JP5604081B2 - 酸化物半導体を用いた、高移動度の電界効果型トランジスタ - Google Patents

酸化物半導体を用いた、高移動度の電界効果型トランジスタ Download PDF

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Description

本発明は、酸化物を活性層に用いた電界効果型トランジスタに関する。
薄膜トランジスタ(TFT)等の電界効果型トランジスタは、半導体メモリ集積回路の単位電子素子、高周波信号増幅素子、液晶駆動用素子等として広く用いられており、現在、最も多く実用されている電子デバイスである。なかでも、近年における表示装置のめざましい発展に伴い、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンス表示装置(EL)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等の各種の表示装置において、表示素子に駆動電圧を印加して表示装置を駆動させるスイッチング素子として、TFTが多用されている。
電界効果型トランジスタの主要部材である半導体層(チャンネル層)の材料としては、シリコン半導体化合物が最も広く用いられている。一般に、高速動作が必要な高周波増幅素子や集積回路用素子等には、シリコン単結晶が用いられている。一方、液晶駆動用素子等には、大面積化の要求から非晶性シリコン半導体(アモルファスシリコン)が用いられている。アモルファスシリコンの薄膜は、比較的低温で形成できるものの、結晶性のものに比べてスイッチング速度が遅いため、表示装置を駆動するスイッチング素子として使用したときに、高速な動画の表示に追従できない場合がある。具体的には、解像度がVGAである液晶テレビでは、移動度が0.5〜1cm/Vsのアモルファスシリコンが使用可能であったが、解像度がSXGA、UXGA、QXGAあるいはそれ以上になると2cm/Vs以上の移動度が要求される。また、画質を向上させるため駆動周波数を上げるとさらに高い移動度が必要となる。
一方、結晶性のシリコン系薄膜は、移動度は高いものの結晶化を図る際に、例えば、800℃以上の高温や高価な設備を使用するレーザーアニールが必要となり、製造に際して多大なエネルギーと工程数を要する等の問題や大面積化が困難という問題があった。また、結晶性のシリコン系薄膜は、通常TFTの素子構成がトップゲート構成に限定されるためマスク枚数の削減等コストダウンが困難であった。
このような問題を解決するためにシリコン系半導体に変わる新たな半導体材料が必要とされていた。
シリコン系半導体の問題を解決するために、酸化インジウム、酸化亜鉛を含むn型半導体材料の検討や、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる電子キャリア濃度が1018/cm未満である非晶質の酸化物半導体膜を作製し、電界効果型トランジスタを駆動させる方法が検討されている(特許文献1、2、3及び4)。
しかしながら、前記の電界効果型トランジスタはアモルファスシリコンよりも移動度等の特性がよいものの結晶シリコンには及ばず、SOG(システムオングラス)等周辺回路や有機ELディスプレイの電流駆動を行うスイッチング素子に適用するためには移動度、ΔVthシフト等の特性の更なる改善が求められていた(Vthは閾値電圧を意味し、ΔVthシフトはバイアスストレスを加えた際のVthの変化を意味する)。
更なる改良のため、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムの組成比を変えた検討がなされているが、十分な結果は得られていなかった(特許文献3、4及び非特許文献1)。例えば、酸化インジウムの含有量を増加させると移動度は向上するが、閾値電圧が大きく負となりノーマリーオンとなってしまっていた(特許文献3)。一方、酸化ガリウムの含有量を削減すると移動度は向上するが、信頼性が低下してしまっていた(特許文献3及び4)。
一方、比誘電率が大きい誘電体材料で構成されたゲート絶縁膜と電子キャリア濃度が1018/cm以上であるITOを活性層に用いた電界効果型トランジスタが検討されている(特許文献5)。しかし、ヒステリシスが激しい等特性に問題があり、また大面積化が難しく工業的に採用が困難な誘電体材料をゲート電極としていたため実用性が乏しかった。
また、膜厚を調整し性能のよい電界効果型トランジスタを得る検討がなされていたが、閾値電圧が大きく負となりノーマリーオンとなってしまう、あるいは信頼性が低い等の問題点があった(非特許文献2)。また、チャンネル長(L)やチャンネル幅(W)が大きすぎて実用的ではなかった(非特許文献2)。
以上から、従来の方法では、閾値電圧が大きく負となりノーマリーオンとなる、信頼性が低下する(閾値電圧シフトが大きくなる)等の問題が起るため、高移動度で実用的な電界効果型トランジスタを得ることは困難であると思われていた。
特許4318689 国際公開第2005/088726号パンフレット 特開2007−281409号公報 国際公開第2007/120010号パンフレット 特開2006−121029号公報
Tatsuya Iwasaki et al.,Appl.Phys. Lett.90,242114(2007) Hai Q.Chiang et al.,Journal of Non−Crystalline Solids,Volume 354,Issues 19−25,1 May 2008,Pages2826−2830
本発明の目的は、移動度が高く、信頼性が高く(ΔVthが小さく)、閾値電圧(Vth)の絶対値が小さい電界効果型トランジスタを提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を行い、キャリア密度と膜厚と組成との組合せにより、工業的に採用しやすいSiOやSiN(比誘電率が2〜8)をゲート電極に用いた場合でも、高い移動度と、高い信頼性(ΔVthが小さい)と、絶対値が小さい閾値電圧(Vth)とを持つことを両立させる電界効果型トランジスタの作製が可能であることを見出した。
さらに、システムオングラス(SOG)等の周辺回路や有機ELディスプレイの電流駆動を行うスイッチング素子に適用するために必要な、高い移動度と、高い信頼性(ΔVthが小さい)と、絶対値が小さい閾値電圧(Vth)とを持つ電界効果型トランジスタを提供できることを見出した。
ΔVthが小さいと、有機EL素子の駆動や回路の駆動等を直流で長時間行っても特性に変化が無く、高い信頼性が得られる。また、閾値電圧(Vth)の絶対値が小さいと、駆動電圧が小さくて済み、省電力化が可能となることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の電界効果型トランジスタが提供される。
1.電子キャリア密度n(cm−3)が1018<n<1020であり、かつ、膜厚t(nm)が1≦t<30の酸化物薄膜からなるチャンネル層と、
比誘電率が2〜9の誘電体材料からなるゲート絶縁膜と、
を有する電界効果型トランジスタ。
2.前記酸化物薄膜が、アモルファス酸化物である上記1に記載の電界効果型トランジスタ。
3.前記酸化物薄膜が、少なくともIn(インジウム)を含む上記1又は2に記載の電界効果型トランジスタ。
4.前記酸化物薄膜が、In(インジウム)、Zn(亜鉛)、Ga(ガリウム)及びO(酸素)を含み、かつ、In、Zn及びGaを、原子比で下記式の範囲で含む上記1〜3のいずれかに記載の電界効果型トランジスタ。
0.45≦In/(In+Zn+Ga)≦0.70
0.10≦Zn/(In+Zn+Ga)≦0.50
0.00<Ga/(In+Zn+Ga)≦0.25
5.前記酸化物薄膜に含有される金属元素が、実質的にIn、Ga及びZnである上記4に記載の電界効果型トランジスタ。
本発明によれば、移動度が高く、信頼性が高く(ΔVthが小さく)、閾値電圧(Vthの絶対値)が小さい電界効果型トランジスタが提供できる。
実施例A−1及び実施例B−1で作製したボトムゲート構造を有する電界効果型トランジスタの断面模式図である。 実施例A−1及び実施例B−1で作製したボトムゲート構造を有する電界効果型トランジスタの平面模式図である。 実施例C−1で作製したボトムゲート構造を有するエッチストッパー型の電界効果型トランジスタの断面模式図である。 昇電圧時及び降電圧時の伝達曲線(I−V特性)の例を示すグラフであり、(A)はヒステリシスの少ない例を示し、(B)はヒステリシスの大きい例を示す。 膜組成原子比の異なるA〜Cのチャンネル層(半導体層)を用いて製造した薄膜トランジスタにおける、チャンネル層膜厚と薄膜トランジスタ特性との関係を示すグラフである。(A)はチャンネル層膜厚と電界効果移動度μ(cm/Vs)の関係を示し、(B)はチャンネル層膜厚と閾値電圧Vth(V)の関係を示す。
本発明の電界効果型トランジスタは、電子キャリア密度n(cm−3)が1018<n<1020であり、かつ、膜厚t(nm)が1≦t<30の酸化物薄膜からなるチャンネル層と、比誘電率が2〜9の誘電体材料からなるゲート絶縁膜とを有することを特徴とする。
本発明の電界効果型トランジスタのチャンネル層を構成する酸化物薄膜の電子キャリア密度n(cm−3)が、1018<n<1020の範囲内であることにより、高い移動度で小さなVth(絶対値)と高い信頼性(小さなΔVth)が期待できる。
電子キャリア密度nは、1018<n<1019の範囲内であることが好ましく、2×1018<n<8×1018の範囲内であることが特に好ましい。
電子キャリア密度n(cm−3)は、ホール測定装置によって測定できる。
ホール効果とは電流の流れているものに対し、電流に垂直に磁場をかけると、電流と磁場の両方に直交する方向に起電力が現れる現象であり、主に半導体に応用される。ホール効果によって抵抗率、キャリア密度、移動度など電気的特性を調べることが出来る。概要は、電流(x方向)の流れている半導体に、その電流と垂直になるように磁界(z方向)を印加する。そうすると、キャリアはローレンツ力を受け、y方向に起電力が生じる現象を利用したものである。
即ち、電気伝導を担うキャリアが、印加された磁場によりI×Bの方向にローレンツ力を受けるために、I×Bの方向にキャリア濃度が非平衡な状態になることから電場が生じる。この生じた電場がキャリアに作用する力は、ちょうどローレンツ力を打ち消し、定常状態となる。このI=0の定常状態における電場をホール電場という。具体的には試料に+x方向に電流を流し、磁場を+z方向に印加して、y方向の電圧を測定する。ホール係数Rは、ホール電場E、電流密度J、磁場Bにより
と定義される。ここでVはホール電圧、tは試料の厚さ、Rxyは実際に測定するホール抵抗である。この式(1)から、ホール抵抗は磁場に比例することがわかる。
ホール係数はキャリア密度と
という関係がある。この式(2)からホール電圧を測定することによって、その符号からキャリアの種類(正ならば正孔、負ならば電子)を決定でき、その絶対値からキャリア密度を知ることができることがわかる。
電子キャリア密度n(cm−3)は、ホール測定装置、例えば、東陽テクニカ製:Resi Test8310(ホール測定装置)などによって測定することができる。
本発明の電界効果型トランジスタのチャンネル層を構成する酸化物薄膜の膜厚t(nm)が、1≦t<30の範囲内であることにより、高い移動度と高い信頼性(小さなΔVth)が期待できる。また、大面積で均一な膜が期待できる。膜厚t(nm)は、3≦t≦25の範囲内であることが好ましく、10≦t≦20の範囲内であることが特に好ましい。
膜厚は触針式表面形状測定器(例えば、Dektak 150(アルバック株式会社製))で測定することができる。
本発明の電界効果型トランジスタのゲート絶縁膜は、比誘電率が2〜9の誘電体材料からなる。ゲート絶縁膜の比誘電率が上記範囲内であると、ゲートリーク電流が小さい絶縁膜を選定することができる。ゲート絶縁膜の比誘電率は、2.5〜8の範囲内であることが好ましく、3〜6の範囲内であることがより好ましい。ゲート絶縁膜の比誘電率は、誘電率測定装置によって測定することができる。
比誘電率(relative permittivity、dielectric constant)とは媒質の誘電率と真空の誘電率の比ε/ε=εrのことである。比誘電率は無次元量であり、用いる単位系によらず、一定の値をとる。
比誘電率が2〜9の誘電体材料としては、SiO、SiN、SiON、Al等が工業的な実績も高く、大面積に適用しやすく好ましい。特に、SiO、SiNがディスプレイへの適用が容易で好ましい。尚、上記誘電体材料である酸化物の酸素数は、必ずしも化学量論比と一致していなくともよい(例えば、SiOでもSiOでもよい)。また、SiNは水素元素を含んでいてもよい。
尚、本発明の電界効果型トランジスタのゲート絶縁膜は、異なる2層以上の絶縁膜を積層した構造でもよい。
また、ゲート絶縁膜は、結晶質、多結晶質、非晶質のいずれであってもよいが、工業的に製造しやすい多結晶質か、非晶質であるのが好ましい。
比誘電率が2〜9の誘電体材料からなるゲート絶縁膜の形成は、例えば、シリコン基板を用いる場合には、シリコン基板を熱酸化し、シリコン基板の表面を、SiOxからなる熱酸化膜(層)とすることによって行うことができる。また、シリコン基板以外の基板を用いる場合には、例えば、プラズマ化学気相成長装置(PECVD)にて、SiN及び/又はSiOを成膜することによってゲート絶縁膜を形成することができる。
本発明の電界効果型トランジスタのチャンネル層を構成する酸化物薄膜は、アモルファス酸化物であることが好ましい。アモルファス酸化物であると、大面積での均一性に優れ、システムオングラス(SOG)等の周辺回路や有機ELディスプレイの電流駆動を行うスイッチング素子に適しており好ましい。ここで、アモルファス酸化物とは、X線回折で明確なピークが確認できないものをいう。
本発明の電界効果型トランジスタのチャンネル層を構成する酸化物薄膜は、少なくともIn(インジウム)を含むことが好ましい。In(インジウム)を含むと高い移動度が期待できる。
また、In(インジウム)の他にZn(亜鉛)を含むと、安定した非晶質膜が得られ、大面積で均一な電界効果型トランジスタとなることが期待できる。
本発明の電界効果型トランジスタのチャンネル層を構成する酸化物薄膜は、In(インジウム)、Zn(亜鉛)、Ga(ガリウム)及びO(酸素)を含み、かつ、In、Zn及びGaを原子比で下記式の範囲で含むことが好ましい。
0.45≦In/(In+Zn+Ga)≦0.70
0.10≦Zn/(In+Zn+Ga)≦0.50
0.00<Ga/(In+Zn+Ga)≦0.25
In/(In+Zn+Ga)が0.45以上であると高い移動度が期待でき、また、0.70以下であると絶対値の小さな閾値(Vth)が期待できる。
Zn/(In+Zn+Ga)が0.10以上であると安定した非晶質膜が得られることが期待でき、0.50以下であると、酸化物薄膜の耐湿性や耐薬品性の向上が期待できる。
Ga/(In+Zn+Ga)が0超であると成膜時の酸素分圧を低くできることが期待でき、0.25以下であると移動度の低下が抑制できる。
Inの割合(原子比)は、好ましくは、
0.50≦In/(In+Zn+Ga)≦0.65
であり、さらに好ましくは、
0.55≦In/(In+Zn+Ga)≦0.65
である。
Znの割合(原子比)は、好ましくは、
0.20≦Zn/(In+Zn+Ga)≦0.45
であり、さらに好ましくは、
0.25≦Zn/(In+Zn+Ga)≦0.40
である。
Gaの割合(原子比)は、好ましくは、
0.08≦Ga/(In+Zn+Ga)≦0.20
であり、さらに好ましくは、
0.10≦Ga/(In+Zn+Ga)≦0.15
である。
スパッタリングターゲットを構成する酸化物焼結体に含まれる各元素の原子比は、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP−AES)により含有元素を定量分析して求めることができる。
具体的には、ICP−AESを用いた分析では、溶液試料をネブライザーで霧状にして、アルゴンプラズマ(約6000〜8000℃)に導入すると、試料中の元素は熱エネルギーを吸収して励起され、軌道電子が基底状態から高いエネルギー準位の軌道に移る。この軌道電子は10−7〜10−8秒程度で、より低いエネルギー準位の軌道に移る。この際にエネルギーの差を光として放射し発光する。この光は元素固有の波長(スペクトル線)を示すため、スペクトル線の有無により元素の存在を確認できる(定性分析)。
また、それぞれのスペクトル線の大きさ(発光強度)は試料中の原子数に比例するため、既知濃度の標準液と比較することで試料中における元素の濃度を求めることができる(定量分析)。
定性分析で含有されている元素を特定後、定量分析で含有量を求め、その結果から各元素の原子比を求める。
チャンネル層を構成する酸化物薄膜に含有される金属元素は、実質的にIn、Ga及びZnであることが好ましい。含有される金属元素が実質的に上記3種であることにより、可動イオンによる信頼性の低下の防止が期待できる。また、再現性を得るための管理が容易となる。ここで、「実質的に」とは、チャンネル層を構成する金属元素の95%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上が、特に好ましくは99.99%がIn、Ga及びZnで占められていることを意味する。
In、Ga及びZn以外に酸化物薄膜に含有されていてもよい金属元素としては、Sn、Ge、Si、Ti、Hf、Zr、Cu等が挙げられる。
<薄膜トランジスタの詳細>
基板
基板の材料については特に制限はなく、本技術分野で公知のものを使用できる。例えば、ケイ酸アルカリ系ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラス基板、シリコン基板、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等の高分子フィルム基材等が使用できる。
チャンネル層(半導体層ともいう)
本発明において、半導体層は非晶質膜であることが好ましい。非晶質膜であることにより、絶縁膜や保護層との密着性が改善でき、大面積でも均一なトランジスタ特性が容易に得られることとなる。ここで、半導体層が非晶質膜であるか否かは、X線結晶構造解析により確認できる。明確なピークが観測されない場合が非晶質である。
チャンネル長(L)は、1〜50μmが好ましく、3〜40μmがさらに好ましく、5〜25μmが特に好ましい。50μm以上であると、トランジスタのサイズが大きくなりすぎ集積度が下がるおそれがある。1μm以下であるとフォトリソグラフィに高い精度が必要となり、大面積ディスプレイ等での採用が難しくなるおそれがある。
チャンネル幅(W)は、1〜500μmが好ましく、3〜100μmがさらに好ましく、5〜50μmが特に好ましい。500μm以上であると、トランジスタが大きくなりすぎ集積度が下がるおそれがある。1μm以下であるとフォトリソグラフィに高い精度が必要となり、大面積ディスプレイ等での採用が難しくなるおそれがある。
チャンネル層(半導体層)の保護層
本発明の電界効果型トランジスタは、チャンネル層(半導体層)の保護層を有していてもよい。
チャンネル層(半導体層)の保護層を形成する材料は特に制限はない。本発明の効果を失わない範囲で一般に用いられているものを任意に選択できる。例えば、SiO,SiN,Al,Ta,TiO,MgO,ZrO,CeO,KO,LiO,NaO,RbO,Sc,Y,Hf,CaHfO,PbTi,BaTa,SrTiO又はAlN等の酸化物を用いることができる。これらのなかでも、SiO,SiN,Al,Y,Hf又はCaHfOを用いるのが好ましく、より好ましくはSiO,SiN,Y,Hf又はCaHfOであり、特に好ましくはSiO,Y,Hf又はCaHfOである。これらの酸化物の酸素数は、必ずしも化学量論比と一致していなくともよい(例えば、SiOでもSiOでもよい)。また、SiNは水素元素を含んでいてもよい。
このような保護膜は、異なる2層以上の絶縁膜を積層した構造でもよい。
ゲート絶縁膜
本発明の電界効果型トランジスタのゲート絶縁膜を構成する材料等については前述した通りである。
電極
ゲート電極、ソ−ス電極及びドレイン電極の各電極を形成する材料に特に制限はなく、本発明の効果を失わない範囲で一般に用いられているものを任意に選択することができる。
例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物、ZnO、SnO等の透明電極や、Al,Ag,Cr,Ni,Mo,Au,Ti,Ta、Cu等の金属電極、又はこれらを含む合金の金属電極を用いることができる。
薄膜トランジスタ(電界効果型トランジスタ)の製造方法
電界効果型トランジスタの各構成部材(層)は、本技術分野で公知の手法で形成できる。
具体的には、成膜方法としては、スプレー法、ディップ法、CVD法等の化学的成膜方法、又はスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、パルスレーザーディポジション法等の物理的成膜方法を用いることができる。キャリア密度が制御し易く、膜質向上が容易であることから、物理的成膜方法を用いることが好ましく、中でも、生産性が高いことからスパッタ法を用いることがより好ましい。
形成した膜は、各種エッチング法によりパターニングできる。
本発明の電界効果型トランジスタのチャンネル層(半導体層)は、所定の材料から構成されたターゲットを用い、DC又はACスパッタリングにより成膜することによって形成する。DC又はACスパッタリングを用いることにより、RFスパッタリングの場合と比べて、成膜時のダメージを低減できる。このため、電界効果型トランジスタとしたときに、移動度の向上等の効果が期待できる。
また、基板上にチャンネル層(半導体層)とチャンネル層(半導体層)の保護層を形成した後に、70〜350℃で熱処理する。70℃より低いと得られるトランジスタの熱安定性や耐熱性が低下したり、移動度が低くなったり、S値が大きくなったり、閾値電圧が高くなるおそれがある。一方、350℃より高いと耐熱性のない基板は使用できず、また、熱処理用の設備費用がかかるおそれがある。
熱処理は、不活性ガス中で酸素分圧が10−3Pa以下の環境下で行うか、あるいはチャンネル層(半導体層)を保護層で覆った後に行うことが好ましい。上記条件下であると再現性が向上する。
<ターゲットの詳細>
原料
原料粉の比表面積は、2〜16m/gが好ましい。また、原料粉のメジアン径は0.1〜3μmが好ましい。各原料粉の純度は、通常99.9%(3N)以上、好ましくは99.99%(4N)以上、さらに好ましくは99.995%以上、特に好ましくは99.999%(5N)以上である。各原料粉の純度が99.9%(3N)未満であると、不純物により半導体特性が低下したり、色むらや斑点等の外観上の不良が発生したり、信頼性が低下する等のおそれがある。
In−Zn酸化物、In−Ga酸化物、Ga−Zn酸化物等の複合酸化物を原料としてもよい。特にIn−Zn酸化物、あるいはGa−Zn酸化物を用いるとZnの昇華を抑制することができるため好ましい。
混合・成形
上記混合粉体を、例えば、湿式媒体撹拌ミルを使用して混合粉砕する。このとき、粉砕後の比表面積が原料混合粉体の比表面積より1.0〜3.0m/g増加する程度か、又は粉砕後の原料混合粉体の平均メジアン径が0.6〜1μmとなる程度に粉砕することが好ましい。このように調整した原料粉を使用することにより、仮焼工程を全く必要とせずに、高密度の酸化物焼結体を得ることができる。また、還元工程も不要となる。尚、原料混合粉体の比表面積の増加分が1.0m/g未満又は粉砕後の原料混合粉の平均メジアン径が1μmを超えると、焼結密度が十分に大きくならない場合がある。一方、原料混合粉体の比表面積の増加分が3.0m/gを超える場合又は粉砕後の平均メジアン径が0.6μm未満であると、粉砕時の粉砕器機等からのコンタミ(不純物混入量)が増加する場合がある。ここで、各粉体の比表面積はBET法で測定した値である。各粉体の粒度分布のメジアン径は、粒度分布計で測定した値である。これらの値は、粉体を乾式粉砕法、湿式粉砕法等により粉砕することにより調整できる。粉砕工程後の原料混合粉体をスプレードライヤ等で乾燥した後、成形する。成形は公知の方法、例えば、加圧成形、冷間静水圧加圧が採用できる。
成形前に仮焼を行う場合は、原料混合粉体を電気炉等にて、大気雰囲気中や酸素雰囲気で、800〜1050℃で、1〜24時間程度保持し、仮焼粉をアトライターにジルコニアビーズと共に投入し、回転数50〜1000rpm、回転時間1〜10時間微粉砕を行うことが好ましい。微粉砕された原料粉の粒径は、平均粒径(D50)で0.1〜0.7μmが好ましく、0.2〜0.6μmがより好ましく、0.3〜0.55μm以下が特に好ましい。
仮焼した場合も、成形は公知の方法、例えば、加圧成形、冷間静水圧加圧が採用できる。
焼結
次いで、得られた成形物を焼結して焼結体を得る。焼結は、通常1100〜1450℃で1〜100時間焼行う。焼結は、1160〜1380℃で1〜80時間焼結することが好ましく、1200〜1350℃で2〜50時間焼結することが特に好ましい。1100℃以上であれば相対密度が向上し抵抗率が下がりやすい。1450℃以下であれば亜鉛の蒸散を防ぐことが容易で、焼結体の組成が変化したり、蒸散により焼結体中にボイド(空隙)が発生したりする危険性が少ない。また、炉が傷む危険性も少なくなる。また、焼結時間が1時間以上であれば焼結不足によるばらつきが防止でき、100時間以下であれば反りや変形が防止できる。
また、焼結は酸素存在下が好ましく、炉内に酸素を流通させることにより酸素雰囲気中で焼結するか、加圧下にて焼結するのがより好ましい。これにより亜鉛の蒸散を抑えることができ、ボイド(空隙)のない焼結体が得られる。このようにして製造した焼結体は、密度が高いため、使用時におけるノジュールやパーティクルの発生が少ないことから、膜特性に優れた酸化物半導体膜を作製することができる。
ターゲット
上記のようにして得られた酸化物焼結体は、研磨等の加工を施すことによりターゲットとなる。具体的には、焼結体を、例えば、平面研削盤で研削して表面粗さRaを5μm以下とする。さらに、ターゲットのスパッタ面に鏡面加工を施して、平均表面粗さRaが1000オングストローム以下としてもよい。この鏡面加工(研磨)は機械的な研磨、化学研磨、メカノケミカル研磨(機械的な研磨と化学研磨の併用)等の、すでに知られている研磨技術を用いることができる。例えば、固定砥粒ポリッシャー(ポリッシュ液:水)で#2000以上にポリッシングしたり、又は遊離砥粒ラップ(研磨材:SiCペースト等)にてラッピング後、研磨材をダイヤモンドペーストに換えてラッピングすることによって得ることができる。このような研磨方法には特に制限はない。
得られたターゲットは、バッキングプレートへボンディングすることにより、各種成膜装置に装着して使用できる。
尚、ターゲットの清浄処理には、エアーブローや流水洗浄等を使用できる。エアーブローで異物を除去する際には、ノズルの向い側から集塵機で吸気を行なうとより有効に除去できる。
エアーブローや流水洗浄の他に、超音波洗浄等を行なうこともできる。超音波洗浄では、周波数25〜300KHzの間で多重発振させて行なう方法が有効である。例えば周波数25〜300KHzの間で、25KHz刻みに12種類の周波数を多重発振させて超音波洗浄を行なうのがよい。
還元工程
還元工程は、上記焼成工程で得られた焼結体の抵抗率をターゲット全体として均一化するために還元処理を行う、必要に応じて設けられる工程である。本工程で適用することができる還元方法としては、例えば、還元性ガスによる方法や真空焼成又は不活性ガスによる還元等が挙げられる。還元性ガスによる還元処理の場合、水素、メタン、一酸化炭素や、これらのガスと酸素との混合ガス等を用いることができる。不活性ガス中での焼成による還元処理の場合、窒素、アルゴンや、これらのガスと酸素との混合ガス等を用いることができる。尚、還元処理時の温度は、通常100〜800℃、好ましくは200〜800℃である。また、還元処理の時間は、通常0.01〜10時間、好ましくは0.05〜5時間である。
[実施例A−1]
[ターゲットの作製及び評価]
比表面積15m/gのIn粉、比表面積14m/gのGa粉、及び比表面積4m/gのZnO粉末を配合し、ボールミルにて各原料粉末の粒度が1μm以下になるまで混合、粉砕を行った。こうして作製したスラリーを取り出して、スラリー供給速度140mL/min、熱風温度140℃、熱風量8Nm/minの条件で、スプレードライヤを用いて急速乾燥造粒し、造粒物を冷間静水圧プレスにて3ton/cmの圧力で成形し、成形体を得た。
次に、この成形体を大気中にて、600℃までは0.5℃/minの速度で昇温し、酸素ガスを10L/minの流速で導入しながら、600〜800℃までは1℃/minの速度で、さらに800〜1400℃の温度範囲では3℃/minの速度で昇温した。その後、1400℃にて20時間保持し、焼結体を得た。
得られた焼結体を高周波誘導結合プラズマ(ICP)で分析し組成が酸素を除く原子比でIn:Ga:Zn=50:15:35であることを確認した。
この焼結体からターゲット用焼結体を切り出した。ターゲット用焼結体の側辺をダイヤモンドカッターで切断して、表面を平面研削盤で研削して表面粗さRa5μm以下のターゲット素材とした。次に、表面をエアーブローし、さらに周波数25〜300kHzの間で25kHz刻みに12種類の周波数を多重発振させて3分間超音波洗浄を行なった。この後、ターゲット素材をインジウム半田にて無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングしてターゲットとした。ターゲットの表面粗さ(Ra)は、Ra≦0.5μmであり、方向性のない研削面を備えていた。
[薄膜作製と評価]
ガラス基板(コーニング1737)上に、上記で製造したターゲットを使用して、膜厚15nmのチャンネル層(半導体層)に相当する膜を形成し評価した。
スパッタ条件は、基板温度;50℃、到達圧力;1×10−6Pa、雰囲気ガス;Ar90%及び酸素10%、スパッタ圧力(全圧);4×10−1Pa、投入電力;100W、S−T距離;100mmとした。
得られた薄膜をICP法で分析した。Inの割合(原子比〔In/(In+Ga+Zn)〕)が0.55、Gaの割合(原子比〔Ga/(In+Ga+Zn)〕)が0.15、及びZnの割合(原子比〔Zn/(In+Ga+Zn)〕)が0.30であった。
上記薄膜に対し、大気下、280℃で1時間の熱処理を2回行った。
得られた膜は、X線回折測定(XRD)により、ハローパターンが観測され、明確なピークは確認できなかったため、非晶質であると判断した。また、ホール効果測定により、キャリア密度は5×1018cm−3であり、移動度は20cm/Vsであった。ホール効果測定による移動度の77〜300Kまでの温度依存性から縮退半導体と判断した。
尚、X線回折測定(XRD)、ホール測定の測定条件は下記の通りである。結果は表1−1に示す。
[X線回折測定(XRD)]
・装置:(株)リガク製Ultima−III
・X線:Cu−Kα線(波長1.5406Å、グラファイトモノクロメータにて単色化)
・2θ−θ反射法、連続スキャン(1.0°/分)
・サンプリング間隔:0.02°
・スリット DS、SS:2/3°、RS:0.6mm
[電子キャリア密度とホール移動度(cm/Vs)の測定]
東陽テクニカ製:Resi Test8310(ホール測定装置)
・測定条件
室温(25℃)
0.5[T]
10−4〜10−12
AC磁場ホール測定
[膜厚]
膜厚計:(株)小坂研究所 ET3000
[比誘電率]
誘電率測定装置:アジレント・テクノロジー社製E4980A型LCRメータ
[TFTの作製・評価]
図1及び図2に示すボトムゲート構造の電界効果型トランジスタを作製した。
スパッタリングターゲットを、スパッタ法の一つであるRFマグネトロンスパッタリング法の成膜装置に装着し、熱酸化膜(100nm)付シリコン基板上に、膜厚が15nmのチャンネル層(半導体層)を成膜した。スパッタ条件は、上述の薄膜作製と同様とした。フォトリソグラフィにより半導体領域(いわゆる島)を構成した。
次に、半導体付き基板を、大気下280℃で1時間熱処理した。
リフトオフのために、フォトレジスト材料を塗布しフォトレジスト膜を形成後、ソース電極及びドレイン電極となる金属薄膜を成膜した。金属薄膜は、DCスパッタリングでTi/Au/Tiの順に積層して成膜した。成膜後リフトオフでパターニングしてソース電極、ドレイン電極を形成した。
その後、金属薄膜付き基板を、再度大気下280℃で1時間熱処理して、W=20μm、L=20μmのSi基板をゲート電極としたボトムゲート構造の電界効果型トランジスタを製造した。
得られた電界効果型トランジスタについて、下記の評価を行った。結果は表1−1に示す。
(1)電界効果移動度(μ)、オンオフ比、オフ電流、S値、閾値電圧(Vth)
半導体パラメーターアナライザー(ケースレー4200)を用い、大気圧の乾燥窒素雰囲気下、室温、遮光環境下で測定した。
(2)ヒステリシス
半導体パラメーターアナライザーを用い、昇電圧時の伝達曲線(I−V特性)と降電圧時の伝達曲線(I−V特性)を測定し、昇降時の電圧の差をΔVgとする。ΔVgの最大値が0.5V以下であるものを「少ない」、0.5Vを超え3V未満であるものを「ある」、3V以上であるものを「大きい」とした。
尚、図4は、昇電圧時及び降電圧時の伝達曲線(I−V特性)の例であり、(a)はヒステリシスの少ない例であり、(b)はヒステリシスの大きい例を示す。
(3)閾値電圧のシフト(ストレス試験)
ストレス条件は、ゲート電圧20Vで10μAの直流電圧を50℃で10秒加えることとした。ストレスをかける前後のVthを比較し、閾値電圧のシフト量(ΔVth)を測定した。
(4)耐湿性
湿度85%環境下に120時間放置し、閾値電圧のシフトを下記基準に従って評価した。
A:変化量が0.5V未満
B:変化量が0.5V以上2V未満
C:変化量が2V以上5V未満
D:変化量が5V以上
実施例A−〜A−10、参考例A−2及び比較例1〜5
ターゲット原子比、成膜条件、成膜方法及びTFT作製プロセスを表1−1〜1−3に示すように変更した以外は実施例A−1と同様に薄膜作製及びTFT作製を行い、実施例A−1と同様に特性評価を行った。得られた結果を表1−1〜1−3に示す。
表1−1〜1−3の結果から、電子キャリア密度n(cm−3)が1018<n<1020で、膜厚t(nm)が1≦t<30の酸化物薄膜をチャンネル層(半導体層)とする電界効果型トランジスタが高い電界効果移動度及び高いTFT信頼性を示すことが確認できた。
また、チャンネル層(半導体層)の電子キャリア密度n(cm−3)を、安定して1018<n<1020の範囲内とするには、
0.45≦In/(In+Zn+Ga)≦0.70
0.10≦Zn/(In+Zn+Ga)≦0.50
0.00<Ga/(In+Zn+Ga)≦0.25
とすることが効果的であることも確認できた。
[実施例B−1]
図1及び図2に示すボトムゲート構造の電界効果型トランジスタを作製した。
表1−2に示すターゲット原子を有するスパッタリングターゲットを、スパッタ法の一つであるRFマグネトロンスパッタリング法の成膜装置に装着し、熱酸化膜(100nm)付シリコン基板上に、半導体層(膜厚15nm)を成膜した。成膜は、表1−2に示すスパッタ条件で行った。フォトリソグラフィにより半導体領域(いわゆる島)を構成した。
次に、大気下280℃で1時間熱処理した。
リフトオフのために、フォトレジストを塗布しレジスト膜を形成後、ソース電極及びドレイン電極となる薄膜を成膜した。薄膜は、DCスパッタリングでTi/Au/Tiの積層膜を成膜した。成膜後リフトオフでパターニングしてソース電極、ドレイン電極を形成した。
その後、再度大気下280℃で1時間熱処理して、W=20μm、L=20μmのSi基板をゲート電極としたボトムゲート構造電界効果型トランジスタを製造した。
次に、プラズマ化学気相成長装置(PECVD)にてSiO、SiNの順に成膜し、第一の保護層、第二の保護層を形成した。コンタクトホールを形成し、外部配線と接続した。
その後、大気下、280℃で1時間熱処理して、W=20μm、L=20μmのボトムゲート構造電界効果型トランジスタを製造した。
得られたボトムゲート構造電界効果型トランジスタについて、実施例A−1と同様に特性評価を行った。得られた結果を表1−2に示す。
[実施例C−1]
図3に示すボトムゲート構造のエッチストッパー(ES)型の電界効果型トランジスタを作製した。
ガラス基板上に、室温のRFスパッタリングでモリブデン金属を200nm積層した後、ドライエッチングでパターニングし、ゲート電極を作製した。ゲート電極は、エッチング後に順テーパとなっていた。
次に、ゲート電極を作製した基板に、プラズマ化学気相成長装置(PECVD)にて、SiN、SiOの順に成膜し、積層膜をゲート絶縁膜とした。
次に、スパッタリングターゲットを、スパッタ法の一つであるRFマグネトロンスパッタリング法の成膜装置に装着し、ゲート絶縁膜上にチャンネル層(半導体層)(膜厚15nm)を成膜した。スパッタ条件は、表1−2に示す通りであった。
次に、280℃で1時間熱処理した。
次に、PECVDにてSiOを成膜し、薄膜を形成した。続けて、レジスト膜を成膜し、パターニングした。ドライエッチ(RIE)で薄膜をパターニングして第一の保護層(エッチストッパー層)を形成した。
リフトオフのために、フォトレジストを塗布し、レジスト膜を形成後、ソース電極及びドレイン電極となる金属薄膜を成膜した。金属薄膜は、DCスパッタリングでTi/Au/Tiの順に積層した。成膜後リフトオフでパターニングしてソース電極、ドレイン電極を形成した。
さらに、プラズマ化学気相成長装置(PECVD)にてSiOを成膜し、第一の保護層とした。次いで、プラズマ化学気相成長装置(PECVD SiN:H)にてSiNを成膜し第二の保護層とした。コンタクトホールを形成し、外部配線と接続した。
その後、大気下、280℃で1時間熱処理して、W=20μm、L=20μmのボトムゲート構造エッチストッパー型電界効果型トランジスタを製造した。
得られたボトムゲート構造エッチストッパー型電界効果型トランジスタについて、実施例A−1と同様に特性評価を行った。得られた結果を表1−2に示す。
[膜厚依存性の確認]
膜厚の違いによる効果を示すため、下記に示す条件以外は実施例A−2と同様にしてTFTを作製し評価した。
下記3種の膜組成からなるチャンネル層(半導体層)を有するTFTにおける電界効果移動度μの膜厚依存性(グラフ(A))、及び閾値電圧Vthの膜厚依存性(グラフ(B))を図5に示す。
A:In:Ga:Zn=40:40:20
B:In:Ga:Zn=50:15:35
C:In:Ga:Zn=83:0:17
図5の(A)及び(B)のグラフから、膜組成がIn:Ga:Zn=50:15:35の組成で、チャンネル層(半導体層)の膜厚が15nm付近の場合に、高い電界効果移動度μと絶対値が小さな閾値電圧(Vth)が両立していることが確認できる。
本発明の電界効果型トランジスタは、移動度が高く、信頼性が高く(ΔVthが小さく)、閾値電圧(Vth)の絶対値が小さいため、一般に、高速動作が必要な高周波増幅素子や集積回路用素子等に好適である。
本発明の電界効果型トランジスタは、半導体メモリ集積回路の単位電子素子、高周波信号増幅素子、液晶駆動用素子等として広く用いることができる。
本発明の電界効果型トランジスタは、ボトムゲート構造を採ることができるため、マスク枚数の削減等コストダウンが可能である。
1 チャンネルストッパー型薄膜トランジスタ
10 基板(Si基板)
11 熱酸化膜
12 ゲート電極
14 ゲート絶縁膜
16 チャンネル層(半導体層)
18a ソース電極
18b ドレイン電極
20 エッチングストッパー

Claims (2)

  1. 電子キャリア密度n(cm−3)が1018<n<1020であり、かつ、膜厚t(nm)が10≦t<30の酸化物薄膜からなるチャンネル層と、
    比誘電率が2〜9の誘電体材料からなるゲート絶縁膜と、
    を有し、
    前記酸化物薄膜が、アモルファス酸化物であり、In(インジウム)、Zn(亜鉛)、Ga(ガリウム)及びO(酸素)を含み、かつ、In、Zn及びGaを、原子比で下記式の範囲で含む電界効果型トランジスタ。
    0.45≦In/(In+Zn+Ga)≦0.70
    0.10≦Zn/(In+Zn+Ga)≦0.50
    0.00<Ga/(In+Zn+Ga)≦0.25
  2. 前記酸化物薄膜に含有される金属元素が、実質的にIn、Ga及びZnである請求項に記載の電界効果型トランジスタ。
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