以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
ここでは、本発明の接続構造の一例としてコネクタを説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るコネクタの第1コネクタ部と第2コネクタ部とを示す斜視図(非嵌合状態を示す斜視図)であり、図2は、第1コネクタ部と第2コネクタ部とを嵌合させたときのコネクタを示す斜視図(嵌合状態を示す斜視図)であり、図3は、その断面図である。
図1〜3に示すように、コネクタ1は、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とで構成され、これらコネクタ部2,3を嵌合させることで、複数の電源ラインを一括して接続するためのものである。
より具体的には、コネクタ1は、複数(3つ)の第1接続端子(オス端子)4a〜4cが整列されて収納される第1ターミナルハウジング5を有する第1コネクタ部2と、複数(3つ)の第2接続端子(メス端子)6a〜6cが整列されて収納される第2ターミナルハウジング7を有する第2コネクタ部3と、第1ターミナルハウジング5内に整列されて収納される複数の絶縁プレート8a〜8dとを備え、第1コネクタ部2の第1ターミナルハウジング5と第2コネクタ部3の第2ターミナルハウジング7とを嵌合させると、複数の第1接続端子4a〜4cのそれぞれと複数の第2接続端子6a〜6cのそれぞれとが対(第1接続端子4aと第2接続端子6a、第1接続端子4bと第2接続端子6b、第1接続端子4cと第2接続端子6cの各対)となるように対面すると共に、複数の絶縁プレート8a〜8dが対となる第1接続端子4a〜4c及び第2接続端子6a〜6cを挟むように配置される積層状態となるものである。即ち、本実施の形態に係るコネクタ1は、第1コネクタ部2の第1ターミナルハウジング5と第2コネクタ部3の第2ターミナルハウジング7とを嵌合させると、複数の第1接続端子4a〜4cと複数の第2接続端子6a〜6cと複数の絶縁プレート8a〜8dとが積層状態となるように配置されるコネクタである。
このコネクタ1は、例えば、車両駆動用のモータと該モータを駆動するインバータとの接続に用いられる。
より具体的には、第1コネクタ部2の第1ターミナルハウジング5(図1で言えば、左側の部分)がモータのシールドケースと嵌合すると共に第1ターミナルハウジング5から露出している第1接続端子4a〜4cの部分がモータのシールドケース内に設置される端子台の各端子に接続される。この第1コネクタ部2にインバータと電気的に接続されている第2コネクタ部3を嵌合させることで、モータとインバータとが電気的に接続されることになる。以上がモータ側の接続に関してだが、インバータ側の接続に関しても、同様である。
以下、両コネクタ部2,3のそれぞれの構成について詳述する。
図4に示すように、第1コネクタ部2は、内部に3つの第1接続端子4a〜4cを所定間隔で離間された状態で整列させて保持しており、3つの第1接続端子4a〜4cが整列されて収納する第1ターミナルハウジング5と、第1ターミナルハウジング5内に設けられ第1接続端子4a〜4cのそれぞれを絶縁する略直方体形状の複数の絶縁プレート8a〜8dと、頭部12bと頭部12bに接続される軸部12aとからなり、軸部12aを複数の第1接続端子4a〜4c及び複数の第2接続端子6a〜6cに係る各接点及び複数の絶縁プレート8a〜8dを貫通すると共に、頭部12bによって隣接する絶縁プレート8aを押圧することで、複数の第1接続端子4a〜4c及び複数の第2接続端子6a〜6cを各接点にて一括して固定し電気的に接続させる、少なくとも各接点を貫通する部分は非導電性の材料で形成された熱伝導性がある接続部材9とを備える。
なお、第1ターミナルハウジング5がターミナルハウジングとしてオス(オス側ターミナルハウジング)であってもメス(メス側ターミナルハウジング)であっても良い。ここでは一例として第1ターミナルハウジング5がオス側ターミナルハウジングである場合を説明する。
第1接続端子4a〜4cは、板状の端子であり、非導電性樹脂(例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PPA(ポリフタルアミド)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、エポキシ系樹脂)からなり、第1ターミナルハウジング5の一部である樹脂成形体10に所定間隔で離間されて整列保持される。樹脂成形体10に第1接続端子4a〜4cを保持させる方法としては、例えば、樹脂成形体10の成形時に第1接続端子4a〜4cをインサートしてから樹脂を硬化させて保持させる方法や、予め成形した樹脂成形体10に第1接続端子4a〜4cを圧入して保持させる方法がある。
第1接続端子4a〜4cのそれぞれには、異なる電圧及び/又は電流の電気が送電される。例えば、本実施の形態においては、モータ、インバータ間用の三相交流の電源ラインを想定しており、第1接続端子4a〜4cのそれぞれには、120°位相の異なる交流が送電される。第1接続端子4a〜4cのそれぞれは、コネクタ1での送電ロスを低減するなどの目的のために、導電率の高い銀、銅、アルミニウムなどの金属で構成されると良い。また、第1接続端子4a〜4cのそれぞれは、多少の可撓性を有する。
複数の絶縁プレート8a〜8dは、第1ターミナルハウジング5内に整列されて収納されると共に複数の第1接続端子4a〜4cの他面(第2接続端子6a〜6cと接合される面と反対側の面)のそれぞれに一体的に固定される複数の第1絶縁プレート8a〜8cと、第1ターミナルハウジング5の内面に一体的に固定されて設けられると共に複数の第1接続端子4a〜4cと複数の第2接続端子6a〜6cとが積層状態となったときに最外に位置する第2接続端子6cの他面(第1接続端子4cと接合される面と反対側の面)と対向するように設けられる第2絶縁プレート8dとからなる。
複数の絶縁プレート8a〜8dは、第1接続端子4a〜4cの先端側に突出するような位置に固定される。これら絶縁プレート8a〜8dのそれぞれは、第2接続端子6a〜6cが挿抜される側の角部のそれぞれが面取り加工されている。
また、図5に示すように、複数の第1絶縁プレート8a〜8cの第1接続端子4a〜4cに固定される面のそれぞれには、第1接続端子4a〜4cとの段差を補う突起部(肉盛り面)11が形成され、複数の第1絶縁プレート8a〜8cの下面(図示下側の面)が第1接続端子4a〜4cの下面(図示下側の面)と同一面となるようにされる。これらの構成により、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合する際、第1接続端子4a〜4cの先端部が挿入される第2接続端子6a〜6cの先端部と接触しないため、第2接続端子6a〜6cにおける挿入性が向上するという効果がある。なお、図5では、第1絶縁プレート8aの構造を簡略化し、第1絶縁プレート8a〜8cを同じように描いている。
[接続部材、第1ターミナルハウジング]
さて、本実施の形態に係る接続構造では、詳細は後述するが、各接点から発生する熱を、接続部材9、接続部材9に形成された中空部12fを介して、第1ターミナルハウジング5の外部に放熱する第1の放熱経路を形成する。
さらに、本実施の形態に係る接続構造では、上述の第1の放熱経路に加え、各接点から発生する熱を、接続部材9、第1ターミナルハウジング5を介して、第1ターミナルハウジング5の外部に放熱する第2の放熱経路を形成する。
つまり、本実施の形態では、接続部材9と第1ターミナルハウジング5は、各接点から発生する熱を第1ターミナルハウジング5の外部に放熱する放熱経路を構成するものである。2つの放熱経路については、後に詳述するが、それに先立ち接続部材9と第1ターミナルハウジング5について説明しておく。
まず、接続部材9について説明する。
図3および図4に示すように、接続部材9は、頭部12bと該頭部12bに接続され各接点を貫通する軸部12aとからなる本体部12と、非導電性の材料からなり、本体部12の軸部12aの先端部12cを除く部分の外周を覆う非導電層(非導電部)13とを有する。そして、本体部12(頭部12b及び軸部12a)は、後術するが、金属からなる。なお、接続部材9は、各接点からの熱を伝熱し易くために、各接点を構成する第1接続端子4a〜4c及び/又は第2接続端子6a〜6cと熱的に密接している方が望ましい。
この接続部材9は、上述のように、第1接続端子4a〜4c、第2接続端子6a〜6c、および絶縁プレート8a〜8dを積層方向に押圧することで、各接点にて一括して固定し電気的に接続させると共に、各接点から発生する熱を、積極的に、第1ターミナルハウジング5の外部に放熱する放熱経路(第1の放熱経路および第2の放熱経路)の一部を構成するものである。
本体部12は、例えば、SUS、鉄、銅合金などの金属からなる。本実施の形態では、本体部12として、金属製のボルト(六角穴付ボルト)を用いた。本体部12の頭部12bには、六角穴12e(凹部)が形成されており、その六角穴12eにスパナ等の工具を嵌合させることで、ボルト12を回転させることができる。なお、図1,2では、図の簡略化のため、六角穴12eを省略している。軸部12aの先端部12cには、雄ネジ18が形成される。
接続部材9には、各接点を貫通すると共に第1ターミナルハウジング5の外部と連通する中空部12fが形成される。この中空部12fは、各接点から接続部材9に伝わった熱を、第1ターミナルハウジング5の外部に直接放熱するためのものである。
本実施の形態では、六角穴12eの底壁から軸部12aの先端部12c近傍まで、頭部12bと軸部12aを積層方向に貫通するように、中空部12fを形成した。中空部12fは、六角穴12eと連通するように形成されており、その頭部12b側にて、六角穴12e、後述する第2ターミナルハウジング7の接続部材操作用孔40を介して、第1ターミナルハウジング5の外部に開口するようにされている。なお、ここでは中空部12fと六角穴12eとを別個に形成しているが、六角穴12eを省略すると共に中空部12fを断面視で六角形状に形成することで、中空部12fに六角穴12eの役割を兼ねさせることも可能である。
軸部12aの外周に形成される非導電層13は、非導電性でかつ熱伝導性の材料で形成される。本実施の形態では、非導電層13に用いる非導電性でかつ熱伝導性の材料として、非導電性樹脂(例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PPA(ポリフタルアミド)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、エポキシ系樹脂など)にセラミック(例えば、アルミナ、窒化アルミニウムなど)のフィラーを混合したものを用いた。
非導電層13に用いる材料はこれに限らず、フィラーを混合せずに非導電性樹脂のみを用いてもよいし、セラミックのみを用いてもよい。しかし、非導電性樹脂のみの場合は非導電層13の熱伝導性が十分とならない可能性があり、また、セラミックのみの場合はコストが高くなるので、非導電層13に用いる材料は非導電性樹脂にセラミックのフィラーを混合したものを用いることが望ましい。さらに、非導電層13に用いる非導電性樹脂としては、クリープを防止すべく本体部12を構成する金属と線膨張係数の近いものを用いることが好ましい。
なお、接続部材9としては、その全てを非導電性でかつ熱伝導性の材料で形成したものを用いることも可能である。しかし、非導電性でかつ熱伝導性の材料は、金属と比較して強度、熱伝導性が共に低いので、強度や熱伝導性の観点から、接続部材9としては、金属製の本体部12の軸部12aの外周を非導電層13で覆ったものを用いるのが好適である。つまり、接続部材9を、金属製の本体部12とその軸部12aの外周を覆う非導電層13で構成することにより、接続部材9全体を非導電性でかつ熱伝導性の樹脂で形成する場合に比べ、強度と熱伝導性を共に高めることができる。
接続部材9の本体部12の頭部12b(以下、簡略化のため、接続部材9の頭部12bという)には、高温になった接続部材9に指などが接触してしまうことを防ぐための断熱キャップ12dが設けられる。断熱キャップ12dは、非熱伝導性の樹脂で形成される。断熱キャップ12dの六角穴12eが形成された位置には、六角穴12eと連通する穴12gが形成されており、その穴12gを介して、中空部12fが第1ターミナルハウジング5の外部に開口するようにされている。
接続部材9の頭部12bの外周には、第1ターミナルハウジング5内に水が浸入するのを防止するパッキン14が設けられる。また、接続部材9の頭部12bの下面とその直下の第1絶縁プレート8aの上面との間には、第1絶縁プレート8aに所定の押圧力を付与する弾性部材15が設けられる。弾性部材15は、例えば、金属(例えば、SUSなど)からなるバネで構成される。なお、本実施の形態において、弾性部材15は、接続部材9の一部という位置付けである。即ち、接続部材9には、頭部12bと隣接する絶縁プレートである第1絶縁プレート8aとの間に配置され、複数の第1絶縁プレート8a〜8cを積層方向(図3で言えば、上から下の方向)に順次押圧する金属製の弾性部材15を含んでいる。
弾性部材15の下部が当接する第1絶縁プレート8aの上面、即ち、頭部12bと隣接する第1絶縁プレート8aにおける弾性部材15と接する面側には、弾性部材15の下部を収納する凹部16が形成され、凹部16の底部(即ち、弾性部材15の下部が当接する座の部分)には、弾性部材15を受けて非導電性樹脂からなる第1絶縁プレート8aの損傷を防止する金属(例えば、SUSなど)製の受け部材17が設けられる。
この接続部材9は、第1絶縁プレート8a〜8cが固定される第1接続端子4a〜4cの面側(図3で言えば、上面側)から第1ターミナルハウジング5内に挿入され、軸部12aの先端部12cに形成された雄ネジ18を第1ターミナルハウジング5の内周面に形成された雌ネジ(ネジ穴)19に螺合させることで、接続部材9の頭部12bから軸部12aの先端部に向けて(図3で言えば、上方から下方に向けて)押圧し、複数の第1接続端子4a〜4c及び複数の第2接続端子6a〜6cを各接点にて一括して固定し電気的に接続させている。
次に、第1ターミナルハウジング5について説明する。
第1ターミナルハウジング5は、横断面が略矩形状の中空の筒状体20からなる。第1ターミナルハウジング5は、第2ターミナルハウジング7と嵌合して各接点を保護すると共に、各接点から発生する熱を、積極的に、第1ターミナルハウジング5の外部に放熱する放熱経路(第2の放熱経路)の一部を構成するものである。
第2ターミナルハウジング7と嵌合される筒状体20の一端側(図示右側)の外周部は、第2コネクタ部3との嵌合性を考慮してテーパ形状に形成されている。また、筒状体20の一端側の外周部には、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3との間をシールするターミナルハウジング防水構造21が設けられる。ターミナルハウジング防水構造21は、筒状体20の開口側の外周部に形成された凹部22と、凹部22に設けられたOリングなどのパッキン23とからなる。
筒状体20内の他端側(図示左側)には、第1接続端子4a〜4cのそれぞれが整列保持された樹脂成形体10が収納される。筒状体20の他端側の外周には、第1コネクタ部2(第1ターミナルハウジング5)を外部の機器(例えば、モータのシールドケース)などの筐体に固定するためのフランジ24(取付孔は省略)が一体に形成される。第1ターミナルハウジング5は、フランジ24を介して機器などの筐体と熱的に密接するようにされ、第1ターミナルハウジング5からの熱を機器側に放熱できるようにされている。フランジ24の縁周部25には、機器などの筐体と第1コネクタ部2との間をシールするパッキンなどを設けるようにしても良い。
筒状体20の上部(図示上側)には、接続部材9を挿入するための接続部材挿入孔26が形成される。接続部材挿入孔26は筒状に形成されており、その筒状の下端部(図示下側)が内側に折り曲げられている。この折り曲げられた部分に接続部材9の頭部12b下面の縁周部が当接することで、接続部材9のストロークを規制するようになっている。
つまり、図3に示すように、接続部材9の頭部12bは、その下面、即ち、第1絶縁プレート8aと対向する面の縁周部にて第1ターミナルハウジング5に接触し、熱的に密接するようにされる。上述のように、接続部材9の本体部12の軸部12a(以下、簡略化のため、接続部材9の軸部12aという)は、その先端部12cに形成された雄ネジ18が第1ターミナルハウジング5に形成された雌ネジ19に螺合され、熱的に密接するようにされているので、接続部材9は、その頭部12b、および軸部12aの先端部12cの両者で第1ターミナルハウジング5と熱的に密接することになる。
第1ターミナルハウジング5(筒状体20)は、シールド性能、放熱性の向上、及びコネクタ1の軽量化のために、導電率、熱伝導率が高く軽量なアルミニウムなどの金属で形成されることが好ましいが、これに限らず、熱伝導性の樹脂などにより形成するようにしても良い。なお、本実施の形態においては、筒状体20をアルミニウムで形成した。この様に、筒状体20をアルミニウムで形成することにより、接続部材9をネジ穴19に螺合させる際、筒状体20を絶縁性樹脂で形成する場合と比べ、強固に締め付けることができるという効果がある。
[第2コネクタ部]
図6に示すように、第2コネクタ部3は、内部に複数(3つ)の第2接続端子(メス端子)6a〜6cが整列されて収納される第2ターミナルハウジング7を有する。なお、ここではメス端子を有する側のコネクタ部を第2コネクタ部3と称している。つまり、第2ターミナルハウジング7がターミナルハウジングとしてオス(オス側ターミナルハウジング)であってもメス(メス側ターミナルハウジング)であっても良い。ここでは、オス側ターミナルハウジングである第1ターミナルハウジング5に対応して第2ターミナルハウジング7がメス側ターミナルハウジングである場合を説明する。
第2接続端子6a〜6cの一端側のそれぞれには、インバータ側からのびたケーブル27a〜27cに接続されている。これらケーブル27a〜27cのそれぞれは、第1接続端子4a〜4cのそれぞれに第2接続端子6a〜6cを介して電気的に接続されるため、第1接続端子4a〜4cのそれぞれに対応する電圧及び/又は電流の電気がそれぞれ送電される。ケーブル27a〜27cは、導体28の外周に絶縁層29を形成してなる。本実施の形態においては、断面積が20mm2の導体28を用いた。
ケーブル27a〜27cのそれぞれは、多連筒状(複数の筒が連なっている状態のこと)のケーブル保持部材30によって所定間隔で離間されて整列保持される。このケーブル保持部材30によって第2接続端子6a〜6cのそれぞれは、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させたときに、第2接続端子6a〜6cのそれぞれと対となるように対面する(即ち、接続対象の)第1接続端子4a〜4cのそれぞれの下方に位置するように位置決めして保持される。
ケーブル保持部材30は、第2接続端子6a〜6cのそれぞれを互いに絶縁して短絡を防止すべく、非導電性の樹脂などからなる。このケーブル保持部材30により、第2接続端子6a〜6cのそれぞれに接続されたケーブル27a〜27cのそれぞれが可撓性に優れたケーブルであっても、第2接続端子6a〜6cのそれぞれを所定の位置に保持することができる。つまり、本実施の形態では、ケーブル27a〜27cとして可撓性に優れたケーブルを用いることができるので、ケーブル27a〜27cを敷設する際の配線自由度を向上できる。
なお、ケーブル保持部材30は、ケーブル27a〜27cを保持することで、より詳しくは、第2接続端子6a〜6cに近い位置であってケーブル27a〜27cの端部側を保持することで、第2接続端子6a〜6cを所定の位置に保持するべく、第2接続端子6a〜6cの位置決めを行っているが、ケーブル27a〜27cを保持すると共に第2接続端子6a〜6cも直接保持して、第2接続端子6a〜6cの位置決めを行っても良い。また、ケーブル保持部材30に変えて、ケーブル27a〜27cを保持しないで、第2接続端子6a〜6cを直接保持する接続端子保持部材であっても良い。
ケーブル保持部材30に関し、第2接続端子6a〜6cを直接保持しないで、ケーブル27a〜27cを保持することで、第2接続端子6a〜6cの位置決めを行っている場合、即ち、本実施の形態のような場合、ケーブル27a〜27cを可撓性があるものにすることにより、第2接続端子6a〜6cの先端側が第2ターミナルハウジング7に対して柔軟性を持たせることができるようになる。このように構成することにより、第1コネクタ部2において、接続部材9の押圧により、第1接続端子4a〜4cが変形し、たとえ、第2接続端子が挿入する部分が変わっても、柔軟に対応することができる。
また、第2ターミナルハウジング7から引き出されたケーブル27a〜27cの部分には、シールド性能の向上を目的とした編組シールド31が巻き付けられている。この編組シールド31は、後述する筒状シールド体41と接触され、筒状シールド体41を介して第1ターミナルハウジング5に電気的に接続されている(同電位(GND)とされている)。なお、図1,2では、図の簡略化のため編組シールド31を図示していない。
第2接続端子6a〜6cのそれぞれは、図7,8に示すように、ケーブル27a〜27cの先端部から露出された導体28をかしめるためのかしめ部32と、かしめ部32と一体に形成されたU字状接点33とを有する。U字状接点33の先端部には、挿入性を向上させるべくテーパ部34が形成される。第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させると、U字状接点33が接続部材9の軸部12aを挟み込むように挿入される。
本実施の形態においては、コネクタ1の小型化のためにケーブル27a〜27cのそれぞれができるだけ隙間無く整列保持される構成としている。そのため、図8に示すように、整列時に中央に配置されるケーブル27bに接続される第2接続端子6bの胴部35を折り曲げることにより、第2接続端子6a〜6cを同じ間隔で離間させて配置するようにした。
第2接続端子6a〜6cのそれぞれは、コネクタ1での送電ロスを低減するなどの目的のために、導電率の高い銀、銅、アルミニウムなどの金属で構成されると良い。また、第2接続端子6a〜6cのそれぞれは、多少の可撓性を有する。
再び図6を参照し、第2ターミナルハウジング7は、横断面が略矩形状の中空の筒状体36からなる。第2ターミナルハウジング7内に第1ターミナルハウジング5が嵌合されるため、第1ターミナルハウジング5と嵌合される筒状体36の一端側(図示左側)の内周部は、第1ターミナルハウジング5との嵌合性を考慮してテーパ形状に形成されている。
なお、逆に第1ターミナルハウジング5内に第2ターミナルハウジング7が嵌合される構成としても構わない。この場合は、第1ターミナルハウジング5を構成する筒状体20の一端側の内周部をテーパ形状に形成し、第2ターミナルハウジング7を構成する筒状体36の一端側の外周部をテーパ形状に形成し、ターミナルハウジング防水構造21を筒状体36の一端側の外周部に形成すると良い。
筒状体36の他端側(図示右側)には、ケーブル27a〜27cのそれぞれを整列保持するケーブル保持部材30が収納される。ケーブル保持部材30のケーブル挿入側にはパッキンレス気密部37が形成され、ケーブル27a〜27cを伝って第2ターミナルハウジング7内に水が浸入するのを防止するようになっている。ケーブル保持部材30の外周部には、第1ターミナルハウジング5の内周面に当接するパッキン38が設けられる。つまり、コネクタ1は、ターミナルハウジング防水構造21のパッキン23とケーブル保持部材30の外周部に設けられたパッキン38による二重防水構造となっている。
さらに、ケーブル27a〜27cが引き出される筒状体36の他端側の外周には、筒状体36内への水の浸入を防止するゴムブーツ39が被せられている。なお、図1,2では、簡略化のためゴムブーツ39を図示していない。
また、筒状体36の上部(図示上側)には、第2コネクタ部3と第1コネクタ部2とを嵌合させたときに、第1コネクタ部2に設けられる接続部材9を操作するための接続部材操作用孔40が形成される。この接続部材操作用孔40は、第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7との嵌合後に、接続部材9を第1ターミナルハウジング5に対して挿抜可能とするための貫通孔としての役割も兼ねる。この貫通孔としての役割により、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とが嵌合状態でも、接続部材9を接続部材操作用孔40から抜き出せるため、例えば、接続部材9の頭部12bの外周に設けられているパッキン14が経時変化により腐食し交換を余儀なくされても、第2コネクタ部3を第1コネクタ部2から取り外さなくても、接続部材9を抜き取り、修理又は交換を行うことができるため、メンテナンスに対する利便性が良いという効果がある。
筒状体36は、シールド性能、放熱性、及びコネクタ1の軽量化のために、導電率、熱伝導率が高く軽量なアルミニウムなどの金属で形成されることが好ましいが、樹脂などにより形成するようにしても良い。本実施の形態においては、筒状体36を非導電性樹脂により形成したため、そのシールド性能、放熱性を向上させるために筒状体36の他端側の内周面にアルミニウム製の筒状シールド体41を設けている。
筒状シールド体41は、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させたときにアルミニウム製の第1ターミナルハウジング5の外周に接触する接触部42を有し、この接触部42を介して第1ターミナルハウジング5と熱的及び電気的に接続される。これにより、シールド性能と放熱性を向上させている。
[第1コネクタ部と第2コネクタ部との嵌合]
図9に示す非嵌合状態から第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とが嵌合する図3に示す嵌合状態にすると、第2接続端子6a〜6cのそれぞれが対となる第1接続端子4a〜4cのそれぞれと絶縁プレート8a〜8dとの間に挿入される。
そして、該挿入により、複数の第1接続端子4a〜4cの一面のそれぞれと複数の第2接続端子6a〜6cの一面のそれぞれとが対となるように対面すると共に、第1接続端子4a〜4c、第2接続端子6a〜6c、及び絶縁プレート8a〜8dとが交互に配置される、即ち、絶縁プレート8a〜8dが対となる第1接続端子4a〜4c及び第2接続端子6a〜6cを挟むように配置される積層状態となる。
このとき、第1コネクタ部2の内部において、絶縁プレート8a〜8cのそれぞれが、所定間隔で離間させた状態で整列させて保持されている第1接続端子4a〜4cの先端側に固定されているため、各絶縁プレート8a〜8cの間隔を保持するための保持用治具(特許文献2参照)を別途設けなくても、各絶縁プレート8a〜8cの間隔を保持することができるようになる。これにより、第2接続端子6a〜6cのそれぞれを、対となる第1接続端子4a〜4cのそれぞれと絶縁プレート8a〜8dとの間に容易に挿入することができる。即ち、第2接続端子6a〜6cの挿抜性を低下させることがない。また、絶縁プレート8a〜8cの間隔を保持するための保持用治具を設けなくてもよい分、従来に比べて更なる小型化を実現できる点において、非常に有効である。
また、第1接続端子4a(又は4b)と第2接続端子6a(又は6b)に係る接点が、接点を構成する第1接続端子4a(又は4b)に固定された第1絶縁プレート8a(又は8b)と他の接点を構成する第1接続端子4b(又は4c)に固定された第1絶縁プレート8b(又は8c)とにより挟み込まれる。同様に、第1接続端子4cと第2接続端子6cに係る接点が、接点を構成する第1接続端子4cに固定された第1絶縁プレート8cと第1ターミナルハウジング5の内面に固定された第2絶縁プレート8dとにより挟み込まれる。
その後、図3に示すように、接続部材操作用孔40から接続部材9を操作して、接続部材9のネジ部18を第1ターミナルハウジング5のネジ穴19に螺合させて締め付けると、接続部材9がネジ穴19の底部に回転しながら押し込まれると共に、弾性部材15によって第1絶縁プレート8a、第1絶縁プレート8b、第1絶縁プレート8c、第2絶縁プレート8dの順に押圧されていき、接点のそれぞれが絶縁プレート8a〜8dのいずれか2つによって挟み込むように押圧され、接点のそれぞれが互いに絶縁された状態で接触される。このとき、第1接続端子4a〜4cのそれぞれと第2接続端子6a〜6cのそれぞれは、絶縁プレート8a〜8dからの押圧によって多少撓み広範囲で接触されることとなる。
これにより、車両などの振動を発生させる環境においても、接点のそれぞれが強固に接触して固定される。つまり、複数の対と複数の絶縁プレート8a〜8dとを接続部材9によって押圧すると、複数の第1接続端子4a〜4cと複数の第2接続端子6a〜6cと複数の絶縁プレート8a〜8dのそれぞれが互いに微摺動に対する相対的移動を抑制するように強固に接触固定される。
[放熱経路]
次に、本実施の形態に係る接続構造の放熱経路について説明する。
上述のように、大容量の電力を伝達する際に用いられる電力ハーネスに用いられるコネクタ1では、伝達する電力が大容量ゆえに、接点において発生した熱をいかに放熱するかが重要な課題となる。
本実施の形態に係る接続構造では、第1の放熱経路と第2の放熱経路の2つの放熱経路を形成する。
図10に示すように、第1の放熱経路では、各接点で発生した熱は、まず、各接点と接触する接続部材9の非導電層13を介して本体部12の軸部12aに伝わる。このとき、非導電層13を非導電性でかつ熱伝導性の樹脂で形成しているため、各接点で発生した熱はスムーズに金属からなる本体部12の軸部12aに伝熱される。
各接点から本体部12の軸部12aに伝わった熱は、その一部が中空部12f内の空気に伝熱する。各接点からの熱が中空部12f内の空気に伝わると、中空部12f内の空気が膨張して流動し、六角穴12e、第2ターミナルハウジング7の接続部材操作用孔40を介して、温度の低い第1ターミナルハウジング5の外部に移動する。つまり、各接点からの熱により加熱された空気が第1ターミナルハウジング5の外部に放出され、その結果、各接点からの熱が第1ターミナルハウジング5の外部に放熱される。
図11に示すように、第2の放熱経路では、各接点から軸部12aに伝わった熱の一部(中空部12fを経て放熱されなかった熱)を、第1ターミナルハウジング5を介して、第1ターミナルハウジング5の外部に放熱する。
本体部12は、その頭部12bと軸部12aの先端部12cの両者にて第1ターミナルハウジング5と熱的に密接しているため、各接点から軸部12aに伝わった熱は、軸部12aを軸方向に伝わり、頭部12bあるいは軸部12aの先端部12cを介して、第1ターミナルハウジング5に伝熱される。
第1ターミナルハウジング5に伝わった熱は、フランジ24を介して機器側に放熱されるか、あるいは、第1ターミナルハウジング5の表面から直接外部(第1ターミナルハウジング5の周囲の大気中)に放熱される。一般に、コネクタ1が接続される機器は熱容量が大きく設計されているため、第1ターミナルハウジング5を機器などの筐体に熱的に密接させることで、各接点から第1ターミナルハウジング5に伝わった熱を機器側に誘導して、第1ターミナルハウジング5の外部に効率よく放熱することが可能となる。なお、フランジ24を形成することにより、第1ターミナルハウジング5の表面積が大きくなり、第1ターミナルハウジング5の表面からの放熱量が増加するため、放熱性をより向上できる。
なお、本実施の形態では、第1の放熱経路と第2の放熱経路の2つの放熱経路を形成する場合を説明したが、2つの放熱経路を必ず形成しなければならないという趣旨ではない。例えば、コネクタ1を機器などの筐体に接続せず、各接点で発生する熱の大部分が第1の放熱経路にて放熱される場合などは、第2の放熱経路を省略することも可能である。ただし、放熱性の観点からは、第1の放熱経路と第2の放熱経路の両者を形成することが望ましい。
[本実施の形態の作用]
以上説明したように、本実施の形態に係る接続構造では、接続部材9に、各接点を貫通すると共に第1ターミナルハウジング5の外部に開口する中空部12fを形成し、各接点から発生する熱を、接続部材9、中空部12fを介して、第1ターミナルハウジング5の外部に放熱するようにしている。
隣接する絶縁プレート8aを押圧することで、複数の第1接続端子4a〜4c及び複数の第2接続端子6a〜6cを各接点にて一括して固定し電気的に接続させる接続部材9に、各接点から発生する熱を第1ターミナルハウジング5の外部に放熱する放熱経路を兼ねさせることにより、部品点数を増加させることなく、効果的な放熱経路を構築することができる。
また、本実施の形態によれば、各接点から接続部材9に伝わった熱を、接続部材9に形成した中空部12fを介して、直接第1ターミナルハウジング5の外部に放熱できるため、放熱性をより向上させることが可能となる。
さらに、本実施の形態に係る接続構造によれば、中空部12fに各接点を冷却するための冷却手段を設けることも可能となる。冷却手段としては、例えば、冷却用の空気(例えば、車外から取り込んだ外気)を中空部12f内に吹き付けるものや、あるいは中空部12fに冷却水を供給する冷却パイプなどが考えられる。
一般に、大容量の電力を伝達するコネクタなどに用いられる接続構造では、各接点での発熱を考慮して、第1接続端子や第2接続端子の断面積を設定している。これは、第1接続端子や第2接続端子の断面積は、小型化の観点からはできるだけ小さい方が好ましいが、第1接続端子や第2接続端子の断面積を小さくし過ぎると、抵抗が増加して伝送損失が増加し、各接点での発熱が非常に大きくなってしまうためである。つまり、各接点での発熱を抑制するためには、第1接続端子や第2接続端子の断面積をある程度大きくしなければならず、小型化を阻害する要因となっていた。
本実施の形態によれば、中空部12fに冷却手段を設けることができ、この冷却手段を用いて各接点を積極的に冷却することができるため、各接点での発熱をある程度許容できるようになり、第1接続端子と第2接続端子の断面積を小さくしてより小型な接続構造を実現することが可能となる。
また、本実施の形態では、各接点から発生する熱を、さらに、接続部材9、第1ターミナルハウジング5を介して、第1ターミナルハウジング5の外部に放熱する第2の放熱経路を形成しているため、中空部12fを経る第1の放熱経路と、第1ターミナルハウジング5を経る第2の放熱経路の2経路で放熱可能となり、より効果的な放熱経路を構築することができる。
また、本実施の形態では、非導電層13を非導電性でかつ熱伝導性の材料で形成しているため、各接点間の絶縁を保ちつつ、各接点で発生した熱を金属製の本体部12にスムーズに伝熱することが可能となり、放熱性をより向上できる。
さらに、本実施の形態では、接続部材9の頭部12bに断熱キャップ12dを設けているため、高温になった接続部材9に指などが接触してしまうことを防止でき、安全性を向上できる。
また、本実施の形態では、接点のそれぞれを絶縁プレート8a〜8dのいずれか2つによって挟み込んで押圧することにより、第1接続端子4a〜4cのそれぞれと第2接続端子6a〜6cのそれぞれとを接点のそれぞれにて一括して固定し電気的に接続することができるため、接点のそれぞれの結合力を安定させることができる。これにより、振動が発生し易い自動車に対して、特に有効なコネクタを実現することができる。
なお、本実施の形態では、第1ターミナルハウジング5にフランジ24を形成する場合を説明したが、これに限らず、フランジ24は第2コネクタ部3に設けられていても良いし、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3の両方に設けられていても良い。また、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3のどちらも機器などの筐体に固定されないフリーの状態としても良い。
例えば、第2ターミナルハウジング7にフランジを形成した場合、第2ターミナルハウジング7を熱伝導性の樹脂、あるいは金属で形成すると共に、第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7とを熱的に密接するようにすればよい。これにより、第2の放熱経路では、各接点で発生した熱は、接続部材9、第1ターミナルハウジング5、第2ターミナルハウジング7を介して機器側に放熱されるようになる。第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7とを熱的に密接させる構造は特に限定されるものではないが、例えば、図3に示したコネクタ1のように、筒状シールド体41の接触部42を介して、第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7とを熱的に密接させればよい。
また、本実施の形態では、接続部材9の頭部12b、および軸部12aの先端部12cの両者を第1ターミナルハウジング5に熱的に密接するようにしたが、これに限らず、いずれか一方のみを第1ターミナルハウジング5に熱的に密接するようにしてもよい。
さらに、本実施の形態では、接続部材9を第1ターミナルハウジング5に熱的に密接させる場合を説明したが、接続部材9を、第1ターミナルハウジング5を介さず、直接第2ターミナルハウジング5に熱的に密接させるようにしてもよい。この構造は、第2ターミナルハウジング5にフランジを形成する場合(第2ターミナルハウジング5を機器などの筐体に熱的に密接させる場合)に特に有効である。
また、接続部材9を第2ターミナルハウジング5に熱的に密接させる構造は特に限定されるものではないが、例えば、第1ターミナルハウジング5に雌ネジ19ではなく貫通穴を形成し、雄ネジ18が螺合する雌ネジを第2ターミナルハウジング7に形成するようにし、雄ネジ18を第2ターミナルハウジング7の雌ネジに螺合することで、接続部材9を第2ターミナルハウジング5に熱的に密接させればよい。また、第1ターミナルハウジング5側及び第2ターミナルハウジング7側の両方に亘ってネジ穴を形成することも可能である。
また、本実施の形態に係る接続構造の図11に示す放熱経路は、接続部材9の頭部12bを介する経路と、接続部材9の軸部12aの先端部を介する経路の2経路がある場合を説明したが、どちらか一方の経路だけでも良い。
また、本実施の形態に係る接続構造の放熱経路では、接続部材9が各接点を貫通していることにより、一番、熱が上がり易い部分である接点から直接的に熱を放熱させることができるため、放熱効果は絶大である。さらに、接続部材9という1つの部材で、複数の接点から熱を放熱させることができるため、各接点に対して1つずつ放熱経路を構築する場合と比べて、部品点数の削減という点においても、有効である。
[他の実施の形態]
本発明の他の実施の形態を説明する。
図12に示すコネクタ120は、基本的に図1のコネクタ1と同じ構造であるが、中空部12fを、頭部12b側ではなく、軸部12aの先端部12c側で第1ターミナルハウジング5の外部と連通するようにした点が異なる。
より具体的には、コネクタ120では、中空部12fは、軸部12aの先端(図12では下側)から六角穴12eの近傍まで、頭部12bと軸部12aを積層方向に貫通するように形成される。中空部12fからコネクタ1の周囲の大気中に放熱しやすいように、第1ターミナルハウジング5および第2ターミナルハウジング7には、中空部12fを延長するような形で穴121,122がそれぞれ形成される。第1ターミナルハウジング5に形成される穴121は、雌ネジ19の底部を貫通するように形成される。
また、コネクタ120では、穴121,122から第1ターミナルハウジング5内に水が浸入するのを防止するため、軸部12aの先端部12cの外周にパッキン123が設けられる。
コネクタ120では、各接点から接続部材9に伝わった熱は、その一部が中空部12f内の空気に伝熱し、中空部12f内の空気が膨張して流動し、穴121,122を介して、温度の低い第1ターミナルハウジング5の外部に放熱される。
図13に示すコネクタ130は、図12のコネクタ120において、中空部12fを、さらに頭部12b側でも第1ターミナルハウジング5の外部に開口するようにしたものである。
つまり、コネクタ130では、中空部12fは、接続部材9を積層方向に貫通するように形成され、接続部材9の積層方向の両端部にて第1ターミナルハウジング5の外部に開口するようにされている。
コネクタ130によれば、中空部12fが接続部材9を貫通しているため、中空部12f内を空気が移動しやすくなり、より放熱性を向上できる。さらに、コネクタ130によれば、中空部12fに、例えば、中空部12f内に外気を導入したり、冷却水を流したりする冷却手段を容易に設けることが可能となり、各接点を積極的に冷却しやすくなる。
図14に示すコネクタ140は、図1のコネクタ1において、さらに、第3の放熱経路を形成したものである。
具体的には、コネクタ140では、絶縁プレート8a〜8dを、非導電性でかつ熱伝導性の材料で形成すると共に、絶縁プレート8a〜8dのうち少なくとも1つを第1ターミナルハウジング5に熱的に密接させることで、各接点から発生する熱を、絶縁プレート8a〜8d、第1ターミナルハウジング5を介して、第1ターミナルハウジング5の外部に放熱する第3の放熱経路を形成している。
絶縁プレート8a〜8dに用いる非導電性でかつ熱伝導性の材料としては、非導電性樹脂(例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PPA(ポリフタルアミド)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、エポキシ系樹脂など)にセラミック(例えば、アルミナ、窒化アルミニウムなど)のフィラーを混合したものを用いるとよい。
コネクタ140では、絶縁プレート8a〜8dのうち、積層状態における積層方向の両端に配置された第1絶縁プレート8aと第2絶縁プレート8dを、第1ターミナルハウジング5に熱的に密接させている。第1絶縁プレート8aは、弾性部材15、接続部材9の頭部12bを介して第1ターミナルハウジング5と熱的に密接するようにされる。また、第2絶縁プレート8dは、第1ターミナルハウジング5に形成された雌ネジ19の周縁に当接し、第1ターミナルハウジング5と熱的に密接するようにされる。
コネクタ140によれば、上述の第1の放熱経路、第2の放熱経路に加えて、各接点から発生する熱を、絶縁プレート8a〜8d、第1ターミナルハウジング5を介して、第1ターミナルハウジング5の外部に放熱する第3の放熱経路を形成しており、合計3経路で放熱可能となるので、より効果的な放熱経路を構築することができる。
なお、コネクタ140では、第1の放熱経路、第2の放熱経路、第3の放熱経路の合計3経路で放熱可能としたが、第2の放熱経路を省略し、第1の放熱経路と第3の放熱経路の2経路のみとすることも当然可能である。つまり、図1のコネクタ1において、第2の放熱経路に代えて、第3の放熱経路を用いるようにしてもよい。
また、第2の放熱経路(図11参照)と第3の放熱経路(図14参照)の両方を構築する場合、接続部材9と第1絶縁プレート8a〜8cとを密着させると、接続部材9と第1絶縁プレート8a〜8cとの間でも熱の伝熱が可能となるため、さらに、効果的な放熱経路を構築することが可能となる。
また、接続部材9だけでなく、弾性部材15も熱伝導性がある場合では、絶縁プレート、弾性部材15、第1ターミナルハウジング5の順で、各接点で発生した熱を伝熱する放熱経路も構築することができる。
なお、図14では、断熱キャップ12dが設けられているが、図11で示す第2の放熱経路と比較して、接続部材9の温度が上がらないため、断熱キャップ12dを設けないという選択肢を取ることも可能である。
[変形例]
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、中空部12fの内壁面の加工について言及しなかったが、中空部12fの内壁面を雌ネジとなるように形成して、中空部12fの内壁面の表面積を大きくし、中空部12fからの放熱性をより向上させるようにしてもよい。なお、中空部12fの内壁面の表面積を大きくする構造はこれに限られず、例えば、中空部12fの内壁面に積層方向(軸方向)に沿って突起(フィン)や溝を形成するなど、任意の構造を採用することができる。
また、上記実施の形態においては、三相交流の電源ラインを想定していたが、本発明の技術思想によれば、例えば、自動車用のコネクタであって、モータ、インバータ間用の三相交流の電源ライン、エアコン用の直流二相の電源ラインなど異なる用途のラインを一括して接続するような構成としても良い。このように構成することにより、1つのコネクタで複数の用途の電源ラインを一括して接続することができるため、用途毎に異なるコネクタを用意する必要がなく、省スペース化や低コスト化などに貢献することができる。
上記実施の形態においては、第1接続端子4a〜4cのそれぞれと第2接続端子6a〜6cのそれぞれとは、面と面とで接触しているが、接点側の面である第2接続端子6a〜6cのそれぞれと接触する第1接続端子4a〜4c側の面のそれぞれに、凸部を形成し、この凸部に第2接続端子6a〜6cのU字状接点33が嵌る構成としても良い。このように構成することにより、第1接続端子4a〜4cのそれぞれと第2接続端子6a〜6cのそれぞれとの結合力を更に安定させることができる。即ち、接続部材9に対して垂直方向の振動に対して、特に有効である。
また、上記実施の形態においては、第2接続端子6a〜6cのU字状接点33の分岐した先端部の長さをそれぞれ同じ長さとしたが、どちらか一方の長さを長く形成してJ字状接点としても良い。J字状接点のような形状とすることで、第2コネクタ部3をケーブル長手方向に対して斜めの方向からでも接続部材9の軸部12aに挿入することができるようになる。
また、上記実施の形態に係るコネクタの構造では、接続部材9の頭部12b側から見て、第1接続端子4a〜4cのそれぞれと第2接続端子6a〜6cのそれぞれとを直線状に接触させる構成であったが、第2コネクタ部3の第2接続端子6a〜6cのそれぞれに対して、第1コネクタ部2の第1接続端子4a〜4cのそれぞれが、接続部材9の頭部12b側から見て、直角に交差して接触するように第1ターミナルハウジング5と第2ターミナルハウジング7を構成するようにしてもよい。即ち、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とをL字状に嵌合させるようにしてもよい。同様に、第1ターミナルハウジング5及び第1接続端子4a〜4cに対して、第2ターミナルハウジング7及び第2接続端子6a〜6cを斜めに配置されるように構成することもできる。この様に、本発明の趣旨を応用すれば、第1コネクタ部2に対する第2コネクタ部3の挿抜方向を多様化できる。つまり、コネクタからのケーブルの引き出し方向を設置箇所の形状に合わせることができ、省スペース化に貢献することができる。
また、上記実施の形態においては、第1接続端子4a〜4cの一端側には、第2接続端子6a〜6cとは違って、ケーブルが接続されない場合を説明したが、このような構造に限定されない。即ち、本実施の形態におけるコネクタは、ケーブル同士を接続する場合にも利用することができる。
さらに、上記実施の形態においては、ケーブル27a〜27cとして可撓性に優れたケーブルを用いていたが、リジッドなケーブルでも良い。
また、本実施の形態においては、雌ネジ19は、接続部材9の先端側の雄ネジ18と螺合するような位置に形成されていたが、接続部材9の頭部12b側に雄ネジを形成し、該頭部12b側に形成された雄ネジと螺合するように雌ネジ19を形成しても良い。例えば、頭部12b自体に雄ネジを形成し、第1ターミナルハウジング5に雌ネジ19を形成する構成としても良い。
さらに、上記実施の形態においては、接続部材9の本体部12としてボルトを例として説明したが、これは接続部材9の本体部12の構成をボルト形状に限定する趣旨ではなく、例えば、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3との嵌合を固定するCPAレバー(CPA:Connector Position Assurance)の軸部を接続部材9と連結し、CPAレバーを回転させて嵌合を固定すると共に接続部材9を接続部材9の頭部12aから軸部12bの先端に向けて押圧する(又は、締め付ける)ような構成としてもよい。
また、本実施の形態においては、接続部材9の頭部12bの上面には、六角レンチ(六角棒スパナともいう)が嵌合する六角穴12e(凹部)が形成されているものを用いたが、これは、市販されている六角レンチを用いることを想定したものだが、市販されていない形状の専用工具を用いることを想定して、該専用工具に対応する形状の凹部を接続部材9の頭部12bの上面に形成する構成としても良い。
また、本実施の形態においては、コネクタの使用状態における向きは、接続部材9が略水平状態であっても、略垂直状態であっても良い。即ち、本実施の形態におけるコネクタの使用条件に、使用状態における向きは要件としない。