JP5526071B2 - 多孔質セラミックスフィルターおよび排ガス浄化装置 - Google Patents
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本実施形態の多孔質セラミックスフィルターは、複数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設され、上記貫通孔のいずれか一方の端部を封鎖する封孔部を有し、上記壁部には、流体を通過させる細孔が設けられ、上記貫通孔の一方から他方に向けて上記流体を流し、かつ上記細孔を通じて隣接する該貫通孔に該流体を流すように構成されている多孔質セラミックスフィルターであって、上記封孔部を形成する材料(以下、本明細書において、「封孔部の材料」と称することがある。)が、酸化カルシウム含有セラミックス系骨材と無機バインダーとの反応物を含んでいる。
本実施形態の多孔質セラミックスフィルターの形状について、図1〜3を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態における多孔質セラミックスフィルター10・20および多孔質セラミックス部材30は、例えば、排ガス中の粒子状物質を捕集するためのものである。ここで、粒子状物質とは、PM(Particulate Matter)とも称され、内燃機関の排ガスに含まれる粒子をいう。
本実施形態における多孔質セラミックスフィルター10・20および多孔質セラミックス部材30は、ハニカム構造を有するウォールフロータイプのフィルターであることが好ましい。
本実施形態において、流体とは、本実施形態における多孔質セラミックスフィルター10・20および多孔質セラミックス部材30を通過することによってろ過対象物を取り除かれる被処理媒体のことをいう。上記流体としては、例えば、排ガス等が挙げられる。
本実施形態における多孔質セラミックスフィルター10および多孔質セラミックス部材30において、封孔部13・33は、酸化カルシウム含有セラミックス系骨材と無機バインダーとの反応物を含んでいる。
本実施形態に用いられる封孔部13・33において、酸化カルシウム含有セラミックス系骨材は、少なくとも酸化カルシウムを含有している。酸化カルシウムを添加することによって、水和反応を起こして硬化するため、引け巣(熱収縮によって生じる隙間)が発生しにくい。
本実施形態に用いられる無機バインダーは、特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、シリカおよびアルミナ以外の酸化物、ガラス、ガラス繊維、並びにそれらに各種一種以上の金属を混ぜたもの等を含むものを挙げることができる。
本実施形態に用いられる封孔部13・33において、熱処理前(仕込の際)に、さらに水(例えば、イオン交換水等)を用いていることが好ましい。
本実施形態に用いられる封孔部13・33において、上記反応物は、上記酸化カルシウム含有セラミックス系骨材と上記無機バインダーとを熱処理することによって得られるものである。また、本実施形態に用いられる封孔部13・33において、上記反応物は、上記酸化カルシウム含有セラミックス系骨材と上記無機バインダーと水とを熱処理することによって得られるものであることが好ましい。上記熱処理の温度は、500〜1000℃であることが好ましく、650℃〜1000℃であることがより好ましい。
本実施形態に用いられる封孔部13・33の気孔率は、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、9%以下であることが特に好ましい。
本実施形態における多孔質セラミックスフィルターの製造方法は、上記酸化カルシウム含有セラミックス系骨材と上記無機バインダーとを、500℃以上、好ましくは650℃以上で熱処理することによって上記反応物を得る方法である。
本実施形態における多孔質セラミックスフィルターの製造装置は、封孔部の材料に、酸化カルシウム含有セラミックス系骨材と無機バインダーとの反応物を含ませること以外、従来公知の製造装置を用いることができる。
本実施形態における多孔質セラミックスフィルターは、種々の用途に用いられる。例えば、排ガス浄化フィルターに用いられる。
本実施形態における排ガス浄化装置は、排ガス浄化フィルター用の上記多孔質セラミックスフィルターを備えているものである。本実施形態における排ガス浄化装置において、上記多孔質セラミックスフィルター以外の構成は特に限定されず、従来公知の構成を用いることができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本実施例において、多孔質セラミックスは、材料として窒化ケイ素を用い、気孔率が62%であり、曲げ強度が5MPa以上である。
本実施例において、封孔部を設置する位置としては、多孔質セラミックスフィルターの上流側と下流側との両方に適用しているが、ススの再生燃焼時により高温となりやすい下流側のみ、また、エンジン排ガスによって高温となりやすい上流側のみ、とするなど、使用条件に合わせて適宜選択すればよい。
《気孔率》
実施例1〜17および比較例1〜5における気孔率は、JIS R 2205に従って測定した。
実施例1〜17および比較例1〜5における曲げ強度は、JIS R 1601 ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法(1981.1995)に従って測定した。なお、「硬化後」とは、硬化させたままの常温での強度を意味し、「熱処理後」とは、1000℃×2時間処理した後の常温で測定した強度を意味する。
実施例1〜17および比較例1〜5における耐酸性は、5%硫酸溶液に30日浸漬させ、浸漬前後の重さを測定し、減少量が10%未満のものを合格(○)とし、10%以上のものを不合格(×)とした。
11 貫通孔
12 壁部
13 封孔部
20 多孔質セラミックスフィルター
24 接合材層
25 セラミックブロック
26 外塗り材層
30 多孔質セラミックス部材
31 貫通孔
32 壁部
33 封孔部
Claims (14)
- 複数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設され、
前記貫通孔のいずれか一方の端部を封鎖する封孔部を有し、
前記壁部には、流体を通過させる細孔が設けられ、
前記貫通孔の一方から他方に向けて前記流体を流し、かつ前記細孔を通じて隣接する該貫通孔に該流体を流すように構成されている多孔質セラミックスフィルターであって、
前記封孔部を形成する材料が、酸化カルシウム含有セラミックス系骨材と無機バインダーとの反応物を含んでおり、
熱処理前の前記封孔部において、前記酸化カルシウムの比率が、2〜20質量%であり、
前記封孔部の気孔率が、15%以下であることを特徴とする多孔質セラミックスフィルター。 - 複数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設され、
前記貫通孔のいずれか一方の端部を封鎖する封孔部を有し、
前記壁部には、流体を通過させる細孔が設けられ、
前記貫通孔の一方から他方に向けて前記流体を流し、かつ前記細孔を通じて隣接する該貫通孔に該流体を流すように構成されている多孔質セラミックスフィルターであって、
前記封孔部を形成する材料が、酸化カルシウム含有セラミックス系骨材と無機バインダーとの反応物を含んでおり、
熱処理前の前記封孔部において、前記酸化カルシウムの比率が、2〜20質量%であり、
前記封孔部を形成する材料が、有機バインダーを含まないことを特徴とする多孔質セラミックスフィルター。 - 前記無機バインダーが、シリカを含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質セラミックスフィルター。
- 前記封孔部の前記長手方向の厚さが、15mm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の多孔質セラミックスフィルター。
- 前記酸化カルシウム含有セラミックス系骨材が、窒化ケイ素を含んでいることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の多孔質セラミックスフィルター。
- 前記反応物が、前記酸化カルシウム含有セラミックス系骨材と前記無機バインダーとを、500℃以上で熱処理することによって得られるものである
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔質セラミックスフィルター。 - 熱処理前の封孔部において、前記無機バインダーの比率が、3〜40質量%であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の多孔質セラミックスフィルター。
- 前記反応物が、前記酸化カルシウム含有セラミックス系骨材と前記無機バインダーと水とを、500℃以上で熱処理することによって得られるものであり、
前記水の比率が、0質量%よりも大きく、5質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項6または7に記載の多孔質セラミックスフィルター。 - 請求項1〜7の何れか1項に記載の多孔質セラミックスフィルターを製造する方法であって、
前記酸化カルシウム含有セラミックス系骨材と前記無機バインダーとを、500℃以上で熱処理することによって前記反応物を得ることを特徴とする多孔質セラミックスフィルターの製造方法。 - 熱処理前の前記無機バインダーが、コロイダルシリカを含んでいることを特徴とする請求項9に記載の多孔質セラミックスフィルターの製造方法。
- 熱処理前の前記無機バインダーの比率が、3〜40質量%であることを特徴とする請求項9または10に記載の多孔質セラミックスフィルターの製造方法。
- 前記酸化カルシウム含有セラミックス系骨材と前記無機バインダーと水とを、500℃以上で熱処理することによって前記反応物を得、
前記水の比率が、0質量%よりも大きく、5質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項9〜11の何れか1項に記載の多孔質セラミックスフィルターの製造方法。 - 排ガス浄化フィルターに用いられることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の多孔質セラミックスフィルター。
- 請求項13に記載の多孔質セラミックスフィルターを備えていることを特徴とする排ガス浄化装置。
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