JP5610766B2 - グリチルレチン酸誘導体 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、新規グリチルレチン酸誘導体、その誘導体を含む薬学的組成物、および治療薬として、特に複数の経路を通して作用する新しいクラスの抗癌剤としてのそれらの使用に関する。
発明の背景
甘草抽出物は、コルチゾル作用の増強、テストステロン生合成の阻害、体脂肪量の減少および他の内分泌作用を含むそれらの治療特性のために、広く用いられている(1〜4)。これらの抽出物の活性は異なるクラスの植物化学物質、特に主な水溶性成分であるグリチルリチンおよびその加水分解生成物18β-グリチルレチン酸(GA)に関連づけられている。
Figure 0005610766
グリチルリチンは五環式トリテルペノイド配糖体で、腸管内で加水分解されてGAとなり、甘草の特性の多くはGAによるとされる。例えば、GAは11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ活性を阻害してコルチコステロンのレベルを高め、これはマウスの胸腺細胞、脾細胞のアポトーシス、およびヒトの試験では体脂肪指数低下に関連づけられている(5〜9)。GAはまた、ミトコンドリアに直接作用し、ミトコンドリアの膨潤、ミトコンドリアの膜電位消失およびチトクロムCの放出を増大させてアポトーシスを誘導する(10、11)。
GAは生物活性薬物を合成するための鋳型としても用いられている。例えば、カルベノキソロンはGAの3-ヘミコハク酸誘導体で、この化合物は胃炎および潰瘍の治療に用いられている(12)。カルベノキソロンの活性のいくつかはGAへの加水分解によるものもあるが、カルベノキソロン自体が肝のミトコンドリアにおける酸化ストレスを誘導し、ミトコンドリアの膜電位を低下させた。グリチルレチン酸の他のカルボキシおよびヒドロキシ誘導体はHIVを阻害し、抗炎症および免疫調節活性を示す(13)。加えて、C-30に還元されたカルボン酸基(CH2OH)およびいくつかの他の官能基変化を含むGA誘導体は強力な抗酸化剤活性を示した(14)。
GAはオレアナン誘導体で、オレオノール酸およびウルソール酸誘導体の抗炎症活性については大規模な構造-活性試験が行われている(15〜19)。調製され、試験された2つの例は2-シアノ-3,12-ジオキソ-オレアナ-1,9(11)-ジエン-28-酸(CDDO)およびそのメチルエステル(CDDO-Me)で、これらはGAと比べてE環に主な構造上の相違を含む。
Figure 0005610766
その後の試験により、CDDOはペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ(PPARγ)を活性化することが明らかにされている(20〜22)。
PPARは転写因子の核内受容体(NR)ファミリーの一員であり(23〜27)、このサブファミリーの3つのメンバーは脂質および炭水化物の代謝の調節因子としてはたらき、糖尿病、アテローム性動脈硬化症および癌を含む複数の疾患において重大な役割を果たしている。PPARγのリガンドの活性化は、レチノイン酸X受容体(RXR)とのDNA結合ヘテロ二量体の生成を引き起こし、適当な核内因子の動員後、標的遺伝子発現の転写活性化が観察される。転写活性PPAR/RXR複合体の構築は大きく変動することがあって、共役調節タンパク質の発現に依存し、これは部分的にはPPAR仲介性遺伝子発現および反応の組織特異的かつリガンド構造依存的な活性化を必要としうる。
PPARγアゴニストが代謝疾患の治療のために開発され、チアゾリジンジオン(TZD)はPPARγアゴニストであり、米国内でインスリン抵抗性II型糖尿病の治療のために何百万人もの患者が使用している。PPARγは複数のタイプの腫瘍で過剰発現され(28)、様々な構造クラスのPPARγアゴニストが膵臓癌および大腸癌両方の細胞ならびに腫瘍の成長を阻害し、アポトーシスを誘導するとの証拠がある(29〜50)。しかし、PPARγアゴニストの試験から、大腸、膵臓および他の癌細胞株ならびに腫瘍におけるそれらの効果は大きく変動し、受容体依存的および非依存的経路を通して仲介されうることが明らかである。それにもかかわらず、この複数のメカニズムの特徴は腫瘍の成長および転移を阻害するいくつかの経路を標的とすることによる癌化学療法にとって有利でありうる。
特異性タンパク質1(Sp1)は同定された最初の転写因子であり(51)、ジンクフィンガー型転写因子のSp/クルッペル様因子(KLF)ファミリーは広い範囲の組織特異的および重複機能を示す(52〜56)。Sp1およびSp3タンパク質は広範に発現され、詳しく研究されている。例えば、Sp1-/-の胎仔は妊娠11日目に複数の異常、発生遅延、および胎仔死亡を示す(57)。Sp3-/-マウスも成長遅延、遅延歯牙発生における異常、および出生時の動物死亡を示す(58、59)。胎仔および生後発育中のSpタンパク質が不可欠であることは、比較的静止状態の成熟した組織/臓器における発現低下とは対照的である。これに対し、Sp1(ほとんどの試験の主な焦点)ならびにSp3およびSp4などの他のSpタンパク質はほとんどの他の組織/臓器と比べて腫瘍中で過剰発現されるという証拠が増えてきている(60〜65)。例えば、最近の試験で異種移植または正所性マウスモデルの前立腺および膵臓の腫瘍においてSp1、Sp3およびSp4の発現が比較され、その結果、同じ動物の正常な肝臓に対してLNCaP前立腺腫瘍異種移植片では高い発現が示された(66、67)。腫瘍におけるSp1、Sp3およびSp4の高いレベルに比べて、肝臓および他の組織ではSp1、Sp3およびSp4発現のレベルはほとんど検出されず、いくつかの試験はSpタンパク質が複数の腫瘍で過剰発現されることを報告している(60〜65)。Louおよび共同研究者ら(68)は、線維芽細胞の形質転換はSp1発現の8から18倍の増大を引き起こし、これらの形質転換細胞は無胸腺ヌードマウスの異種移植モデルにおいて高度に悪性の腫瘍を生じたが、低レベルのSp1を発現する非形質転換線維芽細胞は腫瘍を生じないことを報告した。加えて、形質転換細胞におけるSp1のリボザイム依存的ノックダウンはVEGF発現を低下させ、アポトーシスを増大させた。この研究室でのRNA干渉および他の技術を用いての最近の試験から、Sp1、Sp3、Sp4およびそれらの組み合わせのノックダウンは細胞周期の進行を低下させ、p27発現を増大させ、抗アポトーシスタンパク質であるサービビンのレベルを低下させ、かつVEGF、VEGF受容体1(VEGFR1)およびVEGFR2(KDR)の発現をダウンレギュレートすることが明らかにされた(66、67、69〜72)。
Spタンパク質は腫瘍/癌細胞で過剰発現され、成長、血管形成および生存遺伝子の発現調節において重要な役割を果たすため、Spタンパク質の分解を標的とする物質は非常に有効な抗癌剤となろう。例えば、COX-2阻害剤であるセレコキシブは膵臓癌細胞においてSp1の分解を誘導することによりSp1およびVEGFの発現を低下させ(73)、試験はCOX-2阻害剤がSp1およびSp3のレベルを低下させることにより、大腸癌細胞におけるVEGF発現を低下させることを示した(69)。さらに、一連の非ステロイド性抗炎症薬が、膵臓癌細胞においてSpタンパク質発現を低下させる活性についてスクリーニングされた(66)。その結果から、トルフェナム酸および構造的に関連する類縁体だけがプロテアソーム経路の活性化を通してPanc1およびL3.6pl膵臓癌細胞におけるSp1、Sp3およびSp4発現を低下させ、これはVEGFおよびVEGFR1発現の低下、アポトーシスの増大、ならびに細胞成長の低下を伴うことが明らかとなった。さらに、膵臓癌の正所性モデルにおいて、トルフェナム酸は腫瘍におけるSpタンパク質発現を低下させ、腫瘍成長を低下させ、血管形成(およびVEGF)を低下させ、かつ肝臓転移を阻害した。同様の結果が、LNCaP前立腺癌細胞および異種移植モデルの腫瘍でトリテルペノイド天然物であるベツリン酸を用いても観察された(67)。これらの結果は、Spタンパク質を標的とする薬物は非常に有効で重要なクラスの作用機作に基づく抗癌剤を構成していることを示している。
グリチルレチン酸(GA)の特定の新規誘導体を調製し、これらが大腸、膵臓および前立腺癌細胞の成長を阻害し、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ(PPARγ)のトランス活性化を誘導し、同時に特異性(Sp)タンパク質分解を誘導することを明らかにした。したがって、本発明は、様々な腫瘍細胞においてPPARγアゴニストとして作用し、Spタンパク質の発現を低下させることにより作用する、新しい作用機作に基づく抗癌剤の新規クラスを含む。
したがって、本発明の一つの局面は、下記式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグから選択される化合物を含む:
Figure 0005610766
式中
R1はCN、ハロ、NO2、CO2R3、C1-6アルキル、フルオロ置換C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OR3、SR3、SOR3、SO2R3、NR3R4、C(O)NR3R4、C(O)R3、OC(O)R3、NHC(O)R3、P(O)R3R4、-C≡C-R3、-CR3=CR4R5、アリールおよびヘテロアリールから選択され;
R2はOC1-6アルキル、フルオロ置換OC1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、N(C1-6アルキル)(C1-6アルキル)、SHおよびSC1-6アルキルから選択され;
R3、R4およびR5はH、C1-6アルキル、フルオロ置換C1-6アルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立に選択され;かつ
XおよびYの一方はC=Oであり、他方はCH2であり、XがC=Oである場合、Xに隣接する---は一重結合を表し、かつYに隣接する---は二重結合を表し、YがC=Oである場合、Yに隣接する---は一重結合を表し、かつXに隣接する---は二重結合を表す。
本発明は、本発明の化合物と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物も含む。
本発明は、薬剤または診断薬としての本発明の化合物の使用も含む。
本発明のさらなる局面は、PPARγのアップレギュレーションおよび/または一つもしくは複数の特異性(Sp)タンパク質の発現もしくは活性のダウンレギュレーションから利益を得る状態または疾患を処置するための、本発明の化合物の使用である。特定の態様において、PPARγのアップレギュレーションおよび/または一つもしくは複数のSpタンパク質の発現もしくは活性のダウンレギュレーションから利益を得る状態または疾患は癌である。したがって、同様に本発明の範囲内に含まれるものは、癌の治療法であって、本発明の化合物の有効量をそれを必要としている対象に投与する段階を含む方法である。さらに、本発明は、癌を治療するための本発明の化合物の使用、ならびに癌治療用薬剤を調製するための本発明の化合物の使用も含む。
本発明は、糖尿病の治療法であって、本発明の化合物のPPARγをアップレギュレートするのに有効な量をそれを必要としている対象に投与する段階を含む方法を含む。本発明は、糖尿病を治療するための本発明のPPARγをアップレギュレートする化合物の使用、ならびに糖尿病治療用薬剤を調製するための本発明のPPARγをアップレギュレートする化合物の使用も含む。
本発明のさらなる局面は、ハンチントン病の治療法であって、本発明の化合物のSpタンパク質をダウンレギュレートするのに有効な量をそれを必要としている対象に投与する段階を含む方法である。同様に本発明に含まれるものは、ハンチントン病を治療するための本発明のSpタンパク質をダウンレギュレートする化合物の使用、ならびにハンチントン病治療用薬剤を調製するための本発明のSpタンパク質をダウンレギュレートする化合物の使用である。
本発明の他の特徴および利点は以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、詳細な説明および具体例は本発明の好ましい態様を示しているが、当業者であればこの詳細な説明から本発明の精神および範囲内の様々な変更および改変は明らかであると思われるため、これらは例示のために示すにすぎないことが理解されるべきである。
[発明101]
下記式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグから選択される、化合物:
Figure 0005610766
式中
R 1 はCN、ハロ、NO 2 、CO 2 R 3 、C 1-6 アルキル、フルオロ置換C 1-6 アルキル、C 2-6 アルケニル、C 2-6 アルキニル、OR 3 、SR 3 、SOR 3 、SO 2 R 3 、NR 3 R 4 、C(O)NR 3 R 4 、C(O)R 3 、OC(O)R 3 、NHC(O)R 3 、P(O)R 3 R 4 、-C≡C-R 3 、-CR 3 =CR 4 R 5 、アリールおよびヘテロアリールから選択され;
R 2 はOC 1-6 アルキル、フルオロ置換OC 1-6 アルキル、NH 2 、NHC 1-6 アルキル、N(C 1-6 アルキル)(C 1-6 アルキル)、SHおよびSC 1-6 アルキルから選択され;
R 3 、R 4 およびR 5 はH、C 1-6 アルキル、フルオロ置換C 1-6 アルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立に選択され;かつ
XおよびYの一方はC=Oであり、他方はCH 2 であり、XがC=Oである場合、Xに隣接する---は一重結合を表し、かつYに隣接する---は二重結合を表し、YがC=Oである場合、Yに隣接する---は一重結合を表し、かつXに隣接する---は二重結合を表す。
[発明102]
R 1 がCN、ハロ、NO 2 、CO 2 H、CO 2 C 1-4 アルキル、C 1-4 アルキル、フルオロ置換C 1-4 アルキル、C 2-4 アルケニル、C 2-4 アルキニル、OC 1-4 アルキル、フルオロ置換OC 1-4 アルキル、OH、SH、SC 1-4 アルキル、SOC 1-4 アルキル、SO 2 C 1-4 アルキル、NH 2 、NHC 1-4 アルキル、N(C 1-4 アルキル)(C 1-4 アルキル)、C(O)NH 2 、C(O)NHC 1-4 アルキル、C(O)N(C 1-4 アルキル)(C 1-4 アルキル)、C(O)C 1-4 アルキル、OC(O)C 1-4 アルキルおよびNHC(O)C 1-4 アルキルから選択される、発明101記載の化合物。
[発明103]
R 1 がCN、ハロ、CO 2 H、CO 2 C 1-4 アルキル、C 1-4 アルキル、フルオロ置換C 1-4 アルキル、OC 1-4 アルキル、フルオロ置換OC 1-4 アルキルおよびOHから選択される、発明102記載の化合物。
[発明104]
R 1 がCN、Cl、Br、I、F、CO 2 H、CO 2 CH 3 、CH 3 、CF 3 、OCH 3 、OCF 3 およびOHから選択される、発明103記載の化合物。
[発明105]
R 1 がCN、CF 3 またはIである、発明104記載の化合物。
[発明106]
R 2 がOC 1-4 アルキル、フルオロ置換OC 1-4 アルキル、NH 2 、NHC 1-4 アルキル、N(C 1-4 アルキル)(C 1-4 アルキル)、SHおよびSC 1-4 アルキルから選択される、発明101〜105のいずれか一項記載の化合物。
[発明107]
R 2 がOC 1-4 アルキルおよびフルオロ置換OC 1-4 アルキルから選択される、発明106記載の化合物。
[発明108]
R 2 がOCH 2 CH 3 、OCH 3 およびOCF 3 から選択される、発明107記載の化合物。
[発明109]
R 2 がOCH 3 である、発明108記載の化合物。
[発明110]
下記式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグから選択される、化合物:
Figure 0005610766
式中、R 1 およびR 2 は発明101〜109のいずれか一項において定義される通りである。
[発明111]
式18αおよび18βの化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグ、ならびに任意の比率のその混合物から選択される、化合物:
Figure 0005610766
式中、R 1 、R 2 、XおよびYは発明101〜109のいずれか一項において定義される通りである。
[発明112]
下記から選択される、発明101記載の化合物:
2-シアノ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル;
2-シアノ-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル;
2-ヨード-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル;
2-ヨード-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル;
2-トリフルオロメチル-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル;および
2-トリフルオロメチル-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル、
その薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグ、ならびに任意の比率のその混合物。
[発明113]
2-シアノ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル、ならびにその薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグ、ならびに任意の比率のその混合物。
[発明114]
発明101〜113のいずれか一項記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
[発明115]
薬剤または診断薬としての、発明101〜114のいずれか一項記載の化合物の使用。
[発明116]
PPARγのアップレギュレーションおよび/または一つもしくは複数の特異性(Sp)タンパク質の発現もしくは活性のダウンレギュレーションから利益を得る状態または疾患を治療するための、発明101〜114のいずれか一項記載の化合物の使用。
[発明117]
PPARγのアップレギュレーションおよび/または一つもしくは複数の特異性Spタンパク質の発現もしくは活性のダウンレギュレーションから利益を得る状態または疾患が癌である、発明116記載の使用。
[発明118]
癌が前立腺癌および胃腸癌から選択される、発明117記載の方法。
[発明119]
胃腸癌が大腸癌および膵臓癌から選択される、発明118記載の方法。
[発明120]
PPARγをアップレギュレートするのに有効な量の発明101〜114のいずれか一項記載の化合物をそれを必要としている対象に投与する段階を含む、糖尿病の治療方法。
[発明121]
糖尿病が特にインスリン依存性II型糖尿病である、発明120記載の方法。
[発明122]
PPARγをアップレギュレートする化合物が2-シアノ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステルである、発明121記載の方法。
[発明123]
Spタンパク質をダウンレギュレートするのに有効な量の発明101〜114のいずれか一項記載の化合物をそれを必要としている対象に投与する段階を含む、ハンチントン病の治療方法。
本発明を以下の図面に関して記載する。
SW480細胞におけるPPARγ-GAL4/pGAL4のリガンド依存的活性化を示す図である。細胞にPPARγ-GAL4/pGAL4を形質移入し、異なる濃度のトリテルペノイドで処理し、ルシフェラーゼ活性を実施例に記載の通りに定量した。この図におけるすべてのトランス活性化試験の結果は、各処理群について少なくとも3回の別の測定の平均±SEで表し、溶媒(DMSO)対照に比べて有意(p<0.05)な誘導をアステリスクで示す。 HT-29細胞におけるPPARγ-GAL4/pGAL4のリガンド依存的活性化を示す図である。細胞にPPARγ-GAL4/pGAL4を形質移入し、異なる濃度のトリテルペノイドで処理し、ルシフェラーゼ活性を実施例に記載の通りに定量した。この図におけるすべてのトランス活性化試験の結果は、各処理群について少なくとも3回の別の測定の平均±SEで表し、溶媒(DMSO)対照に比べて有意(p<0.05)な誘導をアステリスクで示す。 PPARγ-GAL4/pGAL4を形質移入したSW480細胞におけるトランス活性化のPPARγアンタゴニストによる阻害を示す図である。細胞にPPARγ-GAL4/pGAL4を形質移入し、異なる濃度のCDODAもしくはCDODA-Me単独または10μM T007との組み合わせで処理し、ルシフェラーゼ活性を図1に記載の通りに定量した。誘導されたトランス活性化のT007による有意(p<0.05)な阻害を示す(**)。 PPRE3-Lucを形質移入したSW480細胞におけるトランス活性化のPPARγアンタゴニストによる阻害を示す図である。細胞にPPRE3-Lucを形質移入し、異なる濃度のCDODA-Me単独または10μM GW9662および/もしくはT007との組み合わせで処理し、ルシフェラーゼ活性を図1に記載の通りに定量した。誘導されたトランス活性化のT007またはGW9662による有意(p<0.05)な阻害を示す(**)。 リガンドが誘導するPPARγ-コアクチベーター相互作用を示す図である。SW480細胞にVP-PPARγ、コアクチベーター-GAL4/pGAL4を形質移入し、異なる濃度のCDODA-Meで処理し、ルシフェラーゼ活性を実施例に記載の通りに定量した。結果は、各処理群についての3重の反復測定の平均±SEで表し、有意(p<0.05)な誘導をアステリスクで示す。 細胞周期タンパク質、アポトーシスおよび腫瘍抑制遺伝子に対するCDODA-Meの効果を示す図である。SW480細胞を異なる濃度のCDODA-Meで24時間処理し、様々なタンパク質を実施例に記載の通りにウエスタン免疫ブロット分析により分析した。β-アクチンをローディング対照として用い、結果を反復(2以上)実験で観察した。 細胞周期タンパク質、アポトーシスおよび腫瘍抑制遺伝子に対するCDODA-MeおよびCDODAの効果を示す図である。SW480細胞を異なる濃度のCDODA-MeまたはCDODAで24時間処理し、様々なタンパク質を実施例に記載の通りにウエスタン免疫ブロット分析により分析した。β-アクチンをローディング対照として用い、結果を反復(2以上)実験で観察した。 細胞周期タンパク質、アポトーシスおよび腫瘍抑制遺伝子に対するCDODA-MeおよびCDDO-Meの効果を比較する図である。SW480細胞を異なる濃度のCDODA-MeまたはCDDO-Meで96時間処理し、様々なタンパク質を実施例に記載の通りにウエスタン免疫ブロット分析により分析した。β-アクチンをローディング対照として用い、結果を反復(2以上)実験で観察した。 細胞周期タンパク質、アポトーシスおよび腫瘍抑制遺伝子に対するCDODA-Meの効果を示す図である。HT-29細胞の24時間処理。細胞を処理し、PARP(112kDa)、PARP(85kDa)、NAG-1およびKLF-4について前述(図6〜8)の通りに分析した。β-アクチンをローディング対照として用い、結果を反復(2以上)実験で観察した。 タンパク質発現またはアポトーシスに対してCDODA-Meが誘導した効果に対するPPARγアンタゴニストの効果を示す図である。SW480細胞を異なる濃度のCDODA-Me単独または10μM T007との組み合わせで24時間処理し、PARP(112kDa)、PARP(85kDa)、CD-1、p27、NAG-1およびKLF-4タンパク質を実施例に記載の通りにウエスタン免疫ブロットにより分析した。β-アクチンをローディング対照として用い、結果を反復(2以上)実験で観察した。 タンパク質発現またはアポトーシスに対してCDODA-Meが誘導した効果に対するPPARγアンタゴニストの効果を示す図である。HT-29細胞を異なる濃度のCDODA-Me単独または10μM T007との組み合わせで24時間処理し、KLF-4タンパク質を実施例に記載の通りにウエスタン免疫ブロットにより分析した。β-アクチンをローディング対照として用い、結果を反復(2以上)実験で観察した。 タンパク質発現またはアポトーシスに対してCDODA-Meが誘導した効果に対するPPARγアンタゴニストの効果を示す図である。HT-29細胞を異なる濃度のCDODA-Me単独または10μM GW9662との組み合わせで24時間処理し、PARP(112kDa)、PARP(85kDa)およびNAG-1タンパク質を実施例に記載の通りにウエスタン免疫ブロットにより分析した。β-アクチンをローディング対照として用い、結果を反復(2以上)実験で観察した。 タンパク質発現またはアポトーシスに対してCDODA-Meが誘導した効果に対するPPARγアンタゴニストの効果を示す図である。HT-29細胞を異なる濃度のCDODA-Me単独または10μM T007との組み合わせで96時間処理し、Cav-1タンパク質を実施例に記載の通りにウエスタン免疫ブロットにより分析した。β-アクチンをローディング対照として用い、結果を反復(2以上)実験で観察した。 α-およびβ-CDODA-Me化合物による大腸(SW480、上図)および膵臓(Panc28、下図)癌細胞の阻害を示す図である。 β-CDODA-MeがPanc28細胞においてSpタンパク質分解を誘導することを示すゲルを含む図である。この反応はT007によって逆転されず(A)、ラクタシスチンでは最小限の量の逆転が観察される(B)。 Panc28細胞における細胞周期タンパク質(A)ならびにNAG-1/ATF-3およびPARP切断(B)に対するβ-CDODA-Meの効果を示すゲルを含む図である。 β-CDODA-MeがRKO細胞においてSpタンパク質発現を低下させることを示すゲルを含む図である。これらの効果はT007またはプロテアソーム阻害剤によって逆転されない。 β-CDODA-Meおよび関連化合物のLNCaP細胞の生存、PPARγの活性化、および細胞周期遺伝子の調節に対する効果を示す図である。(A)細胞生存。LNCaP細胞を異なる濃度のβ-DODA、β-DODA-Meまたはβ-CDODA-Meで96時間処理し、実施例に記載の通りにDMSO(溶媒対照、100%に設定)に対する細胞生存%をもとめた。結果は各処理群について3回の別の測定の平均±SEで表し、有意(p<0.05)に低下した生存を示す(*)。(B)β-CDODA-MeはPPARγを活性化する。LNCaP細胞をβ-CDODA、T007またはそれらの組み合わせで処理し、PPARγ-GAL4/pGAL4またはPPRE-lucを形質移入し、ルシフェラーゼ活性を実施例に記載の通りに定量した。結果は各処理群について3重の反復測定の平均±SEで表し、有意(p<0.05)なβ-CDODA-Meによる誘導(*)およびT007との同時処理後の阻害(**)を示す。細胞周期遺伝子のβ-CDODA-Me単独(C)およびT007との組み合わせ(D)による調節。細胞を示した通りに24時間処理し、全細胞溶解物を実施例に記載の通りにウエスタン免疫ブロット分析により分析した。 β-CDODAがLNCaP細胞においてアポトーシス経路を誘導し、アンドロゲン反応性を低下させることを示す図である。β-CDODA-Me単独(A)およびT007との組み合わせ(B)はアポトーシス促進経路を誘導する。LNCaP細胞を示した通りに24時間処理し、全細胞溶解物を実施例に記載の通りにウエスタン免疫ブロット分析により分析した。β-CDODA-Meが誘導したDNA断片化(A)も記載の通りに評価した。β-CDODA-Me単独およびDHTもしくはT007(C)またはMG132(D)との組み合わせの効果、ならびに全細胞溶解物を実施例に記載の通りにウエスタン免疫ブロット分析により分析した。 β-CDODA-Meがアポトーシス促進タンパク質およびキナーゼを誘導することを示す図である。β-CDODA-MeによるNAG-1、ATF-3およびEgr-1(A)ならびにキナーゼ(B)の誘導。LNCaP細胞を2.5μM β-CDODA-Meで処理し、処理後の異なる時点で全細胞溶解物を実施例に記載の通りにウエスタン免疫ブロット分析により分析した。アポトーシス促進反応に対するキナーゼ阻害剤の効果(C)ならびにNAG-1およびATF-3発現の定量(D)。LNCaP細胞を2.5μM β-CDODA単独または様々なキナーゼ阻害剤との組み合わせで処理し、24時間後、全細胞溶解物をウエスタン免疫ブロット分析により分析した。NAG-1およびATF-3タンパク質のレベル(β-アクチンに対して標準化)(D)は各処理群について3回の別の測定の平均±SEであり、キナーゼ阻害剤との同時処理後に有意(p<0.05)に低下したレベルを示す(**)。 p21のβ-CDODA-Me誘導はMAPK依存的であることを示す図である。(A)p21の誘導に対するキナーゼ阻害剤の効果。LNCaP細胞をDMSO、2.5μM β-CDODA-Me単独またはキナーゼ阻害剤との組み合わせで24時間処理し、全細胞溶解物を実施例に記載の通りにウエスタン免疫ブロット分析により分析した。(B)β-CDODA-Meはp21プロモーター作成物を活性化する。LNCaP細胞にp21プロモーター作成物を形質移入し、DMSOまたは異なる濃度のβ-CDODA-Meで処理し、ルシフェラーゼ活性を実施例に記載の通りに定量した。結果は各処理群について3回の別の測定の平均±SEであり、活性の有意(p<0.05)な誘導を示す(*)。(C)PD98059による阻害。細胞にp21-luc(101)を形質移入し、DMSO、β-CDODA-Me単独または10μM PD98059との組み合わせで処理した。結果は各処理群について3回の別の測定の平均±SEで表し、有意(p<0.05)なβ-CDODA-Meによる誘導(*)およびPD98059との同時処理後の阻害(**)を示す。 β-CDODA-MeがAR遺伝子発現を低下させることを示す図である。AR遺伝子発現へのβ-CDODA-Me依存的効果に対するT007(A)およびシクロヘキシミド(B)の効果。LNCaP細胞をβ-CDODA-Me単独またはT007もしくはシクロヘキシミドとの組み合わせで12または18時間処理し、AR mRNAレベルを実施例に記載の通りにリアルタイムPCRにより定量した。(C)β-CDODA-MeはARプロモーター活性を低下させる。LNCaP細胞にAR-lucを形質移入し、DMSOまたはβ-CDODA-Meで処理し、ルシフェラーゼ活性を実施例に記載の通りに定量した。結果は各処理群について3回の別の実験の平均±SEであり、活性の有意(p<0.05)な低下を示す(*)。(D)AR、Sp1およびPARP(切断)に対するβ-CDODA-Meの時間依存的効果。LNCaP細胞をDMSOまたはβ-CDODA-Meで24時間まで処理し、全細胞溶解物を実施例に記載の通りにウエスタンブロット分析により分析した。 β-CDODA-MeがPSA発現を低下させることを示す図である。PSA遺伝子発現へのβ-CDODA-Me依存的効果に対するT007(A)およびシクロヘキシミド(B)の効果。LNCaP細胞をβ-CDODA-Me単独またはT007もしくはシクロヘキシミドとの組み合わせで12または18時間処理し、PSA mRNAレベルを実施例に記載の通りにリアルタイムPCRにより定量した。β-CDODA-MeはPSAプロモーター(C)およびDHT誘導性(D)PSAプロモーター活性を低下させる。LNCaP細胞にPSA-lucを形質移入し、DMSO、β-CDODA-Me、DHTおよびβ-CDODA-MeプラスDHT(組み合わせ)で処理し、ルシフェラーゼ活性を実施例に記載の通りに定量した。結果は各処理群について3回の別の測定の平均±SEであり、β-CDODA-Meにより有意(p<0.05)に低下した基準またはDHT誘導性ルシフェラーゼ活性を示す(*)。
発明の詳細な説明
定義
「本発明の化合物」には、以下に定義するそのすべての多形および晶癖、その塩、プロドラッグおよび異性体(光学、幾何および互変異性体を含む)ならびに同位体標識した式Iの化合物を含む、上で定義した式Iの化合物が含まれる。
特に記載がないかぎり、「アルキル」なる用語は、単独または他の基もしくは原子との組み合わせで用いる場合、1から6個の水素置換炭素原子、適切には1から4個の水素置換炭素原子だけからなる飽和直鎖または分枝鎖を意味し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2,2-ジメチルブチル、n-ペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、n-ヘキシルなどが含まれる。
特に記載がないかぎり、「アルケニル」なる用語は、少なくとも一つの二重結合を含む、2から6個の水素置換炭素原子だけからなる部分不飽和直鎖または分枝鎖を意味し、ビニル、アリル、2-メチルプロパ-1-エニル、ブタ-1-エニル、ブタ-2-エニル、ブタ-3-エニル、2-メチルブタ-1-エニル、2-メチルペンタ-1-エニル、4-メチルペンタ-1-エニル、4-メチルペンタ-2-エニル、2-メチルペンタ-2-エニル、4-メチルペンタ-1,3-ジエニル、ヘキセン-1-イルなどが含まれる。
特に記載がないかぎり、「アルキニル」なる用語は、少なくとも一つの三重結合を含む、2から8個の水素置換炭素原子だけからなる部分不飽和直鎖または分枝鎖を意味し、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、2-メチルプロパ-1-イニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1,3-ブタジイニル、3-メチルブタ-1-イニル、4-メチルブタ-イニル、4-メチルブタ-2-イニル、2-メチルブタ-1-イニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1,3-ペンタジイニル、1,4-ペンタジイニル、3-メチルペンタ-1-イニル、4-メチルペンタ-2-イニル、4-メチルペンタ-2-イニル、1-ヘキシニルなどが含まれる。
特に記載がないかぎり、本明細書において用いられるアリールなる用語は、完全または部分飽和炭素環と任意に縮合していてもよく、かつC1-4アルキル、フルオロ置換C1-4アルキル、ハロ、OC1-4アルキル、フルオロ置換OC1-4アルキル、NO2およびCNから独立に選択される、一つまたは複数の置換基、適切には1から3つの置換基で置換されていてもよい、6から14個の炭素原子を含む芳香族単環式または二環式の基を意味する。アリール基の例には、フェニル、ナフチル、インダニルなどが含まれる。
特に記載がないかぎり、本明細書において用いられるヘテロアリールなる用語は、C1-4アルキル、フルオロ置換C1-4アルキル、ハロ、OC1-4アルキル、フルオロ置換OC1-4アルキル、NO2およびCNから独立に選択される、一つまたは複数の置換基、適切には1から3つの置換基で置換されていてもよい、5から14個の炭素原子であって、そのうちの1から5個はN、SおよびOから選択されるヘテロ原子で置き換えられている原子を含む芳香族単環式または二環式の基を意味する。アリール基の例には、チエニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾ[b]チエニル、フラニル、ベンゾフラニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリルなどが含まれる。
特に記載がないかぎり、本明細書において用いられる「フルオロ置換」なる用語は、記載されている基において、すべてを含む一つまたは複数の水素原子がFで置き換えられていることを意味する。例えば、フルオロ置換アルキルには、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチルなどが含まれる。
特に記載がないかぎり、本明細書において用いられる「ハロゲン」および「ハロ」なる用語はF、Cl、Br、およびIを含む。
本開示の全体を通して用いる標準の命名規則の下で、指定の側鎖の結合点をまず記載し、続いて末端部分に向けて隣接する官能基を記載する。置換基の結合点を結合の点を示す破線で示し、続いて隣接する官能基を記載し、末端官能基で終えてもよい。
分子内の特定の位置における任意の置換基または変形の定義は、その分子内の別の場所でのその定義とは無関係であることが意図される。本発明の化合物の置換基および置換パターンは、化学的に安定で、当技術分野において公知の技術ならびに本明細書に示す方法によって容易に合成することができる化合物を提供するために、当業者によって選択されうることが理解される。
「薬学的に許容される」なる用語は、動物、特にヒトの治療に適合性であることを意味する。
「薬学的に許容される塩」なる用語は、薬学的に許容される酸付加塩と薬学的に許容される塩基付加塩の両方を含む。
本明細書において用いられる「薬学的に許容される酸付加塩」なる用語は、本開示の任意の塩基化合物、またはその任意の中間体の任意の非毒性有機または無機塩を意味する。酸付加塩を形成しうる本開示の塩基性化合物には、例えば、R1および/またはR2がNH2、NHC1-C6アルキルまたはN(C1-C6アルキル)(C1-C6アルキル)で置換されているものが含まれる。適当な塩を形成する例示的無機酸には、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸、ならびにオルトリン酸一水素ナトリウムおよび硫酸水素カリウムなどの金属塩が含まれる。適当な塩を形成する例示的有機酸には、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、安息香酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸およびサリチル酸などのモノ、ジ、およびトリカルボン酸、ならびにp-トルエンスルホン酸およびメタンスルホン酸などのスルホン酸が含まれる。一または二酸塩のいずれかを形成することもでき、そのような塩は水和、溶媒和または実質的に無水の形で存在しうる。一般に、本開示の化合物の酸付加塩はそれらの遊離塩基型と比べて水および様々な親水性有機溶媒への溶解性が高く、一般には高い融点を示す。適当な塩の選択は当業者には公知であろう。他の薬学的に許容されない酸付加塩、例えば、シュウ酸塩を、例えば、本開示の化合物の単離において、研究室で用いるために、またはその後に薬学的に許容される酸付加塩に変換するために用いてもよい。
本明細書において用いられる「薬学的に許容される塩基性塩」なる用語は、動物、特にヒトの治療に適した、または適合性の、本発明の任意の酸化合物、またはその任意の中間体の任意の非毒性有機または無機塩基性付加塩を意味する。塩基性付加塩を形成しうる本発明の酸性化合物には、例えば、R1がC(O)OHであるものが含まれる。適当な塩を形成する例示的無機塩基には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムまたは水酸化バリウムが含まれる。適当な塩を形成する例示的有機塩基には、メチルアミン、トリメチルアミンおよびピコリンなどの脂肪族、脂環式もしくは芳香族有機アミン、またはアンモニアが含まれる。適当な塩の選択は当業者には公知であろう。他の薬学的に許容されない塩基性付加塩を、例えば、本発明の化合物の単離において、研究室で用いるために、またはその後に薬学的に許容される酸付加塩に変換するために用いてもよい。所望の化合物の塩の形成は標準の技術を用いて達成される。例えば、中性化合物を適当な溶媒中、塩基で処理し、形成した塩をろ過、抽出または任意の他の適当な方法で単離する。
本明細書において用いられる「癌」なる用語は、無制御の細胞分裂およびこれらの細胞が隣接組織中に侵入しての直接成長、または転移による遠隔部位への移植のいずれかにより他の組織に侵入する能力によって特徴づけられる、疾患または障害のクラスを意味する。転移は癌細胞が血流またはリンパ系を通して輸送される段階と定義される。本発明の化合物を用いて治療しうる癌の例には、正常細胞に比べてPPARγの活性のアップレギュレーションから利益を得るもの、ならびに/または特異性タンパク質(Sp)、特にSp1、Sp3および/もしくはSp4の発現および/もしくは活性のダウンレギュレーションから利益を得るものが含まれる。そのような癌の例には、前立腺癌、大腸癌、乳癌、膀胱癌、肺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、腎臓癌、および膵臓癌が含まれるが、それらに限定されるわけではない。適切には癌は前立腺癌、大腸癌または膵臓癌である。
本発明の化合物の「治療上有効な量」、「有効量」または「十分な量」なる用語は、哺乳動物、例えば、ヒトを含む対象に投与した場合に、臨床結果を含む有益または所望の結果を得るのに十分な量であり、したがって「有効量」またはその同義語はそれが適用されている状況に依存する。例えば、PPARγをアップレギュレートする状況においては、有効量は化合物を投与せずに得られる反応に比べてPPARγ活性のそのようなアップレギュレーションを達成するのに十分な化合物の量である。例えば、Spタンパク質の発現および/または活性をダウンレギュレートする状況においては、有効量は化合物を投与せずに得られる反応に比べてそのようなダウンレギュレーションを達成するのに十分な化合物の量である。疾患の状況においては、本発明の化合物の治療上有効な量を用いて、対象におけるPPARγ活性のアップレギュレーションならびに/またはSpタンパク質の発現および/もしくは活性のダウンレギュレーションから利益を得る疾患または状態、例えば、癌を治療、調節、減衰、逆転する、または影響をおよぼす。「有効量」は、そのような疾患または状態を治療、防止または阻害するのに十分な化合物の量を意味することが意図される。そのような量に対応する本発明の所与の化合物の量は、投与された薬物または化合物、薬学的製剤、投与経路、疾患または障害のタイプ、治療中の対象または宿主の同一性などの様々な因子に応じて変動するであろうが、それにもかかわらず、当業者であれば日常的に決定することができる。同様に、本明細書において用いられる、本発明の化合物の「治療上有効な量」は、対照に比べて対象におけるPPARγ活性のアップレギュレーションならびに/またはSpタンパク質の発現および/もしくは活性のダウンレギュレーションから利益を得る疾患または状態、例えば、癌を、臨床症状または癌細胞の量で評価して、防止、阻害、抑制または軽減する量である。本明細書において定義する通り、本発明の化合物の治療上有効な量は、当業者であれば当技術分野において公知の日常的方法により容易に決定されるであろう。
一つの態様において、本発明の化合物の治療上有効な量は、体重1kgあたり約0.1から約40mg、適切には体重1kgあたり約1から約10mg、より適切には体重1kgあたり約2から約5mgの範囲である。当業者であれば、PPARγ活性のアップレギュレーションならびに/またはSpタンパク質の発現および/もしくは活性のダウンレギュレーションから利益を得る疾患または状態、例えば、癌を患っている対象を有効に治療する、または対象がこれらを患うのを防止するのに必要な用量に特定の因子が影響を及ぼすことがあり、これらの因子には疾患または障害の重症度、過去の治療、対象の全身の健康および/または年齢、ならびに存在する他の疾患が含まれるが、それらに限定されるわけではないことを理解するであろう。
さらに、本発明の化合物の治療上有効な量による対象の「治療」または「防止」法は、1回投与で構成されてもよく、または一連の適用を含んでいてもよい。例えば、本発明の化合物を少なくとも1週間に1回投与してもよい。しかし、もう一つの態様において、所与の治療のために化合物を対象に1週間に約1回から1日に約1回投与してもよい。治療期間の長さは、疾患の重症度、患者の年齢、本発明の化合物の濃度および活性、またはその組み合わせなどの様々な因子に依存する。同様に、治療または予防のために用いる化合物の有効用量は特定の治療または予防法の経過とともに増加または減少しうることも理解されるであろう。用量の変更は当技術分野において公知の標準の診断アッセイによって行い、明らかになりうる。いくつかの場合には、長期投与を必要とすることもある。
本明細書において用いられる「同時投与」とは、2つの物質を対象に、それら両方が対象において同時に生物活性であるように投与することを意味する。投与の正確な詳細は2つの物質の相互存在下での薬物動態に依存し、薬物動態が適当であれば、一方の物質を他方の投与の24時間以内に投与することを含みうる。適当な投与法の設計は当業者にとって日常業務である。特定の態様において、2つの物質を実質的に同時に、すなわち互いに数分以内に、または両方の物質を含む1つの組成物中で投与する。
本明細書において用いられ、当技術分野において十分に理解されている通り、「治療」とは、臨床結果を含む有益または所望の結果を得るためのアプローチである。有益または所望の臨床結果には、検出可能または検出不能のいずれにせよ、一つまたは複数の症状または状態の軽減または改善、疾患の程度の低減、疾患の安定化(すなわち、悪化しない)状態、疾患の拡大の防止、疾患の進行の遅延または減速、疾患状態の改善または緩和、および緩解(部分または完全のいずれか)が含まれうるが、それらに限定されるわけではない。「治療」は、治療を受けない場合に予想される生存に比べて、生存を延長することも意味しうる。
疾患または障害を「緩和する」とは、障害を治療しない場合に比べて、障害または疾患状態の程度および/もしくは望ましくない臨床症状を減らすこと、ならびに/または進行の時間経過を遅くする、もしくは長くすることを意味する。
本明細書において用いられる「防止」もしくは「予防」なる用語、またはその同義語は、患者が癌にかかる、または癌に関連する症状を発現する危険度または確率の低下を意味する。
Spタンパク質発現または活性などの機能または活性を「阻害」または「抑制」または「低下」または「ダウンレギュレート」することは、対象となる状態もしくはパラメーターを除き、それ以外は同じ状態に比べて、または別の状態に比べて、機能または活性を低下させることである。
PPARγ活性などの機能または活性を「増大」または「アップレギュレート」することは、対象となる状態もしくはパラメーターを除き、それ以外は同じ状態に比べて、または別の状態に比べて、機能または活性を増大させることである。
本明細書において用いられる「対象」もしくは「患者」なる用語、またはその同義語は、動物界のすべてのメンバー、特にヒトを含む哺乳動物を含む。対象または患者は適切にはヒトである。
本明細書において用いられる「細胞」なる用語は複数の細胞を含む。化合物の細胞への投与は、インビボ、エクスビボおよびインビトロでの処理を含む。
本開示の範囲を理解する際に、本明細書において用いられる「含む(comprising)」なる用語およびその派生語は、述べられた特徴、要素、成分、基、整数、および/または段階の存在を明示する無制限の用語であることが意図されるが、他の述べられていない特徴、要素、成分、基、整数、および/または段階の存在を除外することはない。前述のことは、「含む(including)」、「有する」なる用語およびそれらの派生語などの、類似の意味を有する単語にもあてはまる。最後に、本明細書において用いられる「実質的に」、「約」および「およそ」などの程度の用語は、最終結果が著しく変わらないような、修飾された用語の妥当な量のずれを意味する。これらの程度の用語は、このずれが修飾する単語の意味を否定しない場合、修飾された用語の少なくとも±5%のずれを含むと解釈されるべきである。
特に記載がないかぎり、本明細書において用いられる「a」、「an」および「the」なる用語は、一つまたは複数を意味する。
本発明の化合物
薬用に広く用いられている甘草の活性成分であるグリチルレチン酸(GA)由来の新しいクラスの化合物が、腫瘍の成長、転移、および生存を阻害する抗癌剤として特定された。結果は、GAの2-シアノ誘導体、すなわちメチル2-シアノ-3,11-ジオキソ-18β-オレアン-1,12-ジエン-30-オアート(β-CDODA-Me)および対応する18α異性体(α-CDODA-Me)は、構造的に関連する類縁体と共に、いずれも大腸癌および膵臓癌細胞においてPPARγを活性化し、Spタンパク質分解を誘導することを示している。したがって、CDODA-Meおよび関連化合物は、膵臓癌および大腸癌においてPPARγアゴニストとして作用し、Spタンパク質の発現を低下させることにより作用する、新しい作用機作に基づく抗癌剤の新規クラスである。
したがって、その局面の一つにおいて、本発明は下記式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグから選択される化合物を含む:
Figure 0005610766
式中
R1はCN、ハロ、NO2、CO2R3、C1-6アルキル、フルオロ置換C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OR3、SR3、SOR3、SO2R3、NR3R4、C(O)NR3R4、C(O)R3、OC(O)R3、NHC(O)R3、P(O)R3R4、-C≡C-R3、-CR3=CR4R5、アリールおよびヘテロアリールから選択され;
R2はOC1-6アルキル、フルオロ置換OC1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、N(C1-6アルキル)(C1-6アルキル)、SHおよびSC1-6アルキルから選択され;
R3、R4およびR5はH、C1-6アルキル、フルオロ置換C1-6アルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立に選択され;かつ
XおよびYの一方はC=Oであり、他方はCH2であり、XがC=Oである場合、Xに隣接する---は一重結合を表し、かつYに隣接する---は二重結合であり、YがC=Oである場合、Yに隣接する---は一重結合を表し、かつXに隣接する---は二重結合を表す。
本発明の一つの態様において、R1はCN、ハロ、NO2、CO2H、CO2C1-6アルキル、C1-6アルキル、フルオロ置換C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、フルオロ置換OC1-6アルキル、OH、SH、SC1-6アルキル、SOC1-6アルキル、SO2C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、N(C1-6アルキル)(C1-6アルキル)、C(O)NH2、C(O)NHC1-6アルキル、C(O)N(C1-6アルキル)(C1-6アルキル)、C(O)C1-6アルキル、OC(O)C1-6アルキルおよびNHC(O)C1-6アルキルから選択される。本発明のさらなる態様において、R1はCN、ハロ、NO2、CO2H、CO2C1-4アルキル、C1-4アルキル、フルオロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、OC1-4アルキル、フルオロ置換OC1-4アルキル、OH、SH、SC1-4アルキル、SOC1-4アルキル、SO2C1-4アルキル、NH2、NHC1-4アルキル、N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、C(O)NH2、C(O)NHC1-4アルキル、C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、C(O)C1-4アルキル、OC(O)C1-4アルキルおよびNHC(O)C1-4アルキルから選択される。本発明のもう一つの態様において、R1はCN、ハロ、CO2H、CO2C1-4アルキル、C1-4アルキル、フルオロ置換C1-4アルキル、OC1-4アルキル、フルオロ置換OC1-4アルキルおよびOHから選択される。本発明のさらなる態様において、R1はCN、Cl、Br、I、F、CO2H、CO2CH3、CH3、CF3、OCH3、OCF3およびOHから選択される。本発明のさらなる態様において、R1はCN、CF3またはIである。
本発明の一つの態様において、R2はOC1-4アルキル、フルオロ置換OC1-4アルキル、NH2、NHC1-4アルキル、N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、SHおよびSC1-4アルキルから選択される。本発明のさらなる態様において、R2はOC1-4アルキルおよびフルオロ置換OC1-4アルキルから選択される。本発明のさらなる態様において、R2はOCH2CH3、OCH3およびOCF3から選択される。本発明のさらなる態様において、R2はOCH3である。
本発明の一つの態様において、R3、R4およびR5はH、C1-4アルキル、フルオロ置換C1-4アルキルおよびフェニルから独立に選択される。さらなる態様において、R3、R4およびR5はH、メチルおよびCF3から独立に選択される。
本発明の一つの態様において、Xの一つはC=Oで、YはCH2であり、Xに隣接する---は一重結合を表し、かつYに隣接する---は二重結合を表す、下記式Iの化合物を提供する。
Figure 0005610766
式Iの化合物は、炭素18にαもしくはβ立体配置のいずれかを有するもの、または任意の比率のその混合物を含む。したがって、本発明の一つの態様において、式Iの化合物は下記:
Figure 0005610766
および任意の比率のその混合物から選択される。本発明の化合物の立体化学は本明細書に列挙する任意の所与の化合物において上で示す通りでありうるが、本発明のそのような化合物は別の立体化学を有する本発明の化合物の特定の量(例えば、20%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満)を含みうることが理解されるべきである。
本発明の一つの態様において、式Iの化合物は下記からなる群より選択され選択される:
2-シアノ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル;
2-シアノ-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル;
2-ヨード-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル;
2-ヨード-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル;
2-トリフルオロメチル-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル;および
2-トリフルオロメチル-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル。
本発明のさらなる態様において、式Iの化合物は2-シアノ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステルである。
本発明の化合物は、完全にアモルファスから完全に結晶性までの範囲の固体状態の連続体で存在しうる。「アモルファス」なる用語は、材料が分子レベルで長距離秩序を欠き、温度に依存して固体または液体の物理的性質を示す状態を意味する。典型的に、そのような材料は特有のX線回折パターンを示さず、固体の性質を示してはいるが、より正式には液体として記載される。加熱により、典型的には二次の状態の変化(「ガラス転移」)によって特徴づけられる、固体から液体の性質への変化が起こる。「結晶性」なる用語は、材料が分子レベルで規則的に並んだ内部構造を有し、定義されたピークのある特有のX線回折パターンを示す固相を意味する。そのような材料も、十分に加熱すると液体の性質を示すが、固体から液体への変化は典型的には一次の相変化(「融点」)によって特徴づけられる。
本発明の化合物は、非溶媒和および溶媒和型でも存在しうる。「溶媒和物」なる用語は、本明細書において、本発明の化合物および一つまたは複数の薬学的に許容される溶媒分子、例えば、エタノールを含む分子複合体を記載するために用いる。「水和物」なる用語は、溶媒が水である場合に用いる。有機水和物について現在許容されている分類系は、分離部位、チャネル、または金属イオン配位水和物を規定するものである(Polymorphism in Pharmaceutical Solids by K. R. Morris, Ed. H. G. Brittain, Marcel Dekker, 1995参照)。分離部位水和物は、水分子が介在する有機分子によって互いに直接接触しないように分離されているものである。チャネル水和物では、水分子は他の水分子の隣の格子チャネル内にある。金属イオン配位水和物では、水分子は金属イオンに結合している。溶媒または水が強く結合している場合、複合体は湿度とは無関係に明確な化学量論を有することになる。しかし、チャネル溶媒和物や吸湿性化合物のように、溶媒または水の結合が弱い場合、水/溶媒含量は湿度および乾燥状態に依存することになる。そのような場合、非化学量論が標準となる。
本明細書において、式Iの化合物へのすべての言及はその塩、溶媒和物、プロドラッグおよび多成分複合体への言及を含む。
式Iの化合物は、当技術分野において公知の方法を用いて調製することができ、例えば、報告された方法(74)に従い、18α-および18β-グリチルレチン酸ならびにそれらのメチルエステルを2-ヨードキシ安息香酸と反応させて対応するジエノンに変換してもよい。対応する1-飽和-2-シアノ18β-グリチルレチン酸および1-飽和-2-シアノ18α-グリチルレチン酸ならびにそれらのメチルエステルは公知で(75)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)と反応させて対応する2-シアノ-ジエノンを得てもよい。さらに、18α-および18β-グリチルレチン酸のジエノンならびにそれらのメチルエステルを、本明細書の実施例に記載の通りに、エーテル溶媒中でヨウ素およびピリジンと反応させることにより、3位でヨウ素化してもよい。
本発明は、本発明の化合物の放射性同位体標識型、例えば、3H、11Cもしくは14Cまたは125Iおよび18Fなどの放射性ハロゲンを構造内に取り込むことにより標識した本発明の化合物を含む。放射性同位体標識した本発明の化合物は、当技術分野において公知の標準の方法を用いて調製してもよい。例えば、トリチウムを標準の技術を用いて本発明の化合物に取り込んでもよく、例えば、適当な前駆体をトリチウムガスおよび触媒を用いて水素添加し、本発明の化合物としてもよい。または、放射性ヨードを含む本発明の化合物を、対応するトリアルキルスズ(適切にはトリメチルスズ)誘導体から、ジメチルホルムアミドなどの適当な溶媒中、クロラミンT存在下での[125I]ヨウ化ナトリウムなどの、標準のヨウ素化条件を用いて調製してもよい。トリアルキルスズ化合物は、対応する非放射性ハロ、適切にはヨード化合物から、標準のパラジウム触媒によるスズ化条件、例えば、ジオキサンなどの不活性溶媒中、高温、適切には50〜100℃で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)存在下でのヘキサメチルジスズを用いて調製してもよい。さらに、放射性フッ素を含む本発明の化合物を、例えば、K[18F]/K222を、18Fアニオンで置き換えうる適当な脱離基、例えば、トシル基を含む式Iの化合物などの適当な前駆化合物と反応させることにより調製してもよい。
方法および組成物
本発明は式Iの新規化合物に関し、したがって本発明は、例えば、治療および診断適用におけるものを含む、これらの化合物のすべての使用を含む。
本発明は、したがって、薬剤または診断薬としての本発明の化合物の使用を含む。
PPARγをアップレギュレートするそれらの能力において、本発明の特定の化合物はPPARγのアップレギュレーションから利益を得る任意の状態または疾患を治療するために有用である。本発明の一つの態様において、PPARγのアップレギュレーションから利益を得る状態または疾患は糖尿病および癌である。
したがって、本発明は、癌の治療法であって、本発明の化合物の有効量をそれを必要としている対象に投与する段階を含む方法を含む。本発明は、癌を治療するための本発明の化合物の使用、および癌治療用薬剤を調製するための本発明の化合物の使用も含む。本発明の一つの態様において、癌は前立腺癌ならびに胃腸の癌、例えば、大腸癌および膵臓癌から選択される。
本発明は、癌の治療法であって、本発明の化合物の有効量をそれを必要としている対象に投与する段階を含む方法も含む。さらに、本発明は、癌を治療するための本発明の化合物の使用、ならびに癌治療用薬剤を調製するための本発明の化合物の使用も含む。
本発明の一つの態様において、糖尿病、特にインスリン依存性II型糖尿病の治療法であって、本発明の化合物のPPARγをアップレギュレートするのに有効な量をそれを必要としている対象に投与する段階を含む方法が含まれる。本発明は、糖尿病を治療するための本発明のPPARγをアップレギュレートする化合物の使用、ならびに糖尿病治療用薬剤を調製するための本発明のPPARγをアップレギュレートする化合物の使用も含む。本発明の一つの態様において、PPARγをアップレギュレートする化合物は2-シアノ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステルである。当業者であれば、例えば、本明細書における下記の実施例およびChintharlapalli, S. et al. Mol. Cancer Therap. 6:1588, 2007に記載の通り、PPARγ-GAL4を形質移入した細胞株を用いて、本明細書のPPARγをアップレギュレートする化合物を特定することができるであろう。
Spタンパク質の発現または活性をダウンレギュレートするそれらの能力において、本発明の化合物はSpタンパク質の発現または活性のダウンレギュレーションから利益を得る任意の状態または疾患を治療するために有用である。本発明の一つの態様において、Spタンパク質、特にSp1の発現または活性のダウンレギュレーションから利益を得る状態または疾患はハンチントン病である。Sp1の発現または活性を抑制することによりハンチントン病の病理に提供される利益はQiu, Z. et al. J. Biol. Chem. 281:16672, 2006によって報告されている。
したがって、本発明のさらなる態様において、ハンチントン病の治療法であって、本発明の化合物のSpタンパク質をダウンレギュレートするのに有効な量をそれを必要としている対象に投与する段階を含む方法が含まれる。本発明は、糖尿病を治療するための本発明のSpタンパク質をダウンレギュレートする化合物の使用、ならびに糖尿病治療用薬剤を調製するための本発明のSpタンパク質をダウンレギュレートする化合物の使用も含む。本発明の一つの態様において、Spタンパク質はSp1、Sp3および/またはSp4である。当業者であれば、一つまたは複数の細胞を本発明の化合物と接触させ、一つまたは複数のSpタンパク質の存在をアッセイし、一つまたは複数の細胞におけるSpタンパク質のレベルを対照と比較することにより、本発明のSpタンパク質をダウンレギュレートする化合物を特定することができるであろう。そのような方法は当技術分野において公知で(66、67)、本明細書における下記の実施例に記載する。
本発明の化合物は、インビボでの投与に適した生物学的に適合した形でヒト対象に投与するための、薬学的組成物に適切に製剤する。したがって、もう一つの局面において、本発明は、本発明の化合物および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む薬学的組成物を含む。
本発明の化合物を含む組成物は、活性物質の有効量を薬学的に許容される媒体と合わせて混合物にするような、対象に投与することができる薬学的に許容される組成物のための公知の方法によって調製することができる。適当な媒体は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (2003 - 20th edition)および1999年発行の米国薬局方:国民医薬品集(USP 24 NF19)に記載されている。これに基づき、組成物は、それだけに限らないが、一つまたは複数の薬学的に許容される媒体または希釈剤と共に、適当なpHを有し、生理的液体と等浸透性の緩衝液中に含まれる、物質の溶液を含む。
本発明の方法に従い、当業者には理解されるであろう通り、記載される化合物、その塩または溶媒和物を、選択した投与経路に応じて様々な形で患者に投与してもよい。本発明の組成物は、例えば、経口、非経口、口腔内、舌下、鼻内、直腸内、パッチ、ポンプまたは経皮(局所)投与により投与してもよく、薬学的組成物をそれに応じて製剤する。非経口投与には、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経上皮、鼻内、肺内、くも膜下腔内、直腸内および局所様式の投与が含まれる。非経口投与は選択した期間の連続注入による投与であってもよい。
本発明の化合物は、例えば、不活性希釈剤もしくは同化性の食用担体と共に経口投与してもよく、またはゼラチン硬または軟カプセルに封入してもよく、または圧縮して錠剤としてもよく、または食事の食物と共に直接取り込んでもよい。経口での治療的投与のために、本発明の化合物を賦形剤と共に取り込み、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウェファーなどの形で用いてもよい。
本発明の化合物は非経口投与してもよい。本発明の化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合して、水中で調製することもできる。分散液をアルコールを含む、または含まないグリセロール、液体ポリエチレングリコール、DMSOおよびその混合物中、ならびに油中で調製することもできる。通常の保存および使用の条件下で、これらの製剤は微生物の成長を防止するための保存剤を含む。当業者であれば、適当な製剤をいかにして調製するかを知っているであろう。
注射のための使用に適した薬学的剤形には、滅菌水溶液または分散液および滅菌注射用溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末が含まれる。すべての場合に、剤形は滅菌されていなければならず、容易に注射器操作できる程度に流動性でなければならない。アンプルは都合のよい単位剤形である。
鼻内投与用の組成物は、エアロゾル、滴剤、ゲルおよび散剤として都合よく製剤してもよい。エアロゾル製剤は、典型的には生理的に許容される水性または非水性溶媒中の活性物質の溶液または微細懸濁液を含み、通常は密封容器中、滅菌された形の1回または複数回用量で提供され、容器は噴霧装置と共に用いるためのカートリッジまたはレフィルの形を取ることもできる。または、密封容器は1回用量の鼻内吸入器または使用後の廃棄が意図される計量弁が取り付けられたエアロゾルディスペンサーなどの単位投与装置であってもよい。剤形がエアロゾルディスペンサーを含む場合、圧縮空気またはフルオロクロロ炭化水素などの有機噴射剤などの圧縮ガスでありうる噴射剤を含む。エアロゾル剤形はポンプ噴霧器の形を取ることもできる。
口腔内または舌下投与に適した組成物には、錠剤、ロゼンジ、および香錠が含まれ、ここで活性成分を糖、アカシア、トラガカント、またはゼラチンおよびグリセリンなどの担体と共に製剤する。直腸内投与のための組成物は、好都合には、カカオ脂などの通常の坐剤基剤を含む坐剤の形である。
局所投与のための組成物は、例えば、プロピレングリコール、イソプロピルアルコール、鉱油およびグリセリンを含んでいてもよい。局所投与に適した製剤には、リニメント、ローション、塗布薬;クリーム、軟膏もしくはペーストなどの水中油もしくは油中水乳剤;または滴剤などの液剤もしくは懸濁剤などの液体または半液体製剤が含まれる。前述の成分に加えて、局所製剤は希釈剤、緩衝剤、着香剤、結合剤、界面活性剤、増粘剤、滑沢剤、保存剤、例えば、ヒドロキシ安息香酸メチル(抗酸化剤を含む)、乳化剤などの一つまたは複数の追加の成分を含んでいてもよい。
持続または直接放出組成物を、例えば、リポソームまたは活性化合物がマイクロカプセル化、多層コーティングなどの異なって分解可能なコーティングで保護されるものに製剤することができる。本発明の化合物を凍結乾燥して、得られた凍結乾燥物を、例えば、注射用製剤の調製のために用いることも可能である。
本発明の化合物を対象に、単独または前述の薬学的に許容される担体、および/もしくは他の精神病治療用の薬学的活性物質との組み合わせで投与してもよく、その比率は化合物の溶解性および化学的性質、選んだ投与経路、ならびに標準の薬学的慣習によって決定する。
本発明の式Iの化合物および/または組成物の用量は、化合物の薬力学的性質、投与の様式、受容者の年齢、健康および体重、症状の性質および程度、治療の頻度および併用治療があればそのタイプ、ならびに治療する動物における化合物のクリアランス速度などの多くの因子に応じて変動しうる。当業者であれば、前述の因子に基づいて適当な容量を決定することができる。式Iの化合物をまず、臨床反応に依存し、必要に応じて調節しうる適当な用量で投与してもよい。短期間、例えば、30分から1時間またはそれ以上の細胞のエクスビボ処理のために、長期インビボ療法よりも高い用量の化合物を用いてもよい。
式Iの化合物、またはその塩もしくは溶媒和物を単独または他の薬剤もしくは療法、例えば、癌を治療する薬剤もしくは療法、例えば、細胞毒性薬物、キナーゼ阻害剤、抗体および免疫療法、選択的受容体調節剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)ならびに酵素調節剤であるが、それらに限定されるわけではないものとの組み合わせで用いることができる。
下記の実施例は本発明をさらに詳細に例示するが、本発明は特定の実施例に限定されるものではないことが理解されるであろう。
実施例
実施例1〜6の材料と方法
融点はKoflerのホットステージ器具で測定した。1H NMRスペクトルはCDCl3中、Bruker Avance-400分光計で内部標準としてMe4Siを用いて実行した。分析および調製用に、TLCプレートにSilica Gel 60 GF (Merck)を塗布した。カラムクロマトグラフィ用のシリカはSelecto Scientificから入手した。微量元素分析をGuelph Chemical Laboratories Ltdにより行った。18β-グリチルレチン酸はAldrichから購入した。
実施例1
(a):3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸
Figure 0005610766
ジメチルスルホキシド(7mL、CaH2から新しく蒸留)中の18β-グリチルレチン酸(157mg、0.3333mmol)および2-ヨードキシ安息香酸(24)(373.4mg、1.333mmol、4当量)の混合物を85℃で加熱しながら21時間撹拌した。冷却後、溶液を水(100mL)に注ぎ、白色沈殿が生じた。この沈澱はEt2O(50mL)を加えても溶解しなかった。これを集め、水で洗浄し、エーテル層を回収し、乾燥して蒸発させた。乾燥後、沈澱をMeOH/CH2Cl2(1:9)で十分に洗浄した。得られた溶液を蒸発させ、得られた固体をエーテル抽出物から前に回収したものと合わせた。この材料(381.6mg)をEtOAc(5mL)で粉砕して流動性の微細な白色懸濁液とし、これをろ過してEtOAcで数回洗浄した。合わせたろ液を減圧下で蒸発させて白色固体(176.1mg)を得、これを溶離剤としてMeOH/CH2Cl2(1:19)を用いての調製規模のTLCにかけた。主なバンドから表題化合物を白色固体で得(133.1mg、85.5%)、これをMeOHから結晶化させて無色のプリズム(104.7mg)を得た。mp 270〜5℃。
Figure 0005610766
(b)3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸
Figure 0005610766
同様の様式で、3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸を18α-グリチルレチン酸(Sigma-Aldrichから購入した)から調製した。
実施例2
(a):メチル3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-オアート
Figure 0005610766
18β-グリチルレチン酸メチルを18β-グリチルレチン酸のジアゾメチル化により調製し、試料(161.6mg、0.3333mmol)を、親酸について実施例1で記載した通り、IBX試薬(373.4mg、1.333mmol、4当量)と反応させた。同様の後処理後、回収した生成物(375.7mg)をEtOAcで粉砕し、得られた懸濁液をろ過し、さらに溶媒で洗浄した。合わせたろ液を蒸発させてオフホワイトの固体(256.7mg)を得、これは調製用TLC(MeOH/CH2Cl2;1:19)で1つの主要なバンドを示した。このバンドから表題化合物を無色固体で得(155.3mg、96.9%)、これをMeOH/H2O(4:1)から結晶化させ、新鮮溶媒(3×0.5mL、いくらか可溶性)で洗浄して、澄明な扁平針状結晶(140.2mg)を得た。mp 192〜4℃。
Figure 0005610766
(b)メチル3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-オアート
Figure 0005610766
同様の様式で、メチル3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-オアートを18α-グリチルレチン酸メチルから調製した。
実施例3
(a):2-シアノ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸
Figure 0005610766
2-シアノ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-12-エン-30-酸を18β-グリチルレチン酸から以前に記載(25)の通りに調製し、無水ベンゼン(55mL)中のこの化合物およびDDQ(16)(247.0mg、1.088mmol)を撹拌しながら6時間加熱還流した。冷却後、反応混合物をろ過し、集めた固体をベンゼンで洗浄した。橙色のろ液および洗液を合わせ、蒸発させて、暗色のゴム状物を得、これはTLC(MeOH/CH2Cl2、1:19;またはEtOAc/ヘキサン、1:1、2回実施)で主生成物は1つであるが、多くの少量の生成物を示した。後者の条件を用いての調製用TLCにかけ、主要なバンドから材料を回収して、表題化合物(149.2mg、33.7%)を黄色ゴム状物で得、これは放置すると固化した。この材料をEtOAc/ヘキサンから2回結晶化して粒状の淡黄色固体(55.5mg)を得た。mp 195〜7℃。これは本質的に純粋であると思われた(TLCおよび1H NMRにより)。
Figure 0005610766
(b)2-シアノ-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸
同様の様式で、2-シアノ-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸を18α-グリチルレチン酸から調製した。
Figure 0005610766
実施例4
(a):メチル2-シアノ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-オアート
Figure 0005610766
メチル2-シアノ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-12-エン-30-オアートも18β-グリチルレチン酸メチルから以前に記載(25)の通りに調製し、無水ベンゼン(20mL)中のエステル(246.9mg、0.4863mmol)およびDDQ(134.1mg、0.5905mmol)の溶液を5時間加熱還流した。得られた澄明溶液は、冷却後、微細な錆色の固体を沈澱し、これをろ過した。ろ液を減圧下で蒸発させて澄明な橙色ゴム状物を得、これはTLC(EtOAc/ヘキサン;1:3)で1つの主要スポットを示した。このゴム状物を同じ溶離剤を用いての調製用TLCにかけ、2つのバンドを得た:主要バンドは本質的に純粋な(1H NMR)表題化合物(156.9mg、63.8%)を含み、わずかに極性の高いバンドはいくらかの表題化合物(1H NMR)および他の未同定材料(55.5mg)を含んでいた。前者をEtOAc/ヘキサンから結晶化して、小さい白色結晶の堅い塊を得た(137.9mg)。mp 243〜5℃。
Figure 0005610766
(b)メチル2-シアノ-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-オアート
同様の様式で、メチル2-シアノ-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-オアートを18α-グリチルレチン酸メチルから調製した。
Figure 0005610766
実施例5:メチル2-ヨード-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-オアート
Figure 0005610766
テトラヒドロフラン(10mL)中のメチル3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-オアート(437.6mg、0.9104mmol)、ヨウ素(462.2mg、1.821mmol)およびピリジン(216mg、2.73mmol)の混合物を撹拌し、5時間加熱還流した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、得られた暗色ゴム状物をCH2Cl2(25mL)に溶解した。この溶液を水酸化ナトリウム水溶液(2g/20mL)、水(10mL)、塩酸(濃HCl 7.5mL、水12.5mL)、水(10mL)および食塩水(20mL)で逐次洗浄した。次いで、溶液を硫酸ナトリウムで乾燥した。この溶液の分析用TLC(MeOH/CH2Cl2、1:49)により、1つの主要スポットと、基質に対応する極性の高い少量のスポットが認められた。溶液を減圧下で蒸発させて琥珀色の残渣を得(607.7mg)、これをCH2Cl2に溶解し、カラムクロマトグラフィ(SiO2、32-63mm、20g)にかけた。残存ヨウ素の痕跡をCH2Cl2で洗浄し、生成物をMeOH/CH2Cl2(3:47)で洗浄して回収した(534.0mg)。この白色固体をヘキサンから結晶化させて、表題化合物の無色針状結晶を得た(512.9mg、92.9%)。
Figure 0005610766
実施例6:メチル3,11-ジオキソ-2-トリフルオロメチル-18β-オレアナナ-1,2-ジエン-30-オアートの調製
Figure 0005610766
ジメチルホルムアミド(約15mL;N2雰囲気下、CaH2上で終夜撹拌することにより乾燥)をメチル3,11-ジオキソ-2-ヨード-18β-オレアナナ-1,2-ジエン-30-オアート(実施例5、216.8mg、0.3574mmol)およびヨウ化第1銅(166.6mg、0.8744mmol)を含む乾燥Schlenkチューブに減圧により移した。この混合物を減圧下で周囲温度まで昇温させ、次いでN2を導入した。いくらかの懸濁した固体を含む得られた溶液をN2雰囲気下で撹拌しながら70℃まで加熱し、フルオロスルホニルジフルオロ酢酸メチル(0.66mL、1.0g、5.2mmol)と、次いでヘキサメチルホスホラミド(1.0mL)をシリンジで加えた。得られた幾分混濁した溶液の撹拌を、N2雰囲気下で加熱しながら20時間続けた。
錆色固体の微細な懸濁液を含む反応溶液を冷却し、次いで飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)を加えた。得られた溶液をジエチルエーテルで3回(30、15、および15mL)抽出し;錆色固体は分液漏斗の壁に付着した。合わせたエーテル抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
乾燥した抽出液を減圧下で蒸発させて無色の油状固体を得、これを調製用TLC(Merckシリカ、溶離剤MeOH/CH2Cl2、1:99)にかけた。得られたプレートは1つの主要バンドと、少量の非常に極性の高いバンドを示した。主要バンドを回収し、MeOH/CH2Cl2(1:19)で溶出した。溶媒を減圧下で蒸発させて無色結晶性固体を得(172.0mg)、これをヘキサンから結晶化させてメチル3,11-ジオキソ-2-トリフルオロメチル-18β-オレアナナ-1,2-ジエン-30-オアートの澄明で頑丈な針状結晶を得た(150.4mg):mp 221〜223℃(208℃から昇華を伴う)。
Figure 0005610766
実施例7:本発明の化合物の大腸癌細胞株に対する効果
細胞株
ヒト大腸癌細胞株SW480およびHT29はDr. Stan Hamilton, M. D. Anderson Cancer Center (Houston, TX)から提供を受けた;SW-480およびHT-29細胞を、0.22%炭酸水素ナトリウム、0.011%ピルビン酸ナトリウム、および5%ウシ胎仔血清、ならびに10ml/l 100×抗生物質抗真菌薬溶液(Sigma-Aldrich)を補足し、フェノールレッドを含むダルベッコ改変イーグル培地とHam's F12との栄養混合物(DMEM/Ham's F-12;Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)中で維持した。細胞を5%CO2存在下、37℃で維持した。
抗体および試薬
ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ、サイクリンD1、p27、p21、カベオリン1、KLF4およびGrp78の抗体はSanta Cruz Biotechnology, Inc. (Santa Cruz, CA)から購入した。NAG-1はUpstate Biotechnology (Charlottesville, VA)から購入した。モノクローナルβ-アクチン抗体はSigma-Aldrichから購入した。レポーター溶解緩衝液およびルシフェラーゼ試験用のルシフェラーゼ試薬はPromega (Madison, WI)から供給された。β-ガラクトシダーゼ(β-Gal)試薬はTropix (Bedford, MA)から入手し、LipofectAMINE試薬はInvitrogen (Carlsbad, CA)から購入した。Western Lightning化学発光試薬はPerkinElmer Life and Analytical Sciences (Boston, MA)から入手した。PPARγアンタゴニスト、2-クロロ-5-ニトロ-N-フェニルベンズアミド(GW9662)およびN-(4'-アミノピリジル)-2-クロロ-5-ニトロベンズアミド(T007)はChem. Biol. 1997, 4(12):909-918に記載の方法を用いて合成し、それらの同一性および純度(>98%)はガスクロマトグラフィ-質量分析によって確認した。
プラスミド
5×Gal4応答配列を含むGal4レポーター(pGal4)はDr. Marty Mayo (University of North Carolina, Chapel Hill, NC)から提供を受けた。Gal4DBD-PPARγ作成物(gPPARγ)はDr. Jennifer L. Oberfield (GlaxoSmithKline Research and Development, Research Triangle Park, NC)からいただいた。PPRE3-luc作成物は3つの縦列PPREを含んでおり、pGL2におけるTATA配列は最小限である。
形質移入およびルシフェラーゼアッセイ
大腸癌細胞株SW480およびHT29(1×105細胞/ウェル)を12穴プレートの2.5%活性炭処理FBSを補足したDMEM/Ham's F-12培地中に播種した。16時間後、様々な量のDNA[すなわち、Gal4Luc(0.4μg)、β-Gal(0.04μg)、Gal4PPARおよびPPRE3-Luc(0.04μg)]をLipofectAMINE(商標)試薬(Invitrogen)を製造者のプロトコルに従って用いて形質移入した。形質移入の5時間後、形質移入混合物を媒体(DMSO)または指定のリガンドのいずれかを含む完全培地に置き換えて、20から22時間置いた。次いで、細胞を1×レポーター溶解緩衝液100μlで溶解し、細胞抽出物30μlをルシフェラーゼおよびβ-Galアッセイに用いた。LumiCount(商標)光度計(PerkinElmer Life and Analytical Sciences)を用いてルシフェラーゼおよびβ-Gal活性を定量し、ルシフェラーゼ活性をβ-Gal活性に対して標準化した。結果は、各処理群について少なくとも3回の反復測定の平均±S.E.で表す。
哺乳動物2ハイブリッドアッセイ
SW480およびHT29細胞株を12穴プレートの2.5%活性炭処理ウシ胎仔血清を補足したDMEM/F-12培地中に1×105細胞/ウェルで播種した。16時間培養した後、様々な量のDNA、すなわち、Gal4Luc(0.4μg)、β-gal(0.04μg)、VP-PPARγ(0.04μg)、pMSRC1(0.04μg)、pMSRC2(0.04μg)、pMSRC3(0.04μg)、pMPGC-1(0.04μg)、pMDRIP205(0.04μg)、およびpMCARM-1(0.04μg)をLipofectAMINE(Invitrogen)により製造者のプロトコルに従って形質移入した。形質移入の5時間後、形質移入混合物を媒体(DMSO)または指定のリガンドのいずれかを含む完全培地に置き換えて、20から22時間置いた。次いで、細胞を1×レポーター溶解緩衝液100mlで溶解し、細胞抽出物30μlをルシフェラーゼおよびβ-ガラクトシダーゼアッセイに用いた。Lumicountを用いてルシフェラーゼおよびβ-ガラクトシダーゼ活性を定量し、ルシフェラーゼ活性をβ-ガラクトシダーゼ活性に対して標準化した。
細胞増殖アッセイ
SW480およびHT29細胞株を(2×104)12穴プレートに播種し、翌日、培地を2.5%活性炭処理FBSおよび媒体(DMSO)または指定のリガンドのいずれかを含むDMEM/Ham's F-12培地におきかえ、DMSOに溶解した。新鮮培地および化合物を48時間毎に加えた。細胞を指定の時間にCoulter Z1細胞計数器を用いて計数した。各実験は3回行い、結果は各測定の平均±S.E.で表す。
ウエスタンブロット分析
SW-480およびHT-29(3×105)細胞を6穴プレートの2.5%活性炭処理FBSを含むDMEM/Ham's F-12培地中に播種して24時間培養し、次いで媒体(DMSO)または指定の化合物のいずれかで処理した。全細胞溶解物を高塩濃度緩衝液[50mM HEPES、500mM NaCl、1.5mM MgCl2、1mM EGTA、10%グリセロール、および1%トリトンX-100、pH7.5、ならびに5μl/mlプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma-Aldrich)]を用いて得た。タンパク質試料を100℃で2分間インキュベートし、10%SDS-PAGEにより1×泳動緩衝液(25mMトリス-塩基、192mMグリシン、および0.1%SDS、pH8.3)、120Vで3から4時間分離し、2フッ化ポリビニリデン膜(PVDF;Bio-Rad, Hercules, CA)に、1×転写緩衝液(48mMトリス-HCl、39mMグリシン、および0.025%SDS)、0.1V、4℃で16時間転写した。PVDF膜を5%TBST-Blotto(10mMトリス-HCl、150mM NaCl、pH8.0、0.05%トリトンX-100、および5%脱脂粉乳)中、ゆっくり振盪しながら30分間ブロックし、次いで新鮮5%TBST-Blotto中、1:1000(カベオリン-1、p27、p21、サイクリンD1、Grp78)、1:500(KLF4、NAG-1)、1:250(PARP)、および1:5000(β-アクチン)一次抗体と共に4℃でゆっくり振盪しながら終夜インキュベートした。TBSTで10分間洗浄した後、PVDF膜を5%TBST-Blotto中、二次抗体(1:5000)と共に90分間インキュベートした。膜をTBSTで10分間洗浄し、化学発光基質(PerkinElmer)10mlと共に1.0分間インキュベートし、Kodak X-OMAT ARオートラジオグラフィフィルム(Eastman Kodak, Rochester, NY)に曝露した。
結果
β-DODA(実施例1(a))、β-CDODA(実施例3(a))およびそれらの対応するメチルエステル誘導体(実施例2(a)および4(a))の成長阻害効果をHT-29およびSW480両方の大腸癌細胞株で調べた。β-DODAおよびβ-DODA-MeのIC50値は、SW480細胞ではそれぞれ25および10μMで、HT-29細胞ではIC5O値はほぼ同等(それぞれ20〜30および5〜10μM)であった。2-シアノ置換類縁体はSW480細胞増殖のより強力な阻害剤で、β-CDODAおよびβ-CDODA-MeのIC50値はそれぞれ2.5〜5.0ならびに0.2および0.5μMであった。HT-29細胞におけるβ-CDODAおよびβ-CDODA-Meの対応するIC50値はそれぞれ1.0および0.2から0.5μMで、この細胞株はSW480細胞よりもβ-CDODAの成長阻害効果に対して敏感であることを示していた。以前の試験はCDDOおよびCDDO-MeがいずれもGAL4-PPARγ/GAL4-Lucを形質移入したSW480細胞においてルシフェラーゼ活性を誘導することを示し(22)、図1の結果は本発明のGA誘導体によるPPARγの活性化をまとめている。β-CDODA-Me(1〜5μM)はPPARγを有意に活性化し、最大18倍のルシフェラーゼ活性を誘導したが、20〜30μMのβ-CDODAは<4.5倍の活性増大しか誘導せず、30μMまでのβ-DODAおよびβ-DODA-Meはトランス活性化を増強しなかった。このPPARγ依存的アッセイの誘導倍率はHT-29細胞では低いが、図2の結果から、CDDO-Me(22)と同様、β-CDODA-Meおよびβ-CDODAはGAL4-PPARγ/GAL4-Lucを形質移入したこの細胞株でトランス活性化を誘導するが、β-DODAおよびβ-DODA-Meは最低限の活性しか示さないことが明らかであった。より反応性の高いSW480細胞で同様のトランス活性化系を用いて、1.0、2.5および5.0のβ-CDODA-Meならびに10、20および30μMのβ-CDODAによるルシフェラーゼ活性の誘導はPPARγアンタゴニストであるT007との同時処理後に阻害された(図3)。β-CDODA-Meおよびβ-CDODAはいずれもPPRE3-Lucを形質移入したSW480細胞においてトランス活性化を誘導し、これらの反応はPPARγアンタゴニストであるT007およびGW9662との同時処理後に阻害されることも判明した(図4)。これらの結果は、β-CDODAおよびβ-CDODA-MeはいずれもPPARγを活性化するが、DODAまたはDODA-Meは活性化しないことを示しており、このことはこれらの合成トリテルペンにおける成長阻害およびPPARγ依存的活性の両方に対する2-置換基(例えば、2-シアノ置換基)の有益な効果を示すものである。GAL4-コアクチベーターおよびVP-PPARγ(リガンド結合ドメイン)キメラを形質移入したSW480細胞における哺乳動物2ハイブリッドアッセイで、PPARγといくつかのコアクチベーター/コリプレッサーとの間の相互作用に対するβ-CDODA-Meの効果も調べた。結果(図5)は、β-CDODA-MeはコアクチベーターPGC-1およびSRC-1を含むGAL4-キメラを形質移入した細胞でのみトランス活性化を誘導したが、SRC-2、SRC-3、CARM1、TRAP220およびSMRTのPPARγとのリガンド誘導性相互作用は観察されなかったことを示している。後者の化合物が同じ細胞株においてVP-PPARγとSRC1、SRC2、SRC3、PGC1、TRAP220、CARM1およびSMRTを含むGAL-4コアクチベーター/コリプレッサーキメラとの間の相互作用を誘導した(22)ため、これらの結果は、β-CDODA-MeをCDDO-Meから明白に区別している。
細胞増殖およびアポトーシスに関連する様々なタンパク質に対するβ-CDODA-Meの効果も、SW480細胞において0.5〜5.0μMの範囲の濃度で調べた(図6)。タンパク質発現のパターンはCDDO-Meについて以前に報告された通り濃度依存的で、ここでアポトーシスの指標であるPARP切断は高濃度(2.5および5.0μM)でのみ観察され、これはSW480細胞増殖に対するβ-CDODA-Meの全般的効果と同様であった。サイクリンD1およびp21タンパク質発現は0.5または1μMのβ-CDODA-Meによる処理後に変化がなかったが、両タンパク質の発現は高用量(2.5および5.0μM)では低下した。これとは対照的に、p27タンパク質では全範囲の濃度で用量依存的増加が見られたが、ERストレスの指標であるGRP78タンパク質の誘導は観察されなかった。大腸癌細胞においていくつかのPPARγアゴニストにより誘導された腫瘍抑制遺伝子であるNAG-1(23、28〜30)は、SW480細胞においてβ-CDODA-Meによって誘導されなかった。加えて、腫瘍抑制遺伝子KLF4の0.5〜7.5μMのβ-CDODA-Meによる誘導が観察された(図6)。別の実験における高用量のβ-CDODA(10〜40μM)で、10〜20μMよりも高い濃度でのみ誘導されるPARP切断およびKLF4の誘導が観察された(図7)。したがって、β-CDODAおよびβ-CDODA-MeはいずれもKLF4を誘導するが、後者の化合物の方が明らかにより強力な類縁体であり、その後の試験でこのクラスのPPARγ活性トリテルペノイドのプロトタイプとして用いた。
以前の試験から、CDDO-Meおよび関連化合物ならびに他のPPARγアゴニストはHT-29およびSW480大腸癌細胞においてカベオリン-1を誘導することが明らかにされた(22)。カベオリン-1は大腸癌細胞において腫瘍抑制遺伝子としてはたらき、細胞/腫瘍(インビボ)の成長を阻害する(76、77)。カベオリン-1は大腸癌細胞においてPPARγアゴニストによる長期処理後にのみ誘導され、図8の結果は、CDDO/CDDO-Meはいずれも3日間の処理後にカベオリン-1タンパク質を誘導するが、β-CDODA-MeはSW480細胞におけるカベオリン-1の発現に影響を及ぼさなかったことを示している。これはいくつかの反復実験で観察され、SW480細胞においてCDDO/CDDO-Meからβ-CDODA-Meを明らかに区別するものである。
アポトーシスならびにカベオリン-1、NAG-1およびKLF4の誘導に対するβ-CDODA-Me効果をHT-29細胞でも調べた。結果(図9)は、β-CDODA-Meによる24時間の処理後に、NAG-1およびKLF4タンパク質の誘導を伴うPARP切断の誘導が見られたことを示している。これらの腫瘍抑制遺伝子の誘導は濃度依存的であり、NAG-1タンパク質レベルは高濃度(5μM)で低下したことに留意すべきである。さらに、HT-29細胞をβ-CDODA-Meにより3日間処理すると、カベオリン-2の誘導も引き起こした。これらの結果は、細胞の状況もβ-CDODA-Meの活性における重要な因子であることを示しており、カベオリン-1はHT-29大腸癌細胞では誘導されたが、SW480細胞では誘導されなかった。
KLF4はSW480およびHT-29細胞の両方でβ-CDODA-Meにより誘導され、最近の試験はPPARγアゴニストである15-デオキシ-Δ12,14-プロスタグランジンJ2(PGJ2)もHT-29においてKLF4を誘導すると報告した。しかし、PGJ2によるKLF4の誘導はPPARγとは無関係で、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)の活性化を伴った(22)。図10および11の結果は、β-CDODA-Meによる処理はSW480およびHT-29細胞においてKLF-4タンパク質を誘導し、PPARγアンタゴニストであるT007との同時処理は両方の細胞株でこの誘導反応を阻止することを示している。これとは対照的に、T007はSW480細胞においてβ-CDODA-Meが誘導したサイクリンD1、p27のダウンレギュレーション、またはPARP切断に影響をおよぼさず(図10)、SW480細胞におけるアポトーシスのPPARγに無関係な誘導が同じ細胞株においてCDDO-Meで以前に報告されている(22)。図12の結果は、HT-29細胞におけるNAG-1およびPARP切断の誘導はT007との同時処理後に影響を受けなかったが、β-CDODA-Meによるカベオリン-1の誘導はT007との同時処理後に阻害されたことを示している(図13)。これらの結果は、β-CDODA-MeはCDDO/CDDO-Meと同様に、大腸癌細胞において受容体依存的および受容体とは無関係の両方の成長阻害/アポトーシス効果を誘導する(22)が、それらの構造上の類似性にもかかわらず、これらの化合物は細胞の状況に依存する異なる反応および重複する反応の両方を誘導し、これは選択的PPARγ調節剤の特徴であることを示している。
考察
PPARγおよび核内受容体スーパーファミリーの他のメンバーは、重要な受容体-タンパク質および受容体-DNA相互作用に必要ないくつかの領域およびドメインを含むそれらのモジュール式構造によって特徴づけられる(78〜79)。核内受容体は典型的にはNおよびC末端活性化機能(それぞれAF1およびAF2)、DNA結合ドメインならびに柔軟なヒンジ領域を含む。受容体リガンドを加えると、通常は、標的遺伝子のプロモーター領域における同族応答配列を結合し、転写を活性化する、転写活性核内受容体複合体の生成を引き起こす。しかし、受容体仲介性トランス活性化は、共役調節タンパク質(例えば、コアクチベーター)の細胞の状況に特異的な発現、遺伝子プロモーターの到達性およびリガンド構造を含むいくつかの因子に依存する(80)。受容体リガンドの複雑な薬理は、部分的には、共役調節因子と異なって相互作用して組織特異的アゴニストおよび/またはアンタゴニスト活性を示しうる、結合した受容体複合体におけるそれらの構造依存的な配座の変化による(80、81)。これは、特定の受容体仲介性反応を選択的に活性化または阻止することができる、いくつかの核内受容体の選択的受容体調節剤(SRM)の開発につながっている。
PPARγアゴニストの異なる構造クラスもSRMであり、組織特異的な受容体依存的および受容体とは無関係の反応を誘導するとの証拠がある。例えば、HCT116大腸癌細胞におけるNAG-1のPGJ2による誘導はPPARγ依存的であったが、トログリタゾンおよびPPARγ活性1,1-ビス(3'-インドリル)-1-(p-置換フェニル)メタン(C-DIM)も同じ細胞株において受容体とは無関係な経路によりNAG-1発現を増強した(22、82、83)。PGJ2とロシグリタゾンとの間の相違もVP-PPARγおよびGAL4-コアクチベーターキメラを形質移入したCOS-1細胞における哺乳動物2ハイブリッドアッセイで観察されており、大腸癌細胞において、ロシグリタゾンおよびPPARγ活性C-DIMも異なるパターンの受容体-コアクチベーター相互作用を誘導した(84、85)。以前の試験から、合成トリテルペノイドであるCDDOおよびCDDO-Meは複数の細胞株において強力な抗癌剤であり、これらの化合物はPPARγ依存的およびPPARγとは無関係な経路により作用することが明らかにされている(20〜22、86〜88)。さらに、SW480および他の大腸癌細胞株において、CDDOおよびCDDO-Meによって誘導された受容体依存的(カベオリン-1誘導)および受容体には無関係(アポトーシス)な反応は濃度依存的であり、それぞれ低用量および高用量で観察された。本開示において、グリチルレチン酸由来の2つの合成化合物であるβ-CDODAおよびβ-CDODA-Meの活性を報告する。CDDO/CDDO-Meおよびβ-CDODA/β-CDODA-Meは五環式オレアノラン基本骨格を有する異性体であるが、二つの化合物群の間には著しい構造上の相違がある。β-CDODAおよびβ-CDODA-Meでは、カルボキシル置換基はC-20にあるのに対し、CDDO/CDDO-MeではC-17にあり、C-18のE-D環縮合の立体化学およびC環におけるα,β-不飽和ケトン部分もCDDOに比べてGA誘導体では異なっている。初期の試験では、β-CDODAおよびβ-CDODA-MeはSW480およびHT-29大腸癌細胞の成長を阻害することが示され、2位の置換基(例えば、2-シアノ基)の付加はそれらのデス-シアノ類縁体であるβ-DODAおよびβ-DODA-Meに比べて成長阻害効果を増強することが明らかであり、これはβ-CDODAよりもβ-CDODA-Meの方が顕著であった。CDDO/CDDO-Meと同様、β-CDODAおよびβ-CDOODA-Meもトランス活性化アッセイにおいてPPARγを活性化し、β-CDODA-MeおよびCDDO-Meによる誘導反応の強度はほぼ同等であった。CDDO-MeはSW480細胞における成長阻害およびトランス活性化アッセイの両方でβ-CDODA-Meよりも低用量で活性であった。β-CDODAはこれらの同じアッセイでβ-CDODA-MeまたはCDDOのどちらよりも効力が低く、したがって主としてさらに詳細な試験のために用いた。
β-CDODA-MeはSW480およびHT-29細胞の成長を低下させ、両細胞株でPPARγとは無関係のPARP切断を誘導した。β-CDODA-MeはSW480細胞においてCDDO-Meよりも効力が低かった(22)が、それにもかかわらず、新しく合成したGA誘導体は大腸癌細胞において強力な抗癌剤であり、細胞の生存およびアポトーシスに対して高いnMから低いμMの範囲で効果を有していた。β-CDODA-MeはSW480およびHT-29細胞の両方で腫瘍抑制遺伝子KLF4を誘導し、この反応はPPARγ依存的でT007によって阻害された。これらの結果は、β-CDODA-Meと、同様にHT29細胞においてKLF4を受容体とは無関係の経路により誘導したPGJ2(89)とを明らかに区別するものである。β-CDODA-MeとCDDO-Meとの相違がSW480細胞で観察された。CDDO-MeはSW480細胞でカベオリン-1を誘導するが、β-CDODA-Meは誘導せず(22)(図8)、その一方で両方の化合物はHT-29細胞ではカベオリン-1を誘導し(22)(図13)、カベオリン-1の誘導はGW9662によって阻害された。したがって、カベオリン-1タンパク質発現の活性化におけるβ-CDODA-MeとCDDO-Meとの相違も細胞の状況に依存していた。これらの結果は、オレアノール酸由来の2つのPPARγアゴニスト群の間の構造上の相違に一致しており、GAは哺乳動物2ハイブリッドアッセイにおけるVP-PPARγ-GAL4-コアクチベーター相互作用に対するそれらの効果にも相関している(図5)。β-CDODA-MeはPPARγのSRC-1およびPGC-1だけとの相互作用を誘導するが、CDDO-Meは図5に示すすべてのコアクチベーターとの相互作用を誘導する(22)。したがって、本試験の結果は、CDODA-Meは、大腸癌細胞においてPPARγ依存的およびPPARγとは無関係の両方の反応を誘導する、新しいクラスの選択的PPARγ調節剤であることを示している。以前の報告は、大腸癌細胞におけるKLF4発現は、腺腫様多発結腸ポリープ遺伝子の過剰発現および腫瘍抑制ホメオドメインタンパク質CDX2によって調節されることを示した(42)。さらに、APCもCDX2発現を増強し、KLF4活性化のためのAPC-CDX2-KLF4の連鎖を示唆している。本試験において、KLF4発現はPPARγ依存的経路を通してβ-CDODA-Meによっても増強されることが明らかとなった。
実施例8:本発明の化合物の膵臓細胞株に対する効果
細胞毒性α-およびβ-CDODA-Me異性体(それぞれ実施例4(b)および4(a))膵臓癌細胞も調べた。図14は、参考標準のためのSW580大腸癌細胞と共にPanc28膵臓癌細胞におけるα-およびβ-CDODA-Meの成長阻害効果を示している。α-およびβ-CDODA-MeのIC50値は、SW480細胞ではそれぞれ0.5および0.2〜0.5μMで、Panc28膵臓癌細胞では0.5〜1.0および1〜2.5μMであった。これとは対照的に、対応するα-CDODAおよびβ-CDODA(それぞれ実施例3(b)および3(a))ならびにシアノ基を含まない類縁体はα-およびβ-CDODA-Me異性体の4〜20分の1の毒性であった。これらのデータは、他の癌細胞株で現在進行中の試験と併せて、IC50値は高いnMから低いμM濃度まで変動することを示している。
実施例9:本発明の化合物のSpタンパク質分解に対する効果
Sp1、Sp3およびSp4などのSpタンパク質は癌細胞において高度に発現され、Sp1は非腫瘍組織に比べて複数の腫瘍で過剰発現される。Sp1(iSp1)、Sp3(iSp3)およびSp4(iSp4)の低分子干渉RNAを用いたRNA干渉実験による研究から、これらのタンパク質は細胞周期の進行、血管形成および生存に必要であることが明らかにされている(72、67)。続く試験では、Spタンパク質の分解を通して作用する薬剤として、COX-2阻害剤であるセレコキシブ、トルフェナム酸および構造的に関連するNSAID、ならびに天然の抗癌剤であるベツリン酸が特定された。例えば、ベツリン酸は前立腺癌細胞および腫瘍においてSpタンパク質分解を活性化し、これはサービビン(抗アポトーシス)、VEGF(血管形成)、および細胞周期遺伝子のSp依存的発現の低下を伴う。他の試験において、VEGF受容体1(VEGFR1)およびVEGF2発現はSp依存的であり、Spタンパク質の化学物質で誘導したダウンレギュレーションは癌細胞におけるVEGFR1およびVEGFR2レベルの低下を引き起こすことが明らかにされている。本明細書において、β-CDODA-Meの作用の根源的メカニズムの一部もSpタンパク質分解によることが示されている。図15の結果は、Panc28細胞のβ-CDODA-Meによる処理後、Panc28細胞におけるSp1、Sp3およびSp4タンパク質発現の濃度依存的低下が見られたことを示しており、これはVEGF発現の並行する低下およびカスパーゼ依存的アポトーシスの誘導を伴っていた(PARP切断)(図16)。Panc28細胞におけるSpタンパク質発現に対するβ-CDODA-Me依存的効果はPPARγアンタゴニスト(図15A)またはプロテアソーム阻害剤であるラクタシスチン(図15B)によって阻止されなかった。ベツリン酸は前立腺癌細胞/腫瘍においてSpタンパク質のプロテアソーム依存的分解を誘導するが、これらの試験において、Panc28細胞では、β-CDODA-MeのSpタンパク質に対する効果はプロテアソームに無関係であることが明白であった。
RKO細胞におけるβ-CDODA-MeのSpタンパク質レベルに対する効果(図17)および結果はPanc28細胞で観察されたものと同様であった。β-CDODA-Meはこれらの細胞においてSpタンパク質発現を低下させ、これはVEGFタンパク質発現の低下を伴っていた。これらの結果から、β-CDODA-Meは大腸および膵臓の両方の癌細胞におけるSp1、Sp3およびSp4タンパク質の減少も誘導し、それによりベツリン酸およびトルフェナム酸で報告されたものと同様の活性を示すことが確認される。しかし、RKOおよびPanc28細胞の両方において、Spタンパク質発現はプロテアソームとは無関係の経路を通して低下した。したがって、本発明の化合物が癌細胞および腫瘍の成長を阻害するメカニズムの一つはSpタンパク質発現を通してであり、Sp依存的遺伝子発現を標的とすることによる成長阻害、細胞生存の低下、および抗血管形成経路の誘導を引き起こす。
実施例9:本発明の化合物の前立腺癌細胞株に対する効果
材料と方法
細胞株:LNCaPヒト前立腺癌細胞はAmerican Type Culture Collection (Manassas, VA)から入手した。ウシ胎仔血清はJRH Biosciences, Lenexa, KSから入手した。LNCaP細胞を、0.22%炭酸水素ナトリウム、0.011%ピルビン酸ナトリウム、0.45%グルコース、0.24%HEPES、10%FBS、および10mL/Lの100×抗生物質/抗真菌剤溶液(Sigma)を補足したRPMI 1640(Sigma Chemical, St. Louis, MO)中で維持した。細胞を5%CO2存在下、37℃で維持した。
抗体および試薬:ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ、サイクリンD1、p27、FKBP51、AR、ATF3、Aktおよびカベオリン-1の抗体はSanta Cruz Biotechnology, Inc. (Santa Cruz, CA)から購入した。PSAはDako Denmark A/S (Glostrup, Denmark)から入手し;NAG-1はUpstate Biotechnology (Charlottesville, VA)から購入し;EGR-1、pAKT、pERK、ERK、pJNK、JNKはCell Signaling Technology Inc. (Danvers, MA)から入手した。モノクローナルβ-アクチン抗体およびジヒドロテステロンはSigma-Aldrichから購入した。ルシフェラーゼ試験用のレポーター溶解緩衝液およびルシフェラーゼ試薬はPromega (Madison, Wl)から購入した。β-ガラクトシダーゼ(β-Gal)試薬はTropix (Bedford, MA)から入手し、リポフェクタミン試薬はInvitrogen (Carlsbad, CA)から供給された。Western Lightning化学発光試薬はPerkin-Elmer Life Sciences (Boston, MA)からのものであった。PPARγアンタゴニストであるN-(4'-アミノピリジル)-2-クロロ-5-ニトロベンズアミド(T007)は本研究室で合成し、GA誘導体の合成は以前に記載されている(90)。
細胞増殖およびDNA断片化アッセイ:LNCaP前立腺癌細胞(2×104/ウェル)を12穴プレートに加え、24時間接着させた。次いで、培地を2.5%活性炭処理FBSを含むDMEM/Ham's F-12培地に換え、媒体(DMSO)または指定のC-DIMのいずれかを加えた。新鮮培地および指定の化合物を48時間毎に加え、次いで細胞を2、4、および6日後にトリプシン処理し、Coulter Z1細胞計数器(Beckman Coulter, Fullerton, CA)を用いて計数した。各実験は3回行い、結果は3回の実験群それぞれの平均±S.E.で表す。DNA断片化アッセイをBioVision Apoptotic DNAラダー抽出キット(BioVision, Mountain View, CA)を用い、製造者のプロトコルに従って行った。
形質移入:5×Gal4応答配列を含むGal4レポーター作成物(pGal4)はDr. Marty Mayo (University of North Carolina, Chapel Hill, NC)から提供を受けた。Gal4DBD-PPARγ作成物はDr. Jennifer L. Oberfield (Glaxo Wellcome Research and Development, Research Triangle Park, NC)からいただいた。PPRE-luc作成物は3つの縦列PPREを含んでおり、pGL2におけるルシフェラーゼ遺伝子に連結されたTATA配列は最小限である。アンドロゲン受容体プロモーターの-5400から+580領域を含むAR-luc作成物はDr. Donald J. Tindall (Mayo Clinic, Rochester, MN)から提供を受け、PSAプロモーターの5.8キロベース領域を含むPSA-luc作成物はDr. Hong-Wu Cheng (University of California, Davis, CA)から提供を受けた。LNCaP細胞(1×105)を12穴プレートの2.5%活性炭処理FBSを補足したDMEM/Ham's F-12培地中に播種して終夜培養した。一過的形質移入をLipofectamine試薬(Invitrogen)を用い、製造者によるプロトコルに従って行った。形質移入試験は0.4μgのGal4Luc、0.04μgのβ-ガラクトシダーゼ、0.04μgのGal4DBD-PPARγ、0.4μgのAR-luc、および0.3μgのPSA-lucを用いて実施した。形質移入の6時間後、形質移入混合物を媒体(DMSO)または指定のリガンドのいずれかを含む完全培地で置き換え、20から22時間置いた。次いで、細胞を1×レポーター溶解緩衝液100μlで溶解し、細胞抽出物30μlをルシフェラーゼおよびβ-ガラクトシダーゼアッセイに用いた。LumiCount光度計(PerkinElmer Life and Analytical Sciences)を用いてルシフェラーゼおよびβ-ガラクトシダーゼ活性を定量し、ルシフェラーゼ活性をβ-ガラクトシダーゼ活性に対して標準化した。
リアルタイムPCR:全RNAをRNeasy Protect Miniキット(QIAGEN, Valencia, CA)を用い、製造者のプロトコルに従って単離した。RNAを30μlのRNアーゼを含まない水で溶出し、-80℃で保存した。RNAをSuperscript II逆転写酵素(Invitrogen)を用い、製造者のプロトコルに従って逆転写した。cDNAをLNCaP細胞株からオリゴデオキシチミジル酸およびdNTP混合物(Applied Biosystems, Foster City, CA)とSuperscript II(Invitrogen)との組み合わせを用いて調製した。各PCRを、ABI Prism 7700配列検出システム(Applied Biosystems)において、SYBR Green Master混合物(Applied Biosystems)を25μlの量で用い、最初の変性のために95℃で15分間、続いて95℃で30秒と60℃で1分間を40サイクルで3回行った。短い加熱プロトコル(95℃で15秒および60℃で20秒と、続いて95℃までゆっくり上昇)の後にABI Dissociation Curvesソフトウェアを用いて、各PCR増幅における複数の種を制御した。試料の相対的定量のために比較CT法を用いた。各遺伝子の値をTATA結合タンパク質の発現レベルに対して標準化した。プライマーはIntegrated DNA Technologies (Coralville, IA)から購入した。逆転写PCRに用いたプライマーの配列は下記の通りであった。
AR順方向、
Figure 0005610766
およびAR逆方向、
Figure 0005610766
;PSA順方向、
Figure 0005610766
およびPSA逆方向、
Figure 0005610766
;ならびにTATA結合タンパク質順方向、
Figure 0005610766
および逆方向、
Figure 0005610766
ウエスタンブロット分析:細胞を2.5%活性炭処理FBSを含むDMEM:Ham's F-12培地中に播種して24時間培養し、次いで媒体(DMSO)または指定の化合物のいずれかで処理した。細胞を高塩濃度溶解緩衝液150μl(50mM HEPES、0.5M NaCl、1.5mM MgCl2、1mM EGTA、10%(v/v)グリセロール、1%(v/v)トリトンX-100および5μL/mlプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)中でかき取ることにより集めた。溶解物を氷上で間欠的にボルテックスにかけながら1時間インキュベートし、続いて20,000g、4℃で10分間遠心分離した。電気泳動の前に、試料を100℃で3分間煮沸し、タンパク質の量を求め、レーンごとに60μgのタンパク質をのせた。試料を10%ゲル、120VのSDS-PAGEに3から4時間かけた。タンパク質を2フッ化ポリビニリデン膜(PVDF;Bio-Rad, Hercules, CA)に、1×転写緩衝液(48mMトリス-HCl、39mMグリシン、および0.025%SDS)、0.9amp、4℃で90分間転写した。膜を5%TBST-Blotto(10mMトリス-HCl、150mM NaCl(pH8.0)、0.05%トリトンX-100および5%脱脂粉乳)で30分間ブロックし、次いで新鮮5%TBST-Blotto中、一次抗体と共に4℃でゆっくり振盪しながら終夜インキュベートした。TBSTで10分間洗浄した後、PVDF膜を5%TBST-Blotto中、二次抗体(1:5000)と共に2〜3時間インキュベートした。膜をTBSTで10分間洗浄し、化学発光基質(PerkinElmer Life Science)10mlと共に1.0分間インキュベートし、ImageTeK-H医用撮像フィルム(Eastman American X-ray Supply, Inc.)に曝露した。
統計分析:異なる群間の統計学的差の有意性についてANOVAおよびシェッフェ法により評価した。データは各処理群について少なくとも3回の別の測定の平均±S.E.で表す。
結果
(a)細胞増殖およびPPARγの活性化
β-DODA(実施例1(a))はLNCaP細胞成長の最小限の阻害を示し、そのIC50値は>15μMであったが、対応するメチルエステル誘導体(実施例2a)のIC50は10〜15μMの間であった(図18A)。β-CDODA-Meへの2-シアノ基の導入(実施例4(a))は細胞毒性を少なくとも一桁高め、LNCaP細胞におけるIC50値は約1μMであった(図18A)。これらの結果は大腸癌細胞で観察されたもの(実施例7)と同様であり、GA誘導体の細胞毒性を仲介する上での2-置換の重要性を示している。β-CDODA-MeによるPPARγ依存的トランス活性化の誘導を、PPARγ-GAL4/GAL4-LucまたはPPRE3-Luc作成物を形質移入し、1〜5μM濃度で処理したLNCaP細胞でも調べた。β-CDODA-Meはルシフェラーゼ活性を有意に誘導し(図18B)、β-CDODA-Meおよび10μM T007(PPARγアンタゴニスト)で同時処理した細胞において、誘導されたトランス活性化の有意な阻害が見られた。これとは対照的に、β-DODA-Meおよびβ-I-DODA-Me(実施例5)はPPARγを活性化しなかった。PPARγアゴニストは典型的には一つまたは複数の細胞周期タンパク質p27、p21およびサイクリンD1の発現を調節し、図18CはLNCaP細胞におけるこれらのタンパク質の発現に対する1〜5μMのβ-CDODA-Meの効果を示している。β-CDODA-Me単独で処理した細胞では、p27およびp21の濃度依存的誘導およびサイクリンD1タンパク質の減少、ならびにRbリン酸化が見られ、PPARγアンタゴニストであるT007およびβ-CDODA-Meで同時処理した細胞では同様の結果が観察され(図18D)、これらの反応はPPARγとは無関係であることを示唆している。
(b)β-CDODA-Meによるアポトーシス促進反応の誘導
NAG-1およびATF-3はPPARγアゴニストによって誘導されるアポトーシス促進タンパク質で、図19の結果はLNCaP細胞において1〜5μMのβ-CDODA-Meがしばしば同時誘導されるNAG-1およびATF-3を誘導し、これはカスパーゼ依存的PARP切断、DNA断片化、およびbcl2発現を伴っていたことを示している。β-CDODA-MeおよびT007で同時処理したLNCaP細胞において(図19B)、誘導された反応はPPARγアンタゴニストによって阻害されず、これらのアポトーシス促進反応の誘導は受容体とは無関係であることが示された。以前の試験により、PPARγアゴニストの異なる構造クラスはLNCaP細胞においてAR発現をダウンレギュレートし、この反応はアポトーシスの活性化も引き起こしうることが明らかにされている(91、92)。図19CはLNCaP細胞における、10nM DHT存在下または非存在下でのAR発現に対するβ-CDODA-Meの効果、ならびに2つのアンドロゲン反応性遺伝子であるFKBP51およびPSAの発現に対する効果をまとめている。DHTは受容体の安定化によりARの発現を増大させ、同様にアンドロゲン反応性のFKBP51およびPSA遺伝子の両方を誘導し、1〜5μM β-CDODA-Meで処理した細胞において、DHT存在下または非存在下でAR、PSAおよびFKBP51発現の濃度依存的低下が認められた。加えて、β-CDODA-Meで処理したLNCaP細胞におけるAR、PSAおよびFKBP51タンパク質のダウンレギュレーションはPPARγ-アンタゴニストであるT007(図19D)またはプロテアソーム阻害剤であるMG132(図19E)との同時処理によって影響を受けなかった。これとは対照的に、サイクリンD1のβ-CDODA-Me依存的分解はMG132との同時処理後に阻害され、これらの知見はサイクリンD1のプロテアソーム依存的分解を誘導する他のPPARγアゴニストで報告されたものと同様である(22、94〜96)。これらの結果は、β-CDODA-Meがアンドロゲン反応性遺伝子およびARのPPARγとは無関係の経路を通しての発現を低下させることを明らかに示している。LNCaP細胞における低分子阻害性RNAによるAR発現の低下はアポトーシスも誘導する(93)ため、β-CDODA-Meで処理した細胞におけるARのダウンレギュレーションはこの化合物によるアポトーシスの誘導と一致している。
(c)β-CDODA-Meによる、アポトーシス促進/成長阻害経路のキナーゼ依存的活性化の誘導
以前の試験により、NAG-1が大腸癌細胞においていくつかのPPARγアゴニストおよび他の細胞毒性化合物により誘導されることが明らかにされており(94、97、98〜100)、これはNAG-1発現を誘導するためのトランス作用性因子として作用するEGR-1のPI3K依存的活性化を通してである。図20Aは、2.5μM β-CDODA-MeによるEGR-1、ATF-3およびNAG-1の時間依存的誘導をまとめており、誘導反応は類似の時間経過に従っていたが、大腸癌細胞におけるNAG-1のERG-1依存的誘導はNAG-1の誘導前にERG-1の発現増大に関連している(94、100)。以前の試験により、NAG-1誘導はキナーゼ依存的であることが示され(94、100)、図20Bの結果は2.5μM β-CDODA-MeがJNK(p-JNK)、PI3K(p-Akt)およびMAPK(p-Erk)経路の活性化を誘導することを示している。JNKおよびPI3Kの最大の活性化はそれぞれ8および8〜12時間後に観察されたが、p-Erkの活性化は24時間上昇を続けた。NAG-1およびATF3の誘導に対するMAPK(PD98059)、PI3K(LY294002)、タンパク質キナーゼC(GF109203X)およびJNK(SP600125)の阻害の効果、ならびにAR、PSAおよびFKBP51の発現低下も、2.5μM β-CDODA-Meで処理したLNCaP細胞において調べた(図20C)。PD98059およびLY294002はいずれもβ-CDODA-MeによるNAG-1の誘導を阻害した。これらの阻害剤はATF-3の誘導も阻止した。しかし、JNK阻害剤であるSP600125はATF-3誘導の最も強力な阻害剤であった(図20Cおよび20D)。これとは対照的に、β-CDODA-Meで処理したLNCaP細胞におけるAR、PSAおよびFKBP51の発現低下はキナーゼ阻害剤によって影響を受けなかった。
理論によって制限されたくはないが、これらの結果はLNCaP細胞においてβ-CDODA-Meにより誘導される成長阻害/アポトーシス促進経路に関連する根源的経路は、部分的には、キナーゼの活性化によることを示唆している。したがって、β-CDODA-Meによる細胞周期タンパク質の調節に対するキナーゼ阻害剤の効果も調べ、サイクリンD1のダウンレギュレーションおよびp21の誘導はMAPK阻害剤であるPD98059で同時処理した細胞において部分的に阻止され(図21A)、p21のMAPK依存的活性化がTPAで処理した胎児性横紋筋肉腫細胞株で以前に観察されている(101)。図21Bの結果は、1〜5μM β-CDODA-Meは-2325から+8 [p21-Luc (FI)]、-124から+8 [p21-Luc (-124)]、-101から+8 [p21-Luc (-101)]、および-60から+8 [p21-Luc (-60)] p21プロモーター挿入配列を含む作成物を形質移入したLNCaP細胞におけるルシフェラーゼ活性も誘導することを示している。後者の3つの作成物は6つの近接するGCを多く含む部位(VI〜I)を含み、形質移入試験の結果は、これらのGCを多く含む部位がβ-CDODA-Me誘導性トランス活性化に必要であることを示唆している。p21の欠失分析は、誘導性[すなわち、p21-luc(60)]の欠損は、β-CDODA-Meによるp21のMAPK依存的活性化に必須の、GCを多く含む部位IVおよびIIIの欠損に関連することを示している。p21プロモーターの活性化におけるMAPKの役割はp21-lucを形質移入したLNCaP細胞において確認され(101);β-CDODA-Meはルシフェラーゼ活性を誘導し、MAPK阻害剤であるPD98059との同時処理はこの反応を阻害した(図21C)。これらの結果は、β-CDODA-Meによるp21およびアポトーシス促進NAG-1タンパク質の誘導はMAPKおよびPI3Kの活性化に関連していたが、PPARγとは無関係であったことを示している(図18Dおよび19B)。
(d)β-CDODA-Meによる、LNCaP細胞におけるARおよびPSA遺伝子発現の異なる低下
β-CDODA-MeはプロテアソームおよびPPARγとは無関係の経路を通してAR、PSAおよびFKBP51タンパク質の発現を低下させ(図19C〜19E)、これらの反応はキナーゼ阻害剤によっても調節されない(図20B)。図22Aの結果は、β-CDODA-Meが12および18時間の処理後にAR mRNAレベルも低下させることを示しており、PPARγアンタゴニストであるT007との同時処理はmRNAレベルに影響をおよぼさず、β-CDODA-Meが誘導したAR mRNAレベルのダウンレギュレーションもPPARγとは無関係であることが確認された。同様の結果が、β-CDODA-Me単独またはタンパク質合成阻害剤であるシクロヘキシミド(10μg/ml)存在下で処理したLNCaP細胞でも得られた(図22B)。すなわち、シクロヘキシミドはβ-CDODA-Meの効果を調節せず、誘導された阻害タンパク質はAR mRNA発現に対するβ-CDODA-Meの効果を仲介しないことが示唆され、またβ-CDODA-Meはルシフェラーゼ遺伝子に連結されたARプロモーターの-5400から+580領域を含むAR-Luc作成物を形質移入したLNCaP細胞でルシフェラーゼ活性を低下させた(図22C)。結果は、β-CDODA-Meが阻害性のトランス作用性因子を並行して誘導することなく、AR転写を阻害することを示している。最近の試験から、PPARγ不活性チアゾリジンジオン類縁体のARダウンレギュレーションはSpタンパク質のダウンレギュレーションによることが示唆されている(102)。図22Dの結果は、β-CDODA-MeがPARP切断の時間依存的誘導ならびにARおよびSp1両方の低下を誘導することを示しており、ARの発現低下は以前に報告された通り(102)、Sp1依存的でありうることが示唆される。
PSAタンパク質発現も、β-CDODA-Meで処理したLNCaP細胞において低下し(図19C)、同様の効果が12または18時間の処理後のPSA mRNAレベルについても観察され、これらの反応はPPARγアンタゴニストであるT007との同時処理後に阻害されなかった(図23A)。しかし、12または18時間の処理後にβ-CDODA-Meが誘導したPSA mRNAレベルのダウンレギュレーションは、シクロヘキシミドとの同時処理後に有意に阻害された(図23B)。加えて、β-CDODA-MeはPSA-Luc作成物(5.85kbのPSAプロモーター挿入配列を含む)を形質移入したLNCaP細胞においてトランス活性化を阻害し(図23C)、同様の結果がDHT誘導性のルシフェラーゼ活性でも得られた(図23D)。したがって、ARについて得られた結果とは対照的に、β-CDODA-Meは阻害性のトランス作用性因子の誘導を通してPSA発現を阻害する。
考察
本実施例において、LNCaP細胞におけるβ-CDODA-Meの成長阻害およびアポトーシス促進効果、ならびにこれらの反応を仲介する上でのPPARγの役割を調べた。β-CDODA-Meは2-置換基を含まない類縁体(β-DODAおよびβ-DODA-Me)よりも強力なLNCaP細胞成長の阻害剤であった。さらに、β-CDODA-MeはLNCaP細胞における一過的形質移入試験でPPARγ依存的トランス活性化も活性化し、2-置換基を含まない化合物は、大腸癌細胞でこれらの類縁体について上で報告した通り、不活性であった。β-CDODA-Meはp27発現を誘導し、サイクリンD1タンパク質のレベルをダウンレギュレートした。β-CDODA-MeはLNCaP細胞においてp21タンパク質を誘導し、この反応はPPARγアンタゴニストであるT007との同時処理後に阻害されなかった。LNCaP細胞におけるp21のβ-CDODA-Me誘導は、p21タンパク質の誘導およびp21プロモーターの活性化に必要とされるMAPKシグナリングの活性化によるものであった。これは、LNCaP細胞におけるp21の誘導の新規経路であるが、他の細胞株における以前の試験でも、p21発現のMAPK依存的誘導が示されている(101、103、104)。
NAG-1およびATF3は成長阻害およびアポトーシス促進タンパク質であり(48、49)、PPARγアゴニストとの以前の試験はNAG-1の受容体依存的および受容体とは無関係の両方の誘導を報告している(22、94、98、99)。LNCaP細胞におけるNAG-1およびATF3のβ-CDODA-Meによる誘導もPPARγとは無関係であった。しかし、PI3KおよびMAPK阻害剤はいずれもNAG-1およびATF-3の誘導を阻止したが、JNK阻害剤であるSP600125は最も強力なATF-3誘導の阻害剤であったが、NAG-1誘導は阻害せず、これはホモシステインが血管細胞において、プロモーターのAP-1部位を通してc-junおよびATF-3を活性化するJNKの活性化によりATF3を誘導することを示す以前の試験と一致している(105)。NAG-1のキナーゼ依存的誘導が以前に報告されており、これらの効果はいずれも構造および細胞の状況に依存する。本試験において、LNCaP細胞におけるEGR-1およびNAG-1両方の時間依存的誘導は類似しており、NAG-1発現の阻害はPI3KおよびMAPK阻害剤両方で観察される。
二つの最近の報告は、LNCaP細胞において、RNA干渉によるARノックダウンはアポトーシスを引き起こし(93)、ARの短鎖ヘアピンRNAを用いての安定ノックダウンはARおよびPSA発現の低下ならびにインビボでの腫瘍成長の阻害を引き起こす(106)ことを示す。β-CDODA-Meは狭い濃度範囲(1〜2.5μM)でLNCaP細胞においてARおよびPSA発現を低下させる。さらに、シクロヘキシミドはPSAのβ-CDODA-Me依存的ダウンレギュレーションを逆転させるが、AR mRNAレベルは逆転させなかった。最近の報告は、PPARγ不活性チアゾリジンジオン誘導体で処理したLNCaP細胞におけるAR発現の低下はSp1のプロテアソーム依存的分解によることを示し(102)、本結果もβ-CDODA-Meで処理したLNCaP細胞におけるARおよびSp1の並行する低下を示している。しかし、以前の報告とは対照的に、このARに対する効果はプロテアソーム阻害剤によって逆転されなかった。さらに、図22Dの結果は、2.5μM β-CDODA-MeはLNCaP細胞において、AR発現低下の前にPARP切断およびアポトーシスを速やかに誘導することを示し、LNCaP細胞においてARの欠損以外のアポトーシス経路がβ-CDODA-Meによって活性化されることを示している。
本試験の結果は、2-置換1,2-デヒドロ3-オキソGA類縁体はLNCaP細胞成長の強力な阻害剤であり、キナーゼの活性化またはNAG-1、ATF-3、ARおよびPSAを含む他の遺伝子の発現に影響をおよぼすことにより、アポトーシス促進反応を誘導することを示している。β-CDODA-Meのアポトーシス促進および成長阻害効果はPPARγとは無関係であった。
実施例10:インビボモデル
本発明の化合物は大腸および膵臓癌細胞においてSp1、Sp3およびSp3の発現を低下させる。これは、これらの物質の細胞毒性、抗血管形成、およびアポトーシス促進効果に相関している。さらに、β-CDODA-MeはPPARγアゴニストでもあり、少なくともHCT-15大腸癌細胞において、この経路の活性化が観察された抗癌活性にとって重要であるとの証拠がある。したがって、本発明の化合物は腫瘍におけるPPARγの活性化ならびに/またはSp1、Sp3およびSp4の分解を通して、大腸、膵臓および前立腺腫瘍の成長を阻害すると思われる。本発明の化合物の抗癌活性ならびにSpタンパク質ノックダウンの腫瘍および組織/細胞特異性を、動物モデルにおいてさらに詳しく示すことができる。
実験デザインは前立腺、大腸および膵臓癌の無胸腺ヌードマウス異種移植および正所性モデル、大腸癌のMinマウスモデル、ならびに前立腺癌のTRAMPモデルを用いる。SW480、RKO、Panc1、PC3およびLNCaP癌細胞(異種移植)ならびにL3.6pl膵臓癌細胞(異種移植および正所性)を無胸腺ヌードマウスで用い、本発明の化合物の抗腫瘍形成効果を調べる。大腸癌のMinマウスモデルおよび前立腺癌のTRAMPモデルを用いて、本発明の化合物の腫瘍形成および成長に対する効果をアッセイし、選択したアポトーシス促進/抗血管形成マーカーの測定値を異種移植/正所性実験で調べたものと比較する。
(a)大腸および膵臓癌の異種移植および正所性腫瘍試験
(i)動物の治療:
雄無胸腺ヌードマウスを商業的供給元から入手し、それらの使用は施設内の動物管理および使用委員会によって承認されている。マウスを特定の条件下、College Station、TXのLARR施設およびHouston、TXのIBTの対応する施設で米国実験動物管理公認協会(American Association for Accreditation of Laboratory Animal Care)によって承認された施設で飼育する。各治療群に10匹の動物を用いる。以前に記載された通り(66、67)、異種移植試験ではSW480、RKOおよびPanc1細胞を用い、正所性モデルにはL3.6pl膵臓癌細胞を用いる。細胞をトリプシン曝露により回収し、無血清ハンクス液(HBSS)に再度懸濁する。生存度をトリパンブルー色素排除法により評価し、95%を越える生存度を示す単一細胞懸濁液だけを用いる。皮下腫瘍のために、200μL量に懸濁した腫瘍細胞(1×106細胞)を雄ヌードマウスの側腹に27ゲージ針を用いて皮下移植する。腫瘍を撹乱せずに10〜14日間成長させ、触知可能な腫瘍(200mm3)が最初に出現した時点で、マウスを治療または対照群に無作為に割り付ける。マウスをプラシーボまたは本発明の化合物(2、10、または20mg/kg/d)(トウモロコシ油中)を2日毎に4から6週間(対照腫瘍の外観およびサイズに応じて)投与して治療する(治療群ごとに10匹)。本発明の化合物の用量は相対効力データから推定する。以前に記載された通り(86)、L3.6pl細胞を用いての膵臓癌の正所性モデルに対しても、同様の投与法を用いる。各マウスの膵臓に腫瘍細胞を移植した7日後、5匹のマウスを屠殺して腫瘍病変の存在を確認する。化合物を1週間に3回投与(腹腔内注射)する。第35日にマウスを屠殺し、体重を測定する。膵臓の原発性腫瘍を摘出し、測定および秤量を行う。IHCおよびH&E染色法のために、腫瘍組織の一部をホルマリン固定してパラフィンに包埋し、別の部分をOCT化合物に包埋し、液体窒素中で急速に凍結し、-70℃で保存する。目に見える肝転移を、解剖顕微鏡を用いて計数し、組織をH&E染色のために処理する。
(ii)免疫組織化学およびウェスタンブロット分析:
化合物およびトウモロコシ油で治療したマウスからの腫瘍切片を、インサイチューハイブリダイゼーションおよびタンパク質の免疫組織化学分析、ならびにアポトーシス促進(サービビン、PARPおよびカスパーゼ3切断)および血管形成(VEGF、VEGFR1およびVEGFR2)遺伝子/タンパク質または反応を含む、インサイチューハイブリダイゼーション(mRNAのため)のためにも調製する。加えて、Sp1、Sp3およびSp4の免疫染色を行い、これらの反応の多くは以前の試験で評価されている(66、67、69〜72)。加えて、Spタンパク質、アポトーシス促進および抗血管形成反応のウェスタンブロット分析を、以前に記載された通り(66、67)、化合物およびトウモロコシ油(媒体)で治療した腫瘍からの全細胞溶解物で行う。可能であれば(抽出したタンパク質の量に応じて)、これらのタンパク質の発現に対する化合物およびトウモロコシ油の効果を定量し、統計学的に解析する。加えて、非標的組織(例えば、骨髄、肝臓および腎臓)におけるSpタンパク質発現に対する本発明の化合物の効果も評価する。カベオリン-1およびKLF-4などのPPARγ依存的遺伝子/タンパク質の活性化も、腫瘍溶解物のインサイチューハイブリダイゼーション/免疫染色およびウェスタンブロット分析によって評価する。
(b)大腸癌のMinマウスモデル
最近の試験は、比較的低用量のピオグリタゾンが不活性の切断されたApc遺伝子を発現するマウスにおいて腸腫瘍の形成を阻害することを示した(39)。このピオグリタゾンの抗腫瘍形成反応が、Jackson Laboratoryから入手可能なC57BL/6-ApcMin/+(Minマウス)で観察されている(107)。したがって、Minマウスを用いて、基本的には(107)に記載の通り通りに腸ポリープ形成および高脂血症を検査する。6週齢の雄Minマウスにトウモロコシ油(対照)および異なる用量の本発明の化合物を投与する。トウモロコシ油中2、10および20mg/kgの用量を2日毎に14週間、胃管栄養法により経口投与する。各治療群で少なくとも10匹のマウスを用い、最終投与の後、血液を採取し、以下のパラメーターを診断研究室でもとめる:AST、ALP、LDH、BUN、クレアチニン、トリグリセリド、グルコース、および総タンパク質。脂質レベルの抑制はPPARγアゴニストで典型的に観察される高脂血症効果の尺度である。腸を近位、中間および遠位部分に切断し、獣医病理学者がポリープ形成について検査する。加えて、Spタンパク質およびSp依存的遺伝子の発現を腸組織/ポリープで評価し、Minマウスモデルで観察される抗癌反応を仲介する上でのSpタンパク質分解の役割を評価する。
(c)前立腺癌の異種移植試験
(i)動物の治療:
雄無胸腺ヌードマウスを商業的供給元から入手し、それらの使用は施設内の動物管理および使用委員会によって承認されている。各治療群に10匹の動物を用い、生物統計学者との相談に基づき、この数は治療群間の統計学的有意性を調べるのに十分である(41、42)。少なくとも一つのAR陽性(LNCaP/22Rv1)およびAR陰性(PC3/DU145)前立腺癌細胞株を異種移植試験で用いる。細胞をトリプシン曝露により回収し、無血清ハンクス液(HBSS)に再度懸濁する。生存度をトリパンブルー色素排除法により評価し、95%を越える生存度を示す単一細胞懸濁液だけを用いる。200μLの量に懸濁した腫瘍細胞(1×106細胞)を雄ヌードマウスの側腹に27ゲージ針を用いて皮下移植する。腫瘍を撹乱せずに10〜14日間成長させ、触知可能な腫瘍(200mm3)が最初に出現した時点で、マウスを治療または対照群に無作為に割り付ける。マウス(治療群あたり10匹)をプラシーボまたは本発明の化合物(2、10、または20mg/kg/d)(トウモロコシ油中)を2日毎に4から6週間(対照腫瘍の外観およびサイズに応じて)投与して治療する。
(ii)免疫組織化学およびウェスタンブロット分析:
化合物およびトウモロコシ油で治療したマウスからの腫瘍切片を、インサイチューハイブリダイゼーションおよびタンパク質の免疫組織化学分析、ならびにアポトーシス促進(サービビン、PARPおよびカスパーゼ3切断)および血管形成(VEGF、VEGFR1およびVEGFR2)遺伝子/タンパク質または反応を含む、インサイチューハイブリダイゼーション(mRNAのため)のためにも調製する。加えて、Sp1、Sp3およびSp4の免疫染色を以前に記載された通り(41、42)に行う。加えて、Spタンパク質、アポトーシス促進および抗血管形成反応のウェスタンブロット分析を、化合物およびトウモロコシ油(媒体)で治療した腫瘍からの全細胞溶解物で行う。可能であれば(抽出したタンパク質の量に応じて)、これらのタンパク質の発現に対する化合物およびトウモロコシ油の効果を定量し、統計学的に解析する。加えて、非標的組織(例えば、肝臓および腎臓)におけるSpタンパク質発現に対する化合物の効果を評価する。予備的結果はSp1、Sp3およびSp4が肝臓では最低限しか発現されず、β-CDODA-Me/β-IDODA-Meによって影響をうけない。
(d)TRAMPマウスモデル
(i)動物の治療:
TRAMPマウスモデルは本発明の化合物の抗腫瘍形成活性を試験するために理想的である。トウモロコシ油中の化合物を2日毎に16週齢から28週齢まで投与し、この時点でTRAMPマウスはほぼ100%原発性前立腺腫瘍および転移を示す。
(ii)前立腺腫瘍形成および転移:
治療および対照(トウモロコシ油)TRAMPマウスを28週齢で屠殺し、前立腺腫瘍の重量、ならびに他の臓器および全身の重量を記録する;リンパ節、肺、腎臓および副腎を、腫瘍転移について組織病理検査し、前立腺腫瘍の等級も評価する。
(iii)免疫組織化学およびウェスタンブロット分析:
治療した、および未治療のTRAMPマウスからの腫瘍切片を、免疫組織化学分析のために調製し、腫瘍切片からの全細胞溶解物をウェスタンブロット分析のために得る。Sp1、Sp3およびSp4、ならびに血管形成(VEGF、VEGFR1およびVEGFR2)およびアポトーシス(切断PARP、活性化カスパーゼ3、サービビンおよびTUNEL)タンパク質/反応のための免疫染色を前述の通りに行う。
本発明を現時点で好ましい例であると考えられるものに関して記載してきたが、本発明は開示された例に限定されるものではないことが理解されるべきである。反対に、本発明は添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれる様々な改変および等価の組み合わせを対象とすることが意図される。
すべての出版物、特許および特許出願は、それぞれ個別の出版物、特許および特許出願が具体的かつ個別にその全体が参照により本明細書に組み入れられると示されたのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。本出願における用語が参照により本明細書に組み入れられる文書において異なる定義がなされていることが判明した場合、本明細書において提供する定義がその用語の定義とする。
本明細書において言及された全引用文献
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Claims (24)

  1. 下記式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩および溶媒和物から選択される、化合物(ただし、2-シアノ-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル、2-ヒドロキシ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステルおよび2-メトキシ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステルを除く):
    Figure 0005610766
    式中
    R1はCN、ハロ、NO2、CO2R3、C1-6アルキル、フルオロ置換C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OR3、SR3、SOR3、SO2R3、NR3R4、C(O)NR3R4、C(O)R3、OC(O)R3、NHC(O)R3、P(O)R3R4、-C≡C-R3、-CR3=CR4R5C 1-4 アルキル、フルオロ置換C 1-4 アルキル、ハロ、OC 1-4 アルキル、O(フルオロ置換C 1-4 アルキル)、NO 2 およびCNから独立に選択される、一つまたは複数の置換基で置換されていてもよいアリールおよびC 1-4 アルキル、フルオロ置換C 1-4 アルキル、ハロ、OC 1-4 アルキル、O(フルオロ置換C 1-4 アルキル)、NO 2 およびCNから独立に選択される、一つまたは複数の置換基で置換されていてもよいヘテロアリールから選択され;
    R2はOC1-6アルキル、O(フルオロ置換C1-6アルキル)、NH2、NHC1-6アルキル、N(C1-6アルキル)(C1-6アルキル)、SHおよびSC1-6アルキルから選択され;
    R3、R4およびR5はH、C1-6アルキル、フルオロ置換C1-6アルキル、C 1-4 アルキル、フルオロ置換C 1-4 アルキル、ハロ、OC 1-4 アルキル、O(フルオロ置換C 1-4 アルキル)、NO 2 およびCNから独立に選択される、一つまたは複数の置換基で置換されていてもよいアリールおよびC 1-4 アルキル、フルオロ置換C 1-4 アルキル、ハロ、OC 1-4 アルキル、O(フルオロ置換C 1-4 アルキル)、NO 2 およびCNから独立に選択される、一つまたは複数の置換基で置換されていてもよいヘテロアリールから独立に選択され;かつ
    XおよびYの一方はC=Oであり、他方はCHであり、XがC=Oである場合、Xに隣接する---は一重結合を表し、かつYに隣接する---は二重結合を表し、YがC=Oである場合、Yに隣接する---は一重結合を表し、かつXに隣接する---は二重結合を表す。
  2. R1がCN、ハロ、NO2、CO2H、CO2C1-4アルキル、C1-4アルキル、フルオロ置換C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、OC1-4アルキル、O(フルオロ置換C1-4アルキル)、OH、SH、SC1-4アルキル、SOC1-4アルキル、SO2C1-4アルキル、NH2、NHC1-4アルキル、N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、C(O)NH2、C(O)NHC1-4アルキル、C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、C(O)C1-4アルキル、OC(O)C1-4アルキルおよびNHC(O)C1-4アルキルから選択される、請求項1記載の化合物。
  3. R1がCN、ハロ、CO2H、CO2C1-4アルキル、C1-4アルキル、フルオロ置換C1-4アルキル、OC1-4アルキル、O(フルオロ置換C1-4アルキル)およびOHから選択される、請求項2記載の化合物。
  4. R1がCN、Cl、Br、I、F、CO2H、CO2CH3、CH3、CF3、OCH3、OCF3およびOHから選択される、請求項3記載の化合物。
  5. R1がCN、CF3またはIである、請求項4記載の化合物。
  6. R2がOC1-4アルキル、O(フルオロ置換C1-4アルキル)、NH2、NHC1-4アルキル、N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、SHおよびSC1-4アルキルから選択される、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物。
  7. R2がOC1-4アルキルおよびO(フルオロ置換C1-4アルキル)から選択される、請求項6記載の化合物。
  8. R2がOCH2CH3、OCH3およびOCF3から選択される、請求項7記載の化合物。
  9. R2がOCH3である、請求項8記載の化合物。
  10. 下記式の化合物、その薬学的に許容される塩および溶媒和物から選択される、請求項1〜9のいずれか一項記載の化合物:
    Figure 0005610766
    式中、R1およびR2は請求項1〜9のいずれか一項において定義される通りである。
  11. 下記式18-α(I)および18-β(I)の化合物、該式18-α(I)と18-β(I)の異性体が混在する化合物、ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物から選択される、化合物(ただし、2-シアノ-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル、2-ヒドロキシ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステルおよび2-メトキシ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステルを除く):
    Figure 0005610766
    式中、R1、R2、XおよびYは請求項1〜9のいずれか一項において定義される通りである。
  12. 下記化合物、ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物から選択される、請求項1記載の化合物:
    2-シアノ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル;
    2-ヨード-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル;
    2-ヨード-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル;
    2-トリフルオロメチル-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル;および
    2-トリフルオロメチル-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル
    2-ヨード-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステルと
    2-ヨード-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステルの異性体が混在する化合物;および
    2-トリフルオロメチル-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステルと2-トリフルオロメチル-3,11-ジオキソ-18α-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステルの異性体が混在する化合物。
  13. 2-シアノ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステル、ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物から選択される、化合物。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
  15. 請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物を含む、治療用薬
  16. 請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物を含む、診断薬。
  17. 請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物を含む、PPARγ活性機能または活性を増大させることから利益を得る状態または疾患の治療用薬学的組成物であって、該利益を得る状態または疾患が癌である薬学的組成物
  18. 請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物を含む、一つもしくは複数の特異性(Sp)タンパク質の発現もしくは活性の機能または活性を低下させることから利益を得る状態または疾患の治療用薬学的組成物であって、該利益を得る状態または疾患が癌である薬学的組成物
  19. 癌が前立腺癌および胃腸癌から選択される、請求項17または18記載の薬学的組成物。
  20. 胃腸癌が大腸癌および膵臓癌から選択される、請求項19記載の薬学的組成物。
  21. PPARγ活性の機能または活性増大させるのに有効な量の請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物を含む、糖尿病の治療用薬学的組成物。
  22. 糖尿病がインスリン依存性II型糖尿病である、請求項21記載の薬学的組成物。
  23. PPARγ活性の機能または活性増大させる化合物が2-シアノ-3,11-ジオキソ-18β-オレアナ-1,12-ジエン-30-酸メチルエステルである、請求項22記載の薬学的組成物。
  24. Spタンパク質の発現または活性の機能または活性低下させるのに有効な量の請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物を含む、ハンチントン病の治療用薬学的組成物。
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