JP5522606B2 - ダイヤモンド - Google Patents

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Description

本発明は、ダイヤモンド材料の製造方法に関する。特に、本発明は、大型単結晶ダイヤモンド及びその高温高圧(HPHT)法を用いた製造方法に関する。
温度勾配HPHT法によるダイヤモンドの合成は技術上周知である。
R. C. Burns et al, Diamond and Related Materials, 8 (1999), 1433-1437にはいくつかの例外的に大型の石が報告されているが、これらは製造が非常に複雑なため日常的には利用できず、ダイヤモンド合成の従来方法は、数カラット(約6mmの最大横寸法)までの単結晶ダイヤモンドを製造することができる。
合成宝石からホモエピタキシャル成長用基材に及ぶ範囲の製品では、各結晶の総体積の、完成製品で使用できる割合を最大にすることがダイヤモンド合成で重要な難題である。さらに、これらの製品の多くでは、特定のサイズ閾値を超える結晶にとって立方体又は八面体形状が達成されるのを有利にするサイズ要件がある。
さらに、いくつかの用途では、完成製品中のダイヤモンド材料が均一の光学特性を有することが重要である。ダイヤモンドの光学特性(例えば光吸収)はその窒素含量によって強く影響を受けることがあり、かつこの窒素含量は、成長した結晶中の成長セクターに感受性であることは周知である。例えば、{111}成長セクター中の単置換型窒素の溶解度は、{110}成長セクターにおけるより100倍高い係数より高いことがある。従って、いくつかの機械的用途を含むいくつかの用途では、1つ又は主に1つの成長セクターから成る材料によって、性能の改善がもたらされる。
成長温度を変えることによって、HPHT合成ダイヤモンド結晶の形態をある程度までは制御することができる。しかし、形態を制御するために温度だけを利用して極端に立方体又は極端に八面体の結晶を製造できる程度には限界がある。
再構成又は温度勾配法による大型ダイヤモンド結晶の成長では、温度勾配の下端で種晶の位置を維持することが重要である。この理由のため、種子(この種子からダイヤモンド結晶が成長する)は通常、セラミック担体内に保持される。担体の存在は、結晶が一般的に完全隅角の半分、例えば等軸種晶の周囲の略半球体積にしか成長しえないことを意味する。成長後、種晶は合成されたままの大型結晶の種子面上に露出した状態のままである。さらに、成長する結晶は典型的に「立方体」形状である。
「立方体」形状の結晶は典型的に3つの相互に垂直方向にほぼ同一の線形成長速度で種子から成長したので、末端結晶は種子面に垂直に見たときほぼ等軸であるファセット結晶である。結晶は典型的に{100}、{110}、{111}、{113}、{115}型の主要ファセットと、他のより小さいファセットで囲まれている。{100}又は{100}及び{110}ファセットが支配的な場合、その結晶は当技術分野では「立方体」であると表示され;{111}ファセットが支配的な場合、その結晶は当技術分野では「八面体」であると表示され;{100}、{110}及び{111}ファセットが全て存在し、どれも支配的でない場合は、その結晶は当技術分野では「立方・八面体」であると表示される。成長プロセス中にどのファセットが生じるかは、合成カプセルによる正確な条件の関数である。
アクリル製品、望遠鏡、樹脂型の機械加工及びさらに最近ではLCDパネルディスプレイ装置の機械加工を含めた種々の用途のためエッジ長が6mm以上の合成ダイヤモンドプレートが要望されている。さらに、貴金属を切断することから光学製品までの種々の用途でプロファイルカッターを使用する。市場に供給する際の主問題は利用可能性の制限と品質である。一般的に、単一の長エッジのみが必要であり、これらの製品の多くは大きいアスペクト比を有し、等軸プレート近傍から非効率的に切断されている。
適切な大きさの材料を製造するためには、ハードウェア制御の失敗と成長変化の高い危険を伴う長い合成サイクル時間が必要である。さらに、十分な成長スペースを与えるため、より小さい石の合成と比較して種子の数を大きく減らさなければならない。この併用効果は、産業上の合成能力のかなり集中的な使用をもたらし、市場の入手可能性を有意に低減させることになる。
大型ダイヤモンドの成長に伴う第2の問題は、形状、大きさの変化及び包含物取込みの両方で結晶品質を制御することであり、通常、石が大きいほど、1つ以上のこれらの品質の問題が生じる可能性が高くなる。
研究はこれらの問題を軽減することに焦点を当ててきた。究明された1つの解決法は、HPHT法で大型種子を使用することである。しかし、2つの問題に遭遇した。第1に、大型種子を使用すると、多核化が起こり、良い品質の単結晶の代わりに結晶のクラスターのみが得られる。第2に、HPHT法で使用する触媒中に金属原子が存在するため、生成される材料中に金属の包含物が観察される。大型種子を使用した場合、結晶が約2カラットより大きいサイズに成長すると(約4mmのエッジ長を生じさせる)、包含物の取込みが加速して、所望品質の単結晶ダイヤモンドを得ることを困難にすることが分かった。
US4,836,881では、発明者らがこれらの問題を取り扱おうとした。直径が3mmより大きい大型種晶からダイヤモンドを合成する方法が報告されている。直径への言及は、典型的に円形、円柱形又は球形の物体に関連している。しかし、このような形状はダイヤモンド種子にはありそうもないので、この用語は、種子が平面で、いくつかの側面ファセットで囲まれて、円に近いプリズムを形成する2つの主要面があるという事実を表すために使用されていると想定しなければらならない。例は、4つの{100}型平面と4つの{110}型平面で囲まれた2つの(001)主要表面のある種子であり、側面ほぼ同サイズであり、種子を[001]方向に沿って見ると、「等軸」である。この種子の横寸法のアスペクト比は約1であろう。
US4,836,881は、過剰な包含物形成を避けるため、プロセスの初期段階中に、種子の真上に溶解層を含めることによって(エッチング及びその後の種子表面からの損傷の除去につながる)、及び溶剤スラッグの形状と寸法をあつらえることで表面への炭素の流れを制御することによって、単結晶ダイヤモンドの成長を慎重に制御することが必要であると教示している。
従って、US4,836,881は、大型種子を使用すると遭遇する問題をいくらか解決できるが、提案された解決法は複雑かつ費用がかかる。
この点で、寸法が大きく、かつ高い包含物含量の問題に悩むことのない高品質の単結晶ダイヤモンド材料を製造できる簡単な方法が要望されている。
本発明は、以下の工程:
(a)2つの直交する寸法がa*とb*の成長表面を有する単結晶ダイヤモンド種子を選択する工程(ここで、a*は、前記成長表面の平面内の<100>又は<110>方向に沿って実質的に整列している、前記成長表面の最大寸法であり、b*は、前記成長表面の平面内にあるa*に直交する方向の、前記成長表面の最大寸法であり、a*/b*と定義される前記成長表面のアスペクト比は少なくとも1.5である)、
(b)前記種子を、基材の表面の上又は中に、前記種子の前記成長表面が露出され、かつ前記種子の前記成長表面が前記基材の前記表面に実質的に平行になるように載せる工程、及び
(c)少なくとも前記種子の前記成長表面上で単結晶ダイヤモンドが生成されるような条件下、高温高圧環境内で結晶を成長させる工程
を含む、単結晶ダイヤモンドの合成方法であって、
合成された単結晶ダイヤモンドの、<100>又は<110>方向に沿って整列している最大寸法a#が少なくとも6mmを超える、前記方法を提供する。
本発明者らは、驚くべきことに、単結晶ダイヤモンド種子の成長表面の表面積を最小にしながらエッジ長を最大にすることによって、特に金属包含物含量が低減した大型単結晶ダイヤモンドを製造できる簡単な方法を提供することによって、先行技術の問題を克服できることを見出した。
本発明の方法を利用したときに観察されるさらなる利点は、単結晶成長の所定期間に、先行技術で開示された方法を用いて得られる製品に比し、より大きい寸法の合成単結晶ダイヤモンドが得られることである。
有利には、アスペクト比a*/b*が少なくとも1.5の成長表面を有する種晶を使用することによって、高いアスペクト比を示す、合成されたままの形態を有する単結晶ダイヤモンド材料を得ることができる。合成されたままのダイヤモンド結晶のアスペクト比はA#/B#と定義され、A#とB#は、前記合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の種子面に実質的に平行である{100}又は{110}平面のどちらかに平行な、該ダイヤモンドの抽象的な表面S#を定義し、A#は、<100>又は<110>方向に沿って実質的に整列している、前記表面S#内の、前記合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の最大寸法であり、B#は、<100>又は<110>方向に沿って実質的に整列している、前記表面S#内でA#と直交する、前記合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の最大寸法であり、このとき最大寸法a#は、以前に可能な寸法より典型的に大きい。前記抽象的な表面S#は、現実の外側表面又は概念上の内側表面であってよく、後者の表面は、必要に応じてその後の加工処理によって現実の表面として調製されうる。
この点で、さらなる態様では、本発明は、合成されたままのアスペクト比A#/B#が少なくとも約1.5である単結晶ダイヤモンド材料であって、この合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の、<100>又は<110>方向に沿って実質的に整列しており、かつ表面S#に平行な最長寸法a#が少なくとも約6mmであり、好ましくは前記単結晶ダイヤモンドが、体積で少なくとも約50%の単一の成長セクターを含む、単結晶ダイヤモンド材料を提供する。
本明細書で使用する場合、用語「合成されたままのダイヤモンド結晶材料の種子面」は、成長中に種子と接触していた、合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の面を指す。
本発明のさらなる利点は、本発明が、合成されたままのアスペクト比が少なくとも約1.5である単結晶ダイヤモンド材料であって、表面S#が、前記単結晶ダイヤモンド材料の合成されたままの外側表面であり、かつA#がこの抽象的な表面S#上にあり、A#がa#であり、この最長寸法a#が少なくとも約6mmであり、かつ前記表面S#上のこの最長寸法の少なくとも約3mm、好ましくは約4mm、好ましくは約4.5mmが単一の成長セクター内にある、単結晶ダイヤモンド材料を提供することである。前記表面S#の最長寸法a#の少なくとも約50%、好ましくは約60%、好ましくは約70%、好ましくは約75%が単一の成長セクターを含む。
単結晶ダイヤモンド材料が高いアスペクト比を有するので、単結晶ダイヤモンドの形状と寸法はいくつかの異なる用途に既に適していることから、成長が達成した後に必要な加工量が最小限になる。従って、有意な量のダイヤモンド材料を浪費することとなりうる、時間のかかる切断工程が減少する。
さらに、驚くべきことに、アスペクト比が少なくとも1.5の種晶を使用すると、生成される単結晶ダイヤモンドの包含物含量が少ないことが分かった。このことは、単結晶ダイヤモンドが切断エッジを与え、かつ金属包含物の露出が、切断されている工作物の表面仕上げの低下をもたらしうる用途で単結晶ダイヤモンドを使用する予定の場合に特に有利である。
本発明の方法のさらなる利点は、本発明により、主に単一の成長セクター、特に単一の切断エッジに沿った単一の成長セクターを含む単結晶製品を得られることである。これは、{111}成長セクターの存在を減らし、ひいては生成される単結晶ダイヤモンド中に存在する拡張欠陥の数を減らしながら、欠陥の空間的均質性を改善するので有利である。
合成されたままの石の形態をその「結晶形態指標」又は「CMI」で表すことができる。これは、本技術分野で数年間使用されてきた尺度である。本質的に、CMIは、0〜8の段階でマッチング{111}平面によって作られる平面図で見られる各立方角の小部分のカットバック(cut back)である。完全な立方体(6個の{100}ファセットを含む)のCMIは0であり、完全な八面体(8個の{111}ファセットを含む)のCMIは8である。完全な立方・八面体(6個の{100}ファセットと8個の{111}ファセットを含む)のCMIは4である。{100}及び{111}型ファセットの混合物で囲まれている結晶のCMI値は0より大きく、8未満である。
誘導CMIは、本出願人の同時係属出願ZA2006/05663にも記載されている。
より大きい種子は狭い範囲の合成ダイヤモンドのCMIをもたらすことが出願人によって実験的に実証された。好ましくは、合成されたままのダイヤモンド結晶は約3未満のCMI、好ましくは約2未満のCMI、好ましくは約1未満のCMI、好ましくは約0.5未満のCMIを有する。
さらなる態様では、本発明は、アスペクト比が少なくとも約1.5の成長表面を有する単結晶ダイヤモンド種子を提供する。
本発明の方法の第1工程は、アスペクト比が少なくとも約1.5の成長表面を有する単結晶ダイヤモンド種子の選択である。
本明細書で使用する場合、用語「最長寸法」は、結晶学的配向のような、与えられたいずれの追加条件をも満たす最大又は最長寸法を意味する。
有利には、本発明の単結晶ダイヤモンド種子の成長表面の寸法b*が約2未満、好ましくは約1.5未満、好ましくは約1未満、さらに好ましくは約0.5未満である場合に金属包含物の含量が減少することが分かった。いずれの特定の理論によっても束縛されたくないが、このことは、複数の核化が起こる可能性を減らすことの結果としてであると考えられる。
種子は単結晶ダイヤモンド、好ましくは合成単結晶ダイヤモンドである。合成単結晶ダイヤモンド種子は、高温高圧(HPHT)ダイヤモンド又は化学蒸着(CVD)ダイヤモンドであってよいが、好ましくはHPHTダイヤモンドである。HPHTダイヤモンドを使用する場合、それはIb型又はIIa型又はIIb型合成ダイヤモンドであってよいが、好ましくはIb型合成ダイヤモンドである。
本明細書全体を通じて用語「成長表面」を用いて、本発明の方法で、その上で成長がもたらされ、ひいてはその上で新規材料が成長するであろう種子の表面を表す。典型的に、種子の成長表面は、上に種子が通常載せられる基材の表面にほぼ平行であり、かつHPHTプロセスで存在する溶剤触媒及び炭素成長種に提示される表面である。成長は、基材の表面上の全ての方向で種子の成長表面から離れて起こるであろうが、特定方向の成長速度は、該成長の成長セクター及び成長条件によって決まるであろう。有利には、成長表面は種子の主要面であるが、これは本発明の要件ではない。
種子の成長表面の特徴は制限されないが、好ましくは{100}面に近接した成長表面を有する単結晶ダイヤモンド種子が選択される。このことは、生成される単結晶ダイヤモンド材料が、成長したままの{100}面を有することが望ましい場合に好ましく、特に生成される単結晶ダイヤモンド材料が化学蒸着(CVD)成長用の基材として使用する予定の場合に有利である。この点で、好ましくは、単結晶ダイヤモンド種子は、<100>方向の約15°以内にその法線がある成長表面を有する。さらに好ましくは単結晶ダイヤモンド種子は、<100>方向の約10°以内にその法線がある成長表面を有する。さらに好ましくは単結晶ダイヤモンド種子は、<100>方向の約5°以内にその法線がある成長表面を有する。
この場合、好ましくは(001)成長表面のエッジが<100>又は<110>方向と近接している。(001)成長表面のエッジが<110>方向と近接している場合、有利なことに、生成される単結晶ダイヤモンド材料は、耐摩耗性の切断エッジが必要な用途に特に適している。この点で、好ましくは{100}成長表面のエッジは<100>又は<110>方向のどちらかの約15°以内にある。好ましくは{100}成長表面のエッジは<100>又は<110>方向のどちらかの約10°以内にある。好ましくは{100}成長表面のエッジは<100>又は<110>方向のどちらかの約5°以内にある。好ましくは、単結晶ダイヤモンド種子の側面ファセットは成長表面に垂直な方向の約15°以内にある。好ましくは、単結晶ダイヤモンド種子の側面ファセットは成長表面に垂直な方向の約10°以内にある。
或いは、選択される単結晶ダイヤモンド種子は、{110}面に近接した成長表面を有する。このことは、製造する予定の単結晶ダイヤモンドが、成長したままの{100}及び{110}面を有することが望ましい場合に好ましいだろう。この点で、好ましくは単結晶ダイヤモンド種子は、<110>方向の約15°以内にその法線がある成長表面を有する。さらに好ましくは単結晶ダイヤモンド種子は、<110>方向の約10°以内にその法線がある成長表面を有する。さらに好ましくは単結晶ダイヤモンド種子は、<110>方向の約5°以内にその法線がある成長表面を有する。成長表面のエッジは、<100>若しくは<110>方向又は<100>及び<110>方向の混合方向の15°以内にある。単結晶ダイヤモンド種子の側面ファセットは、成長表面と垂直をなす方向の約15°以内にある。
好ましくは種子の成長表面に対する法線は、<100>方向又は<110>方向の約15°以内にあり、さらに好ましくは<100>方向の約15°以内にある。
単結晶ダイヤモンド種子の成長表面の「アスペクト比」は本発明の重要な局面である。本明細書で使用する場合、用語「アスペクト比」は、種子の成長表面の平面内の<100>又は<110>方向に沿って実質的に整列している、種子の成長表面の最長又は最大の長さ又は寸法a*の、成長表面の平面内にある直交する方向又は垂直方向の、種子の成長表面の最長又は最大の長さ又は寸法b*に対する比a*/b*を意味する。本明細書で使用する場合、用語「実質的に整列している」は、その寸法が、言及している方向に平行な方向の約20°以内、好ましくは約10°以内、好ましくは5°以内にあることを必要とする。
高いアスペクト比の種子を選択することによって、種子の成長表面のエッジ長を最大にし、かつ種子の成長表面の表面積を最小にする。エッジ長を最大にすると、例えば、旋盤加工バイト(single point turning tool)として使うのに適した合成単結晶ダイヤモンドの望ましい物体をもたらす。表面積を最小にすると、先行技術で報告され、また上述したように、大型基材の使用に伴って一般的に遭遇する問題である多核化及び包含物の取込みの問題を実質的に低減し、或いは排除さえする。これは特に、詳細に上述したように単結晶ダイヤモンド種子の成長表面の寸法b*が特に小さい場合である。
種子の成長面の形状は限定されない。しかし、典型的かつ好ましくは、種子の成長面は、<100>又は<110>に沿って実質的に整列しているエッジのある矩形であり、この場合、b*は種子の成長面の最短寸法である。種子のコーナーを面取りして使用することができ、或いは種子の成長面を意味する他の特徴は完全な矩形でない。好ましくは、面取りされたコーナーがない。簡単のため矩形の種子についてさらに論じるが、これは本発明の普遍性を減じるものではない。
最長のエッジ長d及びアスペクト比rを有する矩形種子では、成長表面の表面積Aは下記式で与えられる。
A=d2/r
従って、表面積は、最長エッジ長が同じ正方形種子の表面積の1/r倍である。発明者らによって、多核化の可能性は表面積に関連することが実験的に分かり、かつ発明者らによる実験は、多核化の可能性が、増加した表面積の1より大きい乗数に比例することを示唆しているので、所望の長いエッジ長をもたらす能力を維持しながら、種子の成長の重大な早期段階で多核化及び金属溶剤の包含の可能性を減らすことによって、種子の表面積を最小限にして、合成石の品質を改善することができる。
さらなる態様では、本発明は、ダイヤモンドを合成するための高温高圧法において少なくとも約1.5のアスペクト比を有する単結晶ダイヤモンド種晶を使用することに関する。
単結晶ダイヤモンド種子の成長表面は、少なくとも1.5、好ましくは少なくとも2、好ましくは少なくとも2.5、好ましくは少なくとも3、好ましくは少なくとも4、好ましくは少なくとも5、好ましくは少なくとも10のアスペクト比a*/b*を有する。
単結晶ダイヤモンド種子の成長表面が大きい最長寸法a*を有することがさらに望ましく、a*は、<100>又は<110>方向に沿って実質的に整列している、成長表面の最長寸法である。好ましくは、単結晶ダイヤモンド種子の成長表面は少なくとも約3mm、好ましくは少なくとも約3.5mm、好ましくは少なくとも約4mm、好ましくは少なくとも約5mm、好ましくは少なくとも約6mm、好ましくは少なくとも約8mm、好ましくは少なくとも約10mmの寸法a*を有する。
種子のアスペクト比が大きすぎると、特に合成温度及び圧力へのランプ中に種子にかかる非流体応力が、種子を曲げるか又は割るか、或いは曲げかつ割ることとなりうる。種子の深さ(すなわち、合成中に成長表面であるつもりの表面に垂直な方向の該種子の寸法)を増やすことによって、この作用を部分的軽減することができる。たとえそうであっても成長表面のアスペクト比には実際の上限がある。成長表面のアスペクト比は好ましくは約30未満、好ましくは約20未満である。
種子から該種子上で成長した材料に欠陥が伝播する傾向があるので、選択される種子は最小数の欠陥を含むことが好ましい。さらに詳細には、光学顕微鏡を用いて総倍率10倍で見たとき、種子の成長表面になるであろう表面の、包含物による表面欠陥の平均数が、約300/mm2未満、好ましくは約100/mm2未満、好ましくは約80/mm2未満、好ましくは約60/mm2未満、好ましくは約30/mm2未満、好ましくは約10/mm2未満、好ましくは約5/mm2未満、好ましくは約2/mm2未満、好ましくは約1/mm2未満、好ましくは0/mm2であることが好ましい。
有利には、単結晶ダイヤモンド種子は、合成が始まると成長表面になるであろう種子の表面の面積の少なくとも約30%、さらに好ましくは少なくとも約50%、さらに好ましくは少なくとも約75%、さらに好ましくは少なくとも約80%、さらに好ましくは少なくとも約85%、さらに好ましくは少なくとも約90%、さらに好ましくは少なくとも約95%が単一の成長セクターであるように選択される。好ましくは単一の成長セクターは{100}成長セクターである。このことは、種子上で成長した単結晶ダイヤモンドが、拡張欠陥(これらは典型的に種子の高い歪みの領域、特に種子の成長セクター境界に隣接した領域から伝播するので)をあまり含まないであろうことを意味するので有利である。
有利には、選択される単結晶ダイヤモンド種子は低レベルの歪みを有する。このことは、多核化が起こる可能性を低減し、ひいては種子上の成長によって生成される単結晶ダイヤモンド材料中の金属包含物の含量を減らすので有利である。ダイヤモンドの歪みは、偏光顕微鏡又は同様の技術を用いて(例えば、結晶の光遅延を大きい面積にわたって測定可能な「Metripol」のような機器を用いて)、最も簡単に評価される。完全に歪みのないダイヤモンドは立方体なので、一対の交差極線間で透過して見たときそれは黒色である。不均一な歪みを加えると、結晶の立方対称が失われてサンプルは複屈折性になる。複屈折のレベルを定量することができる。記録される複屈折性のレベルも、該材料中に存在する金属包含物の数に関連する。金属包含物の含量が多いほど、記録される複屈折性が高い。従って、低い複屈折性レベルは、低い包含物含量の指標となる。
好ましくは種子の複屈折性は、種子の成長表面の面積の少なくとも約50%、さらに好ましくは種子の成長表面の面積の少なくとも約60%、さらに好ましくは種子の成長表面の面積の少なくとも約70%、さらに好ましくは種子の成長表面の面積の少なくとも約80%にわたって、約5×10-3未満、さらに好ましくは約1×10-3未満、さらに好ましくは約5×10-4未満、さらに好ましくは約1×10-4未満である(見る方向は、種子の成長表面に対して直角である)。
本発明の方法の工程(a)で選択される単結晶ダイヤモンド種子をその成長したままの状態で使用してよい。或いは、本発明の方法で使う前に種子を加工工程に供してもよい。このような工程を含めると、種子の表面とエッジの品質を改善することができる。例えば、1以上の工程を含めて、エッジチッピングを減らしうる。
好ましくは、本方法の工程(a)で選択される単結晶ダイヤモンド種子のエッジは、低いエッジチッピングを有する。さらに詳細には、光学顕微鏡を用いて総倍率10倍で見たとき、種子の成長表面のエッジは、目に見えるエッジのチップ又は欠陥の平均数が約30/mm未満、好ましくは約10/mm未満、好ましくは約5/mm未満、好ましくは約3/mm未満、好ましくは約2/mm未満、好ましくは約1/mm未満、好ましくはゼロ/mmである。
好ましくは本発明の方法の工程(a)で選択される単結晶ダイヤモンド種子は、光学顕微鏡を用いて総倍率10倍で見たときにクラックがない。
好ましくは本発明の方法の工程(a)で選択される単結晶ダイヤモンド種子は、双晶でない。
種子を本発明の方法で使う前に加工すべき場合、加工工程は1以上の以下の工程を含んでよい:スケイフ研磨工程及び他の機械加工工程、例えばラップ仕上げ、プラズマ加工、反応性イオンエッチング、高温高圧アニーリング(2500℃までの温度で)、高真空条件下で(すなわち約10-4mbar未満の圧力で)の高温アニーリング、保護的な非酸化雰囲気(例えばアルゴン又はアルゴン中1%の水素)下での高温アニーリング。
好ましくは本発明の単結晶ダイヤモンド種子の表面粗さRaは、約100nm未満、好ましくは約80nm未満、好ましくは約60nm未満、好ましくは約50nm未満、好ましくは約30nm未満、好ましくは約20nm未満、好ましくは約10nm未満である。必要な場合、種子を磨くことによって該表面粗さを達成することができる。
一実施形態では、本発明は、2つの直交する寸法がa*及びb*の成長表面を有する単結晶ダイヤモンド種子であって、a*は、前記成長表面の平面内の<100>又は<110>方向に沿って実質的に整列している、前記成長表面の最大寸法であり、b*は、前記成長表面の平面内にあるa*に直交する方向の、前記成長表面の最大寸法であり、a*/b*と定義される前記成長表面のアスペクト比は少なくとも1.5、好ましくは少なくとも約2、好ましくは少なくとも約2.5、好ましくは少なくとも約3、好ましくは少なくとも約4、好ましくは少なくとも約5、好ましくは少なくとも約10であり、合成が始まると成長表面になるであろう前記種子の表面の面積の少なくとも約30%、さらに好ましくは少なくとも約50%、さらに好ましくは少なくとも約75%、さらに好ましくは少なくとも約80%、さらに好ましくは少なくとも約85%、さらに好ましくは少なくとも約90%、さらに好ましくは少なくとも約95%が単一の成長セクターであり、かつ本発明の単結晶ダイヤモンド種子の前記成長表面の寸法b*は約2mm未満、好ましくは約1.5mm未満、好ましくは約1mm未満、さらに好ましくは約0.5mm未満である、単結晶ダイヤモンド種子を提供する。
種子を選択した後に、本発明の方法は、該種子を洗浄する追加工程を含んでよい。この工程を含める場合、この工程では、例えば、約150℃を超える温度で濃硫酸と硝酸カリウムの混合物のような熱酸化酸混合物を使用してよい。
本発明の方法は、工程(a)の後で、工程(c)の前に、前記種子を、基材の表面の上又は中に、前記種子の前記成長表面が露出され、かつ前記種子の前記成長表面が前記基材の表面に実質的に平行になるように載せる第2工程(b)を含む。
単結晶ダイヤモンド材料の高温高圧(HPHT)合成では、基材は一般的に種子パッドであり、種子の成長表面を形成するであろう面が、およそ該種子パッドの表面の平面内になるようなやり方で前記種子パッドの中に種子を圧入する。本発明者らは、高い結晶性品質のHPHT成長ダイヤモンド材料を製造するためには、引き続く成長において、拡張欠陥(例えば転位及び積層欠陥)が当該成長表面に直交して伝播しないような結晶学的配向を有する成長表面を有する種子を使うことが有利であることを見出した。この条件が満たされると、種子表面で核化するか又は種子内から縫うように進むいずれの拡張欠陥も、引き続き成長する材料の中心部から離れて伝播するであろう。このため該中心部の拡張欠陥は相対的に無い状態のままである。従って、好ましくは種子の成長表面は{100}又は{110}平面の約15°以内、さらに好ましくは{100}平面の約15°以内に位置づけられる。
この工程では、種子を上に載せる基材は、HPHT合成の分野で基材を製造するために常用されるいずれの材料製でもよい。例えば、基材はケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム又は酸化マグネシウム等のセラミック材料製でよい。さらに好適な材料として塩が挙げられる。
本発明の方法の有効性を改善するため、基材上に複数の単結晶ダイヤモンド種子を載せ、ひいてはいくつかの単結晶ダイヤモンドの同時成長を可能にすることが好ましいことがある。
複数の種子を基材上に載せる場合、基材上に種子を位置づけうる多くの方法がある。種子を規則的な配列で整えると再現性が高いことから好ましい。種子の可能な配置の例を図1a〜1fに示す。種子を線状列に配置させることができ(列は他の列に対して互い違いであっても互い違いでなくてもよい)、或いは放射状に又は放射状と線状列の組合せの配置で整列させることができる。好ましい配置は、図1bに示すように互い違いの列の配置を使用することである。
同列の2つの隣接した種子間の距離が、隣接した列の種子間の間隔の約25%以内になるように、種子の間隔をあけることが好ましい。間隔の絶対値は、種子の大きさと石の最終の大きさによって決定される。当然のことながら、成長した後の石が相互に衝突すべきでない。成長する石が接近しすぎないことも重要である。接近しすぎると、石の側面への炭素の流れが影響を受け、望ましくない程度まで形状が不規則になってしまうことがあるからである。
最初の種子の寸法がa*×b*であり、隣接種子と距離dだけ離れており、最終の石の寸法をA×Bとし(AとBを測定する方向がそれぞれa*とb*と同じ方向の場合)、かつ良い成長を保証するためにAとBが少なくともDに等しい距離だけ離れていなければならない場合、以下のとおりである。
d≧D−(A−a*)かつd≧D−(B−b*
本発明の方法の工程(c)は、単結晶ダイヤモンドが生成されるような条件下、高温高圧(HPHT)環境で結晶を成長させる工程を含む。
一般的にHPHT法では、種子を上に載せる基材は、炭素源、好ましくは高純度黒鉛又はダイヤモンド及び溶剤触媒金属合金を用いて合成カプセルに組み立てられる。炭素源としてダイヤモンドを使用する場合、ダイヤモンドは一般的に微細に粉砕されたダイヤモンドである。炭素源としてダイヤモンドを使用するといくつかの利点を伴う。第1に、黒鉛を炭素源として使用する場合、HPHTプロセス中に体積が有意に変化する。対照的に、炭素源としてダイヤモンドを使用することでこれが回避され、HPHTプロセス中に正味の体積変化がない。第2に、炭素源としてダイヤモンドを使用する場合、合成される単結晶ダイヤモンド材料の不純物が減少する。
当業者は、種子パッド、炭素源及び溶剤触媒の正確な配置は、使用する予定の個々の高温高圧装置に特異的であることが分かるであろう。
溶剤触媒は、当技術分野で既知のいずれの溶剤触媒でもよいが、好ましくはマンガン、コバルト、鉄及びニッケルを含む。コバルト、ニッケル及び鉄の2種以上を主に含む合金を使用してもよい。さらに好ましくは、溶剤触媒は鉄−ニッケル合金である。好ましくは溶剤触媒成分は、特に金属包含物の排除という意味で、十分な透明度のダイヤモンド結晶の成長を保証するように、当業者に既知の方法で調製、精製及び予備合金化される。
工程(c)のHPHTプロセスは、好ましくは最長寸法が少なくとも約6mmの種晶の成長表面に実質的に平行な平面内に面がある単結晶ダイヤモンドが生成されるような条件下で行われる。HPHT法は温度駆動型でよく、又は再構成を利用してもよい(当技術分野では「再構成法」としても知られる)。有利には、HPHTプロセスは約5〜約6GPaの圧力及び約1260℃〜約1600℃、さらに好ましくは約1280℃〜約1330℃の温度で、該プロセス中の圧力と温度の安定化に適したシステムを利用して行われる。成長の時間は、所望の結晶サイズによって決まる数十時間〜数百時間まで延長してよいが、典型的には約50〜約200時間の範囲内である。
当業者には当然のことながら、正確な操作条件は合成すべきダイヤモンドの型によって決まる。例えば、上記条件はIb型ダイヤモンドの合成には適するが、IIa及びIIb型ダイヤモンドの合成のプロセスウィンドウは、ウィンドウの位置とウィンドウの大きさの両面からおそらく異なるだろう。
本発明の方法の工程(c)の結晶成長の完了後、合成された単結晶ダイヤモンドは、通常、基材から簡単に取り除かれる。或いは、本発明の方法は、工程(c)の後に、必要に応じて、単結晶ダイヤモンドを基材から分離する任意の工程を含んでよい。
本発明の方法は、工程(c)の後に、残存溶剤触媒を除去する任意の工程を含んでもよい。例えば、熱王水に溶解するか又は当技術分野で既知の他のいずれの技術によってもこの工程を達成することができる。
本発明はさらに、合成したままのアスペクト比A#/B#が少なくとも約1.5の合成単結晶ダイヤモンド材料であって、最長寸法が少なくとも約6mmである単結晶ダイヤモンド材料を提供する。好ましくは単結晶ダイヤモンドは、体積で少なくとも約50%の単一の成長セクターを含む。
好ましくは合成された単結晶は、該種子の成長表面に実質的に平行な主要面を有し、この主要面の平面内の<100>又は<110>方向に沿って実質的に整列している最長寸法が少なくとも約6mmを超える。
さらなる態様では、本発明は、主要面及び少なくとも約1.5の合成されたままのアスペクト比A#/B#を有し、主要面のエッジの最長寸法が少なくとも約6mmであり、かつ最長エッジが少なくとも約3mmの単一の成長セクターを含む、合成単結晶ダイヤモンド材料を提供する。好ましくは最長エッジは少なくとも約3mmの単一の成長セクターを含み、好ましくは少なくとも約3.6mmの単一の成長セクターを含み、好ましくは少なくとも約4.2mmの単一の成長セクターを含み、好ましくは少なくとも約4.5mmの単一の成長セクターを含む。好ましくは最長エッジは、少なくとも約50%の単一の成長セクターを含み、好ましくは少なくとも約60%の単一の成長セクターを含み、好ましくは少なくとも約70%の単一の成長セクターを含み、好ましくは少なくとも約75%の単一の成長セクターを含む。好ましくは主要面は、種子の成長面に実質的に平行である。
本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料をHPHT法で製造した。HPHT法による合成の結果として、本発明の単結晶ダイヤモンド材料は典型的にフーリエ変換赤外線分光法(FTIR分光法)又は二次イオン質量分光法(SIMS)のどちらかで測定される少なくとも約5ppm、好ましくは少なくとも約10ppm、好ましくは少なくとも約20ppm、好ましくは少なくとも約50ppm、好ましくは少なくとも約100ppm、好ましくは少なくとも約250ppm、好ましくは少なくとも約500ppmの窒素を含む。これは、本発明の単結晶ダイヤモンド材料が黄色であることを意味する。
HPHT法で製造された合成ダイヤモンドは、光ルミネッセンス(PL)分光法で同定できるユニークな特徴を有する。これらの特徴は、溶剤触媒金属から個々の金属原子をダイヤモンドの格子中に取り込むことに関連する。本発明の材料では、このようなユニークな特徴が観察される。
例えば文献では、325nmの励起下で、Coと関連すると考えられるPL特徴が523.8、544.5、561.7、580.7nmで観察されると報告されている。632.8nmで励起の場合、657.7、669.2、720.8、722.8、793.2、807.6、863.9、868.8、882.6、884.7、887.4及び992.3nmでのさらなるピークもCoと関連すると考えられる。
ニッケル含有溶剤触媒を用いて合成されたダイヤモンドの632.8nmでの励起は 657.7、722.8、793.2、807.6、868.8、882.6及び884.7nmでニッケル関連の特徴を示す。532nmの励起下では、728、707、751nmでさらなるニッケル関連の特徴が観察される。881nmには侵入型サイトのNi+によると考えられる特徴がある。HPHT合成ダイヤモンドのFTIRスペクトルは、1332cm-1にN+による吸収の特徴を有することがあり(イオン化された単置換型窒素);これは、N+とNi-をもたらす、NiとNとの間の電荷移動によって生じると考えられる。この二者間の関係があるので、1332cm-1の吸収係数を用いてNi-の濃度を決定することができる。ある先行技術では、特定の石では局所的なNi濃度が100ppmより高いと報告されている。
有利なことに、本発明の単結晶ダイヤモンド材料は驚くべく低い包含物含量を有する。HPHTプロセスは、金属原子を含む触媒の使用を常に必要とし、かつさらに種子を中に載せる基材が金属成分を含む場合が多い。結果として、単結晶ダイヤモンドの成長中に、溶剤触媒の小片が成長中のダイヤモンドに含まれて「包含物」を生成することをほとんど避けられない。
HPHT合成されたダイヤモンド材料中に存在しうる包含物にはいくつかの異なるタイプがある。第1のタイプは種子と合成された単結晶との間の界面の近傍に存在する。第2及び第3のタイプの包含物は、それぞれ「曇状」及び「棒状」包含物である。これらは一般的に合成ダイヤモンド内の深いところで見られ、{111}成長セクター内或いは成長セクター間の境界に沿ってか又は近傍で見られる(例えば{100}及び{110}成長セクター間の境界に沿って)。
本発明は、第1タイプの包含物の含量を減らすことに特に関連し、成長する石の{111}成長セクターの量と成長セクター境界の量を減らすことによって、雲状及び棒状包含物も減少すると考えられる。
包含物の存在は、単結晶ダイヤモンドを切断用途で使用する予定の場合に特に問題である。これは、ダイヤモンドを該用途で使用すると、表面がすり減って、ダイヤモンドの切断表面の近傍にあるいずれの金属包含物をもさらけだす可能性があるからである。切断表面で包含物がさらけだされると、切断されている表面が損傷されそうである。従って、存在する包含物の数を最小限にし、ひいては切断操作中に包含物がさらけだされる可能性を減らすことが有利である。
多くの手段で包含物含量を評価することができる。例えば、触媒金属は典型的に遷移金属なので、少なくともある程度は磁性であることから、包含物の数の尺度としてダイヤモンドの磁気係数を測定する方法を使用できるであろう。しかし、好ましい方法は光学的方法である。石の上側主要表面に「化粧磨き」をかけて、その内部が見えるようにする。実体顕微鏡(例えばZeiss DV4)下、透過光で10倍の倍率で石を見る。この倍率では、ダイヤモンド内の約30μmより大きいサイズの包含物が多くの場合黒点として見える。顕微鏡の接眼レンズの1つ内のグラティキュール上の約1mm×1mmのグリッドを用いて、約1×1mmの面積内の全ての包含物を数える。包含物を数える約1×1mmの面積の数は少なくとも5であり、石の上側表面の面積の少なくとも約20%の面積をカバーする。この数を石の厚さ(mm)で除して少なくとも5つの包含物数の算術平均を計算して、厚さ1mm当たりの上側表面1mm2当たり、すなわち1mm3当たりの平均包含物含量を得る。
上記方法で測定した平均包含物含量は約1000/mm3未満、好ましくは約500/mm3未満、好ましくは約200/mm3未満、好ましくは約100/mm3未満、好ましくは約50/mm3未満、
好ましくは約20/mm3未満、好ましくは約10/mm3未満、好ましくは約5/mm3未満、好ましくは約2/mm3未満である。
代替法は単結晶ダイヤモンド材料の複屈折を調べることである。局所的な格子の歪みが存在することが多いので、包含物の含量によって複屈折が影響を受けるからである。この点で、高い複屈折レベルは高い包含物含量の指標である。複屈折の測定のさらなる詳細については後述する。
有利には、本発明の単結晶ダイヤモンド材料の外形は主に立方体である。すなわち成長したままの石の表面積の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約60%が{100}型平面を構成する。該表面の残りは、{110}型、{111}型、{113}型及び{115}型平面の混合平面を構成する。{100}型平面でない領域の、{110}でも{111}でもない割合は、該表面積の約20%未満、好ましくは約15%未満、好ましくは約10%未満であることが好ましい。外形が主に立方体の単結晶ダイヤモンドを製造することによって、問題の用途で使用できる形態にダイヤモンド材料を加工するために必要な工程数を最小限にする。
本発明の単結晶ダイヤモンド材料の合成されたままのアスペクト比は少なくとも約1.5、好ましくは少なくとも約2、好ましくは少なくとも約2.5、好ましくは少なくとも約3、好ましくは少なくとも約4、好ましくは少なくとも約5、好ましくは少なくとも約10である。「合成されたままのアスペクト比」という用語を用いてアスペクト比A#/B#を表す。ここで、A#及びB#は、合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の種子面に実質的に平行である{100}又は{110}平面のどちらかに実質的に平行な、単結晶ダイヤモンド材料の抽象的な平面S#を定義し、A#は、<100>又は<110>方向に沿って実質的に整列している、表面S#内の合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の最長寸法であり、かつB#は、<100>又は<110>方向に沿って実質的に整列している、表面S#内のA#と直交する合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の最長寸法である。抽象的な平面S#は現実の外側表面又は概念上の内側表面でよい。
本明細書で使用する場合、用語「実質的に平行」は、その方向又は平面が、言及している方向又は平面に平行な方向又は平面の約20°以内、好ましくは約10°以内、好ましくは約5°以内であることを要する。
本明細書で使用する場合、用語「実質的に垂直」は、その方向又は平面が、言及している方向又は平面に垂直な方向又は平面の約20°以内、好ましくは約10°以内、好ましくは約5°以内であることを要する。
技術用語「合成されたまま」は、単結晶ダイヤモンド材料が、この成長したままのアスペクト比を有し、かつ言及したアスペクト比を得るためにさらに何ら加工工程を要しないことを要する。
本発明の合成された単結晶ダイヤモンド材料は、<100>又は<110>方向に沿って実質的に整列しており、かつ表面S#に実質的に平行な最長寸法a#が、少なくとも約6mm、好ましくは少なくとも約7mm、好ましくは少なくとも約8mm、好ましくは少なくとも約9mm、好ましくは少なくとも約10mm、好ましくは少なくとも約11mm、好ましくは少なくとも約12mmである。好ましくはこの最長寸法が抽象的な表面S#上にあり、A#がa#であり、かつB#がa#と直交する、ダイヤモンド材料の最長寸法である。好ましくはこの最長寸法は主要面に平行の状態にあり、さらに好ましくは主要面内にある。本明細書で使用する場合、用語「主要面」は、最大表面積を有する、その材料の面を意味する。該材料の主要面は、通常、最長寸法を含み、かつ上でダイヤモンドが合成された種子の成長表面に実質的に平行な平面内にあるだろう。
切断用途では、このような寸法を有する単結晶ダイヤモンドが特に望ましい。
本発明の単結晶ダイヤモンド材料は、1つの支配的な成長セクターを含むことでさらに特徴づけられる。有利には、合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の最長寸法が抽象的な表面S#上にあり、表面S#が、種子面に実質的に平行である、単結晶ダイヤモンド材料の合成されたままの外側表面と少なくとも一点で接し、好ましくは最長寸法a#が少なくとも約3mm、好ましくは少なくとも約4mm、好ましくは少なくとも約5mm、好ましくは少なくとも約6mm、好ましくは少なくとも約8mmの単一の成長セクターを含む。有利には、合成されたままのダイヤモンドの最長寸法の長さの少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約80%が単一の成長セクターを含む。
いくつかの状況では、重要な寸法は単一の成長セクター内の最長寸法である(この寸法が合成されたままのダイヤモンドの最長寸法に沿った状態でなくても)。有利には、全体的に単一の成長セクター内にある<100>又は<110>方向に沿って整列している最長寸法は少なくとも約5mm、好ましくは少なくとも約6mm、好ましくは少なくとも約8mm、好ましくは少なくとも約10mm、好ましくは少なくとも約12mmを超える。
単結晶ダイヤモンド材料の成長で用いる種晶が{100}成長表面を有する場合、支配的成長セクターは{100}成長セクターであり、或いは種晶が{110}成長表面を有する場合、支配的成長セクターは{110}成長セクターであることが好ましい。
例えば、DiamondViewTM機器などの紫外線ルミネッセンス顕微鏡を用いて、好ましい成長セクターの割合を決定することができる。本質的に同一の環境にさらされたとき、異なる成長セクターは窒素関連欠陥を異なる割合で取り込み、結果として、窒素関連欠陥のためルミネッセンスの強度が成長セクター間で異なる。従ってルミネッセンス画像で異なる成長セクターを同定することができる。成長表面に対する法線にほぼ(すなわち、約20°以内)沿って見ることによって得られたルミネッセンス画像から、この画像内の成長セクターの面積を画像内の石の総面積と比較することによって、支配的成長セクターの割合を決定する。
本発明の合成されたままの単結晶ダイヤモンドは、体積で少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%、好ましくは少なくとも約98%の単一の成長セクターを含む。
本発明の合成されたままの単結晶ダイヤモンドから調製された製品は、体積で好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%、好ましくは少なくとも約98%の単一の成長セクターを含む。
有利には、本発明の単結晶ダイヤモンド材料は、特に支配的な成長セクターが{100}成長セクターである場合、好ましくは低い拡張欠陥密度を有する。HPHT合成では、転位及び積層欠陥、すなわち拡張欠陥は{100}成長セクターよりもむしろ{110}及び{111}成長セクターでそれぞれ成長する傾向がある。拡張欠陥(積層欠陥及び転位)の計数及び特徴づけ方法は、出願人の同時係属出願PCT/IB2006/003531に開示されている。
さらに詳細には、例えば、Marconi GX20回転対陰極式X線発生器からのMo Kα1放射線(波長0.070926nmの)を用いるIlford L4原子核乳剤上で、0.25mmのスリット幅を用いるような、個々の拡張欠陥のバーガーベクトルを決定できるか又は個々の拡張欠陥を識別できる条件下で行うX線トポグラフィーで拡張欠陥密度を特徴づけすることができる。この測定は、適切な反射のトポグラフを用いて行われる。この測定を行うために適しうる反射の例として{533}及び{111}が挙げられる。
ダイヤモンドサンプルの拡張欠陥含量のさらに詳細な調査のため、X線映写トポグラフィーを実施することができる。これは、サンプルの総体積全体を通じた転位含量に関するさらに完全な情報を与える。この情報は、転位及びそれらの線方向の空間分布を含む。異なるX線反射を用いて作成されたトポグラフ中の個々の転位によって引き起こされたコントラストの比較によって、それらのバーガーベクトルについての転位を特徴づけることもできる。サンプル内の転位のバーガーベクトル分析のため、4つの異なる各<111>反射についてX線映写トポグラフを記録した。ダイヤモンド内の転位は、一般的に<110>方向に沿ってバーガーベクトルを有する。6つの異なる<110>方向は、線(この線に沿って2つの異なる種類の{111}平面が交差する)によって与えられる。良い近似では、転位のバーガーベクトルがX線を回折している原子平面に平行な状態にある場合、所定のトポグラフ内には転位が目に見えない。これは、異なる<111>反射を用いてそれぞれ作成された1セットの4つのトポグラフでは、所定の転位は2つのトポグラフには存在するだろうが、他の2つのトポグラフには存在しないことを意味し、転位が存在しない2つのトポグラフではバーガーベクトルが回折平面の交差線によって与えられる。
ダイヤモンド結晶中の積層欠陥は{111}平面内にあり、結晶の{111}原子平面のねじれを生じさせる。従って、4つの各{111}反射についてX線映写トポグラフを記録することによって、その結果が結晶中の全ての積層欠陥由来のコントラストを示すであろうことを確信することができる。
{111}回折を用いると、この研究で以下のさらなる利点がある。それは強い反射であり、4つの異なる{111}反射を用いて記録される、平行側面を有する(001)プレートサンプルを4つ同等に見ることができる。Mo Kα1放射線では、個々の縫うようにして通る転位をその線方向に近い方向で観察できる接近平面図が得られる。
典型的に、{111}映写X線トポグラフィーを用いて測定した転位密度は約500/mm2未満である。典型的に、好ましい{100}成長セクターは、{111}映写X線トポグラフィー映写を用いて決定した積層欠陥の線分の長さが約104mm/mm3未満{111}である。
開格子の性質及び双晶表面と非双晶表面との間の相対的なエネルギー差によって、{111}成長セクターは、高い点欠陥密度、またより高い拡張欠陥密度の特徴がある。従って、有意な{111}成長セクターは好ましくなく、{100}成長セクターは{110}成長セクターより好ましい。
本明細書で使用する場合、ダイヤモンド中の「点欠陥」は水素若しくは炭素以外の原子又は原子群、或いは格子サイト又は非格子サイト上の単離された空格子点である。種を成長環境へ意図的に添加することに起因する点欠陥は「ドーパント」又は「ドーパント原子」と呼ばれることもある。種を成長環境に意図的でなく添加することに起因する点欠陥は「不純物」又は「不純物原子」と呼ばれることもある。原子が格子サイト上にある場合の点欠陥は、「置換型欠陥」又は「置換型原子」又は「置換型不純物」と呼ばれることもある。原子が非格子サイト上にある場合の点欠陥は「侵入型欠陥」又は「侵入型原子」又は「侵入型不純物」と呼ばれることもある。
用語「拡張欠陥密度」を用いて、積層欠陥及び/又は転位を指す。積層欠陥が表面と交差しない場合、その境界は単転位ループによって定義される。積層欠陥が表面と交差する場合、この転位ループは中断される。
これらの拡張欠陥が格子にねじれをもたらすという性質によって、複屈折を用いてこれらの拡張欠陥を画像化できる場合もある。
応力のないダイヤモンドのような等方性媒体では、屈折率は入射光の偏光の方向と無関係である。ダイヤモンドサンプルに不均一に応力が加えられる場合、応力中での成長若しくは局所的欠陥のため又は外部から加えられた圧力のため、屈折率は異方性である(すなわち該材料は光学的に異方性になりうる)。偏光の方向に伴う屈折率の変化は、一般形態が楕円体である光学屈折率楕円体と呼ばれる表面で表現されうる。いずれの2本の楕円体軸間の差異も3本目の軸に沿って向けられた光にとって線形の複屈折である。これは、応力無負荷材料の屈折率、該材料の応力及び光弾性係数に関与する関数として表される。
いくつかの方法で材料の複屈折を測定することができる。例えば、偏光子及び補正光学要素を光路内に挿入する、偏光測定LP-S-LA(直線偏光子-試験片-線形分析器)の従来技術を用いて複屈折を測定できるが、該技術の分解能は比較的低い。
かなり高い分解能のさらに精巧な技術、RLP-S-CA(回転直線偏光子-試験片-円形分析器)が開発された。この技術では、偏光面が回転している、線形に偏光した光(好ましくは単色光)による透過でサンプルを照射する。異方性サンプルに通した後、偏光子と四分の一波長板から成る円形分析器で光を分析する。CCDカメラを用いてサンプルを画像化し、そのデジタル出力をさらに加工処理に供することができる。RLP-S-CAは、市販システム「Metripol」(Oxford Cryosystems)として供給されており、GB2310925で開示されている。RLP-S-CA、「Metripol」は、所定波長における屈折率が、観察方向に垂直な平面内の偏光方向にどのように依存するかについての情報を与える。RLP-S-CAの説明及び特に「Metripol」がどのように働くかは、A. M. Glazerら(Proc. R. Soc. Lond. A (1996) 452, 2751-2765)に提供されている。
「Metripol」で使用されるRLP-S-CA法は、屈折率が最大である、「遅軸」の方向、すなわち観察方向に垂直な平面内の偏光方向を決定する。この方法は、|sinδ|をも測定する。ここで、δは下記式によって与えられる位相のずれである。
δ=(2π/λ)ΔnL
式中、λは光の波長であり、Lは試験片の厚さであり、Δnは遅軸と速軸に平行な偏光した光の屈折率の差、すなわち複屈折性である。ΔnLは「光学的遅れ」として知られる。ΔnLは、ある材料の特定サンプルの特性である(それは該サンプルの厚さによって決まるので)。Δnは該材料の特性である(それは該サンプルの厚さに無関係なので)。従って、|sinδ|データから、サンプルのΔnL、ひいては該材料のΔnを演繹的に推論することができる。
例えば、一次の遅れについては、L=0.6mm及びλ=589.6mmでは、
sinδ=1かつΔnL=λ/4の場合、Δn=2.45×10-4と推論することができる。
sinδ=0.5かつΔnL=λ/12の場合、Δn=0.819×10-4と推論することができる。
本発明の単結晶ダイヤモンド材料は、無限小厚さのフィルムというよりむしろバルク材料であり、サンプル上の所定点から得たΔnの値は、実際には、該サンプルを通る関連光路に沿ったΔnの全ての瞬間値の平均である。この区別を強調するため、ΔnをΔn[平均]と表すことができる。Δn[平均]は光路に垂直な領域の平均値でないことははっきりさせておくべきであろう。
「Metripol」で使用されるRLP-S-CA法は、あるサンプルについて、|sinδ|の空間変化、ひいてはΔnLを示すマップを作成することができる。サンプルの厚さが分かれば、いずれの点のΔnをも演繹的に推論することができる。|sinδ|マップは、約10μm×10μmより大きく、約100μm×100μm未満のピクセルサイズを有する。
サンプル上の一対の平行な表面を磨いてからその厚さを測定することによって複屈折測定用サンプルを調製する。磨かれる表面は、好ましくは合成されたままのダイヤモンドの{100}表面に平行である。測定すべきサンプルをRLP-S-CA複屈折測定システム内に置き、少なくとも約1mm2、好ましくは少なくとも約4mm2、さらに好ましくは少なくとも約12mm2の面積について分析する。これは複数視野の分析を要することがある。「Metripol」で使用されるRLP-S-CA法によって作成された|sinδ|マップから、分析面積の全体についての|sinδ|の最大値を記録する。
機器の分解能及びノイズが下限を|sinδ|の値、ひいては例えば「Metripol」で測定できる最小の光学的遅れΔnLに固定する。これが同様に、測定可能な複屈折についての下限を固定するが、このパラメーターについての限界は試験片の厚さにも依存する。実例のため、|sinδ|についての下限が0.03ならば、波長550nmの光では、これが、サンプルの厚さが500μmでΔn=5.25×10-6の測定可能な複屈折についての下限に相当し;或いはサンプルの厚さが3500μmでΔn=7.5×10-7の測定可能な複屈折についての下限に相当する。従って、所定のΔnの材料の薄いサンプルは、現在考えられる解像限界未満の|sinδ|値を有しうるが、より厚いサンプルが測定可能であろう。
従って、本発明の材料は、
約1mm×1mmより大きい面積にわたって、さらに好ましくは約2mm×1mmより大きい面積にわたって、さらに好ましくは約3mm×1mmより大きい面積にわたって、なおさらに好ましくは約5mm×2mmより大きい面積にわたって、最も好ましくは約8mm×2mmより大きい面積にわたって、Δn<1×10-4
好ましくは、約1mm×1mmより大きい面積にわたって、さらに好ましくは約2mm×1mmより大きい面積にわたって、さらに好ましくは約3mm×1mmより大きい面積にわたって、なおさらに好ましくは約5mm×2mmより大きい面積にわたって、最も好ましくは約8mm×2mmより大きい面積にわたって、Δn<5×10-5である
ような最大複屈折性、Δnを有する。
或いは、本発明の材料は、
合成されたままのダイヤモンドの成長主要{100}表面の面積の約50%より大きい、好ましくは約60%より大きい、好ましくは約70%より大きい、好ましくは約75%より大きい面積にわたって、Δn<1×10-4
好ましくは、合成されたままのダイヤモンドの成長主要{100}表面の面積の約50%より大きい、好ましくは約60%より大きい、好ましくは約70%より大きい、好ましくは約75%より大きい面積にわたって、Δn<5×10-5である
ような最大複屈折性、Δnを有する。
上述したように、本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料の利点は、合成されたままの大きさと形状を有することであり、さらなる加工を必要とせずに多くの用途で直接使用するのに適していることを意味する。或いは、それを使用するつもりの用途で必要な場合、本発明の単結晶ダイヤモンド材料を板状に切断又は鋸引きすることができる。
本発明の単結晶ダイヤモンド材料は、他の2つの寸法より長い単一の寸法を有するので、切断すべき場合には、一般的にこの最長寸法に平行な方向で切断する。ダイヤモンドを切断すべき場合、技術上周知の方法を使用しうる。例えば、従来のダイヤモンドソーヤーブレード(微細なダイヤモンド粒子を焼結したリン青銅)の使用により、及び典型的に1.06μmの波長で操作するNd:YAGレーザーを利用するレーザー鋸引きシステムを利用して切断する。典型的に、成長したままの石を鋸引きして種子面を除去するであろう(すなわち種子の成長表面に平行かつ近接して鋸引きする)。
一実施形態では、本発明は、いずれの表面S#についても、合成されたままのアスペクト比が少なくとも約1.5、好ましくは少なくとも約2、好ましくは少なくとも約2.5、好ましくは少なくとも約3、好ましくは少なくとも約4、好ましくは少なくとも約5、好ましくは少なくとも約10である合成単結晶ダイヤモンド材料を提供する。ここで、前記合成されたままのダイヤモンド結晶のアスペクト比はA#/B#と定義され、A#とB#が、前記合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の種子面に実質的に平行である{100}又は{110}平面のどちらかと実質的に平行な、該単結晶ダイヤモンド材料の抽象的な表面S#を定義し、A#は、<100>又は<110>方向に沿って実質的に整列している、前記表面S#内の前記合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の最大寸法であり、B#は、<100>又は<110>方向に沿って実質的に整列している、前記表面S#内でA#と直交する、前記合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の最大寸法であり、このとき前記抽象的な表面S#は、現実の外側表面又は概念上の内側表面であってよく;
<100>又は<110>方向に沿って実質的に整列しており、かつ前記表面S#に実質的に平行な、前記合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の最大寸法a#は、少なくとも約6mm、好ましくは少なくとも約7mm、好ましくは少なくとも約8mm、好ましくは少なくとも約9mm、好ましくは少なくとも約10mm、好ましくは少なくとも約11mm、好ましくは少なくとも約12mmであり;
前記最長寸法a#は、少なくとも約3mm、好ましくは少なくとも約4mm、好ましくは少なくとも約5mm、好ましくは少なくとも約6mm、好ましくは少なくとも約8mmの単一の成長セクターを含み;かつ前記合成単結晶ダイヤモンドは、少なくとも5ppmの濃度で単置換型窒素を含む。
或いは、本発明は、単結晶ダイヤモンド製品の製造方法をさらに提供する。この方法では、本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料を最長寸法に平行な方向で切断して、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%の、合成されたままの合成単結晶ダイヤモンド材料を含む単結晶ダイヤモンド製品を製造する。
さらなる態様では、本発明は、本明細書の定義どおりの合成単結晶ダイヤモンド材料から切断された合成単結晶ダイヤモンド製品を提供する。
1に近いアスペクト比の種子を用いて調製された同様の大きさの先行技術の材料と比較して、本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料中の包含物の密度が低くかつサイズが小さいことは、鋸引き中に遭遇する問題がほとんどないことを意味する。レーザー鋸引き中、ビームが金属の包含物に遭遇すると、石に亀裂が入り、或いはさらに悪いことに、粉々になってしまうことがある。通常の機械による鋸引き中では、その結果はそれほどひどくない傾向があるが、包含物に遭遇すると、ブレードの損傷、切断線のずれをもたらし、石を損傷する可能性もある。従って、本発明の材料を切断工具として使うのに適したピースにすることができる。
最終工程として、本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料が切断又は鋸引きされている場合、この鋸引きされたプレートを、選択した種子の成長表面から成長した好ましいセクターを含め、明確な成長セクターの存在について、DiamondViewTM機器などの紫外線蛍光顕微鏡を用いて調査することができる。
本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料は、液晶ディスプレイスクリーンの機械加工、精密な金属部品(宝石類、「美術品(objects d'art)」など)、鏡やビーム分割器などの光学部品の機械加工のような、必要な製作品の表面仕上げを達成するために単一の長い切断エッジが必要な機械加工用途で使うのに特に適する。
この点に関して、さらなる態様では、本発明は、本明細書の定義どおりの合成単結晶ダイヤモンド材料を含む切断工具を提供する。
有利には、化学蒸着法によるホモエピタキシャルダイヤモンドの合成用基材として本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料を使用することもできる。
本発明を以下の図面及び実施例を参照して以下に述べるが、以下の図面及び実施例は、いかなる場合にも、特許請求の範囲に記載した保護の範囲を制限するものではない。
1a〜1fは、基材上に載せられた種子の異なる配置を示す。 観察された典型的ファセットを示す種子の概略図である。 観察された典型的ファセットを示す種子上で合成された結晶の概略図である。 観察された典型的ファセットを示す種子上で合成された結晶の短側面を通る断面の概略図である。 観察された典型的ファセットを示す種子上で合成された結晶の長側面を通る断面の概略図である。 (001)成長表面のある小型種子上で成長した合成ダイヤモンド結晶の縦断面で観察された成長セクターの説明図である。 (001)成長表面を有する本発明の種子上で成長した合成ダイヤモンド結晶の縦断面で観察された成長セクターの説明図である。 同一のプロセス条件及び実行時間下の小型種子及び大型種子からの正規化成長速度を示すグラフである。 本発明の合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の写真である。 本発明の合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の写真である。 本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料から加工された単結晶ダイヤモンドプレートの透過型光学顕微鏡写真である。 UV画像化システム(例えばDiamondViewTM)を用いて得られた、本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料の光ルミネッセンス画像である。 クロス-ポーラーを用いて得られた、本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料の光学顕微鏡写真である。 本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料のプレートのX線映写トポグラフである。 本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料の535μm厚さのプレートの複屈折のグレースケールマップである。 本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料の535μm厚さのプレートの複屈折のグレースケールマップである。
上述したように、図1a〜1fは基材(3)上の種子(2)の異なる配置を示す。これらの全ての実施例において、基材(「種子パッド」)は、2つの平らな表面の一方の上に種子が配置される略円柱形である。これらの実施例では、種子を切りばめ細工にして(種子と種子列との間に適切な間隔をあけて)、基材の本質的に全表面を覆う。図1aでは、種子がいくつも列をなして配置され、所定列の種子が隣りの列の種子と整列している。
図1bでは、種子がいくつも列をなして配置され、ある列の種子は隣りの列の種子に対して中心が外れている。
図1cでは、種子が基材上の中心点から放射状に広がるように配置されている。
図1dでは、種子が基材(3)上に4つの個別ブロック(4)で配置されている。ブロック内では、種子がいくつも列をなして配置され(6)、ブロック内の所定列の種子は該ブロック内の隣りの列の種子と整列している。所定ブロック内の全ての種子は、隣りのブロック内の種子に対して90°で位置づけられている。
図1eでは、種子(2)が基材(3)上にいくつも列をなして配置されている。種子の各列は種子の他の2つの列に隣接している。この配置は、いずれの所定列(8)の種子も一方の隣りの列(12)の種子と整列しており、他方の列(10)の種子に対しては中心が外れている。
図1fでは、種子(2)が円形基材(3)の回りに周方向に配置されている。
図2aは、(100)成長表面を有する本発明の種子の概略図である。この図は、観察される異なるファセットを解明する目的のために含まれる。
図2bは、本発明の種子(16)上で成長した単結晶ダイヤモンド材料(14)の概略図である。種子は、(100)成長表面を有し、合成された単結晶ダイヤモンド材料は、支配的な(001)主要面、{100}側面及びコーナーに小さい{111}面を示す。
図2cは、短側面、具体的には種子(20)上で合成された結晶(18)の最小表面積の側面の端面図の概略を示す。{111}コーナーファセット(22)がはっきり見える。
図2dは、長側面、具体的には種子(26)上で合成された結晶(24)の最大表面積の側面の端面図の概略を示す。{111}コーナーファセット(28)がはっきり見える。
図3aは、1.5未満のアスペクト比の(001)成長表面を有する種子(30)上で成長した合成結晶ダイヤモンドの縦断面の概略図である。いくつかの異なる成長セクター、具体的には、{111}成長セクター(32)、{100}成長セクター(34)、{111}成長セクター(36)、{113}成長セクター(38)及び(001)成長セクター(40)が見える。
図3bは、1.5より高いアスペクト比の(001)成長表面を有する種子(42)上で成長した合成結晶ダイヤモンドの縦断面である。いくつかの異なる成長セクター、具体的には、{111}成長セクター(44、48)、{110}成長セクター(46)、及び(001)成長セクター(50)が見える。本発明の種子、具体的には、1.5より高いアスペクト比の成長表面を有する種子を使用した場合、この基準を満たさない種子を使用して得られた単結晶ダイヤモンド材料に比し、(001)成長セクターが、ずっと大きい割合の体積の合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料を形成することが分かる。このとき、単結晶ダイヤモンド材料は、各場合の種子の成長表面上に同じ高さまで成長している。
図4は、それぞれ1.5未満のアスペクト比の成長表面を有する種子(「小型種子」合成実験)及び1.5より高いアスペクト比の成長表面を有する種子(「大型種子」合成実験)上のHPHT単結晶ダイヤモンド成長から正規化した成長速度(mg/時間)を示すグラフである。4つの「小型種子」実験の平均に対して成長速度を正規化した。各場合、同一条件下で合成単結晶ダイヤモンド材料を調製し、単結晶を同じ時間成長させた。本発明の種子を使用した場合、単結晶の成長の所定時間で、1.5未満のアスペクト比を有する成長表面のある種子を用いて得られた製品に比べて、より大きい寸法の合成単結晶ダイヤモンドが得られることが分かる。1.5より高いアスペクト比を有する成長表面のある種子を用いて得られた製品は、1.5未満のアスペクト比を有する成長表面のある種子を用いて得られた当該製品より平均して98%大きかった。
図5aは、本発明の合成されたままのダイヤモンドの光学顕微鏡写真である。この石の寸法は8.20mm×3.50mm×1.92mmである。上部表面(52)は(001)表面であり、側部表面は{100}表面である。4つの{111}ファセット(54)が石のコーナーに見える。他にいずれの有意なファセットも見えない。
図5bは、本発明の方法によって合成されたままのダイヤモンドの光ルミネッセンス画像である。紫外線画像化システム、例えばDiamondViewTM機器を用いてこの画像を得た。ルミネッセンス(ダイヤモンドに緑色を与える)はH3窒素-空孔欠陥と関係がある。
図6は、本発明の単結晶ダイヤモンド材料のプレート(58)の透過型光学顕微鏡写真である。プレートの上方左に向かう小さい暗部(56)は、合成中に取り込まれた金属の包含物である。プレートの寸法は7.86×2.78×0.44mmである。プレートは、コーナー(60)の{111}成長セクターは別として均一の黄色である。
図7は、紫外線画像化システム、例えばDiamondViewTM機器を用いて得られた図6と同じプレートの光ルミネッセンス画像である。色の変化は、異なる成長セクター内のH3欠陥(H3は窒素関連欠陥である)由来の緑色ルミネッセンスの異なる強度のためである。この画像は、石の大部分が、単一の大きい(001)成長セクター(62)(画像上の明灰色)で構成され、そのコーナーにはより小さい、ほぼ三角形の{111}成長セクター(64)(画像上の黒色)があり、エッジに沿ってマイナーな成長セクター(おそらく{110}又は{113})(66)があることを示している。
図8は、本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料の歪みパターンを示す、交差極線を用いて得られた図6と同じプレートの光学顕微鏡写真である。この画像の明るさは、複屈折のレベル、ひいては該材料の歪みのレベルに関連し、暗い(黒色)部分は歪みが無いか又は非常に低い歪みのある部分であり、灰色部分は低歪み、白色部分には最高の歪みがある。この画像は、最高の歪みが中心の(001)成長セクターとコーナーの{111}成長セクターとの間の境界と関連することを示している。
図9は、本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料のプレートのX線映写トポグラフである(図6と同じプレート)。暗線は拡張欠陥(転位、転位束及び積層欠陥)に関連する痕跡である。中心の(001)成長セクターは、コーナーの{111}成長セクターよりずっと低い密度の拡張欠陥を有する。
図10a及び10bは、本発明の合成単結晶ダイヤモンド材料の535μm厚さのプレートの複屈折のグレースケールマップである。「Metripol」複屈折測定システムを用いてマップを得た。プレートの厚さを通して複屈折を測定する。図10a中の最大複屈折は約2×10-5であり、典型的な複屈折は約1×10-5である。図10b中の最大複屈折は約5×10-5であり(円形68内の暗部)、典型的な複屈折は2×10-5未満である。
当業者には、本発明の材料をどのように作るかの正確な詳細が、使用する高温高圧装置に、例えば、必要な過剰黒鉛の正確な量又は必要な溶剤触媒金属の正確な量に非常に特異的であることが分かるであろう。
(実施例1)
HPHTダイヤモンド製の40個の種子のセットを選択した。これらの種子は、磨かれた上側(成長)表面を有し(スタイラス表面形状測定装置で測定したRaが100nm未満)、より大きいプレートからNd:YAGレーザーを用いてレーザーカットされた。種子の寸法は、5.0mm×0.58mm×0.58mmである。種子の形状は、成長表面が(001)の10°以内にあり、かつ種子のエッジが<100>方向の10°以内にあるような形状だった。
以下の基準に従って種子を選択した。
・包含物含量(大きさが0.2mmを超える包含物はなく、平均して、最大エッジ長の直線1mm当たり1個未満の包含物)
・亀裂がないこと(10倍で見た場合)
・表面仕上げ(Ra<80nm)
・>60%の単セクター成長晶癖
・寸法公差−全ての寸法が必要な大きさの0.1mm以内
種子を種子パッド上に図1aのようなレイアウトを用いて種子間の間隔を5.57mm及び列間の間隔を約4.75mmで配置した。
種子を装填した種子パッドをニッケル-鉄合金溶剤触媒金属(70wt.%のNi、30wt.%のFe)及び成長プロセスに必要な炭素を供給するために十分高い純度の黒鉛粉末と共に組み立ててHPHTプレス機カプセルにした。
組み立てたカプセルをHPHTプレス機に装填し、5.5GPaの合成圧力及び1400℃の温度に上げた。圧力を急速に上げすぎると、種子が損傷することがあり(例えば、2以上の断片に割れる)、温度を急速に上げすぎると、圧力が安定していないのに種子が高温にさらされることとなり、種子の完全な黒鉛化をもたらすことがある。カプセルが成長温度になったら、圧力が維持され、黒鉛がダイヤモンドに変換されながら、ラムが動いて圧力を維持する。
合成実験の持続時間の温度と圧力にカプセルの中身を維持した。合成実験が完了したら、合成されたままの石を破壊しないようなやり方で圧力と温度をゆっくり下げた。溶剤触媒金属から、60〜70℃の温度で該金属を王水(体積比が1:3の濃硝酸と濃塩酸)に溶かすことによって石を回収した。
回収中、種子は典型的に合成ダイヤモンドの底部から離脱し、そうでなくても、簡単な機械的手段で取り外すことができる。
合成の結果を比較法1(大きさが約0.45×0.45×0.45mmの標準的な種子を使用)及び比較法2(大きさが約2×2×1mmのより大きい等軸種子を使用)の結果と共に表1に示す。本発明の方法は、図5に示すような、典型的寸法が約8.2×3.5×1.9mmのダイヤモンドをもたらした。比較法1及び2で製造されたダイヤモンドはほぼ等軸で、最長寸法が実質的に小さかった。合成実験は全て同じ持続時間だったので、8mmより大きい最長寸法のダイヤモンドを生じさせるために必要であろう相対的な合成持続時間を計算することができ、この持続時間が比較法1では2.14、比較法2では1.7であることが分かった。
表1
Figure 0005522606
(実施例2)
HPHTダイヤモンド製の59個の種子のセットを選択した。これらの種子は、磨かれた上側(成長)表面を有し(スタイラス表面形状測定装置で測定したRaが100nm未満)、より大きいプレートからNd:YAGレーザーを用いてレーザーカットされた。種子の寸法は、3.5mm×1.0mm×1.0mmだった。種子の形状は、成長表面が(001)の10°以内にあり、かつ種子のエッジが<100>方向の10°以内にあるような形状だった。
以下の基準に従って種子を選択した。
・包含物含量(大きさが0.2mmを超える包含物はなく、平均して、最大エッジ長の直線1mm当たり1個未満の包含物)
・亀裂がないこと(10倍の倍率で見た場合)
・表面仕上げ(Ra<80nm)
・>60%の単セクター成長晶癖
・寸法公差−全ての寸法が必要な大きさの0.1mm以内
種子を種子パッド上に図1aのようなレイアウトを用いて種子間の間隔を約5.57mm及び列間の間隔を約4.75mmで配置した。
この種子パッドを実施例1で述べたように組み立ててカプセルにした。プロセス条件及びプロセス持続時間は実施例1で使用したのとほぼ同じだった。
実施例1で述べたように合成実験の最後で合成カプセルから石を回収した。回収中、種子は典型的に合成ダイヤモンドの底部から離脱し、そうでなくても、簡単な機械的手段で取り外すことができる。
合成実験から59個の石を回収した。回収した石の大きさの範囲は5.5mm×3.0×1.8mm〜8.5×5.0×2.3mmだった。以下の種類で、<100>に平行な、石の最長エッジの長さで石を分類した:
≧5.5mm、<6.0mm
≧6.0mm、<6.5mm
≧6.5mm、<7.0mm
≧7.0mm、<7.5mm
≧7.5mm、<8.0mm
≧8.0mm、<8.5mm
≧8.5mm、<9.0mm。
エッジ長分布のピークは、≧7.0mm、<7.5mmの種類についてだった。典型的な成長したままの石の寸法は7.0mm×4.3mm×1.8mmだった。全ての成長したままの石のアスペクト比(すなわち、長さ÷幅)は>1.5だった。
(実施例3)
HPHTダイヤモンド製の34個の種子のセットを選択した。これらの種子は、磨かれた上側(成長)表面を有し(スタイラス表面形状測定装置で測定したRaが100nm未満)、より大きいプレートからNd:YAGレーザーを用いてレーザーカットされた。種子の寸法は、7.0mm×1.0mm×1.0mmだった。種子の形状は、成長表面が(001)の10°以内にあり、かつ種子のエッジが<100>方向の10°以内にあるような形状だった。
以下の基準に従って種子を選択した。
・包含物含量(大きさが0.2mmを超える包含物はなく、平均して、最大エッジ長の直線1mm当たり1個未満の包含物)
・亀裂がないこと(10倍の倍率で見た場合)
・表面仕上げ(Ra<80nm)
・>60%の単セクター成長晶癖
・寸法公差−全ての寸法が必要な大きさの0.1mm以内
種子を種子パッド上に図1aのようなレイアウトを用いて種子間の間隔を約5.57mm及び列間の間隔を約4.75mmで配置した。
この種子パッドを実施例1で述べたように組み立ててカプセルにした。プロセス条件及びプロセス持続時間は実施例1で使用したのとほぼ同じだった。
実施例1で述べたように合成実験の最後で合成カプセルから石を回収した。回収中、種子は典型的に合成ダイヤモンドの底部から離脱し、そうでなくても、簡単な機械的手段で取り外すことができる。
合成実験から34個の石を回収した。回収した石のサイズ分布は9.5mm×3.5mm×1.8mm〜12.0mm×4.8mm×2.2mmだった。以下の種類で、<100>に平行な、石の最長エッジの長さで石を分類した:
≧9.0mm、<9.5mm
≧9.5mm、<10.0mm
≧10.0mm、<10.5mm
≧10.5mm、<11.0mm
≧11.0mm、<11.5mm
≧11.5mm、<12.0mm
≧12.0mm、<12.5mm。
エッジ長分布のピークは、≧11.0mm、<11.5mmの種類についてだった。典型的な成長したままの石の寸法は11.0mm×4.5mm×2.0mmだった。全ての成長したままの石のアスペクト比(すなわち、長さ÷幅)は>2.0だった。

Claims (15)

  1. 以下の工程:
    (a)2つの直交する寸法がa*とb*の成長表面を有する単結晶ダイヤモンド種子を選択する工程、ここで、a*は、前記成長表面の平面内の<100>方向に沿って整列している、前記成長表面の最大寸法であり、b*は、前記成長表面の平面内にあるa*に直交する方向の、前記成長表面の最大寸法であり、a*/b*と定義される前記成長表面のアスペクト比は少なくとも1.5である、
    (b)前記種子を、基材の表面の上又は中に、前記種子の前記成長表面が露出され、かつ前記種子の前記成長表面が前記基材の前記表面に平行になるように載せる工程、及び
    (c)少なくとも前記種子の前記成長表面上で単結晶ダイヤモンドが生成されるような条件下、高温高圧環境内で結晶を成長させる工程
    を含む、単結晶ダイヤモンドの合成方法であって、
    合成された単結晶ダイヤモンドの、<100>方向に沿って整列している最大寸法a#が少なくとも6mmを超える、前記方法。
  2. 前記単結晶ダイヤモンド種子の前記成長表面の寸法a*が少なくとも3mmである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記単結晶ダイヤモンド種子の前記成長表面の寸法b*が2mm未満である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記選択されたダイヤモンド種子が、該種子の成長表面の少なくとも約30%が単一の成長セクターであるような種子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 2つの直交する寸法がa*とb*の成長表面を有する単結晶ダイヤモンド種子であって、a*は、前記成長表面の平面内の<100>方向に沿って整列している、前記成長表面の最大寸法であり、b*は、前記成長表面の平面内にあるa*に直交する方向の、前記成長表面の最大寸法であり、a*/b*と定義される前記成長表面のアスペクト比は少なくとも1.5である、前記単結晶ダイヤモンド種子。
  6. 前記成長表面の寸法a*が少なくとも3mmである、請求項5に記載の単結晶ダイヤモンド種子。
  7. 前記成長表面の寸法b*が2mm未満である、請求項5又は6に記載の単結晶ダイヤモンド種子。
  8. 前記ダイヤモンド種子が、該種子の成長表面の少なくとも約30%が単一の成長セクターであるようなダイヤモンド種子である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の単結晶ダイヤモンド種子。
  9. 請求項5〜8のいずれか1項に記載の単結晶ダイヤモンド種子の、単結晶ダイヤモンドを合成するための高温高圧法での使用。
  10. いずれの表面S#についても、合成されたままのアスペクト比が少なくとも1.5である合成単結晶ダイヤモンド材料であって、
    前記合成されたままのダイヤモンド結晶のアスペクト比はA#/B#と定義され、A#とB#は、前記合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の種子面に平行である{100}平面に平行な、前記単結晶ダイヤモンド材料の抽象的な表面S#を定義し、A#は、<100>方向に沿って整列している、前記表面S#内の、前記合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の最大寸法であり、B#は、<100>方向に沿って整列している、前記表面S#内でA#と直交する、前記合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の最大寸法であり、前記抽象的な表面S#は、現実の外側表面又は概念上の内側表面であってよく;かつ
    <100>方向に沿って整列しており、前記表面S#に平行な、前記合成されたままの単結晶ダイヤモンド材料の最大寸法a#が、少なくとも6mmである、前記合成単結晶ダイヤモンド材料。
  11. 前記合成されたままの単結晶ダイヤモンドが体積で少なくとも50%の単一の成長セクターを含む、請求項10に記載の合成単結晶合成ダイヤモンド材料。
  12. 全体的に単一の成長セクター内にある、<100>方向に沿って整列している、前記最長寸法が少なくとも5mmを超える、請求項10又は11に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  13. 前記結晶の表面積の少なくとも50%が{100}型平面を構成する、請求項10〜12のいずれか1項に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  14. 前記単一の成長セクターが{100}成長セクターである、請求項12又は13に記載の合成単結晶ダイヤモンド材料。
  15. 請求項10〜14のいずれか1項に記載の単結晶ダイヤモンド材料を含む切断工具。
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