JP5572796B2 - ゲラニルゲラニル化阻害による制御性t細胞の分化誘導およびその治療応用 - Google Patents

ゲラニルゲラニル化阻害による制御性t細胞の分化誘導およびその治療応用 Download PDF

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本発明は、タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤を有効成分として含有する制御性T細胞分化誘導剤、およびタンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することを特徴とする制御性T細胞分化誘導方法に関する。また本発明は、タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤を有効成分として含有するIL-17産生T細胞分化抑制剤、およびタンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することを特徴とするIL-17産生T細胞分化抑制方法に関する。さらに本発明は、タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤を有効成分として含有する免疫抑制剤、およびタンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することを特徴とする免疫抑制方法に関する。また本発明は、タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤を有効成分として含有する免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療剤、およびタンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することを特徴とする該疾患の防止および/または治療方法に関する。さらに本発明は、制御性T細胞分化誘導剤、IL-17産生T細胞分化抑制剤、免疫抑制剤、並びに免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療剤の製造におけるタンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤の使用に関する。また本発明は、制御性T細胞の分化誘導、IL-17産生T細胞分化抑制、免疫抑制処置、並びに免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療におけるタンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤の使用に関する。さらに本発明は、免疫抑制作用を有する化合物の同定方法に関する。
制御性T細胞(以下、Treg細胞と称することがある)は、免疫抑制活性を持ち、免疫寛容の維持に重要な役割を担っていることが知られている(非特許文献1)。そして近年の研究により、転写因子FOXP3(Forkhead Box P3)がTreg細胞に特異的に発現し、Treg細胞分化の主要制御因子(master regulator)として機能することが明らかになった(非特許文献1)。FOXP3がTreg細胞の分化に必須であることは、FOXP3遺伝子に変異が認められる多発性内分泌症(polyendocrinopathy)、腸症(enteropathy)、伴性劣性遺伝子症候群(X-linked syndrome;IPEX)の患者でTreg細胞の機能不全が認められることにより強く示唆されている。
Treg細胞は、強い免疫抑制活性を有するため、その特異的な分化誘導法の確立は、自己免疫疾患のみならず、アレルギー疾患や移植片拒絶など、多くの免疫異常状態の治療に役立つと考えられている。これまでに、トランスフォーミング成長因子−β(TGF-β)がTreg細胞の分化を誘導することが知られているが(非特許文献1)、TGF-βは自己免疫疾患の誘導に関与するインターロイキン-17(IL-17)産生T細胞(Th17細胞)の分化も誘導することが示されており(非特許文献2)、Treg細胞の分化を特異的かつ効率的に誘導する方法の開発が望まれている。
一方近年、メバロン酸経路の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を阻害するHMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)が、コレステロール低下作用以外に自己免疫疾患抑制作用を有することが報告された(非特許文献3)。さらに近年、スタチンがTreg細胞を増加させることも報告されている(非特許文献4)。
メバロン酸経路は内因性のコレステロール合成経路であり、その中間代謝産物のファルネシルピロリン酸はイソプレニルピロリン酸と縮合してゲラニルゲラニルピロリン酸となる。ゲラニルゲラニルピロリン酸やファルネシルピロリン酸は、タンパク質、例えば低分子量Gタンパク質を修飾し活性化させる作用を有する。ゲラニルゲラニルピロリン酸で修飾される低分子量Gタンパク質としてRhoやRapなどが、またファルネシルピロリン酸で修飾される低分子量Gタンパク質としてRasなどが知られている。低分子量Gタンパク質は細胞の分化増殖に関与することが知られており、ゲラニルゲラニルピロリン酸やファルネシルピロリン酸による修飾は、低分子量Gタンパク質の細胞膜への親和性を増すことを介して、該低分子量Gタンパク質の作用の調節に関与すると考えられている。
サカグチ(Sakaguchi S.)ら、「イムノロジカル レビューズ(Immunological Reviews)」、2006年、第212巻、p.8-27。 ウィーバー(Weaver C. T.)ら、「ネイチャー レビュー イムノロジー(Nature Review Immunology)」、2006年、第24巻、p.677-688。 グリーンウッド(Greenwood J.)ら、「オーガニック レターズ(Organic Letters)」、2006年、第6巻、第5号、p.358-370。 マウスナーフェインバーグ(Mausner-Fainberg K.)ら、「アテロスクレロシス(Atherosclerosis)」、2008年、第197巻、第2号、p.829-839、電子公開(Epub):2007年9月10日。
本発明の目的は、Treg細胞の分化を誘導して該細胞を増加させる方法および薬剤、並びに免疫抑制方法および免疫抑制剤を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、Treg細胞の分化あるいは機能とメバロン酸経路との関連性について鋭意研究を行った。そして、メバロン酸経路の中間代謝産物であるゲラニルゲラニルピロリン酸のタンパク質への縮合反応であるゲラニルゲラニル化の阻害剤により、Treg細胞の分化が誘導され、Th17細胞の分化が抑制されることを見いだした。本発明はこれら知見に基づいて達成したものである。
即ち、本発明は以下に関する。
(1)タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤を有効成分として含有する免疫抑制剤。
(2)タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤の、免疫抑制剤の製造における使用。
(3)タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤の、免疫抑制処置における使用。
(4)タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することを特徴とする免疫抑制方法。
(5)タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤を有効成分として含有する免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療剤。
(6)タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤の、免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療剤の製造における使用。
(7)タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤の、免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療における使用。
(8)タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することを特徴とする免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療方法。
(9)タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤を有効成分として含有する制御性T細胞分化誘導剤。
(10)タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤の、制御性T細胞分化誘導剤の製造における使用。
(11)タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤の、制御性T細胞の分化誘導における使用。
(12)タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することを特徴とする制御性T細胞の分化誘導方法。
(13)タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤を有効成分として含有するIL-17産生T細胞分化抑制剤。
(14)タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤の、IL-17産生T細胞分化抑制剤の製造における使用。
(15)タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤の、IL-17産生T細胞の分化抑制における使用。
(16)タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することを特徴とするIL-17産生T細胞分化抑制方法。
(17)免疫抑制作用を有する化合物の同定方法であって、(i)ある化合物(被験化合物)の存在下および非存在下でタンパク質のゲラニルゲラニル化反応を行い、(ii)ゲラニルゲラニル化タンパク質の検出を行い、(iii)被験化合物の存在下におけるタンパク質のゲラニルゲラニル化と被験化合物の非存在下におけるものとを比較し、(iv)被験化合物の存在下におけるタンパク質のゲラニルゲラニル化が被験化合物の非存在下におけるものと比較して低下したとき、該被験化合物は免疫抑制作用を有すると判定することを含む方法。
本発明によれば、Treg細胞分化誘導剤、Th17細胞分化抑制剤、免疫抑制剤、並びに免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療剤を提供できる。これら薬剤は、タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤を有効成分として含有することを特徴とする。また本発明は、Treg細胞分化誘導剤、Th17細胞分化抑制剤、免疫抑制剤、並びに免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療剤の製造におけるタンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤の使用を提供できる。さらに本発明は、Treg細胞分化誘導、Th17細胞分化抑制、免疫抑制処置、並びに免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療におけるタンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤の使用を提供できる。
本発明によればまた、タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することを特徴とするTreg細胞分化誘導方法、Th17細胞分化抑制方法、免疫抑制方法、並びに免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療方法を提供できる。
本発明によればさらに、タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害する作用を指標にして化合物を選択することを特徴とする免疫抑制作用を有する化合物の同定方法を提供できる。
シンバスタチン(simvastatin)によりその用量依存的にFOXP3陽性IL-17陰性細胞の割合が増加し、また、FOXP3陰性IL-17陽性細胞の割合が減少したことを示す図である。図中、各パネル内に示した数字はFOXP3陽性IL-17陰性細胞の割合を示し、各パネル上部に示した数字はFOXP3陰性IL-17陽性細胞の割合を示す。また、図中、Th17とはTh17細胞分化誘導条件で培養したCD4陽性細胞を意味し、TregとはTreg細胞分化誘導条件で培養したCD4陽性細胞を意味する。(実施例1) ゲラニルゲラニル化阻害剤GGTI-298は、培養CD4陽性細胞中のFOXP3陽性細胞の割合を増加させたが、ファルネシル化阻害剤FTI-277は影響しなかったことを示す図である。図中、各パネル内に示した数字はFOXP3陽性細胞の割合を示す。また、Th17とはTh17細胞分化誘導条件で培養したCD4陽性細胞を意味し、TregとはTreg細胞分化誘導条件で培養したCD4陽性細胞を意味する。vehicleとは、阻害剤の代わりに該阻害剤の溶媒を用いたコントロールを意味する。(実施例1) ゲラニルゲラニル化阻害剤GGTI-298は、培養CD4陽性細胞におけるFOXP3 mRNAの発現を用量依存的に誘導したが、ファルネシル化阻害剤FTI-277は影響しなかったことを示す図である。縦軸は相対的発現(Relative expression)を示す。(実施例1) ゲラニルゲラニル化阻害剤GGTI-298は、培養CD4陽性細胞におけるRORγt mRNAの発現を用量依存的に誘導したが、ファルネシル化阻害剤FTI-277は影響しなかったことを示す図である。縦軸は相対的発現(Relative expression)を示す。(実施例1) ゲラニルゲラニル化阻害剤GGTI-298は、Th17細胞分化誘導条件にて培養したCD4陽性細胞からの、抗CD3抗体による再刺激でのIL-17産生を濃度依存的に抑制したが、ファルネシル化阻害剤FTI-277は影響しなかったことを示す図である。縦軸は産生量(pg/ml)を示す。(実施例1) BALB/cマウスから調製したCD4陽性CD25陰性T細胞を重症免疫不全(SCID)マウスの腹腔内に注入することにより作製した大腸炎モデルマウスにおいて、GGTI-298およびTGF-βの存在下で抗CD3ε抗体および抗CD28抗体で刺激したCD4陽性CD25陰性T細胞を共に移入することにより、大腸炎の重症度が有意に軽減したことを示す図である。大腸炎の重症度は組織学的スコア(Histological score)により示した。図中、CD4CD25はCD4陽性CD25陰性T細胞を、TGF-β+GGTIはGGTI-298およびTGF-βの存在下で抗体により刺激したCD4陽性CD25陰性T細胞を、TGF-β+vehicleは、GGTI-298の代わりにその溶媒とTGF-βの存在下で抗体により刺激したCD4陽性CD25陰性T細胞を意味する。*p<0.05。(実施例2) BALB/cマウスから調製したCD4陽性CD25陰性T細胞を重症免疫不全(SCID)マウスの腹腔内に注入することにより作製した大腸炎モデルマウスにおいて、GGTI-298およびTGF-βの存在下で抗CD3ε抗体および抗CD28抗体で刺激したCD4陽性CD25陰性T細胞を共に移入することにより、体重低下率(% change of body weight)が有意に軽減したことを示す図である。図中、CD4CD25はCD4陽性CD25陰性T細胞を、TGF-β+GGTIはGGTI-298およびTGF-βの存在下で抗体により刺激したCD4陽性CD25陰性T細胞を、TGF-β+vehicleは、GGTI-298の代わりにその溶媒とTGF-βの存在下で抗体により刺激したCD4陽性CD25陰性T細胞を意味する。*p<0.05。(実施例2)
本発明は、タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することを特徴とするTreg細胞分化誘導剤、Th17細胞分化抑制剤、免疫抑制剤、並びに免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療剤に関する。また、本発明は、タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することを特徴とするTreg細胞分化誘導方法、Th17細胞分化抑制方法、免疫抑制方法、並びに免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療方法に関する。
タンパク質のゲラニルゲラニル化は、タンパク質のプレニル化(イソプレニル化またはポリイソプレニル化ともいう)の一種であり、ある種のタンパク質のC末端部分のシステインに20炭素イソプレノイドであるゲラニルゲラニルピロリン酸がタンパク質ゲラニルゲラニル転移酵素によりチオエーテル結合を介して縮合することをいう。ゲラニルゲラニル転移酵素には、タンパク質のC末端部分の配列CAAX(Cはシステイン、Aは脂肪族アミノ酸、およびXはセリンまたはロイシン)を認識するもの、あるいは配列CXCやCCを認識するものが知られている。同様のプレニル化であるファルネシル化は、ある種のタンパク質のC末端部分のシステインに15炭素イソプレノイドであるファルネシルピロリン酸がタンパク質ファルネシル転移酵素により縮合する反応である。プレニル化は、タンパク質の細胞内局在に深く関与すると考えられている。
タンパク質に結合したゲラニルゲラニル基は、タンパク質を細胞膜に繋留するアンカー機能を有すると考えられており、また、他のタンパク質により認識されて特異的なタンパク質間相互作用をもたらす場合もあることが知られている。ゲラニルゲラニル化されるタンパク質として、例えば、低分子量Gタンパク質であるRhoやRapが知られている。RhoやRapは、細胞の分化増殖に関与する。
本発明においては、タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することにより、Treg細胞の割合が増加すること、および、Th17細胞の割合が減少することを見出した。さらに、Treg細胞のこのような増加は該細胞の分化誘導が促進されたことによること、および、Th17細胞のこのような減少は該細胞の分化が抑制されたことによることを明らかにした。
具体的には、ゲラニルゲラニル化阻害剤GGTI-298は、マウスCD4陽性細胞をTreg細胞分化誘導条件下またはTh17細胞分化誘導条件下で培養したとき、該培養においてFOXP3陽性細胞を増加させ、そしてRORγt陽性細胞を減少させた(実施例1参照)。FOXP3はTreg細胞分化の主要制御因子であり、RORγtはTh17細胞分化の主要制御因子である。したがって、ゲラニルゲラニル化阻害剤GGTI-298は、Treg細胞の分化誘導を促進し、また、Th17細胞の分化を抑制したということができる。一方、ファルネシル化阻害剤FTI-277は、同じ条件下においてマウスCD4陽性細胞を培養したときに、FOXP3陽性細胞数およびRORγt陽性細胞数に殆ど影響しなかった(実施例1参照)。実施例1では、Th17細胞分化誘導条件として、TGF-β、IL-6、抗IL-4抗体、および抗IFN-γ抗体が添加された条件を用いた。また、Treg細胞分化誘導条件として、TGF-βおよびIL-2が添加された条件を用いた。
上記のように、タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤は、Treg細胞の分化誘導を促進して該細胞を増加させる作用、および、Th17細胞の分化を抑制して該細胞を減少させる作用を有する。
タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤とは、タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害する作用を有する化合物からなる薬剤を意味する。タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤は、好ましくは、ゲラニルゲラニル転移酵素阻害剤であり得る。ゲラニルゲラニル転移酵素阻害剤とは、ゲラニルゲラニル転移酵素の基質タンパク質への作用を阻害する化合物からなる薬剤を意味する。ゲラニルゲラニル転移酵素阻害剤は、好ましくはゲラニルゲラニル転移酵素直接阻害剤であり得る。ゲラニルゲラニル転移酵素直接阻害剤とは、ゲラニルゲラニル転移酵素またはその基質タンパク質に直接的に作用して、該酵素の該基質タンパク質への作用を阻害する化合物からなる薬剤を意味する。タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤として、ゲラニルゲラニル転移酵素を阻害する化合物GGTI-298、GGTI-297、GGTI-286、GGTI-287、GGTI-2133やGGTI-2147からなる薬剤を例示できる。スタチンは、メバロン酸経路の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を阻害することができ、それにより、該経路の中間代謝産物であるゲラニルゲラニルピロリン酸の生産を低減させ、その結果、タンパク質のゲラニルゲラニル化をも阻害し得るが、本発明に係るタンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤の範囲には包含しない。
本発明によれば、タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤を有効成分として含有するTreg細胞分化誘導剤、および、Th17細胞分化阻害剤を提供できる。
Treg細胞は、FOXP3を発現するCD4陽性CD25陽性細胞であり、強い免疫抑制活性を有する。Treg細胞の分化誘導とは、未分化なT細胞をTreg細胞に成熟させることをいう。例えば、FOXP3を発現していないCD4陽性T細胞であって特定の機能を有さないT細胞をTreg細胞に成熟させることをいう。未分化なT細胞とは、特定の機能を有さないT細胞であって、何らかの刺激により、特定の機能を有するT細胞に分化し得るT細胞を意味する。
Th17細胞は、RORγtを発現するCD4陽性であり、IL-17を産生する。Th17細胞の分化抑制とは、未分化なT細胞からのTh17細胞への成熟を妨げることをいう。例えば、RORγtを発現していないCD4陽性T細胞であって特定の機能を有さないT細胞からのTh17細胞への成熟を妨げることをいう。
Treg細胞は強い免疫抑制活性を有するため、Treg細胞の分化を誘導し該細胞を増加させることにより、免疫抑制効果を得ることができる。実際、Treg細胞の移入により、マウス自己免疫疾患モデルにおいて疾患活動性が抑制されたことが報告されている(サロモン(Salomon B.)ら、「イムニティー(Immunity)」、2000年、第12巻、p.431-440;ウー(Wu A. J.)ら、「プロシーディング オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシズ オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ(Proceeding of the National Academy of Sciences of the United States of America)」、2002年、第99巻、p.12287-12292;コーム(Kohm A. P.)ら、「ザ ジャーナル オブ イムノロジー(The Journal of Immunology)」、2002年、第169巻、p.4712-4716)。また、マウスにおいて、Treg細胞の移入により移植片対宿主病(graft-versus-host disease)が抑制されたことが報告されている(テーラー(Taylor P. A.)ら、「ブラッド(Blood)」、2002年、第99巻、p.3493-3499;ホフマン(Hoffmann P.)ら、「ザ ジャーナル オブ エクスペリメンタル メディシン(The Journal of Experimental Medicine)」、2002年、第196巻、p.389-399)。
また、実施例2に示すように、CD4陽性CD25陰性T細胞の移入により作製した自己免疫性大腸炎モデルマウスにおいて、該細胞を移入するときに、GGTI-298およびTGF-βの存在下で培養したCD4陽性CD25陰性T細胞を共に移入することにより大腸炎が軽減された。この結果から、GGTI-298およびTGF-βの存在下でCD4陽性CD25陰性T細胞を培養することにより、Treg細胞であるFOXP3陽性CD4陽性T細胞が誘導され、そして該誘導された細胞がin vivoで自己免疫性大腸炎の発症を阻害することが示唆される。
一方、Th17細胞は自己免疫疾患の誘導に関与するため、Th17細胞の分化を抑制し該細胞を減少させることにより、自己免疫疾患の誘導を抑制することができる。
したがって、タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することにより、Treg細胞の分化誘導およびTh17細胞の分化抑制が可能であり、それによりさらには免疫反応を抑制することができる。
本発明によれば、タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤を有効成分として含有する免疫抑制剤を提供できる。
免疫抑制剤とは、免疫系を抑制して免疫反応を低減させる薬剤をいう。
免疫抑制剤は、免疫抑制処置において使用される。免疫抑制処置とは、本明細書において使用される限り、個体における免疫反応の程度および/または頻度の軽減する処置を意味する。
免疫抑制剤は、臓器や組織あるいは細胞の移植において生じる拒絶反応の抑制に適用される。例えば移植片対宿主病(graft-versus host disease)や宿主対移植片病(host-versus-graft disease)の処置に適用される。
免疫抑制剤はまた、通常より免疫反応が亢進している疾患の防止および/または治療において使用される。通常より免疫反応が亢進している疾患として、自己免疫疾患やそれによると推定される疾患、および炎症性疾患を挙げることができる。自己免疫疾患は、本来は細菌やウイルスなどの自己と異なる物質を認識し排除する役割を持つ免疫系が、自己の正常な細胞や組織に反応して細胞破壊、生理機能低下、炎症などの様々な症状をきたす疾患の総称である。自己免疫疾患として、関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、クローン病、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎などの疾患を例示できる。炎症性疾患とは、生体が何らかの有害な刺激を受けたときに免疫応答が働き、その結果産生された炎症メディエーターにより生じる局所反応および全身反応を伴う疾患をいう。炎症性疾患には、アレルギー性疾患が含まれる。
本発明によれば、タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤を有効成分として含有する免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療剤を提供できる。
本発明に係る薬剤は、タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤以外に、TGF-βを含有することができる。TGF-βの存在下で抗原などの刺激により未分化なT細胞からTreg細胞の分化を誘導できることが知られており、そのためタンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤とTGF-βとを併せて用いることにより、Treg細胞の分化誘導効果が高くなると期待され、ひいては強い免疫抑制効果を得られると考えることができる。TGF-βはTh17細胞の分化も誘導するが、実施例に示すようにTGF-βの存在下であってもタンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤GGTI-298がTh17細胞の分化を阻害したことから、本発明に係る薬剤にTGF-βが含まれていてもTh17細胞の分化が誘導されることはないと考えることができる。
本発明に係る薬剤は、上記成分の他、免疫抑制効果を有する化合物を含有することができる。
本発明に係る薬剤はまた、有効成分の他、必要に応じて、一般に用いられる各種成分をさらに含み得るものであり、例えば、1種以上の医薬的に許容され得る賦形剤、崩壊剤、希釈剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、懸濁化剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、補助剤、防腐剤、緩衝剤、結合剤、安定剤、コーティング剤などを含み得る。
投与経路は、全身投与または局所投与のいずれも選択することができる。この場合、疾患、症状などに応じた適当な投与経路を選択する。本発明に係る薬剤は、経口経路、非経口経路のいずれによっても投与できる。非経口経路としては、通常の静脈内投与、動脈内投与の他、皮下、皮内、筋肉内などへの投与を挙げることができる。さらに、経粘膜投与または経皮投与を実施することができる。
剤形は、特に限定されず、種々の剤形、例えば、経口投与のためには、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁液、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤とすることができる。非経口剤としては、例えば、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤などの注射剤;経皮投与または貼付剤、軟膏またはローション;口腔内投与のための舌下剤、口腔貼付剤;ならびに経鼻投与のためのエアゾール剤;坐剤とすることができるが、これらには限定されない。これらの製剤は、製剤工程において通常用いられる公知の方法により製造することができる。また本発明に係る薬剤は、持続性または徐放性剤形であってもよい。
経口用固形製剤を調製する場合は、有効成分に賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤などを加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などを製造することができる。そのような添加剤としては、当該分野で一般的に使用されるものでよく、例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸などを、結合剤としては、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドンなどを、崩壊剤としては乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖などを、滑沢剤としては精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコールなどを、矯味剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などを例示できる。
経口用液体製剤を調製する場合は、有効成分に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤などを加えて常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤などを製造することができる。この場合矯味剤としては上記に挙げられたもので良く、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウムなどが、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチンなどを挙げることができる。
注射剤を調製する場合は、有効成分にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤などを添加し、常法により皮下、筋肉内及び静脈内用注射剤を製造することができる。この場合のpH調節剤及び緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどを挙げることができる。安定化剤としてはピロ亜硫酸ナトリウム、 エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、チオグリコール酸、チオ乳酸などを挙げることができる。局所麻酔剤としては塩酸プロカイン、塩酸リドカインなどを挙げることができる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖などが例示できる。
坐剤を調製する場合は、有効成分に当業界において公知の製剤用担体、例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセライドなどを、さらに必要に応じてツイーン(登録商標)のような界面活性剤などを加えた後、常法により製造することができる。
軟膏剤を調製する場合は、有効成分に通常使用される基剤、安定剤、湿潤剤、保存剤などが必要に応じて配合され、常法により混合、製剤化される。基剤としては、流動パラフィン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オクチルドデシルアルコール、パラフィンなどを挙げることができる。保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどを挙げることができる。
貼付剤を製造する場合は、通常の支持体に前記軟膏、クリーム、ゲル、ペーストなどを常法により塗布すれば良い。支持体としては、綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布や軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタンなどのフィルムあるいは発泡体シートが適当である。
薬剤に含有される有効成分の量は、該有効成分の用量範囲や投薬の回数などにより適宜決定できる。
用量範囲は特に限定されず、含有される成分の有効性、投与形態、投与経路、疾患の種類、対象の性質(体重、年齢、病状および他の医薬の使用の有無など)、および担当医師の判断など応じて適宜選択される。一般的には適当な用量は、例えば対象の体重1kgあたり約0.01μg乃至100mg程度、好ましくは約0.1μg乃至1mg程度の範囲であることが好ましい。しかしながら、当該分野においてよく知られた最適化のための一般的な常套的実験を用いてこれらの用量の変更を行うことができる。上記投与量は1日1回乃至数回に分けて投与することができる。
タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤は、このように、Treg細胞分化誘導剤、Th17細胞分化抑制剤、免疫抑制剤、並びに免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療剤の製造に使用できる。
タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤はまた、Treg細胞分化誘導方法、Th17細胞分化抑制方法、免疫抑制方法、並びに免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療方法に使用できる。
本発明はまた、タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することを特徴とするTreg細胞分化誘導方法およびTh17細胞分化抑制方法を提供する。Treg細胞分化誘導方法およびTh17細胞分化抑制方法は、インビトロ(in vivo)およびインビボ(in vitro)のいずれにおいても実施できる。
タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することは、好ましくはゲラニルゲラニル転移酵素の基質タンパク質への作用を阻害すること、より好ましくはゲラニルゲラニル転移酵素を直接的に阻害することであり得る。タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することは、例えば、上記ゲラニルゲラニル阻害剤を使用することにより実施できる。
具体的には、インビトロにおけるTreg細胞分化誘導方法は、未分化なT細胞または未分化なT細胞を含む細胞集団をインビトロでゲラニルゲラニル阻害剤と接触させて培養することによりを実施できる。インビトロにおけるTh17細胞分化抑制方法は、Th17細胞またはTh17細胞を含む細胞集団をインビトロでゲラニルゲラニル阻害剤と接触させて培養することによりを実施できる。培養条件および培養期間は、簡単な繰り返し実験により容易に決定できる。
インビボにおけるTreg細胞分化誘導方法およびTh17細胞分化抑制方法はいずれも、ゲラニルゲラニル阻害剤を、これら方法を必要とする対象に投与することにより実施できる。
本発明はさらに、タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することを特徴とする免疫抑制方法、並びに免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療方法を提供する。これら方法は、例えば、上記薬剤を適当な投与経路で対象に投与することにより実施できる。あるいは、これら方法は、タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤を使用してTreg細胞をインビトロにおいて分化誘導し、得られたTreg細胞を適当な投与経路で対象に投与することにより実施できる。Treg細胞のインビトロにおける分化誘導は、Treg細胞に分化し得る細胞を含む試料をタンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤で適当な条件下で培養することにより実施できる。Treg細胞に分化し得る細胞を含む試料として、具体的にはCD4陽性細胞を含む試料を例示できる。CD4陽性細胞を含む試料として、例えば血液試料、血液試料から常法により分画して得られる単核細胞試料、さらにこのような試料から常法により純化したCD4陽性細胞試料などを使用できる。培養条件および培養期間は、簡単な繰り返し実験により容易に決定することができる。
本発明は、また、免疫抑制作用を有する化合物の同定方法を提供する。本発明においては、タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤が、Treg細胞の分化誘導を促進して該細胞を増加させる作用、および、Th17細胞の分化を抑制して該細胞を減少させる作用を有することを明らかにした。また、Treg細胞が強い免疫抑制作用を有すること、および、Th17細胞が自己免疫疾患の誘導に関与することから、タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤は免疫抑制作用を有すると考えることができる。これらから、タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害する作用を有する化合物はTreg細胞の分化誘導を促進する作用、Th17細胞の分化抑制作用、さらに免疫抑制作用を有すると考えることができる。
したがって、免疫抑制作用を有する化合物の同定方法は、タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害する作用を指標にして化合物を選択することにより実施できる。また、本同定方法により、Treg細胞の分化誘導作用を有する化合物、およびTh17細胞の分化抑制作用を有する化合物の同定を実施できる。
本発明に係る同定方法は、例えば、タンパク質のゲラニルゲラニル化を測定する実験系を用いて実施できる。このような実験系において、(i)ある化合物(以下、被験化合物と称する)の存在下および非存在下でタンパク質のゲラニルゲラニル化反応を行い、(ii)タンパク質のゲラニルゲラニル化を検出し、(iii)被験化合物の存在下におけるタンパク質のゲラニルゲラニル化と被験化合物の非存在下におけるものとを比較し、(iv)被験化合物の存在下におけるタンパク質のゲラニルゲラニル化が被験化合物の非存在下におけるものと比較して低下したとき、該被験化合物は免疫抑制作用を有する、あるいはTreg細胞の分化誘導作用およびTh17細胞の分化抑制作用を有すると判定する。
タンパク質のゲラニルゲラニル化を測定する実験系は、インビトロの実験系でもよく、インビボの実験系でもよい。例えば、ゲラニルゲラニル化され得るタンパク質、ゲラニルゲラニル転移酵素、およびゲラニルゲラニルピロリン酸を用いるインビトロの実験系や、細胞を用いる実験系を使用できる。ゲラニルゲラニル化されるタンパク質として、低分子量Gタンパク質、例えばRhoやRapを好ましく使用することができる。
タンパク質のゲラニルゲラニル化の検出は、ゲラニルゲラニル化されたタンパク質自体を検出すること、または、タンパク質のゲラニルゲラニル化を検出し得るマーカーを使用する系を用いて該マーカーの存在若しくは不存在または変化を測定することにより実施できる。
タンパク質のゲラニルゲラニル化を測定する実験系として、ヴォークト(Vogt A.)らの報告(「ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」、1995年、第270巻、p.660-664)に記載の実験系が例示できる。具体的には、ゲラニルゲラニル転移酵素として、細胞、例えばヒトバーキットリンパ腫細胞(Dauji細胞)から公知の方法で調製した試料を用い、ゲラニルゲラニル化され得るタンパク質としてHa-Ras-CVLL(C末端にCVLL(ここで、Cはシステイン、Vはバリン、Lはロイシンである)配列を有するHa-Ras変異体)を用い、および[3H]標識ゲラニルゲラニルピロリン酸を用いて、これらを適当な条件下で反応させる。反応後、[3H]標識ゲラニルゲラニルピロリン酸によりゲラニルゲラニル化されたHa-Ras-CVLLを、例えば、薄層クロマトグラフィなどで分離しその放射活性を測定することにより、タンパク質のゲラニルゲラニル化を検出する。当該反応を被験化合物の存在下および非存在下で実施し、被験化合物の存在下における放射活性と被験化合物の非存在下におけるものとを比較し、被験化合物の存在下における放射活性が被験化合物の非存在下におけるものと比較して低下したとき、該被験化合物は免疫抑制作用を有する、あるいはTreg細胞の分化誘導作用およびTh17細胞の分化抑制作用を有すると判定する。タンパク質のゲラニルゲラニル化を測定する実験系およびタンパク質のゲラニルゲラニル化の検出方法は、タンパク質のゲラニルゲラニル化を測定および検出し得る限りにおいて本例示に限定されることはなく、公知の実験系および検出方法を用いることができる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。
メバロン酸経路において下流に位置するゲラニルゲラニル化およびファルネシル化のそれぞれの阻害剤の、Treg細胞およびTh17細胞の分化への効果を検討した。具体的には、マウスCD4陽性T細胞を、HMG-CoA還元酵素阻害剤、ゲラニルゲラニル化阻害剤、またはファルネシル化阻害剤の存在下、Treg細胞分化誘導条件またはTh17細胞分化誘導条件で培養し、Treg細胞およびTh17細胞を測定した。Treg細胞の測定は、該細胞の分化の主要制御因子であるFOXP3の細胞内発現を指標に測定した。また、Th17細胞は該細胞の分化の主要制御因子であるRORγtの細胞内発現を指標に測定した。
(実験材料と方法)
1.試薬
培養液は、RPMI1640に牛胎仔血清(FCS)10%、ストレプトマイシン、ペニシリン、2メルカプトエタノール(2ME)を添加して用いた。抗CD3抗体(145-2C11)、抗CD28抗体(37.51)、抗IL-4抗体(11B11)、および抗IFN-γ抗体(XMG1.2)はBD Biosciences社から購入した。マウスIL-2およびIL-6はPepro Tech Inc社より、ヒトTGF-βはR&D systems社より購入した。HMG-CoA還元酵素阻害剤シンバスタチンは、メルク社より供与された。ゲラニルゲラニル化阻害剤GGTI-298およびファルネシル化阻害剤FTI-277はCalbiochem社から購入した。
2.細胞培養
8−10週齢のBALB/cマウスの脾臓からMACSカラム(Miltenyi Biotec社製)を用いてCD4陽性T細胞を純化し、固相化抗CD3抗体および抗CD28抗体(2μg/ml)で刺激した。Th17細胞分化誘導条件では、TGF-β(2ng/ml)、IL-6(20ng/ml)、抗IL-4抗体(15μg/ml)、および抗IFN-γ抗体(15μg/ml)を添加した。Treg細胞分化誘導条件では、TGF-β(2ng/ml)およびIL-2(10ng/ml)を添加した。
3.細胞内染色法
培養72時間後に細胞を回収し、抗FOXP3抗体(eBicosciences社製)を用いて細胞内染色を行い、FACSCalibur(BD Biosciences社製)にて解析した。
4.酵素免疫固相法(ELISA)による解析
Th17細胞分化誘導条件にて72時間培養した細胞を、固相化抗CD3抗体にて再刺激し、7時間後の培養上清を回収した。上清中のIL-17濃度をELISAキット(R&D systems社製)にて測定した。
5.リアルタイムPCR解析
細胞からイソゲン(isogen、Wako社製)を用い全RNAを抽出し、iScript cDNA合成キット(BioRad社製)を使用しcDNA を合成した。FOXP3、RORγt、およびβ−アクチンmRNAの発現をABI PRISM 7300 配列決定システム(Applied Biosystems社製)を使用して定量し、FOXP3 mRNAおよびRORγt mRNAの発現レベルをβ−アクチンを用いて標準化した。
(結果)
1.Treg細胞およびTh17細胞の分化へのシンバスタチンの効果
Treg細胞分化誘導条件下およびTh17細胞分化誘導条件下でCD4陽性T細胞を抗CD3抗体および抗CD28抗体で刺激する実験系にシンバスタチンを添加し、その効果を検討した。
その結果、シンバスタチンは、いずれの条件下においても用量依存的に、FOXP3陽性IL-17陰性細胞を増加させた(図1)。具体的には、FOXP3陽性IL-17陰性細胞は、シンバスタチン非存在下でTreg細胞分化誘導条件で培養した細胞では17.73%であったが、シンバスタチン2μM存在下で同条件で培養した細胞では33.91%であった。また、FOXP3陽性IL-17陰性細胞は、シンバスタチン非存在下でTh17細胞分化誘導条件で培養した細胞では6.63%であったが、シンバスタチン2μM存在下で同条件で培養した細胞では19.15%であった。
一方、シンバスタチンは、いずれの条件下においても用量依存的に、FOXP3陰性IL-17陽性細胞を減少させた(図1)。具体的には、FOXP3陰性IL-17陽性細胞は、シンバスタチン非存在下でTh17細胞分化誘導条件で培養した細胞では8.54%であったが、シンバスタチン2μM存在下で同条件で培養した細胞では4.40%であった。また、FOXP3陰性IL-17陽性細胞は、シンバスタチン非存在下でTreg細胞分化誘導条件で培養した細胞では0.72%であったが、シンバスタチン2μM存在下で同条件で培養した細胞では0.22%であった。
これら結果から、シンバスタチンはFOXP3陽性IL-17陰性細胞であるTreg細胞の分化を誘導し、FOXP3陰性IL-17陽性細胞であるTh17細胞の分化を抑制することが確認できた。
2.Treg細胞およびTh17細胞の分化へのゲラニルゲラニル化阻害剤およびファルネシル化阻害剤の効果
Treg細胞分化誘導条件下およびTh17細胞分化誘導条件下でCD4陽性T細胞を抗CD3抗体および抗CD28抗体で刺激する実験系にゲラニルゲラニル化阻害剤GGTI-298およびファルネシル化阻害剤FTI-277を添加し、その効果を検討した。
その結果、GGTI-298はいずれの条件においてもFOXP3陽性細胞を増加させたが、FTI-277はFOXP3陽性細胞を増加させなかった(図2)。具体的には、FOXP3陽性細胞は、Treg細胞分化誘導条件で培養した細胞では27.87%であったが、GGTI-298 5μM存在下で同条件で培養した細胞では48.95%であった。一方、FTI-277 5μM存在下で同条件で培養した細胞では29.22%であった。また、FOXP3陽性細胞は、Th17細胞分化誘導条件で培養した細胞では5.39%であったが、FTI-277 5μM存在下で同条件で培養した細胞では45.26%であった。一方、FTI-277 5μM存在下で同条件で培養した細胞では6.32%であった。
同様の実験で、FOXP3の発現をmRNAレベルで検討したところ、GGTI-298はFOXP3 mRNAの発現を誘導したが、FTI-277はFOXP3 mRNAの発現に影響しなかった(図3-A)。他方、Th17細胞分化の主要制御因子RORγtの発現は、GGTI-298により濃度依存的に抑制されたが、FTI-277による影響は観察されなかった(図3-B)。
これら結果から、ゲラニルゲラニル化阻害剤により、Treg細胞の分化を誘導できることが明らかになった。また、ゲラニルゲラニル化阻害剤により、RORγtの発現が抑制されることから、Th17細胞の分化を抑制できると考えることができる。
3.IL-17産生へのゲラニルゲラニル化阻害剤およびファルネシル化阻害剤の効果
Th17細胞分化誘導条件にて培養したCD4陽性細胞を抗CD3抗体にて再刺激する実験系に、ゲラニルゲラニル化阻害剤GGTI-298およびファルネシル化阻害剤FTI-277を添加し、該細胞によるIL-17産生に対する各阻害剤の効果を検討した。
GGTI-298は濃度依存的にIL-17産生を抑制したが、FTI-277はIL-17産生を抑制しなかった(図4)。
この結果から、ゲラニルゲラニル化阻害剤により、IL-17の産生を抑制できることが明らかになった。
本実施例に示した結果から、ゲラニルゲラニル化抑制作用を有する化合物は、Treg細胞の分化誘導とTh17細胞の分化抑制の二つの機構を介して免疫の抑制に作用すると考えることができる。
ゲラニルゲラニル化阻害剤GGTI-298により誘導されるTreg細胞のin vivoにおける作用を検討した。具体的には、自己免疫性大腸炎モデルマウスを使用し、GGTI-298およびTGF-β存在下でCD4陽性CD25陰性T細胞を培養して得られる細胞の該マウスへの移入効果を検討した。
(実験材料と方法)
1.自己免疫性大腸炎モデルマウスの作製
BALB/cマウスから調製したCD4陽性CD25陰性T細胞を重症免疫不全(SCID)マウスの腹腔内に1匹あたり4×105個注入することにより、大腸炎モデルマウスを作成した。BALB/cマウスからのCD4陽性CD25陰性T細胞の調製は、既報に記載された方法に順じて行った(ファンティニ(Fantini, M. C.)ら、「ヨーロピアン ジャーナル オブ イムノロジー(European Journal of Immunology)」、2007年、第37巻、p.3155-3163)。
一部のSCIDマウスには、CD4陽性CD25陰性T細胞を、GGTI-298(5μM)およびTGF-β(1ng/ml)の存在下、あるいは、GGTI-298の溶媒およびTGF-β(1ng/ml)の存在下、固相化抗CD3εモノクローナル抗体および抗CD28モノクローナル抗体で3日間刺激したものを、無処理のCD4陽性CD25陰性T細胞と共に移入した。TGF-βの存在下で固相化抗CD3εモノクローナル抗体および抗CD28モノクローナル抗体で細胞を培養する条件では、Treg細胞の分化が誘導される。
2.細胞移入効果の解析
マウスの体重変化は毎日観察した。6週間後、組織学的解析を行い、組織学的スコアの評価を既報に記載された方法に順じて行った(アスマン(Asseman, C.)ら、「ザ ジャーナル オブ エクスペリメンタル メディシン(The Journal of Experimental Medicine)」、1999年、第190巻、p.995-1004)。本評価では、組織学的スコアが高い程、大腸炎が重症であると判定する。
検討は1群4匹で行い、データは平均値±標準偏差(SD)で表した。統計解析は、対応のないt検定(unpaired t-test)により実施した。
(結果)
CD4陽性CD25陰性T細胞のみを移入したSCIDマウスは重篤な大腸炎を惹き起こし(図5-A)、そして著しい体重減少が認められた(図5-B)。一方、GGTI-298の溶媒およびTGF-βの存在下で抗体により刺激したCD4陽性CD25陰性T細胞と無処理のCD4陽性CD25陰性T細胞とを共に移入したSCIDマウスでは、大腸炎の重症度および体重減少は若干軽減した(図5-Aおよび図5-B)。これらマウスと比較して、GGTI-298およびTGF-βの存在下で抗体により刺激したCD4陽性CD25陰性T細胞と無処理のCD4陽性CD25陰性T細胞とを共に移入したSCIDマウスでは、大腸炎の重症度および体重減少は、有意に軽減した(図5-Aおよび図5-B、p<0.05)。
実施例1および実施例2に示した結果から、GGTI-298およびTGF-βの存在下でCD4陽性CD25陰性T細胞を培養することにより、Tregとして作用するFOXP3陽性CD4陽性T細胞が誘導され、そして該誘導された細胞がin vivoで自己免疫性大腸炎の発症を阻害することが示唆された。
本発明により、タンパク質のゲラニルゲラニル化阻害剤を有効成分として含有することを特徴とする、Treg細胞分化誘導剤、Th17細胞分化抑制剤、免疫抑制剤、並びに免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療剤を提供できる。本発明によればまた、タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害することを特徴とするTreg細胞分化誘導方法、Th17細胞分化抑制方法、免疫抑制方法、並びに免疫亢進に起因する疾患の防止および/または治療方法を提供できる。本発明によればさらに、タンパク質のゲラニルゲラニル化を阻害する作用を指標にして化合物を選択することを特徴とする免疫抑制作用を有する化合物の同定方法を提供できる。
このように本発明は基礎科学分野から医薬開発分野まで広く寄与する有用な発明である。

Claims (1)

  1. 制御性T細胞分化誘導作用を有する化合物の同定方法であって、(i)ある化合物(被験化合物)の存在下および非存在下でタンパク質のゲラニルゲラニル化反応を行い、(ii)ゲラニルゲラニル化タンパク質の検出を行い、(iii)被験化合物の存在下におけるタンパク質のゲラニルゲラニル化と被験化合物の非存在下におけるものとを比較し、(iv)被験化合物の存在下におけるタンパク質のゲラニルゲラニル化が被験化合物の非存在下におけるものと比較して低下したとき、該被験化合物は制御性T細胞分化誘導作用を有すると判定することを含む方法。
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