以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態によるカーナビゲーションシステム100の構成について説明する。なお、カーナビゲーションシステム100は、本発明の「音響システム」の一例である。
本発明の一実施形態によるカーナビゲーションシステム100は、図1に示すように、ユーザに道路案内を行うカーナビゲーションユニット1と、AV(オーディオ・ビジュアル)出力機能を有するAVユニット2とを備えている。また、カーナビゲーションシステム100は、カーナビゲーションユニット1およびAVユニット2において作成された映像を出力するための液晶表示部(LCD)3と、LCD3に一体的に設けられ、ユーザによる入力操作を受け付けるためのタッチパネル4とを備えている。なお、カーナビゲーションユニット1は、本発明の「第1機器」および「ナビゲーション装置」の一例であり、AVユニット2は、本発明の「第2機器」および「音響機器」の一例である。
カーナビゲーションユニット1は、ユニット本体の制御を行うナビゲーション側のCPU11と、CPU11に接続されたROM12およびRAM13と、GPS(Global Positioning System)処理部14とを含んでいる。RAM13は、CPU11がROM12に格納されたプログラムを実行する際に一時的に処理データを保存する機能を有する。GPS処理部14は、複数のGPS衛星(図示せず)からの発信電波を受信するとともに、受信した電波に基づいてカーナビゲーションユニット1の現在位置を演算する機能を有する。なお、ナビゲーション側のCPU11は、本発明の「第1制御部」の一例である。
CPU11は、道路案内用のナビゲーション音声データを、I2S(Inter−IC Sound)規格により送信するためのI2Sインターフェース(I/F)11aを有している。なお、I2S規格は、デジタルオーディオ通信に用いられる規格であり、たとえば、WAVフォーマット(RIFF Waveform Audio Format)によって作成されたデジタル音声データは、I2S規格によって電子機器間における送受信(データ転送)が可能とされている。なお、I2S規格は、本発明の「デジタル通信規格」の一例である。
ここで、デジタル音声データを構成するWAVフォーマットについて説明する。デジタル音声データに含まれる情報として、たとえば、音声再生方式、サンプリング解像度およびサンプリング周波数などが挙げられる。
音声再生方式としては、単一の音声データを出力するモノラル再生方式、あるいは、異なる2種類の音声データをLチャンネルおよびRチャンネルによりそれぞれ出力するステレオ再生方式が存在する。たとえば、サンプリング周波数が約44.1kHzの場合には、約44100分の1秒の時間間隔に1種類のデータパケットを配置するのがモノラル再生方式である。また、この時間間隔を2つに分割して、前半部のLチャンネルおよび後半部のRチャンネルに異なるデータパケットをそれぞれ区別して配置するのがステレオ再生方式である。
サンプリング解像度には、8bit形式や16bit形式などがある。ここで、サンプリング解像度とは、アナログデータをデジタルデータに変換する際に、アナログデータの強弱(電圧の大きさ)を所定値で分割する分割数を示す。サンプリング解像度は、数値が大きいほどより細かく分割される(8bitの場合は256分割であり、16bitの場合は65356分割)ことによって、アナログデータをデジタル方式で再生する際により忠実に再現することが可能となる。
サンプリング周波数の一例として、22.1kHz、44.1kHzや88.2kHzなどが挙げられる。ここで、サンプリング周波数とは、アナログデータをデジタルデータに変換する際に、アナログデータを分割する単位時間(1秒間)当たりの分割数を示す。サンプリング周波数は、数値が大きいほどより細かく分割されることによって、アナログデータをデジタル方式で再生する際により忠実に再現することが可能となる。
デジタル音声データは、上記例示した全ての情報がWAVフォーマットに変換された状態で、電子機器間を送受信されるように構成されている。
ROM12には、カーナビゲーションユニット1を制御するためのプログラムおよび地図情報に加えて、ナビゲーションに使用される複数の音声データが格納されている。したがって、CPU11は、GPS処理部14から取得したカーナビゲーションユニット1の位置情報に基づいて、ROM12に格納されている複数の音声データを組み合わせてナビゲーション音声データを作成するように構成されている。また、WAVフォーマットにより作成されたナビゲーション音声データは、AVユニット2の後述する音声出力部30のR側スピーカ34から出力される一方、音声出力部30のL側スピーカ33からは出力されないように構成されている。なお、ナビゲーション音声データは、本発明の「第1音声データ」の一例である。
したがって、CPU11により作成されたナビゲーション音声データは、図2に示すように、ナビゲーション音声データ作成時のWAVフォーマット(元フォーマット)として、音声再生方式がモノラル再生方式であり、サンプリング解像度が16bitであり、サンプリング周波数が約22.1kHzであるように構成されている。つまり、CPU11により、ナビゲーション音声データを構成する各データパケット(G1〜GnおよびG0)が、約22050分の1秒間隔で連続的に送信されるように構成されている。また、ナビゲーション音声データには、R側スピーカ34から音声が出力される有音データ(G1〜Gnの部分)と、有音データの後に付加されるとともに、R側スピーカ34からは出力されない無音データ(G0の部分)とが含まれている。なお、ナビゲーション音声データ作成時のWAVフォーマットである元フォーマットは、本発明の「第1フォーマット」の一例である。
また、図1に示すように、カーナビゲーションシステム100のAVユニット2は、AV(オーディオ・ビジュアル)出力機能に関するプログラム処理を主に行うAV処理部20と、AV処理部20において生成された音声データを音声出力する音声出力部30とを含んでいる。
AV処理部20は、AVユニット2の制御を行うAV側のCPU21と、CPU21に接続されたROM22およびRAM23とを含んでいる。また、AV処理部20は、ラジオ放送データを取得するためのラジオチューナー24と、接続されたSDカード5に格納されているデータを取得するためのSDカードスロット25とを含んでいる。なお、AV側のCPU21は、本発明の「第2制御部」の一例である。
CPU21は、CPU11から送信されたナビゲーション音声データをI2S規格により受信するように構成されている。また、CPU21は、音声出力部30の後述するDSP(Digital Signal Processor)31に送信するためのI2Sインターフェース(I/F)21aを有している。また、CPU21は、SDカード5に音楽データや映像データが格納されている場合に、音楽データおよび映像データを音声出力部30およびLCD3にそれぞれ出力するとともに、ラジオチューナー24がオン状態の場合にラジオ放送によるラジオ音声データを音声出力部30に出力する制御を行うように構成されている。この際、CPU21は、音楽データまたはラジオ音声データを、WAVフォーマットにより音声出力部30にI2S規格で出力するように構成されている。なお、音楽データおよびラジオ音声データは、本発明の「第2音声データ」の一例である。
ここで、音楽データおよびラジオ音声データの構成について説明すると、図3に示すように、音楽データ(ラジオ音声データ)出力時のWAVフォーマット(出力フォーマット)としては、音声再生方式がステレオ再生方式であり、サンプリング解像度が16bitであり、サンプリング周波数が約44.1kHzであるように構成されている。つまり、CPU21により、音楽データ(ラジオ音声データ)を構成する各データパケット(LMおよびRM)が約44100分の1秒間隔で連続的に音声出力部30に向けて出力される際に、Lチャンネル側にL側音声データ(LM)が配置される一方、Rチャンネル側にR側音声データ(RM)が配置された状態で、音声出力部30に向けて出力されるように構成されている。これにより、音楽データ(ラジオ音声データ)に基づいて、L側スピーカ33からL側音声データに基づく音声が出力されるとともに、R側スピーカ34からR側音声データに基づく音声が出力されるように構成されている。
また、図1に示すように、ROM22には、AVユニット2を制御するためのプログラムに加えて、音声再生方式やサンプリング周波数などを変更することが可能なソフトウェアミキサー(図示せず)が格納されている。RAM23は、CPU21がROM22に格納されたプログラムを実行する際に一時的に処理データを保存する機能を有する。また、RAM23は、後述する送信フォーマットによりカーナビゲーションユニット1から送信されたナビゲーション音声データが、一時的に格納されるバッファ領域(図示せず)を有している。
音声出力部30は、DSP31と、DSP31に接続されたアンプ32と、アンプ32に接続されたL側(左側)スピーカ33およびR側(右側)スピーカ34とを含んでいる。
DSP31は、AVユニット2のCPU21に接続されており、CPU21から出力されたデジタル音声データ(ナビゲーション音声データ、音楽データ、ラジオ音声データおよび後述する割込音声データ)をアナログ音声データに変換するとともに、アナログ音声データをアンプ32に出力する機能を有している。アンプ32は、DSP31から出力されたアナログ音声データを増幅して、L側スピーカ33およびR側スピーカ34に出力するように構成されている。この場合、L側スピーカ33およびR側スピーカ34は、互いに異なる音声を出力することが可能である。
ここで、本実施形態では、ナビゲーション側のCPU11は、ナビゲーション音声データを元フォーマット(モノラル再生方式/16bit/22.1kHz)よりも送信速度が速いデータ送信時のWAVフォーマット(送信フォーマット)によってAV側のCPU21に向けて送信するように構成されている。具体的には、CPU11がCPU21に向けて送信するナビゲーション音声データは、図4に示す送信フォーマットを有している。つまり、音声再生方式がステレオ再生方式であり、サンプリング解像度が16bitであり、サンプリング周波数が約44.1kHzであるように構成されている。これにより、ナビゲーション音声データを構成する各データパケット(G1〜GnおよびG0)が約44100分の1秒間隔で連続的にCPU21に向けて送信される際に、CPU11により、Lチャンネル側にデータパケットの略半分が配置される一方、Rチャンネル側にデータパケットの残りが配置された状態で、CPU21に向けて送信されるように構成されている。なお、ナビゲーション音声データ送信時のWAVフォーマットである送信フォーマットは、本発明の「第2フォーマット」の一例である。
これにより、本実施形態では、CPU11は、ナビゲーション音声データを元フォーマット(図2参照)のままのモノラル再生方式で送信する場合と比べて、ステレオ再生方式での送信となる分、約2分の1の所要時間(約2倍の送信速度)で送信することが可能であるように構成されている。さらに、CPU11は、ナビゲーション音声データを構成する各データパケット(G1〜GnおよびG0)を約44100分の1秒間隔で連続的に送信する(サンプリング周波数が約44.1kHz)ことによって、元フォーマットのままの約22.1kHzのサンプリング周波数で送信する場合と比べて、約2分の1の所要時間(約2倍の送信速度)で送信することが可能であるように構成されている。この結果、図5に示すように、CPU11は、元フォーマットでナビゲーション音声データをCPU21に送信する場合と比べて、約4分の1(=(1/2)×(1/2))の所要時間(約4倍の送信速度)で、ナビゲーション音声データをCPU21に送信するように構成されている。なお、CPU11は、送信時間の短縮によって生み出された空き時間(図5の斜線部)を利用して、CPU21に他の制御データなどを送信することが可能なように構成されている。
また、本実施形態では、AV側のCPU21は、ROM22のソフトウェアミキサーの処理に基づいて、CPU11から送信された送信フォーマットによるナビゲーション音声データを元フォーマット(モノラル再生方式/16bit/22.1kHz)で送信された場合と同様に順次解釈するように構成されている。
また、本実施形態では、CPU21は、ナビゲーション音声データの中に、無音データ(図4のG0の部分)が一定時間以上連続した際に、CPU11からの送信フォーマットによるナビゲーション音声データの受信を終了するように構成されている。なお、ナビゲーション音声データの受信は、音声出力部30へのナビゲーション音声データの出力終了時よりも前のタイミングで終了するように構成されている。そして、CPU21は、ナビゲーション音声データに含まれる無音データ(G0)を削除するとともに、無音データ(G0)の直前の有音データ(図4のGnの部分)をナビゲーション音声データの出力を終了する位置(図6の出力終了位置P)に設定するように構成されている。これにより、ナビゲーション音声データの有音データ(G1〜Gn)のみが音声出力部30のR側スピーカ34から出力されるように構成されている。
また、CPU21は、ROM22のソフトウェアミキサーの処理に基づいて、ナビゲーション音声データを、音楽データ(ラジオ音声データ)を出力する際の出力フォーマット(図3参照)と同一の出力フォーマット(ステレオ再生方式/16bit/44.1kHz)により音声出力部30に順次出力するように構成されている。この際、音楽データ(ラジオ音声データ)を音声出力部30に出力していない場合には、CPU21は、ナビゲーション音声データの有音データ(G1〜Gn)のみをRチャンネルに配置した状態で音声出力部30(R側スピーカ34)に出力するように構成されている。
また、本実施形態では、すでに音楽データ(ラジオ音声データ)を音声出力部30に出力している場合には、CPU21は、Rチャンネルに配置した状態で出力している音楽データ(ラジオ音声データ)の代わりにナビゲーション音声データを割り込ませて、音声出力部30に順次出力(割込出力)するように構成されている。
この際、ナビゲーション音声データを割り込ませた音声データ(割込音声データ)では、CPU21により、図6に示すように、割込音声データ出力時のWAVフォーマット(出力フォーマット(ステレオ再生方式/16bit/44.1kHz))として、Lチャンネル側にL側音声データ(LM:音楽データ(ラジオ音声データ))が配置される一方、Rチャンネル側に、R側音声データ(RM:音楽データ(ラジオ音声データ))ではなく、ナビゲーション音声データの有音データ(G1〜Gn)と、有音データ同士の間にそれぞれ配置された補完データ(GS)とが配置されるように構成されている。そして、CPU21により、割込音声データでは、Rチャンネル側に無音データ(G0)の直前の有音データ(Gn)に基づく補完データ(GS)が配置された(ナビゲーション音声データの出力が終了した)後に、有音データ(G1〜Gn)と連続するようにR側音声データ(RM:音楽データ(ラジオ音声データ))が配置されるように構成されている。なお、割込音声データ出力時のWAVフォーマットである出力フォーマットは、本発明の「第3フォーマット」の一例である。
なお、補完データ(GS)は、補完データに隣接する有音データに基づいてCPU21により作成される音声データであり、有音データ同士の間を補完する機能を有する。具体的には、隣接する有音データ同士の中点におけるデータを補完データとして用いるように構成されている。この補完データを有音データ同士の間に配置することにより、CPU11から送信された送信フォーマットによるナビゲーション音声データが、そのまま割込音声データの出力フォーマットにより音声出力部30に出力されることに起因してR側スピーカ34において早送りの状態で再生されるのを防止することが可能である。
これにより、図5に示すように、L側スピーカ33においては、L側音声データ(LM)に基づく音楽(ラジオ音声)が出力される一方、R側スピーカ34においては、有音データ(G1〜Gn)および補完データ(GS)に基づくナビゲーション音声データが出力されるとともに、ナビゲーション音声データの出力が終了した際には、ナビゲーション音声データに連続するようにR側音声データ(RM)が出力されるように構成されている。
また、ナビゲーション側のCPU11からAV側のCPU21に送信する際のナビゲーション音声データの送信フォーマット(図4参照)と、AV側のCPU21から音声出力部30に出力する際の割込音声データの出力フォーマット(図6参照)とは、同一のフォーマット(ステレオ再生方式/16bit/44.1kHz)になるように構成されている。
次に、図2、図4、図6および図7を参照して、本発明の一実施形態によるカーナビゲーションシステム100のナビゲーション側のCPU11およびAV側のCPU21の割込出力時における制御フローについて説明する。
まず、カーナビゲーションユニット1では、図7に示すように、ステップS1において、CPU11(図1参照)により、GPS処理部14(図1参照)から取得したカーナビゲーションユニット1の位置情報に基づいて、ナビゲーション音声データを作成するか否かが判断される。そして、ステップS1において、ナビゲーション音声データを作成すると判断されるまでこの判断が繰り返される。また、ステップS1において、ナビゲーション音声データを作成すると判断された場合には、ステップS2において、CPU11により、ROM12(図1参照)に格納されたナビゲーションに関する音声データから、図2に示すような元フォーマット(モノラル再生方式/16bit/22.1kHz)によりナビゲーション音声データが作成される。
その後、ステップS3において、CPU11により、ナビゲーション音声データをAVユニット2に送信するためのデータ変換処理が行われる。すなわち、本実施形態では、CPU11により、音声再生方式がモノラル再生方式からステレオ再生方式に変換されるとともに、サンプリング周波数が約22.1kHzから約44.1kHzに変換される。この結果、CPU11により、元フォーマット(モノラル再生方式/16bit/22.1kHz)により作成されたナビゲーション音声データが、元フォーマットよりも送信速度が約4倍速い、図4に示すような送信フォーマット(ステレオ再生方式/16bit/44.1kHz)に変換される。そして、ステップS4において、CPU11により、送信フォーマットによるナビゲーション音声データがCPU21に送信される。これにより、CPU11側の制御が終了される。
また、AVユニット2では、ステップS11において、CPU21(図1参照)により、カーナビゲーションユニット1から送信されたナビゲーション音声データを受信したか否かが判断される。そして、ステップS11において、ナビゲーション音声データを受信したと判断されるまでこの判断が繰り返される。また、ステップS11において、ナビゲーション音声データを受信したと判断された場合には、ステップS12において、CPU21により、AV処理部20におけるRAM23(図1参照)のバッファ領域に、送信フォーマットによるナビゲーション音声データが一時的に格納される。
その後、ステップS13において、CPU21により、送信フォーマットによるナビゲーション音声データが元フォーマットで送信された場合と同様に順次解釈される。そして、CPU21により、Rチャンネル側に配置された音楽データ(ラジオ音声データ)(図3のRM)の代わりに、ナビゲーション音声データが配置されることによって、図6に示す割込音声データが出力フォーマット(ステレオ再生方式/16bit/44.1kHz)により作成される。そして、ステップS14において、CPU21により、割込音声データが音声出力部30に順次出力される。これにより、音声出力部30のL側スピーカ33(図1参照)からL側音声データ(LM:図6参照)に基づく音楽およびラジオ音声が順次出力されるとともに、R側スピーカ34(図1参照)から有音データ(G1〜Gn:図6参照)および補完データ(GS:図6参照)に基づくナビゲーション音声データが順次出力される。
その後、ステップS15において、CPU21により、ナビゲーション音声データの無音データ(G0:図4参照)が一定時間以上連続して受信されたか否かが判断される。そして、ステップS15において、無音データが一定時間以上連続して受信されたと判断されるまでこの判断が繰り返される。また、ステップS15において、無音データが一定時間以上連続して受信されたと判断された場合には、ステップS16において、CPU21により、RAM23のバッファ領域に格納されていたナビゲーション音声データの格納が停止される。これにより、CPU11からのナビゲーション音声データの受信が終了される。なお、この時点においても、CPU21による音声出力部30への割込音声データの出力は続けられている。
そして、ステップS17において、CPU21により、ナビゲーション音声データの無音データ(図4のG0の部分)が削除されるとともに、無音データ(G0)の直前の有音データ(図4のGnの部分)がナビゲーション音声データの出力終了位置P(図6参照)に設定される。その後、ステップS18において、CPU21により、ナビゲーション音声データの出力終了位置Pまで割込音声データが出力されたか否かが判断される。この際、そして、ステップS18において、ナビゲーション音声データの出力終了位置Pまで割込音声データが出力されたと判断されるまでこの判断が繰り返される。また、ステップS18において、ナビゲーション音声データの出力終了位置Pまで割込音声データが出力されたと判断された場合には、ステップS19において、CPU21により、Rチャンネルにおいて、無音データ(G0)の直前の有音データ(Gn)に対応する補完データ(GS)が出力された(ナビゲーション音声データの出力が終了された)後に、ナビゲーション音声データと連続するようにR側音声データ(RM)が配置された状態で出力される。これにより、CPU21の割込出力時における制御が終了される。
本実施形態では、上記のように、CPU11が、ナビゲーション音声データを元フォーマット(モノラル再生方式/16bit/22.1kHz)よりも送信速度が速い送信フォーマット(ステレオ再生方式/16bit/44.1kHz)によってCPU21にI2S規格により送信するように構成することによって、CPU21は、より送信速度が速い送信フォーマットに変換された状態でナビゲーション音声データを受信することができる。これにより、CPU21は、元フォーマットのままでナビゲーション音声データを受信する場合よりも、より迅速にナビゲーション音声データの内容の全てを前もって把握することができるので、カーナビゲーションユニット1からのナビゲーション音声データの送信が一時的に途切れた場合などに、音声出力部30から音声が一時的に出力されなくなるのを抑制することができる。また、ナビゲーション音声データを送信フォーマットにより送信する際に必要な送信時間を、ナビゲーション音声データを元フォーマットのままで送信する際に必要な送信時間よりも短くすることができるので、CPU11は、送信時間の短縮によって生み出された空き時間を利用して、ナビゲーション音声データとは別のデータを送信することができる。
また、本実施形態では、上記のように、CPU21を、受信したナビゲーション音声データのうち、無音データ(G0)が一定時間以上連続した際に、CPU11からの送信フォーマットによるナビゲーション音声データの受信を終了するように構成するとともに、Rチャンネルにおいて、無音データ(G0)の直前の有音データ(Gn)に対応する補完データ(GS)を出力した(ナビゲーション音声データの出力が終了した)後に、ナビゲーション音声データと連続するようにR側音声データ(RM)を配置して出力するように構成することによって、ナビゲーション音声データとR側音声データとの間が離間していることに起因してナビゲーション音声データとナビゲーション音声データの後に出力されるR側音声データとの間に無音の時間が生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、CPU11を、ナビゲーション音声データを構成する各データパケット(G1〜GnおよびG0)を約44100分の1秒間隔で連続的に送信する(サンプリング周波数が約44.1kHzである)ことにより、元フォーマットのままの約22.1kHzのサンプリング周波数で送信する場合と比べて、約2分の1の所要時間(約2倍の送信速度)でナビゲーション音声データをCPU21に送信するように構成することによって、カーナビゲーションユニット1からAVユニット2に送信する際のナビゲーション音声データの送信速度を確実に速くすることができるので、CPU21は、さらに迅速に、ナビゲーション音声データの内容の全てを前もって把握することができる。
また、本実施形態では、上記のように、CPU11を、Lチャンネル側にナビゲーション音声データを構成する各データパケットの略半分を配置し、Rチャンネル側にデータパケットの残りを配置した状態(ステレオ再生方式)で送信することにより、元フォーマットのままのモノラル再生方式で送信する場合と比べて、約2分の1の所要時間(約2倍の送信速度)でナビゲーション音声データをCPU21に送信するように構成することによって、カーナビゲーションユニット1からAVユニット2に送信する際のナビゲーション音声データの送信速度を確実に速くすることができるので、容易に、CPU21は、さらに迅速に、ナビゲーション音声データの内容の全てを前もって把握することができる。
また、本実施形態では、上記のように、CPU11からCPU21に送信する際の送信フォーマットと、CPU21から音声出力部30に割込音声データを出力する際の出力フォーマットとを同一のフォーマット(ステレオ再生方式/16bit/44.1kHz)にすることによって、送信フォーマットと出力フォーマットとが異なる場合よりも、より迅速に、ナビゲーション音声データをカーナビゲーションユニット1からAVユニット2を介して音声出力部30に出力することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、本発明の音響システムの一例としてカーナビゲーションシステム100に本発明を適用するとともに、本発明の第1機器の一例としてカーナビゲーションユニット1に本発明を適用し、本発明の第2機器の一例としてAVユニット2に本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、外部機器としてのナビゲーションユニット(第1機器)を携帯機器(第2機器)などに外部接続することにより構成されたポータブルナビゲーションシステム(音響システム)に本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態では、WAVフォーマットによって作成したナビゲーション音声データをI2S規格によりナビゲーション側のCPU11からAV側のCPU21に送信するとともに、WAVフォーマットによって作成したナビゲーション音声データ、割込音声データおよび音楽データ(ラジオ音声データ)をI2S規格によりAV側のCPU21から音声出力部30に送信した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、AIFF(Audio Interchange File Format)などのWAVフォーマット以外のフォーマットにより作成したデジタル音声データをI2S規格により送信してもよい。また、I2S規格以外のデジタル通信規格によりデジタル音声データを送信してもよい。
また、上記実施形態では、ナビゲーション側のCPU11が作成したナビゲーション音声データを、元フォーマット(モノラル再生方式/16bit/22.1kHz)により作成するとともに、CPU11がAV側のCPU21に向けて送信するナビゲーション音声データを、送信フォーマット(ステレオ再生方式/16bit/44.1kHz)により作成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記実施形態の第1変形例として、図8に示すように、ナビゲーション音声データの送信フォーマットとして、サンプリング周波数を約44.1kHzにする一方、音声再生方式をモノラル再生方式のまま(モノラル再生方式/16bit/44.1kHz)にしてもよい。また、上記実施形態の第2変形例として、図9に示すように、ナビゲーション音声データの送信フォーマットとして、音声再生方式をステレオ再生方式にする一方、サンプリング周波数を約22.1kHzのまま(ステレオ再生方式/16bit/22.1kHz)にしてもよい。これにより、第1変形例および第2変形例のCPU11は、上記した送信フォーマットにより、元フォーマットの約2倍の送信速度でナビゲーション音声データを送信することが可能である。なお、第1変形例および第2変形例においては、CPU21は、図6に示すように、割込音声データを有音データ(G1〜Gn)同士の間に補完データ(GS)が配置されるように作成してもよいし、図10に示すように、有音データの各々を前後に分割することによって、有音データ同士の間に補完データ(GS)が配置されないように作成してもよい。
また、上記実施形態では、ナビゲーション音声データの元フォーマットにおけるサンプリング周波数を約22.1kHzにするとともに、ナビゲーション音声データの送信フォーマットにおけるサンプリング周波数を約44.1kHzにした例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、送信フォーマットにおけるサンプリング周波数が元フォーマットにおけるサンプリング周波数以上であればよい。たとえば、元フォーマットにおけるサンプリング周波数を約11.0kHzにするとともに、送信フォーマットにおけるサンプリング周波数を約88.2kHzにしてもよい。これにより、ナビゲーション側のCPUは、元フォーマットのままの約11.0kHzのサンプリング周波数で送信する場合と比べて、約8分の1の所要時間(約8倍の送信速度)でナビゲーション音声データをAV側のCPUに送信することが可能である。
また、上記実施形態では、AV側のCPU21が、ナビゲーション音声データのうち、無音データが一定時間以上連続した際に、ナビゲーション側のCPU11からのナビゲーション音声データの受信を終了するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ナビゲーション側のCPU(第1制御部)がナビゲーション音声データの最後に終了を示すデータを組み込むことによって、AV側のCPU(第2制御部)に受信終了を認識させてもよい。これにより、より確実に、AV側のCPUに受信終了を認識させることが可能である。
また、上記実施形態では、ナビゲーション側のCPU11からAV側のCPU21に送信する際のナビゲーション音声データの送信フォーマットと、CPU21から音声出力部30に出力する際の割込音声データの出力フォーマットとを同一のフォーマット(ステレオ再生方式/16bit/44.1kHz)にした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ナビゲーション側のCPUからAV側のCPUに送信する際の送信フォーマットと、AV側のCPUから音声出力部に出力する際の割込音声データの出力フォーマットとを異なるフォーマットにしてもよい。これにより、ナビゲーション側のCPUからAV側のCPUに送信するのに最適な送信フォーマットと、AV側のCPUから音声出力部に出力するのに最適な出力フォーマットとが異なっている場合に、最適な送信フォーマットでナビゲーション側のCPUからAV側のCPUに送信することが可能になるとともに、最適な出力フォーマットでAV側のCPUから音声出力部に出力することが可能になる。