JP5560454B1 - 電力負荷平準化方法 - Google Patents
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Abstract
建造物における空調に使用する電力消費について、電力需要の非ピーク時間帯に熱源を蓄熱体に蓄熱し、電力需要のピーク時間帯及び電力需要の非ピーク時間帯に蓄熱した熱源を放熱することにより、電力消費量を平準化する方法を提供する。
【解決手段】
電力需要の非ピーク時間帯に、電力を利用して熱源収集手段により熱源を収集し、
次いで、収集した熱源を、屋外と断熱した蓄熱体に蓄熱し、
次いで、電力需要のピーク時間帯及び電力需要の非ピーク時間帯に、蓄熱した熱源を放出して、該熱源を空気調和設備を用いて建造物の室内に供給した。
【選択図】 図1
Description
基礎コンクリートの底面に接して、地盤温度を安定に維持するための発泡樹脂盤を敷設し、
電力需要の非ピーク時間帯に、電力を利用して地中熱ヒートポンプ及び地中熱交換器を用いる熱源収集手段により熱源を収集し、
上記収集した熱源を、発泡樹脂盤で屋外と断熱した基礎コンクリート、基礎から立ち上がるコンクリート壁、コンクリート床のうち少なくとも一つに蓄熱し、
上記蓄熱した熱源を地下ピットへ放出し、上記地下ピットへ放出した熱源を、ダクトを通して建造物の室内に供給し、電力需要の非ピーク時間帯の電力を利用して、電力需要のピーク時間帯の電力ピークカットを行うことを特徴とする。
請求項1記載の発明において、上記建造物の室内を換気熱交換器により換気するものである。
請求項1又は2記載の発明において、基礎コンクリート、基礎から立ち上がるコンクリート壁、コンクリート床のうち少なくとも一つを、調湿珪藻土、ゼオライト、シリカゲル、炭のうち少なくとも一の調湿材を用いて湿度調整するものである。
基礎コンクリートの底面に接して、地盤温度を安定に維持するための発泡樹脂盤を敷設し、
電力需要の非ピーク時間帯に、電力を利用して、地中熱ヒートポンプを用いて地盤を熱源として地中熱交換器に熱媒体を循環させて採放熱することにより熱源を収集し、
上記収集した熱源を、発泡樹脂盤で屋外と断熱した基礎コンクリート、基礎から立ち上がるコンクリート壁及びコンクリート床に蓄熱し、
上記蓄熱した熱源を地下ピットへ放出するとともに、調湿珪藻土で湿度調整し、上記地下ピットへ放出した熱源を建造物の室内へ通じるダクト及び除湿機能付き空調チャンバーを用いて建造物の室内に供給し、電力需要の非ピーク時間帯の電力を利用して、電力需要のピーク時間帯の電力ピークカットを行うことを特徴とする。
電力需要の非ピーク時間帯の電力を利用して熱源を収集し、その熱源を電力需要のピーク時間帯及び電力需要の非ピーク時間帯において、電力を使用せずに利用することができるため、一日を通して電力需要を平準化することができる。また、熱源収集手段として地中熱ヒートポンプ及び地中熱交換器を用いることにより、消費電力を低く抑えて、効率よく熱源を収集・放熱することができ、省エネルギー化を図ることができる。また、化石燃料を用いる場合に比べ、室内環境の維持向上を達成できる。さらに、建造物の既存構成要素である、基礎コンクリート、基礎から立ち上がるコンクリート壁、コンクリート床を蓄熱体として利用することができるため、イニシャルコストの大幅な削減が可能である。さらにまた、ダクトを用いる場合、建造物への設置が簡易で済み、また、故障が少ないため、イニシャルコストとランニングコストを大幅に削減することができる。
換気熱交換器を用いることにより、室内の熱量の損失量を減らすことができる。
建造物の屋内湿度が高く、屋内温度に比べて蓄熱体の表面温度が低く、風通しが悪い時に、蓄熱体に発生する結露を防止することができる。
空気調和設備として、除湿機能付き空調チャンバーを用いる場合、建造物への設置が簡易で済み、また、故障が少ないため、イニシャルコストとランニングコストを大幅に削減することができる。
以下、本発明電力負荷平準化方法について図を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施態様を示す電力負荷平準化方法であって、熱源を地熱から収集して、それを建造物の室内に供給する様子をあらわした概略断面図である。図1中の矢印(換気熱交換器7付近の矢印を除く)は、熱源の移動する大凡の方向を示している。換気熱交換器7付近の矢印は、空気の移動する大凡の方向を示している。
電力需要の非ピーク時間帯に、電力を利用して地中熱交換器2により地中から熱源を収集する。
地中熱交換器2は、両端が地中熱ヒートポンプ3に接続された密閉系のパイプ2´よりなり、内部を熱媒体が循環するタイプの地中熱交換器2である。地中熱交換器2における熱媒体は、主として空気、水、不凍水、オイルなどが用いられる。地中熱交換器2内を循環する熱媒体が、パイプ2´内を循環しながら地中熱と熱交換した後、地中熱ヒートポンプ3において熱源が収集される。地中熱ヒートポンプ3を用いると、空気を直接暖める(冷やす)のではなく、熱交換により冷暖房を行うため、COP(Coefficient Of Performance)「成績係数(動作係数)」が4〜6の、効率的な暖房(冷房)が可能である。
尚、図1の断面図において、水平型のパイプ2´の理解を容易にするために、パイプ2´だけは、斜視の視点から図示してある。
収集した熱源を基礎コンクリート4a、基礎から立ち上がる壁4bに蓄熱する。
上記のヒートポンプ3において収集された熱源を、熱媒体が循環する熱循環路12に通して、該熱循環路12に接触する基礎コンクリート4a、基礎から立ち上がる壁4bに熱源を移動させる。基礎コンクリート4a、基礎から立ち上がる壁4bに移動した熱源は、電力需要の非ピーク時間帯に蓄熱される。また、基礎コンクリート4a、基礎から立ち上がる壁4bの結露防止のため、その表面に調湿珪藻土13を設ける。熱循環路12を移動する熱媒体は、主として空気、水、不凍水、オイルなどが用いられる。
電力需要の非ピーク時間帯に蓄熱体に蓄熱した熱源を、電力需要のピーク時間帯及び電力需要の非ピーク時間帯に地下ピット14へ放出する。すなわち、蓄熱体に蓄熱された熱源は、24時間に渡り放出される。放出された熱源は、ダクト5を通り除湿機能付き空調チャンバー6に供給される。除湿機能付き空調チャンバーの除湿方法としては、エアコンなどで使用されているコンプレッサーを用いて吸湿する方法、吸湿剤を用いて吸湿するデカント方式、コンプレッサーとデカント方式を組み合わせたハイブリッド方式等が挙げられる。
該除湿機能付き空調チャンバー6内では、上記調湿珪藻土13で調湿できない空気中の余分な水分を、除湿機能を用いて快適な湿度に調湿する。続いて、除湿機能付き空調チャンバー6に接続されたダクト5を通して建造物の室内に熱源を供給して冷暖房を行う。また、換気熱交換機7を用いて、熱源を逃がさずに屋内外の換気を行う。さらに、床にガラリ18を設けることにより、地下ピット14から直接室内に熱源を供給して冷暖房を行うことができる。
快適な湿度の大凡の目安は、室内設定温度が約25〜28℃の夏季では、室内設定湿度は約55〜65%であり、室内設定温度が約18〜22℃の夏季では、室内設定湿度は約45〜60%である。
換気熱交換機とは、屋内外とで換気と共に熱交換の機能を有するものをいう。換気熱交換機を用いると、室内の熱量の損失量を減らすことが出来、地中熱ヒートポンプの負担が少なくなる。
電力需要のピーク時間帯に使用する除湿機能付き空調チャンバー及び換気熱交換機の電気量は少ない。そこで、電力需要の非ピーク時間帯に蓄電池を充電しておき、電力需要のピーク時間帯に充電した蓄電池の電源を、除湿機能付き空調チャンバー及び換気熱交換機の運転に使用することにより、電力需要のピーク時間帯に空調(冷暖房)で使用する電気量をゼロにすることができる。
本実施例では、空調設備として、ダクト、除湿機能付き空調チャンバー及び換気熱交換機を用いているが、これに限られるものではない。
図3に基づいて説明する。
地表からベタ基礎4aの底面までの距離を500mm、ベタ基礎4aのスラブの厚みを150mm、発泡樹脂盤8の厚みを200mmと設定し、且つ、地下ピット14は外部よりの通気がないものとした。
発泡樹脂盤8の熱抵抗値は、4.44m2・K/W。熱伝導率λは、0.045W/m・K。圧縮強度は、6.86×10−2N/mm2(7t/m2)である。
床暖房システムとして、マックス株式会社製の「サンサニー エコノヒート2」を用いた。「サンサニー エコノヒート2」の発熱部分であるヒーティングケーブル16は、外径5.5mm、並列して隣り合うパイプの断面中心間距離が50mmである。該ヒーティングケーブル16を、基礎コンクリート4aに埋設して用いた。
室内温度を20℃(冬季)と設定した。
建造物:木造1階建て
建築面積:83m2
建築場所:北海道札幌市
蓄熱体(鉄筋コンクリート)量:23.4m3(54トン)
実施期間:2010年2月1日〜2010年2月3日
上記条件において、2010年2月1日23時から翌日の2010年2月2日6時まで(電力需要の非ピーク時間帯)に、電力(電源)17を利用して床暖房システムを稼働させて、熱源を蓄熱体(鉄筋コンクリート)4に蓄熱した。
2010年2月2日6時から2010年2月2日23時(電力需要のピーク時間帯)に前記の蓄熱した熱源を蓄熱体(鉄筋コンクリート)4から放出して、建造物の各部屋へ熱源を供給して暖房を行った。
2010年2月2日23時から翌日の2010年2月3日6時まで(電力需要の非ピーク時間帯)に、電力(電源)17を利用して床暖房システムを稼働させて、熱源を蓄熱体(鉄筋コンクリート)4に蓄熱すると共に、蓄熱した熱源を蓄熱体(鉄筋コンクリート)4から放出して、建造物の各部屋へ熱源を供給して暖房を行った。
2010年2月3日6時から2010年2月3日23時(電力需要のピーク時間帯)に前記の蓄熱した熱源を蓄熱体(鉄筋コンクリート)4から放出して、建造物の各部屋へ熱源を供給して暖房を行い、試験を完了した。
上記期間中の屋外気温平均:−6.2℃
上記期間中の室内温度平均:21.1℃
6時から23時(電力需要のピーク時間帯)の消費電力:150W/m2
蓄熱体からの放熱効率:80〜90%
(放熱効率=1日当りの蓄熱体から室内に放熱した熱量÷1日当りの蓄熱体に加えた総熱量)
熱貫流率(U値):1.1W/m2K
2 地中熱交換器
2´パイプ
3 地中熱ヒートポンプ
4 蓄熱体
4a 基礎コンクリート
4b 基礎から立ち上がる壁
5 ダクト
6 除湿機能付き空調チャンバー
7 換気熱交換機
8 断熱材
9 地盤
10 排水層(砂、砕石、土木シート)
11 グラウト材
12 熱循環路
13 調湿珪藻土
14 地下ピット
15 発泡樹脂盤
16 ヒーティングケーブル
17 電源
18 ガラリ
Claims (4)
- 基礎コンクリートの底面に接して、地盤温度を安定に維持するための発泡樹脂盤を敷設し、
電力需要の非ピーク時間帯に、電力を利用して地中熱ヒートポンプ及び地中熱交換器を用いる熱源収集手段により熱源を収集し、
上記収集した熱源を、発泡樹脂盤で屋外と断熱した基礎コンクリート、基礎から立ち上がるコンクリート壁、コンクリート床のうち少なくとも一つに蓄熱し、
上記蓄熱した熱源を地下ピットへ放出し、上記地下ピットへ放出した熱源を、ダクトを通して建造物の室内に供給し、電力需要の非ピーク時間帯の電力を利用して、電力需要のピーク時間帯の電力ピークカットを行うことを特徴とする電力負荷平準化方法。 - 上記建造物の室内を換気熱交換器により換気するものである請求項1記載の電力負荷平準化方法。
- 基礎コンクリート、基礎から立ち上がるコンクリート壁、コンクリート床のうち少なくとも一つを、調湿珪藻土、ゼオライト、シリカゲル、炭のうち少なくとも一の調湿材を用いて湿度調整するものである請求項1又は2記載の電力負荷平準化方法。
- 基礎コンクリートの底面に接して、地盤温度を安定に維持するための発泡樹脂盤を敷設し、
電力需要の非ピーク時間帯に、電力を利用して、地中熱ヒートポンプを用いて地盤を熱源として地中熱交換器に熱媒体を循環させて採放熱することにより熱源を収集し、
上記収集した熱源を、発泡樹脂盤で屋外と断熱した基礎コンクリート、基礎から立ち上がるコンクリート壁及びコンクリート床に蓄熱し、
上記蓄熱した熱源を地下ピットへ放出するとともに、調湿珪藻土で湿度調整し、上記地下ピットへ放出した熱源を建造物の室内へ通じるダクト及び除湿機能付き空調チャンバーを用いて建造物の室内に供給し、電力需要の非ピーク時間帯の電力を利用して、電力需要のピーク時間帯の電力ピークカットを行うことを特徴とする電力負荷平準化方法。
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