IPマルチメディア・システム(IMS)がインターネット・プロトコル(IP)のマルチメディア・サービス、例えば、インターネット・プロトコル・テレビジョン(IPTV)をデリバリするためのアーキテクチャ・フレームワークであることは公知のことである。IPTVが、TV番組をセット・トップ・ボックス(STB)を介し、またハイ・スピード・インターネット(ブロードバンド)接続を通じてテレビジョンにデリバリすることを可能とするデジタル・テレビジョン・サービスであることは公知のことである。IMSアーキテクチャをインターネットのようなIPネットワークと機能的に統合するのを容易にするために、IMSは、標準のインターネット・プロトコル、例えば、SIP(セッション開始プロトコル)を用いる。SIPは、マルチメディア通信セッション、例えば、IPを利用したボイス・コールやビデオ・コールを制御するために用いられるシグナリング・プロトコルである。IMSは、通例、リソース・アドミッションおよびチャージング・システム(RACS)を有している。RACSは、アドミッション制御を提供する。当該RACSは、例えば、加入者が要求するサービスの認可を検査し、関係するネットワーク運用業者に特有のポリシ・ルールを検査し、そして要求されたネットワーク・リソース(例えば、帯域幅)が、加入者のユーザ・プロファイルやネットワーク・リソースの現在のスケーラビリティに適合するものかを検査し、仮にそうであるならば、リソースを割り当てるように構成される。
ネットワーク・リソースは、帯域幅を固定する、ある量の帯域幅を保証された最低値でフレキシブルに割り当てる、または低レイテンシを要求する(これは、例えばゲームに関係する)といった多くの方法で割り当てることができる。ビデオ映像をデリバリし、および/または2者間通信を可能にするために、ネットワーク・サービスは、通例、受け入れ可能なサービス品質(QoS)および/または受け入れ可能な知覚経験品質(QoE)についての最低保証量の帯域幅を必要とする。
実際のところ、利用可能な量の帯域幅は限られており、望まれる時点でQoSおよび/またはせービスのスケーラビリティに影響することもあり得る。このことは、次のようなシナリオで説明される。
第1のシナリオでは、エンド・ユーザは、例えばADSL(非対称デジタル加入者線)といった専用のリンクを介したサービス・プロバイダに接続される彼/彼女の処理装置を有している。この接続は、制限量の帯域幅を有している。サービス提供者が三重のサービス、即ち、ビデオ・サービス(例えば、インターネット・テレビジョン、ビデオ・オン・デマンド(VoD))、通信サービス(例えば、ボイス・オーバーIP(VoIP)、ビデオ会議など)、およびインターネット・サービス(例えば、Webページ、ゲームへのアクセス)を提供する場合、これらサービスがこのユーザの単一接続の帯域幅を共有する。更に、ADSL2接続の総帯域幅が、例えば12Mbps(メガビット毎秒)であり、ビデオ・ストリーム(例えば、デジタル・テレビジョン・チャネル)が例えば4Mbpsを必要とするとする。このユーザが同時に3つのビデオ・ストリームを視聴(watch)する場合、彼/彼女はそのインターネット・サービスを利用することができず、または通話の受信をすることができない。その替り、このユーザがインターネット・サービスまたは電話サービスを使用していると、彼/彼女は2つ以上のテレビジョン・チャネルを視聴することはできない。
第2のシナリオでは、多数ユーザが例えば、ケーブル・インフラストラクチャ(DOCSIS)、インターネットに接続されたホーム・ネットワーク、または無線インフラストラクチャ(GSM、UMTS、またはWiFi)におけるある量の帯域幅をシェアする。その結果、全てのユーザが全ての帯域幅を使用できるわけではない。明確にするため、頭文字「DOCSIS」は「データ・オーバー・ケーブル・サービス・インターフェース仕様」(Data Over Cable Service Interface Specification)の略であり、また、データ・オーバー・ケーブル・システムについての通信および動作のサポート・インターフェース要件を規定する国際標準を受けるものである。頭文字「GSM」は「モバイル通信についてのグローバル・システム」(Global System for Mobile communication)の略であり、移動体電話のセルラー・ネットワークに関する。頭文字「UMTS」は、「ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム」(Universal Mobile Telecommunication System)の略であり、GSMに関する第3世代移動通信技術を受けるものである。頭文字「WiFi」は、Wi−Fi Allianceの商標であり、例えば、PC、ビデオ・ゲーム・コンソール、移動体電話またはMP3プレイヤといったワイヤレス・ネットワークを介してインターネットにするためのデータ処理装置を提供する。仮にあるユーザが帯域幅のほとんどをしようするとしたら、このことは他のユーザに利用可能な量の帯域幅を犠牲にすることになるであろう。この問題に対する現在の解決策は、個々のユーザごとに対して、ある特定の量の帯域幅に制限することであり、また、多数のユーザ間で利用可能な総帯域幅を分割することである。他の解決策は、ベース・レイヤおよび1またはそれ以上の強化(enhancement)レイヤの階層的コーディング・スキームでエンコードされたコンテンツ情報の管理に関する。ワイヤレス・アクセス・ポイントは、ネットワーク損失(WiFiでグレーション)が発生したかを検出するために、無線チャネルを測定することができる。この測定に基づいて、アクセス・ポイントが1またはそれ以上の強化レイヤの欠落を判定することができ、ベース・レイヤのストリームを送ることができたかを確証する。更に他の解決策は、新しいセッションを再ネゴシエーションして、帯域幅の使用を調整することである。
KOFLER I他、「H.264/SVC適用およびトラフィック・コントロールによるIPTVサービスの改良」(Improving IPTV services by H.264/SVC adaptation and traffic control)、ブロードバンド・マルチメディア・システムおよびブロードキャスティング、2009年BMSB ‘09 IEEE国際シンポジウム、IEEE,NJ,USA,2009年5月13日(2009-05-13)の第1−6頁には、シグナリングされた拡張性情報に基づいて要求されたビデオ映像についてのアドミッション制御を実行するRTSP/RTPプロキシ・サーバを傍受(intercept)して、コンテンツが変化なくまたは適用バージョンでストリームすることができるかを判定することが開示されている。ビデオ・ストリームに対するハード予約ポリシ(Hard Reservation Policy)アドミッション制御および適用はアドミッションの後にビデオ帯域幅の割り当てを修正しない。フレキシブル貸出ポリシ(Flexible Borrowing Policy)はアドミッション制御をSVCストリームのベース・レイヤに対して制限し、強化レイヤのデータを搬送するパケットは、優先度と共にマーキングされ、優先度ベースのキューイング機構によりネットワーク・レイヤにおいて取り扱われる。
現在のリソース・アドミッション・システムは、十分な帯域幅を割り当てることができなときに、特定のサービス要求を不許可にすることにより帯域幅の問題を解決している。
図面を通じて、類似のまたは対応する特徴は同一の符番により示されている。
本発明の一実施形態は、コンテンツ情報によって消費される量の帯域幅を制御する方法に関するものであり、当該コンテンツ情報は、データ処理装置へのデータ接続を介して第1のデータ・サービスにおいてコンテンツ・情報の発信元(source)によってデリバリされる。当該発信元は、ベース・レイヤおよび少なくとも1つの強化レイヤを含む階層型コーディング・スキームでエンコードされた利用可能なコンテンツ情報を有する。データ処理装置は、データ接続に基づき利用可能な予め決められた第1の量の帯域幅を有している。本方法は、予め決められたポリシに従って、デリバリされるコンテンツ情報における強化レイヤの数を制御するステップを備える。当該数は、更なるデータ・サービスが、データ接続を用いるか否かおよび帯域幅を消費するか否かに従って制御される。
図1は、本発明におけるシステム100の第1のブロック図である。システム100は、データ処理装置102、当該データ処理装置102とアクセス・ノード106との間のデータ接続104、ならびにポリし制御サーバ108を備えている。システム100は、さらに、1もしくはそれ以上のセッション・サーバ、および/または1もしくはそれ以上のアプリケーション・サーバを備えており、図1ではセッション/アプリケーション・サーバ110として選択的に表している。
データ処理装置102は、セッション/アプリケーション・サーバ110の制御化で、およびデータ接続104およびアクセス・ノード106を介して、複数のデータ・サービスにおけるコンテンツ情報(例えば、オーディオ、ビデオ映像、マルチメディア)を受信するように構成される。データ処理装置102の例として、セット・トップ・ボックス、VoIP電話、パーソナル・コンピュータ(PC)、およびホーム・ネットワークがある。公知のとおり、ホーム・ネットワークは住居用のローカル・エリアのデータ・ネットワークであり、家庭内で複数の電子デバイスを接続するのに用いられる。ホーム・ネットワークは、住居用のゲートウェイを介して、外部のデータ・ネットワーク、例えば、インターネットや他のワイド・エリア・ネットワーク(WLAN)に接続することができる。住居用ゲートウェイの例として、DSL(デジタル加入者線)ルータ、およびケーブル・モデムがある。
アクセス・ノード106はコア・ネットワーク(図示せず)にアクセス・ネットワーク(図示せず)と共に接続される。「コア・ネットワーク」や「アクセス・ネットワーク」の特徴は、従来技術において公知であり、サービス・プロバイダと共に複数のエンド・ユーザが各データ接続を介して接続するポイントとしてしばしば参照されるものであり、データ接続の1つがデータ接続104として図示されている。データ接続104は、例えば、光ファイバ、同軸ケーブル接続(例えば、DOCSIS/ケーブル)、銅線接続(例えば、DSLライン)、または無線接続(例えば、ワイヤレスLAN若しくはWLAN)として実施される。通例は、アクセス・ノード106は、多数エンド・ユーザ接続についての分配ポイントである。即ち、何千ものDSL等の加入者が単一のアクセス・ノードに接続する。このように接続する多数のエンド・ユーザのために、アクセス・ノード106とコア・ネットワークとの間のデータ・リンク(図示せず)が高い処理能力(毎秒ギガビット)を有するものとなっている。アクセス・ノード106とデータ処理装置102との間のデータ接続104は、例えば、様々なデータ・リンクを実装する技術に基づき、また、データ処理装置102のエンド・ユーザとのサービス・アグリーメントに基づいて、毎秒キロバイトから毎秒何百メガバイトまでの範囲で処理能力を有している。
セッション/アプリケーション・サーバ110は、例えば、データ処理装置102のエンド・ユーザといった、加入者へのデータ・サービスのデリバリを提供、さもなければ制御する。セッション・サーバ(例えば、SIP/IMSサーバ)は、データ接続にわたり施される通信セッションにかかわるエンド・ユーザのセッション状態の情報を追跡するサーバであることは公知である。このようなセッションの例は、インターネット電話やインターネットにわたり施されるビデオ会議セッションである。アプリケーション・サーバ、例えばIPTVサーバは、第三者、ここではデータ処理装置102のエンド・ユーザが利用するためのサービスを提供する。アプリケーション・サーバによって提供されるデータ・サービスの例は、ライブTV放送の提供、VoDといったコンテンツ・オンデマンドの提供、TV放送のようなコンテンツ情報の遠隔記録および格納のためのネットワークPVR(個人ビデオ・レコーダ)の提供、ビデオ会議サービスの提供などである。
セッション/アプリケーション・サーバ110のうちの特定の1つは、データ・サービスをデータ処理装置102に提供するように構成される。特定のサービスは、電子コンテンツ情報に関し、階層型コーディング・スキームでエンコードされるデータとして提供される。
階層型コーディング・スキームでデリバリすることができる電子コンテンツ情報の例はビデオ映像である。階層型ビデオ・コーディング・スキームにおいては、ビデオ情報は複数のレイヤ、即ちベース・レイヤに1またはそれ以上のレイヤを加えたレイヤでエンコードされる。ビデオ情報がレンダリングされると、1またはそれ以上の強化レイヤはベース・レイヤと統合することができ、レンダリングのみしたベース・レイヤに関連して、ビデオ映像もしくはフレーム・レートの解像度を増やし、および/またはエンド・ユーザが知覚する画像品質を改良する。このことは、同一のビデオ映像が、データ処理能力およびパフォーマンスの点で異なるデータ処理システムによってデコードされることを可能にする。階層型ビデオ・コーディングは、更に、異なるスクリーン・サイズのディスプレイ・モニタ上に同一のビデオ映像を表示することを可能にする。階層型ビデオ・コーディングは、また、動的に変化する異なるネットワーク条件、例えば、利用可能な帯域幅またはワイヤレス・ネットワーク上のインターフェイスの下において、ビデオ・サービスを提供することを可能にする。例えば、ベース・レイヤを、データ接続を介してデリバリされるのを保証する保護レイヤとすることができる。このことは、例えば、UDP(ユーザ・データグラム・プロトコル)を介して起動するRTP(リアルタイム転送プロトコル)といった、ビデオ・データのベース・レイヤをデリバリする適切なデリバリ・プロトコルを用いることによって実現される。ビデオ・データの強化レイヤは、「なくても構わない」(nice-to-have)が、ビデオ映像のレンダリングには通常クリティカルなものではなく、ベスト・エフォートに基づいた他の通信プロトコルを用いて供給することができる。
動作において使用する際、システム100は、例えば、セッション/アプリケーション・サーバ110、および/またはアクセス・ノード106において、後者の場合はトラフィック・モニタリングの結果として、現在データ処理装置102に提供されているデータ・サービスについて利用可能な情報を有する。
本発明の一実施形態においては、ポリシ制御サーバ108はこの情報をアクセス・ノード106から、若しくはセッション/アプリケーション・サーバ110から、またはこの両方から入手する。ポリシ制御サーバ108は、この情報を使用して、複数のセッション/アプリケーション・サーバ110のうちの特定の1つからのデリバリ経路における特定の位置でネットワーク・リソースを管理する方法を決定し、特定の1つは階層型コーディング・スキームでエンコードされたデータとしての電子コンテンツ情報を、1またはそれ以上のエンド・ユーザのデータ処理装置に提供する。ポリシ制御サーバ108は、これらネットワーク・リソースの管理方法を、予め決められたまたは自動的に生成した、単一のエンド・ユーザ用または多数のエンド・ユーザ用のポリシを適用することによって決定し、コーディング・レイヤへの動的な帯域幅の割り当てを提供する。ネットワーク・リソースの管理は、ネットワークの位置についてアップストリームのデータ・デリバリ経路の部分で行われ、そこは十分でない帯域幅が利用可能な部分、即ち、ネットワーク・ボトルネックである。
システム100の動作について、ビデオ映像といった階層型コンテンツ情報を分配する例と共に説明する。データ接続104を用いたデータ・サービスのあらゆる変更は、ビデオ映像の分配に用いられるレイヤ数を調整するための理由をなり得る。例えば、データ処理装置102が2つのビデオ・ストリームを処理しており、データ処理装置102のエンド・ユーザがこれを単一のビデオ・ストリーム処理に切り戻すとすると、以前にビデオ・ストリームで使用され、現在スイッチ・オフした量の帯域幅が利用可能となる。残ったビデオ・ストリームは、それ故、より多くの帯域幅を利用することができる。その結果として、残ったビデオ・ストリームについての強化レイヤの数はより高品質なものに増やすことができる。
別の例として、データ処理装置102がビデオ・ストリームを処理しており、当該データ処理装置102のユーザがデータ接続104を通じて電話を受けると想定する。ビデオ・ストリームの1またはそれ以上の強化レイヤは、電話用の帯域幅を解放するために(一時的に)欠落される。
別の例として、データ処理装置102がビデオ・ストリームを処理しており、当該データ処理装置102のユーザがデータ接続104を介して電子ファイルのダウンロードを始めたことを想定する。このダウンロードは、例えば、アクセス・ノード106において、1またはそれ以上の強化レイヤのどれがダウンロードをスピードアップするために欠落することができるかに応じて、検出することができる。
更に別の例では、データ処理装置102内の複数のデバイスは、例えば、当該デバイスが同一のIPTVチャネルに合わせられてきて、同一のビデオ映像を消費するとしたとき、この特定のビデオ映像が、同時に、デバイスのうちの異なったものに送信される異なったビデオ映像のうちの各1つよりも多い強化レイヤを含むことができる。
ネットワーク・デバイスを管理する方法を決定できるようにするために、ポリシ制御サーバ108は、例えば、データ処理装置102に利用可能な帯域幅といったデータ処理装置102に現在提供されているサービスの種類
について知らされる必要があり、このサービス種類は、サービス記述、サービスによって必要とされる帯域幅の特性、階層型コーディング・スキームにおいて利用可能なコンテンツ情報のデリバリを含むセッションのスケーリング、レイヤ特性のコーディング、コンテンツ情報を受信する受信器の数、などを含む。
基準(criterion)「データ処理装置102に利用可能な帯域幅」について、これは、データ処理手段102に利用可能な総帯域幅、または、特定のデータ・リンク上のみ、例えば特定の仮想LAN(VLAN)上のみでデータ処理装置102に利用可能な帯域幅ということになろう。データ処理装置102に利用可能な帯域幅は様々な方法で決定することができる。例えば、利用可能な帯域幅は、アクセス・ノード106で測定することができる。別の例では、利用可能な帯域幅は、データ処理装置それ自体、例えば、ホーム・ネットワークで測定することができる。ポリシ・サーバ108はこの情報を、例えばSNMP(IETF RFC 1441およびRFC 2571)を用いて住居用ゲートウェイに問い合わせることにより、またはTR−069(DSLフォーラム)で情報を抽出することにより入手することができる。頭文字「SNMP」は、「シンプル・ネットワーク・マネジメント・プロトコル」(Simple Network Management Protocol)の略であり、ネットワーク・デバイスの監視、設定、および管理をするためのプロトコルのセットである。頭文字「IETF」は、「インターネット・エンジニアリング・タスク・フォース」(Internet Engineering Task Force)の略であり、インターネット標準を発達させ促進する組織のことである。頭文字「RFC」は、「リクエスト・フォー・コメント」(Request for Comments)の略であり、IETFによって発行される覚書のことである。「TR−069」が示すのは、「テクニカル・リポート069」(Technical Report 069)を表すものであり、ブロードバンド・フォーラムの技術仕様である。TR−069は、エンド・ユーザ・デバイスの遠隔管理についてのアプリケーション・レイヤのプロトコルを規定する。更なる他の例では、利用可能な帯域幅は、特定のVLANについての予約帯域幅からデータ処理装置102に提供される全てのサービスに用いられる帯域幅を差し引いたものに基づいて決定する。帯域幅の計量は、SNMP(IETF RFC 1441およびRFC 2571)またはTR−069(放送フォーラム・ルールTR−69)のようなプロトコルを介して問い合わせまたはポーリングすることができる。
基準「データ処理装置102に現在提供されているサービスの種類」について、この情報は、セッション記述メッセージにおける、例えば、IMSベース・ネットワークのSIPを用いて、またはIPTVネットワーク内のRTSP(リアル・タイム・ストリーミング・プロトコル)を用いて、セッション・セットアップの間およびセッション・ネゴシエーションの間に抽出することができる。これらのプロトコルを用いて、SDP(RFC 2327)といったセッション記述メッセージをデリバリすることができる。これらのメッセージは、トランスポート・プロトコル、ネットワーク・アドレッシング、オーディオおよびビデオ映像の使用フォーマット、帯域幅要件、などに関連する、(マルチメディア)セションについてのメタ情報を収容する。
基準「サービスにより要求される帯域幅の特性」について、この情報は、セッション・ネゴシエーションの間、SDP記述を介して交換することができる。頭文字「SDP」は、「セッション記述プロトコル」の略であり、ストリーミング・メディアについてASCII文字列での開始パラメータを記述するフォーマットのことをいう。SDPは、セッション・アナウンス、セッション招待、およびパラメータ・ネゴシエーションの目的のためのマルチメディア(通信)セッションを記述する。代替的には、サービス・プロバイダによって予め決め、または予め構成することができる。例えば、IPTVサービス・プロバイダはIPTV放送のTVに用いられる帯域幅を規定する。サービス・プロバイダは、帯域幅の要件を、彼/彼女がIPTVエンコーダの制御をしている、または彼/彼女がTVストリームを提供するパーティ・コンテンツ・プロバイダと構成したような、要件として認識する。
基準「階層型コーディング・スキームで利用可能なコンテンツ情報のデリバリを含んだセッションのスケーリング」について、コンテンツ情報のプロバイダ、例えばIPTVプロバイダが、階層型コーディング・スキームでコンテンツ情報をエンコードしてきた。当該コンテンツ・プロバイダは、それ故、一方では用いられる強化レイヤの数と、他方ではレンダリングされる際のコンテンツ情報の知覚品質との間の関係についての情報を有する。
基準「コーディング・レイヤ特性」について、クライアント(ここでは、データ処理装置102)およびサーバ(ここでは、階層型コーディング・スキームでエンコードされたコンテンツ情報を供給するサーバ110のうちの特定の1つ)が、ネゴシエーションの間のセッション・パラメータを決定する。パラメータはレイヤ数、および、レイヤを分配するのに用いられるマルチキャスト・アドレスまたはユニキャスト・アドレスを含む。例えば、IETFから発行されたインターネット・ドラフトである、「SVCビデオのためのRTPペイロード・フォーマット」(RTP Payload Format for SVC Video)、draft-ietf-avt-rtp-svc-18.txt、編集者S.Wenger等、2009年3月6日は、RTPを用いたSVCビデオを分配する様々な方法について明記する。第1の方法は、別個のストリームとして複数のレイヤを送信するステップを含む。複数のレイヤのそれぞれ1つずつは、次いで、それぞれのマルチキャスト・アドレスを用いて送信され、またはユニキャスト・デリバリが、各ユニキャスト・アドレスおよび/もしくは各ポート番号を用いて送信される。第2の分配の方法は、データ・ストリームの結合としてレイヤを送信するステップを含む。異なるSVCレイヤが単一のRTPストリームとして送信される。ネットワーク抽象化レイヤ(NAL)の識別子は、特定のSVCレイヤを決定し、これにRTPパケット・ペイロードが属する。第3の分配方法は、第1の分配方法および第2の分配方法の組み合わせを含む。
基準「コンテンツ情報の使用」について、当該使用は、セッション・セットアップを分析する手段により決定することができる。セッション・セットアップは、データ処理装置102と、階層型コーディング・スキームでエンコードされるデータとしてのコンテンツ情報を供給する複数のサーバ110のうちの特定の1つとの間のメッセージ交換を起こす。例えば、IPTVの場合のシナリオを考慮する。SIPメッセージおよび/またはRTSPメッセージは、要求されたTVチャネルについての情報を収容する。IGMPグループ結合メッセージは、TVチャネルに変換することができる。ホスト、例えばデータ処理装置102がマルチキャスト・グループに供給されるエンコードされたコンテンツ情報を受信するためにマルチキャスト・グループを結合すると意図したときに、IGMPグループ結合メッセージが、そのホストによって送られる。代替として、コンテンツ情報の使用は、データ・ネットワーク・トラフィックをスヌープする手段によって決定することができる。エンコードされたコンテンツ情報の使用を決定する更なる他の方法は、データ・ネットワーク管理を分析することである。例えば、サービス・プロバイダは特定のSTB、例えば、データ処理装置102のログ情報を、データ・ネットワークの管理目的のためにコア・ネットワークに転送することができる。視聴されるTVチャネルは、このログ情報に基づいて決定することができる。上記用いられた頭文字「IGMP」は、「インターネット・グループ・マネジメント・プロトコル」(Internet Group Management Protocol)の略であり、インターネット・プロトコル・マルチキャスト・グループのメンバシップを管理する通信プロトコルのことである。IGMPは、IPマルチキャスト仕様についての必須部分であり、IPホストおよび隣接するマルチキャスト・ルータによって用いられ、マルチキャスト・グループのメンバシップを生成する。明確のために、IPバージョン6(IPv6)において、ネットワーク・マルチキャストのメンバシップ要求はIGMPでは扱われない。その替わり、マルチキャスト・リスナ発見(MLD)プロトコル(IETF RFC 2710)またはMLDプロトコル・バージョン2(RFC 3810およびRFC4604)が用いられている。MLDの用語において、マルチキャスト・グループ結合メッセージは、「マルチキャスト・リスナ・レポート」と呼ばれる。
上記の基準(criterion)に基づいて、ポリシ制御サーバ108は、データ処理装置102へのデータ接続104における帯域幅の消費に含まれるネットワーク・リソースを管理するポリシを決定する。このポリシは、施行されて、効果を生じる。本発明においては、ポリシ施行は、エンコードされたコンテンツ情報の特定の強化レイヤのデータを収容するデータ・パケットを制御可能に欠落または通過させるのに用いられる。決定したポリシは、分散ネットワーク内の異なる位置において施行することができる。
一例として、ポリシは、データ処理装置102におけるホーム・ネットワークの住居用ゲートウェイで施行される。当該住居用ゲートウェイはアップリンク方向で階層型コンテンツ情報を管理する。通例の例では、アップリンク・リソースがまばらであるときには、多数ユーザに(アプリケーション・サーバへの)インターネットに対してSVCビデオをブロードキャストすることを可能にする。
別の例として、ポリシはアクセス・ノード106で施行される。この手法は、シナリオが実行可能であり、階層型コンテンツ情報は、その間にデータ処理装置102がある異なる多数の家庭におけるデータ処理装置の多数の部品(piece)用として予定され、同一のデータ接続104を共有する。例えば、多数の家庭がデータ接続104(例えばDOCSISネットワークにおけるような)の帯域幅を共有する。同一の手法が別のシナリオで実行可能であり、階層型コンテンツ情報が1つの家庭で多数ユーザ用として予定され、即ち、多数ユーザが同時にデータ処理装置を利用する。データ接続104の帯域幅は、次いで、同一のデータ処理装置102、例えばホーム・ネットワークの多数ユーザ間で共有される。
さらに別の例として、ポリシはネットワーク・ノード、例えば、ルータ(図示せず)において施行される。当該ネットワーク・ノードは、次いで、その間にアクセス・ノード106がある多数アクセス・ノード用として、または多数家庭用もしくは多数エンド・ユーザ用途して予定された階層型コンテンツ情報を管理するように構成される。例えば、多数アクセス・ノード用として予定される階層型コンテンツ情報の管理は、マルチキャストIPTVチャネルの分配のためにコア・ネットワークの使用を最適化することを含む。
図2は、本発明のシステム200についての第2のブロック図であり、多数家庭または多数ユーザが帯域幅を共有するシナリオについて説明する。システム200は、図1を参照して上述したようなシステム100のコンポーネントを備えている。即ち、データ処理装置102、データ接続104、アクセス・ノード106、ならびにポリシ制御サーバ108およびセッション/アプリケーション・サーバ110である。当該システム200は、また、1またはそれ以上の個数の更なるデータ処理装置を有している、例えば、データ処理装置202である。データ接続104はデータ処理装置102をデータ・リンク204およびアクセス・ネットワーク206を介してアクセス・ノード106に結合し、データ・リンク208、およびデータ処理装置202をアクセス・ネットワーク206を介してアクセス・ノードに結合するように実施される。
ケーブル・インフラストラクチャ(例えばDOCSIS)や多くのワイヤレス・システム(GSM/UMTS,WiFi,WiMax,LTE,DVB−Hなど)といったアクセス・ネットワークにおいて帯域幅の共有が発生する。頭文字「WiMax」は、「マイクロウェイブ・アクセスについてのワールドワイドな相互運用」(Worldwide Interoperability for Microwave access)の略であり、ポイント・ツー・マルチポイント・リンクからポータブルで十分なモバイル・インターネット・アクセスへのワイヤレス・データ伝送を表すIEEE802.16に基づく技術のことである。頭文字「LTE」は「長期間エボリューション」(Long Term Evolution)の略であり、UMTS(第3世代技術)に続く第4世代モバイル・ブロードバンド規格のことである。頭文字「DVB−H」は、「デジタル・ビデオ・ブロードキャスティング・ハンドヘルド」(Digital Video Broadcasting-Handheld)の略であり、モバイルTVフォーマット規格のことである。
システム200の動作を次の例と共に説明する。多数のユーザが、マルチキャストによりデリバリされる同一のTVチャネル上の同一の番組を視聴するという、IPTVマルチキャスト・サービスについて考慮する。ユーザは、同一のTVチャネルについて個々のストリームを個別に受信することはしない。しかしながら、ストリームは共有アクセス・ネットワーク206上に一度だけおかれる。多数ユーザが第1のTVチャネルの同一の番組を視聴し、他の1ユーザは第2のTVチャネルの別の番組を視聴するというシナリオについて考慮する。当該多数ユーザおよび当該他のユーザの組み合わせからなるグループで知覚されるTVサービスの平均品質を最大化するために、第1TVチャネル上の番組は第2TVチャネル上の番組よりもより多くのレイヤでデリバリする。即ち、第1の番組のマルチキャスト・デリバリに割り当てられるのは、第2番組のデリバリに割り当てられる帯域幅よりも高い帯域幅である。
コンテンツ情報、例えばビデオ・ストリームについての実際のスケーリングは、強化レイヤを追加し、または強化レイヤを削除することで実行される。レイヤは、1またはそれ以上の上述した基準(criterion)に基づくポリシ制御下において、ファイアウォール機構またはゲーティング機構を動作することにより欠落させることができ、その結果、どの強化レイヤを欠落させるべきかを判定する。ファイアウォール機構またはゲーティング機構は、強化レイヤが追加される際に非活性化される。
当該スケーリングは、データを移送するのに用いる機構に従って様々な方法により実施することができる。
例えば、1またはそれ以上のレイヤが、各個別のRTP毎の各個別のレイヤごとに移送される。異なるマルチキャスト・アドレスがレイヤ毎に用いられる。ユニキャストの場合、ストリームは異なる発信元ポート番号からのものと異なる送信先ポート番号のものとの両方がある。適切にストリームを処理するために、受け取るクライアントは、レイヤのうちのどの1つがストリームのうちどの1つに収容されているかについて知らされるべきである。この情報は例えばSAPアナウンスにおいて提供される。頭文字「SAP」は、「セッション・アナウンス・プロトコル」(Session Announcement Protocol)の略であり、マルチキャスト・セッション情報をブロードキャストするコンピュータ・プロトコルのことである。代替的に、どのストリームをどのレイヤが収容しているかについての情報が、クライアントとサーバとの間のセッション・ネゴシエーションで提供される。
スケーリングを実施する別の例として、1またはそれ以上のレイヤが移送され、個々のネットワーク抽象化レイヤ(NAL)ごとの各個々のレイヤは、H.264/AVCビデオ・コーディング規格で用いられる。NALは次いで、単一のRTPストリーム内の異なるメディアを移送するために、RTPで利用可能なコンテナについて考慮される。各NALはそれ自身の識別子を有しており、それはRTPヘッダの部分である。
図3は、図2を参照して上述したシステム200の図であり、本発明の機能的な態様を説明する。上述したように、データ処理装置102およびデータ処理装置202がコンテンツ情報を受信し、当該コンテンツ情報は階層型コーディング・スキームでエンコードしたようにセッション/アプリケーション・サーバ110において利用可能である。ポリシ制御機能302およびポリシ施行機能304は、一方ではセッション/アプリケーション・サーバ110と、他方ではデータ処理装置102およびデータ処理装置202の間で実施される。
ポリシ制御機能302についてはシステム100および200のポリシ制御サーバ108を参照して上述してきた。
セッション/アプリケーション・サーバ110からデータ処理装置102およびデータ処理装置202へのコンテンツ情報データのフローは、ポリシ施行機能304の対象となる。ポリシ施行機能304は、ポリシ制御機能302で決定されたポリシを施行する。ポリシの施行は、例えば、特定の強化レイヤのデータを含むデータ・パケットを選択的に欠落させる、または転送させることにより、エンコードされたコンテンツ情報の1またはそれ以上の強化レイヤを選択的に通過させる、または選択的に停止することになる。セッション/アプリケーション・サーバ110からのコンテンツ情報データのフローは、セッション/アプリケーション・サーバ110とポリシ施行機能304との間の矢印308によって示されている。データ処理装置102へのコンテンツ情報のフローは、ポリシ施行機能304とデータ処理装置102との間の矢印310によって示されており、また、データ処理装置201へのコンテンツ情報のフロー(必ずしも、データ処理装置102へのコンテンツ情報のフローと同一であるとは限らない)については、ポリシ施行機能304とデータ処理装置202との間の矢印312によって示されている。セッション/アプリケーション・サーバ110からデータ処理装置102、およびデータ処理装置202へのデータ・フローは、ポリシ施行機能304の対象となる。矢印314、316および318によって示される信号経路は、セッションをセットアップするのにかかわる通信経路であり、データ処理装置102およびデータ処理装置202が、セッション/アプリケーション・サーバ110から利用可能なコンテンツ情報を受信するのを可能にする。矢印314は、データ処理装置102とポリシ施行機能304とを繋ぐ。矢印316は、データ処理装置202とポリシ施行機能304とを繋ぐ。矢印318は、ポリシ施行機能とセッション/アプリケーション・サーバとを繋ぐ。矢印320および322で示される信号経路は、適用される関連するポリシを決定し、決定されたポリシの施行を制御するのにかかわる通信経路である。矢印320はセッション/アプリケーション・サーバ110とポリシ制御機能302とを繋ぐ。矢印322は、ポリシ制御機能302とポリシ施行機能304とを繋ぐ。
ポリシ施行機能304の実施例は上述してきたとおりである。
本発明は、特に、管理データ・ネットワーク、例えばポリシ制御やアドミッション制御を有するデータ・ネットワークに適用可能である。本発明の第1の実施例は、以下に説明するように、IPTVコンテキストのIMSアーキテクチャについてQoSインフラストラクチャにおいて標準化されたポリシおよびチャージング制御(PCC)を用いた動的なレイヤ認(layer-aware)帯域幅管理を説明する。本発明の第2の実施例は、以下に説明するように、またIPTVコンテキストのアクセス・ノード106におけるRTSPスヌーピングに基づいた、動的なレイヤ認知帯域幅管理について説明する。アクセス・ノード106におけるRSTPスヌーピングの替わり、またはこれに加えて、RTSPプロキシを用いることができる。そして、ユーザは、IPTVサーバに直接接続するだけでなく、RTSPプロキシを介して間接的に接続する。「スヌーピング」との用語は、特定のネットワーク・メッセージを捕獲する目的で、および(任意で)メッセージを発信先への手順を防止する目的で、特定のネットワーク・トラフィック向けにリスンするプロセスのことである。スヌーピングは、発信元と発信先の間のネットワーク・ノードが、例えば発信元と発信先の間のデータ・トラフィック・フローに介在する必要がある場合に用いられ、(例えば、RTSP用の)ネットワーク・メッセージのコンテンツを変更し、または(例えば、IGMP用の)冗長プロトコル・メッセージの伝送を防止する。IMSアーキテクチャのPCCを用いた第1の実施例については、次の仕様書が参照される。即ち、第1の仕様書として「ETSI TS 182027 TISPAN IPTV Architecture:IPTV functions supported by the IMSサブシステム」、バージョンv2.0.0 (IMSベースIPTVリリース2)、第2の仕様書として「3GPP TS 23.203 Policy and Charging Control architecture」,バージョンv9.0.0である。上記第1の仕様書は、図1のデータ処理装置102といったエンド・ユーザの装置がビデオ・ストリームを要求し、終了することができるかについて説明している。上記第2の仕様書は、QoSがどのように管理されるかについて説明している。QoSの管理はまた、「ポリシ・ベース・マネジメント」と称され、ポリシ制御(どのアクションを取るべきかについての決定)およびポリシ施行(その決定にしたがってアクションする)からなる。上記第2仕様書はリソースおよびアドミッション制御サブシステム(RACS)についての別の仕様書と非常に類似している。即ち、「ETSI ES 282003 TISPAN Resource and Admission Contorl Subsystem」、バージョンv2.0.0である。
(IMSアーキテクチャのPCCを用いた)第1の実施例をこれから説説明する。次のシナリオを考慮する。即ち、家庭内の第1の人物が第1のビデオ・ストリームとして受信する第1のビデオ映像の視聴を開始する。その後、家庭内の第2の人物が第2のビデオ・ストリームとして受信する第1のビデオ映像の視聴を開始する。しばらくした後に、第1人物が第1ビデオ映像の視聴を止める。技術的には、後続のプロセスは実行される。第1の人物が第1のビデオ映像の視聴を開始する。第1のビデオ・ストリームは階層型コーディング・スキームでエンコードされたビデオ・データを含む。利用可能な帯域幅は十分にあり、全てのレイヤ(ベース・レイヤおよび1またはそれ以上の強化レイヤ)は第1人物が知覚する最大品質のために用いられる。次いで、第2人物が第2ビデオ映像の視聴を開始する。第2ビデオ・ストリームについての帯域幅を解放するために、第1ビデオ・ストリームの1またはそれ以上の強化レイヤが遮断され、その結果として、第1ビデオ映像の品質が低下する。しばらくした後に、第1人物が第1ビデオ映像の視聴を止める。第1ビデオ・ストリームによって使用されえた帯域幅が利用可能になる。第2ビデオ映像の品質は、第2ビデオの1またはそれ以上の強化レイヤを追加することによって、向上する。
図4は、公知のQoS管理システム400の一部分のみを示すブロック図であり、IMSアーキテクチャのPCCを用いる本発明の第1の実施例を説明する。QoS管理システム400は、次のコンポーネントを有する。即ち、SIPメッセージを取り扱い、実際にIMSコアの一部を形成するアプリケーション機能(AF)402、「ポリシおよびチャージング・ルール機能」(PCRF)と称され、QoS管理で決定されるルールを収容するポリシ制御機能であるエンティティ404、エンド・ユーザについての1またはそれ以上のあるプロファイルに関連し、QoS管理で決定するのに用いられる任意のユーザ特定ルールまたはユーザ特定情報を含む、ユーザ・プロファイルを収容する加入プロファイル・レポジトリ(SPR)406、PCRF404により決定されるQoSポリシを実行する、ポリシおよびチャージング施行機能(PCEF)408である。PCRF404は、SPR406、AF402、PCRF408に機能的に接続される。
帯域幅管理に関するQoSポリシは、あるセッションについてある量の帯域幅の許可に基づくルールを含み、また、データ・パケットについてあるストリームを完全に可能にまたは不能にするいわゆるゲーティング機能を含む。データ・パケットのストリームを識別できるために、IPパケットについてのラべルとしていわゆる5タプルを用いることができる。あるIPデータ・パケットについての5タプルは、次のものからなる。即ち、データ・パケットの発生源についてのIPアドレス(「ソースIPアドレス」ともいう。)、データ・パケットの発生源についてのポート番号(「ソース・ポート」ともいう。)、データ・パケットの発信先についてのIPアドレス(「宛先IPアドレス」ともいう。)、データ・パケットの発信先についてのポート番号(「宛先ポート」ともいう。)、および用いられるアプリケーション・プロトコルの識別情報である。代替としては、データ・ストリームを識別するために、ディープ・パケット検査(deep-packet inspection)をPCEF408においてデータ・パケットに適用することができる。これは、より素晴らしく獲得された(fine-gained)制御を可能にする。PCEF408はデータ・パケットを解析して、アプリケーション・プロトコルの詳細を決定する。この手法の一例はRTPの詳細を参照し、エンコードされたレイヤに対して情報を提供することができる。
図5は、図2のシステム200の構成要素および図4の公知のQoS管理システム400の構成要素を組み合わせたシステム500についての別のブロック図である。第1のデータ処理装置102および第2のデータ処理装置202は、データ接続104(図示せず)を共有する。これらは同一の家庭に属しているからである。第1のデータ処理装置102および第2のデータ処理装置202のそれぞれは、IMSシステムのコア502に接続されている。第1のデータ処理装置102および第2のデータ処理装置202は、SIPメッセージを、コアIMS502を用いて交換する。SIPメッセージは、また、コアIMS502とメディア制御機能(MCF)502との間で交換される。実際のメディア(ここでは、ビデオ映像)データは、メディア・デリバリ機能(MDF)506によって、PCEF408を介して第1のデータ処理装置102と第2のデータ処理装置202へ、メディア・データ・パケットを運搬するためのRTPを用いてデリバリされる。MCF504とMDF506はメディア機能(MF)508のエレメントである。当該MF508は、IPTV環境の一部であり、IPTVおよびVoIPストリーミング・サービスを提供する。IPTVサービス機能は、IPマルチキャストおよび/またはユニキャストを通じてライブTVストリーミング、並びにIPユニキャストを通じてデリバリされる遠隔ビデオ・レコーディングおよびVoDをサポートする。MCF504はMDF506を制御する。MCF504はセッション制御およびメディア制御を統合する。セッション制御はSIP IPTVセッションを(SIPインバイト、リファーを介して)セットアップし、メディア制御は対応するメディア・デリバリ機能またはメディア・ストリームのデリバリを実行するメディア格納機能を選択する。コアIMS502はPCRF404にダイアミタ・プロトコルを用いて接続される。当該ダイアミタ・プロトコルは、認証・許可・アカウントについてのコンピュータ・ネットワーキング・プロトコルであり、IETF RFC 3588規格によって規定されている。PCRF404は、ダイアミタ・プロトコルを同様に用いて、SPR406およびPCEF408に接続される。より詳細な背景技術、および実施の詳細については、上記第1仕様書および第2仕様書を参照されたい。
図6は、第1のシグナリング図600であり、第1データ処理装置102に関するメディア制御およびメディア・デリバリにかかわるシステム500におけるメッセージ・フローについて説明している。ETSI TS 182027によれば、第1データ処理装置102はネットワークに接続され、IMSサービス・プロバイダに登録されていることを想定する。また、第2データ処理装置202は非アクティブであり、即ち第2処理装置202は共有した接続の帯域幅を消費していないと想定する。第1のシグナリング図600においては、第1のデータ処理装置102は略語「DPE1」で示されている。
第1の人物は第1データ処理装置102を用いており、ブロードキャスト・セッションを要求する。ステップ602で、DPE1 102はセッション開始要求をコアIMS502に送る。ステップ604で、コアIMS502が当該セッション開始要求を適切なMF508に転送する。ステップ606で、MF508は、用いられるコーデックといったメディアに関する詳細を収容するメディア・オファーをコアIMS502に送る。コアIMS502は、このメディア・オファーに基づいて、ネットワークからリソースを要求する。ステップ608で、コアIMS502は、それ故、リソース要求メッセージをPCRF404に送る。ステップ610で、PCRF404はユーザ・プロファイルをSPR406から要求し、ステップ612でこの要求を受信する。受信したプロファイルに基づいて、PCRF404は要求リソースに関する決定をすることができる。この場合、PCRF404は要求を認めることを決定する。ステップ614で、PCRF404はリソース要求をPCEF408に送る。ステップ616で、PCEF408はリソースの割り当てをPCRF404に確認する。ステップ618で、PCRF404は当該リソース割り当てをコアIMS502に対して確認する。リソースの割り当ての後に、ステップ620でメディア供給がDPE1 102に送られる。DPE1 102は適切なフォーマットを選択し、ステップ622および624で、メディア回答を、コアIMS502を介してMF508に送る。この後に、MF508は、ステップ626および628で、コアIMS502を介してDPE1に対し、セッションが確立したことを、セッション開始応答を用いて確認する。次に、メディア制御およびデリバリがDPE1 102およびMF508との間で、例えば、メディア制御用にリアル・タイム・ストリーミング・プロトコル(RTSP)を(IETF RFC 2326参照のこと)、およびメディア・デリバリ用にRTPプロトコルを(IETF RFC 3550)用いて行うことができる。マルチIPTVストリームに対しては、通常メディア制御は、ストリームの開始および当該ストリームの停止に対して制限する。これには、通例、RTSPの替りにIGMPを用いて実施される。メディア制御およびデリバリの局面については、符号630により示されている。
第1のシグナリング図600は、PCRF404toPCEF408との間の通信を、「リソース要求」および「リソース応答」を含むものとして示す。実際には、この通信は、どのポリシ施行が利用可能かに従って様々な方法で実施することができる。このリソース要求およびリソース応答は、通常は、帯域幅の予約と関係する。
上述した例の代替として、ゲーティングを用いることができる。「ゲーティング」という用語は、あるデータ・ストリームを完全にブロッキングする動作のことであり、ファイアウォールで動作する方法と比較される。認識されるあらゆるデータ・ストリームをゲーティングすることができる。階層型コーディング・スキームでエンコードされたビデオ映像に対し、ゲーティングを用いて、特定レイヤのデータ・ストリームをブロックし、他のレイヤのデータ・ストリームに通過させることができる。ゲーティングの処理を制御するために、PCRF404は単一のリソース要求を送るのではなく、その替りに、関連のデータ・ストリームを識別するのに必要な情報を収容するゲーティング要求を送る。別の手法は、PCRF404はPCRF408で予め決められたポリシを使用し、PCRF404は、単に、セットするのに必要とされるポリシを示すポリシ制御メッセージを送るのみである。
上記シナリオで言及したとおり、同一の家庭内の第2の人物が第2のビデオ映像をストリームすることを要求する一方で、第1の人物がそのセッション内でストリームされている第1のビデオ映像を視聴している。当該第1のビデオ映像は、第1のシグナリング図600を参照して説明したメッセージ・フローに従ってセットアップされたものである。しかしながら、この第2のビデオ映像に利用可能な帯域幅はもはや十分ではない。例えば、第1ビデオ映像のストリーミングは6Mbpsを占める一方で、利用可能な帯域幅全体は10Mbpsに制限される。
この点について、コアIMS502内のどこか、例えば、IMSアプリケーション・サーバ(図示せず)において解決するとも考えられよう。1つの手法は次のとおりである。第2ビデオ映像に対する要求が最初に拒否される。この後、メディア供給についての再ネゴシエーションが第1ビデオ映像について必要になる。この後に第2ビデオ映像についての再ネゴシエーションが行われる。これは非常に複雑な処理であり、多量のシグナリング・メッセージが必要とされる。IETF RFC 3725仕様は、これについてのガイドラインとして提供されるいくつかのメッセージ・フローを与えている。第2のユーザのデータ処理装置202について、セッション・セットアップ処理が用いられ、これは第1のユーザのデータ処理装置102に対するものと同一である。第2メディア・ストリームに利用可能な帯域幅は十分にはないため、データ処理装置102に対するメディア・ストリームは調整する必要がある。PCRF404は、いくらかの帯域幅を提供する必要がある第1データ処理システム102に供給されるメディアを決定し、コアIMS502に通知する。コアIMS502は、第1データ処理装置102のセッションを、MF508、第1データ処理装置102、およびPCRF404にメッセージを送ることにより修正する。その結果、PCRF404およびPCEF408が実際にリソースを修正する。
継続しているセッションの帯域幅をダウンスケールするこの方法には欠点がある。第1の欠点は、ネットワークを介して送られる多くのシグナリング・メッセージを必要とする点で、この方法はネットワーク効率がよくないということである。第2の欠点は、システム全体にまたがる多くのコンポーネントがこの継続セッションの修正に巻き込まれ、これらコンポーネントのそれぞれがこの特定のダウンスケールする方法をサポートすることができる必要があるという点である。第3の欠点は、上記方法を用いてダウンスケールするのを完了するのに幾分時間がかかるということである。シグナリング・メッセージはネットワークにわたり行き来するため、第2のデータ処理装置202についてセッション・セットアップする間遅延を生じさせる。関係するシグナリング・メッセージの数は、第1データ処理装置102に関して上述したとおり、正規のセッション・セットアップに必要とされる数に比べてほぼ倍である。第2のユーザにより知覚されるメディア・サービスの応答性は、第1のユーザが経験した応答性よりはるかに悪いものとなることになる。この文脈において、TVチャネルを素早くスイッチする(即ち、ザッピングする)ユーザのことを考慮すると、ユーザがザッピングしている間のTVサービスの遅い反応性は、ユーザが欠点として知覚するものである。
図7は、第2のシグナリング図700であり、第1データ処理装置102が既に第1のビデオ映像の受信にかかわっているときに、第2のビデオ映像を要求する第2のデータ処理装置202について、メディア制御およびメディア・デリバリにかかわるシステム500でのメッセージのフローに関する発明を説明している。第2シグナリング図700において、第2データ処理装置202は略語「DPE2」で示している。
第2シグナリング図700は、DPE2 202で実行されまたは代表される、ステップ702、704、706、708、710および712を含む。ステップ702−712は、DPE1 102で実行されまたは代表される、第1シグナリング図600のステップ602−612に対応する。即ち、DPE2 202に向けられるメッセージ・フローはDPE1 102に向けられるものと一致する同じものであり、そしてステップ712を含む。その局面の過程では、PCRF404がリソースの割り当てについて決定する必要があり、PCRF404は、DPE2 202からの要求をまた引き受けるのに、利用可能な帯域幅が十分でないと判断する。PCRF404は、次いで、DPE1 102に割り当てられた量の帯域幅を低減し、要求されたものより少ない量の帯域幅をDPE202 2に割り当てることを決定する。
メディア・ストリームは階層型コーディング・スキームでエンコードされるビデオ映像からなり、1またはそれ以上の強化レイヤを欠落させることで帯域幅を低減する。PCEF408は、そのゲーティング機能を用いて、PCRF404で示したような1またはそれ以上の強化レイヤのブロックを行う。例示のシナリオにおいて、DPE202に割り当てられる帯域幅は最大6Mbpsから5Mbpsに低減されることになり、DPE2 202に割り当てられる帯域幅が5Mbpsということになる。
DPE1 102に対するサービスにおける帯域幅の再調整は、ステップ712の後に実施されるステップ703および705で実現される。ステップ703で、PCRF404は、リソース修正メッセージをPCEF408に対して命令と共にPCEF408に送り、現在DPE1 102に割り当てられている量の帯域幅を再調整する。修正メッセージは、DPE1 102にデリバリされる第1ビデオ映像でブロックする強化レイヤを認識するために必要となる情報を収容する。これを本明細書ではリソース修正(resource modification)と呼ぶが、PCEF408に対する新たなポリシ制御命令または新たなゲーティング命令と呼んでもよい。上記第1の図600の説明を参照されたい。ステップ705で、PCEF408はPCRF404に対して、リソース修正が実行されたことを確認する。PCRFで取られるこのアクションの結果は、以前よりより少ないレイヤのビデオ・データを受信することである。この結果、第1ユーザは品質低下を経験することになる。このステージについては、符号707により示され、以下に説明するとおり、ステップ705とステップ714の間に描かれる。DPE2 202について、リソース修正要求の部分が更なる命令を含み、DPE2 202によって要求される第2ビデオ・ストリーム内の特定の強化レイヤをブロックする。なお、DPE1はこの過程では動作可能に関係していない。
第2のシグナリング図700におけるステップ714、716、718、720、722、724、726および728は、第1のシグナリング図600のステップ614、616、618、620、622、624、626および628に対応しており、DPE2 202によって実行されまたは代表される。このため、ここでは更なる詳細は説明しない。ステップ726および728で、MF508は、セッション開始応答を用いて、コアIMS502を介してDPE2 202に対し、セッションが確立されたかを確認する。この後に、ステージ730に到達し、DPE2 202へのメディアの制御およびデリバリが発生する。
図8は、第3のシグナリング図800であり、第1ユーザが自身のDPE1 102を電源オフした場合に、メディア制御およびメディア・デリバリにかかわるシステム500におけるメッセージのフローに関する発明を説明している。ステップ802で、DPE1 102はコアIMS502にセッション終了要求を送る。ステップ804で、コアIMS502がPCRF404へメッセージを送ることにより、リソースを解放する。ステップ806で、PCRF404は、リソース解放メッセージをPCEF408に送る。ステップ808で、PCEF408は、帯域幅の解放についての確認メッセージをPCRF404に送る。その後に、PCRF404は、決定過程を開始する。今やより多い帯域幅が利用可能である。尚、DPE2 202により受信したメディア・ストリームは要求される最大帯域幅未満である。即ち、DPE2 202へのストリームは、現在のところ、階層型コーディング・スキームでエンコードされた第2のビデオ映像利用可能な全ての強化レイヤを用いているわけではない。PCRF404は、適用可能なポリシに基づいて決定を行う。ステップ810で、PCRF404は、PCEF408に対しリソース修正メッセージを用いて命令して、DPE2 202への第2のビデオ映像における特定の強化レイヤのブロッキングを停止させる。PCEF408は、ステップ812で、PCRF404にリソース確認メッセージを送ることにより、このことに従い、および確認する。したがって、第2ビデオ映像の品質は、第2ユーザによって知覚されるように、向上する。次いで、DPE2 202へデリバリされるメディア内のレイヤ数を増加するというステージに到達する。このステージは、ステップ812とステップ814との間に参照番号813で示される。次のステップ814、816、818および820は、DPE1 102のセッションを停止する手順における従来型のステップである。ステップ814で、PCRF404は、コアIMS502に対し、DPE1 102用に予約されたリソースの解放を確認する。ステップ816において、コアIMS502は、DPEI1 102のセッションを終了させる要求をMF508に送る。ステップ812および820において、MF508は、コアIMS502を介してDPE1 102に終了を確認する。
上記図5〜8の説明は、管理ネットワークの例としてIMSネットワークに関するものである。本発明はまた、他の管理ネットワークで提供されるサービスで実施することができる。これにおいては、IMSアーキテクチャに関して説明してものに類似しており、エンド・ユーザは前もって知られている。また、ネットワークを介した通信と同様、ネットワークへのアクセスが制御される。このような他の管理ネットワークも同様に、IMSアーキテクチャに関して説明したものに対応する。即ち、第1の機能は、SPR406に対応し、個々人のアドレス、加入者、ログイン・コード、アクセス権などについての情報といったエンド・ユーザのプロファイルを格納する。第2の機能は、IMSアーキテクチャのPCRF404に対応し、ポリシ制御機能を決定して、QoS管理事項について決定する。第3の機能は、IMSアーキテクチャにおけるPCEF408に対応し、第2機能で決定したポリシを施行する。
上記の説明は、IPTVコンテキストにおけるIMSアーキテクチャのQoSインフラストラクチャでの標準化されたポリシおよびチャージング制御(PCC)を用いた動的な、レイヤ認知の帯域幅管理に関する本発明の第1実施例に関するものである。これから本発明の第2の実施例について説明する。第2の例は、アクセス・ノード106においてスヌーピングするRTSPに基づいて動的に帯域幅を管理する。
図9は、システム900のブロック図であり、RSTPスヌーピングを用い、且つサービス・プロバイダがIPTVストリーミング・セッションを管理する、本発明の第2の実施例を説明する。システム900は、図3で説明したシステム300の変化形であり、対応する特徴について説明を添えている。システム900は、第1データ処理装置102、ここでは第1のSTB、および第2のデータ処理装置202、ここでは第2STBを備え、アクセス・ノード106を介したIPTVサーバ110から共有データ接続104を介してコンテンツ情報を受け取る。一方では第1STB102および第2STB202と他方ではアクセス・ノード106との間のデータ接続104の帯域幅が制限される。システム900の動作は、次のような利用ケースで説明される。即ち、第1STB102の第1ユーザが、彼/彼女のハンドヘルド102を介して彼/彼女の家庭内でTVチャネルの視聴を始める。しばらくした後、第2STB202の第2ユーザが、彼/彼女のハンドヘルド202を介して彼/彼女の家庭内で異なるTVチャネルの視聴を始める。システム900の動作を説明するために、図10のメッセージ・フロー図1000をこれから参照する必要がある。図10は第1メッセージ・フロー図1000であり、システム900の動作を示している。第1ステップ1002で、第1STB102が、アクセス・ノード106を介してRTSP要求を送ることによって、IPTVストリーミング・サーバ110からのIPTVチャネルを要求する。IPTVストリーミング・サーバ110は、ステップ1004で、アクセス・ノード106へのSDP記述を用いてRTSP応答を送信することによって応答する。アクセス・ノード106において、SDP記述を収容するRTSPプロトコル・メッセージはスヌープされ、例えば、ステップ1004でIPTVストリーミング・サーバ110からのRTSP応答がスヌープされる。ステップ1006で、アクセス・ノード106は、スヌープされたメッセージのコンテンツ、例えばSDP記述をポリシ制御機能302に転送し、例えばアクセス・ノード106自身、即ち異なるデバイス内で実施される。ポリシ制御機能302は、セッションをロギングし、そして、データ接続104の帯域幅特性に基づいて、当該ポリシ制御機能302は、十分な帯域幅が利用可能かを判定してストリーミング・セッションをサポートする。したがって、帯域幅を制限するポリシの施行は、必要とされない。この後、ステップ1010で、ポリシ制御機能302は、リソース要求メッセージを送信することによって、要求されたリソースについてポリシ施行機能304に通知する。このメッセージは、例えば、IPTVサーバ110から第1STB102へのストリームのデリバリに対してオープンとすべきポート番号についての情報を含む。帯域幅の利用可能性の監視は、例えばアクセス・ノード106により、またはポリシ施行機能302により提供される。このセットアップの後には、ポリシ制御機能302は第1STB102およびIPTVストリーミング・サーバ110との間のセッションについて、およびIPTVビデオ・ストリームのコンテンツ情報について認知している。例えば、ポリシ制御機能302は用いられる強化レイヤの数および個々のレイヤを識別する手法についての情報、およびレイヤが送信されている方法についての情報を有している。ステップ1012で、ポリシ施行機能304は、ポリシ制御機能302を介してアクセス・ノード106に対して、ステップ1002で要求されたように、セッションについてのリソースの割り当てを確認する。この確認をすると、アクセス・ノード106は、ステップ1014でRTSP応答をSTB102に送る。ステップ1016で、第1STB102はRSTPメッセージを、アクセス・ノード106を介してIPTVストリーム・サーバ110に送り、IPTVストリーム・サーバ110にストリーミングを開始できることを通知する。IPTVストリーミング・サーバ110は、ステップ1018でRSTPを用いて、ストリーミングが開始されることになるかを確認し、この後に、ステージ1020に到達してメディアを第1STB102にストリームする。
図11は、メッセージ・フロー図1100であり、第2STBがRTSPを介してIPTVストリーミング・サーバ110からIPTVチャネルを要求する際のシステム900におけるメッセージ・フローについて示している。ステップ1102で、第2STB202は、アクセス・ノード106を介してIPTVストリーミング・サーバ110にRTSP要求を送り、TVチャネルを要求する。アクセス・ノード106は、このRTSP要求をスヌーピングする。ステップ1104で、IPTVストリーミング・サーバ110は、RSTP応答をSDP記述と共にアクセス・ノードに送る。ステップ1106で、アクセス・ノード106は、IPTVストリーミング・サーバ110から受信したRTSP応答のコンテンツを、ポリシ制御機能302に送る。ポリシ制御機能302は、次いで、データ接続104における利用可能な帯域幅が、STB202のIPTVセッション同様、第1STB102のIPTVセッションにおいてサポートするのに十分なものではないかを判定する。それ故、ポリシ制御機能302は、予め決められたポリシに従って何を起こす必要があるかを決定する。ポリシ制御機能302は、アクセス・ノード106が第1STB102について定めた特定のレイヤを欠落させるべきであると判定し、ステップ1110で、第1STB102についてのこのリソースの修正を、ポリシ施行機能304に通知する。ステップ1112で、ポリシ施行機能304は、ポリシ制御機能302に対し、リソース、ここでは帯域幅、の再割り当てを確認する。ステージ1113に次いで到達し、ここで、解放された帯域幅が利用可能となり、第2STB202に要求されたサービスを提供する。残りのステップは、図1100に示され、ここで、ステップ1114、1116、1118、1120、1122、および1124は、第2のSTB202に対するセッションのセットアップをするための公知のメッセージについての公知のステップである。ステップ1114で、ポリシ制御機能302はポリシ施行機能304からリソースの割り当てを要求する。ステップ1116で、ポリシ施行機能304は、リソースの割り当てをポリシ制御機能302に確認する。ステップ1118で、ポリシ制御機能302はセッションをアクセス・ノード106に確認する。ステップ1120で、アクセス・ノード106はRTSPメッセージを介して第2STB202に通知する。ステップ1122で、第2STB202は、ステップ1102で特定したIPTVチャネル上の番組の再生終了(play-out)のために、RTSP要求を、アクセス・ノード106を介してIPTVサーバ110に送る。ステップ1124で、IPTVサーバ110は、この再生終了を確認するRTSPメッセージを送る。次いで、符号1126に関するステージに到達し、要求されたメディアが第2STB202にデリバリされる。
RTSPスヌーピングについての代替の実施は、STB202とIPTVサーバ110との間にRTSPプロキシ・サーバ(図示せず)を用いることである。この時、STB202はIPTVサーバ110に直接接続するのではなく、RTSPプロキシ・サーバを介してIPTVサーバ110に接続する。RTSPプロキシは、例えばアクセス・ノード106に、またはネットワーク内のそれ以外の場所に位置する。RTSPプロキシは、STB202を代理してIPTVサーバに接続し、STB202とIPTVサーバ110との間で交換されるRTSPメッセージをリレーする。これにより第1RTSPセッションおよび第2RTSPセッションが生じる。第1RTSPセッションは、STB202とRTSPプロキシ・サーバにかかわる。第2RTSPセッションはRTSPプロキシ・サーバとIPTVサーバ110にかかわる。これにより、RTSPプロキシ・サーバは、STB202とIPTV110がこれを検知できなくとも、STB202とIPTVサーバ110との間で交換されるメッセージを修正することを可能にする。
本発明がどのように用いられるかについての別の例は、動的レイヤ認知(Dynamic Layer-Aware)帯域幅管理を大グループのユーザ、例えば、デジタル加入者線マルチプレクサ(DSLAM;Digital Subscriber Line Access Multiplexer)に接続される全てのユーザに対して適用することである。DSLANはサービス・プロバイダの電話交換におけるネットワーク・デバイスである。DSLAMは多数のカスタマ・デジタル加入者ライン(DSL)を高スピードのインターネット・バックボーンに多重化により接続する。
IPTVチャネルは、通例、マルチキャストで分配される。エッジに近づく限り、より人気のある(polular)チャネルが分配され、チャネルの立ち上がり時間が削減される。他のチャネルは、コア・ネットワークに向けて分配されるのみで、まれに視聴されているチャネルの帯域幅の浪費を削減する。一方では帯域幅の消費と、他方では立ち上がりレイテンシとの間にはトレードオフがある。
帯域幅効率、および/または立ち上がり時間を改良するために、IPTVサービス・プロバイダ(SP)は、全てのチャネルの最適なデリバリのために動的レイヤ認知帯域幅管理を用いることができる。このSPはチャネルの人気度を利用して、TVチャネルがどの品質(ここでは、強化レイヤの数)でデリバリされるべきかを判定する。人気のあるチャネルに対しては、全ての強化レイヤが送信されている。他のチャネルに対してまたは視聴者が現在誰もいないチャネルに対しては、強化レイヤは削除される。ここでは、より多くのTVサービス、またはテレフォニー(VoIP)、コンテンツ・オンデマンド型のサービス、もしくはベスト・エフォート型のインターネット・サービスといった他のサービスについての帯域幅を解放する。
そのSPは、ユーザが何を視聴しているかを監視することができる。例えば、SPはIGMP参加グループ・メッセージをスヌープまたは傍受(sniff)することができる。STBは、このようなメッセージをマルチキャスト・グループに加入するために送信する。SPは、マルチキャスト・アドレスをTVチャネルに変換し、TVチャネルがマルチキャスト・グループに分配される。代替として、SPはRTSP要求を傍受することができる。RTSP要求は、TVチャネル識別子、および任意でSDP記述を収容し、当該SDP記述がチャネルおよびマルチキャスト・アドレスを提供する。更に別の代替としては、SPはSIP(IMS)セッション制御情報を用いることができ、視聴されているチャネルを判定する。この情報に基づいて、SPは動的にチャネルごとの量の帯域幅(即ち、レイヤの数)を決定することができる。
次の例について検討する。コア・リンク帯域幅の総量は15Mpsである。チャネルごとの最低帯域幅要件は、2Mbpsである。チャネルごとの最大帯域幅要件は5Mbpsである。図12は、複数のチャネル(CHNNL)の間の帯域幅についてあり得る分配(即ち、レイヤ数(#LRS))についてのテーブル1200を与える。複数のチャネルとは、チャネルCh1、チャネルCh2、チャネルCh3、およびチャネルCh4であり、(現在人気のある)個々のチャネルごとの現在の視聴者数(#VWRS)を与える。
次の例について検討する。ここでは、単一の家庭に関し、アクセス・リンク帯域幅の総量は10Mpsである。チャネルごとの最低帯域幅要件は、3Mbpsである。チャネルごとの最大帯域幅要件は5Mbpsである。図13は、単一の家庭内で受信するTVチャネルごとのレイヤ数に関するテーブル1300を与える。視聴者の数は、例えば、セッション・セットアップもしくはネゴシエーションのメッセージ(SIP若しくはRTSP)を介して、または、管理メッセージ(即ち、どのチャネルが示されているかについてのサービス・プロバイダへのSTB定期レポート)を介して決定することができる。このことは、例えば、SOAPメッセージまたは私有の実施により為されることができる。頭文字「RTCP」は、「RTP制御プロトコル」(RTP Control Protocol)の略であり、これは、RTPフローに対する帯域外の統計や制御情報を提供するためのプロトコルである。頭文字「SOAP」は、「単一オブジェクト・アクセス・プロトコル」(Simple Object Access Protocol)の略であり、データ・ネットワーク内のウェブ・サービスの実施において構造化された情報の交換に関するプロトコル仕様である。
以前の使用ケースとしては、SPからエンド・ユーザへのTVチャネルのデリバリにフォーカスされる。本発明は、またサービスにも適用することができ、ここでは、ユーザはコンテンツ情報をブロードキャストしている。例えば、ユーザは、スケーラブルなビデオ・コーデックを用いてビデオ方法またはビデオ会議を開始する。最初に、アップロード帯域幅が2Mbpsのビデオ・ストリームを送信することができる。ある時に、第2ユーザが別のビデオ・ストリームのアップロードを望む。アップリンク方向に利用可能な帯域幅は十分にはないため、ポリシ制御サーバは、強化レイヤを欠落させることにより、第1ユーザについてのアップリンクのストリームを制限することを決定する。これにより、第2のビデオ・ストリームについてのリソースを解放する。
(一番多い強化レイヤを最も人気のあるコンテンツ情報に割り当てるという点で)最良のサービスを提供するという原則は、また、エンド・ユーザ・ブロードキャストに応用することができる。例えば、一番大きい数の加入受信者を有するエンド・ユーザは、全てのレイヤを送信することが許される。より人気のないブロードキャストについては、より少ないレイヤを送信することになろう。例えば、第1ユーザおよび第2ユーザは各自のホーム・ネットワークからインターネットにブロードキャストしている。第1ユーザおよび第2ユーザのアップロードの帯域幅は、3Mbpsである。帯域幅の割り当ては、第1ユーザおよび第2ユーザ両方のインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)によって制御され、また、アクセス・ネットワークまたはコア・ネットワークからアップロード接続を制御する。第1ユーザからのブロードキャストが100人の視聴者に視聴されており、一方、第2ユーザからのブロードキャストが10人の視聴者に視聴されていることを想定する。それぞれの視聴者数に基づいて、ISPは2Mbpsの第1帯域幅を第1ユーザのブロードキャストに割り当て、第2ユーザへは1Mbpsの第2帯域幅を割り当てる。したがって、第1ユーザのブロードキャストの品質は、第2ユーザのブロードキャストのそれより高いものとなる。ブロードキャストしている間に第2ユーザからのブロードキャストの視聴者数が、例えば1000に増加したときには、ISPは、帯域幅を再度割り当て、第1ユーザからのブロードキャストに1Mbpsの第1帯域幅を割り当て、そして第2ユーザからのブロードキャストに2Mbpsの第2帯域幅を割り当てる。個々のブロードキャストごとに割り当てられる帯域幅の大きさは、どの強化レイヤが欠落させまたは追加するかを決定付ける。この場合、住居用ゲートウェイは、管理ネットワークの一部であり、ゲーティング機能を提供することになる(即ち、住居用ゲートウェイがポリシ施行機能を実施する)。
ポリシは、データ処理装置が階層型コーディング・スキームでエンコードされたコンテンツ情報のデリバリをサービスから要求する際に、どのアクションを取るべきかを規定する。例えば、ポリシは、強化レイヤが欠落されて他のデータ処理装置がサービス提供されるのを可能にすることを明確にし、または欠落されたレイヤがリソースが解放された際に追加されることを明確にすることができる。
意思決定過程における重要な側面は、適用可能なポリシに基づいて、何が削除することができ、何ができないかを決定することである。この情報は、事前に(即ち、サービス・プロバイダから提供して)提供することができ、またはセッションの確立中に生成することができる。何故ならば、データ処理装置はまた、異なるレイヤおよびこのレイヤについての移送との間の関係(例えばSDP記述)について通知される必要があるからである。
異なるタイプのポリシ基準(criterion)の例は次のとおりである。この基準には時間ベースがあり、リソースは時刻に基づいて割り当てられる。この時刻は、レイヤを削除できるかどうか、また、いくつのレイヤを削除できるかを判定する。この基準には人気度ベースがあり、コンテンツ情報の人気度(例えば現在の加入者数)でゲーティングが制御される。この基準にはコンテンツ・ベースがあり、分配されたコンテンツ情報がレイヤ削除についてのポリシを決定する。コンテンツ情報に付随するメタデータが最終的なレイヤの削除を決定する。
本発明の特定の実施形態が、例による方法、およびRTPを用いるコンテンツ情報の移送を参照して上述のとおり説明された。RTPが、トランスポート・プロトコルのグループのうちの唯一のものであり、階層型コンテンツ情報のデリバリに適している。ベース・レイヤおよび1またはそれ以上の強化レイヤは、別個で個々のデータ・ストリームの集合として、またはベース・レイヤ、および1またはそれ以上の強化レイヤのストリームについてのデータの多重化の結果の単一データ・ストリームとして、デリバリすることができる。両方の場合においても、本発明は、レイヤのうちの1またはそれ以上の個々のものを構成するデータをフィルタ・アウトするために、階層型のコンテンツ情報の移送の間にフィルタリグ機構が必要となる。RTPプロトコルの代替可能な適切なトランスポート・プロトコルは、例えば、HTTP、UDP、TCP、またはビットトレント(Bittorrent)といったピア・ツー・ピア(P2P)コンテンツ・デリバリ・プロトコルである。完全のために、頭文字「HTTP」は、「ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル」(Hypertext Transfer Protocol)の略であり、インターネットを介してマルチメディアを分配するアプリケーション・レベルのプロトコルである。頭文字「UDP」は上記前半部で紹介した。頭文字「TCP」は「伝送制御プロトコル」(Transmission control Protocol)の略であり、インターネット・プロトコルのコアに含まれるトランスポート・レイヤのプロトコルである。「Bittorrent」という名前は、P2Pネットワーク上の特定のファイル共有プロトコルのことである。