JP5556415B2 - 画像処理装置 - Google Patents

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本願開示は、一般に画像処理装置に関し、詳しくは時間フィルタ処理を行なう画像処理装置に関する。
ハイビジョンやスーパーハイビジョンといった高品位動画においては、1フレームあたりのデータ量が膨大であるために、時間フィルタ処理の対象画像を、処理装置内部の高価なSRAM(Static Random Access Memory)に格納しておくことは好ましくない。一般には、処理装置外部のSDRAM(Synchronous Dynamic Random Memory)をフレームメモリとして使用して、このフレームメモリに時間フィルタ処理の対象画像を配置する。
外部SDRAMをフレームメモリとして使用する場合、単位時間あたりのデータ転送量は、処理後の画素の生成に必要なデータの取得量に依存する。即ち、ある単位基準値×画面サイズ×フレームレート×フィルタのタップ数により、データ転送量の計算を定式化することが可能である。動画処理においては、画面サイズ及びフレームレートは製品の基本的な仕様から決定されるものであり、自由度が無い。従って、時間フィルタ処理に用いるタップ数が、データ転送量を実質的に決定することになる。
時間フィルタ処理を行なうためのデジタルフィルタとしては、FIR(Finite Impulse Response)型或いはIIR(Infinite Impulse Response)型が主に用いられる。IIR型フィルタのメリットとしては、例えば2入力1出力構成であり、外部のSDRAMからのデータ読み出し量が少なくてすむ。IIR型のフィルタのデメリットとしては、消しきれなかったノイズや誤処理により生じたノイズが、長期間伝播してしまう。FIR型フィルタのメリットとしては、消しきれなかったノイズや誤処理により生じたノイズが伝播しない点が挙げられる。またFIR型フィルタのデメリットとしては、IIR型と同程度のハードウァエリソースに抑えようとするとタップ数が2程度となり、このように少ないタップ数では時間フィルタとして良好な性能を発揮するのが困難である。即ち、単位時間あたりにメモリから読み出すデータ転送量を制限してしまうと、良好なフィルタ性能を発揮することが困難となる。
特開平8−9310号公報 特開2005−12768号公報
以上を鑑みると、限られたデータ転送量の範囲内で良好なフィルタ性能を発揮することが可能な画像処理装置が望まれる。
画像処理装置は、カレントフレームと複数の参照候補フレームとの各々を縮小して複数の縮小フレームを生成する縮小ユニットと、前記複数の参照候補フレームの各々を分割した各ブロックについて、前記カレントフレーム中の同一位置にあるブロックとの類似度を前記縮小フレームを用いて計算する類似度計算ユニットと、前記類似度に応じて前記各ブロックについての優先度を算出する優先度算出ユニットと、前記複数の参照候補フレームに含まれる全てのブロックのうち、所定数を超えない数のブロックを前記優先度に応じて選択する参照画像選択ユニットと、前記選択したブロックと前記カレントフレームのブロックとを用いて時間フィルタ処理を実行するフィルタユニットを含むことを特徴とする。
本願開示の少なくとも1つの実施例によれば、ブロック毎に求めた優先度に基づいて、所定数を超えない数のブロックを参照候補フレームから選択して、時間フィルタ処理を実行する。従って、限られたデータ転送量の範囲内で、類似度の高いブロックのみを用いた良好な性能のフィルタ処理を実現することができる。
画像処理装置の構成の一例を示す図である。 優先度及びヒストグラム算出ユニットにより算出するヒストグラムについて説明する図である。 ヒストグラムに応じて所定数を超えない数のブロックを選択することについて説明する図である。 複数の参照候補フレームに含まれる全てのブロックのうち、カレントフレームの各ブロック毎に一定個数のブロックを優先度に応じて選択する動作を示す図である。 縮小ユニットの構成の一例を示す図である。 供給される動画像の各フレーム毎の処理のタイミングを示す図である。 アクティビティを入力とする関数の一例を示す図である。 Median(Sxy)を入力とする関数の一例を示す図である。 関数値Saと関数値Sbとの積であるSa・Sbを示す図である。 類似度と優先度との関係の一例を示す図である。 図1の画像処理装置を用いたシステムの構成の一例を示す図である。 図1の画像処理装置を用いたシステムの構成の別の一例を示す図である。
以下に、本発明の実施例を添付の図面を用いて詳細に説明する。
図1は、画像処理装置の構成の一例を示す図である。図1の画像処理装置は、縮小ユニット10、動き検出用カレントメモリ11、動き検出用参照メモリ12、動き検出(類似度計算)ユニット13、時間類似度ラインメモリ14、時間類似度読み出しユニット15、優先度及びヒストグラム算出ユニット16を含む。画像処理装置は更に、参照画像優先度マップ17、参照画像選択ユニット18、適応FIR(時間フィルタ)19、空間類似度用特徴量抽出ユニット20、空間類似度用ラインメモリ21、空間類似度算出ユニット22を含む。縮小遅延メモリ30−1乃至30−4及び遅延フレームメモリ31−1乃至31−4は、画像処理装置の外部のDRAMである外部メモリ33に設けられるメモリ領域である。図1では、図示の都合上、4つの縮小遅延メモリ30−1乃至30−4及び4つの遅延フレームメモリ31−1乃至31−4のみが示されているが、n枚の画像を参照する場合にはそれぞれn個ずつ設けられる。
縮小ユニット10は、順次供給される動画像の各フレームを縮小して縮小フレームを生成し、生成した縮小フレームを動き検出用カレントメモリ11に供給すると共に、外部メモリ33の縮小遅延メモリ領域に順次格納する。例えば、縦横それぞれを1/4に縮小することにより、画素数が1/16である縮小フレームを生成してよい。外部メモリ33の縮小遅延メモリ領域は縮小フレームn枚分の縮小フレーム領域を含み、最も古い縮小フレーム領域の縮小フレームデータを最新の縮小フレームデータにより順次更新する。また同時に、順次供給される動画像の各フレームは、外部メモリ33の遅延フレームメモリ領域に順次格納される。外部メモリ33の遅延フレームメモリ領域はフレームn枚分の遅延フレーム領域を含み、最も古い遅延フレーム領域のフレームデータを最新のフレームデータにより順次更新する。
カレントフレームと複数の参照候補フレームとに着目した場合、カレントフレームの縮小フレームの縮小カレントブロックが動き検出用カレントメモリ11に保持されてよい。このとき、動き検出用参照メモリ12は、複数の参照候補フレーム中の前記カレントブロックと同一位置にある縮小ブロックを、外部メモリ33の縮小遅延メモリ30−1乃至30−4から読み出して保持してよい。動き検出(類似度計算)ユニット13は、複数の参照候補フレームの各々を分割した各ブロックについて、カレントフレーム中の同一位置にあるブロックとの類似度を縮小フレームのデータを用いて計算する。即ち、動き検出(類似度計算)ユニット13は、動き検出用カレントメモリ11に格納される縮小カレントブロックと、動き検出用参照メモリ12に格納される複数の参照候補フレームの各縮小ブロックとの類似度を計算する。後程説明するように、複数の参照候補フレーム中の各ブロックのうちで、カレントブロックとの類似度が高いブロック(類似しているブロック)が、時間フィルタ処理の計算対象として選択されることになる。
上記類似度計算においては、複数の参照候補フレームにわたり、縮小カレントブロックと2次元的に同位置の縮小ブロックに対して、縮小カレントブロックとのSAD(Sum of Absolute Differences)又はSSD(Sum of Squared Differences)等を計算してよい。計算したSAD又はSSDがある閾値以下の縮小ブロックについては、カレントブロックに対してほぼ静止しているものと推定することができる。動き検出(類似度計算)ユニット13は、求めたSAD又はSSDの値を各縮小ブロック毎の時間類似度として出力する。この際、SAD又はSSDがある閾値より大きい縮小ブロックについては、静止していないと推定されるブロックであるが、求めた大きな値のSAD又はSSDをそのまま類似度として出力してよい。或いは、SAD又はSSDがある閾値より大きい縮小ブロックについては、静止していないブロックであるとして、例えば類似度を最大値に設定してよい。これら類似度の値が大きなブロック(静止していないと推定されるブロック)については、時間フィルタ処理において選択されないことになる。また或いは、SAD又はSSDがある閾値より大きい縮小ブロックについては、例えばフラグ等を設定することにより、時間フィルタ処理において選択されないようにしてよい。
動き検出(類似度計算)ユニット13が出力した時間類似度は、時間類似度ラインメモリ14に順次格納される。時間類似度読み出しユニット15は、時間類似度ラインメモリ14から時間類似度を順次読み出して、優先度及びヒストグラム算出ユニット16に供給する。優先度及びヒストグラム算出ユニット16は、時間類似度に応じて、複数の参照候補フレームの各ブロックについての優先度を算出する。優先度は、時間類似度そのものでもよいし、時間類似度を量子化した値でもよいし、時間類似度を何らかの関数で変換した値でもよいし、後述するようにカレントブロックの空間的特徴に基づいて時間類似度を補正した値であってもよい。なお図1の構成では、空間類似度用特徴量抽出ユニット20、空間類似度用ラインメモリ21、及び空間類似度算出ユニット22により空間的特徴に応じた空間類似度を算出し、優先度及びヒストグラム算出ユニット16での優先度算出に用いている。しかしながらこのように空間的特徴に応じた空間類似度を用いることは必須ではなく、時間類似度のみに基づいて優先度を算出してもよい。
複数の参照候補フレームの各ブロックに対して求められた優先度は、参照画像優先度マップ17に格納される。参照画像選択ユニット18は、この参照画像優先度マップ17を参照して、複数の参照候補フレームに含まれる全てのブロックのうち、所定数を超えない数のブロックを優先度に応じて選択する。この選択されたブロックとカレントブロックとが外部メモリ33の遅延フレームメモリ31−1乃至31−4から読み出されて、適応FIR(時間フィルタ)19に供給される。適応FIR(時間フィルタ)19は、選択したブロックとカレントフレームのブロックとを用いて時間フィルタ処理を実行する。
このように、ブロック単位に時間類似度から求めた優先度に応じて、所定数を超えない数のブロックを参照ブロックとして選択し、カレントフレームのブロックと参照ブロックとを用いて時間フィルタ処理を実行する。類似度が高いと判断したブロックのみを用いて時間フィルタ処理を実行することにより、良好な性能の時間フィルタ処理を実現することができる。この際、カレントフレームのブロック毎に選択する参照ブロックの数は、カレントフレームの各ブロックについて同一であってよいし、或いはカレントフレームの各ブロック毎に異なってもよい。またカレントフレームのブロック毎に選択する参照ブロックが所属する参照候補フレームは、カレントフレームの各ブロック毎に異なってよい。n枚の参照候補フレーム(過去のフレーム)のうちから選択する参照ブロックの総数がmフレーム分(m<n)となるように設定すれば、単純にn枚参照するFIRフィルタと比較して、m/n倍のデータ転送量の削減が可能となる。逆に言えば、mフレーム分という限られたデータ転送量の範囲内で、良好な時間フィルタ特性を実現することができる。なお外部メモリ33の縮小遅延メモリとのデータのやり取りが追加で発生するが、縮小フレームのデータサイズは元フレームの1/16等であるので、n枚の縮小フレームを読み出したとしても高々n/16フレーム分のデータ量が追加されるに過ぎない。
優先度及びヒストグラム算出ユニット16は、複数の参照候補フレームの各々について優先度のヒストグラムを生成してよい。そして参照画像選択ユニット18は、このヒストグラムに応じて所定数を超えない数のブロックを選択してよい。
図2は、優先度及びヒストグラム算出ユニット16により算出するヒストグラムについて説明する図である。図2において、カレントフレームのカレントブロック40と同一位置において、複数n+1枚の参照候補フレーム41−0乃至41−n中のブロック42−0乃至42−nが示されている。ブロック42−0乃至42−nのそれぞれに対して、カレントブロック40とのSAD又はSSDを求めて時間類似度とし、この時間類似度に基づいて優先度が求められる。ブロック42−0乃至42−nに対して求めた優先度がそれぞれr0乃至rnであるとする。同様にして全てのブロックについて優先度を求めることにより、参照候補フレーム41−0乃至41−nの各フレームに対して、各ブロックの優先度を示した優先度マップ43−0乃至43−nが求められる。ここで優先度は、所定のスキップ幅で量子化しておく。例えば優先度マップ43−0において、優先度が第1の値であるブロックの総数、或いは優先度が第1の範囲にあるブロックの総数を求めると、その数がh0であったとする。また優先度マップ43−0において、優先度が第2の値であるブロックの総数、或いは優先度が第2の範囲にあるブロックの総数を求めると、その数がi0であったとする。更に優先度マップ43−0において、優先度が第3の値であるブロックの総数、或いは優先度が第3の範囲にあるブロックの総数を求めると、その数がj0であったとする。同様にして、優先度がある値である或いはある範囲にあるブロックの総数を数えていくことにより、参照候補フレーム41−0に対して、優先度のヒストグラム45−0が作成される。このようにして、参照候補フレーム41−0乃至41−nに対して優先度のヒストグラム45−0乃至45−nを作成することができる。
図3は、ヒストグラムに応じて所定数を超えない数のブロックを選択することについて説明する図である。図3において、縦軸は、カレントフレーム1枚に対して選択されるブロックの総数を示す。カレントフレーム1枚に対して選択されるブロックの総数には、点線50で示す上限が設けられている。ヒストグラムに応じてブロックを選択する方法には、時間距離に応じた重みW(t)を考慮する方法と、重みW(t)を考慮しない方法とがある。
時間距離に応じた重みW(t)を考慮しない場合には、まず、優先度が最も高いブロック(時間類似度が高いブロック)を、各参照候補フレーム41−0乃至41−nから順番に選択する。図2に示す例の場合には、ヒストグラム45−0乃至45−nのそれぞれにおいて、h0乃至hn個のブロックが、優先度が最も高いブロックであるとする。この場合、図3に示すように、h0乃至hn個のブロックが最優先して順番に選択される。この際、カレントフレームに最も近い参照候補フレーム41−0のh0個を最初に選択し、カレントフレームに2番目に近い参照候補フレーム41−1のh1個を次に選択し、というように選択する。即ち、h0、h1、h2、・・・、hnの順に選択する。これらのブロックを選択した時点で、まだ上限ブロック数に対して余裕があるので、優先度が2番目に高いブロックを、各参照候補フレーム41−0乃至41−nから順番に選択する。図2に示す例の場合には、ヒストグラム45−0乃至45−nのそれぞれにおいて、i0乃至in個のブロックが、優先度が2番目に高いブロックであるとする。この場合、カレントフレームからの時間距離に応じてi0、i1、i2、・・・、inの順に選択するが、最初のi0個を選択した時点で、図3に示すように上限ブロック数に対して余裕がなくなっている。即ち、次のi1を選択すると上限ブロック数を超えてしまう。従って、図3に示すように、h0、h1、h2、・・・、hn、i0個のブロックを選択した時点で、選択処理を終了する。
時間距離に応じた重みW(t)を考慮する場合には、カレントフレームと各参照候補フレームとの時間距離を、ブロック選択処理において考慮するファクターの1つとして用いる。例えば、複数の参照候補フレームのうちの第1の参照候補フレームがカレントフレームから第1の時間的距離にあり、第2の参照候補フレームがカレントフレームから第1の距離よりも長い第2の時間的距離にあるとする。この場合に、第1の参照候補フレームの各ブロックが、第2の参照候補フレームの各ブロックよりも選択されやすくなるように、優先度及びヒストグラム算出ユニット16は、優先度にW(t)による重み付けをする。ここで重みW(t)としては、カレントフレームとの時間距離tが大きくなると徐々に減少する値をとるものとすればよい。即ち、図2の例で言えば、ヒストグラム45−0のh0個のブロックの優先度に対して、ヒストグラム45−1のh1個のブロックの優先度が低くなるように、各優先度にW(t)を掛算してよい。同様にして、ヒストグラム45−0乃至45−nの各優先度にW(t)を掛算する。この結果、図3に示す例では、ヒストグラム45−2のh2個のブロックの優先度よりも、ヒストグラム45−0のi0個のブロックの優先度が高くなり、ヒストグラム45−0のi0個のブロックが先に選択されている。
図4は、複数の参照候補フレームに含まれる全てのブロックのうち、カレントフレームの各ブロック毎に一定個数のブロックを優先度に応じて選択する動作を示す図である。図1に示す参照画像選択ユニット18は、参照画像優先度マップ17を参照して、カレントフレームの各ブロック毎に一定個数のブロックを優先度に応じて選択してよい。図4に示す例では、各ブロック毎に優先度の高い方から2個のブロックを選択している。この場合も、時間距離に応じた重みW(t)を考慮する方法と、重みW(t)を考慮しない方法とがある。
時間距離に応じた重みW(t)を考慮しない場合には、カレントフレームの各ブロックについて、参照候補フレーム41−0乃至41−nから優先度が最も高いブロックを2個選択する。例えば図2に示すカレントフレームのカレントブロック40に対しては、図4において優先度がr1のブロックと優先度がrnのブロックとが選択されている。優先度r1と優先度rnとが、優先度r0乃至rnのうちで上位2つの優先度であることになる。また他の1つのブロックに対しては、優先度がq0のブロックと優先度がq2のブロックとが選択されている。優先度q0と優先度q2とが、優先度q0乃至qnのうちで上位2つの優先度であることになる。
時間距離に応じた重みW(t)を考慮する場合には、カレントフレームと各参照候補フレームとの時間距離を、ブロック選択処理において考慮するファクターの1つとして用いる。前述の場合と同様に、優先度及びヒストグラム算出ユニット16は、優先度にW(t)による重み付けをする。ここで重みW(t)としては、カレントフレームとの時間距離tが大きくなると徐々に減少する値をとるものとすればよい。例えば図2に示すカレントフレームのカレントブロック40に対しては、図4において優先度がr0のブロックと優先度がr1のブロックとが選択されている。重み付け優先度W(t)・r0と重み付け優先度W(t)・r1とが、重み付け優先度W(t)・r0乃至W(t)・rnのうちで上位2つの重み付け優先度であることになる。
図5は、縮小ユニット10の構成の一例を示す図である。図5に示す縮小ユニット10は、2次元ノイズ除去ユニット51、2次元ローパスフィルタ52、及びサブサンプリングユニット53を含む。2次元ノイズ除去ユニット51は、例えば3×3近傍領域で中間値を検出して領域の中心画素値とするメディアンフィルタであり、孤立点ノイズ等を除去するために用いられる。2次元ローパスフィルタ52は、例えば所望の低域通過特性を持つガウシアン関数やsinc関数等を畳み込みカーネルとしてフィルタリングすることにより、高周波成分を除去して低周波成分のみを含む画像を生成する。サブサンプリングユニット53は、例えば、縦方向に4画素毎に1画素を選択し、横方向に4画素毎に1画素を選択することにより、16画素毎に1画素を選択するサブサンプリングを実行する。
図6は、供給される動画像の各フレーム毎の処理のタイミングを示す図である。動画像の複数のフレーム60−0乃至60−5が、図1の画像処理装置に順次供給される。各フレームが供給されると、画像処理装置の縮小ユニット10は、当該フレームの縮小フレームを生成する。縮小フレームの生成は、次のフレームが供給される前に、1フレーム期間の間に行なわれる。フレーム60−0乃至60−5に対する縮小フレームが縮小フレーム61−0乃至61−5として示される。
縮小フレームを生成すると共に、1フレーム期間の間に、外部メモリ33の縮小遅延メモリから直近の過去5枚の縮小フレームを読み出す。この例では参照候補フレームの数が5であるが、参照候補フレームの数は5に限られることなく、所望の数に設定されてよい。現在のフレームから計算した縮小フレーム(カレント縮小フレーム)と、読み出した参照縮小フレームとに基づいて、画像処理装置の動き検出(類似度計算)ユニット13が類似度を計算する。更にこの類似度に基づいて、優先度及びヒストグラム算出ユニット16が優先度を算出する。これらの計算も、次のフレームが供給される前に、1フレーム期間の間に行なわれる。フレーム60−0乃至60−5の各々をカレントフレームとして計算された優先度が、優先度62−0乃至62−5として示される。
上記のようにして計算された優先度に基づいて、次のフレーム期間において、参照画像選択ユニット18が、外部メモリ33の遅延フレームメモリから、カレントフレームと選択されたブロックとを読み出す。例えば、フレーム60−1が供給されるフレーム期間においては、フレーム60−0をカレントフレームとして、カレントフレームと直近の過去5枚のフレームが外部メモリ33の遅延フレームメモリから読み出される。図6においては、外部メモリ33の遅延フレームメモリが遅延フレームメモリ63として示される。フレーム60−1が供給されるフレーム期間においては、“0”で示されるカレントフレームと、“−1”乃至“−5”で示される直近の過去5枚のフレームの選択ブロックとが読み出される。これらの読み出された画像データを用いて、画像処理装置の適応FIR(時間フィルタ)19が時間フィルタ処理を実行し、出力フレームを生成する。図6において、各フレーム期間において生成された出力フレームが、フレーム64−0乃至64−5として示されている。
図1に戻り、空間類似度用特徴量抽出ユニット20は、供給されるカレントフレームのデータに基づいて、各ブロックの空間的特徴を示す特徴量を算出する。ここで算出する特徴量としては、ブロックの輝度分散値や、当該ブロックと周囲8ブロックとのSAD又はSSDの中間値等である。空間類似度用特徴量抽出ユニット20が算出した特徴量は空間類似度用ラインメモリ21に供給される。空間類似度算出ユニット22は、空間類似度用ラインメモリ21から供給される上記特徴量に基づいて、空間類似度を算出する。このようにして算出された空間類似度は、前述の時間類似度を補正するために使用される。
時間類似度の算出では、同一空間位置で時間位置が異なる2つのブロック間のSAD又はSSDを求めることにより、SAD又はSSDが小さい場合には静止ブロックであると推定している。しかしながら、空間的に比較的平坦な輝度分布のブロック等の場合には、時間位置が異なる2つのブロック間のSAD又はSSDが小さいとしても、必ずしも静止しているとは限らない。そのような場合には、時間類似度が高い類似度を示していたとしても、それ程信頼性が無いことになるので、時間類似度の示す類似の度合いを低める方向に補正する(それ程類似していないことを示す方向に変化させる)。また当該ブロックと周囲8ブロックとのSAD又はSSDの中間値等が低い場合には、当該ブロックと周囲8ブロックとが類似していることになる。即ち、同じような空間的特徴のブロックが並んでいることになる。そのような場合に、時間位置が異なる2つのブロック間のSAD又はSSDが小さいとしても、必ずしも静止しているとは限らない。そのような場合には、時間類似度が高い類似度を示していたとしても、それ程信頼性が無いことになるので、時間類似度の示す類似の度合いを低める方向に補正する(それ程類似していないことを示す方向に変化させる)。
まず、空間的に比較的平坦な輝度分布であるか否かを示す指標として、空間類似度用特徴量抽出ユニット20は、カレントブロックの輝度分散(例えば、ブロック内の各画素値と平均画素値との差分の自乗和を全画素数で正規化した値)等を求める。このような輝度分散は、一般に、アクティビティと呼ばれる。なおアクティビティの代りに、空間類似度用特徴量抽出ユニット20は、微分フィルタ等を用いて検出した高周波成分のピークや分布に基づいた、別の平坦さの指標を用いてもよい。アクティビティは、値が小さいほど平坦である度合いが強いことを示すものである。このアクティビティの値がある閾値より低い場合(即ち平坦な場合)にのみ、類似の度合いを低める方向に時間類似度を補正するために、アクティビティをある関数Faの入力として、Sa=Fa(アクティビティ)を計算する。
図7は、アクティビティを入力とする関数Faの一例を示す図である。横軸はアクティビティ、縦軸は関数値Saを示す。アクティビティがある閾値よりも小さくなると、関数値Saは1より大きくなり、アクティビティが0の時に関数値Saは最大となる。この関数値Saを時間類似度に掛け合わせることにより、アクティビティが小さい場合(即ち平坦な場合)に、時間類似度が示す類似の度合いを低める方向に補正することができる。
また、カレントブロックと周囲ブロックとの類似度を示す指標として、空間類似度用特徴量抽出ユニット20は、カレントブロックと周囲8ブロックとのSAD又はSSD等を計算する。こうして求めた計算値をSxyとする。このSxyは、値が小さいほど類似の度合いが強いことを示すものである。このSxyの中間値(Median(Sxy))がある閾値より低い場合(即ち周囲と全体的に類似する場合)にのみ、類似の度合いを低める方向に時間類似度を補正するために、Sxyをある関数Fbの入力として、Sb=Fb(Median(Sxy))を計算する。
図8は、Median(Sxy)を入力とする関数Fbの一例を示す図である。横軸はMedian(Sxy)、縦軸は関数値Sbを示す。Median(Sxy)がある閾値よりも小さくなると、関数値Sbは1より大きくなり、Median(Sxy)が0の時に関数値Sbは最大となる。この関数値Sbを時間類似度に掛け合わせることにより、Median(Sxy)が小さい場合(即ち周囲と全体的に類似する場合)に、時間類似度が示す類似の度合いを低める方向に補正することができる。
図9は、関数値Saと関数値Sbとの積であるSa・Sbを示す図である。アクティビティを示す軸とMedian(Sxy)を示す軸とが直交する平面上において、関数値Sa・Sbが、図9に示すような値を有する関数値として定義される。図1に示す画像処理装置の空間類似度算出ユニット22は、この関数値Sa・Sbを空間類似度として出力する。
図10は、類似度と優先度との関係の一例を示す図である。図1に示す画像処理装置の優先度及びヒストグラム算出ユニット16は、時間類似度と空間類似度とに基づいて類似度を計算し、更にこの類似度に基づいて優先度を計算してよい。時間類似度は、動き検出(類似度計算)ユニット13により計算され、空間類似度は、空間類似度算出ユニット22により計算される。優先度及びヒストグラム算出ユニット16は、時間類似度に対して空間類似度Sa・Sbを掛け合わせることにより、空間的特徴に基づいて補正された時間類似度である類似度を算出する。更にこの類似度がある閾値以上の場合には最大値に飽和し、且つ類似度が小さいほど類似度変化に対する優先度変化が大きくなるような関数(図10に示す関数)を用いることにより、優先度を計算する。
上記のようにして求めた優先度に基づいて、参照画像優先度マップ17(各参照候補フレームの各ブロック毎に優先度を示したデータ)を生成し、この参照画像優先度マップ17を参照して、参照画像選択ユニット18が参照ブロックを選択する。そして、選択された参照ブロックとカレントフレームとを外部メモリ33から読み出して、適応FIR(時間フィルタ)19が時間フィルタ処理を実行する。時間フィルタ処理の一例としては、加重平均フィルタがあげられる。この際、前述のように、時間類似度算出には例えば縦横1/4倍した縮小フレームが用いられるので、縦横に4画素程度の微小な動きが存在する可能性がある。従って、外部メモリ33から読み出す参照ブロックとしては、カレントブロックに対して一回り大きな領域を読み込んでよい。カレントブロックと参照ブロックとの相関検出により詳細な位置合わせを行ない、4画素以内の動き又は静止が確認されたブロックについて、画素単位での加重平均処理を実行する。この際、加重平均処理の対象として、参照候補フレームの何れが用いられ何れが用いられないかに応じて、適宜FIRフィルタのタップ係数を補正する。参照候補フレームの数が例えば5つである場合に、タップ係数も5つあり、単純な加重平均であれば各タップ係数は0.2である。この場合、無効なタップ(対応する参照候補フレームが加重平均に用いられないタップ)の係数の値は、他のタップ係数に分配し、当該タップ係数の値は0としてよい。
図11は、図1の画像処理装置を用いたシステムの構成の一例を示す図である。図11に示す例では、ビデオレコーダの構成が示される。ビデオレコーダは、画像入力イメージセンサ71、3Dフィルタ処理ユニット72、MPEG符号化ユニット73、及び記録メディア74を含む。画像入力イメージセンサ71は、CCDやCMOS等の撮像素子により対象物を撮像し、画像データを出力する。この画像データは、3Dフィルタ処理ユニット72により、空間的フィルタ処理及び時間的フィルタ処理に供される。この時間的フィルタ処理部分に、図1の画像処理装置を用いてよい。フィルタ処理後の画像データは、MPEG符号化ユニット73に供給され、MPEGフォーマットに従い符号化される。符号化後の画像データは、ハードディスク、DVD、不揮発性メモリ等の記録メディア74に記録される。
図12は、図1の画像処理装置を用いたシステムの構成の別の一例を示す図である。図12に示す例では、TVセット又はTVセットのトップボックスの構成が示される。放送局又は記録メディア81からの符号化画像データが、MPEG復号化ユニット82に入力される。MPEG復号化ユニット82は、MPEGフォーマットに従い符号化画像データを復号する。復号化後の画像データは、3Dフィルタ処理ユニット83により、空間的フィルタ処理及び時間的フィルタ処理に供される。この時間的フィルタ処理部分に、図1の画像処理装置を用いてよい。フィルタ処理後の画像データは、表示装置84に供給され、液晶表示装置などの表示画面に表示される。
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で様々な変形が可能である。
なお本願発明は以下の内容を含むものである。
(付記1)
カレントフレームと複数の参照候補フレームとの各々を縮小して複数の縮小フレームを生成する縮小ユニットと、
前記複数の参照候補フレームの各々を分割した各ブロックについて、前記カレントフレーム中の同一位置にあるブロックとの類似度を前記縮小フレームを用いて計算する類似度計算ユニットと、
前記類似度に応じて前記各ブロックについての優先度を算出する優先度算出ユニットと、
前記複数の参照候補フレームに含まれる全てのブロックのうち、所定数を超えない数のブロックを前記優先度に応じて選択する参照画像選択ユニットと、
前記選択したブロックと前記カレントフレームのブロックとを用いて時間フィルタ処理を実行するフィルタユニット
を含むことを特徴とする画像処理装置。
(付記2)
前記優先度算出ユニットは、前記複数の参照候補フレームの各々について前記優先度のヒストグラムを生成し、前記参照画像選択ユニットは、前記ヒストグラムに応じて前記所定数を超えない数のブロックを選択することを特徴とする付記1記載の画像処理装置。
(付記3)
前記複数の参照候補フレームのうちの第1の参照候補フレームが前記カレントフレームから第1の時間的距離にあり、第2の参照候補フレームが前記カレントフレームから前記第1の距離よりも長い第2の時間的距離にある場合に、前記第1の参照候補フレームの各ブロックが、前記第2の参照候補フレームの各ブロックよりも前記参照画像選択ユニットにより選択されやすくなるように、前記優先度算出ユニットは、前記優先度に重み付けをすることを特徴とする付記1又は2記載の画像処理装置。
(付記4)
前記優先度算出ユニットは、前記カレントフレームの各ブロックの空間的特徴に応じて前記優先度に重み付けすることを特徴とする付記1乃至3何れか一項記載の画像処理装置。
(付記5)
前記参照画像選択ユニットは、前記複数の参照候補フレームに含まれる全てのブロックのうち、前記カレントフレームの各ブロック毎に一定個数のブロックを前記優先度に応じて選択することを特徴とする付記1記載の画像処理装置。
(付記6)
カレントフレームと複数の参照候補フレームとの各々を縮小して複数の縮小フレームを生成し、
前記複数の参照候補フレームの各々を分割した各ブロックについて、前記カレントフレーム中の同一位置にあるブロックとの類似度を前記縮小フレームを用いて計算し、
前記類似度に応じて前記各ブロックについての優先度を算出し、
前記複数の参照候補フレームに含まれる全てのブロックのうち、所定数を超えない数のブロックを前記優先度に応じて選択し、
前記選択したブロックと前記カレントフレームのブロックとを用いて時間フィルタ処理を実行する
各段階を含むことを特徴とする画像処理方法。
(付記7)
前記複数の参照候補フレームの各々について前記優先度のヒストグラムを生成する段階を更に含み、前記選択する段階は、前記ヒストグラムに応じて前記所定数を超えない数のブロックを選択することを特徴とする付記6記載の画像処理方法。
(付記8)
前記複数の参照候補フレームのうちの第1の参照候補フレームが前記カレントフレームから第1の時間的距離にあり、第2の参照候補フレームが前記カレントフレームから前記第1の距離よりも長い第2の時間的距離にある場合に、前記第1の参照候補フレームの各ブロックが、前記第2の参照候補フレームの各ブロックよりも前記参照画像選択ユニットにより選択されやすくなるように、前記優先度に重み付けをする段階を更に含むことを特徴とする付記6又は7記載の画像処理方法。
(付記9)
前記カレントフレームの各ブロックの空間的特徴に応じて前記優先度に重み付けする段階を更に含むことを特徴とする付記6乃至8何れか一項記載の画像処理方法。
(付記10)
前記選択する段階は、前記複数の参照候補フレームに含まれる全てのブロックのうち、前記カレントフレームの各ブロック毎に一定個数のブロックを前記優先度に応じて選択することを特徴とする付記6記載の画像処理方法。
10 縮小ユニット
11 動き検出用カレントメモリ
12 動き検出用参照メモリ
13 動き検出(類似度計算)ユニット
14 時間類似度ラインメモリ
15 時間類似度読み出しユニット
16 優先度及びヒストグラム算出ユニット
17 参照画像優先度マップ
18 参照画像選択ユニット
19 適応FIR(時間フィルタ)
20 空間類似度用特徴量抽出ユニット
21 空間類似度用ラインメモリ
22 空間類似度算出ユニット

Claims (5)

  1. カレントフレームと複数の参照候補フレームとの各々を縮小して複数の縮小フレームを生成する縮小ユニットと、
    前記複数の参照候補フレームの各々を分割した各ブロックについて、前記カレントフレーム中の同一位置にあるブロックとの類似度を前記縮小フレームを用いて計算する類似度計算ユニットと、
    前記類似度に応じて前記各ブロックについての優先度を算出する優先度算出ユニットと、
    前記複数の参照候補フレームに含まれる全てのブロックのうち、所定数を超えない数のブロックを前記優先度に応じて選択する参照画像選択ユニットと、
    前記選択したブロックと前記カレントフレームのブロックとを用いて時間フィルタ処理を実行するフィルタユニット
    を含むことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記優先度算出ユニットは、前記複数の参照候補フレームの各々について前記優先度のヒストグラムを生成し、前記参照画像選択ユニットは、前記ヒストグラムに応じて前記所定数を超えない数のブロックを選択することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  3. 前記複数の参照候補フレームのうちの第1の参照候補フレームが前記カレントフレームから第1の時間的距離にあり、第2の参照候補フレームが前記カレントフレームから前記第1の時間的距離よりも長い第2の時間的距離にある場合に、前記第1の参照候補フレームの各ブロックが、前記第2の参照候補フレームの各ブロックよりも前記参照画像選択ユニットにより選択されやすくなるように、前記優先度算出ユニットは、前記優先度に重み付けをすることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
  4. 前記優先度算出ユニットは、前記カレントフレームの各ブロックの空間的特徴に応じて前記優先度に重み付けすることを特徴とする請求項1乃至3何れか一項記載の画像処理装置。
  5. 前記参照画像選択ユニットは、前記複数の参照候補フレームに含まれる全てのブロックのうち、前記カレントフレームの各ブロック毎に一定個数のブロックを前記優先度に応じて選択することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
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