JP5619509B2 - ステントデリバリーシステムおよびバルーンカテーテル - Google Patents
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Description
本発明は、1つ以上の突起を外側に有したインナーチューブを持ち、前記インナーチューブの外側のステント配置部位にステントが配置されたステントデリバリーシステムであって、前記ステントが運搬径まで縮径された際の前記ステント配置部位におけるステント軸方向に垂直な断面において、前記突起が屈曲していることを特徴とするステントデリバリーシステムに関する。
本発明のステントデリバリーシステムで使用するカテーテルはバルーンを有していることが好ましいが、このバルーンには、各種タイプを使用することができる。例えば円柱状の直管部とその両端に円錐状のテーパー部、円柱状のスリーブ部を有するバルーン形状としてもよい。また、本発明のステントデリバリーシステムにおいては、図3や図8に示すように、バルーンを折畳んでステントを配置する場合、図2のように前記直管部上をステント配置部位として、ステントを運搬径まで縮径して構成することが好ましい。なお、前記直管部の長さは縮径するステント長より長いことが好ましい。尚、上記直管部、各テーパー部、および各スリーブ部のそれぞれは、例示として円柱形状、円錐形状である例を挙げたが、そのような形状に限らず、各種形状を採用してもよい。
本発明の医療用バルーンの材質としては、特に2軸延伸可能な材料であることが好ましく、例えばポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマーなどが使用でき、ステントを十分に拡張する耐圧強度を有し薄肉で柔軟性を実現する観点からは、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリアミド、ポリアミドエラストマーであることが好ましい。
パリソンと呼ばれるチューブを用いて、加熱した金型内で加圧するブロー成形によってバルーンを作製することが好ましい。バルーンの作製方法についてはこの方法だけではなく、型の外側に樹脂をディッピングすることによって作製する方法でもよい。バルーンの製造方法としては、ディッピング成形、ブロー成形等があり好適な方法を選択することが可能であるが、ステント拡張用のバルーンに必要な十分な耐圧強度を実現するためにはブロー成形が好ましい。例を挙げると、まず、押出成形等により任意寸法のチューブ状パリソンを成形する。該チューブ状パリソンを当該バルーン形状に一致する形状を有する金型内に配置し、2軸延伸工程により軸方向と径方向に延伸することにより、金型形状と同一形状のバルーンが成形可能である。軸方向の延伸は径方向の延伸と同時に若しくはその前後に行われても良く、バルーンの形状や寸法を安定化させるため、アニーリング処理を施してもよい。
本発明のステントデリバリーシステムは、1つ以上の突起を外側に有するインナーチューブの外側にステント配置部位を有しており、そのステント軸(或いはバルーン軸)に対して垂直な断面は、例えば図3のように前記インナーチューブの突起が屈曲していることが望ましい。前記突起の屈曲していない状態における高さは運搬径に縮径する前のステントの内径の2分の1と突起を有するインナーチューブの非突起部位の外径の2分の1の差より大きいことが、ステント縮径前からインナーの突起を屈曲させる点で好ましい(例えば、ステント縮径時に突起の屈曲を制御し易い。)。また、前記突起の厚みは前記突起の高さの半分以下であることがインナーチューブ突起の屈曲を容易にする点から好ましい。ここでいう前記突起の高さとは、前記突起を有するインナーチューブの突起の存在しない部位の外表面から、突起の最上部までの長さである。また、前記突起の厚みとはステント軸(或いは、バルーン軸)に対し垂直な断面内における突起の幅を意味する。
突起を有するインナーチューブ2を構成する材料として、ポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー等が使用可能であるが、通常、突起を有するインナーチューブの内面によりガイドワイヤルーメンが画定されるため、ガイドワイヤの摺動性を考慮するとポリエチレン、中でも高密度ポリエチレンであることが好ましい。また、突起を有するインナーチューブを多層構造として、ガイドワイヤの摺動性確保のため最内層を高密度ポリエチレン、最外層をバルーンと接着或いは融着可能な材料とするか、また突起部位の材質を内層よりも柔軟性の高い材質で形成することも可能である。さらに、ガイドワイヤの摺動性をより高めるため、突起付インナーチューブの内面にシリコーンやポリテトラフルオロエチレン等の潤滑性コーティングを施すことも可能である。
バルーンと外管及び突起付インナーチューブとの接合方法は特に限定されず、各種方法、例えば接着剤による接着、融着等が使用可能である。また、使用される接着剤の組成及び化学構造、硬化形式は限定されない。組成及び化学構造の点からは、ウレタン型、シリコーン型、エポキシ型、シアノアクリレート型等の接着剤が利用可能であり、硬化形式の点からは、2液混合型、UV硬化型、吸水硬化型、加熱硬化型、放射線硬化型等の接着剤が使用可能である。しかしながら、接着剤を用いる場合、バルーンの後端側スリーブ部と外管、バルーン先端側スリーブ部と突起を有するインナーチューブのそれぞれの接合部において、接合部の剛性が該接合部の前後で不連続に変化することとならない程度の硬化後の硬度を有する接着剤を使用することが好ましく、バルーン、外管、突起を有するインナーチューブの剛性を考慮して選択することが望ましい。
本発明のステントデリバリーシステムで使用するカテーテルの外面には、血管内或いはガイドカテーテル内への挿入を容易にする為に親水性のコーティングを実施してもよい。カテーテルの血液と接触するシャフトの少なくとも一部に血液と接触した際に潤滑性を呈する親水性のコーティングを施すことが好ましい。親水性のコーティングの種類は本発明の効果を制限するものではなく、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーが好適に使用でき、コーティング方法も限定されない。
本発明のステントデリバリーシステムで使用するステント(例えば体腔開在用ステント)は、バルーン拡張型ステントであることが好ましい。尚、材質は特に限定されないが、例えばSUS316L等のステンレスやコバルトクロム合金などが使用できる。また、ステントのデザイン等も何ら限定されるものではない。
本発明のステントデリバリーシステムでは、そのステントが、インナーチューブの外側で運搬径まで縮径されて配置されている。また、ステントがバルーン上に配置され、特に何枚かに折畳まれたバルーン上に配置されていることが好ましい。更にカテーテル軸方向を中心として突起を有するインナーチューブに沿って巻きつけられたバルーン上にステントが配置されていることが好ましい。尚、バルーンは、2枚以上に折畳むことが可能である。また、バルーンの巻きつける方法としても、2枚に折畳んだ場合であれば、折畳んだバルーンを同じ回転方向に巻きつける方法(Sラップ)と、それぞれ逆向きにまきつける方法(Cラップ)を使用することができる。3枚以上であれば一般には同じ向きに巻きつける方法が使用される。
以下に説明する手順にしたがってカテーテルを作製した。
実施例1で用いた突起を有するインナーチューブとは、別の突起を有するインナーチューブ(内径0.42mm、突起非存在部位外径0.58mm、突起の高さ0.30mm、突起の厚み15μm、突起数4)をもちいた以外は実施例1と同様にしてステントデリバリーシステムを作成した。尚、突起はカテーテルのバルーン内にのみ存在し、外筒に挿入する際に突起は倒して挿入した。実施例2によって得られるステントデリバリーカテーテルは、全体図が図1(b)、ステント配置部分の断面は図8に示した様な構造を有していた。
突起が無いインナーチューブ(内径0.42mm、外径0.58mm)を使用した以外は、実施例1と同様にしてステントデリバリーシステムを作成した。
作製した各サンプルのステント軸方向に垂直な断面をデジタルマイクロハイスコープで観察、比較した。結果、前記突起を有するインナーチューブを用いたサンプル(実施例1、2)は、ステント内側で突起が屈曲していた。さらに、前記突起を有するインナーチューブを用いたサンプル(実施例1、2)は、前記ステント内に存在するバルーンとインナーチューブの空間が、前記突起が無いインナーチューブを用いたサンプル(比較例1)より大きくなっていた。
作製した各サンプル(実施例1、2および比較例1)のステント保持強度を評価した。ステント保持強度は、ASTM:F2394-04(Standard Guide for Measuring Securement ob Balloon Expandable Stent Mounted on Delivery System)に基づいて測定した。評価結果は、以下の通りである。
2.突起つきインナーチューブ
2a.突起つきインナーチューブの非突起部位
2b.突起つきインナーチューブの突起部位
3.ステント
4.バルーン
5.ハブ
6.アウターチューブ
Claims (10)
- 1つ以上の突起を外側に有したインナーチューブを持ち、前記インナーチューブの外側のステント配置部位にステントが配置されたステントデリバリーシステムであって、
前記ステントが運搬径まで縮径された際の前記ステント配置部位におけるステント軸方向に垂直な断面において、前記突起が屈曲しており、
前記ステント配置部位において、前記インナーチューブの外側に拡張可能なバルーンが配置され、該バルーン上で前記ステントが縮径されていることを特徴とするステントデリバリーシステム。 - 前記突起がステント軸方向に延びた形状であることを特徴とする請求項1に記載のステントデリバリーシステム。
- 前記突起が、突起の配置された範囲にわたり軸方向端部から端部まで連続した形状であることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載のステントデリバリーシステム。
- 前記突起が、突起の配置された範囲中の軸方向端部から端部の間で不連続に配置されていることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載のステントデリバリーシステム。
- 前記突起の屈曲していない状態における高さが、ステント配置部位に配置されたステントの運搬径へ縮径する前の内径の2分の1と、インナーチューブにおける前記突起の存在しない部位の外径の2分の1との差より大きいことを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載のステントデリバリーシステム。
- 前記突起が、運搬径になる前のステントに挿入された時点で屈曲していないことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のステントデリバリーシステム。
- 前記突起が、運搬径になる前のステントに挿入された時点で屈曲していることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のステントデリバリーシステム。
- 軸方向に延びた1つ以上の突起を外側に有したインナーチューブを持つバルーンカテーテルであって、
前記インナーチューブの外側にバルーンを有し、前記突起に沿って前記バルーンが少なくとも突起と同数以上の羽根形状を形成し、インナーチューブの突起がバルーンの羽根とともにバルーンカテーテルの軸に巻きついていることを特徴とするバルーンカテーテル。 - 請求項8に記載のバルーンカテーテルのバルーン上にステントが配置され、前記ステントが運搬径まで縮径されていることを特徴とするステントデリバリーシステム。
- 前記インナーチューブが径方向に異なる素材からなる多層構造であって、内層よりも外層の素材の方が高い柔軟性を有する部材で構成されていることを特徴とする請求項1〜7、9の何れか1項に記載のステントデリバリーシステム。
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