JP5568172B1 - シール部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温加圧下で長期間使用した後も、シール特性を維持するシール部材を提供する。
【解決手段】
ゴム成分及び熱可塑性樹脂を含有するシール部材であって、20℃〜150℃の温度範囲におけるシール部材の損失正接の最大値は、0.35未満であり、ゴム成分は、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンジエンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム及びアクリロニトリル−ブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、シール部材に関する。
自動車を初め各種分野に用いられるシール部材は、そのシール特性が優れるだけではなく、シール特性を維持することが求められている。例えば、自動車の油圧式の無段変速機(CVT)に用いられるシール部材の場合、油圧室に生じる最大約7MPaの油圧に耐えることが求められる。また、CVTが高温状態で運転することを考慮した場合、高温加圧下で長時間使用した時であっても、シール特性を維持するシール部材が要求される。
シール特性を維持することができるシール部材の一例は、圧縮永久歪の低い高反発材料から構成されるシールリングである。高反発材料は、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン及び可塑剤からなり、ポリウレタンはポリマーポリオールと3つ以上のイソシアネート基を有する化合物とのウレタン反応によって得られる。高反発材料は、透過型電子顕微鏡で観察される海−島型の相分離構造を有し、相分離構造のサイズが0.01μm以上100μm以下である(下記特許文献1参照)。
特開平7−173357号公報
上記特許文献1に示される高反発材料は、必須成分として87℃付近にガラス転移温度を有するポリ塩化ビニル系樹脂を含む。このため、上述の高反発材料を含有するシール部材を上記ガラス転移温度以上の温度で加圧すると、当該シール部材は塑性変形してしまう。したがって、高温加圧下で長期間使用した後も、当該シール部材がそのシール特性を維持することは困難だった。
そこで、本発明は、高温加圧下で長期間使用した後も、シール特性を維持するシール部材を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るシール部材は、ゴム成分及び熱可塑性樹脂を含有し、20℃〜150℃の温度範囲におけるシール部材の損失正接の最大値は、0.35未満であり、ゴム成分は、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンジエンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、及びクロロプレンゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有し、熱可塑性樹脂は、ポリフッ化ビニリデンである
損失正接の最大値は、0.15以下であってよい。
ゴム成分の含有量は、熱可塑性樹脂の含有量よりも多くてもよい。
熱可塑性樹脂は、ゴム成分中に分散していてもよい。
本発明によれば、高温加圧下で長期間使用した後も、シール特性を維持できるシール部材が提供できる。
実施例の一部及び比較例の温度変化による損失正接の推移を表すグラフである。
以下、本発明のシール部材を実施するための形態の一例を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係るシール部材は、ゴム成分及び熱可塑性樹脂を含有する。
(ゴム成分)
ゴム成分は、架橋ゴムまたは動的架橋樹脂としてシール部材に添加される。架橋ゴムは、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブチルゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム等であ。これらの架橋ゴムの内の1種が用いられてもよいし、2種以上の架橋ゴムが混合されたものが用いられてもよい。架橋ゴムは、後述する動的架橋樹脂と併用してもよい。
動的架橋樹脂は、架橋ゴム相中に熱可塑性樹脂が分散した構造を有する。動的架橋樹脂に用いられる熱可塑性樹脂は、例えばポリエステル又はポリアミド(PA)等である。一方、架橋ゴム相は、例えば、ハイシスポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPM)、エチレン−プロピレンジエン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム、クロロプレンゴム等である。これらのゴムの内の1種が用いられてもよいし、2種以上のゴムが混合されたものが用いられてもよい。
動的架橋樹脂は、例えば、架橋剤が添加された未架橋のゴム成分と、熱可塑性樹脂とを、2軸押出機を用いて溶融及び混練することによって、製造することができる。これによって、ゴム成分の分散及び架橋と、熱可塑性樹脂の分散と、が同時に進行する。動的架橋樹脂に用いられるゴム成分及び熱可塑性樹脂は、市販品でもよい。
ゴム成分の含有量は、熱可塑性樹脂の含有量よりも多い。ゴム成分の含有量は、シール部材全体の質量に対して、60質量%〜95質量%であってよく、80質量%〜95質量%であってもよい。ゴム成分の含有量が、上記範囲に規定されることにより、シール部材の圧縮永久歪が小さくなる。これにより、加圧条件下で長時間使用した後も、シール部材は、優れたゴム弾性を維持できるため、シール特性を維持できる。また、ゴム成分の表面硬度は、ショア硬度A(JIS K 6253)で、60〜90を示すものであってよい。
(熱可塑性樹脂)
シール部材に含有される熱可塑性樹脂は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。熱可塑性樹脂は、共重合体又は変性体であってもよい。射出成型性及び耐熱性等を考慮すると、シール部材は、PVDF含有していればよい。
熱可塑性樹脂の含有量は、シール部材全体の質量に対して、5質量%〜40質量%であってよく、5質量%〜20質量%であってもよい。熱可塑性樹脂の含有量が、上記範囲に規定されることにより、シール部材の機械的強度及び耐クリープ特性が向上する。また、加圧条件下で長時間使用した後も、シール部材は、優れたゴム弾性を維持できるため、シール特性を維持できる。これにより、PV値が高い領域であっても、シール部材の使用が可能となる。シール部材に含有される熱可塑性樹脂の表面硬度は、ショア硬度Dで、70以上であってよく、90以上であってもよい。
(充填材)
シール部材の用途又は要求される特性に応じて、シール部材に充填材を添加してもよい。充填材は、例えば、無機充填材、有機充填材、繊維状充填材等であってよい。なお、これらの充填材の内の1種を用いてもよいし、2種以上の充填材を用いてもよい。
無機充填材は、例えば、炭酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、タルク、シリカ、雲母、マイカ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、二硫化モリブデン、ガラスビーズ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム、窒化ホウ素等であってよい。有機充填材は、グラファイト、フラーレン、カーボン(アモルファス)粉、無煙炭粉末等であってよい。シール部材に無機充填材又は有機充填材を添加することにより、シール部材の摺動特性等が向上する。
繊維状充填材は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンナノチューブ、アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、ボロン繊維、炭化珪素繊維等であってよい。シール部材に繊維状充填材を添加することにより、シール部材の機械的強度及び耐クリープ特性が向上する。このため、加圧条件下で長時間使用した後も、優れたシール特性を維持できる。これにより、PV値が高い領域であっても、シール部材の使用が可能となる。なお、繊維状充填材の中でもガラス繊維、炭素繊維又はカーボンナノチューブであってよい。特にカーボンナノチューブは、繊維状充填材として上述の機能を発揮するだけではなく、シール部材の摺動特性を向上する機能を発揮する。
充填材の添加量は、シール部材全体の質量に対して、例えば、0質量%〜10質量%、0質量%〜5質量%、1質量%〜10質量%、1質量%〜5質量%であってよい。また、カーボンナノチューブをシール部材に添加する場合、カーボンナノチューブの添加量は、シール部材全体の質量に対して、1質量%〜5質量%とするのが好ましい。この範囲でカーボンナノチューブをシール部材に添加することにより、優れた機械的強度及び摺動特性を有するシール部材が得られる。これにより、シール部材を加圧条件下で長時間使用した後も、シール部材は、優れたシール特性を維持できる。
シール部材のショア硬度Aは、60〜98であってよく、70〜95であってもよい。シール部材のショア硬度Aがこの範囲に規定されることによって、シール部材の変形が抑制される。このため、長時間の運転後であっても、高いシール性が維持される。また、軸溝等へシール部材を装着する際の装着性が向上する。シール部材の永久圧縮歪は、98%以下であってよく、70%以下であってよく、53%以下であってもよい。シール部材の永久圧縮歪が小さいと、シール部材が優れたゴム弾性を有する。これにより、シール部材のシール性が維持される。
20℃〜150℃の温度範囲におけるシール部材の損失正接(tanδ)の最大値である(tanδ)maxは、例えば、0.35未満であってよく、0.31以下であってよく、0.15以下であってもよい。また、20℃〜150℃の温度範囲におけるシール部材のtanδの最小値は、0.01以上であってよく、0.05以上であってよく、0.11以上であってもよい。すなわち、シール部材の(tanδ)maxは、0.11以上0.35未満であってよく、0.11以上0.31以下であってよく、0.11以上0.15以下であってもよい。
tanδは、シール部材の動的粘弾性測定に基づく、損失弾性率(E”)及び貯蔵弾性率(E’)の比(E”/E’)である。一般に、シール部材のtanδが大きいほど(すなわち、損失弾性率(E”)が大きいほど)、シール部材は塑性変形しやすい。また、シール部材のtanδが小さいほど(すなわち、貯蔵弾性率(E’)が大きいほど)、シール部材の反発力が大きい。また、通常、シール部材のtanδは、温度によって変化する。
本実施形態に係るシール部材の、20℃〜150℃の温度範囲における(tanδ)maxは0.35未満である。このようなシール部材は、高温域(例えば120℃〜150℃)であっても、高い反発力を維持できる。また、本実施形態に係るシール部材は、(tanδ)maxが上述の値未満であるため、高温加圧後においても、シール部材の圧縮永久歪が小さい。このため、シール部材は、長期間使用した後であっても、優れたゴム弾性を維持できる。したがって、シール部材は、過酷な使用条件においても、長期間にわたってシール特性を維持できる。この効果は、(tanδ)maxが小さいほど、顕著である。例えば、(tanδ)maxが0.15以下だと、長期間にわたって優れたシール特性を維持できる。
上述の温度範囲におけるシール部材の(tanδ)maxは、シール部材に含有される熱可塑性樹脂の種類、添加量等により制御される。例えば、ガラス転移温度が150℃以上の熱可塑性樹脂を用いる場合、熱可塑性樹脂の含有量を低減することにより、(tanδ)maxを低くすることができる。また、シール部材中のゴム成分及び熱可塑性樹脂を高分散することにより、(tanδ)maxを低くすることができる。シール部材中のゴム成分及び熱可塑性樹脂を高分散する方法は、樹脂組成物の射出成形性、機械的強度及び耐クリープ特性の点で、熱可塑性樹脂の含有量を低減することよりも有利である。
(シール部材の混合方法)
シール部材に含有されるゴム成分及び熱可塑性樹脂の混合は、例えば、ラボプラストミル、二軸押出機等を用いて行われる。ゴム成分及び熱可塑性樹脂の微細均一分散を行うために、スクリュー軸にせん断作用の生じるニーディングディスクを組み合わせた二軸押出機を用いて、ゴム成分及び熱可塑性樹脂を高せん断条件下で混合してもよい。また、高せん断成形加工機を用いてもよい。ゴム成分及び熱可塑性樹脂の分散性は、スクリューの形状及び長さ、帰還穴径、スクリュー回転数及びせん断混合時間等によって制御することができる。スクリュー回転数は、365〜648rpmであってよく、415〜648rpmであってよく、456〜648rpmであってよく、580〜648rpmであってもよい。
シール部材中のゴム成分及び熱可塑性樹脂は、高分散してもよい。ゴム成分及び熱可塑性樹脂が高分散することにより、ガラス転移温度付近における熱可塑性樹脂のtanδの増加が抑制される。これにより、シール部材は、高温域においても高い反発力を維持できるため、シール部材のシール特性が維持される。さらに、高温加圧下であってもシール部材の塑性変形が抑制されるため、長期間にわたって、シール部材のシール特性が維持される。
シール部材中の熱可塑性樹脂は、ゴム成分中に分散していればよい。これにより、ガラス転移温度付近における熱可塑性樹脂の高流動に起因するシール部材の塑性変形を、周囲のゴム成分により抑え込むことができる。したがって、シール部材のtanδの上昇が抑制できる。
シール部材中のゴム成分は、フッ素を含有していない。フッ素がゴム成分中に含有されている事により、ゴム成分と熱可塑性樹脂との相溶性が悪くなる。これによって、熱可塑性樹脂が高分散しなくなり、ガラス転移温度付近における熱可塑性樹脂のtanδが増加する。
ゴム成分中に分散する熱可塑性樹脂の大きさ(粒度または円相当径)は、40nm〜100nmであればよい。熱可塑性樹脂の大きさは、まず、RuO染色超薄切片法で調整した試料の写真を、透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影する。この写真から熱可塑性樹脂を特定し、熱可塑性樹脂の径を測定することによって、熱可塑性樹脂の大きさを算出することができる。
シール部材は、例えば、回転運動用シールリング、往復運動用シールリング等であってよいし、自動車のCVT等に装着されるシールリングであってもよい。
シール部材をCVT用シールリングとして用いる場合、シールリングが無負荷状態における油漏れを確実に防止するため、合口を有しないエンドレスタイプのシールリングを採用すればよい。1本型のエンドレスタイプのシールリングは、装着が容易である。一方、シールリングの用途等によっては、合口をシールリングに設けてもよい。この場合の合口の形状は、例えば、直角(ストレート)合口、斜め(アングル)合口、段付き(ステップ)合口、ダブルアングル合口、ダブルカット合口、トリプルステップ合口等であってよい。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
参考例1)
ゴム成分として天然ゴムを用い、熱可塑性樹脂としてポリフッ化ビニリデン樹脂を用いた。ゴム成分及び熱可塑性樹脂の質量比(ゴム成分:熱可塑性樹脂)を90:10に調整し、サイドフィーダーにて2軸押出機に供給した。ゴム成分及び熱可塑性樹脂を、温度240℃及び一定のスクリュー回転数のせん断条件にて2軸押出機を用いて混合し、ペレットを作製した。2軸押出機には、リード及びニーディングディスクを組み合わせたφ92mmのスクリューが設置された。スクリュー回転数は、表1に示す。
参考例2)
ゴム成分を合成されたシス−1,4−ポリイソプレンとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
(実施例3)
ゴム成分をハイシスポリブタジエンとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
(実施例4)
ゴム成分をスチレン−ブタジエンゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
参考例5)
ゴム成分をアクリロニトリル−ブタジエンゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
(実施例6)
ゴム成分をブチルゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
(実施例7)
ゴム成分をウレタンゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
参考例8)
ゴム成分をシリコーンゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
参考例9)
ゴム成分を天然ゴム及び合成されたシス−1,4−ポリイソプレンとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
(実施例10)
ゴム成分をハイシスポリブタジエン及びブチルゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
(実施例11)
ゴム成分をブチルゴム及びシリコーンゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
(実施例12)
ゴム成分をクロロプレンゴムとし、混合時のスクリュー回転数を変更したこと以外は参考例1と同様の条件下で、ペレットを作製した。
(比較例1)
スクリュー回転数を変更したこと以外は、実施例4と同様の条件下で、ペレットを作製した。
(比較例2)
スクリュー回転数を変更したこと以外は、参考例9と同様の条件下で、ペレットを作製した。
(動的粘弾性における損失正接(tanδ)maxの測定)
実施例3,4,6,7,10〜12、参考例1,2,5,8,9、及び比較例1,2の各ペレットに熱プレスを行い、厚さが500μm〜1000μmであるシートを作製した。このシートを切断することによって、幅3mm、長さ20mmの短冊状試料を作製した。動的粘弾性測定装置として熱機械分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いた。空気中、測定周波数0.1Hz、昇温速度3℃/分の条件下で、20℃〜150℃における各短冊状試料の動的貯蔵弾性率(E’)及び動的損失弾性率(E”)を測定した。各測定温度における動的貯蔵弾性率(E’)と動的損失弾性率(E”)との結果から、実施例3,4,6,7,10〜12、参考例1,2,5,8,9、及び比較例1,2における、損失正接(tanδ=(E”)/(E’))の最大値である(tanδ)maxを測定した。各短冊状試料の(tanδ)maxの測定結果を、表1に示し、各短冊状試料の各測定温度におけるtanδを表2に示した。また、実施例4、参考例9及び比較例1,2についての短冊状試料における測定温度毎の損失正接を算出した結果を、図1に示すようにプロットした。
(表面硬度の測定)
JIS K7215に基づき、実施例3,4,6,7,10〜12、参考例1,2,5,8,9、及び比較例1,2の各ペレットのショア硬度を測定した。これらのショア硬度の測定結果を、表1に示す。
(圧縮永久歪の測定)
圧縮永久歪Csの測定は、JIS K6262を参考にして、以下のとおり行った。具体的には、実施例3,4,6,7,10〜12、参考例1,2,5,8,9、及び比較例1,2の各ペレットの射出成型により、5mm×15mm、厚さ2mmの試験片を作製した。射出した試験片の中央部の厚さは、(t)である。この試験片を圧縮装置に装着し、圧縮量が25%になるまで試験片を圧縮した。圧縮装置に装着された試験片を、予め150℃に調節した潤滑・作動油(Automatic Transmission Fluid:ATF)中に、100時間浸漬した。浸漬後、ATFから圧縮装置及び試験片を取り出した。そして、試験片を圧縮装置から取り外した。取り外された試験片に付着したATFをふき取った後、試験片を室温にて30分間静置した。静置した後の試験片の中央部の厚さ(t)を測定した。JIS K6262に基づく圧縮装置の圧縮板間に配置されるスペーサーの厚さを(t)とした時、下記の式(1)により、各試験片の圧縮永久歪Csを算出した。これらの圧縮永久歪Csの測定結果を、表1に示す。
Cs =(t−t)/(t−t)×100・・・・・・(1)
:試験片の元の厚さ(mm)
:静置30分後の厚さ(mm)
:スペーサーの厚さ(mm)
(静止状態におけるオイル漏れ量の測定)
実施例3,4,6,7,10〜12、参考例1,2,5,8,9、及び比較例1,2の各ペレットの射出成型により、合口を有しないシールリングを作製した。シールリングのサイズは、静的漏れ性能試験装置の軸溝に装着した状態で、圧縮量が25%となるように設定した。得られたシールリングを、試験装置の軸の外周面に設けた軸溝に装着した。次いで、静的漏れ性能試験装置の油圧室にATFを充填した。ATFの温度を25℃とし、室温下で7日間、静的漏れ性能試験装置を静置した。静的漏れ性能試験装置を静置している間に油圧室から漏れたATFを、排油溝から回収した。排油溝から回収したATFの量を運転前の静的油漏れ量として、表1に示す。
次に、軸周りに設置されたハウジングを10mm/sのストロークで、累積1km往復動した。ハウジングの往復動時の油圧は4.0MPaに設定し、ATFの温度は150℃に設定した。ハウジングの往復動が終了した後、再度同様の方法で油圧室から漏れたATFを回収した。この回収したATFの量を、運転後の静的油漏れ量として、表1に示す。
Figure 0005568172
Figure 0005568172
表1より、20℃〜150℃の温度範囲における(tanδ)maxが0.35未満になることで、高温加圧下で長期間使用した後も、シール部材のシール特性が維持されることが確認された。また、比較例1及び比較例2の圧縮永久歪が100%だったのに対して、実施例3,4,6,7,10〜12、及び参考例1,2,5,8,9の圧縮永久歪は、100%よりも小さかった。これにより、実施例3,4,6,7,10〜12、及び参考例1,2,5,8,9のペレットを用いて作製されたシール部材は、比較例1及び2のペレットを用いて作製されたシール部材よりも、優れたゴム弾性を維持することが確認された。
表1より、比較例1及び比較例2では、運転前の静的油漏れ量は56ml以上だった。一方、実施例3,4,6,7,11〜12、及び参考例1,2では、運転前の静的油漏れ量は0mlだった。また、実施例10、及び参考例8,9では、運転前の静的油漏れ量は5ml以下だった。したがって、実施例3,4,6,7,10〜12、及び参考例1,2,5,8,9の運転前の静的油漏れ量は、比較例1及び比較例2の運転前の静的油漏れ量と比べて、非常に少なかった。
また、比較例1及び比較例2では、運転後の静的油漏れ量が、220ml以上だった。一方、実施例3,4,10,12、及び参考例1,2,8,9では、運転後の静的油漏れ量が、58ml以下だった。また、実施例6,7及び11と参考例5とでは、運転後であっても、静的油漏れ量は0mlだった。したがって、実施例3,4,6,7,10〜12、及び参考例1,2,5,8,9の運転後の静的油漏れ量は、比較例1及び比較例2の運転後の静的油漏れ量と比べて、非常に少なかった。
実施例4と比較例1とは、互いに同一の材料を用いた。また、参考例9と比較例2とは、互いに同一の材料を用いた。しかしながら、図1に示したように、tanδの算出結果は、大きく異なっていた。これらのtanδの違いは、ゴム成分と熱可塑性樹脂を混合する際のスクリュー回転数の違いによるものだった。混合時のスクリュー回転数を調整することにより、熱可塑性樹脂がゴム成分中に高分散する。これにより、実施例4及び参考例9は、比較例1及び比較例2と比べて、(tanδ)maxが低減し、圧縮永久歪が低下するため、運転前の静的油漏れ量及び運転後の静的油漏れ量が大幅に低減していることが確認された。
また、熱可塑性樹脂をポリフッ化ビニリデンから、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、又はポリフェニレンスルフィドに替え、実施例4又は参考例9と同様のゴム成分を用いて、スクリュー回転数を調整し、それぞれ(tanδ)maxを、0.25、0.35、0.15、又は0.4とした、24通りのシール部材を作成した。これらのシール部材を用いた場合であっても、運転後の静的漏れ量は、熱可塑性樹脂としてポリフッ化ビリニデンを用いた実施例又は参考例と同程度であった。
運転後の静的油漏れ量が0mlである実施例6,7及び11と参考例5との圧縮永久歪は、その他の実施例と比較して、圧縮永久歪が大幅に減少することが確認された。また、実施例6,7及び11と参考例5との(tanδ)maxは、ゴム材料とスクリュー回転数とを調整することで、0.15以下になることが確認された。以上より、圧縮永久歪が減少することによってゴム弾性が向上する。したがって、(tanδ)maxが減少するため、高温加圧下で運転した後であっても、シール特性が維持されることが確認された。
本発明によれば、高温加圧下で長期間使用した後も、シール特性を維持できるシール部材が提供される。

Claims (4)

  1. ゴム成分及び熱可塑性樹脂を含有するシール部材であって、
    20℃〜150℃の温度範囲における前記シール部材の損失正接の最大値は、0.35未満であり、
    前記ゴム成分は、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンジエンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、及びクロロプレンゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有し、
    前記熱可塑性樹脂は、ポリフッ化ビニリデンである、シール部材。
  2. 前記損失正接の最大値は、0.15以下である、請求項1に記載のシール部材。
  3. 前記ゴム成分の含有量は、前記熱可塑性樹脂の含有量よりも多い、請求項1又は2に記載のシール部材。
  4. 前記熱可塑性樹脂は、前記ゴム成分中に分散している、請求項3に記載のシール部材。
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