JP5601437B2 - コラーゲン様構造を有するポリペプチド - Google Patents

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Description

本発明は、コラーゲン様の3本らせん構造を有するポリペプチド、このようなポリペプチドを製造するためのペプチド3量体、ならびにポリペプチドおよびペプチド3量体の製造方法に関する。
コラーゲンは、医薬品や化粧品の基材、再生医学やドラッグデリバリーシステム用の生体適合性材料、組織培養用の支持体などとして広く用いられている。現在利用されているコラーゲンは、主としてブタ、ウシなどの動物から得たコラーゲンを精製したものである。しかし、家畜由来コラーゲンをヒトに利用する場合には、BSEの原因となるプリオン感染の危険性が問題となっている。また、植物や魚皮由来コラーゲンも利用されるようになってきたが、異種コラーゲンの摂取によるゼラチンアレルギーの危険性が伴う。したがって、安全なコラーゲン代替品の供給が求められている。最近、さまざまなホスト生物を利用した遺伝子組み換えヒト型コラーゲン産生系の構築が試みられているが、まだ実用化には至っていない。
コラーゲンは、3本のポリペプチド鎖が長い3本らせんを形成している構造を有する。コラーゲン様配列を有する3本の化学合成ペプチドが自己集合してコラーゲンと同じ3本らせん構造をとることはよく知られており、コラーゲンの構造研究に利用されている。コラーゲン様ポリペプチドとしては、例えば、ペプチドユニット[-(Pro-Y-Gly)n-]a(式中、YはProまたはHypを表し、nは1−20の整数を表す)と、ペプチドユニット[-(Z)r-]b(式中、Zは1−10個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖を表し、rは1−20の整数を表す)とを含む繰り返し単位で構成されたポリペプチドが開示されている(特開2003−321500)。また、コラーゲン様ペプチド配列からなる超分子としては、これまでに、Martinらのコラーゲントリブロックペプチド:(Glu)5(Gly-X-Hyp-Gly-Pro-Hyp)6(Glu)5(Martin, R. et al. Biopolymers 70, 435-444, 2003)や、Fieldsによる"peptide-amphiphile" (Fields, GB, Bioorg. Med. Chem. 7, 75-81, 1999)が報告されている。
しかし、これまでに、分子間での相補的3本らせん形成により、3本らせん軸方向に伸長した超分子を作成した例は報告されていない。
特開2003−321500 Martin, R. et al. Biopolymers 70, 435-444, 2003 Fields, GB, Bioorg. Med. Chem. 7, 75-81, 1999
本発明は、コラーゲン様の3本らせん構造を有するポリペプチドおよびこのようなポリペプチドを製造するためのペプチドユニットを提供することを目的とする。
本発明は、式:
-(-Gly-X-Y-)-
[式中、XおよびYは任意のアミノ酸残基を表す]
の繰り返し単位を基本構造として有する同一鎖長の3個のペプチドが、主鎖方向に互いにずれて結合されているペプチド3量体を提供する。好ましくは、前記3個のペプチドは、ジスルフィド結合により互いに結合されている。
別の態様においては、本発明は、上述の本発明のペプチド3量体を製造する方法を提供する。この方法は、
1個のCysを有する第1のペプチド、2個のCysを有し、その一方のSH基が保護されている第2のペプチドおよび1個のCysを有する第3のペプチドを用意し、
第1のペプチドと第2のペプチドとをジスルフィド結合により結合させてペプチド2量体を形成し、
第2のペプチドの保護されたSHを保護基変換により活性化し、そして
前記ペプチド2量体と第3のペプチドとをジスルフィド結合により結合させる、
の各工程を含む。
また別の態様においては、本発明は、上述の本発明のペプチド3量体を構成成分とする3本らせん構造を有する分子集合体を提供する。本発明はさらに、上述の本発明の分子集合体を製造する方法であって、ペプチド3量体の溶液を0℃−40℃の範囲の温度で1時間以上放置することを特徴とする方法を提供する。
本発明は、コラーゲン様配列を有する合成ペプチドを位置選択的架橋形成により3量体化させて形成したペプチド3量体ユニットを提供する。本発明はまた、このペプチド3量体ユニットを構成単位とし、3本らせん構造を有する超分子を作成する方法を提供する。本発明の概要は図1に示される。
ペプチド3量体ユニットの構造
本発明のペプチド3量体ユニットは、式:
-(-Gly-X-Y-)-
[式中、XおよびYは任意のアミノ酸残基を表す]
の繰り返し単位を基本構造として有する。天然のコラーゲンを構成するポリペプチド鎖は、-(-Gly-Pro-Pro-)-または-(-Gly-Pro-Hyp-)-の繰り返し単位をその基本構造として有しており、長い左巻きらせんを形成する。3本のポリペプチド鎖は互いに巻き合って、鎖間の水素結合により長く伸びた右巻きらせん構造を形成することができる。また、-(-Gly-Pro-Pro-)-または-(-Gly-Pro-Hyp-)-の繰り返し単位を有する鎖長15−30程度のペプチドの溶液を放置しておくと、天然のコラーゲンと同様の安定な3本らせん構造をとることが知られている。本明細書においては、このような3本らせん構造を「コラーゲン様構造」と称する。
本発明のペプチド3量体ユニットは、3個のペプチドから構成され、それぞれのペプチドは、-(-Gly-X-Y-)-[式中、XおよびYは任意のアミノ酸残基を表す]の繰り返し単位からなる基本構造を有する。ここで、XおよびYは、天然のアミノ酸残基でもよく、当該技術分野においてよく知られる修飾アミノ酸残基でもよく、L体でもD体でもよい。好ましくは、本発明のペプチド3量体は、天然のコラーゲンに見いだされる-(-Gly-Pro-Pro-)-または-(-Gly-Pro-Hyp-)-の繰り返し単位を多く含み、例えば、ペプチド3量体分子全体で、Xの30%以上がProであり、Yの30%以上がProまたはHypである。しかし、(Gly-Glu-Arg)n(Mechling, DE. et al, J. Biol. Chem. 275, 14352-14356, 2000)、(Gly-Pro-Nleu)n (Nleu= N-イソブチルグリシン; Goodman, M. et al, J. Am. Chem. Soc. 118, 10928-10929, 1996)なども安定な3本らせん構造を形成することが知られており、本発明のペプチド3量体はこのような繰り返し単位を有していてもよい。ペプチドが、「-(-Gly-X-Y-)-の繰り返し単位からなる基本構造を有する」とは、ペプチドのすべてのアミノ酸配列が-(-Gly-X-Y-)-の繰り返し単位を有する(すなわち3番目ごとにGlyを有する)必要はなく、このような繰り返し単位を有しない部分を含んでいてもよいことを意味する。ただし、安定な3本らせん構造をとるためには、ペプチド3量体分子中の80%以上、好ましくは90%以上のアミノ酸配列が-(-Gly-X-Y-)-の繰り返し単位を有していることが必要である。
本発明のペプチド3量体ユニットは、同一鎖長の3個のペプチドが主鎖方向に互いにずれてアミノ酸側鎖どうしが結合されている構造を有する。ここで、「主鎖方向に互いにずれて」いるとは、3個のペプチドが完全に重なり合わないように結合されていることを意味し、例えば図2に示される種々の構造が考えられる。3個のペプチドを主鎖方向に互いにずれるように結合させることにより、3個のペプチドどうしが短い安定な3本らせん構造をとることを防止し、ペプチド3量体をユニットとする長い3本らせん構造を形成させることができる。このとき、ペプチド3量体中の1本鎖または2本鎖の部分は、複数のペプチド3量体を水素結合により安定に保持するのりしろの役割をはたす。したがって、本発明においては、図2に示される構造のうち、1本鎖または2本鎖の領域が長く、3本鎖の領域が短い構造がより好ましい。
本発明のペプチド3量体ユニットを構成する各ペプチドは同一の鎖長を有する。このことにより、ペプチド3量体が集合して3本らせん構造を形成するときに、ギャップのない安定な構造をとることができる。各ペプチドは、公知のペプチド合成法(液相法あるいは固相法)によって合成することができる。鎖長は10−60アミノ酸残基、好ましくは15−40残基、より好ましくは20−30残基である。鎖長が短いと形成される3本らせん構造の安定性が低くなり、鎖長が長いとペプチド合成のコストが高くなる。
本発明のペプチド3量体ユニットにおいては、好ましくは3個のペプチドのアミノ酸側鎖どうしが結合されている。好ましくは、3個のペプチドは適切な位置にCysを有しており、これらのペプチドはジスルフィド結合により互いに結合されている。あるいは、アミド結合、スルフィド結合、シッフ塩基結合などによりアミノ酸側鎖どうしを共有結合により結合させてもよい。
ペプチド3量体ユニットの合成法
本発明のペプチド3量体ユニットは、部位特異的ジスルフィド結合形成法(Ottl, J et
al., FEBS Lett, 398, 31-36, 1996; Ottl, J. and Moroder, L. , J. Am. Chem. Soc. 121, 653-661, 1999; Koide, T. et al. Bioorg Med Chem Lett. 14, 125-128, 2004)により鎖間ジスルフィド結合を形成させることにより製造することができる。簡単には、ペプチド3量体を構成する3個のペプチド鎖のうち、2個は1残基のCys残基を、1個は2残基のCys残基を有するように設計し、Cys側鎖をジスルフィド結合によって他の鎖のCysと結合させる。
この方法では、まず、1個のCysを有する第1のペプチド、2個のCysを有し、その一方のSH基が保護されている第2のペプチドおよび1個のCysを有する第3のペプチドを合成する。SH基の保護基としては、ペプチド合成の分野において知られる保護基のいずれを用いてもよいが、例えば、アセトアミドメチルを用いることができる。次に、第1のペプチドと第2のペプチドとをジスルフィド結合により結合させてペプチド2量体を形成する。CysのSH基どうしをジスルフィド結合により結合させる方法は当該技術分野において一般に知られており、例えば、一方のペプチド鎖上のSH基をピリジンスルフェニル化またはニトロピリジンスルフェニル化した後に、両方のペプチドを反応させることにより、Cys残基が互いにジスルフィド結合したペプチド2量体を形成することができる。次に、ペプチド2量体の第2のペプチドの保護されたSHを保護基変換により活性化し、そして前記ペプチド2量体と第3のペプチドとを同様にしてジスルフィド結合により結合させることにより、本発明のペプチド3量体を得ることができる。本発明のペプチド3量体は、必要に応じて、カラムクロマトグラフィー、HPLC等により精製することができる。
コラーゲン様分子集合体の構造および生成
本発明のコラーゲン様分子集合体(超分子)は、本発明のペプチド3量体ユニットをその構造単位とし、コラーゲンと同様の3本らせん構造を有する線維状の構造を持つ(図1、3)。上述の本発明のペプチド3量体ユニットの溶液を低温で放置すると、3本らせん形成を駆動力とする相補的自己集合がおこる。すなわち、本発明の分子集合体は、上述の本発明のペプチド3量体ユニットを含む溶液を0℃−40℃、好ましくは0℃−10℃で、1時間以上、好ましくは12時間以上、さらに好ましくは48時間以上放置することにより形成することができる。溶液としては水溶液が好ましいが、コラーゲン3本らせん構造には他の多くのタンパク質に存在する疎水的コアが存在しないため、有機溶媒の使用も可能である。
コラーゲン様3本らせん構造を有する分子集合体が生じているか否かは、円二色性スペクトル測定による生成物の構造解析、分子量の測定、電子顕微鏡による直接観察などにより確認することができる。
本発明のコラーゲン様分子集合体は、現在天然コラーゲンが利用されているあらゆる分野において利用することができる。例えば、細胞培養基剤、ドラッグデリバリーシステム、その他の生体適合性材料として使用することができる。本発明のコラーゲン様分子集合体は、現在天然コラーゲンの使用において問題となっている、BSEの原因となるプリオン感染の危険やゼラチンアレルギーの危険がないという利点を有する。
さらに、本発明のペプチド3量体を適切に設計することにより、天然のコラーゲンに存在する特定の機能性配列を本発明のコラーゲン様分子集合体中に容易に人工的に組み込むことができる。このため、本発明のコラーゲン様分子集合体は、コラーゲンの機能解析や、機能性人工コラーゲンの開発に利用することができる。また、特定の機能(特定のタンパク質結合に対する結合能)を有するコラーゲン様超分子、例えば、COIDE法(Yasui, N. and Koide, T., J. Am. Chem. Soc. 125, 15728-15729, 2003)によって同定される色素上皮由来因子(PEDF)結合配列をもつコラーゲン様超分子などの作成が可能である。
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
以下の実施例においては、アミノ酸は全てL-体を使用した。最終生成物および合成中間体の精製には、全て高速液体クロマトグラフィーを用いた。条件は以下の通りである:
カラム:Cosmosil 5C18-AR
溶媒:A, 0.05%トリフルオロ酢酸/水
B, 0.05%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル
温度:42℃
溶出はAからBへの直線グラジエントによりおこなった。また、最終生成物および合成中間体はMALDI-TOF MSにより同定した。
Pro-Hyp-Gly繰り返しを基本配列とするペプチドユニットの合成(図3)
1)ペプチド鎖の構築
N-ペプチド(SH体):H-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Cys(SH)-OH (配列番号1)
M-ペプチド(Acm, SH体):H-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Cys(Acm)-Cys(SH)-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-OH(配列番号2)
C-ペプチド(SH体):H-Cys(SH)-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-OH (配列番号3)
上記3種のペプチド鎖は、TrtA-PEG-樹脂(渡辺化学工業)上、通常のFmoc型固相合成法により構築した。側鎖官能基保護アミノ酸として、Fmoc-Hyp(tBu)-OH, Fmoc-Cys(Acm)-OHおよびFmoc-Cys(Trt)-OHを使用した(略号:HypまたはO, 4-ヒドロキシプロリン; Acm, アセトアミドメチル; Trt, トリチル)。
2)ペプチドの樹脂からの切り出しと脱保護
それぞれのペプチド-樹脂(約0.1mmol)を、氷冷下、水、m-クレゾール, チオアニソール(各0.25 ml)、1,2-エタンジチオール(0.125 ml)、トリフルオロ酢酸(4.125 ml)と混合し、室温で1時間撹拌した。切り出されたペプチドは、約5倍容のエーテルを加えることにより沈澱した。凍結乾燥したペプチドは、0.05%トリフルオロ酢酸/水に溶解し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製し、凍結乾燥した。
選択的ジスルフィド架橋によるペプチド3量体ユニットの合成
1)M-ペプチドのピリジンスルフェニル化:M-ペプチド(Acm, SPy体)の合成
M-ペプチド(Acm, SH体)25mg (11.2 μmol)を2 mM EDTAを含む50 mM酢酸ナトリウム(pH 5.4)[バッファー A]に溶解し、2,2'-ジピリジルジスルフィド(49.5 mg, 225 μmol)を溶解した2-プロパノールと窒素雰囲気下、室温で混合し、1時間反応させた。生成した目的物は、HPLCにて精製し、凍結乾燥した。
2)M-ペプチド(Acm, SPy体)とC-ペプチド(SH体)とのヘテロ2量体化によるM-Cダイマー(Acm, SS体)の合成
13.2 mg (5.66 μmol)のM-ペプチド(Acm, SPy体)を0.66 mlのバッファー Aに溶解し、これを14.7 mg (6.79 μmol)のC-ペプチド(SH体)を溶解した0.735 mlのバッファー Aに室温、窒素雰囲気下で滴下した。反応液は遮光し、80分撹拌した。生成した目的物は、HPLCにて精製し、凍結乾燥した。
3)M-Cダイマー(Acm, SS体)の選択的S-ニトロピリジンスルフェニル化:M-Cダイマー(Npys, SS体)の合成
10.3 mg (2.35 μmol)のM-Cダイマー(Acm, SS体)を0.412 mlのトリフルオロ酢酸/酢酸(1:2, v/v)に溶解する。3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニルクロリド(1.1 mg, 5.87 μmol)も同様に0.6 mlのトリフルオロ酢酸/酢酸(1:2, v/v)に溶解し、ペプチド溶液に室温、窒素雰囲気下滴下した。反応液は遮光し、45分間撹拌した。生成した目的物は、HPLCにて精製し、凍結乾燥した。
4)M-Cダイマー(Npys, SS体)とN-ペプチド(SH体)間での選択的ジスルフィド架橋形成による、ペプチド3量体ユニットの合成
3.9 mg (1.81 μmol)のN-ペプチド(SH体)を0.39 mlのBuffer Aに溶解し、これを8.1 mg (1.81 μmol)のM-Cダイマー(Npys, SS体)を溶解した0.81 mlのBuffer Aに室温、窒素雰囲気下で滴下した。反応液は遮光し、90分撹拌した。生成した目的物は、HPLC(4.6 id x 250 mm)にて精製し、凍結乾燥した。合成したペプチド3量体ユニットはMALDI-TOF MSにより目的物であることを確認した。実測値(M+H)+ 6458, 理論値(M+H)+ 6458。
自己集合による超分子形成
ペプチド3量体ユニットを10 mg/mlの濃度で水に溶解し、4℃にて14日間放置した(ストック溶液)。
1)円二色性スペクトル測定による構造解析
上記ストック溶液を、4℃にて水で5倍に希釈し、測定に用いた。
測定条件は以下の通りである:
装置:JASCO J-820装置に PTC-423L 温度制御装置を装着して使用
セル長:0.5 mm
測定波長:210-260 nm
データ取り込み:0.2 nm毎
スキャン速度:50 nm/min
レスポンス:2秒
データ積算:3回
感度:100 mdeg
測定温度、4、30、40、50、60、70℃
結果を図4に示す。超分子の低温におけるスペクトルは、225 nmに正のシグナルをもち、典型的なコラーゲン3本らせん構造のスペクトルパターンを示した。ペプチドユニットのデザイン上、ユニット単分子では、3本らせん構造を取り得ないため、この結果は、ユニット分子間での3本らせん形成(=超分子形成)が起こっていると解釈される。また、225 nmにおける残基平均モル楕円率([Θ]mrw)の値が、天然のコラーゲンおよびコラーゲンモデルペプチド3本らせんのそれと同等であることから、超分子中の3本らせん含有率は極めて高いことが示唆される。この3本らせん構造は熱により変性し、ランダムコイル構造となる。
2)限外濾過による超分子の解析
超分子ストック溶液あるいは、コントロールとして同様に4℃にて3本らせん形成させた(Pro-Hyp-Gly)8-アミドを4℃にて水で20倍に希釈した。これらをMicrocon YM-100(分子量100,000カット)を用いて4℃にて限外濾過をおこなった。濾液をHPLCで分析し、そのピーク面積より限外濾過膜透過率をもとめた。また、同じ溶液を95℃、5分間処理することにより3本らせんを熱変性させた直後のサンプルについても、同様に透過率を求めた。結果を図5に示す。
超分子形成させたペプチドのほとんど(6%)は限外濾過膜を通過しなかった。一方同
じペプチド鎖長とほぼ同様のアミノ酸構成からなる、(Pro-Hyp-Gly)8-アミドはその56%が膜を通過した。また、超分子溶液を熱変性することにより、91%が膜を通過できるようになった。このことから、超分子溶液中では、分子間の相互作用(3本らせん形成)による大きな構造体が生じていると解釈される。
スタガー3量体の合成および特性決定
実施例1のペプチド3量体ユニットと同じPro-Hyp-Gly繰り返しを基本配列とする分子デザインであって、ただしジスルフィド架橋の位置が異なるペプチド3量体(スタガー3量体)を合成した。図6にその構造を示す。
ペプチド単量体として、以下の3種類のペプチドを用いた:H-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Cys(SH)-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-OH (配列番号4)
H-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Cys(Acm)-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Cys(SH)-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-OH (配列番号5)
H-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Cys(SH)-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-OH (配列番号6)
実施例1と同じ方法により3量体を合成し、質量分析により目的物が合成されたことを確認した。このスタガー3量体を実施例2と同様に低温下で超分子化し、円二色性スペクトルを測定したところ、実施例2(図4)とほぼ同じ結果が得られた。
次に、スタガー3量体のストック水溶液(10mg/mL)を4℃の水で12倍に希釈したのち、4℃で1時間放置したサンプルについて、粒度分布を測定した。測定は、島津レーザ回折式粒度分布測定装置(SALD−700)を用い、4℃でレーザ波長405nmで行った。結果を図7に示す。約0.5および約10ミクロンの粒径をあたえる超分子構造体が検出された。
図1は、本発明のペプチド3量体およびこれを構成単位とするコラーゲン様3本らせんを有する分子集合体の概略図である。 図2は、本発明のペプチド3量体の種々の構造を示す。 図3は、本発明のペプチド3量体およびこれを構成単位とする分子集合体のアミノ酸配列の一例を示す。 図4は、本発明にしたがって作成した分子集合体の円二色性スペクトルの測定結果を示す。 図5は、本発明にしたがって作成した分子集合体の限外濾過膜透過性を示す。 図6は、本発明のペプチド3量体の別の態様を示す。 図7は、本発明にしたがって作成した分子集合体の粒度分布を示す。

Claims (4)

  1. 式:
    -(-Gly-X-Y-)-
    [式中、XおよびYは任意のアミノ酸残基を表す]
    の繰り返し単位を基本構造として有する同一鎖長の3個のペプチドが、ジスルフィド結合により主鎖方向に互いにずれて結合されているペプチド3量体であって、
    前記3個のペプチドのうち、2個がそれぞれ1つのCys残基を有し、他の1個が2つのCys残基を有し、
    前記ペプチド3量体の1本鎖または2本鎖の領域が3本鎖の領域より長く、かつ
    前記ペプチド3量体分子全体で、Xの30%以上がProであり、Yの30%以上がProまたはHypであることを特徴とするペプチド3量体。
  2. 請求項1記載のペプチド3量体を製造する方法であって、
    1個のCysを有する第1のペプチド、2個のCysを有し、その一方のSH基が保護されている第2のペプチドおよび1個のCysを有する第3のペプチドを用意し、
    第1のペプチドと第2のペプチドとをジスルフィド結合により結合させてペプチド2量体を形成し、
    第2のペプチドの保護されているSHを保護基変換により活性化し、そして
    前記ペプチド2量体と第3のペプチドとをジスルフィド結合により結合させる、
    の各工程を含む方法。
  3. 請求項1に記載のペプチド3量体を構成成分とし、3本らせん構造を有する分子集合体。
  4. 請求項に記載の分子集合体を製造する方法であって、請求項1に記載のペプチド3量体の溶液を0℃−40℃の温度で1時間以上放置することを特徴とする方法。
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