JP5566070B2 - スパイラル造管法による小径管の製造方法 - Google Patents
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Description
このようなスパイラル金属管の製造技術は、(1)素材寸法の制約を受けることがない、(2)薄板大径管の製造が可能、(3)サイズ毎にロールを変更する必要がない、(4)装置そのものを小型化できる、(5)多品種少量生産に適する、といった利点を有するため、多用されている。
それぞれの成形ロール群を構成する各ロールがロール支持軸に、特に内面成形ロール群1bを構成する各ロールがインナーロール支持軸に取り付けられているため、造管される管の径に制限がある。少なくともインナーロール支持軸の外径よりも細い径の造管は不可能である。
特許文献3で提案した造管方法は、外面成形ロールとして複数の成形ロールを管外面側で管軸方向に多段配置してなる外面成形ロール群を用いるとともに、内面成形ロールとして管内面側で管軸方向に配置した断面丸状棒体を用いることを特徴とするものである。
しかしながら、薄板素材を造管成形しようとすると、金属帯Sは、蛇行しやすく、また座屈を起こしやすくなる。
そこで、図2(b)に示すように、金属帯入側のピンチロール5と入側外面成形ロール群との間に、通過する金属帯の両側端部にガイドロール6を配するとともに通過する金属帯の両面に板押え7を配し、前記ガイドロール6を両側端に当接させつつ、かつ前記板押え7で両面を押えつつ前記金属帯Sを通過させている。
しかしながら、本発明者等がさらに検討を重ねたところ、上記特許文献3で提案した造管法でも小径管の製造には限度があることがわかった。
すなわち、さらに板厚の薄い薄板を素材として、図1,2に示す金属板の進入角度θを大きくして造管径をさらに小さくしようとすると、素材が座屈したり、板側端の突合せ位置が前後に揺らぎ、溶接位置がずれて溶接不良を起こしたりする弊害が起きている。
このため、板厚の薄い薄板を用いて造管径をさらに小さくした場合でも、素材の座屈を抑えることができ、また板側端の突合せ位置の揺らぎを抑制することができ、成形精度の優れた薄肉小径管を効率よく製造することができる。
さらに、金属帯入側のピンチロール5と入側外面成形ロール群1a(図3では省略)との間に、通過する金属帯Sの両側端部に当接するガイドロール6と、通過する金属帯Sを両面から押える板押え7を配している。
そこで、本発明者等は、上記弊害の発生原因とその対策について鋭意検討を重ねた。
その結果、内面成形ロールとして用いた断面丸状棒体1dと造管されたスパイラル管内面との接触面積の増加による造管抵抗の上昇が影響していると予測した。また造管されたスパイラル管の搬送ローラから受ける抵抗の大小が影響していると予測した。
造管スラストに対して造管抵抗が大きくなると、金属帯Sが成形ロール群へ進入が阻害されて座屈を起こしやすくなる。また、造管されたスパイラル管の搬送状況が変化し、金属帯側端の突合せ位置が前後に位置ずれしやすくなる。すなわち、突合せ位置が前後に揺らぐ現象が生じて溶接不良を発生しやすくなる。
造管されたスパイラル管は所定の長さで連続的に切断される。三本の成形ロールで成形され、溶接された後、スパイラル管は搬送ローラ上に乗って搬送されているが、搬送ローラ上に乗っている管の長さは切断の前後で変化している。
例えば図4の(a)に示すように、切断した直後で搬送ローラ上に乗っているスパイラル管の長さが短い場合には搬送ローラからの抵抗は小さいが、図4の(b)に示すように、切断直前の搬送ローラ上に乗っているスパイラル管の長さが長い場合には搬送ローラからの抵抗は大きくなる。このように、搬送ローラからの抵抗の変化に伴って、造管スラストに対する抵抗が変化し、金属帯側端の突合せ位置が前後に位置ずれしやすくなる。すなわち、突合せ位置が前後に揺らぐ現象が生じて溶接不良を発生しやすくなる。
そこで、本発明では、造管スラストへの反力を低減するために、溶接機の後段にベルト式駆動スタンドを配置して造管後にパイプの送り機能を付与することにした。
好ましくは図5に示すように、造管されたスパイラル管の上面に当接する上押えのベルト式駆動スタンドと、下面に当接する下押えのベルト式駆動スタンドの2基を設置する。1基だけ設置する場合は、上押えのベルト式駆動スタンドを配置することが好ましい。
ここで、ベルド式駆動スタンドの構造は図5に示すように、主に少なくとも3つのローラと1本の無端ベルトから構成され、1基分のスタンドにはローラ径65〜80mm、長さ50mmのタイミングプーリーを用いている。また、ローラによって駆動される無端ベルトには、製造するスパイラル管の外径を変化してもスタンドの調整をすることなく対応できるよう、また、スパイラル管を弾力的に圧接できるようにゴム状の材質であることが望ましく、ポリエステル製、又はナイロン製の材質で代替することも可能である。
駆動するピンチロール5を介して金属帯Sを成形ロール間に送給する。この時点では、ガイドロール6に金属帯Sの両側端を当接させつつ送給することになる。
金属帯Sは、入側外面成形ロール群1aと断面丸状棒体1dおよび出側外面成形ロール1c群とからなる成形ロール間に送られ、所定スパイラル形状に変形された後、スパイラル状成形管の相互に隣接するエッジ部において溶接接合される。
本発明方法に用いる装置にあっては、また、金属帯入側のピンチロール5と入側外面成形ロール群1a(図3では省略)との間に、通過する金属帯Sを両面から押える板押え7を配置している。そして、この板押え7を走行する金属帯の両面に押付けることに金属帯Sの湾曲・座屈の発生を抑制することができている。
このため、金属帯Sの座屈の発生を抑制することができ、また、突合せ位置の揺らぎを抑えて溶接不良を低減することができる。
素材として、板幅40mm、板厚0.3mmのフェライト系ステンレス冷延鋼帯を用いた。特許文献3で提案したスパイラル造管法で適用するにあたって、断面丸状棒体1dを回動自在な状態として15mmφの丸棒を用いた。図1,2で示す鋼帯Sの進入角を25度とした場合、直径28.6mmのスパイラル管が製造でき、同様に上記進入角を30度とした場合にも直径25.4mmのスパイラル管が問題なく製造できた。しかしながら、進入角を40度に変更して直径20.0mmのスパイラル管を製造しようとしたが、図3に示すような成形ロール群に進入する前の位置で鋼帯Sに座屈が生じ、また突合せ位置が前後に揺らぐといった弊害が生じたため、円滑な造管が為し得なかった。
これに対して、図5に示すように、ベルト式駆動スタンドを上下一対で配置して造管すると、鋼帯Sの進入角を25度又は30度とした場合には勿論、進入角を40度にした場合であっても問題なく造管でき、薄板材による小径管製造の場合にはより効果的である。
Claims (1)
- 入側外面成形ロール、内面成形ロール及び出側外面成形ロールからなる三本の成形ロールに金属帯を通過させることにより当該金属帯をスパイラル状に加工成形し、スパイラル状成形管の溶接点で相互に隣接するエッジ部を溶接してスパイラル金属管とするに際し、外面成形ロールとして複数の成形ロールを管外面側で管軸方向に多段配置してなる外面成形ロール群を、また内面成形ロールとして管内面側で管軸方向に配置した断面丸状棒体を用いるとともに、金属帯入側のピンチロールと入側外面成形ロール群との間に、通過する金属帯の両側端部にガイドロールを配するとともに通過する金属帯の両面に板押えを配し、前記ガイドロールを両側端に当接させつつ、しかも前記板押えで両面を押えつつ前記金属帯を通過させることにより造管した後、造管された当該スパイラル金属管を、溶接機の後段に上側押さえと下側押さえからなる一対で配置したベルト式駆動スタンドにより上下から押圧しつつ下流に強制的に搬送することを特徴とするスパイラル造管法による小径管の製造方法。
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