本発明のゴム組成物は、共役ジエンに基づく構成単位及び下式(I)で表される構成単位を有し、下式(II)で表される基を有する化合物によって重合体の少なくとも一端が変性されてなる共役ジエン系重合体と、窒素吸着比表面積が100m
2/g以下であるシリカ(1)と、窒素吸着比表面積が180m
2/g以上であるシリカ(2)とを含有する。
[式中、X
1、X
2及びX
3は、それぞれ独立に、下式(Ia)で表される基、水酸基、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基を表し、X
1、X
2及びX
3の少なくとも1つが、下式(Ia)で表される基又は水酸基である。]
[式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基、シリル基又は置換シリル基を表し、R
1及びR
2は結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよい。]
[式中、mは1〜11の整数を表し、Aは窒素原子を有する官能基を表す。]
共役ジエンに基づく構成単位の共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどをあげることができ、これらは1種でもよく、2種以上でもよい。入手容易性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
式(I)で表される構成単位の式(I)のX1、X2及びX3は、それぞれ独立に、式(Ia)で表される基、水酸基、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基を表し、X1、X2及びX3の少なくとも1つは、式(Ia)で表される基又は水酸基である。
式(Ia)のR1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基、シリル基又は置換シリル基を表し、R1及びR2は結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよい。
本明細書では、ヒドロカルビル基は炭化水素残基を表す。ここで、炭化水素残基とは、炭化水素から水素を除いた1価の基を表す。置換ヒドロカルビル基は、炭化水素残基の1つ以上の水素原子が置換基で置換されている基を表す。ヒドロカルビルオキシ基は、ヒドロキシル基の水素原子がヒドロカルビル基で置換されている基を表し、置換ヒドロカルビルオキシ基は、ヒドロカルビルオキシ基の1つ以上の水素原子が置換基で置換されている基を表す。また、置換シリル基は、シリル基の1つ以上の水素原子が置換基で置換されている基を表す。
R1及びR2の炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などをあげることができる。
R1及びR2の炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基、酸素原子を有する基及びケイ素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができ、ケイ素原子を有する基を置換基として有する基としては、トリメチルシリルメチル基などのトリアルキルシリルアルキル基などをあげることができる。
R1及びR2の置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基などをあげることができる。
R1及びR2が結合した基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜12の2価の基があげられる。例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシジアルキレン基;−CH2CH2−NH−CH2−で表される基、−CH2CH2−N=CH−で表される基などの含窒素基などをあげることができる。
R1及びR2が結合した基としては、含窒素基が好ましく、−CH2CH2−NH−CH2−で表される基、−CH2CH2−N=CH−で表される基がより好ましい。
R1及びR2のヒドロカルビル基としては、アルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が更に好ましく、エチル基、n−ブチル基が特に好ましい。R1及びR2の置換ヒドロカルビル基としては、アルコキシアルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基がより好ましい。R1及びR2の置換シリル基としては、トリアルキルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基がより好ましい。
R1及びR2としては、好ましくは、アルキル基、アルコキシアルキル基、置換シリル基又はR1及びR2が結合した含窒素基であり、より好ましくは、アルキル基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、より更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基である。
式(Ia)で表される基としては、非環状アミノ基、環状アミノ基をあげることができる。
該非環状アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、ジ(ネオペンチル)アミノ基、エチルメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジ(メトキシメチル)アミノ基、ジ(メトキシエチル)アミノ基、ジ(エトキシメチル)アミノ基、ジ(エトキシエチル)アミノ基などのジ(アルコキシアルキル)アミノ基;ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ基などのジ(トリアルキルシリル)アミノ基などをあげることができる。
該環状アミノ基としては、1−ピロリジニル基、1−ピペリジノ基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−ヘプタメチレンイミノ基、1−オクタメチレンイミノ基、1−デカメチレンイミノ基、1−ドデカメチレンイミノ基などの1−ポリメチレンイミノ基をあげることができる。また、環状アミノ基としては、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基、1−イミダゾリジニル基、1−ピペラジニル基、モルホリノ基などもあげることができる。
式(Ia)で表される基としては、経済性及び入手容易性から、好ましくは、非環状アミノ基であり、より好ましくは、ジアルキルアミノ基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基であり、より更に好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基である。
式(I)のX1〜X3のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基をあげることができる。また、置換ヒドロカルビル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。
X1〜X3のヒドロカルビル基としては、アルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。また、X1〜X3の置換ヒドロカルビル基としては、アルコキシアルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基がより好ましい。
X1〜X3のヒドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基又はアルコキシアルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基又は炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、より更に好ましくは、メチル基又はエチル基である。
式(I)のX1、X2及びX3の少なくとも1つは、式(Ia)で表される基又は水酸基である。好ましくは、X1、X2及びX3の2つ以上が、式(Ia)で表される基又は水酸基であり、より好ましくは、X1、X2及びX3の2つが、式(Ia)で表される基又は水酸基である。また、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性を高次元でバランス良く得られるという点から、X1、X2及びX3の少なくとも1つが水酸基であることが好ましく、X1、X2及びX3の2つ以上が水酸基であることがより好ましく、X1、X2及びX3の2つが水酸基であることが更に好ましい。
低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性をバランス良く高める観点から、式(I)で表される構成単位としては、X1、X2及びX3の2つが非環状アミノ基又は水酸基である構成単位が好ましい。X1、X2及びX3の2つが非環状アミノ基である構成単位としては、ビス(ジアルキルアミノ)アルキルビニルシラン単位が好ましく、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン単位、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン単位、ビス(ジ(n−プロピル)アミノ)メチルビニルシラン単位、ビス(ジ(n−ブチル)アミノ)メチルビニルシラン単位がより好ましい。X1、X2及びX3の2つが水酸基である構成単位としては、ジヒドロキシアルキルビニルシラン単位が好ましく、ジヒドロキシメチルビニルシラン単位がより好ましい。
共役ジエン系重合体中の式(I)で表される構成単位の含有量は、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性をバランス良く高める観点から、重合体単位質量あたり、好ましくは、0.001mmol/g重合体以上0.1mmol/g重合体以下である。より好ましくは、0.002mmol/g重合体以上0.07mmol/g重合体以下である。更に好ましくは、0.003mmol/g重合体以上0.05mmol/g重合体以下である。
上記共役ジエン系重合体は、下式(II)で表される基を有する化合物によって重合体の少なくとも一端が変性されてなる重合体である。
[式中、mは1〜11の整数を表し、Aは窒素原子を有する官能基を表す。]
mは、1〜11の整数を表す。低燃費性を高める観点から、好ましくは1以上であり、製造時の経済性を高める観点から、好ましくは4以下である。Aは窒素原子を有する官能基であり、アミノ基、イソシアノ基、シアノ基、ピリジル基、ピペリジル基、ピラジニル基、モルホリノ基などをあげることができる。
式(II)で表される基を有する化合物としては、下式(III)で表される化合物をあげることができる。
[式中、nは0〜10の整数を表し、R
3は炭素原子数が1〜5のヒドロカルビル基を表し、R
4、R
5、R
6及びR
7は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数が1〜5のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜5の置換ヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜5のヒドロカルビルオキシ基を表し、R
4及びR
5が複数ある場合は、複数あるR
4及び複数あるR
5はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、R
8及びR
9は、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜6の基を表し、R
8及びR
9は結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよく、R
8及びR
9は窒素に二重結合で結合する同一の基であってもよい。]
式(III)のnは、0〜10の整数を表す。経済性を高める観点から、好ましくは3以下であり、より好ましくは0である。
式(III)のR3は炭素原子数が1〜5のヒドロカルビル基を表す。R3のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基をあげることができる。
R3のヒドロカルビル基としては、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基である。
式(III)のR4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数が1〜5のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜5の置換ヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜5のヒドロカルビルオキシ基を表し、R4及びR5が複数ある場合は、複数あるR4及び複数あるR5はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
R4〜R7のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基をあげることができる。
R4〜R7の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基及び酸素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基などをあげることができる。
R4〜R7のヒドロカルビルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシ基をあげることができる。
R4〜R7のヒドロカルビル基としては、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基である。
R4〜R7の置換ヒドロカルビル基としては、好ましくはアルコキシアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基であり、更に好ましくは、メトキシメチル基、エトキシエチル基である。
R4〜R7のヒドロカルビルオキシ基としては、好ましくはアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数が1〜3のアルコキシ基であり、更に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基である。
低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性をバランス良く高める観点及び経済性から、R6及びR7の一方が水素原子であることが好ましい。より好ましくは、R6及びR7の一方が水素原子であり、もう一方がアルキル基またはアルコキシ基である。更に好ましくは、R6及びR7の一方が水素原子であり、もう一方がアルコキシ基である。特に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基である。
式(III)のR8及びR9は、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜6の基を表し、R8及びR9は結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよく、R8及びR9は窒素に二重結合で結合する同一の基であってもよい。
式(III)のR8及びR9としては、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基、置換シリル基などをあげることができる。
R8及びR9のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などをあげることができる。
R8及びR9の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基、酸素原子を有する基及びケイ素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;エポキシ基、テトラヒドロフラニル基などのアルキレンオキシド基;グリシジル基、テトラヒドロフルフリル基などのアルキレンオキシドアルキル基をあげることができ、ケイ素原子を有する基を置換基として有する基としては、トリメチルシリルメチル基などのトリアルキルシリルアルキル基などをあげることができる。
なお、本明細書において、アルキレンオキシド基は、環状エーテル化合物の環から水素原子を除いた1価の基を表す。また、アルキレンオキシドアルキル基は、アルキル基の1つ以上の水素原子がアルキレンオキシド基で置換されている基を表す。
R8及びR9の置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基;トリメトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基などをあげることができる。
R8及びR9が結合した基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜12の2価の基があげられる。例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシジアルキレン基;−CH2CH2−NH−CH2−で表される基、−CH2CH2−N=CH−で表される基などの含窒素基などをあげることができる。
R8及びR9が結合した基としては、含窒素基が好ましく、−CH2CH2−NH−CH2−で表される基、−CH2CH2−N=CH−で表される基がより好ましい。
R8及びR9の窒素に二重結合で結合する同一の基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜12の2価の基があげられる。例えば、エチリデン基、1−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基、1−メチルエチリデン基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン基などをあげることができる。
R8及びR9のヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基であり、より更に好ましくは、メチル基、エチル基である。R8及びR9の置換ヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルコキシアルキル基、アルキレンオキシド基、アルキレンオキシドアルキル基である。R8及びR9の置換シリル基としては、好ましくは、トリアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基であり、より好ましくは、トリアルキルシリル基であり、更に好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基である。
R8及びR9としては、好ましくは、アルキル基、アルコキシアルキル基、置換シリル基又はR8及びR9が結合した含窒素基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基であり、より更に好ましくは、メチル基、エチル基である。
R8及びR9が窒素原子に結合したアミノ基としては、非環状アミノ基、環状アミノ基をあげることができる。
該非環状アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、ジ(ネオペンチル)アミノ基、エチルメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジ(メトキシメチル)アミノ基、ジ(メトキシエチル)アミノ基、ジ(エトキシメチル)アミノ基、ジ(エトキシエチル)アミノ基などのジ(アルコキシアルキル)アミノ基;ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ基などのジ(トリアルキルシリル)アミノ基などをあげることができる。また、ジ(エポキシ)アミノ基、ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ基などのジ(アルキレンオキシド)アミノ基;ジ(グリシジル)アミノ基、ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ基などのジ(アルキレンオキシドアルキル)アミノ基をあげることができる。更には、エチリデンアミノ基、1−メチルプロピリデンアミノ基、1,3−ジメチルブチリデンアミノ基、1−メチルエチリデンアミノ基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデンアミノ基などもあげることができる。
該環状アミノ基としては、1−ピロリジニル基、1−ピペリジノ基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−ヘプタメチレンイミノ基、1−オクタメチレンイミノ基、1−デカメチレンイミノ基、1−ドデカメチレンイミノ基などの1−ポリメチレンイミノ基をあげることができる。また、環状アミノ基としては、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基、1−イミダゾリジニル基、1−ピペラジニル基、モルホリノ基などもあげることができる。
R8及びR9が窒素原子に結合したアミノ基としては、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、操縦安定性、化合物の長期安定性及び入手容易性から、好ましくは、非環状アミノ基であり、より好ましくは、ジアルキルアミノ基であり、更に好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基である。
式(III)で表される化合物としては、N,N−ジアルキル置換カルボン酸アミドジアルキルアセタール化合物をあげることができる。
N,N−ジアルキル置換カルボン酸アミドジアルキルアセタール化合物としては、
N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)ホルムアミドジメチルアセタール、
N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)ホルムアミドジエチルアセタール、
N,N−ジメチルホルムアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)ホルムアミドエチルメチルアセタールなどのN,N−ジアルキルホルムアミドジアルキルアセタール;
N,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール、N,N−ジエチルアセトアミドジメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)アセトアミドジメチルアセタール、
N,N−ジメチルアセトアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルアセトアミドジエチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)アセトアミドジエチルアセタール、
N,N−ジメチルアセトアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジエチルアセトアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)アセトアミドエチルメチルアセタールなどのN,N−ジアルキルアセトアミドジアルキルアセタール;
N,N−ジメチルプロピオンアミドジメチルアセタール、N,N−ジエチルプロピオンアミドジメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)プロピオンアミドジメチルアセタール、
N,N−ジメチルプロピオンアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルプロピオンアミドジエチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)プロピオンアミドジエチルアセタール、
N,N−ジメチルプロピオンアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジエチルプロピオンアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)プロピオンアミドエチルメチルアセタールなどのN,N−ジアルキルプロピオンアミドジアルキルアセタールなどがあげられる。
これらの中では、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性をバランス良く高める観点から、好ましくは、
N,N−ジアルキルホルムアミドジアルキルアセタールであり、
より好ましくは、
N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、
N,N−ジエチルホルムアミドジメチルアセタール、
N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、
N,N−ジエチルホルムアミドジエチルアセタールである。
上記共役ジエン系重合体は、共役ジエンに基づく構成単位(共役ジエン単位)に加え、さらに、他の単量体に基づく構成単位を有していてもよい。該他の単量体としては、芳香族ビニル、ビニルニトリル、不飽和カルボン酸エステルなどがあげられる。芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンを例示することができる。また、ビニルニトリルとしては、アクリロニトリルなどを、不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチルなどを例示することができる。これらの中では、芳香族ビニルが好ましく、スチレンがより好ましい。
上記共役ジエン系重合体は、耐摩耗性の観点から、芳香族ビニルに基づく構成単位(芳香族ビニル単位)を有していることが好ましく、芳香族ビニル単位の含有量としては、共役ジエン単位と芳香族ビニル単位との総量を100質量%として、好ましくは10質量%以上(共役ジエン単位の含有量は90質量%以下)であり、より好ましくは15質量%以上(共役ジエン単位の含有量は85質量%以下)である。また、低燃費性の観点から、芳香族ビニル単位の含有量は、好ましくは50質量%以下(共役ジエン単位の含有量は50質量%以上)であり、より好ましくは45質量%以下(共役ジエン単位の含有量は55質量%以上)である。
上記共役ジエン系重合体のビニル結合量は、共役ジエン単位の含有量を100モル%として、低燃費性の観点から、好ましくは80モル%以下であり、より好ましくは70モル%以下である。また、ウェットグリップ性能の観点から、好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは15モル%以上であり、更に好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは40モル%以上である。該ビニル結合量は、赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm−1付近の吸収強度より求められる。
上記共役ジエン系重合体の分子量分布は、低燃費性の観点から、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜2である。分子量分布は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定し、MwをMnで除すことにより求められる。
上記共役ジエン系重合体の好適な製造方法としては、下記工程A及びBを有する製造方法をあげることができる。
(工程A):炭化水素溶媒中で、アルカリ金属触媒により、共役ジエンと下式(IV)で表されるビニル化合物とを含む単量体を重合させ、共役ジエンに基づく単量体単位と下式(IV)で表されるビニル化合物に基づく単量体単位とを有する重合体鎖の少なくとも一端に、該触媒由来のアルカリ金属を有する重合体を得る工程。
[式中、X
4、X
5及びX
6は、それぞれ独立に、下式(IVa)で表される基、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基を表し、X
4、X
5及びX
6の少なくとも1つが、下式(IVa)で表される基である。]
[式中、R
10及びR
11は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基、シリル基又は置換シリル基を表し、R
10及びR
11は結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよい。]
(工程B):工程Aで得られた重合体と下式(II)で表される基を有する化合物とを反応させる工程。
[式中、mは1〜11の整数を表し、Aは窒素原子を有する官能基を表す。]
(工程A)で用いられるアルカリ金属触媒としては、アルカリ金属、有機アルカリ金属化合物、アルカリ金属と極性化合物との錯体、アルカリ金属を有するオリゴマーなどをあげることができる。該アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどをあげることができる。該有機アルカリ金属化合物としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4−シクロペンチルリチウム、ジメチルアミノプロピルリチウム、ジエチルアミノプロピルリチウム、t−ブチルジメチルシリロキシプロピルリチウム、N−モルホリノプロピルリチウム、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、1,4−ジリチオ−2−ブテン、ナトリウムナフタレニド、ナトリウムビフェニリド、カリウムナフタレニドなどをあげることができる。また、アルカリ金属と極性化合物との錯体としては、カリウム−テトラヒドロフラン錯体、カリウム−ジエトキシエタン錯体などをあげることができ、アルカリ金属を有するオリゴマーとしては、α−メチルスチレンテトラマーのナトリウム塩をあげることができる。これらの中でも、有機リチウム化合物又は有機ナトリウム化合物が好ましく、炭素原子数が2〜20の有機リチウム化合物又は有機ナトリウム化合物がより好ましい。
(工程A)で用いられる炭化水素溶媒は、有機アルカリ金属化合物触媒を失活させない溶媒であり、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素などをあげることができる。該脂肪族炭化水素としては、プロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、プロペン、1−ブテン、iso−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどをあげることができる。また、芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンをあげることができ、脂環族炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサンなどがあげられる。これらは単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。これらの中では、炭素原子数が2〜12の炭化水素が好ましい。
(工程A)では、共役ジエンと式(IV)で表されるビニル化合物とを含む単量体を重合させ、上述のアルカリ金属触媒由来のアルカリ金属を重合体鎖末端に有する共役ジエン系重合体を製造する。該共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンをあげることができ、これらは単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。中でも、入手容易性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
式(IV)のX4、X5及びX6は、それぞれ独立に、式(IVa)で表される基、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基を表し、X4、X5及びX6の少なくとも1つは、式(IVa)で表される基である。
式(IVa)のR10及びR11は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基、シリル基又は置換シリル基を表し、R10及びR11は結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよい。
R10及びR11の炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などをあげることができる。
R10及びR11の炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基、酸素原子を有する基及びケイ素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができ、ケイ素原子を有する基を置換基として有する基としては、トリメチルシリルメチル基などのトリアルキルシリルアルキル基などをあげることができる。
R10及びR11の置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基などをあげることができる。
R10及びR11が結合した基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜12の2価の基があげられる。例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシジアルキレン基;−CH2CH2−NH−CH2−で表される基、−CH2CH2−N=CH−で表される基などの含窒素基などをあげることができる。
R10及びR11が結合した基としては、含窒素基が好ましく、−CH2CH2−NH−CH2−で表される基、−CH2CH2−N=CH−で表される基がより好ましい。
R10及びR11のヒドロカルビル基としては、アルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が更に好ましく、エチル基、n−ブチル基が特に好ましい。R10及びR11の置換ヒドロカルビル基としては、アルコキシアルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基がより好ましい。R10及びR11の置換シリル基としては、トリアルキルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基がより好ましい。
R10及びR11としては、好ましくは、アルキル基、アルコキシアルキル基、置換シリル基又はR10及びR11が結合した含窒素基であり、より好ましくは、アルキル基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、より更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基である。
式(IVa)で表される基としては、非環状アミノ基、環状アミノ基をあげることができる。
該非環状アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、ジ(ネオペンチル)アミノ基、エチルメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジ(メトキシメチル)アミノ基、ジ(メトキシエチル)アミノ基、ジ(エトキシメチル)アミノ基、ジ(エトキシエチル)アミノ基などのジ(アルコキシアルキル)アミノ基;ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ基などのジ(トリアルキルシリル)アミノ基などをあげることができる。
該環状アミノ基としては、1−ピロリジニル基、1−ピペリジノ基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−ヘプタメチレンイミノ基、1−オクタメチレンイミノ基、1−デカメチレンイミノ基、1−ドデカメチレンイミノ基などの1−ポリメチレンイミノ基をあげることができる。また、環状アミノ基としては、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基、1−イミダゾリジニル基、1−ピペラジニル基、モルホリノ基などもあげることができる。
式(IVa)で表される基としては、経済性及び入手容易性から、好ましくは、非環状アミノ基であり、より好ましくは、ジアルキルアミノ基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基であり、より更に好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基である。
式(IV)のX4〜X6のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基をあげることができる。また、置換ヒドロカルビル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。
X4〜X6のヒドロカルビル基としては、アルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。また、X4〜X6の置換ヒドロカルビル基としては、アルコキシアルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基がより好ましい。
X4〜X6のヒドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基又はアルコキシアルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基又は炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、より更に好ましくは、メチル基又はエチル基である。
式(IV)のX4、X5及びX6の少なくとも1つは、式(IVa)で表される基である。好ましくは、X4、X5及びX6の2つ以上が、式(IVa)で表される基であり、より好ましくは、X4、X5及びX6の2つが、式(IVa)で表される基である。
(工程A)で用いられる式(IV)で表されるビニル化合物としては、X4〜X6の1つが式(IVa)で表される非環状アミノ基であり、2つがヒドロカルビル基または置換ヒドロカルビル基である化合物として、(ジアルキルアミノ)ジアルキルビニルシラン、{ジ(トリアルキルシリル)アミノ}ジアルキルビニルシラン、(ジアルキルアミノ)ジアルコキシアルキルビニルシランなどをあげることができる。
(ジアルキルアミノ)ジアルキルビニルシランとしては、(ジメチルアミノ)ジメチルビニルシラン、(エチルメチルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジメチルビニルシラン、(エチル−n−プロピルアミノ)ジメチルビニルシラン、(エチルイソプロピルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジ(n−プロピル)アミノ)ジメチルビニルシラン、(ジイソプロピルアミノ)ジメチルビニルシラン、(n−ブチル−n−プロピルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジ(n−ブチル)アミノ)ジメチルビニルシラン、
(ジメチルアミノ)ジエチルビニルシラン、(エチルメチルアミノ)ジエチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジエチルビニルシラン、(エチル−n−プロピルアミノ)ジエチルビニルシラン、(エチルイソプロピルアミノ)ジエチルビニルシラン、(ジ(n−プロピル)アミノ)ジエチルビニルシラン、(ジイソプロピルアミノ)ジエチルビニルシラン、(n−ブチル−n−プロピルアミノ)ジエチルビニルシラン、(ジ(n−ブチル)アミノ)ジエチルビニルシラン、
(ジメチルアミノ)ジプロピルビニルシラン、(エチルメチルアミノ)ジプロピルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジプロピルビニルシラン、(エチル−n−プロピルアミノ)ジプロピルビニルシラン、(エチルイソプロピルアミノ)ジプロピルビニルシラン、(ジ(n−プロピル)アミノ)ジプロピルビニルシラン、(ジイソプロピルアミノ)ジプロピルビニルシラン、(n−ブチル−n−プロピルアミノ)ジプロピルビニルシラン、(ジ(n−ブチル)アミノ)ジプロピルビニルシラン、
(ジメチルアミノ)ジブチルビニルシラン、(エチルメチルアミノ)ジブチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジブチルビニルシラン、(エチル−n−プロピルアミノ)ジブチルビニルシラン、(エチルイソプロピルアミノ)ジブチルビニルシラン、(ジ(n−プロピル)アミノ)ジブチルビニルシラン、(ジイソプロピルアミノ)ジブチルビニルシラン、(n−ブチル−n−プロピルアミノ)ジブチルビニルシラン、(ジ(n−ブチル)アミノ)ジブチルビニルシランなどをあげることができる。
{ジ(トリアルキルシリル)アミノ}ジアルキルビニルシランとしては、{ジ(トリメチルシリル)アミノ}ジメチルビニルシラン、{ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ}ジメチルビニルシラン、{ジ(トリメチルシリル)アミノ}ジエチルビニルシラン、{ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ}ジエチルビニルシランなどをあげることができる。
(ジアルキルアミノ)ジアルコキシアルキルビニルシランとしては、(ジメチルアミノ)ジメトキシメチルビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジメトキシエチルビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジエトキシメチルビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジエトキシエチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジメトキシメチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジメトキシエチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジエトキシメチルビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジエトキシエチルビニルシランなどをあげることができる。
X4〜X6の2つが式(IVa)で表される非環状アミノ基であり、1つがヒドロカルビル基または置換ヒドロカルビル基である化合物としては、ビス(ジアルキルアミノ)アルキルビニルシラン、ビス{ジ(トリアルキルシリル)アミノ}アルキルビニルシラン、ビス(ジアルキルアミノ)アルコキシアルキルビニルシランなどをあげることができる。
ビス(ジアルキルアミノ)アルキルビニルシランとしては、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチル−n−プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルイソプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ(n−プロピル)アミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジイソプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(n−ブチル−n−プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ(n−ブチル)アミノ)メチルビニルシラン、
ビス(ジメチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(エチル−n−プロピルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(エチルイソプロピルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジ(n−プロピル)アミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジイソプロピルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(n−ブチル−n−プロピルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジ(n−ブチル)アミノ)エチルビニルシラン、
ビス(ジメチルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(エチル−n−プロピルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(エチルイソプロピルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(ジ(n−プロピル)アミノ)プロピルビニルシラン、ビス(ジイソプロピルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(n−ブチル−n−プロピルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(ジ(n−ブチル)アミノ)プロピルビニルシラン、
ビス(ジメチルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(エチル−n−プロピルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(エチルイソプロピルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(ジ(n−プロピル)アミノ)ブチルビニルシラン、ビス(ジイソプロピルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(n−ブチル−n−プロピルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(ジ(n−ブチル)アミノ)ブチルビニルシランなどをあげることができる。
ビス{ジ(トリアルキルシリル)アミノ}アルキルビニルシランとしては、ビス{ジ(トリメチルシリル)アミノ}メチルビニルシラン、ビス{ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ}メチルビニルシラン、ビス{ジ(トリメチルシリル)アミノ}エチルビニルシラン、ビス{ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ}エチルビニルシランなどをあげることができる。
ビス(ジアルキルアミノ)アルコキシアルキルビニルシランとしては、ビス(ジメチルアミノ)メトキシメチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メトキシエチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エトキシメチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エトキシエチルビニルシラン、
ビス(ジエチルアミノ)メトキシメチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メトキシエチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エトキシメチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エトキシエチルビニルシランなどをあげることができる。
X4〜X6の3つが式(IVa)で表される非環状アミノ基である化合物として、トリ(ジアルキルアミノ)ビニルシランなどをあげることができる。
例えば、トリ(ジメチルアミノ)ビニルシラン、トリ(エチルメチルアミノ)ビニルシラン、トリ(ジエチルアミノ)ビニルシラン、トリ(エチルプロピルアミノ)ビニルシラン、トリ(ジプロピルアミノ)ビニルシラン、トリ(ブチルプロピルアミノ)ビニルシランなどをあげることができる。
X4〜X6の2つが式(IVa)で表される環状アミノ基であり、1つがヒドロカルビル基または置換ヒドロカルビル基である化合物として、ビス(モルホリノ)メチルビニルシラン、ビス(ピペリジノ)メチルビニルシラン、ビス(4,5−ジヒドロイミダゾリル)メチルビニルシラン、ビス(ヘキサメチレンイミノ)メチルビニルシランなどをあげることができる。
X4、X5及びX6の2つが式(IVa)で表される基である式(IV)で表されるビニル化合物として、好ましくは、X4、X5及びX6の2つが非環状アミノ基であるビニル化合物であり、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性の観点から、より好ましくは、ビス(ジアルキルアミノ)アルキルビニルシランであり、更に好ましくは、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ(n−プロピル)アミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ(n−ブチル)アミノ)メチルビニルシランである。中でも、化合物の入手容易性の観点からは、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ(n−ブチル)アミノ)メチルビニルシランが好ましい。
(工程A)では、共役ジエンと式(IV)で表されるビニル化合物とに、他の単量体とを組み合わせて重合を行ってもよい。他の単量体としては、芳香族ビニル、ビニルニトリル、不飽和カルボン酸エステルなどがあげられる。芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンを例示することができる。また、ビニルニトリルとしては、アクリロニトリルなどを、不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチルなどを例示することができる。これらの中では、芳香族ビニルが好ましく、スチレンがより好ましい。
(工程A)の重合は、共役ジエン単位のビニル結合量を調整する剤、共役ジエン系重合体鎖中での共役ジエン単位と共役ジエン以外の単量体に基づく構成単位の分布を調整する剤(以下、総称して「調整剤」と記す。)などの存在下で行ってもよい。このような剤としては、エーテル化合物、第三級アミン、ホスフィン化合物などをあげることができる。該エーテル化合物としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどの脂肪族モノエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどの脂肪族ジエ−テル;ジフェニルエーテル、アニソールなどの芳香族エーテルなどがあげられる。該第三級アミンとして、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、キノリンなどをあげることができる。また、該ホスフィン化合物として、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどをあげることができる。これらは単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(工程A)での重合温度は、通常25〜100℃であり、好ましくは35〜90℃である。より好ましくは50〜80℃である。重合時間は、通常10分〜5時間である。
(工程B)において、工程Aで調製された重合体に接触させる式(II)で表される基を有する化合物の量は、アルカリ金属触媒由来のアルカリ金属1モルあたり、通常、0.1〜3モルであり、好ましくは、0.5〜2モルであり、より好ましくは、0.7〜1.5モルである。
(工程B)において、工程Aで調製された重合体と式(II)で表される基を有する化合物とを接触させる温度は、通常25〜100℃であり、好ましくは35〜90℃である。より好ましくは50〜80℃である。接触させる時間は、通常、60秒〜5時間であり、好ましくは5分〜1時間であり、より好ましくは15分〜1時間である。
上記共役ジエン系重合体の製造方法においては、必要に応じて、アルカリ金属触媒による単量体の重合開始から重合停止において、共役ジエン系重合体の炭化水素溶液にカップリング剤を添加してもよい。カップリング剤としては、下式(V)で表される化合物をあげることができる。
R12 aML4−a(V)
(式中、R12はアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基または芳香族残基を表し、Mはケイ素原子またはスズ原子を表し、Lはハロゲン原子またはヒドロカルビルオキシ基を表し、aは0〜2の整数を表す。)
ここで、芳香族残基は、芳香族炭化水素から芳香環に結合している水素を除いた1価の基を表す。
式(V)で表されるカップリング剤としては、四塩化珪素、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、四塩化スズ、メチルトリクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、トリメチルクロロスズ、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、テトラエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエトキシジエチルシランなどをあげることができる。
カップリング剤の添加量は、アルカリ金属触媒由来のアルカリ金属1モル当たり、共役ジエン系重合体の加工性の観点から、好ましくは0.03モル以上であり、より好ましくは0.05モル以上である。また、低燃費性の観点から、好ましくは0.4モル以下であり、より好ましくは0.3モル以下である。
共役ジエン系重合体は、公知の回収方法、例えば、(1)共役ジエン系重合体の炭化水素溶液に凝固剤を添加する方法、(2)共役ジエン系重合体の炭化水素溶液にスチームを添加する方法によって、共役ジエン系重合体の炭化水素溶液から回収することができる。回収した共役ジエン系重合体は、バンドドライヤーや押出型ドライヤーなどの公知の乾燥機で乾燥してもよい。
また、上記共役ジエン系重合体の製造方法においては、加水分解などにより、重合体の式(Ia)で表される基を水酸基に置換させる処理を行うことが好ましい。該処理は、重合体単独の状態で行ってもよく、後述のような組成物の状態で行ってもよい。加水分解する方法としては、例えば、スチームストリッピングによる方法等の公知の方法が挙げられる。上記処理により、式(I)のX1〜X3を水酸基とすることができ、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性をよりバランスよく向上できる。
上記共役ジエン系重合体は、ゴム成分として本発明のゴム組成物に用いることができ、他のゴム成分や添加剤などと併用することが好ましい。
他のゴム成分としては、従来のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、ブチルゴムなどをあげることができる。また、天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−オクテン共重合体などもあげることができる。これらのゴム成分は、2種以上組み合わせて用いてもよい。中でも、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性をバランス良く改善できるという点から、NR及び/又はBRを使用することが好ましく、NR及びBRの両成分を使用することがより好ましい。
ゴム成分100質量%中の上記共役ジエン系重合体の含有量は、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。上記共役ジエン系重合体の含有量が5質量%未満であると、低燃費性の改善効果が得られにくい傾向がある。上記共役ジエン系重合体の含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。上記共役ジエン系重合体の含有量が90質量%を超えると、耐摩耗性が低下するとともに、高コストになる傾向がある。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。5質量%未満であると、耐摩耗性が低下する傾向がある。上記NRの含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。70質量%を超えると、ウェットグリップ性能が低下する傾向がある。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。5質量%未満であると、耐摩耗性が低下する傾向がある。上記BRの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。60質量%を超えると、ウェットグリップ性能が低下する傾向がある。
ゴム成分100質量%中のNR及びBRの合計含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。10質量%未満であると、耐摩耗性が低下する傾向がある。上記合計含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。70質量%を超えると、ウェットグリップ性能が低下する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、窒素吸着比表面積が100m2/g以下であるシリカ(1)と、窒素吸着比表面積が180m2/g以上であるシリカ(2)とを含有する。シリカ(1)及び(2)を上記共役ジエン系重合体とともに配合することで、シリカ(1)及び(2)が良好に分散し、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性を高次元でバランスよく改善することができる。
シリカ(1)の窒素吸着比表面積(N2SA)は、100m2/g以下、好ましくは80m2/g以下、より好ましくは60m2/g以下である。100m2/gを超えると、シリカ(1)及び(2)の併用による効果が充分に得られないおそれがある。また、シリカ(1)のN2SAは、好ましくは20m2/g以上、より好ましくは30m2/g以上である。20m2/g未満では、破壊強度が低下したり、耐摩耗性や操縦安定性を充分に改善できなくなるおそれがある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカ(1)としては、窒素吸着比表面積が100m2/g以下のシリカであれば特に限定されず、例えば、デグッサ社製のウルトラジル360、ローディア社製のZ40、ローディア社製のRP80などを使用できる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ(1)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。10質量部未満では、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。また、シリカ(1)の含有量は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。120質量部を超えると、低燃費性は良好であるが、破壊強度が低下する傾向がある。
シリカ(2)のN2SAは、180m2/g以上、好ましくは190m2/g以上、より好ましくは200m2/g以上である。シリカ(2)のN2SAが180m2/g未満では、シリカ(1)及び(2)の併用による効果が充分に得られないおそれがある。また、シリカ(2)のN2SAは、好ましくは300m2/g以下、より好ましくは240m2/g以下である。シリカ(2)のN2SAが300m2/gを超えると、加工性が悪化したり、低燃費性を充分に改善できなくなるおそれがある。
シリカ(2)としては、窒素吸着比表面積が180m2/g以上のシリカであれば特に限定されず、例えば、ローディア社製のゼオシル1205MPなどを使用できる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ(2)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。5質量部未満では、充分な操縦安定性が得られないおそれがある。また、シリカ(2)の含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。100質量部を超えると、操縦安定性は良好であるが、加工性が悪化する傾向がある。
シリカ(1)及び(2)の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、30質量部以上、好ましくは40質量部以上、より好ましくは50質量部以上である。30質量部未満では、シリカ(1)及び(2)の配合による充分な補強効果が得られないおそれがある。また、該合計含有量は、150質量部以下、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。150質量部を超えると、シリカ(1)及び(2)を均一に分散することが困難となり、加工性や低燃費性が悪化する傾向がある。
シリカ(1)及び(2)とカーボンブラックとの合計100質量%中のシリカ(1)及び(2)の合計含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは85質量%以上であり、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。上記範囲内であれば、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性を高次元でバランス良く改善することができる。
シリカ(1)の含有量及びシリカ(2)の含有量は、以下の式を満たすことが好ましい。これにより、シリカ(1)及び(2)を良好に分散できる。
[シリカ(1)の含有量]×0.2≦[シリカ(2)の含有量]≦[シリカ(1)の含有量]×6.5
シリカ(2)の含有量は、シリカ(1)の含有量に対して、好ましくは0.2倍以上、より好ましくは0.4倍以上、更に好ましくは0.5倍以上である。0.2倍未満では、操縦安定性が低下するおそれがある。また、シリカ(2)の含有量は、シリカ(1)の含有量に対して、好ましくは6.5倍以下、より好ましくは4倍以下、更に好ましくは等倍(1倍)以下である。6.5倍を超えると、低燃費性が悪化するおそれがある。
シリカを配合する際にシランカップリング剤を併用しても良い。シランカップリング剤としては、シリカの分散性と耐スコーチ性とを両立できるという点から、下式(1)で示される結合単位Aと下式(2)で示される結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合した化合物を好適に使用できる。
[式(1)、(2)中、x、yはそれぞれ1以上の整数である。R
21は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基若しくはアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基若しくはアルキニレン基、又は該アルキル基若しくは該アルケニル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。R
22は水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基若しくはアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基若しくはアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基若しくはアルキニル基を示す。R
21とR
22とで環構造を形成してもよい。]
結合単位Aと結合単位Bのモル比が上記条件を満たす場合、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシランに比べ、加工中の粘度上昇が抑制される。これは結合単位Aのスルフィド部分がC−S−C結合であるため、テトラスルフィドやジスルフィドに比べ熱的に安定であることから、ムーニー粘度の上昇が少ないためと考えられる。
また、結合単位Aと結合単位Bのモル比が上記条件を満たす場合、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシランに比べ、スコーチ時間の短縮が抑制される。これは結合単位Bはメルカプトシランの構造を持っているが、結合単位Aの−C7H15部分が結合単位Bの−SH基を覆うためポリマーと反応しにくく、スコーチが発生しにくいためと考えられる。
R21のハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素などが挙げられる。
R21、R22の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜12)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
R21、R22の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜12)のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等が挙げられる。
R21、R22の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜12)のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基等が挙げられる。
R21、R22の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜12)のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基等が挙げられる。
R21、R22の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜12)のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基等が挙げられる。
R21、R22の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜12)のアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基等が挙げられる。
上記結合単位Aと結合単位Bからなるシランカップリング剤において、結合単位Aの繰り返し数(x)と結合単位Bの繰り返し数(y)の合計の繰り返し数(x+y)は、3〜300の範囲が好ましい。この範囲内であると、結合単位Bのメルカプトシランを結合単位Aの−C7H15が覆うため、スコーチタイムが短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。
上記結合単位Aと結合単位Bからなるシランカップリング剤としては、例えば、Momentive社製のNXT−Z30、NXT−Z45、NXT−Z60等を使用することができる。
シランカップリング剤の配合量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、6質量部以上であることがより好ましい。シランカップリング剤の配合量が1質量部未満では、未加硫ゴム組成物の粘度が高く、加工性が悪くなる傾向がある。また、シランカップリング剤の配合量は、シリカ100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。シランカップリング剤の配合量が20質量部をこえると、その配合量ほどのシランカップリング剤の配合効果が得られず、コストが高くなる傾向がある。
添加剤としては、公知のものを用いることができ、硫黄などの加硫剤;チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤などの加硫促進剤;ステアリン酸、酸化亜鉛などの加硫活性化剤;有機過酸化物;カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカなどの充填剤;シランカップリング剤;伸展油、滑剤などの加工助剤;老化防止剤を例示することができる。
上記カーボンブラックとしては、SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCF及びECFのようなファーネスブラック(ファーネスカーボンブラック);アセチレンブラック(アセチレンカーボンブラック);FT及びMTのようなサーマルブラック(サーマルカーボンブラック);EPC、MPC及びCCのようなチャンネルブラック(チャンネルカーボンブラック);グラファイトなどをあげることができる。これらは1種または2種以上組み合わせて用いることができる。低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性を高次元でバランス良く改善できるという点から、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、通常、5〜200m2/gであり、下限は50m2/g、上限は150m2/gであることが好ましい。また、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、通常、5〜300ml/100gであり、下限は80ml/100g、上限は180ml/100gであることが好ましい。カーボンブラックのN2SAやDBP吸収量が上記範囲の下限未満では、補強効果が小さく耐摩耗性が低下する傾向があり、上記範囲の上限を超えると、分散性が悪く、ヒステリシスロスが増大し低燃費性が低下する傾向がある。該窒素吸着比表面積は、ASTM D4820−93に従って測定され、該DBP吸収量は、ASTM D2414−93に従って測定される。市販品としては、東海カーボン社製商品名シースト6、シースト7HM、シーストKH、デグッサ社製商品名CK3、SpecialBlack4A等を用いることができる。
上記伸展油としては、アロマチック系鉱物油(粘度比重恒数(V.G.C.値)0.900〜1.049)、ナフテン系鉱物油(V.G.C.値0.850〜0.899)、パラフィン系鉱物油(V.G.C.値0.790〜0.849)などをあげることができる。伸展油の多環芳香族含有量は、好ましくは3質量%未満であり、より好ましくは1質量%未満である。該多環芳香族含有量は、英国石油学会346/92法に従って測定される。また、伸展油の芳香族化合物含有量(CA)は、好ましくは20質量%以上である。これらの伸展油は、2種以上組み合わされて用いられてもよい。
上記加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤をあげることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3質量部である。
上記共役ジエン系重合体に、他のゴム成分や添加剤などを配合してゴム組成物を製造する方法としては、公知の方法、例えば、各成分をロールやバンバリーのような公知の混合機で混練する方法を用いることができる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を配合する場合、混練温度は、通常50〜200℃であり、好ましくは80〜190℃であり、混練時間は、通常30秒〜30分であり、好ましくは1分〜30分である。
加硫剤、加硫促進剤を配合する場合、混練温度は、通常100℃以下であり、好ましくは室温〜80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を配合した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理を行って用いられる。加硫温度としては、通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃である。
本発明のゴム組成物は、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性のバランスに優れており、これらの性能の顕著な改善効果を得ることができる。
本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材に好適に用いることができ、特にトレッドに好適に用いることができる。
以下、実施例によって本発明を説明する。
物性評価は次の方法で行った。
1.ビニル結合量(単位:モル%)
赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm−1付近の吸収強度より重合体のビニル結合量を求めた。
2.スチレン単位の含量(単位:質量%)
JIS K6383(1995)に従って、屈折率から重合体のスチレン単位の含量を求めた。
3.分子量分布(Mw/Mn)
下記の条件(1)〜(8)でゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定した。そして、測定したMw、Mnから重合体の分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(1)装置:東ソー社製HLC−8020
(2)分離カラム:東ソー社製GMH−XL(2本直列)
(3)測定温度:40℃
(4)キャリア:テトラヒドロフラン
(5)流量:0.6mL/分
(6)注入量:5μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準:標準ポリスチレン
4.転がり抵抗
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1を100とした時の指数で表示した。数値が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示している。
5.ウェットグリップ性能
製造した試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して、湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求めた。結果は指数で表し、数値が大きいほどウェットスキッド性能(ウェットグリップ性能)が良好である。指数は次の式で求めた。
ウェットグリップ性能指数=(比較例1の制動距離)/(各配合の制動距離)×100
6.耐摩耗性
製造した試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して実車走行させ、3000km走行前後のトレッドパターンの溝深さの変化を測定した。そして、比較例1の耐摩耗性指数を100とし、以下に示す計算式により、各配合の溝深さの変化を指数表示した。数値が大きいほど耐摩耗性に優れることを示している。
耐摩耗性指数=(比較例1の溝深さの変化)/(各配合の溝深さの変化)×100
7.操縦安定性
製造した試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して実車走行させ、ドライバーの官能評価により操縦安定性を評価した。評価は、比較例1を6点とし、10点満点で相対評価を行った。操縦安定性の評点が大きいほど、操縦安定性に優れることを示す。
製造例1(重合体1の合成)
内容積20リットルのステンレス製重合反応器内を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換し、ヘキサン(比重0.68g/cm3)10.2kg、1,3−ブタジエン547g、スチレン173g、テトラヒドロフラン6.1ml、エチレングリコールジエチルエーテル5.0mlを重合反応器内に投入した。次に、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン11.5mmol及びn−ブチルリチウム14.1mmolを、それぞれ、シクロヘキサン溶液及びn−ヘキサン溶液として投入し、重合を開始した。
撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とし、単量体を重合反応器内に連続的に供給しながら、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合を3時間行った。全重合での1,3−ブタジエンの供給量は821g、スチレンの供給量は259gであった。
次に、得られた重合体溶液を130rpmの撹拌速度で撹拌し、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール11.5mmolを添加し、15分間撹拌した。重合体溶液にメタノール0.54mlを含むヘキサン溶液20mlを加えて、更に重合体溶液を5分間撹拌した。
重合体溶液に2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGM)1.8g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学(株)製、商品名:スミライザーTP−D)0.9gを加え、次に、スチームストリッピングによって重合体溶液から重合体1を回収した。重合体1の評価結果を表1に示す。なお、重合反応器内への原料の投入量及び供給量から計算した重合体中の式(I)で表される構成単位の含有量は、重合体単位質量あたり0.006mmol/g重合体であった。
製造例2(重合体2の合成)
内容積20リットルのステンレス製重合反応器内を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換し、ヘキサン(比重0.68g/cm3)10.2kg、1,3−ブタジエン547g、スチレン173g、テトラヒドロフラン6.1ml、エチレングリコールジエチルエーテル5.0mlを重合反応器内に投入した。次に、n−ブチルリチウム14.1mmolをn−ヘキサン溶液として投入し、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合を1時間行った。重合中、撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とし、単量体を重合反応器内に連続的に供給した。
該1時間の重合後、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン11.0mmolをシクロヘキサン溶液として、撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃の条件下で、重合反応器内に投入した。
次に、重合反応器内に連続的に単量体を供給し、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合を0.5時間行った。重合中、撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とした。
該0.5時間の重合後、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン11.0mmolをシクロヘキサン溶液として、撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃の条件下で、重合反応器内に投入した。
次に、重合反応器内に連続的に単量体を供給し、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合を0.5時間行った。重合中、撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とした。
該0.5時間の重合後、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン11.0mmolをシクロヘキサン溶液として、撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃の条件下で、重合反応器内に投入した。
次に、重合反応器内に連続的に単量体を供給し、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合を0.5時間行った。重合中、撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とした。全重合での1,3−ブタジエンの供給量は821g、スチレンの供給量は259gであった。
次に、得られた重合体溶液を130rpmの撹拌速度で撹拌し、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール11.0mmolを添加し、15分間撹拌した。重合体溶液にメタノール0.54mlを含むヘキサン溶液20mlを加えて、更に重合体溶液を5分間撹拌した。
重合体溶液に2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGM)1.8g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学(株)製、商品名:スミライザーTP−D)0.9gを加え、次に、スチームストリッピングによって重合体溶液から重合体2を回収した。重合体2の評価結果を表1に示す。なお、重合反応器内への原料の投入量及び供給量から計算した重合体中の式(I)で表される構成単位の含有量は、重合体単位質量あたり0.018mmol/g重合体であった。
製造例3(重合体3の合成)
内容積5リットルのステンレス製重合反応器内を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換し、ヘキサン(比重0.68g/cm3)2.55kg、1,3−ブタジエン137g、スチレン43g、テトラヒドロフラン1.5ml、エチレングリコールジエチルエーテル1.2mlを重合反応器内に投入した。次に、n−ブチルリチウム3.6mmolをn−ヘキサン溶液として投入し、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合を2.5時間行った。重合中、撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とし、単量体を重合反応器内に連続的に供給した。1,3−ブタジエンの供給量は205g、スチレンの供給量は65gであった。
該2.5時間の重合後、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン2.8mmolをシクロヘキサン溶液として、撹拌速度130rpm、重合反応器内温度65℃の条件下で、重合反応器内に投入し30分間撹拌した。次に、メタノール0.14mlを含むヘキサン溶液20mlを重合反応器内に投入し、重合体溶液を5分間撹拌した。
重合体溶液に2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGM)1.8g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学(株)製、商品名:スミライザーTP−D)0.9gを加え、次に、スチームストリッピングによって重合体溶液から重合体3を回収した。重合体3の評価結果を表1に示す。なお、重合反応器内への原料の投入量及び供給量から計算した重合体中の式(I)で表される構成単位の含有量は、重合体単位質量あたり0.006mmol/g重合体であった。
製造例4(重合体4の合成)
内容積20リットルのステンレス製重合反応器内を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換し、ヘキサン(比重0.68g/cm3)10.2kg、1,3−ブタジエン547g、スチレン173g、テトラヒドロフラン6.1ml、エチレングリコールジエチルエーテル5.0mlを重合反応容器内に投入した。次に、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン11.5mmol及びn−ブチルリチウム14.1mmolを、それぞれ、シクロヘキサン溶液及びn−ヘキサン溶液として投入し、重合を開始した。
撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とし、単量体を重合反応容器内に連続的に供給しながら、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合を3時間行った。全重合での1,3−ブタジエンの供給量は821g、スチレンの供給量は259gであった。
次に、得られた重合体溶液を130rpmの撹拌速度で撹拌し、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール11.5mmolを添加し、15分間撹拌した。重合体溶液にメタノール0.54mlを含むヘキサン溶液20mlを加えて、更に重合体溶液を5分間撹拌した。
重合体溶液に2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、商品名:スミライザーGM)1.8g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学(株)製、商品名:スミライザーTP−D)0.9gを加え、次に、重合体溶液を、常温、24時間で蒸発させ、更に55℃で12時間減圧乾燥し、重合体4を得た。重合体4の評価結果を表1に示す。なお、重合反応器内への原料の投入量及び供給量から計算した重合体中の式(I)で表される構成単位の含有量は、重合体単位質量あたり0.006mmol/g重合体であった。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
NR:SIR20
BR:宇部興産(株)製のBR150B
重合体1〜4:上記製造例1〜4
シリカ1:デグッサ社製のウルトラシル360(N2SA:50m2/g)
シリカ2:ローデイア社製のゼオシル1205MP(N2SA:200m2/g)
シランカップリング剤:モメンティブ社製のNXT−Z45(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%))
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックI(N2SA:114m2/g、DBP吸収量:114ml/100g)
プロセスオイル:出光興産(株)製のNH70−S
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸椿
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の5%オイル処理粉末硫黄
加硫促進剤A:住友化学(株)製のソクシノールCZ
加硫促進剤B:住友化学(株)製のソクシノールD
(実施例及び比較例)
表2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃で12分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
得られた試験用タイヤを使用して、上記試験方法により評価を行った。それぞれの試験結果を表2に示す。
表2に示すように、共役ジエンに基づく構成単位及び上記式(I)で表される構成単位を有し、かつ上記式(II)で表される基を有する化合物によって末端が変性された重合体(重合体1、2、4)と、窒素吸着比表面積が特定の範囲内である2種のシリカ(シリカ1、2)とを併用した実施例は、比較例に比べて、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び操縦安定性が相乗的に改善し、これらの性能が高次元でバランス良く得られた。