JP5620848B2 - セルロースアシレートフィルム、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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Description
[1] セルロースアシレートと、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーと、を含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
[2] 前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーが、下記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、または下記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和モノマーと少なくとも1種のその他のエチレン性不飽和モノマーとを共重合させて得られるポリマーであることを特徴とする[1]に記載のセルロースアシレートフィルム。
[3] 前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーが、前記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマーであることを特徴とする[2]に記載のセルロースアシレートフィルム。
[4] 前記一般式(1)または前記一般式(2)におけるR1が水素原子またはメチル基であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
[5] 前記一般式(1)または前記一般式(2)におけるR2が置換基を有していてもよいフェニル基であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
[6] 前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーの重量平均分子量が1000〜100000であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
[7] 前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーを、前記セルロースアシレートに対して5〜50質量%含むことを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
[8] 前記セルロースアシレートが下記式(3)を満たすことを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
式(3)
1.5≦A≦3.0
(式中、Aはセルロースアシレートの総アシル置換度を表す。)
[9] 前記セルロースアシレートが下記式(4)を満たすことを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
式(4)
2.0≦B≦3.0
(式中、Bはセルロースアシレートのアセチル置換度を表す。)
[10] 25℃相対湿度80%における含水率が5%以下であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
[11] 偏光子と、該偏光子の両側に二枚の保護フィルムを有し、該保護フィルムのうち少なくとも一枚が[1]〜[10]のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
[12] 液晶セル、該液晶セルの両側に二枚の偏光板を有し、該偏光板のうち少なくとも一枚が[11]に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書中、「アミド結合」とは「−NH−C(=O)−」の連結基を意味し、窒素原子に水素原子が直結していない構造はアミド結合に含まれない。
本発明のセルロースアシレートフィルム(以下、本発明のフィルムとも言う)は、セルロースアシレートと、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーと、を含むことを特徴とする。
以下において、本発明のフィルムの特徴を詳しく説明する。
(一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマー)
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーは、側鎖にアミド結合を有する。ここで、本発明は、側鎖にアミド結合を有するポリマーの中でも、側鎖に窒素原子と酸素原子を含み、前記窒素原子が−C(=O)−連結基を介してポリマー主鎖に連結し、かつ、前記窒素原子が置換基R2と水素原子に結合している前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーを用いた場合に、セルロースアシレートフィルムの含水率が顕著に低減されることを見出したものである。すなわち、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーは、側鎖にアミド結合(−NH−C(=O)−)を有するポリマーの中でも、(−NH−C(=O)−)の炭素原子側が主鎖に連結している点にも特徴があり、(−NH−C(=O)−)の窒素原子側が主鎖に連結しているN−ビニルアセトアミドなどとは異なる構造である。
いかなる理論に拘泥するものでもないが、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーは、疎水的かつ立体障害の大きいR2で表される芳香族基がアミド結合の近傍にある構造を有することによって、高湿下に本発明のフィルムを置いたときにアミド基と水との水素結合が抑制されて、その結果フィルムの含水率が低減されると考えられる。
まず、一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーの構造の好ましい態様とセルロースアシレートフィルム中における添加量などについて説明する。
前記R1における脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基などを挙げることができ、その中でも炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
前記R1における芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基を挙げることができ、その中でもフェニル基が好ましい。
前記における複素環基としては、ピリジン基、ピリミジン基を挙げることができ、その中でもピリジン基が好ましい。
前記脂肪族基、芳香族基または複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ヒドロキシル基、エステル基を挙げることができ、その中でもアルキル基が好ましい。
前記一般式(1)または前記一般式(2)におけるR1は、水素原子または脂肪族基であることが好ましく、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基であることが特に好ましく、メチル基であることがより特に好ましい。
前記R2における芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基を挙げることができ、その中でもフェニル基が好ましい。
前記芳香族基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、エステル基、エーテル基、ケトン基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、カルボン酸を挙げることができ、その中でもハロゲン原子(その中でもフッ素原子、塩素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい)およびアルキル基(その中でも炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい)がより好ましい。さらに、本発明のフィルムのヘイズを低減させる観点からは、前記R2における芳香族基はハロゲン原子であることが特に好ましい。
また、前記芳香族基が置換基を有する場合、前記芳香族基が有する置換基の位置に特に制限はないが、前記芳香族基がフェニル基の場合はオルト位およびパラ位の少なくとも一方に置換基を有することが好ましく、オルト位およびパラ位の両方に置換基を有することがより好ましい。
前記一般式(1)または前記一般式(2)におけるR2は、置換基を有していてもよいフェニル基であることが好ましく、置換基を有するフェニル基であることがより好ましくオルト位およびパラ位の両方に置換基を有するフェニル基であることが特に好ましい。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーは、前記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー以外のその他の繰り返し単位を含んでいる共重合体であってもよい。
前記その他の繰り返し単位としては、前記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和モノマー以外の、その他のエチレン性不飽和モノマーであることが好ましく、(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーは、前記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、または前記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和モノマーと少なくとも1種のその他のエチレン性不飽和モノマーとを共重合させて得られるポリマーであってもよい。
前記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和モノマーとその他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合比率については特に制限はないが、前記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和モノマーの共重合比率が高い方が、本発明のフィルムの含水率を低減させる観点から好ましく、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーが、前記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマーであることが特に好ましい。
次に本発明のフィルムに含まれるセルロースアシレートについて詳しく説明する。
前記セルロースアシレートフィルムに用いられるセルロースアシレートの原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
式(3)
1.5≦A≦3.0
(式中、Aはセルロースアシレートの総アシル置換度を表す。)
前記セルロースアシレートの総アシル置換度は、1.8〜3.0であることがより好ましく、2.2〜3.0であることが特に好ましい。
本発明では、総アシル置換度が低いセルロースアシレートを用いた場合においても、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーと組み合わせることで、セルロースアシレートフィルムの含水率を大幅に低下させることができる。
式(4)
2.0≦B≦3.0
(式中、Bはセルロースアシレートのアセチル置換度を表す。)
前記セルロースアシレートのアセチル置換度は、2.2〜3.0であることがより好ましく、2.4〜3.0であることが特に好ましい。
前記セルロースアシレートフィルム中には、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマー以外の添加剤として、重縮合ポリマー、レターデーション調整剤(レターデーション発現剤およびレターデーション低減剤);フタル酸エステル、リン酸エステルなどの可塑剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;マット剤などの添加剤を加えることもできる。
前記セルロースアシレートフィルムは、重縮合ポリマーを含むことが、ヘイズ低減の観点から好ましい。
以下、本発明に用いられる重縮合ポリマーである高分子量添加剤について、その具体例を挙げながら詳細に説明するが、重縮合ポリマーである高分子量添加剤がこれらのものに限定されるわけでないことは言うまでもない。
また、前記重縮合ポリマーは、非リン酸エステル系のエステル系化合物であることが好ましい。但し、前記「非リン酸エステル系のエステル系化合物」は、リン酸エステルを含まず、エステル系である、化合物を意味する。
本発明ではレターデーション低減剤として、リン酸系であるエステル系の化合物や、セルロースアシレートフィルムの添加剤として公知の非リン酸エステル系の化合物以外の化合物を広く採用することができる。
前記セルロースアシレートフィルムは、レターデーション値を発現するために、前記低置換度層に少なくとも1種のレターデーション発現剤を含有することが好ましい。前記レターデーション発現剤としては、特に制限はないが、棒状または円盤状化合物からなるものや、前記非リン酸エステル系の化合物のうちレターデーション発現性を示す化合物を挙げることができる。上記棒状または円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物をレターデーション発現剤として好ましく用いることができる。
棒状化合物からなるレターデーション発現剤の添加量は、セルロースアシレートを含むポリマー成分100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがさらに好ましい。前記レターデーション発現剤中に含まれる円盤状化合物が、前記セルロースアシレート100質量部に対して3質量部未満であることが好ましく、2質量部未満であることがより好ましく、1質量部未満であることが特に好ましい。
円盤状化合物はRthレターデーション発現性において棒状化合物よりも優れているため、特に大きなRthレターデーションを必要とする場合には好ましく使用される。2種類以上のレターデーション発現剤を併用してもよい。
レターデーション発現剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
本発明に用いられる可塑剤としては、セルロースアシレートの可塑剤として知られる多くの化合物も有用に使用することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
本発明においてはセルロースアシレート溶液に公知の酸化防止剤、例えば、2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4、4'−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1、1'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2、2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2、5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。さらに、トリス(4−メトキシ−3、5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2、4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2、4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤をすることが好ましい。酸化防止剤の添加量は、セルロース系樹脂100質量部に対して、0.05〜5.0質量部を添加することが好ましい。
本発明においてはセルロースアシレート溶液に、偏光板または液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤を加えてもよい。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N'−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2、2−メチレンビス(4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1、3、5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N'−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2'−ヒドロキシ−3'、5'−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2'−ヒドロキシ−3'、5'−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、光学フィルム全体中に質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムは、フィルムすべり性、および安定製造の観点からマット剤を加えてもよい。前記マット剤は、無機化合物のマット剤であっても、有機化合物のマット剤であってもよい。
前記無機化合物のマット剤の好ましい具体例としては、ケイ素を含む無機化合物(例えば、二酸化ケイ素、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなど)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロングチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースアシレートフィルムの濁度を低減できるので、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。前記二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。前記酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名で市販されているものが使用できる。
前記有機化合物のマット剤の好ましい具体例としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、トスパール105、トスパール108、トスパール120、トスパール145、トスパール3120及びトスパール240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
(フィルムの層構造)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、単層であっても、2層以上の積層体であってもよい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの含水率は一定温湿度における平衡含水率を測定することにより評価することができる。平衡含水率は前記温湿度に24時間放置した後に、平衡に達した試料の水分量をカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料重量(g)で除して算出したものである。
本発明のセルロースアシレートフィルムの25℃相対湿度80%における含水率は7質量%以下であることが好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。フィルムの含水率を小さくすることにより、本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板保護フィルムとして液晶表示装置に組み込んだ際に、高湿下における液晶表示装置の表示ムラを発生しにくくすることができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ヘイズが1%未満であることが好ましく、0.7%未満であることがより好ましく、0.5%未満であることが特に好ましい。ヘイズを0.5%未満とすることにより、液晶表示装置に組み込んだ際のコントラスト比を改善することができる。また、フィルムの透明性がより高くなり、光学フィルムとしてより用いやすくなるという利点もある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは膜厚が30〜100μmであることが好ましく、30〜80μmであることがより好ましく、30〜70μmであることがさらに好ましい。30μm以上とすることにより、ウェブ状のフィルムを作製する際のハンドリング性が向上し好ましい。また、70μm以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性を維持しやすい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム幅が700〜3000mmであることが好ましく、1000〜2800mmであることがより好ましく、1500〜2500mmであることが特に好ましい。
以下、本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法について詳細に説明する。
溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイから金属支持体上に均一に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ等があるが、いずれも好ましく用いることができる。またここで挙げた方法以外にも、従来知られているセルローストリアセテート溶液を流延製膜する種々の方法で実施することができ、用いる溶媒の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することにより、それぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。
また、前記金属支持体の材質については特に制限はないが、SUS製(例えば、SUS 316)であることがより好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法では、製膜された延伸する工程を含んでいてもよい。本発明の光学補償フィルムは波長分散特性も改善されていることが好ましいが、延伸処理によってこのような光学性能を付与することが可能となり、さらに前記セルロースアシレートフィルムに所望のレターデーションを付与することが可能である。前記セルロースアシレートフィルムの延伸方向はフィルム搬送方向と搬送方向に直交する方向(巾方向)のいずれでも好ましいが、フィルム搬送方向に直交する方向(幅方向)であることが、後に続く該フィルムを用いた偏光板加工プロセスの観点から特に好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法では、前記セルロースアシレートフィルムを乾燥する工程と、乾燥後の本発明の樹脂フィルムをTg−10℃以上の温度で延伸する工程とを含むことが、レターデーション発現性の観点から好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法は、前記ドープ膜を前記金属支持体から剥ぎ取る工程を含むことが好ましい。前記セルロースアシレートフィルムの製造方法における剥離の方法については特に制限はなく、公知の方法を用いた場合に剥離性を改善することができる。
また、本発明は、本発明のセルロースアシレートフィルムを少なくとも一枚用いることを特徴とする偏光板にも関する。
本発明の偏光板は、偏光子と、該偏光子の両側に二枚の保護フィルムを有し、該保護フィルムのうち少なくとも一枚が本発明のセルロースアシレートフィルムであることが好ましく、偏光子と該偏光子の片面に本発明のフィルムを有することがより好ましい。本発明のフィルムと同様、本発明の偏光板の態様は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、上記した通り、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
本発明の偏光板の具体的な構成については、特に制限はなく公知の構成を採用できるが、例えば、特開2008−262161号公報の図6に記載の構成を採用することができる。
本発明は、本発明のセルロースアシレートフィルムまたは本発明の偏光板を有する液晶表示装置にも関する。
本発明の液晶表示装置は液晶セルと該液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する液晶表示装置であって、前記偏光板の少なくとも一方が本発明の偏光板であることを特徴とする。本発明の液晶表示装置は、IPS、OCBまたはVAモードの液晶表示装置であることが好ましい。
本発明の液晶表示装置の具体的な構成としては特に制限はなく公知の構成を採用できる。また、特開2008−262161号公報の図2に記載の構成も好ましく採用することができる。
<合成例1>
(PhA−1モノマーの合成)
2リットルの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド600gを添加し、アニリン(200.0g、2.148mol)を溶解し、0℃に冷却したところへ、メタクリル酸クロリド(246.9g、2.362mol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、そのまま30分攪拌した後、反応液を25℃まで加温し、更に2時間攪拌を行った。反応液を水5.5Lに滴下し、析出した固体を酢酸エチルに溶解させ、食塩水を加えて水層から抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を減圧留去、減圧乾燥を行い、白色固体PhA−1モノマー(以降、PhA−1M)を403.5g得た。
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた300ミリリットル三口フラスコに、メチルエチルケトン20.0g、PhA−1M80.0gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、メチルエチルケトン20.0g、及び「V−601」(和光純薬(株)製)2.0gからなる混合溶液を、30分で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、3時間30分攪拌後、(1)「V−601」0.50g、メチルエチルケトン2.0gからなる溶液を加え、2時間攪拌を行った。続いて、(1)の工程を2回繰り返し、さらに2時間攪拌を続けた後、2.0リットルのn−ヘキサンに注いで乾燥した。得られた薄黄色固体75.0gをアセトン700gに溶解させ、水8Lへ注いで乾燥し、白色固体(PhA−1)72.2gを得た。該ポリマーの重量平均分子量(Mw)は9400(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出、使用カラムはTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製))であった。
合成例1の(PhA−1M)の合成において、アニリンの代わりに、それぞれ2,4−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリメチルアニリンへと変更し、仕込みモル比が合成例1と同一となるように仕込み量を変更したこと以外は合成例1と同様にして、各モノマーを得た。また、表1記載の分子量となるように開始剤量を変更して、PhA−2およびPhA−3を得た。
合成例1の(PhA−1M)の合成において、メタクリル酸クロリドの代わりにアクリル酸クロリドへ変更し、仕込みモル比が合成例1と同一となるように仕込み量を変更したこと以外は合成例1と同様にして、PhA−4モノマーを得た。また、表1記載の分子量となるように開始剤量を変更して、PhA−4を得た。
(1)セルロースアシレートフィルムの製膜
<セルロースアシレートの調製>
アセチル置換度2.85のセルロースアシレートを調製した。これは、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。またアシル化後に40℃で熟成を行った。さらにこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、基層用ドープを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.85のセルロースアセテート
100.0質量部
下記ポリマーPhA−1 11.0質量部
メチレンクロライド 457質量部
メタノール 68質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
得られたドープをガラス板上に流延した。ガラス板上の温度は14〜18℃に設定した。
流延後ガラス状のウェブを70℃で6分間乾燥後、セルロースアシレートフィルムを剥ぎ取り、クリップで挟んだ後、100℃で10分、次に140℃で20分乾燥し、実施例1のセルロースアシレートフィルムを得た。得られたセルロースアシレートフィルムの厚みは60μmであった。
〔実施例2〜16および比較例1〜13の偏光板保護フィルムの作製〕
実施例1においてセルロースアシレートの種類、添加ポリマーの種類および添加量を下記表1に記載したとおりに変更した以外は同様にして、実施例2〜16および比較例1〜13の偏光板保護フィルムを製造した。なお、比較化合物A−1〜A−4は下記の繰り返し単位からなる構造のポリマーである。
(含水率の測定)
25℃相対湿度80%の環境下24時間調湿後、平沼産業(株)社製AQ−2000カールフィッシャー水分測定装置で平衡含水率を測定した。
得られた結果を下記表1に示した。
フィルム試料40mm×80mmを、25℃相対湿度60%の環境下で、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
実施例3、実施例4、実施例11、実施例12のフィルムではヘイズ値はそれぞれ0.16%、0.33%、0.19%、0.15%という低いヘイズを示した。また比較例2、比較例3のフィルムではヘイズ値が5%以上となった。
<製造機によるフィルムの製造>
(セルロースアシレート溶液C−1の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液C−1を調製した。
・セルロースアシレート(アセチル置換度2.85) 100質量部
・上記合成例1で合成したポリマー 11質量部
・メチレンクロライド 384質量部
・メタノール 69質量部
・ブタノール 9質量部
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤分散液D−1を調製した。
・シリカ粒子分散液(平均粒径16nm)
"AEROSIL R972"、日本アエロジル(株)製
10.0質量部
・メチレンクロライド 72.8質量部
・メタノール 3.9質量部
・ブタノール 0.5質量部
・セルロースアシレート溶液C−1 10.3質量部
セルロースアシレート溶液C−1とマット剤分散液D−1を、加熱しながら充分に攪拌して各成分を溶解し、ドープを調製した。得られたドープを30℃に加温し、流延ギーサーを通して直径3mのドラムである鏡面ステンレス支持体上に流延した。支持体の表面温度は−5℃に設定し、塗布幅は1470mmとした。流延部全体の空間温度は、15℃に設定した。そして、流延部の終点部から50cm手前で、流延して回転してきたセルロースアシレートフィルムをドラムから剥ぎ取った後、両端をピンテンターでクリップした。剥ぎ取り直後のセルロースエステルウェブの残留溶媒量は70%およびセルロースアシレートウェブの膜面温度は5℃であった。
〔偏光板保護フィルムの鹸化処理〕
作製した実施例201の偏光板保護フィルムを、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、実施例201の偏光板保護フィルムについて表面の鹸化処理を行った。
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
鹸化処理した実施例1の偏光板保護フィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の片側に貼り付けた。市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)に同様の鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作成した実施例201の偏光板保護フィルムを貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に鹸化処理後のセルローストリアセテートフィルムを貼り付けた。
この際、偏光子の透過軸と作成した実施例201の偏光板保護フィルムの遅相軸とは直交するように配置した。また、偏光子の透過軸と市販のセルローストリアセテートフィルムの遅相軸についても、直交するように配置した。
このようにして実施例201の偏光板を作製した。
〔製造機によるセルロースアシレートフィルムの製造、偏光板保護フィルムの鹸化処理と偏光板の作製〕
用いたセルロースアシレートの種類、ポリマーの種類および添加量を上記表1に記載の実施例2〜16および比較例1〜13と同様に変更した以外は実施例201と同様な方法でフィルムを作成し、それぞれ実施例202〜216、比較例201〜213のセルロースアシレートフィルムとした。
実施例202〜216の偏光板保護フィルムおよび比較例201〜213の偏光板保護フィルムについても、それぞれ実施例201と同様にして鹸化処理と偏光板の作製を行い、各実施例および比較例の偏光板を作製した。
市販の液晶テレビ(SONY(株)のブラビアJ5000)の視認者側の偏光板をはがし、実施例201〜216の偏光板保護フィルムを用いた本発明の偏光板を、実施例201〜216の偏光板保護フィルムが液晶セル側となるように、粘着剤を介して貼り付けた。視認者側の偏光板の透過軸が上下方向に配置とした。また、実施例201〜216の偏光板保護フィルムの代わりに比較例201〜213の偏光板保護フィルムを用いた以外は同様にして、比較例の液晶表示装置を作製した。このようにして作製した液晶表示装置を60℃相対湿度90%の環境下に24時間放置した後に表示ムラを確認したところ、本発明の液晶表示装置は、各比較例の偏光板保護フィルムを使用した液晶表示装置に対して、ムラが生じない、もしくはムラの発生面積が小さく好ましかった。
12 偏光子
13 液晶セル
14 各実施例および比較例のセルロースアシレートフィルム
15 各実施例および比較例のセルロースアシレートフィルム
Claims (14)
- 前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーが、前記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマーであることを特徴とする請求項2に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 前記一般式(1)または前記一般式(2)におけるR1が水素原子またはメチル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 前記一般式(1)または前記一般式(2)におけるR 2 が表す置換基を有していてもよい芳香族基の前記置換基が、ハロゲン原子またはアルキル基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 前記一般式(1)または前記一般式(2)におけるR 2 が置換基を有していてもよいフェニル基またはナフチル基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 前記一般式(1)または前記一般式(2)におけるR2が置換基を有していてもよいベンゼン環であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーの重量平均分子量が1000〜100000であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーを、前記セルロースアシレートに対して5〜50質量%含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 前記セルロースアシレートが下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
式(3)
1.5≦A≦3.0
(式中、Aはセルロースアシレートの総アシル置換度を表す。) - 前記セルロースアシレートが下記式(4)を満たすことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
式(4)
2.0≦B≦3.0
(式中、Bはセルロースアシレートのアセチル置換度を表す。) - 前記セルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレートを20〜99質量%含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 偏光子と、該偏光子の両側に二枚の保護フィルムを有し、該保護フィルムのうち少なくとも一枚が請求項1〜12のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
- 液晶セル、該液晶セルの両側に二枚の偏光板を有し、該偏光板のうち少なくとも一枚が請求項13に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
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