JP5512504B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数気筒を有する内燃機関の空燃比制御装置に関し、特に複数気筒のそれぞれに対応する空燃比が許容限度を超えてばらつくインバランス故障を判定する機能を有する空燃比制御装置に関する。
特許文献1には、ガスエンジンの各気筒の排気温度を検出し、検出される排気温度が設定値以下であるときに、失火が発生したと判定する装置が示されている。
特許文献2には、リーンNOx触媒を備える内燃機関における燃料噴射弁の故障を診断する故障診断装置が示されている。この装置によれば、機関の膨張行程または排気行程で燃料の副噴射が実行され、リーンNOx触媒の上流側排気温度と下流側排気温度との温度差が所定値以上であるとき、燃料噴射弁に開弁側故障があると判定される。
特許文献3には、複数気筒のそれぞれに対応する空燃比が許容限度を超えてばらつく気筒間空燃比ばらつき異常(インバランス故障)を検出する異常検出装置が示されている。この装置によれば、機関排気系に設けられた触媒の温度推定値が機関運転状態に応じて算出され、触媒温度の検出値が温度推定値と比較され、その比較結果に応じて気筒間空燃比ばらつき異常が判定される。
特許第2894847号公報 特開閉11−62686号公報 特開2009−257236号公報
特許文献1に示された装置では、複数気筒のそれぞれに対応して排気温度センサが使用され、コストの上昇を招く。また、失火が発生したことを検出できるが、燃料が要求値より多く噴射されるような故障は検出できない。
特許文献2に示された装置では、膨張行程または排気行程で燃料の副噴射を行う必要があり、また燃料噴射弁の開弁側故障の検出に留まり、閉弁側故障の検出を行うことができないという課題がある。
すなわち、典型的なインバランス故障には、1つの気筒の燃料噴射量が正常時より増加する故障(第1の態様)と、1つの気筒の燃料噴射量が正常時より減少する故障(第2の態様)とがあるが、上記特許文献1または2に示された手法では、いずれか一方の態様しか判定することができない。
また特許文献3に示された装置では、機関運転状態に応じて触媒温度推定値が算出されるため、触媒温度の推定精度が低い場合には、異常判定精度も低下する。触媒温度の推定精度を高めるためには、予め多くのテストデータを得る必要があり、設計工数の増大を招く。また、触媒が劣化しているときには、推定値と検出値との差が大きくなり、触媒劣化を気筒間空燃比ばらつき異常と誤判定する可能性がある。
本発明は上述した点を考慮してなされたものであり、内燃機関の複数気筒のそれぞれに対応する空燃比が許容限度を超えてばらつくインバランス故障(上記第1及び第2の態様)を、比較的簡単な構成で正確に判定することができる空燃比制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、複数気筒を有する内燃機関の排気通路に配置される排気浄化用触媒(14)と、前記複数気筒に連通する排気マニホールドの集合部より下流側に配設され、前記機関で燃焼する混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段(15)と、前記機関の複数の気筒のそれぞれに対応して配置される燃料噴射弁(6)による燃料噴射量(TOUT)を、検出される空燃比が目標空燃比と一致するように補正する補正係数(KAF)を算出する補正係数算出手段と、算出された補正係数(KAF)を用いて前記燃料噴射量(TOUT)を制御する燃料噴射量制御手段とを備える内燃機関の空燃比制御装置において、前記触媒の上流側における排気温度である上流排気温度(TEXU,HTEXU)を検出または推定する上流排気温度取得手段と、前記機関の運転状態(NE,PBA)を検出する運転状態検出手段と、検出される機関運転状態に応じて前記上流排気温度の適正値である上流温度適正値(TEXUREF)を算出する上流温度適正値算出手段と、前記機関の運転状態が安定している安定状態を判定する安定状態判定手段と、前記機関が安定状態にあると判定されているときに、前記複数気筒のそれぞれに対応する空燃比が許容限度を超えてばらつくインバランス故障を判定する故障判定手段とを備え、前記故障判定手段は、前記補正係数(KAF)を用いて前記燃料噴射量(TOUT)を制御しているときの前記上流排気温度(TEXU,HTEXU)と前記上流温度適正値(TEXUREF)とに基づいて前記インバランス故障が発生していることを判定し、前記インバランス故障は、故障している気筒の燃料噴射量が増加するリッチ故障及び故障している気筒の燃料噴射量が減少するリーン故障であり、前記リッチ故障及びリーン故障の何れが発生した場合においても、前記故障している気筒から排出される排気の温度が他の気筒から排出される排気の温度より低くなる故障であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記触媒の下流側における排気温度である下流排気温度(TEXD,HTEXD)を検出または推定する下流排気温度取得手段と、検出される機関運転状態に応じて前記下流排気温度の適正値である下流温度適正値(TEXDREF)を算出する下流温度適正値算出手段とをさらに備え、前記故障判定手段は、前記上流排気温度(TEXU,HTEXU)が前記上流温度適正値(TEXUREF)から所定量(DTEX)を減算した温度より低く、かつ前記下流排気温度(TEXD,HTEXD)が前記下流温度適正値(TEXDREF)に所定量(DTEX)を加算した温度より高いときに前記インバランス故障が発生していると判定することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記故障判定手段は、前記下流排気温度(TEXD,HTEXD)から前記上流排気温度(TEXU,HTEXU)を減算することにより第1差分値(DTEXDU)を算出する第1差分値算出手段と、前記下流温度適正値(TEXDREF)から前記上流温度適正値を(TEXUREF)減算することにより第2差分値(DTEXREF)を算出する第2差分値算出手段とを有し、前記上流排気温度(TEXU,HTEXU)が前記上流温度適正値(TEXUREF)から所定量(DTEX)を減算した温度より低く、かつ前記下流排気温度(TEXD,HTEXD)が前記下流温度適正値(TEXDREF)に所定量(DTEX)を加算した温度より高く、かつ前記第1差分値(DTEXDU)が前記第2差分値(DTEXREF)より大きいときに前記インバランス故障が発生していると判定することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記運転状態検出手段により検出される機関回転数(NE)に応じて診断期間(TDIAG)を設定する診断期間設定手段をさらに備え、前記故障判定手段は、前記診断期間中における前記上流排気温度の最小値(HTEXUP)を用いて前記故障判定を行うことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、複数気筒を有する内燃機関の排気通路に配置される排気浄化用触媒(14)と、前記複数気筒に連通する排気マニホールドの集合部より下流側に配設され、前記機関で燃焼する混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段(15)と、前記機関の複数の気筒のそれぞれに対応して配置される燃料噴射弁(6)による燃料噴射量(TOUT)を、検出される空燃比が目標空燃比と一致するように補正する補正係数(KAF)を算出する補正係数算出手段と、算出された補正係数(KAF)を用いて前記燃料噴射量(TOUT)を制御する燃料噴射量制御手段とを備える内燃機関の空燃比制御装置において、前記触媒の下流側における排気温度である下流排気温度(TEXD,HTEXD)を検出または推定する下流排気温度取得手段と、前記機関の運転状態(NE,PBA)を検出する運転状態検出手段と、検出される機関運転状態に応じて前記下流排気温度の適正値である下流温度適正値(TEXDREF)を算出する下流温度適正値算出手段と、前記機関の運転状態が安定している安定状態を判定する安定状態判定手段と、前記機関が安定状態にあると判定されているときに、前記複数気筒のそれぞれに対応する空燃比が許容限度を超えてばらつくインバランス故障を判定する故障判定手段とを備え、前記故障判定手段は、前記補正係数(KAF)を用いて前記燃料噴射量(TOUT)を制御しているときの前記下流排気温度(TEXD,HTEXD)と前記下流温度適正値(TEXDREF)とに基づいて前記インバランス故障が発生していることを判定し、前記インバランス故障は、故障している気筒の燃料噴射量が増加するリッチ故障及び故障している気筒の燃料噴射量が減少するリーン故障であり、前記リッチ故障及びリーン故障の何れが発生した場合においても、前記故障している気筒から排出される排気の温度が他の気筒から排出される排気の温度より低くなる故障であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記運転状態検出手段により検出される機関回転数(NE)に応じて診断期間(TDIAG)を設定する診断期間設定手段をさらに備え、前記故障判定手段は、前記診断期間中における前記下流排気温度の最大値(HTEXDP)を用いて前記故障判定を行うことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、複数気筒を有する内燃機関の排気通路に配置される排気浄化用触媒(14)と、前記複数気筒に連通する排気マニホールドの集合部より下流側に配設され、前記機関で燃焼する混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段(15)と、前記機関の複数の気筒のそれぞれに対応して配置される燃料噴射弁(6)による燃料噴射量(TOUT)を、検出される空燃比が目標空燃比と一致するように補正する補正係数(KAF)を算出する補正係数算出手段と、算出された補正係数(KAF)を用いて前記燃料噴射量(TOUT)を制御する燃料噴射量制御手段とを備える内燃機関の空燃比制御装置において、前記触媒の上流側における排気温度である上流排気温度(TEXU,HTEXU)を検出または推定する上流排気温度取得手段と、前記触媒の下流側における排気温度である下流排気温度(TEXD,HTEXD)を検出または推定する下流排気温度取得手段と、前記機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、検出される機関運転状態に応じて前記上流排気温度の適正値である上流温度適正値(TEXUREF)を算出する上流温度適正値算出手段と、検出される機関運転状態に応じて前記下流排気温度の適正値である下流温度適正値(TEXDREF)を算出する下流温度適正値算出手段と、前記機関の運転状態が安定している安定状態を判定する安定状態判定手段と、前記機関が安定状態にあると判定されているときに、前記複数気筒のそれぞれに対応する空燃比が許容限度を超えてばらつくインバランス故障を判定する故障判定手段とを備え、前記故障判定手段は、前記補正係数を用いて前記燃料噴射量を制御しているときの前記上流排気温度(TEXU,HTEXU)、前記上流温度適正値(TEXUREF)、前記下流排気温度(TEXD,HTEXD)、及び前記下流温度適正値(TEXDREF)に基づいて前記インバランス故障の判定を行うものであって、前記下流排気温度(TEXD,HTEXD)から前記上流排気温度(TEXU,HTEXU)を減算することにより第1差分値(DTEXDU)を算出する第1差分値算出手段と、前記下流温度適正値(TEXDREF)から前記上流温度適正値(TEXUREF)を減算することにより第2差分値(DTEXREF)を算出する第2差分値算出手段とを有し、前記第1差分値(DTEXDU)が前記第2差分値(DTEXREF)より大きいときに前記インバランス故障が発生していると判定し、前記インバランス故障は、故障している気筒の燃料噴射量が増加するリッチ故障及び故障している気筒の燃料噴射量が減少するリーン故障であり、前記リッチ故障及びリーン故障の何れが発生した場合においても、前記故障している気筒から排出される排気の温度が他の気筒から排出される排気の温度より低くなる故障であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項4または6に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記故障判定手段により、前記インバランス故障が発生していると判定されたときに、前記上流排気温度の最小値の取得時期(CRKPB)または下流排気温度の最大値の取得時期(CRKPB)に応じて、故障気筒を特定する気筒特定手段をさらに備えることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項2または3に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記運転状態検出手段により検出される機関回転数(NE)に応じて診断期間(TDIAG)を設定する診断期間設定手段をさらに備え、前記故障判定手段は、前記診断期間中における前記上流排気温度の最小値(HTEXUP)と、前記診断期間中における前記下流排気温度の最大値(HTEXDP)とを用いて前記故障判定を行うことを特徴とする
請求項10に記載の発明は、請求項1、2、3、4、7、または9の何れか1項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記空燃比検出手段は加熱素子(15a)を有する酸素濃度センサであり、前記上流排気温度取得手段は前記加熱素子(15a)に供給する電流の通電デューティ比(DUTY1)または前記加熱素子の抵抗値(RI1)に応じて前記上流排気温度(HTEXU)を推定することを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項2、3、5、6、7、または9の何れか1項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、前記下流排気温度取得手段は加熱素子(16a)を有する酸素濃度センサ(16)であり、前記加熱素子(16a)に供給する電流の通電デューティ比(DOUT2)または前記加熱素子の抵抗値(RI2)に応じて、前記下流排気温度(HTEXD)を推定することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、排気マニホールドの集合部より下流側において検出される空燃比が目標空燃比と一致するように各気筒に対応する燃料噴射弁の噴射量が制御され、触媒の上流側における排気温度である上流排気温度が検出または推定され、検出される機関運転状態に応じて上流排気温度の適正値である上流温度適正値が算出され、機関が安定運転状態にあると判定されているときにインバランス故障判定が実行され、補正係数を用いて燃料噴射量を制御しているときの上流排気温度と上流温度適正値とに基づいてインバランス故障が発生しているか否かが判定される。上記補正係数により空燃比フィードバック制御が実行されるので、1つの気筒の空燃比が減少(燃料噴射量が増加)したときには(リッチ故障発生時)、他の気筒の空燃比が増加(燃料噴射量が減少)し、逆に1つの気筒の空燃比が増加したときには(リーン故障発生時)、他の気筒の空燃比が減少し、平均空燃比が目標空燃比に維持される。触媒の上流側では未燃燃料成分を含む排気の温度は低下する傾向を示し、また燃料噴射量が減少する気筒では熱発生量が減少し、排気の温度は同様に低下する。すなわち、リッチ故障及びリーン故障の何れが発生した場合においても、上流側排気温度は正常時より低下する傾向を示す。したがって、上流排気温度と、機関運転状態に応じて算出される上流温度適正値と基づいてインバランス故障が発生しているか否かを判定することにより、比較的簡単な構成でリッチ故障及びリーン故障をいずれも正確に判定することが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、触媒下流排気温度が検出または推定されるとともに、検出される機関運転状態に応じて下流排気温度の適正値である下流温度適正値が算出され、上流排気温度が上流温度適正値から所定量を減算した温度より低く、かつ下流排気温度が下流温度適正値に所定量を加算した温度より高いときにインバランス故障が発生していると判定される。インバランス故障が発生すると、触媒上流側の排気中に含まれる未燃燃料成分は触媒で燃焼するため、下流排気温度は正常時より上昇する傾向を示す。したがって、上流排気温度についての判定と、下流排気温度についての判定をともに実行することにより、故障判定精度を高めることができる。
請求項3に記載の発明によれば、下流排気温度から上流排気温度を減算することにより第1差分値が算出されるとともに、下流温度適正値から上流温度適正値を減算することにより第2差分値が算出され、上流排気温度が上流温度適正値から所定量を減算した温度より低く、かつ下流排気温度が前記下流温度適正値に所定量を加算した温度より高く、かつ第1差分値が第2差分値より大きいときにインバランス故障が発生していると判定される。インバランス故障が発生すると、上述したように上流排気温度は低下し、下流排気温度は上昇するので、第1差分値は増加する。しかも第1差分値には、上流排気温度または下流排気温度そのものより、顕著にインバランス故障の影響が反映される。したがって、上流排気温度についての判定及び下流側排気温度についての判定に加えて、第1差分値についての判定を行うことにより、故障判定精度をより高めることができる。
請求項4に記載の発明によれば、検出される機関回転数に応じて診断期間が設定され、診断期間中における上流排気温度の最小値を用いて故障判定が行われる。1つの気筒(故障気筒)における空燃比が増加方向または減少方向のどちらにずれても、その故障気筒から排出される排気の温度が他の気筒から排出される排気の温度より低くなり、しかも故障の影響が顕著に反映されるので、上流側排気温度の最小値を用いることにより、故障の態様にかかわらず、インバランス故障を精度良く判定することができる。
請求項5に記載の発明によれば、排気マニホールドの集合部より下流側において検出される空燃比が目標空燃比と一致するように各気筒に対応する燃料噴射弁の噴射量が制御され、触媒の下流側における排気温度である下流排気温度が検出または推定され、検出される機関運転状態に応じて下流排気温度の適正値である下流温度適正値が算出され、機関が安定運転状態にあると判定されているときにインバランス故障判定が実行され、補正係数を用いて燃料噴射量を制御しているときの下流排気温度と下流温度適正値とに基づいてインバランス故障が発生しているか否かが判定される。上記補正係数により空燃比フィードバック制御が実行されるので、1つの気筒の空燃比が減少(燃料噴射量が増加)したときには(リッチ故障発生時)、他の気筒の空燃比が増加(燃料噴射量が減少)し、逆に1つの気筒の空燃比が増加したときには(リーン故障発生時)、他の気筒の空燃比が減少し、平均空燃比が目標空燃比に維持されるが、1つの気筒の空燃比が減少した場合及び増加した場合のいずれにおいても気筒吸入空気量に対して燃料量が過剰となる気筒が存在することから、排気中の未燃燃料成分の比率が増加する傾向を示す。そのため、インバランス故障が発生すると、下流側排気温度は正常時より上昇する傾向を示す。したがって、下流側排気温度と、機関運転状態に応じて算出される下流温度適正値とに基づいて、インバランス故障が発生しているか否かを判定することにより、比較的簡単な構成でリッチ故障及びリーン故障をいずれも正確に判定することが可能となる。
請求項6に記載の発明によれば、検出される機関回転数に応じて診断期間が設定され、診断期間中における下流排気温度の最大値を用いて故障判定が行われる。1つの気筒(故障気筒)における空燃比が増加方向または減少方向のどちらにずれても、その故障気筒から排出される排気が触媒に流入すると、他の気筒から排出される排気が流入したときより、未燃燃料成分の燃焼が促進される。その結果、故障気筒から排出される排気に対応する下流排気温度は、他の気筒から排出される排気に対応する下流排気温度より高くなり、しかも故障の影響が顕著に反映される。したがって、下流側排気温度の最大値を用いることにより、故障の態様にかかわらず、インバランス故障を精度良く判定することができる。
請求項7に記載の発明によれば、排気マニホールドの集合部より下流側において検出される空燃比が目標空燃比と一致するように各気筒に対応する燃料噴射弁の噴射量が制御され、触媒の下流側における排気温度である下流排気温度が検出または推定され、検出される機関運転状態に応じて下流排気温度の適正値である下流温度適正値が算出され、機関が安定運転状態にあると判定されているときにインバランス故障判定が実行される。このインバランス故障判定は、補正係数を用いて燃料噴射量を制御しているときの上流排気温度、上流温度適正値、下流排気温度、及び下流温度適正値に基づいてわれるものであって、下流排気温度から前記上流排気温度を減算することにより第1差分値が算出されるとともに、下流温度適正値から上流温度適正値を減算することにより第2差分値が算出され、第1差分値が第2差分値より大きいときにインバランス故障が発生していると判定される。インバランス故障(リッチ故障及びリーン故障)が発生すると、上述したように上流排気温度は低下し、下流排気温度は上昇するので、第1差分値は増加する。したがって、第1差分値と第2差分値の比較結果に基づいてインバランス故障を判定することにより、比較的簡単な構成でリッチ故障及びリーン故障をいずれも正確に判定することが可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、インバランス故障が発生していると判定されたときに、上流排気温度の最小値の取得時期、または下流排気温度の最大値の取得時期に応じて、故障気筒を特定される。どの気筒に対応する燃料噴射弁が故障しているかに依存して、上流排気温度の最小値の取得時期または下流排気温度の最大値の取得時期が変化するので、上流排気温度または下流排気温度のピーク値の取得時期に応じて故障気筒を特定することができる。
請求項9に記載の発明によれば、検出される機関回転数に応じて診断期間が設定され、診断期間中における上流排気温度の最小値と、診断期間中における下流排気温度の最大値とを用いて故障判定が行われる。上述したように、上流排気温度の最小値及び下流排気温度の最大値には、インバランス故障の影響が顕著に反映されるので、上流排気温度の最小値及び下流排気温度の最大値を両方用いることにより、判定精度を高めることができる。
請求項10に記載の発明によれば、空燃比検出手段の加熱素子に供給する電流の通電デューティ比または加熱素子の抵抗値に応じて上流排気温度が推定されるので、上流排気温を検出する排気温度センサを新たに設ける必要がなく、コスト低減効果が得られる。
請求項11に記載の発明によれば、下流排気温度取得手段は加熱素子を有する酸素濃度センサで構成され、加熱素子に供給する電流の通電デューティ比または加熱素子の抵抗値に応じて、下流排気温度が推定される。排気特性を向上させるために、触媒下流側にも酸素濃度センサを設けて、その下流側酸素濃度センサ出力に応じて目標空燃比の修正を行うことが行われる。したがって、加熱素子を有する下流側酸素濃度センサを用いることにより、下流排気温度を検出するための温度センサを新たに設ける必要がなく、コスト低減効果が得られる。
本発明の一実施形態にかかる内燃機関及びその制御装置の構成を示す図である。 酸素濃度センサの加熱素子に電力を供給する回路の回路図である。 排気温度(TEX)の推定手法を説明するための図である。 インバランス故障の度合(IMB)と、上流排気温度(TEXU)及び下流排気温度(TEXD)との関係を示す図である。 インバランス故障の判定を行う処理のフローチャートである。 図5の処理で実行されるインバランス判定処理のフローチャートである。 図6の処理で参照されるマップを示す図である。 図6の処理で実行される上流排気温度推定処理のフローチャートである。 図6に示す処理の変形例のフローチャートである。 図9の処理で実行される最小値算出処理のフローチャートである。 図6に示す処理の変形例のフローチャートである。 図11の処理で実行される気筒特定処理のフローチャートである。 インバランス故障の判定を行う処理のフローチャートである(第2の実施形態)。 図13の処理で実行されるインバランス判定処理のフローチャートである。 図14の処理で実行される下流排気温度推定処理のフローチャートである。 図13に示す処理の変形例のフローチャートである。 図13に示す処理の変形例のフローチャートである。 インバランス故障の判定を行う処理のフローチャートである(第3の実施形態)。 図18の処理で実行されるインバランス判定処理のフローチャートである。 図19に示す処理の変形例のフローチャートである。 図20の処理で実行される最大値算出処理のフローチャートである。 図19に示す処理の変形例のフローチャートである。 図22の処理で実行される気筒特定処理のフローチャートである。 インバランス判定処理のフローチャートである(第4の実施形態)。 図24に示す処理の変形例のフローチャートである。
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一実施形態にかかる触媒劣化検出装置を含む、内燃機関(以下「エンジン」という)及びその制御装置の全体構成図であり、例えば4気筒のエンジン1の吸気管2の途中にはスロットル弁3が配されている。スロットル弁3にはスロットル弁開度THを検出するスロットル弁開度センサ4が連結されており、その検出信号は電子制御ユニット(以下「ECU」という)5に供給される。
燃料噴射弁6はエンジン1とスロットル弁3との間かつ吸気管2の図示しない吸気弁の少し上流側に各気筒毎に設けられており、各噴射弁は図示しない燃料ポンプに接続されていると共にECU5に電気的に接続されて当該ECU5からの信号により燃料噴射弁6の開弁時間が制御される。
エンジン1の各気筒に設けられた点火プラグ12は、ECU5に接続されており、ECU5から点火信号が供給される。
スロットル弁3の上流側には吸入空気流量GAIRを検出する吸入空気流量センサ7が設けられている。またスロットル弁3の下流側には吸気圧PBAを検出する吸気圧センサ8、及び吸気温TAを検出する吸気温センサ9が設けられている。これらのセンサの検出信号は、ECU5に供給される。エンジン1の本体には、エンジン冷却水温TWを検出する冷却水温センサ10が装着されており、その検出信号はECU5に供給される。
ECU5には、エンジン1のクランク軸(図示せず)の回転角度を検出するクランク角度位置センサ11が接続されており、クランク軸の回転角度に応じた信号がECU5に供給される。クランク角度位置センサ11は、エンジン1の特定の気筒の所定クランク角度位置でパルス(以下「CYLパルス」という)を出力する気筒判別センサ、各気筒の吸入行程開始時の上死点(TDC)に関し所定クランク角度前のクランク角度位置で(4気筒エンジンではクランク角180度毎に)TDCパルスを出力するTDCセンサ及びTDCパルスより短い一定クランク角周期(例えば6度周期)で1パルス(以下「CRKパルス」という)を発生するCRKセンサから成り、CYLパルス、TDCパルス及びCRKパルスがECU5に供給される。これらのパルスは、燃料噴射時期、点火時期等の各種タイミング制御、エンジン回転数(エンジン回転速度)NEの検出に使用される。
排気通路13には三元触媒14が設けられている。三元触媒14は、酸素蓄積能力を有し、エンジン1に供給される混合気の空燃比が理論空燃比よりリーン側に設定され、排気中の酸素濃度が比較的高い排気リーン状態では、排気中の酸素を蓄積し、逆にエンジン1に供給される混合気の空燃比が理論空燃比よりリッチ側に設定され、排気中の酸素濃度が低く、HC、CO成分が多い排気リッチ状態では、蓄積した酸素により排気中のHC,COを酸化する機能を有する。
三元触媒14の上流側であって各気筒に連通する排気マニホールドの集合部より下流側には、比例型酸素濃度センサ15(以下「LAFセンサ15」という)が装着されており、このLAFセンサ15は排気中の酸素濃度(空燃比)にほぼ比例した検出信号を出力し、ECU5に供給する。また三元触媒14の下流側には、二値型酸素濃度センサ16(以下[O2センサ16」という)が装着されており、その検出信号はECU5に供給される。このO2センサ16は、その出力が理論空燃比の前後において急激に変化する特性を有し、その出力は理論空燃比よりリッチ側で高レベルとなり、リーン側で低レベルとなる。
LAFセンサ15及びO2センサ16は、エンジン1の冷間始動時に活性化を促進するための加熱素子15a及び16aを備えている。加熱素子15a及び16aには、ECU5から必要に応じて加熱のための電力が供給されるとともに、加熱素子15aの両端の電圧(以下「加熱素子電圧」という)VT1及び加熱素子16aの両端の加熱素子電圧VT2がECU5に供給される。
ECU5には、エンジン1により駆動される車両のアクセルペダルの踏み込み量(以下「アクセルペダル操作量」という)APを検出するアクセルセンサ21が接続されており、その検出信号がECU5に供給される。スロットル弁3は図示しないアクチュエータにより開閉駆動され、スロットル弁開度THはアクセルペダル操作量APに応じてECU5により制御される。
図示は省略しているが、エンジン1には排気を吸気系に還流する排気還流機構、燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸気系に供給する蒸発燃料処理装置、及び吸気弁の作動位相を連続的に変更する吸気弁作動位相可変機構が備えられている。
ECU5は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路、中央演算処理ユニット(以下「CPU」という)、該CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶回路、燃料噴射弁6に駆動信号を供給する出力回路等から構成される。
ECU5のCPUは、上述の各種センサの検出信号に基づいて、種々のエンジン運転状態を判別するとともに、該判別されたエンジン運転状態に応じて、次式(1)を用いて、TDCパルスに同期して開弁作動する燃料噴射弁6の燃料噴射時間TOUTを演算する。燃料噴射時間TOUTは、噴射される燃料量にほぼ比例するので、以下「燃料噴射量TOUT」という。
TOUT=TIM×KCMD×KAF×KTOTAL (1)
ここに、TIMは基本燃料量、具体的には燃料噴射弁6の基本燃料噴射時間であり、吸入空気流量GAIRに応じて設定されたTIMテーブルを検索して決定される。TIMテーブルは、エンジンに供給する混合気の空燃比がほぼ理論空燃比になるように設定されている。
KCMDはエンジン1の運転状態に応じて設定される目標空燃比係数である。目標空燃比係数KCMDは、空燃比A/Fの逆数、すなわち燃空比F/Aに比例し、理論空燃比のとき値1.0をとるので、以下「目標当量比」という。目標当量比KCMDは、通常制御中はO2センサ16の出力SVO2に応じて修正される。
KAFは、フィードバック制御の実行条件が成立するときは、LAFセンサ15の検出値から算出される検出当量比KACTが目標当量比KCMDに一致するようにPID(比例積分微分)制御あるいは適応制御器(Self Tuning Regulator)を用いた適応制御により算出される空燃比補正係数である。
KTOTALは夫々各種エンジンパラメータ信号に応じて演算される他の補正係数(エンジン冷却水温TMに応じた補正係数KTW、吸気温TAに応じた補正係数KTAなど)の積である。
ECU5のCPUは上述のようにして求めた燃料噴射量TOUTに基づいて燃料噴射弁6を開弁させる駆動信号を出力回路を介して燃料噴射弁6に供給する。また、ECU5のCPUは、LAFセンサ15及びO2センサ16の加熱素子15a及び16aに供給する電力の制御を行うとともに、4つの気筒のそれぞれに対応する空燃比が許容限度を超えてばらつくインバランス故障の判定を行う。
図2は、LAFセンサ15の加熱素子15aに電力を供給する回路の回路図であり、加熱素子15aは抵抗値RI1の抵抗素子であり、加熱素子15aと直列に抵抗15b(抵抗値R)が接続されている。ECU5から電圧VINが供給される。この回路において、抵抗値RI1は下記式(2)で与えられ、電流Iは下記式(3)で与えられる。
Figure 0005512504
したがって、抵抗値RI1は下記式(4)で与えられ、加熱素子電圧VT1から抵抗値RI1を算出することができる。同様にO2センサ16の加熱素子16aの抵抗値RI2は、下記式(5)で与えられ、加熱素子電圧VT2から抵抗値RI2を算出することができる。
Figure 0005512504
加熱素子15aの温度は供給電流Iが「0」であれば、その周囲の排気温度TEXとほぼ等しくなり、抵抗値RI1は図3(a)に示すように排気温度TEXが高くなるほど減少する。したがって、抵抗値RI1から図3(a)に示す関係を用いて、LAFセンサ15近傍の排気温度TEXUを推定することができる。加熱素子16aの抵抗値RI2と、その素子温度との関係も同一であり、抵抗値RI2からO2センサ16近傍の排気温度TEXDを推定することができる。
LAFセンサ15は三元触媒14の上流側に配置され、O2センサ16は三元触媒14の下流側に配置されているので、以下の説明では、排気温度TEXUを「上流排気温度TEXU」といい、排気温度TEXDを「下流排気温度TEXD」という。また、抵抗値RI1及びRI2に応じて推定される排気温度をそれぞれ「推定上流排気温度HTEXU」及び「推定下流排気温度HTEXD」という。
LAFセンサ15及びO2センサ16の暖機完了後は、それぞれの供給電流Iは「0」となるが、本実施形態では、排気温度の推定を行うために短時間微少電流を供給し、そのときの電圧VIN及び加熱素子電圧VT1,VT2をそれぞれ式(4)及び(5)に適用して抵抗値RI1,RI2を算出する。さらに、図3(a)に示す関係を用いて、推定上流排気温度HTEXU及び推定下流排気温度HTEXDの算出を行う。
一方、暖機完了前は、抵抗値RI1,RI2が目標抵抗値RITとなるように電流Iのデューティ比DUTYがフィードバック制御されるので、デューティ比DUTYと排気温度TEXとの関係は、図3(b)に示すようになる。したがって、本実施形態では、暖機完了前は図3(b)に示す関係を用いることにより、デューティ比DUTYに応じて推定上流排気温度HTEXU及び推定下流排気温度HTEXDの算出を行う。
次に本実施形態におけるインバランス故障判定の手法の概要を図4を参照して説明する。図4は、インバランス故障の度合を示す故障パラメータIMB(具体的には、4気筒エンジンにおける1つの気筒の燃料噴射量の増加割合を示すパラメータ)と、上流排気温度TEXU(破線)及び下流排気温度TEXD(実線)との関係を示す。故障パラメータIMB(故障度合)が増加するほど、上流排気温度TEXUは低下し、下流排気温度TEXDは上昇する傾向を示す。1つの気筒(故障気筒)の燃料噴射量が増加するインバランス故障(以下「リッチ故障」という)が発生すると、LAFセンサ15により検出される空燃比(検出当量比KACT)に応じた空燃比フィードバック制御が行われることによって、他の気筒(正常気筒)の燃料噴射量は減少する。三元触媒14の上流側では故障気筒から排出される、未燃燃料成分を含む排気の温度は低下する傾向を示し、また正常気筒においては燃料噴射量の減少によって熱発生量が減少し、排気の温度は同様に低下する。したがって、リッチ故障が発生すると、上流排気温度TEXUは低下する一方、未燃燃料成分は三元触媒14で燃焼するため、下流排気温度TEXDは上昇する。
また、故障気筒の燃料噴射量が減少するインバランス故障(以下「リーン故障」という)が発生すると、正常気筒の燃料噴射量は増加するため、正常気筒から未燃燃料成分が排出される。その結果、上流排気温度TEXUは低下する一方、未燃燃料成分は三元触媒14で燃焼するため、下流排気温度TEXDは上昇する。
以上のように、リッチ故障及びリーン故障のいずれが発生した場合においても、上流排気温度TEXUは低下し、下流排気温度TEXDは上昇する傾向を示す。そこで、本実施形態及び後述する他の実施形態においては、上流側排気温度TEXU及び/または下流排気温度TEXDの変化に基づいて、インバランス故障の判定が行われる。
図5は、インバランス故障判定を行う処理の手順を示すフローチャートであり、この処理はECU5のCPUで実行される。
ステップS11では、運転状態フラグFECNDが「1」であるか否かを判別する。運転状態フラグFECNDは、インバランス故障判定を実行可能なエンジン運転状態において「1」に設定される。具体的には、エンジン回転数NE及び吸気圧PBAが所定範囲内にあるとき「1」に設定される。ステップS11の答が肯定(YES)であるときは、LAFセンサ活性化フラグFLAFACVが「1」であるか否かを判別する。LAFセンサ活性化フラグFLAFACVは、LAFセンサ15が活性化すると「1」に設定される。
ステップS11またはS12の答が否定(NO)であるときは、処理を終了する。ステップS12の答が肯定(YES)であるときは、図6に示すインバランス判定処理を実行する(ステップS13)。
図6は、図5のステップS13で実行されるインバランス判定処理のフローチャートである。
ステップS31では、排気還流及び蒸発燃料の供給を停止するとともに、吸気弁作動位相可変機構による吸気弁作動位相の変更を停止し、さらに点火時期を固定値に設定する前処理を実行する。ステップS32では、所定安定化時間TSTBL(例えば2sec)が経過したか否かを判別し、その答が否定(NO)であるときは直ちに処理を終了する。
ステップS32の答が肯定(YES)であるときは、エンジン回転数NE及び吸気圧に応じて図7に示す第1適正値マップを検索し、エンジン運転状態に応じた上流排気温度TEXUの適正値(インバランス故障が発生していない状態における平均的な上流排気温度、以下「上流温度適正値」という)TEXUREFを算出する。図7に示すマップの線L1〜L3は、所定排気温度TEX1(例えば300℃)、TEX2(例えば600℃)、及びTEX3(例えば900℃)に対応する。すなわち、第1適正値マップは、エンジン回転数NEが増加するほど上流温度適正値TEXUREFが高くなり、かつ吸気圧PBAが増加するほど上流温度適正値TEXUREFが高くなるように設定されている。
ステップS34では、図8に示す上流排気温度推定処理を実行する。図8のステップS21では、第1抵抗値制御フラグFLAFRICNTが「1」であるか否かを判別する。第1抵抗値制御フラグFLAFRICNTは、LAFセンサ15の加熱素子15aの抵抗値RI1が目標抵抗値RITと一致するようにDUTY制御を実行しているとき「1」に設定される。第1抵抗値制御フラグFLAFRICNTは、加熱素子15aに供給される電流のデューティ比DUTY1が所定下限デューティ比DUTMIN以上であるとき「1」に設定される。
ステップS21の答が肯定(YES)であるときは、デューティ比DUTY1に応じて、図3(b)に示す特性が設定されたテーブル(以下「DUTYテーブル」という)を検索し、推定上流排気温度HTEXUを算出する(ステップS22)。一方、ステップS21の答が否定(NO)であって、暖機が完了しているときは、抵抗値RI1に応じて図3(a)に示す特性が設定されたテーブル(以下「RIテーブル」という)を検索し、推定上流排気温度HTEXUを算出する(ステップS23)。
図6に戻り、ステップS35では、推定上流排気温度HTEXUが、上流温度適正値TEXUREFから所定量DTEX(例えば50℃)を減算した温度より低いか否かを判別し、この答が否定(NO)であるときは正常と判定する(ステップS37)。一方、ステップS35の答が肯定(YES)であって、推定上流排気温度HTEXUが上流温度適正値TEXUREFから所定量DTEXを減算した温度より低いときは、インバランス故障が発生していると判定する(ステップS36)。
ステップS38では、正常判定またはインバランス故障が発生しているとの判定が所定時間継続したときに、正常またはインバランス故障の最終判定を行う。インバランス故障が発生していると判定されたときは、インバランス故障フラグFIMBFAILを「1」に設定する。
以上のように本実施形態によれば、排気マニホールドの集合部より下流側に設けられたLAFセンサ15によって検出される空燃比が目標空燃比と一致するように各気筒に対応する燃料噴射量TOUTが制御され、三元触媒14の上流側における排気温度の推定値である推定上流排気温度HTEXUが算出されるとともに、検出されるエンジン回転数NE及び吸気圧PBAに応じて上流排気温度の適正値である上流温度適正値TEXUREFが算出される。前処理実行後、所定安定化時間TSTBLが経過した安定運転状態においてインバランス故障判定が実行され、推定上流排気温度HTEXUが上流温度適正値TEXUREFから所定量DTEXを減算した温度より低いときにインバランス故障が発生していると判定される。
空燃比補正係数KAFにより空燃比フィードバック制御が実行されるので、1つの気筒の空燃比が減少(燃料噴射量が増加)したときには(リッチ故障)、他の気筒の空燃比が増加(燃料噴射量が減少)し、逆に1つの気筒の空燃比が増加したときには(リーン故障)、他の気筒の空燃比が減少し、平均空燃比が目標空燃比に維持されるが、上述したようにリッチ故障及びリーン故障のいずれが発生した場合においても、上流側排気温度TEXUは正常時より低下する傾向を示す。したがって、推定上流排気温度HTEXUが、エンジン運転状態に応じて算出される上流温度適正値TEXUREFから所定量DTEXを減算した温度より低いときにインバランス故障が発生したと判定することにより、比較的簡単な構成でインバランス故障(リッチ故障及びリーン故障)を正確に判定することが可能となる。
また本実施形態では、LAFセンサ15の加熱素子15aに供給する電流のデューティ比DUTY1または加熱素子の抵抗値RI1に応じて推定上流排気温度HTEXUが算出されるので、上流排気温TEXUを検出する排気温度センサを新たに設ける必要がなく、コスト低減効果が得られる。
本実施形態では、クランク角度位置センサ11及び吸気圧センサ8が運転状態検出手段に相当し、LAFセンサ15が空燃比検出手段及び上流排気温度取得手段の一部に相当し、ECU5が補正係数算出手段、燃料噴射量制御手段、上流排気温度取得手段の一部、上流温度適正値算出手段、安定状態判定手段、及び故障判定手段を構成する。具体的には、図6の処理が上流排気温度取得手段に相当し、図6のステップS32が安定状態判定手段に相当し、ステップS33が上流温度適正値算出手段に相当し、ステップS34〜S37が故障判定手段に相当する。
[変形例1]
本変形例は、エンジン回転数NEに応じて診断期間を設定し、診断期間中における推定上流排気温度HTEXUの最小値(下側ピーク値)を用いてインバランス故障判定を行うようにしたものである。
例えば1つの気筒(故障気筒)の燃料噴射量が制御指令値より大きくなる(空燃比が目標空燃比より小さくなる)リッチ故障が発生したときは、平均空燃比が目標空燃比と一致するように空燃比フィードバック制御が行われる結果、他の3気筒においては、空燃比が目標空燃比より大きな値となるように燃料噴射が行われる。そのため、故障気筒から排出される排気中の未燃燃料成分が増加し、その温度低下量は、他の気筒から排出される排気の温度低下量より大きくなる。したがって、故障気筒から排出される排気の温度が最小となる傾向を示す。
一方、故障気筒の燃料噴射量が制御指令値より小さくなる(空燃比が目標空燃比より大きくなる)リーン故障が発生したときは、空燃比フィードバック制御が行われる結果、他の3気筒においては、空燃比が目標空燃比より小さな値となるように燃料噴射が行われる。そのため、故障気筒における熱発生量が減少し、故障気筒から排出される排気の温度の低下量は、他の気筒から排出される排気の温度の低下量より大きくなる。したがって、リッチ故障の場合と同様に、故障気筒から排出される排気の温度が最小となる傾向を示す。
すなわち、リッチ故障及びリーン故障のいずれが発生した場合においても、故障気筒から排出される排気の温度が、他の気筒から排出される排気の温度より低くなる。また故障気筒における燃料噴射量の変化量が例えば+30%(−30%)であるとすると、正常気筒における燃料噴射量の変化量は、−10%(+10%)となるため(4気筒エンジン)、故障気筒における排気温度低下の影響が、上流排気温度TEXUに顕著に反映され、最小値(下側ピーク値)の検出を行うことができる。
図9は、本変形例におけるインバランス判定処理のフローチャートであり、図9に示す処理は、図6に示す処理にステップS33a及び33bを追加し、ステップS34をステップS34aに変更したものである。
ステップS33aでは、エンジン回転数NE[rpm]の応じて診断時間TDIAGを算出する。診断時間TDIAG[sec]は、クランク軸が720度回転する時間(1燃焼サイクルに相当する時間)であり、下記式(11)で与えられる。
TDIAG=120/NE (11)
ステップS33bでは、図10に示す最小値算出処理を実行する。図10のステップ41では、ダウンカウントタイマTMを診断時間TDIAGに設定してスタートさせる。ステップS42では、タイマTMの値が「0」であるか否かを判別する。最初はこの答は否定(NO)であるので、タイマTMの値が「0」となるまで、ステップS43及びS44を一定時間TCAL毎に繰り返し実行する。
ステップS43では、図8の上流排気温度推定処理を実行し、推定上流排気温度HTEXUを算出する。ステップS44では、ステップS43で算出した推定上流排気温度HTEXUを、記憶値HTEXU(n)として記憶するとともに、上流排気温度変化量DTEXU(n)を下記式(12)により算出する。nは、上記一定時間TCALで離散化した離散化時刻であり、以下「タイミングパラメータ」という。
DTEXU(n)=HTEXU(n)−HTEXU(n-1) (12)
タイマTMの値が「0」となると、ステップS43からステップS45に進み、上流排気温度最小値HTEXUPを算出する。すなわち、上流排気温度変化量DTEXU(n)の符号が負から正に変化したときのタイミングパラメータnの値から「1」を減算した値をピークタイミング値nPとして選択し、上流排気温度最小値HTEXUPをHTEXU(nP)に設定する。
図9に戻り、ステップS34aでは、上流排気温度最小値HTEXUPが、上流温度適正値TEXUREFから所定量DTEXを減算した温度より低いか否かを判別する。その答が否定(NO)であるときは正常と判定し(ステップS36)、ステップS34aの答が肯定(YES)であるときはインバランス故障が発生していると判定する(ステップS37)。
以上のように本変形例では、エンジン回転数NEに応じて診断期間が設定され、診断期間中における推定上流排気温度HTEXUの最小値HTEXUPを用いてインバランス故障判定が行われる。上述したように故障気筒における空燃比が増加方向または減少方向のどちらにずれても、その故障気筒から排出される排気の温度が他の気筒から排出される排気の温度より低くなり、しかも故障の影響が顕著に反映されるので、上流排気温度最小値HTEXUPを用いることにより、故障の態様にかかわらず、インバランス故障を精度良く判定することができる。
本変形例では、図9のステップS33aが診断期間設定手段に相当し、ステップS34a〜S37が故障判定手段に相当する。
[変形例2]
本変形例は、図6の処理においてインバランス故障が発生していると判定されたときに、さらに故障が発生している気筒を特定する処理を行うようにしたものである。
図11は、本変形例におけるインバランス判定処理のフローチャートであり、この処理は図6の処理にステップS39及びS40を追加したものである。
ステップS39では、インバランス故障フラグFIMBFAILが「1」であるか否かを判別し、その答が否定(NO)であるときは直ちに処理を終了する。FIMBFAIL=1であるときは、図12に示す気筒特定処理を実行する。
図12のステップS51では、図11のステップS31と同様の前処理を実行し、ステップS52では図9のステップS33aと同様にエンジン回転数NEに応じて診断時間TDIAGを算出する。ステップS53ではダウンカウントタイマTMを診断時間TDIAGに設定に設定してスタートさせる。ステップS54では、タイマTMの値が「0」であるか否かを判別する。最初はこの答は否定(NO)であるので、タイマTMの値が「0」となるまで、ステップS55〜S57を一定時間TCAL毎に繰り返し実行する。
ステップS55では、図8の上流排気温度推定処理を実行し、推定上流排気温度HTEXUを算出する。ステップS56では、ステップS55で算出した推定上流排気温度HTEXUを、記憶値HTEXU(n)として記憶するとともに、上流排気温度変化量DTEXU(n)を前記式(12)により算出する。ステップS57では、その時点のクランク角度CRK(n)、エンジン回転数NE(n)、及び吸気圧PBA(n)を記憶する。クランク角度CRK(n)は、0度から720度の間の値をとる。
タイマTMの値が「0」となると、ステップS54からステップS58に進み、上流排気温度最小値HTEXUPを算出する。すなわち、上流排気温度変化量DTEXU(n)の符号が負から正に変化したときのタイミングパラメータnの値から「1」を減算した値をピークタイミング値nPとして選択し、上流排気温度最小値HTEXUPをHTEXU(nP)に設定する。さらにステップS58では、基本ピーク位置角度CRKPBを、上流排気温度最小値HTEXUPに対応するクランク角度CRK(nP)に設定する。
ステップS59では、上流排気温度最小値HTEXUPに対応するエンジン回転数NE(nP)及び吸気圧PBA(nP)の応じてDCRKPマップ(図示せず)を検索することにより、気筒から排出される排気がLAFセンサ15に到達するまでの遅れ時間に相当する遅れ角度DCRKPを算出する。DCRKPマップは、エンジン回転数NEが高くなるほど遅れ角度DCRKPが減少し、かつ吸気圧PBAが高くなるほど遅れ角度DCRKPが減少するように設定されている。
ステップS60では、基本ピーク位置角度CRKPBから遅れ角度DCRKPを減算して(下記式(13))、ピーク位置角度CRKPを算出する。
CRKP=CRKPB−DCRKP (13)
ステップS61では、ピーク位置角度CRKPが正の値であるか否かを判別し、その答が肯定(YES)であるときは直ちにステップS63に進む。CRKP≦0であるときは、720度を加算して(ステップS62)、ステップS63に進む。
ステップS63では、ピーク位置角度CRKPに応じて故障気筒を特定する。クランク角度CRKと各気筒の行程との関係は予め定められているので、ピーク位置角度CRKPから対応する気筒を容易に特定することができる。
以上のように本変形例では、インバランス故障が発生していると判定されたときに、上流排気温度最小値HTEXUPの取得時期を示すピーク位置角度CRKPに応じて、故障気筒が特定される。どの気筒に対応する燃料噴射弁が故障しているかに依存して、上流排気温度最小値HTEXUPに対応するピーク位置角度CRKPが変化するので、ピーク位置角度CRKPに応じて故障気筒を特定することが可能となる。
本変形例では、図12の処理が気筒特定手段に相当する。
[第2の実施形態]
本実施形態は、推定上流排気温度HTEXUとともに、推定下流排気温度HTEXDを用いてインバランス故障判定を行うようにしたものである。以下に説明する点以外は、第1の実施形態と同一である。
図13は本実施形態における故障判定処理のフローチャートである。ステップS71及びS72は、図5のステップS11及びS12と同一のステップである。ステップS73では、O2センサ活性化フラグFO2ACVが「1」であるか否かを判別する。O2センサ活性化フラグFO2ACVは、O2センサ16が活性化すると「1」に設定される。
ステップS71〜S73の何れかの答が否定(NO)であるときは、処理を終了し、ステップS73の答が肯定(YES)であるときは、図14に示すインバランス判定処理を実行する。
図14のステップS81〜S84は、図6のステップS31〜S34と同一のステップである。ステップS85では、エンジン回転数NE及び吸気圧HPBAに応じて第2適正値マップ(図示せず)を検索し、エンジン運転状態に応じた下流排気温度TEXDの適正値(インバランス故障が発生していない状態における平均的な下流排気温度、以下「下流温度適正値」という)TEXDREFを算出する。第2適正値マップの設定値は、対応する同一運転状態における第1適正値マップの設定値より大きな値に設定されている。
ステップS86では、図15に示す下流排気温度推定処理を実行する。図15のステップS101では、第2抵抗値制御フラグFO2RICNTが「1」であるか否かを判別する。第2抵抗値制御フラグFO2RICNTは、O2センサ15の加熱素子16aの抵抗値RI2が目標抵抗値RITと一致するようにDUTY制御を実行しているとき「1」に設定される。第2抵抗値制御フラグFO2RICNTは、加熱素子16aに供給される電流のデューティ比DUTY2が所定下限デューティ比DUTMIN以上であるとき「1」に設定される。
ステップS101の答が肯定(YES)であるときは、デューティ比DUTY2に応じて、図3(b)に示すDUTYテーブルを検索し、推定下流排気温度HTEXDを算出する(ステップS102)。一方、ステップS101の答が否定(NO)であって、暖機が完了しているときは、抵抗値RI2に応じて図3(a)に示すRIテーブルを検索し、推定下流排気温度HTEXDを算出する(ステップS103)。
図14に戻り、ステップS87では、推定上流排気温度HTEXUが、上流温度適正値TEXUREFから所定量DTEXを減算した値より低いか否かを判別し、この答が肯定(YES)であるときは、さらに推定下流排気温度HTEXDが、下流温度適正値TEXDREFに所定量DTEXを加算した値より高いか否かを判別する(ステップS88)。ステップS87またはS88の答が否定(NO)であるときは正常と判定する(ステップS90)。一方、ステップS88の答が肯定(YES)であって、推定上流排気温度HTEXUが上流温度適正値TEXUREFから所定量DTEXを減算した温度より低く、かつ推定下流排気温度HTEXDが下流温度適正値TEXDREFに所定量DTEXを加算した温度より高いときは、インバランス故障が発生していると判定する(ステップS89)。
ステップS91では、正常判定またはインバランス故障が発生しているとの判定が所定時間継続したときに、正常またはインバランス故障の最終判定を行う。インバランス故障が発生していると判定されたときは、インバランス故障フラグFIMBFAILを「1」に設定する。
以上のように本実施形態では、推定上流排気温度HTEXUについての判定(ステップS87)と、推定下流排気温度HTEXDについての判定(ステップS88)がともに実行されるので、故障判定精度を高めることができる。
本実施形態では、図15の処理が下流排気温度取得手段に相当し、図14のステップS85が下流温度適正値算出手段に相当し、ステップS87〜S91が故障判定手段に相当する。
[変形例1]
図14の処理は、図16に示すように変形してもよい。図16の処理は、図14の処理にステップS86a及びS88aを追加したものである。
ステップS86aでは、下記式(21)により、推定下流排気温度HTEXDと推定上流排気温度HTEXUとの差分値(以下「第1差分値」という)DTEXDUを算出するとともに、下記式(22)により、下流温度適正値TEXDREFと上流温度適正値TEXUREFとの差分値(以下「第2差分値」という)DTEXREFを算出する。
DTEXDU=HTEXD−HTEXU (21)
DTEXREF=TEXDREF−TEXUREF (22)
ステップS88aでは、第1差分値DTEXDUが第2差分値DTEXREFより大きいか否かを判別する。ステップS88aの答が否定(NO)であるときは、正常と判定し(ステップS90)、ステップS88aの答が肯定(YES)であるときは、インバランス故障が発生していると判定する(ステップS89)。
本変形例によれば、推定上流排気温度HTEXUについての判定(ステップS87)、及び推定下流排気温度HTEXDについての判定(ステップS88)に加えて、第1差分値DTEXDUについての判定(ステップS88a)が行われ、推定上流排気温度HTEXUが上流温度適正値TEXUREFから所定量DTEXを減算した温度より低く、かつ推定下流排気温度HTEXDが下流温度適正値TEXDREFに所定量DTEXを加算した温度より高く、かつ第1差分値DTEXDUが第2差分値DTEXREFより大きいときにインバランス故障が発生していると判定される。第1差分値DTEXDUには、推定上流排気温度HTEXUまたは推定下流排気温度HTEXDそのものより、顕著にインバランス故障の影響が反映されるので、第1差分値DTEXDUについての判定も行うことにより、故障判定精度をより高めることができる。
本変形例では、図16のステップS86aが第1差分値算出手段及び第2差分値算出手段に相当し、ステップS87,S88,S88a,及びS89〜S91が故障判定手段に相当する。
[変形例2]
図16の処理は図17に示すように変形してもよい。図17の処理は、図16のステップS87及びS88を削除したものである。すなわち、本変形例では第1差分値DTEXDUについての判定(ステップS88a)のみ行われる。変形例2に比べて判定精度は低下する可能性があるが、第1の実施形態より判定精度を高めることができる。
本変形例では、図17のステップS88a及びS89〜S91が故障判定手段に相当する。
[第3の実施形態]
本実施形態は、推定上流排気温度HTEXUに代えて推定下流排気温度HTEXDを用いてインバランス故障判定を行うようにしたものである。以下に説明する点以外は第1の実施形態と同一である。
図18は、本実施形態におけるインバランス故障判定処理のフローチャートである。この処理は、図13のステップS72を削除したものに相当する。本実施形態では、推定下流排気温度HTEXDを用いて、ステップS174のインバランス判定が行われるので、ステップS173においてO2センサ活性化フラグFO2ACVが「1」であるとき、ステップS174に進み、インバランス判定処理が実行される。
図19は、図18のステップS174で実行されるインバランス判定処理のフローチャートである。ステップS131,S132,及びS136〜S138は、図6のステップS31,S32,及びS36〜S38と同一のステップである。
ステップS133では、図14のステップS85と同様にして、下流温度適正値TEXDREFを算出する。ステップS134では、図15に示す下流排気温度推定処理を実行し、推定下流排気温度HTEXDを算出する。ステップS135では、推定下流排気温度HTEXDが、下流温度適正値TEXDREFに所定量DTEXを加算した温度より高いか否かを判別し、その答が否定(NO)であるときは正常と判定する(ステップS137)。
ステップS135の答が肯定(YES)であるときは、インバランス故障が発生していると判定する(ステップS136)。
本実施形態によれば、推定下流排気温度HTEXDが下流温度適正値TEXDREFに所定量DTEXを加算した温度より高いときに、インバランス故障が発生していると判定される。第2の実施形態と比較すると、判定精度は低くなる可能性があるが、第1の実施形態と同程度の精度を確保することができる。
本実施形態では、O2センサ16が下流排気温度取得手段の一部を構成し、図19のステップS133が下流温度適正値算出手段に相当し、ステップS134が下流排気温度取得手段に相当し、ステップS134〜S137が故障判定手段に相当する。
[変形例1]
本変形例は、エンジン回転数NEに応じて診断期間を設定し、診断期間中における推定下流排気温度HTEXDの最大値(上側ピーク値)を用いてインバランス故障判定を行うようにしたものである。
例えば1つの気筒(故障気筒)の燃料噴射量が制御指令値より大きくなるリッチ故障が発生したときは、空燃比フィードバック制御が行われる結果、他の3気筒の空燃比は目標空燃比より大きな値となるように燃料噴射が行われる。そのため、故障気筒から排出される排気中の未燃燃料成分が増加する一方、他の気筒から排出される排気中の酸素濃度が増加する。三元触媒14では、故障気筒からの未燃燃料成分と、他の気筒からの酸素とが反応するため、未燃燃料成分を含む故障気筒からの排気に対応する下流排気温度は、他の気筒から排出される排気に対応する下流排気温度より高くなる。
また、故障気筒の燃料噴射量が制御指令値より小さくなるリーン故障が発生したときは、空燃比フィードバック制御が行われる結果、他の3気筒の空燃比は目標空燃比より小さな値となるように燃料噴射が行われる。そのため、故障気筒から排出される排気中の酸素濃度が増加する一方、他の気筒から排出される排気中の未燃燃料成分が増加する。三元触媒14では、故障気筒からの酸素と、他の気筒からの未燃燃料成分とが反応するため、酸素濃度が高い故障気筒からの排気に対応する下流排気温度は、他の気筒から排出される排気に対応する下流排気温度より高くなる。
すなわち、リッチ故障及びリーン故障のいずれが発生した場合においても、故障気筒から排出される排気に対応する下流排気温度が、他の気筒から排出される排気に対応する下流排気温度より高くなる。また故障気筒における燃料噴射量の変化量が例えば+30%(−30%)であるとすると、正常気筒における燃料噴射量の変化量は、−10%(+10%)となるため(4気筒エンジン)、故障気筒に対応する排気の温度上昇の影響が、下流排気温度TEXUに顕著に反映されるため、最大値(上側ピーク値)の検出を行うことができる。
図20は、本変形例におけるインバランス判定処理のフローチャートであり、図20に示す処理は、図19に示す処理にステップS133a及び133bを追加し、ステップS134をステップS134aに変更したものである。
ステップS133aでは、エンジン回転数NEに応じて診断時間TDIAGを算出し、ステップS133bでは、図21に示す最大値算出処理を実行する。図21のステップ141及びS142は、図10のステップS41及びS42と同一のステップであり、タイマTMの値が「0」となるまで、ステップS143及びS144を一定時間TCAL毎に繰り返し実行する。
ステップS143では、図15の下流排気温度推定処理を実行し、推定下流排気温度HTEXDを算出する。ステップS144では、ステップS143で算出した推定下流排気温度HTEXDを、記憶値HTEXD(n)として記憶するとともに、下流排気温度変化量DTEXD(n)を下記式(31)により算出する。
DTEXD(n)=HTEXD(n)−HTEXD(n-1) (31)
タイマTMの値が「0」となると、ステップS142からステップS145に進み、下流排気温度最大値HTEXDPを算出する。すなわち、下流排気温度変化量DTEXD(n)の符号が正から負に変化したときのタイミングパラメータnの値から「1」を減算した値をピークタイミング値nPとして選択し、下流排気温度最大値HTEXDPをHTEXD(nP)に設定する。
図20に戻り、ステップS134aでは、下流排気温度最大値HTEXDPが、下流温度適正値TEXDREFに所定量DTEXを加算した温度より高いか否かを判別する。その答が否定(NO)であるときは正常と判定し(ステップS136)、その答が肯定(YES)であるときはインバランス故障が発生していると判定する(ステップS135)。
以上のように本変形例では、エンジン回転数NEに応じて診断期間が設定され、診断期間中における推定下流排気温度HTEXDの最大値HTEXDPを用いてインバランス故障判定が行われる。上述したように故障気筒における空燃比が増加方向または減少方向のどちらにずれても、その故障気筒から排出される排気に対応する下流排気温度が他の気筒から排出される排気に対応する下流排気温度より高くなり、しかも故障の影響が顕著に反映されるので、推定下流側排気温度の最大値HTEXDPを用いることにより、故障の態様にかかわらず、インバランス故障を精度良く判定することができる。
本変形例では、図20のステップS133aが診断期間設定手段に相当し、ステップS134a〜S137が故障判定手段に相当する。
[変形例2]
本変形例は、図19の処理においてインバランス故障が発生していると判定されたときに、さらに故障が発生している気筒を特定する処理を行うようにしたものである。
図22は、本変形例におけるインバランス判定処理のフローチャートであり、この処理は図19の処理にステップS139及びS140を追加したものである。
ステップS139では、インバランス故障フラグFIMBFAILが「1」であるか否かを判別し、その答が否定(NO)であるときは直ちに処理を終了する。FIMBFAIL=1であるときは、図23に示す気筒特定処理を実行する。
図23のステップS151〜S154は、それぞれ図12のステップS51〜S54と同一であり、タイマTMの値が「0」となるまで、ステップS155〜S157を一定時間TCAL毎に繰り返し実行する。
ステップS155では、図15の下流排気温度推定処理を実行し、推定下流排気温度HTEXDを算出する。ステップS156では、ステップS155で算出した推定下流排気温度HTEXDを、記憶値HTEXD(n)として記憶するとともに、下流排気温度変化量DTEXD(n)を前記式(31)により算出する。ステップS157では、その時点のクランク角度CRK(n)、エンジン回転数NE(n)、及び吸気圧PBA(n)を記憶する。
タイマTMの値が「0」となると、ステップS154からステップS158に進み、下流排気温度最大値HTEXDPを算出する。すなわち、下流排気温度変化量DTEXD(n)の符号が正から負に変化したときのタイミングパラメータnの値から「1」を減算した値をピークタイミング値nPとして選択し、下流排気温度最大値HTEXDPをHTEXD(nP)に設定する。さらにステップS158では、基本ピーク位置角度CRKPBを、下流排気温度最大値HTEXDPに対応するクランク角度CRK(nP)に設定する。
ステップS159〜S163は、図12のステップS59〜63と同一であり、ピーク位置角度CRKPに応じて故障気筒が特定される。
以上のように本変形例では、インバランス故障が発生していると判定されたときに、下流排気温度最大値HTEXDPの取得時期を示すピーク位置角度CRKPに応じて、故障気筒が特定される。どの気筒に対応する燃料噴射弁が故障しているかに依存して、下流排気温度最大値HTEXDPに対応するピーク位置角度CRKPが変化するので、ピーク位置角度CRKPに応じて故障気筒を特定することが可能となる。
本変形例では、図23の処理が気筒特定手段に相当する。
[第4の実施形態]
本実施形態は、推定上流排気温度HTEXUの最小値HTEXUP及び推定下流排気温度HTEXDの最大値HTEXDPを用いてインバランス故障判定を行うようにしたものである。以下に説明する点以外は第2の実施形態と同一である。
図24は本実施形態におけるインバランス判定処理のフローチャートである。ステップS181〜S186は、図9のステップS31〜S33,S33a,S33b,及びS34aと同一である。
ステップS186の答が肯定(YES)であるときは、さらにステップS187〜S190を実行し、推定下流排気温度HTEXDの最大値HTEXDPによる判定を行う。ステップS187〜S190は、図20のステップS133,S133a,S133b,及びS134aと同一である。
以上のように本実施形態では、上流排気温度最小値HTEXUPが上流温度適正値TEXUREFから所定量DTEXを減算した温度より低く、かつ下流排気温度最大値HTEXDPが下流温度適正値TEXDREFに所定量DTEXを加算した温度より高いときに、インバランス故障が発生していると判定されるので、判定精度を高めることができる。
本実施形態では、ステップS185,S186,及びS189〜S193が故障判定手段に相当する。
[変形例]
図24の処理は、図25に示すように変形してもよい。図25の処理は、図24の処理にステップS189a及び190aを追加したものである。
ステップS189aでは、下流排気温度最大値HTEXDPから上流排気温度最小値HTEXUPを減算するとにより、ピーク差分値DTEXDUPを算出する(下記式(41))とともに、前記式(22)により第2差分値DTEXREFを算出する。
DTEXDUP=HTEXDP−HTEXUP (41)
ステップS190の答が肯定(YES)であるときは、さらにステップS190aでピーク差分値DTEXDUPが第2差分値DTEXREFより大きいか否かを判別する。その答が否定(NO)であるときは正常と判定し(ステップS192)、ピーク差分値DTEXDUPが第2差分値DTEXREFより大きいときは、インバランス故障が発生している判定する(ステップS191)。
本変形例では、上流排気温度最小値HTEXUPが上流温度適正値TEXUREFから所定量DTEXを減算した温度より低く、かつ下流排気温度最大値HTEXDPが下流温度適正値TEXDREFに所定量DTEXを加算した温度より高く、かつピーク差分値DTEXDUPが第2差分値DTEXREFより大きいときにインバランス故障が発生していると判定される。ピーク差分値DTEXDUPには、上流排気温度最小値HTEXUPまたは下流排気温度最大値HTEXDPそのものより、顕著にインバランス故障の影響が反映されるので、ピーク差分値DTEXDUPについての判定も行うことにより、故障判定精度をより高めることができる。
本変形例では、図25のステップS189aが第1差分値算出手段及び第2差分値算出手段に相当し、ステップS185,S186,S189,S190,S190a,及びS191〜S193が故障判定手段に相当する。
なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、他の変形も可能である。例えば、上流排気温度TEXU及び/または下流排気温度TEXDを検出する温度センサを排気通路13に配置し、上述した推定上流排気温度HTEXU及び/または推定下流排気温度HTEXDに代えて、検出される上流排気温度TEXU及び/または下流排気温度TEXDをインバランス判定に用いるようにしてもよい。
また、上流温度適正値TEXUREF及び下流温度適正値TEXDREFは、図6のステップS35、図19のステップS135などにおける判定閾値としてそのまま使用できるようにエンジン運転状態(NE,PBA)に応じて設定するようにしてもよい。その場合には、所定量DTEXは「0」に設定される。すなわち、特許請求の範囲に記載した「所定量」は、「0」である場合も含む。
また本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進機用エンジンなどの排気浄化装置にも適用が可能である。
1 内燃機関
5 電子制御ユニット(補正係数算出手段、燃料噴射量制御手段、安定状態判定手段、上流排気温度取得手段、下流排気温度取得手段、上流温度適正値算出手段、下流温度適正値算出手段、第1差分値算出手段、第2差分値算出手段、故障判定手段、診断期間設定手段、気筒特定手段)
6 燃料噴射弁
8 吸気圧センサ(運転状態検出手段)
11 クランク角度位置センサ(運転状態検出手段)
13 排気通路
14 三元触媒(排気浄化用触媒)
15 比例型酸素濃度センサ(空燃比検出手段、上流排気温度取得手段)
15a 加熱素子
16 二値型酸素濃度センサ(下流排気温度取得手段)
16a 加熱素子

Claims (11)

  1. 複数気筒を有する内燃機関の排気通路に配置される排気浄化用触媒と、前記複数気筒に連通する排気マニホールドの集合部より下流側に配設され、前記機関で燃焼する混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、前記機関の複数の気筒のそれぞれに対応して配置される燃料噴射弁による燃料噴射量を、検出される空燃比が目標空燃比と一致するように補正する補正係数を算出する補正係数算出手段と、算出された補正係数を用いて前記燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御手段とを備える内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記触媒の上流側における排気温度である上流排気温度を検出または推定する上流排気温度取得手段と、
    前記機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    検出される機関運転状態に応じて前記上流排気温度の適正値である上流温度適正値を算出する上流温度適正値算出手段と、
    前記機関の運転状態が安定している安定状態を判定する安定状態判定手段と、
    前記機関が安定状態にあると判定されているときに、前記複数気筒のそれぞれに対応する空燃比が許容限度を超えてばらつくインバランス故障を判定する故障判定手段とを備え、
    前記故障判定手段は、前記補正係数を用いて前記燃料噴射量を制御しているときの前記上流排気温度と前記上流温度適正値とに基づいて前記インバランス故障が発生していることを判定し、前記インバランス故障は、故障している気筒の燃料噴射量が増加するリッチ故障及び故障している気筒の燃料噴射量が減少するリーン故障であり、前記リッチ故障及びリーン故障の何れが発生した場合においても、前記故障している気筒から排出される排気の温度が他の気筒から排出される排気の温度より低くなる故障であることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 前記触媒の下流側における排気温度である下流排気温度を検出または推定する下流排気温度取得手段と、
    検出される機関運転状態に応じて前記下流排気温度の適正値である下流温度適正値を算出する下流温度適正値算出手段とをさらに備え、
    前記故障判定手段は、前記上流排気温度が前記上流温度適正値から所定量を減算した温度より低く、かつ前記下流排気温度が前記下流温度適正値に所定量を加算した温度より高いときに前記インバランス故障が発生していると判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 前記故障判定手段は、
    前記下流排気温度から前記上流排気温度を減算することにより第1差分値を算出する第1差分値算出手段と、
    前記下流温度適正値から前記上流温度適正値を減算することにより第2差分値を算出する第2差分値算出手段とを有し、
    前記上流排気温度が前記上流温度適正値から所定量を減算した温度より低く、かつ前記下流排気温度が前記下流温度適正値に所定量を加算した温度より高く、かつ前記第1差分値が前記第2差分値より大きいときに前記インバランス故障が発生していると判定することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 前記運転状態検出手段により検出される機関回転数に応じて診断期間を設定する診断期間設定手段をさらに備え、
    前記故障判定手段は、前記診断期間中における前記上流排気温度の最小値を用いて前記故障判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  5. 複数気筒を有する内燃機関の排気通路に配置される排気浄化用触媒と、前記複数気筒に連通する排気マニホールドの集合部より下流側に配設され、前記機関で燃焼する混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、前記機関の複数の気筒のそれぞれに対応して配置される燃料噴射弁による燃料噴射量を、検出される空燃比が目標空燃比と一致するように補正する補正係数を算出する補正係数算出手段と、算出された補正係数を用いて前記燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御手段とを備える内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記触媒の下流側における排気温度である下流排気温度を検出または推定する下流排気温度取得手段と、
    前記機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    検出される機関運転状態に応じて前記下流排気温度の適正値である下流温度適正値を算出する下流温度適正値算出手段と、
    前記機関の運転状態が安定している安定状態を判定する安定状態判定手段と、
    前記機関が安定状態にあると判定されているときに、前記複数気筒のそれぞれに対応する空燃比が許容限度を超えてばらつくインバランス故障を判定する故障判定手段とを備え、
    前記故障判定手段は、前記補正係数を用いて前記燃料噴射量を制御しているときの前記下流排気温度と前記下流温度適正値とに基づいて前記インバランス故障が発生していることを判定し、前記インバランス故障は、故障している気筒の燃料噴射量が増加するリッチ故障及び故障している気筒の燃料噴射量が減少するリーン故障であり、前記リッチ故障及びリーン故障の何れが発生した場合においても、前記故障している気筒から排出される排気の温度が他の気筒から排出される排気の温度より低くなる故障であることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 前記運転状態検出手段により検出される機関回転数に応じて診断期間を設定する診断期間設定手段をさらに備え、
    前記故障判定手段は、前記診断期間中における前記下流排気温度の最大値を用いて前記故障判定を行うことを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  7. 複数気筒を有する内燃機関の排気通路に配置される排気浄化用触媒と、前記複数気筒に連通する排気マニホールドの集合部より下流側に配設され、前記機関で燃焼する混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、前記機関の複数の気筒のそれぞれに対応して配置される燃料噴射弁による燃料噴射量を、検出される空燃比が目標空燃比と一致するように補正する補正係数を算出する補正係数算出手段と、算出された補正係数を用いて前記燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御手段とを備える内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記触媒の上流側における排気温度である上流排気温度を検出または推定する上流排気温度取得手段と、
    前記触媒の下流側における排気温度である下流排気温度を検出または推定する下流排気温度取得手段と、
    前記機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    検出される機関運転状態に応じて前記上流排気温度の適正値である上流温度適正値を算出する上流温度適正値算出手段と、
    検出される機関運転状態に応じて前記下流排気温度の適正値である下流温度適正値を算出する下流温度適正値算出手段と、
    前記機関の運転状態が安定している安定状態を判定する安定状態判定手段と、
    前記機関が安定状態にあると判定されているときに、前記複数気筒のそれぞれに対応する空燃比が許容限度を超えてばらつくインバランス故障を判定する故障判定手段とを備え、
    前記故障判定手段は、前記補正係数を用いて前記燃料噴射量を制御しているときの前記上流排気温度、前記上流温度適正値、前記下流排気温度、及び前記下流温度適正値に基づいて前記インバランス故障の判定を行うものであって、
    前記下流排気温度から前記上流排気温度を減算することにより第1差分値を算出する第1差分値算出手段と、
    前記下流温度適正値から前記上流温度適正値を減算することにより第2差分値を算出する第2差分値算出手段とを有し、
    前記第1差分値が前記第2差分値より大きいときに前記インバランス故障が発生していると判定し、前記インバランス故障は、故障している気筒の燃料噴射量が増加するリッチ故障及び故障している気筒の燃料噴射量が減少するリーン故障であり、前記リッチ故障及びリーン故障の何れが発生した場合においても、前記故障している気筒から排出される排気の温度が他の気筒から排出される排気の温度より低くなる故障であることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  8. 前記故障判定手段により、前記インバランス故障が発生していると判定されたときに、前記上流排気温度の最小値の取得時期または前記下流排気温度の最大値の取得時期に応じて、故障気筒を特定する気筒特定手段をさらに備えることを特徴とする請求項4または6に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  9. 前記運転状態検出手段により検出される機関回転数に応じて診断期間を設定する診断期間設定手段をさらに備え、
    前記故障判定手段は、前記診断期間中における前記上流排気温度の最小値と、前記診断期間中における前記下流排気温度の最大値とを用いて前記故障判定を行うことを特徴とする請求項2または3に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  10. 前記空燃比検出手段は加熱素子を有する酸素濃度センサであり、前記上流排気温度取得手段は前記加熱素子に供給する電流の通電デューティ比または前記加熱素子の抵抗値に応じて前記上流排気温度を推定することを特徴とする請求項1、2、3、4、7、または9の何れか1項に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  11. 前記下流排気温度取得手段は加熱素子を有する酸素濃度センサであり、前記加熱素子に供給する電流の通電デューティ比または前記加熱素子の抵抗値に応じて、前記下流排気温度を推定することを特徴とする請求項2、3、5、6、7、または9の何れか1項に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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