JP5614779B2 - 鉄バクテリア汚泥の形成阻害体 - Google Patents

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Description

本発明は、地下水中に常在する鉄バクテリアによって生成される鉄汚泥及びマンガン汚泥(以下、少なくともいずれか一方を表して鉄バクテリア汚泥という)の形成阻害体及び形成阻害方法に係り、特に、腐食電位の異なる2種の導電体が、互いに隣接して配置され,地下水と接触して鉄バクテリアの増殖又は生存を抑制する金属イオンを発生する鉄バクテリア汚泥の形成阻害体及び形成阻害方法に関する。
従来、地すべり対策における地下水排除工法では、地表や集水井に保孔管を設置して地下水を集水・排水する水抜きボーリングが広く行われており、地すべり発生の抑制に効果を挙げて来ている。
しかし、施工後の時間経過に伴って保孔管の内部で目詰まりが起こり、地下水の排水が困難になるといった課題があった。この目詰まりの原因は、鉄バクテリア、藻類・植物体、硫黄細菌、動物プランクトン・土粒子など、主に生物活動によるものである。このうち、鉄バクテリアが原因であるものがおよそ6割を占めている。この鉄バクテリアは地下水中に溶存している二価鉄イオンを三価鉄イオンへ、又は二価マンガンイオンを四価マンガンイオンへ酸化し、その際に発生するエネルギーを利用して生存している。そして、三価鉄イオンは水酸化鉄(Fe(OH))となり、四価マンガンイオンは酸化マンガン(MnO)となって保孔管の内部に沈殿して固着し、鉄バクテリア汚泥を形成する。その結果、保孔管の内部で目詰まりが発生して地下水の排除機能が低下し、ひいては地すべりの再滑動が危惧される状態となる。
そこで、このような課題を解決する目的で、近年、鉄バクテリアを殺菌することで鉄バクテリア汚泥の形成を阻害する等による保孔管の目詰まりの防止に関する技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明が開示されている。また、鉄バクテリアのみならず、他の細菌に対する殺菌効果を有する浄化装置に関する技術が開発・開示されている。
特許文献1には「土壁面の集水パイプ目詰まり防止装置」という名称で、集水パイプ内での生物増殖による目詰まりの防止装置に関する発明が開示されている。
以下、特許文献1に開示された発明について説明する。特許文献1に開示された土壁面の集水パイプ目詰まり防止装置に関する発明は、地下集水孔に挿入配設したストレーナーケーシングなどの集水パイプの土壁面より突出する排水端部に、排水パイプを下方に向かって延設し、この排水パイプの下端部を土壁面若しくは土壁面近傍に設けた水槽部に水没配設するように構成して、集水パイプの土壁面より突出する部分の開口端縁が外気と触れないように構成したことを特徴とする。
このような特徴を備えた集水目詰まり防止装置においては、集水パイプ内への外気の侵入が阻止されるため、集水パイプ内でのバクテリアの増殖が防止され、鉄や他の元素を取り込んでバイオミネラルと称される鉱物を形成することが防止されるという作用を有する。従って、集水パイプの目詰まりを生じにくくすると共に、メンテナンスがほとんど不要になるという効果を有する。
次に、特許文献2には「鉄バクテリア・バイオフィルムの発生抑止方法」という名称で、湧水や漏水がある箇所の地下構造物に鉄バクテリア・バイオフィルムが発生することを抑止する方法に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、湧水や漏水により水が流れる箇所に、水の流下速度を増大させるための撥水性素材を施工することを特徴とする。
このような特徴を有する鉄バクテリア・バイオフィルムの発生防止方法においては、地下構造物表面を流れる水の流下速度が、施工したシリコーングリスといった撥水性素材によって増大することになるため、鉄バクテリア・バイオフィルムの発生が抑止されるという作用を有する。従って、地下構造物の保守管理を簡略化させることができる。また、シリコーングリスは安価で入手しやすいため、低コストでの実施が可能となるという効果を有する。
次に、特許文献3には「徐放性スライムコントロール組成物の製造方法及びその設置方法」という名称で、鉄バクテリア等細菌類に対する殺菌成分を含有する徐放性スライムコントロール組成物の製造方法及びその設置方法に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、(a)常温で固体の高級脂肪酸、他1種の結合剤と、(b)ジメチルジデシルアンモニウムクロライド、他5種の殺菌成分からなる群から選択される一種又は二種以上と、(c)ポリビニルアルコール、他2種の助剤からなるからなる群から選択された一種又は二種以上と、を加熱混合する工程、次いで、加熱混合して得られる液状組成物を型枠に流し込み、自然放置、又は強制的に品温低下させることで固体化させて成型する工程を有することを特徴とする。
このような特徴を有する徐放性スライムコントロール組成物の製造方法及びその設置方法においては、従来技術に基づいた組成物と比べ、菌抑制効果が長いという作用を有する。従って、トンネル内における鉄バクテリア及び/又はその共生菌である硫酸還元菌の増殖及びそれらによるスライムの発生を長期間有効に阻止することができるという効果を有する。
次に、特許文献4には「浄化装置」という名称で、浴槽の残り湯を滅菌、浄化し再利用する浄化装置に関する発明が開示されている。
特許文献4に開示された発明は、電気化学ポテンシャル列の異なる起電力レベルを持つ少なくとも2種類の金属を、布又は炭クロスを介在させて配置してなる浄化体を、浴槽の底面及び壁面のうち少なくとも一方に配置して湯内に浸漬することにより電気化学反応で抗菌又は抗黴効果を発揮し、金属は、酸化チタン、アルミニュウム、亜鉛、トタン(亜鉛めっきした鋼)、クロム、鉄又は鋼、ニッケル、黒鉛、すず、ブリキ(すずめっきした薄鉄)、真鍮、銅、ステンレス、銀、白金、金のうちの異なる種類の金属であり、電気化学ポテンシャル列の起電力が低い金属の面積は、それより電気化学ポテンシャル列の起電力が高い金属の面積より大きいことを特徴とする。
このような特徴を有する浄化装置においては、電気化学ポテンシャル列の異なる起電力レベルを持つ金属を組み合わせて水中に浸漬することで、電位差を有する金属間に電流及び静電気が発生するという作用を有する。従って、この電流及び静電気により、微生物を電気的、電気化学的に滅菌できるという効果を有する。
特開2001−90094号公報 特許第4883718号公報 特開2010−150181号公報 特許第4868618号公報
しかしながら、特許文献1に開示された発明においては、バクテリアが地下水中に溶存する酸素を利用してバイオミネラルを形成する場合もある。従って、排水パイプの下端部が水没状態にあったとしても、集水パイプにバイオミネラルが集積され、長時間経過後にはこれによる目詰まりが発生する可能性がある。
次に、特許文献2に開示された発明においては、湧水等の排水箇所にシリコーングリスを塗まつし、鉄バクテリア・バイオフィルムの生成具合を確認している。しかし、例えば斜面に埋設された地下水の保孔管では、管の開口端から少なくとも約20メートルの深部まで鉄バクテリア汚泥が形成されている場合があり、このような位置にシリコーングリスを正確に塗まつすることは困難である。すなわち、塗まつ可能な箇所は排水箇所の表面付近に限定されていることから、深部における鉄バクテリア・バイオフィルムの発生を防止することは困難であるものと思われる。
また、特許文献3に開示された発明においては、徐放性スライムコントロール組成物を設置後90日程度経過すると、スライム発生が顕著となるため、90日経過前にこの組成物を更新する必要がある。このように、トンネル、ダム等の集水経路毎に多数回の更新を行うことは煩雑であって、現実的な方法とは言えない可能性がある。
さらに、特許文献4に開示された発明においては、金属を布又は炭クロスを介在させて配置してなる浄化体を浴槽内に浸漬する。浴槽内は、通常水流がほとんどないため、布等を金属の支持体としていても耐久性に特に問題はない。しかしながら、屋外で地下水の保孔管に用いる場合には、たとえ布等を筒状に形成した場合であっても、降雨による水流増加のため布等の剥離や、布の耐用年数が経過することが考えられ、長期的にメンテナンス不要であることを課題とする保孔管に対する利用には不向である。
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、地下水配管の少なくとも一部に容易に設置可能で、鉄バクテリア汚泥の形成を確実に阻害し、さらに長期的にメンテナンス不要な鉄バクテリア汚泥の形成阻害体及び形成阻害方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明に係る鉄バクテリア汚泥の形成阻害体は、地層内に埋設して地下水を誘導又は排水する地下水保孔管の少なくとも一部を構成又はこの地下水保孔管中に設置され、地下水中に常在する鉄バクテリアによって生成される鉄汚泥又はマンガン汚泥(以下、少なくともいずれか一方を表して鉄バクテリア汚泥という)の形成阻害体であって、腐食電位の異なる2種の導電体を混合又は互いに隣接するように配置し、2種の導電体が地下水保孔管中の地下水との接触によって、2種の導電体のうち低い腐食電位の導電体が鉄バクテリアの増殖又は生存を抑制する金属イオンを発生し、地下水保孔管は、採水孔を外周に備える複数の排水管と、この複数の排水管を接続し地下水の貯留部を形成するジョイント管と、このジョイント管に周設され地下水で膨潤して排水管を支持する水膨潤性シール材と、を有し、2種の導電体は、ジョイント管によって形成される地下水の貯留部に浸漬されることを特徴とする。
このような構成の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体において、「鉄バクテリア」とは、周囲の酸素を利用して水中に溶存する鉄イオン及び/又はマンガンイオンを酸化し、水酸化鉄から成る鉄汚泥及び/又は酸化マンガンから成るマンガン汚泥を形成するバクテリアをいう。また、「地下水」には、自然に発生し地すべりの誘因となる地下水ばかりでなく、人工的に発生し,地層内に埋設された配管内を流れる下水や工場排水等といったあらゆる水分が含まれる。また、「地下水保孔管」とは、地すべりの誘因となる地下水を排除するために地表や集水井に開口部を有して設置される水抜きボーリング用の配管をいい、地下水を配管内に流入させて集水し、これを開口部より排水可能な配管を指す。さらに、「腐食電位」とは、腐食している金属の照合電極(電極電位の一定した金属で、金属の電位はこの極の電位との電位差で表す)に対する電位をいう。
次に、「地下水保孔管の少なくとも一部を構成」とは、鉄バクテリア汚泥の形成阻害体が、例えば地下水保孔管の外層を構成する場合であり、「地下水保孔管中に設置され」とは、例えば鉄バクテリア汚泥の形成阻害体が地下水保孔管の内部に設置されている場合である。また、「地下水保孔管の少なくとも一部を構成又はこの地下水保孔管中に設置され」には、これら両方である場合が含まれる。さらに、鉄バクテリア汚泥の形成阻害体が地下水保孔管の内部に設置されている場合には、別途の支持体を介してこの内部に固定される場合と、支持体がなくこの内部に移動可能に設置される場合と、が含まれる。
そして、「腐食電位の異なる2種の導電体を互いに隣接するように配置」とは、2種の導電体がそれぞれ固体状、粒状又は粉状であるかに関わらず、一群の形状を形成しているために直ちにこれらを区別可能である場合であって、例えばこれらが互いにブロック状に配列された構成や層状に積層されている構成を言う。さらに、この配置には、2種の導電体が密着する場合と、わずかに間隔を空けて近接している場合とが含まれる。
また、「腐食電位の異なる2種の導電体を混合」とは、2種の導電体がそれぞれ互いに混合し合い直ちに区別可能でない場合であって、例えば粒状・粉状の2種の導電体が混合されて一定形状に成形された構成を言う。
なお、2種の導電体は、固形状、粒状、粉末状のいずれであっても良く、網状構造を形成していても良い。
上記構成の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体においては、腐食電位の異なる2種の導電体が混合又は互いに隣接するように配置されることから、これらの導電体間に電位差が発生し、低い腐食電位を有する導電体の酸化が誘発されて陽極が形成される。また、これと同時に、高い腐食電位を有する導電体は、還元されて陰極が形成される。さらに、これら形成された電極が地下水と接触することから、陽極から発生した電子が地下水中を移動して陰極に供給される。すなわち、陽極金属がイオン化されることとなる。このように、陽極金属がイオン化されるには、腐食電位の異なる2種の導電体が互いに隣接するように配置されるのみでは不十分であって、これらが電子の移動が可能な導電体(例えば水)を必要とする。
また、上記のような腐食電位の異なる2種の導電体のうち、低い腐食電位を有する導電体としては、例えば銅、銀、チタン、ニッケル等があり、高い腐食電位を有する導電体としては、例えば黒鉛、白金、金等がある。従って、この場合に発生する金属イオンは、銅イオン、銀イオン、チタンイオン、ニッケルイオン等である。なお、金属イオンの発生の程度は、導電体の組み合わせ、陰極と陽極の面積比、隣接する2種の導電体同士の間隔、水温等に依存している。
次に、金属イオンが微生物に到着すると、細胞膜を損傷させて細胞質を流出させたり、代謝を阻害したりすることでその微生物を死に至らしめるものと考えられている。このため微生物の一種である鉄バクテリアは、発生した金属イオンによってその増殖又は生存が抑制されることとなり、鉄バクテリア汚泥の形成が阻害されるという作用を有する。
さらに、2種の導電体は、ジョイント管によって形成される地下水の貯留部に浸漬されることから、この貯留部において陽極から発生した電子の移動が促進され、より多くの金属イオンが発生するという作用を有する。
次に、請求項2記載の発明に係る鉄バクテリア汚泥の形成阻害体は、請求項1記載の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体において、2種の導電体は、地下水保孔管中に設置され、それぞれ粒体状もしくは粉体状をなし、水膨潤性及び耐水性を有するバインダを添加して混合するように配置され、複数個の突起を備えた形状に成形されることを特徴とする。
このような構成の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体において、「地下水保孔管中に設置され」とは、2種の導電体が、例えば地下水保孔管の内部に設置される場合であり、支持体がなく内部に移動可能に設置される場合である。
また、「バインダ」は有機バインダであり、例えば合成樹脂、アスファルト、膠等が使用される。
上記構成の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体においては、請求項1記載の発明の作用に加えて、複数の突起が地下水保孔管の内周に当接して自転し難く、当初の位置より移動し難い。
そして、請求項記載の発明に係る鉄バクテリア汚泥の形成阻害体は、請求項1又は請求項2に記載の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体において、2種の導電体のうち、低い腐食電位を有する導電体は銅であり、金属イオンは、銅イオンであることを特徴とする。
このような構成の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体においては、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、銅イオンが鉄バクテリアに対する殺菌作用を発揮する。詳細には、銅イオンが鉄バクテリアに到着すると、その活性を低下させて代謝機能を阻害したり、銅イオンの触媒作用によって周囲の酸素から活性酸素を発生させ、これにより鉄バクテリアを構成するタンパク質等を分解したりすると考えられている。さらに、銅イオンは、鉄バクテリアに対する殺菌作用の他、硫黄細菌等に対する殺菌作用や藻類に対する防藻作用を有している。なお、銅より高い腐食電位を有する導電体として、例えば黒鉛、白金、金がある。
本発明の請求項1記載の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体によれば、発生した金属イオンによって鉄バクテリア汚泥の形成が阻害されるため、地層内及び地層内に埋設された配管内に存在する水分を地下水保孔管を介して十分に排水することができる。
また、鉄バクテリア汚泥の形成阻害体は地下水保孔管の少なくとも一部を構成又はこの地下水保孔管中に設置されることから、例えば地下水保孔管の外層を構成する場合においては、鉄バクテリア汚泥の形成阻害体自体が地下水保孔管となる。従って、地下水保孔管の内部に設置されている場合と比較すれば、構成が簡易であり低コストでの製造が可能である。これに対し、地下水保孔管の内部に設置されている場合においては、地下水保孔管の外層を構成する場合と比較してやや複雑な構成となる。しかしながら、鉄バクテリア汚泥の形成阻害体を地下水により接触し易くさせるといった、地下水保孔管の内部構造に関する工夫を行うことができる。従って、このような工夫と組み合わせることが可能となり、金属イオンの発生効率を増大させることができる。さらに、鉄バクテリア汚泥の形成阻害体が上記の外層を構成及び内部に設置されている場合にあっては、金属イオンの発生効率をさらに増大させることが可能である。
また、鉄バクテリア汚泥の形成阻害体自体が地下水保孔管の内部に移動可能に設置される場合であれば、地表面に開口している地下水保孔管の孔口からその内部に挿入することが特に容易であるため、新設ばかりでなく既設の地下水保孔管における鉄バクテリア汚泥の形成を阻害することができる。
さらに、2種の導電体は、それぞれ固体状、粒状又は粉状であるか、また直ちに区別可能な形状を形成しているか否かに関わらず、金属イオンを発生させることが可能であるため、多様な形状の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体を製造できるとともに、金属イオンの発生効率を自在に調整可能である。しかも、本請求項の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体は、2種の導電体が混合又は互いに隣接するように配置されるという簡易な構成であって、特に電源設備等は不要であることから長期的にもメンテナンス不要であり、製造も容易である。
本発明の請求項記載の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体によれば、地下水保孔管を介して地下水を十分に排水することができる。従って、地すべり斜面を安定させることができる。
また、この金属イオンの発生の程度は、導電体の組み合わせ、陰極と陽極の面積比、隣接する2種の導電体同士の間隔等に依存していることから、これらの点に関し様々な調整をすることで、効率良く金属イオンを発生可能であるとともに長期に亘ってその発生を継続することができる。これにより、地すべり斜面を長期間安定的に維持することが可能となる。
さらに、2種の導電体は、地下水保孔管中に設置される場合、地下水保孔管の内部空間内に設置可能な大きさであればどのような形態・形状であっても良いことから、地下水保孔管の形状や斜面に対する挿入角度に応じ、適宜その形態・形状を変更することが可能である。
本発明の請求項記載の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体によれば、地下水の貯留部において多くの金属イオンが発生するため、地下水中の鉄バクテリアをより効果的に死滅させることができる。その理由は、地下水の流速が遅い場合(すなわち、水量がわずかである場合)には、地下水が貯留部に溜まり易いことから、大量の鉄バクテリアがこの部分に集中して存在することとなり、鉄バクテリア汚泥が形成・固着され易くなる。従って、貯留部において多くの金属イオンが発生することは、集中して存在する鉄バクテリアを一気に死滅させることを可能にし、鉄バクテリア汚泥の形成を効果的に阻害することができる。
本発明の請求項記載の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体によれば、請求項に記載の発明の効果に加えて、2種の導電体が粒状又は粉状のため、切断等の加工が容易である。
本発明の請求項記載の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、鉄バクテリアに対して高い殺菌作用を有する銅イオンが発生することから、確実に鉄バクテリア汚泥の形成を阻害することができる。さらに、銅イオンは硫黄細菌等の細菌に対する殺菌作用や防藻作用をも有しているため、これらによる汚泥の形成や藻の集積、さらにこれらに土粒子が蓄積することが防止されて、地下水の速やかな排除が可能になるという効果を有する。
(a)乃至(c)は、それぞれ実施例1に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプを形成する最外層、外層、内層の外観斜視図であり、(d)は最外層、外層及び内層を重ね合わせた場合の外観斜視図である。 (a)は実施例1に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプの使用状態図であり、(b)は実施例1の第1の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプの使用状態図である。 (a)及び(b)は、それぞれ実施例1の第2の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプの縦断面図及び横断面図である。 は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプの使用状態図である。 (a)は実施例2の第1の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体の外観図であり、(b)はその使用状態図である。 (a)乃至(d)は、それぞれ実施例2の第2乃至第5の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害体の外観図である。 (a)乃至(c)は、それぞれ実施例2の第6の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプの外観図、(a)におけるA−A線矢視断面図及び(b)におけるB−B線矢視断面の拡大図である。 は、実施例2の第7の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプの横断面図である。 は、実施例3に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害方法のフローチャートである。
本発明の実施の形態に係る実施例1の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプについて、図1乃至図3を用いて詳細に説明する(主に、請求項に対応)。なお、図1で示した構成要素については、図2又は図3においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図1(a)乃至図1(c)は、それぞれ実施例1に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプを形成する最外層、外層、内層の外観斜視図であり、図1(d)は最外層、外層及び内層を重ね合わせた場合の外観斜視図である。
図1(a)乃至図1(c)に示すように、本実施例の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1は、地下水を排出する孔口5aを備え、被覆材6から成る最外層2と、1種類の導電体から成る外層3と、2種類の導電体から成る内層4と、から構成される。被覆材6は塩化ビニル管であり、外層3の導電体は最外層2と同等の長さを有する円筒状の黒鉛7である。そして、内層4の導電体は、それぞれ長手方向に同等の長さを有する円筒状の銅8及び黒鉛9である。この銅8及び黒鉛9は、それぞれの端面を接触させて交互に直列配列され、いずれも一様な固形状である。なお、銅8及び黒鉛9では黒鉛9の方が腐食電位が高く、これらの電位差は海水中で約0.5ボルトである。
図1(d)に示すように、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1は、最外層2、外層3及び内層4を積層して成る。最外層2と外層3は接触面10aにおいて密着し、外層3と内層4は接触面10bにおいて密着する。そして、内層4の銅8及び黒鉛9は、複数の接触面10cにおいて密着する。そして、これらの被覆材6、黒鉛7、銅8、黒鉛9は、互いに熱溶着されている。なお、地下水は、内層4の銅8及び黒鉛9に接触しながら流下する。
次に、図2を参照しながら、実施例1の第1の変形例について説明する。図2(a)は実施例1に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプの使用状態図であり、図2(b)は実施例1の第1の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプの使用状態図である。
図2(a)に示すように、本実施例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1が、地層11に埋設されて地下水12を排出している。具体的には、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1の水平に対する傾斜角度は、3〜10度であり、一本の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1の長さ、すなわち孔口5aから孔奥5bまでの長さはおよそ1〜4mである。また、実際には、複数本の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1が連結され、全長1〜100m程度となったものが地層11に埋設される。なお、図において最外層2及び外層3は省略されている。
図2(b)に示すように、本実施例の第1の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1aが、地層11に埋設されて地下水12を排出している。鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1aでは、全長を3分割した部分毎に異なる長さを有する2種類の導電体が直列に配列されている。孔口5aに最も近い部分においては、銅8及び黒鉛9の略1/2の長さを有する銅8a及び黒鉛9aが直列に配列されている。これに接続される中央部分は銅8及び黒鉛9が直列に配列される。さらに孔奥5bに最も近い部分では、銅8及び黒鉛9の略3/2倍の長さを有する銅8b及び黒鉛9bが直列に配列されている。すなわち、銅8及び黒鉛9の接触面10cの総和面積は、孔口5aに最も近い部分が最大であり、以下中央部分、孔奥5bに最も近い部分の順で減少している。なお、銅8a,8b及び黒鉛9a,9bは、上記以外の長さであっても良く、さらに孔口5aに最も近い部分の接触面10cの総和面積が最大となる限り、異なる長さを有する銅及び黒鉛の組み合わせがさらに配列されても良い。
鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1aに係るこの他の構成は、実施例1に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1と同様である。
次に、図3を参照しながら、実施例1の第2の変形例について説明する。図3(a)及び図3(b)は、それぞれ実施例1の第2の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプの縦断面図及び横断面図である。
図3(a)に示すように、本実施例の第2の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1bは、被覆材6から成る最外層2と、銅8c及び黒鉛9cから成る内層4と、から構成される。すなわち、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1bは、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1の外層3が銅8c及び黒鉛9cによって置換されているものである。そして、最外層2と内層4は接触面10aにおいて密着している。そして、銅8c及び黒鉛9cは、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1bの全長に亘って細長い短冊状を成している。
図3(b)に示すように、銅8c及び黒鉛9cは円周方向に沿って並列に配列され、接触面10dにおいてそれぞれ密着している。なお、地下水12は、内層4の内周面4aに接触しながら流下する。
この他の構成は、実施例1に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1と同様である。
本実施例の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1によれば、銅8及び黒鉛9が接触面10cにおいて密着し、地下水12は銅8及び黒鉛9に接触しながら流下するため、銅8及び黒鉛9の間に電位差が発生して低い腐食電位を有する銅8が酸化され、これに伴って電子が放出される。この電子は、地下水12中を移動して黒鉛9の還元のために供給される。このように、酸化反応と還元反応が平衡状態となるとき、銅8の酸化が継続し、その結果銅イオンが発生し続けることとなる。すなわち、銅8が完全に腐食されるまでの間、銅イオンの発生が継続する。なお、銅イオンの発生個所は複数の接触面10cのみに限局されないが、銅8及び黒鉛9が最接近する接触面10c付近において最も多く発生する。具体的には、銅イオンの濃度は、0.01〜0.6ppmであることを目標とする。
次に、発生した銅イオンは地下水12中に拡散し、鉄バクテリアに対する殺菌・滅菌作用を発揮する。鉄バクテリアは、地下水12中の鉄イオン及び/又はマンガンイオンを酸化して水酸化鉄及び/又は酸化マンガンを形成することから、殺菌等により鉄バクテリアの増殖・生存が抑制される。従って、地下水12と銅8及び黒鉛9とが接触することで、鉄バクテリア汚泥の形成が阻害されるという作用を有する。この作用は、銅8が完全に腐食されるまでの間継続するため、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1では、一定期間鉄バクテリア汚泥による目詰まりが発生せず、地下水12はその間滞ることなく排出されるという作用を有する。また、銅イオンは、鉄バクテリアに対する他、硫黄細菌等に対する殺菌作用や藻類に対する防藻作用を有していることから、これらを原因とする汚泥の形成も阻害される。なお、上記の一定期間は、銅8及び黒鉛9の形状や間隔、接触面10b,10cの面積、地下水12の水量、流速等で異なる。
次に、本実施例の第1の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1aの作用について説明する。
まず、鉄バクテリアは、地下水12中に溶存する酸素の他、外気中の酸素を利用することで鉄バクテリア汚泥を形成するため、孔口5aに近いほどこの汚泥が形成され易い。
鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1aにおいては、接触面10cの総和面積は、孔口5aに近い部分が最大であり、以下中央部分、孔奥5bに近い部分の順で減少していることから、孔口5a付近において鉄バクテリアに対する殺菌・滅菌作用が最も発揮される。そのため、この付近において最も強く鉄バクテリア汚泥の形成が阻害される。
この他の作用は、実施例1に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1と同様である。
さらに、本実施例の第2の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1bの作用について説明する。
鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1bにおいては、内層4の内周面4aに地下水12が接触すると、内周面4aを構成する銅8cから銅イオンが発生する。しかも、内周面4aは、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1bの全長に亘っているため、多量の銅イオンが発生することとなる。
この他の作用は、実施例1に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1と同様である。
以上説明したように、本実施例の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1によれば、銅イオンにより鉄バクテリア汚泥の形成を防止することが可能である。そして、銅イオンの発生は、一定期間継続することから、鉄バクテリア汚泥の沈殿・固着を防止することができる。また、銅イオンは、防藻作用等を有するため、藻等による汚泥の沈殿・固着を防止することもできる。よって、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1から地下水12を十分に排水することが可能となるため、形成されたすべり面に働く地下水12による間隙水圧を低下させ、地すべりの滑動を抑制することができる。
また、銅8及び黒鉛9の組み合わせは、海水中における電位差がおよそ0.5ボルトであって十分大きいことから、腐食速度が大である。地下水12中においても同様な傾向にあると考えられるため、単位時間当たりの銅イオンの発生量が多く、短期間で鉄バクテリアを死滅させることができる。
さらに、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1は、最外層2、外層3及び内層4を積層して成り、内層4は銅8及び黒鉛9を交互に直列配列して成るため、構成が簡易であり製造が容易である。また、銅は安価であり、同様に安価な天然黒鉛を用いれば製造コストを低減させることができる。そして、銅8及び黒鉛9は、最外層2の長さと同等になるよう配列を自在に変更できるため、様々な長さの鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1を製造することができる。また、黒鉛9の部分は容易に切断することができるので、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1の長さは容易に調節可能である。加えて、銅8及び黒鉛9の形状や間隔、接触面10b,10cの面積をも調節可能であるので、鉄バクテリアに対する殺菌・滅菌効果の大きさやその効果を発揮可能な期間を制御することができる。
次に、本実施例の第1の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1aの効果について説明する。
鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1aは、鉄バクテリア汚泥が形成され易い孔口5a付近において、最も強く鉄バクテリア汚泥の形成を阻害することから、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1と比較してより効果的である。そして、銅8,8a,8b及び黒鉛9,9a,9bは、その長さや配列を適宜変更することが可能であるので、良好な汎用性を有する。
この他の効果は、実施例1に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1と同様である。
次に、本実施例の第2の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1bの効果について説明する。
鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1bは、内周面4aから銅イオンが発生するため、銅イオンの発生効率が高い。さらに、銅8c及び黒鉛9cは長さ方向に沿って短冊状となっていることから、長さ方向に関して高い強度を有している。よって、地層11への挿入時に変形し難く、この変形による地下水12の排出抑制が発生しない。
この他の効果は、実施例1に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1と同様である。
なお、本発明の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプの構造は本実施例に示すものに限定されない。例えば、銅8及び黒鉛9は、円筒状や短冊状以外の形状であっても良い。また、銅8及び黒鉛9は一様な固形状でなくても良く、例えば網状構造を有して積層されて成るものでも良い。さらに、この網状構造を有する銅8及び黒鉛9が、互いに編み込まれた構造であっても良い。このような網状構造においては、銅8及び黒鉛9の接触面積が増大することから、より多くの銅イオンが発生して鉄バクテリア汚泥の形成を強力に阻害することが可能である。
本発明の実施の形態に係る実施例2の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプについて、図4乃至図8を用いて詳細に説明する(主に、請求項1及び請求項に対応)。なお、図1乃至図3で示した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図4は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプの使用状態図である。
図4に示すように、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13は、地下水保孔管16の外管17として設置される。なお、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13は、円筒状の銅14及び黒鉛15がそれぞれの端面を接触させて交互に直列配列されており、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1を所望する長さに適宜短縮させたものである。この地下水保孔管16においては、複数の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13同士が、集水ソケット18を接続部材として連結されている。この他、1本の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13の両端が、集水ソケット18を接続部材として例えば従来の塩化ビニル管に連結されていても良い。
鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13には、長手方向に沿って穿設された複数のスリット17aが、ジョイント部21a付近を除き長手方向に一定間隙毎に、かつ周方向について一定角度を置いて設けられている。そのため、地層11から浸み出した地下水12はジョイント部21a付近で鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13の内部に流入又は内部から流出しないが、他の部分ではスリット17aを通過して鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13の内部に流入する。
そして鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13の一端は、集水ソケット18の嵌合部20を嵌合し、この嵌合部20と反対側にあるジョイント部21aは、集水ソケット18のジョイント部21bに螺合している。集水ソケット18の長手方向における略中央部にはリング状のパッカーゴム19が嵌合されて周設されている。このパッカーゴム19は、地下水12を吸収してその体積を膨潤させる性質を有している。従って、パッカーゴム19が膨潤すれば、その外周端が地層11に当接し、パッカーゴム19よりも上流(図中パッカーゴム19の向かって右方)の地下水12を堰き止める。加えて、ジョイント部21a付近では鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13の内部から地下水12が流出しないことから、地下水12の貯留部22が形成される構造となっている。
この他の構成は、実施例1に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1と同様である。
次に、図5を参照しながら、実施例2の第1の変形例について説明する。図5(a)は実施例2の第1の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体の外観図であり、図5(b)はその使用状態図である。
図5(a)に示すように、本実施例の第1の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23は、黒鉛25に粒状の銅24が混入され、計6個の突起を備えた形状に成形されている。黒鉛25は、銅24よりも粒度の小さい粒体もしくは粉体である。鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23は、銅24及び黒鉛25を混合し、さらに水膨潤性及び耐水性を有するバインダを添加して混錬することで製造される。このバインダは有機バインダであり、例えば合成樹脂、アスファルト、膠等が使用される。
なお、鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23の突起の形状は、図で示したものに限られない。また、銅24は粉体でも良く、黒鉛25は銅24より粒度が粗くても良い。さらに、中心部にコア部材を設けてこの周囲に銅24及び黒鉛25が被覆される構造であっても良い。
図5(b)に示すように、地下水保孔管16aは外管17として鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13を備え、その内部に鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aが設置されている。鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aは、嵌合部20の内側に嵌合され固定される。なお、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aは、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13を所望する長さ及び径に適宜縮小させたものであり、スリット17aは穿設されていない。複数の鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23は、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aの孔口5a付近に移動可能に設置される。
さらに、図6(a)を参照しながら、実施例2の第2の変形例について説明する。図6(a)は、実施例2の第2の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害体の外観図である。
図6(a)に示すように、本実施例の第2の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害棒体23aは、長手方向に同等の長さを有する中実の円柱状の銅24a及び黒鉛25aが、それぞれの端面を接触させて交互に直列配列されている。実施例1に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1とは、最外層2及び外層3を備えていない点と、中実であるため孔口5aを備えていない点が異なっている。また、具体的な直径は約2cm程度である。この他の構成は、実施例1に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1と同様である。
このような構成の鉄バクテリア汚泥形成阻害棒体23aは、鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23と同様に、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aの孔口5a付近に移動可能に設置され、地下水12と接触する。なお、設置される個数は、地下水12の流下を妨げない限り、特に制限されない。
続いて、図6(b)を参照しながら、実施例2の第3の変形例について説明する。図6(b)は、実施例2の第3の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害体の外観図である。
図6(b)に示すように、本実施例の第3の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害板23bは、長手方向に同等の長さを有する平板状の銅24b及び黒鉛25bが、それぞれの端面を接触させて交互に直列配列されている。この他の構成は、本実施例の第2の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害棒体23aと同様である。
このような構成の鉄バクテリア汚泥形成阻害棒体23bは、鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23と同様に、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aの孔口5a付近に移動可能に設置され、地下水12と接触する。
さらに、図6(c)を参照しながら、実施例2の第4の変形例について説明する。図6(c)は、実施例2の第4の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害体の外観図である。
図6(c)に示すように、本実施例の第4の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23cは、円筒状の黒鉛25cの外周に銅線24cが螺旋状に巻回されている。巻回の開始位置及び終了位置は、それぞれ孔口5a付近及び孔奥5b付近であるが、これ以外にも任意の位置とすることができる。また、銅線24cは、黒鉛25cから外れない限り黒鉛25cに固着されていなくても良く、あるいは固着されていても良い。この他、螺旋状の銅線24cが黒鉛25cの内周に当接した構成であっても良い。
このような構成の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23cは、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aの孔口5a付近に移動可能に設置される他、集水ソケット18に連結し鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13,13aを置換して設置される。
さらに、図6(d)を参照しながら、実施例2の第5の変形例について説明する。図6(d)は、実施例2の第5の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害体の外観図である。
図6(d)に示すように、本実施例の第5の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1cは、それぞれ螺旋状を成す銅8d及び黒鉛9dが、長手方向に沿って互いに密着し、円筒状に形成されたものである。すなわち、実施例1の第2の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1bの内層4部分のみが、螺旋状に形成された構造と同一である。また、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1cの横断面における外周は、孔口5a及び孔奥5b付近を除き複数の突出部を備えた多角形状であっても良い。
このような構成の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1cは、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aの孔口5a付近に移動可能に設置される他、集水ソケット18に連結し鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13,13aを置換して設置される。
さらに、図6(d)では円筒状に形成したが、板状の銅と板状の黒鉛を面接触するように貼り合わせ、これを捩って(捻って)螺旋状に形成させた鉄バクテリア汚泥形成阻害板としてもよい。また、このように貼り合わせる場合の他、銅と黒鉛が短冊状になった板を捩って(捻って)螺旋状に形成させてもよい。このように捩って(捻って)構成される鉄バクテリア汚泥形成阻害板では、捩らないものに比較して接触線が長くあるいは接触面が広くすることができ、銅イオンの発生を効率的に行うことが可能である。
次に、図7を参照しながら、実施例2の第6の変形例について説明する。図7(a)乃至(c)は、それぞれ実施例2の第6の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプの外観図、図7(a)におけるA−A線矢視断面図及び図7(b)におけるB−B線矢視断面の拡大図である。
図7(a)及び図7(b)に示すように、本実施例の第6の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23dは、シート状の積層体27が螺旋状かつ多重に巻回して円筒状に形成されたものである。この積層体27は、第1層27a及び第2層27b(図7(c)参照)が、支持体層26の片面に一様に積層され構成されている。鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23dは、この第1層27a及び第2層27bを内側にして巻き込んだものであり、表面に支持体層26及びその端部26aが表れている。なお、支持体層26の材質は透水性を有するポリプロピレン等の合成樹脂である。
そして、図7(c)に示すように、積層体27は、支持体層26に第1層27aが密着され、第1層27aには第2層27bが密着されて形成される。この第1層27aは、黒鉛粒子25dと水膨潤性を有するバインダ28とが混練され、薄いシート状に成形されたものである。また、第2層27bは、銅粒子24dとバインダ28とが同様に混練・成形されたものである。なお、バインダ28は、例えば合成樹脂、アスファルト、膠等といった有機バインダである。また、銅粒子24d及び黒鉛粒子25dは、それぞれ粉体でも良い。
このような構成の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23dは、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aの孔口5a付近に移動可能に設置される他、集水ソケット18に連結し鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13,13aを置換して設置される。
次に、図8を参照しながら、実施例2の第7の変形例について説明する。図8は、実施例2の第7の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプの横断面図である。
図8に示すように、本実施例の第7の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23eは、被覆材6aから成る最外層2と、銅粉体24e、黒鉛粉体25e及びバインダ28の混練物から成る内層4と、から構成される。被覆材6aの材質はポリプロピレン等であり、透水性の有無は特に規定されない。また、銅粉体24e及び黒鉛粉体25eは、それぞれ粒状体でも良い。
このような構成の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23eは、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aの孔口5a付近に移動可能に設置される他、集水ソケット18に連結し鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13,13aを置換して設置される。
本実施例の地下水保孔管16の内部に設置された鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13によれば、パッカーゴム19が地下水12を堰き止めて貯留部22を形成するので、地下水12の集水性が向上する。よって、孔口5a付近の銅14及び黒鉛15が貯留部22の地下水12に長時間浸漬されるため、貯留部22内の銅イオンの濃度が高くなるという作用を有する。この作用は、特に地下水12の流速が小さい場合において顕著である。また、孔口5a付近を観察すれば、鉄バクテリア汚泥の形成の有無が容易に視認される。
この他の作用は、実施例1に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1と同様である。
さらに、本実施例の第1の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23の作用について説明する。鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23においては、銅24が黒鉛25に周囲を被覆されていることから、銅24の腐食速度が大きい。しかも、貯留部22の地下水12に長時間浸漬されることから、銅24から銅イオンが速やかかつ大量に発生し、貯留部22内における鉄バクテリアに対する殺菌・滅菌作用が極めて高い。また、複数の突起が鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13の内周に当接して自転し難く、当初の位置より移動し難い。
この他の作用は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13と同様である。
続いて、本実施例の第2の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害棒体23aの作用について説明する。鉄バクテリア汚泥形成阻害棒体23aにおいては、最外層2及び外層3を備えていないため、地下水12と接触すると、その表面から銅イオンが地下水12中に拡散する。また、複数本の鉄バクテリア汚泥形成阻害棒体23aを設置した場合には、1本の中に直列配列された銅24aと黒鉛25a同士の他、隣接する鉄バクテリア汚泥形成阻害棒体23a同士の銅24aと黒鉛25aが接近することによっても銅イオンが発生する。
この他の作用は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13と同様である。
次に、本実施例の第3の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害板23bの作用について説明する。鉄バクテリア汚泥形成阻害板23bにおいては、平板状であるために複数の角部を備えている。従って、複数の鉄バクテリア汚泥形成阻害板23bをランダムに設置することで、複数の角部が鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aの内周や他の角部に当接する。従って、鉄バクテリア汚泥形成阻害板23bは、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aの内部を移動し難いという作用を有する。
この他の作用は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13と同様である。
そして、本実施例の第4の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23cの作用について説明する。鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23cにおいては、銅線24cの巻数を増減させることにより銅イオンの発生量が調整される。
この他の作用は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13と同様である。
また、本実施例の第5の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1cの作用について説明する。鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1cにおいては、銅8d及び黒鉛9dが螺旋状を成しているため、実施例1の第2の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1bに比較して、単位長さ当たりに発生する銅イオンの濃度がより高くなるという作用を有する。
この他の作用は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13と同様である。
さらに、本実施例の第6の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23dの作用について説明する。鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23dにおいては、孔口5aを通過する地下水12が第2層27bに接触し、第2層27bを構成するバインダ28を膨潤させる。次に、このバインダ28に含まれた地下水12が第1層27aまで浸透し、これを構成するバインダ28を膨潤させて支持体層26に浸透する。さらに、地下水12は透水性の支持体層26を透過してこれに隣接する第2層27bに到達し、以下同様にして地下水12がすべての積層体27を浸水する。一方、表面の支持体層26の周囲に存在する地下水12は、上記と逆の方向で浸透し、孔口5aに面した第2層27bに到達する。従って、これらいずれの場合においても、銅粒子24dから発生した電子がバインダ28を介して黒鉛粒子25dに供給されるため、銅粒子24dから銅イオンが発生する。
この他の作用は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13と同様である。
加えて、本実施例の第7の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23eの作用について説明する。鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23eにおいては、孔口5aを通過する地下水12がバインダ28を膨潤させる。従って、前述したと同様に銅粉体24eから銅イオンが発生する。
この他の作用は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13と同様である。
以上説明したように、本実施例の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13によれば、貯留部22における銅イオンの濃度が高くなるため、貯留部22に集中して存在する鉄バクテリアを一気に死滅させることができる。従って、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1と比較して、鉄バクテリア汚泥の形成を効果的に阻害することができる。また、孔口5a付近の外管17を介し、鉄バクテリア汚泥の形成の有無が容易に視認されることから、銅24の腐食程度が推察できる。
この他の効果は、実施例1に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1と同様である。
次に、本実施例の第1の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23の効果について説明する。鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23は、貯留部22内における鉄バクテリアに対する殺菌・滅菌作用が極めて高いことから、鉄バクテリア汚泥の形成を確実に阻害することができる。また、銅24及び黒鉛25の粒度や形状を自在に変更することができるため、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13の直径や傾斜角度に応じた最適形状に容易に調整可能である。さらに、銅24及び黒鉛25が粒状又は粉状のため、切断等の加工が容易である。
この他の効果は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13と同様である。
次に、本実施例の第2の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害棒体23aの効果について説明する。鉄バクテリア汚泥形成阻害棒体23aによれば、隣接する複数の鉄バクテリア汚泥形成阻害棒体23a同士によっても銅イオンが発生することから、銅イオンの濃度を増大させることができる。また、鉄バクテリア汚泥形成阻害棒体23aの本数を増減させることで、この濃度を自在に調整可能であることから利便性が高い。
この他の効果は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13と同様である。
次に、本実施例の第3の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害板23bの効果について説明する。鉄バクテリア汚泥形成阻害板23bによれば、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aの内部を移動し難いため、地下水12の流速が多少増大した場合であっても孔口5aから排出され難く、銅イオンを安定的に発生させることができるという効果を有する。
この他の効果は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13と同様である。
次に、本実施例の第4の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23cの効果について説明する。鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23cによれば、銅線24cの巻数を増減させることにより、1本の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23cによって、より細かく銅イオンの発生量が調整可能である。従って、銅イオンの発生を適切な量に制御することができる。また、円筒状の黒鉛25cの外周に銅線24cが巻回された簡易な構成であることから、製造に特殊な技術を必要とせず低コストでの製造・導入が可能である。
この他の効果は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13と同様である。
さらに、本実施例の第5の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1cの効果について説明する。鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1cによれば、単位長さ当たりに発生する銅イオンの濃度がより高くなるので、鉄バクテリア汚泥の形成をより効果的に阻害可能である。
この他の効果は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13と同様である。
次に、本実施例の第6の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23dの効果について説明する。鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23dによれば、銅粒子24dはその表面全体から銅イオンが発生するため、円柱状等に成形された銅と比較して銅イオンの発生速度・効率が高い。また、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23dは、シート状の積層体27が螺旋状かつ多重に巻回して円筒状に形成されたものであるため、製造が極めて容易である。さらに、積層体27がポリプロピレン等の合成樹脂から成る支持体層26を備えているとともに、バインダ28は耐水性を有していることから、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23dは、製造容易でありながら長期的な耐久性も発揮し得る。
この他の効果は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13と同様である。
次に、本実施例の第7の変形例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23eの効果について説明する。鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23eによれば、銅粉体24eから銅イオンが発生するため、銅粒子24dと比較して銅イオンの発生速度・効率がさらに高い。従って、鉄バクテリアに対する殺菌・滅菌力をより強力に発揮することができる。
この他の効果は、実施例2に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13と同様である。
なお、本発明の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13,13a,23c〜23e、及び鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23、鉄バクテリア汚泥形成阻害棒体23a及び鉄バクテリア汚泥形成阻害板23bの構造は本実施例に示すものに限定されない。例えば、鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23の突起数は6個以外でも良い。
また、上記の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ等をそれぞれ組み合わせても良い。このうち、地下水保孔管16を使用しない場合では、例えば鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23が、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23c〜23eの内部に配置された状態で地層11に埋設されても良く、さらに、従来技術である塩化ビニル管の孔口より挿入され配置されても良い。この他、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13,13aは、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1a,1bに置換されても良い。
本発明の実施の形態に係る実施例3の鉄バクテリア汚泥形成阻害方法について、図9を用いて詳細に説明する。
図9は、実施例3に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害方法のフローチャートである。
図9に示すように、本実施例に係る鉄バクテリア汚泥形成阻害方法は、ステップS1の鉄バクテリア汚泥形成阻害体配置工程、ステップS2の地下水配管埋設工程、から成る。
ステップS1の鉄バクテリア汚泥形成阻害体配置工程では、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aの一端を集水ソケット18の嵌合部20の内側に嵌入する。そして、嵌合部20の外側に外管17として用いられた鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13を嵌合する。これを繰り返すことで、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13に挿入された状態の複数の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aが形成される。さらに、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13のジョイント部21aと集水ソケット18のジョイント部21bとを順次螺合すると、内部に複数の鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aが配置された一様な長さを有する地下水保孔管16aが完成する。なお、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13aを備えない場合においては、これを嵌合部20の内側に嵌入する手順は省略され、地下水保孔管16が完成する。また、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13,13aは、スリット17aが適宜穿設された鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1,1a,1bに置換されても良い。
ステップS2の地下水配管埋設工程では、ステップS2における一様な長さを有する地下水保孔管16を、孔口5aを孔奥5bよりも低くして地層11内に埋設する。これにより、地下水保孔管16の内部に浸み出した地下水12が自然と流下し、その途中鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1,1a,1b,13,13a又は鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23から発生した銅イオンによって鉄バクテリアが殺菌・滅菌される。従って、鉄バクテリア汚泥の形成が阻害され、孔口5aから地下水12が速やかに排出される。
なお、ステップS2の地下水配管埋設工程は、ステップS1の鉄バクテリア汚泥形成阻害体配置工程の前に実施されても良い。すなわち、ステップS1とステップS2の実施順序は規定されるものではない。具体的には、新規の地下水保孔管16を埋設する場合には、予め鉄バクテリア汚泥の形成阻害体である鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13を埋設前の地下水保孔管16として配置しておき、その後に地下水保孔管16を埋設する。しかし、既存の地下水保孔管16の場合には、既に地下水保孔管16は埋設されているので、その後に鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13を地下水保孔管16内に配設することになるのである。これらの新規と既存の地下水保孔管16のいずれも対応が可能であることを意味するものである。
以上説明したように、本実施例の鉄バクテリア汚泥形成阻害方法によれば、ステップS1の後にステップS2を実施する場合においては、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13,13aを集水ソケット18を介して順次接続するという作業は簡易であり、作業負担が増加するものではない。また、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1,1a,1b、13,13a及び鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23の設置が地層11に埋設する以前に行われるので、細部まで正確に設置することができる。
なお、本発明の鉄バクテリア汚泥形成阻害方法は本実施例に示すものに限定されない。例えば、新規の地下水保孔管16を埋設する場合においても、ステップS2の後にステップS1が実施される。具体的には、地下水保孔管16を埋設後に鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23を鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ13,13aの内部へ挿入する。さらに言えば、長手方向に細長く鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23のような突起を有しない形状であればスムーズに挿入できることから、鉄バクテリア汚泥形成阻害棒体23aや鉄バクテリア汚泥形成阻害板23b、あるいは鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ23c〜23eが好適である。
この他、地下水保孔管16が設置されず、鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ1,1a,1b,23d,23eが直接地層11に新設され、鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体23等が挿入・設置される場合においても、ステップS1とステップS2の実施順序は既定されない。なお、この場合、合成樹脂製の被覆材6,6a及び支持体層26が備えられているため、強度及びある程度の柔軟性を有している。従って、挿入の際の折損や変形が回避できる。
また、地下水保孔管16が設置されておらず塩化ビニル管等が既設されている場合では、ステップS2の後にステップS1が実施されることになる。
請求項1乃至請求項に記載された発明は、地下水と接触して鉄バクテリアの増殖又は生存を抑制する鉄バクテリア汚泥の形成阻害体及び形成阻害方法として利用可能である他、下水道のコンクリート製配管内に設置するコンクリート劣化防止体及び劣化防止方法として利用可能である。
1,1a〜1c,13,13a,23c〜23e…鉄バクテリア汚泥形成阻害パイプ 2…最外層 3…外層 4…内層 4a…内周面 5a…孔口 5b…孔奥 6,6a…被覆材 7,9,9a〜9d,15,25,25a〜25c…黒鉛 8,8a〜8d,14,24,24a,24b…銅 10a〜10d…接触面 11…地層 12…地下水 16,16a…地下水保孔管 17…外管 17a…スリット 18…集水ソケット 19…パッカーゴム 20…嵌合部 21a,21b…ジョイント部 22…貯留部 23…鉄バクテリア汚泥形成阻害粒体 23a…鉄バクテリア汚泥形成阻害棒体 23b…鉄バクテリア汚泥形成阻害板 24c…銅線 24d…銅粒子 24e…銅粉体 25d…黒鉛粒子 25e…黒鉛粉体 26…支持体層 26a…端部 27…積層体 27a…第1層 27b…第2層 28…バインダ

Claims (3)

  1. 地層内に埋設して地下水を誘導又は排水する地下水保孔管の少なくとも一部を構成又はこの地下水保孔管中に設置され、前記地下水中に常在する鉄バクテリアによって生成される鉄汚泥又はマンガン汚泥(以下、少なくともいずれか一方を表して鉄バクテリア汚泥という)の形成阻害体であって、
    腐食電位の異なる2種の導電体を混合又は互いに隣接するように配置し、前記2種の導電体が前記地下水保孔管中の前記地下水との接触によって、前記2種の導電体のうち低い腐食電位の導電体が前記鉄バクテリアの増殖又は生存を抑制する金属イオンを発生し、
    前記地下水保孔管は、採水孔を外周に備える複数の排水管と、この複数の排水管を接続し前記地下水の貯留部を形成するジョイント管と、このジョイント管に周設され前記地下水で膨潤して前記排水管を支持する水膨潤性シール材と、を有し、
    前記2種の導電体は、前記ジョイント管によって形成される前記地下水の貯留部に浸漬されることを特徴とする鉄バクテリア汚泥の形成阻害体。
  2. 前記2種の導電体は、前記地下水保孔管中に設置され、それぞれ粒体状もしくは粉体状をなし、水膨潤性及び耐水性を有するバインダを添加して混合するように配置され、複数個の突起を備えた形状に成形されることを特徴とする請求項1記載の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体。
  3. 前記2種の導電体のうち、低い腐食電位を有する導電体は銅であり、
    前記金属イオンは、銅イオンであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鉄バクテリア汚泥の形成阻害体。
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