JP5535266B2 - 多軸三相サーボモータ用の故障検出装置および故障検出方法 - Google Patents

多軸三相サーボモータ用の故障検出装置および故障検出方法 Download PDF

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本発明は、部品点数の増加を抑制しつつ、高精度に三相サーボモータの故障検出を行うための多軸三相サーボモータ用の故障検出装置および故障検出方法に関するものである。
三相サーボモータの故障を検出する方法として、三相の相電圧の瞬時値と相電流の瞬時値を用いる従来技術が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に示されたような三相インバータの故障検出装置は、三相インバータにおける三相の相電圧の瞬時値と相電流の瞬時値について、サンプルホールド回路および検出対象切換部を介して、A/D変換器によってアナログ値からデジタル値に変換する。
次に、マイクロプロセッサによって、デジタル値に変換後の各相の相電圧の加算値および相電流の加算値を算出する。そして、それぞれの加算値が0付近の場合は、「正常」と判断し、0付近から逸脱する場合は、「異常」と判断することにより故障検出を行っている。
特許第2902455号公報
しかしながら、従来技術には以下のような課題がある。
特許文献1に示されたような故障検出装置は、矩形状のインバータ出力電圧波形を計測するために、高速かつ高精度なA/D変換器が必要となる。さらに、複数のサーボモータを組み合わせたシステムにおいて、それぞれのモータ毎に故障検出回路が必要であったため、部品構成が多数必要であった。この結果、装置コストが高くなってしまうという問題があった。
また、複数のサーボモータを組み合わせたシステムでは、誘導電流または漏れ電流などの影響により、正確な故障判定ができない、あるいは受電変圧器の中性点が非接地または高抵抗接地である場合には、正確な故障判定ができないといった信頼性の問題もあった。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、A/D変換器を必要とせず、少ない部品構成により故障検出を行い、さらに故障検出において、正確な故障判定を行うことができる多軸三相サーボモータ用の故障検出装置および故障検出方法を得ることを目的とする。
本発明における多軸三相サーボモータ用の故障検出装置は、複数台の三相サーボモータの故障検出を1台で行う多軸三相サーボモータ用の故障検出装置であって、故障検出対象である三相サーボモータの巻線回路に対して故障診断用の直流電圧を印加するための直流電源と、直流電圧を印加した際に巻線回路に所定値以上の電流が流れるか否かを検出する電流検出部とを有する通電検出回路部と、通電検出回路部と複数台の三相サーボモータのそれぞれの巻線回路との間に接続され、外部からの切り換え指令に基づいて、それぞれの巻線回路の中から直流電圧を印加する巻線回路を選択切り換え可能とする検出対象切換部と、三相サーボモータの故障検出を行う際に、複数台の三相サーボモータのそれぞれの駆動出力部の運転を停止させた後、複数台の三相サーボモータの中から故障検出対象である三相サーボモータを特定するために、検出対象切換部に対して切り換え指令を出力し、電流検出部の測定結果に基づいて、故障検出対象である三相サーボモータの巻線回路に所定値以上の電流が流れたと判断した場合には、故障検出対象である三相サーボモータで地絡故障が発生したと判断する故障判定部とを備え、検出対象切換部と複数台の三相サーボモータのそれぞれの巻線回路との間に接続され、三相サーボモータの故障検出を行う際には一括して閉状態となり、三相サーボモータが通常運転中は、一括して開状態となる高電圧隔離回路部をさらに備えるものである。
また、本発明における故障検出方法は、複数台の三相サーボモータの故障検出を1台で行う多軸三相サーボモータ用の故障検出装置で実行される故障検出方法であって、複数台の三相サーボモータのそれぞれの駆動出力部の運転を停止させる第1ステップと、複数台の三相サーボモータのそれぞれの巻線回路の中から、故障検出対象である三相サーボモータの巻線回路を選択切り換え可能とする検出対象切換部を切換制御することで、選択した巻線回路に故障診断用の直流電圧を印加する第2ステップと、直流電圧を印加した際に巻線回路に所定値以上の電流が流れるか否かを検出する第3ステップと、第3ステップによる検出結果に基づいて、故障検出対象である三相サーボモータの巻線回路に所定値以上の電流が流れたと判断した場合には、故障検出対象である三相サーボモータで地絡故障が発生したと判断する第4ステップとを備え、検出対象切換部と複数台の三相サーボモータのそれぞれの巻線回路との間に接続された高電圧隔離回路部を切換制御することで、三相サーボモータの故障検出を行う際には、高電圧隔離回路部を一括して閉状態となるように制御し、三相サーボモータを通常運転させる際には、高電圧隔離回路部を一括して開状態となるように制御する第5ステップをさらに備えるものである。
本発明における多軸三相サーボモータ用の故障検出装置および故障検出方法によれば、1つの通電検出回路部を用いて、それぞれの三相サーボモータの巻線回路と大地間に直流電圧を印加し、通電検出回路部に流れる電流によって故障検出を行うことにより、A/D変換器を必要とせず、少ない部品構成により故障検出を行うことができ、さらに、正確な故障判定を行うことができる多軸三相サーボモータ用の故障検出装置および故障検出方法を得ることができる。
本発明の実施の形態1における三相サーボモータ用の故障検出装置をシステムに適用するときの構成図である。 本発明の実施の形態2における三相サーボモータ用の故障検出装置を1台の三相サーボモータによるシステムに適用するときの構成図である。 本発明の実施の形態3における通電検出回路部の構成図である。 本発明の実施の形態4における通電検出回路部の構成図である。
以下、本発明の多軸三相サーボモータ用の故障検出装置および故障検出方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における三相サーボモータ用の故障検出装置をシステムに適用するときの構成図である。この図1は、8台の三相サーボモータを駆動するシステムに1台の故障検出装置を適用した場合の構成を例示しているものである。
この図1におけるシステムは、三相サーボモータ用の駆動出力部(三相インバータ部)100、三相サーボモータ部200、および故障検出装置300から構成される。
駆動出力部100は、図示するように8台の三相サーボモータのそれぞれに対応する駆動出力回路101〜108を有する。また、三相サーボモータ部200は、三相サーボモータ201〜208を有する。
故障検出装置300は、高電圧隔離回路部310、検出対象切換部320、通電検出回路部330、および故障判定部340を備える。通電検出回路部330は、直流電源331および電流検出部332を有する。
高電圧隔離回路部310は、図示するように、三相サーボモータ201〜208のそれぞれを一括して開閉可能な回路開閉部311〜318を有する。また、検出対象切換部320は、三相サーボモータ201〜208のそれぞれを個別に選択可能な回路選択部321〜328を有する。
高電圧隔離回路部310は、図示するように、三相サーボモータ部200と検出対象切換部320との間に設置されている。そして、高電圧隔離回路部310は、必要に応じて、これらの接続または切り離しを行う。
検出対象切換部320は、三相サーボモータ部200内の故障検出対象である三相サーボモータを、三相サーボモータ201〜208の中から1つ選択するために、故障判定部340からの切り換え指令に応じて、選択切り換えする。
通電検出回路部330は、選択した1つの三相サーボモータに対して、直流電源331によって三相サーボモータの巻線回路と大地間に故障診断用の直流電圧を印加する。そして、電流検出部332は、直流電圧印加時において、巻線回路に所定値以上の電流が流れるか否か検出する。
故障判定部340は、駆動制御部(図示せず)による駆動出力部100の駆動出力停止、高電圧隔離回路部310による開閉、検出対象切換部320による選択、および通電検出回路部330による直流電圧印加、電流検出のそれぞれを制御することにより、三相サーボモータ部200内のそれぞれの三相サーボモータ201〜208の故障判定を行う。
ここで、本実施の形態1における多軸三相サーボモータ用の故障検出装置は、従来技術と比較して、以下の技術的特徴を有す。
[第1の技術的特徴]コスト面での優位性
本実施の形態1における故障検出装置300は、高速かつ高精度なA/D変換器を必要としない。さらに、図1で例示したように、故障検出装置300内に検出対象切換部320を備えることにより、通電検出回路部330(故障検出回路)は、システム全体として1つ備えるだけでよい。従って、部品構成を最小限に抑えることができる。この結果、従来技術と比較して、コスト面で優位である。
[第2の技術的特徴]高信頼性
本実施の形態1における故障検出装置300は、三相サーボモータの巻線回路と大地間に直流電圧を印加し、通電検出回路部330に流れる電流によって故障判定を行っている。このため、誘導電流または漏れ電流などの影響を受けず、受電変圧器の中性点が非接地または高抵抗接地である場合においても正確な故障判定を行うことができる。この結果、従来技術と比較して、信頼性の高いシステムを実現できる。
次に、故障検出装置300が三相サーボモータの故障検出を行う一連の動作について、具体的に説明する。なお、ここでは、通電検出回路部330内の電流検出部332が小型継電器333から構成される場合について述べる。
はじめに、故障検出装置300内の故障判定部340は、駆動制御部(図示せず)に駆動出力部100の運転を停止させる。この場合、駆動出力部100のインバータ出力回路のすべてのゲートは、オフ状態となり、三相サーボモータ部200内のそれぞれの三相サーボモータ201〜208への出力電圧は、0Vとなる。
次に、故障判定部340は、高電圧隔離回路部310内の回路開閉部311〜318を一括して閉状態にすることによって、三相サーボモータ部200と検出対象切換部320との間を接続する。
なお、駆動出力部100が運転中の場合には、矩形上の高電圧の駆動電圧から通電検出回路部330を保護するために、高電圧隔離回路部310内の回路開閉部311〜318は、一括して開状態となっている。すなわち、三相サーボモータ部200と検出対象切換部320との間は、切り離されている。
次に、故障判定部340は、三相サーボモータ部200内の故障検出を行う三相サーボモータを選択するために、故障検出を行う三相サーボモータに対応する検出対象切換部320内の回路選択部321〜328のいずれか1つを選択して閉状態にする。
故障検出を行う三相サーボモータに対応する回路選択部を閉状態にすると、故障検出対象である三相サーボモータと通電検出回路部330間が接続され、故障判定を行うことができる。
そして、故障判定部340は、故障検出を行う三相サーボモータに対応する回路選択部を順次、閉状態にする(選択切り換えする)ことによって、システム内の全ての三相サーボモータの故障判定を、1台で行うことができる。
次に、1番目の三相サーボモータ201の故障判定を行う場合を例にして、具体的な故障検出方法について説明する。なお、2番目以降の三相サーボモータ(三相サーボモータ202〜208)についても、同様に行うことができる。
はじめに、故障判定部340は、故障検出を行うために、駆動制御部(図示せず)に駆動出力部100の運転を停止させ、高電圧隔離回路部310内の回路開閉部311〜318を一括して閉状態とする。それから、故障判定部340は、1番目の三相サーボモータ201に対応する回路選択部321のみを閉状態にする。このとき、他の回路選択部322〜328は、開状態である。
これにより、三相サーボモータ201と通電検出回路部330間は、接続されたことになる。そして、三相サーボモータ201と大地間において、通電検出回路部330内の直流電源331によって、直流電圧が印加される。
また、通電検出回路部330内の小型継電器333は、直流電圧の印加によって、通電検出回路部330に所定値以上の電流(例えば、10mA程度)が流れる場合、オン状態となり、流れない場合、オフ状態となる。
直流電圧印加時に、三相サーボモータ201の巻線回路または配線の一部がフレーム等に短絡している場合、巻線回路または配線の一部、フレーム等、大地を経由して回路が形成されるため、通電検出回路部330内に所定値以上の電流が流れ、小型継電器333は、オン状態となる。
従って、故障判定部340は、小型継電器333がオン状態の場合、三相サーボモータ201に、地絡等の故障が発生していると判断できるとともに、警告を発することができる。なお、この警告は、故障と判断された三相サーボモータ201を保護するため、通常の運転が行われないように知らせるものである。
一方、直流電圧印加時に、三相サーボモータ201に、地絡等の故障が発生していない場合、通電検出回路部330内には所定値以上の電流が流れず、小型継電器333は、オフ状態となる。従って、故障判定部340は、小型継電器333がオフ状態の場合、三相サーボモータ201は、正常であると判断する。
なお、三相サーボモータ201の巻線回路は、インダクタンスを持っているが、直流電圧が印加されるため、回路内のインピーダンスは、ほぼ0オームとなる。従って、故障判定部340は、巻線回路のインダクタンスに影響されることはなく、三相のいずれの巻線で地絡等の故障が起こっても、電流値に応じて正確な故障判定を行うことができる。
なお、故障判定部340は、1番目の三相サーボモータ201の故障判定を行った後、同様に、2番目以降の三相サーボモータ202〜208に対応する回路選択部322〜328のみを順次、閉状態にしていくことにより、全ての三相サーボモータ201〜208に対する故障判定を、1台で行うことができる。
故障判定部340は、このようにして三相サーボモータ部200内の全ての三相サーボモータ201〜208を故障判定した後、高電圧隔離回路部310内の回路開閉部311〜318を一括して開状態にする。この結果、三相サーボモータ部200と検出対象切換部320との間は切り離される。その後、正常判定された三相サーボモータは、対応する駆動出力回路101〜108による通常運転が可能となる。
以上のように、本発明の実施の形態1によれば、複数の三相サーボモータを組み合わせたシステムにおいては、検出対象切換部による選択切換を行うことで、システム全体として、通電検出回路部を1つ備えるだけでよい。さらに、三相サーボモータの巻線回路と大地間に直流電圧を印加し、通電検出回路部に流れる電流によって、故障判定を行うことができる。
これにより、高速かつ高精度なA/D変換器を必要とせず、部品構成を最小限に抑えることができる。さらに、誘導電流または漏れ電流などの影響を受けず、受電変圧器の中性点が非接地または高抵抗接地である場合においても正確な故障判定を行うことができる。
なお、本実施の形態1では、故障検出装置300は、高電圧隔離回路部310を備えずとも同様の効果を得ることができる。また、電流検出部332を構成する機器として、回路内に流れる所定値以上の電流を検出する機器ならば、小型継電器333以外の別の機器を用いてもよい。
実施の形態2.
先の実施の形態1では、複数の三相サーボモータを組み合わせたシステム(大規模システム)に適用する故障検出装置300について説明した。これに対して、本発明の実施の形態2では、1台の三相サーボモータによるシステム(小規模システム)に適用する故障検出装置300について説明する。
図2は、本発明の実施の形態2における三相サーボモータ用の故障検出装置300を1台の三相サーボモータによるシステムに適用するときの構成図である。この図2におけるシステムは、駆動出力部100、三相サーボモータ部200、および故障検出装置300から構成される。
駆動出力部100は、図示するように、1つの駆動出力回路101を有す。また、三相サーボモータ部200は、1つの駆動出力回路101によって駆動される1台の三相サーボモータ201を有す。
故障検出装置300は、高電圧隔離回路部310、通電検出回路部330、および故障判定部340を備える。高電圧隔離回路部310は、図示するように、三相サーボモータ201に対応する回路開閉部311を有しており、1回路に限定されている。なお、通電検出回路部330は、先の実施の形態1と同様に、直流電源331および小型継電器333を有する。
また、先の実施の形態1とは異なり、検出対象切換部320が具備されていない。すなわち、この図2における故障検出装置300は、1台の三相サーボモータによるシステムに適用されるため、検出対象切換部320を備えなくても、高電圧隔離回路部310だけを備えていることで、同様の効果を得ることができる。なお、三相サーボモータ201の故障検出を行う一連の動作については、先の実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
また、1台の三相サーボモータによるシステムの場合には、故障検出装置300内において、さらに検出対象切換部320による切換がないため、短時間に簡単に故障を検出することができる。
以上のように、本発明の実施の形態2によれば、1台の三相サーボモータによるシステムにおいて、故障検出装置内の回路開閉部を1回路に限定し、さらに検出対象切換部を備えずに故障判定を行うことができる。これにより、構成部品を削減することができ、さらに検出対象切換部の動作時間が省略されるため、短時間に簡単に正確な故障判定を行うことができる。
なお、本実施の形態2では、故障検出装置300は、回路開閉部を1回路に限定した高電圧隔離回路部310の代わりに、回路選択部を1回路に限定した検出対象切換部320を備えても同様の効果を得ることができる。
実施の形態3.
先の実施の形態1、2では、小型継電器333を有する通電検出回路部330を用いた故障検出方法について説明した。これに対して、本発明の実施の形態3では、先の実施の形態1、2とは異なる構成の通電検出回路部330を備えた故障検出装置300について説明する。
図3は、本発明の実施の形態3における通電検出回路部330の構成図である。この図3における通電検出回路部330は、先の図1、2における通電検出回路部330と同様に、直流電源331を備えるとともに、小型継電器333の代わりに、シャント抵抗334および電流測定器335を備える。
また、通電検出回路部330内のシャント抵抗334は、検出対象切換部320と直流電源331との間に直列に挿入されており、電流測定器335は、シャント抵抗334に流れる電流値を測定する。
次に、図3における通電検出回路部330を備えた故障検出装置300について、説明する。なお、本実施の形態3における故障検出装置300は、先の図1、2における故障検出装置300の通電検出回路部330の構成が異なっており、その他の各部の構成は、同じである。
従って、ここでは、本実施の形態3における通電検出回路部330の動作を中心に説明する。本実施の形態3における多軸三相サーボモータ用の故障検出装置300は、回路内の電流値の経時変化を計測することにより故障判定を行うという技術的特徴を有す。
すなわち、先の実施の形態1、2における通電検出回路部330では、小型継電器333の2値(オン状態・オフ状態)を検出することにより、回路内に所定値以上の電流が流れるか否かを確認し、三相サーボモータの故障判定を行っていた。
これに対して、本実施の形態3のおける通電検出回路部330は、回路内の電流値を正確に計測し、回路内に流れる電流値の経時変化を確認することによって、三相サーボモータの故障判定を、より高精度に行うことができる。
例えば、1週間毎の電流値を計測し、計測したデータに対して、経過時間を横軸に、電流値を縦軸にしてデータをプロットする。このようにして得られるグラフの形状によって、1週間毎に電流値の大きさが経時的にどのように変化しているか確認することができ、三相サーボモータの経時的な状態が分かる。
また、三相サーボモータの故障を判断する基準として、例えば、グラフ内のデータを直線近似することによって得られる傾きが一定値以上になった場合、または電流値が所定の閾値以上になった場合に、故障判定部340は、通電検出回路部330による経時的な計測結果に基づいて地絡故障が発生したか否かを判断することができる。
以上のように、本発明の実施の形態3によれば、小型継電器の代わりに、シャント抵抗および電流測定器を有した通電検出回路部を備え、回路内に流れる電流値の経時変化を確認することで、故障検出を行っている。これにより、小型継電器のオン・オフ状態に基づいて故障検出を行っていた先の実施の形態1、2の場合と比較して、より高精度な故障検出が可能となり、三相サーボモータが停止するといった重大事故の前に、異常状態を判断することができる。
実施の形態4.
先の実施の形態3では、シャント抵抗334および電流測定器335を有した通電検出回路部330を備えた故障検出装置300について説明した。これに対して、本発明の実施の形態4では、先の実施の形態3とは異なる構成の通電検出回路部330を備えた故障検出装置300について説明する。
図4は、本発明の実施の形態4における通電検出回路部330の構成図である。この図4における通電検出回路部330は、先の図3における通電検出回路部330と同様に、直流電源331、シャント抵抗334および電流測定器335を備えるとともに、さらに、交流電源336を備える。
次に、図4における通電検出回路部330を備えた故障検出装置300について、説明する。なお、本実施の形態4における故障検出装置300は、先の図3における故障検出装置300の通電検出回路部330の構成が異なっており、その他の各部の構成は、同じである。
従って、ここでは、本実施の形態4における通電検出回路部330の動作を中心に説明する。本実施の形態4における三相サーボモータ用の故障検出装置300は、交流電源336をさらに備えることで、直流電流に交流電流を重畳し、三相サーボモータの巻線回路のインダクタンスを加味することにより、故障判定を行う点を技術的特徴としている。
本実施の形態4のおける通電検出回路部330では、回路内の電流値を正確に計測し、回路内に流れる電流値の経時変化を確認することにより、故障判定を、より高精度に行うことができる。さらに、三相サーボモータの巻線回路のインダクタンスを加味することにより、巻線のどの位置でフレームに地絡したかを、推定することができる。
例えば、故障検出対象である三相サーボモータの巻線回路のU相と大地間に電圧を印加する場合を考える。この場合、回路内において直流電流値と交流電流の実効値(以下では、交流電流値と称す)の大きさがほぼ等しい場合には、U相が、フレームに地絡していると判断できる。
また、回路内において直流電流値の方が交流電流値より大きく、交流電流値がU相におけるインダクタンスにより低減されたような値である場合には、中性点部分またはU相とV相の接続部付近で地絡していると判断できる。
このように、直流電流値と交流電流値との大きさを比較することで、巻線回路のどの位置でフレームに地絡しているか(地絡故障の発生場所)を推定することができる
なお、直流電圧と交流電圧を重畳した電圧を巻線回路のU相と大地間に印加して、電流測定器335を用いて回路内の電流を計測することにより、故障判定部340は、一度に交流電流値と直流電流値の計測結果を読み取ることが可能となる。この結果、システム全体として、構成部品を削減することができる。
なお、三相サーボモータの巻線回路のV相またはW相と大地間に電圧を印加する場合においても、同様の効果を得ることができる。
以上のように、本発明の実施の形態4によれば、直流電源に加えて交流電源を備えた通電検出回路部を用いて、回路内を流れる直流電流値と交流電流値とを比較することで、故障検出を行っている。これにより、地絡故障の有無に加え、巻線回路のどの位置でフレームに地絡しているかを推定することができる。
100 駆動出力部、101〜108 駆動出力回路、200 三相サーボモータ部、201〜208 三相サーボモータ、300 故障検出装置、310 高電圧隔離回路部、311〜318 回路開閉部、320 検出対象切換部、321〜328 回路選択部、330 通電検出回路部、331 直流電源、332 電流検出部、333 小型継電器、334 シャント抵抗、335 電流測定器、336 交流電源、340 故障判定部。

Claims (6)

  1. 複数台の三相サーボモータの故障検出を1台で行う多軸三相サーボモータ用の故障検出装置であって、
    故障検出対象である三相サーボモータの巻線回路に対して故障診断用の直流電圧を印加するための直流電源と、前記直流電圧を印加した際に前記巻線回路に所定値以上の電流が流れるか否かを検出する電流検出部とを有する通電検出回路部と、
    前記通電検出回路部と前記複数台の三相サーボモータのそれぞれの巻線回路との間に接続され、外部からの切り換え指令に基づいて、前記それぞれの巻線回路の中から前記直流電圧を印加する巻線回路を選択切り換え可能とする検出対象切換部と、
    前記三相サーボモータの故障検出を行う際に、前記複数台の三相サーボモータのそれぞれの駆動出力部の運転を停止させた後、前記複数台の三相サーボモータの中から故障検出対象である三相サーボモータを特定するために、前記検出対象切換部に対して前記切り換え指令を出力し、前記電流検出部の測定結果に基づいて、前記故障検出対象である三相サーボモータの巻線回路に所定値以上の電流が流れたと判断した場合には、前記故障検出対象である三相サーボモータで地絡故障が発生したと判断する故障判定部と
    を備え
    前記検出対象切換部と前記複数台の三相サーボモータのそれぞれの巻線回路との間に接続され、前記三相サーボモータの故障検出を行う際には一括して閉状態となり、前記三相サーボモータが通常運転中は、一括して開状態となる高電圧隔離回路部をさらに備える
    ことを特徴とする多軸三相サーボモータ用の故障検出装置。
  2. 請求項1に記載の多軸三相サーボモータ用の故障検出装置において、
    前記電流検出部は、前記直流電圧を印加した際に前記巻線回路に所定値以上の電流が流れることでオン状態となる小型継電器で構成され、
    前記故障判定部は、前記小型継電器が前記オン状態となった場合には、前記故障検出対象である三相サーボモータで地絡故障が発生したと判断する
    ことを特徴とする多軸三相サーボモータ用の故障検出装置。
  3. 請求項1に記載の多軸三相サーボモータ用の故障検出装置において、
    前記電流検出部は、前記検出対象切換部と前記直流電源との間に直列に挿入されたシャント抵抗と、前記シャント抵抗に流れる電流値を測定する電流測定器から構成され、
    前記故障判定部は、前記電流測定器で測定された直流電流値の大きさおよび経時的な変化に応じて前記故障検出対象である三相サーボモータで地絡故障が発生したか否かを判断する
    ことを特徴とする多軸三相サーボモータ用の故障検出装置。
  4. 請求項3に記載の多軸三相サーボモータ用の故障検出装置において、
    前記通電検出回路部は、前記故障検出対象である三相サーボモータの巻線回路に対して前記故障診断用の直流電圧と重畳させた交流電圧を印加するための交流電源をさらに備え、
    前記故障判定部は、前記電流測定器によって計測された交流電流の実効値と前記直流電流値との大きさを比較することにより、前記地絡故障の発生場所の推定を行う
    ことを特徴とする多軸三相サーボモータ用の故障検出装置。
  5. 複数台の三相サーボモータの故障検出を1台で行う多軸三相サーボモータ用の故障検出装置であって、
    故障検出対象である三相サーボモータの巻線回路に対して故障診断用の直流電圧を印加するための直流電源と、前記直流電圧を印加した際に前記巻線回路に所定値以上の電流が流れるか否かを検出する電流検出部とを有する通電検出回路部と、
    前記通電検出回路部と前記複数台の三相サーボモータのそれぞれの巻線回路との間に接続され、外部からの切り換え指令に基づいて、前記それぞれの巻線回路の中から前記直流電圧を印加する巻線回路を選択切り換え可能とする検出対象切換部と、
    前記三相サーボモータの故障検出を行う際に、前記複数台の三相サーボモータのそれぞれの駆動出力部の運転を停止させた後、前記複数台の三相サーボモータの中から故障検出対象である三相サーボモータを特定するために、前記検出対象切換部に対して前記切り換え指令を出力し、前記電流検出部の測定結果に基づいて、前記故障検出対象である三相サーボモータの巻線回路に所定値以上の電流が流れたと判断した場合には、前記故障検出対象である三相サーボモータで地絡故障が発生したと判断する故障判定部と
    を備え、
    前記電流検出部は、前記検出対象切換部と前記直流電源との間に直列に挿入されたシャント抵抗と、前記シャント抵抗に流れる電流値を測定する電流測定器から構成され、
    前記故障判定部は、前記電流測定器で測定された直流電流値の大きさおよび経時的な変化に応じて前記故障検出対象である三相サーボモータで地絡故障が発生したか否かを判断し、
    前記通電検出回路部は、前記故障検出対象である三相サーボモータの巻線回路に対して前記故障診断用の直流電圧と重畳させた交流電圧を印加するための交流電源をさらに備え、
    前記故障判定部は、前記電流測定器によって計測された交流電流の実効値と前記直流電流値との大きさを比較することにより、前記地絡故障の発生場所の推定を行う
    ことを特徴とする多軸三相サーボモータ用の故障検出装置。
  6. 複数台の三相サーボモータの故障検出を1台で行う多軸三相サーボモータ用の故障検出装置で実行される故障検出方法であって、
    前記複数台の三相サーボモータのそれぞれの駆動出力部の運転を停止させる第1ステップと、
    前記複数台の三相サーボモータのそれぞれの巻線回路の中から、故障検出対象である三相サーボモータの巻線回路を選択切り換え可能とする検出対象切換部を切換制御することで、選択した巻線回路に故障診断用の直流電圧を印加する第2ステップと、
    前記直流電圧を印加した際に前記巻線回路に所定値以上の電流が流れるか否かを検出する第3ステップと、
    前記第3ステップによる検出結果に基づいて、前記故障検出対象である三相サーボモータの巻線回路に所定値以上の電流が流れたと判断した場合には、前記故障検出対象である三相サーボモータで地絡故障が発生したと判断する第4ステップと
    を備え
    前記検出対象切換部と前記複数台の三相サーボモータのそれぞれの巻線回路との間に接続された高電圧隔離回路部を切換制御することで、前記三相サーボモータの故障検出を行う際には、前記高電圧隔離回路部を一括して閉状態となるように制御し、前記三相サーボモータを通常運転させる際には、前記高電圧隔離回路部を一括して開状態となるように制御する第5ステップをさらに備える
    ことを特徴とする故障検出方法。
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