JP5604306B2 - 信号処理装置、信号処理方法、信号処理プログラム及び信号処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体並びに放射線治療装置 - Google Patents
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Description
上記の放射線治療装置により患者の患部に放射線を照射する場合、例えば、患者の呼吸などにより患部の位置や形状が変動することがある。
これに鑑み、患者の正常組織への影響を抑制しつつ患部組織へ放射線を照射すべく、患部組織が放射線の照射位置に移動した場合にだけ、断続的に放射線を照射する方法がある。
そこで、患部位置の動きを予測することにより、放射線の照射位置を患部位置に追随させて照射する方法が知られている。
また、上記方法では、放射線の照射位置を患部位置に追随させるべく、例えば、放射線の照射範囲を形成するコリメータの通過窓の形状及び大きさなどを制御する。
本発明は、以上のような課題に鑑み創案されたもので、患部位置の入力時系列信号を正確且つより中長期に予測することを目的とする。
(1)入力時系列信号の或る成分を周期が時間変化する時系列信号と仮定することにより、前記入力時系列信号の一部と前記入力時系列信号との相関解析を行ない、前記相関解析の結果を用いて、前記入力時系列信号の周期変動及び前記周期変動の信頼度を推定し、前記周期変動及び前記周期変動の信頼度を用いて前記入力時系列信号の所定時間後までの周期を予測し、前記相関解析の結果と前記予測した周期とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の位相と同位相となる前記入力時系列信号の時刻である同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度とを算出する周期変動分析部と、前記入力時系列信号と、前記入力時系列信号の単位時間当たりの変化量の時系列情報と、前記周期変動分析部により算出した前記同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測するためのモデル設計情報と、前記モデル設計情報による前記入力時系列信号の前記所定時間後の値の予測の精度とを推定する予測精度推定部と、前記入力時系列信号と、前記周期変動分析部により算出した前記同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度と、前記予測精度推定部により推定した前記モデル設計情報とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測する予測モデルを作成し、前記予測モデルを用いて前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測して出力するモデル作成部と、をそなえた信号処理装置を用いることができる。
(3)また、前記周期変動分析部が、前記入力時系列信号の一部と前記入力時系列信号との相関解析を行なう相関解析部と、前記相関解析部での解析結果を用いて、該周期変動及び前記周期変動の信頼度を推定する周期推定部と、前記周期推定部により推定した前記周期変動及び前記周期変動の信頼度を用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後までの周期を予測する周期予測部と、前記相関解析部での前記相関解析の結果と、前記周期予測部により予測した前記周期とを用いて、前記同位相時刻情報と前記同位相時刻情報の信頼度とを推定する同位相時刻推定部とをそなえていてもよい。
(5)また、前記サブモデルが、少なくともSARIMA(Seasonal Auto−Regressive Integrated Moving Average)モデル,季節調整指数平滑法モデル,非線型ARIMA(Auto−Regressive Integrated Moving Average)モデル及びニューラルネットワーク,ファジィなどのソフトコンピューティングモデルのいずれかであってもよい。
(7)また、入力時系列信号の或る成分を周期が時間変化する時系列信号と仮定することにより、前記入力時系列信号の一部と前記入力時系列信号との相関解析を行ない、前記相関解析の結果を用いて、前記入力時系列信号の周期変動及び前記周期変動の信頼度を推定し、前記周期変動及び前記周期変動の信頼度を用いて前記入力時系列信号の所定時間後までの周期を予測し、前記相関解析の結果と前記予測した周期とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の位相と同位相となる前記入力時系列信号の時刻である同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度とを算出し、前記入力時系列信号と、前記入力時系列信号の単位時間当たりの変化量の時系列情報と、前記算出した前記同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測するためのモデル設計情報と、前記モデル設計情報による前記入力時系列信号の前記所定時間後の値の予測の精度とを推定し、前記入力時系列信号と、前記算出した前記同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度情報と、前記推定した該モデル設計情報とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測する予測モデルを作成し、前記予測モデルを用いて前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測して出力する信号処理方法を用いることができる。
(10)さらに、患者の患部に放射線を照射する放射線治療装置であって、前記放射線を発生する放射線発生部と、前記患部の位置を測定する測定部と、前記測定部により測定された前記患部の位置に関する入力時系列信号を用いて、前記患部の所定時間後の位置の予測と前記予測位置の精度情報とを推定する上記の信号処理装置と、前記信号処理装置により予測した前記患部の所定時間後の位置と前記精度情報とを用いて、前記放射線発生部での前記放射線の照射タイミングを制御する制御部と、をそなえた放射線治療装置を用いることができる。
(1.1)装置概要
図1に放射線治療装置の概要を示す。この図1に示す放射線治療装置は、例示的に、制御部1と、クライストロン100と、冷却装置110と、導波管120と、真空ポンプ130と、電子銃140と、加速管150と、偏向電磁石160と、ターゲット170と、平坦化フィルタ(散乱フォイル)180と、をそなえる。また、図1に示す放射線治療装置は、例示的に、モニタ線量計190と、照射野形成部〔ジョー、(JAW)〕200と、MLC(Multi Leaf Collimator)210と、OBI(On−Board Imager)220と、ベッド230と、EPID(Electronic Portal Imaging Device)240と、パルスモジュレータ250と、をそなえる。
ここで、パルスモジュレータ250は、パルス電圧を発生する電圧発生源である。本例のパルスモジュレータ250は、例えば、トリガーパルス発生器(図示省略)からのトリガーパルスの入力を契機として、所定のパルス電圧を発生する。
クライストロン100は、電子ビームと高周波との相互作用を利用して高周波を増幅して大電力のマイクロ波を出力する電子管である。本例のクライストロン100は、例えば、パルスモジュレータ250から受けたパルス電圧により電子ビームを発生させ、この電子ビームを速度変調して間隙から出力することにより、加速管150で電子を加速するためのエネルギーとなるマイクロ波パルス電力を出力する。
導波管120は、クライストロン100により出力されたマイクロ波パルス電力を加速管150へ伝達する。導波管120には、例えば、中空導波管を用いることができるが、そのほか、テフロン(登録商標)などの誘電体を用いた同軸ケーブルを用いることもできる。
偏向電磁石160は、所定の方向に磁界を発生させることにより、加速管150から放出された電子線の軌道を修正する。本例の偏向電磁石160は、例えば、ターゲット170へ電子線を照射させるべく、例示的に、3個の偏向電磁石160を用いて電子線の軌道を修正する。なお、偏向電磁石160の数は、図1に示す例に限定されない。
ターゲット170には、例えば、タングステン(Tg)を用いることができる。なお、加速された電子線の照射により放射線を発生することのできる材料であれば、その他の材料を用いてもよい。
即ち、パルスモジュレータ250,クライストロン100,冷却装置110,導波管120,真空ポンプ130,電子銃140,加速管150,偏向電磁石160及びターゲット170は、放射線を発生する放射線発生部の一例として機能する。
モニタ線量計190は、放射線の線量レベルを計測する。本例のモニタ線量計190により、例えば、平坦化フィルタ180を通過後の放射線の線量レベルが所定のレベルにまで減衰されているかどうかを計測、確認することができる。もし、放射線の線量レベルが所定のレベルまで減衰されていない場合は、例えば、クライストロン100でのマイクロ波パルス電力などを制御することなどにより、線量レベルを調節することが可能である。
図3(A)及び図3(B)にMLC210の概観及び構成例を示す。
リーフ303は、放射線を遮断可能な板状部材である。本例では、例えば、対向する2個のリーフ303が対となり、複数のリーフ対を形成する。各リーフ303は、駆動部302−1,302−2によりそれぞれ独立的に駆動される。なお、リーフ303の数は図示する例に限定されない。
本例の駆動制御部301は、例えば、制御部1による予測結果(所定時間後の患部260の予測位置及び予測精度情報)に基づいて、駆動部302−1,302−2を制御し、各リーフ303の位置を決定する。これにより、制御部1により予測された所定時間後の患部260の位置,形状及び大きさに応じて、所望の形状の放射線照射野304を形成することが可能となるので、患部260の予測位置,形状及び大きさなどに適した放射線照射を実現することができる。
本例のOBI220は、例えば、患者の患部260にX線を複数の角度から照射することにより得られる複数の位置情報に基づき、患部260の位置,形状及び大きさなどの観測値(実測値)を算出する。OBI220により実測された患部260の位置,形状及び大きさなどに関する位置情報は、制御部1に入力され、後述する予測処理に用いられる。
X線照射部305は、ベッド230上の患者の患部260に対してX線を照射する。なお、X線は、放射線の一種であり、例えば、その波長が1pm〜10nm程度の電磁波である。
X線照射部305及びセンサーパネル306は、図4中の回転軸を中心として、一体的に回転しうるように構成されており、本例のセンサーパネル306は、例えば、図4中の符号Aで示す位置(X線照射軸と回転軸とが+45°の角度をなす位置)で算出した患部260の2次元座標P1(x1,y1)と、図4中の符号Bで示す位置(X線照射軸と回転軸とが−45°の角度をなす位置)で算出した患部260の2次元座標P2(x2,y2)とに基づき、患部260の3次元座標P(X,Y,Z)を算出する。
ベッド230は、患部260の位置が放射線照射に適した位置及び高さになるよう、患者を支える器具である。このため、本例のベッド230は、例えば、位置及び高さ調節可能な支持部とマット部とで構成される。
制御部1は、OBI220により得られる患部260の位置座標P(X,Y,Z)の時系列情報を用いて、所定時間後の患部260の位置座標の予測と予測精度情報とを推測する。また、予測結果と予測精度情報とを用いて、各種の制御を行なう。例えば、本例の制御部1は、前記予測結果と予測精度情報とを用いて、MLC210を制御して、所定時間後の患部260の位置,予測精度情報,大きさ及び形状などに応じた形に放射線照射野304を形成する。これにより、MLC210の物理的な駆動(位置決め)制御に要する時間に先だって、MLC210を予測制御できるので、患部260の位置に追従して放射線照射を行なうことが可能となる。
なお、制御部1は、上記駆動制御及びタイミング制御のいずれか一方のみを行なうようにしてもよい。例えば、制御部1がタイミング制御のみを行なう場合は、放射線の照射位置を固定し、上記の予測結果に基づいて、患部260がその照射位置に移動するときを狙って、放射線を照射するので、上述した例と同様の効果を得られる上、MLC210を備えなくてもよいので、装置を単純化することができ、さらに装置コストを削減することが可能となる。
(1.2)制御部1
制御部1は、主要成分が周期時変の季節ダイナミクス(周期的に繰り返される時系列信号)である任意の時系列信号を入力として、その所定時刻経過後の予測値と、その予測精度に関する情報(予測精度情報)とを出力する。
ここで、制御部1への入力は、観測開始時刻から現在時刻tcまでの患部260の位置の変化に対応する時系列信号
は時刻τにおけるj(j=1〜Dim)次元方向の患部の位置であり、Dimは位置情報の次元数である。
一方、制御部1の出力は、任意の予測期間をLとした場合の予測対象時刻(tc+L)における患部260の位置
の予測値
モデル作成部11は、制御部1への入力である上記の時系列信号と、周期変動分析部12の出力の一部である、予測対象時刻の位相と同位相の同位相時刻情報と、その同位相時刻情報の信頼度と、予測精度推定部16の出力の一部であるモデル設計情報とを用いて、予測モデルを作成し、前記予測モデルを用いて、入力時系列信号の所定時刻経過後の予測値と、その予測値を算出する過程の詳細情報とを出力する。なお、モデル作成部11は、フィルタ及びモデルの種類やパラメータ値が異なる、周期時変の影響を考慮した複数のサブモデルを作成し、各サブモデルを合成することにより前記予測モデルを作成してもよい。また、モデル作成部11は、予め作成された複数のサブモデルを用いて、前記予測モデルを作成してもよい。
本例のモデル作成部11は、制御部1への入力時系列信号
と、周期変動分析部12の出力の一部である、予測対象時刻(tc+L)の信号
の位相と同位相の入力時系列信号における時刻
は、サブモデルs(s=1,2,…,S)のj次元方向の出力値である。さらに、関数
は、合成処理部112による加算・乗算処理に対応し、モデル設計情報
を用いて決定され、各サブモデル111−1〜111−Sの出力の合成として、予測対象時刻(tc+L)の予測値を算出する。ここで、
は、サブモデルsのモデル設計情報であり、
は、サブモデルs出力
の出力算出過程の情報(算出過程情報)と関数
の設計情報の一部である。さらに、その要素である
は、モデルパラメータの情報や出力算出過程や関数設計の具体的な情報である。
即ち、本例のモデル作成部11は、入力時系列信号と、周期変動分析部12により算出される同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度と、予測精度推定部16により推定されるモデル設計情報とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測する予測モデルを作成し、前記予測モデルを用いて前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測して出力するモデル作成部の一例として機能する。
サブモデル111−1〜111−Sは、モデル設計情報(フィルタ及びモデルの種類、また、そのパラメータの情報)を用いて作成され、入力時系列信号(またはその特定成分)の所定時刻経過後の値を予測するモデルである。サブモデルの数は、フィルタ及びモデルの種類や、そのパラメータの種類の組み合わせ総数により決定される。
各サブモデルで用いるフィルタの種類には、例えば、移動平均フィルタ,差分フィルタ,バンドパスフィルタ及びカルマンフィルタなどのうち少なくともいずれかを用いることができる。
図11(B)に例示するサブモデルs(111−1〜111−S)は、モデルの種類にSARIMAモデルを用いて、さらに、予測対象時刻(tc+L)の信号と位相が同位相の入力時系列信号における時刻情報
を用いて周期時変の季節ダイナミクスを効果的にモデル化する工夫と、予測対象時刻(tc+L)を直接的に予測する工夫とを実現する例である。ここで、入力時系列信号
を入力とした場合の出力は次式のように求まる。
上記の式(2)は、季節成分の周期が変動する時系列データを記述するための時系列モデルの式である。
まず、上記の式(2)の導出方法を理解しやすくするために、いくつかの言葉の定義と、AR(Auto−Regression:自己回帰),MA(Moving Average:移動平均),ARMA(Auto−Regression Moving Average:自己回帰移動平均),ARIMA(Auto−Regression Integrated Moving Average:自己回帰和分移動平均),SARIMAの各モデルの説明とを行なう。
まず、時系列モデルとは、時系列データの振る舞いの規則を記述する関係式のことをいう。また、定常過程とは、確率分布が変化しない確率過程のことをいう。さらに、定常時系列とは、定常過程により生成される時系列データのことをいい、時系列のどの区間においても、平均値と分散が変化しないという特徴を有する。なお、定常時系列に対する、AR,ARMAモデルの設計方法は確立されている。
また、トレンド成分とは、時系列の平均値を、長時間継続して変動させる成分のことをいう。さらに、季節成分とは、時系列の平均値を、周期的に変動させる成分のことをいい、非定常時系列とは、定常時系列以外の時系列のことをいう。この非定常時系列には、例えば、定常時系列に、トレンド成分や季節成分などが混ざった時系列がある。
まず、ARモデルについて説明する。
ARモデルは、定常時系列z(t)(t=0,1,2,・・・)の各値を、それより過去の時系列データの線形方程式として次式(3)のように表す。
z(t)=φ1z(t−1)+φ2z(t−2)+・・・+φpz(t−p)+e(t) ・・・(3)
ここで、pはモデルの次数、φi(i=1,2,・・・,p)はモデル係数、e(t)は時刻tにおけるモデル誤差である。
上記の式(3)の左辺から、e(t)以外を右辺へ移項すると、以下の式(4)が得られる。
z(t)−φ1z(t−1)−φ2z(t−2)−・・・−φpz(t−p)=e(t) ・・・(4)
さらに、遅延演算子Bとして、例えば、次式(5)
Bdz(t)=z(t−d) ・・・(5)
を満足するBを用いて、上記の式(4)を表記すると、以下の式(6),(7)が得られる。
φpz(t)=e(t) ・・・(6)
φp≡(1−φ1B−φ2B2−・・・−φpBp) ・・・(7)
次に、MAモデルについて説明する。
MAモデルは、定常時系列z(t)の各値を、それまでに発生したノイズの時系列データe(t)の線形方程式として次式(8)のように表す。
z(t)=e(t)−θ1e(t−1)−θ2e(t−2)−・・・−θqe(t−q) ・・・(8)
ここで、qはモデルの次数、θj(j=1,2,・・・,q)はモデル係数である。
上記の式(8)を、遅延演算子Bを用いて表記すると、以下の式(9),(10)が得られる。
z(t)=θqe(t) ・・・(9)
θq≡(1−θ1B−θ2B2−・・・−θqBq) ・・・(10)
さらに、ARMAモデルについて説明する。
ARMAモデルは、定常時系列z(t)の各値を、それより過去の時系列データと、それまでに発生したノイズの時系列データe(t)との線形方程式として次式(11)のように表す。
z(t)=φ1z(t−1)+φ2z(t−2)+・・・+φpz(t−p)+e(t)−θ1e(t−1)−θ2e(t−2)−・・・−θqe(t−q) ・・・(11)
ここで、上記の式(11)の左辺から、ノイズに関する項以外を右辺へ移項すると、次式(12)が得られる。
z(t)−φ1z(t−1)−φ2z(t−2)−・・・−φpz(t−p)=e(t)−θ1e(t−1)−θ2e(t−2)−・・・−θqe(t−q) ・・・(12)
さらに、上記の式(12)を、遅延演算子B,φp,θqを用いて表記すると、次式(13)が得られる。
φpz(t)=θqe(t) ・・・(13)
次に、ARIMAモデルについて説明する。
ARIMAモデルは、トレンド成分を含む非定常時系列y(t)(t=1,2,・・・)の各値を記述するためのモデルである。
非定常時系列y(t)に含まれるトレンド成分は、所定の回数d(≧1)回、遅れ1の時系列データとの差分をとることで除去することができる。即ち、このときの残差z(t)は次式(14)で表される。
z(t)=(1−B)dy(t) ・・・(14)
ここで、適切に差分をとった残差z(t)の時系列は定常時系列となるため、ARMAモデルによりモデル化することができる。即ち、次式(15)が成立する。
φpz(t)=θqe(t) ・・・(15)
したがって、ARIMAモデルは、上記の式(15)に式(14)を代入することにより得られる次式(16)で表される。
φp(1−B)dy(t)=θqe(t) ・・・(16)
次に、SARIMAモデルについて説明する。
SARIMAモデルは、トレンド成分と季節成分とを含む非定常時系列x(t)(t=1,2,・・・)の各値を記述するためのモデルである。なお、以下の説明では、季節成分の周期cがc>>1である場合を考える。
非定常時系列x(t)に含まれるトレンド成分は、ARIMAモデルの説明にて示したように、d(≧1)回、遅れ1の時系列データとの差分をとることで除去することができる。このときの残差w(t)は次式(17)で表される。
w(t)=(1−B)dx(t) ・・・(17)
また、トレンド成分が除去された後の非定常時系列w(t)に含まれる季節成分は、次の[1]〜[3]のいずれかの方法により除去することができる。
方法[1]として、例えば、D(≧0)回、遅れcの時系列データとの差分をとることにより、このときの残差v(t)は次式(18)で表される。
v(t)=(1−Bc)Dw(t) ・・・(18)
また、方法[2]として、例えば、同位相のデータのみを抽出した時系列データ(即ち、時間間隔cでサンプリングした時系列データ)よりARモデルを作成し、その差分をとる。即ち、このときの残差v(t)は次式(19),(20)で表される。
v(t)=ΦPw(t) ・・・(19)
ΦP≡(1−Φ1Bc−Φ2B2c−・・・−ΦPBPc) ・・・(20)
さらに、方法[3]として、例えば、上記の方法[1]及び[2]を併用する方法がある。即ち、このときの残差v(t)は次式(21)で表される。
v(t)=ΦP(1−Bc)Dw(t) ・・・(21)
ここで、季節成分が除去された残差時系列v(t)は定常時系列となるため、ARMAモデルでモデル化することができる。即ち、v(t)を用いて次式(22)が成立する。
φpv(t)=θqe(t) ・・・(22)
したがって、SARIMAモデルは、上記の式(22)に、式(17)及び式(21)を代入することにより、次式(23)のように表される。
φpΦP(1−Bc)D(1−B)dx(t)=θqe(t) ・・・(23)
次に、以上を踏まえた上で、上記の式(2)について説明する。
先述のように、通常のSARIMAモデルは、季節成分の周期cが常に一定であると仮定している。
これはつまり、図29に例示するように、季節成分の時系列において、時間間隔c毎に同位相の箇所が出現することを意味する。上述したSARIMAモデルでは、式(18)〜式(21)により、前記季節成分を除去している。
一方、本例の予測処理が予測対象とする、腫瘍位置などの入力時系列信号の季節成分の周期は、図30に例示するように、変動しているので、図29に示した例とは異なり、時間間隔c毎に同位相の箇所が出現するとは限らない。
そのため、腫瘍位置などの入力時系列信号に対しては、上記の式(18)〜式(21)を用いて、当該入力時系列信号に含まれる季節成分を除去することができない。
そこで、本例では、上記の式(18)〜式(21)を改良し、季節成分の周期が変動する非定常時系列に対しても適切に機能するようにした。これが、上述した式(2)である。
上記の改良点としては、例えば、式(18)のDの値を0とすることにより、式(18)の処理を行なわないようにした。
また、式(19)及び式(20)の処理に用いる、同位相のデータのみを抽出した時系列データを、通常のSARIMAモデルのように時間間隔cでサンプリングすることにより作成するのではなく、周期変動分析部12により算出される同位相時刻情報を用いて作成するようにした。
なお、上記の式(2)を用いて有効な時系列予測を行なうためには、モデル係数φ,θ,Φと、モデル次数p,q,dの値とを、適切に設計することが求められる。
本例では、既述のように、モデル係数φ,θ,Φの設計方法として、例えば、ユール・ウォーカー法,バーグ法,最小二乗法及び勾配法などの方法を用いることができ、また、モデル次数p,q,dの設計方法として、例えば、AICや最尤法などの方法を用いることができる。
は、制御部1への入力時系列信号
と、モデル設計情報
とから、サブモデルsで対象とするフィルタ処理後の時系列信号
を算出する関数である。ここで、
は任意定数である。また、モデル次数p、q、dと、モデルパラメータ
の信頼度情報
と、モデル設計情報
と、AICや最尤法の評価アルゴリズムとを用いて決定する。
例えば、始めに、ある任意定数
に対して、
は、出力算出過程の情報
の要素情報であり、値を0(出力値の更新の無しに対応)とする。
一方、もし上記の条件が満たされない場合は、モデルパラメータの設計アルゴリズムを
を算出し、出力算出過程の要素情報を、出力値の更新の有りに対応する
が実数の場合は、入力を四捨五入して出力する関数
を用いて、
と
との線形近似により、
を求める。
即ち、サブモデル111−1〜111−Sは、モデル設計情報(フィルタやモデルの種類、また、そのパラメータの情報)を用いることで、入力時系列信号(またはその特定成分)の所定時刻経過後の値を予測する予測モデルの一例として機能する。
また、サブモデル111−1〜111−Sは、異なる構造や特性を有していてもよい。
合成処理部112は、サブモデル111−1〜111−Sの出力を加算・乗算処理することにより、制御部1への入力時系列信号の予測対象時刻(tc+L)の予測値を算出する。図5および図11(A)に例示する合成処理部112は、全てのサブモデル111−1〜111−Sの出力
の具体的な仕様は、必要に応じて、モデル設計情報
を考慮しながら、任意に決定することができる。
(1.4)周期変動分析部12
周期変動分析部12は、入力時系列信号の周期変動が原因で、制御部1の予測精度が低下してしまう問題を回避するために有効な情報を分析・算出する。
図5及び図6(A)に例示する周期変動分析部12は、相関解析部121と、キャッシュメモリ122と、周期推定部123と、周期予測部124と、同位相時刻推定部125と、時間遅れ作用部126と、キャッシュメモリ127と、差分処理部128とを有する。
を入力として、予測対象時刻(tc+L)の信号
の位相と同位相となる入力時系列信号の位置の時刻
は、予測対象時刻(tc+L)の季節ダイナミクスの位相と同位相となる入力時系列の位置の時刻とのうち、m番目に大きい値であり、図6(B)に例示するような関係がある。また、
は、
の信頼度であり、
は任意の正定数である。また、
は、時刻τの周期(推定値)
を時刻(τ−L)までの時系列信号
の情報を用いて予測した場合の予測値
の精度情報であり、図6(C)に例示するような関係がある。
即ち、本例の周期変動分析部12は、入力時系列信号の或る成分(例えば、主要成分)を周期が時間変化する時系列信号と仮定することにより、前記入力時系列信号の一部と前記入力時系列信号との相関解析を行ない、前記相関解析の結果を用いて、前記入力時系列信号の周期変動及び前記周期変動の信頼度を推定し、前記周期変動及び前記周期変動の信頼度を用いて前記入力時系列信号の所定時間後までの周期を予測し、前記相関解析の結果と前記予測した周期とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の位相と同位相となる前記入力時系列信号の時刻である同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度とを算出する周期変動分析部の一例として機能する。
相関解析部121は、入力時系列信号の相関解析により、入力時系列信号の周期変動を推定または予測するために必要な相関解析結果を算出する。
を入力として、その相関解析の結果
は、入力時系列信号の通常の季節ダイナミクスで起こり得ると想定する周期変動の最大値の推定値である。また、
の値は、
と、図7(C)の実線部分の時系列信号
との相関係数であり、入力時系列信号に季節ダイナミクスが含まれる場合は、kの値を変化させることで図7(D)に例示するように変化する。
即ち、本例の相関解析部121は、入力時系列信号の一部と前記入力時系列信号とのする相関解析を行なう相関解析部の一例として機能する。例えば、本例の相関解析部121は、入力時系列信号に対する相関解析により、入力時系列信号の周期変動を推定または予測するために用いる相関解析結果を算出して、キャッシュメモリ122へ当該相関解析結果を出力することができる。
キャッシュメモリ122は、相関解析部121の出力である相関解析結果
を格納するメモリであり、過去一定期間に格納された情報のうち任意のものを出力する。
図5に例示するキャッシュメモリ122は、時刻τ=1から現在時刻tcまでに格納された全情報の時系列
を出力する。
周期推定部123は、入力時系列信号の相関解析結果の時系列情報を用いて、入力時系列信号の周期の変動の推定値の時系列情報と、また、その推定値の信頼度の時系列情報とを算出する。
を入力として、制御部1への入力時系列信号の周期の推定値の時系列情報
とは、時系列信号
の季節ダイナミクス成分の時刻τから直近1周期分の長さに対応し、また、
はその値の信頼度であり、図8(B)に例示するように、ts=τからts=τ+max(Pj)までの範囲で求まる値の重み平均として、それぞれj次元方向の時系列信号に対する相関解析結果
より、次式で算出する。
はkを0から
まで徐々に変化させた場合に
の値が最初に凸ピークとなるkの値を出力する関数である(図8(C)を参照)。
即ち、本例の周期推定部123は、前記相関解析部121での解析結果を用いて、入力時系列信号の周期変動と、前記周期変動の信頼度とを推定する周期推定部の一例として機能する。例えば、本例の周期推定部123は、キャッシュメモリ122の出力である入力時系列信号の相関解析結果の時系列情報により、入力時系列信号の周期の変動の推定値の時系列情報と、またその推定値の信頼度の時系列情報とを算出することができる。
周期予測部124は、入力時系列信号の現時刻tcまでの周期の変動の推定値の時系列情報と、その推定値の信頼度の時系列情報を用いて、時刻(tc+1)から予測対象時刻(tc+L)までの周期を予測する。
図5及び図9に例示する周期予測部124は、周期推定部123の出力である入力時系列信号の現時刻tcまでの周期の変動の推定値の時系列情報
とその信頼度の時系列情報
とを入力として、現時刻tcにおける
の予測時系列情報
は時刻tcにおいて予想した、時刻(tc+1)のj次元方向の信号の周期
の予測値である。この値は、例えば、周期予測部124の入力である周期の推定値
のデータうち、信頼度が任意定数
以上である、すなわち適正なデータ
は、時系列信号
の通常の季節ダイナミクスで起こり得る周期変動の最小値の推定値である。また、
と
即ち、本例の周期予測部124は、周期推定部123により推定した前記周期変動及び前記周期変動の信頼度を用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後までの周期を予測する周期予測部の一例として機能する。例えば、本例の周期予測部124は、周期推定部123の出力である、入力時系列信号の現時刻tcまでの周期の変動の推定値の時系列情報と、その推定値の信頼度の時系列情報を用いた、ユール・ウォーカー法やバーグ法や最小二乗法や勾配法などのモデル作成アルゴリズムと、AICや最尤法などのモデル評価アルゴリズムとにより予測モデルを作成し、その予測モデルを用いて予測を行なうことで、時刻(tc+1)から予測対象時刻(tc+L)までの周期を予測することができる。
同位相時刻推定部125は、制御部1への入力時系列信号と、入力時系列信号の相関解析結果の時系列情報と、入力時系列信号の周期の予測対象時刻までの予測結果の時系列情報を用いて、入力時系列信号の周期変動が原因でモデル作成部11の予測精度が低下してしまう問題を回避するために有効な情報である、予測対象時刻の位相と同位相の入力時系列信号の位相の同位相時刻情報とその信頼度情報を出力する。
と、キャッシュメモリ122の出力である相関解析結果の時系列情報
と、入力時系列信号の周期の予測対象時刻までの予測結果の時系列情報
とを入力として、予測対象時刻の位相と同位相の入力時系列信号の位相の時刻
は、予測対象時刻(tc+L)の季節ダイナミクスの位相の予測値と同位相の時系列信号
の時刻のうちm番目に大きい値であり、図6(B)に例示するような関係がある。また、
は、
の信頼度であり、
は任意の正定数である。
及び
の算出方法を以下に説明する。
に対して、
一方、上記の条件を満たさない場合は、予測対象時刻(tc+L)の位相(図10(B)の一番右の星印)と同位相の入力時系列信号(図10(B)の星印)の位相の時刻のうち、現時刻tc以下で、かつ、tcに最近傍(図10(B)の四角で囲まれた一番左の星印)の時刻が、図10(B)に例示するような関係があることから、次式のように算出する。
は、入力を四捨五入して出力する関数であり、
は、
の信頼度を
さらに、m=2,3,…,MTにおける
(図10(D)の左から1、2番目の星印の時刻)と、その信頼度
とは、適切なtsの範囲で求まる値の重み平均として、次式で算出する。
は、図10(C)に例示するように、kを0から
まで徐々に変化させた場合に、
の値がn回目に形成する凸ピークのkの値を出力する関数である。
即ち、本例の同位相時刻推定部125は、相関解析部121での相関解析の結果と、周期予測部124により予測した前記周期とを用いて、前記同位相時刻情報と前記同位相時刻情報の信頼度とを推定する同位相時刻推定部の一例として機能する。例えば、本例の同位相時刻推定部125は、制御部1への入力時系列信号と、キャッシュメモリ122の出力である入力時系列信号の相関解析結果の時系列情報と、周期予測部124の出力である入力時系列信号の周期の予測対象時刻までの予測結果の時系列情報とを用いて、制御部1の予測精度が低下してしまう問題を回避するために有効な情報である、予測対象時刻の位相と同位相の入力時系列信号における同位相時刻情報と、その信頼度情報とを推定することができる。
時間遅れ作用部126は、時間パラメータを持つ任意の入力情報に対して、その時間を任意の期間だけ遅らせた情報を出力する。
図5に例示する時間遅れ作用部126は、周期予測部124の出力である時刻(tc+1)から予測対象時刻(tc+L)までの周期の予測情報
を入力として、その時間パラメータをLだけ遅らせた
を出力する。
キャッシュメモリ127は、時間遅れ作用部126の出力である周期の予測値の時系列情報
を格納するメモリであり、過去一定期間に格納された情報のうち任意のものを出力する。
図5に例示するキャッシュメモリ127は、過去にキャッシュされた情報のうち、周期の予測期間がLである予測結果の時系列情報
を出力する。
図5に例示する差分処理部128は、周期推定部123の出力の一部である
と、キャッシュメモリ127の出力である
とについて差分処理を施し、その予測誤差(精度)の時系列情報
即ち、本例の差分処理部128は、前記周期推定部123により推定した前記周期変動と、前記周期予測部124により予測した前記周期とを用いて、前記予測した周期の精度情報を推定することができる。
変量推定部13は、時間パラメータを持つ任意の入力情報に対して、単位時間当たり変化量を推定し出力する。
を入力として、次式で推定されるその単位時間当たりの変化量の時系列情報を出力する。
キャッシュメモリ14は、モデル作成部11の出力である出力算出過程の情報
を格納するメモリであり、過去一定期間に格納された情報のうち任意のものを出力する。
図5に例示するキャッシュメモリ14は、時刻τ=1から現在時刻tcまでに格納された全情報の時系列
を出力する。
キャッシュメモリ15は、モデル作成部11の出力である制御部1への入力時系列信号の予測対象時刻(tc+L)の予測値
を格納するメモリであり、過去一定期間に格納された情報のうち任意のものを出力する。
図5に例示するキャッシュメモリ15は、時刻τ=1から現在時刻tcまでに格納された全情報の時系列
を出力する。
予測精度推定部16は、制御部1への入力時系列信号と、変量推定部13の出力である入力時系列信号の単位時間当たりの変化量の時系列情報と、モデル作成部11の出力である入力時系列信号の予測対象時刻の予測値とその算出過程の時系列情報と、周期変動分析部12の出力である入力時系列信号の予測対象時刻の位相と同位相の同位相時刻情報とその信頼度情報と、予測対象時刻までの周期変動の予測精度の時系列情報を用いて、過去の予測における誤差量推移や各サブモデル111−1〜111−Sの有効性(予測における貢献)を評価し、また、入力時系列信号の予測対象時刻の単位時間当たりの変化量を推定することで、入力時系列信号の予測対象時刻の予測値の精度情報と、対象予測時刻の最適な予測のための各サブモデル111−1〜111−Sと合成処理部112のモデル設計情報を出力する。
一般的に、時系列信号の単位時間当たりの変化量が大きい場合は、予測精度が低く、遅い場合は予測精度が高くなる。また、その変化量の違いにより、予測に適するモデルの種類やモデル設計用パラメータも異なる。すなわち、予測対象時刻の時系列信号の単位時間当たりの変化量を推定することは、予測対象時刻の予測精度を推定し、また、モデルの種類やモデル設計用パラメータを選択するための重要な情報になりうる。そこで、本例では、変量推定部13の出力である、入力時系列信号の単位時間当たりの変化量の時系列情報を用いて、予測対象時刻の時系列信号の単位時間当たりの変化量を推定する。
と、変量推定部13の出力である入力時系列信号の単位時間当たりの変化量の時系列情報
と、モデル作成部11の出力である、これまでの入力時系列信号に対する予測値の時系列情報
とその算出過程の時系列情報
と、周期変動分析部12の出力である入力時系列信号の予測対象時刻の位相と同位相の同位相時刻情報
と、その信頼度情報
と、予測対象時刻までの周期変動の予測精度の時系列情報
とを入力として、入力時系列信号の予測対象時刻の予測値の精度情報である予測の誤差量の推定値
とを出力する。
例えば、まず、任意に用意したU種類のモデル設計情報候補のうち、u番目の候補
と
とはそれぞれ、サブモデル111−1〜111−Sと合成処理部112とに依存する関数であり、また、その引数である
次に、全候補のなかで予測誤差量が最小になる候補の番号
と
とはそれぞれ任意の定数である。
さらに、より具体的な例を示すために、サブモデル111−1〜111−Sの数Sを1と仮定する。この場合、例えば、入力時系列信号の予測対象時刻の位相と同位相の入力時系列の位相の時刻付近における実測値の重み付き平均量を用いて、予測対象時刻の誤差量と時系列信号の単位時間当たりの変化量の推定値を次式のように算出してもよい。
と
とは、それぞれ通常の入力時系列信号に対する予測で起こりえる誤差量と時系列信号の単位時間当たりの変化量の最大値との推定値である。また、図12(B)に例示する関数
は予測対象時刻の周期予測の誤差の影響を考慮した任意の重み関数であり、その引数dは次式のように決まる。
は整数の集合であり、
は入力を四捨五入して出力する関数である。
また、別の具体例としては、入力時系列信号の軌跡のうち、予測対象時刻の位置の近傍点である過去の時刻付近における実測値の重み付き平均量を用いて、予測対象時刻の誤差量と時系列信号の単位時間当たりの変化量の推定値とを次式のように算出してもよい。
は任意の正定数である。
なお、これらの具体例のようにサブモデル111−1〜111−Sの数Sが1であり、モデルの詳細が一意に決まる場合は、
即ち、本例の予測精度推定部16は、入力時系列信号と、前記入力時系列信号の単位時間当たりの変化量の時系列情報と、前記周期変動分析部12により算出した前記同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度を用いて、前記入力時系列信号の所定時間後の値を予測するためのモデル設計情報と、前記モデル設計情報による前記入力時系列信号の前記所定時間後の値の予測の精度とを推定する予測精度推定部の一例として機能する。
また、本例の予測精度推定部16は、上記予測モデルを用いて入力時系列信号の所定時間後の値を予測した場合の予測精度情報を推定することができる。
(1.9)本制御の流れの一例
ここで、上記制御の流れの一例を、図19〜図28に例示するフローチャートを用いて説明する。
まず、図19に例示するように、上記制御が開始されると(ステップS1)、制御部1は、入力時系列信号の所定時間後の予測に用いる初期パラメータを決定する(ステップS2)。この初期パラメータには、例えば、現時刻としてtc=1,モデル設計情報として
及び各種の任意定数としてL,TE,Mtが含まれる。ここで、TEは、予測終了時刻を表す。
そして、例えば、腫瘍位置の時系列データとして、入力時系列信号
が制御部1に入力されると(ステップS3)、制御部1は、周期変動分析部12へ処理を移行する(ステップS4)。
ステップS4において、処理が周期変動分析部12へ移行されると、図20に例示するように、周期変動分析部12が処理を開始する(ステップS12)。
そして、周期変動分析部12は、制御部1から、例えば、腫瘍位置の時系列データとして、入力時系列信号
を入力されると(ステップS13)、相関解析部121,周期推定部123,周囲予測部124,同位相時刻推定部125及び時間遅れ作用部126へ処理を順次に移行させ(ステップS14〜S18)、周期変動分析部12での処理を終了する(ステップS19)。
ステップS14において、処理が相関解析部121へ移行されると、図21に例示するように、相関解析部121が処理を開始する(ステップS20)。
そして、相関解析部121は、制御部1から、例えば、腫瘍位置の時系列データとして、入力時系列信号
を入力されると(ステップS21)、前記入力時系列信号の一部と前記入力時系列信号との相関解析の結果
を算出して出力する(ステップS22)。
さらに、相関解析部121は、キャッシュメモリ122に保存された相関解析の結果の時系列データ
を出力して(ステップS23)、相関解析部121での処理を終了する(ステップS24)。
次に、ステップS15において、処理が周期推定部123へ移行されると、図22に例示するように、周期推定部123が処理を開始する(ステップS25)。
そして、周期推定部123は、相関解析部121から、例えば、上記相関解析の結果の時系列データ
を入力されると(ステップS26)、前記入力時系列信号に含まれる季節成分の周期の推定値の時系列データ
と、その信頼値の時系列データ
とを算出して出力し(ステップS27)、周期推定部123での処理を終了する(ステップS28)。
次に、ステップS16において、処理が周期予測部124へ移行されると、図23に例示するように、周期予測部124が処理を開始する(ステップS29)。
そして、周期予測部124は、周期推定部123から、前記入力時系列信号に含まれる季節成分の周期の推定値の時系列データ
と、その信頼値の時系列データ
とを入力されると(ステップS30)、前記入力時系列信号に含まれる季節成分の周期を、予測対象時刻(tc+L)まで予測した時系列データ
を算出して出力し(ステップS31)、周期予測部124での処理を終了する(ステップS32)。
次に、ステップS17において、処理が同位相時刻推定部125へ移行されると、図24に例示するように、同位相時刻推定部125が処理を開始する(ステップS33)。
そして、同位相時刻推定部125は、制御部1から、例えば、腫瘍位置の時系列データとして、入力時系列信号
を入力され(ステップS34)、また、相関解析部121から上記相関解析の結果の時系列データ
を入力され(ステップS35)、さらに、周期予測部124から上記周期予測結果の時系列データ
を入力されると(ステップS36)、予測対象時刻の前記入力時系列信号(例えば、予測対象時刻の腫瘍位置など)
に含まれる季節成分の位相と同位相である時刻
と、その信頼度
とを算出して出力し(ステップS37)、同位相時刻推定部125での処理を終了する(ステップS38)。なお、予測対象時刻の前記入力時系列信号
に含まれる季節成分の位相と同位相である時刻は、例えば、新しいものから順にMt個算出されるようにしてもよい。
次に、ステップS18において、処理が時間遅れ作用部126へ移行されると、図25に例示するように、時間遅れ作用部126が処理を開始する(ステップS39)。
そして、時間遅れ作用部126は、周期予測部124から上記周期予測結果の時系列データ
を入力されると(ステップS40)、当該入力時系列
の時間パラメータをLだけ遅らせた
を算出して出力し(ステップS41)、時間遅れ作用部126での処理を終了する(ステップS42)。
周期変動分析部12での処理が終了すると、図19に戻り、制御部1は、変量推定部13へ処理を移行させる(ステップS5)。
ステップS5において、処理が変量推定部13へ移行されると、図26に例示するように、変量推定部13が処理を開始する(ステップS43)。
そして、変量推定部13は、制御部1から、例えば、腫瘍位置の時系列データとして、入力時系列信号
を入力されると(ステップS44)、当該入力時系列信号の単位時間当たりの変化量の時系列データ
を算出して出力し(ステップS45)、変量推定部13での処理を終了する(ステップS46)。
変量推定部13での処理が終了すると、図19に戻り、制御部1は、モデル作成部11へ処理を移行させる(ステップS6)。
ステップS6において、処理がモデル作成部11へ移行されると、図27に例示するように、モデル作成部11が処理を開始する(ステップS47)。
そして、モデル作成部11は、制御部1から、例えば、腫瘍位置の時系列データとして、入力時系列信号
を入力され(ステップS48)、また、同位相時刻推定部125から、予測対象時刻の前記入力時系列信号(例えば、予測対象時刻の腫瘍位置など)
に含まれる季節成分の位相と同位相である時刻
と、その信頼度
とを入力され(ステップS49)、さらに、制御部1からモデル設計情報
とを入力されると(ステップS50)、当該モデル設計情報
をもとに、サブモデル111−1〜111−Sを設計し、他の入力情報
及び
を用いて、前記入力時系列信号の所定時間後の予測時系列信号(例えば、予測腫瘍位置など)
を算出し出力するとともに、その算出過程に関する詳細情報として
を出力し(ステップS51)、モデル作成部11での処理を終了する(ステップS52)。
モデル作成部11での処理が終了すると、図19に戻り、制御部1は、予測精度推定部16へ処理を移行させる(ステップS7)。
ステップS7において、処理が予測精度推定部16へ移行されると、図28に例示するように、予測精度推定部16が処理を開始する(ステップS53)。
そして、予測精度推定部16は、制御部1から、例えば、腫瘍位置の時系列データとして、入力時系列信号
を入力され(ステップS54)、また、変量推定部13から当該入力時系列信号の単位時間当たりの変化量の時系列データ
を入力され(ステップS55)、さらに、同位相時刻推定部125から、予測対象時刻の前記入力時系列信号(例えば、予測対象時刻の腫瘍位置など)
に含まれる季節成分の位相と同位相である時刻
と、その信頼度
とを入力され(ステップS56)、また、モデル作成部11から、キャッシュメモリ14および15を経由して、過去に行なわれた予測結果の時系列データ
と、当該予測の算出過程に関する詳細情報
とを入力されると(ステップS57,S58)、上記の各入力情報を用いて、予測に最適なモデル設計情報
を決定し出力するとともに、予測腫瘍位置
の誤差量の予測値
と、予測腫瘍位置
における単位時間当たりの変化量の予測値
とを算出して出力し(ステップS59)、予測精度推定部16での処理を終了する(ステップS60)。
予測精度推定部16での処理が終了すると、図19に戻り、制御部1は、腫瘍位置の予測値
と、予測腫瘍位置
における単位時間当たりの変化量の予測値(腫瘍速度の予測値)
と、予測腫瘍位置
の誤差量の予測値
とを出力する(ステップS8)。
そして、制御部1は、現時刻tcをインクリメントすることにより、時刻を更新し(ステップS9)、前記更新した時刻が予測終了時刻TEよりも小さいかどうかを判断する(ステップS10)。
ここで、制御部1が、前記更新した時刻が予測終了時刻TEよりも小さいと判断した場合(ステップS10のYesルート)、図19中のステップS3〜ステップS9までの処理を繰り返す。
一方、制御部1が、前記更新した時刻が予測終了時刻TE以上であると判断した場合(ステップS10のNoルート)、上記予測処理を終了する(ステップS11)。
上記の制御部1による予測機能の有効性を、実際の患部260の観測位置の時系列信号を用いた実験例により説明する。
また、予測期間の長さLを変化させた場合の平均予測誤差量の変化を図18に示す。図18の横軸は予測間隔(L)を示し、縦軸は予測誤差の平均値を示す。なお、図中「Zero−order hold」と示した結果は、入力時系列信号の最新のデータをそのまま予測値として用いた場合の誤差を表している。この図18に示すように、5ステップ(0.167秒)以上の中長期的な予測では、本例の予測方法が効果的であることが分かる。
ところで、入力時系列信号の3700ステップ付近に、特異的なダイナミクスの変化が生じていることが分かる。本例では、予測精度推定部16において、最新の予測と対応する過去の予測の結果情報(誤差量と時系列信号の単位時間当たりの変化量)データの照合・解析を行なうため、このような特的なダイナミクスの変化を、例えば、誤差量と時系列信号の単位時間当たりの変化量の推定値が想定する最大値となる(図16(B)、(C)の該当部分の出力が飽和する)ことで検知可能である。すなわち、特異的なダイナミクスの変化が長期に継続して患部260の動きの正確な予測と追随による放射線照射が困難な場合には、その検知情報により放射線の照射を停止し、患部260以外への正常な細胞への照射を回避することができる。
また、本例の周期変動分析部12は、相関解析部121の処理
と
の値とを任意に複数設定した場合の処理を、同時並行して行なうこともできる。
これは、相関解析部121において、相関解析の計算式やデータ範囲を任意に複数設定し、各設定の
と、
と、
また、予測誤差推定部は16、周期変動分析部12が同時平行で算出した、
と、
と、
を推定可能である。
この場合、例えば、モデル作成部11は、フィルタ及びモデルの種類やパラメータ値だけでなく、
と、
の値との組み合わせが異なる、多様なサブモデル111−1〜111−Sを作成可能である。
ここで、
と、
とを複数設定してサブモデルを多様化する上記改良を施す前の本例の予測方法を「本例の予測方法(1)」とし、上記改良を施した後の本例の予測方法を「本例の予測方法(2)」とすると、予測期間長と予測誤差との関係は図31に示すようになる。この図31に示すように、従来の予測方法の一例である季節調整指数平滑化法やSARIMAモデルによる予測方法に比して、本例の予測方法(1)が効果的であり、さらに、本例の予測方法(1)よりも本例の予測方法(2)の方が効果的であることが分かる。
なお、上述した制御部1としての機能は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が所定のアプリケーションプログラム(信号処理プログラム)を実行することによって実現されてもよい。
なお、本実施形態としての記録媒体としては、上述したフレキシブルディスク,CD,DVD,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスクのほか、ICカード,ROMカートリッジ,磁気テープ,パンチカード,コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ),外部記憶装置等や、バーコードなどの符号が印刷された印刷物等の、コンピュータ読み取り可能な種々の媒体を利用することもできる。
例えば、上述した例では、予測精度推定部16が、モデル作成部11により出力される、入力時系列信号の所定時間後の値の算出過程に関する情報を用いて、モデル設計情報を推定する例について説明したが、この推定処理を省略することもできる。
また、上述した例では、入力時系列信号をトレンド成分,季節成分,定常成分に分離し、それぞれについて予測モデルを適用することで、入力時系列信号の予測を行なったが、入力時系列信号から上記のうちいずれかの成分を選択的に分離して予測処理に用いるようにしてもよい。
また、本例の信号処理方法は、例えば、波の高さや、心臓の拍動に起因する位置変動を予測するシステムに適用することもできる。例えば、心臓の拍動に起因する位置変動を上記信号処理方法により予測することにより、通常の状態からどの程度ずれているか(不整脈など)を警告するシステムなどを実現することが可能である。
11 モデル作成部
12 周期変動分析部
13 変量推定部
14 キャッシュメモリ
15 キャッシュメモリ
16 予測精度推定部
100 クライストロン
110 冷却装置
111−1 サブモデル1
111−2 サブモデル2
111−S サブモデルS
120 導波管
121 相関解析部
122 キャッシュメモリ
123 周期推定部
124 周期予測部
125 同位相時刻推定部
126 時間遅れ作用部
127 キャッシュメモリ
128 差分処理部
130 真空ポンプ
140 電子銃
150 加速管
160 偏向電磁石
170 ターゲット
180 平坦化フィルタ(散乱フォイル)
190 モニタ線量計
200 JAW(照射野形成部)
210 MLC(マルチリーフコリメータ)
220 OBI
230 ベッド
240 EPID
250 パルスモジュレータ
301 駆動制御部
302−1,302−2 駆動部
303 リーフ
304 放射線照射野
305 X線照射部
306 センサーパネル
Claims (12)
- 入力時系列信号の或る成分を周期が時間変化する時系列信号と仮定することにより、前記入力時系列信号の一部と前記入力時系列信号との相関解析を行ない、前記相関解析の結果を用いて、前記入力時系列信号の周期変動及び前記周期変動の信頼度を推定し、前記周期変動及び前記周期変動の信頼度を用いて前記入力時系列信号の所定時間後までの周期を予測し、前記相関解析の結果と前記予測した周期とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の位相と同位相となる前記入力時系列信号の時刻である同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度とを算出する周期変動分析部と、
前記入力時系列信号と、前記入力時系列信号の単位時間当たりの変化量の時系列情報と、前記周期変動分析部により算出した前記同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測するためのモデル設計情報と、前記モデル設計情報による前記入力時系列信号の前記所定時間後の値の予測の精度とを推定する予測精度推定部と、
前記入力時系列信号と、前記周期変動分析部により算出した前記同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度と、前記予測精度推定部により推定した前記モデル設計情報とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測する予測モデルを作成し、前記予測モデルを用いて前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測して出力するモデル作成部と、をそなえた、
ことを特徴とする、信号処理装置。 - 前記予測精度推定部が、
前記モデル作成部により出力される、前記入力時系列信号の前記所定時間後の値の算出過程に関する情報を用いて、前記モデル設計情報を推定する、
ことを特徴とする、請求項1記載の信号処理装置。 - 前記周期変動分析部が、
前記入力時系列信号の一部と前記入力時系列信号との相関解析を行なう相関解析部と、
前記相関解析部での解析結果を用いて、該周期変動及び前記周期変動の信頼度を推定する周期推定部と、
前記周期推定部により推定した前記周期変動及び前記周期変動の信頼度を用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後までの周期を予測する周期予測部と、
前記相関解析部での前記相関解析の結果と、前記周期予測部により予測した前記周期とを用いて、前記同位相時刻情報と前記同位相時刻情報の信頼度とを推定する同位相時刻推定部と、をそなえた、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の信号処理装置。 - 前記モデル作成部が、構造や特性の異なる複数のサブモデルを用いて、前記予測モデルを作成する、
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の信号処理装置。 - 前記サブモデルが、少なくともSARIMA(Seasonal Auto−Regressive Integrated Moving Average)モデル,季節調整指数平滑法モデル,非線型ARIMA(Auto−Regressive Integrated Moving Average)モデル及びニューラルネットワーク,ファジィのソフトコンピューティングモデルのいずれかである、
ことを特徴とする、請求項4記載の信号処理装置。 - 前記モデル作成部が、
前記予測精度推定部により推定した前記入力時系列信号の前記所定時間後の値の予測の精度を用いて、前記サブモデルを変更する、
ことを特徴とする、請求項4または5に記載の信号処理装置。 - 入力時系列信号の或る成分を周期が時間変化する時系列信号と仮定することにより、前記入力時系列信号の一部と前記入力時系列信号との相関解析を行ない、前記相関解析の結果を用いて、前記入力時系列信号の周期変動及び前記周期変動の信頼度を推定し、前記周期変動及び前記周期変動の信頼度を用いて前記入力時系列信号の所定時間後までの周期を予測し、前記相関解析の結果と前記予測した周期とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の位相と同位相となる前記入力時系列信号の時刻である同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度とを算出し、
前記入力時系列信号と、前記入力時系列信号の単位時間当たりの変化量の時系列情報と、前記算出した前記同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測するためのモデル設計情報と、前記モデル設計情報による前記入力時系列信号の前記所定時間後の値の予測の精度とを推定し、
前記入力時系列信号と、前記算出した前記同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度と、前記推定した該モデル設計情報とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測する予測モデルを作成し、前記予測モデルを用いて前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測して出力する、
ことを特徴とする、信号処理方法。 - 患者の患部に放射線を照射する放射線治療装置であって、
前記放射線を発生する放射線発生部と、
前記放射線発生部から発生した前記放射線の照射範囲を所望の形状に形成するコリメータ部と、
前記患部の位置を測定する測定部と、
前記測定部により測定された前記患部の位置に関する入力時系列信号を用いて、前記患部の所定時間後の位置の予測と前記予測位置の精度情報とを推定する請求項1〜6のいずれか1項に記載の信号処理装置と、
前記信号処理装置により予測した前記患部の所定時間後の位置と前記精度情報とを用いて、前記放射線の照射位置と照射範囲とを算出し、前記算出結果を基に前記コリメータ部を駆動制御する駆動制御部と、をそなえた、
ことを特徴とする、放射線治療装置。 - 前記信号処理装置により予測した前記患部の所定時間後の位置と前記精度情報とを用いて、前記放射線発生部での前記放射線の発生タイミングを制御するタイミング制御部をそなえた、
ことを特徴とする、請求項8記載の放射線治療装置。 - 患者の患部に放射線を照射する放射線治療装置であって、
前記放射線を発生する放射線発生部と、
前記患部の位置を測定する測定部と、
前記測定部により測定された前記患部の位置に関する入力時系列信号を用いて、前記患部の所定時間後の位置の予測と前記予測位置の精度情報とを推定する請求項1〜6のいずれか1項に記載の信号処理装置と、
前記信号処理装置により予測した前記患部の所定時間後の位置と前記精度情報とを用いて、前記放射線発生部での前記放射線の照射タイミングを制御する制御部と、をそなえた、
ことを特徴とする、放射線治療装置。 - 入力時系列信号の所定時間後の値を予測する信号処理装置において、前記予測機能をコンピュータに実現させるための信号処理プログラムであって、
前記信号処理プログラムが、
入力時系列信号の或る成分を周期が時間変化する時系列信号と仮定することにより、前記入力時系列信号の一部と前記入力時系列信号との相関解析を行ない、前記相関解析の結果を用いて、前記入力時系列信号の周期変動及び前記周期変動の信頼度を推定し、前記周期変動及び前記周期変動の信頼度を用いて前記入力時系列信号の所定時間後までの周期を予測し、前記相関解析の結果と前記予測した周期とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の位相と同位相となる前記入力時系列信号の時刻である同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度とを算出する周期変動分析機能と、
前記入力時系列信号と、前記入力時系列信号の単位時間当たりの変化量の時系列情報と、前記周期変動分析機能により算出した前記同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測するためのモデル設計情報と、前記モデル設計情報による前記入力時系列信号の前記所定時間後の値の予測の精度とを推定する予測精度推定機能と、
前記入力時系列信号と、前記周期変動分析機能により算出した前記同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度と、前記予測精度推定機能により推定した前記モデル設計情報とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測する予測モデルを作成し、前記予測モデルを用いて前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測して出力するモデル作成機能と、を前記コンピュータに実現させる、
ことを特徴とする、信号処理プログラム。 - 入力時系列信号の所定時間後の値を予測する信号処理装置において、前記予測機能をコンピュータに実現させるための信号処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記信号処理プログラムが、
入力時系列信号の或る成分を周期が時間変化する時系列信号と仮定することにより、前記入力時系列信号の一部と前記入力時系列信号との相関解析を行ない、前記相関解析の結果を用いて、前記入力時系列信号の周期変動及び前記周期変動の信頼度を推定し、前記周期変動及び前記周期変動の信頼度を用いて前記入力時系列信号の所定時間後までの周期を予測し、前記相関解析の結果と前記予測した周期とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の位相と同位相となる前記入力時系列信号の時刻である同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度とを算出する周期変動分析機能と、
前記入力時系列信号と、前記入力時系列信号の単位時間当たりの変化量の時系列情報と、前記周期変動分析機能により算出した前記同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測するためのモデル設計情報と、前記モデル設計情報による前記入力時系列信号の前記所定時間後の値の予測の精度とを推定する予測精度推定機能と、
前記入力時系列信号と、前記周期変動分析機能により算出した前記同位相時刻情報及び前記同位相時刻情報の信頼度と、前記予測精度推定機能により推定した前記モデル設計情報とを用いて、前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測する予測モデルを作成し、前記予測モデルを用いて前記入力時系列信号の前記所定時間後の値を予測して出力するモデル作成機能と、を前記コンピュータに実現させる、
ことを特徴とする、信号処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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