したがって、がん細胞を選択的に標的とし、がん幹細胞を標的とし、STAT3を阻害するための化合物および薬学的組成物、ならびに臨床適用のためのこれらの化合物および薬学的組成物を調製する方法を発見することが求められている。
本明細書において引用した参照文献は、特許請求された本発明に対する先行技術であると認められない。
要旨
本発明は、ナフトフラン化合物、ナフトフラン化合物の多形、1種以上のナフトフラン化合物を含有する精製された組成物、および粒子の形態のナフトフラン化合物を提供する。これらのナフトフラン化合物(粒子の形態のものを含めた)、多形、および精製された組成物は、がん幹細胞およびSTAT3の選択的阻害剤である。WO2009/036099およびWO2009/036101は、ナフトフラン化合物ががん幹細胞を標的とすることを開示している。ナフトフラン化合物はまた、STAT3を阻害することによって非幹がん細胞を阻害する。これらの化合物は、特定の曝露条件下で正常細胞への損傷をもたらすことなく多くの異なるタイプのがん細胞を死滅させることができる。したがって、これらの化合物は、がん処置、特に、難治性、再発性、転移性がん、またはSTAT3を発現しているがんの処置および予防のために使用することができる。これらの刊行物はまた、ナフトフラン化合物、その誘導体、および中間体、ならびに関連する化合物の薬学的組成物を調製するためのプロセスを記載する。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
図2に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形。
(項目2)
少なくとも約10.2°の2θ、約11.9°の2θ、約14.1°の2θ、約14.5°の2θ、約17.3°の2θ、約22.2°の2θ、および約28.1°の2θにおけるピークからなる群からの1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形。
(項目3)
図3に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形。
(項目4)
少なくとも約7.5°の2θ、約9.9°の2θ、約12.3°の2θ、約15°の2θ、約23°の2θ、約23.3°の2θ、約24.6°の2θ、および約28.4°の2θにおけるピークからなる群から選択される1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形。
(項目5)
少なくとも約10.2°の2θにおけるピーク、少なくとも約11.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.1°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約17.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約22.2°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.1°の2θにおけるピーク、ならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である、項目2に記載の多形。
(項目6)
少なくとも約7.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約9.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約12.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約15°の2θにおけるピーク、少なくとも約23°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約24.6°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.4°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である、項目4に記載の多形。
(項目7)
粒子の形態であり、該粒子が、約0.02〜約20マイクロメートルの範囲の直径を有する、項目1から6のいずれか一項に記載の2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形。
(項目8)
多形の粒子の集団を含む薬学的組成物中に存在し、該粒子の累計の一部が、0.2μm〜20μmの範囲の直径を有する、項目1から6のいずれか一項に記載の2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形。
(項目9)
前記一部が、前記粒子の累計の少なくとも約1%、約5%、約10%、約20%、約50%、または約90%である、項目8に記載の薬学的組成物。
(項目10)
前記多形の粒子の集団を含む薬学的組成物中に存在し、該粒子の累計の50%(D50)が、約2μmの直径を有する、項目1から6のいずれか一項に記載の2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形。
(項目11)
項目1から9のいずれか一項に記載の2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形の精製した形態を含み、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、核磁気共鳴(NMR)、またはHPLCおよびNMRの両方によって決定すると95.0%以上の純度を有し、かつ5%以下の不純物を含む、組成物。
(項目12)
HPLC、NMR、またはHPLCおよびNMRの両方によって決定すると、99%以上の純度を有する、項目11に記載の組成物。
(項目13)
各々0.2%以下の単一の不純物を含む、項目11に記載の組成物。
(項目14)
前記不純物が、酢酸エチル(EtOAc)、トルエン、エタノール、メタノール、クロロホルム、およびCH 2 Cl 2 /ヘキサンからなる群から選択される残留溶媒を含む、項目11に記載の組成物。
(項目15)
化合物1
の精製した形態、その塩、溶媒和物、水和物、またはプロドラッグを含む組成物であって、
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、核磁気共鳴(NMR)、またはHPLCおよびNMRの両方によって決定すると95.0%以上の純度を有し、かつ5%以下の不純物を含む、組成物。
(項目16)
HPLC、NMR、またはHPLCおよびNMRの両方によって決定すると、99%以上の純度を有する、項目15に記載の組成物。
(項目17)
各々0.2%以下の単一の不純物を含む、項目15に記載の組成物。
(項目18)
前記不純物が、酢酸エチル(EtOAc)、トルエン、エタノール、メタノール、クロロホルム、およびCH 2 Cl 2 /ヘキサンからなる群から選択される残留溶媒を含む、項目15に記載の組成物。
(項目19)
粒子が、結晶状態の前記化合物を含む、項目15に記載の組成物。
(項目20)
薬学的組成物が、少なくとも2つの異なる多形状態の前記化合物を含む、項目15に記載の組成物。
(項目21)
アモルファス状態の前記化合物を含む、項目15に記載の薬学的組成物。
(項目22)
結晶状態の前記化合物およびアモルファス状態の該化合物を含む、項目15に記載の薬学的組成物。
(項目23)
化合物が、粒子の形態であり、該粒子が、約20マイクロメートル以下の直径を有する、下記に示す構造を有する化合物、その塩、溶媒和物、水和物、またはプロドラッグ。
(項目24)
前記粒子の累計の一部が、0.2μm〜20μmの範囲の直径を有する、項目23に記載の化合物の粒子の集団を含む薬学的組成物。
(項目25)
前記粒子の累計の50%(D50)が、約2μmの直径を有する、項目23に記載の化合物の粒子の集団を含む薬学的組成物。
(項目26)
前記粒子が、結晶状態、アモルファス状態または少なくとも2つの異なる多形状態の前記化合物を含む、項目24または項目25に記載の薬学的組成物。
(項目27)
前記粒子が、結晶状態の前記化合物およびアモルファス状態の該化合物を含む、項目24または項目25に記載の薬学的組成物。
(項目28)
薬学的に許容される添加剤をさらに含む、項目24または項目2523に記載の薬学的組成物。
(項目29)
(a)3−ブテン−2−オンとBr 2 とを反応させ、3,4−ジブロモブテン−2−オンを形成させる工程と、
(b)3,4−ジブロモブテン−2−オンを脱臭素化し、3−ブロモブテン−2−オンを形成させる工程と、
(c)3−ブロモブテン−2−オンと2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンとを反応させ、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形を形成させる工程と、
(d)該多形を結晶化させ、図2に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形を生じさせる工程と
を含む、図2に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形を調製するプロセス。
(項目30)
(a)3−ブテン−2−オンとBr 2 とを反応させ、3,4−ジブロモブテン−2−オンを形成させる工程と、
(b)3,4−ジブロモブテン−2−オンを脱臭素化し、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンを形成させる工程と、
(c)3−ブロモ−3−ブテン−2−オンと2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンとを反応させ、2−アセチル−2,3−ジヒドロプナフト[2,3−n]フラン−4,9−ジオンを形成させる工程と、
(d)2−アセチル−2,3−ジヒドロプナフト[2,3−n]フラン−4,9−ジオンとMnO 2 およびトルエンとを反応させ、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを形成させる工程と、
(e)該2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを結晶化させる工程と、
(f)2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを酢酸エチルにスラリー化し、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形を形成させる工程と
を含む、図3に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形を調製するプロセス。
(項目31)
ヒト被験体においてがんを処置する方法であって、それを必要とするヒト被験体に、治療有効量の項目1から6、15または23のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩を投与する工程を含む、方法。
(項目32)
前記がんが、結腸直腸腺癌、乳がん、卵巣がん、頭頸部がん、黒色腫、血管肉腫、胃腺癌、およびアドレノコルチコイドからなる群から選択される、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記がんが、結腸直腸腺癌である、項目31に記載の方法。
(項目34)
前記がんが、卵巣がんである、項目31に記載の方法。
(項目35)
前記がんが、乳がんである、項目31に記載の方法。
(項目36)
前記がんが、肺がんである、項目31に記載の方法。
(項目37)
前記がんが、難治性がんである、項目31に記載の方法。
(項目38)
前記がんが、再発性がんである、項目31に記載の方法。
(項目39)
前記がんが、転移性がんである、項目31に記載の方法。
(項目40)
前記がんが、STAT3の過剰発現と関連する、項目31に記載の方法。
(項目41)
がん患者において無増悪生存期間(PFS)を延長させる方法であって、それを必要とするヒト被験体に、治療有効量の項目1から6、15または23のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩を投与する工程を含む、方法。
(項目42)
前記がんが、結腸直腸腺癌、乳がん、卵巣がん、頭頸部がん、黒色腫、血管肉腫、胃腺癌、およびアドレノコルチコイドからなる群から選択される、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記がんが、結腸直腸腺癌である、項目41に記載の方法。
(項目44)
前記がんが、卵巣がんである、項目41に記載の方法。
(項目45)
前記がんが、乳がんである、項目41に記載の方法。
(項目46)
前記がんが、肺がんである、項目41に記載の方法。
(項目47)
前記がんが、難治性がんである、項目41に記載の方法。
(項目48)
前記がんが、再発性がんである、項目41に記載の方法。
(項目49)
前記がんが、転移性がんである、項目41に記載の方法。
(項目50)
前記がんが、STAT3の過剰発現と関連する、項目41に記載の方法。
本明細書に記載されているこれらのナフトフラン化合物(粒子の形態のものを含めた)、多形、および精製された組成物は、例えば、細胞増殖障害の症状を処置し、進行を遅延させ、再燃を予防し、または軽減することを含めて、種々の適応症において有用である。例えば、ナフトフラン化合物(粒子の形態のものを含めた)、多形、および精製された組成物は、がんを処置し、進行を遅延させ、再燃を予防し、症状を軽減し、または別の方法で改善するのに有用である。
いくつかの実施形態において、ナフトフラン化合物は、本明細書において「化合物1」と称される下記に示す化合物の多形である。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、図1に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。図1に示すX線粉末回折分析を、0.03°のステップサイズおよび3時間の計数時間で5°〜70°の範囲に亘って40KV/30mAでのCu照射を使用したPhilips PW1800回折計を使用して行った。分析は、下記の条件を使用して2〜45°2θで行った:発散スリット:0.6mm、散乱線除去スリット:0.6mm、受光スリット:0.1mm、検出器スリット:0.6mm、ステップサイズ:0.02°、ステップ時間:5秒。いくつかの実施形態において、多形は、図2に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、図3に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。図2および3に示したX線粉末回折分析は、Bruker D8 Advance回折計を使用して行った。分析は、下記の条件を使用して2〜45°2θで行った:発散スリット:0.6mm、散乱線除去スリット:0.6mm、受光スリット:0.1mm、検出器スリット:0.6mm、ステップサイズ:0.02°、ステップ時間:5秒。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.4、11.9、14.1、14.5、17.3、21.0、22.2、24.0、26.0、および28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.9、14.1、14.5、17.3、22.2、および/または28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約11.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約17.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約22.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおけるピーク、少なくとも約11.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.1°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約17.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約22.2°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.1°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、11.4、12.3、15.0、23.0、23.3、24.1、24.6、25.0、26.1、27.0、および28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、12.3、15、23.0、23.3、24.6、および/または28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約9.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約12.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約15°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約24.6°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.4°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約9.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約15°の2θにおけるピーク、少なくとも約12.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.0°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約24.6°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.4°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
本発明はまた、粒子の形態のナフトフラン化合物を提供する。例えば、粒子の形態のナフトフラン化合物は、活性であり、すなわち、効力および/または抗腫瘍活性をインビボで有する下記に示す式Iの化合物の粒子である。効果的な1つの粒子または複数の粒子は、粒径に関する定められた必要条件を有し、例えば、約200μm以下、約150μm以下、約100μm以下、約40μm以下、または約20μm以下、約10μm以下、約5μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、約1μm以下、約0.5μm以下、または約0.2μm以下の直径を有する。定められた粒径より大きな1つの粒子または複数の粒子は、不活性であるか、またはより活性が低い。
いくつかの実施形態において、粒子の形態のナフトフラン化合物は、式Iによる化合物、またはその塩もしくは溶媒和物の粒子であり、
式中、粒子は、約200μm以下の直径を有し、各(R1)は、水素、ハロゲン、フッ素、シアノ、ニトロ、CF3、OCF3、アルキル、メチル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ORa、SRa、およびNH2からなる群から独立に選択され、nは、4であり、R3は、水素、ハロゲン、フッ素、シアノ、CF3、OCF3、アルキル、メチル、置換アルキル、ハロゲン置換アルキル、ヒドロキシル置換アルキル、アミン置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ORa、SRa、およびNRbRcからなる群から選択され、Raは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環、置換複素環、アリール、および置換アリールからなる群から独立に選択され、RbおよびRcは、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、および置換アリールからなる群から独立に選択され、あるいはRbおよびRcは、それらが結合しているNと一緒になって、複素環または置換複素環を形成する。
いくつかの実施形態において、各(R1)は、水素、メチル、F(フッ素)、Cl、Br、I、OH、およびNH2からなる群から独立に選択され、R3は、メチルおよびC(R8)3からなる群から選択され、各(R8)は、水素、メチル、F(フッ素)、Cl、Br、I、OH、およびNH2からなる群から独立に選択される。いくつかの実施形態において、(R1)および(R8)の最大で2つは、F(フッ素)であり、残りは、水素である。いくつかの実施形態において、R3は、メチルである。さらなる実施形態において、化合物は、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、およびその塩または溶媒和物からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、粒子の形態のナフトフラン化合物は、化合物1の粒子である。
いくつかの実施形態において、粒子の形態のナフトフラン化合物は、化合物1の多形の粒子である。例えば、いくつかの実施形態において、多形は、図1に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、図2に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、図3に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.4、11.9、14.1、14.5、17.3、21.0、22.2、24.0、26.0、および28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.9、14.1、14.5、17.3、22.2、および/または28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約11.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約17.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約22.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおけるピーク、少なくとも約11.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.1°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約17.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約22.2°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.1°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、11.4、12.3、15.0、23.0、23.3、24.1、24.6、25.0、26.1、27.0、および28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、12.3、15、23.0、23.3、24.6、および/または28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約9.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約12.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約15°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約24.6°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.4°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約9.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約15°の2θにおけるピーク、少なくとも約12.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.0°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約24.6°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.4°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
いくつかの実施形態において、粒子は、約160μm以下、約150μm以下、約120μm以下、約100μm以下、約50μm以下、約40μm以下、または約20μm以下の直径を有する。さらなる実施形態において、粒子は、約10μm以下、約5μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、約1μm以下、約0.5μm以下、約0.2μm以下、または約0.1μm以下の直径を有する。
本発明は、活性な、すなわち、効力および/または抗腫瘍活性を有する、ナフトフラン化合物、例えば、式Iの化合物の1つの粒子または複数の粒子を提供する。活性のある1つの粒子または複数の粒子は特定の粒径を有し、例えば、約200μm以下、約150μm以下、約100μm以下、約40μm以下、または約20μm以下、約10μm以下、約5μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、約1μm以下、約0.5μm以下、約0.2μm以下、または約0.1μm以下の直径を有する。特定の粒径より大きい1つの粒子または複数の粒子は、不活性であるか、または本明細書に記載されている粒子より活性が低い。
本発明によるいくつかの実施形態において、薬学的組成物は、式Iによる化合物、例えば、ナフトフラン、またはその塩もしくは溶媒和物の粒子を含む。例えば、いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、化合物1の粒子を含む。例えば、いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、化合物1の多形の粒子を含む。例えば、いくつかの実施形態において、多形は、図1に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、図2に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、図3に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.4、11.9、14.1、14.5、17.3、21.0、22.2、24.0、26.0、および28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.9、14.1、14.5、17.3、22.2、および/または28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約11.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約17.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約22.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおけるピーク、少なくとも約11.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.1°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約17.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約22.2°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.1°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、11.4、12.3、15.0、23.0、23.3、24.1、24.6、25.0、26.1、27.0、および28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、12.3、15、23.0、23.3、24.6、および/または28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約9.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約12.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約15°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約24.6°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.4°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約9.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約15°の2θにおけるピーク、少なくとも約12.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.0°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約24.6°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.4°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
粒子の累計(cumulative total of the particles)の一部は、約200μm以下の直径を有することができる。いくつかの実施形態において、1セットの粒子の一部は、セット中の粒子の総数の少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、または少なくとも約30%でよい。いくつかの実施形態において、上記一部は、実質的な一部である。例えば、1セットの粒子の「実質的な一部」は、セット中の粒子の総数の少なくとも約99%、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約85%、少なくとも約80%、少なくとも約75%、少なくとも約70%、少なくとも約60%、または少なくとも約50%でよい。各(R1)は、水素、ハロゲン、フッ素、シアノ、ニトロ、CF3、OCF3、アルキル、メチル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ORa、SRa、およびNH2からなる群から独立に選択することができる。nは、正の整数でよく、例えば、nは、4でよい。R3は、水素、ハロゲン、フッ素、シアノ、CF3、OCF3、アルキル、メチル、置換アルキル、ハロゲン置換アルキル、ヒドロキシル置換アルキル、アミン置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ORa、SRa、およびNRbRcからなる群から選択することができる。Raは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環、置換複素環、アリール、および置換アリールからなる群から独立に選択することができる。RbおよびRcは、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、および置換アリールからなる群から独立に選択することができ、あるいはRbおよびRcは、それらが結合しているNと一緒になって、複素環または置換複素環を形成する。
本発明によるいくつかの実施形態において、各(R1)は、水素、メチル、F(フッ素)、Cl、Br、I、OH、およびNH2からなる群から独立に選択することができる。R3は、メチルおよびC(R8)3からなる群から選択することができる。各(R8)は、水素、メチル、F(フッ素)、Cl、Br、I、OH、およびNH2からなる群から独立に選択することができる。いくつかの実施形態において、(R1)およびR8の最大で2つはF(フッ素)であり、残りは水素でよい。
本発明によるいくつかの実施形態において、式Iによる化合物は、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、式Iによる化合物は、化合物1である。いくつかの実施形態において、式Iによる化合物は、化合物1の多形である。例えば、いくつかの実施形態において、多形は、図1に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、図2に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、図3に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.4、11.9、14.1、14.5、17.3、21.0、22.2、24.0、26.0、および28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.9、14.1、14.5、17.3、22.2、および/または28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約11.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約17.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約22.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおけるピーク、少なくとも約11.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.1°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約17.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約22.2°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.1°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、11.4、12.3、15.0、23.0、23.3、24.1、24.6、25.0、26.1、27.0、および28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、12.3、15、23.0、23.3、24.6、および/または28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約9.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約12.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約15°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約24.6°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.4°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約9.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約15°の2θにおけるピーク、少なくとも約12.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.0°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約24.6°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.4°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
例えば、薬学的組成物は、約160μm以下、約100μm以下、約40μm以下、約20μm以下、約10μm以下、約5μm以下、約3μm以下、または約2μm以下の粒径を有する粒子の累計の少なくとも約90%を有することができる。例えば、薬学的組成物は、約160μm以下、約100μm以下、約40μm以下、約20μm以下、約10μm以下、約5μm以下、約3μm以下、約2μm以下、約1μm以下、または約0.5μm以下の粒径を有する粒子の累計の少なくとも約50%を有することができる。例えば、薬学的組成物は、約160μm以下、約100μm以下、約40μm以下、約20μm以下、約5μm以下、約2μm以下、約1μm以下、約0.5μm以下、または約0.1μm以下の粒径を有する粒子の累計の少なくとも約10%を有することができる。薬学的組成物において、粒子は、例えば、約160μm以下、約40μm以下、約20μm以下、約10μm以下、約5μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、約1μm以下、約0.5μm以下、約0.3μm以下、または約0.2μm以下のメジアン直径を有することができる。例えば、粒子は、約0.2μm〜約50μmのメジアン直径、または約0.5μm〜約30μmのメジアン直径を有することができる。例えば、薬学的組成物は、最大で約2μmの、メジアン直径を超える平均直径の比を有する粒子の累計を有することができる。本薬学的発明は、結晶状態の、少なくとも2つの異なる多形状態の化合物を含む粒子を有することができる。
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、粒子の形態の式Iの化合物またはその多形を含み、1つの粒子または複数の粒子は、20ミクロン未満、10ミクロン未満、5ミクロン未満、2ミクロン未満、1ミクロン未満または0.5ミクロン未満である。
本発明は、式IIの実質的に純粋な化合物を提供し、
式中、各R1は、独立に、H、Cl、またはFであり、nは、0、1、2、3、または4である。いくつかの実施形態において、式IIの化合物は、粒子の形態である。
いくつかの実施形態において、実質的に純粋な化合物は、化合物1である。いくつかの実施形態において、化合物1は、粒子の形態である。
いくつかの実施形態において、実質的に純粋な化合物は、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、リン酸モノ−[1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニル]エステル、リン酸1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニルエステルジメチルエステル、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、およびその塩または溶媒和物からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、実質的に純粋な化合物は、化合物1の多形である。例えば、いくつかの実施形態において、多形は、図1に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、図2に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、図3に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.4、11.9、14.1、14.5、17.3、21.0、22.2、24.0、26.0、および28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.9、14.1、14.5、17.3、22.2、および/または28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約11.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約17.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約22.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおけるピーク、少なくとも約11.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.1°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約17.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約22.2°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.1°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、11.4、12.3、15.0、23.0、23.3、24.1、24.6、25.0、26.1、27.0、および28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、12.3、15、23.0、23.3、24.6、および/または28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約9.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約12.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約15°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約24.6°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.4°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約9.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約15°の2θにおけるピーク、少なくとも約12.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.0°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約24.6°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.4°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
いくつかの実施形態において、化合物1の多形は、粒子の形態である。
いくつかの実施形態において、化合物、生成物およびまたは薬学的組成物は、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%の純度を有する。いくつかの実施形態において、化合物、生成物およびまたは薬学的組成物は、少なくとも約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、または約99.5%の純度を有する。いくつかの実施形態において、化合物、生成物およびまたは薬学的組成物は、少なくとも約99.1%、約99.2%、約99.3%、約99.4%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%、または約99.9%の純度を有する。
いくつかの実施形態において、化合物、生成物およびまたは薬学的組成物は、最大で約10%、約5%、約1%、約0.15%、または約0.5%の不純物を有する。いくつかの実施形態において、化合物、生成物およびまたは薬学的組成物は、各々の単一の不純物について、最大で約0.5%、約0.2%、約0.15%、または約0.1%を含有する。さらなる実施形態において、不純物は、2−アセチル−2,3−ジヒドロナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2,6−ジアセチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2,7−ジアセチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、3−アセチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオール、および1−(4,9−ジヒドロキシ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−エタノンからなる群からの1つ以上である。
いくつかの実施形態において、不純物は、残留溶媒を含む。いくつかの実施形態において、溶媒は、酢酸エチル(EtOAc)、トルエン、エタノール、メタノール、クロロホルム、およびCH2Cl2/ヘキサンからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、純度は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で決定する。いくつかの実施形態において、純度は、NMR(核磁気共鳴)で決定する。さらなる実施形態において、純度は、HPLCおよびNMRの両方で決定する。
本発明はまた、粒子の形態の化合物1の多形(化合物は高度に精製した形態にある)、生成物および/または薬学的組成物を提供する。例えば、いくつかの実施形態において、多形は、図1に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、図2に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、図3に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.4、11.9、14.1、14.5、17.3、21.0、22.2、24.0、26.0、および28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.9、14.1、14.5、17.3、22.2、および/または28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約11.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約17.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約22.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおけるピーク、少なくとも約11.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.1°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約17.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約22.2°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.1°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、11.4、12.3、15.0、23.0、23.3、24.1、24.6、25.0、26.1、27.0、および28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、12.3、15、23.0、23.3、24.6、および/または28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約9.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約12.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約15°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約24.6°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.4°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約9.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約15°の2θにおけるピーク、少なくとも約12.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.0°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約24.6°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.4°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
化合物1の多形は、粒子の形態である。いくつかの実施形態において、化合物1の多形は、粒子の形態であり、粒子は、約160μm以下、約150μm以下、約120μm以下、約100μm以下、約50μm以下、約40μm以下、または約20μm以下の直径を有する。いくつかの実施形態において、粒子の形態の化合物1の多形は、粒子の集団中に存在し、粒子の集団は、約160μm以下、約150μm以下、約120μm以下、約100μm以下、約50μm以下、約40μm以下、または約20μm以下のD50(すなわち、分布を2つの等しい部分に分ける粒径分布のメジアンポイント)を有する。いくつかの実施形態において、化合物1の多形は、粒子の形態であり、粒子は、約10μm以下、約5μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、約1μm以下、約0.5μm以下、約0.2μm以下、または約0.1μm以下の直径を有する。いくつかの実施形態において、粒子の形態の化合物1の多形は、粒子の集団中に存在し、粒子の集団は、約10μm以下、約5μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、約1μm以下、約0.5μm以下、または約0.2μm以下のD50を有する。
本発明は、活性であり、すなわち、効力および/または抗腫瘍活性を有する、化合物1の多形の粒子または粒子の集団を提供する。活性のある1つの粒子または複数の粒子は特定の粒径を有し、例えば、約200μm以下、約150μm以下、約100μm以下、約40μm以下、または約20μm以下、約10μm以下、約5μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、約1μm以下、約0.5μm以下、または約0.2μm以下の直径またはD50を有する。特定の粒径より大きな1つの粒子または複数の粒子は、不活性であるか、または本明細書に記載されている粒子より活性が低い。
化合物1の多形の粒子の累計の一部は、約200μm以下の直径またはD50を有することができる。いくつかの実施形態において、1セットの粒子の一部は、セット中の粒子の総数の少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、または少なくとも約30%でよい。いくつかの実施形態において、上記一部は、実質的な一部である。例えば、1セットの粒子の「実質的な一部」は、セット中の粒子の総数の少なくとも約99%、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約85%、少なくとも約80%、少なくとも約75%、少なくとも約70%、少なくとも約60%、または少なくとも約50%でよい。
いくつかの実施形態において、化合物1の多形の粒子の集団は、約160μm以下、約100μm以下、約40μm以下、約20μm以下、約10μm以下、約5μm以下、約3μm以下、または約2μm以下、約1μm以下または約0.5μm以下の粒径を有する粒子の累計の少なくとも約90%を有することができる。例えば、化合物1の多形の粒子の集団は、約160μm以下、約100μm以下、約40μm以下、約20μm以下、約10μm以下、約5μm以下、約3μm以下、約2μm以下、約1μm以下、または約0.5μm以下の粒径を有する粒子の累計の少なくとも約50%を有することができる。例えば、化合物1の多形の粒子の集団は、約160μm以下、約100μm以下、約40μm以下、約20μm以下、約5μm以下、約2μm以下、約1μm以下、約0.5μm以下、または約0.1μm以下の粒径を有する粒子の累計の少なくとも約10%を有することができる。化合物1の多形の粒子の集団において、粒子は、例えば、約160μm以下、約40μm以下、約20μm以下、約10μm以下、約5μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、約1μm以下、約0.5μm以下または約0.2μm以下のメジアン直径を有することができる。例えば、粒子は、約0.002μm〜約50μmのメジアン直径、または約0.2μm〜約30μmのメジアン直径を有することができる。例えば、化合物1の多形の粒子の集団は、最大で約2の、メジアン直径を超える平均直径の比を有する粒子の累計を有することができる。化合物1の多形の粒子の集団は、結晶状態の、少なくとも2つの異なる多形状態の化合物を含む粒子を有することができる。
いくつかの実施形態において、化合物1の多形は、粒子の形態であり、粒子は、約20ミクロン以下、約10ミクロン以下、約5ミクロン以下、または約23ミクロン以下、約2ミクロン以下、約1ミクロン以下、約0.5ミクロン以下、約0.2ミクロン以下、または約0.1ミクロン以下の直径を有する。いくつかの実施形態において、粒子の形態の化合物1の多形は、粒子の集団中に存在し、粒子の集団は、約20ミクロン以下、約10ミクロン以下、約5ミクロン以下、約4ミクロン以下、約5ミクロン以下、約3ミクロン以下、約2ミクロン以下、約1ミクロン以下、約0.5ミクロン以下または約0.2ミクロン以下のD50を有する。
本発明はまた、治療有効量の実質的に純粋なナフトフラン化合物および薬学的に許容されるキャリア、添加剤(excipient)、または賦形剤(diluent)を含む薬学的組成物を提供する。添加剤には、例えば、脂肪酸のグリセロールエステル、飽和脂肪酸のグリセロールエステル、8〜18個の炭素を有する飽和脂肪酸のグリセロールエステル、ラウリン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、セルロース、微晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、ホスファチジルコリン、脂質、ステロール、コレステロール、界面活性剤、ポリソルベート、および/またはポリオキシエチレンソルビタンアルキレートを含むことができる。
本発明によるいくつかの実施形態において、製造のアイテムは、治療有効量の薬学的組成物および薬学的に許容される添加剤を含有する容器を含むことができる。
本発明のいくつかの実施形態による化合物、生成物および/または薬学的組成物を生成するための方法は、化合物を粉砕し、粒子を形成させることを含めてもよい。例えば、化合物は、ボールミル粉砕し、ロールミル粉砕し、ジェットミル粉砕し、湿式ミル粉砕し、超音波粉砕し、磨砕し、またはこれらおよび/もしくは他の粉砕手順の組合せで処理することができる。化合物の温度を低下させ、例えば、極低温に低下させ、粉砕することができる。このような温度の低下は、化合物をより脆性とし、粉砕による粒径の減少に対してより影響を受けやすくさせることができる。
本発明のいくつかの実施形態による化合物、生成物および/または薬学的組成物を生成するための方法は、結晶化を含むことができる。結晶化の間に得られる粒径分布(PSD)は、核生成、成長、凝集、摩擦、破損などの結晶化の間に起こる様々な機序の組合せによって影響される。粒径が結晶化の間に一貫して制御されず、所望の規格に合致することができないとき、乾式粉砕などの追加の処理工程を含めることができる。
新生物に苦しめられているヒト、哺乳動物、または動物被験体を処置し、進行を遅延させ、再燃を予防し、症状を軽減し、または別の方法で改善する本発明による方法は、抗新生物作用が起こるように、治療有効量の化合物、生成物および/または薬学的組成物を投与する工程を含むことができる。例えば、抗新生物作用は、抗がん活性でよい。例えば、抗新生物作用は、新生物の容積増加を遅延させること、新生物の容積増加を停止させること、または新生物の容積を減少させることを含むことができる。新生物には、固形腫瘍、悪性腫瘍、転移細胞、がん幹細胞を含むことができる。新生物には、癌腫、肉腫、腺癌、リンパ腫、または血液系悪性腫瘍を含むことができる。新生物は、化学療法、放射線療法、および/またはホルモン療法による処置に対して難治性であり得る。化合物、生成物および/または薬学的組成物を投与して、新生物の再燃を予防することができる。化合物、生成物および/または薬学的組成物は、外科的切除に対するアジュバント療法として投与することができる。化合物、生成物および/または薬学的組成物は、例えば、経口および/または静脈内に投与することができる。
本発明による方法はまた、疾患または障害に苦しめられているヒト、哺乳動物、または動物被験体においてその疾患または障害を処置し、進行を遅延させ、再燃を予防し、症状を軽減し、または別の方法で改善する工程を含む。いくつかの実施形態において、疾患または障害は、自己免疫疾患、炎症性疾患、炎症性腸疾患、関節炎、自己免疫性脱髄障害、アルツハイマー病、発作、虚血再灌流傷害および多発性硬化症からなる群から選択される。
種々の検査結果または臨床結果のいずれかが達成された場合、疾患または障害を患っている患者への化合物、生成物および/または薬学的組成物の投与は成功したと考えられる。例えば、疾患または障害と関連する症状の1つ以上が軽減され、減少し、阻害され、またはさらなる状態、すなわちさらに悪い状態に進行しない場合、投与は成功したと考えられる。障害、例えば、自己免疫障害が、寛解に入り、またはさらなる状態、すなわちさらに悪い状態に進行しない場合、投与は成功したと考えられる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物、生成物および/または薬学的組成物は、例えば、化学療法剤および他の抗新生物剤、抗炎症化合物および/または免疫抑制化合物を含めた種々の公知の治療剤のいずれかと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物、生成物および/または薬学的組成物は、種々の公知の処置(非限定的例によると、外科的処置および外科的方法、放射線療法、化学療法および/またはホルモンもしくは他の内分泌関連の処置を含めた)のいずれかと併せて有用である。
これらの「併用療法(co−therapy)」は、逐次的または同時に投与することができる。本明細書に記載されている化合物、生成物および/または薬学的組成物、ならびに第2の治療は、被験体、好ましくはヒト被験体に同じ薬学的組成物で投与することができる。代わりに、本明細書に記載されている化合物、生成物および/または薬学的組成物、ならびに第2の治療は、別々の薬学的組成物において、被験体に同時、別々または逐次的に投与することができる。本明細書に記載されている化合物、生成物および/または薬学的組成物、ならびに第2の治療は、同じまたは異なる投与経路によって被験体に投与し得る。いくつかの実施形態において、本発明の併用療法は、本明細書に記載されている有効量の化合物、生成物および/または薬学的組成物、ならびに本明細書に記載されている化合物、生成物および/または薬学的組成物と異なる作用機序を有する、有効量の少なくとも1種の他の治療(例えば、予防剤または治療剤)を含む。いくつかの実施形態において、本発明の併用療法は、一緒に機能して、相加効果または相乗効果を有することによって、本明細書に記載されている化合物、生成物および/または薬学的組成物の、ならびに第2の治療の、予防効果または治療効果を改善させる。特定の実施形態において、本発明の併用療法は、第2の治療(例えば、予防剤または治療剤)と関連する副作用を減少させる。
いくつかの実施形態において、疾患または障害は、以下のような化合物、生成物および/または薬学的組成物を投与することによって処置することができる。化合物の血液モル濃度は、少なくとも有効な期間と同じだけ長くおよび有害な期間より短い第1の連続した期間の間、少なくとも有効濃度でかつ有害な濃度未満でよい。血液モル濃度は、第1の連続した期間の後で、有効濃度未満でよい。例えば、有効濃度は、約0.1μM、約0.2μM、約0.5μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約10μM、または当業者によって有効であると決定された別の濃度でよい。例えば、有害な濃度は、約1μM、約3μM、約10μM、約15μM、約30μM、約100μM、または当業者によって有害であると決定された別の濃度でよい。例えば、有効な期間は、約1時間、2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約24時間、または当業者によって有効であると決定された別の期間でよい。例えば、有害な期間は、約12時間、約24時間、約48時間、約72時間、約144時間、または当業者によって有害であると決定された別の期間でよい。
いくつかの実施形態において、化合物、生成物および/または薬学的組成物の治療有効量は、腫瘍の細胞のIC50超および正常細胞のIC50未満の血中濃度を生じさせるように選ばれる。いくつかの実施形態において、治療有効量は、腫瘍の細胞を死滅させるのに十分に高く、および正常細胞のIC50未満の血中濃度を生じさせるように選ばれる。
いくつかの実施形態において、化合物、生成物および/または薬学的組成物を、剤形、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤(硬質もしくは軟質)、カプレット、散剤、顆粒剤、懸濁剤、液剤、ゲル剤、カシェ剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、水中油型乳剤、油中水型乳剤、および/または飲料で経口により投与する。
本発明によるいくつかの実施形態において、新生物性細胞の複製または拡散を減少または阻害するための組成物は、下記の方法によって選択された1セットの粒子を含む。式Iによる化合物、またはその塩もしくは溶媒和物を、提供することができる。
いくつかの実施形態において、化合物1、またはその塩もしくは溶媒和物を提供することができる。いくつかの実施形態において、化合物1の多形を提供することができる。例えば、いくつかの実施形態において、多形は、図1に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、図2に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、図3に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.4、11.9、14.1、14.5、17.3、21.0、22.2、24.0、26.0、および28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.9、14.1、14.5、17.3、22.2、および/または28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約11.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約17.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約22.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおけるピーク、少なくとも約11.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.1°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約17.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約22.2°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.1°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、11.4、12.3、15.0、23.0、23.3、24.1、24.6、25.0、26.1、27.0、および28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、12.3、15、23.0、23.3、24.6、および/または28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約9.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約12.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約15°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約24.6°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.4°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約9.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約15°の2θにおけるピーク、少なくとも約12.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.0°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約24.6°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.4°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
化合物を含む少なくとも1つのセットの粒子を調製することができる。各々の少なくとも1つのセットの粒子の粒径分布を決定することができる。少なくとも1つのセットの粒子を、新生物性細胞に、および正常細胞に、所定の濃度で所定の期間投与することができる。新生物性細胞および正常細胞の代謝および/または分裂に対する粒子の効果を観察することができる。有効性レーティングを、新生物性細胞に対する粒子の効果に基づいて、各セットの粒子に割り当てることができる。毒性レーティングを、正常細胞に対する粒子の効果に基づいて、各セットの粒子に割り当てることができる。第1の粒径分布を有する少なくとも1つのセットの粒子の有効性レーティングおよび/または毒性レーティングを、第1の粒径分布と異なる粒径分布を有する少なくとも1つの他のセットの粒子の有効性レーティングおよび/または毒性レーティングと比較することができる。少なくとも1つの他のセットの粒子より大きな有効性レーティング、より小さな毒性レーティング、ならびに/またはより大きな重み付けした有効性レーティング(weighted effectivity rating)および毒性レーティングの合計を有する1セットの粒子は、最適なセットとして選択することができる。例えば、最適なセットの粒子の粒径分布は、最適な粒径分布として同定することができる。例えば、最適なセットの粒子を、組成物中に含むことができる。例えば、有効性レーティングは、抗腫瘍活性に比例的でよい。例えば、有効性レーティングは、新生物性細胞の代謝および/または分裂の阻害に基づくことができる。例えば、毒性レーティングは、忍容性(tolerability)に対して反比例でもよい。例えば、毒性レーティングは、正常細胞の代謝および/または分裂の阻害の基づくことができる。例えば、少なくとも1つのセットの粒子は、新生物性細胞および正常細胞にインビトロで投与することができる。例えば、有効性レーティングは、新生物性細胞のIC50でよい。例えば、毒性レーティングは、正常細胞のIC50でよい。例えば、少なくとも1つのセットの粒子は、試験動物の新生物性細胞および正常細胞にインビボで投与することができる。試験動物は、例えば、哺乳動物、霊長類、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、またはイヌでよい。有効性レーティングは、新生物性細胞の容積の減少でよく、毒性レーティングは、試験動物の総量(mass)の減少でよい。
いくつかの実施形態において、化合物を含む1つのセットの粒子を調製する工程は、化合物を溶解および分散させ、化合物をマイクロ流体技術によって溶解および分散させ、化合物を空洞形成または噴霧によって溶解および分散させ、化合物を粉砕し、化合物をボールミル粉砕し、化合物をロールミル粉砕し、化合物をジェットミル粉砕し、化合物を湿式粉砕し、化合物を超音波粉砕し、化合物を磨砕し、そして/あるいは化合物をふるい分けることによって、所定の粒径分布の粒子を単離する工程を含むことができる。粒子は、薬学的に許容される添加剤に懸濁させることができる。粒径分布の決定には、ふるい分析、光学顕微鏡計数法、電子顕微鏡計数法、電気抵抗計数法、沈降時間、レーザー回折、音響分光法、および組合せからなる群から選択される技術の使用を含むことができる。
新生物または他の細胞増殖障害を処置する方法は、新生物に苦しめられているヒト、哺乳動物、または動物に、最適な粒径および分布を有する組成物の最適なセットの粒子を含む治療有効量の上記組成物を投与する工程を含むことができる。
本発明はまた、式IIの化合物を調製する方法を提供し
(式中、R1は、H、Cl、またはFである)、このプロセスは、塩基の存在下の間に式IIIの化合物と、
第1の溶媒中のケトンとを反応させ、熟成した反応混合物から粗生成物を結晶化させ、粗生成物と第2の溶媒中の酸化剤とを反応させるプロセスを含む。
いくつかの実施形態において、反応を開放空気容器中で行う。
いくつかの実施形態において、ケトンは、式IVの化合物である。
いくつかの実施形態において、第1の溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、およびトルエンからなる群から選択され、塩基は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、トリエチルアミン、およびジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、酸化剤は、二酸化マンガンである。いくつかの実施形態において、第2の溶媒は、トルエンである。いくつかの実施形態において、このプロセスは、酸化生成物をチャコールで処理するプロセスをさらに含む。
本発明は、式IIの化合物を調製するプロセスを提供し
(式中、R1は、H、Cl、またはFである)、このプロセスは、塩基の存在下の間に式IIIの化合物と、
第1の溶媒中のケトンとを反応させ、熟成した反応混合物から粗生成物を結晶化させ、第2の溶媒中の粗生成物を溶解し、粗生成物をチャコールで処理するプロセスを含む。
本発明は、ナフトフラン化合物を調製するプロセスを提供する。このプロセスは、ナフトジヒドロフラン化合物またはナフトジヒドロフラン化合物を含む混合物を、第1の溶媒中の酸化剤と反応させる工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、混合物は、ナフトフラン化合物をさらに含む。いくつかの実施形態において、ナフトフラン化合物は、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、リン酸モノ−[1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニル]エステル、リン酸1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニルエステルジメチルエステル、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、およびその塩または溶媒和物からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、酸化剤は、二酸化マンガンである。いくつかの実施形態において、第1の溶媒は、トルエンである。いくつかの実施形態において、このプロセスは、酸化生成物を活性炭のパッドを通して濾過する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、このプロセスは、第1の溶媒を蒸発させることによってナフトフラン化合物を結晶化させる工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、このプロセスは、第2の溶媒によってナフトフラン化合物を再結晶する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、第2の溶媒は、酢酸エチルである。いくつかの実施形態において、このプロセスは、ナフトフラン化合物を第2の溶媒と共にスラリー化し、スラリーを加熱し、スラリーを冷却する工程をさらに含む。
本発明は、実質的に純粋なナフトフラン化合物を調製するプロセスを提供する。このプロセスは、第1の溶媒によってナフトフラン化合物を結晶化させ、第2の溶媒によってナフトフラン化合物を再結晶させる工程を含む。本発明は、実質的に純粋なナフトフラン化合物を調製する別のプロセスを提供する。このプロセスは、第1の溶媒によってナフトフラン化合物を結晶化させ、第2の溶媒によって結晶性ナフトフラン化合物をスラリー化し、スラリーを加熱し、スラリーを冷却する工程を含む。いくつかの実施形態において、ナフトフラン化合物は、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、リン酸モノ−[1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニル]エステル、リン酸1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニルエステルジメチルエステル、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、およびその塩または溶媒和物からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第1の溶媒は、トルエンである。いくつかの実施形態において、第2の溶媒は、酢酸エチルである。
本発明は、上記のプロセスのいずれか1つによって調製したナフトフラン化合物を提供する。いくつかの実施形態において、ナフトフラン化合物は、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、リン酸モノ−[1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニル]エステル、リン酸1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニルエステルジメチルエステル、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、およびその塩または溶媒和物からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ナフトフラン化合物は、少なくとも約80%、約85%または約90%、約95%、または約99%の純度を有する。いくつかの実施形態において、ナフトフラン化合物は、最大で約10%、約5%、約2%、または約1%、約0.5%、約0.2%、約0.15%、または約0.1%の不純物を有する。
本発明は、化合物1の粒子(化合物1の多形の粒子、化合物1の純度が高い形態の粒子、および化合物1の多形の純度が高い形態の粒子を含めた)を調製するためのプロセスを提供する。いくつかの実施形態において、所望のメジアン粒径、例えば、約20ミクロンを有する粒子は、化合物1の結晶(化合物1の精製した形態の結晶、化合物1の多形の結晶および/または化合物1の多形の精製した形態の結晶を含めた)を粉砕することによって生成する。例えば、結晶は、ジェットミル粉砕法を使用して粉砕し、ベンチュリ圧力は、約40であり、粉砕圧力は、約100であり、送り速度は、概ね1304g/時間である。
発明の詳細な説明
本発明の実施形態を、下記で詳細に考察する。実施形態の記載において、明確とするために特定の用語法を用いる。しかし、本発明は、このように選択された特定の用語法に限定されることを意図しない。他の同等の構成成分を用いることができ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の方法を開発できることを当業者であれば認識する。本明細書において引用した全ての参照は、各々が個々に組み込まれているように参照により組み込まれている。
この明細書において、1セットの粒子の「実質的な一部」は、セット中の粒子の総数の少なくとも約99%、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約85%、少なくとも約80%、少なくとも約75%、少なくとも約70%、少なくとも約60%、または少なくとも約50%でよい。
組成物の抗がん幹細胞活性は、インビトロまたはインビボで決定することができる。例えば、組成物の抗腫瘍活性は、化合物を投与し、がん幹細胞の自己複製および生存を測定することによって、インビトロで決定することができる。例えば、化合物の抗腫瘍活性は、化合物が投与された腫瘍細胞の挙動を、化合物が投与されていない腫瘍細胞の挙動(対照)と比較することによってインビトロで評価することができる。例えば、組成物の抗腫瘍活性は、化合物が投与された動物において、腫瘍の容積の変化を測定することによって、転移性モデルを適用することによって、および/または同所性モデルを適用することによってインビボで決定することができる。例えば、化合物の抗腫瘍活性は、化合物が投与された動物を、化合物が投与されていない動物(対照)と比較することによってインビボで評価することができる。
組成物の忍容性は、インビトロまたはインビボで決定することができる。例えば、組成物の忍容性は、化合物を投与し、正常細胞の分裂速度を測定することによって、正常細胞の栄養素取込みを測定することによって、栄養素取込み以外の正常細胞の代謝率の指標を測定することによって、正常細胞の増殖を測定することによって、および/または正常細胞の活力の別の指標を測定することによってインビトロで決定することができる。例えば、化合物の忍容性は、化合物が投与された正常細胞の挙動を、化合物が投与されていない正常細胞の挙動(対照)と比較することによってインビトロで評価することができる。例えば、組成物の忍容性は、化合物が投与された動物において、体重または食物摂取量を測定し、あるいは臨床観察(毛髪の保持もしくは脱毛、活動性、および/もしくは刺激に対する反応性など)を行なうことによってインビボで決定することができる。例えば、化合物の忍容性は、化合物が投与された動物を、化合物が投与されていない動物(対照)と比較することによってインビボで評価することができる。
化合物、生成物および/または薬学的組成物は、有効性レーティングおよび/または毒性レーティングを割り当てることができる。例えば、有効性レーティングは、抗腫瘍活性に比例的であり得、または抗腫瘍活性に関して単調増加関数であり得る。例えば、毒性レーティングは、忍容性に対して反比例であり得、または忍容性に関して単調減少関数であり得る。ナフトフラン化合物は、インビボで抗腫瘍活性を欠いていると報告されてきた。M.M. RaoおよびD.G.I. Kingston、J. Natural Products、45巻(5号)(1982年)600〜604頁を参照されたい。さらに、この化合物は、がん細胞および正常細胞に対して等しく毒性であることが報告されてきた。すなわち、この化合物は、がん細胞および正常細胞を等しく死滅させることが報告され、この化合物はがん処置のための潜在力を有さないと結論付けられた。K. Hirai K.ら、Cancer Detection and Prevention、23巻(6号)(1999年)539〜550頁;Takano A.ら、Anticancer Research、29巻:455〜464頁、2009年を参照されたい。
しかし、本明細書において報告する実験的研究は、この刊行物に記載されているように特定の薬物動態学的曝露を達成する適当な粒径分布を有する粒子として化合物を投与するとき、化合物は選択的抗腫瘍活性を有することを示す。
本発明の目的のために、薬物の「バイオアベイラビリティー」は、投与した剤形から体循環に入る薬物の相対量、および薬物が血流中に出現する速度と定義される。バイオアベイラビリティーは、少なくとも3つの要因によって支配される:(i)バイオアベイラビリティーを制御する吸収、続いて(ii)その組織再分布および(iii)排除(代謝分解ならびに腎臓および他の機序)。
「絶対的バイオアベイラビリティー」は、薬物の静脈内投与によって次には推定することができる組織再分布および生体内変化(すなわち、排泄)を考慮に入れることによって推定される。他に示さない限り、「HPLC」とは、高速液体クロマトグラフィーを指し、「薬学的に許容される」とは、哺乳動物に投与されたときにアレルギー反応または他の有害反応(untoward reaction)(胃の不調、めまい感など)を典型的には生じさせない生理学的に許容できる材料を指し、「哺乳動物」とは、乳腺によって分泌された乳で子を養い、通常多かれ少なかれ毛で覆われた皮膚を有する、ヒトおよび全ての他の動物を含めた高等脊椎動物のクラスを指し、「処置する」とは、哺乳動物における疾患(複数可)の少なくとも1つの症状を緩和し、軽減し、または排除することを包含することを意図する。
「処置」という用語は、本明細書において使用する場合、望ましくない状態を予防的に防止または抑制し、状態の程度または症状を治療的に排除または減少させるための、本発明による化合物の投与を包含することを意図する。処置はまた、望ましくない状態の再燃を予防し、望ましくない状態の進行を遅延させ、望ましくない状態の発症を予防または遅延させることを含む。本発明による処置は、このような処置の必要性を生じさせる疾患または状態を有するヒトまたは他の哺乳動物に投与される。処置はまた、細胞または器官へのインビトロでの化合物の適用を含む。処置は、全身性または局所投与によってでよい。
有効量は、所望の薬理効果を達成するのに必要な、単回用量または複数回用量で投与される活性成分の量である。技術を有する医師は、技術を有する臨床医には周知の通例の実験法および用量設定によって、個々の患者のための、または個々の状態を処置するための有効用量を決定および最適化することができる。実際の用量およびスケジュールは、組成物が他の薬物と組み合わせて投与されるかどうかによって、または薬物動態、薬物体内動態(drug disposition)、および代謝における個体間の差異によって変化し得る。同様に、量は、インビトロの適用によって変化し得る。過度の実験なしに、特定の状況の必要性によって用量を調節することは当技術分野の範囲内である。本明細書において開示する場合、用量範囲は、特定の適用において正当化し得るより高いまたは低い用量の構成成分の使用を妨げない。
本明細書において提供した薬学的組成物についての記載は、ヒトへの投与に適した薬学的組成物を含む。この開示に基づいて、このような組成物が任意の哺乳動物または他の動物への投与に一般に適していることを当業者であれば理解する。様々な動物への投与に適した組成物の調製はよく理解されており、通常の技術を有する獣医学の薬理学者は、ヒトへの投与のための薬学的組成物に基づいた通例の実験法によって、このような修正を設計および行うことができる。
化合物の構造および特性
式Iのナフトフラン化合物(2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンなど)は、水および試験した広範なパネルの溶媒(DMSO(ジメチルスルホキシド)、N−メチルピロリジン、DMA(ジメチルアセトアミド)、エタノール、PEG400(ポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、クレモフォールEL(ポリエトキシ化ヒマシ油)、Labrasol(カプリロカプロイルマクロゴールグリセリド(ポリオキシルグリセリド))、Labrafil M(植物油PEG−6(ポリエチレングリコール)エステル)、およびCapryol(プロピレングリコールカプリレート)を含めた)中で実際に不溶性であった。ナフトフラン化合物は、一連の極性有機溶媒、例えば、特定のハロカーボン、例えば、クロロカーボン(塩化メチレンなど)、エステル、酢酸エチル、カルボン酸(酢酸など)、ケトン(アセトンなど)、およびアルコール(メタノールなど)中で可溶性であり得る。ナフトフラン化合物は、塩化メチレンおよび酢酸エチル中で可溶性であることが見出された。
本明細書に記載されている実験的研究は、選択的抗がん活性のための特定の薬物動態学的曝露を達成するための小さな粒子の形態の薬学的組成物の活性化合物を投与することによって、選択的抗腫瘍活性が達成されたことを見出したが、それは、ナフトフラン化合物に焦点を置いた。化合物で行なった現在論じている観察を考慮すると、他のナフトフラン、例えば、ナフトフランは、小さな直径の粒子の形態で投与したときに、選択的抗がん活性を達成するための特定の薬物動態学的曝露を達成するように、それらの薬物動態プロファイルの有利な修正を同様に示し得る。1つ以上の異なる粒径分布として投与される他のナフトフランの薬物動態プロファイルを、実験的に決定することができる。
実施例において試験した化合物について観察されたように、動物、哺乳動物、またはヒトに投与される形態の粒径の減少によってそれらの薬物動態プロファイルおよび効力の改善を示し得るいくつかの他の化合物は、式I、ならびにその塩および溶媒和物として示されるものを含む。
式Iにおいて、記号(R1)nは、(R1)置換基が、ベンゼン環に沿った各々の利用可能な位置において独立に置換されていることを示す。例えば、nが4と等しい場合、4個のR1置換基は全て同じでもよく、またはこれらは各々互いに異なり得る。例えば、各(R1)は、水素、ハロゲン、フッ素、シアノ、ニトロ、CF3、OCF3、アルキル、メチル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ORa、SRa、およびNH2からなる群から独立に選択することができる。アルキルは、例えば、単結合によって連結している1〜8個の炭素原子を有する部分を含むことができ、アルケニルは、例えば、1つ以上の二重結合によって連結している2〜8個の炭素原子を有する部分を含むことができ、アルキニルは、例えば、1つ以上の三重結合によって連結している2〜8個の炭素原子を有する部分を含むことができる。置換基は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アリール、ORa、SRa、およびNH2などの部分を含むことができる。例えば、各(R1)は、水素、メチル、F(フッ素)、Cl(塩素)、Br(臭素)、I(ヨウ素)、OH(ヒドロキシル)、およびNH2(アミン)からなる群から独立に選択することができる。例えば、R3は、水素、ハロゲン、フッ素、シアノ、CF3、OCF3、アルキル、メチル、置換アルキル、ハロゲン置換アルキル、ヒドロキシル置換アルキル、アミン置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ORa、SRa、およびNRbRcからなる群から選択することができる。例えば、R3は、メチルおよびC(R8)3からなる群から選択することができる。各(R8)は、水素、メチル、F(フッ素)、Cl、Br、I、OH、およびNH2からなる群から独立に選択することができる。例えば、独立に選択される(R1)置換基および(R8)置換基の最大で2つは、F(フッ素)であるように選択することができ、残りは水素であるように選択される。
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、およびその塩または溶媒和物からなる群から選択される。例えば、式Iの化合物は、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンであるように、各(R1)は、水素であるように選択することができ、そしてR3は、メチルであるように選択することができる。例えば、各Raは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環、置換複素環、アリール、および置換アリールからなる群から独立に選択することができる。例えば、各RbおよびRcは、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、および置換アリールからなる群から独立に選択することができる。代わりに、RbおよびRcは、それらが結合しているNと一緒になって、複素環または置換複素環を形成することができる。
多形
本発明のナフトフラン化合物には、多形が含まれる。いくつかの実施形態において、多形は、式Iによる化合物の多形である。いくつかの実施形態において、多形は、化合物1の多形である。例えば、いくつかの実施形態において、多形は、図1に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。この多形は、本明細書において「結晶形1」、「晶形1(Form 1)」または「XRPD1」と称され、これらの用語は互換的に使用される。いくつかの実施形態において、多形は、図2に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。この多形は、本明細書において「結晶形2」、「晶形2」または「XRPD2」と称され、これらの用語は互換的に使用される。いくつかの実施形態において、多形は、図3に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。この多形は、本明細書において「結晶形3」、「晶形3」または「XRPD3」と称され、これらの用語は互換的に使用される。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.4、11.9、14.1、14.5、17.3、21.0、22.2、24.0、26.0、および28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2、11.9、14.1、14.5、17.3、22.2、および/または28.1°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約11.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約14.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約17.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約22.2°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.1°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約10.2°の2θにおけるピーク、少なくとも約11.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.1°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約17.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約22.2°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.1°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
例えば、いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、11.4、12.3、15.0、23.0、23.3、24.1、24.6、25.0、26.1、27.0、および28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5、9.9、12.3、15、23.0、23.3、24.6、および/または28.4°の2θにおける1つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約9.9°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約12.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約15°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約23.3°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約24.6°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約28.4°の2θにおける1つのピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。いくつかの実施形態において、多形は、少なくとも約7.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約9.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約15°の2θにおけるピーク、少なくとも約12.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.0°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約24.6°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.4°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形である。
結晶形1は種々の溶媒および条件において検出されてきたが、それは低い抗腫瘍活性を有することが示されてきた(図8)。図8に示す研究において、確立された皮下FaDuヒト頭頸部がんを有する免疫抑制マウスは、示された量の結晶形1を有する手動で磨砕した化合物1、またはビヒクル対照を経口で(po)投与された。化合物1は、GELUCIRE(商標)中で処方された。全ての投与計画は毎日施行された(1日1回(qd))。処置の間に腫瘍のサイズを定期的に評価した。
結晶形2は驚いたことに不純物の存在下で得られたが、この多形は強力な抗腫瘍活性を示すことが示されている(図9)。図9に示す研究において、確立された皮下FaDuヒト頭頸部がんを有する免疫抑制マウスは、図5Aおよび5Bに記載した合成プロセスによって生成された100mg/kgの微粒子化した化合物1(第1の収穫物)、またはビヒクル対照を経口(po)投与された。化合物1は、GELUCIRE(商標)中で処方された。全ての投与計画は毎日施行された(qd)。処置の間に腫瘍のサイズを定期的に評価した。晶形2は、現在の医薬品の製造管理および品質管理の基準(current good manufacturing practice)(cGMP)のプロセスによって首尾よく製造され、FDAおよびカナダ保健省から臨床試験において使用することの承認を受けた。晶形2は、がん患者において望ましい薬物動態(図11)、安全性、および抗腫瘍活性の強い徴候を示した。
結晶形3は、晶形1と同様な、しかし異なるX線粉末回折(XRPD)パターンを共有することを示し、それは晶形1とは非常に異なる結晶晶癖を呈した(図7AおよびB)。晶形3は、本明細書に記載されている特に設計されたスラリープロセスを使用して、晶形1からのみ生じさせることができる。晶形3は、強力な抗腫瘍活性を示すことが示されている(図10)。図10に示す研究において、確立された皮下FaDuヒト頭頸部がんを有する免疫抑制マウスは、手動で磨砕した結晶形1もしくは晶形3を有する200mg/kgの化合物1、またはビヒクル対照を経口で(po)投与された。化合物1は、gelucireにおいて処方された。全ての投与計画は毎日施行された(qd)。処置の間に腫瘍のサイズを定期的に評価した。この多形は、cGMPプロセスによって首尾よく製造され、FDAおよびカナダ保健省から臨床試験において使用することの承認を得た。晶形3はまた、がん患者において望ましい薬物動態(図12)、安全性、および抗腫瘍活性の強い徴候を示した。
結晶形2を調製するための合成プロセスを図5A〜5Bに示す。手短に言えば、導入した3−ブテン−2−オン(451.2グラム)を、機械式撹拌機、温度計、および添加漏斗を備えた2リットルの三つ口丸底フラスコに滴下する。添加漏斗に、臭素(936.0グラム)を加える。フラスコ中の内容物を−5℃に冷却した後、激しく撹拌し、30分間に亘り温度を−5℃に維持しながら、臭素をフラスコ中に滴下する。混合物を−5℃にてさらに15分間撹拌し、次いで4つの等しい部分に分割する。混合物の各々の部分をテトラヒドロフラン(2133.6グラム)と共に、機械式撹拌機、温度計、および添加漏斗を備えた22リットルの四つ口丸底フラスコに加える。導入したDBU(1,3−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、222.9グラム)を、添加漏斗に加える。激しく撹拌し、30分間に亘り温度を0℃〜5℃に維持しながら、DBUをフラスコ中に滴下する。混合物を0℃〜5℃でさらに15分間撹拌する。次いで、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(231グラム)を、フラスコに加える。さらなるDBU(246.0グラム)を添加漏斗中に導入し、次いで反応混合物の温度が40℃を超えないような速度でフラスコ中の混合物に滴下する。DBUの添加が完了した後、このように得られた混合物を室温で一晩撹拌し、反応混合物の試料を、HPLC分析のために採取する。反応混合物に、水(10.8リットル)を導入し、このように得られた混合物を0℃〜3℃に少なくとも30分間冷却し、次いで真空濾過機(vacuum filter)によって濾過する。濾過した固体を、5%水性重炭酸ナトリウム(3リットル)、水(3リットル)、1%水性酢酸(3リットル)およびエタノール(2回)(2×1リットル)で連続的にすすぐ。すすいだ固体を保存し、他のバッチからのものと一緒にプールする。合わせた粗生成物(28.73kg)を、酢酸エチル(811.7kg)と共に、機械式撹拌機、温度計、およびコンデンサーを備えた500ガロンの槽(vessel)に加える。窒素雰囲気下にて、混合物を2時間加熱還流させ(72℃)、次いで活性炭層を含有する10ミクロンのカートリッジフィルターで濾過し、不溶物を除去する。新鮮な熱い酢酸エチル(10kg)を使用して、槽、トランスファーラインおよびフィルターをすすぐ。合わせた濾液を0〜5℃に冷却し、この温度で2時間保持し、次いで20インチのブフナーフィルターで濾過する。濾過した固体生成物を0〜5℃の酢酸エチル(5.7kg)ですすぎ、40℃にて真空下で一定の重量になるまで乾燥させる。残留する濾液を蒸発によって容積で63%減少させ、結晶化プロセスを再び繰り返し、生成物の第2の収穫物を生じさせ、これをまた生成物の第1の収穫物の場合と同じ条件下で乾燥させた。得られた両方の収穫物は、結晶形2である。生成された第1の収穫物(0.5kg)は、HPLCによって99.5%純度を有した(NMRによって約95%)。生成された第2の収穫物(1.09kg)は、HPLCによって98.9%純度を有した(NMRによって約90%)。
結晶形3を調製するための合成プロセスを、図6A〜6Dに示す。その工程を本明細書において手短に概説する。工程1:3−ブテン−2−オン(メチルビニルケトン、MVK)を、臭素を使用して臭素化する。さらなる溶媒は使用しない。中間体3,4−ジブロモブタン−2−オンをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)と反応させ、第2の中間体である3−ブロモ−3−ブテン−2−オンを形成させる。この反応が完了すると、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(HNQ)を加える。第2の部分のDBUを加え、混合物を空気に曝露させる。反応物を水によってクエンチし、固体を濾過によって集める。これらの固体を、水性重炭酸ナトリウム、水性酢酸、水、およびエタノールで洗浄する。生成物をエタノールにスラリー化し、固体を集めることによって単離する。工程2:所望の2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン(化合物1)を伴う残留量の2−アセチル−2,3−ジヒドロナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを、トルエン中の活性化二酸化マンガンで酸化して化合物1にする。混合物を、チャコールおよびセライトのケークを通して濾過する。濾液を濃縮し、生成物を沈殿させ、これを濾過し、乾燥させる。工程3:固体を酢酸エチル中で75℃〜80℃にて約5時間スラリー化させ(25mL/gの精製した化合物1)、濾過によって集め、乾燥させる。この方法によって生成した化合物1は、結晶形3である。スラリープロセスを伴わずにこの方法によって生成した化合物1は、結晶形1を生じた。
薬物血漿濃度および選択的抗腫瘍活性に及ぼす化合物の粒径分布の効果
本発明の前に、化合物1の微粒子は、作出および/または評価もされてこなかった。従前の研究は、化合物1が正常細胞およびがん細胞に対して等しく毒性であることを示し、抗腫瘍活性は動物モデルにおいて観察されなかった。本明細書において示した研究は、化合物1の粒径の減少がバイオアベイラビリティーを改善しただけでなく、毒性の徴候なしに選択的抗腫瘍活性の増加をもたらしたことを実証する。バイオアベイラビリティーに対する改善は、同等に化合物1へのがん細胞および正常細胞の曝露を増加させるため、これは予想外である。正常細胞への毒性の増強を伴わない抗がん活性の選択的増強についての機序は公知でなかった。これらの研究において、化合物1のバイオアベイラビリティーの改善は、D50(すなわち、粒径分布を2つの等しい部分に分ける粒径分布のメジアンポイント)が約20μmであるとき、最大化したようであった。しかし、D50値が約2μmであるさらなる研究を行なった。2ミクロンのD50を有する化合物1の微粒子は、20ミクロンのD50を有する粒子と比較して薬物動態学的曝露において改善はないにも関わらず、驚いたことに増強された抗腫瘍活性を有した。さらなる研究において、約100ナノメートルのD50(D50=110.4ナノメートル)を有する化合物1のナノ粒子を生み出したが、驚いたことに、化合物1のこの粒径で抗腫瘍活性の低下が観察された。したがって、好ましい実施形態において、化合物1の粒子、例えば、微粒子を含有する組成物は、20ミクロン以下および0.2ミクロン以上のD50を有し、驚いたことに正常細胞への細胞毒性の増加を伴わずに強力な抗腫瘍活性を有する。
異なる粒径範囲を有する化合物1の粒子の抗腫瘍活性を図15において例示し、異なる粒径範囲を有する化合物1の粒子の薬物動態学的データを図16〜18に例示する。図15に示す研究において、確立された皮下FaDuヒト頭頸部がんを有する免疫抑制マウスは、示された粒径を有する示された量の化合物1、またはビヒクル対照を経口で(po)与えられた。全ての投与計画は、毎日(qd)施行された。腫瘍のサイズを定期的に評価した。
定められた粒径、例えば、縮小された粒径を有する粒子の形態のナフトフラン化合物の投与は、薬物血漿濃度をインビボで増強することが見出された。本明細書において、特に断りのない限り、「径」および「直径」という用語は、粒子を記載するのに互換的に使用される。「直径」という用語の使用は、粒子が完全または概ね球形を有することを必ずしも意味しないことを理解すべきである。例えば、「直径」、例えば、非球状粒子と同等の容積の球の直径は、粒径の近似として使用することができる。
驚くべき結果において、定められた粒径分布のナフトフラン化合物の粒子の投与(例えば、薬学的組成物中の小さな粒子として)は、選択的抗腫瘍活性をもたらすことが見出された。例えば、20μm(すなわち、ミクロン、これらの用語は本明細書において互換的に使用される)のメジアン粒径を有する粒子として投与される化合物は、マウス異種移植モデルにおいて、相対的に弱いが効力(選択的抗腫瘍活性)を示した。比較して、150μm(ミクロン)の粒子は、効力を示さなかった。より小さな粒子の形態のナフトフラン化合物の投与が選択的抗腫瘍活性をもたらし得るという発見は驚くべきものであり、溶解性またはバイオアベイラビリティー単独における改善に基づいて説明することができない。すなわち、一般に、改善された溶解性は、薬物経口バイオアベイラビリティーの増加と関連し、これは正常細胞に対する毒性ならびに抗腫瘍活性を増強し得る。上記で論じるように、ナフトフラン化合物は、WO2009/036099およびWO2009/036101に記載されているように曝露が定められた条件下で行なわれない場合、腫瘍細胞および正常細胞に対して等しく毒性であり得る。
さらなる驚くべき結果において、薬学的組成物中のさらに縮小された径のナフトフラン化合物の粒子の投与は、有意に改善された抗腫瘍活性(しかし、殆ど変化しない薬物動態プロファイル、すなわち、変化しないバイオアベイラビリティー)をもたらすことが見出された。例えば、2μm(ミクロン)のメジアン粒径を有する粒子として投与した化合物は、マウス異種移植モデルにおいて劇的に増強された効力を示した。20μmの粒子と比較して、2μmの粒子は、有意に改善された効力(しかし、非常に類似の薬物動態プロファイル)を示した。すなわち、このような改善された効力は、薬物動態プロファイル、すなわち、バイオアベイラビリティーと無関係である。乏しい溶解性を有するこのような化合物について、改善された効力は通常、薬物の経口バイオアベイラビリティーの増加と関連するため、結果は非常に驚くべきことである。
したがって、観察された選択的抗腫瘍活性の改善は驚くべきことであり、予想外である。本発明は、ナフトフラン化合物、例えば、活性であり、すなわち、効力または選択的抗腫瘍活性を有する式Iの化合物の粒子(単数または複数)を提供する。活性のある粒子(単数または複数)は定められた粒径を有し、例えば、約200μm以下、約150μm以下、約100μm以下、約40μm以下、または約20μm以下、約10μm以下、約5μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、約1μm以下、約0.5μm以下、約0.2μm以下、または約0.1μm以下の直径を有する。定められた粒径より大きい粒子(単数または複数)は、不活性であるか、または本明細書に記載されている粒子より活性が低い。
したがって、より小さな粒子の形態の式Iによるナフトフラン化合物または別の化合物の投与は、その選択的抗腫瘍活性の改善をもたらすことができる。定められた粒径分布を有する式Iによる化合物の粒子の投与中の使用は、所望の選択的抗腫瘍活性の確立を可能とすることができる。例えば、定められた粒径分布を有する、例えば、より小さな粒子であるナフトフラン化合物の粒子の使用は、より短い期間でより高い血中濃度、および相対的に弱いが選択的抗腫瘍活性をもたらすことができる。さらに縮小された粒径の化合物は、化合物の血漿濃度が変化することなく、有意に改善された効力をもたらすことができる。
本明細書において、他に示さない限り、「血漿濃度」、「血液モル濃度」、および「血中濃度」という用語は、互換的に使用される。「新生物」という用語は、増殖の異常なパターンを示す細胞を記載するために使用することができる。このような新生物は、腫瘍(良性および悪性の両方)、例えば、固形腫瘍、ならびに定まった形状を有さず、ヒトまたは動物の体の特定の領域に限定されない他の細胞増殖障害(白血病など)を含むことができる。したがって、「新生物」は、がんおよびがんではない両方の新生物性細胞および組織を含む。本明細書において、特に明記し、明らかにし、または特定の研究もしくは実験に言及しない限り、「腫瘍」および「がん」という用語は、ヒトまたは動物の体の特定の領域に限定されないものを含めたより広範なクラスの全ての新生物を意味すると理解される。しかし、より限定された用語である「固形腫瘍」は、定まった形状を有さず、ヒトまたは動物の体の特定の領域に限定されない細胞増殖障害(白血病など)を含めないと理解される。
新生物は、下記の特徴のどれも示さなくてもよく、下記の特徴の1つ、以上を示すこともできる:固体形態(固形腫瘍)、悪性腫瘍、転移、またはStat3経路活性。新生物には、例えば、がん幹細胞が含まれてもよい。新生物は、例えば、癌腫、肉腫、腺癌、リンパ腫、または血液系悪性腫瘍であってよい。
吸収は、薬物が投与の部位から体内の測定の部位に運ばれるプロセスとして定義されてきた。M. Rowland、T.N. Tozer(1995年)Clinical pharmacokinetics:Concepts and applications.、Lippincott Williams & Wilkinsを参照されたい。経口薬物吸収は、腸細胞の頂端膜が膜の透過についての律速段階であると考えられるため、腸細胞の頂端膜を通る薬物移動と称されることが多い。U. FagerholmおよびH. Lennernaes(1995年)Experimental estimation of the effective unstirred water layer thickness in the human jejunum, and its importance in oral drug absorption、Eur J Pharm Sci、3巻:247〜253頁;M.B. Lande、J.M. DonovanおよびM.L. Zeidel(1995年)The relationship between membrane fluidity and permeabilities to water, solutes, ammonia, and protons、J Gen Physiol、106巻:67〜84頁を参照されたい。透過性は、いかに容易に薬物が膜を通して移動するかを記載する一般用語である。薬物の特定の透過性特性は、親油性、電荷、径、および極性表面積を含めたその物理化学的性質に依存する。RowlandおよびTozer、1995年;C.A. Lipinski、F. Lombardo、B.W. DominyおよびP.J. Feeney(2001年)Experimental and computational approaches to estimate solubility and permeability in drug discovery and development settings、Adv Drug Deliv Rev、46巻:3〜26頁を参照されたい。吸収速度は、薬物の透過性、膜の表面積、および膜を越えた濃度勾配に依存する。濃度勾配は、薬物の膜輸送についての最も一般の機序である受動拡散のための推進力である。経口投与について、薬物は、腸によって主に吸収される。ヒトの腸は、長さが約5〜8メートルであり、殆ど200平方メートルの総表面積を有し、一方マウスの腸は、僅か約10〜20cmの長さである。したがって、より大きな粒径を有する薬物の透過性がより小さな粒径を有する薬物の透過性より低いにも関わらず、より大きな粒径を有する薬物は、より小さな粒径を有する薬物がマウスにおいてそうであるように、ヒトにおいてより大きなまたは同じ吸収速度を有し得ることを予測することができる。
例えば、約200μm、150μm、100μm、80μm、60μm、40μm、20μm、10μm、5μm、4μm、3μm、2μm、1μm、0.5μmまたは0.2μm以下のメジアン直径を有する式Iによる化合物の粒径分布は、例えば、がんまたは腫瘍の処置のために薬学的処方物中で投与されたときに、選択的抗腫瘍活性をもたらすことを予測することができる。例えば、粒径分布は、粒子が、約0.02μm〜約5μm、または約0.2μm〜約4μmのメジアン直径を有するようなものでよい。例えば、粒径分布は、粒子が、約5μm以下のメジアン直径、最大で約2の平均直径とメジアン直径の比、および少なくとも約0.25のモード直径とメジアン直径の比を有するようなものでよい。
「粒子」という用語は、式Iの化合物の凝集物を意味することができる。「平均」という用語は、全ての粒子の径の合計を粒子の総数で割ったものを意味することができる。「メジアン」という用語は、例えば、粒子の2分の1がより大きな直径を有し、粒子の2分の1がより小さな直径を有する直径を意味することができる。「モード」という用語は、最も頻繁にあらわれる粒径値を示すことができる。「累計」という用語は、全ての粒子を意味することができる。
ナフトフラン化合物の粒子の投与によって達成される選択的抗腫瘍活性は、粒径分布、例えば、粒子の容積、またはこれらの容積を代表する直径だけでなく、粒子の形状および粒子の形状の分布に依存し得る。例えば、針様の形状を有する1セットの粒子は、球状の形状を有する1セットの粒子とは異なる薬物動態プロファイルをもたらし得る。したがって、投与する粒子の形状および粒子の形状分布を測定し、かつ/または所定の形状および形状分布、例えば、ほぼ均一な形状を有する粒子(例えば、粒子は、球に近似している)を生成するプロセスを使用することが望ましい場合がある。例えば、粒子の球形度Ψは、
として定義することができ、式中、Vpは、粒子の容積であり、Apは、粒子の表面積である。球はΨ=1の球形度を有し、粒子の球形度が単一性に近いほど、粒子の形状は球により密接に近似する。比較として、四面体は、約0.671の球形度を有し、立方体は、約0.806の球形度を有し、八面体は、約0.846の球形度を有し、十二面体は、約0.910の球形度を有し、二十面体は、約0.939の球形度を有する。球の形態は所与の容積についての表面積を最小化するため、ほぼ球状である粒子は、よりほぼ球状でない同じ容積の粒子より遅く溶解することが予想し得る。1セットの球の平均球形度は、
と定義することができ、式中、ΣVpは、全ての粒子の総容積であり、ΣApは、全ての粒子の総表面積である。例えば、投与される式Iによる化合物の粒子は、少なくとも約0.8の平均球形度、または少なくとも約0.9の平均球形度を有し得る。
粒径、粒径分布、形状、形状分布、および要因(粒子の表面粗さまたは不規則性など)は、薬学的処方物で投与される1セットの化合物1の粒子の平均比表面積に影響することができる。平均比表面積は、ΣAp/Σmp(式中、ΣApは、粒子の総表面積であり、Σmpは、粒子の総質量である)として定義することができる。粒子の平均比表面積が大きくなるほど、予想される粒子の溶解が速くなる。
薬学的処方物中の式Iによる化合物の粒子は、異なる粒子に亘ってまたは同じ粒子内で、結晶状態のナフトフラン化合物を含むことができる。結晶状態は、異なる粒子に亘ってまたは同じ粒子内で、1種以上の多形を含み得る。当業者が認識するように、粒子の溶解速度は、第1の多形、または第2の多形の化合物の粒子中の物質の状態、例えば、結晶性であるかによって影響を受け得ると予想される。
一連の技術の1つ以上を適用して、薬学的処方物中の式Iによる化合物の粒径および/または粒径分布を決定することができる。例えば、ふるい分析、光学顕微鏡計数法、電子顕微鏡計数法、電気抵抗計数法、沈降時間、レーザー回折、および/または音響分光法を、適用することができる。これらの技術またはそのバリエーションのいくつかまたは全てを適用して、薬学的処方物中のナフトフラン化合物の粒子の形状、形状分布、および/または比表面積を決定することができる。BET等温線および/または通気性比表面積技術を適用して、薬学的処方物中の式Iによる化合物の粒子の比表面積を決定することができる。
ナフトフラン化合物を生成するためのプロセス
WO2009/036099およびWO2009/036101は、以下のような式IIのナフトフラン化合物の調製のためのプロセスを開示している。
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
THF:テトラヒドロフラン
RT:室温
このプロセスにおいて、開放空気容器中で3−ブロモ−3−ブテン−2−オン(4−3)を、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(4−4)と反応させ、2,3−ジヒドロナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン(4−5)が得られる。2,3−ジヒドロナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン(4−5)を、開放空気からの酸素で酸化させ、ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン(4−6)とする。このプロセスによって生成されたナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンに関して。しかし、上記化合物のさらなる開発の間に、このプロセスはまだ、これらの化合物の潜在的な臨床適用を妨げるかなりの様々な不純物を生じさせたことが決定された。いくつかの実施形態において、不純物の1つは、2,3−ジヒドロナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン(4−5)である。
一態様において、本発明は、ナフトフランの調製のための改善されたプロセスを提供する。改善されたプロセスは、不純物を最小化し、それによって実質的に純粋なナフトフランを生成する。本明細書において使用する場合、「実質的に純粋な」という用語は、HPLCによる面積%として測定して、少なくとも約80%以上の本発明の化合物を含む調製物を意味する。いくつかの実施形態において、ナフトフランは、ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンおよびその関連する化合物(4−6)である。
いくつかの実施形態において、本発明のプロセスは、3−ブロモ−3−ブテン−2−オン(4−3)および2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(4−4)のカップリングの粗生成物を第1の溶媒中の酸化剤で酸化する工程を含む。さらなる実施形態において、酸化剤は、二酸化マンガン(MnO2)である。またさらなる実施形態において、粗生成物を、それが酸化する前に単離する。いくつかの実施形態において、第1の溶媒は、トルエンまたはクロロホルムである。
いくつかの実施形態において、本発明のプロセスは、熟成した(aged)酸化混合物をチャコールで処理し、特定の不純物を除くプロセスをさらに含む。さらなる実施形態において、熟成した酸化混合物を、活性炭のパッドで濾過する。またさらなる実施形態において、混合物を概ね100℃で濾過する。
いくつかの実施形態において、本発明のプロセスは、濾液から生成物を結晶化する工程をさらに含む。さらなる実施形態において、生成物を、濾液を蒸発させることによって濃縮し、冷却することによって結晶化させる。
いくつかの実施形態において、本発明のプロセスは、第2の溶媒で生成物を再結晶化する工程をさらに含む。さらなる実施形態において、第2の溶媒は、酢酸エチルである。
代替の実施形態において、本発明のプロセスは、第1の溶媒から結晶化した生成物を第2の溶媒でスラリー化し、スラリーを加熱し、スラリーを冷却する工程をさらに含む。さらなる実施形態において、第2の溶媒は、酢酸エチルである。いくつかの実施形態において、生成物をスラリー化し、加熱することのみで、部分的に溶解させる。さらなる実施形態において、生成物をスラリー化するのに使用する第2の溶媒の容積は、加熱した条件における生成物の完全な溶解のための容積の約1/10、1/5、1/4、1/3、1/2、または2/3である。
本発明はまた、本発明のプロセスによって調製したナフトフラン化合物を提供する。いくつかの実施形態において、ナフトフラン化合物は、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、リン酸モノ−[1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニル]エステル、リン酸1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニルエステルジメチルエステル、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、およびその塩または溶媒和物からなる群から選択される。さらなる実施形態において、ナフトフラン化合物は、トルエンの存在下で2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(4−4)および3−ブロモ−3−ブテン−2−オン(4−3)のカップリングの単離した粗生成物を、二酸化マンガンと反応させる工程を含むプロセスによって調製される。またさらなる実施形態において、このプロセスは、熟成した反応混合物を活性炭のパッドで濾過する工程をさらに含む。
別の態様において、本発明は、実質的に純粋なナフトフラン化合物を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、リン酸モノ−[1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニル]エステル、リン酸1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニルエステルジメチルエステル、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、およびその塩または溶媒和物からなる群から選択される実質的に純粋な化合物を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、実質的に純粋な式IIの化合物を提供し、
式中、各R1は、独立に、H、Cl、またはFであり、nは、0、1、2、3、または4である。
本明細書において使用する場合、「実質的に純粋な」とは、少なくとも約80%の純度を意味する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物の純度は、少なくとも約85%、約90%、約95%、または約99%の純度を有する。さらなる実施形態において、本発明の化合物の純度は、少なくとも約99.5%、または約99.8%の純度を有する。またさらなる実施形態において、本発明の化合物の純度は、少なくとも約99.85%、約99.90%、約99.94%、約99.95%、または約99.99%の純度を有する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、リン酸モノ−[1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニル]エステル、リン酸1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニルエステルジメチルエステル、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、およびその塩または溶媒和物からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、多形である。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、式Iによる化合物の多形である。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、化合物1の多形である。
本発明の化合物中存在し得る典型的な不純物は、副生成物、異性体、中間体、および溶媒からなる群から選択される1つ以上を含む。いくつかの実施形態において、本発明の化合物に存在し得る不純物は、式IIの化合物に対して最大で約10%、約8%、約5%、約2%、または約1%である。さらなる実施形態において、本発明の化合物に存在し得る不純物は、式IIの化合物に対して最大で約0.5%、約0.2%、約0.15%、または約0.1%である。またさらなる実施形態において、本発明の化合物に存在し得る不純物は、式IIの化合物に対して最大で約0.05%、約0.02%、または約0.01%である。いくつかの実施形態において、式IIの実質的に純粋な化合物は、式IIの化合物に対して最大で約500、200、100、50、20、10、5、2、1、0.5、0.2、0.15、0.1、または0百万分率(p.p.m.)の残留副生成物(単数または複数)を有する。
いくつかの実施形態において、不純物は、2−アセチル−2,3−ジヒドロナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2,6−ジアセチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2,7−ジアセチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、3−アセチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオール、および1−(4,9−ジヒドロキシ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−エタノンからなる群から選択される1種以上の副生成物を含む。
いくつかの実施形態において、不純物は、マンガン(Mn)を含む。
本発明の化合物の純度は、様々なデバイスで決定し得る。いくつかの実施形態において、純度は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で決定する。いくつかの実施形態において、純度は、NMR(核磁気共鳴)で決定する。さらなる実施形態において、純度は、HPLCおよびNMRで決定する。
化合物1を含有するこれらの純度が高い組成物は、動物実験において、化合物1を含有するより純度が低い組成物と比較して有意に改善された安全性プロファイルを示す。純度が高い化合物1の任意の有害作用の徴候は、マウスにおいて観察されてこなかった。さらに、化合物1を含有するこれらの純度が高い組成物を患者において試験し、非常に安全であることが実証されてきた。例えば、図13は、化合物1について約90%純度を有する組成物で観察された毒性を例示し、一方、図14は、化合物1について約95%以上の純度を有する純度が高い組成物が安全で有効であることを例示する。図13に示す研究において、確立された皮下FaDuヒト頭頸部がん(上のパネル)またはMDA−231ヒト乳がん(下のパネル)を有する免疫抑制マウスは、示された量の化合物1、またはビヒクル対照を経口で(po)投与された。化合物1は、GELUCIRE(商標)で処方された。全ての投与計画は毎日施行された(qd)。処置の間に体重を定期的に評価した。各ポイントは、8つの腫瘍の平均±SEMを表す。約90%純粋な化合物1で有意な毒性が観察された。第1の実験において全部で4匹のマウスが処置の間に死亡し(上のパネル)(1匹が16日目、2匹が19日目、および1匹が23日目)、したがってこれらの体重は、死亡後にプロットに含めなかった。第2の実験において全部で3匹のマウスが処置の間に死亡し(下のパネル)(1匹が14日目および2匹が21日目)、したがってこれらの体重は、死亡後にプロットに含めなかった。図14に示す研究において、確立された皮下FaDuヒト頭頸部がん(上のパネル)またはMDA−231ヒト乳がん(下のパネル)を有する免疫抑制マウスは示された量の化合物1、またはビヒクル対照を経口で(po)投与された。化合物1は、GELUCIRE(商標)で処方された。全ての投与計画は毎日施行された(qd)。処置の間に体重を定期的に評価した。各ポイントは、8つの腫瘍の平均±SEMを表す。より高い純度を有する化合物1は忍容性良好であり、毒性の徴候を示さなかった。両方の実験における処置の全体を通して、全てのマウスは健康を維持した。第1相研究において、化合物1の用量を20mg/日から2000mg/日に増やしても、最大耐量(MTD)には達しなかった。用量制限毒性(dose−limiting toxicity)は観察されなかった。患者は、薬物が誘発する有害作用を伴わずに化合物1に非常に良好に忍容性を示したが、これはがん化学療法剤と著しく対照的である。化合物1の実質的に純粋な組成物の臨床安全性プロファイルは、過去における腫瘍学の薬物の中でも一番良い。
薬学的処方物
特定の添加剤または促進剤は、薬学的処方物中の所与の粒径分布の式Iによる化合物の粒子の経口バイオアベイラビリティーを増強することが見出された。例えば、薬学的に適合性の添加剤であるGELUCIRE(商標)44/14(Gattefosseによって生成されるポリエチレングリコールグリセリルラウレート)の添加は、約20ミクロン以下のメジアン粒径を有する化合物1のバイオアベイラビリティーを増加させることができる。経口バイオアベイラビリティーを増強または制御するために使用することができる他の添加剤の例には、界面活性剤(TWEEN80(商標)もしくはTWEEN20(商標)(ポリソルベート、すなわち、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン)など)または特定の脂質(ホスファチジルコリン、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)など)が含まれる。界面活性剤は、両親媒性であり、疎水性基および親水性基の両方を含有する化合物を含む。他の添加剤には、例えば、脂肪酸のグリセロールエステル、飽和脂肪酸のグリセロールエステル、8〜18個の炭素を有する飽和脂肪酸のグリセロールエステル、ラウリン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、セルロースまたはセルロース誘導体(微晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)など)、ならびに脂質(ステロール、例えば、コレステロールなど)を含むことができる。他の添加剤には、抗酸化剤(ビタミンEなど)を含めることができる。他の添加剤およびさらなる構成成分は、当業者が認識するように、本発明による薬学的処方物中に含まれていてもよい。例えば、他の活性剤、標準的ビヒクル、キャリア、液体キャリア、食塩水、水溶液、賦形剤、表面活性剤、分散化剤、不活性な賦形剤、造粒剤および崩壊剤、結合剤、滑沢剤、流動促進剤、抜染剤、甘味剤、香味剤、着色剤、保存剤、生理学的に分解可能な組成物(ゼラチンなど)、水性ビヒクルおよび溶剤、油性ビヒクルおよび溶剤、懸濁化剤、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、粘滑剤、バッファー、塩、増粘剤、ゼラチン、充填剤、乳化剤、抗酸化剤、抗生物質、抗真菌剤、安定化剤、水、グリコール、油、アルコール、結晶化遅延剤(例えば、糖の結晶化を遅延させる)、デンプン、糖、スクロース、表面活性剤、任意の他の成分の溶解性を増加させる薬剤(ポリヒドロキシアルコール、例えば、グリセロールまたはソルビトールなど)、薬学的に許容されるポリマー材料または疎水性材料、ならびに他の構成成分が含まれてもよい。加える適当なさらなる剤(単数または複数)は、当業者が認識するように、剤形(例えば、注射可能な液剤、カプセル剤、または丸剤)に依存する。
本発明の式Iによる化合物は、「薬学的組成物」に処方し得る。本発明による実施形態は、例えば、患者の処置に有用であり得る化合物を含めた様々な剤形を含む。例えば、経口剤形には、錠剤、丸剤、カプセル剤(硬質もしくは軟質)、カプレット、散剤、顆粒剤、懸濁剤(例えば、水性もしくは油性ビヒクル中)、液剤(例えば、水性もしくは油性ビヒクル中)、ゲル剤、カシェ剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、飲料、水中油型乳剤、または油中水型乳剤が含まれてもよい。投与におけるこれらの容易さのために、錠剤およびカプセル剤は、好ましい経口投与を代表し得る。固体経口剤形は、標準的な技術によって糖コーティングまたは腸溶コーティングしてもよい。例えば、鼻腔用および他の粘膜用スプレー処方物(例えば、吸入可能な形態)は、保存剤および等張剤と共に、精製した活性化合物の水溶液を含むことができる。このような処方物は好ましくは、鼻粘膜または他の粘膜と適合性のpHおよび等張状態に調節される。代わりに、処方物は、ガスキャリアに懸濁した微粉化した固体粉末、吸入剤、またはエアゾールの形態でよい。このような処方物は、任意の適切な手段または方法によって、例えば、ネブライザー、アトマイザー、定量吸入器などによって送達し得る。例えば、本発明による薬学的組成物は、局所的に、例えば、軟膏剤、クリーム剤、または坐剤の形態で投与し得る。例えば、本発明による薬学的組成物は、注射物を注射することによって投与し得る。したがって、本発明による剤形は、例えば、固体、半固体、液体、または気体の形態を有することができる。適切な剤形には、これらに限定されないが、経口、直腸、舌下、粘膜、鼻、眼、皮下、筋肉内、静脈内、非経口、経皮、脊髄(spinal)、髄腔内(intrathecal)、関節内、動脈内、くも膜下、気管支、リンパ、および子宮内投与、ならびに活性成分の全身的送達のための他の剤形が含まれる。活性成分、例えば、式Iによる化合物は、被験体(患者)への投与後に、急速放出、持続放出、遅延放出、または当業者に公知の任意の他の放出プロファイルを実現する処方物中に含有されてもよい。所与の処置のために選択される投与様式および剤形は、所与の処置適用、ならびに被験体(患者)の精神状態および健康状態などの要因のために望ましく効果的な化合物または組成物の治療量に密接に関連する。
本発明の薬学的組成物は、単回単位用量として、複数の単回単位用量として、もしくは複数回用量形態で、調製し、包装し、またはまとめて販売し得る。本明細書において使用する場合、「単位用量」は、所定の量の活性成分を含めた薬学的組成物の別々の量である。各単位用量中の活性成分の量は一般に、投与される活性成分の総量、または総投与量の便利な一部(例えば、このような投与量の2分の1もしくは3分の1など)と等しい。経口投与に適した本発明の薬学的組成物の処方物は、別々の固体投与単位の形態でよい。各固体投与単位は、所定の量の活性成分、例えば、単位用量またはその一部を含有する。本明細書において使用する場合、「油性」液体は、水より極性が低い炭素またはケイ素をベースとする液体を含むものである。このような薬学的剤形において、活性剤は好ましくは、それゆえ1種以上の薬学的に許容されるキャリア(複数可)および必要に応じて任意の他の治療成分と一緒に利用される。キャリア(複数可)は、処方物の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに対して過度に有害でないという意味で薬学的に許容されなくてはならない。本発明の組成物は、単位剤形で提供することができ、各投与単位、例えば、茶匙、錠剤、カプセル剤、液剤、または坐剤は、単独でまたは他の薬学的活性剤との適当な組合せで、所定の量の活性薬物またはプロドラッグを含有する。「単位剤形」という用語は、ヒトおよび動物被験体のための単位投与量として適した物理的に個別の単位を意味し、各単位は、単独で、または他の活性剤との組合せで、所望の効果を生じさせるのに十分な量で計算した所定の量の本発明の組成物を含有する。
本薬学的組成物の剤形は、当技術分野で公知の技術によって調製され、治療有効量の活性化合物または成分を含有することができる。公知または今後開発される任意の技術を、本発明による薬学的組成物または処方物の調製のために使用し得る。一般に、調製は、活性成分をキャリアまたは1種以上の他のさらなる構成成分と合わせ、次いで、必要に応じてまたは望ましい場合、生成物を所望の単回用量または複数回用量単位に形状化(shaping)または包装することを含む。本発明による粉末状および顆粒状処方物は、公知の方法または今後開発される方法を使用して調製し得る。このような処方物は、被験体に直接投与してもよく、あるいはこのような処方物を使用して、例えば、錠剤、充填カプセル剤を形成させ、またはそこに水性もしくは油性ビヒクルを加えることによって水性もしくは油性懸濁剤もしくは液剤を調製してもよい。錠剤は、必要に応じて1種以上の補助成分と共に、圧縮もしくは成形によって、または湿式造粒によって作製し得る。圧縮錠剤は、適切なデバイス中で、易流動性形態(粉末状調製物または顆粒状調製物など)の活性成分を圧縮することによって調製し得る。成形錠剤は、適切なデバイス中で、活性成分、薬学的に許容されるキャリア、および混合物を湿らせるための少なくとも十分な液体の混合物を成形することによって作製し得る。錠剤はコーティングしなくてもよく、または当技術分野において公知の方法もしくは今後開発される方法を使用してコーティングしてもよい。コーティングされた錠剤は、例えば、腸溶性コーティングを使用することによって、被験体の消化管における遅延性崩壊のために処方され、それによって活性成分の持続放出および吸収を提供し得る。錠剤は、薬学的に洗練されて口当たりの良い調製物を提供するための成分をさらに含んでもよい。活性成分を含めた硬質カプセル剤を、生理学的に分解可能な組成物(ゼラチンなど)を使用して作製し得る。このような硬質カプセル剤は、活性成分を含む。活性成分を含んだ軟質ゼラチンカプセル剤は、生理学的に分解可能な組成物(ゼラチンなど)を使用して作製し得る。このような軟質カプセル剤は、水または油媒体と混合してもよい活性成分を含む。投与に適した本発明の薬学的組成物の液体処方物は、液体形態で、または使用前に水または別の適切なビヒクルと再構成することを意図した乾燥生成物の形態で、調製し、包装し、販売し得る。活性成分が水性もしくは油性ビヒクルに分散している液体懸濁剤、および活性成分が水性もしくは油性ビヒクルに溶解している液剤は、従来の方法または今後開発される方法を使用して調製し得る。活性成分の液体懸濁剤は、水性もしくは油性ビヒクル中にあってもよい。活性成分の液剤は、水性もしくは油性ビヒクル中にあってもよい。このような薬学的剤形を調製するために、活性成分、例えば、ナフトフランを、従来の薬学的配合技術によって薬学的キャリアと密接に混合することができる。キャリアは、投与のために望ましい調製の形態によって多種多様の形態を取り得る。経口剤形の組成物の調製において、通常の薬学的媒体のいずれかを用いてもよい。
本発明によるいくつかの実施形態において、製造のアイテムは、式Iによる化合物を含む治療有効量の薬学的組成物を含有する容器を含む。容器は、薬学的に許容される添加剤を含んでもよい。容器は、印刷されたラベルの説明書を含んでもよい。例えば、印刷されたラベルは、薬学的組成物が投与されるべき投与量および頻度、ならびに組成物を食物と共に投与すべきか、または食物摂取の前もしくは後の定められた期間内で投与すべきかについて示すことができる。組成物は、組成物と著しく相互作用しない、剤形を保持および分配することができる任意の適切な容器中に含有することができる。ラベルの説明書は、本明細書に記載されている処置方法と一致することができる。ラベル(labeling)は、容器と、その2つの物理的近接を維持する手段によって、関連し得る。非限定的例として、容器およびラベルは両方とも、包装材料(ボックスもしくはプラスチックの収縮包装など)中に含有されていてもよく、あるいはラベルの説明書をおおい隠さない(does not obscure)接着剤または他の結合手段もしくは保持手段などにより容器に結合している説明書と関連してもよい。
選択された粒径分布を有する薬学的処方物を作製し、最適な粒径分布を同定するためのプロセス
粉砕プロセス
本発明による方法において、粉砕プロセスまたは磨砕プロセスを使用して、式Iによる活性成分または化合物の粒径を縮小させることができる。例えば、粉砕プロセスまたは磨砕プロセスは、200μm以上、150μm以上、100μm以上、40μm以上、20μm以上、5μm以上、2μm以上または200μm以下、150μm以下、100μm以下、40μm以下、20μm以下、5μm以下、2μm以下の径のメジアン径を有する粒子を生成するのに適していてもよい。このような粉砕プロセスまたは磨砕プロセスには、例えば、ボールミル粉砕、ロールミル粉砕、ジェットミル粉砕、湿式粉砕、超音波粉砕、磨砕、および組合せを含むことができる。例えば、このプロセスは、粒子を硬い表面と強く接触させる(impacting)ことによって、または粒子を高圧に供する、例えば、粒子を2つの表面の間に圧搾することによって、粒径を縮小させることができる。例えば、ジェットミル粉砕において、ガス流は粒子を運び出して、高速に加速する。次いで、粒子は他の粒子および壁に強く接触し、より小さな粒子に破砕する。例えば、湿式粉砕において、粒子は液体と混合され、結果として生じたスラリーは高剪断ミキサーを通過し、粒子を破砕する。例えば、超音波粉砕において、例えば、スラリー中の粒子は、超音波放射に曝露される。超音波によって誘発された空洞形成によって、粒子をより小さな径の粒子に破砕することができる。
粒子を粉砕または磨砕操作に供する前に、粒子の温度を下げることは有利であり得る。例えば、温度は、例えば、粒子を液体窒素などの低温流体に曝露させ、または浸漬するによって極低温に低下させることができる。このように温度を低下させることによって、粒子を、より脆性、および粉砕または磨砕操作において減少した粒径を有するようにより感受性にすることができる。粉砕プロセスまたは磨砕プロセスに続いて、ふるい分けなどの選択プロセスを使用して、粒径の範囲を狭めることができる。
結晶化プロセス
結晶化は、薬物物質を製造するための主要な分離および精製工程である。結晶化をまた利用して、粒径を制御することができる。結晶化の間に得た粒径分布(PSD)は、結晶化の間に起こる様々な機序の組合せ(核生成、成長、凝集、摩擦、破損など)によって影響を受ける。結晶化の間のPSDの制御は、所望の生成物特性を達成するのに極めて重要である。粒径が結晶化の間に一貫して制御されず、所望の規格に合致することができないとき、乾式粉砕などの追加の処理工程を含めることができる。(Braatら、Crystallization:Particle Size Control、Encyclopedia of Pharmaceutical Technology:第3版、2006年10月2日に出版)。
がんを処置するための方法
新生物に苦しめられているヒト、哺乳動物、または動物被験体を処置し、進行を遅延させ、再燃を予防し、症状を軽減し、または別の方法で改善するための本発明による方法は、新生物の容積増加が遅延し、新生物の容積増加が停止し、新生物の容積が減少し、かつ/またはがん性新生物が死滅するように、所定の粒径分布の粒子、例えば、式Iによる化合物(化合物1、純粋な化合物、純粋な生成物および/または純粋な薬学的組成物など)を含む治療有効量の薬学的組成物を投与する工程を含む。この方法による処置の影響を受けやすい可能性があるタイプの新生物の数例には、固形腫瘍、悪性腫瘍、がん、転移性腫瘍、がん幹細胞含めた新生物、STAT3経路が関連付けられる新生物、癌腫、および肉腫が含まれる。式Iによる化合物の粒子の投与による処置の影響を受けやすい可能性があるがんの包括的でない一覧には、下記が含まれる:乳がん、頭頸部がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、結腸直腸癌、前立腺がん、黒色腫、肉腫、肝臓がん、脳腫瘍、白血病、多発性骨髄腫、胃がん、およびリンパ腫。STAT3経路を、これらのがんにおいて関連付けてもよい。例えば、式Iによる化合物の粒子の投与による処置の影響を受けやすい可能性があるがんの包括的でない一覧には、下記が含まれる:結腸直腸がん、乳がん、卵巣がん、肺がん、黒色腫および髄芽腫。CSC経路を、これらのがんにおいて関連付けてもよい。例えば、式Iによる化合物の粒子の投与による処置の影響を受けやすい可能性がある他のがんの包括的でない一覧には、下記が含まれる:肺がん、子宮頸がん、腎細胞癌、肝細胞癌、食道がん(esophagael cancer)、神経膠腫、膀胱がん、結腸直腸がん、乳がん、前立腺がん、膵臓がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、胆管がん、骨がん、眼がん(網膜芽細胞腫)、胆嚢がん、下垂体がん、直腸がん、唾液腺がん、および鼻咽頭がん(nasal pharyngeal cancer)。
がん幹細胞
近年に至って、腫瘍化の新規なモデルは、広範な許容性を獲得してきたが、ここでは全腫瘤の小さな画分のみが腫瘍内の腫瘍原性活性に関与していることを仮定しており、一方、古いまたはクローンの遺伝子モデルは、全ての変異した腫瘍細胞が等しくこのような腫瘍原性活性の一因となることを推測する。新規なモデルによる腫瘍原性細胞のこの小さな画分は、幹細胞様の質を有する形質転換細胞であり、「がん幹細胞」(CSC)と称される。BonnetおよびDickは、1990年代に、インビボで、急性骨髄性白血病(AML)におけるCSCの存在を最初に示した。彼らのデータは、ヒトAML細胞の小さな亜集団のみが、免疫不全マウス中に移植されたときに、AMLを伝達する能力を有し、一方、他のAML細胞は白血病を誘発することができなかったことを示した。その後、これらのCSCは、原始造血幹細胞として同じ細胞マーカーであるCD34+/CD38−を有することを示した。(Bonnet, D.、Normal and leukaemic stem cells.、Br J Haematol、2005年、130巻(4号):469〜79頁)。それ以来、研究者らは、脳がん、乳房がん、皮膚がん、前立腺がん、結腸直腸がんなどの腫瘍を含めて腫瘍の様々なタイプにおいて確証的にCSCを見出した。
腫瘍化のCSCモデルは、腫瘍移植を確立するために、なぜ数万または数十万の腫瘍細胞を実験動物に注入する必要があるかを説明する。ヒトAMLにおいて、これらの細胞の発生頻度は、10,000個中で1個未満である。(Bonnet, D.およびJ.E. Dick、Human acute myeloid leukemia is organized as a hierarchy that originates from a primitive hematopoietic cell.、Nat Med、1997年、3巻(7号):730〜7頁)。所与の腫瘍細胞集団において、まれではあるがこのような細胞は、殆ど全ての腫瘍タイプにおいて存在するという増えつつある証拠が存在する。しかし、がん細胞系は、組織培養において増殖するように特に適応されたがん細胞の亜集団から選択されるため、がん細胞系の生物学的および機能特性は、劇的な変化を起こすことができる。したがって、全てのがん細胞系がCSCを含有するとは限らない。
がん幹細胞は、正常な幹細胞と多くの同様の形質を共有する。例えば、CSCは、限定された数の分裂とは対照的に、自己複製能力、すなわち典型的には他の分裂腫瘍細胞より遅い速度でさらなる腫瘍原性がん幹細胞を生じさせる能力を有する。CSCはまた、複数の細胞型に分化する能力を有し、これは、多くの腫瘍が宿主の器官に由来する複数の細胞型を含有するだけでなく、腫瘍転移において異種性(heterogeneity)が一般に保持されているという組織学的証拠を説明する。CSCは、腫瘍化、がんの転移、およびがんの再発に基本的に関与していることが示されてきた。CSCはまた、腫瘍開始細胞、がん幹様細胞、幹様がん細胞、高度に腫瘍原性の細胞、腫瘍幹細胞、固形腫瘍幹細胞、または超悪性細胞と称される。
がん幹細胞の存在は、将来のがん処置および療法に対して基礎的関連を有する。これらの関連は、疾患同定、選択的薬物ターゲティング、がん転移および再発の予防、ならびにがんとの戦いにおける新規な戦略の開発において顕在化する。
現在のがん処置の効力は、試験の初期段階において、腫瘍縮小のサイズ、すなわち、死滅した腫瘤の量によって評価されることが多い。CSCは腫瘍の非常に小さな割合を形成し、CSCのより分化した後代より著しく異なる生物学的特徴を有するため、腫瘤の測定は、幹細胞に特異的に作用する薬物を必ずしも選択し得ない。実際は、がん幹細胞は放射線療法(XRT)に対して抵抗性であるようであり、また化学療法剤および標的化薬物に対して難治性である。(Hambardzumyan, D.、M. Squatrito、およびE.C. Holland、Radiation resistance and stem−like cells in brain tumors.、Cancer Cell、2006年、10巻(6号):454〜6頁;Baumann, M.、M. Krause、およびR. Hill、Exploring the role of cancer stem cells in radioresistance.、Nat Rev Cancer、2008年、8巻(7号):545〜54頁;Ailles, L.E.およびI.L. Weissman、Cancer stem cells in solid tumors.、Curr Opin Biotechnol、2007年、18巻(5号):460〜6頁)。正常な体性幹細胞は、化学療法剤に天然で抵抗性である。正常な体性幹細胞は、薬物、およびDNA修復タンパク質を排除する様々なポンプ(MDRなど)を有する。さらに、化学療法剤は急速に複製する細胞を標的とする一方、正常な体性幹細胞はまた、低速の細胞の代謝回転を有する。正常な幹細胞の変異したカウンターパートであるがん幹細胞はまた、薬物療法および放射線処置を生き残ることを可能とする同様の機序を有し得る。すなわち、従来の化学療法および放射線療法は、新たな高度に腫瘍原性のがん幹細胞を生じさせることができない大量の腫瘍を形成する分化した細胞または分化している細胞を死滅させる。他方、分化した細胞および分化している細胞を生じさせるがん幹細胞の集団は、放置され、疾患の再燃をもたらすことができた。従来の抗がん療法についてのさらなる危険は、化学療法処置が化学療法抵抗性のがん幹細胞のみを残し、続いて起こる再発性腫瘍はまた化学療法に対して抵抗性である可能性があるということである。
生存しているがん幹細胞は腫瘍を再生息させ、再燃をもたらし得るため、抗がん療法はCSCに対する戦略を含むということは避けられない(図18を参照されたい)。これはタンポポが再成長するのを防止するために、たとえ雑草の地表面の塊が切断されていても根を除去することと類似している。(Jones, R.J.、W.H. Matsui、およびB.D. Smith、Cancer stem cells:are we missing the target?、J Natl Cancer Inst、2004年、96巻(8号):583〜5頁)。がん幹細胞を選択的に標的にすることによって、攻撃的な切除可能でない腫瘍および難治性または再発性がんを有する患者を処置し、ならびに腫瘍転移および再発を予防することが可能となる。がん幹細胞を標的とする特異的療法の開発は、特に転移性がんに苦しんでいる人のために、がん患者の生存および生活の質を改善し得る。この未開発の潜在性を解き明かす手掛かりは、がん幹細胞の自己複製および生存のために選択的に重要である経路の同定および検証である。残念ながら、がんにおける腫瘍化、または胚性幹細胞および成体幹細胞における自己複製の根底にある複数の経路は過去に解明されてきたが、がん幹細胞の自己複製および生存について、同定および検証されてきた経路は殆どなかった。
がん幹細胞の同定および単離についてのたくさんの研究がまた存在している。使用される方法は、CSCが薬物を流出させる能力を主に活用し、またはがん幹細胞と関連する表面マーカーの発現に基づいている。
例えば、CSCは多くの化学療法剤に抵抗性なため、CSCがABCG2(BCRP−1)などの薬物流出ポンプを殆ど遍在的に過剰発現することは驚くにはあたらない(Ho, M.M.ら、Side population in human lung cancer cell lines and tumors is enriched with stem−like cancer cells.、Cancer Res、2007年、67巻(10号):4827〜33頁;Wang, J.ら、Identification of cancer stem cell−like side population cells in human nasopharyngeal carcinoma cell line.、Cancer Res、2007年、67巻(8号):3716〜24頁;Haraguchi, N.ら、Characterization of a side population of cancer cells from human gastrointestinal system.、Stem Cells、2006年、24巻(3号):506〜13頁;Doyle, L.A.およびD.D. Ross、Multidrug resistance mediated by the breast cancer resistance protein BCRP(ABCG2).、Oncogene、2003年、22巻(47号):7340〜58頁;Alvi, A.J.ら、Functional and molecular characterisation of mammary side population cells.、Breast Cancer Res、2003年、5巻(1号):R1〜8頁)、および他のATP結合カセット(ABC)スーパーファミリーメンバー(Frank, N.Y.ら、ABCB5−mediated doxorubicin transport and chemoresistance in human malignant melanoma.、Cancer Res、2005年、65巻(10号):4320〜33頁;Schatton, T.ら、Identification of cells initiating human melanomas.、Nature、2008年、451巻(7176号):345〜9頁)。したがって、造血幹細胞および白血病性幹細胞を富化するために当初使用されたサイドポピュレーション(SP)技術をまた用いて、CSCを同定および単離した。(Kondo, T.、T. Setoguchi、およびT. Taga、Persistence of a small subpopulation of cancer stem−like cells in the C6 glioma cell line.、Proc Natl Acad Sci U S A、2004年、101巻(3号):781〜6頁)。Goodellらによって最初に記載されたこの技術は、Hoechst33342などの蛍光色素の識別的ABC輸送体依存性流出を利用して、CSC中に富化された細胞集団を明らかにし(define)そして単離する(Doyle, L.A.およびD.D. Ross、Multidrug resistance mediated by the breast cancer resistance protein BCRP(ABCG2).、Oncogene、2003年、22巻(47号):7340〜58頁;Goodell, M.A.ら、Isolation and functional properties of murine hematopoietic stem cells that are replicating in vivo.、J Exp Med、1996年、183巻(4号):1797〜806頁)。具体的には、SPは薬物流出をベラパミルで遮断することによって明らかとなり、この時点で、色素をSPからもはや排除することができない。
研究者らはまた、がん幹細胞を大量の腫瘍から区別する特異的マーカーを見出すことに焦点を当ててきた。がん幹細胞によって最も一般に発現されている表面マーカーには、CD44、CD133、およびCD166が含まれる。(Collins, A.T.ら、Prospective identification of tumorigenic prostate cancer stem cells.、Cancer Res、2005年、65巻(23号):10946〜51頁;Li, C.ら、Identification of pancreatic cancer stem cells.、Cancer Res、2007年、67巻(3号):1030〜7頁;Ma, S.ら、Identification and characterization of tumorigenic liver cancer stem/progenitor cells.、Gastroenterology、2007年、132巻(7号):2542〜56頁;Prince, M.E.ら、Identification of a subpopulation of cells with cancer stem cell properties in head and neck squamous cell carcinoma.、Proc Natl Acad Sci U S A、2007年、104巻(3号):973〜8頁;Ricci−Vitiani, L.ら、Identification and expansion of human colon−cancer−initiating cells.、Nature、2007年、445巻(7123号):111〜5頁;Singh, S.K.ら、Identification of a cancer stem cell in human brain tumors.、Cancer Res、2003年、63巻(18号):5821〜8頁;Dalerba, P.ら、Phenotypic characterization of human colorectal cancer stem cells.、Proc Natl Acad Sci U S A、2007年、104巻(24号):10158〜63頁)。これらの表面マーカー(複数可)の発現差異に主に基づいて腫瘍細胞を選別することによって、現在まで記載された高度に腫瘍原性のCSCの大部分について明らかにされてきた。したがって、これらの表面マーカーは、がん細胞系からおよび大量の腫瘍組織からのがん幹細胞の同定および単離についてよく検証されている。
最近の研究は、腫瘍を再び生じさせる独占的能力を有するがん幹細胞(CSC)の存在を明らかにしてきた。これらのCSCは、殆ど全ての腫瘍タイプに存在し、継続した悪性増殖、がん転移、再発、および制がん剤(cancer drug)抵抗性と機能的にリンクしている。CSCおよびCSCのより分化した後代は、著しく異なる生物学的特徴を有するようである。従来の制がん剤スクリーニングは、腫瘤の量の測定に依存し、したがって、CSCに特異的に作用する薬物を必ずしも選択し得ない。実際は、CSCは、標準的化学療法および放射線療法に対して抵抗性であり、標準的抗がん処置の後で富化されることが示されてきたが、これはがんの難治性および再発をもたらす。これらの細胞を単離する方法には、これらだけに限定されないが、Hoechst33342を流出させるこれらの細胞の能力による同定、これらの細胞が発現している表面マーカー(CD133、CD44、CD166、および他など)による同定、ならびにこれらの細胞の腫瘍原性特性による富化が含まれる。がん幹細胞を腫瘍化と結びつける増えつつある証拠は、がん幹細胞を標的とするおびただしい治療の機会を解明する。
CSC研究における最近のブレークスルーと合わせた本明細書において提供するデータによって、本発明が、CSCの阻害を対象とした数々の方法、CSCおよび異種がん細胞の両方を阻害することを対象とした方法、ならびに特にCSCを有するがん、または一般にがんを処置する方法を提供することを可能とする。本発明はまた、関連する方法(例えば、製造および薬物候補のスクリーニング)、材料、組成物ならびにキットを提供する。上記方法は、腫瘍原性CSC細胞に分裂することによってその数を補充することがもはやできないように、CSCが自己複製することを防止することができる。または、上記方法は、CSCにおいて、またはCSCおよび異種がん細胞の両方において細胞死を誘発することができる。
この方法は、被験体のがんを処置するために使用することができる。このような処置のための良好な候補であるがんには、これらに限定されないが、乳がん、頭頸部がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、結腸直腸癌、前立腺がん、腎細胞癌、黒色腫、肝細胞癌、子宮頸がん、肉腫、脳腫瘍、胃がん、多発性骨髄腫、白血病、およびリンパ腫が含まれる。いくつかの実施形態において、上記方法は、肝臓がん、頭頸部がん、膵臓がん、および/または胃がんを処置するために使用される。いくつかの実施形態において、上記方法は、多発性骨髄腫、脳腫瘍、および肉腫を処置するために使用される。
さらに、CSCは腫瘍化、がんの転移およびがんの再発に基本的に関与していることが示されてきたため、CSC、またはCSCおよび異種がん細胞の両方を阻害することを対象とする本発明の任意の方法を実施して、転移性であり、化学療法もしくは放射線療法に対して難治性であり、または最初の処置の後に被験体において再燃したがんを処置することができる。
いくつかの実施形態において、本発明によるがん幹細胞阻害剤は、式1の化合物、化合物1、化合物1の多形、図1に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形、図2に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形、少なくとも約10.2°の2θにおけるピーク、少なくとも約11.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.1°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約17.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約22.2°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.1°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形、図3に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形、少なくとも約7.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約9.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約12.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約15°の2θにおけるピーク、少なくとも約23°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約24.6°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.4°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、リン酸モノ−[1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニル]エステル、リン酸1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニルエステルジメチルエステル、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、およびその塩または溶媒和物;式1の化合物、化合物1、化合物1の多形、図1に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形、図2に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形、少なくとも約10.2°の2θにおけるピーク、少なくとも約11.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.1°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約17.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約22.2°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.1°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形、図3に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形、少なくとも約7.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約9.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約12.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約15°の2θにおけるピーク、少なくとも約23°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約24.6°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.4°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、リン酸モノ−[1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニル]エステル、リン酸1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニルエステルジメチルエステル、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、およびその塩または溶媒和物の多形;または式1の化合物、化合物1、化合物1の多形、図1に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形、図2に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形、少なくとも約10.2°の2θにおけるピーク、少なくとも約11.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.1°の2θにおけるピーク、少なくとも約14.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約17.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約22.2°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.1°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形、図3に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形、少なくとも約7.5°の2θにおけるピーク、少なくとも約9.9°の2θにおけるピーク、少なくとも約12.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約15°の2θにおけるピーク、少なくとも約23°の2θにおけるピーク、少なくとも約23.3°の2θにおけるピーク、少なくとも約24.6°の2θにおけるピーク、および少なくとも約28.4°の2θにおけるピークならびに任意のこれらの組合せからの2つ以上のピークを含むX線回折パターンによって特徴付けられる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの多形、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、リン酸モノ−[1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニル]エステル、リン酸1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニルエステルジメチルエステル、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、およびその塩または溶媒和物の実質的に純粋な形態;2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、リン酸モノ−[1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニル]エステル、リン酸1−(4,9−ジオキソ−3a,4,9,9a−テトラヒドロ−ナフト[2,3−b]フラン−2−イル)−ビニルエステルジメチルエステル、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、およびその塩または溶媒和物の粒子の形態である(本明細書において「本発明の化合物」ともまた称される)。
本発明は、がん幹細胞を阻害することができる薬物候補を同定する方法を提供する。いくつかの実施形態において、薬物候補は、CSCの細胞死を誘発し、またはCSCの自己複製を少なくとも阻害することができる。さらなる実施形態において、薬物候補は、CSCの細胞死を誘発し、またはCSCの自己複製を少なくとも阻害し、および異種がん細胞の細胞死を誘発することができる。その経路における様々な相を、薬物候補をスクリーニングするための標的とすることができる。
したがって、別の態様において、本発明の化合物を使用して、障害または状態を処置または予防するための薬学的組成物を処方することができる。障害のいくつかには、これらに限定されないが、自己免疫疾患、炎症性疾患、炎症性腸疾患、関節炎、自己免疫性脱髄障害、アルツハイマー病、発作、虚血再灌流傷害および多発性硬化症が含まれる。障害のいくつかはがんであり、これらに限定されないが、様々なタイプの乳がん、頭頸部がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、結腸直腸癌、前立腺がん、腎細胞癌、黒色腫、肝細胞癌、子宮頸がん、肉腫、脳腫瘍、胃がん、多発性骨髄腫、白血病、およびリンパ腫が含まれる。
したがって、一態様では、本発明は、有効量の本発明の化合物をがん幹細胞に投与する、がん幹細胞を阻害する方法を提供する。CSCを有することが公知のがんは、このような処置のための良好な候補であり、これらに限定されないが、様々なタイプの乳がん、頭頸部がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、結腸直腸腺癌、前立腺がん、肝臓がん、黒色腫、多発性骨髄腫、脳腫瘍、肉腫、髄芽腫、および白血病が含まれる。
さらに、CSCは、腫瘍化、がんの転移およびがんの再発に基本的に関与していることが示されてきたため、CSCを阻害することを対象とした本発明の任意の方法を行って、転移性であり、化学療法もしくは放射線療法に対して難治性であり、または最初の処置の後に被験体において再燃したがんを処置することができる。
上記方法のいくつかの実施形態において、処置を受けるがんは、下記の群から選択される:肝臓がん、結腸がん、頭頸部がん、膵臓がん、胃がん、腎臓がん、肉腫、多発性骨髄腫、転移性乳がん、転移性前立腺がん、白血病、リンパ腫、膵臓がん、食道がん(pancreatic esophageal cancer)、脳腫瘍、神経膠腫、膀胱がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、胆管がん、骨がん、眼がん(網膜芽細胞腫)、胆嚢がん、下垂体がん、直腸がん、唾液腺がん、および鼻咽頭がん。
一態様では、本発明は、本発明の化合物を含む治療有効量の薬学的組成物を、被験体に投与する、被験体においてがんを処置する方法を提供する。がんは、転移性であり得る。被験体は、哺乳動物、例えば、ヒトでよい。
新生物を患っている被験体(患者)に、例えば、式Iによる化合物の粒子の投与による処置を、下記の状態について示し得る。新生物は、化学療法、放射線療法、またはホルモン療法による治療に対して難治性であり得る。新生物は、外科的切除の影響を受けにくい場合がある。新生物は、被験体(患者)において再燃し得る。がん幹細胞は、新生物の再燃において関連付けられてきた。本発明による方法によりがん幹細胞を死滅させるかまたはこれらの自己複製を阻害することにより、新生物がそれ自体再び生じることを予防し得る。ナフトフランの粒子の投与による処置は、例えば、新生物性細胞の死滅を誘発し、その増殖および/もしくは分裂を阻害し、ならびに/または選択的に死滅させることによって、新生物の容積増加を遅延もしくは停止させ、または新生物の容積を減少させ得る。例えば、本発明による治療は、新生物の細胞の細胞死を誘発し得る。例えば、処置は、新生物性細胞のSTAT3経路を阻害するように作用し得る。
新生物を患っている被験体(患者)への、例えば、本発明の化合物の粒子の投与による処置は、新生物の再燃を予防するために、および/または外科的切除に対するアジュバント療法として使用し得る。
例えば、本発明の化合物の粒子を含めた薬学的組成物は、これは便利な形態の処置であるため、経口で投与し得る。例えば、薬学的組成物は、1日4回以下経口で投与し得る。代わりに、薬学的組成物は、静脈内または腹腔内に投与することができる。
本発明による方法において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた薬学的組成物の治療有効量は、約20mg〜約2000mg、約100mg〜約1500mg、約160mg〜約1400mg、または約180mg〜1200mgの範囲の総1日用量でよい。いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた薬学的組成物の治療有効量は、約200mg〜約1500mg、または約360mg〜1200mgの範囲の総1日用量である。いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた薬学的組成物の治療有効量は、約400mg〜約1000mgの範囲の総1日用量である。いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた薬学的組成物の治療有効量は、約1000mgの総1日用量である。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、1日用量が単回で投与される。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、約20mgの1日1回〜約2000mgの1日1回の範囲の1日用量が単回で投与される。いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、約20mgの1日1回〜約1000mgの1日1回の範囲の1日用量が単回で投与される。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、1日用量が複数回に分けて投与される(administered in more than one daily dose)。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、1日用量が2回に分けて投与され、総1日用量は、約160mg〜1400mgの範囲にある。いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、1日用量が2回に分けて投与され、総1日用量は、約320mg〜1200mgの範囲にある。いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、1日用量が2回に分けて投与され、総1日用量は、約400mg〜1000mgの範囲にある。いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、1日用量が2回に分けて投与され、総1日用量は、約1000mgである。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、1日用量が2回に分けて投与され、各用量は、約80mg〜1000mgの範囲にある。いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、1日用量が2回に分けて投与され、各用量は、約160mg〜600mgの範囲にある。いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、1日用量が2回に分けて投与され、各用量は、約200mg〜約500mgの範囲にある。いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、1日用量が2回に分けて投与され、各用量は、約500mgである。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、1日用量が3回に分けて投与され、総1日用量は、約240mg〜約1500mgの範囲にある。いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、1日用量が3回に分けて投与され、総1日用量は、約480mg〜約1500mgの範囲にある。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、1日用量が3回に分けて投与され、各用量は、約80mg〜500mgの範囲にある。いくつかの実施形態において、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた治療有効量の薬学的組成物は、1日用量が3回に分けて投与され、各用量は、160mg〜500mgの範囲にある。
本発明の化合物またはその薬学的組成物は、経路、例えば、経口、静脈内、もしくは腹腔内経路のいずれかの1つによって、またはそれらの経路の組合せによって投与することができる。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、経口で投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、GelucireおよびTween80を含む処方物で経口で投与することができる。
本発明の化合物は、被験体、例えば、患者において、少なくとも2時間から24時間以下の時間にわたり、少なくとも約0.002μM〜約30μMの範囲の化合物の血中濃度を達成する用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、被験体において、少なくとも2時間から24時間以下の時間にわたり、少なくとも約0.2μM〜約1μMの範囲の、少なくとも2時間および24時間未満にわたり、約0.2μM以上、約0.5μM以上、約1.0μM以上、約1.5μM以上、約2.0μM以上、約2.5μM以上、約3.0μM以上、約4.0μM以上、約5.0μM以上、約6.0μM以上、約7.0μM以上、約8.0μM以上、約9.0μM以上、約10.0μM以上、約15.0μM以上の、化合物の血中濃度を達成する用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、被験体において、少なくとも2時間および24時間未満にわたり、約1.0μM以上、約1.5μM以上、約2.0μM以上、約3.0μM以上、約5.0μM以上、約10.0μM以上、約15.0μM以上の、化合物の血中濃度を達成する用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、被験体において、少なくとも2時間および24時間未満にわたり、約2.0μM以上、約3.0μM以上、約5.0μM以上、約10.0μM以上の、化合物の血中濃度を達成する用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、被験体において、少なくとも2時間および24時間未満にわたり、約3.0μM以上、または約5.0μM以上の、化合物の血中濃度を達成する用量で投与することができる。
本発明の化合物は、被験体、例えば、患者において、24時間で少なくとも約0.002μM.h〜約300μM.hの範囲の化合物の血中濃度を達成する用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、被験体において、少なくとも2時間および24時間未満にわたり、約0.2μM以上、約0.5μM以上、約1.0μM以上、約1.5μM以上、約2.0μM以上、約2.5μM以上、約3.0μM以上、約4.0μM以上、約5.0μM以上、約6.0μM以上、約7.0μM以上、約8.0μM以上、約9.0μM以上、約10.0μM以上、約15.0μM以上の、24時間の曲線下面積(AUC24)を達成する用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、被験体において、少なくとも2時間および24時間未満にわたり、約1.0μM以上、約1.5μM以上、約2.0μM以上、約3.0μM以上、約5.0μM以上、約10.0μM以上、約15.0μM以上の、化合物の血中濃度を達成する用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、被験体において、少なくとも2時間および24時間未満にわたり、約2.0μM以上、約3.0μM以上、約5.0μM以上、約10.0μM以上の、化合物の血中濃度を達成する用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、被験体において、少なくとも2時間および24時間未満にわたり、約3.0μM以上、または約5.0μM以上の、化合物の血中濃度を達成する用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、被験体において、約2μM*時間以上、約10μM*時間以上、約20μM*時間以上、約30μM*時間以上、約40μM*時間以上、約50μM*時間以上、約60μM*時間以上、約70μM*時間以上、約80μM*時間以上、約90μM*時間以上、約100μM*時間以上、約125μM*時間以上、約150μM*時間以上、約200μM*時間以上、約250μM*時間以上、約300μM*時間以上、約400μM*時間以上、および約500μM*時間以上の24時間の曲線下面積(AUC0〜24時間)を達成する用量で投与することができる。
被験体(患者)の状態がそれを必要とする場合、薬学的組成物の用量は、連続またはパルス状注入として投与し得る。処置の期間は、利益が持続する限り数十年、数年、数カ月、数週間、または数日間でよい。上記の範囲はガイドラインとしてのみ提供し、それは、最適化に供せられる。
本発明による方法において、化合物の血液モル濃度が、有効な期間と少なくとも同じ長さであって有害な期間より短い第1の連続した期間にわたり、少なくとも有効濃度であって有害な濃度未満である場合、新生物の細胞は、薬学的組成物を投与することによって選択的に死滅する。血液モル濃度は、第1の連続した期間の後は有効濃度未満でよい。有効濃度は、新生物性細胞、例えば、がん細胞が死滅するように、十分に高い濃度でよい。有効な期間は、新生物性細胞、例えば、がん細胞が死滅するように、十分に長くてよい。有害な濃度は、正常細胞が損傷または死滅する濃度でよい。有害な期間は、正常細胞が損傷または死滅するのに十分に長い期間でよい。例えば、有効濃度は、約0.02μM以上、約0.05μM以上、約0.1μM以上、約0.2μM以上、約0.5μM以上、約1μM以上、約3μM以上、約10μM以上または約20μM以上でよい。例えば、有害でない濃度は、約3μM以下、約10μM以下、約14μM以下、約30μM以下、または約100μM以下でよい。例えば、有効な期間は、約2時間、約4時間、約6時間、約12時間、約24時間、または約48時間以上でよい。例えば、正常細胞のための有害でない曝露を達成するために、化合物1の薬物濃度は、約12時間以内、約24時間内に血液から実質的に取り除かれなければならない。「血液からの実質的な除去」とは、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約90%までの薬物血中濃度の減少を意味する。例えば、有効濃度は、化合物をある期間投与するときに、がん細胞のIC50を超える濃度でよい。例えば、有効な期間は、化合物を少なくとも有効濃度で投与するときにがん細胞が選択的に阻害または死滅する期間でよい。例えば、有害な濃度は、化合物を任意の期間投与するときに、正常細胞のIC50を超える濃度でよい。例えば、有害な期間は、化合物を有効濃度で投与するときに正常細胞およびがん細胞が阻害または死滅する期間でよい。
新生物性細胞(がん細胞など)の選択的死滅、および正常細胞の温存に必要であるとみなされる、本明細書において記載される「選択的薬物動態プロファイル」(SPP)を達成するために、当業者は投与量および頻度を選択することによって薬学的組成物を投与することができる。SPPのこのような考察によってまた、薬学的組成物の設計、例えば、粒子の粒径分布および形状分布を導くことができる。
本発明による方法において、薬学的組成物を、錠剤、丸剤、カプセル剤(硬質もしくは軟質)、カプレット、散剤、顆粒剤、懸濁剤、液剤、ゲル剤、カシェ剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、水中油型乳剤、油中水型乳剤、または飲料などの剤形で経口で投与する。
最適な粒径分布の同定
本発明による方法において、新生物に苦しめられているヒト、哺乳動物、または動物を処置するための式Iによる化合物、化合物1、化合物1の多形、および/または化合物1の実質的に純粋な形態の最適な粒径分布は、下記のように決定することができる。化合物を含む少なくとも1セットの粒子を、調製することができる。1セットの粒子の調製において、例えば、固体化合物の試料の粒径は、例えば、化合物を溶解して溶液を噴霧し、化合物を溶解して溶液を超音波処理し、固体化合物をボールミル粉砕し、固体化合物をロールミル粉砕し、固体化合物を磨砕し、かつ/または固体化合物をふるい分けることによって縮小させることができる。少なくとも1セットの粒子の粒径分布は、当業者に公知の方法または方法の組合せによって決定することができる。例えば、粒径分布は、ふるい分析、光学顕微鏡計数法、電子顕微鏡計数法、電気抵抗計数法、沈降時間、レーザー回折、音響分光法、別の技術、または技術の組合せなどの技術を使用して決定することができる。少なくとも1セットの粒子は、所定の濃度で所定の期間、新生物性細胞および正常細胞に投与することができる。新生物性細胞および正常細胞の代謝、分裂、および/または活力の他の指標に対する粒子の効果を観察することができる。新生物性細胞に対する粒子の観察される効果を使用して、各セットの粒子に有効性レーティングを割り当てることができる。例えば、新生物性細胞の代謝および/もしくは分裂を阻害し、新生物性細胞を損傷もしくは死滅させ、または別の方法で高い抗腫瘍活性を示す1セットの粒子は、高い有効性レーティングを割り当てることができる。正常細胞に対する粒子の観察された効果を使用して、毒性レーティングを各セットの粒子に割り当てることができる。例えば、正常細胞の代謝および/もしくは分裂を阻害し、または正常細胞を損傷もしくは死滅させ、または正常細胞がこのセットの粒子に対して低い忍容性を別の方法で示す1セットの粒子は、高い毒性レーティングを割り当てることができる。
例えば、1セットの粒子を、新生物性細胞および正常細胞にインビトロで投与することができる。例えば、有効性レーティングは、新生物性細胞のIC50と等しく、比例し、またはその単調増加関数でよい。例えば、毒性レーティングは、正常細胞のIC50と等しく、比例し、またはその単調増加関数でよい。
例えば、1セットの粒子を、試験動物の新生物性細胞および正常細胞にインビボで投与することができる。例えば、試験動物は、哺乳動物、霊長類、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、またはイヌでよい。例えば、有効性レーティングは、1セットの粒子を投与した後の、新生物性細胞の容積の減少と等しく、比例し、またはその単調増加関数でよい。例えば、毒性レーティングは、1セットの粒子を投与した後の、試験動物の塊の減少と等しく、比例し、またはその単調増加関数でよい。例えば、1セットの粒子は、臨床試験においてヒトに投与することができる。新生物を処置する方法は、治療有効量の式Iによる化合物、化合物1、化合物1の多形、および/または化合物1の実質的に純粋な形態の1セットの粒子を、新生物に苦しめられているヒト、哺乳動物、または動物に投与する工程を含めてもよい。化合物、式Iによる化合物、化合物1、化合物1の多形、および/または化合物1の実質的に純粋な形態の粒子を、動物もしくはヒトに、または細胞にインビトロで投与する前に、粒子は、薬学的に許容される添加剤に懸濁させることができる。
第1の粒径分布を有する各セットの粒子の有効性レーティングおよび/または毒性レーティングは、第1の粒径分布と異なる粒径分布を有する別のセット(単数または複数)の粒子の有効性レーティングおよび/または毒性レーティングと比較することができる。高い有効性レーティングおよび低い毒性レーティングを有する化合物の1セットの粒子は、新生物性細胞、例えば、がん細胞を阻害することまたは死滅させることにおいて有効であり得るが、正常細胞を温存することができる。当業者は、最適なセットとして、少なくとも1つの他のセットの粒子を超える有効性レーティング、少なくとも1つの他のセットの粒子より低い毒性レーティング、ならびに/または少なくとも1つの他のセットの粒子を超える重み付けした有効性レーティングおよび毒性レーティングの合計を有する1セットの粒子を選択することができる(例えば、有効性レーティングは、正の係数で重み付けすることができ、毒性レーティングは、負の係数で重み付けすることができる)。当業者はまた別の基準を使用して、最適なセットの粒子、例えば、重み付けした有効性レーティングおよび有効性レーティングと毒性レーティングの重み付け比(weighted rate)の合計を有する粒子を選択することができる。最適なセットの粒子の粒径分布は、試験した化合物についての最適な粒径分布と考えることができる。最適な粒径分布は、1つの化合物、例えば、化合物1について、別の化合物、例えば、化合物1ではない式Iによる化合物についての分布とは異なり得る。所与の化合物についての最適な粒径分布は、インビトロでの細胞への、小さな試験動物への、および大きな試験動物への投与によって決定されるとき、異なり得る。しかし、インビトロまたはインビボでの生物への所与の化合物の投与によって決定された最適な粒径分布は、別の化合物についての粒径分布を最適化するため、または別の生物への投与のための合理的な出発点を表し得る。
式Iによる化合物、化合物1、化合物1の多形、および/または化合物1の実質的に純粋な形態の最適なセットの粒子は、新生物性細胞の複製または拡散を減少させるかまたは阻害するための組成物中に含むことができる。
本発明の異なる特徴をさらに例示するために、下記に実施例を提供する。実施例はまた、本発明を実施するための有用な方法論を例示する。これらの実施例は、特許請求された本発明を制限しない。
(実施例1)
ナフトフラン化合物の調製
ナフトフラン化合物(2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン)の調製のための手順を、以下のように要約する。
工程1:臭素化
機械式撹拌機、温度計、および添加漏斗を備えた2リットルの三つ口丸底フラスコに、3−ブテン−2−オン(451.2グラム)を導入する。添加漏斗に、臭素(936.0グラム)を加える。フラスコ中の内容物を−5℃に冷却した後、激しく撹拌し、30分間に亘り温度を−5℃に維持しながら、臭素をフラスコ中に滴下する。混合物を−5℃にてさらに15分間撹拌し、次いで4つの等しい部分に分割する。
工程2 脱臭素化
混合物の各々の部分をテトラヒドロフラン(2133.6グラム)と共に、機械式撹拌機、温度計、および添加漏斗を備えた22リットルの四つ口丸底フラスコに加える。添加漏斗に、DBU(1,3−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、222.9グラム)を導入する。激しく撹拌し、30分間に亘り温度を0℃〜5℃に維持しながら、DBUをフラスコ中に滴下する。混合物を0℃〜5℃でさらに15分間撹拌する。
工程3:カップリング反応
次いで、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトフラン(231グラム)を、フラスコに加える。さらなるDBU(246.0グラム)を添加漏斗中に導入し、次いで反応混合物の温度が40℃を超えないような速度でフラスコ中の混合物に滴下する。DBUの添加が完了した後、このように得られた混合物を室温で一晩撹拌し、反応混合物の試料をHPLC分析のために採取する。
工程4:結晶化
反応混合物に、水(10.8リットル)を導入し、このように得られた混合物を0℃〜3℃に少なくとも30分間冷却し、次いで真空濾過機によって濾過する。濾過した固体を、5%水性重炭酸ナトリウム(3リットル)、水(3リットル)、1%水性酢酸(3リットル)およびエタノール(2回)(2×1リットル)で連続的にすすぐ。
すすいだ固体を保存し、他のバッチからのものと一緒にプールする。合わせた粗生成物(28.73kg)を、酢酸エチル(811.7kg)と共に、機械式撹拌機、温度計、およびコンデンサーを備えた500ガロンの槽に加える。窒素雰囲気下にて、混合物を2時間加熱還流させ(72℃)、次いで活性炭層を含有する10ミクロンのカートリッジフィルターで濾過し、不溶物を除去する。
新鮮な熱い酢酸エチル(10kg)を使用して、槽、トランスファーラインおよびフィルターをすすぐ。合わせた濾液を0〜5℃に冷却し、この温度で2時間保持し、次いで20インチのブフナーフィルターで濾過する。濾過した固体生成物を0〜5℃の酢酸エチル(5.7kg)ですすぎ、40℃にて真空下で一定の重量になるまで乾燥させる。残留する濾液を蒸発によって容積で63%減少させ、結晶化プロセスを再び繰り返し、生成物の第2の収穫物を生じさせ、これをまた生成物の第1の収穫物の場合と同じ条件下で乾燥させた。
1ロットのナフトフラン化合物を、この手順に従って得た。このロットの化合物についての純度は、95.44面積%である(HPLC)。
(実施例2)
ナフトフラン化合物の調製
ナフトフラン化合物(2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン)を調製するための別の手順を、以下のように要約する。
工程1:臭素化
12LのRBF(丸底フラスコ)(UVフィルターによって光から保護)にMVK(2,160ml、26.4mol)を導入し、ドライアイス/アセトン浴中で−9.6℃に冷却した。臭素(1,300ml、25.3mol)を、T=<−2.6℃(Tmax)に維持しながら2時間20分に亘りゆっくりと加えた。このように得られた黄色の混合物を、さらに28分間撹拌した。
工程2:脱臭化水素化
事前冷却したTHF(テトラヒドロフラン)(20L、5ml/gのHNQ(2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン))を有する72LのRBFに上記からの臭素化生成物を導入し、このように得られた溶液を−4.8℃に冷却した。THF(4,200ml)に溶解したDBU(4,200ml、28.1mol)を、T<0.3℃(Tmax)に維持しながら2時間20分に亘りゆっくりと加えた。このように得られた縣濁物を、42分間撹拌した。
工程3:カップリング
2−ヒドロキシ−1,4−ナフトフラン(4,003g、23.0mol)を、−1.8℃で1度に上記からの反応混合物に導入した。第2の部分のDBU(3,780ml、25.3mol)を48分間に亘り加えている間、冷却浴を施して、反応温度を40℃とした。冷却浴を取り除き、反応混合物を空気に曝しながら週末に亘り撹拌した。
工程4:粗材料の単離
事前冷却した水(100L、25ml/gのHNQ)を有する200Lの反応器に、上記からの反応混合物を導入した。このように得られた縣濁物を6.0℃に冷却し、次いでT=3±3℃で約1時間撹拌した。次いで、このように得られた縣濁物を濾過し、集めた固体を200Lの反応器に戻した。
5%NaHCO3水溶液(26L、6.5ml/gのHNQ)中で1時間撹拌した後、縣濁物を濾過した。集めた固体を200Lの反応器に戻し、水(26L)中で1時間撹拌し、次いで濾過した。
湿った固体を200Lの反応器に戻し、1%水性酢酸(26L)中で約1時間撹拌し、濾過し、次いで濾過用漏斗上で水(10L)にて洗浄した。集めた固体を200Lの反応器に戻し、エタノール(17.5L;4.3ml/gのHNQ)中で穏やかに加熱還流した(77.4℃)。このように得られた縣濁物を4.2℃に冷却し、濾過した。
湿った固体を100Lの反応器に移し、エタノール(17.5L;4.3ml/gのHNQ)中で加熱還流した(77.6℃)。このように得られた縣濁物を4.5℃に冷却し、濾過した。湿ったケークを一晩液体除去した。1H NMR試料およびHPLC試料を採取した。1H NMR:化合物1/NDHF(2−アセチル−2,3−ジヒドロナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン)42:58%;HPLC:化合物1/NDHF74:11面積%。
その固体を真空オーブン中で50℃にて4日間に亘り乾燥させ、2,268gの粗化合物1を得た。1H NMR:化合物1/NDHF41:59%;HPLC:化合物1/NDHF67:11面積%。
工程5:ナフトジヒドロフランの酸化
粗化合物1(2.268kg)を、トルエン(77L)中でスラリー化した。MnO2(9536g)を加え、混合物を穏やかに加熱還流した。TLC(1:1EA:ヘキサン)から、1時間後に反応の完了が示された。
次いで、反応混合物を、事前加熱したセライト(1530g、底層)、活性炭(2230g、中層)、およびセライト(932g、最上層)のパッドを通して熱いまま濾過した。黄色〜オレンジ色の濾液を集めた。
濾液をロータリーエバポレーター(rotovap)で概ね1/10容積まで濃縮した。スラリーを濾過し、トルエンで洗浄した。次いで、結晶を50℃で乾燥させ、952g(42%)の暗い黄色の固体を得た。HPLC:99.94%。1H NMRは、ナフトジヒドロフランを示さなかった。
結晶を50℃にて真空下でさらに46〜65時間乾燥させ、材料中の残留トルエンの量を減少させた。
工程6:酢酸エチルによる処理
化合物1(5816g)を、200Lの反応槽に導入した。酢酸エチル(145L、25mL/g)を加え、溶液を2時間26分に亘り加熱還流させた。還流を5時間30分間維持し、次いで混合物を冷却し、17℃に一晩維持した。
スラリーを、ポリエチレンフリット上で濾過した。黄色の結晶を空気乾燥させ、次いで真空オーブン中のトレイに75時間置き、5532g(95.1%収率)の黄色の固体を得た。HPLC:99.86%。1H NMRは、化合物1の構造と一致する。
工程7:酢酸エチルによる再結晶化
2LのRBFに、粗材料(10g)および酢酸エチル(900ml)を導入した。混合物を約77℃で還流し、次いでさらなる酢酸エチル(100ml)を加え、完全な溶解を達成した。このように得られた透明な黄色がかった溶液を約30分間還流させながら撹拌し、次いで加熱器(heating)を取り去った。混合物を室温で一晩撹拌した。
このように得られた縣濁物を濾過し、集めた黄色の固体を漏斗上にて酢酸エチル(30ml)ですすいだ。湿った固体を真空オーブン中で40〜50℃にて4時間に亘り乾燥させ、8.53gの黄色の結晶性生成物を得た(総収率約17%)。
1H NMR:構造と一致;HPLC:99.94面積%;DSC:228.68℃、151J/g。
特に他に明示しない限り、下記の実施例において使用する化合物1は、実施例1におけるように調製した。
(実施例3)
ナフトフラン化合物の微粒子化
例えば、化合物1の結晶を粉砕し、160ミクロン(μm)のふるい(ふるい#100、150μmの開口)を通過させ、概ね160ミクロン以下の結晶を生じさせた。
例えば、化合物1の結晶を、約20ミクロンのメジアン粒径に粉砕した(The Retsch超遠心ミルZM200;単一の通過、18,000rpm、0.25mmのスクリーンを使用)。表3は、結果として生じた粒径分布を表す(Hydro2000S wetアクセサリーを有するMalvern2000)。欄(column)は、欄の見出しにおける添字に示された総累積パーセントにおける最大の粒径を示す。例えば、欄D90は、粒子の90%がそれ以下の粒径を有する粒径を示す。欄D50は、メジアン径(粒子の半分がそれを超える粒径を有し、粒子の半分がそれ以下の粒径を有する)を表す。
例えば、表4に示すように、化合物1の結晶を、ジェットミル粉砕法(4’’ジェットミル、ベンチュリ圧力=40、粉砕圧力=100、送り速度=1304g/時間)を使用して約2ミクロンのメジアン粒径に微粒子化した。粒径分析を、乾燥粒子法(Sympatec Helos/KF粒径分析器)を使用して行った。
粒径分布の対数正規モデルに由来する累積分布関数は、表4において示したデータに良好にフィットした。累積分布関数は、以下によって表され、
式中、erfは、誤差関数であり、dは、粒子直径の変数であり、dメジアンは、メジアン粒径であり、σは、累積分布関数の幅に関連するパラメーターである。CDF(d)は、d以下の粒径を有する粒子の一部を表す。2.07ミクロンの観察されたメジアンにdメジアンを設定し、モデルをフィットさせて、σ=1.06の値を得た。このモデルは、3.6ミクロンの平均直径および0.67ミクロンのモード直径を示した。このモデルはまた2200m2/kgの粒子の比表面積を示唆するが、表面粗さなどの因子を考慮していない。
(実施例4)
2ミクロン、20ミクロン、150ミクロンのメジアン粒径の処方物の、マウスにおける薬物動態
実験において、2ミクロン、20ミクロン、150ミクロンの平均粒径を有する実施例2の工程6において調製された微粒子化した化合物1は、20%Gelucire44/14および1%Tween80中の縣濁物として処方され、経口によりマウスに100mg/kgで投与された。各時点は、3匹のマウスの平均を表す(図16)。
図16に示すように、全てが100mg/kgで投与されたとき、125〜150ミクロンの間の粒径を有する化合物1は、2ミクロンおよび20ミクロン粒子と比較してより低いレベルの曝露を示す一方で、それは同じパターンを示す。20ミクロン(d50)の粒径の化合物1は、マウスにおいて、2ミクロン(d50)の粒径を有する化合物1の用量の場合と同様の血漿曝露を示す。さらに、125〜150ミクロンの化合物1の曝露を倍にした場合、それは2ミクロンおよび20ミクロンのPKグラフと非常に類似したものとなる。
(実施例5)
縮小された粒径を有する処方物は腫瘍増殖のより大きな阻害を示す
本研究において、化合物1は、20ミクロン超の粒径を有する組成物でマウスに投与された場合、効力を示さないか、または弱い効力を示す。しかし、化合物1は、それが5ミクロン未満の粒径の組成物で投与される場合、観察される毒性を伴わずに強力な抗腫瘍活性を有することが見出された。
実験において、160ミクロンまでふるい分けした化合物1の粒子の処方物を、確立された皮下異種移植FaDuヒト頭頸部がんを有する免疫抑制マウスのモデルにおいて試験した。薬学的組成物を、9%Gelucire、20%ビタミンE TPGS中の80mg/mlとして処方した(表3)。図15に示すように、400mg/kgという毎日の経口投与の用量で効力は観察されなかった(ビヒクル対照もまた投与した)。この用量レベルは、図16に示すPK実験において使用したものよりも4倍高い。したがって、これらのマウスは、良好な効力を示す100mg/kgの2ミクロンの化合物1を投与することによって認めるものよりも4倍高い曝露を受ける。全ての投与計画は毎日施行された(qd)。
実験において、化合物1の結晶を、約20ミクロンのメジアン粒径に粉砕した。約20ミクロンのメジアン粒径に粉砕された化合物1が、異種移植したFaDuヒト頭頸部腫瘍を有するマウスにおいて経口により毎日200mg/kgで投与されたときに、弱いまたは中程度の効力のみが観察された(図15)(ビヒクル対照もまた投与した)。全ての投与計画は毎日施行された(qd)。
実施例1において調製した化合物1の結晶をまた試験した。表4に示すように、化合物1の結晶を、ジェットミル粉砕法(4’’ジェットミル、ベンチュリ圧力=40、粉砕圧力=100、送り速度=1304g/時間)を使用して約2ミクロンのメジアン粒径に微粒子化した。
FaDuヒト頭頸部がん細胞を雌性胸腺欠損ヌードマウスの皮下に接種し(6×106個の細胞/マウス)、触知できる腫瘍を形成させた。腫瘍が概ね100mm3に達したとき、動物を経口(po)により100mg/kgの化合物1またはビヒクル対照で毎日処置した。化合物1を、20%gelucireにおいて10mg/mlで処方した。処置を通して腫瘍および体重を測定した(図15)。
表5に示すように、化合物1をまた、ジェットミル粉砕法(8’’Pancakeミル、ベンチュリ圧力=40、粉砕圧力=40、送り速度=1920g/時間)を使用して約2ミクロンのメジアン粒径に微粒子化した。粒径分析を、乾燥粒子法(Sympatec Helos/KF粒径分析器)を使用して行った。表4において2ミクロンの材料の場合と同様の抗腫瘍活性が観察された。
したがって、150ミクロンまたは20ミクロンの化合物1は、2ミクロンの化合物1の場合と同様の血漿曝露パターンを示す(図16)。これらは、異なる効力を示す:150ミクロンの化合物1は、効力を示さず(図15)、20ミクロンの化合物1は、弱いまたは中程度の効力を示し、2ミクロンの化合物1は、強い効力を示す。
図16に示すように、20ミクロン(d50)の粒径の化合物1は、マウスにおいて2ミクロンの粒径(d50)を有する化合物1の用量の場合と同様の血漿曝露を示す。しかし、驚いたことに、20ミクロンの粒径を有する化合物1は、マウス異種移植モデルにおいて弱いまたは中程度の効力のみを示す一方、2ミクロンの粒径を有する化合物1は、強力な効力を示す。薬物の効力がその薬物動態をベースとすることは共通の理解であるため、これは予想外の結果である。したがって、両方の粒径が同じ薬物動態を示すため、それらは両方とも等しく効果的であるはずである。
さらに、125〜150ミクロンの化合物1の曝露を倍増させた場合、それは2ミクロンおよび20ミクロンのPKグラフと非常に類似したものとなる。興味深いことに、150ミクロンの化合物1が400mg/kgもの高さのレベルでマウスに投与されるとき、それはまた異種移植モデルにおいて効力を示さない(図15)。
これらの結果は、粒径の減少が血漿曝露の増加、したがってより良好な効力をもたらすという従来の見解と反する。
(実施例6)
HPLCアッセイ
このHPLC法は、ナフトフラン、例えば、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン(化合物1)の、HPLCによる純度、およびこの反応の完了を評価するためのものである。全ての構成成分は、クロマトグラムにおける総ピークの面積パーセントで表す。
2、溶液の調製
10mMのリン酸バッファー
1.74gのリン酸水素二カリウムを秤量し、1Lの精製水で希釈する(必要とされる量のために重量および容積を調節する)。pHをリン酸でpH6.8に調節する。
移動相A
80:20の比のバッファー:アセトニトリルに10mMのリン酸バッファーおよびアセトニトリルを混合することによって、移動相Aを調製する。脱気する。
移動相B
20:80の比のバッファー:アセトニトリルに10mMのリン酸バッファーおよびアセトニトリルを混合することによって、移動相Bを調製する。脱気する。
賦形剤
移動相Aは、全ての試料調製物および標準的調製物のための賦形剤として使用する。
3、標準の調製
化合物1のストック標準(濃度、約1.0mg/mL)
10mgの化合物1の参照材料を20mLのシンチレーションバイアル中に秤量して調製する。重量±0.01mgを記録する。10mLのDMSOを加え、固体が溶解するまで超音波処理する。
ストック試験試料(濃度、約1.0mg/mL)
試験溶液は、20mLのシンチレーションバイアル中に10mgの試料を秤量し、10mLのDMSOで希釈することによって調製する。
処理用試験試料(濃度、約0.01mg/mL)
この溶液は、1mLを100mLのメスフラスコに移し、賦形剤溶液で希釈することによって調製する。
5、操作手順
下記のシーケンスで溶液を注入する。
1.賦形剤ブランク(1×)
2.化合物1の作業用標準(5×)
3.試験溶液(各々2×)
4.作業用標準(各々1×)
6、システムの適合性
下記の基準に合致した場合、システムは使用に適している。
1.上記シーケンスの始めの賦形剤ブランクの注入には、任意の同定された不純物による干渉ピークが含まれない。
2.化合物1の作業用標準の最初の5回の反復した注入は、(1)%RSD
ピーク面積<3.0%;(2)%RSD
保持時間<3.0%;および(3)平均テーリング係数<2.0を有する。
3.その間に挟んだ標準(bracketed standard)についてのクロマトグラムにおいて、(1)保持時間は、最初の適合性のある注入からの平均保持時間の97.0〜103.0%であり、(2)その面積%は、初期値の97.0〜103.0%である。
7、計算
全てのピークは、クロマトグラムにおける総ピークの面積%として報告し、これを下記の式を介して統合ソフトウェアによって計算する。
NMRおよびTLC
(実施例7)
2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの調製
化合物1の調製のための手順を下記に提供する。
工程1:臭素化
機械式撹拌機、温度計、および添加漏斗を備えた2リットルの三つ口丸底フラスコに、3−ブテン−2−オン(451.2グラム)を導入する。添加漏斗に、臭素(936.0グラム)を加える。フラスコ中の内容物を−5℃に冷却した後、激しく撹拌し、30分間に亘り温度を−5℃に維持しながら、臭素をフラスコ中に滴下する。混合物を−5℃にてさらに15分間撹拌し、次いで4つの等しい部分に分割する。
工程2:脱臭素化
混合物の各々の部分をテトラヒドロフラン(2133.6グラム)と共に、機械式撹拌機、温度計、および添加漏斗を備えた22リットルの四つ口丸底フラスコに加える。添加漏斗に、DBU(1,3−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、222.9グラム)を導入する。激しく撹拌し、30分間に亘り温度を0℃〜5℃に維持しながら、DBUをフラスコ中に滴下する。混合物を、0℃〜5℃でさらに15分間撹拌する。
工程3:カップリング反応
次いで、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(231グラム)を、フラスコに加える。さらなるDBU(246.0グラム)を添加漏斗中に導入し、次いで反応混合物の温度が40℃を超えないような速度でフラスコ中の混合物に滴下する。DBUの添加が完了した後、このように得られた混合物を室温で一晩撹拌し、反応混合物の試料をHPLC分析のために採取する。
反応混合物に、水(10.8リットル)を導入し、このように得られた混合物を0℃〜3℃に少なくとも30分間冷却し、次いで真空濾過機によって濾過する。濾過した固体を、5%水性重炭酸ナトリウム(3リットル)、水(3リットル)、1%水性酢酸(3リットル)およびエタノール(2回)(2×1リットル)で連続的にすすぐ。
工程4:結晶化
すすいだ固体を保存し、他のバッチからのものと一緒にプールする。合わせた粗生成物(28.73kg)を、酢酸エチル(811.7kg)と共に、機械式撹拌機、温度計、およびコンデンサーを備えた500ガロンの槽に加える。窒素雰囲気下にて、混合物を2時間加熱還流させ(72℃)、次いで活性炭層を含有する10ミクロンのカートリッジフィルターで濾過し、不溶物を除去する。
新鮮な熱い酢酸エチル(10kg)を使用して、槽、トランスファーラインおよびフィルターをすすぐ。合わせた濾液を0〜5℃に冷却し、この温度で2時間保持し、次いで20インチのブフナーフィルターで濾過する。濾過した固体生成物を0〜5℃の酢酸エチル(5.7kg)ですすぎ、40℃にて真空下で一定の重量になるまで乾燥させる。
残留する濾液を蒸発によって容積で63%減少させ、結晶化プロセスを再び繰り返し、生成物の第2の収穫物を生じさせ、これをまた生成物の第1の収穫物の場合と同じ条件下で乾燥させた。
上記手順に従って2ロットの化合物1を得た。HPLCによって測定して、1ロットは91.64面積%の純度を有し、他のロットは95.44面積%の純度を有する。
(実施例8)
粗2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの調製
化合物1の調製のための別の手順を、以下のように要約する。
工程1:臭素化
12LのRBF(丸底フラスコ)(UVフィルターによって光から保護)にMVK(2,160ml、26.4mol)を導入し、ドライアイス/アセトン浴中で−9.6℃に冷却した。臭素(1,300ml、25.3mol)を、T=<−2.6℃(Tmax)に維持しながら2時間20分に亘りゆっくりと加えた。このように得られた黄色の混合物を、さらに28分間撹拌した。
工程2:脱臭化水素化
事前冷却したTHF(テトラヒドロフラン)(20L、5ml/gのHNQ(2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン))を有する72LのRBFに上記からの臭素化生成物を導入し、このように得られた溶液を−4.8℃に冷却した。THF(4,200ml)に溶解したDBU(4,200ml、28.1mol)を、T<0.3℃(Tmax)に維持しながら2時間20分に亘りゆっくりと加えた。このように得られた縣濁物を42分間撹拌した。
工程3:カップリング
2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(4,003g、23.0mol)を、−1.8℃で1度に上記からの反応混合物に導入した。第2の部分のDBU(3,780ml、25.3mol)を48分間に亘り加えている間、冷却浴を施して、反応温度を40℃とした。冷却浴を取り除き、反応混合物を空気に曝しながら週末に亘り撹拌した。
工程4:粗材料の単離
事前冷却した水(100L、25ml/gのHNQ)を有する200Lの反応器に、上記からの反応混合物を導入した。このように得られた縣濁物を6.0℃に冷却し、次いでT=3±3℃で約1時間撹拌した。次いで、このように得られた縣濁物を濾過し、集めた固体を200Lの反応器に戻した。
5%NaHCO3水溶液(26L、6.5ml/gのHNQ)中で1時間撹拌した後、縣濁物を濾過した。集めた固体を200Lの反応器に戻し、水(26L)中で1時間撹拌し、次いで濾過した。
湿った固体を200Lの反応器に戻し、1%水性酢酸(26L)中で約1時間撹拌し、濾過し、次いで濾過用漏斗上で水(10L)にて洗浄した。集めた固体を200Lの反応器に戻し、エタノール(17.5L;4.3ml/gのHNQ)中で穏やかに加熱還流した(77.4℃)。このように得られた縣濁物を4.2℃に冷却し、濾過した。
湿った固体を100Lの反応器に移し、エタノール(17.5L;4.3ml/gのHNQ)中で加熱還流した(77.6℃)。このように得られた縣濁物を4.5℃に冷却し、濾過した。湿ったケークを一晩液体除去した。1H NMR試料およびHPLC試料を採取した。1H NMR:化合物1/NDHF(2−アセチル−2,3−ジヒドロナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン)42:58%;HPLC:化合物1/NDHF74:11面積%。
固体を真空オーブン中で50℃にて4日間に亘り乾燥させ、2,268gの粗化合物1を得た。1H NMR:化合物1/NDHF41:59%;HPLC:化合物1/NDHF67:11面積%。
(実施例9)
ナフトジヒドロフランの酸化
粗化合物1(2.268kg)をトルエン(77L)中でスラリー化した。MnO2(9536g)を加え、混合物を穏やかに加熱還流した。TLC(1:1EA:ヘキサン)から、1時間後に反応の完了が示された。
次いで、反応混合物を、事前加熱したセライト(1530g、底層)、活性炭(2230g、中層)、およびセライト(932g、最上層)のパッドを通して熱いまま濾過した。黄色〜オレンジ色の濾液を集めた。
濾液をロータリーエバポレーターで概ね1/10容積まで濃縮した。スラリーを濾過し、トルエンで洗浄した。次いで、結晶を50℃で乾燥させ、952g(42%)の暗い黄色の固体を得た。HPLC:99.94%。1H NMRは、ナフトジヒドロフランを示さなかった。
結晶を50℃にて真空下でさらに46〜65時間乾燥させ、材料中の残留トルエンの量を減少させた。
(実施例10)
酢酸エチルによる処理
化合物1(5816g)を、200Lの反応槽に導入した。酢酸エチル(145L、25mL/g)を加え、溶液を2時間26分に亘り加熱還流させた。還流を5時間30分間維持し、次いで混合物を冷却し、17℃に一晩維持した。
スラリーを、ポリエチレンフリット上で濾過した。黄色の結晶を空気乾燥させ、次いで真空オーブン中のトレイに75時間置き、5532g(95.1%収率)の黄色の固体を得た。HPLC:99.86%。1H NMRは、化合物1の構造と一致する。
(実施例11)
酢酸エチルによる再結晶化
2LのRBFに、粗材料(10g)および酢酸エチル(900ml)を導入した。混合物を約77℃で還流し、次いでさらなる酢酸エチル(100ml)を加え、完全な溶解を達成した。このように得られた透明な黄色がかった溶液を約30分間還流させながら撹拌し、次いで加熱器を取り去った。混合物を室温で一晩撹拌した。
このように得られた縣濁物を濾過し、集めた黄色の固体を漏斗上にて酢酸エチル(30ml)ですすいだ。湿った固体を真空オーブン中で40〜50℃にて4時間に亘り乾燥させ、8.53gの黄色の結晶性生成物を得た(総収率約17%)。
1H NMR:構造と一致;HPLC:99.94面積%;DSC:228.68℃、151J/g。
(実施例12)
がんおよびがん幹細胞を標的とするナフトフラン化合物の同定
方法
生存中評価:各動物の健康状態に対する毎日の検査をまた行なった。体重を3日毎にチェックした。施設の動物飼育手順によって、食物および水を毎日供給した。>20%の死亡率およびまたは>20%の正味の体重減少を生じさせる処置を、毒性とみなした。結果は平均腫瘍容積(mm3)±SEとして表す。P値<0.05は、統計的に関連するとみなす。
動物飼育:雄性または雌性の胸腺欠損ヌードマウス(4〜5週齢)(Charles River Laboratories、Wilmington、MA.)を、研究の開始の前に少なくとも1週間、動物収容施設に順応させた。利用した実験手順の全ては、アメリカ生理学会によって概説されたガイドラインおよびGuide for the Care and Use of Laboratory Animalsと一致し、またBoston Biomedical Incの施設動物管理および使用に関する委員会(Institutional Animal Care znd Use Committee)の承認を受けた。動物を、4匹の群で、制御した温度(68°F〜72°F)、光(12時間の明暗サイクル)、および湿度(45〜55%)を伴う室内で、木材チップを敷き詰めたケージに収容した。実験の間、動物に水および食物に自由にアクセスさせた。
(実施例13)
臨床試験:安全性および効力
2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを選択し、米国FDAおよびカナダ保健省からのIND承認を受けた後、第1相臨床試験に入ったが、これは標準的治療に失敗した進行がんを有する成人患者における用量漸増試験(dose escalation study)であった。1サイクルは、化合物の1日2回の経口投与(4週間)からなる。疾患の進行、許容されない毒性、または別の中断の基準が経験されるまで、サイクルを4週間(28日間)毎に繰り返した。非盲検多施設試験として用量漸増試験を行った。修正したサイモンの加速用量設定スキームを、用量漸増のために使用した。
試験の主目的は、安全性、忍容性、および推奨される第II相の用量(RP2D)を決定することであった。試験の第2の目的は、化合物の薬物動態プロファイル、化合物の薬力学、および化合物の予備的抗腫瘍活性を決定することであった。
組み入れ基準は、転移性、切除不能、または再発性である組織学的または細胞学的に確認された固形腫瘍;≧18歳;RECISTによる測定可能な疾患;およびカルノフスキー≧70%を含めた。除外基準は、最初の用量の4週間以内の化学療法、放射線療法、免疫療法または研究薬剤(investigational agent);最初の用量の4週間以内の手術;および公知の脳転移を含めた。
2011年2月7日時点で、化学療法に失敗した様々な進行固形腫瘍を有する42人のがん患者を研究に登録した。上記の基準によって選択された患者の人口統計学的特性およびベースライン疾患特性を、表7に要約した。
これらの42人の患者のうち、10コホートを、20mg/日〜2000mg/日の範囲の用量で評価した。用量漸増は忍容性良好であり、用量制限毒性は観察されなかった。有害事象は全体的に軽度であり、最も共通したのは、下痢、悪心、および疲労であった。グレード3以上の事象には、疲労および下痢が含まれる。これらの有害事象は、これらの末期がん患者が臨床試験の間、経験するものについての記録である(これは、化合物1と関連し得る、または関連し得ない)。有害事象を表8に要約した。
現在まで、MTDにもRP2Dにも達しなかった。約1000mg/日までの用量の化合物は、明らかな直線的な薬物動態を伴う、有望な薬物動態を示し、28日間毎の繰り返される毎日の投与による薬物蓄積の証拠はなかった。320mg/日の用量レベルで、化合物の血漿濃度は、少なくとも1.5μMの濃度で(インビトロでの化合物のIC
50:30〜500nM)8時間に亘り持続した。異なる用量群の平均血漿濃度を、図12に示した。
投与された42人の患者の内24人は、2011年2月7日時点の腫瘍反応について評価可能であった。16人(16人/24人の評価可能な患者)は、安定疾患を達成した(8〜75+週間)。現在まで登録した患者を、表9に要約した。
RECIST1.1によって、16人/24人の評価可能な患者はSD/MRを示し、12人は延長されたSD(>12週間)を示す。新たな転移病変は、投与された患者の83%において予防された。
患者0001における腎臓への結腸がん転移病変の完全な退縮を図19に示す。20mgの毎日の投与で、患者の尿中の高濃度の化合物が観察された。尿中の化合物の富化(表10)は、相対的低投与量で観察された完全な退縮を説明する。
患者0001における腎臓への結腸がん転移病変の完全な退縮を図19に示す。20mgの毎日の投与で、患者の尿中の高濃度の化合物が観察された。尿中の化合物の富化は、相対的低投与量で観察された完全な退縮を説明する助けとなり得る。
したがって、化合物は、優れた安全性プロファイルを示した。用量制限毒性は現在まで観察されなかった。
1日2回の経口投与による有望なPKプロファイルがまた観察された。血漿濃度は効果的な濃度(インビトロIC50)の数倍に達した。AUCデータを、表11に示す。
さらに、抗腫瘍活性の徴候が観察された。24人の患者のうち16人は、結腸直腸腺癌、頭頸部がん、肺がん、乳がん、胃がん、および卵巣がん、黒色腫を含めた一連の化学療法に対して難治性である腫瘍においてRECISTによってSD/MRを示した。腎臓への結腸がん転移病変の完全な退縮が一例あった(図19)。化合物1で処置された患者は新たな転移性腫瘍病変の劇的な欠如を示した。進行難治性がんを有する24人の評価可能な患者の内、80%超が転移性腫瘍を示さなかった。
BBI608処置の間に延長された安定疾患(>16週間)を達成した患者は、抗−p−STAT3抗体を使用した免疫組織化学による処置の前に、患者の腫瘍組織において高レベルのp−STAT3を有することが見出された(図25)。
(実施例14)
投与計画
本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態を含めた薬学的組成物の治療有効量は、約20mg〜約2000mg、約240mg〜約1500mg、または約400mg〜約1000mgの範囲の総1日用量でよい。
適切な投与計画は、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態の1日用量を単回で投与することを含む。例えば、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態は、約20mgの1日1回〜約1000mgの1日1回の範囲の1日用量が単回で投与される。
適切な投与計画は、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態の1日用量を複数回に分けて投与することを含む。例えば、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態は、1日用量を2回に分けて投与され、総1日用量は、約40mg〜約2000mgの範囲にある。例えば、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態は、1日用量を2回に分けて投与され、各用量は、約20mg〜1000mgの範囲にある。例えば、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態は、1日用量を2回に分けて投与され、各用量は、約160mg〜600mgの範囲にある。例えば、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態は、1日用量を2回に分けて投与され、各用量は、約200mg〜500mgの範囲にある。例えば、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態は、1日用量を2回に分けて投与され、各用量は、約500mgである。
適切な投与計画は、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態の1日用量を3回に分けて投与することを含み、総1日用量は、約60mg〜約1500mgの範囲にある。例えば、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態は、1日用量を3回に分けて投与され、各用量は、約20mg〜500mgの範囲にある。例えば、本発明の化合物の粒子、多形および/または精製した形態は、1日用量を3回に分けて投与され、各用量は、160mg〜500mgの範囲にある。
ヒト被験体が約500mgの化合物1を1日2回投与される投与計画(すなわち、1000mgの総1日用量)は、処置療を受けた殆ど全ての患者において最良な選択的薬物動態の達成を示してきた。本明細書において500mgの1日2回と称されるこの投与計画は、ヒトにおいて化合物1の所望の薬物動態特性を実証した(図20)。
別の適切な投与計画において、500mgの化合物1を、ヒト被験体に1日3回(TID)投与する。化合物1の曝露のレベルは、1日2回投与と比較して1日3回投与によって有意に改善されない一方、1日3回の投与用量は、ヒトにおける薬物の曝露時間を増加させる。本明細書において500mgの1日3回と称されるこの用量計画は、薬物が関連する顕著な有害事象が観察されずにヒトにおいて良好な忍容性を示してきた。
また別の適切な投与計画において、約20mg以上の化合物1を、ヒト被験体に毎日1回投与する。本明細書において20mgの1日1回と称されるこの投与計画は、患者において治療的活性レベルを示してきたが、ヒトにおいて血液から急速に取り除かれる(図21)。この用量計画は、ヒトにおいて良好な忍容性、および尿中の非常に高濃度の薬物によって腎臓における結腸がん病変に強力な抗腫瘍活性の徴候を示してきた。
また別の適切な投与計画において、化合物1を、空の胃に乳と共に投与するが、これは望ましい薬物動態を与える(表12)。
また別の適切な投与計画において、化合物1を食物と共に投与し、これはTmaxを遅延させる(表13)。
(実施例15)
ナフトフラン化合物は、無増悪生存期間を延長する
無増悪生存期間(PFS)の延長は、化学療法に対して難治性である進行結腸直腸がんを有する患者において示されてきた(図22)。無増悪生存期間の延長はまた、頭頸部がん、胃がん、卵巣がん、3重陰性(triple negative)乳がん、黒色腫、アドレノコルチコイドがん(adrenocorticoid cancer)、および肺がんを有する患者において認められてきた。
1uM超の化合物1の薬物血中濃度は、結腸直腸がん、胃がん、頭頸部がん、黒色腫、軟骨肉腫、肺がん、前立腺がん、卵巣がん、アドレノコルチコイドがんおよび血管肉腫を含めた多様ながんを有する患者における無増悪生存期間の増加と相関した(図23)。
(実施例16)
化合物1の薬物動態プロファイル
化合物1はがん細胞および正常細胞に対して等しく毒性であることが見出され、がんを処置するために潜在力のあるものではないことが結論付けられた(K. Hirai K.ら、Cancer Detection and Prevention、23巻(6号)(1999年)539〜550頁;Takano A.ら、Anticancer Research、29巻:455〜464頁、2009年)。本明細書に記載されている研究は、がん細胞およびがん幹細胞が、化合物1によって死滅するのに正常細胞よりはるかに短い曝露を必要とすることを反直感的に発見した。正常細胞は、化合物1への24時間までの曝露に忍容性を示すことができる。さらに、本研究は、正常細胞は、短期間の薬物への非曝露後に回復することができ、一方がん細胞は、特定の濃度の化合物1に少なくとも2時間一度曝露すると回復することができないことを発見した。これらの研究に基づいて、特別の薬物動態学的曝露[選択的薬物動態プロファイル(SPP)、または好ましい薬物動態プロファイル(PPP)と称し、この刊行物において互換的に使用する]を、患者において選択的抗腫瘍活性を達成するために、表14において下記で示したデータを使用して化合物1について設計した(図24)。
本発明の化合物(化合物1、粒子、多形および/またはその精製した形態など)への適切なSPPまたはPPP曝露は、少なくとも2時間、少なくとも1.0μM以上であり、薬物血中濃度は、24時間内に実質的に取り除かれなくてはならない。
例えば、患者は、少なくとも1.5μMの濃度の本発明の化合物(化合物1、粒子、多形および/またはその精製した形態など)への曝露を定められた期間、好ましくは少なくとも2時間維持し、薬物は、24時間内に実質的に取り除かれなくてはならない。上記化合物へのより長い曝露は、毒性および/または選択性の喪失をもたらし得る。
この所望のSPPまたはPPPを達成するために、本発明の化合物は、被験体、例えば、患者において、少なくとも約0.02μM〜約30μMの範囲の化合物の血中濃度を達成するための用量で投与することができる。例えば、本発明の化合物は、被験体において、少なくとも2時間ではあるが24時間未満の時間、少なくとも約0.5μM超の化合物の血中濃度を達成するための用量で投与することができる。例えば、本発明の化合物は、被験体において、少なくとも2時間ではあるが24時間未満の時間、少なくとも約2μMの化合物の血中濃度を達成するための用量で投与することができる。
好ましくは、がん細胞の死滅を誘発するために、がん細胞を本発明の化合物(化合物1、粒子、多形および/またはその精製した形態など)に0.2μM超の濃度で4時間曝露させなければならない。しかし、延長された曝露は、がん細胞を死滅させることにおける本発明の化合物(化合物1、粒子、多形および/またはその精製した形態など)の効力に有意に寄与しない。化合物1の濃度が約0.5超〜約3μM超に24時間未満維持されたときに、化合物1は、がん細胞を死滅させ、正常細胞を温存することにおいて選択的活性を示した。化合物1の縮小された粒径は、この好ましい薬物動態学的パターンおよび選択的活性を達成した。
がん細胞を死滅させ、正常細胞を温存することにおける化合物1の選択的活性は、表14におけるデータによって表され、図24において例示される。約0.2μM以上および約30μM以上の濃度での化合物1への約4時間から約24時間までのがん細胞の曝露は、がん細胞の選択的死滅および正常細胞の温存を示した。24時間を超える期間のこれらの濃度での連続的曝露は、正常細胞もまた損傷したという点で選択性の喪失をもたらした。0.5μM未満の血中濃度での化合物1への曝露は、曝露時間の量に関わらず、がん細胞の死滅をもたらさなかった。
本明細書に記載されている投与計画は、この好ましいPKパターンを示す。例えば、500mgの1日2回が投与されている患者において示されるPKは、患者において、この好ましいPK曝露パターンであり(図20)、これは、24時間までに薬物の実質的な除去を伴う、治療レベルを超える化合物1の持続した曝露を示す。80mgの1日2回から200mgの1日2回により、用量依存的な薬物血漿濃度の増加を伴ってSPPまたはPPPが患者において達成された。300mgの1日2回および400mgの1日2回により、薬物血漿濃度は、200mgの1日2回超のさらなる増加が制限されるようであった。しかし、500mgの1日2回は、驚いたことに患者間の差異を減少させる助けをすることができ、すなわち、全ての処置を受けた患者は、十分に高い薬物血漿濃度でSPPを達成することができることが見出された(図12)。最後に、1.6uM超の化合物1に少なくとも4時間曝露された患者は、無増悪生存期間の改善を示し、このことは、この曝露パターンがヒトにおいて改善された効力をもたらすことを示す。1uM超の化合物1のPK曝露は、結腸直腸がん、胃がん、頭頸部がん、黒色腫、軟骨肉腫、肺がん、前立腺がん、卵巣がん、アドレノコルチコイドがんおよび血管肉腫を含めた多様ながんを有する患者における無増悪生存期間(図23)の増加と相関する。これらのデータは、前臨床実験から予想されるものと非常に異なる。前臨床試験において、化合物は、約100〜200nMのIC50でがん細胞またはがん幹細胞を死滅させることを示した。しかし、これらの濃度が臨床活性と関連しないことが患者において臨床で観察された。対照的に、血漿濃度は、活性の徴候を有するのに1uM超に達しなくてはならない。約2uM以上または約3uM以上への薬物血漿濃度のさらなる増加は、抗腫瘍活性の改善された徴候と関連する。
本明細書において例示および考察された実施形態は、本発明を作製および使用するために本発明者らに公知の最良の方法を当業者に教示することのみを意図する。本明細書において何物も本発明の範囲を限定するものとして考えるべきではない。示された全ての実施例は、代表であり、制限するものではない。上記の本発明の実施形態は、上記の教示に照らして当業者が認識するように、本発明から逸脱することなく修正または変更し得る。したがって、特許請求の範囲およびこれらの同等物内で、本発明は特に記載したものとは別の方法で実施し得ることが理解される。