JP5607303B2 - 外部からの動力供給により高温下でバイオマス及び有機廃棄物をガス化し、良質の合成ガスを生成するための装置 - Google Patents

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Description

本発明は、前処理した又は前処理していないバイオマスのガス化、及び/又は固体及び/又は液体及び/又は気体の有機廃棄物のガス化により、良質の合成ガス、つまり不純物を殆ど含まず、水素及び一酸化炭素に富む合成ガスを生成するための装置に関する。
多数の方法において、バイオマスと有機廃棄物のエネルギー転換により転換可能ガスが生成される。このようなガスは、下流のコージェネレーション工程に供給するため、又はガスの質により可能であれば、例えば燃料合成(特にフィッシャー−トロプシュ式の)等の化学工程における反応材として機能させるために使用することができる。
多数の文献に、合成ガスを生成するための様々なバイオマスのガス化技術が開示されている。
このように、並流又は向流、及び加圧又は非加圧の固定床リアクタが既知である。例えば、特許文献1ないし3に言及することができる。この種の装置において行われる炭素チャージの転換レベルを増大させるために、特定の数の代替例が特に考案されている。しかしながら、これらの技術では、転換を最適化し、特にメタン及びタール類等のメタンより重い有機種の形成を最小化することはできない。
別の実施例が特許文献4に記載されている。
この文献には、プラズマトーチを実施することにより、石炭又は泥炭などの炭素物質に由来するCO及びHから主に構成される高温ガスを生成するガス化工程が開示されている。このような炭素物質は、酸化剤と同時に、粉末状で燃焼チャンバに導入される。炭素物質は、プラズマ流と同心のチャージを行う注入モードの場合はプラズマ発生器の周りに配置された管状の導管により、或いはプラズマ流に対して側方からチャージを行う注入モードの場合はスプレーにより、燃焼チャンバに導入される。この文献では、ガス化チャンバは円筒形状を有する。
固体の炭素物質の床で充たされたタンクの軸は、ガス化チャンバの軸に対しほぼ垂直である。ガス化チャンバから放出されるガス状混合物のCO及びHOの含有量を減らすことが目的である。
特許文献4に記載の装置の欠点は、工程に伴う装置の大きな熱慣性である。装置全体は、大量の不応性物質で絶縁しなければならず、これにより大きな追加コストが必要となり、しかも装置が大型化する。また、このような装置の慣性は大きく、その結果プラズマトーチの大きな柔軟性と非常に大きな反応ゾーンの慣性とが分離する。
更に、ガス化チャンバのこの種の円筒形状により、非常に高い粘度を有するプラズマ流は注入された物質を貫通しないか、又は殆ど貫通しないため、プラズマ流と物質の混合は非常に限られる。このような混合は、非常な高温(プラズマの平均温度を大きく超える温度、つまり、非移行型アークプラズマトーチにおいて5000Kよりも遥かに高い温度であって、トーチ内部で中心に配置された電気アークによりガスを加熱した結果である)に達し、従って非常に高い粘度に達するプラズマ流の中心軸の部分が、従来のガス化チャンバの形状を用いると、注入された物質に「接近不能」のまま残るため、更に不完全である。
更に、上述の種類のリアクタの一方又は他方の拡張は、特定の大きさ、つまり特定の処理能力に限定される。特に、温点の発生又はガスの好ましい経路は、多数のパラメータ、特に処理されるチャージの性質によって決まる特定の大きさに制限される不利な要因となる。
再循環ループが組み込まれているか、又は組み込まれていない、加圧又は非加圧の流動床リアクタもまた既知である。一実施例として、特許文献5は、ガス化ゾーンと燃焼ゾーンを区別することにより、炭素チャージの一部及び/又はガス化において生成されるガスの一部を使用して、ガス化転換に必要なエネルギーを供給するシステムであって、内温性のシステムを提示している。
この種の技術に対応する工程の多くは、特にガス化される物質の灰分含有量に応じて、床の凝塊形成の可能性に関連して温度に限界を有する(〜1000℃)。別の問題は、熱の担体となる流体又は流動化剤を再循環させるシステムの腐食に起因する。従って、これらの工程は、そのバイオマス供給システムにより、圧力の限界という欠点を有する。更に、その限られた動作温度は、水素及び一酸化炭素の最適な生成にとって好ましくない。水素及び一酸化炭素の形成を促進するために、温度を更に上昇させる必要がある。特許文献6に記載の技術のような、他の特定の技術が提案されているが、効果の点でそれらも比較的限られたものである。更に、処理対象のチャージの流動化を不可能にする灰分の凝塊形成現象を制御するため、この種のリアクタは中程度の温度、即ち灰分の融点を下回る温度で動作する。温度に関するこのような工程条件は、実際には、この種のリアクタによって生成される合成ガスの質を制限する結果を招く。
主に塩浴又は溶融金属槽によって構成される反応媒体を有するリアクタも既知である。
例えば特許文献7に記載の装置のようなこれらの装置は、このような槽の、炭素チャージを主に一酸化炭素及び水素からなるガスに転換する機能を利用する。しかしながら、この種の工程には、管理が難しく且つ高価であることが多い不応性物質の導入が必要である。更に、この種のリアクタは、始動及び停止の両方に熱慣性を有し、この結果、使用には注意が必要で、このことにより当該工程の使用が不利となることがある。
特許文献8及び9に記載のような圧流リアクタは、固定流動床リアクタの使用の限界を克服する解決法を提供するという利点を有する。これらの装置では、通常、ガス化リアクタに進入するときに十分な転換率を保証するために、処理されるチャージの生成(例えば固体として到来する物質の粒子サイズ)を非常に良好に制御することが必要である。リアクタ内の温度の管理及び制御にも特定の注意が必要で、従って不応性物質の選択についても注意する必要がある。
特許文献10及び11には、二重成分不応性ゾーンと冷却ゾーンの管理を可能にすることにより、熱的制約を考慮する技術が開示されている。
技術間のこのような区別は別として、既知の工程は、主に二種類、即ち、自己発熱装置(つまり、転換を確実に行うためにバイオマス及び/又は有機廃棄物の加熱力の一部を利用する内温性の装置)と、いわゆる間接熱(allothermal)工程(つまり、本明細書において、転換を確実に行うために、バイオマスによって構成されるシステム外部のエネルギーを使用する工程と定義されるもの)に分類することができる。
間接熱工程は、一酸化炭素及び水素の生成を増大させる。
いわゆる間接熱ガス化工程は、天然ガス等の燃料又は電気を使用することができる。
少なくとも部分的に、エネルギー源として電気を使用することが更に適切であれば(コスト因子は別として、グリーンハウスガスの排出量の最小化は決定因子となり得る)、特に二つの加熱ツール、即ち、
−電気アーク、及び
−移行型又は非移行型アークを有するプラズマトーチ
を考慮することができる。
このように、これらの加熱ツールの使用に基づく特定数の装置が提案されている。例として、電気アーク及びプラズマトーチについてそれぞれ特許文献12及び13を引用することができる。
これらの装置の大きな欠点の一つは、ガス化リアクタの出口におけるガスの質がそれ程良くないことであり、最低限でも実際の反応剤として合成ガスを使用する化学工程に供給するには十分でない。このような限界は、主に、バイオマス及び/又は有機廃棄物と、アークのレベルで、又はトーチにより生成されるプラズマ媒体との十分な接触を確実に行うことの難しさに起因する。
具体的には、このような接触には転換される流れの全体は含まれず、接触により、完全に効果的であるのに十分なプラズマガス媒体との混合は行われない。
既存の技術の全ては、その使用に関する特定数の制約及び/又はその能力の限界を有する。
つまり、既知の装置の各々は、以下の問題のうち、少なくとも一つ、通常は複数を有する。
−物質の生成量(水素及び一酸化炭素)が小さい。
−生成される合成ガスの希釈(窒素)を防ぐために、酸素等の高価な反応剤を使用する必要がある。
−生成される合成ガス中のバイオマス又は有機廃棄物の分解による副産物が存在する(タール等)。この場合、このガス状混合物の質は、下流の化学工程(例えばフィッシャー−トロプシュ工程)の合成反応剤として使用するには悪すぎる。
−H/COの割合の制御に関する許容度が低い。
−特に開始フェーズ及び停止フェーズにおいて実施が困難である。
−使用される不応性物質により合成ガスが汚染される可能性がある(劣化)。
−制御が複雑である。
−ガス化リアクタを保護するために大量の不応性要素が必要である。
−十分な寿命/費用の割合に到達するための不応性物質の選択に制約がある。この選択は灰成分及びリアクタの制御モード(熱サイクルの頻度)に基づいて行われることが多い。
−加圧下で動作させることが困難であり、転換に大量の反応媒体が必要であり、これによりリアクタは不利な大きさとなる(ヒートバランスの観点及び/又はリアクタのパッキングに必要な不応性物質の量の観点から)。
−(バイオマス及び/又は有機廃棄物の前処理に起因すると思われる)気体だけでなく凝縮相(固体又は液体)の転換の柔軟性も低い場合が多い。
米国特許第4643109号明細書 米国特許第5645615号明細書 米国特許第4187672号明細書 英国特許第2160219号明細書 米国特許出願公開第2004/0045279号明細書 米国特許第6808543号明細書 米国特許第6110239号明細書 米国特許第5620487号明細書 米国特許第4680035号明細書 米国特許第5968212号明細書 独国特許第4446803号明細書 米国特許第6173002号明細書 米国特許第5544597号明細書
本発明は、従来技術による装置の問題の全て又は一部を克服することを可能にする装置を提案する。
本発明の第一の態様は、熱プラズマにより物質をガス化して良質の合成ガスを生成するための装置に関し、本装置は、混合チャンバ又は少なくとも一のプラズマ噴流と、処理されるチャージとの均一な混合を可能にする手段を備える。プラズマ/物質の混合物(実際には、特に高粘度のプラズマ噴流)を生成する難しさを考慮するために、本発明は、プラズマ媒体中を処理される物質が貫通し、且つその貫通経路が最長となることを保証する手段を導入する。
物質の注入は、プラズマ媒体と均質化され易いゾーンで行われる(均質化されるのは、処理される物質とプラズマとの混合物である)。このような注入は、プラズマの噴流に対して、一又は複数(トーチが複数の場合)のプラズマ流を貫通するように行われる。
例えば、処理される物質の流れ全体は、プラズマ噴流「のレベルで」注入される。
更に、一又は複数の注入器の出口における一以上の注入軌道は、線形又は渦状(又は二つの組み合わせ)とすることができ、これによって物質の滞留時間が制御される。
従って、本発明による物質を注入する工程は、先行技術に開示されている工程、特に特許文献4に記載の工程とは基本的に異なっている。
混合又はガス化チャンバが好ましくは球形又は卵型であることにより、上述のように、このチャンバ内で処理される物質及びプラズマの効果的な均質化が達成され、且つ熱損失が最小化される。
上記のような形状は、円筒形状の場合に達成されるものより明らかに良質の均質化を可能にする。
先行技術の構造と比べて、本発明による装置は、プラズマ反応媒体を最適化し、炭素チャージを転換するのに必要な滞留時間を低減する。従って、プラズマ噴流の反応性が転換に最大限利用される限り(解離された分子又はイオン化分子が存在し、局所的温度レベルが非常に高い)、混合ゾーンの壁部における損失を許容可能なものにすることができる。技術的レベルでは、本発明による装置により、反応ゾーンを狭め、且つ先行技術の装置に対して不応性物質の量を低減することが提案される。
本発明の装置の他の利点の一つは、装置によって生成される残留物の量が、先行技術に記載の装置によって生成される同量より大きくないことである。更に、残留物は、原位置でガラス化されることにより不活性であり、従って二次使用できるか又は安価で廃棄できる。
本発明はまた、二つの主要なサブアセンブリ、即ち混合サブアセンブリ又は手段(更に、一部でチャージの前処理を行うこと、又は少なくともその予熱を行うことを保証する)、並びに反応サブアセンブリ又は手段の組み合わせを提案する。
混合手段は、物質流を注入する手段と少なくとも一のプラズマ供給源を位置決めすることにより、少なくとも一のプラズマ噴流を形成する手段とを位置決めする手段を備え、前記物質の流れと少なくとも一のプラズマ噴流との均質な混合ゾーンを形成する。
混合ゾーンの下流に、前記混合物の流れの方向に向かって配置される手段は、前記物質とプラズマとの混合物の反応ゾーンを形成する。
よって、リアクタは混合チャンバ及び反応ゾーン又はチャンバから構成される。運転中、プラズマが混合チャンバの容積の大部分を占め、プラズマ/高温ガス/高温粒子の混合物は、転換の間に、メタン又はタール等の望ましくない種の形成を引き起こす可能性がある急な温度勾配の出現を防ぐように制限された反応ゾーン内に進入する。
特定の実施形態によれば、手段により、反応ゾーン内の温度の感知又はモニタリングが可能となり、このような温度の測定を使用して、混合ゾーン内での製品の注入を制御することにより、反応ゾーンの温度に従って混合ゾーン及び反応ゾーンの内壁の保護層を形成することができる。
本発明はまた、熱プラズマにより物質のガス化を行って良質の合成ガスを生成するための装置にも関する。本装置は、
−前記物質の流れを注入する手段と、少なくとも一のプラズマ源とを位置決めするための開口を備え、前記物質と少なくとも一のプラズマ噴流の混合ゾーンを形成する、プラズマと処理される物質とを混合するためのチャンバ、
−チャンバの開口に接続してこの開口から軸方向に伸びる、前記物質とプラズマとの混合物の反応ゾーン、
−反応ゾーン内の温度の測定手段、及び
−反応ゾーン内で測定された温度に応じて混合ゾーン及び反応ゾーンの内壁のための保護層の形成を可能にする少なくとも一の製品の注入を、混合ゾーン内において制御する手段
を備える。
本発明により、混合ゾーン及び反応ゾーンの壁に従来の高価な不応物質を使用することを最小限にとどめるか、又は回避する装置を提供することが可能である。実際に、適切で制御された保護層の形成により、特定の不応性物質を使用することなく壁部における熱損失及び壁の腐食現象を低減することができる。
好ましくは、反応ゾーンは、処理されるチャージに対し、化学反応を起こすのに十分な滞留時間を与える形状と容積を有する。このような反応ゾーンはまた、これらの転換に起因するガス流の増大を考慮する。混合ゾーン及び反応ゾーンは、好ましくは小型化される。冷却壁も、工程の慣性を確実に非常に小さいレベルに抑えることができ、従って安全条件を向上させることができる。
反応ゾーン及び/又は混合ゾーンの壁は、金属不応性物質を含むか、又は金属不応性物質から構成することができる。
上述のように、混合ゾーンは、特に混合ゾーンの容積を最小化し、従って外部との熱交換を最小化するのに適した特定の形状を有するチャンバ、特に球形又は卵型のチャンバを備えることができる。
反応ゾーンの出口には、ノズルなどの、合成ガスを固定するために圧力を開放する手段を備えることができる。
本発明による装置は、有利には、少なくとも一又は二のプラズマ源を備え、これらのプラズマ源は、処理される物質とプラズマとの混合物の流れが反応ゾーンへ向かうように配置されている。
上記実施形態の一つによる装置はまた、少なくとも一のプラズマ源の少なくとも一部に、ガス化工程に起因する少なくとも一のガスを供給する手段を備えることができる(ガスの再利用)。
混合ゾーン及び/又は反応ゾーンを冷却するための手段を設けることができる。
混合ゾーン及び/又は反応ゾーンはまた、保護層を構成する物質、例えば不応性物質でコーティングすることができる。
合成ガスの精製及び/又は清浄手段を反応ゾーンの出口に配置することができる。
精製及び/又は清浄手段は、事前浸漬ゾーンを備えることができる。
これらの手段は、凝縮可能な物質を捕捉する手段を備えることができる。
一実施形態によれば、本発明による物質のガス化装置は、段階的に配置される第1のガス化装置と少なくとも一の第2のガス化装置を備えることができ、これらの装置のうち少なくとも一つが本発明による装置である。
本発明はまた、物質をガス化する方法に関し、本方法は、
−前記物質と少なくとも一のプラズマ噴流とを混合ゾーンに注入し、前記物質と前記プラズマ噴流の流れを合わせて混合するステップ、
−前記物質とプラズマとを反応させ、この反応を、混合ゾーンの下流に位置する反応ゾーン内で維持するステップ
を含む。
温度は反応ゾーンにおいて測定することができる。反応ゾーンにおけるこの温度に応じて、混合ゾーンにおける製品の注入を制御することにより、混合ゾーン及び反応ゾーンの内壁の保護層を形成することができる。
処理される物質は、少なくとも部分的に固体及び/又は液体及び/又は気体とすることができる。例えば、前記物質は、固体のバイオマス及び/又は有機廃棄物及び/又は液体残留物及び/又はガスである。この物質は、例えば本発明により、又は他の既知の種類の方法により、少なくとも部分的に熱分解及び/又はガス化処理から得ることができる。
プラズマ噴流は、少なくとも一の非移行型アークトーチにより形成することができる。
ガス化の工程、例えば本発明による工程から得られる少なくとも一のガスにより、少なくとも一のプラズマトーチの少なくとも一部を供給することができる。
混合ゾーンの内壁の保護層を形成する製品は、例えば、酸化物又は炭化物である。
反応は、混合ゾーンで開始され、プラズマガスの解離により促進される。
物質とプラズマの混合物を反応ゾーンに向かって方向付けるために、少なくとも二のプラズマ噴流を使用することができる。
混合ゾーンの出口における平均温度は1000℃〜2000℃とすることができ、これにより噴流中の局所的温度は例えば3000K〜8000Kとなり得る。反応ゾーンの温度も1000℃〜2000℃である。
本発明によるガス化の工程は、空気及び/又は酸素及び/又は蒸気及び/又は二酸化炭素及び/又はメタン又はこれら異なる種の組み合わせを含む反応ガスを添加することにより実行することができる。
従って、本発明による装置の動作の様々なモードに関し、様々な適用が可能である。
本発明による装置及び方法は、外部電力システムにより、水素及び一酸化炭素の生成を倍増させることができる(従来のFICFB工程と比較して)。この技術はまた、酸素ガス化に関連する二酸化炭素及び蒸気の形成を防ぐ。
本発明は、バイオマス及び/又は有機廃棄物からのガス化生成物の生成を可能にする。この生成物に含まれる有機汚染物質(特にタール)の濃度は1mg/Nm3未満、場合によっては0.5mg/Nm3又は0.1mg/Nm3未満である。このようなレベルの純度により、合成、特に燃料合成に当該生成物を使用することが可能である。
本発明の第1の実施形態について、図1を参照し、説明する。
本発明による装置は、処理される物質3、3’と、一以上のプラズマ生成装置2、2’からの流れ(又は噴流200、200’)とを混合するゾーンを形成する第1サブアセンブリ1、又は第1手段を備える。
処理される物質は、固体、液体又は気体とすることができる。この物質は、例えば、細かく分割された固体のバイオマス及び/又は熱分解生成物及び/又は有機廃棄物及び/又は液体残留物及び/又はガスである。この物質(特にガスの場合)は、少なくとも部分的に、処理される物質の処理に由来するか、又は処理される物質の処理の副産物とすることができる。これは、図1の矢印210及び210’により示す、ガスを再利用してプラズマ発生器2及び2’に供給する場合に当てはまる。ガスの再利用は、本工程の下流のステップにも由来する(例えば、フィッシャー−トロプシュ工程に由来するヘッドガスの再利用の場合)。
開口13、13’により、注入手段130、130’を使用して、処理される物質の流れを注入することが可能である。装置に課された条件に適切な圧力における、これらの温度性能及び制御された流れを送達する能力を考慮する。一実施例として、これらの注入手段は、液体を供給する場合、加圧を可能にする噴霧器又は直線的なノズル端部を有することができる。別の実施例として、固体の転換を行う場合、加圧した空気輸送手段を使用することができる。
注入手段により、処理される物質の注入の軌道を生成することができ、この場合これらの軌道は線状、渦状、又は螺旋状である。或いは、注入手段により、線形運動及び回転運動の組み合わせにより生じる、この物質の注入の軌道を生成することができる。
好ましくは非移行型アークを有する一以上のプラズマトーチ2、2’は、プラズマをチャンバ内へ注入できるように、チャンバの周囲に配置される。
このようなトーチは、好ましくは、本発明による処理に直接起因して(可能な処理及び/又は再加工の後で)生じるガス及び/又は組み合わせた下流での工程に起因して生じたガスを用いて(再利用)動作する。また、場合によっては以前のガスと組み合わせて、本発明により生成されるガスの組成に関する許容性の様々な指標(H/CO比、再利用されるガスの容積)と、工程の収益性とがうまく均衡するように(特に物質収支及びエネルギー収支に関して)選択された反応剤(特にHO及び/又はCO及び/又はO及び/又は空気)を使用することができる。
特に、一実施例として、少なくとも一のトーチの供給には、本発明による処理により、装置の出口において得られるか(点線の矢印210及び210’で示す)、又はフィッシャー−トロプシュ反応の結果として得られるいわゆる「ヘッド」ガス(特にメタンを成分とする)により得られる、合成ガスの流れの少量の一部を提供することができる。また、トーチの許容性に応じて、蒸気の形態の水、又は直接液体の形態の水を選択することができる。
好ましくは、一又は複数のトーチ2、2’は、非移行型アークの種類である。この種のトーチは、実際、トーチ外部の逆電極を必要とせず、従って混合サブアセンブリ内部にいかなる介入も行うことなく置換可能である。プラズマ噴流のレベルの温度は、約数千℃である(2000℃〜3000℃又はそれ以上)。
一又は複数のプラズマ源及び一以上の注入器は、処理される物質とプラズマとの混合物の流れが反応ゾーンへ向かうように配置することができる。
複数のトーチを使用することにより、装置内部の出力を増大させることができ、及び/又は混合ゾーンの下流に配置される反応ゾーン5a、5bの軸XX’を中心とする対称性を利用することができる。この反応ゾーンは、所望の転換レベルを達成するのに十分なチャージ転換の滞留時間を提供することができる。このような対称性は、混合現象の複雑さを制御し、壁に対するプラズマ流の熱衝撃を最小化することができる。場合によっては、入口のパラメータを単純化することが可能で、これはプラズマガスと、処理される流れとの混合物の最適化を導く。しかしながら、システムの非対称性は流れの均質化に寄与するので、禁じるべきではない。
手段1とプラズマ源の配置とによっても、プラズマガスと処理される物質との混合物が、注入サブアセンブリの出口において、反応ゾーン5a、5bの縦軸XX’に沿って流れるように、一又は複数のトーチによって送達されるプラズマ流を再び方向付けることが可能である。
対称性により、非対称な損耗、つまりプラズマガスの流れを受けるゾーン1の内壁上の腐食及び/又は損耗現象の不均一な分布を制限することもできる。
最適化された操作を連続して行うことができるように、複数のトーチを受けることができる装置、及び入口12、12’の一方の絶縁を可能にする絶縁手段を提供することができる。このような構成は、トーチを維持すると同時に、混合サブアセンブリ1に接続するほかのトーチの動作を可能にする。
混合ゾーン1は、下流で反応ゾーンの第1の部分5aに接続する。
混合ゾーンの出口15はこの反応ゾーン5aに接続し、この反応ゾーンの軸XX’は例えば、一般にトーチのプラズマ噴流200、200’が合流してできる(複数のトーチを使用する場合)プラズマの流れによるものである。他の実施形態では、この軸XX’は、処理される流れを供給する装置の軸から遠ざかることができる。これは特に、図2に例示されるような、プラズマトーチを一つだけ使用する構成に当てはまる。
例えば、パイロメーターの種類の手段50は、この反応ゾーン5aの温度を感知又は測定することができる。
この温度測定は、例えば、電子装置又はこの目的のためにプログラムされたマイクロコンピュータ52の制御下で使用され、混合ゾーン1において、製品4、例えば酸化物(特に、MgO及び/又はFeO及び/又はCaO及び/又はA12O3及び/又はSiO2等)を注入する手段140を制御することにより、反応ゾーン5aの温度に応じて混合ゾーン1及び反応ゾーン5aの内壁の保護層を形成する。矢印55は、この制御を示している。
このような制御は、特に流速又は処理されるチャージの性質に変動がある場合、或いは転換されるチャージを構成する灰分の融点と、装置の標的温度とが一致しない場合に使用することができる。装置に適用される電力を適合させることは、別の制御手段である。
このような注入が行われない場合、特に灰分を含むチャージの場合、装置の内壁に自然に堆積物が溜まる。
このゾーン5aの温度が低下すると、サブアセンブリ1及び5a、5b(更には60)の内壁上の堆積物の厚さが増大する。このようにして形成された堆積物により、壁部における熱損失が低減する。このような熱損失の低減は、堆積物の融点が同じ組成について固定であれば、堆積物の厚さを低減させる。
このような腐食を回避するには、上述のモード及び制御に従って、堆積物の融点を調節するための製品を注入することが有利である。この堆積物により、ゾーン又はチャンバ1とゾーン5a、5bとの絶縁を強化して熱損失を防ぐことができる。
ゾーン1及び5a、5bの内壁の保護層により、腐食からの保護もまた可能となる。
図1に示すように、手段1は、インターフェース又は開口又は穴12、12’、13、13’、14が設けられたチャンバの形状を有することができ、この形状により、処理される物質の流れと、一以上のトーチ2、2’によって送達される一以上のプラズマ流200、200’を制限することができる。
この手段又はチャンバ1により、物質3、3’の供給を均質化するため、処理される物質の流れとプラズマ噴流200、200’との最適な接触を達成することができる。特に、チャンバの形状は、プラズマトーチによって生成される噴流200、200’の容積中において、処理される及び/又は転換される物質3、3’を最大限に接触させることを可能にする。このような最大限の接触は、特に、プラズマ噴流200、200’に向けて、処理される物質を強制的に注入することによって行われる。このようにして、混合チャンバ内に注入が行われ、トーチによって生成されるイオン化された媒体に、物質の軌道がつけられる(その温度と組成の特徴及び熱伝導率(軸方向及び半径方向に沿って不均一)により、非常に反応性の高い媒体となっている)。
また、手段1は、処理される物質の懸濁液中にプラズマガス流(噴流200、200’)により乱流を生じさせること、及びプラズマ噴流200、200’とこの物質とを合流させることにより、プラズマガスと処理される物質との混合物を均質化することができる。
加えて、この均質化は、通路の断面(一以上のトーチの断面と注入サブアセンブリの断面の間の)を増大させることにより強化され、よってプラズマガスの流速の勾配を均一にすることができる。
処理される物質3、3’の流れとプラズマ噴流200、200’の流れとは、同じ合流ゾーン300で出会い、これら二つの流れは強制的に混合される。これにより、プラズマチャンバ1における反応も開始され、次いで生成された混合物が下流に位置する反応ゾーン又はサブアセンブリ5a、5bに進入する。
プラズマ媒体の分解の動力学は、光学的手段により決定又はモニタリングすることができる。このような手段により、例えば、プラズマ媒体中の粒子密度を考慮することが可能となる。
好ましくは、チャンバも熱流の変動の可能性に対応することができる。このような変動は、チャンバの内壁上に現れるもので、処理される物質の流れの不均一な及び/又は不連続な供給に起因しているか、或いは、随意で行なわれるシステムの停止又は再始動に起因している可能性がある。装置全体が使用不能な時間が最小化される(年間の使用不能時間は好ましくは10%未満である)ように、このような随意的停止は比較的速い動力学特性を有しなければならない。一以上のプラズマトーチ2、2’の停止は、例えば過熱システムの回転式メンテナンスの場合にも起こる。従って、チャンバは、チャンバの内表面100上に予想される熱流の変動に対応する物質から作製されることが好ましい。例えばチャンバは、金属性の不応性物質、例えば冷却した不応性スチールから作製される。レンガ又はコンクリート等の従来の不応性物質より作製されたチャンバの製造費用は過剰に大きく(周期的交換の必要性により)、熱慣性が大きすぎてシステムを迅速に停止又は再始動させることができない。
チャンバ1は冷却手段を有する。これらの手段は好ましくはチャンバの周囲に配置される。それらは例えば、加圧水等の冷却流体41を循環させる二重ケーシング40を備える。
後述するように、これらの冷却手段は、反応ゾーンの冷却にも使用することができ、特にこのゾーンの部分5aの冷却に使用することができる。
有利には、必要に応じてこの構造を、補助的な不応性物質(例えば、炭化ケイ素SiC)で被覆することができる。但し、システム運転時には壁を保護する堆積物の存在により、その厚さが限定される。このような補助的な被覆により、大幅且つ急激なあらゆる熱変動を吸収することができる。
チャンバ内部と周囲環境の間の交換表面、熱損失が比例的である表面は、好ましくはできるだけ小さいか、又は少なくとも装置の熱損失(チャンバ1のレベルにおける損失を含む)が、注入される動力の15%以下(場合によっては10%以下)であるように選択される。このような観点から、球形(図1の場合)又は卵型の形状が最適である。後述に示すように、図3に関し、この球形又は卵型の直径又は最大寸法は、およそ数メガワットの出力について、例えば約数百mmであり、例えば200mm〜400mm又は500mmである。
本発明は、加圧下で動作することができる。これにより、チャンバ1の容積を低減することが可能であり(大量生産を達成可能な、又は大量生産に適合するこのような容積は、上記に示唆した直径に基づいて計算することができる)、従ってその熱損失を低減することができる。更に、加圧された合成ガスを下流で導入する工程を組み合わせる場合に行われる圧縮ステップを省略することができる(例えば、約30バールの圧力で動作するフィッシャー−トロプシュ合成の工程のため)。
好ましくは、処理される流れと、トーチによって送達されるプラズマ流(又は複数のトーチを使用することにより生じる通常の流れ)との入射角により、サブアセンブリの性能が最大になるように、供給手段をチャンバの様々な注入孔12、12’、13、13’、14に埋め込む。特に、一実施例として、可能な構成を図1に示す。供給装置及びトーチは同じ平面内に位置し、供給システムとトーチの間の角度は全て約30度である。
混合サブアセンブリ1にも接続する開口14により、化合物(又は化合物の混合物)を処理されるチャージに統合することができる手段140を配置することができる。この化合物は、注入サブアセンブリの内壁上、及び反応サブアセンブリの内壁上(部分5a及び/又は5b)に確実に保護フィルム(又は保護層)を形成する物理化学的特性を有する。これらの手段140は、上述のように、サブアセンブリ又は反応媒体5aの温度に基づく指令を行なうフィードバック制御により制御することができる。このような化合物の添加は、特に、チャージの特徴により満足の行く条件下で処理を行うことができない場合、例えば処理される流れを構成する灰分の融点がガス化リアクタで使用されるべき融点に十分近くない場合に特に適している。
反応手段5a、5b又は反応ゾーンは、混合ゾーン1に直接隣接している。図1に示すように、混合ゾーン1の出口15は前記反応ゾーン5aの入口で直接終端する。
上述のように、反応は既にゾーン1で開始されている場合がある。しかしながら、物質とプラズマとの反応の実質的な部分はこの第2のゾーン5a、5bで起こり、物質は同ゾーン1より長い時間に亘って第2のゾーンに滞留する。即ち、このゾーンによりまず、混合サブアセンブリ1で開始される、処理される流れの転換を改善することができる。このために、好ましくは第1の反応ゾーン5aの容積より有意に大きい容積(例えば約10倍、nは1以上)を有する第2の反応容積5bを、第1の容積5aに取り付けることができる。この第2の容積により、反応ゾーンを延長し、よって所望の滞留時間を得ることができる。
処理又は転換される物質の流れの性質に応じて、この反応サブアセンブリ又はこの反応ゾーン5a、5bは複数の形状を有することができる。反応サブアセンブリ又は反応ゾーンは、例えば、
−圧力流リアクタ、
−又は自動るつぼ形リアクタ、
−又はサイクロンリアクタ
を備えることができる。
好ましくは、可能な限り少数の従来式の不応性物質をこの反応サブアセンブリに使用することができ、好ましくは金属性の不応性物質を使用することができる。この反応ゾーンを冷却することにより、処理されるチャージの処理に起因する残留物の堆積を形成することができ、保護された金属性の不応性物質を保存することができる。これらの堆積物に起因して生じる固体の外皮又は層は、熱保護となり、更には腐食保護となる厚さとなる。冷却は、ゾーン1について上述したように、二重ケーシング40、41と、流体42の循環によって行なうことができる。
反応ゾーン5a、5bの冷却は、原則的には大きな熱損失に繋がることに注目されたい。実際に、冷却作用は、第一に、処理される物質の流束から、上述のように熱絶縁と腐食保護の両方を提供する保護層又は外皮を形成する手段として作用する。
このような機構は実質的には不応性物質の使用を制限し、このような堆積現象を使用しない場合、不応性物質の量は更に多くなる。
反応ゾーンの部分5aは、図2A及び2Bに示すような広がり形状を有することができる。この広がり部分は、処理されるチャージの転換において生成されるガスの容積の増大を考慮することができる。
随意的に、浸漬手段は、処理される流れの目的及び性質に応じて、流れの無機部分からなる合成ガスを精製し、その組成を固定することができる。これらの浸漬手段又はサブシステム60は、本発明に補助的な要素70の上流に配置することができ、本発明の装置によって生成されるガスの精製及び/又は清浄を可能にする。
手段60は、例えば、広がったノズル式要素61又は特定の「クエンチ」システム(例えば米国特許第6613127号に記載のもの)を備え、この要素又はシステムは凝縮可能な物質(特に灰分)を捕捉するフォギングシステムを内蔵していても、していなくともよい。慣性分離装置70により、生成されたガスの精製及び/又は清浄が可能である。
トーチを有する、単純な非対称の構造の本発明の代替形態を図3に示す。図1の参照番号と同一の参照番号は、前記図1に示す要素と同一又は類似の要素を示すために使用されている。この図3には、図1の他の要素(処理される物質の供給手段130、130’、保護フィルムを形成することができる化合物の供給手段140、ループ210、210’、温度測定手段50、フィードバックループ55、等)が示されていないが、この実施形態の一部である。
この図に示される大きさは、生成される出力が約500kWである場合、例として次のように与えられる。
−dは150〜200mmであり、
−dは300〜400mmであり、
−Lは500〜3000mmであり、
−Lは1000〜5000mmである。
トーチの流量は、好ましくは可能な限り小さい(十分な加熱力を保証すると同時に、大量のガスの使用を制限するため)。一例として、この流量は、例えば、およそ100Nm3/hを下回る標的値である。上述のように、有利には、この流量は装置によって生成されるガスにより構成することができる(再利用)。
この出力では、装置は、約200kg/hのバイオマスの流量を転換することができる(ドライベースで標準化)。
数MWのトーチ出力、例えば2MW又は5MW又は場合によっては10MWを超える出力では、一時間に数トン、例えば5トン以上、例えば10トン以上の物質を処理することができる。装置の大きさは、上述の例に基づいて調節される。
第1の従来式ガス化段階によって生成されるガスの後処理のために(従来のFICFB地熱工程)適用される出力は、処理されるガス1トン当たり約1MWである。
一例として、機能的サブアセンブリ中の平均温度は、約5000K〜7000Kの温度のプラズマ噴流に対し、約1300℃〜1500℃である。
図1に示すような、二つのトーチを有する対称な装置の大きさは、例として、非対称な形態(図3)について既述したものとおよそ同じとすることができる。この場合、単一の追加トーチが混合サブアセンブリを備える限り、トーチの数は、第一に、装置によって生成される出力に影響する。更に一般的には、トーチの数は、工程の要件(発生させる出力、バルク管理及び維持等)に合わせることができる。トーチの数が実施例で言及した場合より多い場合、上述のシステムのおおよその大きさは、特にトーチの単位出力と、質量及び熱の流れに関する制約を考慮することにより再計算される。
他の代替形態及び構成が可能である。例えば、有利には、工程に関する特定の制約に従って、二又は三以上の段階を有する、単一又は多段式供給を用いて、単一トーチ又は複数のトーチのスタックを製造することができる。
図4は、他段式供給を用いた単一トーチアセンブリを示す。
このアセンブリは、実際、それぞれが本発明の実施形態の一つにより製造された二つの段階230、250を含む。更に、先行技術による一段階を備え、その下流に本発明による一段階を備える装置が実施可能である。このようなアセンブリにより、処理される物質の処理能力を増大させることができる。加えて、第2段階250は、第1段階230で完了しなかった転換又は処理を終了させることができる。各段階は、処理される物質の開口13、13’、131、131’を含む。図1又は3の他の要素はこの図4には示されていないが、各段階230、250は図1又は3の構成を有することができる。
更に、一の混合サブアセンブリ当たりのトーチの数は、主にサブアセンブリのレベルにおけるそのバルクによって制限されるのみであり、よって比較的高出力を達成することができる。例として、それぞれが約2MW以上(例えば約10又は15MW)の出力を有する複数のトーチを使用することができる。
本発明により、熱力学的均衡に関する偏差を最小化するように、高温条件下で(例えば、装置又はガス化ゾーン5の中心で平均1200℃〜1500℃)バイオマス及び/又は有機廃棄物を転換することができる。このような転換は、開口3及び/又は3’及び/又は4から導入されるか、或いはトーチ2、2’によってプラズマガスとして導入されるガス化剤(反応剤とも呼ばれる)を用いて実施される。このガス化剤は、空気、酸素、蒸気、二酸化炭素又はこれら異なる種の組合せとすることができ、好ましくは、その比率は、ガス化装置中に通常の還元性雰囲気を供給できるようなものとする。
特にフィッシャー−トロプシュ工程を介して合成燃料を製造する目的でバイオマスのガス化を行う場合、従来式の自己発熱工程に対し、本発明による間接熱(allothermal)工程の利点を見込むことができる。下流において、装置のレベルで水素を加えるかどうかに応じて(H/COのモル比を調節するために)、二つの間接熱構成を考慮することができる。
表1は、用いる転換方法に応じて得られる物質の生成量(ディーゼル燃料の質量の、同燃料の生成に必要な乾燥バイオマスに対する比)を示す。
この表は、異なるバイオマスのガス化工程の構成について、規模という観点から、物質のバランス(この工程に使用される乾燥バイオマスの量に対して製造される石油均等物)を比較する。
表1に示される、比較に使用した異なる工程(1)〜(4)は、以下の通りである。
(1)FICFB又はChoren社の工程
(2)第1段階で生成されたガスを用いて、本発明による後処理段階により完了させる工程(1)
(3)入力を直接バイオマスより得る本発明による工程
(4)補助的水素流を導入することにより、H+COの量を最適化してH/COのモル比を約2にする工程(3)
表1の(3)の場合の値は、CO及びHのガス化リアクタの場合のバイオマスのLHV(低位発熱量、例えば15〜20MJ/kg)の三分の一の平均要件に基づいて与えられ、この場合、このエネルギーはバイオマス自体から生じるか(これに応じて物質生成量は落ちる)、又は外部供給源から得られる(間接熱工程)。燃料合成を実行することが可能であるためには、H/COのモル比は約2であり、このモル比により、「ガス転換」又は最初のシステムの外部からの水素の供給による調整が行われる。
表1
Figure 0005607303
本発明により、有機汚染物質(特にタール)の濃度を1mg/Nm3未満、場合によっては0.5mg/Nm3未満又は0.1mg/Nm3未満に抑えたガス製品を製造することができる。0.1mg/Nm3という精度レベルは、合成、特に燃料又はメタノールの合成を目的として使用することができる。
最後に、本発明は、特に廃棄物処理において、ダイオキシンの形成を防ぐ高温で動作することができる。
本発明による装置は、殆ど損失無く(20%未満、15%未満、又は10%未満)、非常に少量の不応性物質で動作できる。
本発明により、特に、不純物を殆ど含まず、水素及び一酸化炭素を豊富に含む、良質の合成ガスを生成することが可能である。
本発明による装置を示す。 A及びBは、本発明による装置の反応ゾーンの変形例を示す。 非対称な構造の、本発明による別の装置を示す。 段階式構造の、本発明による別の装置を示す。

Claims (32)

  1. 良質の合成ガスを生成するために、熱プラズマにより物質をガス化する装置であって、
    プラズマと、処理される物質とを混合するための球形又は卵形のチャンバ(1)であって、前記物質の流れを注入する手段を位置合わせし、且つ少なくとも一のプラズマ源を位置合わせするための開口12、12′、13、13′、14と出口(15)を備え、処理される物質をプラズマ噴流(200、200′)の方向またはプラズマ噴流の内部に強制的に注入することによって、前記物質の流れと少なくとも一のプラズマ噴流(200、200’)とを均一に混合するためのゾーン(300)を形成するチャンバ(1)と、
    軸方向に伸びる前記物質とプラズマの混合物の反応ゾーン(5a、5b)であって、一端において前記チャンバ(1)の出口(15)と直接結合されて、前記反応ゾーン(5a、5b)が出口(15)と一端で結合されている第1の反応ゾーン(5a)と前記第1の反応ゾーン(5a)の他端に結合されて前記第1の反応ゾーン(5a)より大きい容積を有する第2の反応ゾーン(5b)とを有し、チャンバから物質とプラズマの混合物を反応ゾーン(5a、5b)に受け入れることにより、当該混合物が前記反応ゾーン(5a、5b)の軸に沿って流れ、転換されるチャージに十分な滞留時間を提供し所望の転換レベルを得るように構成された反応ゾーン(5a、5b)と、を備えることを特徴とする装置。
  2. 反応ゾーンの温度を測定する手段(50)と、
    反応ゾーンで測定された温度に従って、混合ゾーン(1)における、混合ゾーン(1)と反応ゾーン(5a、5b)の内壁の保護層を形成することが可能な少なくとも一の製品(4)の注入を制御する手段(52、140)と
    を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
  3. 反応ゾーンが、混合ゾーンから流入する物質とプラズマの混合物の圧力と温度を制御できる形状を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
  4. 反応ゾーンの出口に、合成ガスを固定させるための圧力解放手段(60、61)が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置。
  5. 固定手段(60、61)が事前浸漬ゾーンを含むことを特徴とする、請求項4に記載の装置。
  6. 反応ゾーンの内壁が、有利には保護層でコーティングされた、不応性の金属物質から作製されていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の装置。
  7. 混合ゾーン(1)の内壁(100)が、保護層でコーティングされた金属の不応性物質から作製されていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の装置。
  8. 混合ゾーン(1)が、球形又は卵型のチャンバを備えることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の装置。
  9. 処理される物質の注入の軌道を形成できる、処理される物質の注入手段(130、130’)を更に備え、当該軌道が線状、渦状、又は螺旋状であるか、或いは物質の注入軌道が線形運動と回転運動の組み合わせから生じることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の装置。
  10. 少なくとも一のプラズマ源(2、2’)を更に備えることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の装置。
  11. 少なくとも一のプラズマ源が非移行式又は移行式アークを有することを特徴とする、請求項10に記載の装置。
  12. 処理される物質とプラズマとの混合物の流れが反応ゾーンへ向かうように配置された、少なくとも二つのプラズマ源を備えることを特徴とする、請求項10又は11に記載の装置。
  13. 各々が、処理される物質とプラズマとの混合物の流れが反応ゾーンへ向かうように配置された、一以上のプラズマ源と一以上の注入器とを備えることを特徴とする、請求項10ないし12のいずれか一項に記載の装置。
  14. 少なくとも一のプラズマ源に対し、少なくとも部分的に、ガス化作業から生じる少なくとも一のガスを供給する手段(210、210’)を更に備えることを特徴とする、請求項1ないし13のいずれか一項に記載の装置。
  15. 混合ゾーン及び/又は反応ゾーンの冷却手段(40、41)を更に備えることを特徴とする、請求項1ないし14のいずれか一項に記載の装置。
  16. 混合ゾーン及び/又は反応ゾーンも不応性物質によって被覆されることを特徴とする、請求項1ないし15のいずれか一項に記載の装置。
  17. 反応ゾーンの出口において、有機相と無機相とを精製及び/又は清浄又は分離する手段(70)を更に備えることを特徴とする、請求項1ないし16のいずれか一項に記載の装置。
  18. 精製及び/又は清浄手段(70)が、凝縮可能な物質を捕捉する手段を備えることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
  19. 段階式に配置された第1ガス化装置(230)及び少なくとも一の第2ガス化装置(250)を備え、これらの装置のうち少なくとも一の装置が請求項1ないし18のいずれか一項に記載の装置であることを特徴とする、物質のガス化装置。
  20. 物質(3)のガス化方法であって、
    前記物質(3)と、少なくとも一のプラズマ噴流(200、200’)を混合する球形又は卵形の混合ゾーン(1)において、前記物質をプラズマ噴流の方向またはプラズマ噴流の中に強制的に注入することによって、前記物質と前記プラズマ噴流の流れを合わせ、均一に混合するステップと、
    前記物質とプラズマの反応を開始させ、混合ゾーンの下流に配置され、前記混合ゾーン(1)の出口(15)と直接結合されて軸方向に伸びる反応ゾーン(5a、5b)において、前記反応ゾーン(5a、5b)が出口(15)と一端で結合されている第1の反応ゾーン(5a)と前記第1の反応ゾーン(5a)の他端に結合されて前記第1の反応ゾーン(5a)より大きい容積を有する第2の反応ゾーン(5b)を有することにより、物質とプラズマの混合物を受け入れ、当該混合物を前記反応ゾーンの軸に沿って流れさせて、転換されるチャージに十分な滞留時間を提供し所望の転換レベルを得るように、前記物質とプラズマの反応を実際に維持するステップと、
    を含むことを特徴とする、方法。
  21. 反応ゾーンの温度を測定するステップと、
    反応ゾーンの温度に従って、混合ゾーンにおける製品の注入を制御することにより、混合ゾーンの内壁の保護層を形成するステップと
    を更に含むことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
  22. 処理される物質が、少なくとも部分的に固体及び/又は液体及び/又は気体であることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
  23. 処理される物質が、固体のバイオマス及び/又は有機廃棄物及び/又は液体残留物及び/又はガスであることを特徴とする、請求項20ないし22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 物質の少なくとも一部が、処理される物質の処理から生じたものであることを特徴とする、請求項20ないし23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 一又は複数のプラズマ噴流を、少なくとも一の非移行式アークトーチ(22’)によって形成することを特徴とする、請求項20ないし24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 一又は複数のプラズマ噴流を少なくとも一のプラズマトーチによって形成し、当該プラズマトーチの少なくとも一部又は全部には、請求項20ないし25のいずれか一項に記載のガス化工程により得られる少なくとも一のガスを供給することを特徴とする、請求項20ないし25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 混合ゾーンの内壁の保護層を形成する製品が酸化物を含むことを特徴とする、請求項20ないし26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 反応ゾーンを混合ゾーンから始めることを特徴とする、請求項20ないし27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 物質とプラズマとの混合物が反応ゾーンに向かうように、少なくとも二のプラズマ噴流を注入することを含むことを特徴とする、請求項20ないし28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 混合ゾーンの温度を1000℃〜2000℃とすることを特徴とする、請求項20ないし29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 反応ゾーンの温度を1000℃〜2000℃とすることを特徴とする、請求項20ないし30のいずれか一項に記載の方法。
  32. ガス化作業は、空気及び/又は酸素及び/又は蒸気及び/又は二酸化炭素又はこれら異なる種の組み合わせを含む反応剤を用いて実行することを特徴とする、請求項20ないし31のいずれか一項に記載の方法。
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