JP5532791B2 - 高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の構造部品に適した高強度熱延鋼板、特に、耐衝撃特性に優れた引張強度TSが780MPa以上の高強度熱延鋼板およびその製造方法に関する。
近年、環境問題に対する関心が高まるなか、自動車用鋼板には、軽量化による燃費向上を目的に一層の高強度-薄肉化が要求されている。現在では、自動車のピラーやメンバーなどの構造部品に主として440MPa級や590MPa級のTSを有する高強度熱延鋼板が使用されるようになっているが、近い将来、780MPa以上のTSを有する高強度熱延鋼板の実用化が予測されている。
そのため、780MPa以上のTSを有する高強度熱延鋼板を対象とした技術開発が活発に行われており、高強度化にともなって劣化する加工性の向上、なかでも伸びフランジ性の向上を図った種々の高強度熱延鋼板が提案されている。例えば、特許文献1には、質量%で、C:0.18%以下、Si:0.5〜2.5%、Mn:0.5〜2.5%、S:0.02%以下を含み、かつTi:0.5%以下およびNb:1.0%以下から選ばれるいずれか1種または2種を含有するとともに、上記CはNb、Tiとの関係において式:C≧0.03+Ti/4+Nb/7を満足するように調整され、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる組成を有し、かつその組織が、Tiおよび/もしくはNbの炭化物が析出した粒径25μm以下のフェライト相が面積率で70〜95%であり、残部がマルテンサイト相またはマルテンサイト相と残留オーステナイト相からなる伸びフランジ性に優れる高強度熱延鋼板が開示されている。特許文献2には、質量%で、C:0.01〜0.30%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.009%以下、N:0.010%以下、Al:0.002〜0.70%、Ti:0.03〜0.40%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、粒子径が2.0μm以上のTi系窒化物を1平方mm当り160個以下とし、組織がフェライト相を主体としたフェライト相とベイナイト相からなるプレス成形性(主として伸びフランジ性)と打抜き加工性に優れた高強度熱延鋼板が開示されている。特許文献3には、質量%で、C:0.06〜0.15%、Si:1.2%以下、Mn:0.5〜1.6%、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.03〜0.20%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するとともに、体積占有率50〜90%がフェライト相で、かつ残部が実質的にベイナイト相であって、フェライト相とベイナイト相の体積占有率の合計が95%以上であり、フェライト相中にはTiを含む析出物が析出し、該析出物の平均直径が20nm以下である組織を有し、かつ、鋼中のTi量の80%以上が析出している伸び特性、伸びフランジ特性および引張疲労特性に優れたTSが780MPa以上の高強度熱延鋼板が開示されている。特許文献4には、質量%で、C:0.01〜0.20%、Si:2.0%以下、Al:0.010〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.08%以下、S:0.010%以下、N:0.010%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成をし、組織がフェライト相を主体とするフェライト相とベイナイト相からなる組織であって、板厚tの1/8t〜3/8tの範囲でのMnミクロ偏析が、Mnを含有量、σをMnミクロ偏析測定における標準偏差としたとき、0.10≧σ/Mnを満たす範囲にある穴拡げ性(伸びフランジ性)に優れた高強度薄鋼板が開示されている。
一方、自動車の構造部品は衝突時に乗員を保護する役割を担っているため、それに用いられる高強度熱延鋼板には、上記のような伸びフランジ性に加えて、優れた耐衝撃特性も必要である。
特開平9-125194号公報 特開2003-342683号公報 特開2007-9322号公報 特開2007-70648号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載の高強度熱延鋼板では、いずれも優れた耐衝撃特性が得られないという問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、伸びフランジ性のみならず、耐衝撃特性にも優れた780MPa以上のTSを有する高強度熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、耐衝撃特性に優れた780MPa以上のTSを有する高強度熱延鋼板について検討を重ねた結果、以下のことを見出した。
i) フェライト相とベイナイト相を主体とし、フェライト相中には650〜1100ppmのTiを含む20nm未満のサイズの析出物を析出させ、ベイナイト相のΔHvを150以下にしたミクロ組織にすれば、780MPa以上のTSを確保して、優れた伸びフランジ性と耐衝撃特性を両立できる。ここで、ベイナイト相のΔHvとは、圧延方向に沿った板厚断面の板厚1/4の位置にて測定した、30箇所のベイナイト相のビッカース硬度の最大値と最小値の差を表す。
ii) こうしたミクロ組織にするには、熱間圧延時の仕上温度を940℃以上にすることが効果的である。
本発明は、このような知見に基づいてなされたもので、質量%で、C:0.06〜0.15%、Si:1.2%以下、Mn:0.5〜1.6%、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.05〜0.16%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、組織全体に占めるフェライト相とベイナイト相の合計の体積率が95%以上で、組織全体に占める前記フェライト相の体積率が50〜90%であり、前記フェライト相中には650〜1100ppmのTiを含む20nm未満のサイズの析出物が析出しており、かつ前記ベイナイト相のΔHvが150以下であるミクロ組織を有することを特徴とする高強度熱延鋼板高強度熱延鋼板を提供する。
本発明の高強度熱延鋼板では、さらに、質量%で、Cr:0.01〜1.0%、W:0.005〜1.0%、Zr:0.0005〜0.05%のうちから選ばれた少なくとも1種の元素を含有する成分組成とすることが好ましい。
本発明の高強度熱延鋼板は、上記の成分組成を有する鋼スラブを、1150〜1350℃の加熱温度で加熱し、940℃以上の仕上温度で熱間圧延後、15秒以内に550℃以下となるように冷却し、300〜550℃の巻取温度で巻取るに際し、熱間圧延後30℃/秒以上の平均冷却速度で650℃以上750℃未満の冷却停止温度まで一次強制冷却を行い、引き続き0.5秒以上空冷後、あるいはさらに二次強制冷却を行った後、巻取ることによって製造できる。
このとき、二次強制冷却における平均冷却速度を120℃/秒以上とすることが好ましい。
本発明により、伸びフランジ性のみならず、耐衝撃特性にも優れた780MPa以上のTSを有する高強度熱延鋼板が製造可能になった。本発明の高強度熱延鋼板を自動車のピラーやメンバーなどの構造部品に適用すれば、乗客の安全性を確保しながら薄肉化が可能となり、自動車の環境負荷が低減されることが期待される。
本実施例で用いたハット型コラム試験片を示す図である。
以下に、本発明の詳細について説明する。なお、各成分元素の含有量を表す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
1) 成分組成
C:0.06〜0.15%
Cは、フェライト相中にTiの炭化物を形成し、高強度化に寄与する元素である。780MPa以上のTSを得るためにはC量を0.06%以上とする必要がある。一方、C量が0.15%を超えると溶接性が低下する。したがって、C量は0.06〜0.15%、好ましくは0.07〜0.12%とする。
Si:1.2%以下
Si量が1.2%を超えると表面性状が著しく劣化し、耐食性が低下する。したがって、Si量は1.2%以下、好ましくは0.9%以下とする。
Mn:0.5〜1.6%
Mnは、オーステナイト相を安定化するため、ベイナイト相の生成に有効な元素である。ベイナイト相を生成させるにはMn量を0.5%以上とする必要があるが、1.6%を超えると中心偏析が顕著になり伸びフランジ性が低下する。したがって、Mn量は0.5〜1.6%、好ましくは0.7〜1.5%とする。
P:0.04%以下
P量が0.04%を超えると粒界に偏析し、伸びフランジ性の低下を招く。したがって、P量は0.04%以下とする。
S:0.005%以下
Sは、MnやTiと硫化物を形成し、伸びフランジ性を低下させる。したがって、S量は0.005%以下とするが、極力低減することが好ましい。
Al:0.05%以下
Alは、鋼の脱酸剤として添加され、その清浄度を向上させるのに有効な元素であり、0.001%以上含有されることが好ましい。しかし、Al量が0.05%を超えると介在物が多量に生成し、表面疵の原因になる。したがって、Al量は0.05%以下、好ましくは0.01〜0.04%とする。
Ti:0.05〜0.16%
Tiは、本発明における重要な元素であり、フェライト相中で主としてCと結合し微細な炭化物として析出し、その高強度化に寄与する。こうした効果を得るにはTi量を0.05%以上とする必要があるが、0.16%を超えるとその効果は飽和し、コストアップを招く。したがって、Ti量は0.05〜0.16%、好ましくは0.08〜0.15%とする。
残部はFeおよび不可避的不純物であるが、固溶強化や析出強化によってフェライト相の高強度化を図る目的で、さらに、Cr:0.01〜1.0%、W:0.005〜1.0%、Zr:0.0005〜0.05%のうちから選ばれた少なくとも1種を含有させることが好ましい。Cr量が0.01%未満、W量が0.005%未満、Zr量が0.0005%未満ではこうした効果が得られず、Cr量が1.0%超え、W量が1.0%超え、Zr量が0.05%超えると伸びフランジ性の低下を招く。
2) ミクロ組織
2-1) 組織全体に占めるフェライト相とベイナイト相の合計の体積率:95%以上、組織全体に占めるフェライト相の体積率:50〜90%、フェライト相中のTiを含む析出物:Ti量が650〜1100ppmで、サイズが20nm未満
780MPa以上のTSと優れた伸びフランジ性を両立させるには、フェライト相を主体とするフェライト相とベイナイト相からなるミクロ組織にすることが効果的である。これは、軟質で延性に富んだフェライト相中にマルテンサイト相ほどは硬質でないベイナイト相を混在させて高強度化を図るとともに、フェライト相と硬質相との硬度差を小さくして両相の界面における応力集中を極力緩和し、伸びフランジ性を向上させるためである。さらに、フェライト相中にサイズが20nm以下のTiを含む析出物を析出させ、フェライト相を高強度化してフェライト相と硬質なベイナイト相との硬度差をより一層小さくすることで、伸びフランジ性のさらなる向上を図ることができる。
上記知見に基づき、本発明では、優れた伸びフランジ性を得るために組織全体に占めるフェライト相とベイナイト相の合計の体積率を95%以上、組織全体に占めるフェライト相の体積率を50〜90%、フェライト相中のTiを含む析出物のサイズを20nm未満とする。
フェライト相とベイナイト相の合計の体積率が95%未満では極端に硬質なマルテンサイト相などの混入が増し、優れた伸びフランジ性が得られない。フェライト相とベイナイト相の合計の体積率は97%以上にすることが好ましい。また、フェライト相の体積率が50%未満では硬質なベイナイト相が増え、優れた伸びフランジ性が得られず、90%を超えると780MPa以上のTSが得られない。フェライト相の体積率は65〜88%にすることが好ましい。
本発明では、フェライト相を高強度化するために、フェライト相中のTiを含む析出物のサイズを20nm未満にするとともに、析出物の量も制御する。本発明者らは、析出物の量は析出物中のTi量に依存しており、このTi量が650ppm未満では析出物の量が少なく、高強度化を図ることが困難な場合があり、また、1100ppmを超えると析出物の量が多くなり過ぎ、伸びフランジ性の低下を招くことを見出した。そのため、フェライト相中には650〜1100ppmのTiを含む20nm未満のサイズの析出物が析出していることが必要である。
ここで、組織全体に占めるフェライト相やベイナイト相の体積率は、走査型電子顕微鏡(SEM)用試験片を採取し、圧延方向に平行な板厚断面を研磨後、ナイタール腐食し、倍率1000倍でSEM写真を10視野撮影し、フェライト相やベイナイト相を画像処理により抽出し、画像解析処理によりフェライト相やベイナイト相の面積を測定し、観察視野の面積に占める割合(百分率)として求めた。
また、析出物中のTi量は、試料を電解液中で所定量電解した後、試料片を電解液から取り出して分散性を有する溶液中に浸漬し、この溶液中に含まれる析出物を孔径20nmのフィルタを用いてろ過し、ろ過後のろ液を誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、ICP質量分析法、原子吸光分析法などのいずれかの方法により分析して求めた。
2-2) ベイナイト相のΔHv:150以下
本発明において、衝撃が加えられた際に局所的な変形が起こらないようにして耐衝撃特性の向上を図るには、硬質なベイナイト相の硬度のバラツキを極力低減させることが重要である。本発明者らの検討によれば、上記のように定義したベイナイト相のΔHvが150以下の場合に、衝撃時の崩壊荷重を高くでき、優れた耐衝撃特性が得られることが明らかになった。
3) 製造条件
スラブの加熱温度:1150〜1350℃
熱間圧延後フェライト相中に微細なTiを含む炭化物などの析出物を析出させるには、スラブ中に析出している粗大なTiを含む炭化物などを熱間圧延前に溶解させる必要がある。そのためには、スラブを1150℃以上に加熱する必要がある。一方、スラブを1350℃を超えて加熱すると熱間圧延後のフェライト粒が粗大化して強度低下を招きやすい。したがって、スラブの加熱温度は1150〜1350℃、好ましくは1170〜1260℃とする。
熱間圧延の仕上温度:940℃以上
熱間圧延の仕上温度は、本発明における重要なプロセス因子の一つである。
仕上温度が940℃を下回ると未再結晶オーステナイト相が増加し、その後の冷却過程で起こるベイナイト相への変態が不均一となり、ベイナイト相のΔHvが150を超え、耐衝撃特性が低下する。また、未再結晶オーステナイト相が増加すると歪誘起析出により比較的な大きなTiを含む炭火物などの析出物が析出しやすく、フェライト相の高強度化のために必要な微細なTiを含む析出物の量が少なくなりやすい。したがって、仕上温度は940℃以上、好ましくは950℃以上とする。
熱間圧延後の一次強制冷却条件:平均冷却速度30℃/秒以上、冷却停止温度650℃以上750℃未満
熱間圧延後の一次強制冷却の平均冷却速度が30℃/秒未満では高温域からフェライト変態が開始され、ベイナイト相の生成が困難となり、780MPa以上のTSが得られない。したがって、一次強制冷却の平均冷却速度は30℃/秒以上とする必要がある。なお、一次強制冷却の方法は、特に限定する必要はなく、例えば、公知のラミナー冷却による水冷を利用できる。また、平均冷却速度の上限も、特に限定しないが、次の冷却停止温度域で冷却を停止させるには、100℃/秒程度の冷却速度が好ましい。
一次強制冷却は650℃以上750℃未満の温度域で停止させて、引き続く空冷時にフェライト変態と微細なTiを含む炭火物などの析出を促進させる必要がある。しかし、冷却停止温度が600℃未満では微細なTiを含む析出物の量が少なくなり、また、750℃以上だとTiを含む析出物の粗大化を招き、フェライト相の高強度化が困難になり、伸びフランジ性の低下を招く。したがって、一次強制冷却の冷却停止温度は650℃以上750℃未満とする。
一次強制冷却後の空冷条件:0.5秒以上
一次強制冷却後は、上述したように、フェライト変態と微細なTiを含む炭化物などの析出を促進させるために空冷する必要がある。このとき、空冷が0.5秒未満ではフェライト相が十分には生成せず、その結果、ベイナイト相の生成量が過剰になって伸びフランジ性が低下する。したがって、一次強制冷却後の空冷は0.5秒以上、好ましくは0.75〜5秒とする。
熱間圧延後の冷却条件:15秒以内に550℃以下
上記のように、熱間圧延後は一次強制冷却と空冷を組み合わせて体積率で50〜90%のフェライト相の生成とフェライト相中へ650〜1100ppmのTiを含む20nm未満のサイズの析出物の析出を図るが、圧延後15秒以内に550℃以下まで冷却しないとパーライト変態が起こり、伸びフランジ性や耐衝撃特性の低下を招く。したがって、熱間圧延後は15秒以内に550℃以下に冷却してパーライト変態を抑制して、フェライト変態とベイナイト変態を起こさせる必要がある。このとき、巻取温度:300〜550℃を達成するため、空冷後の温度が550℃以下の場合はそのまま巻取ってもよいし、さらに二次強制冷却を行ってもよい。一方、空冷後の温度が550℃を超える場合はさらに二次強制冷却を行って巻取る必要がある。
なお、二次強制冷却を行う場合は、ベイナイト相のΔHvをより小さくするために平均冷却速度を120℃/秒以上とすることが好ましい。
巻取温度:300〜550℃
巻取温度が300℃未満ではベイナイト相より硬質なマルテンサイト相が生成し、また、550℃を超えるとパーライトが生成して、伸びフランジ性や耐衝撃特性の低下を招く。したがって、巻取温度は300〜550℃とする。
その他の製造条件には通常の条件を適用できる。例えば、所望の成分組成を有する鋼は転炉や電気炉などで溶製後、真空脱ガス炉にて2次精錬を行って製造される。その後の鋳造は、生産性や品質上の点から連続鋳造法で行うのが好ましい。鋳造後は、本発明の方法にしたがって熱間圧延を行う。熱間圧延後は、表面にスケールが付着した状態であっても、酸洗を行いスケールを除去した状態であっても、鋼板の特性が変わることはない。また、熱間圧延後、調質圧延を行ったり、溶融亜鉛系めっき、電気亜鉛系めっき、化成処理を施すことも可能である。ここで、亜鉛系めっきとは、亜鉛および亜鉛を主体とした(すなわち亜鉛を約90%以上含有する)めっきであり、亜鉛のほかにAl、Crなどの合金元素を含んだめっきや亜鉛系めっき後に合金化処理を行っためっきのことである。
表1に示す化学組成を有する鋼No.A〜Fのスラブを、1250℃に加熱し、表2に示す熱延条件で板厚2.0mmの熱延鋼板No.1〜15を作製した。そして、鋼板の幅方向中央の位置において、上記の方法により、フェライト相とベイナイト相の合計の体積率、フェライト相の体積率、Tiを含む20nm未満のサイズの析出物中のTi量、ベイナイト相のΔHvを測定した。なお、Tiを含む20nm未満のサイズの析出物中のTi量は、上記した分析法のうちICP発光分光分析法にて分析して求めた。ここで、ベイナイト相のΔHvは、鋼板の長手方向および幅方向の中央部より試験片を採取し、圧延方向に沿った板厚断面の板厚1/4の位置を走査型電子顕微鏡(SEM)により1000倍の倍率で観察し、30箇所についてベイナイト相のビッカース硬度(荷重3g)を測定し、ここで得た30個のビッカース硬度のうちの最大硬度と最小硬度の差を算出して求めた。また、鋼板の同位置からJIS 5号引張試験片(圧延方向に直角方向)を3本、および伸びフランジ性を評価するための130mm角の穴広げ試験用試験片を3個採取し、次のようにしてTS、全伸びElおよび穴広げ率λを、さらに、次のようにしてハット型コラム試験片を作製し、耐衝撃特性を評価するための崩壊荷重を測定した。
TS、Elの測定:3本の引張試験片に、JIS Z2241に準拠して歪み速度10mm/minで引張試験を行い、算術平均したTS、Elを測定した。
λ:鉄連規格JFST 1001に準拠して、3個の穴広げ試験用試験片の中央に10mmφの穴を打ち抜いた後、60°円錐ポンチをバリと反対側から押し上げ、亀裂が板厚を貫通した時点での穴径dmmを測定し、次式より算出し、算術平均したλを測定した。λが70%以上であれば、優れた伸びフランジ性を有するといえる。
λ(%)=[(d-10)/10]×100
崩壊荷重:図1に示したハット型コラム試験片(ハット角60mm、長さ200mm)の長手方向に高速変形装置によりポンチ速度5m/秒、ストローク100mmで圧壊し、ストローク−荷重曲線を求めた。このとき、ストローク80mmまでの荷重を積分することで求めた吸収エネルギーをストローク80mmで除することで崩壊荷重を評価した。各鋼板につき、3個の試験片を用いて試験を行い、各試験片で得られた崩壊荷重を平均して、各鋼板の耐衝撃特性を評価した。平均の崩壊荷重が70kN以上であれば、優れた耐衝撃特性を有するといえる。
結果を表3に示す。本発明例では、780MPa以上のTSが得られ、λが70%以上で伸びフランジ性に優れ、崩壊荷重が70kN以上で耐衝撃特性にも優れていることがわかる。
Figure 0005532791
Figure 0005532791
Figure 0005532791

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.06〜0.15%、Si:1.2%以下、Mn:0.5〜1.6%、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.08〜0.16%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、組織全体に占めるフェライト相とベイナイト相の合計の体積率が95%以上で、組織全体に占める前記フェライト相の体積率が50〜90%であり、前記フェライト相中には650〜1100ppmのTiを含む20nm未満のサイズの析出物が析出しており、かつ前記ベイナイト相のΔHvが150以下であるミクロ組織を有することを特徴とする引張強度TSが780MPa以上の高強度熱延鋼板;ここで、ベイナイト相のΔHvとは、圧延方向に沿った板厚断面の板厚1/4の位置にて測定した、30箇所のベイナイト相のビッカース硬度の最大値と最小値の差を表す。
  2. さらに、質量%で、Cr:0.01〜1.0%、W:0.005〜1.0%、Zr:0.0005〜0.05%のうちから選ばれた少なくとも1種の元素を含有する成分組成を有することを特徴とする請求項1に記載の高強度熱延鋼板。
  3. 請求項1または2に記載の成分組成を有する鋼スラブを、1150〜1350℃の加熱温度で加熱し、940℃以上の仕上温度で熱間圧延後、15秒以内に550℃以下となる条件で冷却し、300〜550℃の巻取温度で巻取るに際し、熱間圧延後30℃/秒以上の平均冷却速度で650℃以上750℃未満の冷却停止温度まで一次強制冷却を行い、引き続き0.5秒以上空冷後、あるいはさらに二次強制冷却を行った後、巻取ることを特徴とする、組織全体に占めるフェライト相とベイナイト相の合計の体積率が95%以上で、組織全体に占める前記フェライト相の体積率が50〜90%であり、前記フェライト相中には650〜1100ppmのTiを含む20nm未満のサイズの析出物が析出しており、かつ前記ベイナイト相のΔHvが150以下であるミクロ組織を有する引張強度TSが780MPa以上の高強度熱延鋼板の製造方法。
  4. 二次強制冷却の平均冷却速度を120℃/秒以上とすることを特徴とする請求項3に記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
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