JP5604979B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
請求項1:
基材の表面にプライマー層とトップ層とを積層してなる積層体の製造方法であって、(A)紫外線吸収性(メタ)アクリルモノマーと(B)アルコキシシリル基含有(メタ)アクリルモノマーと(C)それ以外の(メタ)アクリルモノマーとを共重合することによって得られるアルコキシシリル基と紫外線吸収基を有する熱可塑性(メタ)アクリルポリマーと、二酸化ケイ素微粒子と、アルコキシシリル基の加水分解縮合を阻止する加水分解阻止剤としてオルソ有機酸エステル又はアセタールとを含むプライマー組成物を上記基材の表面に塗布し、次いでその上に、下記一般式(1)
R 11 a Si(OR 13 ) (4-a) (1)
(式中、R 11 は炭素数1〜18の有機基、R 13 は同一又は異種の炭素数1〜6の有機基を示し、aは0<a<2を満足する数である。)
で示されるオルガノオキシ基を含む有機ケイ素化合物及び二酸化ケイ素微粒子の共加水分解縮合物と、上記プライマー組成物のアルコキシシリル基を上記オルガノオキシ基と反応させ、かつ上記共加水分解縮合物を硬化させる硬化触媒と、下記平均組成式(2)
R 12 b Si(OR 14 ) c (OH) d O (4-b-c-d)/2 (2)
(式中、R 12 は、同一又は異種の炭素数1〜18の有機基、R 14 は、同一又は異種の炭素数1〜6の有機基を示し、b、c及びdは、0.8≦b≦1.5、0≦c≦0.3、0.001≦d≦0.5、0.801≦b+c+d<2を満たす数である。)
で示されるシロキサン樹脂とを含むハードトップ組成物を塗布、積層させ、次いで加熱して上記ハードトップ組成物を架橋・硬化して、熱可塑性を有するプライマー層と熱硬化性を有するトップ層とを形成することを特徴とする積層体の製造方法。
請求項2:
硬化触媒が塩基性触媒である請求項1記載の積層体の製造方法。
請求項3:
塩基性触媒が、プロピオン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキサイドから選ばれる請求項2記載の積層体の製造方法。
請求項4:
前記基材が、ポリカーボネート樹脂である請求項1乃至3のいずれか1項記載の製造方法。
本発明のプライマー層、トップ層により被膜を施されたプラスチック物品、特にポリカーボネート樹脂は、軽量で優れた透明性、耐擦傷性、耐薬品性を有するため、色々な光学材料としての紫外線に曝されるガラス代替材料として好適で使用される。
ここで用いられる基材としては、プラスチック成形体、あるいはプラスチックとセラミックスやガラスや金属の複合物等が挙げられ、各種プラスチック材料(有機樹脂基材)に好適に使用され、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂等が好ましく、特に機械的強度の高いポリカーボネート樹脂等が好ましい。
以下に本発明のプライマー層である下塗り剤層を形成するプライマー組成物を詳細に説明する。プライマー層が次の〔1〕〜〔3〕成分を含むプライマー組成物により形成される。
〔1〕アルコキシシリル基と紫外線吸収基を持つ(メタ)アクリルポリマー、
〔2〕二酸化ケイ素微粒子、
〔3〕アルコキシシリル基の加水分解を阻止する化合物。
本発明に係るプライマー組成物の必須成分である。このアクリルポリマーは、次の(A)紫外線吸収性(メタ)アクリルモノマーと、(B)アルコキシシリル基含有(メタ)アクリルモノマーと、(C)それ以外の(メタ)アクリルモノマーを共重合して得られるアクリル樹脂から形成された紫外線吸収性の(メタ)アクリルポリマーである。
(式中、Xは水素原子又は塩素原子を示す。R1は水素原子、メチル基、又は炭素数4〜8の第三級アルキル基を示す。R2は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のアルキレン基を示す。R3は水素原子又はメチル基を示す。nは0又は1を示す。)
(式中、R3は上記と同じ意味を示す。R4は置換又は非置換の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のアルキレン基を示す。R5は水素原子又は水酸基を示す。R6は水素原子、水酸基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。)
本発明のプライマー組成物の必須成分である、二酸化ケイ素微粒子を説明する。
二酸化ケイ素の粒子は、プライマー層膜の線膨張係数を低減するために、添加するものである。ナノサイズの二酸化ケイ素が、有機溶剤の媒体にコロイド分散している形態であり、市販されている有機分散タイプのものが使用可能である。
更に、前記有機溶剤に分散した二酸化ケイ素微粒子は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
前記(メタ)アクリルポリマー中のアルコキシシリル基は、二酸化ケイ素微粒子の存在により、ごくわずかの湿度や水分の存在下、あるいは、加熱下(30〜120℃、特に40〜80℃で0.5〜12時間、特に1〜10時間)に加水分解縮合反応を起こすため、溶液組成物での安定性を損ねたり、熱可塑性であるべきポリマーが熱硬化性になり、硬化歪に由来するクラックの原因となる。従って、アルコキシシリル基の加水分解を阻止する化合物は、アルコキシシリル基の加水分解を防止してアルコキシシリル基の縮合架橋反応によるプライマー層の硬化を防止する化合物である。
以下に、本発明のトップ層を構成するハードトップ組成物を詳細に説明する。これは、以下の〔4〕〜〔6〕成分を必須成分として含有する組成物である。
〔4〕(A)下記一般式(1)で表される少なくとも1種の加水分解性ケイ素化合物(オルガノオキシ基を含む有機ケイ素化合物)、
R11 aSi(OR13)(4-a) (1)
(式中、R11は炭素数1〜18の有機基、R13は同一又は異種の炭素数1〜6の有機基を示し、aは0<a<2を満足する数である。)
〔5〕二酸化ケイ素微粒子、
〔6〕プライマー層のアルコキシシリル基を上記オルガノオキシ基と反応させ、かつトップ層を硬化させる硬化触媒。
1)〔4〕加水分解性ケイ素化合物
本発明のハードトップコート剤(ハードトップ組成物)の〔4〕成分は、下記一般式(1)で表される少なくとも1種の加水分解性ケイ素化合物である。
R11 aSi(OR13)(4-a) (1)
(式中、R11は炭素数1〜18の有機基、R13は同一又は異種の炭素数1〜6の有機基を示し、aは0<a<2を満足する数である。)
〔5〕成分は、二酸化ケイ素の粒子である。本成分は、塗膜に硬度・耐摩耗性を与える充填剤の役割と、粒子表面でバインダーとしての〔4〕成分中のシラノール基と結合を形成するため、架橋剤としての役割を果たすと考えられている。即ち、粒子表面は水酸基(SiOH)が存在しており、〔1〕成分や〔4〕成分のアルコキシシリル基との間で結合生成(Si−O−Si)が可能である。特に、コロイド状の酸化ケイ素分散液、即ちコロイダル二酸化ケイ素で、分散媒中に分散された状態(酸化物ゾル)で使用するのが好ましい。分散媒は、水、アルコール等の極性溶剤が好ましい。
本発明においては、〔5〕成分の二酸化ケイ素微粒子の水分散液を、〔4〕成分の原料である加水分解性ケイ素化合物に加えることによって調製する。これは、〔5〕成分共存下で〔4〕成分を製造することを意味する。この方法は、酸性あるいはアルカリ性の水分散の二酸化ケイ素ゾルを使用する場合に効率のよい製造方法であり、本発明では、特に酸性水分散二酸化ケイ素ゾルを用いることが好ましい。この調製法を用いた場合でも、加水分解性基OR13 1モルに対し、水分散二酸化ケイ素ゾル中の水が1モル以上、好ましくは1.2モル以上であることが好ましい。1モル未満だと、前述の如く加水分解性基が残存することになり、架橋密度の低下による硬度低下、密着性低下が起こる。なお、水量の上限に制限はないが、通常10モル以下、特には5モル以下である。
これには、任意成分、あるいは中間層として紫外線吸収性のシランを含んでよい。
〔6〕成分は、硬化触媒で、シラノール基、アルコキシ基等の縮合可能基が縮合する反応を促進する触媒であり、プライマー層のアルコキシシリル基を上記〔4〕成分のオルガノオキシ基と反応させ、かつトップ層を硬化させる硬化触媒で、シロキサン硬化に使用されている、アルカリ金属やアンモニウム塩の水酸化物やアミン及びその有機酸塩等の塩基性触媒が適用できる。
〔7〕成分は、下記平均組成式(2)で示されるシロキサン樹脂で、可撓性を付与することでクラック防止が目的である。
R12 bSi(OR14)c(OH)dO(4-b-c-d)/2 (2)
(式中、R12は、同一又は異種の炭素数1〜18の有機基、R14は、同一又は異種の炭素数1〜6の有機基を示し、b、c及びdは、0.8≦b≦1.5、0≦c≦0.3、0.001≦d≦0.5、0.801≦b+c+d<2を満たす数である。)
で表され、ハードトップコート膜の高硬度性を維持しながら、柔軟性を与え、クラック等を防止する成分である。
上記プライマー組成物及びハードトップ組成物は、基材の少なくとも一方の面に順次塗布した後、硬化することにより、プライマー層、トップ層を被覆形成した被覆物品(積層体)を得ることができる。得られた被覆物品はプラスチックを基材とした場合、基材の黄変、表面劣化を防ぐ目的で、本発明のプライマー層中の紫外線吸収材が効果を果たしている。
以下に、プライマー組成物用ポリマー、プライマー組成物の合成、並びにハードトップ組成物用原料、ハードトップ組成物の製造例を示す。
[ポリマー合成例1](表1)
攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに溶剤としてジアセトンアルコール248gを仕込み、窒素気流下にて80℃に加熱した。
ここに予め調製しておいた単量体混合溶液(2−[2’−ヒドロキシ−5’−(2−メタクリロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(UVAモノマーと略記、大塚化学(株)製)72g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503と略記、信越化学工業(株)製)80g、メチルメタクリレート(MMAと略記)248g、ジアセトンアルコール(DAAと略記)600g)のうち400g及び予め調製しておいた重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V59と略記)3gをジアセトンアルコール200gに溶解した溶液のうち150gを順次投入した。
80℃で30分反応させた後、残りの単量体混合溶液と残りの重合開始剤溶液を同時に80〜90℃で1.5時間かけて滴下した。更に80〜90℃で5時間攪拌した。
得られたアルコキシシリル基を含有する紫外線吸収性ビニル系共重合体溶液の粘度は5,370mPa・s、不揮発分(150℃,30分)の含有量は40.2%であった。またその共重合体中の紫外線吸収性単位の含有量は18%、アルコキシシリル基単位の含有量は20%であった。また、標準ポリスチレンを基準とするGPC分析による重量平均分子量は27,600であった。このアルコキシシリル基を含有する紫外線吸収性ビニル系共重合体(溶液)をポリマー1とする。その溶液物性を表2に示す。
KBM503 :γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
UVAモノマー:2−[2’−ヒドロキシ−5’−(2−メタクリロキシエチル)フェニ
ル]−2H−ベンゾトリアゾール(RUVA−93、大塚化学(株)
製)
MMA :メチルメタクリレート
DAA :ジアセトンアルコール
<1>プライマー組成物の製造例1
ポリマー合成例1で合成したポリマー溶液300g(ポリマー1の含有量120g)を、溶剤(DAA430g,MFDG50g,PGMAC30g,EA50g)で希釈し十分混合した後、攪拌下にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに分散したシリカゾル溶液(PMA−ST、固形分濃度30%、一次粒子径10〜15nm、日産化学工業(株)製)70g(シリカ固形分20g)、アルコキシシリル基の加水分解を防止して架橋を阻止する化合物としてオルソギ酸トリエチル70gを加え、ろ過してプライマー組成物1とした。
得られたプライマー組成物1の粘度は17.3mm2/s、また不揮発分(150℃,30分)の含有量は14.4%であった。13C−NMRによりテトラメチルシランのピークを0ppmとして標準Me4Siを基準とする50.2ppmのところにアルコキシシリル基の存在が確認でき、メタノールに由来するピークは全く観察されなかった。
製造例1で得られたプライマー組成物1 300gに、アルコキシシリル基を硬化させる触媒となるテトラブチルアンモニウムの酢酸塩の10%イソプロピルアルコール溶液1gを添加した。得られたプライマー組成物の製造比較例1の粘度は16.6mm2/s、また不揮発分(150℃,30分)の含有量は13.8%であった。
ポリマー合成例1で合成したポリマー溶液300g(ポリマー1の含有量120g)に、溶剤(DAA500g,MFDG50g,PGMAC30g,EA50g)で希釈し十分混合した後、攪拌下にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに分散したシリカゾル溶液(PMA−ST、固形分濃度30%、一次粒子径10〜15nm、日産化学工業(株)製)70g(シリカ固形分20g)を加え、ろ過してプライマー組成物の製造比較例2とした。
得られたプライマー組成物の製造比較例2の粘度は19.1mm2/s、また不揮発分(150℃,30分)の含有量は14.2%であった。13C−NMRにより、テトラメチルシランのピークを0ppmとして標準Me4Siを基準とする50.2ppmのところにアルコキシシリル基の存在が確認できたが、メタノールに由来するピークが49.2ppmのところに観察され、アルコキシシリル基の存在量は約65%になっていると推定された。
ポリマー合成例1で合成したポリマー溶液300g(ポリマー1の含有量120g)に、溶剤(DAA500g,MFDG50g,PGMAC30g,EA50g)で希釈し十分混合した後、オルソギ酸トリエチル70gを加え、ろ過してプライマー組成物の製造比較例3とした。
得られたプライマー組成物の製造比較例3の粘度は10.3mm2/s、また不揮発分(150℃,30分)の含有量は12.1%であった。13C−NMRにより、テトラメチルシランのピークを0ppmとして標準Me4Siを基準とする50.2ppmのところにアルコキシシリル基の存在が確認でき、メタノールに由来するピークは全く観察されなかった。
得られたプライマー組成物溶液のまとめを表3に示す。
DAA :ジアセトンアルコール
MFDG :ジ(プロピレングリコール)モノメチルエーテル
PGMAC:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
EA :エチルアセテート
温度計、攪拌機、冷却器を備えた2L三口フラスコに、メチルトリメトキシシラン408部、トルエン400部を仕込み、98%メタンスルホン酸11部を触媒として添加し、内温を30℃以下に保ちながら水146部を滴下し、メチルトリメトキシシランを加水分解した。滴下終了後、室温で2時間攪拌して反応を完結させた。
その後、酸性成分を中和し、生成したメタノールを減圧留去した。2回水洗することにより完全に中和塩を除去した後、再び減圧にて105℃,3時間乾燥前後の質量減少が1.1%となるまでトルエン等の溶剤成分を除去することにより、無色透明固体のシロキサン樹脂210部を得た。
この樹脂のGPCから得られた重量平均分子量は7.5×103であった。また、この樹脂の29Si−NMR、及びIRスペクトルの結果から、このシロキサン樹脂Gの平均組成式は、下記式(A)であった。
MeSi(OMe)0.06(OH)0.12(O)1.41 (A)
(式中、Meはメチル基を示す。)
この透明固体樹脂の軟化点をJIS K2207に準拠し、環球式自動軟化点試験機で測定したところ、73℃であった。予めシロキサン樹脂283部は、イソプロパノール717部を加えて、溶解させることにより、固形分濃度28%のシロキサン樹脂溶液Aとした。
攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに、メチルトリメトキシシラン371gを仕込み、攪拌しながら20℃に維持し、ここに水分散コロイダルシリカ(スノーテックスO(平均粒子径15〜20nm)、日産化学工業(株)製、SiO2 20%含有品)108gと0.25Nの酢酸水溶液252gとの混合溶液を添加して高速攪拌した。更に、60℃にて3時間攪拌後、シクロヘキサノン330gを添加した後、常圧にて副生したメタノールと一部の水、計335gを留去した。次いで、イソプロパノール205g、シロキサン樹脂溶液A 400g、レベリング剤としてポリエーテル変性シリコーンKP−341(信越化学工業(株)製)0.6gを添加し、硬化触媒として10%テトラブチルアンモニウムヒドロキシドの酢酸塩水溶液3.7gを添加した。
こうして得られたオルガノポリシロキサン溶液の粘度は5.98mm2/s、不揮発分(150℃,30分)は24.1%であった。このものをTop合成例1とした。
攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに、メチルトリメトキシシラン371gを仕込み、攪拌しながら20℃に維持し、ここに水分散コロイダルシリカ(スノーテックスO(平均粒子径15〜20nm)、日産化学工業(株)製、SiO2 20%含有品)108gと0.25Nの酢酸水溶液252gとの混合溶液を添加して高速攪拌した。更に、60℃にて3時間攪拌後、シクロヘキサノン330gを添加した後、常圧にて副生したメタノールと一部の水、計335gを留去した。次いで、イソプロパノール205g、シロキサン樹脂溶液A 400g、レベリング剤としてポリエーテル変性シリコーンKP−341(信越化学工業(株)製)0.6gを添加した。こうして得られたオルガノポリシロキサン溶液の粘度は5.78mm2/s、不揮発分(150℃,30分)は24.0%であった。このものをTop比較合成例1とした。
攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに、メチルトリメトキシシラン371gを仕込み、攪拌しながら20℃に維持し、ここに、水86.4g、0.25Nの酢酸水溶液252gとの混合溶液を添加して高速攪拌した。更に、60℃にて3時間攪拌後、シクロヘキサノン330gを添加した後、常圧にて副生したメタノールと一部の水、計335gを留去した。次いで、イソプロパノール205g、シロキサン樹脂溶液A 400g、レベリング剤としてポリエーテル変性シリコーンKP−341(信越化学工業(株)製)0.6gを添加し、硬化触媒として10%テトラブチルアンモニウムヒドロキシドの酢酸塩水溶液3.7gを添加した。
こうして得られたオルガノポリシロキサン溶液の粘度は4.78mm2/s、不揮発分(150℃,30分)は22.9%であった。このものをTop比較例2とした。
(1)実施例1,2
表面を清浄化した0.5mmポリカーボネート樹脂板(ユーピロンシート、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)に、プライマー組成物として、プライマー組成物1をフローコーティング法にて塗布し、その上にトップ合成例1で得られたトップコート剤をフローコーティング法にて塗布し、室温で20分風乾した後、120℃で60分硬化させた。これを実施例1とした。
また、同様のポリカーボネート樹脂板に、プライマー組成物として、プライマー組成物1をフローコーティング法にて塗布し、その上にトップ合成例1で得られたトップコート剤をフローコーティング法にて塗布し、室温で20分風乾した後、再度トップコート剤をフローコーティング法にて塗布し、室温で20分風乾した後、120℃で60分硬化させた。これを実施例2とした。
これらを評価したところ、光学特性、膜密着性、硬度特性のいずれも良好であった。特に、実施例1,2は、従来の2コート2ベイクや3コート3ベイクに比べて、作業時間が80分あるいは100分と、通常の半分以下で、作業性も優れたものであった。
ポリカーボネート樹脂板(ユーピロンシート)に、プライマー組成物として、プライマー比較組成物1をフローコーティング法にて塗布し、その上にトップ合成例1で得られたトップコート剤をフローコーティング法にて塗布し、室温で20分風乾した後、120℃で60分硬化させた。これを比較例1とした。
また、ポリカーボネート樹脂板(ユーピロンシート)に、プライマー組成物として、プライマー比較組成物2をフローコーティング法にて塗布し、その上にトップ合成例1で得られたトップコート剤をフローコーティング法にて塗布し、室温で20分風乾した後、120℃で60分硬化させた。これを比較例2とした。
これらを評価したところ、膜密着性がいずれも不良であった。これは、プライマー層が熱硬化して基材の歪が残留したものと考えられる。
ポリカーボネート樹脂板(ユーピロンシート)に、プライマー組成物として、プライマー比較組成物3をフローコーティング法にて塗布し、その上にトップ合成例1で得られたトップコート剤をフローコーティング法にて塗布し、室温で20分風乾した後、120℃で60分硬化させた。これを比較例3とした。
これを評価したところ、膜が白化してしまった。これは、プライマー層がトップコート剤の溶剤に侵されて膜の透明性が悪化したものと考えられる。
ポリカーボネート樹脂板(ユーピロンシート)に、プライマー組成物として、プライマー組成物1をフローコーティング法にて塗布し、その上にトップ比較例1で得られたトップコート剤をフローコーティング法にて塗布し、室温で20分風乾した後、120℃で60分硬化させた。これを比較例4とした。
また、ポリカーボネート樹脂板(ユーピロンシート)に、プライマー組成物として、プライマー組成物1をフローコーティング法にて塗布し、その上にトップ比較例2で得られたトップコート剤をフローコーティング法にて塗布し、室温で20分風乾した後、120℃で60分硬化させた。これを比較例5とした。
これらを評価したところ、膜硬度がいずれも不良であった。これは、トップ層が良好な熱硬化しないため、十分な擦傷性が基材に付与できなかったものと考えられる。
このようにして得られた塗膜を下記評価方法で評価した。各種物性評価の結果を表4に示した。
実施例中の各種物性の測定及び評価は以下の方法で行った。
1)評価の方法
評価は、ハードコート膜付きポリカーボネート樹脂について、光学特性、膜特性、耐久性について行った。また、プライマー組成物の液の保存安定性については、13C−NMRの測定を行い、ポリマー中の脱メタノールの割合を測定して評価した。
光学特性により、塗膜透明性と紫外線阻止能について評価した。
(1.1)初期塗膜外観:プライマー組成物及びハードトップ組成物を順次硬化・積層した試験片の被膜外観を目視にて観察した。
(1.2)紫外線・可視光透過スペクトルの測定
石英ガラス(厚さ1mm)上に形成したトップ層、及びプライマー層−トップ層の複層膜の紫外線・可視光透過スペクトルを、日立製作所製分光光度計U−3310により、波長200〜500nmの測定を行った。
複層膜の450nmの透過率で透明性を、トップ層、及び下塗り層−トップ層の複層膜の350nm透過率で紫外線阻止能を評価した。
膜特性により、塗膜密着性と塗膜耐擦傷性について評価した。
(2.1)1次密着性:JIS K5400に準拠し、試験片をカミソリの刃で2mm間隔の縦横6本ずつ切れ目を入れて25個の碁盤目を作り、市販のセロハン粘着テープをよく密着させた後、90度手前方向に急激に剥がした時、被膜が剥離せずに残存したマス目数(X)をX/25で表示した。
(2.2)耐水性及び耐水密着性:試験片を沸騰水中に2時間浸漬した後に、目視にて外観観察、及び前記と同様にして密着性試験を行った。
(2.3)耐擦傷性試験:ASTM1044に準拠し、テーバー磨耗試験機にて磨耗輪CS−10Fを装着し、荷重500g下で500回転後の曇価を測定した。耐擦傷性(%)は(試験後の曇価)−(試験前の曇価)で示した。
○: ΔH≦6.0
△: 6.1<ΔH<10.0
×: ΔH≧10.0
Claims (4)
- 基材の表面にプライマー層とトップ層とを積層してなる積層体の製造方法であって、(A)紫外線吸収性(メタ)アクリルモノマーと(B)アルコキシシリル基含有(メタ)アクリルモノマーと(C)それ以外の(メタ)アクリルモノマーとを共重合することによって得られるアルコキシシリル基と紫外線吸収基を有する熱可塑性(メタ)アクリルポリマーと、二酸化ケイ素微粒子と、アルコキシシリル基の加水分解縮合を阻止する加水分解阻止剤としてオルソ有機酸エステル又はアセタールとを含むプライマー組成物を上記基材の表面に塗布し、次いでその上に、下記一般式(1)
R 11 a Si(OR 13 ) (4-a) (1)
(式中、R 11 は炭素数1〜18の有機基、R 13 は同一又は異種の炭素数1〜6の有機基を示し、aは0<a<2を満足する数である。)
で示されるオルガノオキシ基を含む有機ケイ素化合物及び二酸化ケイ素微粒子の共加水分解縮合物と、上記プライマー組成物のアルコキシシリル基を上記オルガノオキシ基と反応させ、かつ上記共加水分解縮合物を硬化させる硬化触媒と、下記平均組成式(2)
R 12 b Si(OR 14 ) c (OH) d O (4-b-c-d)/2 (2)
(式中、R 12 は、同一又は異種の炭素数1〜18の有機基、R 14 は、同一又は異種の炭素数1〜6の有機基を示し、b、c及びdは、0.8≦b≦1.5、0≦c≦0.3、0.001≦d≦0.5、0.801≦b+c+d<2を満たす数である。)
で示されるシロキサン樹脂とを含むハードトップ組成物を塗布、積層させ、次いで加熱して上記ハードトップ組成物を架橋・硬化して、熱可塑性を有するプライマー層と熱硬化性を有するトップ層とを形成することを特徴とする積層体の製造方法。 - 硬化触媒が塩基性触媒である請求項1記載の積層体の製造方法。
- 塩基性触媒が、プロピオン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキサイドから選ばれる請求項2記載の積層体の製造方法。
- 前記基材が、ポリカーボネート樹脂である請求項1乃至3のいずれか1項記載の製造方法。
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