JP5592846B2 - トラクタ - Google Patents
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Description
作業装置を連結可能なPTO軸と、原動機によって駆動される入力軸から前記PTO軸への入力を入り切り操作するクラッチ装置とを備え、
前記PTO軸の外周に外嵌配置された回転子と、前記回転子と径方向で対向可能な固定子とからなる発電装置を備え、
前記クラッチ装置による切り操作に基づいて前記回転子と前記固定子とが互いに対向して相対回転する発電状態とし、前記クラッチ装置による入り操作に基づいて前記発電状態を解除する回生制御手段を備えている点にある。
また、回転子と固定子との間に発生する回転抵抗により作業装置の回転を少なくとも減衰させることができる。
前記操作機構は、前記クラッチ部材の前記係合位置から前記係合解除位置への切り換えに基づいて前記回転子と係合することで、前記回転子と前記PTO軸とを共回りさせる操作片を有する点にある。
また、クラッチ装置を切り操作された後で作業装置を制動するための機構として一般に従来のトラクタに備えられている摩擦板を回生制御手段として利用することができて有利である。
さらに、この構成でもやはり、クラッチ装置による入り操作に基づいてクラッチ部材と回転子との係合が解除され、発電状態すなわち回転子と固定子とが互いに対向して相対回転する状態が解除されるので、原動機の駆動力によって作業装置を駆動しているとき、原動機が互いに対向した回転子と固定子との間に生じる相対回転抵抗を余分に負担するといった問題が抑制される。
前記回生制御手段が、前記クラッチ部材の前記係合位置から前記係合解除位置への切り換えに基づいて前記回転子を前記固定子と対向した発電位置に配置し、前記クラッチ部材の前記係合解除位置から前記係合位置への切り換えに基づいて前記回転子を前記固定子から軸心方向に外れた非発電位置に変位させるように、前記クラッチ部材と前記回転子とを連結する支持部材を有する点にある。
尚、この構成でも、クラッチ部材を入り切り操作するべく一般にトラクタの運転席などに配置されたクラッチ操作用のレバーの入り切り操作に基づいて簡単に回生制御手段を発電状態と非発電状態との間で切り替えることが可能となる。
(トラクタの全体構成)
図1に、本発明に係るトラクタの一例として四輪駆動型の農用トラクタの全体側面が示されている。この農用トラクタは、エンジン1(原動機の一例)の後部に連結されたクラッチハウジング2と、ミッションケース3とが板金製のハウジングフレーム4を介して連結されて機体ボディが構成された構造となっている。エンジン1の下部から前方に延出された前フレーム5に操向用の前輪6を備えた前車軸ケース7がローリング自在に支持されるとともに、ミッションケース3の後部に後輪8が装着されている。
デフケース3dの上部に連結されたシリンダケース10によって油圧駆動されるリフトアーム9が、作業装置連結用の3点リンク機構11の昇降操作を行う。
デフケース3dの後面からリヤPTO軸12が後ろ向きに突設配備され、ミッドケース3mの下面に連結された動力取出しケース3cにはミッドPTO軸13が支承されている。
図2に示すように、前部ケース3fの内部には主ギヤ変速部15と前後進切換え部16とが組み込まれ、ミッドケース3mの内部に副ギヤ変速部17が組み込まれている。
主ギヤ変速部15は、入力軸18に入力されたエンジン動力を3段変速して中間軸19に伝達し、前後進切換え部16は、中間軸19の変速動力を正転あるいは逆転して出力軸20に伝達するよう構成されており、前部ケース3fの内部で前進3段、後進3段の主変速を行うことができる。
前部ケース3fの上部に貫通支承された入力軸18の後端と、前部ケース3fおよびミッドケース3mに亘って支承されたPTO系伝動軸25(PTO軸の一例)とが同心に突き合せ配備され、その突き合わせ部位に設けられた一方向クラッチ26およびPTOクラッチ27を介して、入力軸18とPTO系伝動軸25とが連動連結されている。PTO系伝動軸25の後端には中継伝動軸28が同心に連結され、この中継伝動軸28の後端部に設けた小径ギヤG20とリヤPTO軸12に設けた大径ギヤG21とが咬合され、走行系とは独立してリヤPTO軸12が定速駆動されるようになっている。
第2クラッチ部材34は、リンク機構(不図示)を介して、運転部横側に立設配備されたPTOクラッチレバー48と連動連結されており、PTOクラッチ27の入り切り操作は、このPTOクラッチレバー48を前後に揺動操作することで実現される。
図4に示すように、PTO回生制動装置36Aの後方にPTOモード選択機構40が配備されている。PTOモード選択機構40によって、伝動カラー33に伝達されたPTO動力をリヤPTO軸12にのみ伝達するリヤ伝動モードと、PTO動力をミッドPTO軸13にのみ伝達するミッド伝動モードと、PTO動力をリヤPTO軸12とミッドPTO軸13に伝達するデュアル伝動モードとの間での択一的な選択が可能となる。
PTO回生制動装置36Aは、PTO系伝動軸25(PTO軸の一例)の外周に相対回転自在に且つ軸心方向に移動自在に外嵌配置された環状の回転子56と、この回転子56と径方向で対向可能な環状の固定子57とからなる発電装置60、及び、PTOクラッチ27による切り操作に基づいて回転子56と固定子57とが互いに対向して相対回転する発電状態とし、PTOクラッチ27による入り操作に基づいて発電状態を解除する回生制御手段70とを備えている。
固定子57は、複数枚の電磁鋼板を互いに積層したものをミッドケース3mの内周面に固定しており、その外周には銅線を巻回したコイル57Aが取り付けられている。コイル57Aの両端部はトラクタに載置された充電制御部(不図示)などと電気的に接続されている。
図4に例示されるように、PTO作業モードの実現のために、第2クラッチ部材34が「クラッチ入り」操作のための前方位置(ON)にある状態では、PTOモード選択機構40がリヤ伝動モードまたはデュアル伝動モードであれば、伝動カラー33に伝達されたPTO動力がリヤPTO軸12に伝達されるため、リヤPTO軸12に連結された耕耘装置などの作業装置が駆動される。
次に、図5に例示されるように、第2クラッチ部材34が「クラッチ切り」操作のための第1後方位置(OFF1:回生位置、係合解除位置の一例)にスライド操作されると、回転子56は、第1、第2コイルバネ38A,38Bの付勢力によって第1摩擦板58Aと第2摩擦板58Bの間に挟着されるため、伝動カラー33及びPTO系伝動軸25と一体回転する発電モードとなる。したがって、作業装置とPTO系伝動軸25の慣性回転によって、回転子56が固定子57に対して強制的に相対回転させられ、作業装置とPTO系伝動軸25の慣性回転力が発電装置60による発電エネルギーの形で回収される。そして、作業装置とPTO系伝動軸25の回転は、回転子56と固定子57の間に発生する回転抵抗によって減衰される。
また、第1摩擦板58Aは、第2クラッチ部材34の前方位置(ON)から第1後方位置(OFF1)への切り換えに基づいて回転子56と係合することで、回転子56とPTO系伝動軸25とを共回りさせる操作片を構成している。
さらに、図6に例示されるように、第2クラッチ部材34が第1後方位置(OFF1)よりも更に後方の第2後方位置(OFF2)にスライド操作されると、回転子56が第1、第2コイルバネ38A,38Bの付勢力によって伝動カラー33及びPTO系伝動軸25と一体回転する状態は維持されたまま、回転子56の後端面がミッドケース3mの内面に固定された環状のPTO制動体35(固定摩擦部材の一例)に押付けられた制動モードとなる。すなわち、回転子56とPTO制動体35の間の摩擦によって、第2クラッチ部材34とPTO制動体35とが、それらの中間に位置する伝動カラー33と回転子56と第1及び第2摩擦板58A,58Bとを介して実質的に係合され、PTO系伝動軸25と作業装置の回転が積極的に制動される。
図7は、本発明の第2実施形態によるPTO回生制動装置36Bを示す。
ここでも、PTO回生制動装置36Bは、PTO系伝動軸25の外周に相対回転自在に且つ軸心方向に移動自在に外嵌配置された環状の回転子56と、この回転子56と径方向で対向可能な環状の固定子57とからなる発電装置60、及び、PTOクラッチ27による切り操作に基づいて回転子56と固定子57とが互いに対向して相対回転する発電状態とし、PTOクラッチ27による入り操作に基づいて発電状態を解除する回生制御手段71とを備えている。
また、第1実施形態に記された環状の第1摩擦板58A及び第1コイルバネ38Aは省略されているが、第1実施形態の第2コイルバネ38Bに相当する部材は残されており、第2摩擦板58Bの位置に単なる中間板59が配置されている。但し、回転子56と中間板59と第2コイルバネ38Bとストップ板33Aとは互いに固定されており、ストップ板33Aを含めた4部材の全てが伝動カラー33に対して相対回転自在に外嵌配置されている。
また、第2クラッチ部材34の係止部34Aは、第2クラッチ部材34の前方位置(ON)から第1後方位置(OFF1)への切り換えに基づいて回転子56と係合することで、回転子56とPTO系伝動軸25とを共回りさせる操作片を構成している。
また、第2実施形態は、PTOクラッチ27が、入力軸18とPTO系伝動軸25の双方と間接的に係合した係合位置と、PTO系伝動軸25にのみ係合した係合解除位置との間で切り換え操作可能な第2クラッチ部材34を備え、操作機構は、第2クラッチ部材34の係合位置から係合解除位置への切り換えに基づいて回転子56と係合することで、回転子56とPTO系伝動軸25とを共回りさせる操作片(第2クラッチ部材34の係止部34A)を有する点においても、第1実施形態と共通である。
図8は、本発明の第3実施形態によるPTO回生制動装置36Cを示す。ここでは、PTO回生制動装置36Cは、第2クラッチ部材34の後端から後方に延出された筒状の支持部材34Bを備え、発電装置60は、支持部材34Bの外周に固定された環状の回転子56とミッドケース3mの内面に支持された固定子57とで構成されている。
すなわち、図8(a)に示すように、PTO作業モードの実現のために、第2クラッチ部材34が前方位置(ON)にあるときは、支持部材34Bに支持された回転子56は固定子57から軸心方向に沿って前方に離間した状態となるので、発電装置60による発電は行われない。
18 入力軸
25 PTO系伝動軸(PTO軸)
27 PTOクラッチ(クラッチ装置)
31 伝動部材(入力軸)
34 第2クラッチ部材(クラッチ部材)
34A 係止部(操作片、操作機構)
34B 支持部材(操作片、操作機構)
35 PTO制動体(固定摩擦部材)
36A PTO回生制動装置(第1実施形態)
36B PTO回生制動装置(第2実施形態)
36C PTO回生制動装置(第3実施形態)
38A 第1コイルバネ(回生制御手段)
38B 第2コイルバネ(回生制御手段)
56 回転子
56A 被係止部
57 固定子
58A 第1摩擦板(摩擦板、操作機構)
58B 第2摩擦板
60 発電装置
70 回生制御手段(第1実施形態)
71 回生制御手段(第2実施形態)
72 回生制御手段(第3実施形態)
ON 前方位置(係止位置)
OFF1 第1後方位置(回生位置、係合解除位置)
OFF2 第2後方位置(回生位置、制動位置、係合解除位置)
Claims (7)
- 作業装置を連結可能なPTO軸と、原動機によって駆動される入力軸から前記PTO軸への入力を入り切り操作するクラッチ装置とを備え、
前記PTO軸の外周に外嵌配置された回転子と、前記回転子と径方向で対向可能な固定子とからなる発電装置を備え、
前記クラッチ装置による切り操作に基づいて前記回転子と前記固定子とが互いに対向して相対回転する発電状態とし、前記クラッチ装置による入り操作に基づいて前記発電状態を解除する回生制御手段を備えているトラクタ。 - 前記回生制御手段が、前記クラッチ装置に対する切り操作に基づいて前記回転子を前記PTO軸と共回り可能とし、前記クラッチ装置に対する入り操作に基づいて前記回転子を前記PTO軸と相対回転自在にする操作機構を備えている請求項1に記載のトラクタ。
- 前記クラッチ装置が、前記入力軸と前記PTO軸の双方と係合した係合位置と、前記PTO軸にのみ係合した係合解除位置との間で切り換え操作可能なクラッチ部材を備え、
前記操作機構は、前記クラッチ部材の前記係合位置から前記係合解除位置への切り換えに基づいて前記回転子と係合することで、前記回転子と前記PTO軸とを共回りさせる操作片を有する請求項2に記載のトラクタ。 - 前記操作片は、前記クラッチ部材の前記係合位置から前記係合解除位置への切り換えに基づいて、軸心方向で移動することで前記回転子の一方の端面と軸心方向で係合するように、前記PTO軸に対して外嵌配置された環状の摩擦板を有する請求項3に記載のトラクタ。
- 前記操作片は、前記クラッチ部材の前記係合位置から前記係合解除位置への切り換えに基づいて前記回転子と係合するように、前記クラッチ部材の一部から延出された係止部を有する請求項3に記載のトラクタ。
- 前記クラッチ装置が、前記入力軸と前記PTO軸の双方の外周と係合した係合位置と、前記PTO軸の外周とのみ係合した係合解除位置との間で切り換え操作されるクラッチ部材を備え、
前記回生制御手段が、前記クラッチ部材の前記係合位置から前記係合解除位置への切り換えに基づいて前記回転子を前記固定子と対向した発電位置に配置し、前記クラッチ部材の前記係合解除位置から前記係合位置への切り換えに基づいて前記回転子を前記固定子から軸心方向に外れた非発電位置に変位させるように、前記クラッチ部材と前記回転子とを連結する支持部材を有する請求項1に記載のトラクタ。 - 前記回転子の前記入力軸と離間した側の端面と対向する固定摩擦部材が設けられており、前記クラッチ部材の前記係合解除位置よりも更に前記入力軸から軸心方向に離間した制動位置への切り換えに基づいて、前記クラッチ部材と前記固定摩擦部材とが係合されるように構成されている請求項3から6のいずれか一項に記載のトラクタ。
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