JP5594453B2 - フィルムの帯電特性評価装置 - Google Patents
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Description
従来は上記したトラブルを解消するために、フィルムの漏洩性を改善する、即ち表面抵抗と体積抵抗を下げることで対応している。
それに対して、本発明者は、先に、フィルムの帯電特性を評価する要素は、フィルムの素材に由来する漏洩性だけではなく、そのフィルムに実際に接触する接触物との相対的な関係で決まるそのフィルムの帯電性もあることを見出し、上記2つの特性をR(漏洩性)−V(帯電性)ダイヤグラム上に示し、漏洩性と帯電性のバランスに基づいてそのフィルムの帯電特性を評価することを提案している。
本発明は、上記の背景技術及び背景技術が抱えていた問題点の存在を踏まえてなされたものであって、使い勝手が良く、満足できる精度で帯電特性を評価できる装置を提供することを目的とする。
先ず、除電箱について説明する。
図2において符号3は除電箱を示し、この除電箱3の箱本体5内でフィルムサンプルS(図11で詳述)は除電される。箱本体5は、6枚の透明板7の組み立てにより形成されており、天井の透明板7には矩形の投入口9が設けられている。また、投入口9を挟んでその両側から電線ケーブル11、11が引き出されている。
正面の透明板7は、側端部に設けられた蝶番(図示省略)を介して開閉自在に取り付けられており、取手15を引くと箱本体5が正面側で開口するようになっている。
また、図3に示すように、箱本体5は上げ底になっており、下方に凹状になっている。そして、その内周面には、例えばアルミニウムで構成された導電性箔17が貼り合わされており、この導電性箔17を介してアースされている。
ガイド部19の上部は上記した投入口9と連通している。箱本体5の天井面から一定の長さまでは、対向する側面が切り欠けられて一対の開口窓23が形成されている。その下部は閉鎖されており、閉鎖ガイド部24に相当する。閉鎖ガイド部24の閉鎖長さは、フィルムサンプルSの落下先端が後述する帯電ロール43に接触したときには落下後端は閉鎖ガイド部24の閉鎖部分に位置するように、フィルムサンプルSの長さ寸法Lを考慮して設定されている。
ガイド部19の下側部分も箱本体5の底部を貫通しており、貫通後はガイド部19の左右両側壁の厚さ寸法が徐々に小さくなって先尖り状の延出部25となっている。
この一対の除電イオン風発生手段27、27は、箱本体5の天井板から吊下げられて箱本体5の下面付近まで延びており、ガイド部19の幅方向に沿って対向配置されている。
針状電極29には、電源供給のために、上記した電線ケーブル11が接続されている。
符号33、33は一対の長方形の貫通孔を示し、この貫通孔33、33は箱本体5の底板を切り欠いて形成されている。貫通孔33、33は開口31を挟んで対向配置されている。
従って、箱本体5を矢印に示す方向に移動させることができる。箱本体5を装置本体37の後方に最大限後退させると、後述する帯電ロール43、43がむき出しとなる。
図5に示すように、上記した一対の帯電ロール43、43は箱本体5と装置本体37との間に並列に配置されている。帯電ロール43、43の上端は箱本体5の下面に近接している。各帯電ロール43のロール長さはフィルムサンプルSの横幅寸法(W)より若干でも小さくなるように設定されている。帯電ロール43はドロップイン方式で軸受45、45に装着されるので、容易に交換可能になっている。
図5において左側の帯電ロール43が駆動側になっており、図6に示すように手前側の端部にはギア47が連結されている。このギア47はモーター側のギア(図示省略)に噛合されてモーターからの回転力が伝達されるようになっている。モーター側のギアは開閉自在のギアボックス49(図1)に収容されている。
上記配置により、図8に示すように、箱本体5の下面に形成された一対の貫通孔33、33は帯電ロール43、43のそれぞれの外方側半円弧部44、44に対向することになる。
符号59はバネばかりを示し、このバネばかり59は装置本体37上に設置されている。このバネばかり59の軸60が左側の帯電ロール43の基台55に対して連結されている。なお、図1では、視認の便宜のために、バネばかり59の図示は省略されている。
バネばかり59の駆動により、左側の帯電ロール43が右側の帯電ロール43に対して矢印(図8)に示すように近接離間し、帯電ロール43、43間のニップ圧を微妙に調整することができる。
ファラデーケージ61は全体として縦長の箱形状をなしており、高さの有る下部63と、高さの低い上部65に分かれている。
壁面は二重壁構造になっており、導電性の内側壁67と導電性の外側壁69とからなり、内側壁67は外側壁69に対して絶縁性の固定具68を用いて固定されている。また、下面側では絶縁性のスペーサ70によって所定の間隔が保持されている。
図7に示すように、外側壁69側の投入口71と、内側壁67側の投入口73の口縁は、テフロン(登録商標)などの絶縁材75で覆われている。また、下部63の内側壁67の内面には、敷居スベリ77が部分的に適当に貼り合わされている。
さらに、内側壁67の投入口73の口縁も、絶縁材75で覆われ、敷居スベリ77により部分的に内側壁67の内面が絶縁されているので、フィルムサンプルSの形状を調整して、落下したときに、露出した内側壁67の内面に接触させれば、フィルムサンプルSは放電される。一方、図7に示すように敷居スベリ77に接触するようにすれば、フィルムサンプルSの帯電状態が維持される。
導電板81が当接された内側壁67に対向する外側壁69の下部63に取手85の付いた扉87が取付けられている。
ファラデーケージ61の上部65の外側壁69の両側面は適宜な固定手段により装置本体37に固定されている。一方、下部63の外側壁69のスライドレール79、79は装置本体37の内部の側面にそれぞれ取り付けられた突条部91にスライド移動可能に支持されている。
導電板81は、フィルムサンプルSの帯電量測定時には、上下の外側壁69、上下の内側壁67にそれぞれ接触して導通状態にしておく。
従って、取手85を掴んで扉87を前方に引き出すと、ファラデーケージ61の下部63は突条部91に対して前方にスライド移動し、図10(1)の状態から図10(2)に示す状態まで、すなわち前方の導電板81が下部63の奥側の内側壁67に当接するまで下部63は前方に引き出される。
測定後は上端が全面開口した下部63を前方に引き出し、下部63の開口上端から手を差し入れてフィルムサンプルSを掴んで引き上げることにより、フィルムサンプルSを取り出す。ファラデーケージ61は下部63と上部65に分離され、全面開口した下部63からフィルムサンプルSを取り出すので、下部63をそれほど深くする必要が無い。従って、ファラデーケージ61に深く手を入れなくとも指先を差し入れるだけでフィルムサンプルSを掴んで引き上げることができる。そのため、内側壁67により画定される開口面積は指先を差し入れるだけの大きさがあれば足りる。
除電箱3内で、フィルムサンプルSが引っ掛かっても、透明な箱本体5からその状態を透視できるので、箱本体5を開いて速やかにフィルムサンプルSを取出すことができる。しかも、箱本体5は透明ではあるが、アースされているので、帯電することはない。従って、フィルムサンプルSの除電に悪影響を及ぼすことはない。更に、測定者に電撃などの危害を加えることもない。
従って、繰り返し測定を行うことができる。上記構成は帯電ロール43、43が誘電体の場合に特に有効である。
一方、フィルムサンプルS上では帯電が一様になされるわけでなく、不均一な場合がある。このように帯電が不均一な場合、その後に塗装をすると塗布ムラが発生する。而して、ファラデーケージ61で帯電量を測定すると帯電量は分かるが、帯電分布は分からない。したがって、帯電分布を評価したい場合には、ファラデーケージ61内で放電しない状態で、即ちフィルムサンプルSの長さ寸法Lを短くした上で、落下させる。このようにすれば、ファラデーケージ61内でフィルムサンプルSは内側壁67に接触しないので放電しない。このフィルムサンプルSを取出して正負電荷を持つ液体現像剤を塗装することで、塗装ムラの試験を行うことができる。
このように、帯電特性評価装置1によれば、帯電量だけでなく、帯電分布も評価でき、塗布工程における静電気による塗布ムラ故障の再現シュミレーション実験として使用することができる。
通常のフィルムは、溶融樹脂が冷却ローラ上で冷却され固化されたものであり、冷却ローラの接触面とその反対面とでは帯電特性が異なる。また、製造された後リールに巻き取られているので湾曲している。
従って、図11(1)に示すように、フィルムを適当な大きさで原反から分離した後、図11(2)に示すように、矩形状に打抜く際に、切り込み線Cも形成する。そして、図11(3)に示すように、フィルムサンプルSを切り込み線Cとその両端により二つ折りして使用する。切り込み線Cが形成されているので、折り曲げ易い。また、両面が冷却ローラの接触面になるか、或いは反対面になる。すなわち、フィルムサンプルSの両面が同じ帯電特性のものになるので、評価したい面の帯電特性を評価することができる。また、フィルムサンプルSは元々湾曲しているが、二つ折りすると湾曲力が互いに打ち消されて、殆ど直状態となる。従って、除電箱3のガイド部19に引っ掛かったりしない。
例えば、帯電ロールは、ゴムロール、樹脂ロール、金属ロール、表面マットロール等に交換可能である。また、溝の形成されたロールにも交換可能である。実機では、経時的にロールに溝が形成されることがあるため、溝の形成された帯電ロールで帯電させることで、そのような場合を想定したシミュレーションテストを行うことができる。
また、バネばかりの代わりに錘を一方の帯電ロールの軸受側に連結させてニップ圧を調整してもよい。
5‥‥箱本体 7‥‥透明板
9‥‥投入口 11‥‥電線ケーブル
15‥‥取手 17‥‥導電性箔
19‥‥ガイド部 21‥‥規制空間
23‥‥開口窓 24‥‥閉鎖ガイド部
25‥‥延出部 27‥‥除電イオン風発生手段
29‥‥針状電極 31‥‥開口
33‥‥貫通孔 35‥‥レール部材
36‥‥レール溝 37‥‥装置本体
43‥‥帯電ロール 44‥‥外方側半円弧部
45‥‥軸受 47‥‥ギア
49‥‥ギアボックス 55‥‥軸受基台
59‥‥バネばかり 60‥‥軸
61‥‥ファラデーケージ
63‥‥下部 65‥‥上部
67‥‥内側壁 68‥‥固定具
69‥‥外側壁 70‥‥スペーサ
71‥‥投入口(外側壁) 73‥‥投入口(内側壁)
75‥‥絶縁材 77‥‥敷居スベリ
79‥‥スライドレール 81‥‥導電板
83‥‥固定具 85‥‥取手
87‥‥扉 89‥‥操作パネル
91‥‥突条部
S‥‥フィルムサンプル(二つ折り)
L、W‥‥フィルムサンプル(二つ折り)の長さ寸法、横幅寸法
C‥‥切り込み線
Claims (7)
- 箱本体と、除電イオン風を発生する手段と、箱本体内の上下方向に延びるがその下側は除電イオン風が直接フイルムサンプルに当たらない様に閉鎖されたガイド部を有し、そのガイド部の下側の先端部は除電イオン風がフイルムサンプルに直接当たらないよう閉鎖されておりフイルムサンプル落下先端が帯電ロールに接触した時には、落下後端は閉鎖ガイド部の閉鎖部分に位置するように調節された除電箱と、前記除電箱下側で前記除電箱から排出されたフイルムサンプルを一対の帯電ロールに挟んで下方に繰り出しながら帯電する帯電部と、繰り出され落下したフイルムサンプルを受止めるファラデーケージからなることを特徴とする帯電特性評価装置。
- 請求項1に記載した帯電特性評価装置において、ガイド部は除電箱を貫通し先尖状になって下方の一対の帯電ロールの間に延出していることを特徴とする帯電特性評価装置。
- 請求項1〜2のいずれかに記載した帯電特性評価装置において、除電箱の下面には一対の交換可能な帯電ロールのうち駆動ロールはギアをつけるようになっていることを特徴とする帯電特性評価装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載した帯電特性評価装置において、ファラデーケージの上部開口縁は絶縁材で覆われていることを特徴とする帯電特性評価装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載した帯電特性評価装置において、ファラデーケージの内面の一部には絶縁シートが貼り付けられていることを特徴とする帯電特性評価装置。
- 請求項5に記載した帯電特性評価装置において、絶縁シートとして敷居すべりが貼り付けられていることを特徴とする帯電特性評価装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載した帯電特性評価装置において、切り込み線とその両端により二つ折りされてなるフイルムサンプルを用いることを特徴とする帯電特性評価装置。
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