JP5604982B2 - リチウムイオンキャパシタ用負極材料、その製造方法およびリチウムイオンキャパシタ - Google Patents
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Description
以下、本発明の実施例1について図1及び図2の概念図を用いて説明する。まず、2価以上の多価金属として機能するアルミニウム(3価)のアルミニウム箔で形成された補助ドープ部材1と活物質2(活性炭,比表面積1700m2/g)とで形成された相手電極3(相手電極3の重量:23ミリグラム)を用意した。更に、銅箔(銅)で形成された集電体4と黒鉛で形成された負極活物質5とを有するドープ処理用のドープ用電極6(ドープ用電極6の重量:37ミリグラム)を用意した。ドープ用電極6については、グラファイトが塗布された銅箔を打ち抜いて形成した。更に、多数の細孔を有する不織布で形成されたドープ処理用セパレータ7(材質:セルロース、厚み50マイクロメートル,4ミリグラム)と、リチウム箔8(リチウムドープ部材,40ミリグラム,厚み:100マイクロメトール)とを用意した。ドープ処理用セパレータ7の材質はセルロースに限定されるものではない。更に、非水系のドープ処理用電解液9を用意した。ドープ処理用電解液9は体積比でEC:DEC=1:1で混合した混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1mol/L(87ミリグラム)溶解したものを用いた。ドープ処理用電解液9は、一般的なリチウムイオンキャパシタで用いられているものである。なお、ECはエチレンカーボネートを意味し、DECはジエチルカーボネートを意味する。
以下、本発明の比較例1を説明する。銅の集電体と黒鉛からなる活物質で構成される相手電極(相手電極の重量:37ミリグラム)を用意した。この場合、負極活物質にアルミニウムがドープされることを防止するため、相手電極として、イオン化され易いアルミニウムの集電体を廃止し、銅箔の集電体を用いた。銅はイオン化されにくい。更に、銅(銅箔)で形成された集電体と黒鉛で形成された負極活物質とを有するドープ用電極(ドープ用電極の重量:37ミリグラム)を用意した。更に、不織布で形成されたセパレータ(4ミリグラム)と、リチウム箔(リチウムドープ部材,40ミリグラム)とを用意した。更に、非水系の電解液を用意した。電解液としては、体積比でEC:DEC=1:1で混合した溶媒にLiPF6を1mol/L(87ミリグラム)溶解したものを用いた。
以下、本発明の比較例2を説明する。アルミニウムが負極活物質にドープされることを抑えるために、アルミニウム箔で形成された集電体を有する実施例1に係る相手電極3を廃止した。そして、銅(銅箔)で形成された集電体と黒鉛で形成された負極活物質とを有するドープ用電極(ドープ用電極の重量:37ミリグラム)を用意した。更に、実施例1と同様に、不織布で形成されたセパレータ(4ミリグラム)と、リチウム箔(リチウムドープ部材,40ミリグラム)とを用意した。電解液としては、実施例1と同様に、体積比でEC:DEC=1:1で混合した溶媒に、LiPF6を1mol/L(87ミリグラム)溶解したものを用いた。
上記した実施例および比較例のエネルギ密度の結果を表1および図4に示す。
図5は実施例3を示す。本実施例は基本的には実施例1と同様な条件で実施するため、図2を準用する。図5に示すように、ドープ処理を行うセル12は、ヒータ102をもつ加熱要素100の加熱面101に設置されている。このため、ドープ処理の環境温度を昇温させたりすれば、セル12内に収容されている補助ドープ部材1のアルミニウムおよびリチウム箔8のリチウムのイオン化による溶出が促進される。図5に示すように、補助ドープ部材1およびリチウム箔8は、ドープ用電極6よりも加熱要素100に近い。このため、補助ドープ部材1のアルミニウムおよびリチウム箔8のリチウムのイオン化による溶出が促進され、ドープ量の調整やドープ処理の時間の短縮化に貢献できる。ここで、アルミニウム箔(多価金属)で形成されている補助ドープ部材1はドープ用電極6よりも加熱要素100に近いため、補助ドープ部材1のアルミニウムのイオン化による溶出が促進され、アルミニウムのドープ量の調整に貢献できる。
図6は実施例4の概念図を示す。本実施例は基本的には実施例1と同様な条件で実施するため、図2を準用する。図6に示すように、容器12Eに貯留されているドープ処理用電解液9に、相手電極3、リチウム箔8,ドープ処理用セパレータ7,ドープ用電極6が浸漬されている。実際には相手電極3の表面とリチウム箔8の表面とは互いに接触している。直流電源で形成された電源200の+極は相手電極3の補助ドープ材1(Al)に短絡通路10で電気的につながり、電源200の−極はドープ用電極6の集電体4(Cu)に短絡通路10で電気的につながる。この場合、ドープ用電極6の負極活物質5に向けてのリチウムイオンやアルミニウムイオンの泳動や還元が期待でき、リチウムやアルミニウムのドープ量の調整に貢献できる。
以下、本発明の実施例5を説明する。本実施例は基本的には実施例1と同様な条件で実施するため、図1および図2を準用する。但し、相手電極3の補助ドープ部材1をアルミニウムではなくマグネシウムで形成する点が異なる。図1に示すように、HSセル12に、相手電極3・リチウム箔8/ドープ処理用セパレータ7/ドープ用電極6の順にセットする。その後、ドープ処理用電解液9をHSセル12に収容する。この状態では、図1から理解できるように、相手電極3の補助ドープ材1(Mg)とドープ用電極6の集電体4(Cu)とは、短絡通路10を介して電気的に導通されている。従って、リチウム箔8は、相手電極3の補助ドープ材1(Mg)および短絡通路10を介してドープ用電極6の集電体4(Cu)に電気的に導通されている。従って、Li→Mg→短絡通路10→Cuといった電子導通通路が形成される。
上記した実施例1,2によれば、負極6Aを構成する黒鉛で形成された負極活物質5は、リチウムをドープしていると共に2価以上の多価金属であるアルミニウムをドープしているが、これに限らず、多価金属であるカルシウム(2価)、亜鉛(2価)、マンガン(2価)、バリウム(2価)等のうちのいずれかをドープさせることにしても良い。例えば0.05重量%以上、0.10重量%以上ドープさせることにしても良い。リチウムドープ部材はリチウム箔で形成されているが、箔に限定されるものではなく、シート状、ワイヤ状、バルク状でも良い。補助ドープ部材は箔状とされているが、箔に限定されるものではなく、シート状、バルク状でも良い。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
Claims (6)
- リチウムをドープしていると共に2価以上の多価金属をドープしている負極活物質を有するリチウムイオンキャパシタ用負極材料の製造方法であって、
前記負極活物質を有するドープ用電極と、ドープ処理用セパレータを介して前記ドープ用電極と対向する相手電極と、前記ドープ処理用セパレータと前記相手電極との間で前記相手電極と電気的に接続されたリチウムドープ部材と、ドープ処理用電解質とを用意する工程と、
前記ドープ用電極と前記ドープ処理用セパレータと前記リチウムドープ部材と前記相手電極をこの順に前記ドープ処理用電解質に接触させつつ配置すると共に、前記ドープ用電極と前記相手電極を短絡通路で電気的に接続させた状態に保持することにより、前記負極活物質にリチウムイオンをドープさせるドープ工程とを備え、
前記相手電極は前記ドープ工程においてイオン化する2価以上の前記多価金属からなる補助ドープ部材を備え、イオン化した前記多価金属は前記リチウムイオンと共に前記負極活物質にドープされ、前記ドープ処理用電解質と異なる電解質と共に用いられることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ用負極材料の製造方法。 - 前記ドープ用電極は銅からなる集電体を有し、
前記補助ドープ部材は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、マンガン、バリウムのうちの少なくとも1種である請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタ用負極材料の製造方法。 - 請求項1又は2に記載のリチウムイオンキャパシタ用負極材料の製造方法によって製造されるリチウムイオンキャパシタ用負極材料。
- 前記負極活物質にドープされる前記多価金属のドープ濃度は、0.05重量%以上である請求項3に記載のリチウムイオンキャパシタ用負極材料。
- 請求項3又は4に記載のリチウムイオンキャパシタ用負極材料を有する負極と、
前記負極と対向する正極と、
前記負極及び前記正極を仕切るセパレータと、
前記負極、前記正極、及び前記セパレータに接触する電解質とを備えるリチウムイオンキャパシタ。 - 前記電解質にはアルミニウムが溶解しており、前記電解質におけるアルミニウムの濃度は0.001M以上である請求項5に記載のリチウムイオンキャパシタ。
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