小となる幅W2を有している。本実施形態では、特に、図3(a)の様に、L2の中央の箇所に凹部11が形成されており、最小の幅W2を形成している。一方、凹部11が形成されない部分の幅W(x)は、一様にWmaxとなっている。
図3(a)のエッチングマスクパターン101により、図3(b)に示す様に構造体1が形成される。形成された構造体1は、図示の様に、長さL1を有している。また、それと直角な方向に幅W1を有している。ここで、W1は、図2(b)で示した通り、(111)等価面104で決定されており、長さL1にわたってほぼ一定の値となっている。
図3(b)は、図3(a)の座標x方向が、シリコンウエハ100のオリエンテーションフラット105で示される<110>結晶軸方向と理想的にアライメントされた状態を示している。ここで、幅W1と幅W2は以下の関係を有している。
W2=W1+2×(111)等価面104のエッチング量 (式1)
式1の右辺第2項については、異方性エッチングを行うためのエッチングマスクとして一般的に考慮される量であり、作成される構造体とエッチングマスクの関係として自明である。従って、以下の説明ではこの項については省略し、例えば、式1の場合には、次の式2の様に表記する。
W2=W1 (式2)
その他のいずれの寸法についても、特に明記しない限り、(111)等価面104で決定される寸法を形成するエッチングマスクには、(111)等価面104のエッチング量が考慮され、記述している関係ではこの項を省略しているものとする。
<110>結晶軸方向と理想的にアライメントされた状態のときには、エッチングマスクパターン101の幅W2が、形成される構造体1のW1を決定する個所となる。これは、異方性エッチングにより、幅W2となるまで、(111)等価面以外の面でシリコンがエッチングされ、幅W2で(111)等価面が現れて図3(b)に示す様になるからである。
この様に、エッチングマスクパターン101の幅W(x)が、その長さL2方向に分布を有していても、形成される構造体1の幅W1は、その長さL1方向に一定の値を有している。こうして、幅W1は、W(x)の最小となる幅W2で決定される。
次に、図4、図6、図7を用いて、<110>結晶軸方向とエッチングマスクパターン101の座標x方向との間でアライメント誤差がある場合における、この誤差による幅W1の加工誤差について説明する。この様なアライメント誤差の主な要因には、オリエンテーションフラット105と<110>結晶軸方向との間の誤差や、オリエンテーションフラット105とエッチングマスクパターン104との間の誤差がある。尚、これらは、典型的には±0.1°程度の角度誤差として現れるが、図では、分かり易くするために角度誤差を強調して描いている。
図4(a)は、図1(a)の座標x方向が<110>結晶軸方向との間でアライメント誤差を生じていた場合の、図2(a)に示した個所に相当する部分の上面図である。図4(a)中の構造体1で示す様に、図2(a)と比較して、構造体1がアライメント誤差により傾いて形成されている。図4(b)は、図4(a)の構造体の形成単位10を更に拡大して示している。図4(b)に示す様に、(111)等価面104に囲まれた構造体1は、幅W1’、長さL1’を有している。ここで、長さL1’の方向は、(111)等価面104で決定されている構造体1に沿った、つまり<110>結晶軸方向に沿った方向であり、幅W1’の方向は、長さL1’と直角な方向となっている。これから分かる様に、アライメント誤差が生じている場合も、(111)等価面104で構造体1の幅は決定され、長さL1’方向にわたって、ほぼ一定値W1’を有している。
次に、図6、図7を用いて、本発明のシリコンの加工方法により加工寸法誤差が低減される原理について説明する。図6(a)、(b)は、いずれも構造体の形成単位10のエッチングマスクパターン101の上面図を示している。図6(a)は、図1(a)の本実施形態のエッチングマスクパターンを示す。一方、図6(b)は、従来技術によるエッチングマスクパターンを示している。従来技術によるエッチングマスクパターンは、長さL2と幅W4を有する図示の様な形状を有している。本実施形態のエッチングマスクパターン101の座標と同様に、長さL2方向をx方向とした座標をとると、幅W4は長さL2方向に一定となっている。そして、アライメント誤差がない理想的な状態で、図3(b)の様な構造体1が形成される様に、次の様に設計されている。
L2=L1 (式3)
W4=W1 (式4)
ここで、図6は、アライメント誤差が生じている場合の説明として、異方性エッチング後の構造体1の輪郭線である加工面106を示している。加工面106は、エッチングマスクによりエッチング後に残る(111)等価面とウエハの表面が交わることで形成される線である。また、図6には、アライメント誤差の量として、<110>結晶軸方向と座標x方向の成す角θが示されている(θ=0が理想的な状態)。
図6(b)に示す従来技術によるシリコンの加工方法では、アライメント誤差が生じていると、2つのコーナー12の<110>結晶軸方向の間隔によって、形成される構造体1の幅W1’が決定されてしまう。これは、最初に2つのコーナー12の所で(111)等価面が現れ、後は、幅W4で長さL2の窒化シリコン膜102の両側のエッチングが、夫々、これらの(111)等価面に繋がった(111)等価面が現れるところで進まなくなるからである。従って、アライメント誤差がない理想的な場合の構造体1の幅W4に比べ、幅W1’は小さくなる。この幅の減少量は、形成したい構造体1の長さL1が大きいほど大きくなり、W1’とW4とは、想定しているアライメント誤差の範囲では、以下の関係で近似できる。
W1’=W4−L2・tanθ (式5)
幅の加工誤差εを(W1’−W4)/W4とすると、従来技術では、次の式で表される。
ε=(L2/W4)・tanθ (式6)
従来技術では、式6に示す様に、L2/W4の値が大きい形状の場合、アライメント誤差による加工誤差εが大きくなってしまう。そこで、一般に、L2/W4が大きな値になる構造体、例えば、梁、バネ、配列された隔壁等を異方性エッチングによって形成する場合に、上記加工誤差εが幅の加工誤差の主要因となる。
一方、図6(a)に示した本実施形態のエッチングマスクパターンは、前述した様に、座標x方向に沿って幅W(x)の分布があり(すなわち幅W(x)は一定ではなく)、図示の様に長さL2の中央部で幅W2を有している。幅W2は、形成したい構造体1の幅W4と等しい値に設定されている。また、本実施形態では、前述の通り、凹部11以外の個所の幅はWmaxとなっている。Wmaxは、想定しているアライメント誤差θによって決定される。本実施形態の場合、加工誤差を低減させたいアライメント誤差範囲が±θ*ならば、次の式の関係をもって設定されている。
Wmax≧W2+2・(L2/2)・tanθ* (式7)
本実施形態のエッチングマスクパターンでは、アライメント誤差があっても、2つのコーナー12が、形成される構造体の幅W1を決定せず、幅W2が幅W1を決定する。これは、最初に幅W2の決定箇所の両側の所で(111)等価面が現れ、後は、長さL2の窒化シリコン膜102の他の箇所の両側のエッチングが、夫々、これらの(111)等価面に繋がった(111)等価面が現れるところで進まなくなるからである。よって、このとき形成される構造体の幅W1’、構造体の加工誤差εは、以下の式で表されるものとなる。
W1’=W2・cosθ (式8)
ε=cosθ−1 (式9)
従って、本実施形態のエッチングマスクパターンでは、アライメント誤差θに対する加工誤差εを非常に小さい値とすることができる。式9から分かる様に、加工誤差εは構造体の長さL2にはよらないため、従来技術によれば加工誤差が大きくなる構造体形状でも、高い精度で作成可能となる。
更に、図6(a)で示す様に、本実施形態を含む本発明のエッチングマスクパターンは、パターンのエッジ付近に裂けた傷108やピンホール107などがあっても、幅の加工誤差には影響を与えない。図6(b)に示す様な従来技術のマスクパターンでは、この様なエッジ付近のマスクの欠陥が、直接、幅の加工誤差となってしまいやすい。
図7のグラフは、従来技術と本実施形態のエッチングマスクパターンを用いた場合のアライメント誤差θと加工誤差εとの関係を示している。前述の様に、典型的に生じる恐れのあるアライメント誤差θ±0.1°の範囲で、本実施形態の加工誤差εは−6ppm程度であるのに対して、従来技術では、L2/W4=60の場合には、−10%程度となる。この様に、本実施形態では、L2/W4がどの様な値の構造体についても、アライメント誤差による構造体の幅の加工誤差を低減することが可能となる。
以上の様に本実施形態のエッチングマスクによるシリコンの加工方法によれば、実際の結晶軸方向とエッチングマスクとの間にアライメント誤差があっても、異方性エッチングによる構造体の加工誤差を低減することができる。異方性エッチングによるシリコンの加工では平滑な平面が得られるため、弾性体として用いられる幅が小さく長さが大きい構造体でも、加工精度が高く破損しにくい形態で作成できる。
また、エッチングマスクの輪郭に僅かな欠陥(破れ、穴等)があっても、その部分によって生じる構造体の幅の加工誤差も低減することができる。特に、本実施形態のエッチングマスクの様に、凹部を用いて幅W2の箇所を形成し、その他の幅の大きな部分の領域を大きくすることによって、これらの欠陥により構造体の幅の加工誤差が生じる確率を更に低減できる。
そして、本実施形態のエッチングマスクの様に、凹部を用いて幅W2の箇所を形成すれば、エッチングマスクパターンの主要な形状を長方形の組み合わせで形成可能となる。そのため、エッチングマスクパターンをフォトリソグラフで作成する場合、フォトマスクの構造を簡略化できるため、安価にエッチングマスクパターンを形成可能となる。
勿論、本発明によるエッチングマスクは、本実施形態の様に幅W2の箇所が長さL2の中央部に位置しない場合でも、加工誤差を低減することが可能である。
図8(a)は、図6(a)の幅W2の箇所が長さL2の中央部に位置しない場合のエッチングマスクの変形例を示している。この場合、加工誤差を低減させたいアライメント誤差範囲が±θ*ならば、幅W2以外の幅W5、W6の値は、次の関係を有している。
W5≧W2+2・(L6)・tanθ* (式10)
W6≧W2+2・(L7)・tanθ* (式11)
図8(a)の変形例でも、図7のグラフに示す様に加工誤差の低減を行うことが可能である。
ただし、本実施形態のエッチングマスクの様に、幅W2の箇所が長さL2の中央部に位置するエッチングマスクにすることによって、エッチングマスクの幅W(x)の最大幅を最も小さな値とすることができる。従って、エッチングマスクの最大幅と異方性エッチングにより形成される最終形状の幅との差を小さくできる。そのため、(111)等価面がエッチング途中で露出するまでのエッチング量を少なくし、平滑なエッチング面を形成することが可能となる。また、エッチングマスクの最大幅と最終形状の幅の差が大きくなるとエッチング中の液の更新、発生する気泡の集積などが原因でエッチング速度誤差が生じる恐れがあるが、それを低減することが可能となる。更に、シリコンがエッチングされた個所のエッチングマスクは除去前まで破損しやすい形態となるが、この様な個所の面積を小さくできるため、信頼性の高い加工方法とすることができる。
更に、図8(b)の様な構成とすることによって、エッチングマスクの最大幅と異方性エッチングにより形成される最終形状の幅との差を更に小さくすることが可能である。図8(b)は、構造体の形成単位10のエッチングマスクの別の変形例を示している。図6(a)と同じ機能を有するものには、同じ符号を付している。図8(b)の構成では、幅W2の箇所は、図6(a)と同様に、長さL2の中央部に位置している。一方、図6(a)と異なり、長さL2にわたって、幅Wmaxの個所へ幅W(x)は単調に増加している。エッチングマスクをこの様な形態とすることによって、エッチングマスクの最大幅と異方性エッチングにより形成される構造体の最終形状の幅との差を小さくすることが可能となる。
また更に、図8(b)の様な構成において、エッチングマスクの幅W2の箇所を長さL2の一端にもってきて、幅Wmaxの個所に向かって幅W(x)を単調に増加させる形態も可能である。ただし、こうした形態では、エッチングマスクの最大幅と異方性エッチングにより形成される構造体の最終形状の幅との差は比較的大きくなる。
[実施形態2]
本発明の実施形態2を説明する。図11に、本実施形態のシリコンの加工方法で製造されたマイクロ揺動体の構成例を示す。図11(a)はその上面図、図11(b)は図11(a)のA−A’線での断面図である。一方、図12は、本実施形態のマイクロ揺動体によって構成された光偏向器を示す図であり、図12(a)はその上面図、図12(b)は図12(a)のB−B’線での断面図である。尚、これらの図において、前述の実施形態1と同じ機能を有する個所には、同じ符号を付した。
図11、図12のマイクロ揺動体ないし光偏向器において、2は支持部、3は固定部、4は反射面、6は可動部、7は駆動手段を成す永久磁石、8はねじり軸を夫々示している。図11で示したマイクロ揺動体は、図12の様に、可動部6に反射面4を形成し、反射面4が形成される面の裏の面に永久磁石7を設置することで、光を走査する光偏向器として構成される。特に、機械的に接地された固定部3に支持部2を介して固定されることにより、ねじり軸8をねじり中心とした構造体1によるねじり振動子となっている。そして、図12(b)に示す様に、図示しないコイルなどの磁場発生手段(これも駆動手段を成す)から交流磁束15を印加して永久磁石7に作用させることによりトルクが発生し、共振周波数付近でマイクロ揺動体をねじり軸8まわりで揺動させることができる。
本実施形態における光偏向器は、ねじり軸8について共振周波数fを以下の式の関係で有している。
f=1/(2・π)・√(2・K/I) (式12)
ここで、Kは構造体1のねじり軸8まわりのねじりバネ定数、Iは可動部6のねじり軸8まわりの慣性モーメントを表している。
図11(b)に示す様に、本実施形態におけるマイクロ揺動体の構造体1は、前述の実施形態1と同様にアルカリ水溶液によるシリコンの異方性エッチングで形成されている。従って、構造体1を構成する各面は図示の様に(100)等価面または(111)等価面である。本実施形態における構造体1は、図示の様に、薄肉の四角断面が2つ組み合わさってX字状の多角形を形成している。
この断面を有する構造体1のねじりバネ定数Kは、図11(a)、(b)に示す寸法、W1a(=W1b)、L1、ウエハ厚さT、(100)等価面103と(111)等価面104との成す角Φ(=54.7°)を用いると、以下の式で近似できる。
K=G・{(sinΦ)・T・(W1a)}/(3・L1) (式13)
本実施形態では、W1a=W1b=85μm、L1=2800μm、T=300μmであり、図12の形態で、f=2.7kHz程度である。
式13に示す様に、ねじりバネ定数Kは、構造体1の幅W1aの3乗に比例するため、W1aの寸法誤差は、長さL、ウエハ厚さTに比べ、ねじりバネ定数誤差への影響が大きい。加えて、長さL2/幅W1a=33であり、この様な形状の構造体1の幅は、従来技術のシリコンの加工方法では、アライメント誤差による加工誤差が大きくなってしまう。これに対して、本発明のシリコンの加工方法によれば、構造体1の幅W1aの加工誤差を低減できる。更に、構造体1を本実施形態の様にバネとして用いる場合に、バネ定数誤差を効果的に低減することが可能となる。
ここで、図9、図10を用いて本実施形態のシリコンの加工方法のエッチングマスクパターンについて説明する。尚、前述の実施形態1と同じ機能を有する個所には、同じ符号を付した。図9は、図5に示す様なシリコンウエハ100に形成されたエッチングマスクパターン101の拡大上面図を示している。前述の実施形態1と同様に、図9の座標x方向が図5のオリエンテーションフラット105が示す<110>結晶軸方向にアライメントされて形成されている。
図9の破線個所は、マイクロ揺動体の形成単位16を示している。図示の様に、本実施形態のシリコンの加工方法では、隣接して複数のマイクロ揺動体を形成可能である。窒化シリコン膜102の構造体形成予定個所と可動子形成予定個所は、隣り合う素子同士で近接して配置されている。
図10(a)に、マイクロ揺動体の形成単位16の拡大上面図を示す。また、図10(a)のA−A’線での断面図を図10(b)、構造体の形成単位10の拡大上面図を図10(c)に示す。前述の実施形態1と異なり、図11に示したX字状の断面の構造体1を形成するために本実施形態の構造体の形成単位10は特徴的なパターンを有している。図10に示す様に、ほぼ図8(b)のパターンを2個並べた形状となっている。そして、図10(b)に示す様に、図10(a)のパターンが裏面にも形成されている。従って、アルカリ水溶液による異方性エッチングもウエハの表裏両面から行われる。
一方、前述の実施形態1と同様に、長さL2方向に座標x方向を取った場合、エッチングマスクパターンの幅Wa(x)、Wb(x)はx方向に分布を有している。長さL2の中央部で幅W2a、W2bを有し、そこから遠ざかるに従って、単調増加し、最大値Wmaxとなる。特に、W2a、W2bと図11(a)に示すW1a、W1bは、以下の関係を有している。
W2a=W2b=W1a=W1b (式14)
また、Wmaxは、前述の式7と同様の原理で、想定アライメント誤差範囲±θ*に対して次の関係をもって設定されている。
Wmax≧W2a+2・(L2/2)・tanθ* (式15)
以上の様なエッチングマスクパターンによって、図11の様なマイクロ揺動体が形成される。
次に、アライメント誤差θが生じた場合について説明する。この場合、マイクロ揺動体は、図11(c)の上面図で示す様な形状となる。アライメント誤差θによる加工誤差が生じる原理は、前述の実施形態1と同様である。本実施形態におけるマイクロ揺動体は、構造体1の断面が図11(b)の様なX字状であるため、構造体1の幅、長さについて、図11(c)に示す様な、長さL1a、L2b、幅W1a’、W1b’となって現れる。このとき、構造体1の長さとしては、L1aとL2bの平均値を代表長さとすればよい。構造体1の幅については、幅W1a’、W1b’は等しく、幅W2a(=W2b)と以下の関係を有している。
W1a’=W2a・cosθ (式16)
ε=cosθ−1 (式17)
ここで、幅の加工誤差εを(W1a’−W2a)/W2aとした。
この様に、本実施形態の様なX字状断面を有する構造体1においても、前述の実施形態1と同様の関係で、アライメント誤差θに対する幅の加工誤差εを低減することが可能となる。尚、本実施形態では、ウエハ厚さと並列的に2個並べたエッチングマスクパターンの幅や間隔との関係を適切に設定することで、X字状断面を有する構造体1を実現している。
以上に述べた様に、本実施形態の様なねじり軸を中心にねじり振動を行うマイクロ揺動体について、式13に示す様な幅W1aの3乗の項の誤差が低減されるため、バネ定数の誤差を効果的に低減することが可能となる。よって、更に、式12の様な共振周波数fの誤差も低減することができる。そして、図12に示す様な光偏向器を構成する場合、共振周波数fの誤差が低減されるため、所望の周波数且つ省電力で駆動可能な光偏向器を安定的に製造可能となる。
ところで、前述の実施形態1、2では、主面が(100)等価面である単結晶シリコン基板について説明したが、主面が(110)等価面である単結晶シリコン基板でも、同様な加工が可能である。すなわち、主面が(110)等価面である単結晶シリコン基板の該主面に、マスクパターンを形成し、結晶異方性エッチングを施す。これにより、図2に対応する図13の(b)に示す様に、(110)等価面110とこれに垂直な(111)等価面104で構成される幅と長さを有する構造体1を形成することができる。この場合も、図3に対応する図14のようにマスクパターンにおいて、構造体の幅W1の決定個所の幅は、幅W2を有し、マスクパターンの長さ方向にわたって、決定個所以外のマスクパターンの幅は、幅W2より大きい幅を有する。ただし、(111)等価面が(110)等価面に垂直になるので、実施形態1に対応する形態の構造体1の断面は矩形状になり、実施形態2に対応する形態の構造体1の断面は2個の薄肉の四角断面が平行に並んだ形状となる。
[実施形態3]
本発明の実施形態3を説明する。図12(c)は、実施形態2における図12に示した光偏向器を用いた光学機器に係る実施形態3を示す概略斜視図である.
ここでは、光学機器として画像形成装置を示している。図12(c)において、3003は実施形態2における光偏向器であり、入射光を1次元に走査する。3001は光源であるレーザ光源である。3002はレンズ或いはレンズ群、3004は書き込みレンズ或いはレンズ群、3005は光照射対象物であるドラム状の感光体である。
レーザ光源3001から射出されたレーザ光は、光の偏向走査のタイミングと関係した所定の強度変調を受けている。この強度変調光は、レンズ或いはレンズ群3002を通って、光走査系(光偏向器)3003により1次元的に走査される。この走査されたレーザ光は、書き込みレンズ或いはレンズ群3004により、感光体3005上に画像を形成する。
走査方向と直角な方向に回転軸の回りに回転される感光体3005は、図示しない帯電器により一様に帯電されており、この上に光を走査することによりその走査部分に静電潜像が形成される。次に、図示しない現像器により静電潜像の画像部分にトナー像が形成され、これを、例えば、図示しない用紙に転写・定着することで用紙上に画像が形成される。
本実施形態では、共振周波数の誤差が少ない実施形態2における光偏向器3003により、安定な画像を低消費電力で形成することが可能となる。
勿論、前述の光偏向器は、他の光学機器にも使用でき、これらの装置において、光源からの光ビームを反射・偏向し、該光ビームの少なくとも一部を光照射対象物に入射させる。こうした光学機器としては、レーザビームプリンタなどの画像形成装置の他に、画像表示装置、バーコードリーダー等の光ビームを走査する機器などがある。また、本発明のシリコンの加工方法は、光学機器以外にも、例えば、マイクロマシン技術を用いて作製する加速度センサや角速度センサ等のマイクロ構造体の作製にも適用することができる。
1 構造体
4 反射面(光偏向素子)
6 可動部
7 永久磁石(駆動手段)
8 ねじり軸
10 構造体の形成単位
11 凹部(構造体の幅の決定箇所)
16 マイクロ揺動体の形成単位
100 シリコンウエハ
101 エッチングマスクパターン
102 窒化シリコン膜
103 (100)等価面
104 (111)等価面
105 オリエンテーションフラット
110 (110)等価面
3001 レーザ光源(光源)
3003 光偏向器(光走査系)
3005 感光体(光照射対象物)

Claims (8)

  1. 主面が(100)等価面、或いは(110)等価面である単結晶シリコン基板の該主面に、作成される構造体の、(111)等価面で構成され幅W1と長さL1を有する目標形状に対応するマスクパターンを形成し、結晶異方性エッチングを施して、前記構造体を形成するシリコンの加工方法であって、
    前記マスクパターンに、前記構造体の幅W1を決定する決定個所を持たせ、
    前記マスクパターンの前記幅W1の決定個所の幅は、幅W2を有し、
    前記マスクパターンの前記長さL1の決定箇所の長さは、長さL2を有し、
    前記長さL2の中央部付近に、前記幅W2を有する決定個所を存在させ、
    前記マスクパターンの前記幅W2方向の幅のうち、前記幅W1の決定個所以外の部分の幅は、Wmaxと等しい(ただし、前記長さL1方向と前記長さL2方向とのなす角度の最大許容量をθとした場合、Wmax=W2+2・(L2/2)・tanθ)ことを特徴とするシリコンの加工方法。
  2. 主面が(100)等価面、或いは(110)等価面である単結晶シリコン基板の該主面に、作成される構造体の、(111)等価面で構成され幅W1と長さL1を有する目標形状に対応するマスクパターンを形成し、結晶異方性エッチングを施して、前記構造体を形成するシリコンの加工方法であって、
    前記マスクパターンに、前記構造体の幅W1を決定する決定個所を持たせ、
    前記マスクパターンの前記幅W1の決定個所の幅は、幅W2を有し、
    前記マスクパターンの前記長さL1の決定箇所の長さは、長さL2を有し、
    前記マスクパターンの、前記幅W2を有する決定箇所から前記長さL2方向へ距離xの位置の、前記幅W2方向の幅をW(x)とし、前記長さL1方向と前記長さL2方向とのなす角度の最大許容量をθとした場合、
    W(x)=W2+2・|x|・tanθ
    の関係を満たすことを特徴とするシリコンの加工方法。
  3. 前記長さLの中央部付近に、前記幅W2を有する決定個所を存在させることを特徴とする請求項に記載のシリコンの加工方法。
  4. 前記マスクパターンは凹部を有し、
    前記凹部により、前記幅W2を有する決定個所を形成することを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のシリコンの加工方法。
  5. (100)等価面、或いは(110)等価面を主面とする単結晶シリコン基板上に、作成される構造体の、(111)等価面で構成され幅W1と長さL1を有する目標形状に対応するマスクパターンを有し、
    前記マスクパターンは、前記構造体の幅W1を決定する決定個所を有し、
    前記マスクパターンの前記幅W1の決定個所の幅は、幅W2を有し、
    前記マスクパターンの前記長さL1の決定箇所の長さは、長さL2を有し、
    前記長さL2の中央部付近に、前記幅W2を有する決定個所を存在させ、
    前記マスクパターンの前記幅W2方向の幅のうち、前記幅W1の決定個所以外の部分の幅は、W max と等しい(ただし、前記長さL1方向と前記長さL2方向とのなす角度の最大許容量をθ とした場合、W max =W2+2・(L2/2)・tanθ ことを特徴とするエッチングマスク付きシリコン基板。
  6. (100)等価面、或いは(110)等価面を主面とする単結晶シリコン基板上に、作成される構造体の、(111)等価面で構成され幅W1と長さL1を有する目標形状に対応するマスクパターンを有し、
    前記マスクパターンは、前記構造体の幅W1を決定する決定個所を有し、
    前記マスクパターンの前記幅W1の決定個所の幅は、幅W2を有し、
    前記マスクパターンの前記長さL1の決定箇所の長さは、長さL2を有し、
    前記マスクパターンの、前記幅W2を有する決定箇所から前記長さL2方向へ距離xの位置の、前記幅W2方向の幅をW(x)とし、前記長さL1方向と前記長さL2方向とのなす角度の最大許容量をθとした場合、
    W(x)=W2+2・|x|・tanθ
    の関係を満たすことを特徴とするエッチングマスク付きシリコン基板。
  7. 支持基板と、ねじりバネと、前記支持基板に対し前記ねじりバネによってねじり軸まわりにねじり振動可能に支持された可動部と、を有し、前記ねじり軸まわりに少なくとも1つの共振周波数を備えたマイクロ揺動体を製造する方法であって、
    請求項1からの何れか1項に記載のシリコンの加工方法により、前記構造体を前記ねじりバネとなる様に形成することを特徴とするマイクロ揺動体の製造方法。
  8. 請求項7に記載のマイクロ揺動体の製造方法により作成されたマイクロ揺動体と、前記可動部に設けられた光偏向素子と、を有する光偏向器を備え、
    前記光偏向器は、光源からの光ビームを反射・偏向し、該光ビームの少なくとも一部を光照射対象物に入射させることを特徴とする光学機器。
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