JP5532791B2 - 高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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C:0.06〜0.15%
Cは、フェライト相中にTiの炭化物を形成し、高強度化に寄与する元素である。780MPa以上のTSを得るためにはC量を0.06%以上とする必要がある。一方、C量が0.15%を超えると溶接性が低下する。したがって、C量は0.06〜0.15%、好ましくは0.07〜0.12%とする。
Si量が1.2%を超えると表面性状が著しく劣化し、耐食性が低下する。したがって、Si量は1.2%以下、好ましくは0.9%以下とする。
Mnは、オーステナイト相を安定化するため、ベイナイト相の生成に有効な元素である。ベイナイト相を生成させるにはMn量を0.5%以上とする必要があるが、1.6%を超えると中心偏析が顕著になり伸びフランジ性が低下する。したがって、Mn量は0.5〜1.6%、好ましくは0.7〜1.5%とする。
P量が0.04%を超えると粒界に偏析し、伸びフランジ性の低下を招く。したがって、P量は0.04%以下とする。
Sは、MnやTiと硫化物を形成し、伸びフランジ性を低下させる。したがって、S量は0.005%以下とするが、極力低減することが好ましい。
Alは、鋼の脱酸剤として添加され、その清浄度を向上させるのに有効な元素であり、0.001%以上含有されることが好ましい。しかし、Al量が0.05%を超えると介在物が多量に生成し、表面疵の原因になる。したがって、Al量は0.05%以下、好ましくは0.01〜0.04%とする。
Tiは、本発明における重要な元素であり、フェライト相中で主としてCと結合し微細な炭化物として析出し、その高強度化に寄与する。こうした効果を得るにはTi量を0.05%以上とする必要があるが、0.16%を超えるとその効果は飽和し、コストアップを招く。したがって、Ti量は0.05〜0.16%、好ましくは0.08〜0.15%とする。
2-1) 組織全体に占めるフェライト相とベイナイト相の合計の体積率:95%以上、組織全体に占めるフェライト相の体積率:50〜90%、フェライト相中のTiを含む析出物:Ti量が650〜1100ppmで、サイズが20nm未満
780MPa以上のTSと優れた伸びフランジ性を両立させるには、フェライト相を主体とするフェライト相とベイナイト相からなるミクロ組織にすることが効果的である。これは、軟質で延性に富んだフェライト相中にマルテンサイト相ほどは硬質でないベイナイト相を混在させて高強度化を図るとともに、フェライト相と硬質相との硬度差を小さくして両相の界面における応力集中を極力緩和し、伸びフランジ性を向上させるためである。さらに、フェライト相中にサイズが20nm以下のTiを含む析出物を析出させ、フェライト相を高強度化してフェライト相と硬質なベイナイト相との硬度差をより一層小さくすることで、伸びフランジ性のさらなる向上を図ることができる。
本発明において、衝撃が加えられた際に局所的な変形が起こらないようにして耐衝撃特性の向上を図るには、硬質なベイナイト相の硬度のバラツキを極力低減させることが重要である。本発明者らの検討によれば、上記のように定義したベイナイト相のΔHvが150以下の場合に、衝撃時の崩壊荷重を高くでき、優れた耐衝撃特性が得られることが明らかになった。
スラブの加熱温度:1150〜1350℃
熱間圧延後フェライト相中に微細なTiを含む炭化物などの析出物を析出させるには、スラブ中に析出している粗大なTiを含む炭化物などを熱間圧延前に溶解させる必要がある。そのためには、スラブを1150℃以上に加熱する必要がある。一方、スラブを1350℃を超えて加熱すると熱間圧延後のフェライト粒が粗大化して強度低下を招きやすい。したがって、スラブの加熱温度は1150〜1350℃、好ましくは1170〜1260℃とする。
熱間圧延の仕上温度は、本発明における重要なプロセス因子の一つである。
熱間圧延後の一次強制冷却の平均冷却速度が30℃/秒未満では高温域からフェライト変態が開始され、ベイナイト相の生成が困難となり、780MPa以上のTSが得られない。したがって、一次強制冷却の平均冷却速度は30℃/秒以上とする必要がある。なお、一次強制冷却の方法は、特に限定する必要はなく、例えば、公知のラミナー冷却による水冷を利用できる。また、平均冷却速度の上限も、特に限定しないが、次の冷却停止温度域で冷却を停止させるには、100℃/秒程度の冷却速度が好ましい。
一次強制冷却後は、上述したように、フェライト変態と微細なTiを含む炭化物などの析出を促進させるために空冷する必要がある。このとき、空冷が0.5秒未満ではフェライト相が十分には生成せず、その結果、ベイナイト相の生成量が過剰になって伸びフランジ性が低下する。したがって、一次強制冷却後の空冷は0.5秒以上、好ましくは0.75〜5秒とする。
上記のように、熱間圧延後は一次強制冷却と空冷を組み合わせて体積率で50〜90%のフェライト相の生成とフェライト相中へ650〜1100ppmのTiを含む20nm未満のサイズの析出物の析出を図るが、圧延後15秒以内に550℃以下まで冷却しないとパーライト変態が起こり、伸びフランジ性や耐衝撃特性の低下を招く。したがって、熱間圧延後は15秒以内に550℃以下に冷却してパーライト変態を抑制して、フェライト変態とベイナイト変態を起こさせる必要がある。このとき、巻取温度:300〜550℃を達成するため、空冷後の温度が550℃以下の場合はそのまま巻取ってもよいし、さらに二次強制冷却を行ってもよい。一方、空冷後の温度が550℃を超える場合はさらに二次強制冷却を行って巻取る必要がある。
巻取温度が300℃未満ではベイナイト相より硬質なマルテンサイト相が生成し、また、550℃を超えるとパーライトが生成して、伸びフランジ性や耐衝撃特性の低下を招く。したがって、巻取温度は300〜550℃とする。
TS、Elの測定:3本の引張試験片に、JIS Z2241に準拠して歪み速度10mm/minで引張試験を行い、算術平均したTS、Elを測定した。
λ:鉄連規格JFST 1001に準拠して、3個の穴広げ試験用試験片の中央に10mmφの穴を打ち抜いた後、60°円錐ポンチをバリと反対側から押し上げ、亀裂が板厚を貫通した時点での穴径dmmを測定し、次式より算出し、算術平均したλを測定した。λが70%以上であれば、優れた伸びフランジ性を有するといえる。
λ(%)=[(d-10)/10]×100
崩壊荷重:図1に示したハット型コラム試験片(ハット角60mm、長さ200mm)の長手方向に高速変形装置によりポンチ速度5m/秒、ストローク100mmで圧壊し、ストローク−荷重曲線を求めた。このとき、ストローク80mmまでの荷重を積分することで求めた吸収エネルギーをストローク80mmで除することで崩壊荷重を評価した。各鋼板につき、3個の試験片を用いて試験を行い、各試験片で得られた崩壊荷重を平均して、各鋼板の耐衝撃特性を評価した。平均の崩壊荷重が70kN以上であれば、優れた耐衝撃特性を有するといえる。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.06〜0.15%、Si:1.2%以下、Mn:0.5〜1.6%、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.08〜0.16%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、組織全体に占めるフェライト相とベイナイト相の合計の体積率が95%以上で、組織全体に占める前記フェライト相の体積率が50〜90%であり、前記フェライト相中には650〜1100ppmのTiを含む20nm未満のサイズの析出物が析出しており、かつ前記ベイナイト相のΔHvが150以下であるミクロ組織を有することを特徴とする引張強度TSが780MPa以上の高強度熱延鋼板;ここで、ベイナイト相のΔHvとは、圧延方向に沿った板厚断面の板厚1/4の位置にて測定した、30箇所のベイナイト相のビッカース硬度の最大値と最小値の差を表す。
- さらに、質量%で、Cr:0.01〜1.0%、W:0.005〜1.0%、Zr:0.0005〜0.05%のうちから選ばれた少なくとも1種の元素を含有する成分組成を有することを特徴とする請求項1に記載の高強度熱延鋼板。
- 請求項1または2に記載の成分組成を有する鋼スラブを、1150〜1350℃の加熱温度で加熱し、940℃以上の仕上温度で熱間圧延後、15秒以内に550℃以下となる条件で冷却し、300〜550℃の巻取温度で巻取るに際し、熱間圧延後30℃/秒以上の平均冷却速度で650℃以上750℃未満の冷却停止温度まで一次強制冷却を行い、引き続き0.5秒以上空冷後、あるいはさらに二次強制冷却を行った後、巻取ることを特徴とする、組織全体に占めるフェライト相とベイナイト相の合計の体積率が95%以上で、組織全体に占める前記フェライト相の体積率が50〜90%であり、前記フェライト相中には650〜1100ppmのTiを含む20nm未満のサイズの析出物が析出しており、かつ前記ベイナイト相のΔHvが150以下であるミクロ組織を有する引張強度TSが780MPa以上の高強度熱延鋼板の製造方法。
- 二次強制冷却の平均冷却速度を120℃/秒以上とすることを特徴とする請求項3に記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
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