JP3676775B2 - ヘドロの酸化分解方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水汚泥、排水処理汚泥、或いは、側溝、河川、池、湖沼、港湾、海洋などに蓄積するヘドロなどの嫌気性、無酸素性または酸素欠乏性の汚泥もしくは堆積物の酸化分解を促進することによって、水系環境を浄化修復する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種槽底や水底に堆積している嫌気性、無酸素性または酸素欠乏性の汚泥もしくは堆積物(以下、ヘドロと称する)を酸化分解する方法として、ヘドロを浚渫する物理的な方法、ヘドロを撹拌して水中の溶存酸素と接触させる方法、ヘドロ中に空気を吹き込む方法などが考案されている。
【0003】
しかしながら、ヘドロを浚渫する方法は、適用できる深度・範囲に限りがあると共に、取り除いた汚泥の2次処理が必要になるという問題がある。また、ヘドロを撹拌する方法は、周囲の水中の溶存酸素を消費することから酸素供給の速度に限りがあり、周囲の水が酸素欠乏になって水中生物が死滅する危険性がある。また空気を吹き込む方法も、同様にヘドロを巻き上げることから水生植物による光合成を阻害し、結果的に酸素供給を妨げるなどの問題を有している。更に、いずれの方法も、大量のエネルギーを消費し、費用と人手がかかるという問題がある。
【0004】
一方、海底堆積物中とその周囲の水中とにそれぞれ電極を設置し、両者を電線で接続することによって、ヘドロとその周囲の水との間の電位差を利用して微弱な電気エネルギーを取り出す方法が報告されている(下記非特許文献1及び2)。この方法によれば、海底堆積物中に設置した電極が酸化電極(アノード)、周囲の水中に設置した電極が還元電極(カソード)として働き、両電極間に電気エネルギーが発生する。この方法は、海中の環境分析装置を駆動するための微弱な電流を得ることを目的としており、広範囲のヘドロを浄化することを主目的とはしていない。また、還元電極をヘドロの近傍の水中に設置するため、本方法を実用規模に拡大した場合には水中の溶存酸素が大幅に減少するという問題が予測される。例えば、1m3の水中に直径0.14mmのステンレス針金製の60メッシュ−1m角の金網を2cm間隔で50枚並べて還元電極にしたと仮定し、上記非特許文献1による反応速度を用いて酸素消費速度を計算すると6.88×10-4mol/s・m3となる。従って、初期溶存酸素濃度が10mg/Lの好気性条件であっても、計算上454秒で水1m3中の溶存酸素を消費し尽くすことになる。また、非特許文献1による反応速度はグラファイト電極を用いた場合の値であるので、電極として触媒を担持した金属等を用いた場合には更に酸素消費速度が増すことが予想される。したがって、非特許文献1に記載されている方法では、周囲の水中の溶存酸素を短時間に消費したのち利用すべき反応が停止すると考えられので、ヘドロの酸化分解手段としては明らかに実用的ではない。
【0005】
また、還元電極同士が重なり合わず、酸素消費について独立していると仮定した場合でも、水中での溶存酸素の還元反応は酸素の水中での酸素の拡散速度により律速されるため、電極単位表面積当たりの電流量は過電圧に関わりなく20μA/cm2が最大値となる。これは空気中の酸素を用いた場合の値(過電圧200mVで約300mA/cm2)と比較して著しく小さいため、目的であるヘドロの分解を律速することが予想される
【0006】
【非特許文献1】
Reimers, C. L.; Tender, L. M.; Fertig, S.; Wang, W., Environmental Science and Technology, 2001, 35, 192-195
【0007】
【非特許文献2】
Bond, D. R.; Holmes, D. E.; Tender, L. M.; Lovley, D. R.; Science, vol.295, 18 January 2002, p.483-485
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記のような従来技術の問題点を解決し、ヘドロの酸化分解による減容化を促進する際に、周囲の水中の溶存酸素を減少させず、ヘドロを水中に巻き上げることなく、基本的には外部からのエネルギーを消費せず、制御に人手のかからない方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段として、本発明の一態様に係る方法は、水中の汚泥又は堆積物を酸化分解する方法であって、一対の電極が電気的に接続されている装置の一方の電極を、酸化電極として、嫌気性、無酸素性又は酸素欠乏性の汚泥又は堆積物中に挿入し、もう一方の電極を、還元電極として、少なくとも一部が水面から露出された状態に水面上に配置することを特徴とする。
【0010】
このように両電極を配置することにより、汚泥又は堆積物(ヘドロ)と空気中の酸素との間の電位差によって、ヘドロ中に挿入した電極が酸化電極として、水面に配置した電極が還元電極として働き、ヘドロ中の電子供与体から電子が放出され、これが酸化電極から還元電極へ流れて空気中の酸素に受け渡されるような電気化学反応が進行する。この反応の進行によってヘドロが酸化分解される。本発明の構成によれば、還元電極を、少なくとも一部が水面から露出された状態に配置することにより、電子の受容の少なくとも一部が空気中の酸素によって行われるので、周囲の水中の溶存酸素を減少させることなく、電子の受容が進行する。両電極間の電気的接続は、例えば、両電極を導電性のケーブルなどの導電性材料で接続することにより行うことができる。
【0011】
上記のような電極反応のうち、酸化電極での反応は、ヘドロ中に生息している微生物によって生化学的に触媒化されるが、還元電極での空気中の酸素の電極反応は、単に電極を空気中に置いただけでは進行しない。還元電極における空気中の酸素の反応を促進するために発明者らが鋭意研究を行った結果、還元電極を水/空気界面に置いて、空気中の酸素および水面の水に接触する効率を高めることによって、空気中の酸素の電極反応を促進できることが分かった。また、還元電極での空気中の酸素の還元には、水からの水素イオンの供給が必要であることから、電極表面と空気中の酸素が接触する箇所に十分近接して水が共存することが望ましい。これらの要求を満足させるためには、水面に配置する還元電極は、多孔質材料によって構成することが好ましい。例えば、樹脂バインダーで、カーボン、不活性金属、金属酸化物などの導電性粒子を結着した多孔質材料を、水面に配置する還元電極として用いることにより、毛細管現象等によって水を吸い上げると共に、空気中の酸素と効率よく接触して、酸素の還元反応を促進することができる。しかしながら、本発明において、水面に配置する還元電極としては、上記のような多孔質材料だけではなく、例えば、チタンやチタン合金などのような、海水等による塩化物腐食などに対する耐腐食性を持つ材料を広く用いることができる。
【0012】
また、水面に配置する還元電極には、白金族元素、銀、遷移金属元素から選ばれる少なくとも一種類を含有する合金あるいは化合物からなる触媒を担持することで、空気中の酸素の電極反応を更に促進できるので好ましい。ここで白金族元素とは白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)またはイリジウム(Ir)を指し、いずれも還元電極に担持させる触媒として有効である。また、ニッケル、ビスマス、チタン酸化物をドープした銀粉末を担持したもの、ファーネスブラック又はコロイド状グラファイトに銀を担持したもの、鉄、コバルト、フタロシアニン、ヘミン、ペロブスカイト、Mn4N、金属ポルフィリン、MnO2、バナジン酸塩、またはY23−ZrO2複合酸化物などについても、還元電極に担持させる触媒材料として好ましく用いることができる。
【0013】
一方、ヘドロ中に挿入する酸化電極としては、アノード反応による電極の腐食、海水等による塩化物腐食などに対する耐腐食性を有するものが好ましく、上述のチタンやチタン合金などが好ましく用いられる。特に、チタンやチタン合金は、電極に求められる導電性を持ちながら、耐腐食性が高く、本発明に係る装置を長期間安定して運転することができるので、本発明における酸化電極材料及び還元電極材料として用いるのに極めて好ましい。
【0014】
本発明は、ヘドロ中に挿入した酸化電極と、水面に配置した還元電極との間に電位差電流を発生させることに基づいているが、この電位差電流は、還元電極と酸化電極の間の電位差により生じるものであるので、これら電極間に、太陽電池、蓄電池などの外部直流電源を挿入して、両電極間の電位差を自然の電位差よりも大きくすることによって、各電極における酸化還元反応を促進することも有効である。
【0015】
また、本発明の好ましい態様においては、酸化電極もしくは酸化電極を支える構造物に電動モータなどの駆動機構を接続し、両電極を接続する導電性のケーブルにこの駆動機構を接続して、ケーブルを流れる電流によって駆動機構を動かすことにより、酸化電極をヘドロ中で動かす、例えば、酸化電極をヘドロ中で揺動若しくは回転させることが好ましい。このように酸化電極をヘドロ中で動かすことにより、ヘドロ中の電子供与体と電極との間の接触効率が増し、電子供与体から電極への電子の供与速度が向上してより効率良くヘドロの酸化分解を行わせることができる。
【0016】
更に、上記モータの駆動力を推進力として用い、酸化電極を含む構造体全体を移動させ、酸化電極を広い範囲のヘドロに接触させることが好ましい。特に、湖沼、河川、港湾のヘドロは広大な面積に広がっていることが多く、局所的処理でこれを全てカバーするような規模を想定して本発明の装置を設置することは現実的でない。そこでこのような場合には、本発明に係る装置をヘドロ内で移動させることにより、広い範囲のヘドロの酸化分解を促進することが可能となる。
【0017】
上記のような駆動又は推進に必要なエネルギーは、全て両電極間に発生した電位差電流によることができ、その場合には、外部からエネルギーを供給する必要が無いので装置の簡略化が可能である。勿論、駆動又は推進に必要な電流を補助する目的で、太陽電池や外部電源などから電力を供給してもよい。
【0018】
更に、酸化電極のヘドロ中での移動を制御して、円運動や一定距離の往復運動などを行わせることにより、長期間にわたって無人の状態で、酸化電極を広い範囲のヘドロに接触させることが好ましい。運転制御の例としては、設定した時間若しくは距離によって推進方向を変更して回転運動や往復運動を行わせたり、又は常に一定角度に曲がっていくように推進方向を設定することにより円運動を行わせることにより、ヘドロの存在する位置から離れたり、壁等の障害物に当たって停止してしまうことなく、酸化電極のヘドロ中での移動を継続することができる。このことにより、人手をかけて装置の位置を制御する必要が無くなり、長期間の無人運転を行わせることができる。
【0019】
水面に配置する還元電極は、少なくとも一部が水面から露出された状態に配置することができるように、水面上に浮かぶフロート、筏若しくは船型に形成してそれ自体が水面上に浮遊する構造にするか、或いはそのような形態の支持物により支えることが好ましい。このような構造をとることにより、還元電極を空気中の酸素と容易に接触させることができ、また水面上に浮かばせた還元電極を、導電性のケーブルや、ワイヤーなどのような他の係留手段によって酸化電極構造体に係留することにより、上述したような酸化電極構造体の移動と共に、還元電極を水面上において移動させることができるため、酸化電極構造体をヘドロ中で長距離移動させる場合でも、酸化電極側と還元電極側の間の接続を問題なく保つことができる。
【0020】
なお、使用される環境などに応じて、電極に微生物が付着して導電性が低下するのを防ぐため、電極表面に、銀、銅または亜鉛を蒸着するなどの抗菌化処理を行うことも長期運転を安定化させる効果をあげるので好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るヘドロの酸化分解装置の一具体例を説明する。以下の記載は、本発明の技術思想を具現化する一つの具体的形態を説明するもので、本発明はこの記載に限定されるものではない。
【0022】
図1は、本発明の一態様に係る酸化電極構造体の具体例である。ヘドロ中における酸化電極上での電極反応を促進させ、電流量を増やすためには、電極の表面積を大きくすることと、電極がヘドロと効率良く接触し、汚泥の動かないデッドゾーンを作らないような構造にすることが重要である。このためには、例えば、複数の電極板1を配置して、電極の形状を汚泥中での移動方向に対して抵抗の少ない形状にすることが好ましい。例えば、図1に示す酸化電極構造体は、複数の電極板1を、複数枚、互いに平行に配置し、これら電極板を金属棒2によって電気的に接続することによって構成されている。この場合、図1の矢印方向に、電極を揺動させれば、デッドゾーンを形成することなく、大きな抵抗なしに、酸化電極をヘドロ内で動かすことができる。また、電極板1は、網目状の金属材料によって形成すれば、電極の表面積を増大させることができるので有効である。
【0023】
また、図2は、酸化電極に推進機構を取り付けて、ヘドロ内を推進させる形態の酸化電極構造体の一形態例を示す。図2に示す酸化電極構造体は、図1に示す酸化電極構造体の金属棒2に更に金属棒3を接続し、金属棒3の上に駆動機構5を配置している。駆動機構5は、モーター、ギアなどから構成することができる。酸化電極構造体がヘドロ中で移動する際の移動抵抗を小さくするため、駆動機構5がヘドロの外部に配置されるように、装置を構成することが望ましい。しかしながら、酸化電極自体の一部がヘドロの外部の水中に出てしまうと、その場所で還元反応が起こり、不用意に水中の溶存酸素を失うだけでなく、電流も損失するので注意が必要である。更に、酸化電極の上部や、酸化電極と駆動機構を接続する導電性部材(図2の場合には金属棒3)、更には後述する還元電極と酸化電極とを電気的に接続する導電性ケーブル6などは、周囲の環境と電気的に絶縁し、還元反応が起こらないようにすることが重要である。また、ヘドロの外部に配置させる駆動機構5などを載置する構造物にフロートとして機能するものを取り付け、水中での全体の比重を調整することも装置の移動を容易にする効果がある。
【0024】
酸化電極は、駆動機構5を経由して、導電性のケーブル6によって、後述する還元電極と電気的に接続される。そして、酸化電極と還元電極との間に発生する電位差電流によって、推進機構を駆動することができる。図2に示す酸化電極構造体においては、推進機構は、十字形の軸に半円周形の「ひれ」を付けた車輪4で構成されている。これらの車輪4は、駆動機構5によって駆動され、酸化電極構造体を推進させる。
【0025】
ヘドロの酸化分解には、本発明の場合も含めて通常の場合時間がかかるので、本発明に係る装置の酸化電極構造体のヘドロ内での移動速度は緩慢でよい。さらにヘドロを巻き上げて水中の溶存酸素濃度を低下させないためにも、酸化電極構造体の移動速度はごく低速であることが望ましく、例えば1m/時程度もしくはそれ以下で良い。このような低速を実現するためには、推進機構のギヤ比を非常に大きくするか、或いは蓄電池を用いて、電位差電流によって蓄電池にある程度の電気量が蓄積された時のみ推進機構を駆動するというような間欠運転の方法を用いることができる。また、推進機構のモータとしては、ステッピングモータを使用することができる。モータ等の全ての電気・電子部品は、合成樹脂等の非導電体製または絶縁処理を施した金属製の防水ケース内に封入し、モータ(またはその他の部品)から還元電極までの間の導電ケーブルも、上述した理由により全て周囲の環境と電気的に絶縁し、還元反応が起こらないようにすることが重要である。
【0026】
次に、本発明に係る装置において水面上に配置させる還元電極については、如何に効率良く還元電極上での空気の電極反応を進行させるかが課題となる。このためには、還元電極は、少なくとも一部が水面または水面の支持体の上にあって、空気中の酸素及び水面の水と効率よく接触することが好ましい。図3に、本発明に係る装置において採用することのできる還元電極の構造の一例を示す。図3に示す還元電極は、中空の棒状金属材料8を格子状に組み合わせて筏様の構造体を形成することによって構成されている。このようにすれば、還元電極自体が水面上に浮くようにすることができる。また、還元電極を、浮き(フロート)などの支持体によって水面上に浮遊させるように構成することもできる。尚、水(または海水)及び酸素のある環境では、金属は腐食しやすいので、還元電極としては、グラファイトや、チタン、白金、パラジウム、インジウムから選ばれる物質またはそれを含む合金もしくはこれらの物質による被覆金属材料など、耐腐食性の高い電極素材を用いることが好ましい。さらに、還元電極を、多孔質、金網状または繊維状とすることにより、水面の水を毛細管現象等で吸い上げつつ空気中の酸素と接触することができ、空気中の酸素および水面の水に接触する効率を高めることができる。また、還元電極に、白金族元素、銀、遷移金属元素から選ばれる少なくとも一種類を含有する合金あるいは化合物からなる触媒を担持することで、空気中の酸素との電極反応を促進することができる。
【0027】
また、例えば、水面上に配置される還元電極の上、或いは還元電極とは別の浮遊構造体の上などに、蓄電池、太陽電池などの補助電源を配置し、これから供給される電流を、電位差電流による推進機構駆動の補助として利用することも可能である。更に、水面上に配置する還元電極を、ワイヤー7などによって、ヘドロ中に配置された酸化電極構造体に係留することができる。このようにすれば、酸化電極構造体のヘドロ内における移動に従って、還元電極も移動させることができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこの実施例により制限されるものではない。
【0029】
A工場敷地内の溜池に蓄積した富栄養性の有機物堆積物(ヘドロ)を酸化分解するために本発明に係る装置及び方法を用いた。該溜池は長辺10m、短辺3mの長方形をしており、水深は平均2.5mで、底部から0.7m程度までヘドロが蓄積しており、A工場敷地内の雨水及び一部の生活排水が流れ込むために、平均0.05m/年の速度でヘドロの堆積厚さが増加している状態であった。この溜池の中央部に図2及び図3に示した本発明の装置を設置し、ヘドロの減容化を試みた。酸化電極材料及び還元電極材料としてはチタンを用いた。酸化電極としては、チタン製の60メッシュ金網(線径0.14mm;寸法1m角)を24枚、互いに平行に配置して、重量16kg、総表面積100m2の電極構造体を構成し、図2に示すような推進用の駆動機構と車輪を取り付けた。還元電極としては、中空のチタン製棒材(径1mm、長さ3m)を、格子状に組み合わせて寸法1.5m角の筏状の構造体を形成した。蓄電池を推進装置駆動用の電源として酸化電極構造体上に載置し、100W以上の出力ポテンシャルが生じた時のみモータが駆動する間欠運転の方法を用いた。また、タイマー装置を配置して、5日に一回、ギヤを切り替えて酸化電極構造体の進行方向を逆転させることにより、往復運動を行わせた。タイマー及びギヤの切り替えは、上記の推進機構駆動用の蓄電池とは別の独立した蓄電池により駆動し、この蓄電池は、還元電極の筏状構造体の上に設置した太陽電池により充電されるようにした。
【0030】
かかる本発明に係る酸化分解装置は、溜池内に設置した後、平均0.5m/日の速度で移動し、主に溜池の中央部で往復運動を行なった。その後3年間に渡ってこの運動を自動的に継続させた。ヘドロの厚さは、装置を設置したのち徐々に低下する傾向を示し、平均して0.04m/年の速度で厚さが減少した。該溜池の水面下1mの溶存酸素濃度は、本装置による試験直前には平均3mg/Lであったが、試験中には低下することなく、3年後には6mg/Lまで上昇した。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により、汚泥または堆積物(ヘドロ)の周囲の水中の酸素濃度を低下させることなく、汚泥又は堆積物の酸化分解を促進することが可能である。また、本発明の好ましい態様によれば、広い範囲のヘドロを長期間に亘って自動運転で分解処理することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一態様に係る酸化電極の構造の例を示す概念図である。
【図2】本発明の一態様に係る酸化電極構造体の例を示す概念図である。
【図3】本発明の一態様に係る還元電極の構造の例を示す概念図である。

Claims (5)

  1. 水中の汚泥又は堆積物を酸化分解する方法であって、一対の電極が電気的に接続されている装置の一方の電極を汚泥又は堆積物中に挿入し、もう一方の電極を少なくとも一部が水面から露出された状態に配置することを特徴とする方法。
  2. 汚泥又は堆積物中に挿入する電極に駆動機構を取り付け、両電極間に発生する電気エネルギーによって当該駆動機構を動かして、汚泥又は堆積物中に挿入された電極を動かす請求項1に記載の方法。
  3. 汚泥又は堆積物中に挿入する電極に推進機構を取り付け、両電極間に発生する電気エネルギーによって当該推進機構を駆動して、汚泥又は堆積物中に挿入された電極を推進させる請求項1に記載の方法。
  4. 水中の汚泥又は堆積物を酸化分解するための装置であって、一対の電極とこれらの電極を電気的に接続する導電性部材とから構成されており、一方の電極が、少なくとも一部が水面から露出された状態に配置することができるように、水面上に浮遊する構造になっているか或いは水面上に浮遊する構造体に載置されていることを特徴とする装置。
  5. 上記一方の電極が、多孔質、金網状又は繊維状の形態の導電性材料で形成されている請求項4に記載の装置。
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