[本発明の基本原理]
まず、本発明の基本原理について、図1乃至図6を参照して説明する。
埋込磁石型同期電動機は、ロータコア内部に埋め込まれた永久磁石の位置に合わせてステータ(固定子)から発生する磁束に応じてロータ(回転子)が回転する構造の電動機であり、マグネットトルクのほかにリラクタンストルクも利用できるため、高効率の電動機として広く普及している。埋込磁石型同期電動機のステータは、電流を通電することによって磁束を発生させるステータコイルと、当該ステータコイルへの通電により発生した磁束を高密度・高効率で流すステータコアとを有する。一方、埋込磁石型同期電動機のロータは、ステータの内側にエアギャップを介して回転自在に配置されたロータコアと、当該ロータコアの周方向に沿って交互に極性を変えて並ぶように配置された複数の磁極を形成する永久磁石とを有する。
埋込磁石型同期電動機のロータとしては、磁極を形成する各永久磁石の磁石中心軸(磁石磁束座標軸)であるd軸方向のインダクタンスLdよりも、隣り合う異極の永久磁石間を通る軸(磁石磁束座標軸と直交する軸)であるq軸方向のインダクタンスLqの方が大きい、いわゆる逆突極型のロータが一般的であるが、近年では、隣り合う異極の永久磁石の間に空気層などの非磁性部を設けるとともに、各磁極のd軸付近に永久磁石を2つの磁石部に分割するように磁性体のコア材を配置して、d軸インダクタンスLdがq軸インダクタンスLqよりも大となる順突極型として、強め界磁電流の通電によりリラクタンストルクが得られるようにしたロータ(以下、強め界磁ロータという。)も用いられるようになってきている。本発明は、この埋込磁石型同期電動機に用いられる強め界磁ロータに対して適用される。
図1は、本発明を適用した強め界磁ロータの基本的な構成を模式的に示す図であり、ロータ周方向に隣り合って配置されたN極永久磁石1及びS極永久磁石2からなる1つの極対部分を拡大して示したロータ展開図である。本発明を適用した強め界磁ロータにおいて、N極永久磁石1及びS極永久磁石2は、それぞれ磁石中心軸(d軸)付近に配置されたコア材(磁性体)3N,3Sによって2つの磁石部1a,1b、2a,2bに分割され、d軸方向の磁気抵抗が低くされている。また、N極永久磁石1とS極永久磁石2の間の磁石端部間の領域には非磁性部である空気層4が設けられ、q軸方向の磁気抵抗が高められている。これにより、d軸インダクタンスLdがq軸インダクタンスLqよりも大となる順突極型の特性が得られるようになっている。
隣り合うN極永久磁石1とS極永久磁石2は、空気層4よりもロータ回転軸側(図1における下側)に配置されたコア材5によって磁気的に結合されている。また、各永久磁石1,2のステータ側(図1における上側)に各々コア材6N,6Sが配置され、これらのコア材6N,6S及びコア材5により、永久磁石1,2による磁石磁束のうち、ステータコア側に流れてステータコイルに鎖交する磁束成分である主磁束成分が流れる主磁束回路部MC1が形成されている。
また、N極永久磁石1を2つの磁石部1a,1bに分割するコア材3Nと、S極永久磁石2を2つの磁石部2a,2bに分割するコア材3Sは、主磁束回路部MC1を構成するコア材5よりもロータ回転軸側に磁気障壁を介して配置されたコア材7によって磁気的に結合されており、これらのコア材3N,3S及びコア材7によって、無負荷時(ステータコイルへの非通電時)に、磁石磁束の主磁束成分とは逆方向に流れてロータ内部を循環する短絡磁束が流れる短絡回路部MC2が形成されている。
ここで、主磁束回路部MC1と短絡回路部MC2との間は、各永久磁石1,2を2つの磁石部1a,1b、2a,2bに分割するコア材3N,3Sから見てトルク発生方向における後方側よりも前方側において、両者の間の磁気抵抗が低くされていることが望ましい。さらには、短絡回路部MC2が、コア材3N,3Sから見てトルク発生方向における前方側の位置にて、主磁束回路部MC1と磁気的に結合されていることが望ましい。具体的には、N極永久磁石1側では、短絡回路部MC2を構成するコア材3Nと主磁束回路部MC1を構成するコア材6Nとが、トルク発生方向における前方側にて磁気的に結合され、S極永久磁石1側では、短絡回路部MC2を構成するコア材3Nと主磁束回路部MC1を構成するコア材6Nとが、トルク発生方向における前方側にて磁気的に結合される。なお、ここでトルク発生方向とは、埋込磁石型同期電動機としてのトルク(力)が発生する方向であり、埋込磁石型動機電動機をモータとして駆動に用いる場合はロータ回転方向と一致した方向、埋込磁石型動機電動機をジェネレータとして電力回生に用いる場合はロータ回転方向と逆向きの方向である。
本発明を適用した強め界磁ロータでは、以上のように、隣り合うN極永久磁石1とS極永久磁石2のd軸間を結合するように短絡回路部MC2が設けられているので、無負荷時には磁石磁束の多くを短絡磁束としてロータ内部で循環させてステータコアにおける磁束変動を有効に抑制することができ、有負荷時には、少ない強め界磁電流で短絡磁束を効率よく主磁束成分に変換して多くの磁石磁束をステータコイルに鎖交させることができる。また、短絡回路部MC2がコア材3N,3Sのトルク発生方向前方側にて主磁束回路部MC1と磁気的に結合されることにより、無負荷時にはより多くの磁石磁束を短絡磁束としてロータ内部で循環させることができる。
図2は、本発明を適用した強め界磁ロータの無負荷時における磁石磁束の流れを説明する模式図である。無負荷時においては、図2に示すように、磁石磁束の多くが短絡磁束となり短絡回路部MC2を通ってロータ内部で循環する。これにより、ステータコア側に流れる磁石磁束(主磁束成分)が相対的に低減され、ステータコア側での磁束変動に起因する鉄損が低減される。
図3は、本発明を適用した強め界磁ロータの有負荷時における作用を説明する模式図である。有負荷時においては、図3に示すように、強め界磁領域に位置する磁石部1aからの短絡磁束が、強め界磁電流の通電により生じる磁界の作用でステータコア20側に吸引されて、主磁束に変換される。また、弱め界磁領域に位置する磁石部1bからの短絡磁束についても、コア材6Nとコア材3Nとの間に磁気障壁が設けられているために短絡回路部MC2には流れず、ステータコア20側へと流れる。これにより、主磁束回路部MC1を通過する多くの磁石磁束をステータコイルに鎖交させることができ、短絡のないロータを用いた場合と同等の最大トルクを実現することが可能となる。なお、ここで強め界磁領域とは、ステータコイルへの通電により発生する磁束が磁石磁束を強める方向に作用する領域であり、弱め界磁領域とは、ステータコイルへの通電により発生する磁束が磁石磁束を弱める方向に作用する領域である。
埋込磁石型同期電動機の構成が全節巻き(スロット数/極数/相数=1以上の整数)の場合は、ロータの磁極を形成する各永久磁石1,2に対して、ステータの電流位相は同じになる。本発明を適用した強め界磁ロータでは、このようにステータの電流位相が同じ状態で、N極永久磁石1の強め界磁領域に位置する磁石部1aとS極永久磁石2の強め界磁領域に位置する磁石部2aとが短絡回路部MC2により接続されることになるので、N極永久磁石1の強め界磁領域における短絡回路部MC2上の点Aを通過する短絡磁束を弱める方向に電流を流すと、S極永久磁石2の強め界磁領域における短絡回路部MC2上の点Bを通過する短絡磁束も同様に弱めることが可能となる。そして、電流負荷を上げると、点Aと点Bとで磁気ポテンシャルが同位となるため、短絡回路部MC2に磁束は流れなくなる。
図4は、ステータコイルに通電するd軸電流とステータコイルに鎖交する磁石磁束の主磁束成分の磁束量との関係を示す図であり、(a)は従来の一般的な強め界磁ロータ(前記特許文献1にて開示される構成のロータ)を用いた場合、(b)は本発明を適用した強め界磁ロータを用いた場合をそれぞれ示している。なお、図中の実線で示すグラフは高負荷時における磁束量変化、破線で示すグラフは中負荷時における磁束量変化、一点鎖線で示すグラフは低負荷時における磁束量変化をそれぞれ示している。
埋込磁石型同期電動機におけるトルク出力は、Torque=P×(Ψa×iq+(Ld−Lq)×id×iq)で求めることができ、この式の中で左項のΨa×iqがマグネットトルク、右項の(Ld−Lq)×id×iqがリラクタンストルクである。なお、Ψaは鎖交磁束、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、idはd軸電流、iqはq軸電流、Pは極対数である。強め界磁ロータは、上述したように、Ld>Lqとなる順突極性を有する構成とされているため、リラクタンストルクはd軸電流idがプラスのとき(β角がマイナスのとき)に発生することになる。ここで、従来の一般的な強め界磁ロータを用いた場合には、図4(a)に示すように、ステータコイルに鎖交する磁石磁束は、埋込磁石型同期電動機の運転状況に関わらず一定となる。つまり、従来の一般的な強め界磁ロータでは、ステータコイルに通電するd軸電流の大小や弱め界磁制御、強め界磁制御に関わらず、ステータコイルに鎖交する磁石磁束の主磁束成分の磁束量が同一の値を示す。これに対して、本発明を適用した強め界磁ロータを用いた場合には、図4(b)に示すように、ステータコイルに鎖交する磁石磁束がステータコイルに通電するd軸電流に応じて変化し、強め界磁電流が流れることでステータコイルに鎖交する磁石磁束の主磁束成分の磁束量が大きくなる。これは、ステータコイルへの通電により発生する磁界の作用により、ロータ内部で循環していた短絡磁束が主磁束成分に変換されたことによるものである。
図5は、β角(q軸方向を0°としたときのステータの位相角[degE])と埋込磁石型同期電動機のトルク出力との関係を示す図であり、(a)は従来の一般的な強め界磁ロータを用いた場合、(b)は本発明を適用した強め界磁ロータを用いた場合をそれぞれ示している。なお、図中の実線で示すグラフはマグネットトルクを示し、破線で示すグラフはリラクタンストルクを示し、一点鎖線で示すグラフは総合トルクを示している。
従来の一般的な強め界磁ロータを用いた場合には、図5(a)に示すように、β角=0度のときにマグネットトルクが最大となり、その他のβ角では、β角に応じてマグネットトルクが円弧を描くように低下していく。これに対して、本発明を適用した強め界磁ロータを用いた場合には、β角が20度以下の領域においてロータ内部で循環していた短絡磁束が急激に主磁束成分へと変換され始めるため、図5(b)に示すように、マグネットトルクを急激に増加させることができる。また、β角が20度以下の領域においては磁石磁束が低下するため、従来の一般的な強め界磁ロータと比べてトルクの落ち込みが大きい。すなわち、少ない弱め界磁電流(β角)で磁石磁束を低下させることができるため、弱め界磁電流の通電による銅損を低減させることができる。
以上のことから、本発明を適用した強め界磁ロータを用いた埋込磁石型同期電動機は、従来の一般的な強め界磁ロータを用いた場合と比較して、最大負荷領域、無負荷若しくは低負荷領域、高速回転領域のそれぞれにおいて、以下のような特性が得られる。
最大負荷領域:ステータコイルに強め界磁電流を通電することによってロータにおける短絡磁束が主磁束成分に変換され、従来の一般的な強め界磁ロータを用いた場合と同等の磁石磁束が得られるため、従来の一般的な強め界磁ロータを用いた場合と同等の最大トルクを得ることができる。
無負荷若しくは低負荷領域:ロータにおける磁石磁束の多くが短絡磁束となってロータ内部で循環するため、ステータコアを流れる磁石磁束が低減され、ステータコアにおける磁束変動に起因するステータ鉄損が低減される。
高速回転領域:高速回転領域においてステータコイルに生じる誘起電圧を許容値以下に抑えるために弱め界磁制御が必要となる場合に、少ない弱め界磁電流で誘起電圧を許容値以下に抑えることができるため、弱め界磁電流の通電による銅損が低減される。
図6は、本発明を適用した強め界磁ロータを用いた埋込磁石型同期電動機における以上の特性をまとめたものである。本発明を適用した強め界磁ロータを用いた埋込磁石型同期電動機では、図6中のAの領域において、従来の一般的な強め界磁ロータを用いた埋込磁石型同期電動機と同等の効率が得られ、図6中のBの領域においては、従来の一般的な強め界磁ロータを用いた埋込磁石型同期電動機よりも効率が向上することになる。
さらに、本発明を適用した強め界磁ロータを用いた埋込磁石型同期電動機においては、以下の理由により、永久磁石の減磁に対する耐力を向上させることができる。
すなわち、本発明を適用した強め界磁ロータを用いた埋込磁石型同期電動機では、上述したように、弱め界磁制御時に磁石磁束が低下することで、少ない弱め界磁電流で誘起電圧を許容値以下に抑えることができるため、永久磁石に反磁界を印加することによる減磁を有効に抑制することができ、減磁耐力が向上する。
また、通常、β角の基準となる位置は無負荷誘起電圧がピークとなる位相を指し、一般的な埋込磁石型同期電動機では、各永久磁石の磁石中心軸であるd軸が電気角90度の位置、隣り合う異極の永久磁石間のq軸が電気角0度の位置となる。しかしながら、本発明を適用した強め界磁ロータを用いた埋込磁石型同期電動機では、無負荷時においてトルク発生方向の前方の磁石磁束がロータ内部で循環する短絡磁束となって誘起電圧に変換されないため、誘起電圧のピーク位相は幾何学的に決まる位相よりも若干遅角する。ここで、例えば、β角が0度の位相が幾何学的なq軸の位置から20度E遅角したとすると、B角0度の位相でステータコイルに通電することは一般的な埋込磁石型同期電動機では強め界磁制御を行っている状態となり、強め界磁側の永久磁石には強め界磁電流が作用することになる。また、β角の最大であるβ角90度の場合においても、一般的な埋込磁石型動機電動機においてはベータ角70度の位相が90度となるため、弱め界磁側の永久磁石には少ない弱め界磁電流しか作用しないことになる。これにより、電動機の駆動領域全体のパーミアン係数が上昇するため、永久磁石の減磁に対する耐力が向上する。
以上、本発明の基本原理について説明したが、次に、本発明を適用した強め界磁ロータの具体的な実施例について説明する。
[第1実施例]
まず、本発明の第1実施例について説明する。図7は、本発明の第1実施例としての強め界磁ロータの平面図である。
第1実施例の強め界磁ロータは、図7に示すように、電磁鋼板により構成される円盤状のロータコア10を備え、このロータコア10の内部に磁極を形成するN極永久磁石1とS極永久磁石2とが埋め込まれている。なお、本実施例では、N極永久磁石1とS極永久磁石2とを、ロータコア10の周方向に沿って交互に3つずつ、等間隔に配置した例を例示している。
磁極を形成する各永久磁石1,2の磁石中心軸(d軸)付近には、ロータコア10を構成する電磁鋼板(コア材)が延在されている。各永久磁石1,2は、d軸付近にこの電磁鋼板が介在することによってそれぞれ2つの磁石部1a,1b、2a,2bに分割され、d軸方向における磁気抵抗が低減されている。また、隣り合うN極永久磁石1とS極永久磁石2の磁石端部間の領域には、電磁鋼板に打ち抜き加工することで形成した半円形状の空気層4が設けられ、q軸方向における磁気抵抗の増大が図られている。
N極永久磁石1の磁石部1aとこれに隣接するS極永久磁石2の磁石部2b、及び、N極永久磁石1の磁石部1bとこれに隣接するS極永久磁石2の磁石部2aは、それぞれロータコア10を構成する電磁鋼板によって磁気的に結合されており、これらの間の磁路が主磁束回路部MC1とされている。また、N極永久磁石1を2つの磁石部1a,1bに分割するコア材(d軸付近に延在される電磁鋼板)とS極永久磁石2を2つの磁石部2a,2bに分割するコア材(d軸付近に延在される電磁鋼板)とが、ロータコア10を構成する電磁鋼板によって磁気的に結合されており、これらの間の磁路が短絡回路部MC2とされている。
主磁束回路部MC1と短絡回路部MC2は、電磁鋼板に打ち抜き加工することで形成した円弧状の空隙部11によって分離されている。すなわち、ロータコア10を構成する電磁鋼板に磁気障壁となる空隙部11が設けられることによって、隣り合う異極の永久磁石1,2間の磁路が、主磁束回路部MC1と短絡回路部MC2とに分離されている。なお、主磁束回路部MC1は、上述したように、ステータコイルに鎖交する磁石磁束の主磁束成分が流れる磁路であり、短絡回路部MC2は、無負荷時において主磁束成分とは逆方向に流れてロータ内部で循環する短絡磁束が流れる磁路である。
以上のように構成される第1実施例の強め界磁ロータでは、これを用いた埋込磁石型同期電動機の無負荷時、つまりステータコイルに電流を流していないときには、S極永久磁石2からN極永久磁石1へと向かって主磁束回路部MC1内を磁石磁束が流れ、空隙部11を通り抜けた磁石磁束の多くが、N極永久磁石1からS極永久磁石2へと向かって短絡回路部MC2内を主磁束回路部MC1とは逆向きに流れ、再度、主磁束回路部MC1内に流入してロータ内部で循環する。このように、無負荷時においては磁石磁束の多くがロータ内部で循環する短絡磁束となるため、ステータ側から見た磁石磁束、つまりステータコイルに鎖交する主磁束成分は低減される。
ここで、ステータコイルに対して通電を行うと、N極永久磁石1のトルク発生方向の前方側に配置されている磁石部1aには強め界磁磁束が作用し、トルク発生方向の後方側に配置されている磁石部1bには弱め界磁磁束が作用することになる。このうち、強め界磁磁束が作用する磁石部1aからの磁石磁束は強め界磁磁束によって磁束が強められているためステータ側へと吸引され、磁束の流れが弱め方向となる短絡回路部MC2には磁束が流れない。また、弱め界磁磁束が作用する磁石部1aからの磁石磁束は、磁気障壁となる空隙部11が介在することで短絡回路部MC2には流れにくくなっている。これらによって、ステータコイルに通電する電流の強さに応じてロータ内部で循環する短絡磁束が低減され、結果として、ステータコイルに鎖交する磁石磁束の主磁束成分が増加することになる。
以上のように、第1実施例の強め界磁ロータを用いた埋込磁石型同期電動機では、ステータコイルへの通電を行っていない無負荷時においては、磁石磁束の多くが短絡磁束となってロータ内部で循環するため、ステータコイルに鎖交する主磁束成分の磁束量が低減される。よって、磁石磁束の主磁束成分がステータコアを流れることによって発生するステータ鉄損を低減することができる。この効果は、特に低負荷・高速領域における電動機の効率を改善する上で有効となる。
また、第1実施例の強め界磁ロータを用いた埋込磁石型同期電動機では、ステータコイルへの通電を行うことで、ロータ内部で循環していた短絡磁束をステータコイルに鎖交する主磁束成分へと効率よく変換することができるので、最大電流を通電したときには磁石磁束が短絡していない状態と同等の高トルクを出力することが可能である。すなわち、第1実施例の強め界磁ロータを用いた埋込磁石型同期電動機は、低負荷・高速領域の効率を改善しながら、高トルク領域の効率を、磁石磁束の短絡のない電動機と同等とすることができる。
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について説明する。図8は、本発明の第2実施例としての強め界磁ロータの平面図である。
第2実施例の強め界磁ロータは、基本的な構造については第1実施例の強め界磁ロータと同様であるが、主磁束回路部MC1と短絡回路部MC2とが、各永久磁石1,2のd軸付近に延在された電磁鋼板(コア材)から見てトルク発生方向の前方側の位置にて、磁気的に結合されている。すなわち、第2実施例の強め界磁ロータでは、図8に示すように、主磁束回路部MC1と短絡回路部MC2との間の磁気障壁となる円弧状の空隙部11が、各永久磁石1,2のd軸付近に介在するコア材から見てトルク発生方向の後方側ではロータコア10の最外周付近まで延在するが、トルク発生方向の前方側においては、磁石部1a,2aの端部付近で途切れるように形成されている。つまり、各永久磁石1,2のd軸付近に介在するコア材から見てトルク発生方向の前方側には、空隙部11による磁気障壁が設けられておらず、主磁束回路部MC1と短絡回路部MC2とがこの位置にて磁気的に結合されている。なお、本実施例の強め界磁ロータは、トルク発生方向が反転しない電動機に用いることを前提としている。
以上のように構成される第2実施例の強め界磁ロータでは、第1実施例の強め界磁ロータと同様に、ステータコイルに通電していない無負荷時には、磁石磁束の多くがロータ内部で循環する短絡磁束となるためにステータコイルに鎖交する主磁束成分が低減される。一方、ステータコイルに通電すると、通電電流の強さに応じてロータ内部で循環する短絡磁束がステータコイルに鎖交する主磁束成分へと変換され、主磁束成分が増加する。したがって、第2実施例の強め界磁ロータを用いた埋込磁石型同期電動機では、第1実施例の強め界磁ロータを用いた場合と同様に、低負荷・高速領域の効率を改善しながら、高トルク領域の効率を、磁石磁束の短絡のない電動機と同等とすることができる。
特に、第2実施例の強め界磁ロータは、主磁束回路部MC1と短絡回路部MC2とが各永久磁石1,2のd軸付近に介在するコア材から見てトルク発生方向の前方側にて磁気的に結合されているので、第1実施例の強め界磁ロータと比較して、無負荷時の磁石磁束をより多く短絡させることが可能となる。したがって、第2実施例の強め界磁ロータを用いた埋込磁石型同期電動機では、第1実施例の強め界磁ロータを用いた場合と比較して、低負荷・高速領域の効率をより向上させることができる。
さらに、第2実施例の強め界磁ロータでは、磁石磁束が通過する磁路(主磁束回路部MC1及び短絡回路部MC2)が回転非対称となることによって誘起電圧のピーク位相は幾何学的に決まる位相よりも若干遅角するため、上述した理由によって、永久磁石1,2の減磁耐力が向上する。
ここで、第2実施例の強め界磁ロータから円弧状の空隙部11を除去した構成の強め界磁ロータを、参考例として説明する。
この参考例の強め界磁ロータでは、図9に示すように、第2実施例の強め界磁ロータにおいて主磁束回路部MC1と短絡回路部MC2との間の磁気障壁として設けられていた空隙部11が除去されているため、各永久磁石1,2の短絡磁束は、各永久磁石1,2を2つの磁石部1a,1b、2a,2bに分割するコア材を通って同一磁石内の2つの磁石部間で短絡する。すなわち、第2実施例の強め界磁ロータでは、隣り合う異極の永久磁石1,2のd軸付近に各々配置されたコア材同士を接続するように短絡磁束が流れる短絡回路部MC2が設けられていたが、参考例の強め界磁ロータでは、各磁極を形成する永久磁石1,2ごとに短絡回路部MC2が設けられている。
このように構成される参考例の強め界磁ロータでは、短絡回路部MC2の構成が第2実施例の強め界磁ロータとは異なっているものの、無負荷時に磁石磁束の多くを短絡磁束としてロータ内部で循環させることができる。また、強め界磁電流の通電により短絡磁束を主磁束に変換する効果も、第2実施例の強め界磁ロータと同様に得ることができる。ただし、通電により短絡磁束を主磁束に変換する効率は低下するため、第2実施例の強め界磁ロータと比較してトルクが低下することになる。なお、参考例の強め界磁ロータは、円弧状の空隙部11が設けられていない分、第2実施例の強め界磁ロータよりも回転強度が向上する。
[第3実施例]
次に、本発明の第3実施例について説明する。図10は、本発明の第3実施例としての強め界磁ロータの平面図であり、図11は、図10におけるA部の拡大図、図12は、図10におけるZ−Z断面図である。
第3実施例の強め界磁ロータは、磁極を形成する各永久磁石1,2のd軸付近に配置されるコア材の構成が、上述した第1実施例及び第2実施例とは異なっている。すなわち、第1実施例の強め界磁ロータや第2実施例の強め界磁ロータでは、ロータコア10を構成する電磁鋼板を各永久磁石1,2のd軸付近に延在させて、この電磁鋼板により各永久磁石1,2を2つの磁石部1a,1b、2a,2bに分割する構成としていたが、第3実施例の強め界磁ロータでは、図10に示すように、各永久磁石1,2のd軸付近に、ロータコア10を構成する電磁鋼板とは別部品となる磁性体12をロータコア10の周方向に移動可能に設け、この可動磁性体12とロータ内径側の電磁鋼板とで短絡回路部MC2が構成されるようにしている。
具体的には、各永久磁石1,2のd軸付近には、円弧状の空隙部11と連続して形成された空間が設けられ、この空間内に可動磁性体12が配置される。可動磁性体12が配置される空間のロータ周方向における開口長さは可動磁性体12よりも大きく、可動磁性体12が空間内部でロータ周方向に移動して空間を画成する一方の電磁鋼板(主磁束回路部MC1を構成する電磁鋼板)の壁面に当接すると、空間を画成する他方の電磁鋼板と可動磁性体12との間には、磁気障壁となる空隙が形成されるようになっている。また、可動磁性体12が周方向の一方に移動したときと他方に移動したときとで、主磁束回路部MC1を構成する電磁鋼板の壁面と可動磁性体12との接触面積が大きく変わらないようにするため、図11に示すように、短絡回路部MC2を構成する電磁鋼板の外径部(図11におけるX部)は凸の円弧形状とされ、この外径部X上を摺動する可動磁性体12の摺動面は凹の円弧形状とされている。また、可動磁性体12が短絡回路部MC2を構成する電磁鋼板の外形部X上を摺動して周方向における一方あるいは他方の電磁鋼板の壁面に当接した際に、より大きな接触面積が得られるようにするために、可動磁性体12は、外径部の周方向寸法W1が内径部の周方向寸法W2よりも小さく(W1<W2)されている。
可動磁性体12が配置される空間の軸方向両端部は、図12に示すように、ロータコア10(電磁鋼板)の軸方向両端に配置された一対のエンドリング13により閉塞され、これにより可動磁性体12の脱落が防止されている。一対のエンドリング13は、ロータコア10とともにロータ回転軸14に対して固定して設けられ、電磁鋼板の積層体を両側から挟みこむことでロータコア10を一体化している。そして、ロータコア10に設けられた空間内で、可動磁性体12がロータ周方向に移動可能とされている。つまり、第3実施例の強め界磁ロータでは、主磁束回路部MC1がロータ回転軸14に対して固定され、このロータ回転軸14に対して短絡回路部MC2の一部をなす可動磁性体12(コア材)の位置が変位できる構造であり、主磁束回路部MC1に対する可動磁性体12の相対位置が、埋込磁石型同期電動機の運転状況に応じて可変とされている。
以上のように構成される第3実施例の強め界磁ロータでは、ステータコイルに通電していない無負荷時には、可動磁性体12が永久磁石1,2の磁石磁束に吸引されることによってロータ回転方向の前方側または後方側に位置することになる。これにより、主磁束回路部MC1と短絡回路部MC2とが磁気的に結合され、第2実施例の強め界磁ロータと同様に、磁石磁束の多くがロータ内部で循環する短絡磁束となるためにステータコイルに鎖交する主磁束成分が低減される。
また、ステータコイルへの通電により電磁力が発生すると、可動磁性体12がその電磁力に吸引されて、図13(a)あるいは図13(b)に示すように、トルク発生方向の前方側に変位する。これにより、主磁束回路部MC1と短絡回路部MC2とがトルク発生方向の前方側にて磁気的に結合され、第2実施例の強め界磁ロータと同等の構成となる。また、トルク発生方向が反転した場合も同様の作用で可動磁性体12が反対方向へ変位するため、トルク発生方向に関わらず、つまり、埋込磁石型同期電動機の運転状況が駆動時であるか回生時であるかに関わらず、ロータ内部で循環する短絡磁束をステータコイルに鎖交する主磁束成分へと変換して、主磁束成分を増加させることができる。したがって、第3実施例の強め界磁ロータを用いた埋込磁石型同期電動機は、モータとして駆動に用いる場合とジェネレータとして電力回生に用いる場合の双方において、低負荷・高速領域の効率を大幅に改善しながら、高トルク領域の効率を、磁石磁束の短絡のない電動機と同等とすることができる。なお、弱め界磁制御を行う際には、可動磁性体12がトルク発生方向の後方側へと変位することになるが、弱め界磁領域ではトルク発生方向による効率の差がほとんど発生しないため、効率低下には繋がらない。
なお、第3実施例の強め界磁ロータでは、上述したように、無負荷時に可動磁性体12が主磁束回路部MC1を構成する電磁鋼板に接触することで主磁束回路部MC1と短絡回路部MC2とが磁気的に結合されることになるが、磁石磁束の吸引力が均衡した中立位置で可動磁性体12が停止した状態となると、無負荷時に主磁束回路部MC1と短絡回路部MC2とが結合されずに短絡磁束が減少することになる。このような問題を回避するには、可動磁性体12が配置される空間を画成する一方の電磁鋼板(主磁束回路部MC1を構成する電磁鋼板)の壁面と空間内に配置された可動磁性体12との間の隙間に、例えばバネなどの弾性体を配設し、無負荷時には、可動磁性体12がこの弾性体に付勢されることで、空間を画成する他方の電磁鋼板(主磁束回路部MC1を構成する電磁鋼板)の壁面に必ず当接する構成としておくことが有効である。
[第4実施例]
次に、本発明の第4実施例について説明する。図14は、本発明の第4実施例としての強め界磁ロータの平面図であり、図15は、図14におけるZ’−Z’断面図である。
第4実施例の強め界磁ロータは、第3実施例の強め界磁ロータと同様に短絡回路部MC2の一部を可動磁性体12で構成し、さらに、各永久磁石1,2ごとに設けられた複数の可動磁性体12を連結一体化したものである。すなわち、第4実施例の強め界磁ロータでは、図14に示すように、各永久磁石1,2のd軸付近にそれぞれ可動磁性体12が配設されており、この可動磁性体12とロータ内径側の電磁鋼板とで短絡回路部MC2が構成されている。各永久磁石1,2ごとに設けられた複数の可動磁性体12は、図15に示すように、それぞれ軸方向両端部が一対のエンドリング13を貫通して外側に突出するように設けられている。そして、エンドリング13の外側に配置された一対の締結リング15に各可動磁性体12の軸方向両端部が固定されることで、各永久磁石1,2ごとに設けられた複数の可動磁性体12が連結一体化されている。
複数の可動磁性体12を連結一体化する締結リング15は、ベアリング16を介してロータ回転軸14に対して移動可能に取り付けられ、これにより、複数の可動磁性体12が一体となってロータ周方向に移動できるようにしている。なお、第4実施例の強め界磁ロータにおいても、第3実施例の強め界磁ロータと同様に、主磁束回路部MC1はロータ回転軸14に対して固定されており、このロータ回転軸14に対して短絡回路部MC2の一部をなす可動磁性体12(コア材)の位置が変位できる構造であり、主磁束回路部MC1に対する可動磁性体12の相対位置が、埋込磁石型同期電動機の運転状況に応じて可変とされている。
以上のように構成される第4実施例の強め界磁ロータでは、ステータコイルへの通電により電磁力が発生すると、第3実施例の強め界磁ロータと同様に可動磁性体12がその電磁力に吸引されてトルク発生方向の前方側に変位する。このとき、各永久磁石1,2ごとに設けられた複数の可動磁性体12が締結リング15により連結一体化されているので、これら複数の可動磁性体12が同期してトルク発生方向の前方側に変位することになる。ここで、各永久磁石1,2ごとに設けられた複数の可動磁性体12が変位するタイミングにずれが生じる場合は、コア周方向における磁石磁束の分布にバラつきが発生し、これによって並列接続されているステータコイルの鎖交磁束間に差が発生する場合がある。そして、並列接続されているステータコイルの鎖交磁束間に差が発生してしまうと、ステータ内部での循環電流が発生し、効率悪化に繋がる虞がある。これに対して、第4実施例の強め界磁ロータでは、各永久磁石1,2ごとに設けられた複数の可動磁性体12が同期してトルク発生方向の前方側に変位するように構成されているので、変位するタイミングがずれる場合に懸念される上記の問題点を有効に回避することができる。
[第5実施例]
次に、本発明の第5実施例について説明する。図16は、本発明の第5実施例としての強め界磁ロータの平面図であり、図17は、永久磁石1,2が埋め込まれたロータコアの電磁鋼板で構成される部分(以下、ロータ部品Aという。)のみを抜き出して示した平面図であり、図18は、図16におけるZ’’−Z’’断面図である。
第5実施例の強め界磁ロータは、各永久磁石1,2のd軸付近に配置されるコア材(以下、磁束短絡部材20という。)をロータ回転軸14に固定し、このロータ回転軸14に対して主磁束回路部MC1の位置が変位する構造とすることで、主磁束回路部MC1に対する磁束短絡部材20の相対位置が、埋込磁石型同期電動機の運転状況に応じて可変するようにしたものである。
第5実施例の強め界磁ロータでは、ロータコアの主磁束回路部MC1に相当する部分のみを電磁鋼板で構成し、図17に示すようなロータ部品Aとしている。そして、図16に示すように、ロータ部品Aに埋め込まれた各永久磁石1,2のd軸付近に、短絡回路部MC2を構成する磁束短絡部材20を各々配置している。
各永久磁石1,2ごとに設けられた複数の磁束短絡部材20は、図18に示すように、それぞれ軸方向両端部が一対の磁性体リング21に固定され、この磁性体リング21によって連結一体化されている。一対の磁性体リング21はロータ回転軸14に対して固定されており、これにより、各永久磁石1,2ごとに設けられた複数の磁束短絡部材20がロータ回転軸14に対して固定された構造となっている。また、一対の磁性体リング21は磁性体で構成されているので、複数の磁束短絡部材20は、この磁性体リング21を介して相互に磁気的に結合されている。
ロータ部品Aの内径側には、複数の円筒状ローラ22が配設されている。これら複数の円筒状ローラ22は、ロータ回転軸14の周面に形成されたスプライン溝23内に転動可能に収容され、これら円筒状ローラ22がスプライン溝23内で転動することによって、ロータ回転軸14に対してロータ部品A(つまりは主磁束回路MC1)の位置が変位できる構造となっている。なお、ロータ部品Aの軸方向両端部と一対の磁性体リング21の内面側との間には転動体24が設けられており、これによりロータ部品Aの軸方向への変位が抑制されている。
以上のように構成される第5実施例の強め界磁ロータでは、ステータコイルに通電していない無負荷時には、ロータ部品Aが磁束短絡部材20と接触する位置に変位することで、ロータ部品Aの主磁束回路部MC1をS極側からN極側へと流れる磁石磁束の多くが、N極側の磁束短絡部材20に流入する。N極側の磁束短絡部材20に流入した磁石磁束は、磁束短絡部材20をその軸方向端部に向かって流れた後、軸方向端部に設けられた磁性体リング21を経由して、隣接するS極側の磁束短絡部材20に流入する。S極側の磁束短絡部材20に流入した磁石磁束は、磁束短絡部材20をその軸方向の中央部に向かって流れる過程で、磁束短絡部材20に接触しているロータ部品Aに流入し、再度、主磁束回路部MC1を流れてロータ内部で循環する。つまり、第5実施例の強め界磁ロータにおいても、ステータコイルに通電していない無負荷時には、磁石磁束の多くがロータ内部で循環する短絡磁束となり、ステータコイルに鎖交する主磁束成分が低減される。なお、第5実施例の強め界磁ロータにおける短絡回路部MC2は、相互に磁気的に結合されたN極側及びS極側の磁束短絡部材20と円盤部材21とで構成された3次元の磁路となる。
また、ステータコイルへの通電時には、ロータ部品Aにその電磁力が作用することによって、ロータ部品Aがロータ回転軸14に固定されている磁束短絡部材20に対して相対的にトルク発生方向の後方側に変位する。これにより、第3実施例や第4実施例の強め界磁ロータと同様に、主磁束回路部MC1と短絡回路部MC2とがトルク発生方向の前方側にて磁気的に結合されることになり、ロータ内部で循環する短絡磁束がステータコイルに鎖交する主磁束成分へと変換されて、主磁束成分が増加する。また、トルク発生方向が反転した場合も同様の作用でロータ部品Aが反対方向へ変位するため、埋込磁石型同期電動機の運転状況が駆動時であるか回生時であるかに関わらず、ロータ内部で循環する短絡磁束をステータコイルに鎖交する主磁束成分へと変換して、主磁束成分を増加させることができる。したがって、第5実施例の強め界磁ロータを用いた埋込磁石型同期電動機は、第3実施例や第4実施例の強め界磁ロータを用いた場合と同様に、駆動に用いる場合と電力回生に用いる場合の双方において、低負荷・高速領域の効率を大幅に改善しながら、高トルク領域の効率を、磁石磁束の短絡のない電動機と同等とすることができる。
なお、短絡回路部MC2を構成する磁束短絡部材20は、軸方向の端部ほど通過する磁石磁束が多くなるので、軸方向の端部付近で磁気飽和を生じさせないために、図19に示すように、軸方向中央部の外径寸法L1よりも軸方向両端部の外径寸法L2を大きくし、軸方向両端部の断面積が軸方向中央部の断面積よりも大きくなるように形成することが望ましい。また、磁束短絡部材20は遠心力に対して軸方向両端部で支持される構造であるので、軸方向両端部の断面積を軸方向中央部の断面積よりも大きくすることは、遠心力に対する機械的強度を確保する上でも有効である。
以上、第1〜第5実施例の強め界磁ロータについて具体的に説明したが、これらの各実施例は本発明の適用例を例示したものであり、本発明の技術的範囲が上記の各実施例として開示した内容に限定されるものではなく、この開示から容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含まれることは勿論である。