JP5582637B2 - 電気化学的穿孔加工装置および電気化学的穿孔加工方法 - Google Patents

電気化学的穿孔加工装置および電気化学的穿孔加工方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5582637B2
JP5582637B2 JP2010024052A JP2010024052A JP5582637B2 JP 5582637 B2 JP5582637 B2 JP 5582637B2 JP 2010024052 A JP2010024052 A JP 2010024052A JP 2010024052 A JP2010024052 A JP 2010024052A JP 5582637 B2 JP5582637 B2 JP 5582637B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrolytic processing
electrolytic
workpiece
machining
current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010024052A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011161527A (ja
Inventor
昭二 二村
大 中川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Institute of Technology Precision Electrical Discharge Works
Original Assignee
Institute of Technology Precision Electrical Discharge Works
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Institute of Technology Precision Electrical Discharge Works filed Critical Institute of Technology Precision Electrical Discharge Works
Priority to JP2010024052A priority Critical patent/JP5582637B2/ja
Publication of JP2011161527A publication Critical patent/JP2011161527A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5582637B2 publication Critical patent/JP5582637B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Description

本発明は、金属材料の被加工物に対して、複数の電極を用いて電解加工液を供給しながら被加工物の細長い被加工穴を電気化学的加工(以下、電解加工ともいう)する電気化学的穿孔加工装置および電気化学的穿孔加工方法の技術分野に関するものである。
従来、金属材料の被加工物に複数の細長い被加工穴を加工する電気化学的穿孔加工装置として、複数の電極を用いて電解加工液を供給しながら各電極と被加工物との間に直流電圧を印加して行われる電解作用により、被加工物の被加工部の金属を電解加工液中に溶出させて被加工物に穿孔する電気化学的穿孔加工装置が知られている。
この種の電気化学的穿孔加工装置においては、被加工物に対して複数の電極で同時に複数の被加工穴を電解加工するにあたり、複数の電極にそれぞれ供給される電流が1本のリード線から共通に供給されることが多い。その場合、1本のリード線に流れる電流が検出され、検出された電流に基づいて複数の電極に供給する電流が制御されて電解加工が行われる。しかし、このように1本のリード線に流れる電流を検出し、検出した電流に基づいて複数の電極に供給する電流を制御すると、複数の電極の内の少なくとも1つの電極において、当該電極の偏消耗や電解加工液の劣化、被加工物の鋳造の際の不純物の介在などによる孔曲がり、孔径公差はずれ、当該電極の短絡発生等により、加工不良が発生したりあるいは加工不良の兆候が生じたりしたとき、当該電極についての異常発生状態を早期に検出することが難しい。
そこで、複数の電極への給電を互いに分離して給電し、各電極に流れる電解加工電流を個別の電流検出器でそれぞれ個別で検出し、検出した各電解加工電流に基づいて各電極毎に電解加工の異常発生の徴候を個別に監視する電気化学的穿孔加工装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の電気化学的穿孔加工装置によれば、各電極毎に電解加工の異常発生の徴候を個別に監視することで、電解加工の不具合の発生を未然に防ぐことが可能となるとともに、電解加工の異常の徴候が発生したとき、異常警報を発しかつ電解加工を中止することで、電解加工中の人的監視業務を不要とし、被加工物を廃棄することなく、高精度かつ高効率での電気化学的穿孔加工が可能となる。
一方、複数の電極の先端(下端)が被加工物の被加工穴の底面に当接して複数の電極が被加工物を押圧する押圧力の反力で電極の長手方向と直交する方向に湾曲して撓んだとき、この反力の大きさに基づいて複数の電極と被加工物とが短絡したと判断し、複数の電極への電解加工電圧の印加を停止して電解加工を中断するとともに、複数の電極を上昇させて一旦各電極の先端が被加工穴の底面に当接した状態で直線状にした後、複数の電極の先端と被加工穴の底面とのクリアランスを電解加工に必要なクリアランスに設定して電解加工を再スタートさせる電解加工装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2009−255243号公報。 特開2008−188730号公報、段落0091、図3ないし図5。
ところで、図13に示すように金属材料の被加工物aには、電解加工液で溶解しない不溶解物bが混在している。例えば、タービン用鋳造材であるインコネル738(商品名:スペシャルメタル社製)は、表1に示す金属組成を有している。
Figure 0005582637
表1に示すように、この金属材料はニッケル(Ni)をベースに多くの金属や不純物質が混在する。電解加工液が例えば硝酸水溶液(濃度17重量%)である場合、表1中のタングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)等は溶解し難い。このため、電解加工により加工された被加工穴c内に、このような不溶解物bが被加工物aから離間して存在するようになる。そして、不溶解物bが電解加工中に電極dの先端(図13において下端)と被加工穴cの底面との間に挟持される場合がある。このように不溶解物bが電極dと被加工穴cの底部との間に挟持されると、不溶解物bが比較的導電性の高い(電気抵抗の小さい)物質(例えば、W)である場合には電極dに流れる電流が電解加工の理想とする(電解加工に必要とする)基準電流よりかなり増大して異常電流が発生し、また不溶解物bが比較的導電性の低い(電気抵抗の大きい)物質(例えば、Ta)である場合には電極dに流れる電流が基準電流よりかなり減少して異常電流が発生する。このような異常電流が発生すると、電解加工を安定して行うことが難しくなる。
また、図14に示すように不溶解物bが電極dの加工進行方向eに対してわずかに干渉した場合は、電極dの進行方向が不溶解物bと逆方向に変えられてしまい、結果として形成される穴が曲がりまっすぐな穴を加工することができなくなるおそれがある。
しかしながら、特許文献1に記載の電気化学的穿孔加工装置では、電解加工の異常の徴候が発生されたとき、電解加工が中止されるので、前述のような不溶解物bによる異常電流が発生しても、電解加工が中止されてしまう。このように不溶解物bによる異常電流が発生したとき、電解加工が一々中止されると、電気化学的穿孔加工を精度よくかつ効率よく行うことが難しい。したがって、特許文献1に記載の電気化学的穿孔加工装置では高精度かつ高効率での電気化学的穿孔加工が可能ではあるが、電解加工の精度および効率において更に一層の高くする余地があるという問題がある。
そこで、特許文献1に記載の電気化学的穿孔加工装置に、特許文献2に記載の電解加工装置における前述の電解加工の一旦中断後に電解加工を再スタートさせる技術事項を単に適用することが考えられる。しかしながら、特許文献2に記載の電解加工装置における電解加工の中断後の再スタートでは、前述の不溶解物bについてまったく考慮されていない。したがって、電極と被加工穴の底面とのクリアランスが電解加工に必要なクリアランスに設定するに必要な量だけ電極を上昇させるだけである。このため、不溶解物bの大きさが電解加工に必要なクリアランスより大きい場合、電極dを下降させてもこの不溶解物bが電極dと被加工穴cの底面との間に再び挟持され、電極dと被加工穴cの底面とのクリアランスを電解加工に必要なクリアランスに設定することは難しい。しかも、電解加工中に電極dの先端と被加工穴cの底面との間に不溶解物bが挟持されたとき、単に電極dを上昇させても不溶解物bは除去されず、被加工穴c内に存在したままであり、電解加工を再スタートさせるために電極dを降下させたとき、不溶解物bが電極dと被加工穴cの底
面との間に再び挟持されてしまう可能性がある。
このように、特許文献1に記載の電気化学的穿孔加工装置に、特許文献2に記載の技術事項を単に適用しても、前述の不溶解物bによる問題を解決することはできない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、被加工物に電解加工液で溶解しない不溶解物が混在していても、電解加工の精度および効率を更に一層向上させることのできる電気化学的穿孔加工装置および電気化学的穿孔加工方法を提供することである。
前述の課題を解決するために、本発明の電気化学的穿孔加工装置は、電解加工電圧が印加されて被加工物に電解加工を行う複数の電極と、複数の電極を上下動する電極駆動部と、電解加工液を供給する電解加工液供給部と、前記複数の電極に電解加工電圧を印加する電解加工電圧印加部と、前記複数の電極にそれぞれ流れる電解加工電流を個別に検出する電解加工電流検出部と、前記電解加工電流検出部で検出された前記電解加工電流と電解加工を行うために予め設定された基準電流とに基づいて、前記電極駆動部、前記電解加工電圧印加部、および前記電解加工液供給部を制御する制御部とを少なくとも備え、前記複数の電極を用いて前記電解加工液を供給しながら前記被加工物を電解加工する電気化学的穿孔加工装置において、前記制御部が、前記被加工物の電解加工中に、前記電極を所定量上昇させるように前記電極駆動部を制御するとともに前記電極への前記電解加工電圧の印加を停止するように記電解加工電圧印加部を制御して前記電解加工を中断させ、更に前記電解加工液を前記被加工物の被加工部に供給するように電解加工液供給部を制御する制御部であり、前記制御部が、前記被加工物の電解加工中に、予め設定された基準時間毎に周期的に前記電解加工を中断させるとともに、前記電解加工液を前記被加工物の被加工部に供給するように電解加工液供給部を制御し、かつ、前記被加工物の電解加工中に、前記電解加工電流検出部で検出された前記複数の電極にそれぞれ流れる各電解加工電流の内、少なくとも1つの電解加工電流が前記基準電流から予め設定された所定範囲にないと判断したとき、予め設定された基準時間毎に周期的に前記電解加工を中断させるとともに、前記電極から供給される前記電解加工液の流量が前記電解加工の中断の繰り返しに対応して多くなるように、前記電解加工液を前記被加工物の被加工部に供給するように電解加工液供給部を制御することを特徴としている。
また、本発明の電気化学的穿孔加工方法は、電解加工電圧が印加された複数の電極により被加工物に電解加工を行う工程と、電極駆動部により前記複数の電極を上下動する工程と、電解加工液供給部により電解加工液を前記被加工物の被加工部に供給する工程と、電解加工電圧印加部により前記複数の電極に電解加工電圧を印加する工程と、前記複数の電極毎に対応して配設された電解加工電流検出部により、前記複数の電極にそれぞれ流れる電解加工電流を個別に検出する工程と、制御部により、前記電解加工電流と電解加工を行うために予め設定された基準電流とに基づいて、前記電極駆動部、前記電解加工液供給部、前記電解加工電圧印加部を制御する工程と、前記制御部により、前記被加工物の電解加工中に、予め設定された基準時間毎に周期的に前記電解加工を中断させるとともに、前記電解加工液を前記被加工物の被加工部に供給する工程と、前記制御部により、前記被加工物の電解加工中に、前記電解加工電流検出部で検出された前記複数の電極にそれぞれ流れる各電解加工電流の内、少なくとも1つの電解加工電流が前記基準電流から予め設定された所定範囲にないと判断されたとき、予め設定された基準時間毎に周期的に前記電解加工を中断させるとともに、前記電極から供給される前記電解加工液の流量が前記電解加工の中断の繰り返しに対応して多くなるように、前記電解加工液を前記被加工物の被加工部に供給する工程とを少なくとも備えることを特徴としている。
このように構成された本発明の電気化学的穿孔加工装置および電気化学的穿孔加工方法によれば、電解加工中に、電極を所定量上昇(ジャンプ)させかつ電解加工電圧の印加を停止して電解加工を一旦中断させるとともに、電解加工液を継続して供給する。そして、電解加工中にこの電解加工の中断および電解加工液の供給を周期的に繰り返し行う。これにより、被加工物に混在し電解加工液で溶解しない不溶解物が各被加工部に存在しても、電解加工の中断時に供給される電解加工液により、被加工部から除去することが可能となる。したがって、被加工部に存在する不溶解物による電解加工電流の異常電流の発生を抑制することができ、安定した電解加工を行うことができる。その結果、電解加工の精度および効率を更に一層向上させることが可能となる。
また、本発明の電気化学的穿孔加工装置および電気化学的穿孔加工方法によれば、前述の本発明の作用効果に加えて、更に複数の電極の各電解加工電流の少なくとも1つが基準電流から所定範囲でないときに、前述と同様の電解加工の中断およびこの中断時の電解加工液の供給が行われる。したがって、電解加工の中断時に不溶解物の除去作業が行われるが、この除去作業を効率よく行うことが可能となるとともに、被加工物に対する被加工部の電解加工に要する時間を短縮することができる。また、電解加工の中断により不溶解物の除去作業を行った後、1サイクルの電解加工が終了しない間に、各電解加工電流の少なくとも1つが基準電流から所定範囲でないときが再び発生したときにも電解加工の中断が再び行われる。これにより、電解加工の中断による不溶解物の除去作業を効果的に行うことができる。その場合、電解加工の中断による不溶解物の除去作業の繰り返しに対応して、電極から供給される電解加工液の流量を多くなるように制御することが、不溶解物をより効果的に除去するうえで好ましい。こうして、被加工部に存在する不溶解物による電解加工電流の異常電流の発生を抑制することができ、安定した電解加工を行うことができる。その結果、電解加工の精度および効率を更に一層向上させることが可能となる。
本発明に係る電気化学的穿孔加工装置の実施形態の一例を模式的に示す図である。 電極の拡大部分断面図である。 電極を図1におけるIII方向から見て模式的に示す図である。 (a)は電極保持部材の正面図、(b)は電極保持部材の平面図である。 各電極に流れる電解加工電流の検出を説明する図である。 電解加工の基準電流に対する異常電流を説明する図である。 正常な電解加工時の各電極の電解加工の基準電流を説明する図である。 電気抵抗の大きい不溶解物により発生する異常電流を説明する図である。 電気抵抗の小さい不溶解物により発生する異常電流を説明する図である。 (a)ないし(d)は電解加工の過程を説明する図である。 本発明に係る電気化学的穿孔加工装置の実施形態の一例における電解加工の制御のフローを示す図である。 本発明に係る電気化学的穿孔加工装置の実施形態の他の例における電解加工の制御のフローを示す図である。 従来の電気化学的穿孔加工装置における電解加工の問題の一例を説明する図である。 従来の電気化学的穿孔加工装置における電解加工の問題の他の例を説明する図である。
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明に係る電気化学的穿孔加工装置の実施の形態の一例を模式的に示す図、図2は電極の拡大部分断面図、図3は電極を図1におけるIII方向から見て模式的に示す図
、図4(a)は電極保持部材の正面図、および図4(b)は電極保持部材の平面図である。
図1および図2に示すように、この例の電気化学的穿孔加工装置1の構成は、前述の特許文献1に記載の電気化学的穿孔加工装置の構成と部分的に異なるが、基本的には同じである。この例の電気化学的穿孔加工装置1は、加工槽2と、この加工槽2内に固設されるとともに、例えば鉄鋼材料のような金属材料からなる被加工物(ワーク)3が載置固定されるテーブル4と、テーブル4の上方に配設された電解加工用の電極5と、この電極5を保持する電極保持体6、電極保持体6の一体に設けられた加工液つぼ7と、電極5、電極保持体6および加工液つぼ7を一体に鉛直方向(図1において上下方向)に駆動するための例えばサーボモータからなる駆動モータ(M)8と、駆動モータ8の回転駆動力を直進運動の鉛直方向運動(上下方向運動)に変換するための、例えばボールねじ機構等の運動変換機構9と、電解加工液10(例えば、硝酸水溶液(濃度17重量%)等)を貯留したタンク11と、タンク11内の電解加工液10を加工液つぼ7に送給するポンプ12と、ポンプ12の吐出側に設けられたフィルタ13と、加工液つぼ7とフィルタ13との間に配設された流量調整弁14と、被加工物3と電極5との間に印加される電解加工電圧、駆動モータ8の駆動、ポンプ12の駆動、および流量調整弁14の流量(開弁量)をそれぞれ制御する制御部である制御盤15と、電極保持体6の通電ブロック6aと制御盤15との間に配設された分岐センサユニット16とを備えている。その場合、駆動モータ8と運動変換機構9とにより、本発明の電極駆動部が構成される。
電極5は、チタン又はチタン合金のような電解され難い導電性材料により、その横断面外形輪郭を加工すべき孔の内径輪郭と対応させて中空管状に形成された芯管5αと、この芯管5αの外周に装着された耐酸性絶縁材の絶縁被覆材5βとから直線状に形成される。また、電極保持体6は導電性の通電ブロック6aと、この通電ブロック6aが一体に固設された箱状の絶縁材からなる保持部材6bとを有している。図3および図4(a),(b
)に示すように、電極5は、直線状に所定間隔を隔てて複数個(図示例では5個;符号5a,5b,5c,5d,5e)配設されている。なお、電極の数は5個に限定されることはなく、被加工物3に形成される細孔の数に応じて任意の複数個設けることができる。以下の説明では、電極は5個設けられるものとする。その場合、通電ブロック6aは各電極5に対応して6個の通電ブロック6a1,6a2,6a3,6a4,6a5が配設されており、各通電
ブロック6a1,6a2,6a3,6a4,6a5は、互いに絶縁されている。そして、各電極5
の芯管5αの上端部は、それぞれ対応する電極保持体6の通電ブロック6a1,6a2,6a3,6a4,6a5(なお、図2には図示の便宜上単に6aと表す)を貫通して加工液つぼ7
内に突設されている。
図2に示すように、各電極5a,5b,5c,5d,5e(なお、図2には図示の便宜上単に5と表す)は、それぞれ導電性の所定数(図示例では2個)の止めねじ17を対応する各通電ブロック6a1,6a2,6a3,6a4,6a5に螺合締結することにより対応する各通
電ブロック6a1,6a2,6a3,6a4,6a5に電気的機械的に固定されている。更に、各
電極5a,5b,5c,5d,5eの先端(下端)は、いずれも水平面に対して傾斜角αの截頭円錐台面に形成されている。
図1に示すように、加工液つぼ7とタンク11とは加工液流動管路18で接続されており、この加工液流動管路18中に、ポンプ12、フィルタ13、および流量調整弁14がタンク11から加工液つぼ7に向かってこれらの順に配設されている。そして、電解加工時にタンク11内の電解加工液10がポンプ12によって吸い込み吐出され、ポンプ12から吐出された電解加工液10は、フィルタ13および流量調整弁14を介して加工液つぼ7に供給される。このとき、加工液つぼ7に供給される電解加工液の液量が流量調整弁14によってその電解加工に対応した量に調整される。更に、加工液つぼ7に供給された電解加工液10は、各電極5a,5b,5c,5d,5eの芯管5αを通って各電極5a,5
b,5c,5d,5eの各先端(下端)から被加工物3の被加工部である被加工穴3a,3b,3c,3d,3e(各符号は、図3に図示;図1には図示の便宜上3αと表す)の底部近
傍に供給されるようになっている。更に、被加工穴3a,3b,3c,3d,3eに供給された電解加工液10は、各電極5a,5b,5c,5d,5eの外周を通って流動して各被加工穴3a,3b,3c,3d,3eの上方から流出し加工槽2内に貯留される。最後に、加工槽2内に貯留された電解加工液10は、再びタンク11に戻るように構成されている。
図1に示すように、制御盤15は、電解加工電圧印加部である直流の電源装置19と、入力装置20と、表示装置21と、制御装置22とを有する。また、制御装置22は、監視装置23と、タイマ24と、モータ制御部25と、流量調整弁制御部26と、ポンプ制御部27とを有する。また、分岐センサユニット16は、給電分岐部28と電流検出部29(本発明の電解加工電流検出部に相当)とを有する。
電源装置19は、その−極側が電気配線であるリード線30を介して電極保持体6の通電ブロック6aに電気的に接続されるとともに、+極側が電気配線であるリード線31を介して被加工物3に電気的に接続される。これにより、電極5と被加工物3との間に直流電圧の電解加工電圧が電源装置19から印加されるようになっている。その場合、図3に示すように電源装置19の−極側が給電分岐部28により5つの給電部28a,28b,28c,28d,28eに分岐される。そして、各給電部28a,28b,28c,28d,28eがそれぞれ対応する各リード線30a,30b,30c,30d,30eおよび各通電ブロック6a1,6a2,6a3,6a4,6a5を介して各電極5a,5b,5c,5d,5eに電気的
に接続される。
電流検出部29は給電分岐部28と通電ブロック6aとの間に配設される。図3および図5に示すように、この電流検出部29は各電極5a,5b,5c,5d,5eに対応して配設されたホールセンサ29a,29b,29c,29d,29eを有する。各ホールセンサ29a,29b,29c,29d,29eは、それぞれ対応する各リード線30a,30b,30c,30d,30eに対応して配設される。各ホールセンサ29a,29b,29c,29d,29eは、それぞれ対応する各リード線30a,30b,30c,30d,30eを流れる電流を検出するとともに、検出した電流をそれぞれ各出力配線32a,32b,32c,32
d,32eから出力するようになっている。各ホールセンサ29a,29b,29c,29d,29eは、小型の例えば、Current Transducer LTS6−NP(ス
イス国 LEM Components社)が用いられる。なお、各電極5a,5b,5c,
5d,5eに流れる電流を検出するに際して、各電極5a,5b,5c,5d,5eの上端が
共通の加工液つぼ7内に存在しても不都合となることは、実際上全くないことが確かめられている。
監視装置23は基準値メモリ33と比較評価処理部34とを有する。基準値メモリ33
は、入力装置27から入力された被加工物3の電解加工における基準電流を基準電流値あるいは基準電流波形パターンで格納するとともに、同じく入力装置27から入力された基準電流値あるいは基準電流波形パターンからの所定範囲を格納する。
この例の電気化学的穿孔加工装置1による1回(1サイクル)の電解加工における電解加工電流は、例えば図6および図7に実線で示すように理想的な電解加工中の電流である基準電流である(なお、図7には基準電流は正常加工時の加工電流と表記されている。)。この基準電流は予め実験などを行って1サイクルの理想的な基準電流値或いは基準電流波形パターンとして基準値メモリ33(図1に図示)に格納される。したがって、各電極5a,5b,5c,5d,5eにこのような1サイクル分の電解加工電流で流れるように、それぞれ各電極5a,5b,5c,5d,5eに直流電圧の電解加工電圧が印加される。そして、各電極5a,5b,5c,5d,5eに1サイクル分の電解加工電圧が所定時間印加されて被加工穴3a,3b,3c,3d,3eが電解加工される。この1サイクルの電解加工が終了すると、被加工物3の次の1サイクル分の電解加工電圧が同様にして印加される。以下、各被加工物3に対してこのサイクルが繰り返されるようになっている。
また、比較評価処理部34は、各ホールセンサ29a,29b,29c,29d,29eと各出力配線32a,32b,32c,32d,32eを介して電気的に接続される。したがって、この比較評価処理部34には、各ホールセンサ29a,29b,29c,29d,29eで検出された各電極5a,5b,5c,5d,5eに流れる電解加工電流が電解加工電流値あるいは電解加工電流波形パターンで供給される。
そして、比較評価処理部34は、基準電流および各電極5a,5b,5c,5d,5eに流れる各電解加工電流をそれぞれ表示装置21に出力するとともに、表示装置21はこれらの基準電流および各電解加工電流をそれぞれ表示する。また、比較評価処理部34は、各電解加工電流を基準電流と比較評価して各電解加工電流が基準電流から予め定められている許容可能な所定範囲を超えて異常電流を発生して将来加工異常を発生させる徴候であると判断する。
図6および図7に示すように、電解加工中の各電極5a,5b,5c,5d,5eの各電解加工電流がいずれも図6に実線で示す基準電流であると、被加工物3に対して被加工穴3a,3b,3c,3d,3eが正常に電解加工される。例えば、電解加工中の電解加工電流が図6に実線で示す基準電流に沿って各電極5a,5b,5c,5d,5eの少なくとも1つに流れなく、図6に点線で示すように基準電流から外れた異常電流に沿って流れるとする。そして、電解加工開始から時点t1でこの異常電流が基準電流から所定範囲から外れたとする。このとき、比較評価処理部34は、加工異常を発生する可能性があると判断して異常信号を表示装置23に出力する。表示装置21はこの異常信号に基づいて加工異常が発生する可能性がある警告を警告文字または警告音で表示する。更に、比較評価処理部34はこの異常信号を電源装置19、モータ制御部25、およびポンプ制御部27に表示装置21を介してあるいは直接に出力する。これにより、電解加工電圧の印加、駆動モータ8の駆動、およびポンプ12の駆動が停止され、被加工物3の電解加工が中止される(電極駆動部、電解加工液供給部、および電解加工電圧印加部の制御工程)。
なお、電解加工電流が基準電流から所定範囲から外れる状態としては、次の2通りの状態がある。すなわち、1つの状態は、前述の図6に点線で示すように電解加工電流が基準電流より低く所定範囲から外れる状態である。この状態は、例えばTa等の導電性が低い(電気抵抗が大きい)不溶解物35が電極の先端と被加工穴との間に挟持された場合である。図8には、1つの電極に流れる電解加工電流が他の電極に流れる電解加工電流(基準電流あるいはほぼ基準電流)よりかなり小さな電流であることが示されている。また、他の1つの状態は、前述の図6に点線で示す場合と逆に電解加工電流が基準電流より高く所
定範囲から外れる状態である。この状態は、例えばW。Mo等の導電性が高い(電気抵抗が小さい)不溶解物35が電極の先端と被加工穴との間に挟持された場合である。図9には、1つの電極に流れる電解加工電流が他の電極に流れる電解加工電流(基準電流あるいはほぼ基準電流)よりかなり大きな電流であることが示されている。
この例の電気化学的穿孔加工装置1および電気化学的穿孔加工方法においては、電解加工液10を各電極5a,5b,5c,5d,5eの先端(下端)から供給させながら各電極5a,5b,5c,5d,5eを下降させて被加工物3の電解加工を行うにあたって、電解加工を次の通りに行うようにしている。すなわち、図10(a)に示すように、電解加工電圧を各電極5a,5b,5c,5d,5eに印加するとともに電解加工液10を各電極5a,5
b,5c,5d,5eの先端(下端)から点線の矢印方向に供給させながら、各電極5a,5b,5c,5d,5eを実線の矢印方向に下降させて被加工物3に対して各被加工穴3a,3b,3c,3d,3eの電解加工を行う。図10(b)に示すように電解加工開始後予め設
定された第1の基準時間(sec;例えば、10秒))経過したとき、各電極5a,5b,5c,5d,5eの下降を停止し、図10(c)に示すように各電極5a,5b,5c,5d,5eを所定量上昇させた(ジャンプさせた)後停止させる。このとき、電解加工電圧の印加を停止するが、電解加工液10の供給はそのまま継続する。すなわち、電解加工を一旦中断する。
そして、図10(b)に示すように被加工穴3a,3b,3c,3d,3eの底部に不溶解物35が存在している場合、各電極5a,5b,5c,5d,5eの上昇と電解加工液10の供給の継続とにより、図10(c)に示すように被加工穴3a,3b,3c,3d,3eの底部の不溶解物35は、供給された電解加工液により上方に移動されて被加工穴3a,3b,3c,3d,3eの上端から脱出する。したがって、この不溶解物35が各電極5a,5b,5c,5d,5eの先端と被加工穴3a,3b,3c,3d,3eの底部との間に挟持されることが抑制される。
各電極5a,5b,5c,5d,5eの所定量上昇後予め設定された第2の基準時間(sec)経過したとき、図10(d)に示すように各電極5a,5b,5c,5d,5eを元の加工位置まで再び下降するとともに電解加工電圧を再び印加して電解加工を再開する。そして、電解加工の再開後第1の基準時間(sec)経過したとき、各電極5a,5b,5c,5d,5eの下降を停止して各電極5a,5b,5c,5d,5eを所定量上昇させるとともに、電解加工電圧の印加を停止しかつ電解加工液10の供給はそのまま継続する。すなわち、電解加工を再び中断するとともに、不溶解物35の除去を行う。更に、各電極5a,5b,5c,5d,5eの所定量上昇後第2の基準時間(sec)経過後各電極5a,5b,5c,5d,5eを再び下降するとともに電解加工電圧を再び印加して電解加工を再開する。
このように、この例の電気化学的穿孔加工装置1では、1回の電解加工中に各電極5a,5b,5c,5d,5eの上下動と電解加工電圧の印加および印加停止とを周期的(例えば、電解加工開始後10秒毎)に繰り返しながら、つまり、電解加工の中断を周期的に繰り返しながら、被加工物3の被加工穴3a,3b,3c,3d,3eの電解加工を行うようにしている。そこで、制御装置22のタイマ24には、入力装置20により前述の第1および第2の基準時間(sec)が被加工物3に対応して格納されている。
次に、この例の電気化学的穿孔加工装置1による被加工物3に対する加工穴3a,3b,3c,3d,3eの電解加工の作動制御について説明する。図11は、被加工物に対する加工穴の電解加工の作動制御のフローを示す図である。
図11に示すように、まずステップS1で、電解加工の前述の基準電流が被加工物3に対応して設定され、基準値メモリ33に格納される。次いで、ステップS2で前述の第1
および第2の基準時間が被加工物3に対応して設定され、タイマ24に格納される。次に、ステップS3で流量調整弁制御部26により流量調整弁9の開弁量(電解加工液の流量)が被加工物3に対応して調整される。
そして、ステップS4で被加工物3に対する加工穴3a,3b,3c,3d,3eの電解加工が開始される。すなわち、電源装置19から直流電圧の電解加工電圧が各電極5a,5
b,5c,5d,5eに印加される(電解加工電圧印加工程)。また、モータ制御部25に
より駆動モーター8が正転(電極を下降させる方向の回転)駆動されるとともに、ポンプ制御部27によりポンプ12が駆動される。これにより、タンク11内の電解加工液が加工液つぼ7内に送給されるとともに各電極5a,5b,5c,5d,5eの内部孔を通して各電極5a,5b,5c,5d,5eの先端から供給され(電解加工液供給工程)かつ各電極5a,5b,5c,5d,5eが下降されながら電極上下動工程)、電解加工が行われる(電解加工工程)。この電解加工中に、ステップS5で各電極5a,5b,5c,5d,5eに流れる電解加工電流が、それぞれホールセンサ29a,29b,29c,29d,29eで測定される(電解加工電流検出工程)。そして、ステップS6で各電解加工電流の少なくとも1つの電解加工電流が基準電流から予め設定された所定範囲以内にあるか否かが判断される。
ステップS6で各電解加工電流がいずれも基準電流から所定範囲以内にあると判断されると、ステップS7で各被加工穴3a,3b,3c,3d,3eの1サイクル目の電解加工が終了したか否かが判断される。電解加工が終了していないと判断されると、ステップS8で電解加工時間が前述の第1の基準時間を経過したか否かが判断される。ステップS8で電解加工時間が第1の基準時間を経過していないと判断されると、ステップS5の処理に移行して、ステップS5ないしS8の処理が繰り返される。
ステップS8で電解加工時間が第1の基準時間を経過したと判断されると、ステップS9で駆動モーター8が停止された後、所定回転量逆転(電極を上昇させる方向の回転)駆動される。その後、駆動モーター8が再び停止される。したがって、各電極5a,5b,5c,5d,5eが所定量上昇する(電極上下動工程)。このとき、電解加工電圧の印加が停止されるが、ポンプ12の駆動は継続される。次に、ステップS10で前述の第2の基準時間が経過したか否かが判断される。第2の基準時間が経過していないと判断されると、このステップS10の処理が繰り返される。これにより、電解加工が中断される。そして、被加工穴3a,3b,3c,3d,3eに不溶解物35が存在する場合、この不溶解物35は、各電極5a,5b,5c,5d,5eの先端から供給される電解加工液により被加工穴3a,3b,3c,3d,3eから除去される(電解加工中断および電解加工液供給工程)。
ステップS10で第2の基準時間が経過したと判断されると、ステップS11で電解加工が再開される。すなわち、モータ制御部25により駆動モーター8が正転駆動されるとともに、ポンプ制御部27によりポンプ12が駆動される。これにより、タンク11内の電解加工液が加工液つぼ7内に送給されるとともに各電極5a,5b,5c,5d,5eの内部孔を通して各電極5a,5b,5c,5d,5eの先端から供給されかつ各電極5a,5b,5c,5d,5eが下降されながら、電解加工が行われる。電解加工が再開始されると、ステップS5の処理に再び移行し、ステップS5以降の処理が繰り返される。
ステップS7で各被加工穴3a,3b,3c,3d,3eの電解加工が終了したと判断されると、ステップS12で駆動モーター8の駆動が停止され、更に駆動モーター8が所定回転量逆回転された後、駆動停止される。また、ポンプ12の駆動が停止されるとともに、電解加工電圧の印加が停止される。これにより、各電極5a,5b,5c,5d,5eが各被加工穴3a,3b,3c,3d,3eから脱出して初期の非作動位置に戻る。こうして、1回目の各被加工穴3a,3b,3c,3d,3eの電解加工が終了する。
ステップS6で各電解加工電流の少なくとも1つの電解加工電流が基準電流から所定範囲でないと判断されると、ステップS13で表示装置21に異常電流が発生したと警告が表示されるとともに、ステップS14で電解加工が中止され、ステップS12の処理が行われる。このようにして、この例の電気化学的穿孔加工装置1では、電解加工中、電解加工電流が所定範囲にあるときは電極が周期的に上下動されかつ電解加工電圧の印加および印加停止が繰り返されて電解加工を周期的に繰り返し中断しながら電解加工が行われるとともに、電解加工電流が所定範囲を超えたときは警告を発しかつ電解加工を中止する。
この例の電気化学的穿孔加工装置1によれば、電解加工中に、電解加工開始後第1の基準時間が経過したとき、各電極5a,5b,5c,5d,5eを所定量上昇(ジャンプ)させかつ電解加工電圧の印加を停止して電解加工を一旦中断させるとともに、電解加工液10を継続して供給する。そして、電解加工中にこの電解加工の中断および電解加工液10の供給を周期的に繰り返し行う。これにより、被加工物3に混在し電解加工液10で溶解しない不溶解物35が各被加工穴3a,3b,3c,3d,3eの少なくとも1つに存在しても、電解加工の中断時に供給される電解加工液10により、被加工穴から除去することが可能となる。したがって、被加工穴内に存在する不溶解物35による電解加工電流の異常電流の発生を抑制することができ、安定した電解加工を行うことができる。その結果、電解加工の精度および効率を更に一層向上させることが可能となる。
次に、本発明に係る電気化学的穿孔加工装置1の実施の形態の他の例について説明する。
前述の例の電気化学的穿孔加工装置1では、電解加工を周期的に中断しながら電解加工を行うようにしているが、この例の電気化学的穿孔加工装置1では、電解加工を周期的に中断しなく、電解加工電流が所定範囲を超えたときに電極を一旦上昇させかつ電解加工電圧の印加を停止して電解加工を一旦中断し、不溶解物の除去作業を行い、その後電解加工を再開始するようにしている。
図12は、この例の電気化学的穿孔加工装置による電解加工の作動制御のフローを示す、図11と同様の図である。なお、図11に示すフローの処理と同じ処理を行うステップには、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図12に示すように、ステップS1ないしS7までの処理は、前述の例と同じである。次に、ステップS7で電解加工が終了していないと判断されると、ステップS5に移行してステップS5以降の処理が繰り返される。また、ステップS7で電解加工が終了したと判断されると、前述の例と同じステップS12での処理が行われる。
また、ステップS6で各電解加工電流の少なくとも1つの電解加工電流が基準電流から所定範囲でないと判断されると、前述の例と同じステップS9ないしS11の処理が繰り返される。なお、図12に示す例のステップS10での電動モータ9の逆転駆動停止後から経過した電解加工時間と比較する基準時間は、前述の図11に示す例の第2の基準時間と単に標記が異なるだけで実際には同じである。
そして、ステップS11で電解加工再開始されると、ステップS15で各電極5a,5
b,5c,5d,5eの各電解加工電流が測定される。このステップS15での電解加工電
流の測定は、ステップS5での電解加工電流の測定と同じ処理である。次に、ステップS16で各電解加工電流の少なくとも1つが基準電流電流から所定範囲であるか否かが判断される。このステップS16での電解加工電流の比較評価も、ステップS6での電解加工電流の比較評価と同じ処理である。
ステップS16で各電解加工電流のすべてが基準電流電流から所定範囲であると判断されると、ステップS7に移行し、ステップ7以降の処理が行われる。また、ステップS16で各電解加工電流の少なくとも1つが基準電流電流から所定範囲でないと判断されると、ステップS17で前述の例のステップS13と同じ警告表示が行われるとともに、ステップS18で前述の例のステップS14と同じように電解加工が中止され、その後ステップS12での処理に移行する。
この例の電気化学的穿孔加工装置1によれば、前述の例のように電解加工の中断が所定時間毎に周期的に行われず、各電解加工電流の少なくとも1つが基準電流から所定範囲でないときに電解加工の中断および電解加工液の供給が行われる(電解加工中断および電解加工液供給工程)。したがって、電解加工の中断による不溶解物35の除去作業を効率よく行うことが可能となるとともに、被加工物3に対する被加工穴3a,3b,3c,3d,3eの電解加工に要する時間を短縮することができる。また、電解加工の中断により不溶解物35の除去作業を行った後、1サイクルの電解加工が終了しない間に、各電解加工電流の少なくとも1つが基準電流から所定範囲でないときが再び発生したときにも電解加工の中断が再び行われる。これにより、電解加工の中断による不溶解物35の除去作業を効果的に行うことができる。その場合、電解加工の中断による不溶解物35の除去作業の繰り返しに対応して、各電極5a,5b,5c,5d,5eから供給される電解加工液10の流量を多くなるように制御することが、不溶解物35をより効果的に除去するうえで好ましい。電解加工液10の流量を多くする方法としては、流量調整弁14の開弁量大きくする方法およびポンプ12の吐出量を増大する方法の少なくとも1つを採用することができる。
この例の電気化学的穿孔加工装置1の他の構成および他の作用効果は、前述の例と同じである。
なお、本発明の電気化学的穿孔加工装置は、前述の実施の形態の各例に限定されることはなく、種々の設計変更が可能である。例えば、前述の2つの例を組み合わせることもできる。すなわち、各電解加工電流のすべてが基準電流から所定範囲にあるときに、電解加工の中断を所定時間毎に周期的に繰り返し行うとともに、各電解加工電流の少なくとも1つが基準電流から所定範囲にないときにも、電解加工の中断を行う。その場合、各電解加工電流の少なくとも1つが基準電流から所定範囲にないときの電解加工の中断では、各電極5a,5b,5c,5d,5eから供給される電解加工液10の流量を多くなるように制御することが、不溶解物35をより効果的に除去するうえで好ましい。電解加工液10の流量を多くする方法は、前述の例と同じである。
また、複数の電極5a,5b,5c,5d,5eを同時に上下動させる必要がない場合には、電動モータ9を複数の電極5a,5b,5c,5d,5e毎に設けて、各電極5a,5b,5c,5d,5eを互いに独立して上下動させることもできる。
要は、本発明は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々の設計変更が可能である。
本発明に係る電気化学的穿孔加工装置は、金属材料の被加工物に対して、複数の電極を用いて電解加工液を供給しながら被加工物の細長い被加工穴を電解加工する電気化学的穿孔加工装置に好適に利用することができる。
1…電気化学的穿孔加工装置、2…加工槽、3…被加工物(ワーク)、3a,3b,3c,
3d,3e…被加工穴、5,5a,5b,5c,5d,5e…電極、6…電極保持体、6a,6
1,6a2,6a3,6a4,6a5…通電ブロック、7…加工液つぼ、8…駆動モータ、9…
運動変換機構、10…電解加工液、12…ポンプ、14…流量調整弁、15…制御盤、1
6…分岐センサユニット、19…電源装置、20…入力装置、21…表示装置、22…制御装置、23…監視装置、24…タイマ、25…モータ制御部、26…流量調整弁制御部、27…ポンプ制御部、28…給電分岐部、28a,28b,28c,28d,28e…給電部、29…電流検出部、29a,29b,29c,29d,29e…ホールセンサ、30,3
0a,30b,30c,30d,30e,31…リード線、32a,32b,32c,32d,3
2e…出力配線、33…基準値メモリ、34…比較評価処理部、35…不溶解物

Claims (2)

  1. 電解加工電圧が印加されて被加工物に電解加工を行う複数の電極と、複数の電極を上下動する電極駆動部と、電解加工液を供給する電解加工液供給部と、前記複数の電極に電解加工電圧を印加する電解加工電圧印加部と、前記複数の電極にそれぞれ流れる電解加工電流を個別に検出する電解加工電流検出部と、前記電解加工電流検出部で検出された前記電解加工電流と電解加工を行うために予め設定された基準電流とに基づいて、前記電極駆動部、前記電解加工電圧印加部、および前記電解加工液供給部を制御する制御部とを少なくとも備え、前記複数の電極を用いて前記電解加工液を供給しながら前記被加工物を電解加工する電気化学的穿孔加工装置において、
    前記制御部は、前記被加工物の電解加工中に、前記電極を所定量上昇させるように前記電極駆動部を制御するとともに前記電極への前記電解加工電圧の印加を停止するように記電解加工電圧印加部を制御して前記電解加工を中断させ、更に前記電解加工液を前記被加工物の被加工部に供給するように電解加工液供給部を制御する制御部であり、
    前記制御部は、前記被加工物の電解加工中に、予め設定された基準時間毎に周期的に前記電解加工を中断させるとともに、前記電解加工液を前記被加工物の被加工部に供給するように電解加工液供給部を制御し、かつ、前記被加工物の電解加工中に、前記電解加工電流検出部で検出された前記複数の電極にそれぞれ流れる各電解加工電流の内、少なくとも1つの電解加工電流が前記基準電流から予め設定された所定範囲にないと判断したとき、予め設定された基準時間毎に周期的に前記電解加工を中断させるとともに、前記電極から供給される前記電解加工液の流量が前記電解加工の中断の繰り返しに対応して多くなるように、前記電解加工液を前記被加工物の被加工部に供給するように電解加工液供給部を制御することを特徴とする電気化学的穿孔加工装置。
  2. 電解加工電圧が印加された複数の電極により被加工物に電解加工を行う工程と、電極駆動部により前記複数の電極を上下動する工程と、電解加工液供給部により電解加工液を前記被加工物の被加工部に供給する工程と、電解加工電圧印加部により前記複数の電極に電解加工電圧を印加する工程と、前記複数の電極毎に対応して配設された電解加工電流検出部により、前記複数の電極にそれぞれ流れる電解加工電流を個別に検出する工程と、制御部により、前記電解加工電流と電解加工を行うために予め設定された基準電流とに基づいて、前記電極駆動部、前記電解加工液供給部、前記電解加工電圧印加部を制御する工程と、前記制御部により、前記被加工物の電解加工中に、予め設定された基準時間毎に周期的に前記電解加工を中断させるとともに、前記電解加工液を前記被加工物の被加工部に供給する工程と、前記制御部により、前記被加工物の電解加工中に、前記電解加工電流検出部で検出された前記複数の電極にそれぞれ流れる各電解加工電流の内、少なくとも1つの電解加工電流が前記基準電流から予め設定された所定範囲にないと判断されたとき、予め設定された基準時間毎に周期的に前記電解加工を中断させるとともに、前記電極から供給される前記電解加工液の流量が前記電解加工の中断の繰り返しに対応して多くなるように、前記電解加工液を前記被加工物の被加工部に供給する工程とを少なくとも備えることを特徴とする電気化学的穿孔加工方法。
JP2010024052A 2010-02-05 2010-02-05 電気化学的穿孔加工装置および電気化学的穿孔加工方法 Expired - Fee Related JP5582637B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010024052A JP5582637B2 (ja) 2010-02-05 2010-02-05 電気化学的穿孔加工装置および電気化学的穿孔加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010024052A JP5582637B2 (ja) 2010-02-05 2010-02-05 電気化学的穿孔加工装置および電気化学的穿孔加工方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011161527A JP2011161527A (ja) 2011-08-25
JP5582637B2 true JP5582637B2 (ja) 2014-09-03

Family

ID=44592829

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010024052A Expired - Fee Related JP5582637B2 (ja) 2010-02-05 2010-02-05 電気化学的穿孔加工装置および電気化学的穿孔加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5582637B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111451591A (zh) * 2020-03-19 2020-07-28 清华大学 微细电解加工用的镀银玻璃管电极及其制备方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS505139B1 (ja) * 1969-03-31 1975-02-28
JPS551779Y2 (ja) * 1976-02-16 1980-01-18
JPS6427815A (en) * 1987-07-21 1989-01-30 Toyota Motor Corp Pulse electrolytic machining method
JPH0577107A (ja) * 1991-09-18 1993-03-30 Mitsubishi Electric Corp 電解仕上げ加工装置の異常電流検出回路
JP2009255243A (ja) * 2008-04-18 2009-11-05 Hoden Seimitsu Kako Kenkyusho Ltd 電気化学的穿孔加工装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011161527A (ja) 2011-08-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009255243A (ja) 電気化学的穿孔加工装置
EP2158994B1 (en) Electro Discharge Machining Apparatus and Method
US8350177B2 (en) Electric discharge machining device that applies a voltage pulse between a processing electrode and a workpiece
JPWO2016136940A1 (ja) 電解加工装置及び電解加工方法
US20120217225A1 (en) Spark gap control for electro-discharge machining
JP2011067938A (ja) 電解加工に関するシステム及び装置
JP5582637B2 (ja) 電気化学的穿孔加工装置および電気化学的穿孔加工方法
JP4892718B2 (ja) 電解加工方法および電解加工装置
JP2009226504A (ja) ワイヤ放電加工装置
JP6514163B2 (ja) ワイヤ放電加工機
JP3835452B2 (ja) ワイヤ放電加工機の加工電源装置
JP2007307661A (ja) ワイヤ放電加工のモニタ装置
CN108349032B (zh) 放电加工机
JP6164611B2 (ja) 電解加工方法、電解加工用の工具電極および電解加工装置
JP4460132B2 (ja) 異形穴の電解加工方法
JP2008238237A (ja) ハンダ液面制御装置およびハンダ液面制御方法
JP5082066B2 (ja) 電解加工方法並びに電解加工装置
CN110860745B (zh) 微细电解线切割中的阴极产物在线去除方法及装置
CN104096932A (zh) 一种电化学微加工电极的制备方法及制备装置
JP2014167880A (ja) 液中プラズマ用電極および液中プラズマ発生装置
JP6318998B2 (ja) 電解分析装置
JP5130697B2 (ja) 電解加工方法及び凹凸面を有する部品の製造方法
JP2006297591A (ja) 化学エッチング支援放電加工ヘッド
JP3335741B2 (ja) 細穴放電加工装置
JP2002066845A (ja) 電解加工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110720

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20110720

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110722

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130108

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131211

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140423

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140507

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140709

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140714

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5582637

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees