JP5602697B2 - カム式トルクダンパ - Google Patents

カム式トルクダンパ Download PDF

Info

Publication number
JP5602697B2
JP5602697B2 JP2011192278A JP2011192278A JP5602697B2 JP 5602697 B2 JP5602697 B2 JP 5602697B2 JP 2011192278 A JP2011192278 A JP 2011192278A JP 2011192278 A JP2011192278 A JP 2011192278A JP 5602697 B2 JP5602697 B2 JP 5602697B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
damper
cam
type torque
pair
pressure receiving
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011192278A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013053673A (ja
Inventor
欣宣 塩見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2011192278A priority Critical patent/JP5602697B2/ja
Publication of JP2013053673A publication Critical patent/JP2013053673A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5602697B2 publication Critical patent/JP5602697B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Transmission Devices (AREA)
  • Axle Suspensions And Sidecars For Cycles (AREA)

Description

本発明は、入力回転軸と出力回転軸との間のトルク伝達経路での過大トルクを吸収するカム式トルクダンパに関し、特に、小さなトルク変動から大きなトルク変動にわたる広範囲のトルク変動を適切に吸収できるカム式トルクダンパに関する。
ダンパカムを付勢するスプリングのばね座を、さらに弾性部材(ラバー)で受けることにより、ダンプカムの変動荷重に起因したスプリングの振動をラバーによって吸収し、変速ショックを低減するものが、例えば下記特許文献1に示されている。
しかし、特許文献1に示されるようなラバーによって荷重の一部を受ける構造においては、ラバーの特性上、使用状態によって弾性特性が変化するため、吸振効果を十分に発揮するには大きな圧縮代が必要となる場合がある。その場合、ダンパカムを付勢するスプリング35が伸び過ぎて付勢力を発揮できず、主たる付勢手段のスプリングによってトルクを十分に吸収できなくなるおそれもあった。
実開平3−98197号公報(第5図)
上記従来技術に鑑み、本発明は、小さなトルク変動の場合も、大きなトルク変動の場合も、それぞれに対応したトルク変動の吸収を行い得るカム式トルクダンパを提供することを課題とし、さらには、ダンプカムの復帰に伴うダンプカム付勢手段の振動を減衰するダンピング効果を備えるカム式トルクダンパを提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、回転動力が入力される入力回転部材と、同入力回転部材と同軸芯に配設され、同入力回転部材に入力された回転動力が伝達されて出力する出力回転部材と、前記入力回転部材および出力回転部材にそれぞれ相対回転不能に設けられ、互いに当接した状態での回転位相の相対変化により軸方向の相対変位を生じる一対のダンパカム部材と、前記一対のダンパカム部材を当接方向に付勢する第一付勢手段とを備え、前記一対のダンパカム部材の少なくとも一方は、軸方向に移動可能に設けられたカム式トルクダンパにおいて、前記第一付勢手段による前記一対のダンパカム部材の当接方向の移動を限定する規制部材と、同規制部材による前記当接方向の移動の不足を補い、前記第一付勢手段より小さい付勢力で前記一対のダンパカム部材を当接させる第二付勢手段と、同第二付勢手段が所定以上圧縮されたとき、前記一対のダンパカム部材を前記第一付勢手段に抗するように当接させる初期圧縮部とを備えたことを特徴とするカム式トルクダンパ。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカム式トルクダンパにおいて、前記初期圧縮部は、前記一対のダンパカム部材のうちの一方のダンパカム部材と、同一方のダンパカム部材と前記第二付勢手段を介して間隙部を有して接続され、前記入力回転部材または出力回転部材に相対回転不能かつ軸方向移動不能に固定された受圧部材とで構成され、前記一対のダンパカム部材の回転位相の相対変化による軸方向の相対変位により、所定以上の圧力が前記第二付勢手段に作用した場合は、同第二付勢手段が圧縮され前記間隙部が閉じて、前記一方のダンパカム部材と前記受圧部材とが直接当接するように構成されたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のカム式トルクダンパにおいて、前記第二付勢手段は、コイルばねであり、同受圧部材に、前記入力回転部材または出力回転部材の軸芯を中心とする同心同径円上に複数配置されたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のカム式トルクダンパにおいて、前記第二付勢手段は、前記入力回転部材または出力回転部材の軸芯を中心とする皿ばねであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のカム式トルクダンパにおいて、前記初期圧縮部は、前記一対のダンパカム部材のうちの一方のダンパカム部材と、同一方のダンパカム部材と前記第二付勢手段を介して間隙部を有して接続され、前記入力回転部材または出力回転部材に相対回転不能かつ軸方向移動可能、且つ前記規制部材により前記第一付勢手段による前記一対のダンパカム部材の当接方向の移動が限定された受圧部材とで構成され、前記一対のダンパカム部材の回転位相の相対変化による軸方向の相対変位により、所定以上の圧力が前記第二付勢手段に作用した場合は、同第二圧縮手段が圧縮され前記間隙部が閉じて、前記一方のダンパカム部材と前記受圧部材とが直接当接するように構成されたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のカム式トルクダンパにおいて、前記第二付勢手段は、コイルばねであり、前記受圧部材に、前記入力回転部材または出力回転部材の軸芯を中心とする同心同径円上に複数配置されたことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のカム式トルクダンパにおいて、前記第一付勢手段がコイルばねであり、前記受圧部材が同第一付勢手段の内側に配置され、前記第二付勢手段の少なくとも一部が同第一付勢手段の内側に位置されたことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項2ないし請求項7のいずれかに記載のカム式トルクダンパにおいて、前記一方のダンパカム部材と前記受圧部材が、ケーシングに収納されて、同一方のダンパカム部材と受圧部材の間にオイルが充填され、前記一方のダンパカム部材に、軸方向移動においてオイルが軸方向前後に通過するオイル流路が設けられたことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のカム式トルクダンパにおいて、前記第一付勢手段が、前記ケーシングに収納されて、同第一付勢手段が付勢するダンパカム部材または受圧部材より同第一付勢手段側の前記ケーシング内の空間にオイルが充填され、前記第一付勢手段が付勢するダンパカム部材または受圧部材に、軸方向移動においてオイルが軸方向前後に通過するオイル流路が設けられたことを特徴とする請求項8記載のカム式トルクダンパ。
請求項10に記載の発明は、請求項8または請求項9に記載のカム式トルクダンパにおいて、前記オイルは、前記入力回転部材または出力回転部材の内部を通して供給されるように構成されたことを特徴とする。
請求項1の発明のカム式トルクダンパによれば、一対のダンパカム部材の回転位相の相対位相差が小さく、一対のダンパカム部材が相互に当接しながら、相対的に小さい付勢力の第二付勢手段が所定以上圧縮されるまでは、相対的に大きい付勢力の第一付勢手段が、規制部材によって、一対のダンパカム部材の当接方向の移動を限定されているため、一対のダンパカム部材の回転位相の相対変化によるトルクが入力された直後の初期動においては、第二付勢手段により低トルクが吸収され、打音の低減等がなされる。
第二付勢手段が所定以上圧縮されると、初期圧縮部が一対のダンパカム部材を第一付勢手段に抗するように当接させるので、第一付勢装置の圧縮による高トルクの吸収、衝撃トルク緩和が行われる。
したがって、一対のダンパカム部材の回転位相の相対変化において、付勢力の異なる付勢手段が集約されて2段階にカム式トルクダンパが働くので、小位相差時の低トルクから大位相差時の高トルクまで広範囲に亘ってトルク変動による衝撃の、適切な吸収が可能となり、少ない部品数で駆動伝達系の質感を向上できる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、一対のダンパカム部材の回転位相の相対変化による軸方向の相対変位により、所定以上の圧力が第二付勢手段に作用した場合は、第二付勢手段が圧縮され一方のダンパカム部材と受圧部材との間の間隙部が閉じて、一方のダンパカム部材と受圧部材とが直接当接するので、微小回転位相差による小トルク発生の場合には、吸振効果、打音低減効果を発揮する一方、大回転位相差による高トルク発生時には、一対のダンパカム部材が第一付勢手段により当接方向に付勢されるため、高付勢力の第一付勢手段により十分に高トルクが吸収される。
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加え、第二付勢手段のコイルばねが、同心同径円上に複数配置されたので、一方のダンパカム部材を均等に受圧部材で受けることができる。
請求項4の発明によれば、請求項2の発明の効果に加え、一方のダンパカム部材を均等に受圧部材で受けることができるうえ、部品の偏りがなく、アンバランスが抑制され、振動を低減できる。
請求項5の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、一対のダンパカム部材の回転位相の相対変化による軸方向の相対変位により、所定以上の圧力が第二付勢手段に作用した場合は、第二付勢手段が圧縮され一方のダンパカム部材と受圧部材との間の間隙部が閉じて、一方のダンパカム部材と受圧部材とが直接当接するので、微小回転位相差による小トルク発生の場合には、吸振効果、打音低減効果を発揮する一方、大回転位相差による高トルク発生時には、一方のダンパカム部材が受圧部材を介して第一付勢手段により当接方向に付勢されるため、高付勢力の第一付勢手段により十分に高トルクが吸収される。
請求項6の発明によれば、請求項5の発明の効果に加え、第二付勢手段のコイルばねが、同心同径円上に複数配置されたので、一方のダンパカム部材を均等に受圧部材で受けることができる。
請求項7の発明によれば、請求項6の発明の効果に加え、第一付勢手段の内側に受圧部材が収納され、第二付勢手段の一部も収納されたので、カム式トルクダンパの軸方向の装置寸法を縮めることができ、カム式トルクダンパの小型化を図ることができる。
請求項8の発明によれば、請求項2ないし請求項7のいずれかの発明の効果に加え、一方のダンパカム部材の軸方向移動時にオイルダンパ効果が得られ、トルク変化の衝撃緩和と、第一付勢手段の振動減衰が図られる。
請求項9の発明によれば、請求項6の発明の効果に加え、一対のダンパカム部材が収納されるケーシング内の空間全体に、オイルが充填されたので、オイルダンパ効果が一層発揮され、一対のダンパカム部材の回転位相の相対変化によるトルク変化の衝撃をより一層低減でき、第一、第二付勢手段の振動減衰効果が高まる。
請求項10の発明によれば、請求項8または請求項9の発明の効果に加え、オイル供給が簡易な構造で、容易に行える。
本発明の実施形態に係るカム式トルクダンパを備えたパワーユニットを搭載した自動二輪車の側面図である。 図1中のパワーユニットの左面図である。 図2中、III−III矢視によるパワーユニットの断面展開図である。 図2中、IV−IV矢視によるパワーユニットの断面展開図である。 本発明の実施形態1に係るカム式トルクダンパの、模式的説明図である。 図5中、VI矢視による、第一ダンパカム部材および第二ダンパカム部材の概略斜視図である。 実施形態1のカム式トルクダンパにおける、第一、第二ダンパカム部材間の位相差θと反発トルクTの関係の説明図である。 本発明の実施形態2に係るカム式トルクダンパの、模式的説明図である。 本発明の実施形態3に係るカム式トルクダンパの、模式的説明図である。
図1から図9に基づき、本発明の実施形態に係るカム式トルクダンパにつき説明する。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲における前後左右上下等の向きは、本実施形態に係るカム式トルクダンパを備えたパワーユニットを自動二輪車等の小型車両に搭載した状態での車両の向きに従うものとする。本実施形態において、小型車両は自動二輪車である。
図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
また、図4、5、8、9における黒小矢印は本発明に係るオイルの流れを、図5、8、9における白抜き矢印は各部の動きを、模式的に示す。
図1は、本発明の実施形態に係るカム式トルクダンパ100(図4参照:後述の実施形態1〜3に係り個別に示すときは「100A〜C」と記し、総括的に示すときは単に「100」と記す)を備えたパワーユニット2を搭載した自動二輪車1の側面図である。
自動二輪車1には、ヘッドパイプ3に連なり後下方へ傾斜する左右一対のメインフレーム4と、ヘッドパイプ3の下部から下方へ下がり、後方へ湾曲し、その先端部がメインフレーム4の後端部に接続される左右一対のサブフレーム5が設けられてある。
メインフレーム4とサブフレーム5とが形成する側面視でほぼ三角形の空間に、内燃機関6と変速機7とを一体化したパワーユニット2が搭載されている。
ヘッドパイプ3にはフロントフォーク8が回動可能に支持され、その上端にはステアリングハンドル9が装着され、下端には前輪10が軸支されている。
メインフレーム4の後部には、一対のリヤフォーク11がその前端を枢支され、上下方向に揺動可能になっている。リヤフォーク11の中央部とメインフレーム4の後端部との間に、図示しないリヤクッションが装着されている。リヤフォーク11の後端には後輪12が軸支されている。
内燃機関6は、水冷式4ストロークサイクルV型2気筒内燃機関であり、2個の気筒は前後方向にV型に開いている。内燃機関6のクランク軸30(図2、3参照)は車両進行方向に直交し、車両の左右方向に向けて配置されている。
変速機7は、静油圧式無段変速機70で構成され、その変速機軸71はクランク軸30と平行である。
図示しない後輪駆動プロペラシャフトが、変速機軸71と直交する方向に配設された連絡軸85(図2、4参照)に接続されて、リヤフォーク11に沿って車両後方へ伸び、後輪12の回転軸12aに達して、後輪12を駆動する。
2個の気筒の車両前後方向に設けられている排気ポート40(図2参照)に連なる排気管13は、内燃機関6の前方へ伸び、変速機7の下方を回って車体後部に至り、排気消音器14に接続されている。メインフレーム4の上部には、燃料タンク17が装着され、その後方にシート18が装備されている。
内燃機関6は水冷式であり、シリンダやオイルを冷却する過程で昇温した冷却水は、サブフレーム5の前面に取りつけられたラジエータ19で冷却される。
図2は、自動二輪車1に搭載されるパワーユニット2の左面図である。前側気筒24Fと後側気筒24Rとは同じ内部構造であるから、後側気筒24Rのみ断面を示してある。また、クランクケース20部分は、左クランクケースカバー21L(図3参照)を取り外した状態を示し、内部の主な回転軸や歯車やスプロケットの位置を示してある。
図3は、図2中III−III矢視によるパワーユニット2の断面展開図であり、後側気筒24Rとクランク軸30と変速機7を構成する静油圧式無段変速機70を含む断面を展開した図である。後側気筒24Rは左側クランクピン31に連なるピストン33を保持する気筒である。
図2、図3に示されるように、パワーユニット2の主な外殻は、左クランクケース20Lと右クランクケース20Rとからなり、変速機ケースをかねるクランクケース20、左クランクケースカバー21L、右クランクケースカバー21R、および前側気筒24Fと後側気筒24Rとにそれぞれ設けられたシリンダブロック25、シリンダヘッド26、およびシリンダヘッドカバー27からなっている。以下に述べる気筒部分の説明は後側気筒24Rに基づいて行う。
図3に示されるように、左右のクランクケース20L、20Rに保持された左側軸受28と右側軸受29によって、クランク軸30が回転可能に支持されている。クランク軸30の左側クランクピン31に、コンロッド32とピストン33が連なり、ピストン33はシリンダブロック25のシリンダ穴34に摺動可能に保持されている。シリンダヘッド26の上記ピストン33に対向する部分に燃焼室35が形成され、シリンダヘッド26の壁体を貫通して、先端が上記燃焼室35に臨み、後端が外部に露出する点火プラグ36が設けてある。
図2に示されるように、燃焼室35には排気ポート40と吸気ポート41とが連なっている。排気ポート40は、前側気筒24Fでは前方へ、後側気筒24Rでは後方へ向けて延びている。吸気ポート41は、何れの気筒でも両気筒の間の空間で上方へ延びている。排気ポート40には排気弁42、吸気ポート41には吸気弁43が設けてある。
また、シリンダヘッドカバー27の中には、カム軸44が設けられ、カム軸44の上方に排気ロッカーアーム軸45、吸気ロッカーアーム軸46が設けられ、これらのアーム軸に設けられた排気ロッカーアーム47、吸気ロッカーアーム48は、上記カム軸44のカム44a、44bに駆動されて、上記排気弁42、吸気弁43のステム頂部を押して各弁を開閉駆動する。
図3に示されるように、カム軸44は、その端部に設けられたカム軸従動スプロケット49とクランク軸30に設けられたカム軸駆動スプロケット50とに掛け回されたカム軸駆動チェーン51によって駆動される。
図2に示されるように、クランクケース20の下部には、低圧オイルポンプと高圧オイルポンプとをオイルポンプ軸91を介して一体化したオイルポンプ集合体90が設けてある。低圧オイルポンプは内燃機関6に向けて、高圧オイルポンプは静油圧式無段変速機70(図4参照)に向けてオイルを送る。
オイルポンプ集合体90は、オイルパン92内のオイルを下部のオイルストレーナ93を経由して吸入する。オイルポンプ軸91に嵌装されたオイルポンプ軸従動スプロケット94と、クランク軸30に設けられたオイルポンプ軸駆動スプロケット95とに掛け回されたオイルポンプ駆動チェーン96によって、オイルポンプ集合体90は内燃機関6によって駆動される。クランクケースの後部にオイルクーラ97と低圧用オイルフィルタ98が見える。高圧用オイルフィルタはクランクケースの右側に設けてあるので、図示されていない。
図3に示されるように、クランク軸30の左端部に設けてあるクランク軸出力歯車37は、隣接する変速機入力側トルクダンパ60との組合せによって機能する歯車で、静油圧式無段変速機70の斜板プランジャ式油圧ポンプの変速機入力歯車72に噛合っている。
クランク軸出力歯車37と変速機入力側トルクダンパ60は、クランク軸30にスプライン結合されたカラー61上に構成されている。クランク軸出力歯車37はカラー61上に回動自在に嵌装され、その側面に円弧状凹面を有する凹カム37aが形成されている。
カラー61外周のスプラインにリフタ62が軸方向移動可能に嵌装され、リフタ62の端面に円弧状凸面を有する凸カム62aが形成され、凸カム62aは凹カム37aに噛み合っている。
カラー61の端部にはスプリングホルダ63がスプラインとコッタによって固定されている。スプリングホルダ63とリフタ62との間に皿ばね64が設けられ、凸カム62aを凹カム37aの方へ付勢している。
定常速度の運転の場合は、クランク軸30のトルクはカラー61、リフタ62、凸カム62a、凹カム37a、クランク軸出力歯車37の順に伝達され、クランク軸出力歯車37はクランク軸30と共に回転する。過大トルクがクランク軸30に入力されたときには、凸カム62aは、凹カム37aのカム面で周方向に滑ると共に、皿ばね64の付勢力に抗して軸方向へ移動し、過大トルクを吸収し、衝撃を緩和する。
図3に示されるように、クランク軸30の後方に静油圧式無段変速機70が設けてある。静油圧式無段変速機70は内部に、図示しない遠心式ガバナークラッチと斜板式油圧ポンプと斜板式油圧モータとを変速機軸71を介して組み合せた装置である。
静油圧式無段変速機70において変速された回転力は、変速機軸71から取り出される。
図4は、図2のIV−IV矢視によるパワーユニット2の断面展開図であり、変速機軸71から連絡軸85に至る、本発明の実施形態に係るカム式トルクダンパ100を含む、動力伝達経路を示している。
カム式トルクダンパ100は、図4において二点鎖線で示されるように、ニュートラル・ドライブ切換用クラッチ75と連絡軸85との間を接続するように設けられる。
ニュートラル状態とドライブ状態とを切換えるためのニュートラル・ドライブ切換用クラッチ75のニュートラル・ドライブ切換え軸76は、変速機軸71に平行に、右クランクケース20Rと右クランクケースカバー21Rにボールベアリングを介して回転可能に支持されている。
ニュートラル・ドライブ切換え軸76に平行に、カム式トルクダンパ100の入力回転軸101が右方に延出し、右クランクケース20Rと右クランクケースカバー21Rとに、それぞれボールベアリング102、103を介して回転可能に支持されている。
カム式トルクダンパ100の出力回転軸105は、入力回転軸101と同軸芯で左方に延出し、軸受ハウジング87に嵌入されたボールベアリング106を介して、左クランクケース20Lに支持されている。ボールベアリング106は本実施形態において複列アンギュラボールベアリングであが、2個の間隔を空けたボールベアリングでもよい。
図4に示されるように、変速機軸71には変速機出力歯車73が固定されている。ニュートラル・ドライブ切換え軸76には、遊転歯車77がニュートラル・ドライブ切換え軸76に対して回転可能に遊嵌されている。
遊転歯車77は、変速機軸71に固定された変速機出力歯車73に噛合っている。遊転歯車77に隣接して、係合歯78aを有する摺動部材78が、ニュートラル・ドライブ切換え軸76に軸方向摺動可能に遊嵌されている。
ニュートラル・ドライブ切換え軸76と遊転歯車77と摺動部材78とによって、変速機軸71からカム式トルクダンパ100の入力回転軸101へ向かう動力伝達を断続することのできるニュートラル・ドライブ切換用クラッチ75が構成されている。
ニュートラル・ドライブ切換用クラッチ75は、摺動部材78の係合歯78aが遊転歯車77から外れると、ニュートラル状態となり、摺動部材78を摺動させ、係合歯78aを遊転歯車77の係合部に係合させると、動力伝達経路は接続され、ドライブ状態となる。
図4において、遊転歯車77の摺動部材78の反対側で、遊転歯車77に隣接して、ニュートラル・ドライブ切換え軸76に、クラッチ出力歯車79が嵌着されている。
カム式トルクダンパ100の入力回転軸101のボールベアリング102、103の間に、ボールベアリング102の右側に隣接して、クラッチ出力歯車79に噛合うダンパ入力歯車104が嵌着されている。
一方、カム式トルクダンパ100の出力回転軸105に直交して、連絡軸85が、出力回転軸105の左端部の近くに設けられた連絡軸支持部84に回転可能に支持されている。連絡軸支持部84は、軸受ハウジング87を介して、左クランクケース20Lの外側に取り付けられている(図2も参照)。
出力回転軸105の左端には、ダンパ出力傘歯車107が一体的に形成されている。一方、連絡軸85の前端には連絡軸傘歯車86が一体に形成され、出力回転軸105のダンパ出力傘歯車107に噛み合っている。
連絡軸85の後端にはスプライン85aが設けてあり、図示しない後輪駆動プロペラシャフトが同軸芯で接続できるようになっている。これらの軸および歯車、およびカム式トルクダンパ100よって、静油圧式無段変速機70の回転出力は後輪駆動プロペラシャフトに伝達される。
なお、図4に示されるように、右クランクケースカバー21Rには、ベアリング等の潤滑のためのオイル供給路21Raが設けられている。
また、カム式トルクダンパ100の入力回転軸101には、軸芯に沿ってオイル流路101aが穿孔されている。
右クランクケースカバー21Rの内面には、取り付けられた状態の入力回転軸101のオイル流路101a内に先端が油密的に挿入される給油突起22が形成されており、給油突起22内には、右クランクケースカバー21Rのオイル供給路21Raに連通し、入力回転軸101のオイル流路101a内に開口するオイル注入路22aが穿設されている。
一方、連絡軸支持部84には、ダンパ出力傘歯車107、連絡軸傘歯車86等を潤滑するためのオイル供給路84aが設けられている。
カム式トルクダンパ100の出力回転軸105には、軸芯に沿ってオイル流路105aが穿孔されており、オイル流路105aはその左端においてオイル供給路84aに開口している。
したがって、カム式トルクダンパ100は、入力回転軸101のオイル流路101aおよび出力回転軸105のオイル流路105aからオイルが、簡易な構造で容易に供給される構造となっている。
図5から図7により、本発明の実施形態1のカム式トルクダンパ100Aについて説明する。本実施形態のカム式トルクダンパ100Aは、総括的に説明した上述のカム式トルクダンパ100の一例である。
図5に示されるように、実施形態1のカム式トルクダンパ100Aは、左方から出力回転軸(本発明の「出力回転部材」)105、右方から入力回転軸(本発明の「入力回転部材」)101が挿入される円筒状のケーシング108を備えている。
出力回転軸105のケーシング108内の右先端側には、ケーシング108内に収納された第一ダンパカム部材(本発明の「ダンパカム部材」)110がスプライン嵌合によって相対回転不能かつ軸方向移動可能に取り付けられている。
第一ダンパカム部材110は、段部110aより右方がケーシング108の内周面108aを摺動するピストン部110bをなし、段部110aより左方が小径部110cをなしており、ケーシング108の左端底面108bと第一ダンパカム部材110の段部110aとの間には、第一ダンパカム部材110を右方に付勢する第一付勢ばね(本発明の「第一付勢手段」)111が介装されている。第一付勢ばね111はコイルばねであり、従来のカム式トルクダンパのダンパカム部材の付勢手段と同様の、比較的強い付勢力を備えている。
第一ダンパカム部材110の右方において、ケーシング108の内周面108aには、第一付勢ばね111による第一ダンパカム部材110の右方への移動を限定する規制部材112が設けられている。
第一ダンパカム部材110には、ピストン部110bの外周部110cからは右方に向けて円周方向で2箇所突出する凸カム部110dが一体に形成されている(図6参照)。
また、出力回転軸105には、そのオイル流路105aに連通し、第一ダンパカム部材110より第一付勢ばね111側のケーシング内第一付勢ばね側空間108dに開口するオイル供給孔105bが設けられている。
連絡軸支持部84のオイル供給路から出力回転軸105のオイル流路105aに供給されたオイルは、そのオイル供給孔105bからケーシング内第一付勢ばね側空間108dに充填され、簡易な構造で容易にオイル供給がなされる。
一方、ケーシング108内の入力回転軸101には、ケーシング108内に収納されケーシング108の右端底面108cに当接して相対回転不能かつ軸方向移動不能に受圧部材130が取り付けられている。
また、入力回転軸101のケーシング108内の左先端側には、ケーシング108の内周面108aを摺動するピストン状の第二ダンパカム部材(本発明の「ダンプカム部材」、「一方のダンプカム部材」)120がスプライン嵌合によって相対回転不能かつ軸方向移動可能に取り付けられている。
第二ダンパカム部材120には、ピストン状の外周部120aに、左方に向けて円周方向で2箇所の凹カム部120bが一体に形成されている(図6参照)。
受圧部材130には、入力回転軸101の軸芯を中心とする同心同径円上に複数配置され、入力回転軸101の軸方向に配向し左方に開口するスプリングポケット130aが、穿設されている。
各スプリングポケット130aには、第二付勢ばね(本発明の「第二付勢手段」)121が装填されて左方に伸び、第二ダンパカム部材120の右端面120cに当接して第二ダンパカム部材120を左方に付勢している。第二付勢ばね121は全体で第一付勢ばね111に対して弱い付勢力を備えている。
上述のように、第一ダンパカム部材110はケーシング108の内周面108aの規制部材112によって、右方への移動を限定されて、通常はケーシング108内でその状態で停止している。
一方、第二ダンパカム部材120は、ケーシング108の右端底面108cに当接した受圧部材120との間の第二付勢ばね122によって左方に付勢されているので、その凹カム部121bが第一ダンパカム部材110の凸カム部111dに当接するまで左方に移動して、通常はケーシング108内でその状態で停止している。
一対の第一、第二ダンパカム部材110、120は、第二付勢ばね121により押し合う状態であり、通常は凸カム部110の頂部(最も突出した箇所)と凹カム部120bの底部(最も引き込んだ箇所)とが当接している(図6参照)。
また、その状態で、第二ダンパカム部材120と受圧部材130との間には軸方向距離Dの間隙部125が生じている。
入力回転軸101には、そのオイル流路101aに連通し、第二ダンパカム部材121と受圧部材120との間の間隙部125に開口するオイル供給孔101bが設けられている。
右クランクケースカバー21Rのオイル供給路21Raから入力回転軸101のオイル流路101aに供給されたオイルは、そのオイル供給孔101bから間隙部125に充填される。
そして、カム式トルクダンパ100Aにおいて、入力回転軸101の第二ダンパカム部材120と出力回転軸105の第一ダンパカム部材110との間に、予め設定された所定の設定トルクを超える過大トルクが作用するときに、過大トルクを吸収するトルク吸収部が、入力回転軸101の第二ダンパカム部材120と、出力回転軸105の第一ダンパカム部材110と、第一付勢ばね111と第二付勢ばね121とにより構成される。
第二付勢ばね121に対応する所定の設定トルクは、従来のカム式トルクダンパのダンパカム部材の付勢手段と同様の、比較的強い付勢力を備えている第一付勢ばね111に対応する設定トルクより小さいものとなる。
入力回転軸101と出力回転軸105は、互いに、第二ダンパカム部材120の凹カム部121bと第一ダンパカム部材110の凸カム部111dにおいて第二付勢ばね121の付勢力により軸方向および周方向で当接すると共に、周方向に相対的に摺動可能である。
そして、カム式トルクダンパ100Aは、第二ダンパカム部材120と第一ダンパカム部材110との間に所定の設定トルク以下のトルクが作用するとき、図5に示される状態のように、両ダンパカム部材110、120に周方向のずれなしに第二ダンパカム部材120と第一ダンパカム部材110が一体に回転する。
しかし、自動二輪車1または内燃機関6の減速時など、例えば自動二輪車1のエンジンブレーキ時に、所定の設定トルクを超える過大トルクTが作用するとき、第二ダンパカム部材120と第一ダンパカム部材110との間に回転方向での滑り(回転位相の相対変化)θが生じる(図7参照)。
回転方向での滑りθによって、第一ダンパカム部材110が、第二ダンパカム部材120により駆動されて、先ず、第一付勢ばね111より付勢力が相対的に小さい第二付勢ばね121の付勢力に抗して、第一ダンパカム部材110が第二ダンパカム部材120に対して軸方向に相対変位するので、第一ダンパカム部材110と第二ダンパカム部材120とが互いに相対回転することにより過大トルクを吸収する。
ここで、第二付勢ばね121に対応する所定の設定トルクは、従来のカム式トルクダンパのダンパカム部材の付勢手段と同様の比較的強い付勢力を備えている第一付勢ばね111に対応する所定の設定トルクより小さいから、図7中、E線部のように比較的低いトルクTにも反応して第二ダンパカム部材120と第一ダンパカム部材110との間に回転方向での滑りθが生じて、その過大トルクが吸収されるので、過大トルク吸収時の衝撃が小さく抑制される。
それに対して、従来のカム式トルクダンパのダンパカム部材の付勢手段は比較的強いから、図7中、G線部のように、比較的高いトルクTに応じてダンパカム間の回転方向での滑りθが生じることとなるから、過大トルクの吸収時の衝撃が大きいものとなる。
しかして、過大トルクTに対応する第二ダンパカム部材120と第一ダンパカム部材110との間の回転方向での滑りθに応じて、第二ダンパカム部材120は第二付勢ばね121に抗して、図5中軸方向右方に移動して行くが、第二付勢ばね121が所定以上圧縮されると、第二ダンパカム部材120と受圧部材130が当接し、その間の間隙部125が閉じられる。
その状態以降は、第二付勢ばね121は無効となり、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120は、第一付勢ばね111に抗するように当接させられる。
すなわち、第二ダンパカム部材120と受圧部材130は、第二付勢ばね121が所定以上圧縮されたとき、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120を第一付勢ばね111に抗するように当接させる初期圧縮部109を構成している。
そのとき、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120は、すでに一定の周方向のすべりθが形成されているので、図7中F線部のように、そのθから第一付勢ばね111の比較的強い付勢力に応じて高い過大トルクTを吸収する。
すなわち、第一ダンパカム部材110は、高い過大トルクTに応じた一対の第一、第二ダンパカム部材110、120の周方向のすべり(回転位相の相対変化)θにより、第一付勢ばね111の比較的大きい付勢力に抗して、第二ダンプカム部材120に対して図5中軸方向左方に相対変位して過大トルクを吸収する。
過大トルクが解消するときは、上記の逆の順の作動がなされる。
したがって、本実施形態のカム式トルクダンパ100Aによれば、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120の回転位相の相対変化おいて、第一、第二付勢ばね111、121に抗する軸方向の相対変位によって、小位相差時の低トルクから大位相差時の高トルクまで広範囲に亘ってトルク変動Tによる衝撃の、適切な吸収が可能となる。
なお、第二ダンパカム部材120と受圧部材130の間の空隙部125にはオイルが充填されているが、第二ダンパカム部材120の外周部120aには軸方向のオイル流路120dが設けられており、オイルが通過できるので、以上のように、第二ダンパカム部材120が軸方向に移動するときの障害とならないうえ、オイルダンパ効果が得られ、トルク変化の衝撃緩和と、第二付勢ばね121の振動減衰が図られる。
また、オイル流路120dから左側に流出したオイルは凹カム部120bと凸カム部110dとの潤滑に供される。入力回転軸101がケーシング108の右端底面108cを貫通する貫通孔のクリアランス108eからのオイルリークは、図2、図4から明らかなようにクランクケース20のオイルパン92への還流となるので許容される。
また、第一付勢ばね111が付勢する第一ダンパカム部材110より第一付勢ばね111側のケーシング内第一付勢ばね側空間108dにはオイルが充填されているが、第一ダンパカム部材110の外周部110eには軸方向のオイル流路110fが設けられており、オイルが通過できるので、以上のように、第一ダンパカム部材110が軸方向に移動するときの障害とならないうえ、オイルダンパ効果が得られ、トルク変化の衝撃緩和と、第一付勢ばね111の振動減衰が図られる。
また、オイル流路120fから右側に流出したオイルは凸カム部110dと凹カム部120bとの潤滑に供される。出力回転軸105がケーシング108の左端底面108bを貫通する貫通孔のクリアランス108eからのオイルリークは、図2、図4から明らかなようにクランクケース20のオイルパン92への還流となるので許容される。
以下、本実施形態1のカム式トルクダンパ100Aの特徴を纏めて説明する。
すなわち、本実施形態1のカム式トルクダンパ100Aは、回転動力が入力される入力回転軸101と、入力回転部材101と同軸芯に配設され、入力回転部材101に入力された回転動力が伝達されて出力する出力回転軸105と、入力回転軸101および出力回転軸105にそれぞれ相対回転不能に設けられ、互いに当接した状態での回転位相の相対変化により軸方向の相対変位を生じる一対の第一、第二ダンパカム部材110、120と、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120を当接方向に付勢する第一付勢ばね111とを備え、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120のうち少なくとも第二ダンパカム部材110は、軸方向に移動可能に設けられたカム式トルクダンパ100Aにおいて、第一付勢ばね111による一対の第一、第二ダンパカム部材110、120の当接方向の移動を限定する規制部材112と、規制部材112による当接方向の移動の不足を補い、第一付勢ばね111より小さい付勢力で一対の第一、第二ダンパカム部材110、120を当接させる第二付勢ばね121と、第二付勢ばね121が所定以上圧縮されたとき、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120を第一付勢ばね111に抗するように当接させる初期圧縮部109とを備えている。
したがって、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120の回転位相の相対位相差が小さく、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120が相互に当接しながら、相対的に小さい付勢力の第二付勢ばね121が所定以上圧縮されるまでは、相対的に大きい付勢力の第一付勢ばね111が、規制部材112によって、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120の当接方向の移動を限定されているため、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120の回転位相の相対変化によるトルクが入力された直後の初期動においては、第二付勢ばね121により低トルクが吸収され、打音の低減等がなされる。
第二付勢ばね121が所定以上圧縮されると、初期圧縮部109が一対の第一、第二ダンパカム部材110、120を第一付勢ばね111に抗するように当接させるので、第一付勢ばね111の圧縮による高トルクの吸収、衝撃トルク緩和が行われる。
したがって、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120の回転位相の相対変化において、付勢力の異なる第一、第二付勢ばね111、121が集約されて2段階にカム式トルクダンパ100Aが働くので、小位相差時の低トルクから大位相差時の高トルクまで広範囲に亘ってトルク変動による衝撃の、適切な吸収が可能となり、少ない部品数で駆動伝達系の質感を向上できる。
また、初期圧縮部125は、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120のうちの第二ダンパカム部材120と、第二ダンパカム部材120と第二付勢ばね121を介して間隙部125を有して接続され、入力回転部軸101に相対回転不能かつ軸方向移動不能に固定された受圧部材130とで構成され、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120の回転位相の相対変化による軸方向の相対変位により、所定以上の圧力が第二付勢ばね121に作用した場合は、同第二付勢ばね121が圧縮され間隙部125が閉じて、第二ダンパカム部材120と受圧部材130とが直接当接するように構成されているので、微小回転位相差による小トルク発生の場合には、吸振効果、打音低減効果を発揮する一方、大回転位相差による高トルク発生時には、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120が第一付勢ばね111により当接方向に付勢されるため、高付勢力の第一付勢ばね111により十分に高トルクが吸収される。
また、第二付勢ばね121は、コイルばねであり、受圧部材130に、入力回転軸101の軸芯を中心とする同心同径円上に複数配置されたので、第二ダンパカム部材120を均等に受圧部材130で受けることができる。
また、第二ダンパカム部材120と受圧部材130が、ケーシング108に収納されて、第二ダンパカム部材120と受圧部材130の間にオイルが充填され、第二ダンパカム部材120に、軸方向移動においてオイルが軸方向前後に通過するオイル流路が設けられたので、第二ダンパカム部材120の軸方向移動時にオイルダンパ効果が得られ、トルク変化の衝撃緩和と、第二付勢ばね121の振動減衰が図られる。
また、第一付勢ばね111が、ケーシング108に収納されて、第一付勢ばね111が付勢する第一ダンパカム部材110より第一付勢ばね111側のケーシング108内の空間にオイルが充填され、第一付勢ばね111が付勢する第一ダンパカム部材110に、軸方向移動においてオイルが軸方向前後に通過するオイル流路110fが設けられたので、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120が収納されるケーシング108内の空間全体に、オイルが充填されたため、オイルダンパ効果が一層発揮され、一対の第一、第二ダンパカム部材110、120の回転位相の相対変化によるトルク変化の衝撃をより一層低減でき、第一、第二付勢ばね111、121の振動減衰効果が高まる。
また、オイルは、入力回転軸101または出力回転軸105の内部を通して供給されるように構成されたので、オイル供給が簡易な構造で、容易に行える。
次に、図8により、本発明の実施形態2のカム式トルクダンパ100Bについて説明する。本実施形態のカム式トルクダンパ100Bは、総括的に説明した上述のカム式トルクダンパ100の一例である。
図8に示されるように、実施形態2のカム式トルクダンパ100Bは、上述の実施形態1のカム式トルクダンパ100Aに対して、コイルばねによる第二付勢ばね121を、入力回転軸101の軸芯を中心とする皿ばねによる第二付勢ばね(本発明の「第二付勢手段」)121Bに替えたことが異なり、その結果、本実施形態の受圧部材130Bは、実施形態1の受圧部材130のようなスプリングポケット130aを備えない。
その他は、実施形態1のカム式トルクダンパ100Aと同じであり、本実施形態のカム式トルクダンパ100Bの説明は、上記実施形態1の説明において、「第二付勢ばね121」を「第二付勢ばね121B」と、「受圧部材130」を「受圧部材130B」と読み替えて該当する。
したがって、本実施形態の特徴は上記実施形態1の特徴と大部分同じであるが、上記実施形態1において第二付勢ばね121がコイルバネであることによる特徴が除かれるほか、下記の異なる特徴を有する。
すなわち、本実施形態の第二付勢ばね121Bは、入力回転軸101の軸芯を中心とする皿ばねであるので、第二ダンパカム部材120を均等に受圧部材130Bで受けることができるうえ、部品の偏りがなく、アンバランスが抑制され、振動を低減できる、ということである。
次に、図9により、本発明の実施形態3のカム式トルクダンパ100Cについて説明する。本実施形態のカム式トルクダンパ100Cは、総括的に説明した上述のカム式トルクダンパ100の一例である。
図9に示されるように、実施形態3のカム式トルクダンパ100Cは、左方から出力回転軸105、右方から入力回転軸101が挿入される円筒状のケーシング108を備えている。
ケーシング108内の出力回転軸105には、ケーシング108内に収納された受圧部材130Cがスプライン嵌合によって相対回転不能かつ軸方向移動可能に取り付けられている。
受圧部材130Cには、段部130Caより右方がケーシング108の内周面108aを摺動するピストン部130Cbをなし、段部130Caより左方が小径部130Ccをなしており、ケーシング108の左端底面108bと受圧部材130Cの段部130Caとの間には、受圧部材130Cを介して第一ダンパカム部材110Cを右方に付勢する第一付勢ばね(本発明の「第一付勢手段」)111Cが介装されている。
第一付勢ばね111Cはコイルばねであり、従来のカム式トルクダンパのダンパカム部材の付勢手段と同様の、比較的強い付勢力を備えている。
したがって、受圧部材130Cの小径部130Ccは、第一付勢ばね111Cの内側に位置している。
受圧部材130Cの右方において、ケーシング108の内周面108aには、第一付勢ばね111Cによる受圧部材130Cの右方への移動を限定する規制部材112Cが設けられている。
また、出力回転軸105のケーシング108内の右先端側には、ケーシング108の内周面108aを摺動するピストン状の第一ダンパカム部材(本発明の「ダンパカム部材」、「一方のダンパカム部材」)110Cがスプライン嵌合によって相対回転不能かつ軸方向移動可能に取り付けられている。
第一ダンパカム部材110Cは、段部110Caより右方がケーシング108の内周面108aを摺動するピストン部110Cbをなし、段部110Caより左方が小径部110Ccをなしている。
受圧部材130Cと第一ダンパカム部材110Cの左端面110Cgとの間には、第二付勢ばね(本発明の「第二付勢手段」)121Cが介装されている。すなわち、受圧部材130Cの右端面Cdには、出力回転軸105の軸芯を中心とする同心同径円上に複数配置され、出力回転軸105の軸方向に配向し右方に開口するスプリングポケット130Ceが、小径部110Cc内に向けて穿設されている。
各スプリングポケット130Ceには、第二付勢ばね121Cが装填されて右方に伸び、第一ダンパカム部材110Cの左端面110Cgに当接して第一ダンパカム部材110Cを右方に付勢している。第二付勢ばね121Cは全体で第一付勢ばね111Cに対して弱い付勢力を備えている。
したがって、受圧部材130Cが第一付勢ばね111Cの内側に配置され、第二付勢ばね121Cの少なくとも一部が第一付勢ばね111Cの内側に配置されている。
第一ダンパカム部材110Cには、ピストン部110Cbの外周部110Ceからは右方に向けて円周方向で2箇所突出する凸カム部110Cdが一体に形成されている。
また、出力回転軸105には、そのオイル流路105aに連通し、受圧部材130Cより第一付勢ばね111側のケーシング内第一付勢ばね側空間108dに開口するオイル供給孔105bが設けられている。
連絡軸支持部84のオイル供給路から出力回転軸105のオイル流路105aに供給されたオイルは、そのオイル供給孔105bからケーシング内第一付勢ばね側空間108dに充填され、簡易な構造で容易にオイル供給がなされる。
一方、ケーシング108内の入力回転軸101には、ケーシング108内に収納されケーシング108の右端底面108cに当接して相対回転不能かつ軸方向移動不能に第二ダンパカム部材(本発明の「ダンプカム部材」)120Cが取り付けられている。
第二ダンパカム部材120Cには、ピストン状の外周部120Caに、左方に向けて円周方向で2箇所の凹カム部120Cbが一体に形成されている。
上述のように、受圧部材130Cはケーシング108の内周面108aの規制部材112Cによって、右方への移動を限定されて、通常はケーシング108内でその状態で停止している。
しかし、第一ダンパカム部材110Cは、規制部材112Cによって右方への移動を限定された受圧部材130Cとの間の第二付勢ばね122Cによって右方に付勢されているので、その凸カム部110Cdが第二ダンパカム部材120Cの凹カム部120Cbに当接するまで左方に移動して、通常はケーシング108内でその状態で停止している。
一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cは、第二付勢ばね121Cにより押し合う状態であり、通常は凸カム部110Cdの頂部(最も突出した箇所)と凹カム部120Cbの底部(最も引き込んだ箇所)とが当接している。
また、その状態で、受圧部材130Cと第一ダンパカム部材110Cとの間には軸方向距離Dの間隙部125Cが生じている。
出力回転軸105には、そのオイル流路105aに連通し、受圧部材120Cと第一ダンパカム部材110Cとの間の間隙部125Cに開口するオイル供給孔105cが設けられている。
また、出力回転軸105のオイル流路105aは、右端で開口している。
連絡軸支持部84のオイル供給路から出力回転軸105のオイル流路105aに供給されたオイルは、そのオイル供給孔105bからケーシング内第一付勢ばね側空間108dに充填され、オイル供給孔105cから間隙部125Cに充填され、簡易な構造で容易にオイル供給がなされる。
一方、右クランクケースカバー21Rのオイル供給路21Raから入力回転軸101のオイル流路101aに供給されたオイルは、第一ダンパカム部材110Cと第二ダンパカム部材120Cとの間に供給され、凸カム部110Cdと凹カム部120Cbの潤滑が行われるほか、出力回転軸105のオイル流路105aの右端の開口からオイル流路105aに流入し、オイル供給孔105b、105cへの給油がなされ、簡易な構造で容易に十分なオイル供給が可能となる。
もっとも、出力回転軸105からのオイル供給で十分であれば、入力回転軸101のオイル流路101aを省略することも可能である。
以上のような実施形態3のカム式トルクダンパ100Cは、第二付勢ばね121Cが所定以上圧縮されたとき、一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cを第一付勢ばね111に抗するように当接させる初期圧縮部109Cが、第一実施形態の第二ダンパカム部材120と受圧部材130とは異なり、受圧部材130Cと第一ダンパカム部材110Cとで構成されるなど、部材配置等の構造に違いがある。
しかし、実施形態3のカム式トルクダンパ100Cにおける、第二付勢ばね121Cによる一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cの作用効果、第一付勢ばね111Cによる一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cの作用効果は、実施形態1のカム式トルクダンパ100Aと同様であり、以下その説明は省略する。
したがって、本実施形態のカム式トルクダンパ100Cによれば、一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cの回転位相の相対変化おいて、第一、第二付勢ばね111C、121Cに抗する軸方向の相対変位によって、小位相差時の低トルクから大位相差時の高トルクまで広範囲に亘ってトルク変動による衝撃の、適切な吸収が可能となる。
本実施形態のカム式トルクダンパ100Cの構造で、実施形態1のカム式トルクダンパ100Aに対して特徴的な点は、受圧部材130Cが第一付勢ばね111Cの内側に配置され、第二付勢ばね121Cの少なくとも一部が第一付勢ばね111Cの内側に配置されたことにあり、カム式トルクダンパ100Cの軸方向の装置寸法を縮めることができ、カム式トルクダンパ100Cの小型化を図ることができる点にある。
なお、受圧部材130Cの外周部130Cfには軸方向のオイル流路130Cgが設けられており、第一ダンパカム部材110Cの外周部110eには軸方向のオイル流路110fが設けられているので、実施形態1のカム式トルクダンパ100Aと同様に、オイルダンパ効果が得られ、トルク変化の衝撃緩和と、第一、第二付勢ばね111、120Cの振動減衰が図られる。
以下、本実施形態3のカム式トルクダンパ100Cの特徴を纏めて説明する。
すなわち、本実施形態3のカム式トルクダンパ100Cは、回転動力が入力される入力回転軸101と、入力回転部材101と同軸芯に配設され、入力回転部材101に入力された回転動力が伝達されて出力する出力回転軸105と、入力回転軸101および出力回転軸105にそれぞれ相対回転不能に設けられ、互いに当接した状態での回転位相の相対変化により軸方向の相対変位を生じる一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cと、一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cを当接方向に付勢する第一付勢ばね111Cとを備え、一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cのうち少なくとも第一ダンパカム部材110Cは、軸方向に移動可能に設けられたカム式トルクダンパ100Cにおいて、第一付勢ばね111Cによる一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cの当接方向の移動を限定する規制部材112Cと、規制部材112Cによる当接方向の移動の不足を補い、第一付勢ばね111Cより小さい付勢力で一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cを当接させる第二付勢ばね121Cと、第二付勢ばね121Cが所定以上圧縮されたとき、一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cを第一付勢ばね111Cに抗するように当接させる初期圧縮部109Cとを備えている。
したがって、一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cの回転位相の相対位相差が小さく、一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cが相互に当接しながら、相対的に小さい付勢力の第二付勢ばね121Cが所定以上圧縮されるまでは、相対的に大きい付勢力の第一付勢ばね111Cが、規制部材112Cによって、一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cの当接方向の移動が限定されているため、一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cの回転位相の相対変化によるトルクが入力された直後の初期動においては、第二付勢ばね121Cにより低トルクが吸収され、打音の低減等がなされる。
第二付勢ばね121Cが所定以上圧縮されると、初期圧縮部109Cが一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cを第一付勢ばね111Cに抗するように当接させるので、第一付勢ばね111Cの圧縮による高トルクの吸収、衝撃トルク緩和が行われる。
したがって、一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cの回転位相の相対変化において、付勢力の異なる第一、第二付勢ばね111C、121Cが集約されて2段階にカム式トルクダンパ100Cが働くので、小位相差時の低トルクから大位相差時の高トルクまで広範囲に亘ってトルク変動による衝撃の、適切な吸収が可能となり、少ない部品数で駆動伝達系の質感を向上できる。
また、初期圧縮部109Cは、一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cのうちの第一ダンパカム部材110Cと、第一ダンパカム部材110Cと第二付勢ばね121Cを介して間隙部125Cを有して接続され、出力回転軸105に相対回転不能かつ軸方向移動可能、且つ前記規制部材112Cにより第一付勢ばね111Cによる一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cの当接方向の移動が限定された受圧部材130Cとで構成され、一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cの回転位相の相対変化による軸方向の相対変位により、所定以上の圧力が第二付勢ばね121Cに作用した場合は、第二付勢ばね121Cが圧縮され間隙部125Cが閉じて、第一ダンパカム部材110Cと受圧部材130Cとが直接当接するように構成されたので、微小回転位相差による小トルク発生の場合には、吸振効果、打音低減効果を発揮する一方、大回転位相差による高トルク発生時には、第一ダンパカム部材110Cが受圧部材130Cを介して第一付勢ばね111により当接方向に付勢されるため、高付勢力の第一付勢ばね111により十分に高トルクが吸収される。
また、第二付勢ばね121Cは、コイルばねであり、受圧部材130Cに、出力回転軸105の軸芯を中心とする同心同径円上に複数配置されたので、第一ダンパカム部材110Cを均等に受圧部材130Cで受けることができる。
また、第一付勢ばね111Cがコイルばねであり、受圧部材130Cが第一付勢ばね111Cの内側に配置され、第二付勢ばね121Cの少なくとも一部が第一付勢ばね111Cの内側に位置されたので、カム式トルクダンパ100Cの軸方向の装置寸法を縮めることができ、カム式トルクダンパ100Cの小型化を図ることができる。
また、第一ダンパカム部材110Cと受圧部材130Cが、ケーシング108に収納されて、第一ダンパカム部材110Cと受圧部材130Cの間にオイルが充填され、第一ダンパカム部材110Cに、軸方向移動においてオイルが軸方向前後に通過するオイル流路110Cfが設けられた、第一ダンパカム部材110Cの軸方向移動時にオイルダンパ効果が得られ、トルク変化の衝撃緩和と、第二付勢ばね121Cの振動減衰が図られる。
また、第一ダンパカム部材110Cが、ケーシング108に収納されて、第一ダンパカム部材110Cが付勢する受圧部材130Cより第一付勢ばね111C側のケーシング108内のケーシング内第一付勢ばね側空間108dにオイルが充填され、第一付勢ばね111Cが付勢する受圧部材130Cに、軸方向移動においてオイルが軸方向前後に通過するオイル流路130Cgが設けられたので、一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cが収納されるケーシング108内の空間全体に、オイルが充填されたため、オイルダンパ効果が一層発揮され、一対の第一、第二ダンパカム部材110C、120Cの回転位相の相対変化によるトルク変化の衝撃をより一層低減でき、第一、第二付勢ばね111C、121Cの振動減衰効果が高まる。
また、オイルは、入力回転軸101または出力回転軸105の内部を通して供給されるように構成されたので、オイル供給が簡易な構造で、容易に行える。
以上、本発明の実施形態のカム式トルクダンパにつき述べたが、本発明は各請求項の要旨の範囲内で、上記実施形態と異なる態様を含むことは勿論である。
例えば、本発明のカム式トルクダンパは、請求項1の構成を備える多様な形態、用途のカム式トルクダンパであってよく、内燃機関内の出力軸直前に組み込まれることに限定されず、たとえば、内燃機関外の駆動プロペラシャフトに組み込まれてもよい。
また、実施形態における入力回転軸側と出力回転軸側の構成が、反対になった構成であってもよい。
また、第一ダンパカム部材に凹カム部を備え、第二ダンパカム部材に凸カム部を備えるようにしてもよい。
なお、本発明のカム式トルクダンパが内燃機関に備えられる場合の内燃機関は、上記実施形態の水冷式4ストロークサイクルV型2気筒内燃機関に限定されず、車両搭載の場合の車両は自動二輪車に限定されず、また、車両搭載用内燃機関に限定されない。
100、100A、100B、100C…カム式トルクダンパ、101…入力回転軸(本発明の「入力回転部材」)、101a…オイル流路、105…出力回転軸(本発明の「出力回転部材」、105a…オイル流路、108…ケーシング、108d…ケーシング内第一付勢ばね側空間、109、109C…初期圧縮部、110…第一ダンパカム部材(本発明の「ダンパカム部材」)、110d…凸カム部、110f…オイル流路、110C…第一ダンパカム部材(本発明の「ダンパカム部材」、「一方のダンパカム部材」)、110Cd…凸カム部、110Cf…オイル流路、111、111C……第一付勢ばね(本発明の「第一付勢手段」)、112、112C…規制部材、120…第二ダンパカム部材(本発明の「ダンパカム部材」、「一方のダンパカム部材」)、120b…凹カム部、120d…オイル流路、120C…第二ダンパカム部材(本発明の「ダンパカム部材」)、120Cb…凹カム部、121、121B、121C…第二付勢ばね(本発明の「第二付勢手段」)、125、125C…間隙部、130、130B、130C…受圧部材、130Cg…オイル流路

Claims (10)

  1. 回転動力が入力される入力回転部材(101)と、
    同入力回転部材(101)と同軸芯に配設され、同入力回転部材(101)に入力された回転動力が伝達されて出力する出力回転部材(105)と、
    前記入力回転部材(101)および出力回転部材(105)にそれぞれ相対回転不能に設けられ、互いに当接した状態での回転位相の相対変化により軸方向の相対変位を生じる一対のダンパカム部材(110,110C:120,120C)と、
    前記一対のダンパカム部材(110,110C:120,120C)を当接方向に付勢する第一付勢手段(111,111C)とを備え、
    前記一対のダンパカム部材(110,110C:120,120C)の少なくとも一方(110,110C)は、軸方向に移動可能に設けられたカム式トルクダンパ(100,100B,100C)において、
    前記第一付勢手段(111,111C)による前記一対のダンパカム部材(110,110C:120,120C)の当接方向の移動を限定する規制部材(112,112C)と、
    同規制部材(112,112C)による前記当接方向の移動の不足を補い、前記第一付勢手段(111,111C)より小さい付勢力で前記一対のダンパカム部材(110,110C:120,120C)を当接させる第二付勢手段(121,121B,121C)と、
    同第二付勢手段(121,121B,121C)が所定以上圧縮されたとき、前記一対のダンパカム部材(110,110C:120,120C)を前記第一付勢手段(111,111C)に抗するように当接させる初期圧縮部(109,109C)とを備えたことを特徴とするカム式トルクダンパ。
  2. 前記初期圧縮部(109)は、前記一対のダンパカム部材(110:120)のうちの一方のダンパカム部材(120)と、同一方のダンパカム部材(120)と前記第二付勢手段(121,121B)を介して間隙部(125)を有して接続され、前記入力回転部材(101)または出力回転部材(105)に相対回転不能かつ軸方向移動不能に固定された受圧部材(130,130B)とで構成され、
    前記一対のダンパカム部材(110:120)の回転位相の相対変化による軸方向の相対変位により、所定以上の圧力が前記第二付勢手段(121,121B)に作用した場合は、同第二付勢手段(121,121B)が圧縮され前記間隙部(125)が閉じて、前記一方のダンパカム部材(120)と前記受圧部材(130,130B)とが直接当接するように構成されたことを特徴とする請求項1記載のカム式トルクダンパ。
  3. 前記第二付勢手段(121)は、コイルばねであり、同受圧部材(121)に、前記入力回転部材(101)または出力回転部材(105)の軸芯を中心とする同心同径円上に複数配置されたことを特徴とする請求項2記載のカム式トルクダンパ。
  4. 前記第二付勢手段(121B)は、前記(101)または出力回転部材(105)の軸芯を中心とする皿ばねであることを特徴とする請求項2記載のカム式トルクダンパ。
  5. 前記初期圧縮部(109C)は、前記一対のダンパカム部材(110C:120C)のうちの一方のダンパカム部材(110C)と、同一方のダンパカム部材(110C)と前記第二付勢手段(121C)を介して間隙部(125C)を有して接続され、前記入力回転部材(101)または出力回転部材(105)に相対回転不能かつ軸方向移動可能、且つ前記規制部材(112C)により前記第一付勢手段(111C)による前記一対のダンパカム部材(110C:120C)の当接方向の移動が限定された受圧部材(130C)とで構成され、
    前記一対のダンパカム部材(110C:120C)の回転位相の相対変化による軸方向の相対変位により、所定以上の圧力が前記第二付勢手段(121C)に作用した場合は、同第二圧縮手段(121C)が圧縮され前記間隙部(125C)が閉じて、前記一方のダンパカム部材(110C)と前記受圧部材(130C)とが直接当接するように構成されたことを特徴とする請求項1記載のカム式トルクダンパ。
  6. 前記第二付勢手段(121C)は、コイルばねであり、前記受圧部材(130C)に、前記入力回転部材(101)または出力回転部材(105)の軸芯を中心とする同心同径円上に複数配置されたことを特徴とする請求項5記載のカム式トルクダンパ。
  7. 前記第一付勢手段(111C)がコイルばねであり、前記受圧部材(130C)が同第一付勢手段(111C)の内側に配置され、前記第二付勢手段(121C)の少なくとも一部が同第一付勢手段(111C)の内側に位置されたことを特徴とする請求項6記載のカム式トルクダンパ。
  8. 前記一方のダンパカム部材(120,110C)と前記受圧部材(130,130B,130C)が、ケーシング(108)に収納されて、同一方のダンパカム部材(120,110C)と受圧部材(130,130B,130C)の間にオイルが充填され、
    前記一方のダンパカム部材(120,110C)に、軸方向移動においてオイルが軸方向前後に通過するオイル流路(120d,110Cf)が設けられたことを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか記載のカム式トルクダンパ。
  9. 前記第一付勢手段(111,111C)が、前記ケーシング(108)に収納されて、同第一付勢手段(111,111C)が付勢するダンパカム部材(110)または受圧部材(130C)より同第一付勢手段(111,111C)側の前記ケーシング内の空間(108d)にオイルが充填され、
    前記第一付勢手段(111,111C)が付勢するダンパカム部材(110)または受圧部材(130C)に、軸方向移動においてオイルが軸方向前後に通過するオイル流路(110f,130Cg)が設けられたことを特徴とする請求項8記載のカム式トルクダンパ。
  10. 前記オイルは、前記入力回転部材(101)または出力回転部材(105)の内部を通して供給されるように構成されたことを特徴とする請求項8または請求項9記載のカム式トルクダンパ。
JP2011192278A 2011-09-05 2011-09-05 カム式トルクダンパ Expired - Fee Related JP5602697B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011192278A JP5602697B2 (ja) 2011-09-05 2011-09-05 カム式トルクダンパ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011192278A JP5602697B2 (ja) 2011-09-05 2011-09-05 カム式トルクダンパ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013053673A JP2013053673A (ja) 2013-03-21
JP5602697B2 true JP5602697B2 (ja) 2014-10-08

Family

ID=48130855

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011192278A Expired - Fee Related JP5602697B2 (ja) 2011-09-05 2011-09-05 カム式トルクダンパ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5602697B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11421744B2 (en) 2018-10-17 2022-08-23 Suzuki Motor Corporation Damper device

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016222183A (ja) * 2015-06-02 2016-12-28 ヤマハ発動機株式会社 鞍乗型電動車両
JP7099243B2 (ja) 2018-10-17 2022-07-12 スズキ株式会社 ダンパ装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61157851A (ja) * 1984-12-27 1986-07-17 Suzuki Motor Co Ltd ダンパ構造
JPS6228524A (ja) * 1985-07-31 1987-02-06 Suzuki Motor Co Ltd カムダンパ
JPH0334509Y2 (ja) * 1985-07-31 1991-07-22
JPH0344229U (ja) * 1989-09-08 1991-04-24

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11421744B2 (en) 2018-10-17 2022-08-23 Suzuki Motor Corporation Damper device

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013053673A (ja) 2013-03-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7398753B2 (en) Engine with built-in continuously variable transmission
USRE42841E1 (en) Engine with transmission
CA2604120C (en) Power transmission device
US7311623B2 (en) Engine incorporating a V-belt type continuously variable transmission
US20080156563A1 (en) Power unit for a motorcycle, and motorcycle incorporating same
US20040244761A1 (en) Lubrication system for an engine
US8601993B2 (en) Engine balancer device
US20040244757A1 (en) Balancer structure for engine
US7942645B2 (en) Oil pump assembly
JP5602697B2 (ja) カム式トルクダンパ
US6557516B2 (en) Engine unit for a vehicle
US7201263B2 (en) Viscous damper
US8512181B2 (en) Power unit for small vehicle
US7455039B2 (en) Engine
KR100918545B1 (ko) 동력 전달 장치
JP4627067B2 (ja) 自動二輪車
JP4549834B2 (ja) 車両用シフトドラム駆動機構
JP4327229B2 (ja) 有段式自動変速装置、それを備えたパワーユニット、及びそれを備えたモーターサイクル
US20100242870A1 (en) Vehicle internal combustion engine
US20080081727A1 (en) Transmission
JP4105057B2 (ja) スタータモータを備えた内燃機関
JP4531361B2 (ja) 油圧式クラッチを備えたエンジン
JP4472649B2 (ja) カム駆動機構
JP4071512B2 (ja) 車両用v型エンジン

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131127

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140724

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140729

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140820

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5602697

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees