以下、図面を参照して、本発明に係る第1、第2の実施の形態、第1〜第4の変形例を順に詳細に説明する。但し、本発明は図示例に限定されるものではない。
(第1の実施の形態)
図1〜図26を参照して、本発明に係る第1の実施の形態を説明する。先ず、図1を参照して、本実施の形態の基本構成としての位相同期回路10を説明する。図1に、本実施の形態の位相同期回路10の構成を示す。
図1に示すように、位相同期回路10は、基準信号発生部としての局所発振器22と、光位相比較部1と、位相同期部2と、変調部3と、を備える。局所発振器22は、基準信号としてのRF信号を発生する。光位相比較部1は、入力光信号と電気信号とを位相比較して第1の位相誤差信号を生成する。位相同期部2は、光位相比較部1から出力された第1の位相誤差信号と、局所発振器22から出力された基準信号(RF信号)と、を位相比較して第2の位相誤差信号を生成し、当該第2の位相誤差信号における前記入力光信号のクロック信号周波数に対応する周波数成分のみに応じて前記入力光信号の位相に同期した同期信号を発生して出力する。変調部3は、局所発振器22から出力された基準信号の分周信号を用いて、位相同期部2から出力された同期信号をSSB(Single SideBand)変調して前記電気信号として光位相比較部1に出力する。
光位相比較部1は、光カプラ11と、VOA12と、光変調器13と、光・電気変換器140と、を備える。位相同期部2は、BPF16と、位相比較器17と、ループフィルタ18と、VCO19と、分岐部20と、を備える。変調部3は、SSB変調器21と、プリスケーラ23と、を備える。光・電気変換器140は、バランスドレシーバ14と、トランスインピーダンス増幅部としてのTIA15と、を有する。バランスドレシーバ14は、PD141,142を有する。
光カプラ11は、光信号の分岐部である。光カプラ11は、OTDM信号である入力光信号を分岐させてVOA12及び光変調器13に出力する。入力光信号のクロック信号の周波数をA[Hz]とする。VOA12は、減衰量が調整可能な光減衰器である。光変調器13は、RF信号に応じて入力光信号の透過量を調整し、この入力光信号を透過することにより光変調を行う。光変調器13は、SSB変調器21から入力されるRF信号に応じて、光カプラ11により分岐された一方の光信号を変調してPD142に出力する。VOA12は、光カプラ11により分岐されたもう一方の光信号を、光変調器13の出力信号と同等になるよう減衰してPD141に出力する。
バランスドレシーバ14は、2つの光信号の位相比較を行い、電気信号としての位相比較信号(位相誤差信号)を出力する。PD141,142は、入力された光信号を光電変換して電気信号を出力する。バランスドレシーバ14は、VOA12、光変調器13からPD141,142に入力された2つの光信号を合わせて、入力光信号と光変調器13の入力RF信号との位相誤差信号(第1の位相誤差信号)を生成してTIA15に出力する。
TIA15は、入力された電流信号を電圧信号に変換する。TIA15は、バランスドレシーバ14から入力された電流信号としての位相誤差信号を電圧信号に変換してBPF16に出力する。
BPF16は、所定周波数帯の電気信号を透過するフィルタである。局所発振器22の発振周波数をF[Hz]とする場合に、BPF16は、周波数F[Hz]の透過フィルタに設定される。BPF16は、TIA15から入力された電圧信号の周波数F[Hz]成分を透過して位相比較器17に入力する。位相比較器17は、入力された2つの電気信号の位相を比較し位相誤差信号を出力する。位相比較器17は、BPF16、局所発振器22から入力された2つの周波数F[Hz]の電気信号の位相誤差信号(第2の位相誤差信号)を生成してループフィルタ18に出力する。
ループフィルタ18は、電気信号を整形してDC信号に変換する。ループフィルタ18は、位相比較器17から入力された位相誤差信号を整形して位相誤差信号のDC信号をVCO19に出力する。VCO19は、入力電圧に比例した周波数のRF信号を出力する。VCO19は、ループフィルタ18から入力された位相誤差信号に比例した周波数のRF信号を分岐部20に出力する。VCO19は、位相誤差信号の位相誤差を0にするための周波数のRF信号を出力し、位相誤差が0の(位相ロックされた)状態で周波数B[Hz]のRF信号を出力する。ここで、周波数A/周波数B=M(M:整数)とする。分岐部20は、VCO19から入力されたRF信号のパワーを分岐して外部及びSSB変調器21のLOポートに出力する。
局所発振器22は、一定の周波数のRF信号を生成する発振器である。局所発振器22は、周波数F[Hz]のRF信号を生成して位相比較器17及びプリスケーラ23に出力する。プリスケーラ23は、入力されたRF信号を分周する。プリスケーラ23は、局所発振器22から入力された周波数F[Hz]のRF信号を1/Mに分周し、周波数F/M[Hz]のRF信号のパワーを分岐してSSB変調器21に出力する。
SSB変調器21は、入力されたRF信号を変調して周波数シフトし、当該RF信号の片側(本実施の形態では上側)の側波帯で伝送するためのRF信号として出力する。SSB変調器21は、入力された周波数F/M[Hz]のRF信号に基づいて、別に入力された周波数B[Hz]のRF信号を変調し、周波数(B+F/M)[Hz]のRF信号を出力する。
SSB変調器21は、位相シフタ211と、IQ変調器212と、を有する。位相シフタ211は、90°の位相シフタである。プリスケーラ23から出力された一方のRF信号は、I信号としてIQ変調器212のIポートに出力される。プリスケーラ23から出力されたもう一方のRF信号は、位相シフタ211により90°シフトされてQ信号としてIQ変調器212のQポートに入力される。
IQ変調器212は、Iポート、Qポート、LOポート、RFポートを有する。IQ変調器212は、Iポート、Qポートに入力されたI信号、Q信号の周波数を、LOポートに入力されたRF信号の周波数に加算して当該RF信号を変調し、変調したRF信号をRFポートから出力する。IQ変調器212は、Iポート、Qポートに入力された周波数F/M[Hz]のI信号、Q信号に応じて、分岐部20からLOポートに入力された周波数B[Hz]のRF信号を変調して周波数(B+F/M)[Hz]のRF信号をRFポートから光変調器13に出力する。
位相同期回路10において、光変調器13により入力光信号が変調され、バランスドレシーバ14により光電変換された電気信号から、BPF16により入力光信号のクロック信号の周波数に対応する周波数F[Hz]成分のみが取り出される。そして、位相比較器17、ループフィルタ18、VCO19により、前記取り出された周波数F[Hz]成分の電圧信号と、局所発振器22から出力されたRF信号との位相誤差がなくなるような位相で周波数B[Hz]のRF信号が生成される。また、VCO19で生成されたRF信号は、RF信号とSSB変調器21により、局所発振器22から出力されプリスケーラ23で分周されたRF信号に応じて、変調され、周波数(B+F/M)[Hz]のRF信号として光変調器13に出力される。この周波数(B+F/M)[Hz]のRF信号に応じて、光変調器13により入力光信号が変調される。
このようにして、位相同期回路10において、入力光信号に同期した周波数B[Hz]のRF信号が生成される。また、入力光信号のクロック信号の周波数A[Hz]に対応する周波数F[Hz]成分の電気信号(第2の位相誤差信号)のみを同期動作に用いることで、サブハーモニック成分による平均パワー及び波形の揺らぎの影響を低減できる。
また、位相同期回路10では、VCO19が発振するRF信号の周波数をシフトする方法として、SSB変調器21によるSSB変調を採用した。SSB変調を採用することで、変調後の出力信号の周波数として、(B+F/M)[Hz]もしくは (B-F/M)[Hz]のどちらか一方を選択的に出力することができ、本実施の形態では、(B+F/M)[Hz]を出力する構成とした。そのため、図35の従来の位相同期回路100における、F/M[Hz]の大きさの削減を阻んでいるBPF112を省くことができるため、F/M[Hz]の大幅な減少が可能となる。F/M[Hz]の大幅な減少により、光・電気変換器140の帯域を小さくできる。
次いで、図2を参照して、図1の基本構成のより具体的な構成としての位相同期回路10Aを説明する。図2に、位相同期回路10Aの構成を示す。位相同期回路10Aについて、位相同期回路10と異なる部分を主として説明する。
図2に示すように、位相同期回路10Aは、光カプラ11と、VOA12と、EAM13Aと、バランスドレシーバ14と、TIA15と、BPF16Aと、電気ミキサ17Aと、ループフィルタ18と、VCO19Aと、分岐部20と、SSB変調器21と、局所発振器22Aと、プリスケーラ23Aと、周波数逓倍アンプ24と、パワーアンプ(クロックアンプ)25と、バイアスT26と、を備える。
位相同期回路10Aの入力光信号は、160[Gbit/s]のOTDM信号とする。160[Gbit/s]のOTDM信号のクロック信号の周波数は、160[GHz]である。
BPF16Aは、入力電気信号から周波数16f0[Hz]成分を透過する電気BPFである。VCO19Aは、入力された位相誤差信号に比例する周波数のRF信号を出力し、位相誤差がない状態で周波数10[GHz]のRF信号を出力するVCOである。局所発振器22Aは、周波数16f0[Hz]のRF信号を出力する局所発振器である。プリスケーラ23Aは、入力RF信号を1/16に分周する。
周波数逓倍アンプ24は、入力RF信号の周波数を4倍に逓倍する周波数逓倍器である。周波数逓倍アンプ24は、SSB変調器21のRFポートから出力されたRF信号を、その周波数を4倍にしてパワーアンプ25に出力する。パワーアンプ25は、入力RF信号の周波数40[GHz]帯のパワーを増幅するアンプである。パワーアンプ25は、周波数逓倍アンプ24から入力されたRF信号の周波数40[GHz]帯のパワーを増幅してバイアスT26に出力する。バイアスT26は、DCオフセット信号に応じて、入力されたRF信号にオフセット電圧を付加する。バイアスT26は、パワーアンプ25から入力されたRF信号に、DCオフセット信号に応じたオフセット電圧を印加してEAM13Aに出力する。
EAM13Aは、正の電圧信号が入力できないデバイスである。このため、パワーアンプ25から出力されるRF信号の中心電圧が0[V]である場合に、バイアスT26により負のオフセット電圧を印加する。例えば、パワーアンプ25から出力されるRF信号の振幅が2[V]である場合に、バイアスT26によりRF信号に-2.2[V]の電圧が印加される。
位相同期回路10では、周波数16f0[Hz]を10.7[MHz]に設定した。位相同期回路10において、光カプラ11、VOA12、EAM13A及びバランスドレシーバ14(光位相比較部1)の出力信号が、TIA15で増幅された後、局所発振器22Aの発振周波数16f0[Hz]を透過するBPF16Aで、出力信号中の周波数16f0[Hz]の信号成分が取り出される。取り出された信号の位相を検出するために、BPF16AのLOポートは、周波数16f0[Hz]の正弦波(RF信号)が入力されている電気ミキサ17AのRFポートに接続される。電気ミキサ17AのIFポートから出力される信号のDC成分は、位相誤差信号であり、ループフィルタ18を介して、VCO19Aに負帰還される。ループフィルタ18においては、電気ミキサ17AのIF出力信号が含む周波数32f0[Hz](=21.4[MHz])の信号成分を減衰するように、カットオフ周波数を32f0[Hz]よりも十分小さく設定する必要がある。本実施の形態では、ループフィルタ18のカットオフ周波数を約200[kHz](≪21.4[MHz]) に設定した。なお、ここで用いたEAM13Aは、入力光信号の偏波に対して無依存のタイプを用いているため、位相同期回路10は入力光信号の偏波に対し同期動作が依存しない。
一方で、EAM13Aを駆動するRF信号の周波数を次のようにシフトした。分岐したVCO19Aの出力RF信号の一方をSSB変調器21に入力した。IQ変調器212を、そのIポート、Qポートに周波数f0(=671[kHz])の互いに位相が90度異なる信号を入力してSSB変調器21に用いている。なお、周波数f0(=671[kHz])の信号は上記周波数16f0(=10.7[MHz])の信号をプリスケーラ23Aで16分周することにより発生させた。
次に、図3〜図5を参照して、EAM13Aの動作をもう少し詳細に説明する。図3に、時間に対する、EAMを透過する光パワーと、RF信号との位相差が0、π/4の光信号と、を示す。図4に、RF信号を基準とした光信号の位相差に対するEAMを透過する光パワーを示す。図5に、マルチハーモニックミキサとして取り扱うEAM130の構成を示す。
図3の上側のグラフに示すように、EAMは、EAMを駆動するRF信号に応じて光信号の透過パワーが変化する。EAMにおいて、RF信号と光信号との相対位相差(タイミング差)がゼロの時には透過光パワー(EAMを透過する光パワー)が最大となり、相対位相差がπ/4の時には透過光パワーが最小となる。さらに、相対位相差がゼロとπ/4の中間の値のときの透過光パワーは、相対位相差に応じた上記最大及び最低のパワーの中間の値となる。その結果、図4に示すように、RF信号の位相差に応じて、EAMを透過する光パワーが増減する。このように、RF信号と光信号の位相差を透過光パワーの関数として捉えることができるため、EAMを光信号の位相比較器として用いることができる。
さらに、EAMを透過する光信号の透過時間幅は、図4に示すようにEAMを駆動するRF信号の周期の半周期よりも小さい。そのため、光信号の位相比較器としての帯域は、EAMを駆動するRF信号よりも、透過時間幅に反比例した帯域まで、広帯域になる。例えば、EAMを駆動するRF信号の周波数をfRFとし、その時の時間周期をTRF(=1/fRF)とする。透過時間幅がTRF/4と小さく、周波数 2×fRF の正弦波の光信号が入力されている場合を考察する。入力光信号の半値時間幅は、TRF/4で、EAMの透過時間幅と同等である。そのため、RF信号と入力光信号との位相差を強度差として出力できる。すなわち、EAMを駆動するRF信号よりも高い周波数の光信号であっても、位相誤差を検出することができる。ただし、入力光信号の周波数が大きくなると、光信号の一パルス光の幅が小さくなる。EAMの透過時間幅が入力光信号の光パルス幅よりも小さいときには、位相誤差に相当する透過光強度の消光比が大きいため、位相誤差の検出感度が高い。一方で、EAMの透過時間幅が入力光信号の光パルス幅よりも大きい場合、EAMの透過時間幅の中に光パルスが1個以上入ることとなる。このため、位相誤差に相当する透過光強度の消光比が小さくなる。すなわち、位相誤差の検出誤差が低くなる。
このことを周波数領域で考えると、EAMを駆動するRF信号の周波数fRFのハーモニック成分(整数倍の周波数の成分)の光信号の位相比較を行えることと等価である。図5に示すように、マルチハーモニックミキサとしてのEAM130は、ミキサ131〜138と、加算器139と、周波数逓倍アンプ143〜149と、を備える。EAM130は、光信号と電気のRF信号とが入力され、変調光信号を出力する。周波数逓倍アンプ143〜149により、各RF信号の周波数が整数倍の周波数に逓倍される。RF信号、整数倍の周波数に逓倍されたRF信号は、それぞれ、ミキサ131〜138のLOポートに入力される。一方で、光信号は、各ミキサ131〜138のRFポートに入力される。各ミキサ131〜138において、入力光信号と各RF信号とは乗算され、その各出力光信号がIFポートから出力される。各ミキサ131〜138のIFポートからの出力は、加算器139においてすべて加算され、変調光信号としてEAM130から出力される。
EAM13AにEAM130の構成を適用し、例えば、EAM13Aを駆動するRF信号の周波数が40[GHz]の時、入力信号の整数倍での周波数である80[GHz]、 120[GHz]、160[GHz]のRF信号成分の位相を検出することができる。検出感度は、EAMの透過時間幅の逆数で決まる周波数がカットオフ周波数であるLPF(Low Pass Filter)のように、低くなる。
次に、図6〜図10を参照して、位相同期回路10Aに入力する被試験信号である160[Gbit/s]のOTDM信号の発生について説明する。図6に、OTDM信号発生器40の構成を示す。図7に、OTDM信号発生器40のOTDMモジュール44の構成を示す。
図6に示すように、OTDM信号を発生する装置としてのOTDM信号発生器40は、パルスパターン発生器41と、パルス光源42と、LN(Lithium Niobate、ニオブ酸リチウム)強度変調器43と、OTDMモジュール44〜47と、を備える。
パルスパターン発生器41は、周波数10[GHz]のクロック信号を発生してパルス光源42に出力し、データ長が231-1のPRBS(Pseudo Random Binary Sequence、擬似ランダムバイナリー列)信号を発生してLN強度変調器43に出力する。パルス光源42は、パルスパターン発生器41から入力される周波数10[GHz]のクロック信号に応じて、繰り返し周波数9.95328[GHz](以降、10[GHz]と記す)のパルス幅1.6psの光パルス列を生成してLN強度変調器43に出力する。光パルスの中心波長は、1545nmに設定した。LN強度変調器43は、パルスパターン発生器41から入力されたPRBS信号を用いて駆動されているため、LN強度変調器43から入力された光パルス列がPRBS信号に従い強度変調され、10[Gbit/s]の光信号としてOTDMモジュール44に出力する。この光信号が4段のOTDMモジュール44〜47を通過させることにより、159.25[Gbit/s](以降、160[Gbit/s]と記す)の光信号(OTDM信号)が発生される。
図7に示すように、OTDMモジュール44は、サーキュレータ441と、光カプラ442と、遅延線443と、VOA444と、FRM(Faraday Rotator Mirror、ファラデーローテータミラー)445,446と、を有する。OTDMモジュール44の各光部品は、すべて光ファイバデバイスである。OTDMモジュール45〜47は、OTDMモジュール44と同様の構成を有する。
入力光信号がサーキュレータ441を介して3dBの光カプラ442に入力され、パワーの二つのパルス光信号に分岐される。片方の光信号は、遅延線443を透過後、FRM445で偏波の90度回転を受けると同時に反射され、遅延線443を通過後、光カプラ442に戻る。もう片方の光信号は、VOA444を通過後、FRM446で偏波の90度回転を受けると同時に反射され、光カプラ442に戻る。遅延線443の遅延量を調整することにより、光カプラ442で分岐された二つの光パルス信号が時間的に等間隔に配列され、出力光信号のビットレートは2倍になる。また、VOA444の光減衰量を調整することにより、光カプラ442で合波されるそれぞれの光信号のパワーが等しくなる。ビットレートが2倍になった光信号は、サーキュレータ441を介して出力される。
LN強度変調器43から出力された10[Gbit/s]のパルス光信号は、OTDMモジュールを4段通過することで、ビットレートが24 (=16)倍となる。このようにして、10[Gbit/s]の光信号は、160[Gbit/s]のOTDM信号に変換される。
また、FRM445,446とサーキュレータ441との組み合わせにより、任意の偏波の光信号入力に対し、分岐した二つの光信号の偏波は、光カプラ442で合波される際に、常に偏波が一致している。図34に示した従来のOTDMモジュール90は、光カプラ95において、光カプラ91で分岐した二つの光信号の偏波が一致するように、偏波コントローラ93を調整する必要がある。OTDMモジュール44は、偏波コントローラによる偏波の調整を不要としており、偏波に関して安定に動作する。
ここで、各OTDMモジュール44〜47の遅延線443の遅延時間と、VOA444の減衰量とは、帯域が500[GHz]以上ある光サンプリングオシロスコープで波形を測定しながら、二つの光パルスがそれぞれ等間隔、等強度になるように、調整した。光サンプリングオシロスコープの時間精度から、隣接パルス間の時間間隔の精度が0.1ps程度で、隣接パルス間の強度差が数%程度である。
図8に、理想的なOTDM光信号のRFスペクトルのイメージを示す。図9に、実際のOTDM光信号のRFスペクトルのイメージを示す。
図8に示すように、理想的なOTDM光信号のRFスペクトルは、変調によるノイズフロアと、ビットレートと同じ周波数に線スペクトルとを持つ。一方で、図9に示すように、実際のOTDM光信号のRFスペクトルは、理想的なOTDM光信号のRFスペクトルに追加して、基本ビットレートのハーモニック周波数に線スペクトルをもつ。遅延線443、VOA444におけるパルス光信号の時間間隔、強度比の調整により、OTDM信号のサブハーモニックの周波数成分を抑制することができるが、完全に無くすことは困難である。
なお、光ファイバが温度により伸び縮みするため、隣接パルス間の時間間隔は、光サンプリングオシロスコープの精度よりも小さな時間幅で揺らいでいる。この時間揺らぎ幅は、約5fsである波長1.5μmの光の振動周期よりも大きい。そのため、隣接パルスの裾が互いに重なっている場合は、互いの裾が干渉し強度揺らぎとなる。この場合、図9の実際のOTDM信号のRFスペクトル例においては、周波数160[GHz]成分を除いた周波数10[GHz]のハーモニック(整数倍)成分のパワーが揺らぐ。このことは160[Gbit/s]のOTDM信号の品質を劣化させる要因のひとつである。
光ファイバ長の伸縮による160[Gbit/s]のOTDM信号の品質劣化を防ぐために、ファイバ長の伸縮を補償するデバイスをOTDMモジュール44〜47に追加し、伸縮量を検出してピエゾ素子による可動ミラー等の補償デバイスに負帰還する方法があるが、信号発生系が高コストとなり、実用の面では不利である。このことは、たとえ、OTDMモジュール44〜47を空間光学系により構築したとしても、例えば、金属の膨張収縮に伴いミラー間の距離が5 fs以上揺らぐなどの要素を削減できないため、光ファイバを用いて構築したOTDMモジュールと同様である。
本実施の形態においては、光ファイバ長の伸縮補償の無いOTDMモジュール44〜47を用いて160[Gbit/s]のOTDM光信号を発生させている。そのため、この光信号には、隣接パルス間の裾の干渉による強度揺らぎが含まれている。
図10に、伝送部50の構成を示す。OTDM信号発生器40の出力には、160[Gbit/s]のOTDM信号の品質を劣化させるために、伝送部50が接続される。伝送部50は、光増幅器51と、伝送ファイバ部52と、光増幅器53と、伝送ファイバ部54と、光増幅器55と、伝送ファイバ部56と、を備える。伝送ファイバ部52は、NZ−DSF(Non-Zero Dispersion Shifted Fiber、ノンゼロ分散シフトファイバ)521と、DCF(Dispersion Compensation Fiber、分散補償ファイバ)522と、を有する。伝送ファイバ部54,56は、伝送ファイバ部52と同様である。
光増幅器51、伝送ファイバ部52、光増幅器53、伝送ファイバ部54、光増幅器55及び伝送ファイバ部56は、直列に接続されている。伝送部50に、OTDM信号発生器40で発生された160[Gbit/s]のOTDM光信号を伝送させた。NZ−DSF521は、光パルスの波形を時間的に拡げる効果のある波長分散値が、一般に用いられているシングルモードの光ファイバの分散値よりも小さいため、光パルスの波形を保ったまま伝送させることのできるファイバであり、約68kmにされている。高いピークパワーを持つ光パルスが長い距離光ファイバ中を伝送することから、非線形光学効果による強度・雑音の増加が発生しやすい。また、各伝送ファイバ部52,54,56の前段に、それぞれ、光増幅器51,53,55を設置しているため、光増幅器51,53,55自身の強度雑音も出力光信号に重畳され、信号劣化に寄与する。
OTDM信号発生器40、伝送部50を用いて、発生させ品質劣化させた160[Gbit/s]のOTDM光信号に対して、位相同期回路10Aにより、同期した10[GHz]の信号を発生できるかどうかを実験した。なお、伝送部50の各伝送ファイバ部52の入力光パワーは3dBmに設定し、EAM13Aに入力する光パワーを1dBmに設定した。
まず、従来の位相同期回路80にて同期動作を試みた。その結果、短期的には同期を維持するものの、数十秒に一回程度の割合でサイクルスリップ、すなわち同期外れが発生していることが、電気サンプリングオシロスコープの波形観測から、明らかになった。さらに、ビットエラーレートの測定も試みたが、サイクルスリップの発生のたびにビットエラーレートの測定が不能になり、安定に測定することができなかった。
次に、本実施の形態の位相同期回路10Aにより同期動作を試みる。図11に、IQ変調器212(SSB変調器21)の入力RF信号のパワースペクトラムを示す。図12に、IQ変調器212(SSB変調器21)の出力RF信号のパワースペクトラムを示す。図13に、測定周波数範囲を広げたIQ変調器212(SSB変調器21)の出力RF信号のパワースペクトラムを示す。
IQ変調器212(SSB変調器21)のLOポートに、図11に示すような9.95328[GHz]のRF信号を入力し、また、Iポート、Qポートに、周波数がf0(=671[kHz])のI信号、Q信号を入力する。すると、図12に示すように、9.95328[GHz]の入力RF信号に対し、IQ変調器212(SSB変調器21)のRFポートに、周波数がf0 (=671[kHz])増加したRF信号が出力されている。9.95328[GHz]+671[kHz]のRF信号のパワーに対して、変調されずに透過した信号パワーと、周波数がf0(=671[kHz])減少した信号のパワーとは、ともに30dB以上小さく、以下の議論では十分無視できるレベルである。また、図13に示すように、測定周波数範囲を広げても、9.95328[GHz]+671[kHz]のRF信号の成分は、他の成分より30dB以上大きい。
SSB変調器21の出力RF信号である周波数10[GHz]+671[kHz]のRF信号は、4倍の周波数逓倍アンプ24を通過後、周波数が40[GHz]+4×671[kHz]となる。周波数逓倍アンプ24の出力RF信号は、パワーアンプ25、バイアスT26を通過後、EAM13Aを駆動する。
次に、図14を参照して、局所発振器22A、プリスケーラ23A及び位相シフタ211のさらに具体的な回路構成を説明する。図14に、局所発振器22A、プリスケーラ23A及び位相シフタ211の具体的な回路構成を示す。
図14に示すように、位相同期回路10Aは、局所発振器22A、プリスケーラ23A及び位相シフタ211として、水晶発振器221と、T−FF(Toggle Flip-Flop)222と、バッファ223と、フィルタ224と、バッファ225と、D−FF(Delay Flip-Flop)213,214と、バッファ215I,215Qと、LPF216I,216Qと、レベル調整器217I,217Qと、バッファ218I,218Qと、を備える。
基準信号発生部として、21.5[MHz](=32f0)で発振する水晶発振器221を用いた。デューティー比が1:1の10.7[MHz](=16f0)の基準信号を発生させるために、T−FF222を用いて1/2分周する。1/2分周した信号をできる限り純粋な正弦波とするために、フィルタ224を用いて高調波成分を削減する。フィルタ224は、LPF又はBPFである。また、必要に応じてバッファ223,225を挿入してある。高調波成分が基本波の-80dB以下である信号を位相誤差検出用の電気ミキサ17A(ダブルバランスドミキサ)に入力した。TIA15の帯域は約80[MHz]となるように設定し、10.7[MHz]の成分を抽出するように帯域幅が400[kHz]あるBPF16Aを挿入後、電気ミキサ17Aに位相誤差信号を入力する。電気ミキサ17Aの出力であるIF信号をループフィルタ18に出力する。なお、ここでフィルタ224は、ソーフィルタを用いた。
なお、BPF16Aの挿入は、位相誤差信号から不要な周波数成分を削減することができるが、同時に、必要な信号成分の透過帯域を制限することとなる。そのため、BPF16の透過帯域は設定した位相同期回路10Aのループ帯域よりも大きな帯域を持ち、かつ、透過帯域における位相遅れが小さなものを選択した。位相同期回路10Aのループ帯域は、設計により決める量である。BPF16Aの透過帯域がループフィルタ18の帯域を制限する。ここで、BPF16Aの透過帯域は、半値全幅で規定される。そのため、中心周波数から、3dB帯域までは、半値半幅となる。一方で、位相同期回路10Aのループ帯域は、半値半幅で制限されるので、透過帯域(半値全幅)はループ帯域の2倍以上必要となる。
TIA15の帯域は、入力光信号のクロック周波数による位相誤差信号である周波数16f0よりも大きくなくては、位相誤差信号を検出できない。TIA15は、応答帯域を増加させると同時に感度が落ちる。そのため、PLL全体における位相余裕が、好ましくは60度以上で少なくとも30度以上ある条件を充たす範囲で、光信号検出感度が高くなるようにできる限り帯域を小さく設定した。一方で、TIA15の帯域を小さくすると、応答周波数16f0における位相遅れが大きくなり、PLL全体の位相余裕を減らす方向にあるため、位相遅れが5度未満となるように帯域を大きく設定するのが望ましい。例えば、ここでは、TIA15は、GBW(Gain Bandwidth Product:利得帯域幅積)が1.5[GHz]でJ−FET入力型のオペアンプを用いて構成しており、負荷抵抗値を62[kΩ]とすることで帯域を80[MHz]以上に設定した。このとき、10.7[MHz]の信号の位相遅れは、約7.6度である。なお、位相遅れ5度とするためには帯域が10.7[MHz]の信号の11.4倍である122[MHz]必要となる。一般に、現在市販の10[GHz]帯域のTIAの負荷抵抗値は差動出力のものでも1[kΩ]以下であり、TIA15で用いた負荷抵抗値に比較し60分の1以下と小さい。負荷抵抗値は光電変換効率に比例することから、本実施の形態の光信号に対する感度が60倍以上あるといえる。また、位相遅れが大きくなると同期取得時間が増加したり同期回路が発振しやすくなるが、それでも10.7[MHz]の信号に対する位相遅れの許容値を30度、もしくは、60度とすると、帯域はそれぞれ、10.7[MHz]の1.7倍である18.2[MHz]、10.7[MHz]の0.6倍である6.4[MHz]となる。このときの負荷抵抗値は、TIA15の帯域が負荷抵抗値の平方根に反比例することを仮定すると、それぞれ、130[kΩ]、226[kΩ]となる。これらの値は、抵抗値1[kΩ]に比較して2桁以上大きくなっており、光電変換感度が著しく増加している。よって、TIA15の帯域は、局所発振器22Aが出力する基準信号(RF信号)の周波数16f0(=F)=10.7[MHz]の0.6倍以上の帯域であり、同じく基準信号の周波数10.7[MHz]の11.4倍以下の帯域であることが好ましい。このように、光・電気変換器140のTIA15の帯域を小さく設定することにより、位相同期回路10Aは、光・電気信号変換効率を高くし、入力光信号が有するクロック信号に対する位相誤差検出感度を高くし、低ジッタの同期RF信号を発生することができる。同時に、光・電気変換器140の低コスト化による製造コスト減少をもたらす。
10[GHz]のRF信号を変調する信号は、次のように発生させた。21.5[MHz](=32f0)で発振する水晶発振器221を8分周することで、2.7[MHz](=4f0)の周波数の信号を発生する。この信号をD−FF213,214対の回路に入力することで、さらに4分周され、かつ位相が90度異なる二つの周波数671[kHz](=f0)のデジタル信号(Iクロック信号、Qクロック信号)を発生する。出力されたデジタル信号をできる限り純粋な正弦波にするために、5次のLPF216I,216Qにより高調波成分を削減し、2次の高調波のパワーが基準派の-40dB以下にした。また、LPF216I,216Qの出力信号は、レベル調整器217I,217Qによりレベル調整される。また、必要に応じてバッファ215I,215Q,218I,218Qを挿入してある。それらの出力信号を、I信号、Q信号としてIQ変調器212のIポート、Qポートに出力することで、10[GHz]のRF信号をSSB変調し、10[GHz]+671[kHz]のRF信号を発生した。
位相同期回路10Aに、OTDM信号発生器40及び伝送部50により発生させ品質劣化させた160[Gbit/s]のOTDM信号を入力したところ、タイミングドリフト及びサイクルスリップなく、安定に同期を維持することを確認した。
図15に、位相同期回路10Aの同期時の出力クロック信号(出力RF信号)のRFスペクトルを示す。図16に、周波数範囲を広げた場合の位相同期回路10Aの同期時の出力クロック信号(出力RF信号)のRFスペクトルを示す。
図15のRFスペクトルは、周波数範囲2[MHz]、RBW(Resolution Band Width)10[kHz]で測定した出力クロック信号のRFスペクトルである。中心のキャリアに対して、-60 [dBm]より低いパワーレベルにおいてパワーが低くなるにつれてより広がったスペクトルとなる、位相同期回路に特徴的なRFスペクトルが得られた。ループ帯域がおよそ200[kHz]程度であることがわかる。図16のRFスペクトルは、帯域10[MHz]、RBW30[kHz]で測定した出力クロック信号のRFスペクトルである。オフセット周波数1.3[MHz](=2f0)に比較的大きなスプリアスがあるものの、その他の高調波成分によるスプリアスは見当たらない。
図17に、位相同期回路10Aの出力クロック信号のSSB位相雑音スペクトルを示す。図17に示すように、位相同期回路10Aの出力クロック信号のSSB位相雑音量は、10[kHz]において-85[dBc/Hz]、100[kHz]において-103[dBc/Hz], 1[MHz]において-130[dBc/Hz]と低い位相雑音量であることが明らかになった。
図18に、位相同期回路10Aの出力クロック信号の位相雑音スペクトルの積分値を示す。図19に、位相同期回路10Aの出力クロック信号のタイミングジッタを示す。図18に示すように、図17の位相同期回路10Aの出力クロック信号の位相雑音スペクトルを積分することにより総位相雑音量が得られる。図18で、位相雑音スペクトルの表示値を2乗ラジアンとして横軸の周波数まで積分した。図19で、位相雑音スペクトルの表示値をタイミングジッタとして横軸の周波数まで積分した。図18、図19で、100Hzから10MHzまでの積分で得られた量は、8.0×10-5[rad2]、150[fs]である。これらの値は、出力クロック信号を用いた電気処理等に用いるには十分小さく実用的な値である。
位相同期回路10Aが同期動作する入力光信号パワーの下限を確認するために、タイミングジッタの160[Gbit/s]OTDM信号入力パワー依存性を測定した。測定においては、ループ帯域が一定になるように、入力光信号のパワーを小さくするごとに、ループフィルタ18の増幅率を増大させループゲインを増大させた。その結果として、図20に、位相同期回路10Aの入力光信号パワーに対するタイミングジッタを示す。図20の横軸は、160[Gbit/s]のOTDM信号を位相同期回路10Aに入力したパワーであり、縦軸が、位相同期回路10Aの出力クロック信号のタイミングジッタで、破線が、パルスパターン発生器41がパルス光源42に出力するクロック信号のタイミングジッタである62.3[fs]を示している。
図20では、入力光信号パワーが -10 [dBm]以上のときにタイミングジッタが100[fs]以下となっており、-10[dBm]よりも入力パワーが小さくなるにつれ、タイミングジッタが増大している。ことから、入力光信号パワーの下限はおよそ-10[dBm]であるといえる。このタイミングジッタの増大は、TIA15が出力する第1の位相誤差信号の信号雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)の減少が原因である。そのため、入力光信号パワーの下限をさらに下げるには、TIA15の増幅率を上げるために負荷抵抗を増大させることが有効であるが、同時に局所発振器22Aの周波数も減少させる必要がある。なぜならば、TIA15の負荷抵抗増大はTIA15の帯域減少を伴い、第1の位相誤差信号の位相遅れが増大し、位相同期回路10Aの正常な同期動作を妨げる原因となる。以上のことから、第1の位相誤差信号の周波数をTIA15の帯域減少の割合に応じて減少させる必要があるからである。なお、入力光信号パワーの上限は、EAM13Aの入力上限により制限され、本測定では10[dBm]である。また、本測定では、入力光信号パワーを変えるたびにループゲインを調節しているが、自動利得制御回路(AGC(Automatic Gain Control)回路)を例えば電気ミキサ17Aの前段に設置することによりループゲインの調整を自動化することも可能である。
次に、160[Gbit/s]のOTDM信号の波形が変化しても同期が維持できることを示すために、位相同期回路10Aの同期動作時に、各OTDMモジュール44〜47の遅延線及びVOAを調整した。図21に、各OTDMモジュール44〜47の調整前の、位相同期回路10Aの同期動作時のTIA15の出力信号のRFスペクトラムを示す。図22に、各OTDMモジュール44〜47の調整後の、位相同期回路10Aの同期動作時のTIA15の出力信号のRFスペクトラムを示す。図23に、各OTDMモジュール44〜47の調整前の、位相同期回路10Aの同期動作時のTIA15の出力信号の10.7[MHz]を中心としたRFスペクトラムを示す。
図21、図23に示すように、本来必要な10.7[MHz](=16f0)成分の他にも671[kHz]の間隔で不要なスプリアスが存在することがわかる。これは、160[Gbit/s]のOTDM信号の不完全な整列や、SSB変調後の10[GHz]のRF信号に不要な信号成分があることが原因である。図22に示すように、各OTDMモジュール44〜47を調整することにより、5.37[MHz](=8f0)の値を25db削減でき、6.0[MHz](=9f0)や6.7[MHz](=10f0)の成分も削減され、これらを含む左から8,9,10,11番目のRFモードのパワーが大きく減少されていることがわかる。この調整中同期は維持されていた。すなわち、本実施の形態の位相同期回路10Aは、入力光信号の波形の変化に耐性を持つことが明らかになった。
次に、図24〜図26を参照して、位相同期回路10Aのビットエラーレートの測定を説明する。図24に、ビットエラーレート測定装置60の構成を示す。図25に、バックトゥーバックで測定したOTDM信号のビットエラーレートを示す。図26に、伝送部50伝送後の測定したOTDM信号のビットエラーレートを示す。
図24に示すように、ビットエラーレート測定装置60は、光増幅器61と、光カプラ62と、偏波コントローラ63と、位相同期回路10Aと、パルス光源64と、光カプラ65と、高非線形ファイバ66と、BPF67と、VOA68と、PD69と、CDR(Clock DataRecovery)70と、ED(Error Detector)71と、を備える。
ビットエラーレート測定装置60において、伝送部50からの出力光信号が光増幅器61にて増幅された後、光カプラ62により、2つの信号に分岐される。分岐された片方の光信号は、偏波コントローラ63を通過後、後段の光カプラ65に入力される。分岐されたもう片方の光信号は、位相同期回路10Aに入力される。位相同期回路10Aが発生した10[GHz]のクロック信号(RF信号)は、繰り返し周波数10[GHz]でパルス幅1.6psの光パルスを発生するパルス光源64に、クロック信号として入力される。パルス光源64は、入力光信号とは異なる中心波長が1560nmで入力クロック信号に同期した繰り返し周波数10[GHz]でパルス幅1.6psの光パルス列を発生し、かつ、出力タイミングを任意の設定したタイミングにすることができる。
光カプラ65において、入力された光信号と10[GHz]の光パルス列とが混合された後、混合光信号が高非線形ファイバ66に入力される。高非線形ファイバ66は、ゼロ分散波長が1560nmのものを用いており、長さが200mである。四光波混合(FWM: Four Wave Mixing)と呼ばれる非線形現象が高非線形ファイバ66中で発生し、10[GHz]の光パルス列と時間的に重なっている光信号の一部が1575nmのアイドラー光として発生する。高非線形ファイバ66の出力光信号から、波長幅2nmの光BPFであるBPF67により1575nmの光成分が取り出される。このことは、このアイドラー光は、16個の光信号が並んでいるOTDM信号から1個の光信号を抜き出したことに相当し、これ以降、10[Gbit/s]の光信号として扱うことができる。BPFの出力光信号は、VOA68で光パワーが調節された後に、PD69に入力される。PD69において、入力光信号が電気信号に変換され、CDR70において、10[Gbit/s]の光信号のデータとクロックとが抽出され、ED71に入力されることで、ビットエラーレートが測定された。
図25のOTDM信号発生器40が発生したOTDM信号を直接ビットエラーレート測定装置60で測定した(バックトゥーバックで測定した)測定結果と、図26のOTDM信号発生器40が発生したOTDM信号を伝送部50の伝送後にビットエラーレート測定装置60で測定した測定結果と、を比較する。図25、図26におけるチャネル(ch)とは、OTDM信号の最初の信号を1chとし、2番目の信号を2chとし、以降、順番に番号がふられているものである。図25に比べて、図26において、伝送部50伝送後のビットエラー測定において、最小値5.6×10-11のエラーレート測定に成功しており、位相同期回路10Aが実用できることを示している。バックトウバックで測定したOTDM信号のビットエラーレートと、伝送後の信号のビットエラーレートを以下の図に示す。1chのビットエラーレート10-9において、パワーペナルティーがおよそ1.5dBあることがわかる。
以上、本実施の形態によれば、位相同期回路10は、局所発振器22と、入力光信号と電気信号とを位相比較して第1の位相誤差信号を生成する光位相比較部1(光カプラ11、光変調器13、VOA12、バランスドレシーバ14、TIA15)と、光位相比較部1から出力された第1の位相誤差信号と、局所発振器22から出力された基準信号(RF信号)とを位相比較して第2の位相誤差信号を生成し、当該第2の位相誤差信号における前記入力光信号のクロック信号周波数に対応する周波数成分のみに応じて前記入力光信号の位相に同期した同期信号を発生して出力する位相同期部2(位相比較器17、ループフィルタ18、VCO19)と、局所発振器22から出力された基準信号の分周信号を用いて、位相同期部2から出力された同期信号をSSB変調して前記電気信号として光位相比較部1に出力する変調部3(プリスケーラ23、SSB変調器21)と、を備える。このため、低品質の入力光信号(OTDM信号)に対して、入力光信号のクロック信号の周波数に対応する周波数成分のみに対応する同期信号を発生して出力でき、タイミングドリフト及びサイクルスリップを防ぐことができ、安定して同期信号を発生できる。
また、位相同期回路10は、SSB変調器21を備える。このため、SSB変調器21の出力にBPFが不要で、周波数シフト量f0を小さくすることができる。周波数シフト量f0を小さくするので、光・電気変換部140(TIA15)の帯域を小さくすることができる。光・電気変換部140(TIA15)の帯域を小さくできるので、位相同期回路10Aは、光・電気信号変換効率を高くでき、入力光信号が有するクロック信号に対する位相誤差検出感度を高くでき、出力する同期信号のタイミングジッタを低減でき、製造コストを削減できる。
また、位相同期回路10Aにおいて、周波数逓倍アンプ24は、SSB変調器21から出力されたRF信号の周波数をN(N=4)倍に逓倍し、当該逓倍したRF信号をパワーアンプ25、バイアスT26を介してEAM13Aに出力する。VCO19から出力される出力信号の周波数が、入力光信号のクロック信号の周波数のM×N(M=4)分の1であり、局所発振器22から出力されるRF信号の周波数を16f0とした場合に、SSB変調器21の変調周波数は、4f0である。このため、バランスドレシーバ14の出力に、入力光信号のクロック信号の周波数に対応する周波数16f0成分を含めることができる。
また、位相同期回路10A(位相同期部2)は、バランスドレシーバ14から出力される第1の位相誤差信号の周波数16f0成分を透過するBPF16Aを備える。このため、電気ミキサ17Aが、不要な周波数成分を除去して、入力光信号のクロック信号の周波数に対応する周波数成分の第2の位相誤差信号をVCO19Aに出力でき、入力光信号のクロック信号の周波数に対応する周波数成分から同期信号を発生して出力できる。
また、BPF16Aは、帯域が位相同期回路10Aのループ帯域の2倍より広帯域である。このため、設定したループ帯域内の周波数領域における位相誤差信号(第2の位相誤差信号)の位相遅れを抑制できる。
また、光変調器13として、EAM13Aを用いることができる。特に、入力偏波に無依存のEAM13Aを用いるので、入力光信号の偏波の制限を無くすことができる。
また、光減衰器として、VOA12を用いる。このため、入力光信号の減衰量を適切に調整できる。
また、位相比較器17として、電気ミキサ17Aを用いることができる。
また、SSB変調器21として、位相シフタ211と、IQ変調器212と、の組合せを用いることができる。
また、TIA15の帯域は、局所発振器22Aが出力する基準信号(RF信号)の周波数16f0(=F)の0.6倍以上の帯域であり、局所発振器22Aが出力する基準信号(RF信号)の周波数の11.4倍以下の帯域である。このため、位相誤差信号(第2の位相誤差信号)の位相遅れを抑制し正常に入力光信号に同期できるとともに、位相誤差検出感度を高くでき、出力する同期信号のタイミングジッタを低減でき、製造コストを削減できる。
(第2の実施の形態)
図27を参照して、本発明に係る第2の実施の形態を説明する。図27に、本実施の形態の位相同期回路10Bの構成を示す。
本実施の形態の位相同期回路10Bは、第1の実施の形態の位相同期回路10Aと同様に、入力光信号に位相同期したRF信号を出力する。このため、位相同期回路10Bについて、位相同期回路10Aと異なる部分を主として説明する。
図27に示すように、位相同期回路10Bは、光カプラ11と、遅延線27と、サーキュレータ28,29と、EAM13Bと、バランスドレシーバ14と、TIA15と、BPF16Aと、電気ミキサ17Aと、ループフィルタ18と、VCO19Aと、分岐部20と、SSB変調器21と、局所発振器22Aと、プリスケーラ23Aと、周波数逓倍アンプ24と、パワーアンプ25と、バイアスT26と、を備える。
位相同期回路10Bの入力光信号は、160[Gbits/s]のOTDM信号であるものとする。遅延線27は、入力光信号を微分するための要素である。遅延線27の遅延量は、OTDM信号のタイムスロット(6.25ps)の1/6〜1/3である。EAM13Bは、EAM13Bと同様に、入力RF信号に応じて、2つの入力光信号を光変調して出力する。
光カプラ11により分岐された一方の光信号は、サーキュレータ28を介してEAM13Bに入力され光変調されてPD141に出力される。光カプラ11により分岐されたもう一方の光信号は、遅延線27により遅延される。遅延線27により遅延された光信号は、サーキュレータ29を介してEAM13Bに入力され光変調されてPD142に出力される。
位相同期回路10Aに比べて、位相同期回路10Bは、遅延線27の遅延による入力光信号の微分により、高周波成分160[GHz]の感度が高くなる。しかし、低周波成分を全て除去できなく、低周波成分も残り、平均光パワー揺らぎ等が発生する。このため、位相同期回路10Bは、位相同期回路10Aと同様に、BPF16A、局所発振器22A、プリスケーラ23A、SSB変調器21等により、低周波成分の影響を低減している。
以上、本実施の形態によれば、位相同期回路10Bにより、位相同期回路10Aと同様に、低品質の入力光信号(OTDM信号)に対して、入力光信号のクロック信号の周波数に対応する周波数成分のみに対応する同期信号を発生して出力でき、タイミングドリフト及びサイクルスリップを防ぐことができ、安定して同期信号を発生できる。これとともに、光・電気変換部140(バランスドレシーバ14、TIA15)の帯域を小さくできるので、光・電気信号変換効率を高くでき、入力光信号が有するクロック信号に対する位相誤差検出感度を高くでき、出力する同期信号のタイミングジッタを低減でき、製造コストを削減できる。
(第1の変形例)
図28を参照して、第1の実施の形態の第1の変形例を説明する。図28に、本変形例の位相同期回路10Cの構成を示す。
第1の実施の形態の位相同期回路10Aが入力光信号に位相同期した10[GHz]のRF信号を出力するものであったが、本変形例の位相同期回路10Cは、入力光信号に位相同期した40[GHz]のRF信号を出力する構成を有する。このため、位相同期回路10Cについて、位相同期回路10Aと異なる部分を主として説明する。
図28に示すように、位相同期回路10Cは、光カプラ11と、VOA12と、EAM13Aと、バランスドレシーバ14と、TIA15と、BPF16Cと、電気ミキサ17Aと、ループフィルタ18と、VCO19Cと、分岐部20と、SSB変調器21と、局所発振器22Cと、プリスケーラ23Cと、周波数逓倍アンプ24と、パワーアンプ25と、バイアスT26と、を備える。
BPF16Cは、入力RF信号の周波数F[Hz]成分を透過するBPFである。VCO19Cは、ループフィルタ18から入力される位相誤差信号に応じた周波数(位相誤差がない場合に周波数40[GHz]となる)RF信号を生成して分岐部20に出力する。分岐部20は、OTDM信号に同期した周波数40[GHz]のRF信号を分岐して外部とSSB変調器21とに出力する。局所発振器22Cは、周波数F[Hz]のRF信号を生成して電気ミキサ17A及びプリスケーラ23Cに出力する。プリスケーラ23Cは、局所発振器22Cから入力されたRF信号を1/4に分周してSSB変調器21に出力する。SSB変調器21は、分岐部20から入力された周波数40[GHz]のRF信号と、プリスケーラ23Cから入力された周波数F/4[Hz]のRF信号とに基づいて、周波数40[GHz]+ F/4[Hz]のRF信号を生成してパワーアンプ25に出力する。
以上、本変形例によれば、位相同期回路10において、VCO19Cから出力される出力信号の周波数が、入力光信号のクロック信号の周波数のM(M=4)分の1であり、局所発振器22から出力されるRF信号の周波数をFとした場合に、SSB変調器21の変調周波数は、F/Mである。このため、バランスドレシーバ14の出力に、入力光信号のクロック信号の周波数に対応する周波数F成分を含めることができる。さらに、周波数逓倍アンプを備えないため、装置構成を簡単にでき、製造コストを低減できる。
また、位相同期回路10Aと同様に、低品質の入力光信号(OTDM信号)に対して、入力光信号のクロック信号の周波数に対応する周波数成分のみに対応する同期信号を発生して出力でき、タイミングドリフト及びサイクルスリップを防ぐことができ、安定して同期信号を発生できる。これとともに、光・電気変換部140(バランスドレシーバ14、TIA15)の帯域を小さくできるので、光・電気信号変換効率を高くでき、入力光信号が有するクロック信号に対する位相誤差検出感度を高くでき、出力する同期信号のタイミングジッタを低減でき、製造コストを削減できる。
(第2の変形例)
図29を参照して、第1の実施の形態の第2の変形例を説明する。図29に、本変形例の位相同期回路10Dの構成を示す。
本変形例の位相同期回路10Dは、第1の変形例の位相同期回路10CでBPF16Cを除去した構成を有する。このため、位相同期回路10Dについて、位相同期回路10Cと異なる部分を主として説明する。
図29に示すように、位相同期回路10Dは、光カプラ11と、VOA12と、EAM13Aと、バランスドレシーバ14と、TIA15と、電気ミキサ17Aと、ループフィルタ18Dと、VCO19Cと、分岐部20と、SSB変調器21と、局所発振器22Cと、プリスケーラ23Cと、周波数逓倍アンプ24と、パワーアンプ25と、バイアスT26と、を備える。
ループフィルタ18Dは、電気ミキサ17Aから入力された位相誤差信号を整形してVCO19Cに出力する。位相同期回路10Dに、VCO19が無いため、TIA15から不要な周波数成分(周波数F[Hz]以外の成分)が電気ミキサ17Aに入力される。つまり、電気ミキサ17Aから出力される位相誤差信号は、BPFによる帯域制限が無い。よって、不要な信号成分がVCO19Cに到達するのを防ぐために、ループフィルタ18Dは、ループフィルタ18よりも次数が高いループフィルタにされる。例えば、ループフィルタ18Dの次数は、設定したループ帯域内の周波数領域において上記第2の位相誤差信号の位相遅れが60度以下となる範囲において、できる限り高次のものを用いる。
以上、本変形例によれば、位相同期回路10Dは、BPF16Aを備えず、ループフィルタ18Dの次数が高い。このため、ループフィルタ18が、不要な周波数成分を除去して、入力光信号のクロック信号の周波数に対応する周波数成分の第2の位相誤差信号をVCO19Cに出力でき、入力光信号のクロック信号の周波数に対応する周波数成分から同期信号を発生して出力できる。
また、位相同期回路10Aと同様に、低品質の入力光信号(OTDM信号)に対しても、入力光信号のクロック信号に対応する周波数成分のみに対応する同期信号を発生して出力でき、タイミングドリフト及びサイクルスリップを防ぐことができ、安定して同期信号を発生できる。これとともに、光・電気変換部140(バランスドレシーバ14、TIA15)の帯域を小さくできるので、光・電気信号変換効率を高くでき、入力光信号が有するクロック信号に対する位相誤差検出感度を高くでき、出力する同期信号のタイミングジッタを低減でき、製造コストを削減できる。
また、BPF16Aを備えない。このため、装置構成を簡単にでき、製造コストを低減できる。さらに、BPF16Aによる位相遅れを省けるために、ループ帯域の増大が可能となる。クロック信号成分の透過帯域は、電気BPFの通過帯域で制限される。この帯域が広いほど、ループ帯域を増大させ、位相雑音を低下させることが可能となる。この帯域の最大幅は、F/(M×N)[Hz]である(N=1を含む)。
(第3の変形例)
図30を参照して、第1の実施の形態の第3の変形例を説明する。図30に、本変形例の位相同期回路10Eの構成を示す。
本変形例の位相同期回路10Eは、第1の変形例の位相同期回路10Cに、位相シフタ30Eを追加した構成である。このため、位相同期回路10Eについて、位相同期回路10Cと異なる部分を主として説明する。
図30に示すように、位相同期回路10Eは、光カプラ11と、VOA12と、EAM13Aと、バランスドレシーバ14と、TIA15と、BPF16Cと、電気ミキサ17Aと、ループフィルタ18と、VCO19Cと、分岐部20と、SSB変調器21と、局所発振器22Cと、プリスケーラ23Cと、周波数逓倍アンプ24と、パワーアンプ25と、バイアスT26と、位相シフタ30Eと、を備える。
位相シフタ30Eは、局所発振器22Cから入力された周波数F[Hz]のRF信号を所定の位相量シフトして電気ミキサ17Aに出力する。例えば、外部機器において、位相同期回路の出力RF信号(クロック信号)の位相(タイミング)を入力光信号の同期位相(タイミング)から調整する必要がある場合を考える。この場合に、位相同期回路10Eを用いて、外部機器に要求される位相調整量を位相シフタ30Eによりシフトする。
以上、本変形例によれば、位相同期回路10Eは、局所発振器22Cから出力されたRF信号を所定量位相シフトして電気ミキサ17Aに出力する位相シフタ30Eを備える。このため、低品質の入力光信号(OTDM信号)に対しても、入力光信号のクロック信号の周波数に対応する周波数成分のみに対応し且つ所定量位相シフトした同期信号を発生して出力でき、タイミングドリフト及びサイクルスリップを防ぐことができ、安定して同期信号を発生できる。これとともに、光・電気変換部140(バランスドレシーバ14、TIA15)の帯域を小さくできるので、光・電気信号変換効率を高くでき、入力光信号が有するクロック信号に対する位相誤差検出感度を高くでき、出力する同期信号のタイミングジッタを低減でき、製造コストを削減できる。
(第4の変形例)
図31を参照して、第1の実施の形態の第4の変形例を説明する。図31に、本変形例の位相同期回路10Fの構成を示す。
本変形例の位相同期回路10Fは、第1の変形例の位相同期回路10Cに、位相シフタ30Fを追加した構成である。このため、位相同期回路10Eについて、位相同期回路10Cと異なる部分を主として説明する。
図31に示すように、位相同期回路10Eは、光カプラ11と、VOA12と、EAM13Aと、バランスドレシーバ14と、TIA15と、BPF16Cと、電気ミキサ17Aと、ループフィルタ18と、VCO19Cと、分岐部20と、SSB変調器21と、局所発振器22Cと、プリスケーラ23Cと、周波数逓倍アンプ24と、パワーアンプ25と、バイアスT26と、位相シフタ30Fと、を備える。
位相シフタ30Fは、局所発振器22Cから入力された周波数F[Hz]のRF信号を所定の位相量シフトしてSSB変調器21に出力する。位相同期回路10Eと同様に、位相同期回路10Eは、外部機器に要求される位相調整量を位相シフタ30Eによりシフトする。
以上、本変形例によれば、位相同期回路10Fは、局所発振器22Cから出力されたRF信号を所定量位相シフトしてプリスケーラ23Cに出力する位相シフタ30Fを備える。このため、低品質の入力光信号(OTDM信号)に対しても、入力光信号のクロック信号の周波数に対応する周波数成分のみに対応し且つ所定量位相シフトした同期信号を発生して出力でき、タイミングドリフト及びサイクルスリップを防ぐことができ、安定して同期信号を発生できる。これとともに、光・電気変換部140(バランスドレシーバ14、TIA15)の帯域を小さくするので、光・電気信号変換効率を高くでき、入力光信号が有するクロック信号に対する位相誤差検出感度を高くでき、出力する同期信号のタイミングジッタを低減でき、製造コストを削減できる。。
なお、上記各実施の形態及び各変形例における記述は、本発明に係る位相同期回路及び位相同期方法の一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記各実施の形態及び各変形例の構成のうち、少なくとも2つを組み合わせることとしてもよい。
また、上記各実施の形態及び各変形例において、光変調器13としてEAM13Aを用いる構成としたが、これに限定されるものではない。光変調器13として、LN位相変調器(LN−IM:Lithium Niobate Intensity Modulator、ニオブ酸リチウム位相変調器)を用いる構成としてもよい。EAMを用いる場合、入力偏波に対して無依存のEAMを採用すると、位相同期回路に対する入力光信号の偏波には制限がなくなる。一方で、LN位相変調器は、入力偏波無依存のものが無い。このため、入力光信号の偏波をLN位相変調器に合わせて入力する必要が生じる。
また、上記各実施の形態及び各変形例において、位相比較器17として電気ミキサ17Aを用いる構成としたが、これに限定されるものではない。位相比較部として、A/D(Analog to Digital)変換器、デジタル処理デバイス、D/A(Digital to Analog)変換器の組合せの回路や、XOR及びJ−FFの組合せの回路等を用いる構成としてもよい。このデジタル処理デバイスは、電気ミキサ17Aと同等の機能をデジタル処理で実現するデバイスである。
また、上記各実施の形態及び各変形例において、SSB変調器として、位相シフタ211及びIQ変調器212を有するSSB変調器21を用いる構成としたが、これに限定されるものではない。SSB変調器として、A/D変換器、デジタル処理デバイス、D/A変換器の組合せの回路等を用いる構成としてもよい。このデジタル処理デバイスは、SSB変調器21と同等の機能をデジタル処理で実現するデバイスである。
また、上記各実施の形態及び各変形例において、入力光信号のクロック信号の周波数は、160[GHz]に限定されるものではない。同期RF信号の周波数も、10、40[GHz]に限定されるものではない。
また、上記各実施の形態及び各変形例において、位相同期回路に入力される光信号は、高品質のOTDM信号であってもよく、OTDM信号以外の光信号であってもよい。
また、上記各実施の形態及び各変形例で説明した位相同期回路の各構成要素の細部構成、及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。