JP5596975B2 - 腫瘍と関連している遺伝的変異 - Google Patents

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Description

(関連出願との相互参照)
本出願は、2006年10月26日に提出された米国仮特許出願番号60/863,106及び2007年5月14日に提出された米国仮特許出願番号第60/917,814号の優先権を主張するものであり、その明細書の全文を参照することによりここに援用される。
(技術分野)
本発明は、一般的に、腫瘍と関連している遺伝的変異に関する。
(背景)
細胞が、増殖のアドバンテージを究極的に与える体細胞変異を蓄積すると、癌が発生する場合がある。体細胞変異は、例えば、ヌクレオチド塩基の置換、欠失、挿入、増幅及び再配列を含む。癌で起こる体細胞変異の同定は、癌の発達に関して、有益な情報を提供する。この種の情報は、癌の診断マーカー及び治療上の目標の同定のためにも有用である。(Bamford et al. (2004) British Journal of Cancer 91:355-358.参照)。癌と関連している体細胞変異の同定は、例えば特定の治療に応答する患者集団を識別する際など、臨床設定において有益であることが判明した。(Lynch et al. (2004) N. Engl. J. Med. 350: 2129-2139; O'Hare (2004) Blood 104:2532-2539.参照)。したがって、癌で起こる体細胞変異を同定するという継続的なニーズが存在する。
生殖系列の変異又は多型は、生物のゲノムに存在する遺伝性変異である。多型は、制限断片長多形性(RFLP)、ショートタンデムリピート(STR)及び一塩基変異多型(SNP)を含む。生殖系列変異は癌を含む特定の疾患の羅患率と関連している場合がある。(Vierimaa et al. (2006) Science 312:1228-1230; Landi et al. (2006) Science 313:521-522; Zhu et al. (2004) Cancer Research 64:2251-2257.参照)。したがって、癌と関連している多型を同定するという継続的なニーズが存在する。
本願明細書において記載される本発明は、上記のニーズを満たし、また他の利点を提供する。
(概要)
本発明の組成物及び方法は、部分的に、腫瘍サンプルに由来するポリヌクレオチドの新しい変異の発見に基づく。
一つの態様では、(a)図1から選択されるヌクレオチド位置にヌクレオチド変異を含むPROポリヌクレオチド又は少なくとも約10ヌクレオチド長のその断片、又は(b)その相補鎖を含む単離されたポリヌクレオチドが提供される。一実施態様において、ヌクレオチド変異は、配列番号:1−78で起こる。他の一実施態様では、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。他の実施形態では、単離されたポリヌクレオチドは、プライマーである。他の実施形態では、単離されたポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドである。
別の態様においては、(a)図1から選択されるヌクレオチド位置でヌクレオチド変異を含んでいるPROポリヌクレオチドの領域にハイブリダイズするアレル特異的なオリゴヌクレオチド又は(b)(a)の相補鎖であるオリゴヌクレオチドが提供される。一実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。他の実施形態では、アレル特異的なオリゴヌクレオチドは、アレル特異的なプライマーである。他の実施形態では、オリゴヌクレオチド及び少なくとも一つの酵素を含むキットが提供される。そのような実施態様において、少なくとも一つの酵素は、ポリメラーゼである。別の実施態様において、少なくとも一つの酵素は、リガーゼである。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイが提供される。
別の態様においては、アレル特異的オリゴヌクレオチドの核酸へのハイブリダイゼーションに適したコンディションの下で、ヌクレオチド変異に特異的なアレル特異的オリゴヌクレオチドとヌクレオチド変異を含むと推測される核酸を接触させる工程;及び(b)アレル特異的なハイブリダイゼーションの有無を検出する工程を含む、図1から選択されるヌクレオチド位置でヌクレオチド変異の有無を検出する方法が提供される。一実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。
もう一つの態様において、核酸を、ヌクレオチド変異の3’配列にハイブリダイズするプライマーと接触させる工程、及び(b)ヌクレオチド変異を含んでいる増幅産物を生成するために、プライマーを伸長する工程を含む、図1から選択されるヌクレオチド位置でヌクレオチド変異を含んでいる核酸を増幅する方法が提供される。一実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。
他の実施形態では、生体試料に由来する核酸材料において、図1から選択されるヌクレオチド位置でヌクレオチド変異の有無を検出することを含む、哺乳動物生体試料の遺伝子型を決定する方法が提供される。一実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。他の実施形態では、生体試料は、腫瘍細胞を含むと推測される。他の実施形態では、生体試料は、腫瘍である。そのような実施態様において、腫瘍は、図2の第6列に記載された組織から選択される組織に由来する。別の実施態様において、腫瘍は、図2の第7列に記載された腫瘍から選択される。他の一実施態様では、検出には、プライマー伸長アッセイ;アレル特異的プライマー伸長アッセイ;アレル特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ;アレル特異的オリゴヌクレオチド・ハイブリダイゼーションアッセイ; 5’ヌクレアーゼアッセイ;分子ビーコンを使用したアッセイ;及びオリゴヌクレオチド・ライゲーションアッセイから選択される工程を実行することが含まれる。
別の態様においては、哺乳動物に由来し、腫瘍細胞を含むことが知られている、又は推測される生体試料におけるPRO又はPROポリヌクレオチドの変異の存在を検出することを含む、哺乳動物の腫瘍を分類する方法が提供される。一実施態様において、腫瘍細胞は、図2の第6列に記載された組織から選択される組織に由来する。他の一実施態様では、腫瘍細胞は、図2の第7列に記載された組織から選択される腫瘍の細胞である。他の一実施態様では、変異は、ヌクレオチド変異である。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異が、図1から選択されるヌクレオチド位置に存在する。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。他の一実施態様では、検出には、プライマー伸長アッセイ;アレル特異的プライマー伸長アッセイ;アレル特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ;アレル特異的オリゴヌクレオチド・ハイブリダイゼーションアッセイ; 5’ヌクレアーゼアッセイ;分子ビーコンを使用したアッセイ;及びオリゴヌクレオチド・ライゲーションアッセイから選択される工程を実行することが含まれる。他の一実施態様では、変異は、アミノ酸変異である。そのような実施態様において、アミノ酸変異は、図2から選択したPROの機能的ドメインに存在する。そのような実施態様において、アミノ酸変異は、図1から選択されるアミノ酸位に存在する。そのような実施態様において、アミノ酸変異は、図1から選択されるアミノ酸変化である。
他の一実施態様では、アミノ酸変異がPIK3R1ポリペプチドに存在し、前記アミノ酸変異はPIK3CAポリペプチドの活性を増大する。他の一実施態様では、アミノ酸変異は、162R、285N、348R、380L、449L、527N、543R、564N、642R、649R、666E、669H及び682Aから選択されるアミノ酸位置で、PIK3R1ポリペプチド内に存在する。そのような実施態様において、アミノ酸変異は、162R>O、285N>H、348R>O、449L>S、527N>K、543R>I、564N>D、642R>O、649R>Q、666E>K及び682A>Vから選択されるアミノ酸変化である。他の一実施態様では、ヌクレオチド変異は、ヌクレオチド895A、1084C、1623T、1732A、1988G、1966C、2038G、2087C、526C、1182A、1388T、1670G及び2047Cから選択されるヌクレオチド位置で、PIK3R1ポリヌクレオチド内に存在する。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、895A>C、1084C>T、1623T>G、1732A>G、1988G>A、1966C>T、2038G>A、2087C>T、526C>T、1388T>C及び1670Gの>Tから選択されるヌクレオチド変化である。
他の一実施態様では、アミノ酸変異が、471P、38R、726E及び12Gから選択されるアミノ酸位置で、PIK3CAポリペプチド中に存在する。他の一実施態様では、ヌクレオチド変異が、1568C、269C、2333G及び192Gから選択されるヌクレオチド位置において、PIK3CAポリヌクレオチド中に存在する。他の一実施態様では、アミノ酸変異は、28I、232R、31N、3A及び260Qから選択されるアミノ酸位置で、PTENポリペプチド中に存在する。他の一実施態様では、ヌクレオチド変異は、1115T、1725C、1122A、1039C及び1809Cから選択されるヌクレオチド位置で、PTENポリヌクレオチド中に存在する。
別の態様においては、腫瘍がPRO又はPROポリヌクレオチドを標的とする治療薬に応答するかどうか予測する方法が提供され、前記方法は腫瘍がPRO又はPROポリヌクレオチドの変異を含むかどうかについて決定することを含み、変異の存在は腫瘍が治療薬に応答することを示すものである。一実施態様において、腫瘍は、図2の第6列に記載される組織から選択される組織に由来する。他の一実施態様では、腫瘍は、図2の第7列に記載される腫瘍から選択される。他の一実施態様では、変異は、ヌクレオチド変異である。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異が、図1から選択されるヌクレオチド位置に存在する。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。他の一実施態様では、変異は、アミノ酸変異である。そのような実施態様において、アミノ酸変異は、図2から選択されるPRO機能的ドメイン中に存在する。別の実施態様において、アミノ酸変異は、図1から選択されるアミノ酸位に存在する。そのような実施態様において、アミノ酸変異は、図1から選択されるアミノ酸変化である。
これら及び更なる実施態様は、以下の明細書において記載される。
実施例Aにて説明したように、図1は、腫瘍から選択された遺伝子において同定されるヌクレオチド及びアミノ酸変異の表である。 図2は、図1において報告される変異に関して、付加的な情報を提供する。 実施例のBにおいて説明したように、図3は、p85αをコード化するPIK3R1において発見される体細胞変異を示す。 実施例のBにおいて説明したように、図4は、癌の異なる種類にわたる様々な遺伝子における体細胞変異の頻度を示す。
(実施態様の詳細な説明)
I.定義
この明細書を解釈するために、以下の定義が適用され、適当な場合はいつでも、単数形で用いられる語は複数形を含み、その逆もまた同様である。下に記載する定義がここで援用される文献と矛盾する場合、下に記載される定義は調製する。
ここで交換可能に用いる「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを意味し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド又は塩基、及び/又はそれらの類似体(アナログ)、又はDNAもしくはRNAポリメラーゼによりポリマー中に取り込み可能な任意の基質とすることができる。ポリヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体を含み得る。存在するならば、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの集合化(「アセンブリ」とも言う)の前又は後になされ得る。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド成分により中断されてもよい。ポリヌクレオチドは合成後に、例えば標識成分との結合によりさらに修飾されてもよい。他のタイプの修飾には、例えば「キャップ(caps)」、類似体との自然に生じたヌクレオチドの一又は複数の置換、ヌクレオチド間修飾、例えば非荷電連結(例えばホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホアミダート、カルバマート等)及び荷電連結(ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート等)を有するもの、ペンダント部分、例えばタンパク質(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジン等)を含むもの、インターカレータ(intercalators)を有するもの(例えばアクリジン、ソラレン等)、キレート剤を含むもの(例えば金属、放射性金属、ホウ素、酸化的金属等)、アルキル化剤を含むもの、修飾された連結を含むもの(例えばアルファアノマー核酸等)、並びにポリヌクレオチド(一又は複数)の未修飾形態が含まれる。さらに、糖類中に通常存在する任意のヒドロキシル基は、例えばホスホナート基、ホスファート基で置き換えられてもよく、標準的な保護基で保護されてもよく、又は付加的なヌクレオチドへのさらなる連結を調製するように活性化されてもよく、もしくは固体支持体に結合していてもよい。5'及び3'末端のOHはホスホリル化可能であり、又は1〜20の炭素原子を有するアミン又は有機キャップ基部分で置換することもできる。また他のヒドロキシルは標準的な保護基に誘導体化されてもよい。さらにポリヌクレオチドは当該分野で一般的に知られているリボース又はデオキシリボース糖類の類似形態のものをさらに含み、これらには例えば2'-O-メチル-、2'-O-アリル、2'-フルオロ又は2'-アジド-リボース、炭素環式糖の類似体、アルファ-アノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロース類又はリキソース類、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、及び非塩基性ヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドが含まれる。一又は複数のホスホジエステル連結は代替の連結基で置き換えてもよい。これらの代替の連結基には、限定されるものではないが、ホスファートがP(O)S(「チオアート」)、P(S)S(「ジチオアート」)、「(O)NR2(「アミダート」)、P(O)R、P(O)OR'、CO又はCH2(「ホルムアセタール」)と置き換えられた実施態様のものが含まれ、ここでそれぞれのR及びR'は独立して、H又は、エーテル(-O-)結合を含んでいてもよい置換もしくは未置換のアルキル(1-20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はアラルジル(araldyl)である。ポリヌクレオチド中の全ての結合が同一である必要はない。先の記述は、RNA及びDNAを含むここで引用される全てのポリヌクレオチドに適用される。
本明細書中で用いる「オリゴヌクレオチド」とは、短く、少なくとも7ヌクレオチド長であって約200未満のヌクレオチド長の一本鎖ヌクレオチドを意味する。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」なる用語は、相互に排他的なものではない。ポリヌクレオチドについての上述した記載はオリゴヌクレオチドと等しく、十分に適用可能である。
「プライマー」は、核酸にハイブリダイズし、一般に遊離した3'-OH基を供給することにより、相補的なポリヌクレオチドの重合を促進する一本鎖ポリヌクレオチドである。
「PRO」は、図1に記載される遺伝子の何れかによりコード化されるタンパク質を意味し、野生型及びその変異型を含む。そのような型には、特に示されない限り、PROのプロセシングされていない型である「完全長」;細胞のプロセシングにより生じるPRO型;例えば選択的スプライシング、アレル変異又は自然突然変異により生じるPROなどの自然に発生するPRO変異体、;少なくとも一つのPROの生物学的活性を保持する天然PROの断片又は変異体が含まれる。
「PROポリヌクレオチド」又は「PROをコード化する核酸」は、特に示されない限り、PROをコード化する遺伝子又はコード化配列(例えば、mRNA又はcDNAコード配列)を意味する。
「ヌクレオチド変異」は、基準配列(例えば野生型配列)と比較したヌクレオチド配列における変化(例えば、一塩基多型(SNP)のような、一以上のヌクレオチドの挿入、欠失、逆位又は置換)を意味する。その用語は、特に示されない限り、そのヌクレオチド配列の相補鎖における対応する変化も含む。ヌクレオチド変異は、体細胞変異又は生殖系列多型であってもよい。
「アミノ酸変異」は、基準配列(例えば野生型配列)と比較したアミノ酸配列における変化(例えば、内部欠失又はN末端もしくはC末端の切断のような、一以上のアミノ酸の挿入、置換又は欠失)を意味する。
「変異」は、ヌクレオチド変異又はアミノ酸変異を意味する。
「図1から選択されるヌクレオチド位置でのヌクレオチド変異」及びその文法的に変形したものは、図1の第6列に記載されるヌクレオチド位置のいずれかにおけるPROヌクレオチドのヌクレオチド変異を意味するが、図1の第6列に記載される特定のヌクレオチド変異に限定されるものではない。例示及び例証のために、図1の第6列、第5行目を参照すると、AKT2ポリヌクレオチドのヌクレオチド位置505でのヌクレオチド変異は、特定のヌクレオチド変化、つまり第6列に示されるG/T置換を含むがこれに限定されるものではなく、そのヌクレオチド位置でのあらゆる変化を含む。その用語は、特に示されない限り、そのヌクレオチド配列の相補鎖における対応する変化も含む。
「図1から選択されるヌクレオチド変化」及びその文法的に変形したものは、図1の第6列に記載される特定のヌクレオチド変化のいずれかを意味する。例証のための、図1から選択されるヌクレオチド変化の例は、図1の第6列、第5行目に示されるように、AKT2ポリヌクレオチドのヌクレオチド位置505におけるG/T置換である。
「図1から選択されるアミノ酸位置でのアミノ酸変異」及びその文法的に変形したものは、図1の第7列に記載される特定のアミノ酸変化を含むがこれに限定されるものではなく、図1の第7列に記載されるアミノ酸位置のいずれかでのPROアミノ酸配列におけるアミノ酸変異を意味する。例示及び例証のために、図1の第7列、第5行目を参照すると、AKT2のアミノ酸位置101でのアミノ酸変異は、特定のアミノ酸変化、つまり第7列に示されるR>L置換を含むがこれに限定されるものではなく、そのアミノ酸位置でのあらゆる変化を含む。
「図1から選択されるアミノ酸変化」及びその文法的に変形したものは、図1の第7列に記載される特定のアミノ酸変化のいずれかを意味する。例証のための、図1から選択されるアミノ酸変化の例は、図1の第7列、第5行目に示されるように、AKT2のアミノ酸位置101におけるR>L置換である。
「PROの機能ドメイン」は、図2の第5列に記載されるタンパク質ドメインのいずれかを意味する。
「活性化変異」は、野生型ポリペプチドと比較して、コード化されたポリペプチドのより活性化された型を生じる遺伝子又はコード配列の変異を意味する。
「アレイ」又は「マイクロアレイ」は、基質上でのハイブリダイズ可能なアレイ成分、好ましくはポリヌクレオチドプローブ(例えばオリゴヌクレオチド)の規則正しい整列を意味する。基質は、スライドグラスなどの固体基質、又はニトロセルロースメンブレンなどの半固体基質であってもよい。ヌクレオチド配列は、DNA、RNA又は何れかのその並べ換えでありうる。
「増幅」は、基準核酸配列又はその相補鎖の一又は複数のコピーを製造する過程を意味する。増幅は、一次関数的、又は指数関数的(例えばPCR)であり得る。「コピー」は、鋳型配列に対して必ずしも完全に相補的又は同一な配列を意味するものではない。例えば、コピーは、例えばデオキシイノシンなどのヌクレオチド類似体、意図的配列変化(鋳型に完全に相補的ではないがハイブリダイズすることができる配列を含むプライマーにより導入された配列変化など)及び/又は増幅中に起こる配列エラーを含みうる。
「アレル特異的オリゴヌクレオチド」は、ヌクレオチド変異(一般的に置換)を含む標的核酸の領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを意味する。「アレル特異的ハイブリダイゼーション」は、アレル特異的オリゴヌクレオチドがその標的配列にハイブリダイズした場合に、アレル特異的オリゴヌクレオチドのヌクレオチドが特異的にヌクレオチド変異に塩基対合することを意味する。特定のヌクレオチド変異にアレル特異的ハイブリダイゼーション可能なアレル特異的オリゴヌクレオチドは、変異に「特異的」であるという。
「アレル特異的プライマー」は、プライマーであるアレル特異的オリゴヌクレオチドを意味する。
「プライマー伸長アッセイ」は、ヌクレオチドが核酸に付加され、より長い核酸又は「伸長産物」を生じるアッセイで、直接的又は間接的に検出されるものを意味する。
「アレル特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ」は、(a)プライマーがヌクレオチド変異の3’の領域で標的核酸にハイブリダイズし、(b)ポリメラーゼにより伸長されることにより、ヌクレオチド変異に相補的なヌクレオチドが伸長産物に取り込まれる、プライマー伸長アッセイを意味する。
「アレル特異的プライマー伸長アッセイ」は、アレル特異的プライマーが標的核酸にハイブリダイズして伸長する、プライマー伸長アッセイを意味する。
「アレル特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ」は、(a)アレル特異的オリゴヌクレオチドが標的核酸にハイブリダイズし、(b)ハイブリダイゼーションが直接的又は間接的に検出される、アッセイを意味する。
「5’ヌクレアーゼアッセイ」は、アレル特異的オリゴヌクレオチドの標的核酸へのハイブリダイゼーションが、ハイブリダイゼーションプローブの核酸分解切断を可能にし、検出可能なシグナルを生じる、アッセイを意味する。
「分子ビーコンを用いたアッセイ」は、アレル特異的オリゴヌクレオチドの標的核酸へのハイブリダイゼーションが、遊離オリゴヌクレオチドから出される検出シグナルレベルよりも高い検出シグナルレベルを生じる、アッセイを意味する。
「オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ」は、アレル特異的オリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドが互いに隣接して標的核酸にハイブリダイズし、共に結合し(ヌクレオチドを介在して直接的又は間接的に)、結合産物が直接的又は間接的に検出されるアッセイを意味する。
「標的配列」、「標的核酸」又は「標的核酸配列」は、一般的に、ヌクレオチド変異が存在すると推測される、又は知られている対象のポリヌクレオチドを意味し、増幅により生成される標的核酸などのコピーも含む。
「検出」は、直接的及び間接的な検出を含む検出する任意の手段を含む。
本明細書中で用いる「診断」なる用語は、分子の、又は病理学的状態、疾患、状況の同定又は分類を意味する。例えば「診断」は、例えば肺癌などの特定の癌種の同定であってもよい。「診断」は、例えば組織学により(例えば非小細胞肺癌)、分子特徴により(例えば特定の遺伝子又はタンパク質におけるヌクレオチド又はアミノ酸変異により特徴付けられる肺癌)、又はその両方により特定の癌種の分類であってもよい。
本明細書中で用いる「予後」なる用語は、癌のような腫瘍性疾患の再発、転移拡散、及び薬剤耐性を含む癌に起因し得る死又は進行の可能性の予測を意味する。
本明細書中で用いる「予測」なる用語は、患者が薬剤又は一連の薬剤に対して有利又は不利に応答する可能性を意味する。一実施態様では、予測はその応答の程度に関する。他の一実施態様では、予測は、例えば特定の治療的薬剤による治療及び/又は原発性腫瘍の外科的切除、及び/又は癌の再発を伴わない一定期間の化学療法などの治療の後に患者が生存しているか改善しているかどうか、及び/又はその可能性に関する。本発明の予測方法は、任意の特定の患者のために最も好適な治療様式を選択することによって、治療決定を臨床的に行うことができる。本発明の予測方法は、患者が、治療投薬計画、例えば特定の治療剤や組み合わせの投与、外科的介入、化学療法などを含む特定の治療投薬計画に有利に応答するかどうか、又は治療投薬計画の後に患者が長期に生存しているかどうかを予測する際の有用なツールである。
「細胞増殖性疾患」及び「増殖性疾患」は、無視できない程の異常な細胞増殖に関連した疾患を意味する。一実施態様において、細胞増殖性疾患は癌である。
本明細書中で用いる「腫瘍」なる用語は、悪性、良性を問わず全ての腫瘍性細胞成長及び増殖、及び全ての前癌性及び癌性細胞及び組織を意味する。「癌」、「癌性」、「細胞増殖性疾患」、「増殖性疾患」及び「腫瘍」は、ここで述べられるように、相互に排他的ではない。
「癌」及び「癌性」は、一般的に、無秩序な細胞成長及び増殖により特徴付けられる哺乳動物の生理的状況を意味する。癌の例には、これに限定されないが、カルシノーマ、リンパ腫(例えばホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫及び白血病を含む。癌のより詳細な例は、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、腎細胞癌、消化管癌、胃癌、食道癌、ヘパトーマ、乳癌、結腸癌、直腸癌、肺癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、メラノーマ、白血病及び他のリンパ球増殖性疾患、及び様々な型の頭部癌及び頸部癌が含まれる。
「肺腫瘍」には、これに限定されないが、小細胞肺癌及び非小細胞肺癌を含む任意の肺の腫瘍を意味し、後者はこれに限定されないが、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌及び大細胞癌が含まれる。
「新生物」又は「腫瘍性細胞」は、対応する正常組織又は細胞よりも激しく増殖する、又は増殖を惹起する刺激の除去後にも増殖し続ける異常な組織又は細胞を意味する。
「肺腫瘍細胞」は、インビボあるいはインビトロの肺腫瘍細胞を意味し、原発性肺腫瘍又は転移性肺腫瘍由来の細胞、及びそれらの細胞由来の細胞株を含む。
ここで使用される「治療」(及び「治療する」又は「治療している」などの変形)とは、治療される個体又は細胞の自然の経過を変化させる試みにおける臨床的介入を意味し、予防のため、又は臨床病理経過中に実施することができる。治療の所望する効果には、疾患の発症又は再発の予防、症状の緩和、疾病の任意の直接的又は間接的な病理学的結果の減少、転移の予防、疾病の進行速度の低減、病状の回復又は緩和、及び寛解又は予後の改善が含まれる。
「個体」、「対象」又は「患者」は脊椎動物である。特定の実施態様では、脊椎動物は哺乳動物である。哺乳動物には、これに限定されないが、家畜(例えばウシ)、スポーツ用動物、愛玩動物(例えばネコ、イヌ及びウマ)、霊長類(ヒト及び非ヒト霊長類を含む)及び齧歯類(例えばマウス及びラット)が含まれる。特定の実施態様では、哺乳動物はヒトである。
「有効量」とは、所望される治療的又は予防的結果を達成するのに必要な期間、必要な用量での有効量を意味する。
個体に所望する反応を引き出すための本発明の物質/分子の「治療的有効量」は、病状、年齢、性別、個体の体重、及び物質/分子の能力等の要因に応じて変わり得る。また、治療的有効量とは、物質/分子の任意の毒性又は有害な影響を、治療的に有益な効果が上回る量を含む。「予防的有効量」は、所望する予防的結果を達成するのに必要な期間、用量で有効な量を意味する。必ずではないが、典型的には、予防的用量は、疾病の前又は初期の段階に患者に使用されるために、予防的有効量は治療的有効量よりも少ない。
本明細書中で用いる「長期の」生存なる用語は、治療的治療の後、少なくとも1年、5年、8年又は10年の生存を指す。
本発明に従って用いられる場合、特定の治療薬又は治療選択に対する「耐性の増加」なる用語は、薬剤の標準的な用量又は標準的な治療手順に対する応答の減少を意味する。
本発明に従って用いられる場合、特定の治療薬又は治療選択に対する「感受性の減少」なる用語は、薬剤の標準的な用量又は標準的な治療手順に対する応答の減少を意味し、この応答の減少は薬剤の用量や治療の強度を増やすことによって、(少なくとも部分的に)補われうるものである。
「患者応答」は、限定するものではないが以下のものを含む患者に利益を示す任意のエンドポイントを使用して評価できる。(1)緩徐化又は完全な増殖停止を含む、ある程度の腫瘍増殖の阻害、(2)腫瘍細胞数の減少、(3)腫瘍サイズの減少、(4)近接する末梢器官及び/又は組織への腫瘍細胞浸潤の阻害(すなわち減少、緩徐化又は完全な停止)、(5)転移の阻害(すなわち減少、緩徐化又は完全な停止)、(6)必ずではないが腫瘍の退縮又は拒絶が生じ得る抗腫瘍免疫応答の亢進、(7)腫瘍と関連する一又は複数の症状の、ある程度の軽減、(8)治療後の生存期間の増加、及び/又は(9)治療後の特定の時点での死亡率の減少。
「アンタゴニスト」は最も広い意味で用いられ、PROのようなポリペプチドの生物学的活性を部分的又は完全に阻害又は中和する、もしくはポリペプチドをコード化する核酸の転写又は翻訳を部分的又は完全に阻害するあらゆる分子が含まれる。典型的なアンタゴニスト分子には、これに限定されないが、アンタゴニスト抗体、ポリペプチド断片、オリゴペプチド、有機分子(小分子を含む)及びアンチセンス核酸が含まれる。
「アゴニスト」は最も広い意味で用いられ、PROのようなポリペプチドの生物学的活性を部分的又は完全に模倣する、もしくはポリペプチドをコード化する核酸の転写又は翻訳を部分的又は完全に増加するあらゆる分子が含まれる。典型的なアゴニスト分子には、これに限定されないが、アゴニスト抗体、ポリペプチド断片、オリゴペプチド、有機分子(小分子を含む)及びPROポリヌクレオチド、PROポリペプチド及びPRO−Fc融合物が含まれる。
「PRO又はPROポリヌクレオチドを標的とする治療薬」は、PRO又はPROポリヌクレオチドの発現又は活性に影響する任意の薬剤を意味し、当業者に既知の治療薬及び後に開発される治療薬を含む、ここで述べられるPROアゴニスト又はアンタゴニストを含むが、これに限定されるものではない。
ここで用いられる「細胞障害性剤」という用語は、細胞の機能を阻害又は阻止し及び/又は細胞死又は破壊を生ずる物質を意味する。この用語は、放射性同位元素(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位元素)、化学治療薬、例えばメトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド類(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン又は他の挿入剤、酵素及びその断片、例えば核酸分解酵素、抗生物質、及び毒素、例えばその断片及び/又は変異体を含む小分子毒素又は細菌、糸状菌、植物又は動物起源の酵素的に活性な毒素、そして下記に開示する種々の抗腫瘍又は抗癌剤を含むように意図されている。他の細胞毒性剤を以下に記載する。殺腫瘍性剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
「毒素」は、細胞の成長又は増殖に対して有害な影響を有する任意の物質である。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商標登録))のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethiylenethiophosphoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビロール、MARINOL(登録商標));β−ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成アナログトポテカン(HYCAMTIN(登録商標)、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレチン、及び9−アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;ドゥオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロランブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロスレアス(nitrosureas);抗生物質、例えばエネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンωI1(例えばAgnew, Chem Intl. Ed. Engl., 33:183-186(1994)参照);ダイネマイシン(dynemicin)Aを含むダイネマイシン;エスペラマイシン;並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパクエネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン類(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorbicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マーセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCのようなマイトマイシン、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);代謝拮抗剤、例えばメトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えばデノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate);プリンアナログ、例えばフルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine);アンドロゲン類、例えばカルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone);抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸リプレニッシャー(replenisher)、例えばフロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);メイタンシノイド(maytansinoid)類、例えばメイタンシン(maytansine)及びアンサミトシン(ansamitocine);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidanmol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products, Eugene, OR);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特にT-2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridine)A及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン(ELIDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);チオテパ;タキソイド類、例えばTAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)、ABRAXANETMパクリタキセルのクレモフォー無添加アルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Illinois)、及びTAXOTERE(登録商標)ドセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;ゲムシタビン(gemcitabine)(GEMZAR(登録商標));6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;プラチナアナログ、例えばシスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標);プラチナ;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボリン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン(novantrone);エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロナート(ibandronate);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸のようなレチノイド;カペシタビン(capecitabine)(XELODA(登録商標));及び上述したものの薬学的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体、並びに、上記のうちの2つ以上の組み合わせ、例えば、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの併用療法の略称)、及びFOLFOX(5−FU及びロイコボリンと組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATINTM)を用いる治療計画の略称)が含まれる。
またこの定義に含まれるものには、癌の増殖を促進するホルモンの影響を調節、低減、遮断又は阻害するように働く抗ホルモン剤で、多くの場合全身性の治療の形態のものがある。それらはそれ自体がホルモンであり、例えば抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節物質(SERM)、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、EVISTA(登録商標)ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びFARESTON(登録商標)トレミフェン;抗プロゲステロン;エストロゲンレセプター下方制御(ERD)、卵巣を抑制又は停止させる機能を有する薬剤、例えば、LUPRON(登録商標)及びELIGARD(登録商標)等の黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、リュープロリド酢酸塩、ゴセレリン酢酸塩、ブセレリン酢酸塩及びトリプトレリン;フルタミド、ニルタミド及びビカルタミド等のその他抗アンドロゲン;及び副腎のエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、及びARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールを含む。加えて、このような化学療法剤の定義には、クロドロン酸等のビスホスホネート(例えば、BONEFOS(登録商標)又はOSTAC(登録商標)、DIDROCAL(登録商標)エチドロン酸、NE-58095、ZOMETA(登録商標)ゾレドロン酸/ゾレドロン酸、FOSAMAX(登録商標)アレンドロン酸、AREDIA(登録商標)パミドロン酸、SKELID(登録商標)チルドロン酸、又はACTONEL(登録商標)リセドロン酸、並びにトロキサシタビン(troxacitabine)(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に付着細胞の増殖に結びつくシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えばPKC-α、Ralf、H-Ras、及び上皮成長因子受容体(EGF−R);THERATOPE(登録商標)ワクチン及び遺伝子治療ワクチン等のワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチン;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;ラパチニブditosylate(GW572016としても知られるErbB−2及びEGFR二重チロシンキナーゼ小分子阻害剤)及び上記のものの製薬的に許容される塩類、酸類又は誘導体を含む。
ここで用いられる際の「増殖阻害剤」は、細胞(例えばPROを発現する細胞)の増殖をインビトロ又はインビボの何れかで阻害する化合物又は組成物を意味する。よって、増殖阻害剤は、S期で細胞(例えばTAT226を発現する細胞)の割合を有意に減少させるものである。増殖阻害剤の例は、細胞周期の進行を(S期以外の位置で)阻害する薬剤、例えばG1停止又はM期停止を誘発する薬剤を含む。古典的なM期ブロッカーは、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン類、及びトポイソメラーゼII阻害剤、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンを含む。またG1停止させるこれらの薬剤は、S期停止にも波及し、例えば、DNAアルキル化剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びアラ-Cである。更なる情報は、The Molecular Basis of Cancer, Mendelsohn及びIsrael, 編, Chapter 1, 表題「Cell cycle regulation, oncogene, and antineoplastic drugs」, Murakami et al., (WB Saunders: Philadelphia, 1995)、特に13頁に見出すことができる。タキサン類(パクリタキセル及びドセタキセル)は、共にイチイに由来する抗癌剤である。ヨーロッパイチイに由来するドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、ローン・プーラン ローラー)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、ブリストル-マイヤー スクウィブ)の半合成類似体である。パクリタキセル及びドセタキセルは、チューブリン二量体から微小管の集合を促進し、細胞の有糸分裂を阻害する結果となる脱重合を防ぐことによって微小管を安定化にする。
本明細書中で用いられているように、「EGFR阻害剤」なる用語は、EGFRと結合するか、さもなければ直接相互に作用して、そのシグナル伝達活性を予防又は低減する化合物を指しており、「EGFRアンタゴニスト」として称されることもある。このような薬剤の例には、EGFRに結合する抗体及び小分子が含まれる。EGFRに結合する抗体の例には、MAb579(ATCC CRL HB 8506)、MAb455(ATCC CRL HB8507)、MAb225(ATCC CRL8508)、MAb528(ATCC CRL8509)(米国特許第4943533号、Mendelsohn et al.参照)、及びその変異体、例えばキメラ化225(C225又はセツキシマブ;ERBUTIX(登録商標))及び、再構築されたヒト225(H225)(国際公開第96/40210号、Imclone Systems Inc.参照);IMC-11F8、完全なヒトの、EGFRターゲティング抗体(Imclone);タイプII変異体EGFRを結合する抗体(米国特許第5212290号);米国特許第5891996号に記載の、EGFRを結合する、ヒト化及びキメラの抗体;及び、EGFRを結合するヒト抗体、例として、ABX-EGF又はパニツムマブ(国際公開第98/50433号、Abgenix/Amgen参照);EMD55900 (Stragliotto et al. Eur. J. Cancer 32A: 636-640 (1996));EGFR結合に関してEGFとTGF-αの両方と競合するEGFRに対するヒト化EGFR抗体であるEMD7200(マツズマブ(matuzumab))(EMD/Merck);ヒトEGFR抗体、HuMax-EGFR(GenMab);E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3及びE7.6. 3として知られていて、米国特許第6235883号に記載の完全なヒト抗体、MDX-447(Medarex Inc);及び、mAb806又はヒト化mAb806(Johns et al., J. Biol. Chem. 279(29): 30375-30384 (2004))が含まれる。抗EGFR抗体は、細胞障害性剤とコンジュゲートして、免疫コンジュゲートを生成してもよい(例として欧州特許第659,439号A2、Merck Patent GmbHを参照)。EGFRアンタゴニストには、小分子、例えば米国特許第5616582号、同第5457105号、同第5475001号、同第5654307号、同第5679683号、同第6084095号、同第6265410号、同第6455534号、同第6521620号、同第6596726号、同第6713484号、同第5770599号、同第6140332号、同第5866572号、同第6399602号、同第6344459号、同第6602863号、同第6391874号、同第6344455号、同第5760041号、同第6002008号及び同第5747498号、並びにPCT公報:国際公開第98/14451号、同第98/50038号、同第99/09016号及び同第99/24037号に記載の化合物が含まれる。特定の小分子EGFRアンタゴニストにはOSI-774(CP-358774、エルロチニブ、TARCEVA(登録商標) Genentech/OSI Pharmaceuticals);PD183805(CI1033、2-プロペンアミド、N-[4[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[3(4-モルホリニル)プロポキシ]-6-キナゾリニル]−、ジヒドロクロライド、Pfizer Inc.);ZD1839、ゲフィチニブ(IRESSAJ) 4(3'-クロロ-4'-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン、AstraZeneca);ZM105180((6-アミノ-4-(3-メチルフェニル-アミノ)-キナゾリン、Zeneca);BIBX-1382(N8-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-N2-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-2,8-ジアミン、Boehringer Ingelheim);PKI-166((R)4-[4[(1-フェニルエチル)アミノ]-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-フェノール);(R)-6-(4-ヒドロキシフェニル)-4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン);CL-387785(N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミド);EKB-569(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミン]-3-シアノ-7-エトキシ-6-キノリンイル]-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテンアミド)(Wyeth);AG1478(Pfizer);AG1571(SU5271;Pfizer);二重EGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害剤、例えばラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016又はN-[3-クロロ-4-[(3フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]6[5[[[2メチルスルホニル)エチル]アミノ]メチル]-2-フラニル]-4-キナゾリンアミン、Glaxo-SmithKline)。
「チロシンキナーゼ阻害剤」は、HERレセプターなどのチロシンキナーゼのチロシンキナーゼ活性を阻害する分子である。このような阻害剤の例には、前段落に記載のEGFRターゲティング薬剤;小分子HER2チロシンキナーゼ阻害剤、例えばTakedaから入手可能なTAK165;ErbB2レセプターチロシンキナーゼの経口選択的阻害剤であるCP-724714(Pfizer and OSI);二重HER阻害剤、例えばEKB-569(Wyethから入手可能)、これは優先的にEGFRを結合するが、HER2及びEGFRを過剰発現している細胞を阻害する;経口HER2及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるラパチニブ(GSK572016、Glaxo-SmithKlineから入手可能);PKI-166(Novartisから入手可能);pan−HER阻害剤、例えばカネルチニブ(canertinib)(CI-1033;Pharmacia);Raf-1阻害剤、例えばISIS Pharmaceuticalsから入手可能なRaf-1シグナル伝達を阻害するアンチセンス薬剤ISIS-5132;非HERターゲティングTK阻害剤、例えばGlaxo-SmithKlineから入手可能なイマチニブメシレート(GLEEVACTM);マルチターゲティングチロシンキナーゼ阻害剤、例えばPfizerから入手可能なスニチニブ(Sutent (登録商標));VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えばバタラニブ(vatalanib)(Novartis/Schering AGから入手可能なPTK787/ZK222584);MAPK細胞外調節キナーゼI阻害剤CI-1040(Pharmaciaから入手可能);キナゾリン、例として、PD153035,4-(3-クロロアニリノ)キナゾリン;ピリドピリミジン;ピリミドピリミジン;ピロロピリミジン、例えばCGP59326、CGP60261及びCGP62706;ピラゾロピリミジン、4(フェニルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン;クルクミン(ジフェルロイルメタン、4,5-ビス(4-フルオロアニリノ)フタルイミド);ニトロチオフェン成分を含有するチロホスチン;PD-0183805(Warner-Lamber);アンチセンス分子(例えばHERコード化核酸と結合するもの);キノキサリン(米国特許第5804396号);チロホスチン(米国特許第5804396号);ZD6474(Astra Zeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);CI-1033などのpan−HER阻害剤(Pfizer);Affinitac(ISIS3521;Isis/Lilly);イマチニブメシレート(Gleevac);PKI166(Novartis);GW2016(Glaxo SmithKline);CI-1033(Pfizer);EKB-569(Wyeth);セマキシニブ(Semaxinib)(Sugen);ZD6474(AstraZeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);INC-1C11(Imclone);又は以下のいずれかの特許公報に記載のもの:米国特許第5804396号;国際公開第99/09016号(American Cyanamid);国際公開第98/43960号(American Cyanamid);国際公開第97/38983号(Warner Lambert);国際公開第99/06378号(Warner Lambert);国際公開第99/06396号(Warner Lambert);国際公開第96/30347号(Pfizer, Inc);国際公開第96/33978号(Zeneca);国際公開第96/3397号(Zeneca);及び国際公開第96/33980号(Zeneca)が含まれる。
「抗体」(Ab)及び「免疫グロブリン」(Ig)は、類似の構造的特徴を有する糖タンパク質を意味する。抗体は、特定の抗原に対して結合特異性を示すが、免疫グロブリンは、抗体と、一般に抗原特異性を欠く抗体様分子の双方を含む。後者の種類のポリペプチドは、例えばリンパ系では低レベルで、骨髄腫では高レベルで産出される。
「抗体」及び「免疫グロブリン」なる用語は、最も広義で相互に交換可能に使用され、モノクローナル抗体(例えば、全長又は無傷のモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、一価抗体、多価抗体、多重特異性抗体(例えば、所望の生物活性を示す限り二重特異性抗体)が含まれ、さらにある種の抗体断片(ここに詳細に記載されるもの)も含まれ得る。抗体は、キメラ、ヒト、ヒト化及び/又は親和成熟したものであってよい。
「抗PRO抗体」又は「PROに結合する抗体」は、抗体がPROをターゲッティングする際に診断用及び/又は治療用の薬剤として有用である程度に十分な親和性を有してPROを結合することが可能である抗体を指す。好ましくは、関係がなくPROでないタンパク質への抗PRO抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定するところの、PROへの抗体の結合のおよそ10%未満である。ある実施態様では、PROに結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有する。ある実施態様では、抗PRO抗体は、異なる種のPRO間で保存されるPROのエピトープに結合する。
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、実質的にインタクトな形態の抗体を指し、以下に定義するような抗体断片は意味しない。この用語は、特にFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
「抗体断片」は完全な抗体の一部を含んでなるものであり、好ましくはその抗原結合部位を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)及びFv断片;ダイアボディ;一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片を生成し、その各々は単一の抗原結合部位を持ち、残りは容易に結晶化する能力を反映して「Fc」断片と命名される。ペプシン処理はF(ab')断片を生じ、それは2つの抗原結合部位を持ち、抗原を交差結合することができる。
「Fv」は、完全な抗原結合部位を含む最小抗体断片である。ある実施態様では、二本鎖Fv種は、堅固な非共有結合をなした一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。集合的に、Fvの6つのCDRが抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
またFab断片は、重鎖及び軽鎖の可変ドメインを含み、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第一定常領域(CH1)を有する。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1領域のカルボキシ末端に数個の残基が付加している点でFab断片とは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が一つの遊離チオール基を担持しているFab'に対するここでの命名である。F(ab')抗体断片は、間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として生産された。また、抗体断片の他の化学結合も知られている。
「一本鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。通常、scFvポリペプチドはVH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはscFvが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。scFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)のPluckthunを参照のこと。
「ダイアボディ」なる用語は、2つの抗原結合部位を持つ小さい抗体断片を指し、その断片は同一のポリペプチド鎖(VH−VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に重鎖可変ドメイン(VH)が結合してなる。非常に短いために同一鎖上で2つのドメインの対形成が可能であるリンカーを使用して、ドメインを他の鎖の相補ドメインと強制的に対形成させ、2つの抗原結合部位を創製する。ダイアボディは二価でも二特異性であってもよい。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404097号;国際公開第93/11161号;Hudson et al. (2003) Nat. Med. 9:129-134;及びHollinger et al., Proc.Natl.Acad.Sci. USA 90:6444-6448 (1993)に更に詳細に記載されている。トリアボディ及びテトラボディもまたHudson et al. (2003) Nat. Med. 9:129-134に記載されている。
ここで使用される「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団に含まれる個々の抗体は、少量で存在しうる可能性がある変異、例えば自然に生じる突然変異を除いて同一である。従って、「モノクローナル」との形容は、個別の抗体の混合物ではないという抗体の性質を示す。ある実施態様では、このようなモノクローナル抗体は、通常、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、この場合、標的に結合するポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列から単一の標的結合ポリペプチド配列を選択することを含むプロセスにより得られる。例えば、この選択プロセスは、雑種細胞クローン、ファージクローン又は組換えDNAクローンのプールのような複数のクローンからの、唯一のクローンの選択とすることができる。重要なのは、選択された標的結合配列を更に変化させることにより、例えば標的への親和性の向上、標的結合配列のヒト化、細胞培養液中におけるその産生の向上、インビボでの免疫原性の低減、多選択性抗体の生成等が可能になること、並びに、変化させた標的結合配列を含む抗体も、本発明のモノクローナル抗体であることである。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体の調製物とは異なり、モノクローナル抗体の調製物の各モノクローナル抗体は、抗原の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体の調製物は、それらが他の免疫グロブリンで通常汚染されていないという点で有利である。
「モノクローナル」との形容は、抗体の、実質的に均一な抗体の集団から得られたものであるという特性を示し、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないことを意味するものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は様々な技術によって作製することができ、それらの技術には、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler et al., Nature, 256:495 (1975);Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988);Hammerling et al.: Monoclonal Antibodies and T-Cell hybridomas 563-681 (Elsevier, N. Y., 1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4816567号参照)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991);Marks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1992);Sidhu et al., J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004);Lee et al., J. Mol. Biol. 340(5);1073-1093 (2004);Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472 (2004);及びLee et al., J. Immounol. Methods 284(1-2): 119-132 (2004))、並びに、ヒト免疫グロブリン座位の一部又は全部、或るいはヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子を有する動物にヒト又はヒト様抗体を生成する技術(例えば、国際公開第98/24893号;国際公開第96/34096号;国際公開第96/33735号;国際公開第91/10741号;Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 2551 (1993);Jakobovits et al., Nature 362: 255-258 (1993);Bruggemann et al., Year in Immunol. 7:33 (1993);米国特許第5545807号;同第5545806号;同第5569825号;同第5625126号;同第5633425号;同第5661016号; Marks et al., Bio.Technology 10: 779-783 (1992);Lonberg et al., Nature 368: 856-859 (1994);Morrison, Nature 368: 812-813 (1994);Fishwild et al., Nature Biotechnol. 14: 845-851 (1996);Neuberger, Nature Biotechnol. 14: 826 (1996)及びLonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13: 65-93 (1995)参照)が含まれる。
ここでモノクローナル抗体は、特に「キメラ」抗体を含み、それは特定の種由来又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体において、対応する配列に一致する又は類似する重鎖及び/又は軽鎖の一部であり、残りの鎖は、所望の生物学的活性を表す限り、抗体断片のように他の種由来又は他の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体において、対応する配列に一致するか又は類似するものである(米国特許第4816567号;及びMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855(1984))。
非ヒト(例えばマウス)の抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。一実施態様では、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は所望の特異性、親和性及び/又は能力を有する非ヒト霊長類のような非ヒト種(ドナー抗体)からの高頻度可変領域の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。例として、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、もしくはドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性をさらに洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは実質的に全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは実質的に全てのFRが、ヒト免疫グロブリン配列のものである少なくとも一又は典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。また、ヒト化抗体は、場合によっては免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部も含む。さらなる詳細については、Jones et al., Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al., Nature 332:323-329(1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596(1992)を参照のこと。また次の文献とそこに引用されている文献を参考のこと:Vaswani及びHamilton, Ann. Allergy, Asthma & Immunol. 1:105-115 (1998);Harris, Biochem. Soc. Transactions 23:1035-1038 (1995);Hurle及びGross, Curr. Op. Biotech. 5:428-433 (1994)。
「ヒト抗体」は、ヒトによって生産される抗体のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含むもの、及び/又はここに開示されたヒト抗体を作製する任意の技術を使用して製造されたものである。そのような技術には、ファージディスプレイのようなヒト由来組み合わせライブラリーのスクリーニング(Marks et al., J. Mol. Biol., 222: 581-597 (1991)及びHoogenboom et al., Nucl. Acids Res., 19: 4133-4137 (1991)参照);ヒトモノクローナル抗体産生のためのヒトミエローマ及びマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株の使用(Kozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987)及びBoerner et al., J. Immunol., 147: 86 (1991)参照);及び内因性の免疫グロブリンを産生しない、ヒト抗体の完全なレパートリーを産生可能なトランスジェニック動物(例えばマウス)におけるモノクローナル抗体の生成(Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA, 90: 2551 (1993); Jakobovits et al., Nature, 362: 255 (1993); Bruggermann et al., Year in Immunol., 7: 33 (1993)参照)が含まれる。ヒト抗体のこの定義は、特に非ヒト動物由来の抗原結合残基を含むヒト化抗体を除く。
「親和成熟」抗体とは、その改変を有していない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じさせる、その一又は複数のCDRにおいて一又は複数の改変を持つものである。一実施態様では、親和成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルの親和性を有する。親和成熟抗体は、当該分野において知られている手順によって生産される。Marks et al., Bio/Technology, 10:779-783(1992)は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和成熟について記載している。HVR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘導は、Barbas et al., Proc Nat Acad. Sci, USA 91:3809-3813(1994);Schier et al., Gene, 169:147-155(1995);Yelton et al., J. Immunol.155:1994-2004(1995);Jackson et al., J. Immunol.154(7):3310-9(1995);及びHawkins et al., J. Mol. Biol.226:889-896(1992)に記載されている。
「阻止(ブロック)抗体」又は「アンタゴニスト抗体」は、結合する抗原の生物学的活性を阻害するか又は低下させる抗体である。特定の阻止抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を、部分的又は完全に阻害する。
「小分子」又は「有機小分子」は、本明細書において500ダルトン以下の分子量を有する有機分子と定義される。
「PRO結合オリゴペプチド」又は「PROに結合するオリゴペプチド」は、PROを標的とした診断薬及び/又は治療薬として有用な程度にPROと十分な親和性で結合可能なオリゴペプチドである。ある実施態様では、関連のない非PORタンパク質へのPRO結合オリゴペプチドの結合の程度は、PROへのPRO結合オリゴペプチドの結合の約10%より低く、その程度は例えば表面プラズモン共鳴アッセイにより測定される。ある実施態様では、PRO結合オリゴペプチドは、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有する。
「PRO結合有機分子」又は「PROに結合する有機分子」は、PROを標的とした診断薬及び/又は治療薬として有用な程度にPROと十分な親和性で結合可能な有機分子である。ある実施態様では、関連のない非PORタンパク質へのPRO結合有機分子の結合の程度は、PROへのPRO結合有機分子の結合の約10%より低く、その程度は例えば表面プラズモン共鳴アッセイにより測定される。ある実施態様では、PRO結合有機分子は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有する。
標的ポリペプチドに結合する任意の分子の解離定数(Kd)は、便宜上表面プラズモン共鳴アッセイを用いて測定され得る。そのようなアッセイは、25℃で、〜10反応単位(RU)の固定した標的ポリペプチドCM5チップと共に、BIAcoreTM−2000又はBIAcoreTM−3000(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)を用いてもよい。簡単に言うと、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5, BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化した。標的ポリペプチドを10mM 酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈し、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入した。標的ポリペプチドの注入後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。動力学的な測定のために、2倍の段階希釈した結合分子(0.78nMから500nM)を25℃、およそ25μl/分の流速で0.05%Tween20(PBST)を含むPBSに注入した。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model) (BIAcore Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(kon)と解離速度(koff)を算出した。平衡解離定数(Kd)をkoff/kon比として算出した。Chen, Y. et al., (1999) J. Mol Biol 293:865-881を参照のこと。上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる抗体の結合速度が10−1−1を上回る場合、分光計、例えば、流動停止を備えた分光光度計(stop-flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度の抗原の存在下にて、PBS(pH7.2)、25℃の、20nMの抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)における増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて結合速度を測定することができる。
「リポソーム」は、例えば薬剤などの剤を哺乳動物に送達するのに有用な、様々な型の脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤から成る小さいベシクルである。リポソームの成分は、通常生体膜における脂質の配置と同様に、二重層構造に配置される。
本明細書で用いられる単語「標識」は、検出可能な化合物又は組成物を意味する。標識は、それ自体(例えば放射性同位元素標識又は蛍光標識)が検出可能であってもよく、酵素的な標識においては検出可能な生成物を生じる基質化合物又は組成物の触媒化学変化であってもよい。検出可能な標識としての機能を果たす放射性核種には、例えばI−131、I−123、I−125、Y−90、Re−188、Re−186、At−211、Cu−67、Bi−212及びPd−109が含まれる。
核酸、ポリペプチド又は抗体のような「単離された」生物学的分子は、少なくとも1つの自然環境の構成成分から同定及び分離、及び/又は回収されたものである。
II. 特定の実施態様の説明
腫瘍と関連しているヌクレオチド及びアミノ酸変異がここに提供される。これらの変異は、癌に対するバイオマーカーを提供する、及び/又は腫瘍形成もしくは腫瘍促進の素因となる、又は寄与する。したがって、ここに開示される変異は、例えば癌の診断及び治療に関する方法及び組成物など、種々の設定において有用である。
A.変異
更に実施例Aにおいて記載されるように、708の腫瘍標本のパネルから153の遺伝子が変異について分析された。その分析によって同定される変異は、図1に示される表に記載される。表の第1列(変異ID)は、各変異の識別番号を記載する。第2及び第3列(UNQ ID及びDNA ID)は、更なる遺伝子特異的な識別番号を記載する。第4列(遺伝子)は、変異が同定された遺伝子を記載する。第5列(遺伝子の概要(HUGO))は、第4列に記載される各遺伝子のヒト遺伝子解析機構(HUGO)からの、簡単な説明を提供する。Wain et al. (2002) Genomics 79:464-470参照。
第6列(「NT_CHGE」)は、各遺伝子で見出されるヌクレオチド変化を記載する。この研究において、ヌクレオチド変化は主に一つのヌクレオチド置換であった。但し、欠失及び挿入もまた発見された。第6列における用語「HETSUB」は「異型接合の置換」を表し、示された変異及び野生型アレルが腫瘍サンプルにおいて検出されたことを意味する。語「HOMSUB」は「同型接合の置換」を表し、示された変異が腫瘍サンプルにおいて検出され、野生型アレルが腫瘍サンプルにおいて検出されなかったことを意味する。例えば、腫瘍がヘテロ接合性の損失を受けた場合(例えば、特定の遺伝子の1つのコピーが変異を含み、対応する遺伝子における他のコピーは欠失を含む場合)、起こり得る。用語「HOMDEL」(EGFRの変異体ID 3561参照)は同型接合の欠失を表し、示された変異が腫瘍サンプルにおいて検出された欠失であり、野生型アレルは腫瘍サンプルにおいて検出されなかったことを意味する。用語「HETDEL」(EGFRの変異体ID 39041参照)は異型接合の欠失を表し、示された変異は腫瘍サンプルにおいて検出された欠失であり、野生型アレルは腫瘍サンプルにおいてもまた検出されたことを意味する。用語「HETINS」(CBLCの変異体ID 60761参照)は異型接合の挿入を表し、示された変異は腫瘍サンプルにおいて検出された挿入であり、野生型アレルは腫瘍サンプルにおいてもまた検出されたことを意味する。
第6列において、ヌクレオチド番号は、示された遺伝子に対応するcDNA配列におけるヌクレオチド位置を指す。例えば、第5行において、変異体ID 21270は、「505G>T」と示された異型接合の置換であり、AKT2遺伝子の1つのコピーにおいて「G」は「T」に置換され、AKT2遺伝子のcDNA配列(配列番号:2)のヌクレオチド505に対応するゲノム位置で起こっている置換を伴うことを示している。図1において記載される各遺伝子のために、下記の表1において示されるように、対応するcDNA配列及びそれらの翻訳物が配列表に示される。
(表1)
Figure 0005596975
図1のテーブルの第7列(「AA_CHGE」)は、前の列において記載されるヌクレオチド変化に起因しているアミノ酸変化を記載する。アミノ酸は、翻訳されたcDNA配列の位置に従って番号付けされている。ヌクレオチド置換が終止コドン(すなわちナンセンス変異)において起こった場合、対応するアミノ酸変化は、「O」で示される(例えば、314G>Oのアミノ酸変化を示すアキシン1の変異体ID 42019を参照)。ヌクレオチド変化がスプライス部位に起こった場合、記号「イントロン」は第6列に起こる(例えば、CBLにおける変異体ID 3465を参照)。ヌクレオチド挿入又は欠失がフレームシフトにおいて起こった場合、対応するアミノ酸変化は「FS」で示される(例えば、CBLCの変異体ID 60761を参照)。
図2は、図1において報告される変異に関する更なる情報を提供する。図1の第1及び第4列において提供されるように、図2の第1及び第2列は変異体識別番号及び対応する遺伝子を記載する。第3列「効果」は、変異が非同義(Nonsyn.)又は同義(Syn.)のアミノ酸置換又はコード化されたポリペプチドの欠失(Deletion)を生じさせるかどうかを示す。第4列「位置」は、変異がコード領域(「コーディング」)又は示された遺伝子のイントロン領域(「スプライスサイト」)において起こるかどうかを示す。第5列「ドメイン」は、いくつかの変異について、アミノ酸変化が起こるタンパク質ドメインを示す。タンパク質ドメインは、Pfam命名法によって示される。(Bateman et al. (2004) Nucleic Acids Res. 32(1): D138-141.参照)
第6列は、変異が見出された腫瘍の組織型を示す。第7列は、変異が見出された腫瘍の特定の型を示す。
ここに記載される変異が図2の最後の列に示す腫瘍型において同定されたが、他の型の癌についても、これらの変異の何れかが起こるかどうかを決定するためにルーティンとしてスクリーニングされ得る。本発明の組成物及び方法は、図1において提供されるPRO又はPROポリヌクレオチドから選択されるPRO又はPROポリヌクレオチドにおいて変異を含んでいる癌にも適用できる。
ここに記載される変異は、全ての体細胞変異である(すなわち、変異は、それぞれの腫瘍サンプルに由来されるDNAに存在したが、対応する患者における対応する正常なサンプルに由来されるDNAには存在しなかった)。一般に体細胞変異は、特定の組織だけに起こるものである。例えば、腫瘍では起こるが、生殖系列においては遺伝しない。生殖系列の多型は、通常、全ての組織で見いだされる。
変異は、種々のタンパク質ファミリーのタンパク質をコード化する遺伝子において見出された。例えば、変異は、受容体チロシンキナーゼ(RTKs)を含む多くのキナーゼをコード化する遺伝子において見出された。一般にキナーゼの活性化は、細胞増殖及び腫瘍促進と多くの場合関連している。したがって、キナーゼをコード化する遺伝子の変異は、キナーゼ活性を増大する「機能の獲得」変異である場合がある。この種の変異が検出される腫瘍は、したがって、キナーゼ・アンタゴニストに応答する場合がある。種々のキナーゼ・アンタゴニストは、現在従来技術において周知である。この種のキナーゼ・アンタゴニストは、例えば、3-[2,4-ジメチルピロル-5-イル)メチリデン]-インドリン-2-オン(SU5416);イマチニブ(imatinib)(Gleevec(登録商標))、2-フェニルアミノピリミジン;1-tert-ブチル-3-[6(3,5-ジメトキシ-フェニル)-2(4-ジエチルアミノ-ブチルアミノ)-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-ウレア(PD173074)(Moffa et al. (2004) Mol. Cancer Res. 2: 643-652参照);及び3-[3-(2-カルボキシエチル)-4-メチルピロル-2-メチルイデニル]-2-インドリノン(SU5402)などのインドリノン(Bernard-Pierrot (2004) Oncogene 23:9201-9211参照)などのアンタゴニスト抗体及び小分子アンタゴニストを含むが、これに限定されるものではない。
変異は、腫瘍サプレッサー遺伝子(例えばp53及び網膜芽細胞腫)においても見出された。一般に腫瘍抑制機能の損失は、細胞増殖及び腫瘍促進と多くの場合関連している。したがって、腫瘍抑制遺伝子をコード化する遺伝子の変異は、腫瘍抑制機能を減少させる完全に、もしくは部分的に機能を損失させる変異である場合がある。この種の変異が検出される腫瘍は、腫瘍抑制アゴニストに応答する場合がある。腫瘍抑制アゴニストは、例えば、アゴニスト抗体、腫瘍抑制遺伝子をコード化しているポリヌクレオチド、腫瘍抑制因子自体又は腫瘍抑制因子−Fc融合体である。
B.組成物
一つの態様では、少なくともPROポリヌクレオチドの断片を含んでいる単離されたポリヌクレオチドが提供され、断片はヌクレオチド変異を含む。一実施態様において、ヌクレオチド変異が、図1から選択されるヌクレオチド位置に存在する。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。他の一実施態様において、PROポリヌクレオチドの断片は、少なくとも約10ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約15ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約20ヌクレオチド長、あるいは、あるいは少なくとも約30ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約40ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約50ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約60ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約70ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約80ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約90ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約100ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約110ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約120ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約130ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約140ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約150ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約160ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約170ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約180ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約190ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約200ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約250ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約300ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約350ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約400ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約450ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約500ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約600ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約700ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約800ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約900ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約1000ヌクレオチド長、あるいはおよそ完全長コード化配列の長さである。これに関連して、用語「約」は、その引用された長さのプラス・マイナス10%のヌクレオチド配列長を意味する。他の一実施態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号:1−78から選択されるポリヌクレオチド配列又はその断片におけるヌクレオチド変異を含む。他の実施形態では、上記ポリヌクレオチドのいずれかの相補鎖が提供される。他の一実施態様において、上記ポリヌクレオチドのいずれかにコード化されるPROが提供される。
一実施態様において、ここに提供される単離されたポリヌクレオチドは、例えばラジオアイソトープ、蛍光剤又は発色剤によって検出可能に標識化されている。他の一実施態様において、単離されたポリヌクレオチドは、プライマーである。他の一実施態様において、単離されたポリヌクレオチドは、例えばアレル特異的オリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチドである。他の一実施態様において、オリゴヌクレオチドは、例えば、7−60ヌクレオチド長、9−45ヌクレオチド長、15−30ヌクレオチド長又は18−25ヌクレオチド長である。他の一実施態様において、オリゴヌクレオチドは、例えば、PNA、モルホリノ−アミド亜リン酸エステル、LNA又は2'-アルコキシアルコキシである。ここに提供されるオリゴヌクレオチドは、例えばヌクレオチド変異の検出のためのハイブリダイゼーションプローブとして有用である。
他の一実施態様において、ヌクレオチド変異(例えば置換)を含んでいるPROポリヌクレオチドの領域にハイブリダイズするアレル特異的オリゴヌクレオチドが提供される。一実施態様において、ヌクレオチド変異が、図1から選択されるヌクレオチド位置に存在する。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。アレル特異的オリゴヌクレオチドは、PROポリヌクレオチドの領域にハイブリダイズされる場合、ヌクレオチド変異に塩基対合するヌクレオチドを含む。他の一実施態様において、アレル特異的オリゴヌクレオチドの相補鎖が、提供される。他の一実施態様において、マイクロアレイは、アレル特異的オリゴヌクレオチド又はその相補鎖を含む。他の一実施態様において、アレル特異的オリゴヌクレオチド又はその相補鎖は、アレル特異的プライマーである。
アレル特異的オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド変異に特異的に塩基対合するヌクレオチドが野生型PROポリヌクレオチドに存在する対応するヌクレオチドに塩基対合するヌクレオチドに交換された点を除いてアレル特異的オリゴヌクレオチドに同一なコントロールオリゴヌクレオチドと共に用いることができる。この種のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドがヌクレオチド変異を含んでいるPROポリヌクレオチド及び対応する野生型ヌクレオチドを含んでいるPROポリヌクレオチドとを区別することができるハイブリダイゼーション条件の下で、競合結合測定において用いられ得る。例えば、オリゴヌクレオチドの長さ及び塩基組成に基づいて通常の方法を用いると、当業者は、(a)アレル特異的オリゴヌクレオチドが野生型PROポリヌクレオチドと比較してヌクレオチド変異を含んでいるPROポリヌクレオチドに優先して結合し、(b)コントロールオリゴヌクレオチドがヌクレオチド変異を含んでいるPROポリヌクレオチドと比較して野生型PROポリヌクレオチドに優先して結合するのに適したハイブリダイゼーション条件に達することができる。例示的な条件は、例えば55℃での5×標準食塩リン酸塩EDTA(SSPE)及び0.5%NaDodSO4(SDS))に続いて55℃又は室温で2×SSPE及び0.1%SDSで洗浄するというハイブリダイゼーション条件など、高いストリンジェンシー条件を含む。
別の態様においては、野生型PROと比較して、アミノ酸変異を含むPROに優先して結合する結合剤が提供される。一実施態様において、アミノ酸変異が、図1から選択されるアミノ酸位に存在する。そのような実施態様において、アミノ酸変異は、図1から選択されるアミノ酸変化である。他の一実施態様では、結合剤は抗体である。
別の態様においては、診断キットが提供される。一実施例において、キットは、前述のポリヌクレオチド及び酵素のいずれかを含む。一実施態様において、酵素は、ヌクレアーゼ、リガーゼ及びポリメラーゼから選択される少なくとも一つの酵素である。
C.方法
一つの態様では、生体試料に由来されるPRO又はPROポリヌクレオチドにおける変異を検出することを含む腫瘍の存在を検出する方法が提供される。一実施態様において、生体試料は、腫瘍を有すると推測される哺乳動物から得られる。
別の態様においては、ヌクレオチド変異が生体試料に由来されるPROポリヌクレオチドに存在するかどうか検出することを含む生体試料の遺伝子型を決定する方法が提供される。一実施態様において、ヌクレオチド変異が、図1から選択されるヌクレオチド位置に存在する。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。他の一実施態様では、生体試料は、腫瘍細胞を含むと推測される。他の一実施態様において、生体試料は、例えば不死化細胞株などの細胞株である。他の一実施態様では、生体試料は腫瘍である。そのような実施態様において、腫瘍の遺伝子型は、腫瘍を分類するための基礎を提供する。
別の態様においては、生体試料に由来するPRO又はPROポリヌクレオチドにおける変異を検出することを含む哺乳動物からの生体試料における腫瘍細胞を同定する方法が提供される。一実施態様において、変異はヌクレオチド変異である。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド位置に存在する。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。他の一実施態様では、変異はアミノ酸変異である。そのような実施態様において、アミノ酸変異は、図2から選択されるPRO機能的ドメインに存在する。別の実施態様において、アミノ酸変異は、図1から選択されるアミノ酸位に存在する。別の実施態様において、アミノ酸変異は、図1から選択されるアミノ酸変化である。他の一実施態様では、生体試料は、例えば癌性であると推測される細胞を含んでいる組織サンプルなどの生検である。
別の態様においては、哺乳動物から得た生体試料に由来するPRO又はPROポリヌクレオチドにおける変異の存在を検出することを含む哺乳動物の腫瘍を診断する方法が提供され、その生体試料は腫瘍細胞を含むことが知られている又は推測される生体試料である。一実施態様において、変異は、ヌクレオチド変異である。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド位置に存在する。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。他の一実施態様では、変異はアミノ酸変異である。そのような実施態様において、アミノ酸変異は、図2から選択されるPRO機能的ドメインに存在する。別の実施態様において、アミノ酸変異は、図1から選択されるアミノ酸位で存在する。別の実施態様において、アミノ酸変異は、図1から選択されるアミノ酸変化である。他の一実施態様では、前記方法は、例えば腫瘍が特定のPROポリヌクレオチド又はPROにおけるヌクレオチド又はアミノ酸の変異により特徴づけられるように、腫瘍を分類する方法である。
別の態様においては、哺乳動物からの腫瘍がPRO又はPROポリヌクレオチドを目標とする治療薬に応答するかどうかを予測するための方法が提供され、前記方法は腫瘍がPRO又はPROヌクレオチドにおける変異を含むかどうかについて決定することを含み、PRO又はPROポリヌクレオチドにおける変異の存在が腫瘍が治療薬に応答することを示す方法である。一実施態様において、変異はヌクレオチド変異である。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1からの選択されるヌクレオチド位置に存在する。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1からの選択されるヌクレオチド変化である。他の一実施態様では、変異はアミノ酸変異である。そのような実施態様において、アミノ酸変異は、図2から選択されるPRO機能的ドメインに存在する。別の実施態様において、アミノ酸変異は、図1から選択されるアミノ酸位に存在する。別の実施態様において、アミノ酸変異は、図1から選択されるアミノ酸変化である。他の一実施態様では、PROは、例えばRTKなどのチロシンキナーゼのようなキナーゼである。他の一実施態様では、PROは腫瘍抑制因子である。
別の態様においては、PROをコード化している核酸のヌクレオチド位置におけるヌクレオチド変異の有無を検出する方法が提供され、その方法は、(a)核酸を前述のポリヌクレオチド(セクションII.B)のいずれかと、核酸とポリヌクレオチドがハイブリダイゼーション複合体の形成に適した条件下で接触させ、(b)ポリヌクレオチドが前記のヌクレオチド位置で核酸と特異的に塩基対合するかどうかを検出することを含む方法である。一実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド位置に存在する。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。
別の態様においては、PROをコード化している核酸のヌクレオチド変異の有無を検出する方法が提供され、この方法は、(a)アレル特異的オリゴヌクレオチドが核酸へハイブリダイズするのに適した条件下で、ヌクレオチド変異に特異的なアレル特異的オリゴヌクレオチドを核酸に接触させ、(b)アレル特異的なハイブリダイゼーションの有無を検出することを含む方法である。一実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド位置に存在する。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。他の一実施態様では、アレル特異的なオリゴヌクレオチドは、アレル特異的なプライマーである。
別の態様においては、ヌクレオチド変異を含むPROポリヌクレオチド又はその断片を含む核酸を増幅する方法が提供され、その方法は(a)ヌクレオチド変異の3’配列にハイブリダイズするプライマーを核酸を接触させ、(b)ヌクレオチド変異を含む増幅産物を生成するためにプライマーを伸長することを含む方法である。一実施形態において、その方法は、ヌクレオチド変異の3’配列にハイブリダイズする第2のプライマーに増幅産物を接触させ、第2の増幅産物を生成するために第2のプライマーを伸長することを更に含む。そのような実施態様において、その方法は、増幅産物及び第2の増幅産物を、例えばPCRによって増幅することを更に含む。前記実施態様のいずれかにおいて、ヌクレオチド変異は図1から選択されるヌクレオチド位置に存在する。前記実施態様のいずれかにおいて、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。
別の態様においては、(a)PROの活性を測定し、(b)野生型PROの活性とPROの活性を比較することを含む、アミノ酸変異を含むPROの活性を評価する方法が提供される。一実施態様において、活性はキナーゼ活性である。他の一実施態様では、活性は腫瘍抑制活性である。他の一実施態様では、アミノ酸変異は、図2から選択されるPROの機能的ドメインに存在する。他の一実施態様では、アミノ酸変異が、図1から選択されるアミノ酸位に存在する。他の一実施態様では、アミノ酸変異は、図1から選択されるアミノ酸変化である。
別の態様においては、腫瘍の治療のための薬剤を同定する方法が提供され、その方法は、(a)アミノ酸変異を含むPROを試験剤と接触させ、(b)試験剤がある場合のPROの活性を、試験剤がない場合のPROの活性を用いて評価することを含み、試験剤が存在する場合にPROの活性が増減することが、試験剤が腫瘍の治療のための薬剤であることを示す方法である。一実施形態において、アミノ酸変異は、図2から選択されるPROの機能的ドメインに存在する。他の一実施態様では、アミノ酸変異が、図1から選択されるアミノ酸位に存在する。他の一実施態様では、アミノ酸変異は、図1から選択されるアミノ酸変化である。他の一実施態様では、PROは、例えばRTKなどのチロシンキナーゼのようなキナーゼであり、試験剤が存在する場合にキナーゼの活性が減少することは、試験剤が腫瘍の治療のための剤であることを示す。他の一実施態様では、PROは腫瘍抑制因子であり、試験剤が存在する場合における腫瘍抑制因子の活性増大は、試験剤が腫瘍の治療のための剤であることを示す。
別の態様においては、活性化変異を有するPROを含む腫瘍細胞の増殖を阻害する方法が提供され、その方法はPROのアンタゴニストに腫瘍細胞を暴露することを含む。一実施形態において、PROは、例えば受容体チロシンキナーゼなどのキナーゼである。
別の態様においては、PROの活性を減少させる変異をPRO内に含む腫瘍細胞の増殖を阻害する方法が提供され、その方法はPROのアゴニストに腫瘍細胞を暴露することを含む。一実施形態において、アゴニストは、PROポリヌクレオチド又はPROを含む。他の一実施態様では、PROは、腫瘍抑制因子である。
別の態様においては、PRO内に変異を含んでいる腫瘍を治療する方法が提供され、その方法は腫瘍を有する哺乳動物にPROのアンタゴニスト又はアゴニストを含む製剤の有効量を投与することを含む。一実施形態において、変異は、ヌクレオチド変異である。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド位置に存在する。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。他の一実施態様では、変異は、アミノ酸変異である。そのような実施態様において、アミノ酸変異は、図2から選択されるPROの機能的ドメインに存在する。別の実施態様において、アミノ酸変異は、図1から選択されるアミノ酸位に存在する。別の実施態様において、アミノ酸変異は、図1から選択されるアミノ酸変化である。他の一実施態様では、PROは、例えばRTKなどのチロシンキナーゼのようなキナーゼである。他の一実施態様では、PROは、腫瘍抑制因子である。
上記方法のいずれかによると、腫瘍は、肺腫瘍(特に非小細胞肺癌腫)、乳房腫瘍、結腸腫瘍、腎臓腫瘍、肝腫瘍、膀胱腫瘍、卵巣腫瘍、胃腫瘍、皮膚腫瘍(メラノーマ及び非メラノーマ皮膚癌を含む)、直腸の腫瘍及びリンパ腫から選択される腫瘍であってもよい。一実施形態において、腫瘍は、図2の第6列において記載される組織に由来する(例えば肺腫瘍、結腸腫瘍、盲腸腫瘍、肝腫瘍、胃腫瘍、その他)。他の一実施態様では、腫瘍は、図2の第7列において記載される特異的な腫瘍型から選択される。
上記方法のいずれかによると、ヌクレオチド変異は体細胞変異又は生殖系列多型であってもよい。
D.一般的な技術
上記方法のいずれかによると、核酸は、ゲノムDNA;ゲノムDNAから転写されるRNA;又はRNAから生成されるcDNAであってもよい。核酸は、脊椎動物(例えば哺乳動物)に由来してもよい。核酸は、その供給源から直接得られる場合、又はそれがその供給源において見いだされる核酸のコピーである場合、特定の供給源に「由来する」という。
核酸は、核酸のコピー(例えば増幅により生じるコピー)を含む。例えば、変異を検出するための材料の所望の量を得るために、場合により増幅が望ましいことがある。例えば、PROポリヌクレオチド又はその一部は、核酸材料から増幅され得る。変異がアンプリコン内に存在するかどうか決定するために、アンプリコンを、後述するような変異検査法に供してもよい。
変異は、特定の周知の方法によって検出され得る。この種の方法は、DNA塩基配列決定、アレル特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ及びアレル特異的プライマー伸長アッセイ(例えばアレル特異的PCR、アレル特異的ライゲーション連鎖反応(LCR)及びgap−LCR)を含むプライマー伸長アッセイ;アレル特異的オリゴヌクレオチド・ハイブリダイゼーション検定法(例えばオリゴヌクレオチド・ライゲーション・アッセイ);切断剤からの保護を核酸デュプレックスのミスマッチ塩基を検出するために用いる切断保護アッセイ; MutSタンパク質結合の分析;変異体及び野生型核酸分子の可動性を比較する電気泳動的解析;、変性こう配ゲル電気泳動(DGGE、例えばMyers et al. (1985) Nature 313:495に記載);ミスマッチ塩基対のRNアーゼ切断の分析;ヘテロ二本鎖DNAの化学的又は酵素による切断の分析;マススペクトル分析(例えばMALDI−TOF);遺伝子のビット分析(GBA);5’ヌクレアーゼ・アッセイ(例えばTaqMan(登録商標));及び分子ビーコンを用いたアッセイを含むが、これに限定されるものではない。これらの方法のいくつかは、以下でより詳細に検討される。
標的核酸変異の検出は、その分野で公知の技術を用いて、標的核酸分子クローニング及び配列決定により達成され得る。あるいは、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)のような増幅技術を、腫瘍組織のゲノムDNA標本から直接標的核酸配列を増幅するために用いることができる。増幅された配列の核酸配列が決定され、変異が同定される。増幅技術はその分野で公知であり、例えば、PCRはSaiki et al., Science 239:487, 1988;米国特許番号4,683,203及び4,683,195において記載される。
その分野で公知であるリガーゼ連鎖反応もまた、標的核酸配列を増幅するために用いることができる。Wu et al., Genomics 4:560-569 (1989)参照。さらにアレル特異的PCRとして公知の技術もまた、変異(例えば置換)を検出するために用いることができる。Ruano and Kidd (1989) Nucleic Acids Research 17:8392; McClay et al. (2002) Analytical Biochem. 301:200-206参照。この技術のある実施態様において、アレル特異的プライマーを用いることができ、そのプライマーの3’末端ヌクレオチドは標的核酸における特定の変異に相補的である(すなわち、特異的に塩基対合できる)。特定の変異がない場合、増幅産物は観察されない。Amplification Refractory Mutation System(ARMS)もまた、変異(例えば置換)を検出するために用いることができる。ARMSは、例えば、ヨーロッパ特許出願公開番号0332435及びNewton et al., Nucleic Acids Research, 17:7, 1989において記載される。
変異(例えば置換)を検出するために有用な他の方法は(1)単一塩基伸長アッセイなどのアレル特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ(Chen et al. (2000) Genome Res. 10: 549-557;Fan et al. (2000) Genome Res. 10: 853-860;Pastinen et al. (1997) Genome Res. 7: 606-614;及びYe et al. (2001) Hum. Mut. 17: 305-316)参照);(2)アレル特異的PCRを含むアレル特異的プライマー伸長アッセイ(Ye et al. (2001) Hum. Mut. 17: 305-316;及びShen et al. Genetic Engineering News, vol. 23, Mar. 15, 2003参照);(3)5’ヌクレアーゼアッセイ(De La Vega et al. (2002) BioTechniques 32:S48-S54(TaqMan(登録商標)アッセイを記載); Ranade et al. (2001) Genome Res. 11: 1262-1268;及びShi (2001) Clin. Chem. 47:164-172参照);(4)分子ビーコンを用いるアッセイ(Tyagi et al. (1998) Nature Biotech. 16:49-53;及びMhlanga et al. (2001) Methods 25:463-71参照);及び、(5)オリゴヌクレオチド・ライゲーション・アッセイ(Grossman et al. (1994) Nuc. Acids Res. 22: 4527-4534;米国特許出願公開番号US2003/0119004 A1;PCT国際公開番号WO01/92579 A2;及び米国特許番号6,027,889参照)を含むが、これに限定されるものではない。
変異は、ミスマッチ検出法によってもまた検出され得る。ミスマッチは、100%相補的でないハイブリダイズされた二本鎖核酸である。完全な相補性の欠如は、欠失、挿入、逆転又は置換に起因している場合がある。ミスマッチ検出法の1つの例は、例えば、Faham et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA 102:14717-14722 (2005)及びFaham et al., Hum. Mol. Genet. 10:1657-1664 (2001)において記載されるMismatch Repair Detection(MRD)アッセイである。他のミスマッチ切断技術の例は、RNアーゼ保護法であり、Winter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:7575, 1985及びMyers et al., Science 230:1242, 1985においてその詳細が記載される。例えば、本発明の方法は、ヒト野生型標的核酸に相補的な標識化されたリボプローブを用いてもよい。組織サンプルの由来される標的核酸及びリボプローブは、共にアニール(ハイブリダイズ)され、二本鎖RNA構造におけるいくつかのミスマッチを検出することが可能な酵素RNアーゼAによってその後消化される。ミスマッチがRNアーゼAによって検出されると、ミスマッチの部位で切断される。したがって、アニールされたRNA標本が電気泳動的ゲルマトリックスに分離され、ミスマッチが検出されてRNアーゼAによって切断された場合、リボプローブ及びmRNAもしくはDNAに対して全長二本鎖RNAより小さいRNA産物が確認される。リボプローブは、標的核酸の完全長である必要はなく、それが変異を有すると推測される位置を含むならば標的核酸の一部であってもよい。
これと同様の方法で、例えば酵素的もしくは化学的な切断を通して、ミスマッチを検出するためにDNAプローブを用いることができる。Cotton et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:4397, 1988;及びShenk et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 72:989, 1975参照。あるいは、ミスマッチは、マッチする二本鎖と比較して、ミスマッチ二本鎖の電気泳動易動度の変動によって検出することができる。Cariello, Human Genetics, 42:726, 1988参照。変異を含むと推測される標的核酸は、リボプローブ又はDNAプローブのいずれかにより、ハイブリダイゼーションの前に増幅されてもよい。特に標的核酸の変化が、大きな再配列(例えば欠失及び挿入)である場合、その変化はサザンハイブリダイゼーションを用いても検出できる。
標的核酸又は周囲のマーカー遺伝子に対する制限断片長多形性(RFLP)プローブを、変異(例えば挿入又は欠失)の検出に用いることができる。挿入及び欠失を、標的核酸のクローニング、配列決定及び増幅により検出することができる。一本鎖DNA高次構造多型(SSCP)分析もまた、アレルの塩基変化変異体の検出に用いることができる。Orita et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2766-2770, 1989及びGenomics, 5:874-879, 1989参照。
本発明は、本発明の方法を行うのに適した種々の組成物をも提供する。例えば、本発明は、この種の方法で用いられるアレイを提供する。一実施形態において、本発明のアレイは、本発明の変異を検出するために有用な、個人の核酸分子又は核酸分子のコレクションを含む。例えば、本発明のアレイは、一連の別々に配置された個々のアレル特異的オリゴヌクレオチド又はアレル特異的オリゴヌクレオチドのセットを含んでもよい。固体基質(例えばスライドグラス)に核酸を結合させるためのいくつかの技術は、その分野において周知である。1つの方法は、固体基質(例えばアミン基、アミン基の誘導体又は正電荷を有する他のグループ)に給合可能な反応性成分を含む修飾塩基又はアナログを、合成される核酸分子に組み込むことである。それから、合成された産物を、固体基質(例えばアルデヒド又は他の反応基を有するコーティング付きスライドグラス)に接触させる。アルデヒド又は他の反応基は、増幅された産物上で反応性成分と共有結合を形成し、スライドグラスに共有結合する。アミノプロピルシリカ(amino propryl silican)界面化学を用いるような他の方法もまた公知技術である。
上記の方法のいずれかによると、生体試料は当業者に周知である特定の方法を用いて得られる。生体試料は、脊椎動物、特に哺乳動物から得られてもよい。組織生検は、腫瘍組織の典型的な試験片を得るために、たびたび用いられる。あるいは、腫瘍細胞は、公知の、又は興味がある腫瘍細胞を含むと考えられる組織又は体液の形で間接的に得られることができる。例えば、肺癌病変の試料は、切除、気管支鏡検査法、微細な針穿刺吸引、気管支擦過法によるか、痰肋膜体液又は血液から、得られてもよい。標的核酸(又はコード化されたポリペプチド)の変異は、腫瘍試料又は他の体試料(例えば尿、痰又は血清)から検出され得る。(癌細胞は、腫瘍から脱落し、この種の体試料に出現する。)
この種の体試料のスクリーニングにより、疾患(例えば癌)の簡潔な早期診断が達成される。さらに、治療の進捗は、標的核酸(又はコード化されたポリペプチド)における変異について、この種の体試料を検査することによって、より容易にモニターすることができる。さらに腫瘍細胞の組織標本を拡充するための方法は、この分野において公知である。例えば、組織は、パラフィン又はクリオスタット切片から単離されてもよい。癌細胞は、フローサイトメトリー又はレーザーキャプチャーマイクロダイセクションにより正常細胞から分離され得る。
III.実施例
A.ヒト腫瘍における変異の同定
708のヒト腫瘍標本は、商業的な供給源から得られた。腫瘍は、充分な腫瘍含有量(すなわち80%を超える腫瘍細胞)を確保するために、病理検査にかけられた。153の遺伝子は、癌における潜在的重要性に基づいて、分析のために選択された。腫瘍標本から得たゲノムDNAを使い、それらの遺伝子のエキソン及びいくつかのイントロン配列を増幅するためにPCRが用いられた。アンプリコンは、標準的なサンガーの配列決定法を用いて配列決定され、その配列は変異を同定するために対応する野生型配列と比較された。変異は、それらのデータベースに存在せず、新規であると決定される変異を同定するために、NCBI「dbSNP」データベースにおける単一ヌクレオチド多型(Sherry et al. (1999) Genome Res. 9: 677-679参照)及びthe Catalogue of Somatic Mutations in Cancer(COSMIC)データベース(Bamford et al. (2004) British Journal of Cancer 91:355-358参照)における体細胞変異と比較した。変異は、オリジナルの腫瘍試料に由来するエクソンを再び増幅及び配列決定することにより確証された(すなわち、確立された)。正常な試料に適合する患者のゲノムDNAからのアンプリコンは、変異が体細胞の変異もしくは生殖系列の変異であるかどうかを決定するために生成され、配列決定された。前述の分析の結果は図1及び2に示され、上記の実施態様の詳細な説明においてより詳細に記載される。
B.変異の分析
体細胞変異がホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)シグナリング経路に関係する遺伝子において発見されたことが知られている。それらの遺伝子は、PIK3R1、PIK3CA及びPTENを含むが、これに限定されるものではない。PIK3R1(PI3KRとも称される)は、p85αをコード化しており、PI3Kの制御サブユニットである。p85αは、PIK3CA(p110αと称される)によってコード化されるタンパク質を負に制御するものであり、PI3Kの触媒サブユニットである。PIK3CAの活性化変異が、頻繁に結腸癌及び乳癌に起こることは公知である。PIK3R1における機能損失の変異は、p110α及び腫瘍促進の活性化を生じると予測される。PTENは、PI3Kシグナリングの下流に作用し、拮抗する腫瘍抑制遺伝子である。PTENにおける機能損失の変異もまた、腫瘍促進を生じると予測される。
現在の研究は、図1及び2に示すように、結腸腫瘍、膵臓腫瘍及び乳房腫瘍標本におけるPIK3R1の体細胞変異を同定した。p85αにおいて見出されるいくつかの変異の位置は、図3において視覚的に表される。PIK3R1のトランケーション変異がリンパ腫において非常に低い頻度で報告されており、PIK3R1のスプライス部位での変異が原発性の結腸腫瘍(1/60)及び卵巣腫瘍(3/80)において非常に低い頻度で報告されていることが知られている。Philp et al. (2001) Cancer Res. 61: 7426-7429参照。しかしながら、本所見は、6%を超える頻度でで固形腫瘍(特に結腸腫瘍)におけるPIK3R1のコード配列の変異の証拠を提供する。
p85α変異体のp110αに結合する能力が測定された。Cos7細胞は、N末端にHA標識されたp85αタンパク質(下記の表2に示すように、野生型もしくは変異体のいずれか)をコード化する核酸、及びp110αコード化核酸(下記の表2に示すように、野生型もしくは変異体のいずれか)で一過性トランスフェクションした。タンパク質は、HAビーズを用いて免疫沈降し、SDS−PAGEにより分離し、ニトロセルロースに転写し、抗HA抗体及び抗p110α抗体を用いて検出した。p110αへのp85αの結合は、表2におけるyes(Y)もしくはno(N)のいずれかで示されている。表2の第2列において、用語「p85 ドミナントネガティブ」は、アミノ酸479−513のp110α結合ドメインが削除されている既知のp85αのドミナントネガティブ型のことを意味する。表2の第1列において記載されるp85αの残りの変異形が、この研究に従って発見された。表2のヘッダー列において、用語「p110α E545K」及び「p110α H1047R」は、構成的に活性なp110αを生じる、p110αにおける2つの既知の変異性「ホットスポット」を意味する。この結果は、p110α結合ドメインを欠くp85αの切断型を生じる変異体を除いて、この研究において発見されるp85α変異体の多くが野生型及び変異体p110αに結合する能力を保持したことを示す。
Figure 0005596975
p85α変異タンパク質のp110αと活性複合体を形成する能力もまた評価された。p85αタンパク質(下記の表3に示す野生型もしくは変異体のいずれか)及び野生型p110αからなる複合体は、バキュロウイルスにおいて発現する。複合体におけるp110αの活性は、基質としてホスホイノシチドを使った蛍光偏光法アッセイを用いて評価された。アッセイは、ホスホチロシン・ペプチド(下記の表3において「ペプチド」と称する)の非存在下もしくは存在下において行われた。そのペプチドは、p85αのSH2領域に結合し、野生型p85α/p110α複合体の活性を増強するインスリン受容体基質−1領域を含むホスホチロシンに相当する。Miled et al., Science, 317:239-242 (2007)参照。表3において試験されるp85α変異体は、C末端のSH2ドメインにおいて変異を有する。複合体におけるp110αの活性は、表3に示される。活性は、ペプチドの非存在下で野生型複合体におけるp110αに対して得られた値で標準化された。結果は、p85α変異体のうちの1つ(p85 N564D)がペプチドの非存在下で増加したp110α活性を有する複合体を生じることを示す。p85α変異体のうちの2つ(p85 R649Q及びp85 N527K)は、ペプチドの非存在下で減少したp110α活性を有する複合体を生じる。p85α変異体のうちの1つ(p85 E666K)は、野生型複合体において見られるp110α活性と同等のp110α活性を有する複合体を生じる。野生型及び変異体の複合体は、ペプチド存在下で、増加したp110α活性を示した。
Figure 0005596975
図1及び2において示されるように、体細胞変異がPIK3CA及びPTENにおいても発見された。PTENにおけるいくつかの変異は、PIK3R1における変異と同じ腫瘍標本において見いだされた。図3参照。したがって、PI3K経路は、腫瘍の診断及び治療において多数の標的を提供し得る。
さらに、B−raf、KRAS、PIK3R1、PIK3CA、ERBB3及びERBB4の変異の頻度分析は、以下の通りの統計的有意差を伴って、それらの変異が「ドライバー」変異、すなわち腫瘍形成もしくは腫瘍発達において原因として働く変異であると予測されることを明らかにした:
Figure 0005596975
様々な遺伝子の体細胞変異の頻度は、癌の異なる型にわたって分析された。特定の癌に対して5%以上の頻度での体細胞変異を有している遺伝子(10以上の試料)は、図4に表される。上記の分析と一致して、矢印は結直腸癌におけるPIK3R1、ERBB3及びERBB4の高頻度変異を示している。
前述の本発明が理解の明快さのために図と例とをあげて詳細に記載されているが、記載及び例は本発明の範囲を制限するように解釈されてはならない。ここに引用される全ての特許文献及び科学文献の開示は、その全てを参照することにより明確に援用される。

Claims (5)

  1. 腫瘍がPI3K経路におけるタンパク質を標的とする治療薬に応答するかどうかを予測する方法であって、該腫瘍がPIK3R1ポリペプチドのアミノ酸置換564Nを含むかどうかを決定することを含み、置換の存在が該腫瘍が治療剤に応答するであろうことを示す、方法。
  2. アミノ酸置換が564N>Dである、請求項に記載の方法。
  3. 腫瘍が固形腫瘍である、請求項1に記載の方法。
  4. 腫瘍が結腸腫瘍である、請求項1に記載の方法。
  5. 治療薬がPIK3CAポリペプチドを標的とする、請求項1に記載の方法。
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