JP5568172B1 - シール部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
ゴム成分及び熱可塑性樹脂を含有するシール部材であって、20℃〜150℃の温度範囲におけるシール部材の損失正接の最大値は、0.35未満であり、ゴム成分は、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンジエンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム及びアクリロニトリル−ブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する。
【選択図】図1
Description
ゴム成分は、架橋ゴムまたは動的架橋樹脂としてシール部材に添加される。架橋ゴムは、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブチルゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム等である。これらの架橋ゴムの内の1種が用いられてもよいし、2種以上の架橋ゴムが混合されたものが用いられてもよい。架橋ゴムは、後述する動的架橋樹脂と併用してもよい。
シール部材に含有される熱可塑性樹脂は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。熱可塑性樹脂は、共重合体又は変性体であってもよい。射出成型性及び耐熱性等を考慮すると、シール部材は、PVDFを含有していればよい。
シール部材の用途又は要求される特性に応じて、シール部材に充填材を添加してもよい。充填材は、例えば、無機充填材、有機充填材、繊維状充填材等であってよい。なお、これらの充填材の内の1種を用いてもよいし、2種以上の充填材を用いてもよい。
シール部材に含有されるゴム成分及び熱可塑性樹脂の混合は、例えば、ラボプラストミル、二軸押出機等を用いて行われる。ゴム成分及び熱可塑性樹脂の微細均一分散を行うために、スクリュー軸にせん断作用の生じるニーディングディスクを組み合わせた二軸押出機を用いて、ゴム成分及び熱可塑性樹脂を高せん断条件下で混合してもよい。また、高せん断成形加工機を用いてもよい。ゴム成分及び熱可塑性樹脂の分散性は、スクリューの形状及び長さ、帰還穴径、スクリュー回転数及びせん断混合時間等によって制御することができる。スクリュー回転数は、365〜648rpmであってよく、415〜648rpmであってよく、456〜648rpmであってよく、580〜648rpmであってもよい。
ゴム成分として天然ゴムを用い、熱可塑性樹脂としてポリフッ化ビニリデン樹脂を用いた。ゴム成分及び熱可塑性樹脂の質量比(ゴム成分:熱可塑性樹脂)を90:10に調整し、サイドフィーダーにて2軸押出機に供給した。ゴム成分及び熱可塑性樹脂を、温度240℃及び一定のスクリュー回転数のせん断条件にて2軸押出機を用いて混合し、ペレットを作製した。2軸押出機には、リード及びニーディングディスクを組み合わせたφ92mmのスクリューが設置された。スクリュー回転数は、表1に示す。
ゴム成分を合成されたシス−1,4−ポリイソプレンとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
ゴム成分をハイシスポリブタジエンとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
ゴム成分をスチレン−ブタジエンゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
ゴム成分をアクリロニトリル−ブタジエンゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
ゴム成分をブチルゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
ゴム成分をウレタンゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
ゴム成分をシリコーンゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
ゴム成分を天然ゴム及び合成されたシス−1,4−ポリイソプレンとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
ゴム成分をハイシスポリブタジエン及びブチルゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
ゴム成分をブチルゴム及びシリコーンゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
ゴム成分をクロロプレンゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
スクリュー回転数を変更したこと以外は、実施例4と同様の条件下で、ペレットを作製した。
スクリュー回転数を変更したこと以外は、参考例9と同様の条件下で、ペレットを作製した。
実施例3,4,6,7,10〜12、参考例1,2,5,8,9、及び比較例1,2の各ペレットに熱プレスを行い、厚さが500μm〜1000μmであるシートを作製した。このシートを切断することによって、幅3mm、長さ20mmの短冊状試料を作製した。動的粘弾性測定装置として熱機械分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いた。空気中、測定周波数0.1Hz、昇温速度3℃/分の条件下で、20℃〜150℃における各短冊状試料の動的貯蔵弾性率(E’)及び動的損失弾性率(E”)を測定した。各測定温度における動的貯蔵弾性率(E’)と動的損失弾性率(E”)との結果から、実施例3,4,6,7,10〜12、参考例1,2,5,8,9、及び比較例1,2における、損失正接(tanδ=(E”)/(E’))の最大値である(tanδ)maxを測定した。各短冊状試料の(tanδ)maxの測定結果を、表1に示し、各短冊状試料の各測定温度におけるtanδを表2に示した。また、実施例4、参考例9及び比較例1,2についての短冊状試料における測定温度毎の損失正接を算出した結果を、図1に示すようにプロットした。
JIS K7215に基づき、実施例3,4,6,7,10〜12、参考例1,2,5,8,9、及び比較例1,2の各ペレットのショア硬度を測定した。これらのショア硬度の測定結果を、表1に示す。
圧縮永久歪Csの測定は、JIS K6262を参考にして、以下のとおり行った。具体的には、実施例3,4,6,7,10〜12、参考例1,2,5,8,9、及び比較例1,2の各ペレットの射出成型により、5mm×15mm、厚さ2mmの試験片を作製した。射出した試験片の中央部の厚さは、(t0)である。この試験片を圧縮装置に装着し、圧縮量が25%になるまで試験片を圧縮した。圧縮装置に装着された試験片を、予め150℃に調節した潤滑・作動油(Automatic Transmission Fluid:ATF)中に、100時間浸漬した。浸漬後、ATFから圧縮装置及び試験片を取り出した。そして、試験片を圧縮装置から取り外した。取り外された試験片に付着したATFをふき取った後、試験片を室温にて30分間静置した。静置した後の試験片の中央部の厚さ(t1)を測定した。JIS K6262に基づく圧縮装置の圧縮板間に配置されるスペーサーの厚さを(t2)とした時、下記の式(1)により、各試験片の圧縮永久歪Csを算出した。これらの圧縮永久歪Csの測定結果を、表1に示す。
Cs =(t0−t1)/(t0−t2)×100・・・・・・(1)
t0:試験片の元の厚さ(mm)
t1:静置30分後の厚さ(mm)
t2:スペーサーの厚さ(mm)
実施例3,4,6,7,10〜12、参考例1,2,5,8,9、及び比較例1,2の各ペレットの射出成型により、合口を有しないシールリングを作製した。シールリングのサイズは、静的漏れ性能試験装置の軸溝に装着した状態で、圧縮量が25%となるように設定した。得られたシールリングを、試験装置の軸の外周面に設けた軸溝に装着した。次いで、静的漏れ性能試験装置の油圧室にATFを充填した。ATFの温度を25℃とし、室温下で7日間、静的漏れ性能試験装置を静置した。静的漏れ性能試験装置を静置している間に油圧室から漏れたATFを、排油溝から回収した。排油溝から回収したATFの量を運転前の静的油漏れ量として、表1に示す。
Claims (4)
- ゴム成分及び熱可塑性樹脂を含有するシール部材であって、
20℃〜150℃の温度範囲における前記シール部材の損失正接の最大値は、0.35未満であり、
前記ゴム成分は、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンジエンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、及びクロロプレンゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有し、
前記熱可塑性樹脂は、ポリフッ化ビニリデンである、シール部材。 - 前記損失正接の最大値は、0.15以下である、請求項1に記載のシール部材。
- 前記ゴム成分の含有量は、前記熱可塑性樹脂の含有量よりも多い、請求項1又は2に記載のシール部材。
- 前記熱可塑性樹脂は、前記ゴム成分中に分散している、請求項3に記載のシール部材。
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