本発明においては、飲食料品の製造過程で発生する廃棄物の粉砕物を含有した模様紙であって、該粉砕物が脱落するおそれがなく、印刷に際して支障がないとともに、従来にない模様を提供でき、さらには、カカオ豆を原料とする食品の製造に際して発生する廃棄物としてのカカオ豆の皮を有効利用できる模様紙を提供するという目的を以下のようにして実現した。
本発明に基づく模様紙5は、図1に示すように、表層10と、裏層20と、表層10と裏層20の間に設けられた中間層30とを有し、表層10と裏層20と中間層30とは積層して重なって形成され、三層に形成されている。模様紙5の模様としては、表層10側の模様が図2に示され、裏層20側の模様が図3に示される。表層10と中間層30と裏層20とは、以下に説明するように、湿紙の状態で抄き合わせて構成したものである。
ここで、表層10は、カカオハスク粉砕物を含有しない紙シートにより構成され、坪量(目付けとしてもよい)が29.5〜30.5g/m2(好適には、30.0g/m2)の厚みを有している。
また、裏層20も、表層10と同様に、カカオハスク粉砕物を含有しない紙シートにより構成され、坪量(目付けとしてもよい)が29.5〜30.5g/m2(好適には、30.0g/m2)の厚みを有している。
表層10と裏層20とは、ともに、パルプ(具体的には、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプの少なくともいずれかにより形成されたパルプ)により形成されている。
例えば、表層10を構成するパルプは、晒パルプと非木材パルプとを配合したものであり、表層10を構成するパルプにおける重量割合は、晒パルプ(白色度80〜85%)が85〜95重量%、非木材パルプが5〜15重量%となっている。ここで、非木材パルプとしては、アブラヤシ毬から得たパルプが挙げられる。なお、晒パルプ(白色度80〜85%)が85〜95重量%、アブラヤシ毬から得たパルプが5〜15重量%とした表層10自体の白色度は35〜45%であり、表層10側からカカオハスク粉砕物34の模様を視認するのに支障がないものとなっている。
また、裏層20を構成するパルプは、晒パルプ(白色度80〜85%)により構成されている。なお、裏層20を構成する晒パルプの白色度が80〜85%であるので、裏層20側からカカオハスク粉砕物34の模様を視認するのに支障がない。
なお、表層10と裏層20とは、坪量が29.5〜30.5g/m2の厚みを有しているが、坪量を29.5g/m2未満とすると、模様紙5の状態において、中間層30のカカオハスク粉砕物が表層10や裏層20の表面から突出してしまうおそれがあり、一方、坪量を30.5g/m2よりも大きくすると、カカオハスク粉砕物の粒径が0.1〜2.0mmであることから、カカオハスク粉砕物の模様が表層10や裏層20を介して見えなくなるという問題がある。つまり、表層10や裏層20の坪量が30.5g/m2以下であるので、表層10の外側の面及び裏層20の外側の面に、カカオハスク粉砕物34の模様が視認可能に表れる。
また、中間層30は、カカオハスク粉砕物を含有する紙シートにより構成され、坪量(目付けとしてもよい)が59.0〜61.0g/m2(好適には、59.5〜60.5g/m2で、より好適には、60.0g/m2)の厚みを有している。すなわち、中間層30は、主として、パルプ(具体的には、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプの少なくともいずれかにより形成されたパルプ)により形成された紙シート本体32と、紙シート本体32内に含有されたカカオハスク粉砕物34とを有している。このカカオハスク粉砕物34が、模様紙5の外側の面に模様を形成するための粉砕物である。なお、「カカオハスク粉砕物」を「カカオ豆の皮粉砕物」としてもよい。
すなわち、中間層30は、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプの少なくともいずれかに粒径0.1〜2.0mmのカカオハスク粉砕物を混入したカカオハスク粉砕物混入パルプにより形成され、中間層30を構成する紙シートの重量におけるカカオハスク粉砕物の重量割合は、5〜25重量%(好適には、8〜12重量%)となっている。つまり、紙シート本体32とカカオハスク粉砕物34の合計重量におけるカカオハスク粉砕物の重量割合は、5〜25重量%(好適には、8〜12重量%)となっている。
ここで、中間層30を構成する紙シートにおけるカカオハスク粉砕物の重量割合を5重量%未満とすると、カカオハスク粉砕物が広く分散されてしまい、カカオハスク粉砕物による模様の存在を認識しづらくなるという問題があり、また、カカオハスク粉砕物の重量割合を25重量%よりも大きくすると、カカオハスク粉砕物の含有量が多すぎるため、きれいな模様を得ることができないとともに、紙の強度も十分ではないという問題がある。つまり、カカオハスク粉砕物の重量割合を5〜25重量%とすることにより、カカオハスク粉砕物の模様を認識しやすくするとともに、カカオハスク粉砕物の模様をきれいに表わすことができる。
また、中間層30は、坪量が59.0〜61.0g/m2の厚みを有していて、特に、坪量が59.0g/m2以上であるので、カカオハスク粉砕物の重量割合を5〜25重量%とすることにより、カカオハスク粉砕物を十分含有させることができ、カカオハスク粉砕物による模様を十分表すことができる。つまり、中間層30の坪量が59.0g/m2未満の場合には、カカオハスク粉砕物の重量割合を5〜25重量%とすると、カカオハスク粉砕物を十分含有させることができず、カカオハスク粉砕物による模様を十分表すことができない。
また、紙シート本体32は、具体的には、晒パルプ(白色度80〜85%)により構成されている。つまり、中間層30におけるカカオハスク粉砕物以外の構成は、坪量の点を除き裏層20と同様であり、紙シート本体32を構成するパルプは、晒パルプ(白色度80〜85%)により構成されている。
また、カカオハスク粉砕物34は、カカオ豆の皮(カカオハスク)を粉砕したものであり、0.1〜2.0mmの粒径(平均粒径0.6mm)となっている。カカオ豆の皮としては、焙煎したカカオ豆の皮でもよいし、焙煎していないカカオ豆の皮でもよい。ここで、カカオハスクとは、カカオ豆の皮を意味するものである。
すなわち、カカオハスク粉砕物34は、カカオ豆の皮を網目でふるいに掛けた後に粉砕したものであり、具体的には、カカオ豆の皮を4〜6メッシュのふるいで複数回ふるいに掛け(具体的には、該カカオ豆の皮を4メッシュのふるい(1インチにおける網目が4つのふるい)でふるいに掛けた後に、6メッシュのふるい(1インチにおける網目が6つのふるい)でふるいに掛ける)、その後、0.1〜2.0mmの粒径(平均粒径0.6mm)に粉砕したものである。粉砕に際しては、ボールミルを用い、ボールミルによりカカオ豆の皮を磨りつぶすことにより、カカオ豆の皮をフィブリル化させている。つまり、カカオハスク粉砕物の表面が毛羽立ち、ささくれた状態となっている。このようにカカオ豆の皮をフィブリル化することにより、パルプと混合させた際に、パルプとからみやすく中間層30において、紙シート本体32に定着しやすくなる。
上記表層10と裏層20と中間層30とは、各層を構成するスラリーを順次抄き合わせることにより構成され、具体的には、円網式抄紙機により3層に抄き合わされていて、模様紙5全体では、坪量が118.0〜122.0g/m2の厚みを有している。
表層10を晒パルプとアブラヤシ毬から得たパルプとを重量割合が晒パルプを90重量%、アブラヤシ毬から得たパルプを10重量%として配合してなるパルプにより坪量が30.0g/m2の厚みに構成し、裏層20を晒パルプにより坪量が30.0g/m2の厚みに構成し、中間層30を晒パルプと0.1〜2.0mmの粒径のカカオハスク粉砕物により、晒パルプとカカオハスク粉砕物の合計重量に対するカカオハスク粉砕物の重量割合を10重量%として、坪量が60.0g/m2の厚みに構成した模様紙の表層側の面は、図2に示すように構成され、模様紙の裏層側の面は、図3に示すように構成される。つまり、表層10の外側の面には、中間層30に含有されているカカオハスク粉砕物34の模様(粒状の模様)が表層10を介して視認可能に表われているとともに、表層10に含まれるアブラヤシ毬破砕物12の模様(細長帯状の模様)が視認可能に表れていて、結果として、表層10の外側の面(アブラヤシ毬パルプを含有した層(つまり、表層10)の外側の面)には、カカオハスク粉砕物34の模様とアブラヤシ毬破砕物12の模様が視認可能に表れている。また、裏層20の外側の面には、中間層30に含有されているカカオハスク粉砕物34の模様(粒状の模様)が裏層20を介して視認可能に表れている。なお、図2、図3に示す例では、カカオハスク粉砕物においては焙煎したカカオ豆を使用しているが、焙煎していないカカオ豆を使用してもよい。
上記構成の模様紙5の製造工程について説明する。まず、中間層30に用いるカカオハスク粉砕物を製造する(図4のS11(カカオハスク粉砕物製造工程))。カカオ豆の皮(カカオ豆から実を取り出した後に残る皮)を4〜6メッシュのふるいで複数回ふるい作業を行い(具体的には、該カカオ豆の皮を4メッシュのふるいでふるいに掛けた後に、6メッシュのふるいでふるいに掛ける)、その後、粉砕機で粉砕して平均粒径0.1〜2.0mmの粒径(平均粒径0.6mm)とする。カカオ豆の皮としては、焙煎したカカオ豆の皮でもよいし、焙煎していないカカオ豆の皮でもよい。なお、カカオ豆を焙煎する場合には、例えば、カカオ豆を115〜135℃(好適には、120〜130℃)の温度で15〜35分(好適には、20〜30分)焙煎する。粉砕機はボールミルを使用してカカオ豆の皮を磨りつぶすことにより、カカオ豆の皮をフィブリル化させる。
また、カカオハスク製造工程と並行して、表層10と裏層20と中間層30に用いるパルプを製造する(図4のS12、パルプ製造工程)。すなわち、パルプの原料としては、木材パルプと非木材パルプと古紙パルプの少なくともいずれかとし、パルプの製造工程としては、機械パルプでも化学パルプでもよい。
具体的には、晒パルプ(白色度80〜85%)と非木材パルプをそれぞれ製造し、表層10については、晒パルプ(白色度80〜85%)が85〜95重量%、非木材パルプが5〜15重量%のパルプとなるように各パルプを配合する。また、裏層20と中間層30については、上記晒パルプ(白色度80〜85%)が用いられる。
なお、上記非木材パルプは、アブラヤシ毬から得たパルプであり、このアブラヤシ毬から得たパルプの製造に当たっては、アブラヤシの果実から油を採取した後に残るアブラヤシ毬(かさ)(アブラヤシの空果房ともいう)を破砕してなる破砕物を得る。そして、この破砕物を繊維部分と非繊維部分に分けて、繊維部分(この繊維部分を「ヤシ殻繊維」とする)を得る。そして、このヤシ殻繊維を細かく(例えば、数mmの長さ(具体的には、10mm以下の長さ)に)細断して、細断されたヤシ殻繊維を蒸解処理する。このように細断されたヤシ殻繊維を蒸解処理することにより繊維中のリグニンが除去されヤシ殻繊維がパルプ化され、アブラヤシ毬を原料としたパルプ(アブラヤシ毬パルプ)が製造される。なお、アブラヤシ毬は、「アブラヤシ殻」、「パームヤシ毬」、「パームヤシ殻」としてもよい。
上記のように配合し混合されたパルプを製造したら、必要に応じて、填料や薬品を添加する。填料としては、天然又は合成白色顔料(例えば、白土(クレー、粘土)、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン)が挙げられ、紙の白色度・不透明度・地合・表面の平滑性を向上させ、印刷時のインキ抜けなどを防ぐために投入される。また、薬品としては、紙の強度を高める薬品として、デンプンやPAM(ポリアクリルアミド)が挙げられ、水に濡れたときの強度(湿潤紙力)を高める薬品として、湿潤紙力剤が挙げられる。以上のようにして、表層10と裏層20と中間層30に用いるパルプを製造する。
なお、カカオハスク粉砕物製造工程(S11)とパルプ製造工程(S12)は、並行して行ってもよいし、カカオハスク粉砕物製造工程の次にパルプ製造工程を行ってもよいし、パルプ製造工程の次にカカオハスク粉砕物製造工程を行ってもよい。
次に、製紙工程(S13)に移行し、製紙を行なう。まず、表層10及び裏層20用の原料を製造するとともに、中間層30用の原料を製造する(原料製造工程)。
表層10及び裏層20用の原料については、晒パルプ(白色度80〜85%)を水により希釈してスラリー状の原料を製造する。一方、中間層30用の原料については、パルプとカカオハスク粉砕物とを混合して水で希釈してスラリー状の原料を製造する。カカオハスク粉砕物の配合割合は、パルプとカカオハスク粉砕物の合計重量に対して、カカオハスク粉砕物が5〜25重量%(好適には、8〜12重量%)となるようにする。
なお、表層10用の原料におけるパルプの濃度や裏層20用の原料におけるパルプの濃度は、製造された模様紙5における表層10と裏層20が、坪量が29.5〜30.5g/m2(好適には、30.0g/m2)の厚みとなるように調整し、また、中間層30用の原料におけるパルプとカカオハスク粉砕物の混合物の濃度は、製造された模様紙5における中間層30が、坪量が59.0〜61.0g/m2(好適には、59.5〜60.5g/m2で、より好適には、60.0g/m2)の厚みとなるように調整する。
次に、ワイヤーパートにおいて、裏層20用の原料と中間層30用の原料と表層10用の原料とが重なった状態に抄き合わせる(抄紙工程)。具体的には、円網式抄紙機(丸網式抄紙機としてもよい)を用いて、裏層20用の原料により形成された湿紙と、中間層30用の原料により形成された湿紙と、表層10用の原料により形成された湿紙とが重なった状態の紙層を形成する。つまり、スラリー状の各原料が入った抄槽と該抄槽の中で回転する円網とからなるユニットを計3つ設け、円網上に生じた紙料層をクーチロールでフェルトの表面に吸い付けていくが、裏層20用の湿紙の下側に中間層30用の湿紙を重ね、中間層30用の湿紙の下側に表層10用の湿紙を重ねる。つまり、裏層20側から表層10側に順次抄き合わせていき、各層を構成する湿紙を抄き合わせていく。
製紙工程における以後の工程は、従来における製紙工程と同様の工程により行われ、プレスパート(圧搾・搾水部)、ドライヤーパート(乾燥部)、サイズプレスパート、アフタードライヤーパート、カレンダー(光沢部)、リールパート、ワインダーの順に処理が行われる。
すなわち、プレスパートでは、ワイヤーパートにおいて形成された紙層(湿紙により形成された紙層)をフェルトの上に乗せて数組のロールの間を通して機械的に圧搾脱水する(脱水工程)。ドライヤーパートやアフタードライヤーパートでは、例えば、多筒式ドライヤーを用いて、蒸気で加熱した鉄製のドライヤーに紙を押しつけて乾燥を行ない、乾燥された紙シートを形成する(乾燥工程)。また、サイズプレスパートでは、紙の表面強度や耐水性を付与するために、紙の表面に澱粉等の薬品を塗布して印刷に適した紙にし(薬品塗布工程)、カレンダーでは、鉄製のロールの間に紙を通して紙の厚さの調成や紙の表面を滑らかにする(加圧工程)。リールパートでは、紙を巻き取り(巻取り工程)、ワインダーでは、紙を巻き直しながら不良部分を取り除き、所定の幅と長さに巻き取っていく(ワインダー工程)。その後は、カッターで断裁を行なう(断裁工程)。以上のようにして、模様紙5が製造される。
上記のように製造された模様紙5は、種々の用途に使用できるが、例えば、模様紙5をを使用して段ボールを製造し、製造した段ボールにより紙製容器(例えば、包装箱)や手提げ袋等を製造する。
つまり、図5に示すように、段ボールシート100は、一対のライナー110、120と、ライナー110とライナー120間に設けられた断面略波形の中芯130とを有しているが、ライナー110とライナー120のいずれか一方に模様紙5を使用する。
そこで、図6に示す紙製造工程(S21)においては、模様紙5により製造されたライナー110用のライナー原紙と、ライナー120用のライナー原紙と、中芯130用のライナー原紙とを製造する。その後、段ボール製造工程(S22)において、製造された紙を使用して段ボールを製造し、その後、製函工程(S23)において、製造された段ボールを使用して紙製容器を製造する(S23)。段ボールシート100により製造される紙製容器や手提げ袋においては、外側の面のみに模様紙5の模様が露出すればよいので、ライナー110とライナー120における一方を模様紙5により形成し、ライナー110とライナー120における他方と中芯130とは、模様紙5を使用する必要がない。なお、ライナー110とライナー120の一方を模様紙5により形成する際に、表層10側には、カカオハスク粉砕物とアブラヤシ毬破砕物により模様が形成されているので、ライナー110(120)の外側の面(中芯130側とは反対側の面)が模様紙5の表層10となるようにする。
段ボールの製造に際しては、具体的には、コルゲータ(コルゲートマシン)により製造される。このコルゲータは通常のコルゲータと同様の構成であり、ライナー110用の紙を繰り出す手段と、中芯130用の紙を繰り出す手段と、ライナー120用の紙を繰り出す手段と、それぞれの紙を予熱する予熱ロールと、予熱された中芯130用の紙からコルゲート状の中芯を連続的に形成するための一組の歯形ロールと、形成された中芯の一方の面の頂部に接着剤を塗布する第1接着剤塗布手段と、接着剤が塗布された中芯130とライナー110用の紙とを歯形ロールの一方の上で連続的に貼り合わせて「シングルフェーサー」とよばれる片面ダンボール紙を形成するための圧着ロールを有する第1貼り合わせ手段と、形成された片面ダンボール紙の他方の面の頂部に接着剤を塗布する第2接着剤塗布手段と、接着剤を塗布された片面ダンボール紙とライナー120用の紙とを貼り合わせて「ダブルバッカー」とよばれる両面ダンボール紙を形成するとともに、接着剤を乾燥させ、走行の間に貼り付けを完了するように配置された第2貼り合わせ手段で、熱盤と多数の小さな圧着ロールを有する第2貼り合わせ手段などを有する。上記の構成のコルゲータによりライナー110と中芯130とライナー120とからなる段ボールを製造する。
また、製函工程(S23)においては、トムソン等の型抜き装置により製造された段ボールの型抜きを行い、その後、製函装置により組み立てて包装箱等の紙製容器等を製造する。なお、包装箱の製造に際しては、模様紙5により形成されたライナーが包装箱の外側の面となるように製造し、包装箱の外側の面に模様紙の模様が表れる。
なお、ライナー110とライナー120の一方のみならず、他方のライナーも模様紙5により形成して、包装箱の外側の面のみならず内側の面にも模様紙5の模様が表れるようにしてもよい。その場合には、ライナー110とライナー120の外側の面(中芯130側と反対側の面)が表層10となるようにする。
上記構成の模様紙5によれば、カカオハスク粉砕物を含有した紙シートにより形成された中間層30の一方の面にカカオハスク粉砕物を含有しない紙シートにより形成された表層10が設けられ、該中間層30の他方の面にカカオハスク粉砕物を含有しない紙シートにより形成された裏層20が設けられているので、カカオハスク粉砕物が模様紙5から脱落するおそれがなく、印刷に際して支障がない。
また、カカオハスク粉砕物は、模様紙を製造するための原料として従来にないものであるので、従来にない新規な模様を提供でき、さらには、カカオ豆を原料とする食品の製造に際して発生する廃棄物としてのカカオ豆の皮を有効利用できる。
特に、表層10側の面には、カカオハスク粉砕物とアブラヤシ毬破砕物により模様が形成されるので、従来にない新規な模様を提供することができ、カカオ豆を原料とする食品の製造に際して発生する廃棄物としてのカカオ豆の皮を有効利用できるとともに、アブラヤシの果実から油を採取した後に残る廃棄物としてのアブラヤシ毬を有効利用することができる。なお、表層10には、アブラヤシ毬破砕物の模様が表れているが、このアブラヤシ毬は、アブラヤシ毬から得たパルプを晒パルプと混合して抄紙したものであるので、アブラヤシ毬が表層10から脱落することはない。また、カカオハスク粉砕物はフィブリル化されているので、中間層30を構成するパルプに定着しており、表層10や裏層20が破れてもカカオハスク粉砕物が容易に脱落することがない。
また、模様紙5をライナーに使用した段ボールシートにより製造された包装箱において、模様紙5により形成されたライナーが外側の面となるように包装箱を製造することにより、包装箱の外側の面にカカオハスク粉砕物の模様を表わすことができるので、包装箱に収納される商品をカカオ豆に関連する商品(例えば、チョコレート、ココア)とし、包装箱の外面にカカオハスク粉砕物を表わすことにより、包装箱の外面の模様を収納される商品と関連付けたものとすることができ、パッケージの模様と収納される商品とを関連付けることにより商品の宣伝効果を高めるとともに、商品を製造する際の廃棄物を利用していることにより環境に配慮した商品であることを商品の販売に際してアピールすることができる。
なお、上記の説明においては、表層10を構成するパルプは、晒パルプと非木材パルプとを配合したものであるとしたが、表層10を裏層20と同様の構成とし(つまり、表層10を構成するパルプを裏層20を構成するパルプと同様とする)、非木材パルプを配合しないものとしてもよい。その場合には、表層10側には、裏層20と同様に、カカオハスク粉砕物の模様のみが表れることになる。このように、表層10と裏層20の構成を同じとした模様紙を用いて段ボールシートを形成する場合には、ライナーの外側の面は、表層10と裏層20のいずれでもよい。
一方、裏層20を構成するパルプは、晒パルプであるとしたが、裏層20を表層10と同様の構成とし(つまり、裏層20を構成するパルプを表層10を構成するパルプと同様とする)、非木材パルプを配合したものとしてもよい。その場合には、表層10の外側の面のみならず裏層20の外側の面に、カカオハスク粉砕物の模様とアブラヤシ毬破砕物の模様が表れることになる。つまり、表層10と裏層20が、ともに、アブラヤシ毬パルプを含有した層となる。このように、表層10と裏層20の構成を同じとした模様紙を用いて段ボールシートを形成する場合には、ライナーの外側の面は、表層10と裏層20のいずれでもよい。
また、表層10と裏層20と中間層30においては、晒パルプだけでなく、未晒パルプを配合させてもよい。
例えば、表層10を構成するパルプは、晒パルプと未晒パルプと非木材パルプとを配合したものとし、表層10を構成するパルプにおける重量割合は、晒パルプ(白色度80〜85%)が65〜80重量%、未晒パルプ(白色度20〜45度)が10〜25重量%、非木材パルプが5〜10重量%とする。ここで、非木材パルプとしては、アブラヤシ毬から得たパルプが挙げられる。また、裏層20を構成するパルプは、晒パルプと未晒パルプとを配合したものとし、裏層20を構成するパルプにおける重量割合は、晒パルプ(白色度80〜85%)が75〜85重量%、未晒パルプ(白色度20〜45度)が15〜25重量%とする。また、中間層30におけるカカオハスク粉砕物以外の構成は、坪量の点を除き裏層20と同様であり、紙シート本体32を構成するパルプにおける重量割合は、晒パルプ(白色度80〜85%)が75〜85重量%、未晒パルプ(白色度20〜45度)が15〜25重量%とする。なお、表層10や裏層20において、未晒パルプ(白色度20〜45度)を25重量%以下とすることにより(つまり、表層10を構成するパルプにおける未晒パルプの重量割合を25重量%とし、裏層20を構成するパルプにおける未晒パルプの重量割合を25重量%とする)、カカオハスク粉砕物の模様を表層の外側や裏層の外側から見えやすくすることができる。
実施例2の模様紙5’は、実施例1の模様紙5が表層10と裏層20の間に1つの中間層30を有するのに対して、中間層を二層に構成したものである。すなわち、図7に示すように、模様紙5’は、表層10と裏層20と第1中間層30−1と第2中間層30−2とを有し、裏層20の内側に第2中間層30−2が重なり、第2中間層30−2の裏層20とは反対側に第1中間層30−1が重なり、第1中間層30−1の第2中間層30−2とは反対側に表層10が重なった構成となっている。表層10と第1中間層30−1と第2中間層30−2と裏層20とは、湿紙の状態で抄き合わせて構成したものである。
第1中間層30−1と第2中間層30−2とは、それぞれ、坪料が29.5〜30.5g/m2(好適には、30.0g/m2)の厚みを有する紙シートである以外は中間層30と同様の構成となっている。すなわち、第1中間層30−1と第2中間層30−2とは、ともに、主として、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプの少なくともいずれかにより構成された紙シート本体32と、紙シート本体32内に含有されたカカオハスク粉砕物34とを有し、第1中間層30−1や第2中間層30−2を構成する紙シートの重量におけるカカオハスク粉砕物の重量割合は、5〜25重量%(好適には、8〜12重量%)となっている。
この場合でも、第1中間層30−1の坪量と第2中間層30−2の坪量は、合計で59.0〜61.0g/m2となり、第1中間層30−1と第2中間層30−2の2つの層で、坪量が59.0〜61.0g/m2の厚みとなり、特に、坪量が59.0g/m2以上であるので、カカオハスク粉砕物の重量割合を5〜25重量%とすることにより、カカオハスク粉砕物による模様を視認できるのに十分なカカオハスク粉砕物を含有させることができる。
第1中間層30−1と第2中間層30−2におけるカカオハスク粉砕物以外の構成は、坪量の点を除き裏層20と同様であり、また、図7に示す模様紙5’における表層10と裏層20の構成は、図1に示す模様紙5における表層10と裏層20の構成と同様であるので、詳しい説明を省略する。つまり、模様紙5’は四層に形成されている。
なお、模様紙5’の製造工程は、上記模様紙5の製造工程と略同一であるが、ワイヤーパートにおいて、裏層20用の原料と第2中間層30−2用の原料と第1中間層30−1用の原料と表層10用の原料とが積層して重なった状態に抄き合わせる。第2中間層30−2用の原料と第1中間層30−1用の原料は、実施例1における中間層30用の原料と同じである。
具体的には、円網式抄紙機(丸網式抄紙機としてもよい)を用いて、裏層20用の原料により形成された湿紙と、第2中間層30−2用の原料により形成された湿紙と、第1中間層30−1用の原料により形成された湿紙と、表層10用の原料により形成された湿紙とが重なった状態の紙層を形成する。つまり、スラリー状の各原料が入った抄槽と該抄槽の中で回転する円網とからなるユニットを計4つ設け、円網上に生じた紙料層をクーチロールでフェルトの表面に吸い付けていくが、裏層20用の湿紙の下側に第2中間層30−2用の湿紙を重ね、第2中間層30−2用の湿紙の下側に第1中間層30−1用の湿紙を重ね、第1中間層30−1用の湿紙の下側に表層10用の湿紙を重ねる。このようにして、第2中間層30−2が第1中間層30−1と重なって形成され、第1中間層30−1が表層10と重なって形成され、第2中間層30−2が裏層20と重ねって形成される。つまり、裏層20側から表層10側に順次抄き合わせていき、各層を構成する湿紙を抄き合わせていく。
なお、第1中間層30−1用の原料と第2中間層30−2用の原料におけるパルプとカカオハスク粉砕物の混合物の濃度は、製造された模様紙5’における第1中間層30−1と第2中間層30−2がともに、坪量が29.5〜30.5g/m2好適には、30.0g/m2)の厚みとなるように調整する。
模様紙5’の使用方法は、模様紙5’の場合と同様であり、種々の用途に使用できるが、例えば、模様紙5’を使用して段ボールを製造し、製造した段ボールにより紙製容器(例えば、包装箱)や手提げ袋等を製造する。
つまり、図5に示す段ボールシート100のライナー110及び/又はライナー120を模様紙5’により形成し、該段ボールシートにより包装箱等を製造して使用する。段ボールシート100においては、上記と同様に、ライナー110(120)の外側の面(中芯130側とは反対側の面)が模様紙5’の表層10となるようにする。なお、ライナー110とライナー120の一方のみを模様紙5’により形成する場合には、模様紙5’により形成されたライナーが包装箱の外側の面となるように製造し、包装箱の外側の面に模様紙の模様が表れるようにする。この場合も、表層10がライナーの外側の面となるようにして、カカオハスク粉砕物とアブラヤシ毬破砕物による模様がライナーの外側の面に表れるようにする。
上記構成の模様紙5’によれば、カカオハスク粉砕物を含有した紙シートである第1中間層30−1の一方の面にカカオハスク粉砕物を含有しない紙シートである表層10が設けられ、該第2中間層30−2の一方の面にカカオハスク粉砕物を含有しない紙シートである裏層20が設けられているので、カカオハスク粉砕物が模様紙5’から脱落するおそれがなく、印刷に際して支障がない。
また、カカオハスク粉砕物は、模様紙を製造するための原料として従来にないものであるので、従来にない新規な模様を提供でき、さらには、カカオ豆を原料とする食品の製造に際して発生する廃棄物としてのカカオ豆の皮を有効利用できる。
特に、表層10側の面には、カカオハスク粉砕物とアブラヤシ毬破砕物により模様が形成されるので、従来にない新規な模様を提供することができ、カカオ豆を原料とする食品の製造に際して発生する廃棄物としてのカカオ豆の皮を有効利用できるとともに、アブラヤシの果実から油を採取した後に残る廃棄物としてのアブラヤシ毬を有効利用することができる。なお、表層10には、アブラヤシ毬破砕物の模様が表れているが、このアブラヤシ毬は、アブラヤシ毬から得たパルプを晒パルプと混合して抄紙したものであるので、アブラヤシ毬破砕物が表層10から脱落することはない。また、カカオハスク粉砕物はフィブリル化されているので、第1中間層30−1や第2中間層30−2を構成するパルプに定着しており、表層10や裏層20が破れてもカカオハスク粉砕物が容易に脱落することがない。
また、模様紙5’をライナーに使用した段ボールシートにより製造された包装箱において、模様紙5’により形成されたライナーが外側の面となるように包装箱を製造することにより、包装箱の外側の面にカカオハスク粉砕物の模様を表わすことができるので、包装箱に収納される商品をカカオ豆に関連する商品(例えば、チョコレート、ココア)とし、包装箱の外面にカカオハスク粉砕物を表わすことにより、包装箱の外面の模様を収納される商品と関連付けたものとすることができ、パッケージの模様と収納される商品とを関連付けることにより商品の宣伝効果を高めるとともに、商品を製造する際の廃棄物を利用していることにより環境に配慮した商品であることを商品の販売に際してアピールすることができる。
なお、上記の模様紙5’においては、表層10を構成するパルプは、晒パルプと非木材パルプとを配合したものであるとしたが、表層10を裏層20と同様の構成とし(つまり、表層10を構成するパルプを裏層20を構成するパルプと同様とする)、非木材パルプを配合しないものとしてもよい。その場合には、表層10には、裏層20と同様に、カカオハスク粉砕物の模様のみが表れることになる。このように、表層10と裏層20の構成を同じとした模様紙を用いて段ボールシートを形成する場合には、ライナーの外側の面は、表層10と裏層20のいずれでもよい。
一方、裏層20を構成するパルプは、晒パルプであるとしたが、裏層20を表層10と同様の構成とし(つまり、裏層20を構成するパルプを表層10を構成するパルプと同様とする)、非木材パルプを配合したものとしてもよい。その場合には、裏層20側には、カカオハスク粉砕物の模様とアブラヤシ毬破砕物の模様が表れることになる。このように、表層10と裏層20の構成を同じとした模様紙を用いて段ボールシートを形成する場合には、ライナーの外側の面は、表層10と裏層20のいずれでもよい。
また、表層10と裏層20と第1中間層30−1と第2中間層30−2においては、晒パルプだけでなく、未晒パルプを配合させてもよい。
例えば、表層10を構成するパルプは、晒パルプと未晒パルプと非木材パルプとを配合したものとし、表層10を構成するパルプにおける重量割合は、晒パルプ(白色度80〜85%)が65〜80重量%、未晒パルプ(白色度20〜45度)が10〜25重量%、非木材パルプが5〜10重量%とする。ここで、非木材パルプとしては、アブラヤシ毬から得たパルプが挙げられる。また、裏層20を構成するパルプは、晒パルプと未晒パルプとを配合したものとし、裏層20を構成するパルプにおける重量割合は、晒パルプ(白色度80〜85%)が75〜85重量%、未晒パルプ(白色度20〜45度)が15〜25重量%とする。また、第1中間層30−1や第2中間層30−2におけるカカオハスク粉砕物以外の構成は、坪量の点を除き裏層20と同様であり、紙シート本体32を構成するパルプにおける重量割合は、晒パルプ(白色度80〜85%)が75〜85重量%、未晒パルプ(白色度20〜45度)が15〜25重量%とする。なお、表層10や裏層20において、未晒パルプ(白色度20〜45度)を25重量%以下とすることにより、カカオハスク粉砕物の模様を表層の外側や裏層の外側から見えやすくすることができる。